説明

ICテスタ

【課題】トリガ信号による同期の互換を維持しつつ、トリガバスの信号線数に制限を受けることなく、計測モジュール間の同期が図れるICテスタを実現することを目的にする。
【解決手段】本発明は、複数の第1計測モジュールがトリガバスを介してトリガ信号の授受を行い、被試験対象の試験を行うICテスタに改良を加えたものである。本装置は、被試験対象を試験すると共に、トリガバスの複数の信号線にコードを出力する第2計測モジュールと、被試験対象を試験すると共に、トリガバスの複数の信号線からコードを入力し、コードに対応した動作を行う第3計測モジュールとを備えたことを特徴とする装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1計測モジュールがトリガバスを介してトリガ信号の授受を行い、被試験対象、IC、LSI等の試験を行うICテスタに関し、トリガ信号による同期の互換を維持しつつ、トリガバスの信号線数に制限を受けることなく、計測モジュール間の同期が図れるICテスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICテスタは、被試験対象(以下DUT)、IC、LSI等に試験信号を与え、DUTの出力により良否の判定を行うものである。そして、ICテスタは、複数の計測モジュールが設けられ、複数の計測モジュール間でトリガ信号により同期を図り、DUTの試験を行っている。このような装置を図5に示し説明する。なお、トリガバスを用いるICテスタは、例えば、下記特許文献1等に記載されている。
【0003】
図5において、複数の計測モジュール1〜4は、図示しないテストヘッドに搭載され、n(n:自然数)本の信号線からなるトリガバスTBに接続し、図示しないパフォーマンスボードを介して、図示しないDUTの試験を行う。計測モジュール1〜4は、例えば、アナログ信号の出力、測定、デジタル信号の出力、測定の少なくとも1つを行っている。
【0004】
複数の計測モジュール1は、計測回路11、n個のゲート回路12を有する。計測回路11は、図示しないDUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号を発生するn個のトリガ信号発生部13を有する。n個のゲート回路12は、計測回路11からの選択信号により出力の有無を選択し、n個のトリガ信号発生部13を入力端にそれぞれ接続し、トリガバスTBのn本の信号線に出力端をそれぞれ接続する。
【0005】
複数の計測モジュール2は、計測回路21、n個のゲート回路22を有する。計測回路21は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号を発生する1個のトリガ信号発生部23を有する。n個のゲート回路22は、計測回路21からの選択信号により出力の有無を選択し、1個のトリガ信号発生部13を入力端に接続し、トリガバスTBのn本の信号線に出力端をそれぞれ接続する。
【0006】
複数の計測モジュール3は、計測回路31、n個のゲート回路32を有する。計測回路31は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号が入力され、このトリガ信号により、波形の発生、切替、停止、測定の開始、終了などの同期動作を行う。n個のゲート回路32はANDゲートで、トリガバスTBのn本の信号線に一方の入力端をそれぞれ接続し、計測回路31の選択信号が他方の入力端に入力され、計測回路31に出力端を接続する。
【0007】
複数の計測モジュール4は、計測回路41、セレクタ42を有する。計測回路41は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号が入力され、このトリガ信号により、波形の発生、切替、停止、測定の開始、終了などの同期動作を行う。セレクタ42は、計測回路41の選択信号により、トリガバスTBのn本の信号線、グランドを選択して、計測回路41に接続させる。
【0008】
このような装置の動作を以下に説明する。ここでは、説明を簡単にするために、各計測モジュール1〜4が一つずつとして説明する。
【0009】
計測モジュール1の計測回路11が、トリガバスTBの1番の信号線に接続されるゲート回路12を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール2の計測回路21が、トリガバスTBの2番の信号線に接続されるゲート回路22を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール3の計測回路31が、トリガバスTBの1番の信号線に接続されるゲート回路32を選択、つまり、他方の入力端に選択信号を与える。そして、計測モジュール4の計測回路41が、トリガバスTBの2番の信号線をセレクタ42に選択させる選択信号を与える。
【0010】
トリガバスTBの1番目の信号線に対応するトリガ信号発生部13が、トリガ信号を発生し、ゲート回路12を介して、トリガバスTBに出力する。そして、計測モジュール3が、ゲート回路32を介して、トリガバスTBの1番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール1と同期してDUTの試験を同時に開始する。
【0011】
また、計測モジュール2が、DUTの試験途中で、トリガ信号発生部23からトリガ信号を発生し、ゲート回路22を介して、トリガバスTBの2番の信号線に出力する。そして、計測モジュール4が、セレクタ42を介して、トリガバスTBの2番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール4がDUTの試験を開始する。
【0012】
このように、計測モジュール1〜4が、トリガバスTBを介して、計測モジュール1〜4の同期を図り、DUTの試験を行っている。
【0013】
【特許文献1】特開2005−265619号公報
【特許文献2】特開平6−167542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ICテスタは、SoC(System On a Chip)のDUTの試験を行うとき、デジタル回路のみのDUTやメモリのDUTと異なり、複数種類の計測モジュールが必要とされる。そして、異なる種類のDUTを試験する場合、計測モジュールを取り替えて、異なる種類のDUTの試験に対応している。当初、計測モジュール間の同期が、トリガバスTBにより同期が図れていても、トリガバスTBの信号線数は決まっており、異なる種類のDUTの試験時に、計測モジュールを取り替えることにより、計測モジュール間の同期関係数が増加し、同期を図ることができなくなってしまう。
【0015】
また、トリガバスの複数の信号線を用いて、信号線ごとに、計測モジュール間の異なる種類の同期制御を行い、DUTの試験速度を高速化することが考えられるが、トリガバスの信号線数が決まっており、制限を受けてしまう。この問題の解決として、上記特許文献2のように、コードを用いて、計測モジュール間の同期制御を行うことが考えられる。しかし、特許文献2のように構成すると、トリガ信号による同期動作のテストプログラムをコードによるテストプログラムに変更しなければならない。また、トリガ信号を用いたICテスタから、コードを用いたICテスタに変更することは、同じ種類のDUTの試験を行う場合でも、ICテスタに対応して、DUTの試験のための周辺回路が搭載されるパフォーマンスボードも変更しなくてはならなくなってしまう。
【0016】
そこで、本発明の目的は、トリガ信号による同期の互換を維持しつつ、トリガバスの信号線数に制限を受けることなく、計測モジュール間の同期が図れるICテスタを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
複数の第1計測モジュールがトリガバスを介してトリガ信号の授受を行い、被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
前記被試験対象を試験すると共に、前記トリガバスの複数の信号線にコードを出力する第2計測モジュールと、
前記被試験対象を試験すると共に、前記トリガバスの複数の信号線からコードを入力し、コードに対応した動作を行う第3計測モジュールと
を備えたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、
前記第2計測モジュールは、前記コードをトリガするコードトリガ信号を前記トリガバスの信号線に出力するトリガ信号発生部を設け、
前記第3計測モジュールは、前記トリガバスの信号線からのコードトリガ信号により、コードを取り込む取込部を設けたことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、
前記第2計測モジュールは、前記トリガバスを介して、前記第1計測モジュールにトリガ信号を出力することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明であって、
前記第3計測モジュールは、前記トリガバスを介して、前記第1計測モジュールからトリガ信号が入力されることを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明であって、
前記第1計測モジュール、前記第2計測モジュール、前記第3計測モジュールは、テストヘッドに設けられていることを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明であって、
前記第1計測モジュール、前記第2計測モジュール、前記第3計測モジュールは、パフォーマンスボードを介して、被試験対象を試験することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1計測モジュールがトリガ信号により同期を行うトリガバスに、第2計測モジュール、第3計測モジュールが、コードの授受を行うので、トリガ信号による同期の互換を維持しつつ、トリガバスの信号線数に制限を受けることなく、計測モジュール間の同期を図ることができる。
【0019】
また、第3計測モジュールが、コードの種類に応じて動作を変えることにより、複雑なシーケンス動作や条件分岐動作を伴った同期動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示した構成図である。なお、図5と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0021】
図1において、複数の計測モジュール5は、図示しないテストヘッドに設けられ、図示しないパフォーマンスボードを介して、図示しないDUTを試験すると共に、トリガバスTBの所望信号線に、m(m<n、m:自然数)ビットのコード、このコードをトリガするコードトリガ信号を出力する。計測モジュール5は、例えば、アナログ信号の出力、測定、デジタル信号の出力、測定の少なくとも1つを行い、計測回路51、(n−m)個のゲート回路52、セレクタ53、m個のゲート回路54を有する。計測回路51は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号を発生するトリガ信号発生部55、コードが設定されるレジスタ56を有する。(n−m)個のゲート回路52は、計測回路51からの選択信号により出力の有無を選択し、トリガ信号発生部55を入力端に接続し、トリガバスTBの(n−m)本の信号線に出力端をそれぞれ接続する。セレクタ53は、計測回路51からの選択信号により選択し、トリガ信号発生部55のトリガ信号とレジスタ56とを選択する。m個のゲート回路54は、計測回路51からの選択信号により出力の有無を選択し、セレクタ53の出力端と入力端を接続し、それぞれの出力端をトリガバスTBのm本の信号線にそれぞれ接続する。
【0022】
複数の計測モジュール6は、テストヘッドに設けられ、パフォーマンスボードを介して、DUTを試験すると共に、トリガバスTBの所望信号線からコード、コードトリガ信号を入力し、コードに対応した動作を行う。計測モジュール6は、例えば、アナログ信号の出力、測定、デジタル信号の出力、測定の少なくとも1つを行い、計測回路61、セレクタ62、レジスタ63を有する。計測回路61は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号、コードを入力し、このトリガ信号、コードにより、波形の発生、切替、停止、測定の開始、終了などの同期動作を行う。セレクタ62は、計測回路61の選択信号により、トリガバスTBのn本の信号線、グランドを選択して、計測回路61に接続させる。レジスタ63は取込部で、トリガバスTBのm本の信号線に接続し、セレクタ62からの信号により取り込み、計測回路61にmビットのコードを与える。
【0023】
このような装置の動作を以下に説明する。図2は図1に示す装置の動作を説明するタイミングチャートである。ここで、説明を簡単にするために、各計測モジュール1〜6が一つずつ、n=16、m=8、9〜16番の信号線をコードとして使用し、8番の信号線をコードトリガ信号として説明する。
【0024】
(1)計測モジュール5,6がコードを用いる場合。
計測モジュール1の計測回路11が、トリガバスTBの1番の信号線に接続されるゲート回路12を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール2の計測回路21が、トリガバスTBの2番の信号線に接続されるゲート回路22を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール3の計測回路31が、トリガバスTBの1番の信号線に接続されるゲート回路32を選択、つまり、他方の入力端に選択信号を与える。そして、計測モジュール4の計測回路41が、トリガバスTBの2番の信号線をセレクタ42に選択させる選択信号を与える。
【0025】
計測モジュール5の計測回路51が、レジスタ56をセレクタ53に選択させる選択信号を与え、すべてのゲート回路54、トリガバスTBの8番の信号線に接続されるゲート回路52を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール6の計測回路61は、トリガバスTBの8番に接続される信号線をセレクタ62に選択させる選択信号を与える。
【0026】
トリガバスTBの1番目の信号線に対応するトリガ信号発生部13が、トリガ信号を発生し、ゲート回路12を介して、トリガバスTBに出力する。そして、計測モジュール3が、ゲート回路32を介して、トリガバスTBの1番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール1と同期してDUTの試験を同時に開始する。
【0027】
また、計測モジュール2が、DUTの試験途中で、トリガ信号発生部23からトリガ信号を発生し、ゲート回路22を介して、トリガバスTBの2番の信号線に出力する。そして、計測モジュール4が、セレクタ42を介して、トリガバスTBの2番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール4がDUTの試験を開始する。
【0028】
そして、図2に示されるように、計測モジュール5が、DUTの試験途中で、レジスタ56にコードを設定し、セレクタ53、ゲート回路54を介して、トリガバスTBの9〜16番の信号線に出力する。そして、計測モジュール5は、トリガ信号発生部55からコードトリガ信号(トリガ信号)を発生し、ゲート回路52を介して、トリガバスTBの8番の信号線に出力する。計測モジュール6が、セレクタ62を介して、トリガバスTBの8番の信号線からのコードトリガ信号を入力する。このコードトリガ信号により、レジスタ63が、トリガバスTBの9〜16番の信号線のコードをラッチする。そして、レジスタ63のコードにより、自身の指定かどうかを判断して、自身の指定の場合、計測回路61は、トリガ信号により、計測モジュール5がDUTの試験を開始する。自身の指定でない場合、計測回路61は何も行わない。
以上の動作が、複数の計測モジュール1〜6間で行われる。
【0029】
このように、計測モジュール1〜4がトリガ信号により同期を行うトリガバスTBに、計測モジュール5,6が、コードの授受を行うので、計測モジュールが増加しても、トリガ信号による同期の互換を維持しつつ、トリガバスの信号線数に制限を受けることなく、計測モジュール間の同期を図ることができる。
【0030】
また、計測モジュール6(計測回路61)が、コードの種類に応じて動作を変えることにより、複雑なシーケンス動作や条件分岐動作を伴った同期動作を行うことができる。
【0031】
(2)計測モジュール5,6がコードを用いない場合。
計測モジュール1の計測回路11が、トリガバスTBの1番の信号線に接続されるゲート回路12を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール2の計測回路21が、トリガバスTBの2番の信号線に接続されるゲート回路22を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール3の計測回路31が、トリガバスTBの8番の信号線に接続されるゲート回路32を選択、つまり、他方の入力端に選択信号を与える。そして、計測モジュール4の計測回路41が、トリガバスTBの2番の信号線をセレクタ42に選択させる選択信号を与える。
【0032】
計測モジュール5の計測回路51が、トリガバスTBの8番の信号線に接続されるゲート回路52を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール6の計測回路61は、トリガバスTBの1番の信号線をセレクタ62に選択させる選択信号を与える。
【0033】
そして、トリガバスTBの1番の信号線に対応するトリガ信号発生部13が、トリガ信号を発生し、ゲート回路12を介して、トリガバスTBに出力する。そして、計測モジュール6が、セレクタ62を介して、トリガバスTBの1番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール1と同期してDUTの試験を同時に開始する。
【0034】
また、計測モジュール2が、DUTの試験途中で、トリガ信号発生部23からトリガ信号を発生し、ゲート回路22を介して、トリガバスTBの2番の信号線に出力する。そして、計測モジュール4が、セレクタ42を介して、トリガバスTBの2番の信号線からトリガ信号を入力し、計測モジュール4がDUTの試験を開始する。
【0035】
そして、計測モジュール5が、DUTの試験途中で、トリガ信号発生部55からトリガ信号を発生し、ゲート回路52を介して、トリガバスTBの8番の信号線に出力する。計測モジュール3が、ゲート回路32を介して、トリガバスTBの8番の信号線からのトリガ信号を入力し、計測モジュール5がDUTの試験を開始する。
【0036】
このように、計測モジュール5,6がトリガ信号のみで同期を図るので、計測モジュール1〜4と同期を図ることができる。
【0037】
次に、他の実施例を、図3を用いて説明する。ここで、図5と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0038】
図3において、複数の計測モジュール7は、図示しないテストヘッドに設けられ、図示しないパフォーマンスボードを介して、図示しないDUTを試験すると共に、トリガバスTBの所望信号線に、mビットのコード、このコードをトリガするコードトリガ信号を出力する。計測モジュール7は、例えば、アナログ信号の出力、測定、デジタル信号の出力、測定の少なくとも1つを行い、計測回路71、(n−m)個のゲート回路72、セレクタ73、m個のゲート回路74を有する。計測回路71は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、それぞれゲート回路72,74ごとにトリガ信号を発生するトリガ信号発生部75,76、コードが設定されるレジスタ77を有する。(n−m)個のゲート回路72は、計測回路71からの選択信号により出力の有無を選択し、それぞれトリガ信号発生部75を入力端に接続し、トリガバスTBの(n−m)本の信号線に出力端をそれぞれ接続する。セレクタ73は、計測回路71からの選択信号により選択し、m個のトリガ信号発生部76のトリガ信号とレジスタ77とを選択する。m個のゲート回路74は、計測回路71からの選択信号により出力の有無を選択し、セレクタ73の出力端と入力端を接続し、それぞれの出力端をトリガバスTBのm本の信号線のそれぞれに接続する。
【0039】
複数の計測モジュール8は、テストヘッドに設けられ、パフォーマンスボードを介して、DUTを試験すると共に、トリガバスTBの所望信号線からコード、コードトリガ信号を入力し、コードに対応した動作を行う。計測モジュール8は、例えば、アナログ信号の出力、測定、デジタル信号の出力、測定の少なくとも1つを行い、計測回路81、(n−1)個のゲート回路82、ゲート回路83、レジスタ84を有する。計測回路81は、DUTの試験を行うと共に、選択信号を出力し、トリガ信号、コードを入力し、このトリガ信号、コードにより、波形の発生、切替、停止、測定の開始、終了などの同期動作を行う。(n−1)個のゲート回路82はANDゲートで、トリガバスTBの(n−1)本の信号線に一方の入力端をそれぞれ接続し、計測回路81の選択信号が他方の入力端に入力され、計測回路81に出力端を接続する。ゲート回路83は、トリガバスTBのコードトリガ信号に対応する信号線に一方の入力端をそれぞれ接続し、計測回路81の選択信号が他方の入力端に入力され、計測回路81に出力端を接続する。レジスタ84は取込部で、トリガバスTBのm本の信号線に接続し、ゲート回路83からの信号により取り込み、計測回路81にmビットのコードを与える。
【0040】
このような装置の動作は、図1に示す装置と同様である。つまり、計測モジュール7,8の動作が、図1に示す計測モジュール5,6の動作とほぼ同じになる。異なる点の一つは、トリガ信号発生器75,76が、ゲート回路72,74ごとに設けられているか、1つのトリガ信号発生器55によりトリガ信号が発生されているかである。もう一つの異なる点は、トリガバスTBの信号線ごとにゲート回路82,83が設けられているか、セレクタ62により選択しているかである。従って、図1に示す装置で説明した動作については省略する。
【0041】
次に、mビットのコードで不足する場合の計測モジュール7,8の動作を以下に説明する。図4は図3に示す装置の動作を説明するタイミングチャートである。ここで、図1に示す装置と同様に、計測モジュール7,8が一つずつ、n=16、m=8、9〜16番の信号線をコードとして使用し、8番の信号線を、コードをラッチするコードトリガ信号として説明する。
【0042】
計測モジュール7の計測回路71が、レジスタ77をセレクタ73に選択させる選択信号を与え、すべてのゲート回路74、トリガバスTBの7,8番の信号線に接続されるゲート回路72を選択、つまり、選択信号を与える。また、計測モジュール8の計測回路81は、トリガバスTBの7番の信号線に接続されるゲート回路82、8番の信号線に接続されるゲート回路83を選択、つまり、選択信号を与える。
【0043】
そして、図4に示されるように、計測モジュール7が、DUTの試験途中で、レジスタ77に8ビットのコードを設定し、セレクタ73、ゲート回路74を介して、トリガバスTBの9〜16番の信号線に出力する。そして、計測モジュール7は、トリガバスTBの8番の信号線のトリガ信号発生部75からコードトリガ信号を発生し、ゲート回路72を介して、トリガバスTBの8番の信号線に出力する。計測モジュール8が、ゲート回路83を介して、トリガバスTBの8番の信号線からのコードトリガ信号を入力する。このコードトリガ信号により、レジスタ84が、トリガバスTBの9〜16番の信号線のコードをラッチする。そして、計測回路81は、ゲート回路83のコードトリガ信号により、レジスタ84のコードを取り込む。
【0044】
再び、計測モジュール7が、レジスタ77に8ビットコードを設定し、セレクタ73、ゲート回路74を介して、トリガバスTBの9〜16番の信号線に出力する。そして、計測モジュール7は、トリガバスTBの8番の信号線のトリガ信号発生部75からコードトリガ信号を発生し、ゲート回路72を介して、トリガバスTBの8番の信号線に出力する。計測モジュール8が、ゲート回路83を介して、トリガバスTBの8番の信号線からのコードトリガ信号を入力する。このコードトリガ信号により、レジスタ84が、トリガバスTBの9〜16番の信号線のコードをラッチする。そして、計測回路81は、ゲート回路83のコードトリガ信号により、レジスタ84のコードを取り込み、16(2×m)ビットのコードにより、自身の指定かどうかを判断する。
【0045】
次に、計測モジュール7は、トリガバスTBの7番の信号線に接続されるトリガ信号発生部75からトリガ信号を発生し、ゲート回路72を介して、トリガバスTBの7番の信号線に出力する。計測モジュール8が、ゲート回路82を介して、トリガバスTBの7番の信号線からのトリガ信号を入力する。このトリガ信号により、計測回路81は、自身の設定の場合、DUTの試験を開始し、自身の指定でない場合、何も行わない。
以上の動作は、図1に示した装置と同様に、複数の計測モジュール7,8間で行われる。
【0046】
このように、計測モジュール7,8は、複数回に分けたコードにより同期動作を行うので、さらに、トリガバスTBの信号線数に制限を受けることがない。
【0047】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、計測モジュール5〜8は、一方の構成、つまり、コードを出力するか、受け取るかの構成を示したが、両方の構成を有するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示したタイミングチャートである。
【図3】本発明の他の実施例を示した構成図である。
【図4】図3に示す装置の動作を示したタイミングチャートである。
【図5】従来のICテスタの構成を示した図である。
【符号の説明】
【0049】
1〜8 計測モジュール
55,76 トリガ信号発生部
63,84 レジスタ
TB トリガバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1計測モジュールがトリガバスを介してトリガ信号の授受を行い、被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
前記被試験対象を試験すると共に、前記トリガバスの複数の信号線にコードを出力する第2計測モジュールと、
前記被試験対象を試験すると共に、前記トリガバスの複数の信号線からコードを入力し、コードに対応した動作を行う第3計測モジュールと
を備えたことを特徴とするICテスタ。
【請求項2】
前記第2計測モジュールは、前記コードをトリガするコードトリガ信号を前記トリガバスの信号線に出力するトリガ信号発生部を設け、
前記第3計測モジュールは、前記トリガバスの信号線からのコードトリガ信号により、コードを取り込む取込部を設けたことを特徴とする請求項1記載のICテスタ。
【請求項3】
前記第2計測モジュールは、前記トリガバスを介して、前記第1計測モジュールにトリガ信号を出力することを特徴とする請求項1または2記載のICテスタ。
【請求項4】
前記第3計測モジュールは、前記トリガバスを介して、前記第1計測モジュールからトリガ信号が入力されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のICテスタ。
【請求項5】
前記第1計測モジュール、前記第2計測モジュール、前記第3計測モジュールは、テストヘッドに設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のICテスタ。
【請求項6】
前記第1計測モジュール、前記第2計測モジュール、前記第3計測モジュールは、パフォーマンスボードを介して、被試験対象を試験することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のICテスタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−60349(P2010−60349A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224374(P2008−224374)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】