ICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法
【課題】必要な情報を効率的に取得すること。
【解決手段】実行指示情報記憶部1aは、情報処理装置2に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部1bは、情報処理装置2が命令を実行して取得した実行結果情報を記憶する。通信処理部1cは、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報を情報処理装置2に送信する。通信処理部1cは、実行指示情報の送信に応じて、情報処理装置2から実行結果情報を受信し、受信した実行結果情報を実行結果情報記憶部1bに格納する。
【解決手段】実行指示情報記憶部1aは、情報処理装置2に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部1bは、情報処理装置2が命令を実行して取得した実行結果情報を記憶する。通信処理部1cは、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報を情報処理装置2に送信する。通信処理部1cは、実行指示情報の送信に応じて、情報処理装置2から実行結果情報を受信し、受信した実行結果情報を実行結果情報記憶部1bに格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置と通信するIC(Integrated Circuit)モジュール、ICカード、ICモジュールと情報処理装置とを備えた情報処理システムおよびICモジュールのデータ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して複数のコンピュータを接続した情報処理システムが普及している。情報処理システムでは、その運用中、コンピュータの機能の一部に障害が発生することがある。この場合、例えば、保守員が該当のコンピュータの障害対応を行い、障害から復旧させる。
【0003】
ここで、障害の原因調査のために該当のコンピュータなどから調査に必要な情報を取得する必要がある。取得する情報には、例えば、コンピュータで記録されたログや主記憶装置の内容(メモリダンプ)などがある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−112345号公報
【特許文献2】特開平03−098195号公報
【特許文献3】特開平04−175938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2,3に記載の方法では、発生した障害に関連する情報を取得するために、コンピュータ側に障害時の情報収集のためのモジュールを予め設ける必要がある。したがって、例えば、現在取得している情報よりも有効な情報を取得したい場合には、そのモジュールを変更する必要がある。この場合、このような変更がアプリケーションの動作に影響を及ぼす可能性があるという問題がある。また、アプリケーションへの影響を確認するための動作確認作業が別途必要になるという問題がある。すなわち、デグレーション対応が必要となり、情報収集の効率が悪かった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、必要な情報を効率的に取得することが可能なICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、ICモジュールが提供される。このICモジュールは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを有する。実行指示情報記憶部は、情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。
【0008】
また、上記課題を解決するためにICカードが提供される。このICカードは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを有する。実行指示情報記憶部は、情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。
【0009】
また、上記課題を解決するためにICモジュールと情報処理装置とが通信可能に接続された情報処理システムが提供される。ICモジュールは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを備える。実行指示情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置における命令の実行結果である実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。情報処理装置は、受信部と処理部と送信部とを備える。受信部は、ICモジュールの通信処理部から実行指示情報を受信する。処理部は、受信部が受信した実行指示情報に含まれる命令を実行して、実行結果情報を取得する。送信部は、処理部が取得した実行結果情報をICモジュールの通信処理部に送信する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、上記ICモジュールと同様の処理を行うデータ収集方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記ICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法によれば、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態のICモジュールを示す図である。
【図2】第2の実施の形態のATMの外観斜視図である。
【図3】第2の実施の形態のATMのハードウェア構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の保守用ICカードのハードウェア構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の収集オプションテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の業務処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の収集データ取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。
【図13】第3の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。
【図14】第3の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。
【図16】第3の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図17】第3の実施の形態の実行データ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態のデータ収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態の収集データ受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態に関して説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態のICモジュールを示す図である。ICモジュール1は、情報処理装置2の情報を取得する。取得する情報は、例えば情報処理装置2の障害対応に必要な障害情報である。
【0015】
ICモジュール1は、実行指示情報記憶部1a、実行結果情報記憶部1bおよび通信処理部1cを有する。
実行指示情報記憶部1aは、情報処理装置2に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。
【0016】
実行結果情報記憶部1bは、情報処理装置2における命令の実行結果である実行結果情報を記憶する。
通信処理部1cは、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報を情報処理装置2に送信する。そして、通信処理部1cは、その送信に応じて情報処理装置2から実行結果情報を受信する。通信処理部1cは、受信した実行結果情報を実行結果情報記憶部1bに格納する。
【0017】
ICモジュール1によれば、通信処理部1cにより、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報が情報処理装置2に送信される。そして、通信処理部1cにより、情報処理装置2から、実行指示情報に含まれる命令に対する実行結果情報が受信され、受信された実行結果情報が実行結果情報記憶部1bに格納される。
【0018】
これにより、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。具体的には、情報処理装置2では、ICモジュール1から受信した実行指示情報に基づく処理を実行し、その結果をICモジュール1に応答するので、情報処理装置2側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となる。
【0019】
なお、ICモジュール1は、例えばカード基材に収納され、情報処理装置2に着脱可能に設けることができる。そして、ICモジュール1を取得したい情報に応じて複数用意する。このようにすると、所望の情報を取得するための実行指示情報を記憶したICモジュール1を情報処理装置2に装着させることで、情報処理装置2側での変更作業などを不要として、所望の情報を容易に取得することができる。また、実行指示情報記憶部1aに記憶させる実行指示情報の内容を取得した情報の内容に応じて適宜変更可能とすることも考えられる。
【0020】
ところで、ICモジュール1は、金融機関などに設置される自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)や小売店に設置されるPOS(Point Of Sales)端末装置において、障害の解析に必要な情報を取得する場合に適用できる。これらの装置では、運用に際して高い信頼性が要求される。このため、情報収集の際にもアプリケーションの動作に対するデグレーションなどのリスクを低減し、運用に影響を来たさないよう配慮することが望まれる。このため、ICモジュール1は、ATMやPOS端末装置に適用する場合に、特に有用である。以下では、ICモジュール1をATMに適用する場合を例に採り、更に具体的に説明する。
【0021】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に関して説明する。
図2は、第2の実施の形態のATMの外観斜視図である。(A)は前面斜視図、(B)は背面斜視図(背面扉を開放した状態)を示している。ATM100は、金融機関や小売店などに設置される。顧客は、ATM100を操作して、金融機関との所望の取引(預入、払出、振込など)を行うことができる。ATM100は、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107(図2では図示せず)および制御装置110を有する。
【0022】
紙幣ユニット101は、紙幣の出入、計数、収納を行う。
硬貨ユニット102は、硬貨の出入、計数、収納を行う。
通帳ユニット103は、預金通帳の出入、印刷を行う。
【0023】
キャッシュカードユニット104は、キャッシュカードの出入、キャッシュカードが備える磁気記憶部やICの読み取りを行う。
レシートユニット105は、取引内容や顧客の残高などを示したレシートの印字、放出を行う。
【0024】
タッチパネル106は、タッチ操作を検出する。顧客は、指でタッチパネル106にタッチすることができる。また、顧客は、タッチペンなどのポインティングデバイスを用いてタッチパネル106にタッチすることもできる。タッチパネル106に対するタッチ操作があると、指などの物が接触している位置が検出される。
【0025】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する。ディスプレイ107は、タッチパネル106の下層に位置している。ディスプレイ107の表示する画像は、タッチパネル106を透過して、ATM100の前面から視認可能である。顧客は、ディスプレイ107によって表示された画像を見ながら、タッチパネル106に対するタッチ操作を行える。
【0026】
制御装置110は、ATM100の各部の動作を制御するコンピュータである。制御装置110は、各部の動作状態を監視し、運用管理に必要なログを記録する。また、制御装置110はネットワークと接続され、受け付けた取引の内容を示すデータや取引結果のデータを管理サーバ(図示せず)との間で送受信する。
【0027】
制御装置110は、保守用ICカード200を挿抜可能なカードソケットを備えたICカードR/W(Reader / Writer)111を有する。
ICカードR/W111は、カードソケットに挿入された保守用ICカード200と通信して、データの読み書きを行う。
【0028】
保守用ICカード200は、制御装置110から障害対応に必要な情報を取得し、記憶する。保守用ICカード200は、情報の取得のために制御装置110に実行させる命令を含む実行データを予め記憶している。
【0029】
ICカードR/W111には、カードソケットに挿入された保守用ICカード200と通信するための端子が設けられる。この端子が保守用ICカード200側に設けられた端子と接触することで通信可能となる。
【0030】
なお、ICカードR/W111と保守用ICカード200とは、RFID(Radio Frequency IDentifier)を用いた非接触通信を行うものでもよい。
また、ICカードR/W111は、制御装置110と一体に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置110が備えるUSB(Universal Serial Bus)インタフェースに接続して利用可能な外部デバイスとしてICカードR/W111を用意することもできる。
【0031】
保守用ICカード200の構成の詳細に関しては、後述する。
図3は、第2の実施の形態のATMのハードウェア構成を示す図である。ATM100は、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107および制御装置110を有する。各部は、バス108を介して接続される。
【0032】
ここで、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107に関しては、図2で同一の符号を付して説明した構成と同一であるため、その説明を省略する。
【0033】
制御装置110は、ICカードR/W111、RAM(Random Access Memory)112、HDD(Hard Disk Drive)113、通信部114およびCPU115を有する。
ICカードR/W111は、図2で同一の符号を付して説明した構成と同一である。
【0034】
RAM112には、CPU115に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションのプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、CPU115による処理に必要な各種データが格納される。
【0035】
HDD113は、制御装置110上のOSやアプリケーションが扱うデータが格納される。なお、HDD113に替えて、例えば、SSD(Solid State Drive)などの他の不揮発性の記憶装置を用いることもできる。
【0036】
通信部114は、ネットワークと接続され、ネットワークを介して管理サーバとデータ通信を行う。
CPU115は、ATM100全体の動作を制御する。CPU115は、例えば、タッチパネル106から取得する入力データに基づいて、取引を開始する。また、CPU115は、例えば、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104から取得するデータや通信部113を介して管理サーバから取得するデータに基づいて、取引処理を実行する。更に、CPU115は、取引結果に応じてレシートユニット105にレシートの印字、放出を実行させる。
【0037】
図4は、第2の実施の形態の保守用ICカードのハードウェア構成を示す図である。保守用ICカード200は、IC部201およびカード部202を有する。
IC部201は、制御部201a、メモリ201bおよび通信部201cを有する。
【0038】
制御部201aは、IC部201全体を制御する。
メモリ201bは、制御部201aが実行するプログラムや処理に用いるデータを記憶する。メモリ201bは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリおよびFeRAM(Ferroelectric RAM)などである。
【0039】
通信部201cは、制御部201aから取得する送信データをICカードR/W111に出力する。また、通信部201cは、ICカードR/W111から取得する受信データを制御部201aに出力する。
【0040】
図5は、第2の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。ATM100は、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140、通信処理部150、データ収集部160および収集オプション記憶部170を有する。これらの機能は、CPU115が所定のプログラムを実行することで実現される。なお、これらの機能の一部または全部を専用のハードウェアにより実現してもよい。
【0041】
取引情報記憶部120は、金融取引に用いるデータを記憶する。
ログ情報記憶部130は、ATM100で生成されたログ情報を記憶する。
取引処理部140は、タッチパネル106に対する顧客の操作入力を受け付け、操作入力により指定された取引処理を実行する。
【0042】
通信処理部150は、保守用ICカード200との間でデータ通信を行う。通信処理部150は、保守用ICカード200の挿入を検知すると、通信開始のための所定のリセット信号を保守用ICカード200に送信する。なお、リセット信号の送受信に関しては、密着型ICカードとR/Wユニットとの間の情報処理に関する国際標準規格“ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission) 10536−3”に規定されている。その後、通信処理部150は、データ収集部160からの指示に応じて、保守用ICカード200に実行データの送信を促す実行データ要求を出力する。通信処理部150は、保守用ICカード200から受信した実行データをデータ収集部160に出力する。
【0043】
ここで、実行データは、保守用ICカード200に予め記憶される。実行データには、情報収集のためにCPU115の実行すべき命令(コマンド)を設定した実行ファイルが含まれる。
【0044】
また、通信処理部150は、データ収集部160から取得する収集データを保守用ICカード200に送信する。
データ収集部160は、通信処理部150から実行データを取得する。データ収集部160は、実行データに基づいてデータ収集を行う。データ収集部160は、収集したデータ(収集データ)を通信処理部150に出力する。
【0045】
収集データには、ログ情報記憶部130に記憶されたログファイルや、取引処理部140がモニタ11に出力した画像データなどが含まれる。また、収集データには、RAM112の内容やHDD113上の仮想メモリ領域の内容(メモリダンプ)が含まれる。
【0046】
なお、データ収集部160は、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを参照して、保守用ICカード200から実行データを取得するタイミングを制御する。収集オプションには、実行データを取得してデータ収集を行うタイミング(以下、収集ポイントという)が定義される。データ収集部160は、収集オプションに基づいて、取引処理部140により実行される各処理につき情報収集を行うか否かを決定する。
【0047】
収集オプション記憶部170は、収集ポイントを定義した収集オプションを記憶する。収集オプションは、ATM100の管理者により予め作成され、収集オプション記憶部170に格納される。
【0048】
保守用ICカード200は、実行データ記憶部210、収集データ記憶部220および通信処理部230を有する。
実行データ記憶部210は、実行データを記憶する。なお、実行データ記憶部210は、ATM100で実行される処理内容に応じて複数の実行データを記憶する。
【0049】
収集データ記憶部220は、通信処理部230がATM100から取得した収集データを記憶する。
通信処理部230は、ATM100から実行データ要求を受信すると、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に応じた実行データを取得する。そして、通信処理部230は、取得した実行データをATM100に送信する。
【0050】
更に、通信処理部230は、ATM100から受信した収集データを収集データ記憶部220に格納する。
図6は、第2の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。実行データテーブル211は、実行データ記憶部210に予め格納される。実行データテーブル211には、ユニークID(IDentifier)を示す項目および実行データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの実行データに関する情報を示す。
【0051】
ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。実行データを示す項目には、該当の収集ポイントで実行すべきコマンドの実行ファイルが設定される。
【0052】
実行データテーブル211には、例えば、ユニークIDが“001”、実行データが“CollectLog001.exe”という情報が設定される。これは、ユニークID“001”で示される収集ポイントにおいて、データ収集部160に実行データ“CollectLog001.exe”を実行させることを示している。
【0053】
実行データには、例えば、ログ情報記憶部130に記憶されたログ情報や、取引処理部140への入力内容および取引処理部140からの出力内容(画面表示など)を取得するためのコマンドが定義される。また、例えば、RAM112のダンプを取得するためのコマンドが定義される。
【0054】
図7は、第2の実施の形態の収集オプションテーブルのデータ構造例を示す図である。収集オプションテーブル171は、収集オプション記憶部170に予め格納される。収集オプションテーブル171には、ユニークIDを示す項目、処理内容を示す項目および有効/無効設定を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つのオプション情報を示す。
【0055】
ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。
処理内容を示す項目には、取引処理において発生し得る処理の内容を示す情報が設定される。ここでは、処理内容は、1つのトランザクションに含まれる各処理をその単位とする。ただし、処理内容をトランザクション単位、あるいは、複数のトランザクションから構成される業務処理単位に定義してもよい。
【0056】
有効/無効設定を示す項目には、該当の収集ポイントを有効とするか無効とするかを示す情報が設定される。
収集オプションテーブル171には、例えば、ユニークIDが“002”、処理内容が“DBオープン”、有効/無効設定が“無効”という情報が設定される。これは、ユニークID“001”で示される収集ポイントは、処理内容“DB(DataBase)オープン”を実行するタイミングに対応していることを示している。また、“DBオープン”の処理時には、収集ポイントが“無効”、すなわち、情報の収集を行わないことを示している。この場合、ATM100は、保守用ICカード200に対して、実行データ要求を送信しない。
【0057】
また、収集オプションテーブル171には、例えば、ユニークIDが“002”、処理内容が“レコード読み出し”、有効/無効設定が“有効”という情報が設定される。これは、ユニークID“002”で示される収集ポイントは、処理内容“レコード読み出し”を実行するタイミングに対応していることを示している。また、“レコード読み出し”の処理時には、収集ポイントが“有効”、すなわち、情報の収集を行うことを示している。この場合、ATM100は、保守用ICカード200に対して、実行データ要求を送信する。
【0058】
なお、ATM100が保守用ICカード200に送信する実行データ要求には、ユニークIDが含まれる。保守用ICカード200は、実行データ要求に含まれるユニークIDと、実行データ記憶部210に記憶された実行データテーブル211と、を参照して、ATM100に送信すべき実行ファイルを特定することができる。
【0059】
図8は、第2の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。応答パケット151は、通信処理部150により生成され、保守用ICカード200に送信される。応答パケット151には、ヘッダ部151aおよびデータ部151bが設けられている。
【0060】
ヘッダ部151aは、応答パケット151全体に関する情報が含まれる。ヘッダ部151aには、応答コマンドを示す領域、ユニークIDを示す領域および全体長を示す領域が含まれる。応答コマンドを示す領域には、このパケットが収集データを応答するためのパケットであることを示すコマンド(例えば、“Response”)が設定される。ユニークIDを示す領域には、応答パケット151に含まれる収集データが取得された収集ポイントを示すユニークID(例えば、“001”)が設定される。全体長を示す領域には、応答パケット151の全体のデータサイズ(例えば、“20KByte”)が設定される。
【0061】
データ部151bは、データ収集部160が収集したデータを格納する領域である。データ部151bは、該当の収集ポイントで実行されたコマンドにより収集された収集データの数に応じて、応答パケット151に複数設けられる。
【0062】
データ部151bには、スタンプ情報を示す領域および収集データを示す領域が設けられる。スタンプ情報を示す領域は、収集データに関するスタンプ情報が設定される。スタンプ情報としては、日時、データ種別およびデータ長などの情報が考えられる。
【0063】
日時は、該当の収集データが取得された日時を示す。日時には、例えば、“2009/5/29 10:30:14”という情報が設定される。
データ種別は、該当の収集データの種別を示す。データ種別には、例えば、“支払テーブル”という情報が設定される。
【0064】
データ長は、該当の収集データのデータサイズを示す。データ長には、例えば、“100Byte”という情報が設定される。
収集データを示す領域には、データ収集部160が取得したデータが設定される。収集データには、例えば、“支払テーブル.csv”が設定される。
【0065】
図9は、第2の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。収集データテーブル221は、収集データ記憶部220に格納される。収集データテーブル221には、データIDを示す項目、ユニークIDを示す項目、スタンプ情報を示す項目および収集データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの収集データに関する情報を示す。
【0066】
データIDを示す項目には、収集データの識別情報が設定される。ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。スタンプ情報を示す項目には、該当の収集データを示すスタンプ情報が設定される。スタンプ情報には、例えば、日時、データ種別およびデータ長が含まれる。収集データを示す項目には、ATM100から取得した収集データが設定される。
【0067】
収集データテーブル221には、例えば、データIDが“11”、ユニークIDが“001”、日時が“2009/5/29 10:30:14”、データ種別が“支払テーブル”、データ長が“100Byte”、収集データが“支払テーブル.csv”という情報が設定される。
【0068】
次に、以上のような構成によって実現されるATM100および保守用ICカード200の処理について説明する。
まず、ATM100で実行される業務処理について説明する。
【0069】
図10は、第2の実施の形態の業務処理の手順を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]取引処理部140は、タッチパネル106に対する操作入力に応じた業務処理要求を受け付ける。
【0070】
[ステップS12]取引処理部140は、受け付けた業務処理についての処理を実行する。図7で示したように、処理内容は1つのトランザクションに含まれる各処理を単位として定義されている。例えば、取引情報記憶部120に記憶された取引情報のレコード更新のトランザクションが発生し、次に実行すべき処理内容がDBオープンである場合には、処理内容として“DBオープン”が実行される。取引処理部140は、実行した処理内容をデータ収集部160に通知する。
【0071】
[ステップS13]データ収集部160は、取引処理部140から通知された処理内容をキーとして、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを検索する。そして、データ収集部160は、該当の処理内容についてデータ収集を行うか否かを判定する。なお、この判定は、収集オプションに該当の処理内容につき収集ポイントの有効/無効設定を照会することで実行することができる。データ収集を行う、すなわち、収集ポイントが“有効”である場合、データ収集部160は処理内容に対応するユニークIDを通信処理部150に通知して、処理がステップS14に移される。データ収集を行わない、すなわち、収集ポイントが“無効”である場合、処理がステップS18に移される。
【0072】
[ステップS14]データ収集部160は、通信処理部150へ実行データ要求を送信するよう依頼する。通信処理部150は、保守用ICカード200に対して実行データ要求を送信する。なお、通信処理部150は、データ収集部160から通知されたユニークIDを実行データ要求に含める。
【0073】
[ステップS15]通信処理部150は、実行データ要求に応じて、保守用ICカード200から実行データを受信する。通信処理部150は、受信した実行データをデータ収集部160に出力する。
【0074】
[ステップS16]データ収集部160は、実行データに含まれる実行ファイルを実行し、必要なデータを収集する。
[ステップS17]データ収集部160は、収集したデータを通信処理部150に出力する。通信処理部150は、取得した収集データを含む応答パケット151を生成する。通信処理部150は、応答パケット151を保守用ICカード200に送信する。
【0075】
[ステップS18]取引処理部140は、受け付けた業務処理について、次に実行すべき処理があるか否かを判定する。次に実行すべき処理がある場合、取引処理部140は、該当の処理内容をデータ収集部160に通知して、処理がステップS12に移される。次に実行すべき処理がない場合、処理が完了する。
【0076】
このように、ATM100は、業務処理要求を受け付けると、業務処理に必要な処理を順次実行する。そして、ATM100は、各処理を実行する際に、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを参照して、該当の処理に対する収集ポイントが有効に設定されているか否かを判定する。そして、ATM100は、収集ポイントが有効である場合には、保守用ICカード200に対して実行データ要求を送信し、該当の処理に関する情報収集を行い、収集したデータを保守用ICカード200に送信する。
【0077】
なお、ステップS12の処理の実行は、ステップS15の実行データ受信の後に行ってもよい。
また、ステップS15では、保守用ICカード200が実行データ要求に含まれるユニークIDに対応する実行データを有していない場合も考えられる。この場合、通信処理部150は、保守用ICカード200からその旨の通知を受ける。そして、この通知に応じて処理がステップS16に移される。
【0078】
更に、図10の例では、処理内容の単位を1つのトランザクションに含まれる処理の単位とした。ただし、図7でも説明したように、トランザクション単位とすることも考えられる。また、複数のトランザクションを含む業務処理単位とすることも考えられる。
【0079】
次に、保守用ICカード200側で実行される処理を説明する。
図11は、第2の実施の形態の収集データ取得処理の手順を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0080】
[ステップS21]通信処理部230は、ATM100から実行データ要求を受信する。
[ステップS22]通信処理部230は、実行データ要求に含まれるユニークIDを抽出する。通信処理部230は、実行データ記憶部210に記憶された実行データテーブル211を参照して、ユニークIDに対応する実行ファイルが存在するか否かを判定する。実行ファイルが存在する場合、処理がステップS23に移される。実行ファイルが存在しない場合、その旨をATM100に通知して処理が完了する。
【0081】
[ステップS23]通信処理部230は、実行データ記憶部210からユニークIDに対応する実行データを読み出す。
[ステップS24]通信処理部230は、読み出した実行データをATM100に送信する。
【0082】
[ステップS25]通信処理部230は、送信した実行データに応じて応答パケット151をATM100から受信する。
[ステップS26]通信処理部230は、応答パケット151に含まれる収集データやそのスタンプ情報などを抽出して収集データ記憶部220に格納する。
【0083】
このように、保守用ICカード200は、ATM100からユニークIDを含む実行データ要求を受信すると、ユニークIDに応じた実行データをATM100に送信する。そして、保守用ICカード200は、送信した実行データに応じてATM100から応答パケット151を受信し、応答パケット151に含まれる収集データを収集データ記憶部220に格納する。
【0084】
次に、図10,11で示した処理の流れを更に具体的に説明する。以下では、業務処理として次のような一連の処理を含むトランザクションが発生した場合を想定する。すなわち、(1)DBのオープン処理、(2)レコードの読み出し処理、(3)レコードの書き込み処理、(4)DBのクローズ処理、である。
【0085】
図12は、第2の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS101]ATM100は、タッチパネル106に対する顧客の操作入力に応じた業務処理要求を受け付ける。
【0086】
[ステップS102]ATM100は、(1)DBオープン処理を実行する。DBオープン処理に関しては、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションテーブル171で収集ポイントが無効にされているため、ATM100はDBオープン処理に対するデータ収集を行わない。
【0087】
[ステップS103]ATM100は、(2)レコード読み出し処理を実行する。
[ステップS104]ATM100は、レコード読み出し処理に対応する実行データ要求を保守用ICカード200に送信する。なお、ATM100は、この実行データ要求にレコード読み出しに対応するユニークID“002”を含める。保守用ICカード200は、ATM100から実行データ要求を受信する。
【0088】
[ステップS105]保守用ICカード200は、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に含まれるユニークID“002”に対応する実行ファイル“CollectLog002.exe”を取得する。保守用ICカード200は、取得した実行ファイルをATM100に送信する。ATM100は、保守用ICカード200から実行ファイル“CollectLog002.exe”を受信する。
【0089】
[ステップS106]ATM100は、実行ファイル“CollectLog002.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
[ステップS107]ATM100は、収集データから応答パケット(ユニークID=002)を生成する。ATM100は、応答パケットを保守用ICカード200に送信する。保守用ICカード200は、ATM100から応答パケットを受信する。保守用ICカード200は、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220に格納する。
【0090】
[ステップS108]ATM100は、(3)レコード書き込み処理を実行する。
[ステップS109]ATM100は、レコード書き込み処理に対応する実行データ要求を保守用ICカード200に送信する。なお、ATM100は、この実行データ要求にレコード書き込みに対応するユニークID“003”を含める。保守用ICカード200は、ATM100から実行データ要求を受信する。
【0091】
[ステップS110]保守用ICカード200は、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に含まれるユニークID“003”に対応する実行ファイル“CollectLog003.exe”を取得する。保守用ICカード200は、取得した実行ファイルをATM100に送信する。ATM100は、保守用ICカード200から実行ファイル“CollectLog003.exe”を受信する。
【0092】
[ステップS111]ATM100は、実行ファイル“CollectLog003.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
[ステップS112]ATM100は、収集データから応答パケット(ユニークID=003)を生成する。ATM100は、応答パケットを保守用ICカード200に送信する。保守用ICカード200は、ATM100から応答パケットを受信する。保守用ICカード200は、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220に格納する。
【0093】
[ステップS113]ATM100は、(4)DBクローズ処理を実行する。DBクローズ処理に関しては、収集オプションテーブル171で収集ポイントが無効にされているため、ATM100はデータ収集を行わない。
【0094】
このように、保守用ICカード200は、ATM100から受け付けたユニークIDに対応する実行データをATM100に送信する。保守用ICカード200は、実行データに応じた収集データをATM100から受信し、収集データ記憶部220に格納する。
【0095】
ATM100は、収集ポイントが有効とされた処理を実行したタイミングで、保守用ICカード200から取得する実行ファイルを実行することで、各処理時のログ情報やメモリダンプなどを容易に取得することができる。
【0096】
例えば、保守用ICカードを障害ごとに収集するデータを変えて複数用意しておくと、保守用ICカードの交換のみで、発生した障害ごとの適切なデータ収集を容易に行うことができる。
【0097】
このため、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。すなわち、ATM100側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となり、デグレーションを引き起こすことがなくなる。また、デグレーション対応のために生じていた動作確認作業も不要となる。
【0098】
また、収集ポイントの有効/無効をATM100側の収集オプションテーブル171に設定できるため、ATM100側での運用の都合により、対応する処理についてデータ収集を行うか否かを調整することができる。
【0099】
[第3の実施の形態]
以下、第3の実施の形態に関して説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を主に説明し、同一の事項に関しては説明を省略する。
【0100】
第2の実施の形態では、保守用ICカード200は、ATM100から通知されたユニークIDに応答して、対応する実行データをATM100に送信するものとした。
一方、第3の実施の形態では、ユニークIDの受信の有無に関わらず、保守用ICカード側からATMに実行させる情報を積極的に送信する。これによって、より汎用的な保守用ICカードを提供する。以下、このような保守用ICカードに関して説明する。
【0101】
第3の実施の形態のATMおよび保守用ICカードのハードウェア構成は、図2〜4で示した第2の実施の形態のATM100および保守用ICカード200のハードウェア構成と同一であるため、説明を省略する。
【0102】
図13は、第3の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。ATM100aは、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140、通信処理部150およびデータ収集部160aを有する。これらの機能は、CPU115が所定のプログラムを実行することで実現される。なお、これらの機能の一部または全部を専用のハードウェアにより実現してもよい。
【0103】
ここで、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140および通信処理部150に関しては、図5のATM100において同一の符号を付して説明した構成と同一であるため説明を省略する。
【0104】
データ収集部160aは、通信処理部150から実行データを取得する。データ収集部160aは、実行データに含まれるデータ収集のためのコマンドを実行する。
ここで、実行データには、データ収集のためのコマンドに加えて、コマンド実行のための条件(以下、実行モードという)が含まれる。データ収集部160aは、実行モードで指定される条件が成立したときに、データ収集のためのコマンドを実行する。
【0105】
保守用ICカード200aは、実行データ記憶部210a、収集データ記憶部220aおよび通信処理部230aを有する。
実行データ記憶部210aは、実行データを記憶する。
【0106】
収集データ記憶部220aは、通信処理部230aがATM100aから取得した収集データを記憶する。
通信処理部230aは、ATM100aからリセット信号を受信すると、実行データ記憶部210に記憶された実行データを取得する。通信処理部230aは、取得した実行データをATM100aに送信する。
【0107】
更に、通信処理部230aは、ATM100aから受信した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
図14は、第3の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。実行データテーブル211aは、実行データ記憶部210aに予め格納される。実行データテーブル211aには、アップロード用コマンドを示す項目、実行モードを示す項目および実行ファイルを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの実行データに関する情報を示す。
【0108】
アップロード用コマンドを示す項目には、ATM100aに送信するパケットが実行データのアップロードを行うものであることを通知するためのコマンドが設定される。
実行モードを示す項目には、実行ファイルを実行する条件が設定される。実行モードを示す項目には、例えば、時間条件および監視条件が設定される。時間条件は、実行する時間に関する情報が設定される。監視条件は、ログや画面の表示内容に関する情報が設定される。
【0109】
実行ファイルを示す項目には、データ収集のために実行すべき実行ファイルが設定される。
実行データテーブル211aには、例えば、アップロード用コマンドが“UPLOAD”、時間条件が“開始 10:00:00”、“間隔 00:30:00”、監視条件が“xxxx.logに「Error500」が出力”、実行ファイルが“CollectLog.exe”という情報が設定される。これは、実行ファイル“CollectLog.exe”を10時に実行し、それ以降、30分間隔で定期的に実行することを示している。また、ログファイル“xxxx.log”にエラーメッセージとして“Error500”の文字列が出力された場合にも、“CollectLog.exe”を実行することを示している。
【0110】
なお、実行モードには、例えば、実行回数を設定することが考えられる。また、実行モードには、例えば、モニタ11への表示内容を監視条件として設定することが考えられる。
【0111】
図15は、第3の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。応答パケット152は、通信処理部150により生成され、保守用ICカード200aに送信される。応答パケット152には、ヘッダ部152aおよびデータ部152bが設けられている。
【0112】
ヘッダ部152aは、第2の実施の形態の応答パケット151のヘッダ部151aに対応する。ただし、ヘッダ部152aは、ユニークIDを示す領域を含まない。
データ部152bは、応答パケット151のデータ部151bに対応する。
【0113】
図16は、第3の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。収集データテーブル221aは、収集データ記憶部220aに格納される。収集データテーブル221aには、データIDを示す項目、スタンプ情報を示す項目および収集データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの収集データに関する情報を示す。
【0114】
ここで、収集データテーブル221aは、第2の実施の形態の収集データテーブル221に対応する。ただし、収集データテーブル221は、ユニークIDを示す項目を含まない。
【0115】
次に、以上のような構成によって実現されるATM100aおよび保守用ICカード200aの処理について説明する。
まず、保守用ICカード200aによる実行データの送信処理について説明する。
【0116】
図17は、第3の実施の形態の実行データ送信処理の手順を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS31]通信処理部230aは、保守用ICカード200aがICカードR/W111に挿入されると、ATM100からリセット信号を受信する。
【0117】
[ステップS32]通信処理部230aは、実行データ記憶部210aに記憶された実行データを読み出す。
[ステップS33]通信処理部230aは、ATM100aに読み出した実行データを送信する。
【0118】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受け付けると、実行データ記憶部210aに記憶された実行データをATM100aに送信する。ATM100aは、その実行データで指定された実行モードの条件が成立するたびに、実行ファイルを実行する。ATM100aは、その結果得られた収集データを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、受信した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0119】
次に、ATM100aのデータ収集処理について説明する。
図18は、第3の実施の形態のデータ収集処理の手順を示すフローチャートである。以下、図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0120】
[ステップS41]通信処理部150は、保守用ICカード200aから実行データを受信する。通信処理部150は、実行データをデータ収集部160aに出力する。
[ステップS42]データ収集部160aは、実行データに含まれる実行モードを抽出する。
【0121】
[ステップS43]データ収集部160aは、実行モードで指定された条件が成立したか否かを判定する。成立した場合、処理がステップS44に移される。成立していない場合、成立を待機する。
【0122】
[ステップS44]データ収集部160aは、実行データに含まれる実行ファイルを実行し、必要なデータを収集する。
[ステップS45]データ収集部160aは、収集したデータを通信処理部150に出力する。通信処理部150は、取得した収集データを含む応答パケット152を生成する。通信処理部150は、応答パケット152を保守用ICカード200に送信する。
【0123】
[ステップS46]データ収集部160aは、継続してデータの収集が必要であるか否かを判定する。継続して収集する場合、処理がステップS43に移される。継続して収集しない場合、処理が完了する。データ収集部160aは、例えば、実行モードで指定された回数だけ実行ファイルを実行済みか否かを判定することで、この判定処理を行うことができる。
【0124】
このように、ATM100aは、保守用ICカード200aから実行データを受信すると、実行データに含まれる実行モードで指定された条件が成立したタイミングで実行ファイルを実行して、データ収集を行う。そして、ATM100aは、収集したデータを保守用ICカード200aに送信する。
【0125】
次に、保守用ICカード200aにおける収集データの格納処理を説明する。
図19は、第3の実施の形態の収集データ受信処理の手順を示すフローチャートである。以下、図19に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0126】
[ステップS51]通信処理部230aは、応答パケット152を受信した否かを判定する。受信した場合、処理がステップS52に移される。受信していない場合、受信を待機する。
【0127】
[ステップS52]通信処理部230aは、応答パケット152に含まれるスタンプ情報を参照して、収集データを抽出する。
[ステップS53]通信処理部230aは、スタンプ情報と共に、各収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0128】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aから受信した応答パケット152に含まれるスタンプ情報を参照して、応答パケット152に含まれる収集データを取得する。そして、保守用ICカード200aは、取得した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0129】
次に、図17〜19で示した処理の流れを更に具体的に説明する。
図20は、第3の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。以下、図20に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0130】
[ステップS121]ATM100aは、保守用ICカード200aがICカードR/W111に挿入されたことを検知すると、保守用ICカード200aにリセット信号を送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受信する。
【0131】
[ステップS122]保守用ICカード200aは、実行データ記憶部210aに記憶された実行データを読み出す。保守用ICカード200aは、読み出した実行データをATM100aに送信する。ATM100aは、保守用ICカード200aから実行データを受信する。ATM100aは、実行データに含まれる実行モードを抽出して、実行モードで示される条件の成立の有無を監視する。
【0132】
[ステップS123]ATM100aは、実行モードで示される条件が成立すると、実行データに含まれる実行ファイル“CollectLog.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
【0133】
[ステップS124]ATM100aは、収集データから応答パケット(一次)を生成する。ATM100aは、生成した応答パケットを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aから応答パケットを受信する。保守用ICカード200aは、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220aに格納する。
【0134】
[ステップS125]ATM100aは、実行モードで示される条件が成立すると、実行データに含まれる実行ファイル“CollectLog.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
【0135】
[ステップS126]ATM100aは、収集したデータから応答パケット(二次)を生成する。ATM100aは、生成した応答パケットを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aから応答パケットを受信する。保守用ICカード200aは、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220aに格納する。以降、ATM100aは、実行モードで示される条件が成立するたびにデータ収集を行い、収集データを保守用ICカード200aに送信する。
【0136】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受け付けると、リセット信号に応じてATM100aに実行データを送信する。その後、収集データを保守用ICカード200aは、実行データに含まれる実行モードで指定される条件が成立するたびにATM100aから、収集されたデータを受信する。
【0137】
ATM100aは、保守用ICカード200aから取得する実行ファイルを実行することで、各処理時のログ情報やメモリダンプなどを容易に取得することができる。
例えば、保守用ICカードを障害ごとに収集するデータを変えて複数用意しておくと、保守用ICカードの交換のみで、発生した障害ごとの適切なデータ収集を容易に行うことができる。
【0138】
このため、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。すなわち、ATM100a側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となり、デグレーションを引き起こすことがなくなる。また、デグレーション対応のために生じていた動作確認作業も不要となる。
【0139】
また、保守用ICカード200aでは、リセット信号に応じて実行データを送信する。このため、ATM100a側からユニークIDなどのその他の情報を取得する必要がない。したがって、ユニークIDを送信する機能を備えていないATM100aに対しても、保守用ICカード200aによる情報収集が可能となる。
【0140】
また、ATM100aに対して実行ファイルの実行モードを保守用ICカード200aから与えることができる。このため、利用者の多い時間帯にはATM100aに余計な負荷を与えない、エラーの頻発する時間帯を指定するなど、運用に即したデータ収集が可能となる。また、そのための設定に際して、ATM100aでの直接作業が不要であるという利点もある。
【0141】
なお、以上の説明では、ICカードR/W111と保守用ICカード200,200aとは、密着して通信を行うものとしたが、非接触で通信するものであってもよい。その場合、第3の実施の形態のリセット信号に対応する信号として、例えば、ICカードR/W111と保守用ICカード200aとの間のポーリング信号を用いることもできる。
【0142】
また、ATM100,100a側で実行可能なコマンドは、認証された保守用ICカード200,200aから受け付けた実行ファイルに含まれるコマンドのみを実行可能とすることも考えられる。そのために、例えば、保守用ICカード200,200aには、認証コードが登録される。そして、ATM100,100a側で最初にその認証コードによる認証処理を行った後に、保守用ICカード200,200aからの実行データを受け付けるようにすることが考えられる。
【0143】
このようにすると、例えば、不正に作成されたICカードのコマンドをATM100,100aが実行し、ATM100,100aの情報がICカードに書き込まれて外部に持ち出されるなどの情報漏洩を防止することができる。
【0144】
また、保守用ICカード200,200aに記憶する実行データは、運用管理者により適宜変更可能とすることも考えられる。このようにすると、例えば、障害の際に他の有効なログ情報を取得したい場合にも臨機応変に対応することができるので、運用・保守における利便性が向上する。
【0145】
以上、本発明のICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 ICモジュール
1a 実行指示情報記憶部
1b 実行結果情報記憶部
1c 通信処理部
2 情報処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置と通信するIC(Integrated Circuit)モジュール、ICカード、ICモジュールと情報処理装置とを備えた情報処理システムおよびICモジュールのデータ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して複数のコンピュータを接続した情報処理システムが普及している。情報処理システムでは、その運用中、コンピュータの機能の一部に障害が発生することがある。この場合、例えば、保守員が該当のコンピュータの障害対応を行い、障害から復旧させる。
【0003】
ここで、障害の原因調査のために該当のコンピュータなどから調査に必要な情報を取得する必要がある。取得する情報には、例えば、コンピュータで記録されたログや主記憶装置の内容(メモリダンプ)などがある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−112345号公報
【特許文献2】特開平03−098195号公報
【特許文献3】特開平04−175938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2,3に記載の方法では、発生した障害に関連する情報を取得するために、コンピュータ側に障害時の情報収集のためのモジュールを予め設ける必要がある。したがって、例えば、現在取得している情報よりも有効な情報を取得したい場合には、そのモジュールを変更する必要がある。この場合、このような変更がアプリケーションの動作に影響を及ぼす可能性があるという問題がある。また、アプリケーションへの影響を確認するための動作確認作業が別途必要になるという問題がある。すなわち、デグレーション対応が必要となり、情報収集の効率が悪かった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、必要な情報を効率的に取得することが可能なICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、ICモジュールが提供される。このICモジュールは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを有する。実行指示情報記憶部は、情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。
【0008】
また、上記課題を解決するためにICカードが提供される。このICカードは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを有する。実行指示情報記憶部は、情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。
【0009】
また、上記課題を解決するためにICモジュールと情報処理装置とが通信可能に接続された情報処理システムが提供される。ICモジュールは、実行指示情報記憶部と実行結果情報記憶部と通信処理部とを備える。実行指示情報記憶部は、情報処理装置でその命令を実行して取得された実行指示情報を記憶する。実行結果情報記憶部は、情報処理装置における命令の実行結果である実行結果情報を記憶する。通信処理部は、実行指示情報記憶部に記憶された実行指示情報を情報処理装置に送信し、この送信に応じて情報処理装置から実行結果情報を受信し、その実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する。情報処理装置は、受信部と処理部と送信部とを備える。受信部は、ICモジュールの通信処理部から実行指示情報を受信する。処理部は、受信部が受信した実行指示情報に含まれる命令を実行して、実行結果情報を取得する。送信部は、処理部が取得した実行結果情報をICモジュールの通信処理部に送信する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、上記ICモジュールと同様の処理を行うデータ収集方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記ICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法によれば、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態のICモジュールを示す図である。
【図2】第2の実施の形態のATMの外観斜視図である。
【図3】第2の実施の形態のATMのハードウェア構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の保守用ICカードのハードウェア構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の収集オプションテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の業務処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の収集データ取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。
【図13】第3の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。
【図14】第3の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。
【図16】第3の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図17】第3の実施の形態の実行データ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態のデータ収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態の収集データ受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態に関して説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態のICモジュールを示す図である。ICモジュール1は、情報処理装置2の情報を取得する。取得する情報は、例えば情報処理装置2の障害対応に必要な障害情報である。
【0015】
ICモジュール1は、実行指示情報記憶部1a、実行結果情報記憶部1bおよび通信処理部1cを有する。
実行指示情報記憶部1aは、情報処理装置2に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する。
【0016】
実行結果情報記憶部1bは、情報処理装置2における命令の実行結果である実行結果情報を記憶する。
通信処理部1cは、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報を情報処理装置2に送信する。そして、通信処理部1cは、その送信に応じて情報処理装置2から実行結果情報を受信する。通信処理部1cは、受信した実行結果情報を実行結果情報記憶部1bに格納する。
【0017】
ICモジュール1によれば、通信処理部1cにより、実行指示情報記憶部1aに記憶された実行指示情報が情報処理装置2に送信される。そして、通信処理部1cにより、情報処理装置2から、実行指示情報に含まれる命令に対する実行結果情報が受信され、受信された実行結果情報が実行結果情報記憶部1bに格納される。
【0018】
これにより、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。具体的には、情報処理装置2では、ICモジュール1から受信した実行指示情報に基づく処理を実行し、その結果をICモジュール1に応答するので、情報処理装置2側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となる。
【0019】
なお、ICモジュール1は、例えばカード基材に収納され、情報処理装置2に着脱可能に設けることができる。そして、ICモジュール1を取得したい情報に応じて複数用意する。このようにすると、所望の情報を取得するための実行指示情報を記憶したICモジュール1を情報処理装置2に装着させることで、情報処理装置2側での変更作業などを不要として、所望の情報を容易に取得することができる。また、実行指示情報記憶部1aに記憶させる実行指示情報の内容を取得した情報の内容に応じて適宜変更可能とすることも考えられる。
【0020】
ところで、ICモジュール1は、金融機関などに設置される自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)や小売店に設置されるPOS(Point Of Sales)端末装置において、障害の解析に必要な情報を取得する場合に適用できる。これらの装置では、運用に際して高い信頼性が要求される。このため、情報収集の際にもアプリケーションの動作に対するデグレーションなどのリスクを低減し、運用に影響を来たさないよう配慮することが望まれる。このため、ICモジュール1は、ATMやPOS端末装置に適用する場合に、特に有用である。以下では、ICモジュール1をATMに適用する場合を例に採り、更に具体的に説明する。
【0021】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に関して説明する。
図2は、第2の実施の形態のATMの外観斜視図である。(A)は前面斜視図、(B)は背面斜視図(背面扉を開放した状態)を示している。ATM100は、金融機関や小売店などに設置される。顧客は、ATM100を操作して、金融機関との所望の取引(預入、払出、振込など)を行うことができる。ATM100は、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107(図2では図示せず)および制御装置110を有する。
【0022】
紙幣ユニット101は、紙幣の出入、計数、収納を行う。
硬貨ユニット102は、硬貨の出入、計数、収納を行う。
通帳ユニット103は、預金通帳の出入、印刷を行う。
【0023】
キャッシュカードユニット104は、キャッシュカードの出入、キャッシュカードが備える磁気記憶部やICの読み取りを行う。
レシートユニット105は、取引内容や顧客の残高などを示したレシートの印字、放出を行う。
【0024】
タッチパネル106は、タッチ操作を検出する。顧客は、指でタッチパネル106にタッチすることができる。また、顧客は、タッチペンなどのポインティングデバイスを用いてタッチパネル106にタッチすることもできる。タッチパネル106に対するタッチ操作があると、指などの物が接触している位置が検出される。
【0025】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する。ディスプレイ107は、タッチパネル106の下層に位置している。ディスプレイ107の表示する画像は、タッチパネル106を透過して、ATM100の前面から視認可能である。顧客は、ディスプレイ107によって表示された画像を見ながら、タッチパネル106に対するタッチ操作を行える。
【0026】
制御装置110は、ATM100の各部の動作を制御するコンピュータである。制御装置110は、各部の動作状態を監視し、運用管理に必要なログを記録する。また、制御装置110はネットワークと接続され、受け付けた取引の内容を示すデータや取引結果のデータを管理サーバ(図示せず)との間で送受信する。
【0027】
制御装置110は、保守用ICカード200を挿抜可能なカードソケットを備えたICカードR/W(Reader / Writer)111を有する。
ICカードR/W111は、カードソケットに挿入された保守用ICカード200と通信して、データの読み書きを行う。
【0028】
保守用ICカード200は、制御装置110から障害対応に必要な情報を取得し、記憶する。保守用ICカード200は、情報の取得のために制御装置110に実行させる命令を含む実行データを予め記憶している。
【0029】
ICカードR/W111には、カードソケットに挿入された保守用ICカード200と通信するための端子が設けられる。この端子が保守用ICカード200側に設けられた端子と接触することで通信可能となる。
【0030】
なお、ICカードR/W111と保守用ICカード200とは、RFID(Radio Frequency IDentifier)を用いた非接触通信を行うものでもよい。
また、ICカードR/W111は、制御装置110と一体に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置110が備えるUSB(Universal Serial Bus)インタフェースに接続して利用可能な外部デバイスとしてICカードR/W111を用意することもできる。
【0031】
保守用ICカード200の構成の詳細に関しては、後述する。
図3は、第2の実施の形態のATMのハードウェア構成を示す図である。ATM100は、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107および制御装置110を有する。各部は、バス108を介して接続される。
【0032】
ここで、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104、レシートユニット105、タッチパネル106、ディスプレイ107に関しては、図2で同一の符号を付して説明した構成と同一であるため、その説明を省略する。
【0033】
制御装置110は、ICカードR/W111、RAM(Random Access Memory)112、HDD(Hard Disk Drive)113、通信部114およびCPU115を有する。
ICカードR/W111は、図2で同一の符号を付して説明した構成と同一である。
【0034】
RAM112には、CPU115に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションのプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、CPU115による処理に必要な各種データが格納される。
【0035】
HDD113は、制御装置110上のOSやアプリケーションが扱うデータが格納される。なお、HDD113に替えて、例えば、SSD(Solid State Drive)などの他の不揮発性の記憶装置を用いることもできる。
【0036】
通信部114は、ネットワークと接続され、ネットワークを介して管理サーバとデータ通信を行う。
CPU115は、ATM100全体の動作を制御する。CPU115は、例えば、タッチパネル106から取得する入力データに基づいて、取引を開始する。また、CPU115は、例えば、紙幣ユニット101、硬貨ユニット102、通帳ユニット103、キャッシュカードユニット104から取得するデータや通信部113を介して管理サーバから取得するデータに基づいて、取引処理を実行する。更に、CPU115は、取引結果に応じてレシートユニット105にレシートの印字、放出を実行させる。
【0037】
図4は、第2の実施の形態の保守用ICカードのハードウェア構成を示す図である。保守用ICカード200は、IC部201およびカード部202を有する。
IC部201は、制御部201a、メモリ201bおよび通信部201cを有する。
【0038】
制御部201aは、IC部201全体を制御する。
メモリ201bは、制御部201aが実行するプログラムや処理に用いるデータを記憶する。メモリ201bは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリおよびFeRAM(Ferroelectric RAM)などである。
【0039】
通信部201cは、制御部201aから取得する送信データをICカードR/W111に出力する。また、通信部201cは、ICカードR/W111から取得する受信データを制御部201aに出力する。
【0040】
図5は、第2の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。ATM100は、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140、通信処理部150、データ収集部160および収集オプション記憶部170を有する。これらの機能は、CPU115が所定のプログラムを実行することで実現される。なお、これらの機能の一部または全部を専用のハードウェアにより実現してもよい。
【0041】
取引情報記憶部120は、金融取引に用いるデータを記憶する。
ログ情報記憶部130は、ATM100で生成されたログ情報を記憶する。
取引処理部140は、タッチパネル106に対する顧客の操作入力を受け付け、操作入力により指定された取引処理を実行する。
【0042】
通信処理部150は、保守用ICカード200との間でデータ通信を行う。通信処理部150は、保守用ICカード200の挿入を検知すると、通信開始のための所定のリセット信号を保守用ICカード200に送信する。なお、リセット信号の送受信に関しては、密着型ICカードとR/Wユニットとの間の情報処理に関する国際標準規格“ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission) 10536−3”に規定されている。その後、通信処理部150は、データ収集部160からの指示に応じて、保守用ICカード200に実行データの送信を促す実行データ要求を出力する。通信処理部150は、保守用ICカード200から受信した実行データをデータ収集部160に出力する。
【0043】
ここで、実行データは、保守用ICカード200に予め記憶される。実行データには、情報収集のためにCPU115の実行すべき命令(コマンド)を設定した実行ファイルが含まれる。
【0044】
また、通信処理部150は、データ収集部160から取得する収集データを保守用ICカード200に送信する。
データ収集部160は、通信処理部150から実行データを取得する。データ収集部160は、実行データに基づいてデータ収集を行う。データ収集部160は、収集したデータ(収集データ)を通信処理部150に出力する。
【0045】
収集データには、ログ情報記憶部130に記憶されたログファイルや、取引処理部140がモニタ11に出力した画像データなどが含まれる。また、収集データには、RAM112の内容やHDD113上の仮想メモリ領域の内容(メモリダンプ)が含まれる。
【0046】
なお、データ収集部160は、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを参照して、保守用ICカード200から実行データを取得するタイミングを制御する。収集オプションには、実行データを取得してデータ収集を行うタイミング(以下、収集ポイントという)が定義される。データ収集部160は、収集オプションに基づいて、取引処理部140により実行される各処理につき情報収集を行うか否かを決定する。
【0047】
収集オプション記憶部170は、収集ポイントを定義した収集オプションを記憶する。収集オプションは、ATM100の管理者により予め作成され、収集オプション記憶部170に格納される。
【0048】
保守用ICカード200は、実行データ記憶部210、収集データ記憶部220および通信処理部230を有する。
実行データ記憶部210は、実行データを記憶する。なお、実行データ記憶部210は、ATM100で実行される処理内容に応じて複数の実行データを記憶する。
【0049】
収集データ記憶部220は、通信処理部230がATM100から取得した収集データを記憶する。
通信処理部230は、ATM100から実行データ要求を受信すると、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に応じた実行データを取得する。そして、通信処理部230は、取得した実行データをATM100に送信する。
【0050】
更に、通信処理部230は、ATM100から受信した収集データを収集データ記憶部220に格納する。
図6は、第2の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。実行データテーブル211は、実行データ記憶部210に予め格納される。実行データテーブル211には、ユニークID(IDentifier)を示す項目および実行データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの実行データに関する情報を示す。
【0051】
ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。実行データを示す項目には、該当の収集ポイントで実行すべきコマンドの実行ファイルが設定される。
【0052】
実行データテーブル211には、例えば、ユニークIDが“001”、実行データが“CollectLog001.exe”という情報が設定される。これは、ユニークID“001”で示される収集ポイントにおいて、データ収集部160に実行データ“CollectLog001.exe”を実行させることを示している。
【0053】
実行データには、例えば、ログ情報記憶部130に記憶されたログ情報や、取引処理部140への入力内容および取引処理部140からの出力内容(画面表示など)を取得するためのコマンドが定義される。また、例えば、RAM112のダンプを取得するためのコマンドが定義される。
【0054】
図7は、第2の実施の形態の収集オプションテーブルのデータ構造例を示す図である。収集オプションテーブル171は、収集オプション記憶部170に予め格納される。収集オプションテーブル171には、ユニークIDを示す項目、処理内容を示す項目および有効/無効設定を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つのオプション情報を示す。
【0055】
ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。
処理内容を示す項目には、取引処理において発生し得る処理の内容を示す情報が設定される。ここでは、処理内容は、1つのトランザクションに含まれる各処理をその単位とする。ただし、処理内容をトランザクション単位、あるいは、複数のトランザクションから構成される業務処理単位に定義してもよい。
【0056】
有効/無効設定を示す項目には、該当の収集ポイントを有効とするか無効とするかを示す情報が設定される。
収集オプションテーブル171には、例えば、ユニークIDが“002”、処理内容が“DBオープン”、有効/無効設定が“無効”という情報が設定される。これは、ユニークID“001”で示される収集ポイントは、処理内容“DB(DataBase)オープン”を実行するタイミングに対応していることを示している。また、“DBオープン”の処理時には、収集ポイントが“無効”、すなわち、情報の収集を行わないことを示している。この場合、ATM100は、保守用ICカード200に対して、実行データ要求を送信しない。
【0057】
また、収集オプションテーブル171には、例えば、ユニークIDが“002”、処理内容が“レコード読み出し”、有効/無効設定が“有効”という情報が設定される。これは、ユニークID“002”で示される収集ポイントは、処理内容“レコード読み出し”を実行するタイミングに対応していることを示している。また、“レコード読み出し”の処理時には、収集ポイントが“有効”、すなわち、情報の収集を行うことを示している。この場合、ATM100は、保守用ICカード200に対して、実行データ要求を送信する。
【0058】
なお、ATM100が保守用ICカード200に送信する実行データ要求には、ユニークIDが含まれる。保守用ICカード200は、実行データ要求に含まれるユニークIDと、実行データ記憶部210に記憶された実行データテーブル211と、を参照して、ATM100に送信すべき実行ファイルを特定することができる。
【0059】
図8は、第2の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。応答パケット151は、通信処理部150により生成され、保守用ICカード200に送信される。応答パケット151には、ヘッダ部151aおよびデータ部151bが設けられている。
【0060】
ヘッダ部151aは、応答パケット151全体に関する情報が含まれる。ヘッダ部151aには、応答コマンドを示す領域、ユニークIDを示す領域および全体長を示す領域が含まれる。応答コマンドを示す領域には、このパケットが収集データを応答するためのパケットであることを示すコマンド(例えば、“Response”)が設定される。ユニークIDを示す領域には、応答パケット151に含まれる収集データが取得された収集ポイントを示すユニークID(例えば、“001”)が設定される。全体長を示す領域には、応答パケット151の全体のデータサイズ(例えば、“20KByte”)が設定される。
【0061】
データ部151bは、データ収集部160が収集したデータを格納する領域である。データ部151bは、該当の収集ポイントで実行されたコマンドにより収集された収集データの数に応じて、応答パケット151に複数設けられる。
【0062】
データ部151bには、スタンプ情報を示す領域および収集データを示す領域が設けられる。スタンプ情報を示す領域は、収集データに関するスタンプ情報が設定される。スタンプ情報としては、日時、データ種別およびデータ長などの情報が考えられる。
【0063】
日時は、該当の収集データが取得された日時を示す。日時には、例えば、“2009/5/29 10:30:14”という情報が設定される。
データ種別は、該当の収集データの種別を示す。データ種別には、例えば、“支払テーブル”という情報が設定される。
【0064】
データ長は、該当の収集データのデータサイズを示す。データ長には、例えば、“100Byte”という情報が設定される。
収集データを示す領域には、データ収集部160が取得したデータが設定される。収集データには、例えば、“支払テーブル.csv”が設定される。
【0065】
図9は、第2の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。収集データテーブル221は、収集データ記憶部220に格納される。収集データテーブル221には、データIDを示す項目、ユニークIDを示す項目、スタンプ情報を示す項目および収集データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの収集データに関する情報を示す。
【0066】
データIDを示す項目には、収集データの識別情報が設定される。ユニークIDを示す項目には、収集ポイントを識別するための識別情報が設定される。スタンプ情報を示す項目には、該当の収集データを示すスタンプ情報が設定される。スタンプ情報には、例えば、日時、データ種別およびデータ長が含まれる。収集データを示す項目には、ATM100から取得した収集データが設定される。
【0067】
収集データテーブル221には、例えば、データIDが“11”、ユニークIDが“001”、日時が“2009/5/29 10:30:14”、データ種別が“支払テーブル”、データ長が“100Byte”、収集データが“支払テーブル.csv”という情報が設定される。
【0068】
次に、以上のような構成によって実現されるATM100および保守用ICカード200の処理について説明する。
まず、ATM100で実行される業務処理について説明する。
【0069】
図10は、第2の実施の形態の業務処理の手順を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]取引処理部140は、タッチパネル106に対する操作入力に応じた業務処理要求を受け付ける。
【0070】
[ステップS12]取引処理部140は、受け付けた業務処理についての処理を実行する。図7で示したように、処理内容は1つのトランザクションに含まれる各処理を単位として定義されている。例えば、取引情報記憶部120に記憶された取引情報のレコード更新のトランザクションが発生し、次に実行すべき処理内容がDBオープンである場合には、処理内容として“DBオープン”が実行される。取引処理部140は、実行した処理内容をデータ収集部160に通知する。
【0071】
[ステップS13]データ収集部160は、取引処理部140から通知された処理内容をキーとして、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを検索する。そして、データ収集部160は、該当の処理内容についてデータ収集を行うか否かを判定する。なお、この判定は、収集オプションに該当の処理内容につき収集ポイントの有効/無効設定を照会することで実行することができる。データ収集を行う、すなわち、収集ポイントが“有効”である場合、データ収集部160は処理内容に対応するユニークIDを通信処理部150に通知して、処理がステップS14に移される。データ収集を行わない、すなわち、収集ポイントが“無効”である場合、処理がステップS18に移される。
【0072】
[ステップS14]データ収集部160は、通信処理部150へ実行データ要求を送信するよう依頼する。通信処理部150は、保守用ICカード200に対して実行データ要求を送信する。なお、通信処理部150は、データ収集部160から通知されたユニークIDを実行データ要求に含める。
【0073】
[ステップS15]通信処理部150は、実行データ要求に応じて、保守用ICカード200から実行データを受信する。通信処理部150は、受信した実行データをデータ収集部160に出力する。
【0074】
[ステップS16]データ収集部160は、実行データに含まれる実行ファイルを実行し、必要なデータを収集する。
[ステップS17]データ収集部160は、収集したデータを通信処理部150に出力する。通信処理部150は、取得した収集データを含む応答パケット151を生成する。通信処理部150は、応答パケット151を保守用ICカード200に送信する。
【0075】
[ステップS18]取引処理部140は、受け付けた業務処理について、次に実行すべき処理があるか否かを判定する。次に実行すべき処理がある場合、取引処理部140は、該当の処理内容をデータ収集部160に通知して、処理がステップS12に移される。次に実行すべき処理がない場合、処理が完了する。
【0076】
このように、ATM100は、業務処理要求を受け付けると、業務処理に必要な処理を順次実行する。そして、ATM100は、各処理を実行する際に、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションを参照して、該当の処理に対する収集ポイントが有効に設定されているか否かを判定する。そして、ATM100は、収集ポイントが有効である場合には、保守用ICカード200に対して実行データ要求を送信し、該当の処理に関する情報収集を行い、収集したデータを保守用ICカード200に送信する。
【0077】
なお、ステップS12の処理の実行は、ステップS15の実行データ受信の後に行ってもよい。
また、ステップS15では、保守用ICカード200が実行データ要求に含まれるユニークIDに対応する実行データを有していない場合も考えられる。この場合、通信処理部150は、保守用ICカード200からその旨の通知を受ける。そして、この通知に応じて処理がステップS16に移される。
【0078】
更に、図10の例では、処理内容の単位を1つのトランザクションに含まれる処理の単位とした。ただし、図7でも説明したように、トランザクション単位とすることも考えられる。また、複数のトランザクションを含む業務処理単位とすることも考えられる。
【0079】
次に、保守用ICカード200側で実行される処理を説明する。
図11は、第2の実施の形態の収集データ取得処理の手順を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0080】
[ステップS21]通信処理部230は、ATM100から実行データ要求を受信する。
[ステップS22]通信処理部230は、実行データ要求に含まれるユニークIDを抽出する。通信処理部230は、実行データ記憶部210に記憶された実行データテーブル211を参照して、ユニークIDに対応する実行ファイルが存在するか否かを判定する。実行ファイルが存在する場合、処理がステップS23に移される。実行ファイルが存在しない場合、その旨をATM100に通知して処理が完了する。
【0081】
[ステップS23]通信処理部230は、実行データ記憶部210からユニークIDに対応する実行データを読み出す。
[ステップS24]通信処理部230は、読み出した実行データをATM100に送信する。
【0082】
[ステップS25]通信処理部230は、送信した実行データに応じて応答パケット151をATM100から受信する。
[ステップS26]通信処理部230は、応答パケット151に含まれる収集データやそのスタンプ情報などを抽出して収集データ記憶部220に格納する。
【0083】
このように、保守用ICカード200は、ATM100からユニークIDを含む実行データ要求を受信すると、ユニークIDに応じた実行データをATM100に送信する。そして、保守用ICカード200は、送信した実行データに応じてATM100から応答パケット151を受信し、応答パケット151に含まれる収集データを収集データ記憶部220に格納する。
【0084】
次に、図10,11で示した処理の流れを更に具体的に説明する。以下では、業務処理として次のような一連の処理を含むトランザクションが発生した場合を想定する。すなわち、(1)DBのオープン処理、(2)レコードの読み出し処理、(3)レコードの書き込み処理、(4)DBのクローズ処理、である。
【0085】
図12は、第2の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS101]ATM100は、タッチパネル106に対する顧客の操作入力に応じた業務処理要求を受け付ける。
【0086】
[ステップS102]ATM100は、(1)DBオープン処理を実行する。DBオープン処理に関しては、収集オプション記憶部170に記憶された収集オプションテーブル171で収集ポイントが無効にされているため、ATM100はDBオープン処理に対するデータ収集を行わない。
【0087】
[ステップS103]ATM100は、(2)レコード読み出し処理を実行する。
[ステップS104]ATM100は、レコード読み出し処理に対応する実行データ要求を保守用ICカード200に送信する。なお、ATM100は、この実行データ要求にレコード読み出しに対応するユニークID“002”を含める。保守用ICカード200は、ATM100から実行データ要求を受信する。
【0088】
[ステップS105]保守用ICカード200は、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に含まれるユニークID“002”に対応する実行ファイル“CollectLog002.exe”を取得する。保守用ICカード200は、取得した実行ファイルをATM100に送信する。ATM100は、保守用ICカード200から実行ファイル“CollectLog002.exe”を受信する。
【0089】
[ステップS106]ATM100は、実行ファイル“CollectLog002.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
[ステップS107]ATM100は、収集データから応答パケット(ユニークID=002)を生成する。ATM100は、応答パケットを保守用ICカード200に送信する。保守用ICカード200は、ATM100から応答パケットを受信する。保守用ICカード200は、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220に格納する。
【0090】
[ステップS108]ATM100は、(3)レコード書き込み処理を実行する。
[ステップS109]ATM100は、レコード書き込み処理に対応する実行データ要求を保守用ICカード200に送信する。なお、ATM100は、この実行データ要求にレコード書き込みに対応するユニークID“003”を含める。保守用ICカード200は、ATM100から実行データ要求を受信する。
【0091】
[ステップS110]保守用ICカード200は、実行データ記憶部210を参照して、実行データ要求に含まれるユニークID“003”に対応する実行ファイル“CollectLog003.exe”を取得する。保守用ICカード200は、取得した実行ファイルをATM100に送信する。ATM100は、保守用ICカード200から実行ファイル“CollectLog003.exe”を受信する。
【0092】
[ステップS111]ATM100は、実行ファイル“CollectLog003.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
[ステップS112]ATM100は、収集データから応答パケット(ユニークID=003)を生成する。ATM100は、応答パケットを保守用ICカード200に送信する。保守用ICカード200は、ATM100から応答パケットを受信する。保守用ICカード200は、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220に格納する。
【0093】
[ステップS113]ATM100は、(4)DBクローズ処理を実行する。DBクローズ処理に関しては、収集オプションテーブル171で収集ポイントが無効にされているため、ATM100はデータ収集を行わない。
【0094】
このように、保守用ICカード200は、ATM100から受け付けたユニークIDに対応する実行データをATM100に送信する。保守用ICカード200は、実行データに応じた収集データをATM100から受信し、収集データ記憶部220に格納する。
【0095】
ATM100は、収集ポイントが有効とされた処理を実行したタイミングで、保守用ICカード200から取得する実行ファイルを実行することで、各処理時のログ情報やメモリダンプなどを容易に取得することができる。
【0096】
例えば、保守用ICカードを障害ごとに収集するデータを変えて複数用意しておくと、保守用ICカードの交換のみで、発生した障害ごとの適切なデータ収集を容易に行うことができる。
【0097】
このため、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。すなわち、ATM100側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となり、デグレーションを引き起こすことがなくなる。また、デグレーション対応のために生じていた動作確認作業も不要となる。
【0098】
また、収集ポイントの有効/無効をATM100側の収集オプションテーブル171に設定できるため、ATM100側での運用の都合により、対応する処理についてデータ収集を行うか否かを調整することができる。
【0099】
[第3の実施の形態]
以下、第3の実施の形態に関して説明する。前述の第2の実施の形態との相違点を主に説明し、同一の事項に関しては説明を省略する。
【0100】
第2の実施の形態では、保守用ICカード200は、ATM100から通知されたユニークIDに応答して、対応する実行データをATM100に送信するものとした。
一方、第3の実施の形態では、ユニークIDの受信の有無に関わらず、保守用ICカード側からATMに実行させる情報を積極的に送信する。これによって、より汎用的な保守用ICカードを提供する。以下、このような保守用ICカードに関して説明する。
【0101】
第3の実施の形態のATMおよび保守用ICカードのハードウェア構成は、図2〜4で示した第2の実施の形態のATM100および保守用ICカード200のハードウェア構成と同一であるため、説明を省略する。
【0102】
図13は、第3の実施の形態の各装置の機能構成を示す図である。ATM100aは、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140、通信処理部150およびデータ収集部160aを有する。これらの機能は、CPU115が所定のプログラムを実行することで実現される。なお、これらの機能の一部または全部を専用のハードウェアにより実現してもよい。
【0103】
ここで、取引情報記憶部120、ログ情報記憶部130、取引処理部140および通信処理部150に関しては、図5のATM100において同一の符号を付して説明した構成と同一であるため説明を省略する。
【0104】
データ収集部160aは、通信処理部150から実行データを取得する。データ収集部160aは、実行データに含まれるデータ収集のためのコマンドを実行する。
ここで、実行データには、データ収集のためのコマンドに加えて、コマンド実行のための条件(以下、実行モードという)が含まれる。データ収集部160aは、実行モードで指定される条件が成立したときに、データ収集のためのコマンドを実行する。
【0105】
保守用ICカード200aは、実行データ記憶部210a、収集データ記憶部220aおよび通信処理部230aを有する。
実行データ記憶部210aは、実行データを記憶する。
【0106】
収集データ記憶部220aは、通信処理部230aがATM100aから取得した収集データを記憶する。
通信処理部230aは、ATM100aからリセット信号を受信すると、実行データ記憶部210に記憶された実行データを取得する。通信処理部230aは、取得した実行データをATM100aに送信する。
【0107】
更に、通信処理部230aは、ATM100aから受信した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
図14は、第3の実施の形態の実行データテーブルのデータ構造例を示す図である。実行データテーブル211aは、実行データ記憶部210aに予め格納される。実行データテーブル211aには、アップロード用コマンドを示す項目、実行モードを示す項目および実行ファイルを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの実行データに関する情報を示す。
【0108】
アップロード用コマンドを示す項目には、ATM100aに送信するパケットが実行データのアップロードを行うものであることを通知するためのコマンドが設定される。
実行モードを示す項目には、実行ファイルを実行する条件が設定される。実行モードを示す項目には、例えば、時間条件および監視条件が設定される。時間条件は、実行する時間に関する情報が設定される。監視条件は、ログや画面の表示内容に関する情報が設定される。
【0109】
実行ファイルを示す項目には、データ収集のために実行すべき実行ファイルが設定される。
実行データテーブル211aには、例えば、アップロード用コマンドが“UPLOAD”、時間条件が“開始 10:00:00”、“間隔 00:30:00”、監視条件が“xxxx.logに「Error500」が出力”、実行ファイルが“CollectLog.exe”という情報が設定される。これは、実行ファイル“CollectLog.exe”を10時に実行し、それ以降、30分間隔で定期的に実行することを示している。また、ログファイル“xxxx.log”にエラーメッセージとして“Error500”の文字列が出力された場合にも、“CollectLog.exe”を実行することを示している。
【0110】
なお、実行モードには、例えば、実行回数を設定することが考えられる。また、実行モードには、例えば、モニタ11への表示内容を監視条件として設定することが考えられる。
【0111】
図15は、第3の実施の形態の応答パケットの構造例を示す図である。応答パケット152は、通信処理部150により生成され、保守用ICカード200aに送信される。応答パケット152には、ヘッダ部152aおよびデータ部152bが設けられている。
【0112】
ヘッダ部152aは、第2の実施の形態の応答パケット151のヘッダ部151aに対応する。ただし、ヘッダ部152aは、ユニークIDを示す領域を含まない。
データ部152bは、応答パケット151のデータ部151bに対応する。
【0113】
図16は、第3の実施の形態の収集データテーブルのデータ構造例を示す図である。収集データテーブル221aは、収集データ記憶部220aに格納される。収集データテーブル221aには、データIDを示す項目、スタンプ情報を示す項目および収集データを示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの収集データに関する情報を示す。
【0114】
ここで、収集データテーブル221aは、第2の実施の形態の収集データテーブル221に対応する。ただし、収集データテーブル221は、ユニークIDを示す項目を含まない。
【0115】
次に、以上のような構成によって実現されるATM100aおよび保守用ICカード200aの処理について説明する。
まず、保守用ICカード200aによる実行データの送信処理について説明する。
【0116】
図17は、第3の実施の形態の実行データ送信処理の手順を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS31]通信処理部230aは、保守用ICカード200aがICカードR/W111に挿入されると、ATM100からリセット信号を受信する。
【0117】
[ステップS32]通信処理部230aは、実行データ記憶部210aに記憶された実行データを読み出す。
[ステップS33]通信処理部230aは、ATM100aに読み出した実行データを送信する。
【0118】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受け付けると、実行データ記憶部210aに記憶された実行データをATM100aに送信する。ATM100aは、その実行データで指定された実行モードの条件が成立するたびに、実行ファイルを実行する。ATM100aは、その結果得られた収集データを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、受信した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0119】
次に、ATM100aのデータ収集処理について説明する。
図18は、第3の実施の形態のデータ収集処理の手順を示すフローチャートである。以下、図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0120】
[ステップS41]通信処理部150は、保守用ICカード200aから実行データを受信する。通信処理部150は、実行データをデータ収集部160aに出力する。
[ステップS42]データ収集部160aは、実行データに含まれる実行モードを抽出する。
【0121】
[ステップS43]データ収集部160aは、実行モードで指定された条件が成立したか否かを判定する。成立した場合、処理がステップS44に移される。成立していない場合、成立を待機する。
【0122】
[ステップS44]データ収集部160aは、実行データに含まれる実行ファイルを実行し、必要なデータを収集する。
[ステップS45]データ収集部160aは、収集したデータを通信処理部150に出力する。通信処理部150は、取得した収集データを含む応答パケット152を生成する。通信処理部150は、応答パケット152を保守用ICカード200に送信する。
【0123】
[ステップS46]データ収集部160aは、継続してデータの収集が必要であるか否かを判定する。継続して収集する場合、処理がステップS43に移される。継続して収集しない場合、処理が完了する。データ収集部160aは、例えば、実行モードで指定された回数だけ実行ファイルを実行済みか否かを判定することで、この判定処理を行うことができる。
【0124】
このように、ATM100aは、保守用ICカード200aから実行データを受信すると、実行データに含まれる実行モードで指定された条件が成立したタイミングで実行ファイルを実行して、データ収集を行う。そして、ATM100aは、収集したデータを保守用ICカード200aに送信する。
【0125】
次に、保守用ICカード200aにおける収集データの格納処理を説明する。
図19は、第3の実施の形態の収集データ受信処理の手順を示すフローチャートである。以下、図19に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0126】
[ステップS51]通信処理部230aは、応答パケット152を受信した否かを判定する。受信した場合、処理がステップS52に移される。受信していない場合、受信を待機する。
【0127】
[ステップS52]通信処理部230aは、応答パケット152に含まれるスタンプ情報を参照して、収集データを抽出する。
[ステップS53]通信処理部230aは、スタンプ情報と共に、各収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0128】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aから受信した応答パケット152に含まれるスタンプ情報を参照して、応答パケット152に含まれる収集データを取得する。そして、保守用ICカード200aは、取得した収集データを収集データ記憶部220aに格納する。
【0129】
次に、図17〜19で示した処理の流れを更に具体的に説明する。
図20は、第3の実施の形態の収集データ取得の流れの具体例を示すシーケンス図である。以下、図20に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0130】
[ステップS121]ATM100aは、保守用ICカード200aがICカードR/W111に挿入されたことを検知すると、保守用ICカード200aにリセット信号を送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受信する。
【0131】
[ステップS122]保守用ICカード200aは、実行データ記憶部210aに記憶された実行データを読み出す。保守用ICカード200aは、読み出した実行データをATM100aに送信する。ATM100aは、保守用ICカード200aから実行データを受信する。ATM100aは、実行データに含まれる実行モードを抽出して、実行モードで示される条件の成立の有無を監視する。
【0132】
[ステップS123]ATM100aは、実行モードで示される条件が成立すると、実行データに含まれる実行ファイル“CollectLog.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
【0133】
[ステップS124]ATM100aは、収集データから応答パケット(一次)を生成する。ATM100aは、生成した応答パケットを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aから応答パケットを受信する。保守用ICカード200aは、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220aに格納する。
【0134】
[ステップS125]ATM100aは、実行モードで示される条件が成立すると、実行データに含まれる実行ファイル“CollectLog.exe”を実行し、この実行ファイルで指定されるデータを収集する。
【0135】
[ステップS126]ATM100aは、収集したデータから応答パケット(二次)を生成する。ATM100aは、生成した応答パケットを保守用ICカード200aに送信する。保守用ICカード200aは、ATM100aから応答パケットを受信する。保守用ICカード200aは、応答パケットに含まれる収集データを抽出して、収集データ記憶部220aに格納する。以降、ATM100aは、実行モードで示される条件が成立するたびにデータ収集を行い、収集データを保守用ICカード200aに送信する。
【0136】
このように、保守用ICカード200aは、ATM100aからリセット信号を受け付けると、リセット信号に応じてATM100aに実行データを送信する。その後、収集データを保守用ICカード200aは、実行データに含まれる実行モードで指定される条件が成立するたびにATM100aから、収集されたデータを受信する。
【0137】
ATM100aは、保守用ICカード200aから取得する実行ファイルを実行することで、各処理時のログ情報やメモリダンプなどを容易に取得することができる。
例えば、保守用ICカードを障害ごとに収集するデータを変えて複数用意しておくと、保守用ICカードの交換のみで、発生した障害ごとの適切なデータ収集を容易に行うことができる。
【0138】
このため、必要な情報を効率的に取得することが可能となる。すなわち、ATM100a側で取得したい情報に応じたアプリケーションの変更作業が不要となり、デグレーションを引き起こすことがなくなる。また、デグレーション対応のために生じていた動作確認作業も不要となる。
【0139】
また、保守用ICカード200aでは、リセット信号に応じて実行データを送信する。このため、ATM100a側からユニークIDなどのその他の情報を取得する必要がない。したがって、ユニークIDを送信する機能を備えていないATM100aに対しても、保守用ICカード200aによる情報収集が可能となる。
【0140】
また、ATM100aに対して実行ファイルの実行モードを保守用ICカード200aから与えることができる。このため、利用者の多い時間帯にはATM100aに余計な負荷を与えない、エラーの頻発する時間帯を指定するなど、運用に即したデータ収集が可能となる。また、そのための設定に際して、ATM100aでの直接作業が不要であるという利点もある。
【0141】
なお、以上の説明では、ICカードR/W111と保守用ICカード200,200aとは、密着して通信を行うものとしたが、非接触で通信するものであってもよい。その場合、第3の実施の形態のリセット信号に対応する信号として、例えば、ICカードR/W111と保守用ICカード200aとの間のポーリング信号を用いることもできる。
【0142】
また、ATM100,100a側で実行可能なコマンドは、認証された保守用ICカード200,200aから受け付けた実行ファイルに含まれるコマンドのみを実行可能とすることも考えられる。そのために、例えば、保守用ICカード200,200aには、認証コードが登録される。そして、ATM100,100a側で最初にその認証コードによる認証処理を行った後に、保守用ICカード200,200aからの実行データを受け付けるようにすることが考えられる。
【0143】
このようにすると、例えば、不正に作成されたICカードのコマンドをATM100,100aが実行し、ATM100,100aの情報がICカードに書き込まれて外部に持ち出されるなどの情報漏洩を防止することができる。
【0144】
また、保守用ICカード200,200aに記憶する実行データは、運用管理者により適宜変更可能とすることも考えられる。このようにすると、例えば、障害の際に他の有効なログ情報を取得したい場合にも臨機応変に対応することができるので、運用・保守における利便性が向上する。
【0145】
以上、本発明のICモジュール、ICカード、情報処理システムおよびデータ収集方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、本発明は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 ICモジュール
1a 実行指示情報記憶部
1b 実行結果情報記憶部
1c 通信処理部
2 情報処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を有することを特徴とするICモジュール。
【請求項2】
前記通信処理部は、前記情報処理装置から所定のリセット信号を受信すると、前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1記載のICモジュール。
【請求項3】
前記実行指示情報は、前記命令を実行する契機となる実行条件を含んでおり、
前記通信処理部は、前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信した後、前記実行条件に応じたタイミングで前記実行結果情報を前記情報処理装置から受信する、
ことを特徴とする請求項2記載のICモジュール。
【請求項4】
前記実行条件は、前記命令を実行する日時、時間間隔、実行回数、前記情報処理装置側でログ出力された内容および前記情報処理装置側で画面表示された内容の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3記載のICモジュール。
【請求項5】
前記実行指示情報記憶部には、前記情報処理装置が実行する複数の処理内容に対応付けて複数の前記実行指示情報が記憶されており、
前記通信処理部は、前記情報処理装置から処理内容を示す情報を取得すると、前記実行指示情報記憶部を参照して、当該処理内容に対応する実行指示情報を前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のICモジュール。
【請求項6】
前記実行指示情報は、前記情報処理装置の障害対応に必要な障害情報を収集する命令を含んでおり、
前記通信処理部は、前記実行結果情報として前記障害情報を前記情報処理装置から受信する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項7】
前記ICモジュールは、前記情報処理装置に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項8】
前記ICモジュールは、カード基材に収納されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項9】
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項10】
ICモジュールと情報処理装置とが通信可能に接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を備える前記ICモジュールと、
前記通信処理部から前記実行指示情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記実行指示情報に含まれる前記命令を実行して、前記実行結果情報を取得する処理部と、
前記処理部が取得した前記実行結果情報を前記通信処理部に送信する送信部と、
を備える前記情報処理装置と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
前記実行指示情報記憶部には、前記情報処理装置が実行する複数の処理内容に対応付けて複数の前記実行指示情報が記憶されており、
前記通信処理部は、前記情報処理装置から処理内容を示す情報を取得すると、前記実行指示情報記憶部を参照して、当該処理内容に対応する実行指示情報を前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項10記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記複数の処理内容に対応付けて前記実行指示情報の取得の要否を示すオプション情報を記憶するオプション情報記憶部を更に有し、
前記処理部は、処理内容を実行する際に前記オプション情報記憶部に記憶された前記オプション情報を参照して、当該処理内容に対して前記実行指示情報の取得要否を判定し、
前記送信部は、前記処理部が前記実行指示情報の取得が必要と判定すると、前記処理内容を示す情報を前記ICモジュールに送信する、
ことを特徴とする請求項11記載の情報処理システム。
【請求項13】
ICモジュールのデータ収集方法であって、
前記ICモジュールが、
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が前記命令を実行して取得した実行結果情報を前記情報処理装置から受信し、
受信した当該実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する、
ことを特徴とするデータ収集方法。
【請求項1】
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を有することを特徴とするICモジュール。
【請求項2】
前記通信処理部は、前記情報処理装置から所定のリセット信号を受信すると、前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1記載のICモジュール。
【請求項3】
前記実行指示情報は、前記命令を実行する契機となる実行条件を含んでおり、
前記通信処理部は、前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信した後、前記実行条件に応じたタイミングで前記実行結果情報を前記情報処理装置から受信する、
ことを特徴とする請求項2記載のICモジュール。
【請求項4】
前記実行条件は、前記命令を実行する日時、時間間隔、実行回数、前記情報処理装置側でログ出力された内容および前記情報処理装置側で画面表示された内容の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3記載のICモジュール。
【請求項5】
前記実行指示情報記憶部には、前記情報処理装置が実行する複数の処理内容に対応付けて複数の前記実行指示情報が記憶されており、
前記通信処理部は、前記情報処理装置から処理内容を示す情報を取得すると、前記実行指示情報記憶部を参照して、当該処理内容に対応する実行指示情報を前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のICモジュール。
【請求項6】
前記実行指示情報は、前記情報処理装置の障害対応に必要な障害情報を収集する命令を含んでおり、
前記通信処理部は、前記実行結果情報として前記障害情報を前記情報処理装置から受信する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項7】
前記ICモジュールは、前記情報処理装置に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項8】
前記ICモジュールは、カード基材に収納されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のICモジュール。
【請求項9】
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項10】
ICモジュールと情報処理装置とが通信可能に接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部と、
前記情報処理装置で前記命令を実行して取得された実行結果情報を記憶する実行結果情報記憶部と、
前記実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、当該送信に応じて前記情報処理装置から前記実行結果情報を受信し、当該実行結果情報を前記実行結果情報記憶部に格納する通信処理部と、
を備える前記ICモジュールと、
前記通信処理部から前記実行指示情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記実行指示情報に含まれる前記命令を実行して、前記実行結果情報を取得する処理部と、
前記処理部が取得した前記実行結果情報を前記通信処理部に送信する送信部と、
を備える前記情報処理装置と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
前記実行指示情報記憶部には、前記情報処理装置が実行する複数の処理内容に対応付けて複数の前記実行指示情報が記憶されており、
前記通信処理部は、前記情報処理装置から処理内容を示す情報を取得すると、前記実行指示情報記憶部を参照して、当該処理内容に対応する実行指示情報を前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項10記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記複数の処理内容に対応付けて前記実行指示情報の取得の要否を示すオプション情報を記憶するオプション情報記憶部を更に有し、
前記処理部は、処理内容を実行する際に前記オプション情報記憶部に記憶された前記オプション情報を参照して、当該処理内容に対して前記実行指示情報の取得要否を判定し、
前記送信部は、前記処理部が前記実行指示情報の取得が必要と判定すると、前記処理内容を示す情報を前記ICモジュールに送信する、
ことを特徴とする請求項11記載の情報処理システム。
【請求項13】
ICモジュールのデータ収集方法であって、
前記ICモジュールが、
情報処理装置に実行させる命令を含む実行指示情報を記憶する実行指示情報記憶部に記憶された前記実行指示情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が前記命令を実行して取得した実行結果情報を前記情報処理装置から受信し、
受信した当該実行結果情報を実行結果情報記憶部に格納する、
ことを特徴とするデータ収集方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−13754(P2011−13754A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155171(P2009−155171)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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