説明

ICAM−1に対するヒト化抗体、それらの生成および使用

【課題】本発明は、ヒト化抗体(例えば、ICAM−1に結合する抗体)、使用方法および抗体を生成する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の抗体は、HumA、HumB、HumC、HumD、HumE、HumF、HumG、HumH、HumI、Hum40およびHum50から選択されるVドメインおよびVドメインを有する配列を含む。ICAM−Iを結合する抗体の部分配列(例えば、単鎖フラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、および(Fab)フラグメント)が、提供される。以上により、上記課題が解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト化抗体組成物ならびにヒト化抗体を作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
モノクローナル抗体は、治療タンパク質の重要なクラスになった。しかし、ヒトにおい
て使用される外来免疫グロブリンは、抗グロブリン応答を誘発し、この応答は、治療を妨
害し得るか、あるいはアレルギー高感受性または免疫複合体高感受性を起こし得る。この
問題を回避するために、モノクローナル抗体は、「ヒト化」され得、そしてヒト化は、代
表的には、CDR移植(CDR grafting)によって実施される。
【0003】
CDR(超可変領域とも呼ばれる)は、免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖
中に存在し、そして「フレームワーク」領域によって隣接される。CDR移植は、Jon
esら、((1986)Nature 321:522−525)によって最初に記載さ
れた。この刊行物および後の刊行物において、3つのマウス抗体のCDRが、ヒト免疫グ
ロブリンNEW(V)およびREI(V)の可変ドメインフレームワークに移植され
た。生じたヒト化抗体は、親マウスモノクローナル抗体(mAb)と同じ抗原特異性およ
び同様の親和性を有した(Jonesら、前出;Verhoeyenら、(1988)S
cience 239:1534−1536;Riechmannら、(1988)Na
ture 332:323−327;米国特許第5,225,539号)。
【0004】
CDR移植は、Queenおよび共同研究者によって記載され、彼等は、4つのマウス
モノクローナル抗体のヒト化を報告した(Queenら、(1989)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 86:10029−10033;Coら、(1991)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869−2873;Coら、
(1992)J.Immunol.148:1149−1154;ならびに米国特許第5
,585,089号;同第5,693,761号;および同第5,693,762号)。
親和性を維持するために、ヒトフレームワーク中にマウス残基が挿入され、そして各場合
で、最初の抗原特異性が維持された。ヒト化抗体の親和性は、親非改変マウス抗体の3分
の1から3倍に及んだ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本発明は、ICAM−Iを結合するヒト化抗体を提供する。1つの実施形態において、
抗体は、以下から選択されるVドメインおよびVドメインを有する:配列番号1およ
び3(HumA);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番
号7(HumC);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列
番号11(HumE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14お
よび配列番号15(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならび
に配列番号18および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号2
0(Hum40);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50)。ICAM−
Iを結合する抗体の部分配列(例えば、単鎖フラグメント、Fabフラグメント、Fab
’フラグメント、および(Fab)フラグメント)が、提供される。特定の局面におい
て、ヒト化抗体は、ICAM−1に対して、親(非ヒト)抗体より高い親和性を有する。
ICAM−1を結合する抗体の変異形態(variant form)および改変形態(
modified form)がまた提供され、例えば、これらの抗体は、以下から選択
されるVドメインおよびVドメインを有する:配列番号1および配列番号3(Hum
A);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(Hum
C);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(H
umE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14および配列番号
15(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号1
8および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum4
0);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50)(1つ以上のアミノ酸置換
、アミノ酸挿入またはアミノ酸欠失を有する)。
【0006】
本発明はまた、ICAM−1を結合し、そしてICAM−1を発現する細胞の病原体感
染を抑制するヒト化抗体を提供する。このような本発明の抗体としては、親(非ヒト)抗
体と同等か、またはそれより高い病原体感染からの防御を提供する抗体が挙げられる。特
定の局面では、ヒト化抗体は、非ヒト化抗体と同等か、または少なくとも2倍高い、5倍
高い、10倍高い、20倍高い、30倍高い防御効率を有する。他の局面では、この病原
体は、ヒトライノウイルス(HRV)、A型コクサッキー(coxackie)ウイルス
、RSウイルス(RSV)、またはマラリアである。
【0007】
本発明のヒト化抗体としては、病原体感染を抑制するインタクトな免疫グロブリン分子
(2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む)(例えば、IgG、IgA、IgM、I
gE、およびIgD)ならびに部分配列が挙げられる。特定の部分配列としては、例えば
、単鎖フラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、または(Fab)
フラグメントが挙げられる。
【0008】
本発明のヒト化抗体としては、多重特異性抗体または複数機能性抗体が挙げられる。1
つの局面では、このような抗体は、ヒト化抗体を1つ以上の同一の抗体または異なる抗体
に連結させて(例えば、リンカーを使用して)、マルチマーを形成させることによって形
成される。抗体マルチマーとしては、ホモ二量体またはヘテロ二量体、ホモ三量体または
ヘテロ三量体、ホモ四量体またはヘテロ四量体あるいはホモまたはヘテロの他のより高次
の任意のオリゴマーが挙げられる。異なる抗体を含む抗体マルチマーは、ヒト、ヒト化ま
たは非ヒトである。マルチマー形態としては、マルチマー化ドメイン(例えば、ヒトアミ
ノ酸配列)または共有結合を介して形成する抗体オリゴマーが挙げられる。マルチマー化
ドメインを含む抗体マルチマーとしては、マルチマー化ドメインとその抗体との間に配置
されたリンカーを有する形態がさらに挙げられる。
【0009】
本発明はさらに、ヒト化抗体を生成するための方法を提供する。1つの実施形態におい
て、1方法は、以下の工程を包含する:アクセプターとしてのヒトフレームワーク配列を
選択する工程、ここで、この配列は非ヒトドナー抗体フレームワーク領域に対して50%
を超える同一性(例えば、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、
70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、またはより
高い同一性)を有する;ドナー非ヒト抗体(例えば、マウス)由来のCDRをヒトフレー
ムワークに移植する工程;ヒトアクセプターのバーニアゾーン残基および非ヒトドナーフ
レームワーク領域を比較する工程;ならびにドナー非ヒト残基およびヒト残基が構造的ま
たは化学的に類似している場合、バーニアゾーン中の1つ以上のヒトアクセプター残基を
維持するか、またはドナー非ヒトバーニアゾーン残基が、ヒト残基と構造的または化学的
に異なる場合、1つ以上のバーニアゾーン残基を、ドナー非ヒトバーニアゾーン残基およ
びアクセプターヒトバーニアゾーン残基の両方と異なる残基(ここで、この異なる残基は
、ドナー非ヒトバーニアゾーン残基と構造的または化学的に類似する)で置換する工程。
さらなる実施形態において、ヒトフレームワークアクセプター配列は、コンセンサス配列
から(例えば、VドメインのサブグループIコンセンサス配列およびサブグループII
コンセンサス配列から)選択される。
【0010】
ヒト化抗体、それらの部分配列および改変形態(例えば、アミノ酸付加、アミノ酸欠失
またはアミノ酸置換)をコードする核酸配列もまた提供される。核酸配列はさらに、発現
カセットを含み、この発現カセットにおいて、ヒト化抗体をコードする核酸は、発現制御
エレメントに作動可能に連結される。これらの核酸を含むベクターおよび細胞(原核生物
細胞および真核生物細胞)もまた、提供される。
【0011】
本発明はさらに、ヒト化抗体、部分配列、マルチマー、変異形態および改変形態、なら
びにそれらをコードする核酸、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物
を提供する。特定の局面において、この薬学的に受容可能なキャリアは、被験体への吸入
または経鼻送達に適合性である。
【0012】
本発明はさらに、細胞の病原体感染を抑制する方法を提供する。1つの実施形態におい
て、1方法は、病原体または細胞を、細胞の病原体感染を抑制するに十分な量のヒト化抗
体、部分配列、マルチマー、変異形態および改変形態と接触させる工程を包含する。1つ
の局面において、この細胞は、ICAM−1を発現する。別の局面において、この細胞(
例えば、上皮細胞)は、被験体中に存在する。
【0013】
本発明はまた、細胞のHRV感染を抑制する方法を提供する。1つの実施形態において
、1方法は、HRVまたはHRVに感受性の細胞を、細胞(例えば、上皮細胞)のHRV
感染を抑制するに有効な量のヒト化抗体、部分配列、マルチマー、変異形態および改変形
態と接触させる工程を包含する。1つの局面において、この細胞は、被験体中に存在する
。別の局面において、この細胞は、喘息を有するか、または喘息を有する危険性がある被
験体中に存在する。なお別の局面において、この被験体は、新生児あるいは1歳から5歳
の間、5歳から10歳の間、または10歳から18歳の間である。さらに別の局面におい
て、この抗体、部分配列、マルチマー、変異形態および改変形態は、細胞表面上に存在す
る抗原(例えば、ICAM−1)に結合する。種々のさらなる局面において、このヒト化
抗体は、局所的に、吸入を介して、または経鼻的に投与される。
【0014】
本発明はまた、被験体のHRV感染を抑制する方法、HRV進行を抑制する方法または
HRV感染を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、1方法は、HRV感染
を有するか、またはHRV感染を有する危険性がある被験体に、被験体のHRV感染を抑
制するか、HRVの進行を抑制するか、またはHRV感染を処置するに有効な量のヒト化
抗体、部分配列、マルチマー、変異形態および改変形態を投与する工程を包含する。1つ
の局面において、この被験体は、喘息を有するか、または喘息を有する危険性がある。別
の局面において、この被験体は、新生児あるいは1歳から5歳の間、5歳から10歳の間
、または10歳から18歳の間である。種々のさらなる局面において、このヒト化抗体は
、局所的に、吸入を介して、または経鼻的に投与される。
【0015】
本発明はさらに、被験体における感冒の1つ以上の症状を低減または抑制する方法を提
供する。1つの実施形態において、1方法は、感冒を有する被験体に、被験体における感
冒の1つ以上の症状を低減または抑制するに有効な量のヒト化抗体、部分配列、マルチマ
ー、変異形態および改変形態を投与する工程を包含する。1つの局面において、この被験
体は、喘息を有するか、または喘息を有する危険性がある。別の局面において、この被験
体は、新生児あるいは1歳から5歳の間、5歳から10歳の間、または10歳から18歳
の間である。種々のさらなる局面において、このヒト化抗体は、局所的に、吸入を介して
、または経鼻的に投与される。したがって、本発明は、以下をも提供する。
(1)ICAM−1に結合するヒト化抗体であって、該抗体は、以下:
配列番号1および3(HumA);配列番号4および5(HumB);配列番号6およ
び7(HumC);配列番号8および9(HumD);配列番号10および11(Hum
E);配列番号12および13(HumF);配列番号14および15(HumG);配
列番号16および17(HumH);ならびに配列番号18および19(HumI);な
らびに配列番号5および20(Hum40);ならびに配列番号5および21(Hum5
0)から選択されるVドメインおよびVドメイン有する、ヒト化抗体。
(2)前記抗体の部分配列が、ICAM−1エピトープに結合し得る、項目1に記載の抗体の
部分配列。
(3)前記抗体の部分配列が、一本鎖、Fab、Fab’または(Fab)フラグメントを含
む、項目2に記載のヒト化抗体。
(4)前記抗体が、ICAM−1エピトープに結合し得る条件下で、1つ以上のアミノ酸置換基
を有する、項目1に記載のヒト化抗体。
(5)ICAM−1に結合し、そしてICAM−1を発現する細胞の病原体感染を阻害する、ヒト化抗体。
(6)前記抗体が、非ヒト化抗体よりも少なくとも2倍以上の保護効力を有する、項目5に記載のヒト化抗体。
(7)前記抗体が、非ヒト化抗体よりも少なくとも5倍以上の保護効力を有する、項目5に記載のヒト化抗体。
(8)前記抗体が、非ヒト化抗体よりも少なくとも10倍以上の保護効力を有する、項目5に記載のヒト化抗体。
(9)前記抗体が、非ヒト化抗体よりも少なくとも20倍以上の保護効力を有する、項目5に記載のヒト化抗体。
(10)前記抗体が、非ヒト化抗体よりも少なくとも30倍以上の保護効力を有する、項目5に
記載のヒト化抗体。
(11)前記病原体が、ヒトライノウイルス(HRV)である、項目5に記載のヒト化抗体。
(12)前記病原体が、A型コクサッキーウイルス、RSウイルス、またはマラリアである、請求
項5に記載のヒト化抗体。
(13)前記抗体が、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含むインタクトな免疫グロブリン分子である、項目5に記載のヒト化抗体。
(14)前記抗体が、ICAM−1に結合する抗体の部分配列である、項目5に記載のヒト化抗
体。
(15)前記抗体の部分配列が、一本鎖、Fab、Fab’または(Fab)フラグメントを含む、項目14に記載のヒト化抗体。
(16)前記抗体が、多特異性または複数機能性である、項目5に記載のヒト化抗体。
(17)前記抗体が、多量体を形成するために、1つ以上の同一な抗体または異なる抗体に連結される、項目5に記載のヒト化抗体。
(18)前記多量体が、ホモダイマーもしくはヘテロダイマー、ホモトリマーもしくはヘテロトリ
マー、またはホモテトラマーもしくはヘテロテトラマーあるいはホモペンタマーまたはヘ
テロペンタマーを含む、項目17に記載のヒト化抗体。
(19)前記多量体が、多量体化ドメインを介して形成される、項目17に記載のヒト化抗体。
(20)前記多量体化ドメインが、ヒトアミノ酸配列を含む、項目19に記載のヒト化抗体。
(21)前記多量体化ドメインと前記抗体との間に位置付けられたリンカーをさらに含む、項目
19に記載のヒト化抗体。
(22)配列番号1および3(HumA);配列番号4および5(HumB);配列番号6および
7(HumC);配列番号8および9(HumD);配列番号10および11(HumE
);配列番号12および13(HumF);配列番号14および15(HumG);配列
番号16および17(HumH);ならびに配列番号18および19(HumI);なら
びに配列番号5および20(Hum40);ならびに配列番号5および21(Hum50
);またはそれらの部分配列から選択されるVドメインおよびVドメインを含む細胞
のヒトライノウイルス(HRV)感染を阻害する、ヒト化抗体。
(23)前記抗体が、2つの全長重鎖ポリペプチドおよび2つの全長軽鎖ポリペプチドを含む免疫
グロブリン分子である、項目22に記載のヒト化抗体。
(24)前記部分配列が、一本鎖、Fab、Fab’または(Fab)フラグメントを含む、請
求項22に記載のヒト化抗体。
(25)前記抗体が、他の同一または異なる抗体に連結される、項目22に記載のヒト化抗体。
(26)前記多量体が、ホモダイマーもしくはヘテロダイマー、ホモトリマーもしくはヘテロトリ
マー、またはホモテトラマーもしくはヘテロテトラマーあるいはホモペンタマーまたはヘ
テロペンタマーを含む、項目25に記載のヒト化抗体。
(27)前記種々の抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体または非ヒト抗体である、項目25に記載の
ヒト化抗体。
(28)項目1〜22に記載のヒト化抗体またはその部分配列をコードする、核酸配列。
(29)発現制御エレメントに作動可能に連結される項目28に記載の核酸を含む発現カセット

(30)項目29に記載の核酸配列を含む、ベクター。
(31)前記核酸配列が、発現制御エレメントに作動可能に連結される、項目29に記載のベク
ター。
(32)項目28に記載の核酸配列を含む、細胞。
(33)前記細胞が、原核生物細胞または真核生物細胞である、項目31に記載の細胞。
(34)項目1または5に記載のヒト化抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学
的組成物。
(35)前記キャリアが、被験体に吸入または鼻送達に適合可能である、項目34に記載の薬学
的組成物。
(36)細胞の病原体感染を阻害する方法であって、病原体または細胞と、該細胞の病原体感染を
阻害するに十分な量の項目1に記載のヒト化抗体とを接触させる工程を包含する、方法

(37)前記細胞が、被験体内に存在する、項目36に記載の方法。
(38)前記細胞が、上皮細胞である、項目37に記載の方法。
(39)前記細胞が、ICAM−1を発現する、項目37に記載の方法。
(40)細胞のHRV感染を阻害する方法であって、HRVまたはHRVに感染しやすい細胞と、
該細胞のHRV感染を阻害するに有効な量の項目21に記載のヒト化抗体とを接触させ
る工程を包含する、方法。
(41)前記細胞が、被験体内に存在する、項目40に記載の方法。
(42)前記被験体が、喘息を有するか、または喘息を有する危険のある、項目41に記載の方
法。
(43)前記抗体が、前記細胞の表面に存在する抗原に結合する、項目40に記載の方法。
(44)前記細胞が、ICAM−1を発現する、項目40に記載の方法。.
(45)前記細胞が、上皮細胞である、項目40に記載の方法。
(46)前記ヒト化抗体が、局所投与される、項目40に記載の方法。
(47)前記ヒト化抗体が、吸入または鼻腔を介して投与される、項目40に記載の方法。
(48)被験体のHRV感染を阻害するか、HRVの進行を阻害するか、またはHRV感染を処置
する方法であって、該方法は、HRV感染を有するか、またはHRV感染の危険のある被
験体に、項目22に記載のヒト化抗体の、該被験体のHRV感染を阻害するか、HRV
の進行を阻害するか、またはHRV感染を処置するに有効な量を投与する工程を包含する
、方法。
(49)前記ヒト化抗体が、局所投与される、項目48に記載の方法。
(50)前記ヒト化抗体が、吸入または鼻腔を介して投与される、項目48に記載の方法。
(51)前記被験体が、喘息を有するか、または喘息を有する危険のある、項目48に記載の方
法。
(52)前記被験体が、新生児であるか、あるいは1〜5歳、5〜10歳、または10〜18歳で
ある、項目48に記載の方法。
(53)被験体における感冒の1つ以上の症状を減少または阻害する方法であって、該方法は、感
冒を有する被験体に、項目22に記載のヒト化抗体の、該被験体における感冒の1つ以
上の症状を減少または阻害するに有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(54)前記ヒト化抗体が、局所投与される、項目53に記載の方法。
(55)前記ヒト化抗体が、吸入または鼻腔を介して投与される、項目53に記載の方法。
(56)前記被験体が、喘息を有するか、または喘息を有する危険のある、項目53に記載の方
法。
(57)前記被験体が、新生児であるか、あるいは1〜5歳、5〜10歳、または10〜18歳で
ある、項目53に記載の方法。
(58)ヒト化抗体を生成する方法であって、該方法は、以下:
a)アクセプターとしてヒトフレームワーク配列を選択する工程であって、該配列が、
非ヒトドナー抗体フレームワーク領域に50%以上の同一性を有する、工程;
b)該ヒトフレームワーク上にドナー非ヒト抗体由来のCDRを移植する工程;
c)該ヒトアクセプターのバーニアゾーン残基と該非ヒトドナーフレームワーク領域の
バーニアゾーンとを比較する工程;および
d)該ドナー非ヒトおよびアクセプターヒト残基が構造的または化学的に類似する場合
、該バーニアゾーンにおいて該ヒトアクセプター残基の1つ以上を維持するか、あるいは
該ドナー非ヒトバーニアゾーンの残基が該ヒト残基に構造的または化学的に類似する場合
、該バーニアゾーンの残基の1つ以上が、該ドナー非ヒトバーニアゾーンの残基およびア
クセプターヒトバーニアゾーンの残基の両方が異なる残基と置換する工程、
を包含し、ここで、該異なる残基が、該ドナー非ヒトバーニアゾーン残基と構造的または
化学的に類似する、方法。
(59)前記ヒトフレームワークアクセプター配列が、VドメインサブグループIまたはV
メインサブグループIIのコンセンサス配列から選択される、項目58に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、マウス1A6抗体重鎖および軽鎖のアミノ酸配列(配列番号77および配列番号79)ならびに重鎖サブグループIIIのヒトコンセンサス配列(Hum3;配列番号78)および軽鎖κサブグループIのヒトコンセンサス配列(HumκI;配列番号80)を示す。アスタリスクは、ヒト配列とマウス配列とのアミノ酸の相違を示す。KabatおよびChothiaによって規定されたCDRアミノ酸を太字で示す。
【図2】図2は、マウス1A6抗体のアミノ酸配列(配列番号77)、ヒト化1A6のアミノ酸配列(HumB;配列番号4)ならびに重鎖サブグループIIIのヒトコンセンサス配列(Hum3;(配列番号78)および軽鎖κサブグループIのヒトコンセンサス配列(HumκI;(配列番号80)を示す。アスタリスクおよび太字のアミノ酸は、前記のとおりである。
【図3】図3は、ヒト化scFVA(HumA)抗体のcDNA配列(配列番号2)を示す。制限部位は、下線により示される;CCATGG Nco I部位;GGATC BamH I部位;GTTAAC Hpa I部位。太字のアミノ酸は、前記のとおりである。
【図4】図4は、マウス1A6scFv抗体(Ms1)およびヒト化1A6scFv抗体HumA、HumB、HumC、HumD、HumF、HumHおよびHumIを用いたHRV15感染からの防御を示す。
【図5】図5は、マウス1A6Vドメインのアミノ酸配列(配列番号77)ならびにVドメインサブグループIのヒトコンセンサス配列(Huml;(配列番号82)およびおよびVドメインサブグループIIのヒトコンセンサス配列(Hum2;配列番号81)を示す。太字のアミノ酸は、前記のとおりである。
【図6】図6は、マウス1A6抗体のVドメインアミノ酸配列(配列番号77)、ヒト化1A6抗体のVドメインアミノ酸配列(Hum40;配列番号20)および重鎖サブグループIIのヒトコンセンサス配列(Hum2;配列番号81)を示す。アスタリスクおよび太字のアミノ酸は、前記のとおりである。
【図7】図7は、マウス1A6抗体のVドメインアミノ酸配列(配列番号77)、ヒト化1A6抗体のVドメインアミノ酸配列(Hum50;配列番号21)および重鎖サブグループIのヒトコンセンサス配列(Hum1;配列番号82)を示す。アスタリスクおよび太字のアミノ酸は、前記のとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本発明は、少なくとも部分的に、ヒト化抗体を産生することに基づく。より詳細には、
非ヒト抗体由来の相補性決定領域(CDR)が、ヒトフレームワーク領域中に移植される
。移植の後、この抗体の1つ以上のアミノ酸が、ヒトアミノ酸に変異されるか、または非
ヒトアミノ酸(この非ヒトアミノ酸が置換するアミノ酸に対する構造的類似性を有する)
に変異される。例えば、移植抗体(grafted antibody)のフレームワー
ク領域またはCDRにおいて、マウスアミノ酸をヒトアミノ酸に変異させる工程は、非ヒ
ト抗体または移植抗体に対して、増大した抗原結合親和性を有するヒト化抗体を産生し得
る。ヒト化抗体は、ヒト被験体に投与される場合、免疫原性でないか、または非ヒト抗体
より免疫原性が低い。従って、ヒト化抗体は、種々の治療用途および診断用途に有用であ
る。例えば、本明細書中に例示するように、本発明のヒト化抗体は、細胞をHRV(感冒
を引き起こし得るウイルス)感染、および他の関連疾患(例えば、中耳炎、気管支炎、副
鼻腔炎など)から防御する。
【0018】
故に、本発明に従い、ヒト化抗体が提供される。1つの実施形態において、ヒト化抗体
は、ICAM−1に結合する。1つの局面において、ICAM−1を結合するヒト化抗体
は、ICAM−1を発現する細胞の病原体感染を防御する。他の局面において、ヒト化抗
体は、以下から選択されるVドメインおよびVドメインを有する:配列番号1および
3(HumA);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号
7(HumC);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番
号11(HumE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14およ
び配列番号15(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに
配列番号18および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20
(Hum40);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50)。別の実施形態
において、ヒト化抗体は、抗原に対して、ドナー非ヒト抗体より高い親和性または低い親
和性を有する。種々の局面において、親和性は、抗原に対して、ドナー抗体または組換え
抗体のいずれかより高い親和性から、より低い親和性に及ぶ。特定の局面において、ヒト
化抗体は、親抗体の2倍〜4倍、5倍、5倍〜8倍、5倍〜10倍、8倍〜15倍、10
倍〜20倍、20倍〜40倍、20倍〜60倍、20倍〜100倍またはそれより高い抗
原結合親和性を有する。
【0019】
ヒト抗体配列領域は、本発明のヒト化抗体を産生するために使用され得る。例えば、「
コンセンサス配列」(抗体または抗体領域中の特定の位置に最も頻繁に存在するアミノ酸
残基を有する抗体配列)が、使用され得る。例えば、ヒト可変領域ドメイン配列が、Ka
bat(Sequences of Proteins of Immunologic
al Interest.第4版、US Department of Health
and Human Services.Public Health Service
(1987))中に記載されている。フレームワーク領域中で完全に決定される配列(
軽鎖中の1〜23、35〜49、および57〜88ならびに重鎖中の1〜30、36〜4
9、および66〜94)が、この調査に含まれる。公知のJミニ遺伝子セグメントに由来
し得る第4のフレームワーク領域(軽鎖中の98〜107および重鎖中の103〜113
)残基が、調査されている。
【0020】
この調査の終わりに、所定の位置に最も頻繁に存在する残基が、コンセンサス配列中の
残基として選択される。従って、コンセンサス配列は、複数の抗体の各位置において、ア
ミノ酸残基を調査することによって同定され得る;目的の領域中の所定の位置に最も頻繁
に存在する残基は、コンセンサスの一部である。多くの場合では、1つより多い残基が、
所定の位置で高頻度に見出される。このような場合、最も頻繁に存在する残基の少なくと
も4分の1程度の頻度で存在すれば、コンセンサス配列の一部と見なされる。
【0021】
ヒトVサブグループIIIの公開されたコンセンサス配列は、22個の公知のヒトV
III配列に基づき、ヒトVサブグループIのコンセンサス配列は、6個の公知のヒ
トVI配列の調査に基づき、そしてヒトVサブグループIIのコンセンサス配列は、
同グループの10個の公知の配列に基づく。ヒトVκ鎖サブグループIの公開されたコ
ンセンサス配列は、30個の公知のヒトκI配列の調査に基づく(Padlan(199
4)Mol.Immunol.31:169−217;Padlan(1991)Mol
.Immunol.28:489−498)。ヒトコンセンサス配列は、2つの抗体をヒ
ト化するために以前に使用された(Carterら、(1992)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 89:4285−4289;Prestaら、(1993)
J.Immunol.151:2623−2632)。これらのヒトVサブグループI
配列、VサブグループII配列、およびVサブグループIII配列ならびにV−κ
サブグループIコンセンサス配列は、実施例1および実施例8に記載されるように、mA
b1A6をヒト化するために、個々にフレームワークとして選択される。従って、当該分
野で公知のコンセンサス配列は、ヒトVサブグループI、VサブグループII、およ
びVサブグループIIIまたはV−κサブグループIについて例示されるように、本
発明に従うヒト化抗体を産生するためのアクセプターフレームワークとして選択される。
【0022】
任意のマウス抗体、ラット抗体、モルモット抗体、ヤギ抗体、非ヒト霊長類(例えば、
サル、チンパンジー、マカクザル、オランウータンなど)抗体または他の非ヒト哺乳動物
抗体は、ヒト化抗体を産生するためのCDRドナーとして使用され得る。ハイブリドーマ
細胞株によって分泌されるマウス抗体もまた、使用され得る。ドナーCDRは、その抗体
が結合する抗原に基づいて選択される。従って、ドナーCDRは、病原体(例えば、細菌
、ウイルス、原生動物および他の微生物)に結合する抗体由来の配列を含む。ドナーCD
Rはまた、病原体が結合する分子(例えば、細胞表面タンパク質(例えば、接着タンパク
質、レセプタータンパク質、免疫認識/調節タンパク質(例えば、HLA)、腫瘍関連抗
原など))に結合する抗体を含む。1つの特定の実施形態において、ドナー抗体は、IC
AM−1に特異的に結合するマウスモノクローナル抗体1A6(mAb1A6)である。
【0023】
「相補性決定領域」または「CDR」は、フレームワーク配列中に移植され得る配列中
に存在する。CDRは、抗体に特異性および親和性を与える配列領域をいう。CDRはま
た、超可変領域または超可変ループとして一般的に公知である。抗体のCDR領域は、マ
ッピングされており、そしてKabat(Sequences of Proteins
of Immunological Interest.第4版、US Depart
ment of Health and Human Services.Public
Health Service (1987))ならびにChothiaおよびLes
k((1987)J.Mol.Biol.186:651−663))中に規定されてい
る。特に、重鎖に関して、CDR1は、H26−H35として規定され、CDR2は、H
50−65であり、そしてCDR3は、H95−H102である;軽鎖に関して、CDR
1は、L24−L34であり、CDR2は、L50−L56であり、そしてCDR3は、
L89−L97である。これらのアミノ酸は、Kabat(Sequences of
Proteins of Immunological Interest.第4版、U
S Department of Health and Human Service
s.Public Health Service (1987))に記載されるスキー
ムに基づいて番号付けられる。可変領域ドメインは、代表的には、天然に存在する免疫グ
ロブリン鎖のアミノ末端の約105〜115アミノ酸(例えば、アミノ酸1〜110)を
含む。これらの例示的な配列の長さより短いかまたは長い可変ドメインもまた、使用され
得る。
【0024】
従って、本発明は、ヒト化抗体、これらの抗体を作製する方法およびこれらの抗体を使
用する方法(治療方法および診断方法を含む)を提供する。1つの実施形態において、ヒ
ト化抗体は、非ヒト化抗体と比較して、抗原に対する増大した親和性を有する(例えば、
ICAM−1に対し、1.18×10−6M(K)未満、1×10−7M(K)未満
、5×10−7M(K)未満、1×10−8M(K)未満、5×10−8M(K
未満、または1×10−9M(K)未満)。種々の局面において、ヒト化抗体は、以下
から選択されるVドメインおよびVドメインを含む:配列番号1および3(HumA
);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(HumC
);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(Hu
mE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14および配列番号1
5(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号18
および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum40
);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50);ならびにそれらの抗原結合
部分配列。種々のさらなる局面において、抗体部分配列としては、Fab、Fab’、お
よび(Fab’)、F、および単鎖抗体(SCA)(例えば、scFVフラグメント
)が挙げられる。
【0025】
本発明のヒト化抗体はまた、抗体マルチマーを含む。種々の局面において、マルチマー
としては、二量体、三量体、四量体または他のより高次のオリゴマーが挙げられる。他の
局面において、マルチマーとしては、同じ抗体の組合せ(ホモ−オリゴマー)および異な
る抗体の組合せ(ヘテロ−オリゴマー)が挙げられる(異なる抗体は、ヒト、ヒト化、ま
たは非ヒトである)。
【0026】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、本明細書中で交換可能
に使用され、アミド結合またはその等価物を介して2つ以上共有結合したアミノ酸(「残
基とも呼ばれる」)をいう。ポリペプチドは、長さに制限がなく、そしてL−アミノ酸ま
たはD―アミノ酸およびそれらの混合物から構成され得る。アミノ酸は、非天然結合およ
び非アミドの化学結合(例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミド(
hydoxysuccinimide)エステル、二官能性マレイミド、またはN,N’
−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)で形成される結合)により連結され得る。
非アミド結合としては、例えば、ケトメチレン、アミノメチレン、オレフィン、エーテル
、チオエーテルなど(例えば、Spatola(1983)Chemistry and
Biochemistry of Amino Acids,Peptides an
d Proteins、第7巻、267−357頁、「Peptide and Bac
kbone Modifications」Marcel Decker,NYを参照の
こと)が挙げられる。ポリペプチドは、1つ以上の環状構造(例えば、その分子のアミノ
末端とカルボキシ末端との間の末端−末端アミド結合あるいは分子内ジスルフィド結合ま
たは分子間ジスルフィド結合)を有し得る。ポリペプチドは、インビボまたはインビトロ
で改変され得る(例として、例えば、糖残基、リン酸基、ユビキチン、脂肪酸または脂質
を含むように翻訳後修飾される)。ポリペプチドは、アミノ酸構造アナログおよびアミノ
酸機能アナログをさらに含む(例えば、合成アミノ酸または非天然アミノ酸あるいはアミ
ノ酸アナログを有するペプチド模倣物)。
【0027】
用語「抗体」とは、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン(それぞれ、Vおよび
)を介して他の分子(抗原)に結合するタンパク質をいう。抗体としては、IgG、
IgD、IgA、IgMおよびIgEが挙げられる。抗体は、インタクトな免疫グロブリ
ン分子、2つの全長軽鎖にジスルフィド結合によって結合された2つの全長重鎖、ならび
に定常領域を有するか有さない、抗原のエピトープに結合する免疫グロブリン分子の部分
配列(すなわち、フラグメント)または定常領域を有するか有さない、抗原のエピトープ
に結合する免疫グロブリン分子のその部分配列(すなわち、フラグメント)であり得る。
抗体は、個々かまたは任意の組み合わせでの全長の重鎖可変領域および軽鎖可変領域(V
およびV)を含み得る。例えば、以下から選択されるVおよびVドメインの各々
が、個々かまたは任意の組み合わせで含まれる:配列番号1および配列番号3(HumA
);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(HumC
);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(Hu
mE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14および配列番号1
5(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号18
および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum40
);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50)。
【0028】
ポリペプチド配列は、細胞発現またはインビトロ翻訳によって核酸をコードするポリペ
プチドの組換えDNA技術を使用してか、または当該分野で公知の方法を使用するポリペ
プチド鎖の化学合成を使用して作製され得る。本発明に従う抗体(ヒト化配列および部分
配列を含む)は、組換え的に産生された抗体コード核酸から発現され得る(例えば、Ha
rlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manu
al,Cold Spring Harbor Laboratory,1989;Ha
rlowおよびLane,Using Antibodies:A Laborator
y Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1
999;Fitzgeraldら、J.A.C.S.117:11075(1995);
Gramら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3576−80(
1992)を参照のこと)。例えば、実施例3に記載されるように、ヒト化抗体配列をコ
ードするcDNAは、本発明の抗体を産生するために細菌中に発現され得る。抗体はまた
、哺乳動物細胞、昆虫細胞および植物細胞中で、コード核酸を発現することによって産生
され得る。抗体を含むポリペプチド配列はまた、化学合成機によって産生され得る(例え
ば、Applied Biosystems,Foster City,CAを参照のこ
と)。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「部分配列(subsequence)」または「
フラグメント」とは、全長分子の一部を意味する。例えば、抗体の部分配列は、全長ポリ
ペプチド未満の長さの1つ以上のアミノ酸である(例えば、1つ以上の内部アミノ酸また
は末端アミノ酸は、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかから欠失する)。従って
、その部分配列は、全長分子までの任意の長さであり得る。
【0030】
抗体の部分配列の特定の例は、例えば、Fab、Fab’、(Fab’)、Fvまた
は一本鎖抗体(SCA)フラグメント(例えばscFv)を含む。部分配列は、全長配列
の機能または活性の少なくとも一部を維持したままのタンパク質を含む。例えば、部分配
列の結合親和性は全長抗体の結合親和性よりも大きいか、少なくあり得るにもかかわらず
、抗体の部分配列は、抗原に選択的に結合する能力を維持する。部分配列は、本発明のヒ
ト化配列の任意の部分(例えば、以下から選択されるVドメインおよびVドメインの
一部)を含み得る:配列番号1および配列番号3(HumA); 配列番号4および配列
番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(HumC);配列番号8および配列
番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(HumE);配列番号12およ
び配列番号13(HumF);配列番号14および配列番号15(HumG);配列番号
16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号18および配列番号19(Hu
mI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum40);ならびに配列番号5お
よび配列番号21(Hum50)。
【0031】
抗体全体のペプシン消化およびパパイン消化を使用して、抗体フラグメントを生成し得
る。特に、Fabフラグメントは、抗体分子の一価の抗原結合フラグメントからなり、そ
して酵素パパインを用いて抗体分子全体の消化によって産生され得、インタクトな軽鎖お
よび重鎖の一部からなるフラグメントを得る。抗体の(Fab’)フラグメントは、酵
素ペプシンを用いて、引き続く還元を用いることなく、抗体分子全体を処理することによ
って得られ得る。抗体分子のFab’フラグメントは、チオール還元剤を用いる還元によ
って(Fab’)から得られ得、これは、インタクトな軽鎖および重鎖の一部からなる
分子を得る。2つのFab’フラグメントが、この様式で処理された1つの抗体分子あた
りから得られる。
【0032】
Fvフラグメントは、2つの鎖として発現される軽鎖Vの可変領域および重鎖V
可変領域を含むフラグメントである。この会合は、非共有結合でもよく、または共有結合
(例えば、化学架橋剤または分子間ジスルフィド結合)でもよい(Inbarら(197
2)Proc.Natl.Acad Sci.USA 69:2659;Sandhu(
1992)Crit.Rev.Biotech.12:437)。
【0033】
一本鎖抗体(「SCA」)は、一般に、軽鎖Vの可変領域および重鎖の可変領域を含
む操作された抗体または酵素学的に消化された抗体であり、必要に応じて可撓性のリンカ
ー(例えば、ポリペプチド配列)によってV−リンカー−Vの方向またはV−リン
カー−Vの方向のいずれかで結合される。あるいは、一本鎖Fvフラグメントは、2つ
のシステイン残基間のジスルフィド結合によって2つの可変ドメインを結合することによ
って産生され得る。scFv抗体を産生する方法は、例えば、Whitlowら(199
1):Methods:A Companion to Methods in Enz
ymology 2:97;米国特許第4,946,778号;およびPackら(19
93)Bio/Technology 11:1271によって記載される。
【0034】
抗体の部分配列を産生する他の方法(例えば、一価の軽鎖−重鎖フラグメントを形成す
る重鎖の分離、さらに、フラグメントの切断もしくは他の酵素学的技術、化学的技術また
は遺伝子技術)をまた使用して、部分配列がインタクトな抗体が結合する抗原に結合する
ことを提供する。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「結合(bind)」または「結合(bindin
g)」とは、互いに対する親和性を有するといわれる組成物を意味する。「特異的な結合
」は、2つの分子間での選択的な結合である。特異的な結合の特定の例は、抗体と抗原と
の間に生じる結合である。代表的に、解離定数(K)が約1×10−5M未満または約
1×10−6M未満または1×10−7M未満である場合、特異的な結合は、非特異的な
結合から区別され得る。特異的な結合は、例えば、ELISA、免疫沈降、共沈(化学架
橋を有するかまたは有さない)、ツーハイブリッドアッセイなどによって検出される。適
切なコントロールを使用して、「特異的」結合および「非特異的」結合との間を区別し得
る。
【0036】
本発明の抗体(全長抗体、部分配列(例えば、一本鎖形態)を含む)は、モノマーの抗
原結合活性の少なくとも一部を維持する二量体、三量体、四量体、五量体、六量体または
任意の他の高いオーダーのオリゴマーとして存在し得る。多量体は、本明細書中に示され
るような、および当該分野で公知の未改変または改変の、全長抗体、部分配列のヘテロマ
ーまたはホモマーの組み合せを含み得る。多量体が複数の抗原結合部位を有することに起
因して、抗体の多量体は、モノマーと比較して抗原活性を増加するのに有用である。抗体
の多量体はまた、異なる抗体のオリゴマー(例えば二量体、三量体、四量体など)の組み
合せを生成するのに有用であり、それによって、複数機能性(例えば、二機能性、三機能
性(trifunctional)、四機能性(tetrafunctional)など
)である抗体の組成物を生成する。
【0037】
用語「複数機能性」とは、組成物が2つ以上の活性または機能(例えば、抗原結合、酵
素活性、リガンド結合またはレセプター結合、毒素など)を有するといわれる組成物を意
味する。例えば、酵素活性(例えば、ルシフェラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、ガ
ラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼなど)を有する結合化ポリペプチドもまた有する特定
の抗原に結合する抗体は、複数機能抗体の1つの特定の例である。
【0038】
複数機能抗体は、さらに複数特異的な(例えば、二特異的(bispecific)、
三特異的(trispecific)、四特異的(tetraspecific)など)
形態をさらに含む。用語「複数特異的」とは、2つ以上の異なる抗原エピトープに結合す
る抗体を意味する。用語「複数特異的」とは、抗体が、異なるエピトープに結合する2つ
以上の可変領域配列を含むことを意味する。異なるエピトープは、同じ抗原または異なる
抗原に存在され得る。例えば、複数特異的抗体のオリゴマーは、異なるエピトープ結合特
異性を各々有する2つ以上の抗体の混合物を含み、これは多量体を形成する。複数特異的
抗体は、識別可能な可変ドメインを有するポリペプチドの各々を結合する個々の抗原を含
み得る。例えば、抗体の1つは、異なるエピトープを認識する2つの可変ドメインの各々
を有し得る。
【0039】
酵素活性に加えて、抗原結合以外の複数機能性抗体についての候補機能性としては、例
えば、以下が挙げられる:検出可能な部分(例えば、放射性同位元素およびアミノ酸配列
(例えば、35S、131I、T7、免疫グロブリンまたはポリヒスチジンタグ)、毒素
(例えば、リシン、コレラ、百日咳)、細胞表面タンパク質(例えば、レセプター)、リ
ガンド(基質、アゴニストおよびアンタゴニスト)、接着タンパク質(例えば、ストレプ
トアビジン、アビジン、レクチン)、増殖因子、異なる因子および化学向性の因子)。
【0040】
複数機能性ヒト化抗体は、選択された分子(これは、合成手段によってか、またはポリ
ペプチドをコードする核酸の発現によって産生される)の化学架橋によってか、またはイ
ンビトロ、またはポリペプチドの細胞発現と、部分配列のオリゴマー化とを組合わせた組
換えDNA技術によって産生され得る。複数特異的抗体は、組換え技術および発現、異な
るエピトープ特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマの融合、または単細胞中の異
なるエピトープ特異性を有する抗体可変鎖をコードする複数の核酸の発現によって簡単に
産生され得る。
【0041】
抗体は、直接的にかまたは共有結合または非共有結合(例えば、多量体化ドメイン)に
よって間接的にかのいずれかで連結され得、多量体を生成する。「多量体化ドメイン」は
、非共有結合のタンパク質−タンパク質相互作用を媒介する。特定の例としては、コイル
ドコイル(coiled−coil)(例えば、ロイシンジッパー構造)およびα−ヘリ
ックスタンパク質配列が挙げられる。ファンデルワールス力、水素結合または荷電−荷電
結合によるタンパク質−タンパク質結合を媒介する配列はまた、多量体化ドメインとして
考えられる。さらなる例としては、基本のヘリックス−ループ−ヘリックスドメインおよ
び核酸結合タンパク質(例えば、DNA結合翻訳因子(例えば、TAFs))の間にヘテ
ロマーまたはホモマーのタンパク質−タンパク質相互作用を媒介する他のタンパク質配列
が挙げられる。多量体化ドメインの1つの特定の例は、四量体形成を媒介する残基319
〜360のp53である。別の例は、四量体へと自己アセンブリするヒト血小板因子4で
ある。なお別の例は、細胞外タンパク質TSP4(五量体を形成し得るトロンボスポンジ
ンファミリーのメンバー)である。さらなる特定の例は、jun、fosおよび酵素タン
パク質GCN4のロイシンジッパーである。
【0042】
ヒト化抗体は、化学架橋剤によって互いに直接的に結合され得るか、またはリンカー配
列(例えば、ペプチド配列)によって結合され得、多量体を形成する。本明細書中に記載
される場合、「リンカー」または「スペーサー」とは、互いに2つ以上の分子を結合する
分子または分子グループをいう。可撓性のリンカーは、分子が互いの機能をブロックしな
い程度に互いに結合された2つの分子の回転を可能にする。例えば、リンカー(例えば、
多量体化ドメインにそれ自体を付着されたヒト化抗体に付着されるアミノ酸配列)は、抗
体がオリゴマーの多量体からの有意な立体障害なしで抗原に結合することを可能にする。
非ペプチドリンカーは、化学架橋剤およびポリエチレングリコールを含む。
【0043】
ペプチドリンカーの1つの特定の例は、免疫グロブリンヒンジ配列である。さらなる特
定の例は、ポリリジン、ポリグルタミン酸およびランダム化アミノ酸配列の混合である。
リンカーアミノ酸配列は、本明細書中に示されるように未改変または改変された完全なヒ
トアミノ酸配列、ヒト化アミノ酸配列または非ヒトアミノ酸配列であり得る。従って、本
発明は、リンカー配列を含むヒト化抗体をさらに提供する。リンカー配列は、例えば、約
2〜10アミノ酸長、10〜20アミノ酸長、10〜30アミノ酸長、25〜50アミノ
酸長、30〜60アミノ酸長および50〜75アミノ酸長の配列を含む。
【0044】
抗体はまた、改変された形態(例えば、1つ以上のアミン酸置換、アミン酸付加または
アミノ酸欠失を有する配列、但し、改変は機能を破壊しない(例えば、抗原結合活性を破
壊しない;抗体は、抗原結合活性の少なくとも一部を保持する))を含む。例えば、改変
されたヒト化抗体は、未改変の抗体が結合する抗原に対して少なくとも一部の親和性を維
持する。従って、用語「改変」は、改変された分子の活性を破壊しない分子の変更を示す

【0045】
従って、改変は、例えば、アミノ酸の付加、挿入、欠失および置換を含む。付加の例と
しては、1つ以上のアミノ酸がヒト化抗体のN末端またはC末端に付加されることである
。挿入の例としては、アミノ酸が配列に挿入されることである。欠失の例としては、1つ
以上のアミノ酸がN末端またはC末端あるいは配列内の内部から欠失されることである。
【0046】
従って、本発明はまた、ヒト化抗体の改変された形態(1つ以上のアミノ酸の付加、挿
入、欠失および置換を含む)を提供する。1つの実施形態において、ヒト化抗体は、以下
に示される配列の1つ以上のアミノ酸置換を有する:配列番号1および配列番号3(Hu
mA);配列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(Hu
mC);配列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(
HumE);配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14および配列番
号15(HumG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号
18および配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum
40);ならびに配列番号5および配列番号21(Hum50)、但し、置換された抗体
は、抗原に結合し得る。特定の局面において、1つ以上のアミノ酸置換は、保存的アミノ
酸置換である。別の局面において、置換は1〜3アミノ酸、3〜5アミノ酸または5〜1
0アミノ酸を含む。なお別の局面において、置換は、ヒトアミノ酸での置換である。なお
別の局面において、置換は、非ヒト残基に構造的に類似する非ヒトアミノ酸での置換であ
り、例えば、ここで、フレームワークアクセプター(例えば、マウスアクセプター)の非
ヒトバーニアゾーン(vernier zone)アミノ酸は、ヒトカウンターパートバ
ーニアゾーンアミノ酸に対して構造的に異なる。
【0047】
例示的なアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換を含む。用語「保存的置換」とは、生物
学的または化学的あるいは構造的に類似の残基による1つのアミノ酸の置き換えを意味す
る。生物学的な類似とは、置換が、生物学的活性(例えば、ヒト化抗体について抗原結合
)と適合することを意味する。構造的な類似とは、アミノ酸が類似の長さの側鎖(例えば
、アラニン、グリシンおよびセリン)を有するか、または類似の大きさを有する側鎖を有
することを意味する。化学的な類似とは、残基が同じ荷電を有するか、または親水性また
は疎水性の両方であることを意味する。保存的置換の特定の例は、ある疎水性残基を別の
残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)との互いの置換ある
いは、ある極性残基の別の残基への置換(例えば、ロイシンのかわりにアルギニン、アス
パラギン酸のかわりにグルタミン、またはアスパラギンのかわりにグルタミン、スレオニ
ンのかわりにセリンなど)を含む。
【0048】
改変はまた、以下の誘導体化配列が挙げられる:例えば、遊離アミノ基がアミン塩酸塩
、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ(cabrobenzoxy)基を形成
するアミノ酸;塩、メチルおよびエチルエステル由来の遊離カルボキシ基;O−アシル誘
導体またはO−アルキル誘導体を形成する遊離ヒドロキシル基、ならびに天然に存在する
アミノ酸誘導体(例えば、プロリンに対して4−ヒドロキシプロリン、リジンに対して5
−ヒドロキシリジン、セリンに対してホモセリン、リジンに対してオルニチンなど)。共
有結合(例えば、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合)を与える改変もまた含み
、それによって環状ポリペプチドを生成する。改変は、当該分野で周知の任意の種々の方
法(例えば、PCRベースの部位特異的(sited−directed)欠失変異誘発
およびPCRベースの部位特異的挿入変異誘発、化学改変および変異、架橋など)を使用
して生成され得る。
【0049】
改変はまた、ヒト化抗体または部分配列または多量体に共有結合または非共有結合した
機能実体(例えば、タグ(例えば、ポリヒスチジン、T7、免疫グロブリンなど)、金粒
子)の付加を含む。従って、本発明は、未改変の親抗体の1つ以上の活性を有する(例え
ば、抗原結合活性の少なくとも一部を維持する)改変されたヒト化抗体を提供する。改変
は、放射活性、または分子に結合されるかまたは分子に取り込まれる代替の非放射活性検
出可能な標識を含む。
【0050】
用語「同一」または「同一性」とは、2つ以上の参照された実体が同じであることを意
味する。従って、2つの核酸配列が同一である場合、これらは同じ配列である。「同一性
の領域」とは、2つ以上の参照された実体の一部が同じであることを意味する。従って、
2つの核酸配列がこれらの配列の1つ以上の部分にわたって同一である場合、これらはこ
れらの領域中で同一性を共有する。用語「実質的な同一性」とは、同一性が構造的有意で
あるかまたは機能的に有意であることを意味する。すなわち、同一性は、分子が異なって
いてもなお、分子が構造的に同一か、または同じ機能(例えば、生物学的機能)を行うよ
うなことである。構造的関連タンパク質と機能的関連タンパク質との間の配列保存の量に
おけるバリエーションに起因して、実質的な同一性に対する配列同一性の量が、領域/ド
メインの型およびその機能に依存する。核酸配列について、50%配列相同性およびそれ
より上は、実質的な相同性を構成し得る。タンパク質についての実質的な相同性は、例え
ば、30%配列相同性と同じぐらい実質的に少なくあり得るが、代表的に、例えば、50
%、60%、75%、85%またはそれ以上である。
【0051】
2つの配列間の同一性の程度は、種々のコンピュータープログラムおよび当該分野で公
知の数学的アルゴリズムを使用して、確認され得る。配列同一性(相同性)パーセントを
計算するこのようなアルゴリズムは、一般的に、比較領域にわたって配列のギャップおよ
びミスマッチについて説明する。例えば、BLAST(例えば、BLAST 2.0)検
索アルゴリズム(例えば、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.21
5:403−10、http:/www.ncbi.nlm.nih.govのNCBI
によって公然で利用可能)は、以下のような例示的な検索パラメーターを有する:ミスマ
ッチ−2:ギャップオープン5;ギャップ伸長2。ポリペプチド配列比較について、BL
ASTPアルゴリズムは、代表的に、スコアリングマトリクス(例えば、PAM100、
PAM 250、BLOSUM62など)と組み合せ使用される。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」とは、本発明の調節因子として使用
される場合、組成物(例えば、抗体、部分配列、改変形態、多量体、同じものをコードす
る核酸、細胞、ベクターなど)は、組成物が人間の手によって作製され、そしてインビボ
環境で、天然に存在するそれらから分離されることを意味する。一般的に、そのようにし
て分離された組成物は、それらが本質的に正常に関連する1つ以上の物質(例えば、1つ
以上のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜)を実質的に含まない。これらが本質
的に通常関連し得る、ほとんどまたは全ての物質を含まない場合、「単離された」抗体は
また、「実質的に純粋」であり得る。従って、また、実質的に純粋な単離された分子は、
100万の他の配列(例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー中の抗体
ライブラリーの抗体または核酸のような)のうちに存在するポリペプチドまたはポリヌク
レオチドを含まない。純度は、少なくとも60質量%またはそれ以上であり得る。純度は
また、約70%または80%またはそれ以上であり得、そしてそれ以上(例えば90%ま
たはそれ以上)であり得る。純度は、任意の適切な方法(例えば、UV分光法、クロマト
グラフィー(例えば、HPLC、ガス相)、ゲル電気泳動(例えば、銀染色またはクマシ
ー染色)および配列分析(核酸およびペプチド)を含む)によって決定され得る。
【0053】
本発明は、ヒト化抗体を産生するための方法をさらに提供する。1つの実施形態におい
て、方法は以下を包含する:アクセプターとしてのヒトフレームワーク配列を選択する工
程、ここで、前記配列は、非ヒトドナー抗体のフレームワーク領域に対して50%または
それ以上の同一性(例えば、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%
、70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、またはそ
れ以上の同一性)を有する;ドナーの非ヒト抗体(例えば、マウス)からヒトフレームワ
ーク上へCDRを移植する工程;ヒトアクセプターのバーニアゾーン残基と非ヒトドナー
のフレームワーク領域のバーニアゾーン残基とを比較する工程;およびドナーの非ヒト残
基およびヒト残基が構造的に類似するか、または化学的に類似する場合、バーニアゾーン
中の1つ以上のヒトアクセプター残基を維持する工程、またはドナーの非ヒトバーニアゾ
ーン残基がヒト残基に対して構造的に類似しないか、または化学的に類似しない場合、ド
ナーの非ヒトバーニアゾーン残基およびアクセプターのヒトバーニアゾーン残基の両方と
異なる残基を用いて1つ以上のバーニアゾーン残基を置換する工程、ここで、異なる残基
は、ドナーの非ヒドバーニアゾーン残基に構造的に類似するか、または化学的に類似する
。言いかえると、ドナーの非ヒトバーニアゾーン残基が、アクセプターのヒトバーニアゾ
ーン残基に構造的に類似しないか、または化学的に類似しない場合、次いで、このバーニ
アゾーン残基は、ドナーの非ヒトバーニアゾーン残基およびアクセプターのヒトバーニア
ゾーン残基の両方と異なり、ドナーの非ヒトバーニアゾーン残基に構造的になお類似する
か、または化学的になお類似する、残基に改変される。さらなる実施形態において、ヒト
フレームワークアクセプター配列は、コンセンサス配列(例えば、Vドメインのサブグ
ループIおよびサブグループIIのコンセンサス配列)から選択される。
【0054】
本発明はまた、本発明のヒト化抗体をコードする核酸(高親和性ヒト化抗体、部分配列
、改変形態およびその多量体を含む)を提供する。種々の実施形態において、核酸は以下
に示されるポリペプチドをコードする:配列番号1および配列番号3 (HumA);配
列番号4および配列番号5(HumB);配列番号6および配列番号7(HumC);配
列番号8および配列番号9(HumD);配列番号10および配列番号11(HumE)
;配列番号12および配列番号13(HumF);配列番号14および配列番号15(H
umG);配列番号16および配列番号17(HumH);ならびに配列番号18および
配列番号19(HumI);ならびに配列番号5および配列番号20(Hum40);な
らびに配列番号5および配列番号21(Hum50)。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「核酸」とは、リン酸エステル結合または等価物によっ
て連結される少なくとも2つ以上のリボ核酸塩基対またはデオキシリボ核酸塩基対をいう
。核酸は、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオシドを含む。核酸は、一本鎖分子、二本
鎖分子、三重鎖分子、環状分子または線状分子を含む。核酸分子は、排他的に属し得るか
、限定されないが、核酸分子の以下のグループによって例示されるように、ヌクレオチド
含有分子の任意のグループに対する混合物に属し得る:RNA、DNA、cDNA、ゲノ
ム核酸、非ゲノム核酸、天然に存在する核酸および天然に存在しない核酸ならびに合成核
酸。これは、例としては、任意の細胞小器官(例えば、ミトコンドリア)に関連する核酸
、リボソームのRNAおよびキメラの天然に存在する成分と共に天然に存在しない1つ以
上の成分を含む核酸分子が挙げられる。
【0056】
さらに、「核酸分子」とは、限定されないが、アミノ酸および糖によって例証されるよ
うな、1つ以上の非核酸ベースの成分の一部に含まれ得る。従って、例として、限定され
ないが、ヌクレオチドベースの一部およびタンパク質ベースの一部であるリボザイムは、
「核酸分子」とみなされる。
【0057】
核酸は、任意の長さであり得る。核酸の長さは、代表的には、約20Kb長〜10Kb
長、10Kb長〜5Kb長、1Kb長〜5Kb長またはそれ以下、1000塩基対長〜5
00塩基対長以下の範囲である。核酸はまた、より短くあり得、例えば、100〜500
塩基対よりも短く、あるいは約12塩基対長〜約25塩基対長、約25塩基対長〜約50
塩基対長、約50塩基対長〜約100塩基対長、約100塩基対長〜約250塩基対長、
または、約250塩基対長〜約500塩基対長である。
【0058】
遺伝コードの縮重の結果として、核酸としては、以下をコードする核酸に関して縮重し
た配列および部分配列を含む:配列番号1および3(HumA);配列番号4および5(
HumB);配列番号6および7(HumC);配列番号8および9(HumD);配列
番号10および11(HumE);配列番号12および13(HumF);配列番号14
および15(HumG);配列番号16および17(HumH);ならびに配列番号18
および19(HumI);ならびに配列番号5および20(Hum40);ならびに配列
番号5および21(Hum50)、ならびにそれらの部分配列。核酸はまた、以下をコー
ドする配列に相補的な配列を含む:配列番号1および3(HumA);配列番号4および
5(HumB);配列番号6および7(HumC);配列番号8および9(HumD);
配列番号10および11(HumE);配列番号12および13(HumF);配列番号
14および15(HumG);配列番号16および17(HumH);ならびに配列番号
18および19(HumI);ならびに配列番号5および20(Hum40);ならびに
配列番号5および21(Hum50)、ならびにそれらの部分配列。核酸部分配列は、約
15ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド、25ヌクレオチド〜50ヌクレオチドまたは5
0ヌクレオチド〜100ヌクレオチドを有する。このような核酸は、サンプル(インビト
ロ、細胞、培養培地、被験体などにおける、組織または器官、血清)中のヒト化抗体の存
在または量を検出するためのハイブリダイゼーションに有用である。
【0059】
本発明はさらに、以下をコードする核酸に高度にストリンジェントにハイブリダイズす
る核酸を含む:配列番号1および3(HumA);配列番号4および5(HumB);配
列番号6および7(HumC);配列番号8および9(HumD);配列番号10および
11(HumE);配列番号12および13(HumF);配列番号14および15(H
umG);配列番号16および17(HumH);ならびに配列番号18および19(H
umI);ならびに配列番号5および20(Hum40);ならびに列番号5および21
(Hum50)、それらの部分配列およびそれらに相補的な核酸配列。核酸にハイブリダ
イズすることはまた、サンプル中のヒト化抗体の存在または量を検出するのに有用である

【0060】
用語「ハイブリダイズ(する)」とは、相補的な核酸の間の結合をいう。配列は、一般
的に、以下をコードする核酸に対して約50%を超えるホモロジー(相同性)を有してい
る:配列番号1および3(HumA);配列番号4および5(HumB);配列番号6お
よび7(HumC);配列番号8および9(HumD);配列番号10および11(Hu
mE);配列番号12および13(HumF);配列番号14および15(HumG);
配列番号16および17(HumH);ならびに配列番号18および19(HumI);
ならびに配列番号5および20(Hum40);ならびに配列番号5および21(Hum
50)。関連する配列の間の領域は、少なくとも30塩基対、または約50塩基対、また
は約100〜約200以上の残基を超えて伸長し得る。
【0061】
当業者によって理解されるように、T(融解温度)は、相補的配列の間の結合がもは
や安定ではない温度をいう。2つの配列が結合するために、ハイブリダイゼーション反応
の温度は、その配列について計算されたT未満でなければならない。そのTは、配列
の相補性の量、長さ、組成(GC%)、核酸の型(RNA対DNA)ならびに塩、界面活
性剤、および反応物中の他の成分(例えば、ホルムアミド)の量によって影響される。こ
れらの因子の全ては、適切なハイブリダイゼーション条件を確立するときに考慮される(
例えば、Sambrookら(1989)前出に記載の、ハイブリダイゼーション技術お
よびTMを計算するための式を参照のこと)。
【0062】
代表的には、洗浄条件は、ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの所望の程度を
得るために調整される。従って、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、特定
の条件下(例えば、低ストリンジェンシー条件または高ストリンジェンシー条件)で洗浄
することによって、経験的に、決定され得る。選択ハイブリダイゼーションのための最適
な条件は、関連する特定のハイブリダイゼーション反応に依存して変化する。高度にスト
リージェントなハイブリダイゼーションの条件の例は、以下である:約37℃または約4
2℃にて2×SSC/0.1% SDS(ハイブリダイゼーション条件);おおよそ室温
で0.5×SSC/0.1%SDS(低ストリンジェンシー洗浄);約42℃にて0.5
×SSC/0.1%SDS(中程度のストリンジェンシー洗浄);および約65℃にて0
.1×SSC/0.1% SDS(高いストリンジェンシー洗浄)。
【0063】
本発明の核酸は、種々の標準的なクローニング技術および化学合成技術を使用して産生
され得る。このような技術としては、以下が挙げられるがこれらに限定されることはない
:1)抗体配列にアニーリングし得るプライマー(例えば、縮重したプライマー混合物)
を使用してゲノムDNA標的またはcDNA標的における核酸増幅(例えば、ポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR));2)核酸配列を化学合成して、その後、プラスミドにクローニ
ングされ得、増殖され、増幅され、そして、精製され得ること、および;3)関連配列に
対するデータベースのコンピュータサーチ。核酸の純度は、配列決定、ゲル電気泳動など
を介して決定され得る。
【0064】
本発明は、発現制御エレメントに作動可能に連結するヒト化抗体をコードする核酸を含
む発現カセットをさらに提供する。本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結す
る」とは、意図したエレメントの様式で、言及したエレメントが作動することを可能にす
るエレメント間の物理的または機能的関係をいう。従って、核酸に対して「作動可能に連
結する」発現制御エレメントは、転写および適切な場合、その転写物の適切な翻訳を調節
する制御エレメントを意味する。
【0065】
発現を制御するために核酸に物理的に連結する必要はない。従って、物理的連結は、そ
のエレメントが作動可能に連結することを必要としてない。例えば、最小のエレメントは
、ヒト化抗体をコードする核酸に連結し得る。「トランス」で機能してその最小エレメン
トに結合するタンパク質をコードする作動可能に連結する核酸の発現を制御する第2のエ
レメントは、ヒト化抗体の発現に影響し得る。この第2のエレメントは、ヒト化抗体の発
現を調節するので、この第2のエレメントは、ヒト化抗体をコードする核酸に作動可能に
機能する。
【0066】
用語「発現制御エレメント」は、作動可能に連結する核酸の発現に影響を与える核酸を
いう。プロモーターおよびエンハンサーは、発現制御エレメントの具体的で非限定的な例
である。「プロモーター配列」は、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始すること
ができるDNA調節領域である。プロモーター配列は、転写を開始するために必要な最小
数の塩基を含む。エンハンサーはまた、遺伝子発現を調節するが、それが作動可能に連結
する遺伝子の転写開始部位からの距離が作用し得る。エンハンサーはまた、その遺伝子の
5’末端または3’末端のいずれか、ならびにその遺伝子の中(イントロン配列の中、ま
たはコード配列の中)で作用する。
【0067】
発現制御エレメントは、「構成的」である様式で発現を与え、その結果、この作動可能
に連結した核酸の転写は、シグナルまたは刺激を得ることなしに、生じ得る。発現制御エ
レメントは、「調節的」な様式で発現を与え得、すなわち、シグナルまたは刺激によって
、作動可能に連結した核酸の発現が増大されるかまたは減少される。シグナルまたは刺激
に応答して作動可能に連結した核酸の発現を増大させる調節可能エレメントはまた、「誘
導性エレメント」と称される。シグナルまたは刺激に応答して作動可能に連結した核酸の
発現を減少させる調節可能エレメントは、「応答性エレメント」と称される(すなわち、
そのシグナルが、発現を減少させて、その結果、シグナルが取り除かれるかまたは存在し
ない場合に、発現が増大される)。
【0068】
発現制御エレメントは、特定の組織または細胞型において、活性なエレメントを含み、
これは、本明細書中で、「組織特異的発現制御エレメント」と称される。「組織特異的発
現制御エレメント」は、代表的には、特定の細胞または組織において活性であり、これは
、これらのエレメントが、特定の細胞または組織型に独特の、転写活性因子タンパク質ま
たは転写の他の調節因子によって認識されることに起因する。
【0069】
発現制御エレメントは、さらに、細胞周期また細胞分化の特定の段階において発現を与
えるエレメントを含む。従って、本発明は、構成的発現、調節可能発現、組織特異的発現
、細胞周期特異的発現、および分化段階特異的な発現を与える発現制御エレメントをさら
に含む。
【0070】
発現制御エレメントは、全長核酸配列(例えば、ネイティブプロモーターエレメントお
よびエンハンサーエレメント、ならびに全長または非改変体の制御エレメントの機能の全
てまたは一部分を保持する(調節を与える、例えば、シグナルまた刺激に応答する誘導性
のうちのいくらを保持する)、それらの部分配列またはヌクレオチド改変体(例えば、置
換/変異された形態またはネイティブ配列と相違する他の形態)を含む。
【0071】
細菌系について、構成的プロモーター(例えば、T7など)ならびに、誘導性プロモー
ター(例えば、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp,ptac(ptrp
−lacハイブリッドプロモーター))が使用され得る。昆虫系において、構成的プロモ
ーターまたは誘導性プロモーター(例えば、エクジソン)が使用され得る。酵母において
、構成的プロモーターまたは誘導的プロモーターが使用され得る(例えば、Ausube
lら、Current Protocols in Molecular Biolog
y,Vol.2,Ch.13,ed.,Greene Publish.Assoc.&
Wiley Interscience(1988);Grantら(1987)Me
thods in Enzymologv,153:516−544,eds.Wu &
Grossman,31987,Acad.Press,N.Y.;Glover,D
NA Cloning,Vol.II,Ch.3,IRL Press,Wash.,D
.C.,1986;Bitter(1987)Methods in Enzymolo
gy,152:673−684,eds.Berger & Kimmel,Acad.
Press,N.Y.;and,Strathemら、The Molecular B
iology of the Yeast Saccharomyces(1982)e
ds.Cold Spring Harbor Press,Vols.I and I
I)を参照のこと)。構成的酵母プロモーター(例えば、ADHまたはLEU2)または
誘導性プロモーター(例えば、GAL)は、使用され得る(R.Rothstein D
NA Cloning,A Practical Approach,Vol.11,C
h.3,ed.D.M.Glover,IRL Press,Wash.,D.C.,1
986)。
【0072】
哺乳動物細胞について、ウイルス起源または他の起源の構成的プロモーターが使用され
得る。例えば、SV40、またはウイルス性末端反復配列(LTRs)など、あるいは哺
乳動物細胞のゲノムに由来する誘導性プロモーター(例えば、メタロチオネインIIAプ
ロモーター;熱ショックプロモーター、ステロイド/甲状腺ホルモン/レチン酸応答エレ
メント)または哺乳動物ウイルスに由来する誘導性プロモーター(例えば、アデノウイル
ス後期プロモーター;誘導性マウス乳腺癌ウイルスLTR)が発現のために使用され得る

【0073】
本発明はまた、ヒト化抗体をコードする核酸分子がインビトロ、エキソビボまたはイン
ビボでの組み換えDNA技術によって導入される形質転換した細胞およびそれらの子孫を
提供する。この形質転換した細胞は、増殖され得、そしてこの導入された核酸が転写され
るかまたはコードされたタンパク質が発現され得る。複製の間に変異が存在し得ることに
起因して、子孫細胞は親細胞に同一であり得ないと理解される。形質転換された細胞とし
ては、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞および動物細胞(例えば、ヒトを含む哺
乳動物)のような、原核生物および真核生物の細胞が挙げられるが、これらに限定されな
い。これらの細胞は、培地中、エキソビボまたは被験体内に存在する、細胞中、組織中ま
たは器官の中に存在し得る。
【0074】
用語「形質転換(された)」とは、その細胞に対して外部にある核酸(例えば、導入遺
伝子)の組み込み後の細胞における遺伝的変化を意味する。従って、「形質転換(された
)細胞」は、組み換えDNA技術によって核酸分子が導入された細胞またはその細胞の子
孫である。宿主細胞の産生するための細胞形質転換は、本明細書に記載のように、または
当該分野で公知の技術を使用して実施され得る。従って、その核酸を含む細胞および本発
明のヒト化抗体を発現する細胞を産生する方法がまた、提供される。
【0075】
代表的には、細胞形質転換においては、ベクターが使用される。用語「ベクター」とは
、遺伝子操作のための、プラスミド、ウイルス(例えばウイルスベクター)または核酸の
挿入または組み込みによって操作され得る当該分野で公知の他のビヒクルをいい(すなわ
ち、「クローニングベクター」)、また、これらは、挿入されたポリヌクレオチドを転写
または翻訳するために使用され得る(すなわち、「発現ベクター」である)。このような
ベクターは、核酸(発現制御エレメントに作動可能に連結するヒト化抗体をコードして、
そしてこのコードされたタンパク質をインビトロ(例えば、溶液または固相の中)、細胞
中またはインビボで発現する核酸を含む)を導入するのに有用である。
【0076】
ベクターは、一般的に、細胞中での増殖のための複製起点を少なくとも含む。制御エレ
メント(本明細書中に示されるような発現コントロールエレメントを含む)が、ベクター
の中に存在し、これは、転写および翻訳を促進するために含まれる。用語「発現制御エレ
メント」は、少なくとも、発現を与え得る1以上の成分を)を含み、そしてプロモーター
またはエンハンサーの他の成分またはそれらの加えた成分(例えば、複数遺伝子またはポ
リシストロニックメッセージの生成、イントロンのためのスプライシングシグナル、mR
NAのインフレームの翻訳を可能にするための正しいリーディングフレームの維持ための
、リーダー配列および融合パートナー配列、内部リボソーム結合部位(IRES)エレメ
ント、目的の遺伝子の転写物の適切なポリアデニル化を提供するためのポリアデニル化シ
グナル、終止コドンなど)を含み得ることを意図される。
【0077】
ベクターは選択マーカーを含み得る。当該分野で知られているように、「選択マーカー
」は、遺伝子を含む細胞の選択を可能にする遺伝子を意味する。「ポジティブ選択(陽性
選択)」は、それによって、選択マーカーを含む細胞のみがポジティブ選択物に対して曝
された際に生存する過程をいう。薬物耐性は、ポジティブ選択マーカーの一例であり;こ
のマーカーを含む細胞は、選択薬物を含む培養培地中で生存し、このマーカーを含まない
細胞は死滅する。このようなマーカーとしては、とりわけ、例えば、以下の薬物耐性遺伝
子が挙げられる:neo(G418に対する耐性を与える)、hygr(ハイグロマイシ
ンに対する耐性を与える)、またはpuro(ピューロマイシンに対する耐性を与える)
。他のポジティブ選択マーカー遺伝子としては、それらのマーカーを含む細胞の同定また
はスクリーニングを可能にする遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子としては、とりわけ
、緑蛍光タンパク質(GFP)についての遺伝子、lacZ遺伝子、アルカリホスファタ
ーゼ遺伝子およびCD8のような表面マーカーが挙げられる。
【0078】
ベクターは、ネガティブ選択マーカーを含み得る。「ネガティブ選択」は、それによっ
て、ネガティブ選択マーカーを含む細胞が、適切なネガティブ選択因子に対して曝された
ときに殺傷される過程をいう。例えば、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(HSV
−tk)遺伝子を含む細胞(Wiglerら,Cell 11:223(1977))は
、薬物ガンシクロビル(gancyclovir)(GANC)に対して感受性である。
同様にgpt遺伝子は、6−チオキサンチンに対する感受性を細胞に与える。
【0079】
さらなる選択系が使用され得、これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定され
ない:ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szyba
lskaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026(196
2))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (Lowyら,Cell
22:817(1980))遺伝子。さらなる選択可能遺伝子、すなわち、以下が記載さ
れている:trpB(細胞が、トリプトファンの代わりにインドールを使用することを可
能にする);hisD(細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)
を使用することを可能にする)(Hartmanら,Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 85:8047(1988));およびODC(オルニチンデカルボキシ
ラーゼ)(オルニチンデカルボキシラーゼインヒビターに対する耐性を与える)、2−(
ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMO(McConlogue(1987)
:Current Communications in Molecular Bio
logy,Cold Spring Harbor Laboratory,ed.)。
【0080】
含まれるベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスゲノム、アデノ随伴
ウイルスゲノム、アデノウイルスゲノム、レオウイルスゲノム、レンチウイルスゲノム、
ロタイウルスゲノム、サル空胞ウイルス40(SV40)またはウシ乳頭腫ウイルスなど
)に基づき、細胞内の核酸の導入および発現のために改変されたベクターである(Con
eら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349(1984))
。(Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring H
arbor Laboratory,Gluzman ed.,1982;Sarver
ら,Mol.Cell.Biol.1:486(1981))。発現のために有用なさら
なるウイルスベクターとしては、パルボウイルス、ロタウイルス、Norwalkウイル
ス、コロナウイルス、パラミクソ(paramyxo)およびラボドウイルス(rhab
doviruses)、トガウイルス(例えば、シンドビスウイルスおよびSemlik
i Forestウイルス)および水疱性口内炎ウイルスが挙げられる。
【0081】
哺乳動物発現系は、インビボ発現およびエキソビボ発現のための特別に設計されたベク
ターをさらに含む。このような系は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(米国特許
第5,604,090号)を含む。AAVベクターは、治療的利益のための十分なレベル
でこれまでヒトおよびマウスにおける第IX因子の発現を提供することがこれまで示され
ている(Kayら,Nat.Genet.24:257(2000);Nakaiら,B
lood 91:4600(1998))。アデノウイルスベクター(米国特許第5,7
00,470号、同第5,731,172号および同第5,928,944号)、単純ヘ
ルペスウイルスベクター(米国特許第5,501,979号)およびレトロウイルス(例
えば、レンチウイルスベクターは、分裂細胞および非分裂への感染について有用であり、
泡沫状ウイルスである)ベクター(米国特許第5,624,820号、同第5,693,
508号、同第5,665,577号、同第6,013,516号および同第5,674
,703号ならびにWIPO公開WO92/05266およびW092/14829)な
らびに乳頭腫ウイルスベクター(例えば、ヒトおよびウシ乳頭腫ウイルス)は、全て、遺
伝治療において使用されている(米国特許第5,719,054号)。ベクターはまた、
サイトメガロウイルス(CMV)ベースベクター(米国特許第5,561,063号)を
含む。遺伝子を胃腸管の細胞に対して効率的に送達するベクターが、開発され、そして、
使用され得る(例えば、米国特許第5,821,235号、同第5,786,340号お
よび同第6,110,456号を参照のこと)。
【0082】
酵母において、相同組換えを介して、染色体に外来核酸配列を取り込むことを促進する
ベクターが、当該分野で公知であって、そして使用され得る。酵母人工染色体(YAC)
は、その挿入される核酸が従来のベクターにとってあまりにも大きいものである場合(例
えば、約12kbを超える場合)に、使用される。
【0083】
ヒト化抗体をコードする核酸およびヒト化抗体を標的細胞に導入することはまた、浸透
圧性ショック(例えば、リン酸カルシウム)、エレクトロポレーション、マイクロインジ
ェクション、細胞融合などのような当該分野で公知の従来の方法によって実施され得る。
核酸およびペプチドのインビトロ、エキソビボおよびインビボの導入はまた、他の技術を
使用して達成され得る。例えば、ポリマー物質(例えば、ポリエステル、ポリアミン酸(
polyamine acid)、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニ
ルアセテート、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プロタミンサルフェ
ート、またはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマー、
またはエチレンビニルアセテートコポリマー)である。核酸は、コアセルベート技術また
は界面重合によって調製されるマイクロカプセル内、またはコロイド薬物送達系に含まれ
得る(例えば、それぞれ、ヒドロキシルメチルセルロースマクロまたはゼラチン−マイク
ロカプセル、あるいはポリ(メチルメタクロレート)(poly(methylmeth
acrolate)マイクロカプセル)を使用することによる)。コロイド分散系として
は、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフィア、ビーズ、および脂質ベース系(水中
油エマルジョンを含む)、ミセル、混合ミセルおよびリポソームが挙げられる。
【0084】
種々の組成物(核酸を含む)を細胞に導入するためのリポソームの使用は、当業者にと
って公知である(例えば、米国特許第4,844,904号,同第5,000,959号
、同第4863,740号および同第4,975,282号を参照のこと)。天然のポリ
マーまたは天然のポリマーの誘導体または加水分解産物を含むキャリア(WO 94/2
0078および米国特許第6,096,291号に記載される)は、分子(例えば、ポリ
ペプチドおよびポリヌクレオチド)の粘膜送達は適切である。遺伝子治療にとって有効な
ピペラジンベースの両親媒性(amphilic)カチオン性脂質はまた、公知である(
例えば、米国特許第No.5,861,397号を参照のこと)。カチオン性脂質系はま
た、公知である(例えば、米国特許第5,459,127号を参照のこと)。従って、イ
ンビトロ、インビボおよびエキソビボでの細胞または組織に対する、ウイルスベクターま
たは非ウイルスベクターの送達手段が、包含される。
【0085】
本発明はまた、本発明の1以上の組成物を含むキットを提供し、この組成物は、薬学的
処方物を含み、適切なパッケージ物質にパッケージされる。1実施形態において、キット
は、ヒト化抗体またはその部分配列を備える。別の実施形態において、キットは、ヒト化
抗体また部分配列をコードする核酸を備える。さらなる実施形態において、キットは、発
現制御エレメント、発現ベクター、ウイルス発現ベクター、アデノ随伴ウイルス発現ベク
ター、アデノウイルス発現ベクター、およびレトロウイルス発現ベクターをさらに含む核
酸を備える。さらに別の実施形態において、キットは、ヒト化抗体または部分配列を発現
する細胞を備える。
【0086】
さらなる実施形態において、キットは、標識挿入物またはパッケージ化挿入物を備え、
インビトロ、インビボ、またはエキソビボで細胞中に、ヒト化抗体またはヒト化抗体をコ
ードする核酸を発現するための指示書を備える。なおさらなる別の実施形態において、キ
ットは、標識挿入物またはパッケージ化挿入物を備え、インビボ、またはエキソビボでヒ
ト化抗体またはヒト化抗体をコードする核酸を用いて被験体(例えば、喘息を有している
かまたはその危険性のある被験体)を処置するための指示書を備える。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「パッケージ化物質(packaging mate
rial)」は、キットの成分を収容するための物理的構造をいう。このパッケージ物質
は、滅菌的にそれらの成分を維持し得、そして、このような目的のために共通して使用さ
れる物質からなり得る(例えば、紙、波形ファイバー、ガラス、プラスチック、薄膜、ア
ンプルなどである)。この標識挿入物またはパッケージ挿入物は、適切な文書で示された
指示書を備え得、例えば、本発明の方法を実施して、例えば、感冒を処置する。従って、
本発明のキットは、さらに、本発明の方法においてキットの構成要素を使用するための指
示書を含み得る。
【0088】
指示書は、本明細書に記載のされた本発明の方法のうちのいずれかを実施するための指
示を備え得る。従って、本発明の薬学的組成物は、被験体への投与のための指示書を伴っ
て、容器、パック、またはディスペンサーの中に含まれ得る。さらに、指示書は、申し分
ない臨床的目的また起こり得る有害な症状、あるいは、ヒト被験体に対する使用のための
米国食品医薬品局によって求められるさらなる情報を含み得る。
【0089】
この指示書は、「印刷物」(例えば、キット中の紙または板紙、キットに固定された標
識またはパッケージ化物質)上にあり得るか、またはキットの構成要素を含むバイアルま
たはチューブに貼付され得る。指示書は、音声テープまたはビデオテープを含み得、そし
て、さらにコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、ディスク(フレキシブルディスクま
たはハードディスク)、光学CD(例えば、CD−ROM/RAM、DVD−ROM/R
AM)、磁気テープ、電子記憶媒体(例えば、RAMおよびROM)ならびにこれらの磁
気的/光学的記憶媒体のハイブリッド)を包含し得る。
【0090】
本発明のキットは、さらに、緩衝剤、保存料またはタンパク質/核酸安定剤を備え得る
。このキットはまた、活性をアッセイするためのコントロール成分(例えば、コントロー
ルサンプルまたは標準)を含み得る。これらのキットの構成要素は、個別の容器の中また
は混合物中に含まれ、そして、種々の容器の全ては、単一または複数のパッケージ中にあ
り得る。例えば、本発明の組成物は、ハードポンプコンテまたは被験体の喉または鼻また
は洞の経路へと組成物を噴霧するための圧縮(例えば、エアロゾル)容器の中にパッケー
ジ化され得る。
【0091】
本発明のヒト化抗体(部分配列、改変形態、多量体およびそれらをコードする核酸を含
む)は、薬学的組成物に組み込まれ得る。このような薬学的組成物は、インビボまたはエ
キソビボでの被験体に対する投与に有用であり、そして、ヒト化抗体を用いることで治療
可能である生理学的障害または生理学的状態に対する治療を提供するのに有用である。
【0092】
薬学的組成物は、「薬学的に受容可能な」および「生理学的に受容可能な」、キャリア
、希釈剤または賦形剤を含む。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な
」および「生理学的に受容可能な」ものは、薬学的投与に適合した、溶媒(水性または非
水性である)、溶液、エマルジョン、分散媒体、コーティング、等張化剤および吸収促進
剤または吸収遅延剤を含む。このような処方剤は、液体、エマルジョン、懸濁液、シロッ
プ、またはエリキシルあるいは固体形態;(コートされたかまたはコートされていない)
錠剤、カプセル(ハードまたはソフト)、粉末、顆粒、結晶またはマイクロビーズの中に
含まれ得る。追加的な活性部化合物(例えば、保存料、抗細菌剤、抗ウイルス剤、および
抗真菌剤)はまた、これらの組成物に組み込まれ得る。
【0093】
薬学的組成物は、特定の局所的または全身的な投与経路に適合性であるように処方され
得る。従って、薬学的組成物は、特定の経路による投与に適切なキャリア、希釈剤または
賦形剤を含む。
【0094】
本発明の組成物のための投与経路の特定の非限定的例は、吸入または鼻腔内送達である
。さらなる経路としては、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)、
経粘膜および直腸投与)が挙げられる。
【0095】
非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下を含み得る:滅菌
希釈剤(例えば、注射用の水、生理食塩水、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセ
リン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコー
ルまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸ナトリウム
);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、アセテート、シ
トレートまたはホスフェート)および張度の調整のための薬剤(例えば、塩化ナトリウム
またはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム
)で調整され得る。
【0096】
注射用の薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散剤、および滅菌の注
射可能な溶液または分散剤の即席調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与について、適
切なキャリアとしては、生理学的食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BA
SF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げら
れる。このキャリアは、溶媒または分散媒体であり得、例えば、以下が挙げられる:水、
エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリ
エチレングリコールなど)およびこれらの適切な混合物。例えば、コーティング(例えば
、レクチン)の使用によって、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持によって、そし
て界面活性剤の使用によって、流動性が維持され得る。抗菌剤および抗真菌剤としては、
例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサール
が挙げられる。等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビト
ール)、塩化ナトリウム)が、この組成物中に含まれ得る。吸収を遅延する薬剤(例えば
、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含むことは、注射可能組成物の吸収
を延長し得る。
【0097】
滅菌注射可能溶液は、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を上記成分の1つ以上の組み
合わせと共に取り込み、次いで濾過滅菌することによって、調製され得る。一般に、分散
剤は、塩基性の分散媒体および上記のような他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物
を取り込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、
調製方法としては、例えば、以前に滅菌濾過されたその溶液から、活性成分および任意の
さらなる所望の成分の粉末を得る、減圧乾燥および凍結乾燥が挙げられる。
【0098】
経粘膜投与または経皮投与について、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が、処方物中
に使用される。このような浸透剤は、当該分野で一般に公知であり、そして例えば、経粘
膜投与について、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投
与は、鼻スプレー、吸入デバイス(例えば、吸入器)または坐剤の使用を介して達成され
得る。経皮投与について、活性化合物は、当該分野で一般に公知の軟膏(ointmen
t)、軟膏(salve)、ゲルまたはクリーム中に処方される。
【0099】
本発明のヒト化抗体(部分配列および改変形態を含む)およびこれらをコードする核酸
は、身体からの迅速な排出に対して保護するキャリア(例えば、制御放出処方物または時
間遅延物質(例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルステアレート))と
共に調製され得る。これらの組成物はまた、局所的または全身的な持続送達または制御放
出を達成するために、移植物およびマイクロカプセル化送達システムを使用して、送達さ
れ得る。
【0100】
生物分解性の生体適合性ポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、
ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸)が使用され得る。
このような処方物の調製のための方法は、当業者に明らかである。これらの物質はまた、
Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,
Inc.から購入され得る。リポソーム懸濁物(抗体またはウイルス被覆タンパク質を使
用して細胞または組織に標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキ
ャリアとして使用され得る。これらは、当業者に公知の方法(例えば、米国特許第4,5
22,811号に記載される)に従って調製され得る。
【0101】
本発明の方法における投与のための組成物に適切なさらなる薬学的処方物が、当該分野
で公知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sc
iences(1990)第18版,Mack Publishing Co.,Eas
ton,PA;The Merck Index(1996)第12版,Merck P
ublishing Group,Whitehouse,NJ;およびPharmac
eutical Principles of Solid Dosage Forms
,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster
,Pa.,(1993)を参照のこと)。
【0102】
薬学的処方物は、投与の容易さおよび投薬の均一性のために、投薬単位形態にパッケー
ジされ得る。「投薬単位形態」は、本明細書中で使用する場合、処置されるべき被験体に
ついての単一投薬として適切な物理的に別個の単位をいい;各々の単位が、薬学的なキャ
リアまたは賦形剤と合わせて、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化
合物を含む。
【0103】
本発明のヒト化抗体としては、細胞のウイルス感染に対して保護する抗体が挙げられる
。例えば、HumA、HumB、HumC、HumD、HumF、HumHおよびHum
Iは、細胞のHRV感染に対して保護する(図4)。従って、別の実施形態において、本
発明は、細胞のヒトライノウイルス(HRV)感染に対して保護する抗体を提供する。1
実施形態において、抗体は、非ヒト化抗体と等しいか、または非ヒト化抗体よりも少なく
とも2〜5倍高い保護効力を有する。別の実施形態において、抗体は、非ヒト化抗体より
も少なくとも5〜10倍高い保護効力を有する。なお別の実施形態において、抗体は、非
ヒト化抗体よりも少なくとも10〜20倍高い保護効力を有する。なお別の実施形態にお
いて、抗体は、非ヒト化抗体よりも少なくとも20〜30倍高い保護効力を有する。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「ヒトライノウイルス」または「HRV」は、同定され
た(例えば、Hamparianら、(1987) Virology 159:191
を参照のこと)メジャー群およびマイナー群のヒト血清型のライノウイルス、そして後に
このウイルスのクラスに入るとして同定されるライノウイルスを意味する。メジャー群の
HRVは、ICAM−1に結合し、そしてマイナー群のHRVは、低密度リポタンパク質
(LDL)レセプターに結合する。
【0105】
本明細書中で使用される場合、用語「保護効力」は、実験条件(例えば、実施例5を参
照のこと)下で、感受性細胞の50%を感染から保護し得る抗体の量(すなわち、EC
)である。例えば、HRVについて、EC50での保護効力は、HRV感染から、50
%のhela細胞を保護する抗体の量である。従って、別の抗体(例えば、非ヒト化抗体
)よりも5倍高い保護効力を有するヒト化抗体は、感染からの同じ程度の保護をなお提供
しつつ、非ヒト化抗体の5分の1の量で使用され得る。
【0106】
本発明のヒト化抗体は、ICAM−1に結合する抗体を含む。理論に束縛されることを
望まないが、ICAM−1に結合する抗体は、ウイルスの結合または細胞に感染する能力
もしくは細胞に侵入する能力を阻害し、それによって、ウイルスの感染もしくは増殖を阻
害すると考えられる。従って、このような抗体は、ICAM−1に結合する病原体(例え
ば、ウイルス(例えば、HRVおよびA型コクサッキー(coxackie)ウイルス、
RSウイルス(RSV))、細菌、真菌および原生動物(例えば、マラリア))を阻害す
るために有用である。従って、これらの抗体は、HRV感染を阻害するため、ならびにI
CAM−1レセプターが関与する任意の微生物および他の病原体を阻害するために、有用
である。従って、本発明は、細胞の病原体感染を阻害する抗体(ここで、感染は、少なく
とも一部、ICAM−1に結合することによって媒介される)および細胞の病原体感染を
阻害するための方法(ここで、感染は、少なくとも一部、ICAM−1に結合することに
よって媒介される)を提供する。
【0107】
1実施形態において、方法は、細胞のウイルス感染を阻害するのに充分な量の、ICA
M−1に結合するヒト化抗体と、ウイルスまたは細胞とを接触させる工程を包含する。1
つの局面において、この細胞は、上皮細胞である。別の実施形態において、方法は、被験
体のウイルス感染を阻害するのに充分な量の、ICAM−1に結合するヒト化抗体を被験
体に投与する工程を包含する。種々の局面において、このウイルスは、HRV、A型コク
サッキーウイルスおよびRSウイルスである。なお別の実施形態において、方法は、病原
体による被験体の感染を阻害するのに充分な量の、ICAM−1に結合するヒト化抗体を
被験体に投与する工程を包含する。
【0108】
本発明はまた、被験体の感染を阻害するための方法、進行を阻害するための方法、また
は病原性感染を処置する方法を提供する。1実施形態において、方法は、HRV感染を有
するかまたはHRV感染を有する危険性のある被験体に、被験体のHRV感染を阻害する
か、その進行を阻害するか、またはHRV感染を処置するために充分な量のヒト化抗体を
投与する工程を包含する。別の実施形態において、方法は、A型コクサッキーウイルス感
染もしくはRSウイルス感染を有するかまたはA型コクサッキーウイルス感染もしくはR
Sウイルス感染を有する危険性のある被験体に、被験体のA型コクサッキーウイルス感染
もしくはRSウイルス感染を阻害するか、その進行を阻害するか、またはこれらを処置す
るために充分な量のヒト化抗体を投与する工程を包含する。なお別の実施形態において、
方法は、マラリアを有するかまたはマラリアを有する危険性のある被験体に、被験体のマ
ラリアを阻害するか、その進行を阻害するか、またはそれを処置するのに充分な量のヒト
化抗体を投与する工程を包含する。種々の局面において、ヒト化抗体は、以下から選択さ
れるVドメインおよびVドメインを有する:配列番号1および3(HumA);配列
番号4および5(HumB);配列番号6および7(HumC);配列番号8および9(
HumD);配列番号10および11(HumE);配列番号12および13(HumF
);配列番号14および15(HumG);配列番号16および17(HumH);なら
びに配列番号18および19(HumI);ならびに配列番号5および20(Hum40
);ならびに配列番号5および21(Hum50)、そしてこれらの抗原結合部分配列。
【0109】
本発明は、(例えば、HRV、A型コクサッキーウイルス、RSウイルスまたはマラリ
アによって引き起こされる)病原体感染の1つ以上の症状を低減または阻害するための方
法をさらに提供する。1実施形態において、方法は、HRV、A型コクサッキーウイルス
、RSウイルスまたはマラリアに関連する1つ以上の症状を有する被験体に、被験体にお
けるHRV、A型コクサッキーウイルス、RSウイルスまたはマラリアに関連する1つ以
上の症状を低減または阻害または予防するのに充分な量のヒト化抗体を投与する工程を包
含する。低減または阻害または予防される症状としては、例えば、HRVについて、一般
的な風邪に関連する熱、うっ血、咳、鼻汁、咽喉炎などのうち1つ以上が挙げられる。別
の実施形態において、方法は、中耳炎を有する被験体に、被験体において中耳炎の1つ以
上の症状を低減または阻害または予防するのに充分な量のヒト化抗体を投与する工程を包
含する。なお別の実施形態において、方法は、別の実施形態において、方法は、気管支炎
を有する被験体に、被験体において気管支炎の1つ以上の症状を低減または阻害または予
防するのに充分な量のヒト化抗体を投与する工程を包含する。なお別の実施形態において
、方法は、副鼻腔炎を有する被験体に、被験体において副鼻腔炎の1つ以上の症状を低減
または阻害または予防するのに充分な量のヒト化抗体を投与する工程を包含する。さらな
る実施形態において、方法は、喘息を有するかまたは喘息を有する危険性のある被験体に
、喘息の悪化を低減または阻害または予防するのに充分な量のヒト化抗体を投与する工程
を包含する。1局面において、ヒト化抗体は、局所的に投与される。別の局面において、
ヒト化抗体は、吸入を介してか、または鼻腔内に投与される。
【0110】
直接機能するかまたはICAM−1を介して間接的に機能する病原体を阻害することに
加えて、本発明のヒト化抗体は、所望されない生理学的状態(例えば、ICAM−1が役
割を果たす疾患または障害)を処置するために使用され得る。例えば、ICAM−1との
LFA−1の相互作用は、炎症に関与する。従って、本発明の抗体は、この相互作用を阻
害し、それによって局所的炎症または全身的炎症を調節(例えば、低減)するために使用
され得る。さらに、ICAM−1は、他の免疫応答経路、癌および転移において、役割を
果たす。従って、本発明の抗体は、器官移植拒絶または自己免疫疾患あるいは癌または転
移を、低減または予防するために使用され得る。従って、本発明は、免疫応答性(例えば
、炎症)およびICAM−1が関与する他の細胞プロセスを調節する抗体、ならびに免疫
応答経路を調節するための方法を提供する。
【0111】
本発明の方法は、感染前(すなわち、予防)もしくは感染後に、感染の急性症状もしく
は慢性症状、または生理学的状態もしくは障害の発症の前もしくは後(例えば、器官移植
前)に、実施され得る。症状の発症前また発症直後での化合物の投与は、被験体において
症状の重篤度を低減し得る。被験体における症状の発症前に化合物を投与することは、被
験体の感染性を低減し、それによって、他の被験体が感染した被験体から感染する可能性
を低減し得る。
【0112】
用語「被験体」は、動物、代表的に哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類(ゴリラ、チンパ
ンジー、オランウータン、マカク、ギボン)、家畜(イヌおよびネコ)、農場動物(ウマ
、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)およ
びヒト)をいう。ヒト被験体は、成人および小児(例えば、新生児〜年上の子供(例えば
、1歳と5歳との間の年齢、5歳と10歳との間の年齢、および10歳と18歳との間の
年齢))を含む。ヒト被験体は、ウイルス感染(例えば、HRV)(そしてこれは、1つ
以上の感染症状(例えば、一般的な風邪に代表的には関連する症状)を発症する)を有す
るかまたは有する危険性がある被験体を含み得る。ヒト被験体は、急性の喘息発作の前ま
たは急性の喘息発作を被った後に、慢性喘息を被っている喘息患者を含む、喘息を有する
かまたは喘息を有する危険性のある被験体を含む。被験体は、本発明のヒト化抗体のイン
ビボの効力を試験するための疾患モデル動物(例えば、マウスおよび非ヒト霊長類)(例
えば、HRV動物モデル、喘息動物モデル、器官移植動物モデル、自己免疫障害モデル、
癌モデルなど)を含む。
【0113】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本
発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書
中に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料が、本発明の実施また
は試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、本明細書中に記載される。
【0114】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、その全体が参考と
して援用される。矛盾する場合、定義を含む本願明細書が支配する。
【0115】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明
確に他をしめさない限り、複数形の対象を含む。従って、例えば、「形質転換細胞(a
transformed cell)」に対する言及は、複数のこのような細胞を含み、
そして「ヒト化抗体(a humanized antibody)」に対する言及は、
1つ以上のこのような細胞または抗体に対する言及を含み得る、など。
【0116】
本発明の多数の実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の精神および範
囲から逸脱することなしに、種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、以下の
実施例は、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を例示することを意図するが、限定す
ることを意図しない。
【実施例】
【0117】
(実施例1)
この実施例は、1A6をヒト化するためのストラテジーを記載する。
【0118】
マウスモノクローナル抗体1A6(mAb1A6)は、Colonnoらによって開発
され、そしてICAM−1に特異的に結合し、そしてヒトライノウイルス(HRV)メジ
ャー群による感染に対して細胞を保護することが示されている(Colonno RJ,
ら、(1991)欧州特許出願番号91201243.2;公開番号:0 459 57
7 A2、マウスmAb1A6の配列もまた記載する)。親マウスモノクローナル抗体1
A6を、scFvの形態で合成した。精製タンパク質(Msc1A6)は、ICAM−1
に対して、Kで1.18×10−6 Mの親和性を有する(表4)。
【0119】
mAb1A6をヒト化するために、選択されたヒトVHサブグループIIIおよびVL
−κサブグループIのコンセンサス配列を、アクセプターVHおよびVLフレームワーク
として、それぞれ選択した(Padlan(1994)Molecular Immun
ol.31:169−217;Padlan(1991)Molecular Immu
nol.28:489−498)。これらのヒト配列は、2つの抗体をヒト化するために
以前に使用されている(Carterら、(1992)Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 89:4285−4289;Prestaら、(1993)J.Imm
unol.151:2623−2632)。
【0120】
重鎖フレームワーク中の合計82アミノ酸残基の中で、ヒトHV IIIコンセンサス
配列とmAb1A6抗体とは、54個の同一なアミノ酸残基を共有し、これは、66%の
同一性に相当する。81個の軽鎖フレームワーク残基の中で、ヒトκIコンセンサス配列
およびmAb1A6抗体は、共通な52アミノ酸残基を有し、これは、64.2%の同一
性と等しい(図1)。
【0121】
mAb1A6とヒトコンセンサス配列との間で異なる合計57個のフレームワークアミ
ノ酸残基の中で、これらのうち49個は、抗体分子の表面に位置するか、または類似の特
徴を有する残基であるかのいずれかであり、従って、ヒトコンセンサス残基は、マウス残
基を置換するために使用され得る。残りの6個の位置(VH37、VH69、VH71、
VH73、VH94およびVL49)は、TooteおよびWinter(1992、J
.Mol.Biol.224:487−499)に記載されるような「Vernier」
領域に属する。「Vernier」領域の残基は、CDRの基礎となる層を形成し、そし
てCDRの構造および抗体の親和性に影響を与え得るので、これらの位置の残基を、抗体
の分子モデル構築に基づいて選択した。
【0122】
(VL49:)
調査により、この位置が、抗体連結部位の中心であり、かつ軽鎖/重鎖の接合点の両方
であることが明らかである。この位置での理想的残基置換は、さらなる直接結合接触を提
供し、そして接合点の特徴を改善することの両方によって、抗原結合を改善し得る。この
位置においてヒト抗体で見出されるチロシンは、この両方を行う。モデル構築は、Y49
が、ICAMとのファンデルワールス力および水素結合の両方による接触を形成し得るこ
とを示唆する。Y49はまた、重鎖W102と相互作用して、軽鎖/重鎖接合点での結合
相互作用および可撓性の両方を提供する、相互作用する芳香族残基のネットワークを完成
させ得る。従って、この位置におけるヒトコンセンサス残基であるチロシンは、親マウス
残基のリジンよりも優れている。
【0123】
(VH37:)
この残基は、軽鎖と重鎖との間の接合点にある。親マウス残基のメチオニンと比較する
と、ヒトコンセンサス残基のバリンは、この接合点に対してあまり入り込まず、潜在的に
、さらなる可撓性を提供する。接合点での可撓性は、抗体のコンフォメーション的な適合
性を増大させることによって、結合親和性を増強し得る。
【0124】
(VH69:)
この残基は、可変ドメインの内部にパックされる。マウス残基のメチオニンは、隣接す
るβ鎖の骨格との、潜在的に不安定化する接触を形成する。対照的に、ヒト残基のイソロ
イシンは、タンパク質の内側に充分にパックされる。
【0125】
(VH73:)
分子モデリングは、ヒトコンセンサス残基(アスパラギン酸(D73))が、重鎖CD
R1のK30と相互作用し得ることを示す。モデル構築は、K30が抗原結合に直接的に
は関与しないことを示唆しているので、この安定化する変化は、中性であるかまたは有利
であるかのいずれかであると予測される。
【0126】
(VH71およびVH94:)
構造調査は、これらの位置の両方が、適切な抗体コンフォメーションの維持のために小
さい側鎖を有する残基を必要とすることを示した。従って、この位置のヒトコンセンサス
残基であるアルギニンは、適切ではない。セリンおよびグリシンを、71位について選択
した。
【0127】
Chothiaらによれば、VH94の残基は、H1またはCDR1の標準的構造に含
まれる(VH26−VH32として規定される)。1A6のCDR1は、標準的構造1お
よびファミリー1に属する(ChothiaおよびLesk(1987)J.Mol.B
iol.186:651−663;Chothiaら、(1992)J.Mol.Bio
l.227:799−817;Chothiaら、(1989)Nature 342:
877−883)。この標準的構造に対応して、ヒト配列は、VH94位での3つの可能
な残基(アルギニン、スレオニンまたはアラニン)を示した(Chothiaら、(19
92)J.Mol.Biol.227:799−817)。アルギニンは、この特定の抗
体については適切でないので、スレオニンおよび別の小さい残基であるアスパラギン酸を
選択した。
【0128】
最後に、分子モデル構築は、VHドメイン中のCDR2の一部(VH60〜64)は、
抗原と直接相互作用しない。従って、これらの位置でのマウス残基(DPKVQ)は、ヒ
ト残基ADSVKによって置換され得る。
【0129】
(実施例2)
この実施例は、いくつかのヒト化scFv発現構築物の調製を記載する。
【0130】
730bpを含むヒト化scFvA(HumA)cDNA(図3)を、一連の重複オリ
ゴヌクレオチドを使用して合成した。これらの重複オリゴヌクレオチド(表1)を、Ba
mH1部位を用いて、リンカー((GS))によって連結される重鎖(V)および
軽鎖(V)の可変領域のアミノ酸をコードするように設計した。重鎖および軽鎖を、T
OPO 2.1ベクター中に別々にクローニングした。DNA配列決定コンフォメーショ
ンの後、重鎖および軽鎖を、発現ベクター(pBAD/pIII A)中サブクローニン
グして、全長DNAを形成した。
【0131】
これらのオリゴヌクレオチドを、以下からなる6つの群へと、最初にアニーリングした
:重鎖について、オリゴAVH1/AVH2、オリゴAVH3/AVH4、オリゴAVH
5/AVH6、そして軽鎖についてオリゴAVL1/AVL2、オリゴAVL3/AVL
4、オリゴAVL5/AVL6。各アニーリングした群を、DNAポリメラーゼのクレノ
ウフラグメントを使用して伸長した。群1〜3のアニーリングおよび伸長した産物を、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、高信頼度(忠実度/フィデリティー)熱安定性
DNAポリメラーゼ(Roche)を、プライマーとしてオリゴAVH8およびオリゴA
VH9と共に使用して増幅される、重複テンプレートとしてのオリゴAVH7と共にプー
ルした。群4〜6のアニーリングおよび伸長した産物を、オリゴAVL8およびオリゴA
VL9をプライマーとして使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってこれもまた
増幅される、重複テンプレートとしてのオリゴAVL7と共にプールした。これらのPC
R産物を、TAクローニングベクターpCR2.1−TOPO(Invitrogen)
に直接的に挿入し、そしてTOP10コンピテント細胞にトランスフェクトした。挿入物
を有するプラスミドを、単離し、そして配列決定した。
【0132】
軽鎖および重鎖のDNAフラグメントを、それぞれ、Nco I/Bam HIおよび
Bam HI/Hpa Iを用いた消化によってそれらのクローニングベクターから単離
し、そしてNco I/Sal I(平滑化)で切断した発現ベクターpBAD/pII
I Aに、カルボキシ末端のHisタグとインフレームになるように、クローニングした
。この発現構築物pBAD−HumAの両方の鎖を、配列決定した(MWG Biote
ch,Inc.)。
【0133】
全ての他のヒトscFv発現構築物(HumB〜HumH)を、異なるオリゴヌクレオ
チド(表1)を用いることを除いて、上記のHumAと同じ手順で作製した。
【0134】
HumBについて、AVH6およびAVH7の代わりにBVH6およびBVH7を用い
て;HumCについて、AVH5、AVH6およびAVH7の代わりにCVH5、CVH
6およびCVH7を用いて;HumDについて、AVH6 およびAVH7の代わりにD
VH6およびDVH7を用いて;HumEについて、AVH4、AVH5、AVH6およ
びAVH7の代わりにEVH4、EVH5、EVH6およびEVH7を用いて;HumF
について、AVH6およびAVH7の代わりにFVH6およびFVH7を用いて;Hum
Gについて、AVL3、AVL4、AVH5、AVH6およびAVH7の代わりにGVL
3、GVL4、GVH5、GVH6およびGVH7を用いて;HumHについて、AVL
3、AVL4、AVH4、AVH5、AVH6およびAVH7の代わりにHVL3、HV
L4、HVH4、HVH5、HVH6およびHVH7を用いて;HumIについて、AV
L3、AVL4、AVH4、AVH5、AVH6およびAVH7の代わりにIVL3、I
VL4、IVH4、IVH5、IVH6およびIVH7を用いる。
【0135】
(表1.ヒト化scFvについてのオリゴヌクレオチド)
HumAの軽(V)鎖についてのオリゴヌクレオチド:
【0136】
【表1−1】


HumAの重(V)鎖についてのオリゴヌクレオチド:
【0137】
【表1−2】


他のヒトscFv(HumB〜I)を作製するためのオリゴヌクレオチド:
【0138】
【表1−3】

【0139】
【表1−4】


分子モデル構築は、scFvの形態におけるヒト化抗体の9つのバージョン(HumA
〜HumI、表2および3にまとめる)の合成を可能にした。ヒト化抗体(HumA〜H
umD)のうちの4つは、親マウスのフレームワーク残基を有さず、それらのうちの5つ
(HumE〜HumI)は、フレームワークにおいて複数の親マウスの残基を含む。Hu
mBの配列は、図2における親マウス1A6およびヒトコンセンサスフレームワークに匹
敵する。
【0140】
(表2.ヒト化構築物)
【0141】
【表2】


(表3.ヒト化抗体のアミノ酸配列)
【0142】
【表3】












CDR残基は、括弧内に含まれる。
【0143】
(実施例3)
この実施例は、ヒト化1A6単鎖抗体タンパク質の発現および精製を記載する。
【0144】
ヒト化1A6 scFvの生成のために、望ましい発現構築物を形質導入されたTOP
10細胞を、OD600で0.8に達するまでTB培地(Bio 101)の入ったシェ
イカーフラスコ中で増殖させた。タンパク質発現を、0.02%アラビノースで室温で1
8時間誘導した。細胞を、4,000gで15分間、遠心分離によってペレット化した。
細胞ペレットを、1/50容量の可溶化緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、1% Tr
iton X−100、500mM NaCl、40mMイミダゾール、2mM 2−メ
ルカプトエタノール、0.2mM PMSF、lmg/mlリゾチーム)に懸濁し、そし
て氷上で30分間インキュベートした。細胞懸濁液を超音波処理し、そしてPMSFの別
のアリコートを添加した。細胞デブリを、12,000×gで遠心分離することによって
ペレット化し、そして浄化した超音波処理物を濾過し、金属アフィニティークロマトグラ
フィーによって分画した。誘導したヒスチジンタグ化タンパク質を、製造業者の指示書に
従って、Ni2+で平衡化したHi TrapTM金属キレートカラム(Amersha
m/Pharmacia)に結合させた。次いで、カラムを、100mMイミダゾール、
20mMリン酸ナトリウム(pH 7.4)、500mM NaClからなる緩衝液のカ
ラム容量で4回洗浄した。500mMイミダゾール、20mMリン酸ナトリウム(pH
7.4)において、カラムから溶出したタンパク質の画分を回収し、プールし、そしてリ
ン酸緩衝生理食塩水(PBS)/2mM EDTAに対して4℃で透析し、次いでPBS
に対して透析した。
【0145】
(実施例4)
この実施例は、ICAMに対するヒト化単鎖抗体タンパク質の結合親和性を測定する研
究を記載する。
【0146】
ヒスチジンタグ化ヒト単鎖(hsc)タンパク質の結合親和性を評価するために、可溶
性ICAM−1をELISAアッセイにおいて使用した。96−ウェルEIAプレート(
Corning,Inc.)を、100μl/ウェルの可溶性ICAM−1(Bende
r MedSystems)(0.1M NaHCO中1μg/ml)でコーティング
した。TBST(50mM Tris(pH8.0)、150mM NaCl、0.05
% Tween−20)で洗浄した後、このプレートを、TBST中3%脱脂乳で、37
℃で1時間ブロッキングした。TBSTで洗浄した後、このプレートを、1%脱脂乳/T
BST溶液中に希釈したscFvサンプル(100μl/ウェル)とともに、室温で1時
間インキュベートした。TBSTで洗浄した後、1%脱脂乳/TBST溶液中に1:20
00倍希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ結合体化抗His(C−term)抗体(I
nvitrogen)を添加し、そしてこのプレートを室温で1時間インキュベートした
。このプレートを、TBSTで完全に洗浄し、そして100μl/ウェルの3,3’,5
,5’−テトラメチルベンジジン(tetamethybenzidine)基質溶液(
Kirkegaard and Perry Laboratories)を添加した。
5分間のインキュベーション後、100 ml/ウェルで0.12N HClを添加する
ことによって発色を止め、そしてウェルの吸光度(450nm)をプレートリーダー(I
CN)によって測定した。
【0147】
結合研究は、全てのヒト化scFvタンパク質(hsc)が、親マウスscFvよりも
10倍以上高いICAM−1に対する結合親和性を実証することを示した(表4)。
【0148】
(表4.マウス1A6 scFvおよびヒト化1A6 scFv)
【0149】
【表4】




*1MOIでのHRV15感染に対するHeLa細胞の50%保護
(実施例5)
この実施例は、ヒト化1A6抗体がHRV感染を保護することを実証するデータを記載
する。この実施例はまた、この保護が、マウス1A6抗体よりも有意に高いことを実証す
るデータを記載する。
【0150】
HeLa細胞を、48ウェル組織培養ディッシュの1ウェルあたり1×10細胞でプ
レートし、そして24時間培養した。培養培地を吸引し、そして100μlのヒト化1A
6タンパク質を指定の希釈で各ウェルに添加した。これらのプレートを、37℃のインキ
ュベーターで1時間インキュベートし、タンパク質溶液を取り除き、200μl HRV
15(1のMOIで)を添加し、そしてこのプレートを33℃で1時間インキュベートし
た。次いで細胞を洗浄し、そして1ml/ウェルの増殖培地を添加した。これらの感染細
胞を、33℃で48時間インキュベートした。次いで、培地を吸引し、残った生存細胞を
クリスタルバイオレットで染色した。最後に、このクリスタルバイオレッドを、1ウェル
あたり2mlのメタノールで抽出し、抽出した染料をA570を測定することによって決
定した。%保護を三連における各時点で、以下の式を用いて算出した:

(100)(サンプル吸光度−ウイルスだけの吸光度)
%保護=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(非感染細胞の吸光度−ウイルスだけの吸光度)

この保護効率をEC50として定量し、これは、hela細胞をHRV感染から50%
保護し得る抗体タンパク質の用量である。いくつかのヒト化1A6タンパク質のEC50
を、表4にまとめ、そしてこの保護アッセイからのデータを図4に示す。このアッセイは
、Hum19 scFvタンパク質のEC50が、親マウス1A6 scFvタンパク質
のEC50よりも60倍より高かったことを示す(図4)。インビトロでの保護は、抗体
結合親和性と十分に相関することを示す。
【0151】
(実施例6)
この実施例は、1A6をヒト化するさらなるストラテジーを記載する。
【0152】
ヒト化1A6の2つのさらなるバージョンを、2つの異なるヒトコンセンサスフレーム
ワーク配列(Hum40およびHum50)上にVドメインのCDRループを移植する
ことによって生成した。Hum40は、ヒトコンセンサスVサブグループII(Hum
2)上に移植するCDRから生じるヒト化1A6であり、そしてHum50は、ヒトコン
センサスVサブグループI(Hum1)上に移植するCDRから生じるヒト化1A6で
ある(Padlan(1991)Mol.Immunol.28:489−498;図5
)。
【0153】
Hum40:
ヒトVサブグループII(Hum2)は、マウス1A6V配列と82フレームワー
ク残基のうち50個の同一なアミノ酸残基を共有し、これは、61%同一性である(図5
および6)。マウス1A6とHumIIとの間で異なる32アミノ酸残基のうち、6つは
「バーニア」ゾーンに属し(FooteおよびVinter,(1992)、J.Mol
.Biol.224:487−499)、そして抗原結合親和性に影響を与え得る。重大
な「バーニア」ゾーン残基は、Vの67、69、71、78、93および94である。
【0154】
の67位、69位、78位および93位でのアミノ酸の分析は、ヒトコンセンサス
残基およびマウス残基が、非常に類似する特性を有することを示す。従って、ヒトコンセ
ンサス残基は、これらの位置でマウス残基を置換するために使用される。構造的分析は、
の71および94の残基が小さな側鎖を有し、これは、ヒトコンセンサス残基(これ
ら2つの位置でリジンおよびアルギニン)を除外することを示す。従って、セリンおよび
アルギニン(両方とも小さな側鎖を有する)が、それぞれ、V71およびV94で選
択される。その結果、Hum40のVドメインは、V71およびV94を除いて、
フレームワーク位置で全てのヒトコンセンサス残基を含む。マウスまたはヒトの残基のい
ずれかに関係のない残基を、それらの構造的特徴に起因してV71およびV94で選
択した(図6)。
【0155】
Hum50:
ヒトVサブグループI(Hum1)は、マウス1A6V配列と82フレームワーク
残基のうち62個の同一なアミノ酸残基を共有し、これは、76%同一性である(図5お
よび7)。マウス1A6とHumIとの間で異なる20アミノ酸残基のうち、4つは「バ
ーニア」ゾーンに属し(FooteおよびVinter,(1992)、J.Mol.B
iol.224:487−499)、そして抗原結合親和性に影響を与え得る。重大な「
バーニア」ゾーン残基は、Vの48、67、93および94である。Vの48位、6
7位および93位でのアミノ酸の分析は、ヒトコンセンサス残基およびマウス残基が、非
常に類似する特性を有することを示す。従って、ヒトコンセンサス残基は、これらの位置
でマウス残基を置換するために使用される。構造的分析は、V94の残基が小さな側鎖
を有し、これは、ヒトコンセンサス残基アルギニンを除外することを示す。従って、アラ
ニンが、V94で選択される。その結果、Hum50は、V94を除いて、フレーム
ワーク位置で全てヒトコンセンサス残基を含む(図7)。
【0156】
(実施例7)
この実施例は、ヒト化1A6 Fabタンパク質の調製を記載する。
【0157】
3つの発現構築物を作製する:Fab19、Fab40およびFab50。Fab19
は、ヒト化1A6 HumBに由来する可変ドメイン(VおよびV)から構成され(
表3)、これは、重鎖VサブグループIIIおよびヒト軽鎖κサブグループIのヒトコ
ンセンサス配列に基づく。Fab40およびFab50は、それぞれHum40Vドメ
インおよびHum50VドメインならびにFab19のような同じ軽鎖を含む。Fab
19、Fab40およびFab50の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列を表5に列挙し、
対応する遺伝子配列を表6に列挙する。
【0158】
軽鎖可変ドメイン(V)およびヒトκ軽鎖定常領域に由来する軽鎖定常領域(C
)の遺伝子セグメント(Palm and Hilschmann,1975,Z.Ph
ysiol Chem.356:167−191)を、PCR増幅によって別々に合成し
た。配列決定コンホメーション後、2つの遺伝子セグメントを、その軽鎖V−C遺伝
子を形成するために共に融合した。類似のアプローチを使用して、重鎖可変ドメイン(V
)ならびにヒトIgG1のC1ドメインの配列に基づく重鎖定常領域(C)を含む
遺伝子セグメントをクローニングした(Ellisonら、1982,Nucl.Aci
ds Res.10:4071)。
【0159】
発現ベクターを、Fabタンパク質の生成のために設計した。VおよびVドメイン
を、エンテロトキシンIIシグナル配列をコードする遺伝子セグメントに、その5’末端
で正確に融合する。ジシストロン遺伝子(dicistronic gene)内の介在
配列は、リボソームエントリー部位を含み、一方、その遺伝子の3’末端は、バクテリオ
ファージλt転写ターミネータを含む。イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピ
ラノシド(IPTG)−誘導性ptacプロモーターを使用して、このジシストロンメッ
セージの発現を生じさせる。
【0160】
ヒト化1A6 Fabタンパク質の生成のために、望ましい発現構築物を形質導入され
たJM83細胞を、OD600で1.2に達するまでTB培地(Bio 101)の入っ
たシェイカーフラスコ中で増殖させた。タンパク質発現を、0.2mM IPTGで室温
で18時間誘導した。細胞を、4,000gで15分間、遠心分離によってペレット化し
た。細胞ペレットを、可溶化緩衝液(50mM Tris(pH 8.0)、1.0M
NaCl、5mM EDTA、0.2mM PMSF、1mg/mlリゾチーム)(10
〜15%溶液)に懸濁し、そして氷上で20分間インキュベートした。細胞懸濁液を超音
波処理し、そしてPMSFの別のアリコートを添加した。細胞デブリを、12,000×
gで遠心分離によって除去し、そして浄化した超音波処理物を濾過し、Fab19につい
てプロテインAアガロース、そしてFab40およびFab50についてプロテインGア
ガロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって分画した。プロテインAま
たはプロテインGカラムを50mM Tris(pH 8.0)、2.0M NaCl、
5mM EDTAで洗浄した後、結合したタンパク質を0.1N グリシン(pH2.5
)でカラムから溶出し、そして1/10容量の0.1M Tris(pH 9.0)を含
むチューブに回収した。これらのタンパク質画分をプールし、次いでTBSに透析した。
【0161】
(表5.Fab19、Fab40および Fab50のアミノ酸配列)
Fab19、Fab40および Fab50のVドメイン(配列番号5)
【0162】
【表5】




CDR残基は、括弧内に含まれる。
【0163】
(表6.Fab19、Fab40および Fab50の可変ドメイン遺伝子配列)
Fab19、Fab40および Fab50のV遺伝子(配列番号22)
【0164】
【表6】




(実施例8)
この実施例は、ヒト化1A6 Fabの抗原であるICAM−1に対するヒト化1A6
Fabの結合親和性の測定を記載する。
【0165】
ELISAアッセイを使用して、Fabタンパク質の結合親和性を評価した。96−ウ
ェルEIAプレート(Corning,Inc.)を、100μl/ウェルの可溶性IC
AM−1(Bender MedSystems)(0.1 M NaHCO中1μg
/ml)でコーティングした。TBST(50mM Tris(pH8.0)、150m
M NaCl、0.05% Tween−20)で洗浄した後、このプレートを、TBS
T中3%脱脂乳で、37℃で室温にて1時間ブロッキングした。TBSTで洗浄した後、
このプレートを、1%脱脂乳/TBST溶液中に1:3,000倍希釈した西洋わさびペ
ルオキシダーゼ結合体化抗ヒトIgG Fab特異的抗体(Sigma、A−0923)
とともに室温にて1時間インキュベートした。このプレートを、TBSTで完全に洗浄し
、そして100μl/ウェルの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン基質溶液(
Kirkegaard and Perry Laboratories)を添加した。
10分間のインキュベーション後、100ml/ウェルで0.12N HClを添加する
ことによって発色を止め、そして吸光度(450nm)をプレートリーダー(ICN)に
よって測定し、次いで抗体濃度に対してプロットした。親和性定数(K)(平衡解離定
数とも称される)は、飽和レベルの50%でICAM−1結合を増加させるFabタンパ
ク質の濃度と等しい。
【0166】
結合研究は、Fab19が、そのscFv形態(HumB、表4を参照のこと)よりも
高いICAM−1に対する結合親和性を実証することを示した。3つのヒト化Fabタン
パク質の結合親和性は、以下の順である:Fab19>Fab40>Fab50。
【0167】
(表7.ヒト化1A6 Fabの結合親和性)
【0168】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183303(P2009−183303A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119326(P2009−119326)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願2003−538209(P2003−538209)の分割
【原出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(504022065)パーラン セラピューティクス, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】