説明

ID管理システム

【課題】利用者は専用機器が設置された店舗等に出向くことなく、携帯電話と記録媒体とを対応付けるための登録作業を行うことができ、利用者の利便性を向上させることができるID管理システムを提供すること。
【解決手段】携帯電話6は、記録媒体3,5から媒体識別情報を読み取る読取手段27と、読取手段27により読み取った媒体識別情報及び端末識別情報を含む登録情報を作成する登録情報作成手段25,28と、電気通信回線網10を介して登録情報を管理サーバ7に送信する登録情報送信手段30と、を備え、管理サーバ7は、携帯電話6から受信した登録情報を基に、登録情報に含まれる媒体識別情報と端末識別情報とを互いに対応付けてデータベースに登録する登録手段13,14,15をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取手段で読取可能な媒体識別情報が付与された記録媒体と、読取手段で読取可能な端末識別情報が付与されるとともに電気通信回線網に接続可能な携帯電話と、前記媒体識別情報と前記端末識別情報とが登録されるデータベースを有するとともに電気通信回線網に接続可能な管理サーバと、を備えるID管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機を設置する遊技店では、遊技客に対してプリペイドカードとしての機能を備える会員カード(記録媒体)を発行し、この会員カードに記録された会員ID(媒体識別情報)と遊技客が所有する携帯電話内のICカードの製造番号(端末識別情報)とを対応付けて登録することで、会員カード及び携帯電話が有する現金残高を管理する会員管理システム(ID管理システム)がある。この会員管理システムでは、遊技客が会員登録受付端末に携帯電話をかざすと、会員登録受付端末がリーダライタを介して携帯電話に内蔵されるICチップから製造番号を取得して、遊技客の会員情報を管理する会員管理T/C(管理サーバ)に問い合わせて会員IDを割付けし、この会員IDに対応付けて製造番号や遊技客の個人情報が会員管理テーブル(データベース)に登録される。会員となった遊技客は、登録済の携帯電話を通じて遊技店におけるパチンコ機のプレイサービスを利用することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ユーザの携帯電話に記録されている代表ID(端末識別情報)と会員カード(記録媒体)に記録されている会員ID(媒体識別情報)とを店舗端末で読み取って会員管理サーバ(管理サーバ)に送信し、代表IDと会員IDとを対応付けてデータベースに登録する会員管理システム(ID管理システム)がある。ユーザは、会員カードを利用可能な店舗において、会員カードの代わりに携帯電話を提示することで同様のサービスが受けられるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−229014号公報(第11頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−258528号公報(第9頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の会員管理システム(ID管理システム)にあっては、利用者が会員カード(記録媒体)と携帯電話とを対応付けるための登録を行う際に、会員登録受付端末や店舗端末等の専用機器が設置された店舗等で登録作業を行わなければならず、登録を希望する者が多くいる場合には、他の利用者は店内で順番待ちをしなければならないとともに、係員も登録業務に時間をとられてその他の業務が滞ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、利用者は専用機器が設置された店舗等に出向くことなく、携帯電話と記録媒体とを対応付けるための登録作業を行うことができ、利用者の利便性を向上させることができるID管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のID管理システムは、
読取手段で読取可能な媒体識別情報が付与された記録媒体と、読取手段で読取可能な端末識別情報が付与されるとともに電気通信回線網に接続可能な携帯電話と、前記媒体識別情報と前記端末識別情報とが登録されるデータベースを有するとともに電気通信回線網に接続可能な管理サーバと、を備えるID管理システムであって、
前記携帯電話は、前記記録媒体から前記媒体識別情報を読み取る読取手段と、該読取手段により読み取った前記媒体識別情報及び前記端末識別情報を含む登録情報を作成する登録情報作成手段と、前記電気通信回線網を介して前記登録情報を前記管理サーバに送信する登録情報送信手段と、を備え、
前記管理サーバは、前記携帯電話から受信した前記登録情報を基に、該登録情報に含まれる前記媒体識別情報と前記端末識別情報とを互いに対応付けて前記データベースに登録する登録手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、記録媒体及び携帯電話の利用者が、予め媒体識別情報と端末識別情報とを対応付けて管理サーバに登録しておくことで、管理サーバは、携帯電話の利用者が記録媒体の所有者であることを特定することができ、利用者は、記録媒体を持ち歩くことなく携帯電話のみを持ち歩くことで、店舗等に対して、記録媒体を提示する場合と同様のサービス等を受けられるようになり、かつ利用者は、携帯電話の読取手段を用いて、記録媒体から媒体識別情報を読み取り、電気通信回線網を介して登録情報を管理サーバに送信することによって、携帯電話と記録媒体とを対応付けるための登録作業を行えるため、店舗等に設置された専用機器の読取手段を使用する必要がなくなり、利用者が各自で登録作業を行うことができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0008】
本発明のID管理システムは、
前記携帯電話は、該携帯電話及び前記記録媒体の利用者を識別可能な利用者識別情報を該利用者が任意に設定可能な利用者識別情報設定手段をさらに備え、
前記登録情報作成手段は、前記利用者識別情報を含む前記登録情報を作成するとともに、前記登録手段は、該登録情報に含まれる前記媒体識別情報と前記端末識別情報と前記利用者識別情報とを互いに対応付けて前記データベースに登録することを特徴としている。
この特徴によれば、管理サーバのデータベースには、媒体識別情報及び端末識別情報と、利用者識別情報設定手段により設定された利用者識別情報と、が対応付けて登録されるため、管理サーバは、この利用者識別情報から利用者を特定し、管理サーバのデータベースにおける当該利用者の媒体識別情報等の閲覧や使用をさせたり、記録媒体の媒体識別情報及び携帯電話の端末識別情報の特定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ID管理システムの全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】管理サーバに記憶されているID管理テーブルを示す図である。
【図3】登録データを登録する際のICカード、携帯電話、管理サーバとの間における各情報の送受状況を示す説明図である。
【図4】学校で登録データを利用する際の携帯電話、カードリーダ端末機、管理サーバとの間における各情報の送受状況を示す説明図である。
【図5】店舗で登録データを利用する際の携帯電話、カードリーダ端末機、管理サーバとの間における各情報の送受状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るID管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
実施例に係るID管理システムにつき、図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用されたID管理システムを示すシステムブロック図である。このID管理システム1は、学校2に所属する学生に対して発行される学生証3(記録媒体)と、店舗4で会員に対して発行されるポイントカード5(記録媒体)と、学生証3及びポイントカード5を利用する利用者の携帯電話6と、学生証3とポイントカード5と携帯電話6の情報を対応付けて管理する管理サーバ7と、学校2及び店舗4に設置され、後述する学生ID等を読み取るカードリーダ(図示略)を備えるカードリーダ端末機8,9と、から主に構成されている。
【0012】
携帯電話6、管理サーバ7及びカードリーダ端末機8,9は、インターネット10(電気通信回線網)に接続されている。カードリーダ端末機8,9は、学校2または店舗4に設置された管理コンピュータ(図示略)を介してインターネット10に接続されており、いずれのカードリーダ端末機8,9も管理サーバ7と通信可能になっている。
【0013】
図1に示すように、管理サーバ7は、液晶表示器等からなる表示部11と、キーボードやマウス等からなる入力部12と、学校2の出席回数やポイントカードのポイント残高を管理するID管理テーブル(データベース)が記憶される記憶部13と、データ登録や後述するメール送信等の各種制御を行う制御部14と、携帯電話6及びカードリーダ端末機8,9との間でデータ通信を行うための通信部15と、を備えている。
【0014】
学生証3は、非接触型のICカード(RFIDカード)となっており、この学生証3に搭載されたICチップ16には、本発明における媒体識別情報としての学生IDが記憶されている。また、学生証3にはコイルからなるアンテナ18が内蔵されており、カードリーダ端末機8から発生する磁界に学生証3をかざす(近接させる)と、近接無線通信で学生IDがカードリーダ端末機8に読み取られ、学生IDが管理サーバ7に送信されるようになっている。
【0015】
ポイントカード5も学生証3と同様の構成をなす非接触型のICカードとなっており、ポイントカード5内のICチップ17には、本発明における媒体識別情報としての会員IDが記憶されているとともにコイルからなるアンテナ19が内蔵されており、会員IDはカードリーダ端末機9に読み取られるようになっている。尚、カードリーダ端末機9は、数字ボタン20を備えており、会員IDとともに入力した数字の情報が管理サーバ7に送信されるようになっている。
【0016】
図1に示すように、学校2及び店舗4には、カードリーダ端末機8,9が設置されている。利用者が学校2に出席した際に学生証3をカードリーダ端末機8にかざす(近接させる)と、学生IDが管理サーバ7に送信されるようになっており、その学生IDの出席回数(属性情報)は管理サーバ7によって管理されている。
【0017】
また、利用者が店舗4で商品を購入した際にポイントカード5をカードリーダ端末機9にかざす(近接させる)と、店員が入力したポイントとともに会員IDが管理サーバ7に送信されるようになっており、その会員IDのポイント残高(属性情報)は管理サーバ7によって管理されている。
【0018】
携帯電話6は、携帯可能な大きさの電話機であり、通話するための受話部21及び受話部22と、液晶表示器等からなる表示部23と、ボタン等からなる入力部24と、記憶部25と、カードリーダ端末機8,9と近接無線通信する送受信部26と、本発明における読取手段としてのカードリーダ27と、登録データ(登録情報)の作成や送信を制御する制御部28と、携帯電話基地局29と無線通信するアンテナ部30と、を備えている。この携帯電話6は、携帯電話基地局29を介してインターネット10に接続され、管理サーバ7と通信可能になっている。また、携帯電話6には、この携帯電話6の電話番号を特定するSIMカード31が装着されている。
【0019】
携帯電話基地局29は、送受信器(図示略)及びアンテナ(図示略)を備えており、携帯電話6は、複数箇所に設置された携帯電話基地局29のうち、最寄りの携帯電話基地局29と通信可能になっている。携帯電話基地局29とインターネット10との間に設置されたサーバ(図示略)がインターネット標準プロトコルであるHTTPプロトコルを携帯電話6で使用可能なプロトコルに変換することで、携帯電話6はインターネット10に接続して管理サーバ7との間でデータをやりとりできるようになっている。また、電子メールの利用及びホームページの閲覧が可能になっている。
【0020】
携帯電話6が備えるカードリーダ27は、前述のカードリーダ端末機8,9のカードリーダと同様の構成をなし、学生証3の学生ID及びポイントカード5の会員IDを読取可能となっている。携帯電話6の利用者は、予め管理サーバ7からアプリケーション(以下、「アプリ」という。)を携帯電話6にダウンロードして実行可能な状態にインストールしておき、このアプリを起動させることによってカードリーダ27を起動させることができるようになっている。
【0021】
また、携帯電話6は、学生証3及びポイントカード5と同様に非接触型のICカードとしての機能を有しており、携帯電話6の記憶部25には、本発明における端末識別情報としての携帯IDが記憶されている。また、SIMカード31には、本発明における端末識別情報としてのSIMカードIDが記憶されている。カードリーダ端末機8,9に携帯電話6をかざす(近接させる)と、携帯ID及びSIMカードIDがカードリーダ端末機8,9により読み取られ、携帯ID及びSIMカードIDが管理サーバ7に送信されるようになっている。即ち、携帯電話6は、カードリーダ端末機8,9としての機能と、学生証3及びポイントカード5等の非接触型のICカードとしての機能と、を兼ね備えている。
【0022】
図2に示すように、管理サーバ7に記憶されるID管理テーブルには、各利用者を個々に識別可能な管理IDに対応付けて、利用者が利用する携帯電話6の携帯ID、SIMカード31のSIMカードID、利用者が任意に設定するメールアドレス(利用者識別情報)とパスワード(利用者識別情報)、学生証3の学生ID、学校2の出席回数、ポイントカード5の会員ID、購入金額に応じて付与されるポイント残高等の情報が記憶されるようになっている。尚、ID管理テーブルにおいて管理IDは主キーであり、管理IDによってID管理テーブルのレコードが一意に定まるようになっている。
【0023】
次に、利用者が所有する携帯電話6を用いて、携帯IDとSIMカードIDと学生証3の学生IDとポイントカード5の会員IDを互いに対応付けて管理サーバ7に登録する手順について、図1から図3を参照して説明する。本実施例では、図2に示すID管理テーブルの管理ID「600」のレコードが登録される場合を例に挙げながら説明する。
【0024】
図3に示すように、利用者が携帯電話6のアプリを起動するとカードリーダ27が起動され、ICカードのデータ受付状態となる。尚、アプリには、カードリーダ27の起動停止や登録データの作成及び送信の制御等の制御内容が記述されており、アプリが起動されると、この制御内容に基づいて制御部28が制御を行うようになっている。
【0025】
携帯電話6は、カードリーダ27が起動されると、学生証3の学生ID、または、ポイントカード5の会員IDのいずれか、若しくはその両方のIDを読み取るかを設定する画面が表示部23に表示され、利用者は、読取対象となるICカードを適宜設定できる。
【0026】
学生証3の学生IDを読み取る際には、学生証3をかざす(近接させる)ように指示する内容が携帯電話6の表示部23に表示され、カードリーダ27がICカードのデータ受付状態であることが利用者に報知される。利用者が携帯電話6に学生証3をかざす(近接させる)と、携帯電話6のカードリーダ27は学生証3の学生ID「GID−06」を読み取り、制御部28内にあってデータを一時的に格納するためのレジスタ(図示略)に学生ID「GID−06」が格納されるようになっている。
【0027】
尚、ポイントカード5の会員IDを読み取る際も同様に、ポイントカード5をかざす(近接させる)ように指示する内容が携帯電話6の表示部23に表示され、利用者が携帯電話6にポイントカード5をかざすと、携帯電話6のカードリーダ27はポイントカード5の会員ID「KID−06」を読み取り、レジスタに会員ID「KID−06」が格納されるようになっている。
【0028】
次に、メールアドレス及びパスワードを入力する指示内容が表示部23に表示され、利用者は、指示に従って入力部24を操作して携帯電話6のメールアドレス「mail06@***」(利用者識別情報)及び4桁のパスワード「1234」(利用者識別情報)を入力する。
【0029】
このとき入力するメールアドレス及びパスワードは利用者が任意に選択して入力できるようになっており、メールアドレスは携帯電話6のメールアドレスでもよいしパソコン(図示略)用のメールアドレスでもよく、利用者を特定できる固有のアドレスまたはパスワードであればよい。
【0030】
尚、本発明における利用者識別情報設定手段は、利用者が入力操作を行う入力部24と、利用者が入力した内容が表示される表示部23と、入力操作や表示操作を制御する制御部28と、から構成されている。
【0031】
利用者が登録データの送信を許可する操作(例えば、表示部23に表示された「送信」ボタンをクリックする等)を行うと、携帯電話6の制御部28は、記憶部25から携帯ID「MB06」を読み出すとともに、SIMカード31からSIMカードID「SIM06」を読み出し、携帯ID「MB06」及びSIMカードID「SIM06」と、入力されたメールアドレス、パスワードと学生証3及びポイントカード5から読み取った学生ID及び会員IDとを合わせて、管理サーバ7に送信するための登録データ(登録情報)を作成する。
【0032】
尚、本発明における登録情報作成手段は、携帯IDが記憶される記憶部25と、SIMカードIDが記憶されるSIMカード31と、携帯IDやSIMカードIDを読み出す制御や各種データを結合する制御等を行う制御部28と、から構成されている。
【0033】
そして、携帯電話6はアンテナ部30(登録情報送信手段)から携帯電話基地局29を介してインターネット10に接続し、管理サーバ7に登録データを送信する。尚、登録データを送信する際の通信プロトコルは、HTTPプロトコルを用いて送信してもよいし、SMTPプロトコルを用いて電子メールで送信するようにしてもよい。
【0034】
管理サーバ7は、携帯電話6から登録データを受信すると、制御部14がID管理テーブルにおける他の登録済レコードと重複しない新規の管理ID「600」を付与し、携帯ID「MB06」、SIMカードID「SIM06」、メールアドレス「mail06@***」、パスワード「1234」、学生ID「GID−06」、「KID−06」をID管理テーブルに登録する。尚、学生ID「GID−06」に属する出席回数及び会員ID「KID−06」に属するポイント残高にはそれぞれ初期値として「0」が登録される。
【0035】
尚、本発明における登録手段は、インターネット10を介してデータ通信を行うための通信部15と、ID管理テーブルが記憶される記憶部13と、ID管理テーブルに登録データを基に登録する制御を行う制御部14と、から構成されている。
【0036】
尚、携帯電話6が管理サーバ7に送信する登録データには、学生IDが学生証3のID情報であることや、会員IDがポイントカードのID情報であることを示す情報が付与されており、管理サーバ7の制御部14は、受信したID情報が学生IDと会員IDのいずれのIDであることを判断して対象の項目に登録できるようになっている。
【0037】
次に、管理サーバ7は、登録が完了した旨の応答情報を携帯電話6に送信する(登録完了応答)。携帯電話6は、受信した応答情報を基に表示部23に登録完了の表示をして利用者に登録が完了したことを報知する。
【0038】
そして、管理サーバ7は、利用者が登録したメールアドレス「mail06@***」に対して、利用者が携帯電話6やパソコン(図示略)等で出席回数やポイント残高を閲覧できるウェブサイトのURL「http://***」の情報を含む電子メールを送信する(メール送信)。
【0039】
本実施例において、メールアドレス「mail06@***」は携帯電話6のメールアドレスとなっており、携帯電話6に電子メールが送信される。利用者は、その電子メールに記載されたURL「http://***」にアクセス(URL閲覧要求)して、登録時に入力したメールアドレスとパスワードを入力すると、各利用者の出席回数及びポイント残高を閲覧(閲覧応答)できるようになっている。
【0040】
詳しくは、携帯電話6が管理サーバ7にウェブサイト「http://***」のURL閲覧要求を行うと、携帯電話6の表示部23にメールアドレスとパスワードとを入力する指示内容が表示される。利用者は入力部24を操作し、登録時に設定したメールアドレス「mail06@***」とパスワード「1234」を入力して管理サーバ7に送信する。
【0041】
管理サーバ7は、メールアドレス「mail06@***」とパスワード「1234」を基にID管理テーブルを検索する。メールアドレス「mail06@***」とパスワード「1234」の組み合わせを有するレコードが存在すれば利用者であることを特定できる。
【0042】
この場合には、管理ID「600」のレコードが対象のレコードであるので、学生ID「GID−06」に対応する出席回数及び会員ID「KID−06」に対応するポイント残高の応答情報を携帯電話6に送信し、携帯電話6は受信した応答情報を表示部23に表示する。これにより、利用者は、学校2の出席回数は「0」、ポイントカードのポイント残高は「60」であることを閲覧することができる。
【0043】
このように、利用者は、携帯電話6のカードリーダ27を用いて非接触型のICカードからなる学生証3及びポイントカード5から学生ID及び会員IDを読み取り、携帯電話6から登録データを管理サーバ7に送信することによって、携帯電話6と学生証3及びポイントカード5とを対応付けるための登録作業を行えるようになり、利用者は学校2や店舗4に設置されたカードリーダ端末機8,9を使用することなく各自で登録作業を行うことができるため、利用者の利便性を向上させることができる。
【0044】
また、管理サーバ7のID管理テーブルに、学生ID及び会員IDと、利用者が任意に設定するメールアドレスとパスワードと、が対応付けて登録されることによって、管理サーバ7は、メールアドレスとパスワードから利用者を特定してID管理テーブルにおける利用者の学生IDに属する出席回数及び会員IDに属するポイント残高を、管理サーバ7のウェブサイトを通じて閲覧させたり、利用者を、学生証3の学生ID、ポイントカード5の会員ID、または、携帯電話6の携帯ID、SIMカード31のSIMカードIDの特定を行うことができる。
【0045】
そのため、学生証3やポイントカード5や携帯電話6のいずれかを紛失したとしても、メールアドレスとパスワードから利用者を特定することが可能となり、その後に、学生証3やポイントカード5の再発行、または、紛失した携帯電話6の使用停止等の措置を電話会社に通知する非常時対応を即座に行うことができる。
【0046】
次に、利用者が学校2及び店舗4で学生証3及びポイントカード5の代わりに携帯電話6を使用する際の手順について、図4を参照して説明する。
【0047】
図4に示すように、利用者が学校2に出席した際にデータ受付状態となっているカードリーダ端末機8に携帯電話6をかざす(近接させる)と、カードリーダ端末機8のカードリーダ(図示略)が携帯電話6の記憶部25に記憶された携帯IDとSIMカード31に記憶されたSIMカードIDとを制御部28及び送受信部26を介して読み取り、携帯ID及びSIMカードIDを管理サーバ7に送信する。
【0048】
管理サーバ7は、通信部15を介して受信した携帯ID及びSIMカードIDを基にID管理テーブルを検索し、携帯ID及びSIMカードIDが登録されているレコードが存在するか否かを判定する。ID管理テーブルに携帯ID及びSIMカードIDが存在する場合には、携帯ID及びSIMカードIDと対応付けられた学生IDの出席回数を1加算する処理を行う。
【0049】
例えば、利用者の携帯電話6の携帯IDが「MB06」でSIMカードIDが「SIM06」の場合には、管理サーバ7は、携帯ID「MB06」及びSIMカードID「SIM06」を基にID管理テーブルを検索し、携帯ID「MB06」及びSIMカードID「SIM06」と対応付けられた学生ID「GID−06」に属する出席回数を0から1に更新する。カードリーダ端末機8が読み取った携帯ID及びSIMカードIDが管理サーバ7のID管理テーブルに存在しない場合には、更新処理を行わずに終了する。
【0050】
尚、携帯ID及びSIMカードIDが管理サーバ7のID管理テーブルに存在しない場合に、携帯ID及びSIMカードIDが登録されていない空の管理IDに対して一時的(または恒久的)に学生ID「GID−06」を登録し、この学生ID「GID−06」に属する出席回数を0から1に更新することもできる。更に尚、携帯IDまたはSIMカードIDのいずれか一方が登録されている場合には、その登録された一方のIDの管理IDに対して一時的(または恒久的)に学生ID「GID−06」を登録し、この学生ID「GID−06」に属する出席回数を0から1に更新することもできる。
【0051】
図5に示すように、利用者が店舗4で商品を購入した際には、店舗4に設置されたカードリーダ端末機9で予め店員が数字ボタン20を操作して利用者のポイントカードに付与するポイント数や購入金額等を入力をする(付与ポイント受付)。そして、データ受付状態となったカードリーダ端末機9に利用者が携帯電話6をかざす(近接させる)と、カードリーダ端末機9のカードリーダ(図示略)が携帯ID及びSIMカードIDを読み取り、携帯ID及びSIMカードIDとポイント数を管理サーバ7に送信する。
【0052】
管理サーバ7は、携帯ID及びSIMカードIDを基にID管理テーブルを検索し、携帯ID及びSIMカードIDが登録されているレコードが存在するか否かを判定する。ID管理テーブルに携帯ID及びSIMカードIDが存在する場合には、携帯ID及びSIMカードIDと対応付けられた会員IDのポイント残高に、店員が入力したポイントを加算する処理を行う。
【0053】
例えば、利用者の携帯電話6の携帯IDが「MB06」、SIMカードIDが「SIM06」、付与するポイントが10ポイントである場合には、管理サーバ7は、携帯ID「MB06」及びSIMカードID「SIM06」と対応付けられている会員ID「KID−06」に属するポイント残高を60から70に更新する。
【0054】
尚、カードリーダ端末機9と精算用の端末(図示略)を接続しておき、管理サーバ7は更新処理後に「加算ポイント」や「現在ポイント」等の情報をカードリーダ端末機9に応答する処理を行い、精算用の端末から出力される精算レシート(図示略)にポイント情報を印字するようにしてもよい。更に尚、カードリーダ端末機9と精算用の端末(図示略)との接続は、赤外線通信や短距離無線通信やUSB接続等の有線通信手段または無線通信手段等により行われる。
【0055】
また、利用者が学校2及び店舗4でカードリーダ端末機8,9を利用してID管理テーブルが更新された場合には、管理サーバ7は、その都度登録されている利用者のメールアドレス宛に更新結果や閲覧用のウェブサイトのURL等をメール送信を行うようにしてもよい。
【0056】
ID管理テーブルの更新の都度、利用者は電子メールを受信することになるので、もし利用者本人に覚えのない更新が行われたときにも他人によって無断で使用されたことを知ることができるとともに、利用者が閲覧用のウェブサイトのURLを毎回受信するのでURLを記憶しておく必要がないため利便性がよい。
【0057】
このように、利用者が予め携帯IDとSIMカードIDと学生ID及び会員IDとを対応付けて管理サーバ7に登録しておけば、利用者は学校2や店舗4に設置されたカードリーダ端末機8,9に携帯電話6を提示することで、学生証3及びポイントカード5の所有者であることが認識され、利用者は学生証3及びポイントカード5を持ち歩くことなく携帯電話のみを持ち歩くことで、学生証3及びポイントカード5を提示する場合と同様に、出席回数の更新やポイント付与サービスを受けられるようになる。
【0058】
以上、本実施例におけるID管理システム1は、カードリーダ端末機8,9で読取可能な学生ID及び会員IDが付与された学生証3及びポイントカード5と、カードリーダ端末機8,9で読取可能な携帯ID及びSIMカードIDが付与されるとともにインターネット10に接続可能な携帯電話6と、学生ID、会員ID、携帯ID、SIMカードID、学生IDに属する出席回数及び会員IDに属するポイント残高と、が登録されるID管理テーブルを有するとともにインターネット10に接続可能な管理サーバ7と、を備えるID管理システムであって、携帯電話6は、学生証3及びポイントカード5から学生ID及び会員IDを読み取るカードリーダ27と、カードリーダ27により読み取った学生ID及び会員ID及び携帯ID及びSIMカードIDを含む登録データを作成する記憶部25及び制御部28と、インターネット10を介して登録データを管理サーバ7に送信するアンテナ部30と、を備え、管理サーバ7は、携帯電話6から受信した登録データを基に、登録データに含まれる学生IDと会員IDと携帯IDとSIMカードIDと出席回数とポイント残高とを互いに対応付けてID管理テーブルに登録する記憶部13と制御部14と通信部15とを備えることで、学生証3、ポイントカード5及び携帯電話6の利用者が、予め学生ID及び会員IDと携帯IDとSIMカードIDとを対応付けて管理サーバ7に登録しておくことで、管理サーバ7は、携帯電話6の利用者が学生証3及びポイントカード5の所有者であることを特定することができ、利用者は、学生証3及びポイントカード5を持ち歩くことなく携帯電話6のみを持ち歩くことで、出席回数及びポイント残高を使用する学校及び店舗に対して、学生証3及びポイントカード5を提示する場合と同様のサービス等を受けられるようになり、かつ利用者は、携帯電話6のカードリーダ27を用いて、学生証3及びポイントカード5から学生ID及び会員IDを読み取り、インターネット10を介して登録データを管理サーバ7に送信することによって、携帯電話6と学生証3及びポイントカード5とを対応付けるための登録作業を行えるため、カードリーダ端末機8,9を使用する必要がなくなり、利用者が各自で登録作業を行うことができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0059】
また、携帯電話6は、携帯電話6及び学生証3及びポイントカード5の利用者を識別可能なメールアドレス及びパスワードを利用者が任意に設定するための表示部23と入力部24と制御部28とをさらに備え、携帯電話6の記憶部25と制御部28とは、メールアドレス及びパスワードを含む登録データを作成するとともに、管理サーバ7の記憶部13と制御部14と通信部15とは、登録データに含まれる学生ID及び会員IDと携帯IDとSIMカードIDと出席回数及びポイント残高とメールアドレス及びパスワードとを互いに対応付けてID管理テーブルに登録することで、管理サーバ7のID管理テーブルには、学生ID及び会員ID及び携帯ID及びSIMカードIDと、表示部23と入力部24と制御部28とにより設定されたメールアドレス及びパスワードと、が対応付けて登録されるため、管理サーバ7は、このメールアドレス及びパスワードから利用者を特定し、管理サーバ7のID管理テーブルにおける利用者の学生IDに属する出席回数及び会員IDに属するポイント残高の閲覧や使用をさせたり、学生証3及びポイントカード5の学生ID及び会員ID及び携帯電話6の携帯ID及びSIMカード31のSIMカードIDの特定を行うことができる。
【0060】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0061】
例えば、前記実施例では、携帯電話6のアプリを利用し、携帯IDとSIMカードIDと対応付ける学生IDと会員IDとを一度に管理サーバ7に送信して携帯ID及びSIMカードIDと対応付ける登録作業を行っているが、IDごとに複数回に分けて登録できるようにしてもよい。その場合には2件目以降の登録は、ID管理テーブルに新規レコードが追加されるようにしてもよいし、携帯ID及びSIMカードIDから登録済の該当レコードを検索して、そのレコードを更新するようにしてもよい。
【0062】
また、前記実施例では、学生証3及びポイントカード5を携帯電話6と対応付ける登録をしているが、携帯電話6のカードリーダ27で読取可能なICカードであれば、学生証3やポイントカード5に限ることなくクレジットカード機能やキャッシュカード機能を有するICカードの媒体識別情報を携帯電話6の携帯ID及びSIMカード31のSIMカードIDと対応付ける登録を行うようにしてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、ID管理テーブルのみで出席回数やポイント残高を管理するようにしているが、学生管理テーブル、会員管理テーブル等の複数のデータベースをID管理テーブルに対応付けて使用して、ID管理テーブルでは、携帯ID、SIMカードID、学生ID、会員ID等のID情報のみを管理し、学生管理テーブルで学生IDの出席回数を管理し、会員管理テーブルで会員IDのポイント残高を管理するようにしてもよい。更に、学生が受講する講義ごとの出席を管理するようにしてもよい。
【0064】
また、前記実施例では、本発明における読取手段としてのカードリーダ27が携帯電話6に設けられているが、本発明の読取手段はカードリーダに限ることなく、学生証3やポイントカード5等の記録媒体の表面に印刷された媒体識別情報としてのバーコードを読み取るカメラ等(赤外線カメラ等)の光学読取手段であってもよいし、記録媒体の表面に印字された媒体識別情報としてのシリアルナンバーを読み取るOCR認識装置等のスキャニング手段であってもよい。
【0065】
また、前記実施例では、管理サーバ7のID管理テーブルに登録される端末識別情報として、携帯IDとSIMカードIDを用いているが、管理サーバ7のID管理テーブルに登録される端末識別情報として用いるIDは、携帯IDまたはSIMカードIDのいずれか一方のIDであってもよく、携帯IDのみを管理サーバ7のID管理テーブルに登録して運用してもよいし、SIMカードIDのみを管理サーバ7のID管理テーブルに登録して運用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ID管理システム
2 学校
3 学生証(記録媒体)
4 店舗
5 ポイントカード(記録媒体)
6 携帯電話
7 管理サーバ
8,9 カードリーダ端末機(読取手段)
10 インターネット
13 記憶部(登録手段)
14 制御部(登録手段)
15 通信部(登録手段)
16,17 ICチップ
18,19 アンテナ
23 表示部(利用者識別情報設定手段)
24 入力部(利用者識別情報設定手段)
25 記憶部(登録情報作成手段)
26 送受信部
27 カードリーダ(読取手段)
28 制御部(利用者識別情報設定手段,登録情報作成手段)
29 携帯電話基地局
30 アンテナ部(登録情報送信手段)
31 SIMカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段で読取可能な媒体識別情報が付与された記録媒体と、読取手段で読取可能な端末識別情報が付与されるとともに電気通信回線網に接続可能な携帯電話と、前記媒体識別情報と前記端末識別情報とが登録されるデータベースを有するとともに電気通信回線網に接続可能な管理サーバと、を備えるID管理システムであって、
前記携帯電話は、前記記録媒体から前記媒体識別情報を読み取る読取手段と、該読取手段により読み取った前記媒体識別情報及び前記端末識別情報を含む登録情報を作成する登録情報作成手段と、前記電気通信回線網を介して前記登録情報を前記管理サーバに送信する登録情報送信手段と、を備え、
前記管理サーバは、前記携帯電話から受信した前記登録情報を基に、該登録情報に含まれる前記媒体識別情報と前記端末識別情報とを互いに対応付けて前記データベースに登録する登録手段を備えることを特徴とするID管理システム。
【請求項2】
前記携帯電話は、該携帯電話及び前記記録媒体の利用者を識別可能な利用者識別情報を該利用者が任意に設定可能な利用者識別情報設定手段をさらに備え、
前記登録情報作成手段は、前記利用者識別情報を含む前記登録情報を作成するとともに、前記登録手段は、該登録情報に含まれる前記媒体識別情報と前記端末識別情報と前記利用者識別情報とを互いに対応付けて前記データベースに登録することを特徴とする請求項1に記載のID管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−154615(P2011−154615A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16725(P2010−16725)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】