説明

ICタグとその製造方法

【課題】屈曲負荷を原因としてICチップが壊れたりアンテナが断線したりする可能性を低減できるようにしたICタグとその製造方法を提供する。
【解決手段】インレット基材11、インレット基材11上に配置されたアンテナ13、インレット基材11上に配置されてアンテナ13に接続されたICチップ15、を有するインレット10と、インレット10を内部に収容する軟質の外装部材20と、インレット10の表面10a側に配置された第1の補強板30と、インレット10の裏面10b側に配置された第2の補強板40と、を備え、第1の補強板30と第2の補強板40は平面視で部分的に重なると共に、当該部分的に重なる領域(重複補強領域)A1にICチップ15が位置する。重複補強領域A1の剛性は高く、第1の補強板30又は第2の補強板40のどちらか一方のみが平面視で配置されている領域(片側補強領域)A2の剛性は、重複補強領域A1よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスボンベやフレキシブルコンテナなど曲面や凹凸のある物品や、ユニフォーム等の衣類、リネンなど柔軟性のある物品等に取り付けて使用することが可能なICタグとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ICタグは、導電体から成る線状のアンテナと、このアンテナに接続されたICチップとを主要な構成部品とするものである。ICチップにはさまざまな情報を記憶させることができ、これらの情報はアンテナを通して外部のリーダーライターとの間で授受を行うことができる。一般には、これらアンテナとICチップとを有するインレット、及び、インレットを内部の収容する外装部材とにより、ICタグが構成されている。
【0003】
このようなICタグは、これを種々の製品や商品に添付して、この製品又は商品に関連する情報を記憶するために使用される。ICチップに記憶される情報には、例えば、製品や商品の材料、加工方法、品質、生産地、生産者や販売者、製品や商品の取り扱い方法、或いはこれらに関連する注意事項などがある。そして、これら情報は、製品や商品の流通過程において、或いは、販売後に、必要に応じてICチップに記憶させ、また、読み出される。
【0004】
ICタグを添付する製品や商品には種々のものがある。例えば、特許文献1、2では衣服を例示している。衣服に添付されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグには、洗濯やクリーニングによって圧力、たたき、揉みなどの外力が加えられる。このため、RFIDタグは、これら外力に耐えて機械的損傷を防止できなくてはならない。
【0005】
また、RFIDタグを例えば柔軟な容器に添付した場合には、この容器の製造工程や商品の充填密封工程で高温の洗浄が行われることがあるから、RFIDタグは、高温下での外力に耐えて機械的損傷を防止できなくてはならない。
ここで、特許文献1には、回路チップの少なくとも周囲とアンテナ配線の一部とをチップ補強体で覆うと共に、このチップ補強体を含めて回路チップやアンテナ配線を(チップ補強体よりも柔軟性に勝る)被覆体で覆う技術が開示されている。また、特許文献2には、回路チップの少なくとも周囲とアンテナ配線の一部とを覆うチップ補強体について、その形状を平面視で凹凸形状とすると共に、その凹部をアンテナ配線と交わらせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−277256号公報
【特許文献2】特開2008−040950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された技術では、RFIDに屈曲負荷が加えられた場合に、チップ補強体の端部が支点となって、RFIDが折れ曲がる可能性がある。このとき、チップ補強体の端部がアンテナに強く押し当てられるため、アンテナが傷ついて断線してしまう可能性があった。また、特許文献2に開示された技術では、アンテナの断線防止に効果がある一方で、特許文献1のような被覆体が設けられていないため、回路チップへの負荷の低減が十分でない可能性があった。
【0008】
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、RFIDタグ全体の屈曲性を確保しつつ、屈曲負荷を原因としてICチップが壊れたりアンテナが断線したりする可能性を低減できるようにしたICタグとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るICタグは、基材、前記基材上に配置されたアンテナ、前記基材上に配置されて前記アンテナに接続されたICチップ、を有するインレットと、前記インレットを内部に収容する軟質の外装部材と、前記インレットの表面側に配置された第1の補強部材と、前記インレットの裏面側に配置された第2の補強部材と、を備え、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材は、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材とが平面視で重なる重複補強領域と、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材のうちの一方のみが平面視で存在する片側補強領域と、を形成するように配置され、前記ICチップは、平面視で前記重複補強領域に位置することを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、ICタグのうちの、第1の補強部材と第2の補強部材とが平面視で重なる領域(即ち、重複補強領域)の剛性は高く、第1の補強部材又は第2の補強部材のどちらか一方のみが平面視で配置されている領域(即ち、片側補強領域)の剛性は、重複補強領域よりも低い。従って、RFIDタグに屈曲負荷(即ち、曲げようとする力)が加えられた場合に、重複補強領域は曲がり難く、ICチップには負荷がかかり難い。これにより、屈曲負荷を原因として、ICチップが壊れてしまう可能性を低減することができる。
【0011】
また、上記の構成であれば、重複補強領域よりも第2領域の方が撓み易く、片側補強領域が全体的に緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができる。このため、第1の補強部材や第2の補強部材がアンテナに強く押し当てられることを防ぐことができ、アンテナの第1の補強部材や第2の補強部材と近接する部位に、屈曲負荷が集中することを防ぐことができる。これにより、屈曲負荷を原因として、アンテナが傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。
【0012】
なお、本発明の「ICタグ」としては、例えば、後述するRFIDタグ100、200、300の何れか一が該当する。「基材」としては、例えば、後述するインレット基材10が該当する。「第1の補強部材」としては、例えば、後述する第1の補強板30が該当する。「第2の補強部材」としては、例えば、後述する第2の補強板40が該当する。
また、上記のICタグにおいて、前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材はそれぞれ、前記外装部材よりもヤング率の高い材料で構成されていることを特徴としてもよい。このような構成であれば、外装部材よりも第1、第2の補強部材の方が曲がり難い材料で構成されるので、重複補強領域の剛性を高めつつ、第1、第2の補強部材の厚みをそれぞれ薄くすることができる。
【0013】
また、上記のICタグにおいて、前記外装部材の平面視による形状は長方形であり、前記アンテナは前記長方形の長手方向に延設されており、少なくとも前記長手方向において、前記重複補強領域の両側に前記片側補強領域が形成されていることを特徴としてもよい。ここで、「長方形」には、角部が直角である長方形の他に、角部に丸みを持つ長方形(即ち、角丸長方形)が含まれる。また、「少なくとも長手方向」とは、長手方向のみの場合や、長手方向と、長手方向と平面視で直交する短手方向の両方を成分に含む方向(即ち、斜め方向)の場合など、何れの場合も含むことを意味する。
【0014】
このような構成であれば、長方形の長手方向(即ち、アンテナの延設方向)に屈曲付加が加えられた場合に、この長辺方向において片側補強領域が緩やかなカーブを描いて湾曲することができる。このため、長辺方向に延設されたアンテナの一部位に屈曲負荷が集中することを防ぐことができる。
また、上記のICタグにおいて、前記第1の補強部材は、前記長手方向と平面視で交差するように配置されており、前記第2の補強部材は、前記長手方向と平面視で交差し、且つ、前記第1の補強部材とも交差するように配置されていることを特徴としてもよい。このような構成であれば、長方形の長手方向(即ち、アンテナの延設方向)に屈曲付加が加えられた場合に、この長手方向において片側補強領域が緩やかなカーブを描いて湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができる。また、第1の補強部材の長手方向における両端部や、第2の補強部材の長手方向における両端部を、アンテナと平面視で重ならないようにすることができる。従って、長手方向に屈曲負荷が加えられた場合でも、これらの両端部がアンテナに押し当てられることはない。これにより、アンテナが断線してしまう可能性をさらに低減することができる。
【0015】
また、上記のICタグにおいて、前記第1の補強部材は、前記長手方向の一方の側から他方の側に向かうにつれて、前記長方形の短手方向の一端の側から他端の側へ向かうように配置され、前記第2の補強部材は、前記長手方向の前記一方の側から前記他方の側に向かうにつれて、前記短手方向の前記他端の側から前記一端の側へ向かうように配置されていることを特徴としてもよい。このような構成であれば、長方形の長手方向に延設されたアンテナの両側に片側補強領域をそれぞれ配置することができる。アンテナの両側で片側補強領域がそれぞれ湾曲することにより、屈曲負荷を緩和することができる。
【0016】
また、本発明の別の態様に係るICタグの製造方法は、基材、前記基材上に配置されたアンテナ、前記基材上に配置されて前記アンテナに接続されたICチップ、を有するインレットを用意する工程と、前記インレットを軟質の外装部材の内部に収容する工程と、前記インレットの表面側に第1の補強部材を配置する工程と、前記インレットの裏面側に第2の補強部材を配置する工程と、を含み、前記第1の補強部材を配置する工程、及び、前記第2の補強部材を配置する工程では、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材とが平面視で重なる重複補強領域と、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材のうちの一方のみが平面視で存在する片側補強領域と、が形成されるように、且つ、前記ICチップが平面視で前記重複補強領域に位置するように、前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材の配置位置を調整することを特徴とする。このような製造方法であれば、屈曲負荷を原因としてICチップが壊れたりアンテナが断線したりする可能性を低減できるようにしたICタグを製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、RFIDタグ全体の屈曲性を確保する一方、屈曲負荷を原因としてICチップが壊れたりアンテナが断線したりする可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るRFIDタグ100の構成例を示す図。
【図2】RFIDタグ100の、外装部材20を成型する前の状態を示す図。
【図3】RFIDタグ100の製造方法を示す図。
【図4】第2実施形態に係るRFIDタグ200の構成例を示す図。
【図5】第3実施形態に係るRFIDタグ300の構成例を示す図。
【図6】第3実施形態に係る第1、第2の補強原板130、140を示す図。
【図7】第4実施形態に係る第1、第2の補強原板230、240を示す図。
【図8】第5実施形態に係るRFIDタグ400の構成例を示す図。
【図9】本発明の効果の検証に用いたRFIDタグ300と、比較例となるRFIDタグ500の寸法等を示す図。
【図10】本発明の効果の検証方法(曲げ運動の1サイクル)を示す図。
【図11】本発明の効果の検証結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るICタグの一例として、RFIDタグとその製造方法を図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合もある。また、図1(a)、図3(b)及び(c)、図4(a)、図5(a)、図6〜図8(b)の各図では、図面の複雑化を回避するために、外装部材の内側に収容されているインレットを実線で示している。
(1)第1実施形態
図1(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係るRFIDタグ100の構成例を示す平面図と、この平面図をX1−X´1線で切断した断面図である。また、図2は、RFIDタグ100の、外装部材20を成型する前の状態を示す断面図である。図1(a)及び(b)に示すように、このRFIDタグ100は、インレット10と、インレット10を内部に収容する軟質の外装部材20と、外装部材20の表面20a側に取り付けられた第1の補強板30と、外装部材20の裏面20b側に取り付けられた第2の補強板40と、を備える。
【0020】
インレット10は、インレット基材11と、インレット基材11上に形成されたアンテナ13と、インレット基材11上に取り付けられてアンテナ13に接続されたICチップ15と、を有する。
インレット基材11は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルムで構成されており、その厚さは50μm程度である。インレット基材11の厚さは、外装部材20と比べて十分に薄い。また、インレット基材11の平面視による形状(以下、平面形状ともいう。)は、例えば角丸長方形である。インレット10は、例えば、このようなインレット基材11上に導電体から成る線状のアンテナ13が形成され、その後、異方性導電性接着剤によりアンテナ13上にICチップ15が接着されることによって形成されている。
【0021】
なお、アンテナ13の形成は、例えば、その素材として金属箔を使用し、この金属箔をインレット基材11に接着する。次に、例えばフォトリソグラフィ技術により、この金属箔をエッチングして線状に加工する。これにより、線状のアンテナ13を形成することができる。また、アンテナの形成はこれ以外の方法でもよく、例えば、インレット基材11の表面に導電性インキをアンテナ形状に印刷することにより、線状のアンテナ13を形成してもよい。なお、線状のアンテナ13は、例えば、ダイポールアンテナ、ループアンテナの何れであってもよい。
【0022】
また、ICチップ15の形状は、例えば、平面視で矩形であり、その大きさは1辺の長さが0.5mm〜1.0mm、厚さは100〜500μm程度である。
外装部材20は、インレット10を外部環境から保護するものであり、例えば、外力、汚れなどからインレット10を保護するものである。この外装部材20は、軟質素材からなる。軟質素材としては、例えば、硬度80〜90程度(JIS K6253規定)のシリコーンゴム、EPDM、ニトリルゴム、フッ素ゴム等の各種合成ゴム又は熱可塑エラストマー等が挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレンープロピレンージエンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
【0023】
このような軟質素材からなる外装部材20は、外装上部材21と外装下部材23とを貼り合わせ、一体化することにより成型される。図2に示すように、成型前の外装上部材21の厚さをt1とし、成型前の外装下部材23の厚さをt2としたとき、厚さt1、t2はそれぞれ0.5mm〜1.0mm程度である。また、図1(b)に示すように、インレット10を挟んで外装上部材21と外装下部材23とを接合した後(即ち、成型後)の外装部材20の厚さをTとしたとき、厚さTは1.0〜2.0mm程度である。図1(a)に示すように、成型後の外装部材20の平面形状は例えば角丸長方形であり、その大きさ(面積)はインレット10の平面形状よりも大きい。これにより、インレット10を外部に露出することなく、外装部材20の内部に完全に収容することができる。
【0024】
第1の補強板30と第2の補強板40はそれぞれ、RFIDタグ100に屈曲負荷が加えられた場合に、ICチップ15に過大な負荷がかかることを防ぐと共に、過大な負荷がアンテナ13の一部位に集中しないようにする役割を果たすものである。ここで、過大な負荷とは、例えば、ICチップ15やアンテナ13を破壊するような大きさの負荷のことである。
【0025】
このような役割を果たすため、第1の補強板30及び第2の補強板40としては、ICチップ15と異なり、屈曲負荷が加えられた際に撓むことができて、しかも、外装部材20と比較して、曲げにくい(即ち、ヤング率の高い)板状の樹脂材料が適している。外装部材20と比較して、ヤング率の高い板状の樹脂材料を用いることにより、第1の補強板30及び第2の補強板40のそれぞれの厚みを薄くすることができる。
【0026】
例えば、第1の補強板30及び第2の補強板40としては、ガラス繊維樹脂の他、PETシート、ポリエチレンナフタレート(PEN)シート、ポリカーボネート(PC)シート、ポリイミドシートを用いることができる。これらの中でも、価額、耐久性の面からPETシートが好適である。また、第1の補強板30及び第2の補強板40の厚みは、例えば0.1mm程度が望ましい。
【0027】
また、外装部材20と同じ材質であっても、外装部材20と比較して硬度が高いもの、剛性が高いものであれば、補強板として好適に使用することができる。
第1の補強板30と外装部材20との接着、及び、第2の補強板40と外装部材20との接着は、例えば、接着剤(図示せず)によりそれぞれ行われている。接着剤としては、第1の補強板30や第2の補強板40、外装部材20の各々の材質に応じて、適当な種類のものを用いることができる。例えば、外装部材20の材質が合成ゴムであれば、接着剤として、加硫接着剤を用いることができる。
【0028】
ところで、このRFIDタグ100では、第1の補強板30と第2の補強板40の平面形状は例えば矩形(角丸の矩形でもよい。)である。第1の補強板30と第2の補強板40は同一の平面形状で、同一の大きさである。その大きさはICチップ15よりも大きい。そして、第1の補強板30と第2の補強板40は平面視で部分的に重なると共に、当該部分的に重なる領域(即ち、重複補強領域)A1にICチップ15が配置されている。つまり、ICチップ15の表面側には第1の補強板30が配置され、ICチップ15の裏面側には第2の補強板40が配置されており、第1の補強板30と第2の補強板40とによってICチップ15が挟まれている。
【0029】
このような構造により、重複補強領域A1は、第1の補強板30と第2の補強板40とによって剛性が高められており、RFIDタグ100に屈曲負荷が加えられた場合でも、重複補強領域A1は曲がり難いため、ICチップ15に過大な負荷がかかることを防ぐことができる。これにより、屈曲負荷を原因として、ICチップ15が壊れてしまう可能性を低減することができる。
【0030】
また、第1の補強板30又は第2の補強板40のどちらか一方のみが平面視で配置されている領域(即ち、片側補強領域A2)は、重複補強領域A1よりも剛性が低くて撓み易い。このため、RFIDタグ100に屈曲負荷が加えられた場合に、片側補強領域は全体的に緩やかに湾曲して、屈曲負荷を緩和することができる。これにより、過大な負荷がアンテナ13の一部位に集中しないようにすることができる。
【0031】
この点について、より具体的に説明する。例えば、図1(a)に示したように、このRFIDタグ100では、第1の補強板30と第2の補強板40は、平面視で外装部材20の長手方向(X方向)に位置ずれした状態で配置されており、長手方向において、重複補強領域A1の両側が片側補強領域A2となっている。ここで、長手方向は、アンテナ13の延設方向でもある。
【0032】
また、長手方向において、重複補強領域A1及び片側補強領域A2のさらに両側が、第1の補強板30と第2の補強板40の何れも配置されていない領域(即ち、非補強領域)A3となっている。非補強領域A3には、補強板が設けられていないので、片側補強領域A2よりも剛性が低く、撓み易い。つまり、RFIDタグ100の剛性の大きさは、重複補強領域A1>片側補強領域A2>非補強領域A3となっている。
【0033】
このため、図1(b)において、RFIDタグ100を断面視で凸状又は凹状に曲げるような屈曲負荷が当該RFIDタグ100に加えられた場合に、重複補強領域A1と比較して、片側補強領域A2が緩やかに湾曲して屈曲負荷を緩和することができる。また、非補強領域A3は、片側補強領域A2よりもさらに湾曲することができる。つまり、RFIDタグ100の長手方向に屈曲負荷が加えられた場合に、このRFIDタグ100の片側補強領域A2と非補強領域A3は、この長辺方向において、曲率半径の大きな緩やかなカーブを描いて湾曲することができる。従って、例えば、片側補強領域A2が存在しない場合(即ち、重複補強領域と非補強領域とが直に隣り合っている場合であり、後述する比較例に係るRFIDタグ500)と比べて、RFIDタグ100の一部位に屈曲負荷が集中することを防ぐことができる。
【0034】
例えば、長手方向の屈曲負荷が、第1の補強板30の端部31とアンテナ13との間に集中することや、第2の補強板40の端部41とアンテナ13との間に集中することを防ぐことができ、屈曲負荷の集中によりアンテナ13が鋭角に折れ曲がることを防ぐことができる。このため、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。
【0035】
なお、上記のRFIDタグ100は、例えばインレット10、外装部材20(外装上部材21、外装下部材23)、補強板(第1の補強板30及び第2の補強板40)の3種類の部材で構成されているが、その製造はプレス機による多面付けと、打抜きプレスによる個片化で行うことができる。
具体的には、図3(a)に示すように、軟質素材からなる外装下部材23を用意し、この上にインレット10を一定の間隔で複数配置する。次に、図3(b)に示すように、インレット10を挟んで外装下部材23の上に、軟質素材からなる外装上部材21を配置する。そして、プレス機にて、予め設定された温度及び圧力で、外装下部材23と外装上部材21とを押圧する。これにより、外装下部材23と外装上部材21とを一体化させ、外装部材20を成型する。
【0036】
次に、図3(c)に示すように、外装部材20の表面20a側に第1の補強板30を取り付けると共に、外装部材20の裏面側に第2の補強板を取り付ける。この取り付けは、上述したように接着剤を用いて行う。その後、打抜きプレスにて、外装部材20を、図3(c)の破線で示す角丸長方形の形に打ち抜いて、個片化する。これにより、図1(a)及び(b)に示したRFIDタグ100が完成する。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、RFIDタグ100に屈曲負荷が加えられた場合でも、重複補強領域A1は曲がり難いため、ICチップ15には負荷がかかり難い。これにより、屈曲負荷を原因として、ICチップ15が壊れてしまう可能性を低減することができる。また、重複補強領域A1よりも第2領域の方が撓み易く、片側補強領域A2が緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができるので、RFIDタグ100の一部位に屈曲負荷が集中することを防ぐことができる。これにより、RFIDタグ全体の屈曲性を確保する一方、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。
【0038】
(2)第2実施形態
上記の第1実施形態では、第1の補強板30と第2の補強板40とが、平面視で外装部材20の長手方向(X方向)に位置ずれした状態で配置されている場合を例示した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。第1の補強板30と第2の補強板40は、平面視で外装部材20の短手方向(Y方向)に位置ずれした状態で配置されていてもよい。或いは、第1の補強板30と第2の補強板40は、平面視で、外装部材20の長手方向と短手方向の両方を成分に含む方向(即ち、斜め方向)にそれぞれ位置ずれした状態で配置されていてもよい。
【0039】
図4(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ200の構成例を示す平面図と、この平面図をX4−X´4線で切断した断面図である。図4(a)に示すように、このRFIDタグ200において第1の補強板30と第2の補強板40は、平面視で、外装部材20の斜め方向にそれぞれ位置ずれした状態で配置されている。
第1実施形態で説明したRFIDタグ100と同様、このRFIDタグ200においても、少なくともその長手方向において、重複補強領域A1の両側が片側補強領域A2となっている。また、剛性の大きさは、重複補強領域A1>片側補強領域A2>非補強領域A3であり、第1の補強板30と第2の補強板40とによって剛性が高められている重複補強領域A1にICチップ15が配置されている。このため屈曲負荷を原因として、ICチップ15が壊れてしまう可能性を低減することができる。
【0040】
また、第1実施形態で説明したRFIDタグ100と同様、このRFIDタグ200においても、片側補強領域A2が緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができる。即ち、図4(b)において、RFIDタグ200を断面視で凸状又は凹状に曲げるような屈曲負荷が当該RFIDタグ200に加えられた場合、重複補強領域A1と比較して、片側補強領域A2は全体的に緩やかに湾曲して屈曲負荷を緩和することができ、RFIDタグ200は曲率半径の大きな、緩やかな曲げ形状となる。このため、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。
さらに、この第2実施形態では、第1実施形態と比べて、短辺に平行な方向(短辺方向)に対しても片側補強領域が存在するので、短辺方向の成分を含む屈曲に対してもより屈曲性を確保しながら断線を低減できるという効果も奏する。
【0041】
(3)第3実施形態
上記の第1、第2実施形態では、第1の補強板30と第2の補強板40の平面形状がそれぞれ矩形であり、これらが外装部材20の長手方向又は斜め方向において、位置ずれした状態で配置されている場合を示した。しかしながら、本発明において、第1の補強板と第2の補強板の平面形状や、その配置はこれに限定されるものではない。
【0042】
図5(a)及び(b)は、本発明の第3実施形態に係るRFIDタグ300の構成例を示す平面図と、この平面図をX5−X´5線で切断した断面図である。
図5(a)に示すように、このRFIDタグ300において、第1の補強板30と第2の補強板40の平面形状は、例えば平行四辺形である。第1の補強板30は、平面視で、外装部材20の長手方向(又は、短手方向)と斜めに交差するように配置されている。また、第2の補強板40も、平面視で、外装部材20の長手方向(又は、短手方向)と斜めに交差し、且つ、第1の補強板30とも斜めに交差するように配置されている。
【0043】
例えば、第1の補強板30は、長手方向の一方の側(図5(a)では、左側)から他方の側(図5(a)では、右側)に向かうにつれて、短手方向の一端の側(図5(a)では、上側)から他端の側(図5(a)では、下側)へ向かうように配置されている。また、第2の補強板40は、長手方向の一方の側から他方の側に向かうにつれて、短手方向の他端の側から一端の側へ向かうように配置されている。
【0044】
さらに、第1の補強板30及び第2の補強板40は、平面視で、長手方向(又は、短手方向)に平行で且つICチップ15の中心を通る線を軸に、左右対称となるように配置されている。個々のRFIDタグ300において、重複補強領域A1と片側補強領域A2の面積比は、例えば、1:2〜4程度である。
第1、第2実施形態で説明したRFIDタグ100、200と同様、このRFIDタグ300においても、少なくともその長手方向において、重複補強領域A1の両側が片側補強領域A2となっている。また、剛性の大きさは、重複補強領域A1>片側補強領域A2>非補強領域A3であり、ICチップ15が配置されている重複補強領域A1は、第1の補強板30と第2の補強板40とによって剛性が高められている。従って、屈曲負荷を原因として、ICチップ15が壊れてしまう可能性を低減することができる。
【0045】
また、第1、第2実施形態で説明したRFIDタグ100、200と同様、このRFIDタグ300においても、長手方向に屈曲付加が加えられた場合は、片側補強領域A2が緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができる。即ち、図5(b)において、RFIDタグ300を断面視で凸状又は凹状に曲げるような屈曲負荷が当該RFIDタグ300に加えられた場合、重複補強領域A1と比較して、片側補強領域A2は全体的に緩やかに湾曲し、RFIDタグ300は曲率半径の大きな、緩やかな曲げ形状となる。アンテナ13の両側で片側補強領域A2がそれぞれ湾曲することにより、屈曲負荷を緩和することができる。
【0046】
さらに、図5(a)及び(b)に示すように、第1の補強板30の長手方向における両端部31や、第2の補強板40の長手方向における両端部41を、アンテナ13と平面視で重ならないようにすることができる。長手方向に屈曲付加が加えられた場合は、これら両端部31、41に最も負荷が集まり易いが、これら両端部31、41はアンテナ13から離れた位置にあるので、両端部31、40がアンテナ13に押し当てられることはない。従って、アンテナ13が断線してしまう可能性をさらに低減することができる。
【0047】
なお、第1、第2実施形態で説明したRFIDタグ100、200と同様、このRFIDタグ300においても、その製造はプレス機による多面付けと、打抜きプレスによる個片化で行うことができる。
例えば、図3(a)に示したように、軟質素材からなる外装下部材23を用意し、この上にインレット10を一定の間隔で複数配置する。次に、図3(b)に示したように、インレット10を挟んで外装下部材23の上に、軟質素材からなる外装上部材21を配置する。そして、プレス機にて、予め設定された温度及び圧力で、外装下部材23と外装上部材21とを押圧する。これにより、外装下部材23と外装上部材21とを一体化させ、外装部材20を成型する。
【0048】
その後、外装部材20の表面20aに第1の補強板30を取り付けると共に、外装部材20の裏面側に第2の補強板40を取り付ける。ここで、図6に示すように、第1の補強板30及び第2の補強板40として、平面形状がつづらおり状(即ち、ジグザグ状)の第1の補強原板130と、第2の補強原板140を用いることができる。これら第1の補強原板130及び第2の補強原板140の取り付けは、例えば接着剤を用いて行う。その後、打抜きプレスにて、第1の補強原板130と第2の補強原板140及び外装部材20を、破線で示す角丸長方形の形に打ち抜いて、個片化する。これにより、第1の補強原板130から第1の補強板30が型抜きされ、第2の補強原板140から第2の補強板40が型抜きされて、図5(a)及び(b)に示したRFIDタグ300が完成する。
【0049】
(4)第4実施形態
上記の第3実施形態では、平面形状がつづらおり状(即ち、ジグザグ状)の補強原板を用いてRFIDタグ300を製造する方法を示した。しかしながら、本発明において、図5(a)及び(b)に示したRFIDタグ300の製造方法はこれに限られることはない。例えば、一方向に延びる直線状(即ち、テープ状)の補強原板を用いて、RFIDタグ300を製造することもできる。
【0050】
例えば、図7に示すように、軟質素材からなる外装下部材23の上に複数のインレット10を一定の間隔で、且つ、インレット10の長手方向が、X方向又はY方向に対して斜め方向となるように配置する。次に、インレット10を挟んで外装下部材23の上に、軟質素材からなる外装上部材21(図示せず)を配置する。そして、プレス機にて、予め設定された温度及び圧力で、外装下部材23と外装上部材21とを押圧する。これにより、外装下部材23と外装上部材21とを一体化させ、外装部材20を成型する。
【0051】
次に、外装部材20の表面20aにテープ状の第1の補強原板230を取り付けると共に、外装部材20の裏面側にテープ状の第2の補強原板240を取り付ける。これらの取り付けは、例えば接着剤を用いて行う。その後、打抜きプレスにて、第1の補強原板230と第2の補強原板240及び外装部材20を、破線で示す角丸長方形の形に打ち抜いて、
個片化する。これにより、第1の補強原板230から第1の補強板30が型抜きされ、第2の補強原板240から第2の補強板40が型抜きされて、図5(a)及び(b)に示したRFIDタグ300が完成する。
この第4実施形態に係る製造方法によれば、補強原板はつづらおり状ではなく、テープ状であるため、第3実施形態で説明した製造方法と比較して、外装部材20に対する補強原板の取り付けが容易である。
【0052】
(5)第5実施形態
上記の第1、第2実施形態では、第1の補強板30と第2の補強板40の平面形状と大きさが、互いに同一である場合を例示した。しかしながら、本発明において、第1の補強板30と第2の補強板40の平面形状とその大きさは、互いに異なっていてもよい。
【0053】
図8(a)及び(b)は、本発明の第5実施形態に係るRFIDタグ400の構成例を示す平面図と、この平面図をX8−X´8線で切断した断面図である。図8(a)に示すように、このRFIDタグ400において、第1の補強板30の平面形状は正方形であり、第2の補強板40の平面形状は長方形である。この例では、この第1の補強板30の正方形の一辺は、第2の補強板40の長方形の短辺と同じ長さとなっている。
【0054】
第1実施形態で説明したRFIDタグ100と同様、このRFIDタグ400においても、その長手方向において、重複補強領域A1の両側が片側補強領域A2となっている。また、剛性の大きさは、重複補強領域A1>片側補強領域A2>非補強領域A3であり、第1の補強板30と第2の補強板40とによって剛性が高められている重複補強領域A1にICチップ15が配置されている。このため屈曲負荷を原因として、ICチップ15が壊れてしまう可能性を低減することができる。
【0055】
また、第1実施形態で説明したRFIDタグ100と同様、このRFIDタグ400においても、片側補強領域A2が緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができる。即ち、図8(b)において、RFIDタグ400を断面視で凸状又は凹状に曲げるような屈曲負荷が当該RFIDタグ400に加えられた場合、重複補強領域A1と比較して、片側補強領域A2は全体的に緩やかに湾曲して屈曲負荷を緩和することができ、RFIDタグ400は曲率半径の大きな、緩やかな曲げ形状となる。このため、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。
【0056】
(6)その他の実施形態
なお、上記の第1〜第5実施形態では、第1の補強板30と第2の補強板40を外装部材20の外側(即ち、RFIDタグ外表面)に取り付ける場合について説明した。しかしながら、本発明において、第1、第2の補強板の取付位置は、外装部材20の外表面に限られることはなく、外装部材20の内表面であってもよい。
【0057】
このような構成であっても、上記の第1〜第5実施形態と同様、第1の補強板30はインレットの表面10a側に位置し、第2の補強板40はインレット10の裏面10b側に位置する。そして、この場合のRFIDタグの剛性の大きさは、重複補強領域A1>片側補強領域A2>非補強領域A3であり、ICチップ15が配置されている重複補強領域A1の剛性は、第1の補強板30と第2の補強板40とによって高められている。このため、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性を低減することができる。また、片側補強領域A2が緩やかに湾曲することにより屈曲負荷を緩和することができるため、屈曲負荷を原因として、アンテナ13が傷ついて断線してしまう可能性も低減することができる。
【0058】
また、本発明では、インレット10の表面10a側と、裏面10b側を合成樹脂からなる保護シートでそれぞれ覆い、この保護シートで覆われたインレット10を外装部材20の内部に収容するようにしてもよい。保護シートとインレット10の表面10a及び裏面10bとの間は接着してもよく、その場合には、例えば接着剤を用いることができる。このような構成であっても、上記の各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(7)効果の検証
図9(a)及び(b)は、本発明の効果の検証に用いたRFIDタグ300と、比較例となるRFIDタグ500の寸法等を示す平面図である。
図9(a)に示すように、RFIDタグ300の平面形状は角丸長方形であり、その寸法は、長手方向(X方向)の長さが60mm、短手方向(Y方向)の長さが20mm、角部の円弧がR8(半径8mm)である。第1の補強板30と第2の補強板40の横方向(X方向)の長さは10mmである。また、外装部材20の厚みは1.2mmである。RFIDタグ300の各構成は、第3実施形態で説明した通りである。
【0060】
一方、図9(b)に示すように、比較例となるRFIDタグ500の平面形状は角丸長方形であり、その寸法は、長手方向(X方向)の長さが60mm、短手方向(Y方向)の長さが20mm、角部の円弧がR8(半径8mm)である。第1の補強板30と第2の補強板40の横方向(X方向)の長さは10mmである。また、外装部材20の厚みは1.2mmである。このRFIDタグ500では、第1の補強板と第2の補強板とがインレットを介して正対しており、平面視でこれらの配置は位置ずれしていない。つまり、重複補強領域A1´と非補強領域A3´のみが存在し、片側補強領域は存在しない。
【0061】
図10(a)〜(d)は、本発明の効果の検証方法を示す概念図である。図10(a)〜(d)に示すように、本発明者が行った検証では、ロボットアーム90の先端にRFIDタグ300を取り付け、RFIDタグ300のうちのICチップが実装された部分(IC実装部)の近辺を支点として、表裏交互に180°ずつ曲げ荷重をかけ、繰り返し曲げ運動を実施した。そして、一定回数毎にRFIDタグ300の通信検査を行い、その耐久性を確認した。確認方法としては出力1Wのリーダーライターを用いて通信距離を測定した。なお、図示しないが、比較例として、RFIDタグ500についても上記と同様の操作を行った。
【0062】
図11は、本発明の効果の検証結果を示す図である。図11において、横軸は曲げ運動の屈曲回数[回]を示し、縦軸は通信距離[cm]を示す。ここでは、図10(b)及び(d)に示した曲げ運動を、それぞれ1回の屈曲回数として数えた。つまり、図10(a)〜(d)の順に1サイクルの曲げ運動を行ったときの屈曲回数は2回となる。
図11に示すように、RFIDタグ300、500のそれぞれの耐屈曲性を比較すると、RFIDタグ300では、屈曲回数が1200回に達しても通信距離の低下は見られなかった。これに対して、RFIDタグ500では、屈曲回数が500回を超えると、通信距離が顕著に低下した。通信距離の低下はアンテナの断線によるものと考えられる。
【0063】
RFIDタグ300では、第1の補強板30と第2の補強板40とが正対していないことで、RFIDタグ300が折り曲げられた際に、RFIDタグ300は緩やかな曲げ形状になり、アンテナ13への負担が低減されて、断線が生じていないと考えられる。この検証により、RFIDタグ300の屈曲耐性が優れていることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のICタグは、任意の製品や商品に取り付けて使用することができるが、屈曲耐性が優れているため、屈曲負荷がかかることが予想される用途に適している。例えば、ガスボンベやフレキシブルコンテナなど曲面や凹凸のある物品や、リネン、ユニフォームなどの衣類、足拭きマット等に取り付けて使用する用途に好適である。
【符号の説明】
【0065】
10 インレット
10a (インレットの)表面
10b (インレットの)裏面
11 インレット基材
13 アンテナ
15 ICチップ
20 外装部材
20a (外装部材の)表面
20b (外装部材)裏面
21 外装上部材
23 外装下部材
30 第1の補強板
31 (第1の補強板の)端部
40 第2の補強板
41 (第2の補強板の)端部
90 ロボットアーム
100、200、300 RFIDタグ
130、230 第1の補強原板
140、240 第2の補強原板
A1 重複補強領域
A2 片側補強領域
A3 非補強領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、前記基材上に配置されたアンテナ、前記基材上に配置されて前記アンテナに接続されたICチップ、を有するインレットと、
前記インレットを内部に収容する軟質の外装部材と、
前記インレットの表面側に配置された第1の補強部材と、
前記インレットの裏面側に配置された第2の補強部材と、を備え、
前記第1の補強部材と前記第2の補強部材は、
前記第1の補強部材と前記第2の補強部材とが平面視で重なる重複補強領域と、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材のうちの一方のみが平面視で存在する片側補強領域と、を形成するように配置され、
前記ICチップは、平面視で前記重複補強領域に位置することを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材はそれぞれ、前記外装部材よりもヤング率の高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記外装部材の平面視による形状は長方形であり、
前記アンテナは前記長方形の長手方向に延設されており、
少なくとも前記長手方向において、前記重複補強領域の両側に前記片側補強領域が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記第1の補強部材は、前記長手方向と平面視で交差するように配置されており、
前記第2の補強部材は、前記長手方向と平面視で交差し、且つ、前記第1の補強部材とも交差するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のICタグ。
【請求項5】
前記第1の補強部材は、
前記長手方向の一方の側から他方の側に向かうにつれて、前記長方形の短手方向の一端の側から他端の側へ向かうように配置され、
前記第2の補強部材は、
前記長手方向の前記一方の側から前記他方の側に向かうにつれて、前記短手方向の前記他端の側から前記一端の側へ向かうように配置されていることを特徴とする請求項4に記載のICタグ。
【請求項6】
基材、前記基材上に配置されたアンテナ、前記基材上に配置されて前記アンテナに接続されたICチップ、を有するインレットを用意する工程と、
前記インレットを軟質の外装部材の内部に収容する工程と、
前記インレットの表面側に第1の補強部材を配置する工程と、
前記インレットの裏面側に第2の補強部材を配置する工程と、を含み、
前記第1の補強部材を配置する工程、及び、前記第2の補強部材を配置する工程では、
前記第1の補強部材と前記第2の補強部材とが平面視で重なる重複補強領域と、前記第1の補強部材と前記第2の補強部材のうちの一方のみが平面視で存在する片側補強領域と、が形成されるように、且つ、前記ICチップが平面視で前記重複補強領域に位置するように、前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材の配置位置を調整することを特徴とするICタグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−30069(P2013−30069A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166930(P2011−166930)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】