説明

ICタグ発行装置

【課題】 1つ以上のICタグ一度に搬送して、ICタグに所定の印字とデータ
の書き込みを可能にする。
【解決手段】 本発明になるICタグ発行装置は、全体を制御する制御部と、少
なくとの1つのICタグを収納したトレイの供給を受けたときは前記制御部から
の制御を受けて、前記ICタグの表面の印字を消去すること;このICタグの表
面に新たな情報を印字すること;このICタグに内蔵される記録領域に前記印字
情報に対応する新たな情報を書き込むこと;この書き込み済みのICタグを排出
するリライトプリンタとからなるICタグ発行装置において、前記トレイには搭
載するICタグの数に応じた数のICタグ収納部が設けられていることを特徴と
するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等を内蔵するとともに表面に印字を可能とする非接触データ
通信に供せられる非接触式ICタグ(以下、単にICタグという。)に係り、特
にこのICタグの表面に印字し、所定のデータを書き込むリライトプリンタ内を
搬送するトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
任意のデータの書込み又は読出しができるデータ記憶部とともに消去可能な印
字ができるリライト表示部を備えたリライト印字表示タグが公知である(特許文
献1参照)。なお、このリライト印字表示タグは本発明でいうICタグと同等の
ものである。
そして、このリライト印字表示タグのデータ記憶部にデータを書き込み、リラ
イト表示部に印字をするリライト印字表示タグ発行装置が公知である(特許文献
1参照)。なお、このリライト印字表示タグ発行装置は本発明でいうICタグ発
行装置と同等のものである。
【0003】
この従来のリライト印字表示タグとこのリライト印字表示タグ発行装置につい
て図3および図4を用いて説明する。
図3の(A)、(B)及び(C)は、従来のリライト印字表示タグ発行装置の
一実施例を示している。このリライト印字表示タグ発行装置は、直方体状を成す
本体フレーム22の前面側に前面パネル24が設けられ、この前面パネル24に
は、磁気表示タグ等のリライト印字表示タグ26の排出口28とともに受皿部3
0が形成されているとともに、表示部32が形成されている。表示部32には、
電源表示32P、カートリッジ36A、36Bの空表示32A、32B及びジャ
ム発生表示32Jが行われる。
【0004】
そして、本体フレーム2の後部側には、リライト印字表示タグ供給手段として
、リライト印字表示タグ26を装填したカードリッジ36A、36Bが着脱可能
に取り付けられ、これらカートリッジ36A、36Bの着脱部の前方部には、手
動投入部としてのリライト印字表示タグ投入孔38が形成されている。
【0005】
次に、図4の(A)及び(B)は、リライト印字表示タグ発行装置によって発
行されるリライト印字表示タグ26の一例を示している。図4(B)は図4
(A)のリライト印字表示タグ26のB−B矢視図である。この実施例の場合、
リライト印字表示タグ26は、その一例として磁気表示タグで構成されており、
図4の(A)に示すように、プラスチック等の絶縁体で形成された略長方形状を
成すケース部40の上面部に消去可能な印字表示を行うことができるリライト表
示部42が形成されている。このリライト表示部42は、磁化によって文字等を
印字する部分であって、例えば、その内部には塑性流動体とともに感応磁片が封
入された無数のマイクロカプセルが封入されており、感応磁片が磁化によって変
化する方向でコントラストを生じることを利用したものである。
【0006】
この実施例のように、リライト表示部42には券種、発行年月日、有効日、料
金等の各種の表示が行われる。そして、ケース部40の内部には、データ記憶部
44が内蔵されており、このデータ記憶部44は、データの書込み、読出し及び
消去が可能であって、リライト表示部42の印字に対応するデータが書き込まれ
る。この実施例のリライト印字表示タグ26では、その一例として磁気印字が可
能な磁気表示タグを例にとって説明しているが、そのリライト表示部42には、
このような磁気印字の他、感熱印字、光学印字、電気印字等の各種の印字方式を
採用することは勿論差し支えないし、寧ろ、使用目的等に応じて使用者が任意に
選択することができる。
【特許文献1】特開平8−77309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ICタグは使用する対象に応じて形状を小さくしなければなら
ない。例えば、宝飾品や医薬品に貼り付け、棚卸/売上管理/製品管理用に使用
されるICタグがこれに該当する。このような場合、ICタグ自体には問題点は
ほとんどない。もともと内蔵する電子回路はICタグの外形より十分に小さいの
で、ICタグの外形が少々小さくなったからといって製造上には影響が出ないか
らである。
【0008】
一方、このようにICタグが小型化するとICタグ発行装置は大きな改造を施
さなければならないという問題点があった。小型のICタグに対応しなければな
らないので、ICタグの外形に合わせた搬送系としなければならないからである

【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、少なくとも1つの小型
化したICタグの収納部を設けたもとのICタグの外形寸法のトレイを作製する
ことでICタグ発行装置に搬送系の改造を施さず、印字やデータの書き換え部の
小規模な改造で済むICタグ発行装置を提供することを目的とする。また、この
ような1つ以上のICタグ収納部を備えることで生じる問題を解決するためにI
Cタグ発行装置内をトレイが搬送される間にその収納部に収納されたICタグが
収納部からはみ出したりしないような接着性であって、発行済みのICタグを実
際に使用するときには容易に剥がせる程度の接着性を備えるトレイを提供するこ
とも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明になるICタグ発行装置は、全体を制御する制御部と、少なくとも1つ
のICタグを収納したトレイの供給を受けたときは前記制御部からの制御を受け
て、前記ICタグの表面の印字を消去すること;このICタグの表面に新たな情
報を印字すること;このICタグに内蔵される記録領域に前記印字情報に対応す
る新たな情報を書き込むこと;この書き込み済みのICタグを収納したトレイを
排出するリライトプリンタとからなるICタグ発行装置において、前記トレイに
は搭載するICタグの数に応じた数のICタグ収納部が設けられていることを特
徴とするものである。
【0011】
そして、本発明に用いられるトレイは、ICタグ収納部は打ち抜かれており、
その底部に厚さ10〜250μmのICタグ落下防止部材が配設されていること
を特徴とするものである。
【0012】
また、このトレイの落下防止部材は、粘着性を有することを特徴とするもので
ある。
【0013】
また、このトレイの落下防止部材は、吸着性を有することを特徴とするもので
ある。
【0014】
さらに、このトレイの高さは、前記ICタグを搭載したときにICタグの上面
から0〜250μm低くなることを特徴とするものである。
【0015】
また、このトレイの材質は耐熱性と強度において、前記ICタグの材質である
PET系と同等以上のものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明になるICタグ発行装置とトレイを用いれば、少なくとも1つの小型化
したICタグの収納部を設けたもとのICタグの外形寸法のトレイを作製するこ
ととしたのでICタグ発行装置に搬送系の改造を施さず、印字やデータの書き換
え部の小規模な改造で済むICタグ発行装置を提供することができる。
【0017】
また、このような1つ以上のICタグ収納部を備えることで生じるトレイから
ICタグが脱落したり、反対にトレイからICタグを容易に取り外せないという
問題については、トレイのICタグ落下防止部材に適度な粘着性や適度な吸着性
を備えることとしたので、ICタグ発行装置内をトレイが搬送される間にその収
納部に収納されたICタグが収納部から脱落せず、そして発行済みのICタグを
実際に使用するときには容易に剥がせるトレイを提供することができる。
【0018】
したがって、使い勝手の良いICタグ発行装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明においては、上述の発明が解決しようとする課題を次のようなICタグ
発行装置とすることで解決した。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明になるICタグ発行装置の一実施の形態を示す概要図である。
また、図2(A)は本発明になるICタグ発行装置に用いられるICタグ収納部
付きトレイにICタグを収納したときのトレイの概要図である。図2(B)は図
2(A)のA−A矢視図である。
【0021】
図1において、1は本発明になるICタグ発行装置、2はICタグ発行装置1
全体を制御する制御部、3は1以上のICタグを収納したトレイの供給を受けた
ときは制御部2からの制御を受けて、ICタグの表面の印字を消去すること;こ
のICタグの表面に新たな情報を印字すること;このICタグに内蔵される記録
領域に前記印字情報に対応する新たな情報を書き込むこと;この書き込み済みの
ICタグを排出するリライトプリンタ、4は制御部2とリライトプリンタ3の間
のデータ信号と制御信号を送信し、受信する通信路である。
【0022】
ここで、制御部2としてはパーソナルコンピュータを使用することができる。
なお、ICタグを収納したトレイをリライトプリンタ3に連続的に供給可能と
するようにこのトレイを集積する供給集積部と、排出されてくる書き込み済みの
ICタグを収納したトレイを集積する排出集積部をリライトプリンタ3に付加し
ておくことがICタグ発行において便宜であるので、このような集積部を付加し
ておいても良い。
【0023】
図2において、5はICタグ、11は本発明になるICタグ収納部付きトレイ
、12はICタグ収納部、13はICタグ5の落下防止部材である。
次に、本発明になるICタグ発行装置の動作について説明する。
【0024】
まず、リライトプリンタ3のトレイ受け入れ口(図示せず。)にトレイ11を
載置する。
最初に、制御部2からトレイ引き込み信号をリライトプリンタ3に送信する。
リライトプリンタ3はこのトレイ引き込み信号を受けて、前記トレイ受け入れ口
にあるトレイ11を1枚ずつリライトプリンタ3の内部に引き込み、ICタグの
表面の印字消去部まで搬送する。ここで制御部2から印字消去信号がリライトプ
リンタに送信され、リライトプリンタ3はこの印字消去信号を受けてICタグ5
,5の印字を消去し、トレイ11を印字部まで搬送する。
【0025】
ここで、制御部2から第1の書き込みデータ信号と印字指示信号をリライトプ
リンタ3に送信する。リライトプリンタ3はこの第1の書き込みデータ信号と印
字指示信号を受けてICタグ5,5に書き込みデータに応じた文字を印字する。
例えば、図2(A)に示すように、「頭痛薬 2千円」などといったICタグ5
,5が取り付けられる商品の品名と価格などである。そして、この印字が終了す
ると、トレイ11をデータ書き込み部に搬送する。
【0026】
ここで、制御部2から第2の書き込みデータ信号と書き込み指示信号をリライ
トプリンタ3に送信する。リライトプリンタ3はこの第2の書き込みデータ信号
と書き込み指示信号を受けてICタグ5,5に内蔵された記録領域に第2の書き
込みデータに応じた前記印字情報に対応するデータを書き込む。そして、このデ
ータ書き込みが終了すると、トレイ11をリライトプリンタ3の図示しない排出
口に搬送する。
このようにして、ICタグの発行が終了する。
【0027】
その後、ICタグ5,5をトレイ11から取り出し、所定の取り付け対象物で
ある、例えば医薬品に取り付ける。
以上の手順を経て、ICタグが発行され、所定の対象物に取り付けられるので
ある。
【実施例2】
【0028】
次に実施例2について、図1および図2を用いて説明する。
図2(A)および図2(B)に示すように、ICタグ収納部付きトレイ11は
ICタグ収納部12を備える。そして、このICタグ収納部12はくりぬかれて
おり、底面にICタグを収納したときに落下を防止するための落下防止部材13
が設けられている。
【0029】
このように、ICタグ収納部12をくりぬきにするのはICタグ5,5とトレ
イ11を略同じ厚みにする必要があるからである。なお、トレイ11の材質はI
Cタグ5,5の材質であるPET系のもつ耐熱性と強度等と同等以上の材質のも
のが望ましい。そして、トレイ11の高さはICタグ5,5の上面より0〜25
0μm低くしておくのが望ましい。このように、トレイ11の材質を規定し、高
さも規定するのはリライトプリンタ11内の搬送系の安定した動作とリライトプ
リンタ3内の印字消去部、印字部におけるに良好な消去と印字とを考慮したため
である。
【0030】
そして、落下防止部材13は厚さを10〜250μmとしておくのが適当であ
る。前述のようにトレイ11とICタグ5,5の高さをほぼ等しくしなければな
らないのであり、トレイ11とICタグ5,5は略同一の高さがあるからである

【実施例3】
【0031】
次に実施例3について、図1および図2を用いて説明する。
ICタグ5,5は現在単価が高いためや省資源に対応するために再利用をして
いる。そのためにリライトプリンタ3を使用して、ICタグの表面の印字部の印
字を消去したり、所定の文字を印字したりし、ICタグ内の記憶領域に所定の文
字に対応するデータを書き込んだりしているのである。
【0032】
そうすると、必然的にICタグ5,5はトレイ11のICタグ収納部12に収
納したり、取り外したりすることが容易にできなければならない。
このため、ICタグ5,5がトレイ11に収納され、リライトプリンタ3内で
所定の印字やデータを書き込んでいる時は、ICタグ5,5はトレイ11の落下
防止部材13に密着して容易に外れない必要がある。
そして、その反面ICタグ5,5に所定文字の印字とデータの書き込みが済ん
だ後は、容易に外れるのが使用上便宜である。
【0033】
このため落下防止部材13には粘着性を有する薄膜状のものが適当である。例
えば「Scotch(登録商標)811−1−12」を使用した場合に良好な結
果が得られた。
【0034】
また、粘着性はなくとも吸着性を有する薄膜状のものでもよい。例えば表面が
シリコン膜で形成されているものである。これは、シリコン膜自体に吸着力があ
るものと考えられる。具体的には、「DGP−006」(ELECOM社製)を
使用した時良好な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明になるICタグ発行装置の一実施の形態を示す概要図である。
【図2】(A)は本発明になるICタグ発行装置に用いられるICタグ収納部付きトレイをICタグを収納したときの概要図、(B)は(A)のA−A矢視図である。
【図3】(A)、(B)及び(C)は、従来のリライト印字表示タグ発行装置の一実施例を示す図である。
【図4】従来のリライト印字表示タグ発行装置によって発行されるリライト印字表示タグの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ICタグ発行装置
2 制御部
3 リライトプリンタ
4 通信路
5 ICタグ
11 ICタグ収納部付きトレイ
12 ICタグ収納部
13 落下防止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体を制御する制御部と、少なくとも1つのICタグを収納したトレイの供給
を受けたときは前記制御部からの制御を受けて、前記ICタグの表面の印字を消
去すること;このICタグの表面に新たな情報を印字すること;このICタグに
内蔵される記録領域に前記印字情報に対応する新たな情報を書き込むこと;この
書き込み済みのICタグを収納したトレイを排出するリライトプリンタとからな
るICタグ発行装置において、
前記トレイには搭載するICタグの数に応じた数のICタグ収納部が設けられ
ていることを特徴とするICタグ発行装置。
【請求項2】
前記トレイのICタグ収納部は打ち抜かれており、その底部に厚さ10〜25
0μmのICタグ落下防止部材が配設されていることを特徴とする請求項1記載
のICタグ発行装置。
【請求項3】
前記トレイの落下防止部材は、粘着性を有することを特徴とする請求項1記載
のICタグ発行装置。
【請求項4】
前記トレイの落下防止部材は、吸着性を有することを特徴とする請求項1記載
のICタグ発行装置。
【請求項5】
前記トレイの高さは、前記ICタグを搭載したときにICタグの上面から0〜
250μm低くなることを特徴とする請求項1記載のICタグ発行装置。
【請求項6】
前記トレイの材質は耐熱性と強度において、前記ICタグの材質であるPET
系と同等以上のものであることを特徴とする請求項1記載のICタグ発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−236087(P2006−236087A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51124(P2005−51124)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】