説明

IDカード作成方法およびIDカード作成装置

【課題】写真画像の周縁を確実に検出できるIDカード作成装置を提供する。
【解決手段】IDカードを申請するための申請書30は、光を透過させる透過部32を有している。また、矩形状の顔写真31が透過部32内に貼付されている。そして、IDカード作成装置10は、申請書30を搬送する搬送路11と、申請書30上の写真31およびその周辺を撮像して、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40を得る撮像手段12と、広域画像40に基づいて、写真画像41の周縁44を特定する周縁特定手段17と、特定された写真画像41の周縁44に基づいて、写真画像41をIDカsードに印刷する印刷手段21と、を備えている。ここで、申請書30の透過部32と搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより、低反射部35が形成されており、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、申請書30に貼付された顔写真31の光反射率以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙に貼付された写真を撮像して、写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成方法およびIDカード作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免許証などのIDカードには、IDカード所有者の顔写真の画像が印刷されている場合がある。このようなIDカードを作成するIDカード作成装置として、はじめに、台紙に貼付された顔写真を撮像し、次に、得られた顔写真画像をプリンタでIDカード上に印刷し、これによって顔写真画像入りのIDカードを作成するIDカード作成方法およびIDカード作成装置が知られている。
【0003】
ところで、台紙に貼付されている顔写真が、予め定められた貼付位置からずれた位置に貼付されている場合がある。このような状況において、予め定められた貼付位置を撮像し、これによって得られた画像をIDカードに印刷する場合、IDカードの顔写真画像に写真エッジが現れることが考えられる。このような課題を解決するため、例えば特許文献1において、台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像を含む広域画像を得る画像読取手段と、当該画像読取手段により得られた広域画像から写真画像の周縁を検出する写真位置検出手段と、当該写真位置検出手段により検出された周縁に基づき写真画像を抽出する写真画像抽出手段と、を備えたIDカード作成装置が提案されている。しかしながら、特許文献1においては、広域画像から写真画像の周縁を検出するための具体的な方法が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−180160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
写真画像を含む広域画像から写真画像の周縁を検出する方法の1つとして、広域画像の色や濃度に関する情報から写真画像の周縁を検出する方法が挙げられる。しかしながら、この方法を用いる場合、写真の背景色や背景濃度と台紙の色や濃度との間の差が小さいと、写真画像の周縁の検出が困難になることが考えられる。
【0006】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るIDカード作成方法およびIDカード作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1のIDカード作成方法は、透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持台の艶消し面上に載置する工程と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、前記台紙の透過部と前記支持台の艶消し面との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法である。
【0008】
本発明による第2のIDカード作成方法は、艶消し部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該艶消し部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を準備する工程と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、前記台紙の艶消し部により、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法である。
【0009】
本発明による第3のIDカード作成方法は、透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持台上に載置する工程と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、前記支持台のうち前記台紙の透過部に対応する位置には貫通孔が形成され、前記台紙の透過部と前記支持台の貫通孔との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法である。
【0010】
本発明のIDカード作成方法において、前記撮像工程は、所定のガンマを用いて実施され、輝度値のデジタル出力値の下限が0であるとき、当該ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが1以上となるよう調整されていてもよい。
【0011】
本発明のIDカード作成方法において、前記ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが5以上となるよう調整されていてもよい。
【0012】
本発明のIDカード作成方法において、前記撮像工程は、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施されてもよい。この場合、前記第1ガンマは、前記第2ガンマよりも高輝度側に設定されている。また、前記周縁特定工程は、前記第1ガンマを用いて得られる第1広域画像に基づいて、当該第1広域画像における写真画像の周縁を特定し、前記印刷工程は、前記周縁特定工程からの情報に基づいて、前記第2ガンマを用いて得られる第2広域画像における写真画像をIDカードに印刷する。
【0013】
本発明のIDカード作成方法において、前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置に形成されていてもよい。
【0014】
本発明のIDカード作成方法において、前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成されていてもよい。
【0015】
本発明による第1のIDカード作成装置は、透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、前記台紙の透過部と前記支持台の艶消し面との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置である。
【0016】
本発明による第2のIDカード作成装置は、艶消し部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該艶消し部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、前記台紙の艶消し部により、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置である。
【0017】
本発明による第3のIDカード作成装置は、透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、前記支持台のうち前記台紙の透過部に対応する位置には貫通孔が形成され、前記台紙の透過部と前記支持台の貫通孔との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置である。
【0018】
本発明のIDカード作成装置においては、前記撮像手段において、所定のガンマが用いられ、輝度値のデジタル出力値の下限が0であるとき、当該ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが1以上となるよう調整されていてもよい。
【0019】
本発明のIDカード作成装置において、前記ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが5以上となるよう調整されていてもよい。
【0020】
本発明のIDカード作成装置においては、前記撮像手段において、第1ガンマおよび第2ガンマがそれぞれ用いられてもよい。この場合、前記第1ガンマは、前記第2ガンマよりも高輝度側に設定されている。また、前記周縁特定手段は、前記第1ガンマを用いて得られる第1広域画像に基づいて、当該第1広域画像における写真画像の周縁を特定し、前記印刷手段は、前記周縁特定手段からの情報に基づいて、前記第2ガンマを用いて得られる第2広域画像における写真画像をIDカードに印刷する。
【0021】
本発明のIDカード作成装置において、前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置に形成されていてもよい。
【0022】
本発明のIDカード作成装置において、前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1のIDカード作成方法によれば、支持台の艶消し面上に載置される台紙は、透過部を有している。また矩形状の写真が、当該透過部の少なくとも一部と重なるよう台紙に貼付されている。この場合、台紙の透過部と、支持台の艶消し面との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成されており、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。このため、台紙上の写真およびその周辺を撮像して得られた写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を二値化した場合、写真周辺画像に対応する領域が黒化領域となっている。この黒化領域に基づいて、写真画像の周縁を特定することができ、これによって、広域画像から写真画像を正確に抽出することが可能となる。このことにより、写真画像が正確に印刷されたIDカードを作成することができる。
【0024】
本発明の第2のIDカード作成方法によれば、台紙は、艶消し部を有している。また矩形状の写真が、当該艶消し部の少なくとも一部と重なるよう台紙に貼付されている。この場合、台紙の艶消し部により、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成されており、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。このため、台紙上の写真およびその周辺を撮像して得られた写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を二値化した場合、写真周辺画像に対応する領域が黒化領域となっている。この黒化領域に基づいて、写真画像の周縁を特定することができ、これによって、広域画像から写真画像を正確に抽出することが可能となる。このことにより、写真画像が正確に印刷されたIDカードを作成することができる。
【0025】
本発明の第3のIDカード作成方法によれば、支持台上に載置される台紙は、透過部を有しており、また矩形状の写真が、当該透過部の少なくとも一部と重なるよう台紙に貼付されている。また支持台のうち前記台紙の透過部に対応する位置には貫通孔が形成されている。この場合、台紙の透過部と、支持台の貫通孔との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成されており、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。このため、台紙上の写真およびその周辺を撮像して得られた写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を二値化した場合、写真周辺画像に対応する領域が黒化領域となっている。この黒化領域に基づいて、写真画像の周縁を特定することができ、これによって、広域画像から写真画像を正確に抽出することが可能となる。このことにより、写真画像が正確に印刷されたIDカードを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における申請書を撮像側から見た場合を示す図。
【図2】図2(a)(b)(c)(d)は、本発明の第1の実施の形態において、透過部を跨ぐよう写真が貼付された申請書を作製する方法を示す図。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるIDカード作成装置を示す図、図3(b)は、IDカード作成装置の搬送路上に載置された申請書を撮像側から見た場合を示す平面図。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態におけるIDカード作成装置を示すブロック図。
【図5A】図5A(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態において、IDカードを作成する手順を示す図。
【図5B】図5B(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるガンマの変形例を示す図。
【図6A】図6A(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態における申請書の変形例を示す図。
【図6B】図6Bは、本発明の第1の実施の形態における搬送路の変形例を示す図。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態におけるIDカード作成装置を示す図。
【図8】図8(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態において、写真画像の周縁を特定する手順を示す図。
【図9】図9(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態における申請書を撮像側から見た場合を示す図。
【図10】図10は、本発明の第3の実施の形態において、写真画像の周縁を特定する手順を示す図。
【図11A】図11A(a)(b)(c)は、本発明の第3の実施の形態における申請書の変形例を示す図。
【図11B】図11B(a)(b)(c)(d)は、本発明の第3の実施の形態における申請書のその他の変形例を示す図。
【図11C】図11C(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態における申請書のその他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図1を参照して、矩形状の顔写真31が貼付された申請書(台紙)30について説明する。
【0028】
申請書
図1は、免許証などのIDカードを申請するための申請書30を表面側(後述する撮像側)から見た場合を示す平面図である。図1に示すように、申請書30には、IDカード申請者の氏名、住所、生年月日などの個人情報33aと、被申請者側により付与されたID番号33bとが記載されている。また図1に示すように、申請書30は光を透過させる透過部32を有しており、また、矩形状の顔写真31が透過部32内に貼付されている。
【0029】
次に図2(a)(b)(c)(d)を参照して、上述の申請書30を形成する方法について説明する。図2(a)(b)(c)(d)はそれぞれ、申請書30を表面側から見た場合を示す平面図である。まず図2(a)に示すように、顔写真31よりも一回り大きな形状を有する穴34が形成された申請書30を準備する。次に、図2(b)に示すように、申請書30の穴34よりも一回り大きな形状を有する透過性シート32aを準備し、その後、申請書30の穴34を覆うよう申請書30の裏面側から透過性シート32aを申請書30に貼り付ける。これによって、図2(c)に示すように、透過部32を有する申請書30が作製される。
【0030】
その後、図2(d)に示すように、顔写真31を申請書30の透過部32上に貼付する。この場合、顔写真31は、顔写真31全体が透過部32と重なるよう貼付されている。このようにして、図2(d)に示すように、透過部32を有する申請書30であって、矩形状の顔写真31が透過部32と重なるよう貼付された申請書30が作製される。
【0031】
なお、図2(b)に示す工程において、透過性シート32aを申請書30に貼り付ける方法が特に限られることはなく、接着剤、粘着テープなどを適宜用いることができる。なお、接着剤を用いて透過性シート32aを申請書30に貼り付ける場合、好ましくは、透過性シート32aのうち申請書30に接する箇所にのみ接着剤が塗布され、透過性シート32aのうち穴34に対応する箇所には接着剤が塗布されない。これによって、透過部32の光透過率をより高くすることができる。すなわち、透過部32の光反射率をより低くすることができる。
【0032】
次に、図3および図4を参照して、申請書30の顔写真31を撮像するとともに、後述する写真画像41が印刷されたIDカード60を作成するIDカード作成装置10について説明する。図3(a)は、IDカード作成装置10を示す図であり、図3(b)は、IDカード作成装置10の搬送路11上に載置された申請書30を示す平面図である。図4は、IDカード作成装置10のうち、後述する撮像手段12、周縁特定手段17および印刷手段21を示すブロック図である。
【0033】
IDカード作成装置
図3に示すように、IDカード作成装置10は、複数枚の申請書30が積載された申請書トレイ29と、申請書トレイ29からの申請書30を支持するとともに搬送する搬送路11(支持台)と、申請書30に記載されたID番号33bを読み取る番号読取手段25と、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像して、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40を得る撮像手段12と、広域画像40に基づいて、写真画像41の周縁44を特定する周縁特定手段17と、特定された写真画像41の周縁44に基づいて、写真画像41をIDカードに印刷する印刷手段21と、を備えている。なお写真画像41とは、申請書30の顔写真31をデジタル画像化することにより得られた画像のことである。同様に、写真周辺画像42とは、透過部32をデジタル画像化することにより得られた画像のことである。
【0034】
番号読取手段25は、図3に示すように、ID番号33bなどを読み取るOCRリーダ25aと、OCRリーダ25aからの情報を解読する解読部25bとからなっている。解読部25bにより解読されたID33bなどに関する情報は、印刷手段21に送られる。
【0035】
またIDカード作成装置10の撮像手段12は、図3に示すように、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像する撮像部13と、撮像部13近傍に設けられ、撮像部13側(以下、撮像側)から申請書30に光を照射する照明部14とを有している。またIDカード作成装置10は、図3に示すように、撮像手段12の下流側に設けられ、申請書30の記録情報を読み取るスキャナー27と、スキャナー27から排出された申請書30を収容する申請書バケット28と、をさらに備えている。
【0036】
なお、本実施の形態におけるIDカード作成装置10において、搬送路11の撮像側の面は、艶消し処理が施された艶消し面11aからなっている。ここで、艶消し処理の方法が特に限られることはなく、艶消し剤による被覆などが適宜実施される。艶消し剤の例としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0037】
図3(b)は、搬送路11の艶消し面11a上に載置された申請書30を撮像側から見た場合を示す平面図である。上述のように、申請書30は、透過性シート32aからなる透過部32を有している。このため、撮像手段12の照明部14から申請書30に向かって照射された光は、申請書30の透過部32を透過して搬送路11の艶消し面11aに到達する。ここで艶消し面11aには、上述のとおり艶消し処理が施されており、このため、艶消し面11aに到達した光の大半は、艶消し面11aにおいて吸収または散乱される。このため、艶消し面11aに到達した光が、再び申請書30の透過部32を透過して撮像手段12に戻ることは殆どない。従って、撮影手段12の撮像部13により申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像した場合、撮像により得られた画像のうち申請書30の透過部32に対応する領域はほぼ黒色となる。このように、本実施の形態によるIDカード作成装置10においては、申請書30の透過部32と搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより、低反射部35が形成されている(図3(b)参照)。
【0038】
低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率(撮像手段12に戻ってくる光の比率)は、申請書30の透過部32における光透過率および光反射率と、搬送路11の艶消し面11aにおける光反射率とを総合的に考慮することにより算出される。本実施の形態において、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の光反射率以下となるよう適宜定められている。例えば、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の光反射率が最小でも0.01以上となっている場合、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率が0.01以下(後述する反射濃度に換算すると、2以上)となるよう、透過部32の透過性シート32aと搬送路の艶消し面11aとが適宜設計される。好ましくは、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は0.0096以下(後述する反射濃度に換算すると、2.018以上)となっており、さらに好ましくは0.009以下(後述する反射濃度に換算すると、2.046以上)となっている。
なお、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率が上記の値に限られることはなく、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の光反射率に応じて適宜設定される。
【0039】
次に、図4を参照して、IDカード作成装置10の撮像手段12、周縁特定手段17および印刷手段21についてそれぞれ詳細に説明する。
【0040】
(撮像手段)
図4に示すように、撮像手段12は、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像して、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40を得るとともに、広域画像40を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像部13を有している。また撮像手段12は、図4に示すように、広域画像40を構成する複数の画素における輝度値をデジタル値として算出する際のガンマを撮像部13に与えるガンマ調整部15をさらに有している。なおガンマとは、一般に、カメラやモニターに入力される信号の大きさと、カメラやモニターから出力される信号の大きさとの関係のことであり、本実施の形態においては、撮像部13に入力される光量と、撮像部13により算出される上述の輝度値との関係のことである。
本実施の形態において、ガンマは、申請書30上の顔写真31を適切な階調でデジタル画像化するよう調整されている。例えば、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の反射濃度が最大でも2以下になると想定され、かつ、輝度値のデジタル出力値の下限が0、上限が255となっている場合、ガンマは、反射濃度Dが0〜2の画素における輝度値を直線的に0〜255として出力するよう設定されている(図5A(b)参照)。
ここで、光反射率をρで表す場合、反射濃度Dと光反射率ρとの間に以下の関係式が成立している。
【数1】

従って、反射濃度Dが2であることは、光反射率ρが0.01であることに相当する。
なお、光反射率ρは以下の式により定義される。
【数2】

【0041】
図4に示すように、撮像部13において得られた広域画像40は、周縁特定手段17および印刷手段21の双方に送られる。後述するように、周縁特定手段17に送られた広域画像40は、広域画像40の写真画像41の周縁44を特定するためのデータとして用いられ、一方、印刷手段21に送られた広域画像40は、IDカードに印刷される写真画像41のための画像データとして用いられる。
【0042】
(周縁特定手段)
次に周縁特定手段17について説明する。周縁特定手段17は、撮像手段12からの広域画像40の各画素の画素値を二値化して、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43を判定する境界線判定部19と、判定された境界線43に基づいて、写真画像41の周縁44を算出する周縁算出部18と、を有している。図4に示すように、周縁算出部18により算出された周縁44に関する情報は印刷手段21に送られる。
【0043】
(印刷手段)
次に印刷手段21について説明する。図4に示すように、印刷手段21は、データ処理部23とプリンタ22とを有している。このうちデータ処理部23は、周縁特定手段17の周縁算出部18から送られてくる写真画像41の周縁44に関する情報に基づいて、撮像手段12の撮像部13から送られてくる広域画像40から、写真画像41のみを抽出するものである。抽出された写真画像41は、プリンタ22によりIDカード60上に印刷される。このようにして、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40から写真画像41のみが抽出され、そして写真画像41がIDカード60上に印刷される。
【0044】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、図3乃至図5Aを参照して、IDカード作成装置10によりIDカード60を作成する手順について説明する。図5A(a)は、写真画像41の周縁44を特定する手順を示す図であり、図5A(b)は、申請書30の顔写真31を撮像する際のガンマを示す図であり、図5A(c)は、写真画像41が印刷されたIDカード60を示す図である。
【0045】
はじめに、図3(a)(b)に示すように、透過部32を有する申請書30であって、矩形状の顔写真31が透過部32と重なるよう貼付された申請書30を搬送路11の艶消し面11a上に載置する。次に、番号読取手段25のOCRリーダ25aにより、申請書30のID番号33bを読み取る。読み取られたID番号33bに関する情報は、解読部25bを介して印刷手段21に送られる。
【0046】
次に、撮像手段12により、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像する。この場合、はじめに、撮像手段12の照明部14により、申請書30上の顔写真31に向かって光が照射される。次に、撮像手段12の撮像部13により、申請書30上の顔写真31およびその周辺が撮像される。これによって、図5A(a)に示すように、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40が得られる。また撮像部13により、広域画像40を構成する複数の画素における輝度値が算出される。なお、輝度値を算出する際のガンマとして、図5A(b)に示すガンマが用いられる。
【0047】
次に、図4に示すように、周縁特定手段17により、広域画像40の各画素の輝度値に基づいて、写真画像41の周縁44を特定する。この場合、はじめに、周縁特定手段17の境界線判定部19により、広域画像40の各画素の輝度値を二値化する。これによって、二値化された広域画像40aが得られる。この際、二値化の閾値としては、写真画像41における輝度値の最小値以下となるよう予め定められた所定の値が用いられる。本実施の形態においては、写真画像41における輝度値の最小値が0(顔写真31の暗部の反射濃度が最大でも2以下であることに相当)と想定されており、従って、二値化の閾値を0としている。この場合、輝度値が0である画素が、二値化により黒化され、一方、輝度値が1〜255の範囲内である画素が、二値化により白化される。
【0048】
上述のように、低反射部35の光反射率は0.01以下となっており、このため、低反射部35(透過部32)をデジタル画像化してなる写真周辺画像42の輝度値は全て0となっている。このため、図5A(a)に示すように、写真周辺画像42に対応する領域は黒化領域42aとなっている。なお、顔写真31の暗部には、その反射濃度Dが2となっている部分が多少は存在すると考えられる。従って、本実施の形態においては、写真画像41のうち黒髪の領域などの写真暗部において、その輝度値が0となっている場合がある。このため、図5A(a)に示すように、二値化された広域画像40aには、写真暗部に対応する黒化領域41aも含まれている。
【0049】
次に、二値化された広域画像40aに基づいて、周縁特定手段17の境界線判定部19により、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43が判定される。この場合、はじめに、二値化された広域画像40aから、写真周辺画像42に対応する黒化領域42aが抽出される。次に、写真周辺画像42に対応する黒化領域42aにおいて、二値化された広域画像40aの中心側に位置する端部が、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43として判定される。
なお、二値化された広域画像40aから写真周辺画像42に対応する黒化領域42aを抽出するための方法が特に限られることはなく、画像処理の分野において一般に用いられている様々な手法を適宜利用することができる。同様に、写真周辺画像42に対応する黒化領域42aにおいて、二値化された広域画像40aの中心側に位置する端部(直線部)を抽出するための方法が特に限られることはなく、画像処理の分野において一般に用いられている様々な手法を適宜利用することができる。例えば、ノイズのある画像の中から直線を検出する有効な手法として知られているハフ変換を利用することができる。
【0050】
次に、境界線判定部19によって判定された境界線43に基づいて、周縁算出部18により、写真画像41の周縁44が算出される。なお本実施の形態において、図5A(a)に示すように、申請書30に貼付された顔写真31は、低反射部35によって囲まれている。このため、本実施の形態において、図5A(a)に示すように、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43は、写真画像41の周縁44と一致している。この場合、周縁算出部18は、境界線43を周縁44として算出する。
【0051】
その後、図4に示すように、算出された周縁44に関する情報が、印刷手段21のデータ処理部23に送られる。データ処理部23は、撮像手段12の撮像部13から送られてくる広域画像40から、周縁44に沿って写真画像41のみを抽出する。その後、図5A(c)に示すように、プリンタ22により、抽出された写真画像41がIDカード60上に印刷される。この際、図5A(c)に示すように、番号読取手段25により読み取られたID番号33bをIDカード60上にさらに印刷してもよい。このようにして、写真画像41などが印刷されたIDカード60が作成される。
【0052】
このように本実施の形態のIDカード作成装置10によれば、搬送路11の艶消し面11a上に載置される申請書30は、透過部32を有している。また矩形状の顔写真31が、透過部32と重なるよう申請書30に貼付されている。この場合、申請書30の透過部32と、搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより、申請書30に貼付された顔写真31の周辺に低反射部35が形成されており、当該低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、顔写真31に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。このため、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像して得られた写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40を二値化した場合、写真周辺画像42に対応する領域は黒化領域42aとなっている。この黒化領域42aに基づいて、写真画像41の周縁44を特定することができ、これによって、広域画像40から写真画像41を正確に抽出することが可能となる。このことにより、写真画像41が正確に印刷されたIDカード60を作成することができる。
【0053】
なお本実施の形態において、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の反射濃度が最大でも2以下になると想定されている場合に、ガンマが、反射濃度Dが0〜2の画素における輝度値を直線的に0〜255として出力するよう設定されている例を示した。すなわち、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の反射濃度が、想定される最大値(=2)となっている場合に、顔写真31の暗部に対応する画素の輝度値が0となるようガンマが設定されている例を示した。
しかしながら、これに限られることはなく、図5B(a)に示すように、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の反射濃度が想定される最大値(=2)となっている場合に、顔写真31の暗部に対応する画素の輝度値が1となるようガンマを設定してもよい。この場合、写真画像41を閾値=0で二値化すると、全ての領域が白化される。一方、低反射部35の反射濃度は、上述のように2以上、好ましくは2.018以上となっており、このため、写真周辺画像42を閾値=0で二値化すると、全ての領域が白化される。このことにより、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43をより確実かつ容易に判定することが可能となる。
また、図5B(b)に示すように、申請書30に貼付された顔写真31の暗部の反射濃度が想定される最大値(=2)となっている場合に、顔写真31の暗部に対応する画素の輝度値が2以上、例えば5となるようガンマを設定してもよい。この場合、二値化の閾値は、0と5の中間の値、例えば2と設定される。これによって、写真画像41の全ての画素の輝度値をより確実に閾値より大きくすることができ、また、写真周辺画像42の全ての画素の輝度値を確実に閾値より小さくすることができる。このことにより、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43をさらに確実かつ容易に判定することが可能となる。
なお、輝度値のデジタル出力値の上限が255(8ビットに相当)に限られることはなく、求められる解像度などに応じて、輝度値のデジタル出力値の上限を127(7ビットに相当)、511(9ビットに相当)などの様々な値に設定してもよい。
【0054】
また本実施の形態において、申請書30の穴34を完全に覆うよう透過性シート32aが設けられ、これによって透過部32が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図6A(a)(b)に示すように、顔写真31が透過性シート32aによって支持され得る程度に、透過性シート32aにより穴34の一部のみを覆ってもよい。この場合、図6A(a)(b)に示すように、透過性シート32aと、穴34の貫通部分34a(穴34のうち透過性シート32aにより覆われていない部分)とにより透過部32が形成される。また、当該透過部32と、搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより、低反射部35が形成される。ここで、図6A(a)(b)に示す低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、図3(b)に示す低反射部35の場合と同様に、顔写真31に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。
【0055】
また本実施の形態において、搬送路11において、その撮像側の面に、艶消し処理が施された艶消し面11aが形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図6Bに示すように、搬送路11のうち申請書30の透過部32に対応する位置に貫通孔11bが形成されていても良い。この場合、搬送路11の貫通孔11bを挟んで撮像手段12と対向する位置には、撮像手段12の照明部14から照射された後、申請書30の透過部32と搬送路11の貫通孔11bとを抜けてくる光を、撮像手段12の撮像部13に向かって反射させないための機構が設けられている。例えば、図6Bに示すように、搬送路11の貫通孔11bを挟んで撮像手段12と対向する位置には、搬送路11の搬送面に対して45°傾斜した傾斜板38が設けられている。この傾斜板38の撮像側の面には、反射防止材38aが貼付されている。このため、撮像手段12から、申請書30の透過部32と搬送路11の貫通孔11bとを抜けて来た光が、再び撮像手段12に戻ることはない。このように、図6Bに示す形態においては、申請書30の透過部32と、搬送路11の貫通孔11bとの組合せにより低反射部35が形成されている。そして、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、図3(b)に示す低反射部35の場合と同様に、顔写真31に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。
【0056】
また本実施の形態において、申請書30が透過部32を有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図6A(c)に示すように、申請書30が、艶消し処理が施された艶消し部36を有していてもよい。この場合、図6A(c)に示すように、顔写真31は艶消し部36内に貼付されている。この場合、申請書30の艶消し部36により低反射部35が形成されている。
【0057】
図6A(c)に示す低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、図3(b)に示す低反射部35の場合と同様に、顔写真31に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっている。すなわち、申請書30の艶消し部36には、このような光反射率を実現するような艶消し処理が施されている。艶消し部36における艶消し処理の方法が特に限られることはなく、艶消し剤による被覆などが適宜実施される。艶消し剤の例としては、上述の搬送路11の艶消し面11aの場合と同様に、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0058】
図6A(c)に示す例によれば、上述のように、申請書30は、艶消し処理が施された艶消し部36を有している。このため、搬送路11における光反射率に依らず、申請書30に低反射部35を形成することができる。
【0059】
また本実施の形態において、印刷手段21のデータ処理部23により、周縁44に沿って広域画像40から写真画像41のみが抽出される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、データ処理部23は、広域画像40から、周縁44よりも内側で写真画像41を抽出してもよい。
【0060】
また本実施の形態において、矩形状の顔写真31が申請書30の透過部32内に貼付されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、任意の形状を有する顔写真を、申請書30の透過部32内に貼付することができる。この場合も、周縁特定手段17により、写真画像41の周縁44を特定することができる。
【0061】
第2の実施の形態
次に図7および図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図7は、本発明の第2の実施の形態におけるIDカード作成装置を示す図であり、図8(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態において、写真画像の周縁を特定する手順を示す図である。
【0062】
図7および図8に示す第2の実施の形態において、撮像手段12による申請書30上の顔写真31およびその周辺の撮像は、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施される。図7および図8に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6Bに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
はじめに、撮像手段12による撮像の際のガンマについて説明する。上述のように、本実施の形態において、撮像手段12による申請書30上の顔写真31およびその周辺の撮像は、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施される。ここで、図8(b)に示すように、第1ガンマは、第2ガンマよりも高輝度側に設定されている。なお図8(b)に示す第2ガンマは、申請書30上の顔写真31を適切な階調でデジタル画像化するよう調整されたガンマであり、図5A(b)に示す第1の実施の形態におけるガンマと同一となっている。このため、撮像手段12により第2ガンマを用いて得られる広域画像(第2広域画像)は、第1の実施の形態における広域画像40と同一となっている。
【0064】
好ましくは、第1ガンマは、顔写真31がどのような暗部を含んでいる場合であっても、顔写真31を撮像することにより得られる写真画像の各画素の輝度値が、二値化の際の閾値よりも大きくなるよう設定されている。例えば、図5B(b)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、第1ガンマは、顔写真31の暗部に対応する画素の輝度値が5以上となるよう設定されている(図8(b)参照)。なお、二値化の際の閾値は、第1ガンマを用いて得られる写真周辺画像における輝度値よりも大きくなるよう予め定められており、例えば、図5B(b)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、閾値=2となっている。
【0065】
次に、図7を参照して、本実施の形態におけるIDカード作成装置10Aについて説明する。
【0066】
上述のように、撮像手段12による申請書30上の顔写真31およびその周辺の撮像は、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施される。この場合、ガンマ調整部15は、はじめに、第1ガンマを撮像部12に与える。撮像部12は、ガンマ調整部15から与えられた第1ガンマを用いて、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像する。次に、ガンマ調整部15は、第2ガンマを撮像部12に与える。撮像部12は、ガンマ調整部15から与えられた第2ガンマを用いて、申請書30上の顔写真31およびその周辺を撮像する。このようにして、第1ガンマおよび第2ガンマを用いた撮像がそれぞれ実施される。なおガンマ調整部15は、第1ガンマよりも先に第2ガンマを撮像部12に与えてもよい。
【0067】
図7に示すように、撮像部13において第2ガンマを用いて得られた広域画像(以下、第2広域画像40)は、印刷手段21に送られる。一方、撮像部13において第1ガンマを用いて得られた広域画像(以下、第1広域画像45)は、周縁特定手段17に送られる。以下、周縁特定手段17により写真画像の周縁49を特定する手順について、図8(a)を参照して説明する。
【0068】
はじめに、第1ガンマを用いて得られた第1広域画像45を、境界線判定部19により二値化する。これによって、図8(a)に示すように、第1広域画像45の各画素の輝度値が二値化された第1広域画像45aが得られる。この際、二値化の閾値としては、上述のように、第1広域画像45の写真周辺画像における輝度値よりも大きくなるよう予め定められた所定の値が用いられている。また、第1ガンマは、上述のように、顔写真31がどのような暗部を含んでいる場合であっても、顔写真31を撮像することにより得られる写真画像の各画素の輝度値が、二値化の際の閾値よりも大きくなるよう設定されている。このため、第1広域画像45aにおける黒化領域は、第1広域画像45の写真周辺画像に対応する黒化領域47aのみとなっている。このため、図5A(a)に示す第1の実施の形態の場合に比べて、より容易かつ確実に、写真画像と写真周辺画像との境界線48を判定することができる。このことにより、より容易かつ確実に、写真画像の周縁49を算出することができる。
【0069】
その後、図7に示すように、算出された周縁49に関する情報が、周縁算出部18から印刷手段21のデータ処理部23に送られる。データ処理部23は、周縁算出部18からの周縁49に関する情報に基づいて、撮像手段12の撮像部13から送られてくる第2広域画像40から、写真画像41のみを抽出する。その後、プリンタ22により、抽出された写真画像41がIDカード60上に印刷される。
【0070】
このように本実施の形態によれば、撮像手段12による申請書30上の顔写真31およびその周辺の撮像が、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施される。ここで、第1ガンマは、第2ガンマよりも高輝度側に設定されている。また、周縁特定手段17による写真画像の周縁49の特定は、第1ガンマを用いた撮像により得られた第1広域画像45に基づいて行われる。このため、周縁49をより容易かつ確実に特定することができる。一方、印刷手段21は、周縁特定手段17からの周縁49に関する情報に基づいて、第2ガンマを用いた撮像により得られた第2広域画像40における写真画像41を抽出するとともに、抽出された写真画像41をIDカード60上に印刷する。このように、IDカード60上に印刷される写真画像を撮像する際のガンマと、周縁を特定するために用いられる写真画像を撮像する際のガンマとを使い分けることにより、IDカード60上に印刷される写真画像の画質を劣化させることなく、写真画像の周縁の特定をより容易かつ確実にすることができる。
【0071】
なお本実施の形態において、第2ガンマよりも高輝度側に設定されている第1ガンマにより撮像された第1広域画像に基づいて、周縁特定手段17による写真画像の周縁が特定される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、照明部14から照射される光の強度が通常よりも高められた条件で撮像される広域画像(以下、第3広域画像)に基づいて、周縁特定手段17により写真画像の周縁を特定してもよい。この場合、照明部14からの光の強度を高めることにより、第3広域画像の写真画像の各画素における輝度値が高輝度側にシフトされる。このため、第3広域画像を二値化した場合の黒化領域を、第3広域画像の写真周辺画像に対応する黒化領域のみとすることができる。このことにより、より容易かつ確実に写真画像の周縁を特定することができる。
【0072】
第3の実施の形態
次に図9乃至図11Cを参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図9(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態における申請書を撮像側から見た場合を示す図であり、図10は、本発明の第3の実施の形態において、写真画像の周縁を特定する手順を示す図である。図11A(a)(b)(c)、図11B(a)(b)(c)(d)および図11C(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態における申請書の変形例を示す図である。
【0073】
図9乃至図11Cに示す第3の実施の形態においては、低反射部が、申請書に貼付される矩形状の写真の四隅に対応する位置に形成されている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図6Bに示す第1の実施の形態と略同一である。図9乃至図11Aに示す第3の実施の形態において、図1乃至図6Bに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0074】
申請書
はじめに図9(a)(b)を参照して、本実施の形態における申請書30Aについて説明する。図9(a)に示すように、申請書30Aは、申請書30Aに貼付された矩形状の顔写真31の四隅とそれぞれ重なるよう形成された4つの透過部32を有している。この場合、透過部32は、図1に示す第1の実施の形態の場合と同様に、穴34を覆う透過性シートにより形成されていてもよく、若しくは、図6A(a)(b)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、穴34の貫通部分により形成されていてもよい。
【0075】
図9(b)は、搬送路11の艶消し面11a上に載置された申請書30Aを示す図である。図3(b)に示す第1の実施の形態の場合と同様に、申請書30Aの透過部32と搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより、低反射部35が形成されている。ここで、低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、申請書30Aの透過部32における光透過率および光反射率と、搬送路11の艶消し面11aにおける光反射率とを総合的に考慮することにより算出される。低反射部35に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、申請書30Aに貼付された顔写真31の暗部の光反射率以下となるよう適宜定められている。
【0076】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、図10を参照して、写真画像41の周縁44を特定する手順について説明する。
【0077】
まず、申請書30A上の顔写真31およびその周辺を撮像する。この場合、はじめに、照明部14により、申請書30A上の顔写真31に向かって光が照射される。次に、撮像部13により、申請書30A上の顔写真31およびその周辺が撮像される。これによって、図10に示すように、写真画像41および写真周辺画像42を含む広域画像40が得られる。この場合、図10に示すように、写真画像41の4隅にそれぞれ写真周辺画像42が位置している。また撮像部13により、広域画像40を構成する複数の画素における輝度値が算出される。なお、撮像の際のガンマとしては、図5A(b)に示す第1の実施の形態の場合と同等のガンマが用いられる。
【0078】
次に、周縁特定手段17により、広域画像40の各画素の輝度値に基づいて、写真画像41の周縁44を特定する。この場合、はじめに、周縁特定手段17の境界線判定部19により、広域画像40の各画素の輝度値が二値化され、これによって二値化された広域画像40aが得られる。この際、二値化の閾値としては、写真周辺画像42における輝度値よりも大きくなるよう予め定められた所定の値が用いられる。このため、図10に示すように、写真周辺画像42に対応する領域が黒化領域42aとなっている。また図10に示すように、写真画像41のうち黒髪の領域などの写真暗部に対応する領域も黒化領域41aとなっている。
【0079】
次に、二値化された広域画像40aに基づいて、周縁特定手段17の境界線判定部19により、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43が判定される。この場合、はじめに、二値化された広域画像40aから、写真周辺画像42に対応する黒化領域42aが抽出される。次に、写真周辺画像42に対応する黒化領域42aにおいて、二値化された広域画像40aの中心側に位置する端部が、写真画像41と写真周辺画像42との境界線43として判定される。
【0080】
次に、境界線判定部19によって判定された境界線43に基づいて、周縁算出部18により、写真画像41の周縁44が算出される。この場合、境界線43に基づいて周縁を算出する方法が特に限られることはなく、判定されている境界線43の数、形状または配置などに応じて、適切な方法が用いられる。例えば図10に示す例においては、4つの境界線43により、矩形状の写真画像41の頂点がそれぞれ特定される。このため、各頂点を直線で結ぶことにより、写真画像41の周縁44を算出することができる。
【0081】
なお本実施の形態において、低反射部35が、申請書30Aに貼付された矩形状の顔写真31の四隅に対応する位置に形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、低反射部35は、申請書30Aに貼付された矩形状の顔写真31の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置に形成されていればよい。
例えば、図11A(a)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四隅のうち三隅に対応する位置に形成されていてもよい。または図11A(b)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四隅のうち隣り合う2隅に形成されていてもよい。若しくは図11A(c)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四隅のうち対角の2隅に形成されていてもよい。
これらの場合、はじめに、周縁特定手段17の境界線判定部19により、写真画像41と写真周辺画像42との間の境界線が判定されるとともに、境界線の交点に基づいて写真画像41の2つまたは3つの頂点が判定される。次に、写真画像41の頂点に関する情報と、顔写真31の形状情報とに基づいて、周縁算出部18により、写真画像41の周縁44が算出される。より具体的には、顔写真31の形状が、申請書30に貼付される顔写真31の寸法として指定されている定型の長方形であることが考慮された上で、写真画像41の頂点に関する情報に基づいて、周縁算出部18により写真画像41の周縁44が算出される。
【0082】
また本実施の形態において、低反射部35が、申請書30Aに貼付された矩形状の顔写真31の四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成されていてもよい。
例えば、図11B(a)(b)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四辺に対応する位置に形成されていてもよい。または、図11B(c)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四辺のうち隣り合う二辺に対応する位置に形成されていてもよい。または図11B(d)に示すように、低反射部35が、矩形状の顔写真31の四辺のうち3辺に形成されていてもよい。
これらの場合、はじめに、周縁特定手段17の境界線判定部19により、写真画像41と写真周辺画像42との間の境界線が判定される。次に、写真画像41と写真周辺画像42との間の境界線に関する情報と、顔写真31の形状情報とに基づいて、周縁算出部18により、写真画像41の周縁44が算出される。より具体的には、顔写真31の形状が、申請書30に貼付される顔写真31の寸法として指定されている定型の長方形であることが考慮された上で、写真画像41と写真周辺画像42との間の境界線に関する情報に基づいて、周縁算出部18により写真画像41の周縁44が算出される。
【0083】
また本実施の形態または本実施の形態の変形例において、矩形状の顔写真31の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置、または四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成された低反射部35が、申請書30Aの透過部32と搬送路11の艶消し面11aとの組合せにより形成される例を示した。
しかしながら、これに限られることはなく、図6Bに示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、申請書30の透過部32と、搬送路11の貫通孔(図示せず)との組合せにより低反射部35が形成されていてもよい。
または、図6A(c)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、申請書30の艶消し部36により低反射部35が形成されていてもよい(図11C(a)(b)参照)。この場合、搬送路11における光反射率に依らず、申請書30Aに低反射部35を形成することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 IDカード作成装置
10A IDカード作成装置
11 搬送路
11a 搬送路の艶消し面
11b 搬送路の貫通孔
12 撮像手段
13 撮像部
14 照明部
15 ガンマ調整部
17 周縁特定手段
18 境界線判定部
19 周縁算出部
21 印刷手段
22 プリンタ
23 データ処理部
25 番号読取手段
25a OCRリーダ
25b 解読部
27 スキャナー
28 申請書バケット
29 申請書トレイ
30 申請書
30A 申請書
31 顔写真
32 透過部
32a 透過性シート
33a 個人情報
33b ID番号
34 穴
34a 貫通部分
35 低反射部
36 艶消し部
38 傾斜板
38a 反射防止材
40 広域画像
40a 二値化された広域画像
40b 外縁
41 写真画像
41a 写真暗部に対応する黒化領域
42 写真周辺画像
42a 低反射部に対応する黒化領域
42b 内縁
43 境界線
44 周縁
45 広域画像
45a 二値化された広域画像
47a 低反射部に対応する黒化領域
48 境界線
49 周縁
60 IDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成方法において、
透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持台の艶消し面上に載置する工程と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、
前記台紙の透過部と前記支持台の艶消し面との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法。
【請求項2】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成方法において、
艶消し部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該艶消し部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を準備する工程と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、
前記台紙の艶消し部により、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法。
【請求項3】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成方法において、
透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持台上に載置する工程と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像工程と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定工程と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷工程と、を備え、
前記支持台のうち前記台紙の透過部に対応する位置には貫通孔が形成され、
前記台紙の透過部と前記支持台の貫通孔との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定工程は、前記広域画像の各画素の輝度値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定工程と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出工程と、を有することを特徴とするIDカード作成方法。
【請求項4】
前記撮像工程は、所定のガンマを用いて実施され、
輝度値のデジタル出力値の下限が0であるとき、当該ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが1以上となるよう調整されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のIDカード作成方法。
【請求項5】
前記ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが5以上となるよう調整されることを特徴とする請求項4に記載のIDカード作成方法。
【請求項6】
前記撮像工程は、第1ガンマおよび第2ガンマを用いてそれぞれ実施され、
前記第1ガンマは、前記第2ガンマよりも高輝度側に設定されており、
前記周縁特定工程は、前記第1ガンマを用いて得られる第1広域画像に基づいて、当該第1広域画像における写真画像の周縁を特定し、
前記印刷工程は、前記周縁特定工程からの情報に基づいて、前記第2ガンマを用いて得られる第2広域画像における写真画像をIDカードに印刷することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のIDカード作成方法。
【請求項7】
前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のIDカード作成方法。
【請求項8】
前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のIDカード作成方法。
【請求項9】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成装置において、
透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、
前記台紙の透過部と前記支持台の艶消し面との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置。
【請求項10】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成装置において、
艶消し部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該艶消し部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、
前記台紙の艶消し部により、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置。
【請求項11】
写真画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成装置において、
透過部を有する台紙であって、矩形状の写真が当該透過部の少なくとも一部と重なるよう貼付された台紙を支持する支持台と、
前記台紙上の写真およびその周辺を撮像して、写真画像および写真周辺画像を含む広域画像を得るとともに、前記広域画像を構成する複数の画素における輝度値を算出する撮像手段と、
前記広域画像の各画素の輝度値に基づいて、前記写真画像の周縁を特定する周縁特定手段と、
特定された前記写真画像の周縁に基づいて、写真画像をIDカードに印刷する印刷手段と、を備え、
前記支持台のうち前記台紙の透過部に対応する位置には貫通孔が形成され、
前記台紙の透過部と前記支持台の貫通孔との組合せにより、台紙に貼付された写真の周辺に低反射部が形成され、当該低反射部に撮像側から光を照射した場合の光反射率は、写真に撮像側から光を照射した場合の光反射率以下となっており、
前記周縁特定手段は、前記広域画像の各画素の画素値を二値化して、前記写真画像と前記写真周辺画像との境界線を判定する境界線判定部と、判定された前記境界線に基づいて、写真画像の周縁を算出する周縁算出部と、を有することを特徴とするIDカード作成装置。
【請求項12】
前記撮像手段において、所定のガンマが用いられ、
輝度値のデジタル出力値の下限が0であるとき、当該ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが1以上となるよう調整されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のIDカード作成装置。
【請求項13】
前記ガンマは、前記写真画像の各画素の輝度値のうちの最小輝度値Pが5以上となるよう調整されることを特徴とする請求項12に記載のIDカード作成装置。
【請求項14】
前記撮像手段において、第1ガンマおよび第2ガンマがそれぞれ用いられ、
前記第1ガンマは、前記第2ガンマよりも高輝度側に設定されており、
前記周縁特定手段は、前記第1ガンマを用いて得られる第1広域画像に基づいて、当該第1広域画像における写真画像の周縁を特定し、
前記印刷手段は、前記周縁特定手段からの情報に基づいて、前記第2ガンマを用いて得られる第2広域画像における写真画像をIDカードに印刷することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のIDカード作成装置。
【請求項15】
前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四隅のうち少なくとも二隅に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載のIDカード作成装置。
【請求項16】
前記低反射部は、台紙に貼付される矩形状の写真の四辺のうち少なくとも隣り合う二辺に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載のIDカード作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図9】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図5A】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−148111(P2011−148111A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9131(P2010−9131)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】