説明

IPoverATM回線における信号欠損の回避装置及び方法

【課題】IPoverATMネットワークに関し、装置再開等の環境下で再起動後に送信される有効データがルータ装置内に滞留した不要データと異常結合して信号欠損が発生してしまう事態を回避する。
【解決手段】ATM装置706の再起動時を101が判定し、上位レイヤプロトコルで動作するダミーセル送出部102が、ルータ装置701に向けてダミーセルを送出する。ルータ装置701内の該当する回線インタフェース部内では、内部に滞留している不要データにダミーセルが意図的に結合させられ、CRCチェックにて破棄される。この結果、再開後の有効データの欠損が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)回線網とATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)回線網の接続におけるIPパケット信号の欠損の回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の通信ネットワーク環境においては、図7に例示されるように、ATM回線網704とIP回線網705が混在しており、これらの回線網の結合はルータ装置701を介して行われる。
【0003】
IPは、OSI基本参照モデルのネットワーク層に位置し、ネットワークに参加している機器の住所付け(アドレッシング)や、相互に接続された複数のネットワーク内での通信経路の選定(ルーティング)をするための方法を定義している。IPに基づくデータは、IPヘッダと可変長のデータ部とから構成されるIPパケットを用いて通信される。ネットワーク層は、OSI参照モデルの第3層に位置し、データリンク層以下のプロトコルを使用して接続されているネットワーク同士の通信をおこなうための方式を定める。ネットワーク上の全コンピュータに一意なアドレスが割り当てられて、データの伝送経路選択、パケットサイズの変換などがおこなわれる。
【0004】
ATMは、1本の回線を複数の論理回線(チャネル)に分割して同時に通信を行なう多重化方式の一つで、各チャネルのデータが53バイトの固定長データに分割されて送受信される通信方式である。ATMで送受信されるデータは48バイトごとに分割され、5バイトのヘッダ情報を付加されたATMセルという単位で送受信される。OSI参照モデルでは第2層(データリンク層)にあたり、物理層には光ファイバーや銅線が、ネットワーク層にはIPなどが利用できる。
【0005】
ATM回線網704においては、伝送速度により、155M(メガビット/秒)光ATMメガリンク、25M、6.3M、1.5M、・・・等の、複数種類のインタフェース(以下、「I/F」と表記する)が存在し、それぞれの通信を行うATM装置706が構成されている。
【0006】
IP回線網705においても、様々な伝送速度のIP I/Fが存在し、それぞれの通信を行うIP装置707が構成されている。
IP回線網705内又はIP回線網705とATM回線網704間を制御する装置はルータ装置と呼ばれ、1つのネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する。ルータ装置は、OSI参照モデルにおけるネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送制御を実行し、ネットワーク層のアドレスを見て、どの経路を通して転送すべきかを判断する経路選択を行う。
【0007】
ルータ装置701は、上記複数のATM回線I/Fを収容するATM回線I/F部702と、複数のIP回線を収容するIP回線I/F部703を具備し、内部設定により、ATM側信号とIP側信号とをルーティングする。
【0008】
図8(a)に示されるように、ルータ装置701内のIP回線I/F部703とIP装置707の間の通信はIPパケットによって行われ、ルータ装置701内のATM回線I/F部702とATM装置706の間の通信はATMセルによって行われる。
【0009】
ATM回線網704にIP回線網705上のIPパケットを流すためには、図8(a)に示されるようにデータ形式の異なるIPパケットとATMセル間で翻訳を行う。それを実現する技術は、IPoverATMと呼ばれる。
【0010】
IPoverATMのもとでは、図8(b)に示されるように、ルータ装置701は、IP回線I/F部703にて受信したIPパケットを、CPCS−PDU(Common Part Convergence Sublayer Protocol Data Unit)と呼ばれるプロトコルデータユニットに格納し、それを更に複数のATMセルのペイロードに分割して、それらにそれぞれATMヘッダを付加して複数のATMセルを生成し、ATM回線I/F部702に送出する。
【0011】
逆に、ルータ装置701は、ATM回線I/F部702にて受信した複数のATMセルのペイロードから、CPCS−PDUを組み立て、IPパケットに変換した後、そのIPパケットをIP回線I/F部703に送出する。
【0012】
ここで、ルータ装置701における上述した低レイヤのATMセルから高レイヤのIPパケットへのデータの組上げにおけるデータ区切りは、図8(b)に示される、ATMセルヘッダ内の3ビットからなるPTI(Payload Type Identifier)ビットによって判断される。
【0013】
或るATMセルにPTI=0がセットされている場合は、1つのIPパケットを組み立てるために、そのATMセルに継続するATMセルが有ると判断され、PTI=1がセットされている場合はそのATMセルに継続するATMセルは無いと判断される。このため、ルータ装置701は、ユーザチャネル毎に、PTI=0であるATMセルを受信した際は、PTI=1であるATMセルを受信するまで、各受信したATMセルを内部に保持し待機する動作を行う。
【特許文献1】特開2004−32123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記環境下で、ルータ装置701に接続されたATM装置706又はIP装置707の何れかにおいて、機器の再開及び再起動が発生すると、送信途中のデータが寸断される。送信途中であるため、ルータ装置701においては、対象となるユーザチャネルにおいて待機処理を行っているATMセルヘッダ群のPTIビットは0のままであり、この結果、ルータ装置701は、PTI=1がセットされたATMセルを待ち続ける。
【0015】
しかし、再開した装置が再起動して有効データを送信し始めると、その再開データのPTI=0であるATMセルが、ルータ装置701内に滞留している上記寸断されたATMセル群と異常結合してしまうため、ルータ装置701において、図8(b)に示されるCPCS−PDUが組み立てられた時点におけるCRC(Cyclic Redundancy Check)の演算結果がNG(異常)となって、再開後の有効データが破棄されてしまうという問題点を有していた。
【0016】
CRCは、「巡回冗長検査」と呼ばれ、連続して出現する誤り(バースト誤り)の検出が可能な誤り検出方式である。ATMセルがCPCS−PDUに組み上げられる際には、CPCS−PDUのデータに対してCRC−32演算が行われ、その演算結果とCPCS−PDUに付与されたCRC−32フィールド値とが一致するかどうかが比較されることにより、誤り検出が行われる。
【0017】
ATM装置706においては、上位装置の再開により、配下の複数ATM装置706が連鎖的に再開する構成が多く、上述したような、有効データの欠損によるデータ信頼性の
低下という問題の他に、欠損後の再送処理による通信回線の輻輳という問題も発生する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の課題は、装置再開等のネットワーク環境下において再起動後に送信される有効データがルータ装置内に滞留した不要データと異常結合して信号欠損が発生してしまう事態を回避し、データの信頼性を向上させ回線輻輳を回避することにある。
【0019】
本発明の第1の態様は、非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、ATM回線網を構成する非同期転送モード通信装置(ATM装置)内に構成される信号欠損の回避装置又は方法を前提とする。
【0020】
再開判定手段(再開判定部101)は、ATM装置の再開を判定する。
ダミーセル送出手段(ダミーセル送出部102)は、再開判定手段がATM装置の再開を判定した場合に、ATM装置が終端する非同期転送モード回線(ATM回線)に向けてダミーの非同期転送モードセル(ATMセル)の送出を指示する。このダミーセル送出手段は、例えば、インターネットプロトコル(IPプロトコル)よりも上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能を用いて、ダミーのATMセルの送出を指示する。より具体的には、インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル(ICMPプロトコル)におけるピング(ping)試験送信機能、トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCPプロトコル)におけるテルネット(telnet)ログイン機能、TCPプロトコルにおけるファイル・トランスファー・プロトコル(ftp)ログイン機能、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDPプロトコル)におけるシンプル・ネットワーク・マネジメント・プロトコル−トラップ(SNMP−Trap)ログイン機能、UDPプロトコルにおけるトレース・ルート(traceroute)試験機能の何れかが用いられる。
【0021】
そして、ATM装置の再開時に、そのATM装置と通信するルータ装置において、そのルータ装置内に滞留しているそのATM装置との通信データセルにダミーのATMセルが結合させられ、その結合されたデータが誤り検出処理により破棄させられる。
【0022】
本発明の第2の態様は、非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、ルータ装置内に構成される信号欠損の回避装置又は方法を前提とする。
【0023】
ATM回線断検出手段(回線断検出部301)は、ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出する。
滞留データ破棄手段(滞留データ破棄部304)は、ATM回線断検出手段によるATM回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、ルータ装置内に滞留しているその検出が行われたATM回線に対応するATMセルのデータを破棄する。
【0024】
上記本発明の第2の態様の構成において、ATM回線断検出手段がATM回線の切断又は障害を検出した後、ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するATM回線断判定手段(回線断判定部302、タイマ303)を更に含み、滞留データ破棄手段は、ATM回線断判定手段がATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定した場合に、ルータ装置内に滞留しているその判定が行われたATM回線に対応するATMセルのデータを破棄するように構成することができる。
【0025】
上記本発明の第2の態様の構成において、ATM回線断検出手段は、ATM回線に関して通知される複数の非同期通信モード回線警報(ATM回線警報)のうちから選択された
ATM回線警報を用いて、ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出するように構成することができる。
【0026】
本発明の第3の態様は、非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、ルータ装置内に構成される信号欠損の回避装置又は方法を前提とする。
【0027】
IP回線断検出手段(回線断検出部301)は、ルータ装置が収容するインターネットプロトコル回線(IP回線)の切断又は障害を検出する。
滞留データ破棄手段(滞留データ破棄部304)は、IP回線断検出手段によるIP回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、ルータ装置内に滞留しているその検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されているATM回線に対応するATMセルのデータを破棄する。
【0028】
上記本発明の第3の態様の構成において、IP回線断検出手段がIP回線の切断又は障害を検出した後、IP回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するIP回線断判定手段(回線断判定部302、タイマ303)を更に含み、滞留データ破棄手段は、IP回線断判定手段がIPO回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定した場合に、ルータ装置内に滞留しているその検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されているATM回線に対応するATMセルのデータを破棄するように構成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ネットワーク環境下で一般的に起こりえるルータ装置での信号の異常結合による有効データの信号欠損を回避することが可能となる。
本発明によれば、有効データの信号欠損が回避され、データの信頼性が向上する。
【0030】
本発明によれば、再送処理の競合による回線輻輳を回避することが可能となる。
本発明によれば、ダミーセルの送信処理においては、ハードウエアの構成に依存せず、ソフトウエアの選択自由度が高いため、有効データの信号欠損の回避を、高価な追加設備投資なく実現することが可能となる。
【0031】
また、本発明によれば、現存するインフラに本発明の機能を盛り込んだソフトウエアをダウンロードすることで、ハード構成を変更せずに有効データの信号欠損の回避を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、実施するための最良の形態を詳細に説明する。
まず、以下に説明する実施形態が適用されるネットワークシステムの全体構成は図7に示したものと同じであり、ATMセルとIPパケットの関係も、前述した図8に示したものと同じである。
【0033】
図1は、図7のATM装置706において実現される第1の実施形態の構成図である。
第1の実施形態では、ATM装置706は、装置全体の構成を制御するオペレーティングシステム(OS)実行部103、VPI/VCIチャネル管理テーブル105を具備するハードウェアデバイスドライバ部104、ATM回線を終端するATM回線終端部106を有するほか、装置の再起動を判定する再開判定部101、装置再開時に各VPI及びVCIによって決定される各ユーザチャネル毎にダミーのATMセル(以下、「ダミーセル」と呼ぶ)を送出するダミーセル送出部102とを有する。
【0034】
図1のATM装置706において、再開判定部101は、ATM装置706自身の再開
及び再起動の発生を監視している。そして、装置が再開して(図2のS201)、続いて再起動すると(図2のS202)、再開判定部101はダミーセル送出部102にダミーセルの送出を指示する。
【0035】
ダミーセル送出部102は、ATM装置706内に搭載されるソフトウエアアプリケーションによる上位レイヤでのダミーセル送信機能として実現され、OS実行部103に標準的に装備された関数をシステムコールで呼び出す。
【0036】
ダミーセル送出指示の第1の具体例として、ダミーセル送出部102がOS実行部103のPing関数を呼び出し、必要な引数(宛先IPアドレス、送信回数、送信バイト数等)を指定して、Ping送信指示を行う。Ping関数は、TCP/IPネットワークを診断するプログラムであり、接続されているかどうか調べたい相手先のIPアドレスを指定すると、ICMP(インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル)を使って通常32バイト程度のデータを送信し、相手先から返信があるかどうか、返信がある場合はどのくらい時間がかかっているか、などのデータを元にネットワークを診断する。ダミーセルなので、送信回数、送信バイト数は、設定可能範囲内で最少の値が選択される。ダミーセルを送信することのみにPing試験送信が行われるので、当該処理は、Ping応答の受信有無に関係なく強制終了する。
【0037】
ダミーセル送出指示の第2の具体例として、ダミーセル送出部102がOS実行部103のTelnetログイン関数(プロトコル:TCP(トランスミッション・コントロール・プロトコル))を呼び出す。TCPは、インターネットで利用される標準プロトコルで、OSI参照モデルのトランスポート層にあたる。信頼性は高いが転送速度が低い。Telnetログイン時の宛先IPアドレスは、通常通信時のものとする。ダミーセルを送信することのみにTelnetログイン処理が行われるので、当該処理は、以降のパスワード入力等の処理に移行せず強制終了する。
【0038】
ダミーセル送出指示の第3の具体例として、ダミーセル送出部102がOS実行部103のFTP(ファイル・トランスファー・プロトコル)ログイン関数(プロトコル:TCP)を呼び出す。FTPログイン時の宛先IPアドレスは、通常通信時のものとする。ダミーセルを送信することのみにFTPログイン処理が行われるので、当該処理は、以降のパスワード入力等の処理に移行せず強制終了する。
【0039】
ダミーセル送出指示の第4の具体例として、ダミーセル送出部102がOS実行部103のSNMP−Trapログイン関数(プロトコル:UDP(ユーザ・データグラム・プロトコル))を呼び出す。この関数は、IPネットワークにおいて、ルータ装置やコンピュータ、端末装置など、ネットワークに接続された通信機器をネットワーク経由で監視・制御するためのプロトコルである。制御の対象となる機器はMIBと呼ばれる管理情報データベースを持っており、管理を行なう機器は対象機器のMIB情報に基づいて適切な設定を行なう。UDPは、インターネットで利用される標準プロトコルで、OSI参照モデルのトランスポート層にあたる。ネットワーク層のIPと、セション層以上のプロトコルの橋渡しをする。転送速度は高いが信頼性が低い。SNMP−Trap送信時の宛先IPアドレスは通常通信時のものとする。ダミーセルを送信することのみにSNMP−Trap処理が行われるので、当該処理はSNMP−Trap信号を単発送信する。
【0040】
ダミーセル送出指示の第5の具体例として、ダミーセル送出部102がOS実行部103のTrace−Route試験関数(プロトコル:UDP)を呼び出す。Trace−Route試験関数は、ネットワークの経路を確認するものであり、UDP上にマッピングされる。相手先のIPアドレスおよびホップ数が指定されて、UDP上にマッピングされたメッセージとして送信される。相手先を含む中継経路からの応答を受信することでネットワーク経路が確認される。Trace−Route試験送信時の宛先IPアドレスは、通常通信時のものとする。ダミーセルを送信することのみにTrace−Route試験が行われるので、当該処理は、応答等の受信有無に関係なく強制終了する。
【0041】
以上のようにして、ダミーセル送出部102のアプリケーションからOS実行部103にダミーセルの送出指示が発行されると、OS実行部103は、関数と引数で指定されたATMセルの送信指示を、ハードウェアデバイスドライバ部104に通知する。
【0042】
ハードウェアデバイスドライバ部104は、VPI(Virtual Pass Identifier)及びVCI(Virtual Channel Identifier)の2つの識別子に基づいてリンクしているユーザチャネルを、VPI/VCIチャネル管理テーブル105を使って管理している。
【0043】
VPIは、ATMにおける仮想パス(VP)で多重化された経路のうちどの経路を仮想パスとして使用するかを識別するためにATMヘッダに付与される8ビットからなる識別子であり、VCIは、各仮想パス上の仮想チャネル(VC)を識別するためにATMセルヘッダに付与される16ビットからなる識別子である(図7(b)参照)。
【0044】
ハードウェアデバイスドライバ部104は、VPI/VCIチャネル管理テーブル105を使って、OS実行部103から指示された宛先IPアドレス等の情報に対応するVPI/VCIを選択し、ATM回線終端部106に対して、当該VPI/VCIがATMヘッダにセットされたATMセルの送信指示を出す。
【0045】
ATM回線終端部106は、ハードウェアデバイスドライバ部104から指示されたデータをATMセルに格納し、ATM回線にダミーセルとして送出する。ダミーセルは通常、PTI=1がセットされた1セルを有している。
【0046】
図2は、図1に示される第1の実施形態を有するATM装置706と、それに接続されるルータ装置701間の動作を示すシーケンス図である。
図1のATM装置706において、再開判定部101は、ATM装置706自身の再開及び再起動の発生を監視している。そして、装置が再開して(図2のS201)、続いて再起動すると(図2のS202)、再開判定部101はダミーセル送出部102にダミーセルの送出を指示する。
【0047】
この結果、前述した動作により、ATM装置706から活性化されているVPI/VCI毎にダミーセルが送信され、それがルータ装置701に到達する(図2のS203)。
上記ダミーセルにはPTI=1がセットされているため、ルータ装置701内の、再開が発生したATM装置706のATM回線を収容するATM回線I/F部702においては、上記ダミーセルが、ATM装置706の再開前に同装置706から送られてきて当該ATM回線I/F部702内に滞留していたATMセル(ごみATMセル)と結合される。そして、これらの結合されたATMセル群は、CRCS−PDU組立て時に、そのCRC演算結果がNG(異常)になることにより、一括して破棄される(図2のS204)。
【0048】
これ以降、ATM装置706とルータ装置701の間の通信は正常状態に復旧し、ATM装置706からルータ装置701内の当該ATM回線I/F部702へは、先頭セルから順次有効データセルの送信が行われ、ルータ装置701においてATM回線網704からIP回線網705へのルーティングが実施される。
【0049】
なお、上記滞留データ破棄処理は、再開が発生したATM装置706が接続されるATM回線I/F部702以外のATM回線I/F部702の内部データには影響を与えない。
【0050】
このように、第1の実施形態では、ATM装置706内に、ダミーセル送出部102を設けることで、ATM装置706の再開時にルータ装置701内の該当するATM回線I/F部702内に滞留している不要データにダミーセルを意図的に結合させて、CRCチェックにて破棄させることにより、再開後の有効データの欠損を回避することができる。
【0051】
また、ダミーセル送出部102が、ATM装置706内に搭載されるソフトウエアアプリケーションによる上位レイヤでのダミーセル送信を行うことにより、ダミーセル送出のための特別なハードウェア機構等を新設することなく、有効データの欠損回避を実現することができる。
【0052】
図3は、図7のルータ装置701の各ATM回線I/F部702において実現される本発明の第2の実施形態の構成図である。
第2の実施形態では、ルータ装置701は、各ATM回線I/F部702(図7参照)において、それが収容するATM回線の切断又は障害を検出する回線断検出部301、回線断が検出された場合に、タイマ303を起動して一定時間以上継続する回線断を判定する回線断判定部302、一定時間以上継続する回線断が判定された場合にそのATM回線を収容するATM回線I/F部702内に滞留しているATMセルを破棄する滞留データ破棄部304を有する。
【0053】
このように、第2の実施形態では、ATM回線の回線断時に、ルータ装置701自身が内部の滞留データを破棄することにより、ルータ装置701に接続されるATM装置706の再開後に同装置706から送られてくる有効データの欠損の回避が実現される。
なお、上記滞留データ破棄処理は、回線断が発生したATM回線I/F部702以外のATM回線I/F部702の内部データには影響を与えない。
【0054】
図4は、図3に示される第2の実施形態を有するルータ装置701と、それに接続されるATM装置706間の動作を示すシーケンス図である。
図3の回線断検出部301は、それが属するATM回線I/F部702が収容するATM回線の切断又は障害を検出する(図4のS401)。
回線断の判断は、物理的な回線断の判定に加えて、ATM信号中に表示されるATM回線警報に基づいて行うことができる。ルータ装置701(図7)内の各ATM回線I/F部702が収容するATM回線は、複数種類が存在し得る。それらの回線の種類に応じて回線警報も異なるため、どの回線警報のときに回線断と判定するかをATM回線I/F部702毎に可変することが望ましい。
【0055】
図5は、155M光ATMメガリンクを収容するATM回線I/F部702において、ATM回線警報毎に回線断と判断するか否かを示した表である。それぞれの警報は、下記の意味を有する。
LOS(Loss Of Signal): 物理的信号回線同期断状態
LOF(Loss Of Frame):伝送フレームの同期断状態
LOP(Loss Of Pointer):伝送フレームのポインタはずれ
VP−AIS:F4 OAMセルのVP−AISセルを受信した場合
VP−RDI:F4 OAMセルのVP−RDIセルを受信した場合
P−AIS:LOP伝送フレームのポインタ(H1,H2)はずれ
P−RDI:LOP伝送フレームのポインタ(G1)はずれ
LCD(Loss of Cell Delineation):ATMセルHEC同期はずれ
これらの警報表示/解除機能は、図6(a)に示されるような、155M光ATMメガリンクの場合におけるSTM1と呼ばれるフレーム構成の場合、10バイトのオーバーヘッド部の各ビットに割り当てられる。
【0056】
また、図6(b)に示されるように、ATMセル自身が有する5バイトからなるATMセルヘッダも、警報監視の一部役割を担っている。
図5の例では、LOS、LOF、LOP、LCDの各警報がオンになったときに、図3の回線断検出部301が回線断を検出するように動作すべきことを示している。ATM回線I/F部702は、図5に示されるような判定テーブルを内部に保有し、その設定内容に基づいて回線断検出部301が回線断を検出する。
【0057】
図3の回線断検出部301がATM回線の回線断を検出した場合、次に図3の回線断判定部302が、タイマ303を起動し(図4のS402)、タイマの満了分だけ待機する(図4のS403の判定がNO)。
【0058】
そして、回線断判定部302は、タイマが満了した時点(図4のS403の判定がYES)において、回線断検出部301がなお回線断を検出していた場合に(図4のS404の判定がYES)、その回線断判定部302が属するATM回線I/F部702(図7参照)の内部に滞留しているごみデータであるATMセルを破棄する(図4のS405)。
【0059】
この後ATM回線における回線断が復旧すると、ATM装置706とルータ装置701の該当するATM回線I/F部702間の通信状態は正常状態に復旧し、ATM装置706から当該ATM回線I/F部702への有効データの送信が先頭データから順次再開される。
【0060】
回線断判定部302は、タイマが満了した時点(図4のS403の判定がYES)において、回線断検出部301が回線断を検出しない状態になっていた場合には(図4のS404の判定がNO)、回線断は瞬断であったと判定して、通常の運用状態に戻る。
上述の第2の実施形態の動作において、タイマ303はルータ装置701を運用するユーザが自由に設定可能とし、環境に応じて可変とするのが望ましい。
【0061】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様の図3に示される構成が、図7のルータ装置701の各ATM回線I/F部702だけではなく、各IP回線I/F部703にも設置される。基本的な動作は、第2の実施形態における図4のシーケンスと同じである。
【0062】
第3の実施形態において、或るIP回線I/F部703内の回線断検出部301は、図4のS406として示されるように、それが属するIP回線I/F部703と通信を行っている或るIP装置707において再開が発生したような場合に、そのIP回線の切断又は障害を検出する(図4のS401)。
【0063】
続いて、上記回線断検出部301と同じIP回線I/F部703に属する図3の回線断判定部302が、タイマ303を起動して回線断の継続を判定すると(図4のS402−>S403−>S404)、同じIP回線I/F部703内の図3の滞留データ破棄部304が、ルータ装置701内の特には図示しないルーティングテーブルを参照することにより、そのIP回線I/F部703との間でルーティングが設定されている1つ以上のATM回線I/F部702(図7)を認識し、その認識した各ATM回線I/F部702の内部に滞留している上記IP回線I/F部703向けのATMセルを破棄する(図4のS405)。各滞留セルが上記IP回線I/F部703向けであるか否かは、各滞留セルのヘッダ部に格納されているVPI/VCIを見て判定される。
【0064】
なお、上記滞留データ破棄処理は、継続的な回線断が検出されたIP回線I/F部703との間でルーティングが設定されていないATM回線I/F部702の内部データには影響を与えない。
【0065】
この後IP回線における回線断が復旧すると、ATM装置706とルータ装置701の該当するATM回線I/F部702間、及びIP装置707とルータ装置701内の該当するIP回線I/F部703間の各通信状態は正常状態に復旧し、ATM装置706から当該ATM回線I/F部702への有効データの送信が先頭データから順次再開される。
【0066】
以上説明した第1〜第3の実施形態は、ATM装置706又はルータ装置701上のソフトウェアでも実現することができ、これらの装置はコンピュータとして機能を備えている。従って、第1〜第3の実施形態は、それらの機能を搭載したプログラムを、ネットワーク経由又は外部記憶装置や可搬記録媒体に記録して配布してもよく、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0067】
以上の第1〜第3の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ATM回線網を構成する非同期転送モード通信装置(ATM装置)内に構成される装置であって、
前記ATM装置の再開を判定する再開判定手段と、
該再開判定手段が前記ATM装置の再開を判定した場合に、前記ATM装置が終端する非同期転送モード回線(ATM回線)に向けてダミーの非同期転送モードセル(ATMセル)の送出を指示するダミーセル送出手段と、
を含み、
前記ATM装置の再開時に、該ATM装置と通信するルータ装置において、該ルータ装置内に滞留している該ATM装置との通信データセルに前記ダミーのATMセルを結合させ、該結合されたデータを誤り検出処理により破棄させる、
ことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記2)
前記ダミーセル送出手段は、インターネットプロトコル(IPプロトコル)よりも上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能を用いて、前記ダミーのATMセルの送出を指示する、
ことを特徴とする付記1に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記3)
前記上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能として、インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル(ICMPプロトコル)におけるピング(ping)試験送信機能、トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCPプロトコル)におけるテルネット(telnet)ログイン機能、前記TCPプロトコルにおけるファイル・トランスファー・プロトコル(ftp)ログイン機能、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDPプロトコル)におけるシンプル・ネットワーク・マネジメント・プロトコル−トラップ(SNMP−Trap)ログイン機能、前記UDPプロトコルにおけるトレース・ルート(traceroute)試験機能の何れかを用いる、
ことを特徴とする付記2に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置

(付記4)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ルータ装置内に構成される装置であって、
前記ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出するATM回線断検出手段と、
該ATM回線断検出手段による前記ATM回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄手段と、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記5)
前記ATM回線断検出手段が前記ATM回線の切断又は障害を検出した後、前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するATM回線断判定手段を更に含み、
前記滞留データ破棄手段は、前記ATM回線断判定手段が前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定した場合に、前記ルータ装置内に滞留している該判定が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する、
ことを特徴とする付記4に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記6)
前記ATM回線断検出手段は、前記ATM回線に関して通知される複数の非同期通信モード回線警報(ATM回線警報)のうちから選択されたATM回線警報を用いて、前記ルータ装置が収容するATM回線の切断又は障害を検出する、
ことを特徴とする付記4又は5の何れか1項に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記7)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ルータ装置内に構成される装置であって、
前記ルータ装置が収容するインターネットプロトコル回線(IP回線)の切断又は障害を検出するIP回線断検出手段と、
該IP回線断検出手段による前記IP回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されている前記ATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄手段と、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記8)
前記IP回線断検出手段が前記IP回線の切断又は障害を検出した後、前記IP回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するIP回線断判定手段を更に含み、
前記滞留データ破棄手段は、前記IP回線断判定手段が前記IP回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定した場合に、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されている前記ATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する、
ことを特徴とする付記7に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
(付記9)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方
法であって、
前記ATM回線網を構成する非同期転送モード通信装置(ATM装置)の再開を判定する再開判定ステップと、
該再開判定ステップにより前記ATM装置の再開が判定された場合に、前記ATM装置が終端する非同期転送モード回線(ATM回線)に向けてダミーの非同期転送モードセル(ATMセル)の送出を指示するダミーセル送出ステップと、
前記ATM装置の再開時に、該ATM装置と通信するルータ装置において、該ルータ装置内に滞留している該ATM装置との通信データセルに前記ダミーのATMセルを結合させ、該結合されたデータを誤り検出処理により破棄させる滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
(付記10)
前記ダミーセル送出ステップでは、インターネットプロトコル(IPプロトコル)よりも上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能を用いて、前記ダミーのATMセルの送出が指示される、
ことを特徴とする付記9に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
(付記11)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方法であって、
前記ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出するATM回線断検出ステップと、
該ATM回線断検出ステップによる前記ATM回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
(付記12)
前記ATM回線断検出ステップにて前記ATM回線の切断又は障害が検出された後、前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するATM回線断判定ステップを更に含み、
前記滞留データ破棄ステップでは、前記ATM回線断判定ステップにて前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続が判定された場合に、前記ルータ装置内に滞留している該判定が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータが破棄される、
ことを特徴とする付記12に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
(付記13)
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方法であって、
前記ルータ装置が収容するインターネットプロトコル回線(IP回線)の切断又は障害を検出するIP回線断検出ステップと、
該IP回線断検出ステップによる前記IP回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されているATM回線に対応するATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施形態の構成図である。
【図2】第1の実施形態のシーケンス図である。
【図3】第2及び第3の実施形態の構成図である。
【図4】第2及び第3の実施形態のシーケンス図である。
【図5】ATM回線警報と回線断判定との関係を説明する表である。
【図6】ATM回線警報とATM信号構成との関係を説明する図である。
【図7】IPoverATM回線のネットワーク構成例を示す図である。
【図8】IPoverATM回線の原理説明図である。
【符号の説明】
【0069】
101 再開判定部
102 ダミーセル送出部
103 オペレーションシステム実行部(OS実行部)
104 ハードウェアデバイスドライバ部
105 VPI/VCIチャネル管理テーブル
106 ATM回線終端部
301 回線断検出部
302 回線断判定部
303 タイマ
304 滞留データ破棄部
701 ルータ装置
702 ATM回線インタフェース部(ATM回線I/F部)
703 IP回線インタフェース部(IP回線I/F部)
704 ATM回線網
705 IP回線網
706 ATM装置
707 IP装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ATM回線網を構成する非同期転送モード通信装置(ATM装置)内に構成される装置であって、
前記ATM装置の再開を判定する再開判定手段と、
該再開判定手段が前記ATM装置の再開を判定した場合に、前記ATM装置が終端する非同期転送モード回線(ATM回線)に向けてダミーの非同期転送モードセル(ATMセル)の送出を指示するダミーセル送出手段と、
を含み、
前記ATM装置の再開時に、該ATM装置と通信するルータ装置において、該ルータ装置内に滞留している該ATM装置との通信データセルに前記ダミーのATMセルを結合させ、該結合されたデータを誤り検出処理により破棄させる、
ことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項2】
前記ダミーセル送出手段は、インターネットプロトコル(IPプロトコル)よりも上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能を用いて、前記ダミーのATMセルの送出を指示する、
ことを特徴とする請求項1に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項3】
前記上位レイヤ階層のプロトコルにおけるデータ送信機能として、インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル(ICMPプロトコル)におけるピング(ping)試験送信機能、トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCPプロトコル)におけるテルネット(telnet)ログイン機能、前記TCPプロトコルにおけるファイル・トランスファー・プロトコル(ftp)ログイン機能、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDPプロトコル)におけるシンプル・ネットワーク・マネジメント・プロトコル−トラップ(SNMP−Trap)ログイン機能、前記UDPプロトコルにおけるトレース・ルート(traceroute)試験機能の何れかを用いる、
ことを特徴とする請求項2に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項4】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ルータ装置内に構成される装置であって、
前記ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出するATM回線断検出手段と、
該ATM回線断検出手段による前記ATM回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄手段と、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項5】
前記ATM回線断検出手段が前記ATM回線の切断又は障害を検出した後、前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定するATM回線断判定手段を更に含み、
前記滞留データ破棄手段は、前記ATM回線断判定手段が前記ATM回線の所定時間の切断又は障害の継続を判定した場合に、前記ルータ装置内に滞留している該判定が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する、
ことを特徴とする請求項4に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項6】
前記ATM回線断検出手段は、前記ATM回線に関して通知される複数の非同期通信モード回線警報(ATM回線警報)のうちから選択されたATM回線警報を用いて、前記ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出する、
ことを特徴とする請求項4又は5の何れか1項に記載のIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項7】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上で、前記ルータ装置内に構成される装置であって、
前記ルータ装置が収容するインターネットプロトコル回線(IP回線)の切断又は障害を検出するIP回線断検出手段と、
該IP回線断検出手段による前記IP回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されている前記ATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄手段と、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避装置。
【請求項8】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方法であって、
前記ATM回線網を構成する非同期転送モード通信装置(ATM装置)の再開を判定する再開判定ステップと、
該再開判定ステップにより前記ATM装置の再開が判定された場合に、前記ATM装置が終端する非同期転送モード回線(ATM回線)に向けてダミーの非同期転送モードセル(ATMセル)の送出を指示するダミーセル送出ステップと、
前記ATM装置の再開時に、該ATM装置と通信するルータ装置において、該ルータ装置内に滞留している該ATM装置との通信データセルに前記ダミーのATMセルを結合させ、該結合されたデータを誤り検出処理により破棄させる滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
【請求項9】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方法であって、
前記ルータ装置が収容する非同期転送モード回線(ATM回線)の切断又は障害を検出するATM回線断検出ステップと、
該ATM回線断検出ステップによる前記ATM回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。
【請求項10】
非同期転送モード回線網(ATM回線網)とインターネットプロトコル回線網(IP回線網)がルータ装置によって相互に接続されるネットワーク上における信号欠損の回避方法であって、
前記ルータ装置が収容するインターネットプロトコル回線(IP回線)の切断又は障害を検出するIP回線断検出ステップと、
該IP回線断検出ステップによる前記IP回線の切断又は障害の検出状況に基づいて、前記ルータ装置内に滞留している該検出が行われたIP回線との間でルーティングが設定されている前記ATM回線に対応する前記ATMセルのデータを破棄する滞留データ破棄ステップと、
を含むことを特徴とするIPoverATM回線における信号欠損の回避方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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