説明

IP電話システム、IP電話端末、最終桁判断方法、及び、コンピュータプログラム

【課題】番号体系の変更があった場合でも、その変更を迅速に反映した最終桁数判定を行い、最終桁の番号が入力されたときには即発呼して接続遅延を短縮する。
【解決手段】配信装置2は、呼制御装置1の保持する最終桁判断情報が更新された場合に、当該情報を取得してVoIP−TA3へ配信する。VoIP−TA3は、電話端末4から着信先の電話番号が1桁入力される度に、桁間タイマを起動するとともに、最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断する。そして、決定した最終桁数の電話番号の入力があった場合、桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を呼制御装置1へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP電話システム、IP電話端末、最終桁判断方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IP(Internet Protocol)電話を利用する場合、IP電話端末において、宛先のアドレス(例えば、To:XXXXXXXX@…)を記述したSIP(Session Initiation Protocol)のINVITE信号を生成して、呼制御装置であるSIPサーバへ送信する必要がある。そのため、図9に示すように、IP電話端末では、ユーザにより押下されたダイヤル番号の情報を一旦最終桁まで集約して保持した後に、INVITE信号を生成している。このとき、入力されたダイヤル番号が最終桁であるか否かは、桁間タイマにより判定している。すなわち、ダイヤル番号1桁毎に桁間タイマを起動し、桁間タイマが満了した時点で最終桁が入力されたと判断する。
一方特許文献1には、最終桁を判定する方法として、基地局または当該基地局と無線により通信する加入者端末において、桁数を数えることが記載されている。
【特許文献1】特許第3216707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような、桁間タイマにより最終桁を判断する方法では、桁間タイマ終了までIP電話端末からINVITE信号が送信されず、これは接続遅延の原因となる。つまり、発ユーザは、着信先の電話番号をダイヤルしてから呼び出し中音(RBT:リングバックトーン)が聞こえるまで、長く待たされてしまうことになる。しかし、桁間タイマを短くしすぎると、ダイヤル途中にもかかわらず最終桁と判断されてしまうことが多くなってしまう。よって、桁間タイマを短くして接続遅延を短くすることはできない。
一方、特許文献1の技術では、基地局または加入者端末において桁数を数えて最終桁を判定しているが、番号体系の変更に伴って最終桁数の判定論理が変更になった場合の対応が困難である。
【0004】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、番号体系の変更があった場合でも、その変更を反映した最終桁数の判定を行い、最終桁の番号が入力されたときには即発呼して接続遅延を短縮することのできるIP電話システム、IP電話端末、最終桁判断方法、及び、コンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムであって、前記配信装置は、前記IP電話端末のアドレス情報を記憶する配信先記憶部と、前記呼制御装置の備える記憶部に記憶されている最終桁判断情報が更新された場合に、当該最終桁判断情報を前記呼制御装置から受信する最終桁判断情報連携機能部と、前記最終桁判断情報連携機能部により受信した最終桁判断情報を、前記配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として配信する最終桁判断情報配信機能部とを備え、前記IP電話端末は、最終桁判断情報を記憶する最終桁判断情報記憶部と、前記配信装置から最終桁判断情報を受信し、前記最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信機能部と、着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定機能部と、前記最終桁判定機能部により決定された最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信機能部とを備える、ことを特徴とするIP電話システムである。
【0006】
また、本発明は、上述するIP電話システムであって、前記最終桁判断情報配信機能部は、更新による最終桁判断情報の差分のみを配信することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述するIP電話システムであって、前記最終桁判断情報配信機能部は、前記配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として変更通知を送信し、当該変更通知に対応して前記IP電話端末からデータ要求を受信した場合に、前記最終桁判断情報を返送することを特徴とする
【0008】
また、本発明は、着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムにおける前記IP電話端末であって、最終桁判断情報を記憶する最終桁判断情報記憶部と、前記配信装置から、前記呼制御装置の備える記憶部から読み出された、更新された最終桁判断情報を受信して、前記最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信機能部と、着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定機能部と、前記最終桁判定機能部により決定された最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信機能部と、を備えることを特徴とするIP電話端末である。
【0009】
また、本発明は、着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムに用いられる最終桁判断方法であって、前記配信装置が、前記呼制御装置の備える記憶部に記憶されている最終桁判断情報が更新された場合に、当該最終桁判断情報を前記呼制御装置から受信する最終桁判断情報連携過程と、前記最終桁判断情報連携過程において受信した最終桁判断情報を、当該配信装置の備える配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として配信する最終桁判断情報配信過程と、前記IP電話端末が、前記配信装置から最終桁判断情報を受信し、当該IP電話端末の備える最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信過程と、着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定過程と、前記最終桁判定過程において決定した最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信過程と、を有することを特徴とする最終桁判断方法である。
【0010】
また、本発明は、着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムにおける前記IP電話端末に用いられるコンピュータプログラムであって、前記配信装置から、前記呼制御装置の備える記憶部から読み出された、更新された最終桁判断情報を受信して、最終桁判断情報記憶部に書き込むステップと、着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返すステップと、最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IP電話端末は、最新の最終桁判断情報を利用して着信先電話番号の最終桁数を判断し、桁間タイマの満了を待たずに呼起動要求信号を呼制御装置へ送信することができるため、IP電話を利用する際の接続遅延を軽減することができる。また、ルーティング情報等の呼制御装置の局データは定期的に変更されるが、配信装置から、この変更により更新された最新の最終桁判定情報をIP電話端末に配信するため、IP電話のユーザが操作する必要なく、容易に最新の最終桁判定情報をIP電話端末へ設定することが可能となる。また、ユーザ情報をIP電話端末にネットワーク側から設定するサーバが用いられることも多いため、その機能を利用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるIP(Internet Protocol)電話システムの全体構成図である。同図において、IPネットワークであるネットワークNには、呼制御装置1、配信装置2及びIP電話端末が接続されている。ここでは、ユーザのIP電話端末は、VoIP−TA(Voice over IP Terminal Adapter)3及び電話端末4で構成されるものとしているが、VoIP−TA3及び電話端末4を一台の装置で構成してもよく、VoIP−TAの代わりに、VoIPルータを用いてもよい。
【0013】
図2は、呼制御装置1の内部構成を示すブロック図であり、本発明と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。呼制御装置1は、SIP(Session Initiation Protocol)によりIP電話の呼制御を行うSIPサーバであり、通信部11、入力部12、記憶部13、情報送信部14、及び、呼制御部15を備える。
通信部11は、ネットワークNを介したデータの送受信を行う。入力部12は、ユーザが情報を入力するためのキーボードやマウスなどである。記憶部13は、呼制御の際のルーティング等に用いられる局データ等を記憶しており、当該局データの中には、電話番号の上位桁から、電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判定情報が含まれる。情報送信部14は、記憶部13内の最終桁判定情報を読み出して配信装置2へ送信する。呼制御部15は、IP電話端末から受信したSIP信号や、記憶部13内の局データに基づいて、IP電話の呼制御を行う。
【0014】
図3は、配信装置2の内部構成を示すブロック図であり、本発明と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。配信装置2は、更新された最終桁判断情報をIP電話端末へ配信し、例えば、サーバなどのコンピュータ装置により実現される。配信装置2は、通信部21、最終桁判断情報連携機能部22、配信情報記憶部23、最終桁判断情報配信機能部24、及び、配信先記憶部25を備える。
通信部21は、ネットワークNを介したデータの送受信を行う。最終桁判断情報連携機能部22は、呼制御装置1の記憶部13に記憶されている最終桁判断情報が更新された場合に、当該最終桁判断情報を呼制御装置1から読み出して配信情報記憶部23に書き込む。最終桁判断情報配信機能部24は、配信情報記憶部23に記憶された最終桁判断情報を、配信先記憶部25内に記憶されているIP電話端末のアドレス情報を宛先として配信する。
【0015】
なお、上記においては、呼制御装置1と、配信装置2を異なる装置としているが、呼制御装置1及び配信装置2を同一の装置により構成することでもよい。
【0016】
図4は、VoIP−TA3の内部構成を示すブロック図であり、本発明と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。VoIP−TA3は、通信部31、最終桁判断情報受信機能部32、最終桁判断情報記憶部33、番号入力部34、桁間タイマ35、最終桁判定機能部36、及び、発信機能部37を備える。
通信部31は、ネットワークNを介したデータの送受信を行うとともに、電話端末4との間の信号の送受信を行う。最終桁判断情報受信機能部32は、配信装置2から最終桁判断情報を受信して最終桁判断情報記憶部33に書き込む。番号入力部34は、電話端末4から、当該電話端末4に入力された着信先の電話番号を受信する。桁間タイマ35は、着信先の電話番号が1桁入力される度に起動されるタイマであり、満了した場合には電話番号の入力終了と判断される。最終桁判定機能部36は、最終桁判断情報記憶部33内の最終桁判断情報を参照して、入力された着信先の電話番号の上位桁から最終桁数を決定する。発信機能部37は、最終桁判定機能部36により決定された最終桁数の電話番号の入力があった場合、桁間タイマ35の満了前に、それまでに入力された電話番号を設定した呼起動要求信号(SIPのINVITE信号)を呼制御装置1へ通知する。
【0017】
図5は、IP電話システムにおける最終桁判断情報配信処理シーケンスを示す図である。
保守者は、最終桁判断情報の変更があった場合、呼制御装置1の入力部12により、新たな最終桁判断情報を入力するか、ネットワークを介して接続される他のコンピュータ装置や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの新たな最終桁判断情報の読み出し指示を入力し、記憶部13内の最終桁判断情報を更新する。
配信装置2の最終桁判断情報連携機能部22は、定期的に、あるいは、保守者からの指示が入力された場合に、呼制御装置1に最終桁判断情報に変更があったかを確認するための問合せ信号を送信する(ステップS101)。呼制御装置1の情報送信部14は、配信装置2から問合せ信号を受信すると、最終桁判断情報に変更があったか否かを判断する。これは、例えば、記憶部13に保持されている最終桁判断情報の更新時刻が、前回問い合わせ信号を受信したときの時刻以降であるかにより判断したり、最終桁判断情報が更新されたときにONが、配信装置2に更新された最終桁判断情報を送信したときにOFFが設定されるような更新フラグを記憶部13に保持しておき、当該更新フラグによって判断したりするようにしてもよい。
【0018】
呼制御装置1の情報送信部14は、最終桁判断情報の更新がなかった場合には、変更なしを示す情報を設定した応答信号を返送する。一方、最終桁判断情報の更新があった場合には、記憶部13から更新された最終桁判断情報を読み出し、変更ありを示す情報と、読み出した最終桁判断情報とを設定した応答信号を配信装置2へ返送する(ステップS102)。応答信号に最終桁判断情報を設定するときには、変更による差分のみを設定してもよく、全ての最終桁判断情報を設定することでもよい。配信装置2の最終桁判断情報連携機能部22は、呼制御装置1から受信した応答信号に変更ありを示す情報が設定されていた場合、当該応答信号から更新された最終桁判断情報を取得して、配信情報記憶部23に書き込む。
【0019】
続いて、配信装置2の最終桁判断情報配信機能部24は、配信先記憶部25から読み出した配信先のIP電話端末装置のアドレスを宛先として、変更通知を送信する(ステップS103)。VoIP−TA3の最終桁判断情報受信機能部32は、変更通知を受信すると、データ要求を返送する(ステップS104)。配信装置2の最終桁判断情報配信機能部24は、VoIP−TA3からデータ要求を受信すると、配信先記憶部25から更新された最終桁判断情報を読み出して返送する(ステップS105)。VoIP−TA3へは、変更による差分の最終桁判断情報を送信するが、最終桁判断情報全てを配信することでもよい。VoIP−TA3の最終桁判断情報受信機能部32は、受信した最終桁判断情報を最終桁判断情報記憶部33へ書き込み、現在保持している最終桁判断情報を更新する。
【0020】
なお、上記においては、配信装置2から呼制御装置1へ更新の問合せを行っているが、配信装置2からの問合せを行わず、呼制御装置1の記憶部13内の最終桁判断情報が更新された場合に、情報送信部14から自律的にその更新された最終桁判断情報を配信装置2へ送信するようにしてもよい。
【0021】
図6は、IP電話システムにおける発呼処理シーケンスを示す図である。
発ユーザは、電話端末4に着番号の1桁目(同図においては、「0」)を入力する。VoIP−TA3の番号入力部34は、電話端末4から、入力された1桁目の番号を受信すると、桁間タイマ35を起動する。最終桁判定機能部36は、番号入力部34が受信した1桁目の番号を記憶手段に記憶すると、最終桁判断情報記憶部33内の最終桁判断情報を参照し、この最初の番号により最終桁数が決定するか否かを判断する。最終桁数が決定しない場合には、次の番号を待つ。
【0022】
続いて発ユーザは、VoIP−TA3の桁間タイマ35の満了前に、電話端末4に着番号の2桁目(同図においては、「6」)を入力する。VoIP−TA3の番号入力部34は、電話端末4から、入力された2桁目の番号を受信すると、桁間タイマ35をリセットする(ステップS201)。最終桁判定機能部36は、番号入力部34が受信した2桁目の番号を記憶手段に記憶すると、最終桁判断情報記憶部33内の最終桁判断情報を参照し、この2桁目までの番号により最終桁数が決定するか否かを判断する。最終桁数が決定した場合、最終桁判定機能部36は、この決定した最終桁数を記憶手段に記憶しておく(ステップS202)。
【0023】
発ユーザは、さらに、VoIP−TA3の桁間タイマ35の満了前に、電話端末4に着番号の3桁目以降を入力する。VoIP−TA3の番号入力部34は、電話端末4から、入力された番号を受信する毎に、桁間タイマ35をリセットし、最終桁判定機能部36は、入力された着番号を記憶手段に記憶するとともに、その入力された着番号の桁数をカウントする(ステップS203)。そして、VoIP−TA3が最終桁を受信した場合、すなわち、最終桁判定機能部36が、記憶手段に記憶していた最終桁数と、入力された着番号の桁数とが一致したことを認識した場合(ステップS204)、発信機能部37は、記憶手段から入力された着番号を読み出し、桁間タイマ35の満了を待たずに、この読み出した着番号により即発信する(ステップS205)。これにより、発信機能部37は、着番号に特定ドメインを付加して生成した着信先の情報をToフィールドに設定したINVITE信号(SIPの呼起動要求信号)を、呼制御装置1に送信する(ステップS206)。
【0024】
呼制御装置1の呼制御部15は、INVITE信号を受信すると、記憶部13内の局データを参照して、Toフィールドにより示される着ユーザのIP電話端末への呼接続を行う。正常に着呼した場合、呼制御部15は、VoIP−TA3へ180Ringingを返送し(ステップS207)、VoIP−TA3は、電話端末4へ呼び出し中音(RBT)を送出する(ステップS208)。
【0025】
なお、VoIP−TA3の発信機能部37は、入力された着番号の桁数が記憶手段に記憶している最終桁数に満たない場合であっても、桁間タイマ35が満了した場合には、入力された着番号を用いて発信する。
【0026】
図7は、VoIP−TA3の最終桁判断情報記憶部33に保持される最終桁判断情報のデータ例を示す図である。同図に示すように、最終桁判断情報は、自端末の市外局番及びその市外局番桁数と、自端末以外の市外局番、特番、及び、ルーティング用番号とそれらの桁数の情報を保持している。
ユーザが外線のみ利用可能なIP電話サービスに加入している場合、同図に示す情報を参照して、最終桁数を判断する。また、ユーザが、内線及び外線(0発信)を利用可能なIP電話サービスに加入しており、入力された電話番号の1桁目が0であった場合も、同様の情報を参照して最終桁判断を行う。
【0027】
図8は、図7に示すデータを用いたVoIP−TA3の最終桁判定機能部36における最終桁数判断ロジックの例を示す図である。この判断ロジック自体の全てまたは一部を、最終桁判断情報を構成する情報としてもよい。なお、一般電話の電話番号の桁数は10桁であるとする。
同図に示すように、発ユーザがダイヤルした番号の1桁目が「0」の場合、まだ最終桁数は決定しないため、2桁目の入力を待つ。2桁目が「0」の場合、図7に示す最終桁判断情報ルーティング用の事業者コード(4桁)であることがわかる。そこで、最終桁判定機能部36は、一般電話の着番号10桁と、事業者コードの桁数4桁との総桁数、つまり、14桁が最終桁数であると判断する。
また、1桁目が「0」、2桁目が「1」の場合、図7に示す最終桁判断情報から、着信者課金サービス用の電話番号または市外局番であることがわかるため、最終桁数は10桁であると判断する。
【0028】
一方、1桁目が「1」の場合、特番への通信であるので最終桁数は3桁と判断する。あるいは、1桁目が「1」の場合は、3桁目で最終桁数を判断するようにしてもよい。例えば、3桁目までの番号と、図7に示す最終桁判断情報に登録されている特番の番号のいずれかが一致した場合は直ちに発信し、いずれとも一致しない場合には、桁間タイマ満了を待つようにしてもよい。これは、0発信により外線と判断するIP電話サービスにおいて、発ユーザが外線識別番号の「0」をダイヤルし忘れ、「01」から始まる市外局番の番号へかけようとした場合を考慮したものである。
また、1桁目が「0」、「1」以外は局内番号のため、一般電話の電話番号の桁数10桁から、図7に示す最終桁判断情報に登録されている自端末の市外局番桁数4桁を引いて、最終桁数は6桁と判断する。
【0029】
なお、ユーザが、内線及び外線(0発信)を利用可能なIP電話サービスに加入しており、着番号の1桁目が0以外の場合、VoIP−TA3の最終桁判定機能部36は内線番号であると判断し、内線番号用の判断ロジックによって最終桁数を判断し、発信機能部37は、登録されている内線番号へ接続する。
【0030】
また、上記は最終桁判断の一例であり、他の最終桁判断の方法として、最終桁判断情報に、上位桁の番号と、当該番号を上位桁に持つときの最終桁数とを対応づけて保持しておき、入力された電話番号の頭桁からの一致をみて、一致したときのみ、その一致する番号に対応付けられた最終桁数の情報を取得するものがある。
【0031】
上記実施形態によれば、着信先電話番号の最終桁が入力されたときに、VoIP−TA3が桁間タイマの満了を待たずに呼起動要求信号を呼制御装置1へ送信することができるため、着番号のダイヤル終了後、桁間タイマ分、早いタイミングで発ユーザへRBTを聞かせることができる。また、通常、呼制御装置1の備える局データは定期的に変更されるが、このとき変更された最新の最終桁判定情報を配信装置2からIP電話端末に配信することができ、IP電話のユーザが操作する必要なく、最新の最終桁判定情報をVoIP−TA3に設定することができる。また、商用のサービスにおいては、IP電話端末にネットワーク側からユーザ情報を設定するサーバが用いられることも多いため、配信装置2がそのサーバの機能を利用して最終桁判断情報を配信することも可能である。
【0032】
なお、呼制御装置1、配信装置2、及び、VoIP−TA3は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した呼制御装置1の情報送信部14及び呼制御部15、配信装置2の最終桁判断情報連携機能部22及び最終桁判断情報配信機能部24、ならびに、VoIP−TA3の最終桁判断情報受信機能部32、番号入力部34、最終桁判定機能部36、及び、発信機能部37の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPUや各種メモリ、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0033】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態によるIP電話システムの全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態による呼制御装置の機能ブロック図である。
【図3】同実施形態による配信装置の機能ブロック図である。
【図4】同実施形態によるVoIP−TAの機能ブロック図である。
【図5】同実施形態によるIP電話システムの最終桁判断情報配信処理シーケンスを示す図である。
【図6】同実施形態によるIP電話システムの発呼処理シーケンスを示す図である。
【図7】同実施形態によるVoIP−TAが保持する最終桁判断情報のデータ構成例を示す図である。
【図8】同実施形態によるVoIP−TAにおける最終桁数判断ロジック例を示す図である。
【図9】従来のIP電話システムの発呼処理シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…呼制御装置
2…配信装置
3…VoIP−TA
4…電話端末
11、21、31…通信部
12…入力部
13…記憶部
14…情報送信部
15…呼制御部
22…最終桁判断情報連携機能部
23…配信情報記憶部
24…最終桁判断情報配信機能部
25…配信先記憶部
32…最終桁判断情報受信機能部
33…最終桁判断情報記憶部
34…番号入力部
35…桁間タイマ
36…最終桁判定機能部
37…発信機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムであって、
前記配信装置は、
前記IP電話端末のアドレス情報を記憶する配信先記憶部と、
前記呼制御装置の備える記憶部に記憶されている最終桁判断情報が更新された場合に、当該最終桁判断情報を前記呼制御装置から受信する最終桁判断情報連携機能部と、
前記最終桁判断情報連携機能部により受信した最終桁判断情報を、前記配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として配信する最終桁判断情報配信機能部とを備え、
前記IP電話端末は、
最終桁判断情報を記憶する最終桁判断情報記憶部と、
前記配信装置から最終桁判断情報を受信し、前記最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信機能部と、
着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定機能部と、
前記最終桁判定機能部により決定された最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信機能部とを備える、
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
前記最終桁判断情報配信機能部は、更新による最終桁判断情報の差分のみを配信することを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記最終桁判断情報配信機能部は、前記配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として変更通知を送信し、当該変更通知に対応して前記IP電話端末からデータ要求を受信した場合に、前記最終桁判断情報を返送することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIP電話システム。
【請求項4】
着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムにおける前記IP電話端末であって、
最終桁判断情報を記憶する最終桁判断情報記憶部と、
前記配信装置から、前記呼制御装置の備える記憶部から読み出された、更新された最終桁判断情報を受信して、前記最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信機能部と、
着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定機能部と、
前記最終桁判定機能部により決定された最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信機能部と、
を備えることを特徴とするIP電話端末。
【請求項5】
着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムに用いられる最終桁判断方法であって、
前記配信装置が、
前記呼制御装置の備える記憶部に記憶されている最終桁判断情報が更新された場合に、当該最終桁判断情報を前記呼制御装置から受信する最終桁判断情報連携過程と、
前記最終桁判断情報連携過程において受信した最終桁判断情報を、当該配信装置の備える配信先記憶部から読み出したIP電話端末のアドレス情報を宛先として配信する最終桁判断情報配信過程と、
前記IP電話端末が、
前記配信装置から最終桁判断情報を受信し、当該IP電話端末の備える最終桁判断情報記憶部に書き込む最終桁判断情報受信過程と、
着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返す最終桁判定過程と、
前記最終桁判定過程において決定した最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信する発信過程と、
を有することを特徴とする最終桁判断方法。
【請求項6】
着信先の電話番号が1桁入力される度に起動される桁間タイマを備え、当該桁間タイマが満了した場合に電話番号の最終桁が入力されたと判断するIP電話端末と、当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御装置と、上位の桁の電話番号から電話番号の最終桁数を判断するための情報を示す最終桁判断情報を前記IP電話端末へ配信する配信装置とからなるIP電話システムにおける前記IP電話端末に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記配信装置から、前記呼制御装置の備える記憶部から読み出された、更新された最終桁判断情報を受信して、最終桁判断情報記憶部に書き込むステップと、
着信先の電話番号が1桁入力される度に、前記最終桁判断情報記憶部内の最終桁判断情報を参照して最終桁数が決定したかを判断し、最終桁数が決定しない場合にはさらに次の桁の電話番号の入力を受けて最終桁数が決定したかの判断を繰り返すステップと、
最終桁数の電話番号の入力があった場合、前記桁間タイマの満了前に、入力された電話番号を設定した呼起動要求信号を前記呼制御装置へ送信するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−239422(P2009−239422A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80116(P2008−80116)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】