説明

HIVgp41融合中間物質の安定したペプチド模倣薬

ホモ三量体またはヘテロ三量体コイルドコイル構造内に制約されるアルファヘリックスのキメラペプチドを共有結合的に安定化する方法が開示される。本明細書内で開示されている方法により作られるコイルドコイル構造は、エンベロープウイルス膜融合タンパク質の融合性立体配座内に含まれる内部三量体コイルドコイルモチーフの全部または一部、特にHIV gp41細胞外領域の内部コイルドコイル領域を模倣する。開示されているHIV由来のキメラペプチドは、HIV gp41のNヘリックスの全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合された非HIV可溶性三量体型のコイルドコイルを含み、前記ペプチドの間のジスルフィド結合または化学選択的結合の形成を通じてホモ三量体またはヘテロ三量体コイルドコイル構造内で共有結合的に安定化される。本明細書で開示されている方法により作られる共有結合的に安定化されたHIV由来のホモ三量体またはヘテロ三量体コイルドコイル構造は、HIV gp41融合中間物質のよく似た模倣薬を表し、HIV感染の強力阻害剤である。これらのHIV由来のキメラペプチドでは、ウイルス宿主細胞膜融合プロセスを阻害することによりHIV感染に対する治療処置を行うことができる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エンベロープウイルス膜融合タンパク質の、NH末端7回繰り返し領域の全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域を含む可溶性キメラペプチドを人工的に作ることと、
(b)前記ペプチド間の共有結合の形成により三量体コイルドコイル構造において(a)から3つのキメラペプチドを安定化させることとを含み、前記共有結合は、化学選択的反応から結果として生じるジスルフィド結合および共有結合からなる群から選択される、前記エンベロープウイルス膜融合タンパク質の内部三量体コイルドコイルモチーフの全部または一部を模倣する三量体コイルドコイル構造を共有結合的に安定化する方法。
【請求項2】
(a)
(i)エンベロープウイルス膜融合タンパク質の、NH末端7回繰り返し領域の全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域と、
(ii)前記αヘリックス領域の外に配置された少なくとも2つのシステイン残基とを含む可溶性キメラペプチドを人工的に作ることと、
(b)三量体コイルドコイル構造が形成される濃度で複数の前記可溶性キメラペプチドをインキュベートすることと、
(c)(b)において形成された前記三量体コイルドコイル構造を酸化させて、前記コイルドコイルの並列するキメラペプチド上のシステイン残基間のジスルフィド結合の形成を介して前記コイルドコイルを共有結合的に安定化することとを含む、前記エンベロープウイルス膜融合タンパク質の内部三量体コイルドコイルモチーフの全部または一部を模倣する三量体コイルドコイル構造を共有結合的に安定化する方法。
【請求項3】
(a)における前記可溶性キメラペプチドが、HIV gp41のNペプチドの全部または一部を含む、請求項2に記載の三量体コイルドコイル構造を共有結合的に安定化する方法。
【請求項4】
(a)エンベロープウイルス膜融合タンパク質の、NH末端7回繰り返し領域の全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域を含む可溶性キメラペプチドを人工的に作ることと、
(b)三量体コイルドコイル構造が形成される濃度で複数の前記可溶性キメラペプチドをインキュベートすることと、
(c)前記キメラペプチド間の共有結合である化学結合の形成により(b)において前記三量体コイルドコイル構造を安定化させることとを含み、前記化学結合は、化学選択的反応により形成される、前記エンベロープウイルス膜融合タンパク質の内部三量体コイルドコイルモチーフの全部または一部を模倣する三量体コイルドコイル構造を共有結合的に安定化する方法。
【請求項5】
(a)における前記可溶性キメラペプチドが、HIV gp41のNペプチドの全部または一部を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化学結合が、チオエーテル結合である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記可溶性キメラペプチドが、前記結果として得られる三量体コイルドコイル構造が、
(a)さらに前記ペプチドのαヘリックス領域の外に配置された少なくとも2つのシステイン残基を含む1つのキメラペプチドと、
(b)それぞれ求電子性部分を組み込むように誘導体化された2つのキメラペプチドとからなる濃度で、インキュベートされ、
(a)における前記キメラペプチド中のそれぞれのシステイン残基の求核スルフヒドリル基は、(b)における前記誘導体化されたキメラペプチドの求電子性部分とチオエーテル結合を形成する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(b)における前記2つのキメラペプチドは、ハロゲン化アルキル部分とマイケル受容体とからなる群から選択される求電子性部分を組み込むこように誘導体化される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)コイルドコイルの可溶性三量体型を含む骨格部分と、
(b)HIV gp41のNペプチドの全部または一部を含むNペプチド部分、またはこの修飾型と、
(c)少なくとも2つのシステイン残基を含むシステイン部分とを含み、
(a)における前記骨格部分は、(b)における前記Nペプチド部分にヘリックスフェーズで融合されて、αヘリックス領域を形成し、(c)における前記前記システイン部分は、前記αヘリックス領域の外に配置される可溶性キメラペプチド。
【請求項10】
(b)における前記Nペプチド部分が、HIV−1 gp41に由来する請求項9に記載のキメラペプチド。
【請求項11】
前記Nペプチド部分が、前記ペプチドの前記骨格部分のCOOH末端に融合される請求項10に記載のキメラペプチド。
【請求項12】
前記Nペプチド部分が、Nヘリックスコイルドコイル疎水性ポケットを形成する、アミノ酸残基を含むHIV−1 gp41 Nペプチドの十分な部分を含む請求項11に記載のキメラペプチド。
【請求項13】
前記Nペプチド部分が、N17(LLQLTVWGIKQLQARIL(SEQ ID NO:44))を含む請求項12に記載のキメラペプチド。
【請求項14】
前記Nペプチド部分が、gp41のアミノ酸577あたりからアミノ酸581あたりまでのところに配置されている潜在的免疫優勢エピトープを排除するように変異された修飾HIV−1 gp41 Nペプチドである請求項12に記載のキメラペプチド。
【請求項15】
前記修飾Nペプチド部分が、N17Ala4 (LLQLTVWGIKALAAAIA(SEQ ID NO:60))を含む請求項14に記載のキメラペプチド。
【請求項16】
前記ペプチドの前記骨格部分が、Suzuki−IZコイルドコイルモチーフ(YGGIEKKIEAIEKKIEAIEKKIEAIEKKIEA(SEQ ID NO:29))の全部または一部、またはこれの修飾型を含む請求項11に記載のキメラペプチド。
【請求項17】
前記ペプチドの前記骨格部分が、IZコイルドコイルモチーフ(IKKEIEAIKKEQEAIKKKIEAIEK(SEQ ID NO:31))を含む請求項16に記載のキメラペプチド。
【請求項18】
前記ペプチドの前記骨格部分が、EZコイルドコイルモチーフ(IEKKIEEIEKKIEEIEKKIEEIEK(SEQ ID NO:32))を含む請求項16に記載のキメラペプチド。
【請求項19】
前記ペプチドの前記骨格部分が、SZコイルドコイルモチーフ(IEKKIEAIEKKIEAIEKKIEAIEK(SEQ ID NO:107))を含む請求項16に記載のキメラペプチド。
【請求項20】
前記ペプチドの前記システイン部分が、前記ペプチドの前記αヘリックス領域のNH末端に配置されている少なくとも2つの連続するシステイン残基を含む請求項11に記載のキメラペプチド。
【請求項21】
前記システイン残基が、スペーサー領域により前記αヘリックス領域から分離される請求項20に記載のキメラペプチド。
【請求項22】
前記ペプチドの前記システイン部分が、前記ペプチドの前記αヘリックス領域のCOOH末端に配置されている少なくとも2つの連続するシステイン残基を含む請求項11に記載のキメラペプチド。
【請求項23】
前記システイン部分が、前記ペプチドの前記αヘリックス領域のNH末端に配置されている3つの連続するシステイン残基を含む請求項11に記載のキメラペプチド。
【請求項24】
前記システイン残基が、スペーサー領域により前記αヘリックス領域から分離される請求項23に記載のキメラペプチド。
【請求項25】
前記NH末端に配置されている前記システイン残基が、保護されたチオール基を有する請求項24に記載のキメラペプチド。
【請求項26】
(a)CCIZN17と指定されたSEQ ID NO:2と、
(b)CCEZN17と指定されたSEQ ID NO:7と、
(c)CCIZN17Ala4と指定されたSEQ ID NO:5と、
(d)CCEZN17Ala4と指定されたSEQ ID NO:9と、
(e)CCIZN23と指定されたSEQ ID NO:13と、
(f)CCEZN23と指定されたSEQ ID NO:15と、
(g)ビオチン−CCIZN23と指定されたSEQ ID NO:12と、
(h)SCCIZN17と指定されたSEQ ID NO:21と、
(i)CCSZN17と指定されたSEQ ID NO:98と、
(j)CCS17N17と指定されたSEQ ID NO:100と、
(k)CCE10N17と指定されたSEQ ID NO:109と、
(l)CCE17N17と指定されたSEQ ID NO:116と、
(m)CCE17GluN17と指定されたSEQ ID NO:120とからなる群から選択されたアミノ酸配列を含むキメラペプチド。
【請求項27】
(a)HIV gp41 Nペプチドの全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域と、
(b)前記αヘリックス領域の外に配置された少なくとも2つのシステイン残基とを含み、前記キメラペプチドは、個々のペプチドの前記システイン残基間のジスルフィド結合を介してコイルドコイルとして共有結合的に安定化される3つのキメラペプチドを含むHIV gp41 Nペプチドコイルドコイルの全部または一部を模倣する共有結合的に安定化された三量体コイルドコイル。
【請求項28】
(a)
(i)HIV gp41 Nペプチドの全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域と、
(ii)前記ペプチドの前記αヘリックス領域の外に配置された少なくとも2つのシステイン残基とを含む1つのキメラペプチドと、
(b)それぞれチオエーテル結合を形成することができる求電子性部分とともに誘導体化された、HIV gp41 Nペプチドの全部または一部にヘリックスフェーズ内で融合されたコイルドコイルの可溶性三量体型、またはこの修飾型を含むαヘリックス領域を含む2つのキメラペプチドとを含み、
(a)における前記キメラペプチド中のそれぞれのシステイン残基の求核スルフヒドリル基は、(b)におけるそれぞれの誘導体化されたキメラペプチドの前記求電子性部分とチオエーテル結合を形成するHIV gp41 Nペプチドコイルドコイルの全部または一部を模倣する共有結合的に安定化した三量体コイルドコイル。
【請求項29】
(a)(CCIZN17)([SEQ ID NO:2])と、
(b)(CCEZN17)([SEQ ID NO:7])と、
(c)(CCIZN17Ala4)([SEQ ID NO:5])と、
(d)(CCEZN17Ala4)([SEQ ID NO:9])と、
(e)(CCIZN23)([SEQ ID NO:13])と、
(f)(CCEZN23)([SEQ ID NO:15])と、
(g)(ビオチン−CCIZN23)([SEQ ID NO:12])と、
(h)(SCCIZN17)([SEQ ID NO:21])と、
(i)C(thioIZN17)と、
(j)C(thioS17N17)と、
(k)C(thioE10N17)と、
(l)C(thioEZN17)と、
(m)C(thioE17N17)と、
(n)C(thioE17GluN17)とからなる群から選択されたHIV−1 Nペプチドコイルドコイルの全部または一部を模倣する共有結合的に安定化した三量体化コイルドコイル。
【請求項30】
前記ペプチドが、免疫原性担体分子に共有結合される請求項9に記載のキメラペプチドの抗原性抱合体。
【請求項31】
前記担体分子が、OMPCである請求項30に記載の抗原性抱合体。
【請求項32】
前記三量体コイルドコイルが、免疫原性担体分子に共有結合される請求項27に記載の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルの抗原性抱合体。
【請求項33】
前記担体分子が、OMPCである請求項32に記載の抗原性抱合体。
【請求項34】
前記三量体コイルドコイルが、免疫原性担体分子に共有結合される請求項28に記載の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルの抗原性抱合体。
【請求項35】
前記担体分子が、OMPCである請求項34に記載の抗原性抱合体。
【請求項36】
前記免疫応答を高めることができる生物学的に有効なアジュバント、タンパク質、または他の薬剤と混合され、前記組成物が、哺乳類のHIV特異的中和抗体を顕在化させることができる免疫原として使用される請求項33に記載の有効な量の抗原性抱合体を含む薬剤組成物。
【請求項37】
前記免疫応答を高めることができる生物学的に有効なアジュバント、タンパク質、または他の薬剤と混合され、前記組成物が、哺乳類のHIV特異的中和抗体を顕在化させることができる免疫原として使用される請求項35に記載の有効な量の抗原性抱合体を含む薬剤組成物。
【請求項38】
gp41融合中間物質上のエピトープに結合し、それにより細胞のHIV感染を阻害することによりgp41が前記細胞へのHIVの融合を媒介する構造的立体配座をとることに干渉する請求項27に記載の有効な量の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに前記細胞を接触させることを含む前記細胞へのHIV融合を阻害する方法。
【請求項39】
gp41融合中間物質上のエピトープに結合し、それにより細胞のHIV感染を阻害することによりgp41が前記細胞へのHIVの融合を媒介する構造的立体配座をとることに干渉する請求項28に記載の有効な量の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに前記細胞を接触させることを含む前記細胞へのHIV融合を阻害する方法。
【請求項40】
(a)試験化合物、請求項27に記載の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイル、および前記HIV gp41 Nペプチドコイルドコイル内の立体配座エピトープを認識する抗体を組み合わせることと、
(b)前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルおよび前記抗体の親和性に対し前記試験化合物が有する効果を測定することと、
(c)前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに対する前記抗体の親和性と前記試験化合物がない場合の前記コイルドコイルに対する前記抗体の親和性に対し前記試験化合物が有する効果を比較することとを含み、
前記試験化合物が、前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに対する前記抗体の親和性を減少させる場合に、前記試験化合物が、HIV融合阻害剤として識別されるHIV融合阻害剤を識別する方法。
【請求項41】
(a)試験化合物、請求項28に記載の共有結合的に安定化した三量体コイルドコイル、および前記HIV gp41 Nペプチドコイルドコイル内の立体配座エピトープを認識する抗体を組み合わせることと、
(b)前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルおよび前記抗体の親和性に対し前記試験化合物が有する効果を測定することと、
(c)前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに対する前記抗体の親和性と前記試験化合物がない場合の前記コイルドコイルに対する前記抗体の親和性に対し前記試験化合物が有する効果を比較することとを含み、
前記試験化合物が、前記共有結合的に安定化した三量体コイルドコイルに対する前記抗体の親和性を減少させる場合に、前記試験化合物が、HIV融合阻害剤として識別されるHIV融合阻害剤を識別する方法。
【請求項42】
(a)コイルドコイルの可溶性三量体型を含む骨格部分と、
(b)HIV gp41のNペプチドの全部または一部を含むNペプチド部分、またはこの修飾型とを含み、
前記キメラペプチドは、チオエーテル結合を形成することができる求電子性部分を組み込むように誘導体化されている可溶性キメラペプチド。
【請求項43】
前記ペプチドが、ハロゲン化アルキル部分とマイケル受容体とからなる群から選択される求電子性部分を組み込むこように誘導体化される請求項42に記載のキメラペプチド。
【請求項44】
前記ハロゲン化アルキル部分は、ブロモアセチル部分である請求項43に記載のキメラペプチド。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【公表番号】特表2008−501028(P2008−501028A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515407(P2007−515407)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018808
【国際公開番号】WO2005/118886
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】