説明

ICカード利用システム

【課題】集客区域内において人が多いことに伴う各種の問題点を解決するようなICカード利用システムを提供する。
【解決手段】検出システム20のアンテナ制御部22から出力されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいて、制御用コンピュータ40は、集客区域内の集客分布を算出し、集客分布からその集客区域が閑散としているか混雑しているかを認識し、認識した集客区域についての区域データを読み出し、この区域データとともに閑散または混雑について来客へ説明する説明データを出力装置50へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント会場・デパート等の人が集まる集客区域(以下、単に集客区域という)において、ICカードを利用して混雑に伴う来客の不便を緩和するようなICカード利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードが普及しつつある。このようなICカードは各種分野で利用可能であるが、例えば各種イベント会場・デパート・店舗・食堂・ホテル・その他の受付ロビー等不特定の来場者が集まる集客区域でICカードを利用して、来客の管理に利用することが考えられる。このような集客区域での利用例として、例えば、特許文献1(発明の名称:イベントにおける来場者管理システムとそのサブシステム)記載の従来技術のように、ICカードをイベントの招待状として送付し、このICカード持参者に対してイベント来場者受付での登録や各ブースでの顧客管理を自動的に行うシステムが開示されている。
【0003】
また、ICカードのイベント利用を目的とするものではないが、特許文献2(発明の名称:顧客情報解析システム)記載の従来技術のように、移動する顧客は遠隔通信可能な非接触ICカードを携帯し、このように移動する顧客の位置をリーダライタ装置が検出して顧客の移動情報を取得し、顧客の商品購入情報と移動情報とを関連させてマーケティング情報を得る、というシステムが開示されている。このようなシステムは集客区域での応用が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−207468号公報(段落番号0032,図8)
【特許文献2】特開2003−109123号公報(段落番号0009〜0013,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2において提案されたシステムはICカードを利用するものであるが、これ以外にも各種の応用システムの構築が可能である。例えば、一歩すすめて混雑するような集客区域内でICカードを有する来客に対して適宜案内することにより、例えば、混雑緩和・サービスの迅速提供などを実現して混雑に伴う影響を低減することに寄与するシステムが考えられる。しかしながら、現状ではICカードを利用するこのようなシステムは存在していなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、集客区域内において人が多いことに伴う各種の問題点を解決するようなICカード利用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るICカード利用システムは、
カード保持者を区別する識別データが記憶された非接触ICカードから識別データを受信するためのアンテナ部が、各カタログ表示部に対応して複数配置されたマルチアンテナシートを有するカタログラックと、
カタログラックのいずれかのカタログ表示部に非接触ICカードが近づけられた際、そのカタログ表示部に対応するアンテナ部を介して非接触ICカードに記憶された識別データを読み取り、アンテナ部に対応するアンテナ番号データおよび識別データを出力するアンテナ制御部と、
アンテナ制御部から出力されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいて、アンテナ番号データに対応するカタログデータと、この識別データに対応する配信先データをデータベースから読み出し、これらカタログデータおよび配信先データを出力装置へ出力する制御用コンピュータと、
配信先データで特定された配信先へカタログデータを公衆回線介して配信するか、または、配信先データで特定された配信先へ郵送するようにカタログデータを印刷する出力装置と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るICカード利用システムは、
請求項1に記載のICカード利用システムにおいて、
前記カタログラックは、
カタログが印刷された半透明フィルムと、
半透明フィルムの裏側に配置されるシート状EL発光器と、
シート状EL発光器の裏側に配置されるマルチアンテナ部と、
を備え、カタログラックが発光することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係るICカード利用システムは、
請求項2に記載のICカード利用システムにおいて、
前記カタログラックは、
ボードに配置されるマルチアンテナ部の複数のアンテナ部の前面にそれぞれ印刷により形成される複数のカタログ表示部を配置してボードを立てたスタンド型、または、フィルム上に配置されるマルチアンテナ部の複数のアンテナ部の前面にそれぞれ印刷により形成される複数のカタログ表示部を配置してフィルムを湾曲させて柱に貼り付けて掲示する貼付け型とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、集客区域内において人が多いことに伴う各種の問題点を解決するようなICカード利用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための形態のICカード利用システムの構成図である。
【図2】ICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。
【図3】検出システムの説明図であって、図3(a)は構成図、図3(b)は電磁結合の説明図である。
【図4】出力装置のブロック構成図である。
【図5】画像情報出力部の正面図である。
【図6】画像情報出力部の断面図である。
【図7】遮光マスクの説明図である。
【図8】他の形態のICカード利用システムの構成図である。
【図9】ICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】メニューボードの構成図である。
【図11】他のメニューボードの構成図である。
【図12】ICカード利用システムの説明図である。
【図13】チャージ機能を持たせたICカード利用システムの説明図である。
【図14】他の形態のICカード利用システムの構成図である。
【図15】ICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。
【図16】カタログラックの各種形態であって、図16(a)はスタンド型のカタログラックを示す図、図16(b)は貼付型のカタログラックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について図に基づき説明する。図1は本形態のICカード利用システムの構成図である。図2はICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。図3は検出システムの説明図であって、図3(a)は構成図、図3(b)は電磁結合の説明図である。図4は出力装置のブロック構成図である。図5は画像情報出力部の正面図である。図6は画像情報出力部の断面図である。図7は遮光マスクの説明図である。
【0013】
前提としてイベント会場に図1のようなICカード利用システム100が設置されるものとする。イベント主催者は、非接触ICカード10を予め招待状と共に送付するか、或いはイベント会場の入り口(展示会・デパート催事場の入り口など)で来客に対して非接触ICカード10が貸与される。ここで、会場受付等で新たに交付される非接触ICカード10は、当該来場者が氏名、所属会社名、職種等を記入したOCR帳票、或いは当該来場者から差し出された名刺を読み取って顧客の識別データが非接触ICカード10に書き込まれて発行となる。非接触ICカード10はそのカード保持者を区別する識別データが記憶されている。ICカード利用システム100ではこの非接触ICカード10から識別データを検出して、各種の顧客の管理を図るものである。
ICカード利用システム100は、図1で示すように、複数の検出システム20と、構内ネットワーク30と、制御用コンピュータ40と、出力装置50とを備えている。
【0014】
検出システム20は、さらにマルチアンテナ部21と、アンテナ制御部22と、通信用コンピュータ23と、通信ネットワーク接続部24とを備えている。必要に応じて印刷部(図示せず)等を備えるようにしても良い。
マルチアンテナ部21は、図3(a)でも示すように、多数のアンテナ部を備えるものであり、これらアンテナ部は集客区域内(例えば展示ブース内)の各箇所に複数配置されている。これらアンテナ部は何れもアンテナ制御部22に接続されている。そして図3(b)で示すように、ある非接触ICカード10がアンテナ部との通信可能範囲に入った際にアンテナ部と非接触ICカード10とが電磁結合する。
【0015】
アンテナ制御部22は例えばICリードライタなどであり、電磁結合したことを認識し、アンテナ部を介して非接触ICカード10に記憶された識別データを読み取るとともに(図2のステップS1)、多数あるうちのどのアンテナ部に電磁結合したかを認識し、アンテナに対応して割り当てられているアンテナ番号データおよび識別データを通信用コンピュータ23へ出力する(図2のステップS2)。
通信用コンピュータ23は、通信ネットワーク接続部24および構内ネットワーク30を介して制御用コンピュータ40へアンテナ番号データおよび識別データを出力する。なお、構内ネットワーク30は、イベント会場の特異性から、無線LANとすると、配線が省略できる。このような検出は集客区域(複数の展示ブース・通路・休憩所・カフェテリア)に配置された多数の検出システム20でそれぞれ行われる。
【0016】
制御用コンピュータ40は、アンテナ制御部22が出力し、通信用コンピュータ23・通信ネットワーク接続部24・構内ネットワーク30を介して送信されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいて、それぞれの集客区域内の集客分布を算出する(図2のステップS3)。複数の展示ブース・通路・休憩所・カフェテリアという各集客区域内でので集客分布を算出することで、イベント会場全体での来客の数を把握する。
集客分布の算出は、あるマルチアンテナ部21が配置された集客区域でそれぞれのアンテナ部が非接触ICカード10と電磁結合して得た識別データの数を計数することで、そのマルチアンテナ部21が配置された集客区域の集客分布を算出する。なお、同じ識別データが重複して検出された場合はその識別データを計数しない。また、所定期間経過後に集客分布を算出して最新の集客分布を得ることとなる。
例えば、あるマルチアンテナ部21が配置された集客区域(展示ブース)では、多数の識別データが計数されたならば、このマルチアンテナ部21が配置された集客区域内では多数の来客がいるとする集客分布を得ることができ、反対に少数の識別データが得られたならば、その集客区域内では少数の来客しかいないとする集客分布を得ることができる。
【0017】
制御用コンピュータ40は、集客分布からその集客区域が閑散としているか混雑しているかを認識する(図2のステップS4)。
例えば、集客数が上から3番まで入るような集客区域は多数の来客がいて混雑する集客区域であると認識する。また、集客数が下から3番まで入るような集客区域は少数の来客しかおらずに閑散とした集客区域であると認識する。
制御用コンピュータ40は、認識した集客区域についての区域データをデータベースから読み出す(図2のステップS5)。
制御用コンピュータ40は、この区域データとともに閑散または混雑について来客へ説明する説明データを出力装置50へ出力する(図2のステップS6)。
【0018】
出力装置50は、図1で示すように、出力用コンピュータ51、出力部52、および、入力部53を備えるものであり、さらに詳しくは図4で示すように、出力用コンピュータ51は制御部511、音声データテーブル512、画面データテーブル513、文字データテーブル514を備え、出力部52は音声情報出力部521、画像情報出力部522、文字情報出力部523を備えている。入力部53は、キーボード、マウス、画面上に設けられたタッチパネル等で構成されている。
【0019】
制御部511は区域データおよび説明データに基づいて出力をするが、例えば、区域データおよび説明データを音声出力するように音声データテーブル512から音声データを読み出して、音声情報出力部(例えばスピーカ)521から出力させても良い。この場合、「○○ブースは混雑しています。××ブースはゆったりとご覧になれます。」というような報知内容でアナウンスする。
また、制御部511は区域データおよび説明データを画面表示するように画面データテーブル513から画面データを読み出して、画面情報出力部(静止画、動画の各種画面内容を表示する液晶、CRT等の表示装置)522から上記のような報知内容を表示させても良い。
さらにまた、制御部511は区域データおよび説明データを文字のみ表示するように文字データテーブル514から文字データを読み出して、文字情報出力部(例えば字をはじめ記号、図形等も表示する電光掲示板)523から上記のような報知内容を表示させても良い。
【0020】
例えば、入り口にこのような出力装置50を配置しておけば、混雑している集客区域(例えば展示ブース)および閑散としている集客区域(例えば展示ブース・カフェテリア)を入場時に把握して空いている集客区域へ来客を誘導することとなり、特定の集客区域に人が集中しないようにすることができ、混雑を緩和する。
また、A館・B館・C館のように複数の展示場を用いて開催している大掛かりなイベント会場の場合、出力装置50から混雑していない展示場へ先に行くように誘導する情報を出力することで、混雑に巻き込まれる事態を回避でき、閑暇の波が発生しないようにして、商談等もスムーズに行えるように運用を図ることができる。
【0021】
また、比較的簡易な表示構成に限定されるものの、画像情報出力部522として発光導電性塗料を用いて、文字、数字、記号、図形等を単独或いは組み合わせて表記する文字情報出力部を形成すれば、表示器の出力部を低コスト化できる。
その具体例について図5〜図7を用いて説明する。図5で示すように印刷された画像が照射光により表示される第1画像表示領域522b、自己発光により画像が表示される第2画像表示領域522cを備える発光表示シート522aである。
【0022】
図6に示すように発光表示シート522aの横断面は、所定の画像が印刷された表示紙522d、この表示紙522dの裏面から重ねられたシート状EL発光機522e、透明ポリエステル樹脂フィルム或いは透明塩化ビニールフィルムから成る一対の表面側樹脂フィルム522fおよび裏面側樹脂フィルム522g、切り欠き522hが設けられ、それら表示紙522d及びシート状EL発光機522eを裏面から挟む一対の表面樹脂フィルム522f及び裏面側樹脂フィルム522gの外周縁部が、高周波溶着或いは熱圧着などによって相互に固着されることにより構成している。全体の厚みが2〜3mm程度であって、しかも全体として自由に湾曲できる可撓性を備えているため、ポスターのように所定の画像が印刷された紙或いはシート材を接着材、両面テープ、接着テープなどを用いて貼り付けて壁面、ガラス面などへ手軽に装着して展示可能である。
【0023】
表示紙522dの第2画像表示領域522cに相当する部分には切り欠き522hが形成されており、その切り欠き522hを通して、図7に示すように遮光マスク522iが印刷などにより設けられたシート状EL発光器522eの表面が表示されるようになっている。これにより、遮光マスク522iが設けられていない部分により構成される画像が、第2画像表示領域522cにおいて発光表示されるようにしている。こうして、EL発光層の厚み方向に挟む透明電極および裏面電極に交流電圧を印加するように変換制御して、裏面電極の形状に対応した発光パターンで局部的に発光させる。
更に、導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布することにより、所望の発光パターンに対応する形状の裏面電極を作成して文字、数字、記号、図形等表示することができる。このような簡易な構成であっても、むしろ来客の注意を喚起し易いという利点も見込める。
【0024】
続いて他の形態について図に基づき説明する。図8は他の形態のICカード利用システムの構成図である。図9はICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。図10はメニューボードの構成図である。図11は他のメニューボードの構成図である。図12はICカード利用システムの説明図である。このICカード利用システムは、例えば先に説明した展示会などのイベント会場に設けられる飲食店・バー・居酒屋・ビヤホール・レストラン・カフェテリアなどでICカードを利用してメニューの注文を行うためのシステムである。
【0025】
前提として来客はカード保持者を区別する識別データが記憶されている非接触ICカード10を持っているものとする。ICカード利用システム200ではこの非接触ICカード10をメニューボード60の所望の飲食物表示部61d(図12参照)にかざすとメニューボード60が識別データを検出して、注文できるようにするというものである。
このICカード利用システム200は、図8で示すように、メニューボード60と、構内ネットワーク30と、制御用コンピュータ40と、出力装置50とを備えており、先の形態と比較して検出システム20がメニューボード60に代わっており、さらに制御用コンピュータ40が注文を取るように制御する点が相違している。
【0026】
メニューボード60は、さらにマルチアンテナ部61と、アンテナ制御部62と、通信用コンピュータ63と、通信ネットワーク接続部64とを備えている。
マルチアンテナ部61は、図10でも示すように、多数のアンテナ部を備えるものであり、これら一つのアンテナ部がメニューボード60に印刷された一つの飲食物表示部61d(図12参照)の裏側に配置されるものであって、飲食物全部を網羅してメニューボードに複数配置されている。これらアンテナ部は何れもアンテナ制御部62に接続されている。そしてある非接触ICカード10がアンテナ部との通信可能範囲に入った際にアンテナ部と非接触ICカード10とが電磁結合する(図12参照)。
【0027】
アンテナ制御部62は例えばICリードライタなどであり、電磁結合したことを認識し、アンテナ部を介して非接触ICカード10に記憶された識別データを読み取るとともに(図9のステップS11)、多数あるうちのどのアンテナ部に電磁結合したかを認識し、このアンテナ部に対応して割り当てられているアンテナ番号データおよび識別データを通信用コンピュータ63へ出力する(図9のステップS12)。
通信用コンピュータ63は、図8で示すように、通信ネットワーク接続部64および構内ネットワーク30を介して制御用コンピュータ40へアンテナ番号データおよび識別データを出力する。
【0028】
制御用コンピュータ40は、アンテナ制御部62が出力し、通信用コンピュータ63・通信ネットワーク接続部64・構内ネットワーク(無線LAN)30を介して送信されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいてアンテナ番号データに対応する飲食物情報データ、および、アンテナ番号データに対応するメニューボード位置データをデータベースから読み出す(図9のステップS13)。
【0029】
制御用コンピュータ40は、これら飲食物情報データおよびメニューボード位置データを出力装置へ出力する(図9のステップS14)。調理室に設置された出力装置50では例えば、図4で示すような構成を有し、メニューボード位置データおよび飲食物情報データを音声出力するように音声データテーブル512から音声データを読み出して、音声情報出力部(例えばスピーカ)521から出力(例えば、○○番テーブル・コーヒー一杯というアナウンス)させても良い。
また、制御部511はメニューボード位置データおよび飲食物情報データを画面表示するように画面データテーブル513から画面データを読み出して、画面情報出力部522から表示させても良い。
さらにまた、制御部511はメニューボード位置データおよび飲食物情報データを文字のみ表示するように文字データテーブル514から文字データを読み出して、文字情報出力部523から表示させても良い。
また、先に図5〜図7により説明した発光表示シート522aによる画像情報出力部522としても良い。
このようにすることで、ウェイターが注文を受けた飲食物を届けることとなる(図12参照)。
【0030】
このようなICカード利用システム200では、注文の手間を省いて時間を短縮し、特に昼時に混雑する飲食店・バー・居酒屋・ビヤホール・レストラン・カフェテリアなどでの混雑を緩和し、また、本来の展示ブースへお客を速く送り出すという利点もある。
【0031】
また、図11で示すようにメニューボード60に発光機能を持たせるようにしても良い。メニューボード60のマルチアンテナ部61の全面にシート状発光機61bを配置し、さらにその前面に蛍光塗料で飲食物をカラー印刷した半透明フィルム61cを配置したものである。そして、飲食物表示部61dの後方にはシート状発光機61bを挟んでアンテナ部61aが位置するようにしたものである。このようにすれば、簡易な構成で、ディスプレイ表示部のような効果を持たせて、暗がりのような所でも容易に注文・追加注文なども可能となり、利便性が増すこととなる。
【0032】
なお、さらに利便性を持たせるため、ICカード利用システムに金銭のチャージ機能を持たせるようにしても良い。図13はチャージ機能を持たせたICカード利用システムの説明図である。非接触ICカード10に所定金額を予めチャージしておき、ICカード利用システム200で飲食物の注文を受け付けるとともに、代金を精算していき、所定金額に到達したときに注文を締めるようにした。このようにすれば、追加注文なども可能となり、さらに利便性が増すこととなる。
【0033】
なお、レストラン・カフェテリアが広くなく構内ネットワーク30が不要な場合には、図8において、通信用コンピュータ63、通信ネットワーク接続部64、構内ネットワーク30を省略し、アンテナ制御部62に制御用コンピュータ40を接続するようにしても良い。
【0034】
続いて他の形態について図に基づき説明する。図14は他の形態のICカード利用システムの構成図である。図15はICカード利用システムの動作を説明するフローチャートである。図16はカタログラックの各種形態であって、図16(a)はスタンド型のカタログラックを示す図、図16(b)は貼付型のカタログラックを示す図である。このICカード利用システム300は、例えば先に説明した展示会などの展示ブースでカタログを配布するためのシステムである。
【0035】
前提として来客はカード保持者を区別する識別データが記憶されている非接触ICカード10を持っているものとする。ICカード利用システム300ではこの非接触ICカード10をカタログラック70の所望のカタログ表示部にかざすとカタログラック70が識別データを検出して、カタログを取得できるように手配するというものである。
ICカード利用システム300は、図14で示すように、複数のカタログラック70と、構内ネットワーク30と、制御用コンピュータ40と、出力装置50とを備えており、先の形態と比較して検出システム20・メニューボード60がカタログラック70に代わっており、さらに制御用コンピュータ40がカタログを手配するように制御する点が相違している。
【0036】
カタログラック70は、さらにマルチアンテナ部71と、アンテナ制御部72と、通信用コンピュータ73と、通信ネットワーク接続部74とを備えている。必要に応じて印刷部(図示せず)等を備えるようにしても良い。
マルチアンテナ部71は、多数のアンテナ部を備えるものであり、図16(a)でも示すように、これら一つのアンテナ部がカタログラック70に印刷された一つのカタログ表示部71aの裏側に配置され、カタログ全部を網羅してカタログラックに複数配置されている。これらアンテナ部は何れもアンテナ制御部72に接続されている。そしてある非接触ICカード10がアンテナ部との通信可能範囲に入った際にアンテナ部と非接触ICカード10とが電磁結合する。
【0037】
アンテナ制御部72は例えばICリードライタなどであり、電磁結合したことを認識し、アンテナ部を介して非接触ICカード10に記憶された識別データを読み取るとともに(図15のステップS21)、多数あるうちのどのアンテナ部に電磁結合したかを認識するためアンテナに対応して割り当てられているアンテナ番号データおよび識別データを通信用コンピュータ73へ出力する(図15のステップS22)。
通信用コンピュータ73は、通信ネットワーク接続部74および構内ネットワーク30を介して制御用コンピュータ40へアンテナ番号データおよび識別データを出力する。
【0038】
制御用コンピュータ40は、アンテナ制御部72が出力し、通信用コンピュータ73・通信ネットワーク接続部74・構内ネットワーク(無線LAN)30を介して送信されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいてアンテナ番号データに対応するカタログデータ、および、識別データに対応する配信先データをデータベースから読み出す(図15のステップS23)。
【0039】
制御用コンピュータ40は、これらカタログデータおよび配信先データを出力装置50へ出力する(図15のステップS24)。
出力用コンピュータ51は、配信先データで特定された配信先へカタログデータを公衆回線介して配信するように通信装置である出力部52を制御する。
または、出力用コンピュータ51は、配信先データで特定された配信先へ郵送するようにカタログデータを印刷するようにプリンタである出力部52を制御する。
【0040】
なお、カタログ配布を一括して管理するのではなく展示ブースの出展企業毎に行うため構内ネットワーク30が不要な場合には、図14において、カタログ配布所は一カ所のみとなり、さらに通信用コンピュータ73、通信ネットワーク接続部74、構内ネットワーク30を省略し、アンテナ制御部72に制御用コンピュータ40を接続するようにしても良い。
【0041】
このようなICカード利用システム300ではカタログ収集の手間を省くことで展示ブース内が混雑しないようにすることができる。また、例えば、イベント会場のブース内において、展示製品の優秀性を裏付ける技術その他のセールスポイント等をうたう資料の配布サービスが提供できる。
【0042】
さて、イベント会場では各展示ブースで趣向を凝らして来場者を呼び寄せるように努めており、換言すれば、全体的に煌びやかであって特定のブースが目立つということはない。このような状況のため、来場者、とりわけ展示製品等に関心興味を抱きながらわざわざ会場まで足を運んだ顧客でさえも、このようなカタログラック70の存在を見逃してしまうことが多々ある。
特に、カタログラック70は、省スペースをはかり使い勝手の良いコンパクトサイズなるがゆえに、展示ブースの傍らに設置しても、見逃されてしまうきらいがあり、これらせっかく構築したシステムが活用されないことは、単にイベントでのPR効果が低減するのみならず、カタログや技術データ等資料配信フォロー不徹底によりビジネスチャンスを逸してしまうことにもなりかねない。
【0043】
また、イベント主催者が、魅力あるテーマを掲げ、誠意ある来場者応対や各種システムを構築して懸命にPRを推し進めても、来場者、特に来場者のうち大口且つ継続的商取引対象と成り得る顧客がイベント主催者側意図に関心興味を抱いてくれなければ、イベント開催意義は殆ど失われてしまう。
さらにまた、来場者の注目を集めることは、新たな顧客獲得による売上寄与、顧客の潜在欲求を模索し顧客へ利益を供与する提案、研究開発による新製品の市場投入等企業活動の展開に際し、重要な前提条件となる。
【0044】
そこで、カタログラック70を目立たせるような機能を持たせても良い。図16(a)で示すようにスタンド型として目立つようにしても良い。また、図示しないが発光部を配置してより際だたせるようにしても良い。
さらには図16(b)で示すように、カタログラック70をフィルム状に製作して貼付型とし、柱などに貼り付けても良い。さらには、有機ELシートにより発光させるようにしても良い。これらのような構成とすることで、カタログが存在することを来客に気づかせて、イベント出店の本来の目的である宣伝効果も高めることができる。
【0045】
このようなICカード利用システム300によれば、製品展示会等各種イベント会場において、まずは来場者、特に顧客に関心興味を抱かせ顧客の注目を引き寄せる機能を備えることにより、来場者、特に顧客に関心興味を抱かせ顧客の注目を引き寄せて、商談成立、売り込み先紹介、アフターサービス等ビジネスチャンスの拡大等イベント開催の効果を発揮できる。又、不特定の来場者が立ち寄る施設に設置して、来場者に対して有益な情報を提供し、効果的にサービス提供を行える。また、カタログを探したり、収集したりする手間が省け、より多くの展示ブースに回れるため、特定の展示ブースへ人が集中することも避けられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のICカード利用システムは、イベント会場・デパート等の人が集まる集客区域(以下、単に集客区域という)において適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100,200,300:ICカード利用システム
10:非接触ICカード
20:検出システム
21:マルチアンテナ部
22:アンテナ制御部
23:通信用コンピュータ
24:通信ネットワーク接続部
30:構内ネットワーク
40:制御用コンピュータ
50:出力装置
51:出力用コンピュータ
511:制御部
512:音声データテーブル
513:画面データテーブル
514:文字データテーブル
52:出力部
521:音声情報出力部
522:画像情報出力部
522a:発光表示シート
522b:第1画像表示領域
522c:第2画像表示領域
522d:表示紙
522e:シート状EL発光機
522f:表面側樹脂フィルム
522g:裏面側樹脂フィルム
522h:切り欠き
522i:遮光マスク
523:文字情報出力部
53:入力部
60:メニューボード
61:マルチアンテナ部
61a:アンテナ部
61b:シート状EL発光機
61c:半透明フィルム
61d:飲食物表示部
62:アンテナ制御部
63:通信用コンピュータ
64:通信ネットワーク接続部
70:カタログラック
71:マルチアンテナ部
71a:カタログ表示部
72:アンテナ制御部
73:通信用コンピュータ
74:通信ネットワーク接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード保持者を区別する識別データが記憶された非接触ICカードから識別データを受信するためのアンテナ部が、各カタログ表示部に対応して複数配置されたマルチアンテナシートを有するカタログラックと、
カタログラックのいずれかのカタログ表示部に非接触ICカードが近づけられた際、そのカタログ表示部に対応するアンテナ部を介して非接触ICカードに記憶された識別データを読み取り、アンテナ部に対応するアンテナ番号データおよび識別データを出力するアンテナ制御部と、
アンテナ制御部から出力されたアンテナ番号データおよび識別データに基づいて、アンテナ番号データに対応するカタログデータと、この識別データに対応する配信先データをデータベースから読み出し、これらカタログデータおよび配信先データを出力装置へ出力する制御用コンピュータと、
配信先データで特定された配信先へカタログデータを公衆回線介して配信するか、または、配信先データで特定された配信先へ郵送するようにカタログデータを印刷する出力装置と、
を備えることを特徴とするICカード利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載のICカード利用システムにおいて、
前記カタログラックは、
カタログが印刷された半透明フィルムと、
半透明フィルムの裏側に配置されるシート状EL発光器と、
シート状EL発光器の裏側に配置されるマルチアンテナ部と、
を備え、カタログラックが発光することを特徴とするICカード利用システム。
【請求項3】
請求項2に記載のICカード利用システムにおいて、
前記カタログラックは、
ボードに配置されるマルチアンテナ部の複数のアンテナ部の前面にそれぞれ印刷により形成される複数のカタログ表示部を配置してボードを立てたスタンド型、または、フィルム上に配置されるマルチアンテナ部の複数のアンテナ部の前面にそれぞれ印刷により形成される複数のカタログ表示部を配置してフィルムを湾曲させて柱に貼り付けて掲示する貼付け型とすることを特徴とするICカード利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−238243(P2009−238243A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160515(P2009−160515)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【分割の表示】特願2004−116905(P2004−116905)の分割
【原出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】