説明

KGFポリペプチド組成物

【課題】ケラチノサイト増殖因子(KGF)ポリペプチドを含む組成物、およびそのKGFポリペプチドを使用する方法の提供。
【解決手段】KGFポリペプチドは、全長KGF163に対して増強された生物活性を示す。従って、KGFポリペプチドは、KGF163を使用して必要な量よりも少ない量で、組成物において使用することができ、上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用、および創傷を処置するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドを使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ポリペプチド増殖因子に関する。詳細には、本発明は、ケラチノサイト増殖因子ポリペプチドを含む組成物およびそのケラチノサイト増殖因子ポリペプチドを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ケラチノサイト増殖因子(KGF)は、繊維芽細胞増殖因子(「FGF」)のファミリーに属し、FGFの原型は、塩基性FGFおよび酸性FGFにより示される。KGFは、FGF−7としても公知である。KGFは、FGFと同様に、ヘパリンに結合し、一般的には、胚外中胚葉または胚内中胚葉に由来する種々の細胞型および神経外胚葉に由来する種々の細胞型の、増殖および分化を刺激可能である。例えば、KGFは、FGFと同様に、初期胚胞において腹側中胚葉および背側中胚葉の分化および増殖を誘導する能力を有する。例えば、Gospodarowiczら、Cell.Biol.Rev.(1991)25:307〜314;およびBasilicoら、Adv.Cnacer Res.(1992)59:115〜165を参照のこと。
【0003】
他のFGFと同様に、KGFは、ヘパリン結合たんぱく質であるが、他のFGFとは異なり、KGFは、独特の標的細胞特異性を有する。特に、KGFは、上皮細胞増殖を刺激する能力において他のFGFと類似するが、内皮細胞または繊維芽細胞の増殖を刺激する能力がないことにおいて、他のFGFとは異なる。例えば、Finchら、Science(1989)245:752〜755を参照のこと。成熟した全長KGF(本明細書中でKGF163と呼ばれる)は、163アミノ酸残基を有するポリペプチドであり、N末端にアミノ酸残基14〜16に広がる潜在的N−グリコシル化部位を有する。Finchら、Science(1989)245:752〜755。
【0004】
Ronら、J.Biol.Chem.(1993)268:2984〜2988は、KGF163が原核生物細胞発現系において発現された場合に、マイトジェン活性を有する組換えKGF(「rKGF」)ポリペプチドが入手され得たことを見出した。このrKGF分子が、成熟KGF163ポリペプチドのN末端からの3アミノ酸残基、8アミノ酸残基、27アミノ酸残基、38アミノ酸残基、および48アミノ酸残基の欠失によって短縮された場合、生じた分子の生物学的活性は変動した。3アミノ酸残基欠失および8アミノ酸残基欠失の場合、それぞれ、生じた分子のマイトジェン活性は、全長rKGFと比較して影響されなかったようであった。しかし、27アミノ酸残基の欠失によって、10分の1〜20分の1に減少したマイトジェン活性を示す分子が生じた。38アミノ酸残基の欠失および48アミノ酸残基の欠失は、それぞれ、マイトジェン活性の完全な喪失およびヘパリン結合能力の完全な喪失を生じた。しかし、Ronらは、全長rKGF分子と比較して増加したマイトジェン活性を保有するいかなる短縮rKGFフラグメントを生成することもできなかった。
【0005】
Gospodarowiczらに対する米国特許第5,677,278号、同第5,773,586号、同第5,843,883号、同第5,863,767号、および同第6,074,848号は、KGF分子を記載する。23アミノ酸残基のN末端欠失を有する1つの特定の分子(KGFdes1〜23と呼ばれる)は、成熟した全長組換えKGF163と比較して増大したマイトジェン活性を示す。
【0006】
Osslundら、Protein Sci.(1988)7:1681〜1690は、種々のN末端短縮KGF分子およびそのマイトジェン活性の特定の測定値を報告する。同様に、国際公開WO96/11951およびWO96/11949は、種々のN末端短縮およびアミノ酸置換を有するKGF分子を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,677,278号
【特許文献2】米国特許第5,773,586号
【特許文献3】米国特許第5,843,883号
【特許文献4】米国特許第5,863,767号
【特許文献5】米国特許第6,074,848号
【特許文献6】国際公開第WO96/11951号パンフレット
【特許文献7】国際公開第WO96/11949号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Gospodarowiczら、Cell.Biol.Rev.(1991)25:307〜314
【非特許文献2】Basilicoら、Adv.Cnacer Res.(1992)59:115〜165
【非特許文献3】Finchら、Science(1989)245:752〜755
【非特許文献4】Ronら、J.Biol.Chem.(1993)268:2984〜2988
【非特許文献5】Osslundら、Protein Sci.(1988)7:1681〜1690
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、種々のN末端短縮KGFポリペプチドおよびそのアナログが、ネイティブの全長KGF163と比較して1分子ベースで増大した生物学的活性を示すという発見に基づく。従って、これらの分子を含む組成物は、上皮形成が必要な状態の処置(例えば、創傷、火傷、眼の障害、胃腸疾患および上皮細胞増殖もしくは再生の刺激により規定される任意の障害の処置)について増加した能力を有する。これらの分子は、単独でかまたは他のマイトジェン因子(例えば、他の増殖因子(例えば、他のFGF(血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP)など)のいずれかが挙げられる)と組み合わせて送達され得る。
【0010】
さらに、これらのKGF分子は、過剰増殖疾患を処置するために毒素分子を上皮細胞に標的化するために、これらの毒素分子に結合体化され得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、上皮細胞増殖を刺激する方法に関する。この方法は、上皮細胞を組成物と接触させる工程を包含し、その組成物は、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(ix)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;
からなる群より選択され、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのKGFポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、このKGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量のうちの75%以下である。
【0011】
特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、上記のような方法に関し、この方法において、上記KGFポリペプチドは、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22またはその生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、141アミノ酸からなり、かつこの生物学的に活性なアナログは、上記KGFdes1〜22に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である。
【0013】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記のような方法に関し、この方法において、上記KGFポリペプチドは、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24またはその生物学的に活性なアナログであり、上記生物学的に活性なアナログは、139アミノ酸からなり、かつこの生物学的に活性なアナログは、上記KGFdes1〜24に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、上記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、上皮細胞増殖を刺激する方法に関し、この方法は、上皮細胞を組成物と接触させる工程を包含し、この組成物は、
a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の10%〜75%である。
【0015】
特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)または(ii)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0016】
他の実施形態において、この生物学的に活性なアナログが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなり、N末端アルギニンがアラニン残基で置換されている。
【0017】
なおさらなる実施形態において、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%、または10%〜25%、または10%〜50%、またはこれらの範囲内にある任意のパーセンテージである。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、上皮細胞増殖を刺激する方法に関し、この方法は、上皮細胞を組成物と接触させる工程を包含し、この組成物は、
a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の5%〜75%である。
【0019】
上記の方法の特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)または(ii)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0020】
さらなる実施形態において、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の5%〜10%、10%〜20%、10%〜25%、または10%〜50%、またはこれらの範囲内にある任意のパーセンテージである。
【0021】
上記の方法のすべてにおいて、上皮細胞が、インビトロまたはインビボで上記KGFポリペプチドと接触され得る。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、創傷を処置する方法に関し、この方法は、処置されるべき創傷領域にKGFポリペプチド組成物を適用する工程、およびその創傷を治癒される工程を包含する。この組成物は、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(ix)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;
からなる群より選択され、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の75%以下である。
【0023】
上記の方法の特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0024】
上記の方法のさらなる実施形態において、上記KGFポリペプチドは、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22またはその生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、141アミノ酸からなり、かつこの生物学的に活性なアナログは、上記KGFdes1〜22に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である。
【0025】
上記の方法の他の実施形態において、上記KGFポリペプチドは、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24またはその生物学的に活性なアナログであり、上記生物学的に活性なアナログは、139アミノ酸からなり、かつこの生物学的に活性なアナログは、上記KGFdes1〜24に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、上記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である。
【0026】
なおさらなる実施形態において、本発明は、創傷を処置する方法に関し、この方法は、処置されるべき創傷領域にKGFポリペプチド組成物を適用する工程、およびその創傷を治癒される工程を包含する。この組成物は、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の10%〜75%である。
【0027】
特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)または(ii)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0028】
上記の方法のさらなる実施形態において、この生物学的に活性なアナログは、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなり、N末端アルギニンがアラニン残基で置換されている。
【0029】
さらなる実施形態において、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%、または10%〜25%、または10%〜50%、またはこれらの範囲内にある任意のパーセンテージである。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明は、創傷を処置する方法に関し、この方法は、処置されるべき創傷領域にKGFポリペプチド組成物を適用する工程、およびその創傷を治癒される工程を包含する。この組成物は、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、この生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の5%〜75%である。
【0031】
特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)または(ii)に対して少なくとも80%の配列相同性もしくは90%の配列相同性を有する。
【0032】
なおさらなる実施形態において、上記治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の5%〜10%、または10%〜20%、または10%〜25%、または10%〜50%、またはこれらの範囲内にある任意のパーセンテージである。
【0033】
上記の方法において、上記組成物は、インビトロまたはインビボにて上記創傷と接触され得る。
【0034】
なおさらなる実施形態において、本発明は、組成物に関し、その組成物は、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、このKGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(ix)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;および
(x)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)のアナログであって、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)のアミノ酸配列と、さらなるN末端メチオニンとからなる、アナログ;
からなる群より選択され、
このKGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつこのポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、この治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の75%以下である。
【0035】
特定の実施形態において、上記生物学的に活性なアナログは、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%もしくは90%の配列相同性を有する。
【0036】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照すると明らかになる。さらに、特定の手順または組成物をより詳細に記載する種々の参考文献が、本明細書中に示される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1(配列番号25および配列番号26)は、成熟した全長KGF(KGF163)についてのDNA配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図2A】図2Aおよび図2Bは、種々のN末端短縮KGFポリペプチドの生物学的活性の比較を示す。図2Aは、KGFdes1〜22(黒菱形)、KGFdes1〜23(黒四角)、KGFdes1〜24(黒三角)、KGFdes1〜26(×)およびKGFdes1〜30(二重×)の活性を比較する。
【図2B】図2Aおよび図2Bは、種々のN末端短縮KGFポリペプチドの生物学的活性の比較を示す。図2Bは、KGFdes1〜23(黒四角)、KGFdes1〜26(×)およびKGFdes1〜30(二重×)と、酸性FGF(aFGF、黒菱形、中央の線)および全長KGF(FL−KGF(黒菱形、上から2番目の線)との比較を示す。
【図3】図3は、種々の短縮KGF分子を、ウシ大動脈弓由来の血管内皮細胞(成体ウシ大動脈内皮細胞(ABAE)、図の左側)またはウシ副腎毛細血管(副腎皮質毛細血管内皮細胞(ACE)、図の右側)のいずれかに対して試験した、実験の結果を示す。そのヒストグラムは、飽和濃度の種々のKGFポリペプチドまたは塩基性FGF(bFGF)に、培養7日間後に曝露した培養物の最終細胞密度を示す。
【図4】図4は、SDS−PAGEにより測定した可溶性KGFdes1〜24(黒三角)およびKGFdes1〜15(黒丸)の量を、37℃にてインキュベートした時間の関数として示す。
【図5】図5は、SDS−PAGEにより測定した可溶性KGFdes1〜23(黒四角)およびネイティブKGF(FL、黒菱形)の量を、37℃にてインキュベートした時間の関数として示す。
【図6】図6は、実施例に記載される熱安定性および酸安定性の試験の結果を示す。FL−KGFは、KGF163を示す。T−KGFは、KGFdes1〜23を示す。このヒストグラムは、飽和濃度のKGFdes1〜23またはKGF163のいずれかに曝露して7日間後の培養物の最終細胞密度を示す。
【図7】図7は、Balb/Mk細胞の増殖に対する、1回だけ添加した場合の漸増濃度のネイティブKGF(FL、黒菱形)、およびKGFdes1〜18(黒丸)、KGFdes1〜23(黒四角)およびKGFdes1〜25(黒三角)の効果を示す。
【図8】図8(配列番号27および28)は、KGFdes1〜22についてのDNA配列および対応するアミノ酸配列を示し、そのN末端アルギニン残基は、アラニン残基で置換されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、別段示されなければ、当該分野の技術範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法を使用する。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,最新版);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN. Kaplan編, Academic Press,Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)を参照のこと。
【0039】
以下のアミノ酸の略語は、本文全体を通して使用される:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
スレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0040】
(I.定義)
本発明を記載するにあたり、以下の用語が使用され、以下に示されるように規定されることが意図される。
【0041】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」とは、アミノ酸残基のポリマーをいい、その生成物の最小の長さに限定されない。この用語はまた、別段示されなければ、アミノ酸配列を変化させないポリペプチドの改変(例えば、グリコシル化形態、アセチル化形態およびリン酸化形態)を含む。本発明の目的に関して、ポリペプチドまたはタンパク質は、合成されてもよいし、組換え精製されてもよく、ならびに天然の供給源から単離されてもよい。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「ケラチノサイト増殖因子」または「KGF」とは、FGFR−2に結合し得、線維芽細胞に対する有意な活性を欠き、上皮細胞に独特に特異的な、特にケラチノサイトに対して活性なタンパク質のFGFファミリーの群のメンバーをいう。KGF、そのアナログおよびフラグメント(以下に詳述される)は、合成されてもよいし、組換え生成されてもよい。さらに、KGFは、天然の供給源(例えば、任意の哺乳動物供給源の任意のいくつかの組織(例えば、ヒト組織))から単離されてもよい。
【0043】
「成熟の全長KGF」、「KGFの長い形態」、「FL−KGF」、「ネイティブKGF」または「KGF163」は、本明細書中で使用される場合、全て図1に示される163アミノ酸残基を含む成熟ポリペプチドをいう。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「KGFフラグメント」とは、KGF163の配列全体を含まない、KGF163に由来するポリペプチドをいう。このようなフラグメントは、全長分子の短縮型バージョン、および内部欠失型バージョンであり得る。KGFフラグメントは、本明細書中の実施例4に記載されるBalb/MK生体活性アッセイにより決定される場合、KGF生体活性を有し得る。Balb/MK細胞株(Weissman,B.E.およびAaronson,S.A.Cell(1983)32:599−606)は、クローン性Balb/cマウスケラチノサイト細胞株である。これらの細胞は、それらの増殖が血清を含有する培地中ですら上皮細胞マイトジェンの外因性供給源に依存する。従って、KGFフラグメントおよびアナログの活性は、Balb/Mk細胞を用いてED50値を決定することによって測定され、この値は、細胞増殖の半最大刺激を引き起こすKGFフラグメントの濃度によって規定される。さらに、本発明のKGFフラグメントは、上皮細胞増殖を特異的に刺激する。
【0045】
標的細胞特異性を決定するために、DNA合成刺激(添加された試験サンプルの非存在下でチミジンのバックグラウンド取り込みに対する刺激された合成の比として表される)は、同じアッセイ条件下でケラチノサイト以外の細胞において観察される類似の刺激と比較される。KGFフラグメントおよびアナログの活性はまた、内皮細胞(例えば、本明細書中の実施例5に記載される成体ウシ大動脈内皮細胞(ABAE)または副腎皮質由来毛細管内皮細胞(ACE))に対して試験され得る。「上皮細胞増殖を特異的に刺激する」KGFポリペプチドまたはアナログは、飽和濃度にて以下のようである分子であり得る:(i)本明細書中の実施例4に記載のBalb/Mkアッセイにおいて、KGFを受容しないウェルにおいて達成される細胞数の少なくとも4倍多いレベルまで、培養の7日間後、1ウェルあたりの最終的な細胞数を刺激し得る;および(ii)本明細書中の実施例5に記載のABAEアッセイまたはACEアッセイにおいて、KGFを受容しないウェルにおいて達成される細胞数より高いレベルまで、培養の7日後、1ウェルあたりの最終的な細胞数を有意に刺激しない。
【0046】
米国特許第5,731,170号(その全体が本明細書中に参考として援用される)は、特定の分子が、線維芽細胞とは対照的に、ケラチノサイトに対する顕著な特異性を有するKGFマイトジェン活性を提示することを報告する。
【0047】
本発明のフラグメントは、例えば、10%以上の活性(例えば、15%、20%、25%、50%、100%以上)から、10倍以上程度の活性までのどこでも、または特定の範囲の間の任意の量にて、KGF163に対して1分子あたりで増強した活性を示す。従って、本発明のKGFフラグメントは、KGF163を使用して、必要な量より少ない量にて、組成物中で使用され得る。本発明者らは、KGFより低い分子量の分子が生成され得ることを認識する。以下の実施例に示されるように、これらの種は、1分子あたりで比較される場合(すなわち、活性が分子量に対して調節される場合)、より活性である。特定のKGFフラグメントは、以下に詳細に記載される。
【0048】
用語「アナログ」とは、参照分子の誘導体をいう。このアナログは、上記のように、生物学的活性を維持し得る。概して、用語「アナログ」とは、改変が、活性を破壊しない限り、ネイティブのポリペプチドの配列および構造に対して、1以上のアミノ酸の付加、置換(概して、本質的には保存的)および/または欠失を有する配列および構造を有する化合物をいう。好ましくは、そのアナログは、親分子と少なくとも同じ生物学的活性を有し、親分子より増強した活性さえ提示し得る。ポリペプチドアナログを作製するための方法は、当該分野で公知であり、以下にさらに記載される。
【0049】
特に好ましいアナログとしては、本質的に保存的な置換(すなわち、それらの側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で生じる置換)を含む。具体的には、アミノ酸は、4つのファミリーに分けられる:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時折、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンをイソロイシンまたはバリンに、アスパラギン酸をグルタミン酸に、スレオニンをセリンに単独で置換すること、または同様にあるアミノ酸を構造的に関連するアミノ酸に保存的置換することは、生物学的活性に対して大きな影響がないことが合理的に推定可能である。例えば、目的のポリペプチドは、その分子の所望の機能がインタクトなままである限り、ほぼ1〜70までの保存的または非保存的なアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5〜50、15〜25、5〜10、または1〜70の間の任意の整数)を含み得る。当業者は、本明細書中に規定される生物学的活性を保持するという合理的な見込みの下に、改変され得る目的の分子の領域を容易に決定し得る。
【0050】
例えば、シグナル伝達に関与する重要な決定因子は、KGFの最初の30個のN末端アミノ酸内に位置しないようである(Plotnikovら,Cell(2000)101:413−424)。さらに、KGFのNH末端ドメインは、その細胞特異性に関与しないようである。アミノ酸残基91〜110(図1に示されるアミノ酸配列に対して番号付けされる)は、KGFにレセプター結合特異性を付与するようである(Reich−Slotskyら,J.Biol.Chem.(1995)270:29813−29818)。従って、少なくともアミノ酸91〜110にまたがる領域を保持するアナログおよびフラグメントが好ましい。さらに、アミノ酸置換が、この領域において行われる場合、これらの置換は、本質的に保存的であるべきである。N末端配列の一部を保持するフラグメント(例えば、例えば、アミノ酸35(図1に対して番号付けられる)までは及ばない欠失を有するフラグメント)は、アミノ酸の付加、欠失および置換に対してより寛容性である。好ましい欠失としては、以下にさらに記載されるように、最初の22アミノ酸、23アミノ酸および24アミノ酸の欠失が挙げられる。当業者は、KGFの公知の構造(例えば、Osslundら,Protein Sci.(1998)7:1681−1690を参照のこと)、およびKGFと関連する分子(例えば、酸性FGF、塩基性FGFおよびカポジFGF(例えば、Gospodarowiczら,J.Cell.Physiol.(1990)142:325−333を参照のこと)との間の公知の構造/機能の関係に基づいて、変化を寛容する他の領域を容易に決定し得る。
【0051】
「精製される(た)」または「単離される(た)」によって、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう場合、示される分子が、同じ型の他の生物学的高分子が実質的にない状態で存在することを意味する。用語「精製(される)」は、本明細書中で使用される場合、同じ型の生物学的高分子が、好ましくは、少なくとも75重量%、より好ましくは、少なくとも85重量%、よりなお好ましくは、少なくとも95重量%、および最もより好ましくは、少なくとも98重量%、サンプル中に存在することを意味する。「特定のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド」とは、対象ポリペプチドをコードしない他の核酸分子が実質的にない核酸分子をいう;しかし、その分子は、組成物の基本的特徴に有害な影響を及ぼさないいくつかのさらなる塩基または部分を含み得る。
【0052】
「組換えポリペプチド」によって、本明細書中に記載の組換えDNA技術によって調製されたポリペプチドを意図する。以下にさらに記載されるように、一般に、所望のポリペプチドをコードする遺伝子がクローニングされ、次いで、形質転換生物において発現される。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現して、ポリペプチドを生成する。あるいは、内因性ポリペプチドの発現を制御するプロモーターが、組換えポリペプチドを与えるように改変され得る。概してより少ない開始物質からより高収量を可能にし、はるかに純粋な生成物を与える組換え生成物としてポリペプチドを組換え生成することは、特に有利である。従って、本発明のポリペプチドは、細胞中に通常存在する他の分子なしで生成され得る。例えば、微量のヒトタンパク質夾雑物も含まないヒトポリペプチド組成物は、組換え非ヒト宿主細胞により生成されるヒトタンパク質のみが、組換えヒトポリペプチドであるので、容易に得られ得る。天然の供給源に由来する潜在的ウイルス因子およびヒトに対して病原性のウイルス成分もまた回避される。
【0053】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、本明細書中で使用される場合、任意の長さのヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)のポリマー形態をいう。この用語は、分子の一次構造をいうに過ぎず、従って、二本鎖および一本鎖のDNAおよびRNAを含む。これらは、改変の既知の型(例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、1以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログでの置換、ヌクレオチド内の改変(例えば、非荷電性連結(例えば、リン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホルアミダイト、カルバメートなど)および荷電性連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなどでの改変)、ペンダント部分を含む改変(例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを含む))、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)での改変、キレート剤を含む置換(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)、アルキル化剤(alkylator)を含む改変、改変された連結での改変(例えば、αアノマー性核酸など))、ならびに非改変形態のポリヌクレオチドを含み得る。
【0054】
用語「組換えDNA分子」または「組換えポリヌクレオチド」は、その起源または操作によって、以下の通りであるゲノム起源、cDNA起源、半合成起源または合成起源のポリヌクレオチドをいうために本明細書中で使用される:(1)天然に関連するポリヌクレオチドの全てまたは一部と関連しない、(2)天然に連結しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに連結される、または(3)天然に存在しない。従って、この用語は、「合成由来の」核酸分子を包含する。
【0055】
「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合に、通常は、mRNAを介してポリペプチドへと翻訳される核酸分子である。コード配列の境界は、5’末端の翻訳開始コドンおよび3’末端の翻訳終止コドンによって決定され得る。コード配列は、cDNA、および組換えヌクレオチド配列を含み得るが、これらに限定されない。
【0056】
「制御配列」とは、コード配列の発現に影響を及ぼすことが必要な、コード配列に連結される核酸配列をいう。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる;原核生物においては、このような制御配列としては、概して、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列が挙げられ;真核生物においては、概して、このような制御配列としては、プロモーターおよび転写終結配列が挙げられる。用語「制御配列」は、少なくとも、コード配列の発現に必要な全ての成分を含むことが意図され、さらなる成分(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)もまた含み得る。
【0057】
制御エレメント(例えば、プロモーター)は、RNAポリメラーゼがプロモーターに結合し、コード配列をmRNAに転写する場合に、細胞においてコード配列の「転写を方向付け」、続いて、mRNAが、コード配列によりコードされるポリペプチドに翻訳される。
【0058】
「作動可能に連結される」とは、そのように記載される成分が、それらが意図される様式にて機能することが可能になる関係にある位置をいう。コード配列に「作動可能に連結される」制御配列は、制御配列と適合する条件下で、コード配列の発現が達成されるように連結される。制御エレメントは、コード配列の発現を方向付けるように機能する限り、コード配列と連続している必要はない。従って、例えば、翻訳されていないが、なお転写される配列の介在は、プロモーターとコード配列との間に存在し得、そのプロモーターは、なお、コード配列に「作動可能に連結される」と考えられ得る。
【0059】
本明細書中で使用される限り、用語「発現カセット」とは、適切な宿主細胞においてコード配列のクローンされたコピーの転写およびmRNAの翻訳を必要とする全てのヌクレオチド配列を含む、制御配列に作動可能に連結された少なくとも1つのコード配列を含む分子をいう。このような発現カセットは、細菌、藍藻類、植物細胞、酵母細胞、昆虫細胞および動物細胞のような種々の宿主において真核生物遺伝子を発現するために使用され得る。本発明のもとで、発現カセットは、クローニングベクター、特に、設計されたプラスミド、ウイルスまたはウイルス粒子が挙げられ得るが、これらに限定されない。カセットは、宿主細胞における自立的複製のために複製起点、選択マーカー、種々の制限部位、高コピー数および強いプロモーターのための能力をさらに含み得る。
【0060】
「ベクター」によって、適切な制御エレメントと関連する場合に複製可能であり、細胞間で遺伝子配列を移入し得る任意の遺伝エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルスなど)を意味する。従って、この用語は、クローニングビヒクルおよび発現ビヒクル、ならびにウイルスベクターを包含する。
【0061】
細胞は、外来ポリヌクレオチドが細胞膜内部に導入されている場合、このポリヌクレオチドにより形質転換されている。この発現ポリヌクレオチドは、細胞のゲノムを構成する染色体DNA中に組み込まれ(共有結合され)ていても、されていなくてもよい。原核生物および酵母において、例えば、外来DNAは、エピソームエレメント(例えば、プラスミド)上で維持され得る。真核生物細胞に関して、安定に形質転換された細胞は、染色体複製を通じて娘細胞により遺伝されるように、外来DNAが、染色体に組み込まれている細胞である。この安定性は、真核生物細胞が、外来DNAを含む娘細胞の集団から構成される細胞株またはクローンを樹立する能力によって実証される。
【0062】
宿主細胞は、外来核酸分子によって、形質転換された細胞であるか、または形質転換し得る細胞である。
【0063】
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチドの部分の間の類似性%をいう。2つのDNAまたは2つのポリペプチドの配列は、それらの配列が、分子の規定された長さにわたり、少なくとも約50%、好ましくは、少なくとも約70%〜75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは、少なくとも約90%、最もより好ましくは、少なくとも約95%〜98%の配列相同性を示すか、またはこれらの特定の範囲の間の任意の相同性%を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合、実質的に相同とはまた、特定のDNAまたはポリペプチドの配列に対して完全な同一性を示す配列をいう。
【0064】
一般に、「同一性」とは、2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド配列のそれぞれ正確なヌクレオチド−ヌクレオチド対応またはアミノ酸−アミノ酸対応をいう。同一性%は、配列を整列し、2つの整列した配列の間のマッチの正確な数を計数し、より短い方の配列の長さで除し、その結果に100をかけることによって、2つの分子の間の配列情報の直接比較によって決定され得る。
【0065】
好ましくは、天然に存在するタンパク質改変体または天然に存在しないタンパク質改変体は、図1の特定のKGFフラグメントに対して、少なくとも70%、80%、85%、90%または95%以上相同なアミノ酸配列を有する。より好ましくは、それらの分子は、98%または99%相同である。相同性%は、ギャップオープンペナルティー12およびギャップ伸長ペナルティー2でのアフィンギャップ検索、BLOSUMマトリクス62を用いて、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定される。このSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.2:482−489(1981)において教示される。
【0066】
あるいは、相同性は、相同な領域の間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いて、一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化、および消化したフラグメントのサイズ決定により決定され得る。実質的に相同なDNA配列は、例えば、その特定の系について規定されるストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは、当該分野の技術範囲内である。例えば、Sambrookら,前出;DNA Cloning,前出;Nucleic Acid Hybridization,前出を参照のこと。
【0067】
用語「有効量」または「薬学的有効量」とは、非毒性であるが、所望の生物学的結果を提供する薬剤の十分量をいう。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の低減および/または緩和、あるいは生物学的系の任意の他の所望の変化であり得る。例えば、本発明の方法とともに使用するためのKGFフラグメントの有効量は、上皮細胞の刺激または増殖に十分な量であり、好ましくは、上皮細胞増殖が所望される創傷および/または熱傷、ならびに他の障害の増大した治癒を引き起こすに十分な量である。このような量は、以下に記載される。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、慣用的な実験を用いて、当業者によって決定され得る。
【0068】
「薬学的に受容可能な」または「薬理学的に受容可能な」によって、生物学的でないのでもなく、さもなければ所望されないのでもない材料を意味する(すなわち、この材料は、いずれの所望されない生物学的効果も、含まれる組成物の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することもなく、個体に投与され得る)。
【0069】
「生理学的pH」または「生理学的範囲のpH」により、約7.0〜8.0までの範囲のpHを意味する。好ましい生理学的pHは、約7.2〜7.6の範囲である。
【0070】
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」とは、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:哺乳類綱の任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ならびに他のサル(ape)およびサル(monkey)種);家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;ウサギ、イヌ、およびネコのようなペット(domestic animal);実験動物(例えば、ラット、マウスおよびモルモットが挙げられる)齧歯類など。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢も性別も示さない。
【0071】
(II.発明を実施する態様)
本発明を詳細に記載する前に、本発明が、特定の処方にもプロセスパラメーターにも限定されず、よって当然のことながら、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される用語が、本発明の特定の実施形態のみを記載する目的であり、制限することを意味しないこともまた理解されるべきである。
【0072】
本明細書中に記載される組成物および方法に類似したまたは等価な多くの組成物および方法が、本発明の実施において使用され得るが、好ましい材料および方法が、本明細書中に記載される。
【0073】
本発明は、特定のKGFポリペプチドフラグメントおよびこれらのフラグメントのアナログ(これは、全長配列の一部のみを保持する)は、全長配列に対して増強した生物学的活性を示すという発見に基づく。従って、全長分子とともに必要な量より少量のポリペプチドが、組成物中で使用され得る。特定の例においては、本明細書中に記載される分子を含む組成物が投与される場合、非特異的な副作用の発生がより少ない。
【0074】
本発明は特に、本明細書中で具体的に示されるBalb/MK生体活性アッセイによって決定されるKGF163に対して生体活性における増加を示し、上皮細胞増殖を特異的に刺激するKGFフラグメントを含む組成物に関する。特に、KGFフラグメントおよびアナログの活性は、Balb/Mk細胞を使用して、ED50値を決定することによって測定され、この値は、細胞増殖の半分最大刺激を引き起こすKGFフラグメントの濃度によって規定される。細胞は、以下の実施例に記載されるように、7日間培養される。本明細書中に記載のKGFフラグメントの生体活性は、好ましくは、全長KGFタンパク質の生体活性より、細胞増殖アッセイにおいて比較される場合、少なくとも約1.2〜1.5倍、好ましくは、約2倍、より好ましくは、約2〜10倍以上高く、本明細書中で記載され、PCT特許出願番号WO90/08771で記載されるように、化学的に規定される培地中で維持されるBalb/Mk細胞におけるDNA合成の刺激を用いて決定される場合、全長KGFより10〜100倍程度以上高くてもよい。増強された活性レベルに起因して、本発明のポリペプチドは、同じ生物学的結果を達成するために対応する組成物中に必要なKGF163の量(すなわち、分子量について調節される)の1分子ベースで、90%以下、例えば、5%〜90%、または10%〜50%、またはその間の任意の数値の使用を可能にする。
【0075】
本明細書中で使用するための特定のポリペプチドとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
KGFdes1〜15(図1のアミノ酸残基16〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜15のアナログ(図1のアミノ酸残基16〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);
KGFdes1〜18(図1のアミノ酸残基19〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜18のアナログ(図1のアミノ酸残基19〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);
KGFdes1〜19(図1のアミノ酸残基20〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜19のアナログ(図1のアミノ酸残基20〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);
KGFdes1〜20(図1のアミノ酸21〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜20のアナログ(図1のアミノ酸残基21〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);
KGFdes1〜21(図1のアミノ酸残基22〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜21のアナログ(図1のアミノ酸残基22〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);
KGFdes1〜22(図1のアミノ酸残基23〜163に示された連続するアミノ酸配列からなる);KGFdes1〜22のアナログ(図1のアミノ酸残基23〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、さらなるN末端メチオニンを有する);KGFdes1〜22のアナログ(図1のアミノ酸残基23〜163に示された連続するアミノ酸配列からなり、アラニン残基で置換されたN末端アルギニン残基を有する);
KGFdes1−24は、図1のアミノ酸残基25〜163(両端を含む)にて示される連続アミノ酸配列からなる;そしてKGFdes1−24のアナログは、さらなるN末端メチオニンを有して、図1のアミノ酸残基25〜163(両端を含む)にて示される連続アミノ酸配列からなる;そして
KGFdes1−25は、図1のアミノ酸残基26〜163(両端を含む)にて示される連続アミノ酸配列からなる;そしてKGFdes1−25のアナログは、さらなるN末端メチオニンを有して、図1のアミノ酸残基26〜163(両端を含む)にて示される連続アミノ酸配列からなる。
【0076】
本発明の組成物において使用するために、上記で特定したフラグメントの生物学的に活性なアナログもまた企図され、ここで、この生物学的に活性なアナログは、上記フラグメントと同数のアミノ酸からなり、そしてそのフラグメントに対して、上記で決定されるように、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、そして好ましくは少なくとも約98%の配列相同性を有する。例えば、生物学的に活性なアナログは、148アミノ酸からなり、そしてKGFdes−15と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−15のアナログ;145アミノ酸からなり、そしてKGFdes−18と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−18のアナログ;144アミノ酸からなり、そしてKGFdes−19と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−19のアナログ;143アミノ酸からなり、そしてKGFdes−20と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−20のアナログ;142アミノ酸からなり、そしてKGFdes−21と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−21のアナログ;141アミノ酸からなり、そしてKGFdes−22と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−22のアナログ;139アミノ酸からなり、そしてKGFdes−24と少なくとも70%の配列相同性を有する、KGFdes−24のアナログ;および138アミノ酸からなり、そしてKGFdes−25と少なくとも70%の配
列相同性を有する、KGFdes−25のアナログ、であり得る。
【0077】
KGF163に関する本発明の組成物において使用するためのKGFポリペプチドの量は、目的の特定のフラグメントに依存して変動する。一般に、組成物は、1分子ベースで(すなわち、分子量について調節して)、所望の結果を達成するために(例えば、上皮細胞の分裂および/または増殖を促進するために)必要な対応する組成物中のKGF163の量の、約90%以下、またはさらに、75%以下、50%以下、35%以下、25%以下、10%以下を含む。従って、例えば、本明細書中に記載される組成物は、所望の活性を達成するために必要な、対応する組成物中のKGF163の量の、1分子ベースで、5%〜90%、または10%〜90%、または10〜75%、または10%〜50%、または10%〜25%、または10%〜20%を含み得る。これらの範囲の間の特定の割合もまた、本明細書中で企図されることが、理解されるべきである。
【0078】
特に、KGFフラグメントが、KGFdes1−15、KGFdes1−18、KGFdes1−19、KGFdes1−20、KGFdes1−21、KGFdes1−22、KGFdes1−24、KGFdes1−25またはこれらの分子由来のポリペプチドである場合、その量は、75%以下(例えば、10%〜75%)であり得る。KGFフラグメントがKGFdes1−22もしくはKGFdes1−24、またはこれらの分子由来のポリペプチドである場合、使用される量は、50%以下、またはさらに、25%以下もしくは20%以下(例えば、5%〜50%)であり得る。KGFdes1−24およびこれに由来するポリペプチドについて、例えば、その量は、等価な治療応答を達成するために必要なKGF163の量の、10%以下(例えば、2%〜10%)であり得る。適切な量は、以下に詳細に考察される。
【0079】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のKGFフラグメントは、特に大規模の商業的産生の場合に、組換え技術によって産生される。本発明のポリペプチドをコードする組換えDNA分子および発現ベクターが作製され得、そして遺伝子が、以下でより詳細に考察されるような、当該分野で周知の方法を使用する、従来の遺伝子発現技術によって発現され得る。特定のKGFフラグメントのアナログはまた、例えば、部位特異的変異誘発によって、組換え的に作製され得る。従って、本発明の実施形態に対する全ての言及は、特定のKGFフラグメントに関する場合、フラグメントのアナログに等価に適用される。
【0080】
本発明の1実施形態において、KGFフラグメントは、例えば、米国特許第5,731,170号に記載される技術を使用して、KGFを産生する細胞(例えば、M426ヒト胚性繊維芽細胞(Aaronson,S.A.およびTodaro,G.J.Virology(1968)36:254−261))から、ネイティブな成熟KGFを単離することによって、作製され得る。次いで、N末端アミノ酸残基は、回収された分子から欠失され得る。このような欠失は、当該分野で公知の任意の従来技術によって実施され得る。
【0081】
あるいは、本発明の組成物中で使用するためのポリペプチドは、ペプチド分野の当業者に公知のいくつかの技術のいずれかによって、化学的に合成され得る。例えば、固相ペプチド合成技術については、J.M.StewartおよびJ.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL 1984)ならびにG.BaranyおよびR.B.Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,E.GrossおよびJ.Meienhofer、編,Vol.2,(Academic Press,New York,1980),pp.3−254;そして古典的な溶液合成については、M.Bodansky,Principles of Peptide Synthesis,(Springer−Verlag,Berlin 1984)ならびにE.GrossおよびJ.Meienhofer,編,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,Vol.1を参照のこと。本発明のポリペプチドはまた、同時複数ペプチド合成の方法によって、化学的に調製され得る。例えば、Houghten Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:5131−5135;米国特許第4,631,211を参照のこと。
【0082】
代替的実施形態において、KGFフラグメントは、ネイティブのKGF163のコード配列を単離し、欠失されるべきアミノ酸残基をコードするコドンを欠失させ、発現ベクター中に改変されたコード配列を挿入し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換して組換えKGFフラグメントおよびアナログを産生し、そして従来の精製技術を使用して組換えKGFフラグメントを単離することによって、作製され得る。
【0083】
本発明のさらなる実施形態において、KGFフラグメントのコード配列は、従来技術(このようなコード配列を含むことが既知のcDNAライブラリーからのKGF163のコード配列の単離、および欠失されるべきアミノ酸残基の部分をコードする配列をこのコード配列から欠失させることを含む)によって、獲得され得る。N末端アミノ酸のコード配列の欠失は、インビボまたはインビトロで達成され得る。前者は、例えば、適切な発現系でのKGF163コード配列の発現によって、達成され得る。後者は、N末端配列を排除するプライマーを使用する公知のPCR技術によって達成され得る。
【0084】
好ましくは、本発明の組成物中で使用するためのポリペプチドは、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現によって、組換え的に産生される。KGFフラグメントの組換え産生のための方法は、周知である。例えば、米国特許第5,677,278号、同第5,773,586号、同第5,843,883号、同第5,863,767号および同第6,074,848号(全てGospodarowiczらに対する);国際公開番号WO96/11951およびWO96/11949;ならびにOsslundら、Protein Sci.(1998)7:1681−1690を参照のこと。
【0085】
特に、本発明で使用するための分子は、分子生物学の標準的技術を使用して作製され得る。例えば、上記分子をコードするポリヌクレオチド配列は、組換え方法を使用して(例えば、その遺伝子を発現する細胞由来のcDNAライブラリーおよびゲノムライブラリーをスクリーニングすることによってか、またはこのポリヌクレオチド配列を含むことが既知のベクターから遺伝子を誘導することによって)獲得され得る。さらに、所望の遺伝子は、標準技術(例えば、cDNAまたはゲノムDNAの、フェノール抽出およびPCR)を使用して、この遺伝子を含む細胞または組織から直接的に単離され得る。例えば、DNAを獲得および単離するために使用される技術の説明については、Sambrookら、前出を参照のこと。目的の遺伝子はまた、クローニングされるのではなく、合成的に産生され得る。これらの分子は、特定の配列についての適切なコドンを用いて設計され得る。次いで、完全配列は、標準的方法によって調製される重複するオリゴヌクレオチドから構築され、そして完全なコード配列へと構築される。例えば、Edge(1981)Nature 292:756;Nambairら(1984)Science 223:1299;およびJayら(1984)J.Biol.Chem.259:6311を参照のこと。
【0086】
従って、特定のヌクレオチド配列は、所望の配列を有するベクターから得られ得るか、もしくは完全に合成され得るか、または一部、必要に応じて、当該分野で公知の種々のオリゴヌクレオチド合成技術(例えば、部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術)を使用して、獲得され得る。例えば、Sambrookら、前出を参照のこと。特に、所望の配列をコードするヌクレオチド配列を得る1つの方法は、従来の自動化ポリヌクレオチド合成機で産生された重複する合成オリゴヌクレオチドの相補的セットをアニーリングし、次いで適切なDNAリガーゼを用いて連結し、そして連結されたヌクレオチド配列をPCRによって増幅することによる。例えば、Jayaramanら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4084−4088を参照のこと。さらに、オリゴヌクレオチド指向性の合成(Jonesら(1986)Nature 54:75−82)、オリゴヌクレオチド指向性の、既存のヌクレオチド領域の変異誘発(Riechmannら(1988)Nature 332:323−327およびVerhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536)、ならびにT DNAポリメラーゼを使用する、ギャップの入ったオリゴヌクレオチドの酵素的フィルイン(filling−in)(Queenら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033)が、本発明の下で使用されて、変更もしくは増強されたレセプター結合能力、および/または低減した免疫原性を有する分子を提供し得る。
【0087】
一旦コード配列が調製または単離されると、このような配列は、任意の適切なベクターまたはレプリコン中にクローニングされ得る。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、そして適切なクローニングベクターの選択は、選択事項である。適切なベクターとしては、適切な制御エレメントと結合されると複製し得る、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体またはウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
次いで、コード配列は、発現のために使用される系に依存して、適切な制御エレメントの制御下に置かれる。従って、コード配列は、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌発現のため)および必要に応じてオペレーターの制御下に置かれ得、その結果、目的のDNA配列が、適切な形質転換体によって、RNAへと転写される。このコード配列は、シグナルペプチドをコードする配列、または翻訳後のプロセシングにおいて宿主によって後に除去され得るリーダー配列を、含んでも含まなくてもよい。例えば、米国特許第4,431,739号;同第4,425,437号;同第4,338,397号を参照のこと。シグナル配列が存在する場合、これは、ネイティブの配列であり得るか、または異種シグナル配列であり得るかのいずれかである。
【0089】
制御配列に加えて、宿主細胞の増殖に関して配列の発現の調節を可能にする調節配列を付加することが所望され得る。調節配列は当業者に公知であり、そして例としては、化学的刺激もしくは物理的刺激(調節化合物の存在を含む)に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにするものが挙げられる。他の型の調節エレメントもまた、ベクター中に存在し得る。例えば、エンハンサーエレメントは、構築物の発現レベルを増大させるために、本明細書中で使用され得る。例としては、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkemaら(1985)EMBO J.4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)のエンハンサー/プロモーター(Gormanら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)およびヒトCMV由来のエレメント(Boshartら(1985)Cell 41:521)(例えば、CMVイントロンA配列中に含まれるエレメント(米国特許第5,688,688号))が挙げられる。発現カセットは、適切な宿主細胞中での自律的複製のための複製起点、1つ以上の選択マーカー、1つ以上の制限部位、高コピー数についての能力、および強力なプロモーターをさらに含み得る。
【0090】
特定のコード配列が適切な調節配列を伴って、コード配列が制御配列の「制御」下で転写される(すなわち、この制御配列においてDNA分子に結合するRNAポリメラーゼが、コード配列を転写する)ような、制御配列に対するコード配列の位置および方向でベクター中に配置されるように、発現ベクターが構築される。目的の分子をコードする配列の改変は、この目的を達成するために所望され得る。例えば、いくつかの場合、配列が適切な配向で(すなわち、リーディングフレームを維持するように)制御配列に結合され得るように配列を改変する必要があり得る。この制御配列および他の調節配列は、ベクターへの挿入の前に、コード配列と連結され得る。あるいは、このコード配列は、制御配列および適切な制限部位をすでに含む発現ベクター中に、直接クローニングされ得る。
【0091】
上記のように、参照KGFフラグメントの変異体またはアナログを生成することも所望であり得る。変異体またはアナログは、KGFフラグメントをコードする配列の一部の欠失、配列の挿入、および/またはこの配列内の1つ以上のヌクレオチドの置換によって、調製され得る。ヌクレオチド配列を改変するための技術(例えば、部位特異的変異誘発など)は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、前出;Kunkel,T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoderら(1987)BioTechniques 5:786;ZollerおよびSmith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarlandら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照のこと。
【0092】
分子は、広範な種々の系(昆虫、哺乳動物、細菌、ウイルスおよび酵母の発現系(全て当該分野で周知である))において発現され得る。例えば、昆虫細胞発現系(例えば、バキュロウイルス系)は、当業者に公知であり、そして例えば、SummersおよびSmith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系についての材料および方法は、とりわけ、Invitrogen,San Diego CA(「MaxBac」キット)から、キットにて市販される。同様に、細菌細胞発現系および哺乳動物細胞発現系は、当該分野で周知であり、そして例えば、Sambrookら、前出に記載される。酵母発現系もまた、当該分野で公知であり、そして例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら、編、1989)Butterworths,Londonに記載される。
【0093】
上記系での使用に適切な多数の宿主細胞もまた、公知である。例えば、哺乳動物細胞株が当該分野で公知であり、そしてAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株(例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト胚性腎臓細胞、ヒト肝細胞癌腫細胞(例えば、Hep G2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞など)が挙げられる。同様に、細菌宿主(例えば、E.coli、Bacillus subtilisおよびStreptococcus spp.)は、本発明の発現構築物での用途を見出す。本発明において有用な酵母宿主は、とりわけ、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターと共に使用するための昆虫細胞としては、とりわけ、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperdaおよびTrichoplusia niが挙げられる。
【0094】
短縮型KGFポリペプチドおよびそのアナログの酵母における細胞内発現が、特に所望される。このような系は、細菌(例えば、E.coli)からの精製によって生じ得る問題(多量のDNA、内毒素およびタンパク質混入物の存在を含む)を回避する。さらに、天然に存在する酵母の酵素は、分子が組換え的に産生される場合に存在し得るN末端メチオニンを効率的に切断し、そして酵母系が使用される場合にこの酵素を過剰発現する必要がない。さらに、KGFは、天然に分泌されるタンパク質であるが、ネイティブおよび短縮型のKGFおよびそのアナログは、分泌されずに、酵母内で産生され、これらは、可溶性であり、適切に折り畳まれ、そして活性である。
【0095】
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子は、宿主ゲノム中に安定に組み込まれ得るか、または当該分野で周知の種々の遺伝子送達技術を使用して、適切な宿主細胞中の安定なエピソームエレメント上で維持され得る。例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと。
【0096】
選択される発現系および宿主に依存して、分子は、タンパク質が発現される条件下で、上記の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を増殖することによって生成される。次いで、発現されたタンパク質は、宿主細胞から単離され、そして精製される。発現系が、タンパク質を増殖培地中に分泌する場合、生成物は、培地から直接精製され得る。生成物が分泌されない場合、生成物は細胞溶解物から単離され得る。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当該分野の技術範囲内である。
【0097】
次いで、KGFフラグメントは、被験体への送達のために、以下にさらに記載される薬学的組成物へと処方される。あるいは、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、被験体に直接送達され得、そしてインビボで発現され得る。多数のウイルスに基づく系が、哺乳動物細胞中への直接的遺伝子移入のために開発されている。これに関して、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための便利な土台を提供する。所望のポリペプチドをコードする、選択されたヌクレオチド配列は、当該分野で公知の技術を使用して、ベクター中に挿入され得、そしてレトロウイルス粒子中にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスが単離され、そして被験体に送達され得る。多数の適切なレトロウイルス系が記載されている(米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman、BioTechniques(1989)7:980〜990;Miller,A.D.、Human Gene Therapy(1990)1:5〜14;Scarpaら、Virology(1991)180:849〜852;Burnsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:8033〜8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin、Cur.Opin.Genet.Develop.(1993)3:102〜109)。
【0098】
多数の適切なアデノウイルスベクターもまた、記載されている。宿主ゲノム中に組み込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは、染色体外のままで存在し、それによって挿入性突然変異に関連する危険が最小になる(Haj−AhmadおよびGraham、J.Virol.(1986)57:267〜274;Bettら、J.Virol.(1993)67:5911〜5921;Mitterederら、Human Gene Therapy(1994)5:717〜729;Sethら、J.Virol.(1994)68:933〜940;Barrら、Gene Therapy(1994)1:51〜58;Berkner,K.L.、BioTechniques(1988)6:616〜629;およびRichら、Human Gene Therapy(1993)4:461〜476)。近年、種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系が、遺伝子送達のために開発されている。このような系は、転写の誘導を可能にする制御配列(例えば、プロモーターおよびポリアデニル化部位、ならびに選択マーカーまたはレポーター遺伝子、エンハンサー配列および他の制御エレメント)を含み得る。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を使用して、容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開番号WO92/01070(1992年1月23日公開)および同WO93/03769(1993年3月4日公開);Lebkowskiら、Molec.Cell.Biol,(1988)8:3988〜3996;Vincentら、Vaccines 90(1990)(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.、Current Opinion in Biotechnology(1992)3:533〜539;Muzyczka,N.、Current Topics in Microbiol.and Immunol.(1992)158:97〜129;Kotin,R.M.、Human Gene Therapy(1994)5:793〜801;ShellingおよびSmith、Gene Therapy(1994)1:165〜169;ならびにZhouら、J.Exp.Med.(1994)179:1867〜1875を参照のこと。
【0099】
本発明の分子をコードする核酸分子を遺伝子移入により送達するための用途を見出すさらなるウイルスベクターとしては、ポックスファミリーのウイルス(例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類ポックスウイルス(avian poxvirus)を含む)由来のベクターが、挙げられる。例えば、国際公開番号WO91/12882;WO89/03429;およびWO92/03545を参照のこと。
【0100】
分子結合体化ベクター(例えば、Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)268:6866〜6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099〜6103に記載される、アデノウイルスキメラベクター)もまた、本発明の下で遺伝子送達のために使用され得る。
【0101】
アルファウイルス属のメンバー(例えば、これらに限定はされないが、シンドビスウイルス由来のベクターおよびセムリキ森林ウイルス由来のベクター)もまた、目的の遺伝子を送達するためのウイルスベクターとしての用途を見出す。本発明の方法の実施に有用なシンドビスウイルス(Sinbus−virus)由来ベクターの記載に関しては、Dubenskyら、J.Virol.(1996)70:508〜519;および国際公開番号WO95/07995およびWO96/17072を参照のこと。
【0102】
目的の遺伝子はまた、ウイルスベクターを用いないで送達され得る。例えば、この遺伝子は、被験体またはその被験体に由来する細胞に送達する前に、付随する抗原を含んでかまたは含まずに、リポソーム中にパッケージングされ得る。脂質カプセル化は、一般に、核酸を安定に結合または捕捉しそして保持し得る、リポソームを使用して達成される。核酸の送達のためのキャリアとしてのリポソームの使用の概説に関しては、HugおよびSleight、Biochim.Biophys.Acta.(1991)1097:1〜17;Straubingerら、Methods of Enzymology(1983)、第101巻、512〜527頁を参照のこと。
【0103】
本発明のKGFフラグメントは、レセプター認識部位の同定のため、ならびにペプチドアゴニストまたはアンタゴニストの設計のために、使用され得る。さらに、ケラチノサイトに対するKGFの独自の特異性、血管内皮細胞または繊維芽細胞の増殖を誘導する能力がないこと、およびその細胞傷害性の欠如の観点から、短縮型分子およびそのアナログは、創傷治癒適用のために、特に、皮膚の再上皮形成を促進することが望まれる場合に、選択される好ましい薬剤である。短縮型KGF分子は、角膜上皮治癒において特に有用である。分子の他の使用としては、胃腸管において見出される上皮細胞に対する特異性を利用する適用が挙げられる。
【0104】
本発明のフラグメントは、その意図された使用に適切な他の分子に結合体化され得る。例えば、KGFポリペプチドは、その標的細胞(すなわち、上皮細胞、特にケラチノサイト)の破壊のために、毒性分子(例えば、リシンA、ジフテリア毒素、またはサポニン(saporin)と結合体化され得る。本明細書中での使用に適切なこのようなKGF毒素結合体は、当該分野で公知の方法(例えば、米国特許第4,771,128号、同第4,808,705号および同第4,894,443号、ならびに国際公開番号WO 92/04918)によって生成され得る。
【0105】
本発明の組成物は、1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤またはビヒクル、ならびに必要に応じて他の治療成分および/または予防的成分と共に、上記の分子を含む。このような賦形剤としては、水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノールなどのような液体が挙げられる。非液体処方物のために適切な賦形剤もまた、当業者に公知である。薬学的に受容可能な塩が、本発明の組成物中で使用され得、そしてこれには、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような無機酸の塩類;および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸の塩類が挙げられる。薬学的に受容可能な賦形剤および塩の徹底的な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)において利用可能である。
【0106】
さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、生物学的緩衝化物質、界面活性剤など)は、このようなビヒクル中に存在し得る。生物学的緩衝液は、薬理学的に受容可能であり、そして所望のpH(すなわち、生理学的に受容可能な範囲のpH)を有する処方物を提供する、実質的に任意の溶液であり得る。緩衝化溶液の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、Hank’s緩衝化生理食塩水などが挙げられる。
【0107】
特に好ましい組成物は、局所的に適用される組成物である(例えば、軟膏、ペースト、粉剤、包帯、クリームおよび絆創膏)。このような局所的組成物としてはまた、局所麻酔(例えば、ベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、塩酸ジクロニン、塩酸プラモキシン、塩酸プロパラカイン、テトラカイン、塩酸ベノキシネート(benoxinate hydrochloride)、ピクリン酸アミノ安息香酸ブチル、チョウジ油およびオイゲノール、ならびに上記の組み合わせおよび誘導体が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられ得る。眼への直接送達のための眼科組成物はまた、本発明のKGFフラグメントを用いて特に使用されるものである。例えば、種々の局所的組成物および眼科組成物の考察については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)を参照のこと。
【0108】
上記のように、一旦処方されると、本発明の組成物は、一般に、局所的または眼に、投与される。しかし、他の投与様式としては、非経口投与(例えば、静脈内、動脈内、関節内(例えば、膝への)、皮下、皮内、筋内、経皮、鼻腔内、粘膜、およびエアロゾル投与による)が挙げられる。例えば、この組成物は、吸入(例えば、鼻または口のスプレーまたはエアロゾル)によって投与され得る。この組成物はまた、インサイチュで(例えば、移植によって)送達され得る。
【0109】
組成物の薬学的有効量または治療的有効量が、被験体に送達される。正確な有効量は、被験体によって異なり、そして種、年齢、被験体の大きさおよび健康状態、処置される状態の性質および程度、処置を行う医師の推奨、ならびに投与のために選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。従って、所定の状況についての有効量は、慣用的な実験によって決定され得る。本発明の目的のために、局所的に投与される場合、治療剤の量は、一般的に、約0.1μg/創傷cm〜約500μg/創傷cm、好ましくは約1μg/創傷cm〜約100μg/創傷cm、より好ましくは約1〜10μg/創傷cm〜約50μg/創傷cm、またはこれら値の間の任意の整数(例えば、21、22、23、24・・・30、31、32、33、34・・・40、41、43・・・50・・・60・・・など)の範囲である。非経口投与について、代表的な用量は、1以上の用量中に、約0.01μg/kg体重/日〜約100μg/kg/日、より好ましくは約0.1μg/kg/日〜約80μg/kg/日、より好ましくは1μg/kg/日〜約40μg/kg/日の範囲である。代表的に、ポリヌクレオチドが送達される場合、用量は、少なくとも1桁低い規模である。被験体は、問題の障害の兆候、症状または原因を低減および/または緩和するか、あるいは生物学的系の任意の他の所望の変更をもたらすのに必要なだけの数の用量を投与され得る。任意の事象において、目的の組成物中に存在するKGFフラグメントの量は、等価な応答を得るために必要なKGF163の量よりも少ない量である。この量は、問題のフラグメントの生物学的活性を、上記のようなKGF163フラグメントの生物学的活性と比較することによって、容易に決定される。
【0110】
(III.実験)
本発明を実施するための特定の実施形態の例を以下に示す。これらの実施例は、例示の目的のみのために提供され、いかなる手段によっても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0111】
使用される数値(例えば、量、温度など)に関する正確性を確証するための努力が成されているが、ある程度の実験的誤差および偏差が、当然、許容されるべきである。
【0112】
酵素は、市販の供給源から購入し、そして製造業者の指示に従って使用した。放射性核種およびニトロセルロースフィルタもまた、市販の供給源から購入した。
【0113】
DNAフラグメントのクローニングにおいて、注記される以外は、全てのDNA操作を標準的な手順に従って行った。Sambrookら、前出を参照のこと。制限酵素、T DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼI、クレノウフラグメントおよび他の生物学的試薬は、業者から購入し、そして製造業者の指示に従って使用した。二重鎖DNAフラグメントを、アガロースゲルで分離した。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
(細胞内酵母発現のための短縮型KGF酵母ベクターの構築)
この実施例は、本発明とともに使用するための種々の短縮型KGF分子の細胞内発現のための酵母発現ベクターに関する手順を記載する。
【0115】
この発現ベクターは、特定の短縮型KGFコード配列を、ADH2/GAPDHプロモーター(ハイブリッド酵母プロモーター)の制御下に含んだ。特に、各異なる短縮のために、2つのオリゴ(下記を参照のこと)(上鎖および下鎖)を使用した。これらのオリゴをアニーリングさせ、その後、連結反応物中に配置した。この連結反応物は、プラスミドpSI3(Nco部位およびSal部位にて切断した)、短縮型KGFをコードするKpn/Salフラグメント、およびアリールしたオリゴ対のうちの1つを含んだ。このオリゴ対は、望ましい特定の短縮型KGFタンパク質のアミノ末端をコードした。このオリゴ対は、KGFコードフラグメントのKpn部位にベクターのNco部位を連結するように設計した。プラスミドpSI3は、pYASI1の誘導体である。このプラスミドを、ATCC,Manassas,VAに1985年2月27日に寄託し、ATCC受託番号20745を割り当てられた。pYASI1の構築は、米国特許第4,751,180号に記載される。
【0116】
完全な短縮型KGFのための種々のオリゴは、以下の通りであった。このオリゴ配列中の「X」は、5’リン酸基を示す。
【0117】
【化1】

【0118】
【化2】

【0119】
【化3】

【0120】
【化4】

【0121】
さらに、成熟した全長KGF(KGF163)をコードする発現ベクター、および最初の23個のN末端アミノ酸が欠失された短縮型KGF分子(KGFdes1〜23)をコードする発現ベクターを、作製した。例えば、米国特許第5,677,278号を参照のこと。天然に存在するアルギニンの代わりにN末端にアラニン残基を有するKGFdes1〜22のアナログもまた、作製した。
【0122】
(実施例2)
(酵母細胞による短縮型KGF分子の細胞内発現)
上記発現ベクターを使用して、標準的方法を使用する酢酸リチウムトランスフェクションによってSaccharomyces cerevisiaeを形質転換した。例えば、「Guide to Yeast Genetics & Molecular Biology」,Methods in Enzymology,Vol.194(Academic Press,1991)を参照のこと。形質転換体を、2%グルコースを含むウラシル欠損培地上で選択した。形質転換体を、5%グルコースを含むロイシン欠損培地5ml中で、振盪機器中で30℃にて一晩インキュベートした。この組換え短縮分子の生成用培地は、20ml培養であり、2%グルコースを含むYEP培地中の一晩培養物を約72時間播種した。
【0123】
(実施例3)
(短縮型組換えKGF分子の精製)
上記からの培養物を遠心分離して、酵母細胞ペーストを形成した。細胞を、標準的技術を使用して、10mM MgCl、50mM Tris(pH8.0)、0.1Mジチオスレイトール(DTT)中に溶解した。その細胞溶解物は、Dynomill DKL−Pilot中のガラスビースを使用して、バッチとして作製した。溶解物生成を、細胞破壊が≧95%の時に完了した。そのホモジネートを、適切な熱交換器を使用することによって、4℃〜8℃に冷却した。その後、その溶解物を4℃にて15,000gで30分間遠心分離することによって、破片を除去した。その上清のNaCl濃度を、0.5M NaClに調整し、そして組換え短縮型KGFを、以下のように上清から精製した。
【0124】
(A.Heparin SepharoseTM親和性クロマトグラフィー)
上記のようにして得た上清を、すぐにHeparin Sepharose(HS)樹脂カラムにすぐに適用した。その溶解生成物を、HS樹脂の30ml床を通して4℃にて約30分間流した。そのカラムを、0.5M NaCl、0.1M DTT、および10mM Tris−HCl(pH7.3)を含む緩衝液中で平衡化した。一旦その細胞溶解物をローディングすると、280nmでの吸光度がベースラインに戻るまで、そのカラムを上記平衡化緩衝液で徹底的に洗浄した。増加する段階式NaCl勾配を用いてHSカラムからタンパク質を溶出した。そのNaCl濃度は、10mM Tris−HCl(pH7.3)、0.1M DTT中で1M NaClおよび2M NaClであった。溶出の間のカラムの流速は、約90ml/時間であり、4mlサイズの画分を収集した。
【0125】
それらの画分を、Balb/Mk細胞を使用してKGF生物活性について試験した。このアッセイを下記に示す。最高の生物活性を有する画分を、1M NaCLを用いて溶出し、そしてプールした。プールした画分を次のカラム上にローディングする前に、それらの画分を、0.2M NaCl、10mM Tris−HCl(pH7.3)に対して透析した。
【0126】
(B.Mono Sカチオン交換クロマトグラフィー)
HSカラムから溶出したプールした画分を、高圧液体クロマトグラフィー(FPLC)システム(Pharmacia,Piscataway,N.J.)に接続したMono Sカラム上へとSuperループを用いてローディングした。このMono Sカチオン交換カラムを、10mM Tris(pH7.3)を用いて平衡化した。プールした画分をローディングした時、吸光度がベースラインに戻るまで、このカラムを、上記平衡化緩衝液を用いて流速1ml/分にて徹底的に洗浄した。その後、直線NaCl勾配(10mM Tris(pH7.3)中0.2M NaCl〜1M NaCl)にて流速1ml/分でカラムから溶出し、1ml画分を収集した。
【0127】
主要なタンパク質ピークは、約0.6M NaClにて溶出した。このタンパク質ピークを通る画分を、生物活性についてアッセイし、そして活性画分をプールし、SDS−PAGE分析に供した。プールした画分のタンパク質濃度を、BioRad(Richmond,Calif.,USA)からのタンパク質アッセイキットに添付されている指示書に従うBradfordアッセイによって決定した。
【0128】
(実施例4)
(Balb/Mk細胞を使用するKGF生物活性アッセイ)
KGF生物活性を、プールした0.6M NaCl画分がBalb/Mk細胞の増殖を促進する能力によって評価した。詳細には、Balb/Mk細胞のストック培養物を、10%ウシ胎仔血清と、0.25μg/mlフンジゾンと、10ng/ml酸性FGF(aFGF)とを補充した、低カルシウムダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で増殖させ、そして維持した。その細胞を、99%の湿度を有する10% CO雰囲気中で37℃にてインキュベートした。この生物活性アッセイのために、細胞を、ストック培養物について上記しGospodarowiczら、J.Cell.Physiol.(1990)142:325〜333に記載されたような培地1ml中に1ウェルあたり5×10細胞の密度にて、12ウェルプレート中に播種した(但し、播種培地は、aFGFを全く含まなかった)。
【0129】
望ましいカラム画分の10μlアリコートを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の0.2%(w/v)ゼラチン1ml中に希釈した。この希釈物10μlを、22mmウェルを含む12ウェルクラスタープレート中に1ウェルあたり5×10細胞で播種したBalb/Mk細胞に添加した。そして希釈したカラム画分かまたは10ng aFGF含有培地のいずれかの10μlアリコートを、1日おきに細胞に添加した。
【0130】
培養7日間後に、細胞をトリプシン処理し、そしてCoulterTMカウンター(Coulter Electronics,Hialeah,Fla,USA)を使用して最終細胞密度を決定した。その培養培地を、0.9% NaClと、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.4)と、0.25%トリプシンと、0.02% EDTA(STV)とを含む溶液で置換することによって、その細胞をプレートから遊離させた。その細胞を、37℃にて5分〜10分間この溶液中でインキュベートし、その後、ストック培養培地を、細胞に添加した。その後、その細胞を、CoulterTMカウンターを使用して計数した。最終細胞密度を、カラム画分のタンパク質濃度の関数としてグラフにした。そのタンパク質濃度を、対数スケールにてグラフにした。
【0131】
そのED50を、(a)曲線の最低細胞密度値と最高細胞密度値との間の差異を半分に除算し、(b)そのグラフから、どのタンパク質濃度が、(a)において得られた細胞密度数に対応するかを決定することによって、計算した。
【0132】
KGFdes1〜22、KGFdes1〜23、KGFdes1〜24、KGFdes1〜26、およびKGFdes1〜30についての代表的バイオアッセイの結果を、図2Aに示す。同様の比較を、KGFdes1〜23、KGFdes1〜26、KGFdes1〜30、酸性FGF(aFGF)および全長KGF(FL−KGF)を用いて行った。結果を、図2Bに示す。異なる短縮形態のED50を、100%として採用したネイティブKGFのED50に対して正規化した(表1)。KGFdes1〜22、KGFdes1〜23、およびKGFdes1〜24は、生物学的活性の有意な増加を有した。詳細には、KGFdes1〜22は、ネイティブKGF163より約6倍高い活性であり、一方
、KGFdes1〜23およびKGFdes1〜24は、ネイティブKGF163より10倍高い活性であった。1分子ベースで比較して分子量について調整した場合でさえ、これらの種は、KGF163と比較して大いに増大した活性を示した。KGFdes1〜24を越えてKGFdes1〜24までの欠失は、KGFの短縮形態を、ネイティブ形態と匹敵する活性を有するようにし、KGFdes1〜26を越える欠失は、生物学的活性の減少をもたらした。
【0133】
ネイティブ形態の生物学的活性のうちのほんの2〜3%しか保持しないKGFdes1〜35は、Balb/Mk細胞に対して試験した場合に、aFGFと同程度活性であったことに注目すべきである。この形態は、他の短縮物のいずれよりも高くaFGFと相同性であるので、このKGF短縮形態は、KGFに特有の標的細胞特異性を失ったかもしれないかに関する疑問が生じた。上記に説明したように、KGFは、広範な標的細胞(特に、内皮細胞)を有する他のFGF形態とは対照的に、上皮起源の細胞のみを刺激する。しかし、このことは、見かけ上生じない。なぜなら、ヘパリンの存在下もしくは不在下で、副腎皮質由来毛細血管内皮細胞(ACE)または成体ウシ大動脈内皮細胞(ABAE)のいずれかに対して試験した場合(下記を参照のこと)、KGFdes1〜35およびより短い他の短縮物は、不活性であったからである(図3)。
【0134】
【表1】

【0135】
*(KGFxxxのED50÷KGF163のED50)×100
**分子量(MW)は、Vector NTIプログラム(1999年12月22日),Infomax,Inc.を使用して計算した。
【0136】
E.coliにおいて発現された、天然に存在するN末端アルギニンの代わりにアラニンで置換されたKGFdes1〜22アナログの活性を、E.coliで発現されたKGFdes1〜23と比較した。このアナログを、複数回試験した。このアナログは、E.coliで発現されたKGFdes1〜23のED50と類似するED50を示した。
【0137】
(実施例5)
(ABAE細胞またはACE細胞に対するKGF生物活性)
KGFを、他の形態のFGF(塩基性FGF(bFGF)または酸性FGF(aFGF))と比較した場合の、大血管由来の血管内皮細胞(成体ウシ大動脈内皮細胞(ABAE))または毛細血管細胞に由来する血管内皮細胞(副腎皮質由来毛細血管内皮細胞(ACE))に対する活性の欠如によって特徴付け得る。種々のFGF短縮形態がこの細胞特異性を保持しているか否かを分析するために、内皮細胞に対するその生物学的活性を試験した。
【0138】
ABAE細胞およびACE細胞のストック培養物を、10%ウシ血清と、0.25μg/mlフンジゾンと、2ng/ml bFGFとを補充した、ダルベッコ改変イーグル培地中で、増殖させそして維持した。その細胞を、10%CO濃度および99%湿度とともに、37℃にてインキュベートした。
【0139】
マイトジェンアッセイにおいて、Gospodarowiczら、Proc.Natl.Acad.USA(1976)73:4120〜4124;Gospodarowiczら、J.Cell.Physiol.(1976)127:121〜136;およびGospodarowiczら、Proc.Natl.Acad.USA(1989)86:7311〜7315に記載されるように、ストック培養培地中にて、12ウェルプレートの1ウェルあたり、5×10個のABAE細胞またはACE細胞のいずれかをプレートした。
【0140】
飽和濃度のKGF163および種々の短縮型KGF改変体および塩基性FGFを、1日おきに添加した。培養7日間後、Balb/MK細胞培養について記載されるように細胞をトリプシン処理し、そして最終細胞密度をCoulterカウンターを使用して決定した。
【0141】
図3に示されるように、試験したN末端短縮KGFポリペプチドのすべてが、bFGFと比較してABAEおよびACEの両方に対する活性を欠いた。これらの短縮は、酸性FGFとの構造的アライメントに一部基づいた。これらの結果は、ネイティブKGFの能力は、細胞特異性を変化させることなく酸性FGFの能力へと変化され得ることを、確認する。酸性FGFは、Balb/Mk細胞についての公知のマイトジェンであり、その能力は、KGFの能力の10分の1である。このことは、KGFレセプターに対してのより低いFGFの結合親和性を反映する。ネイティブKGFの最初の30アミノ酸〜35アミノ酸の除去は、これらの短縮型アナログにより示される生物学的活性の強力な減少(ネイティブKGFの28.5%および3%)をもたらす。同時に、酸性FGFとKGFとの間の相同性の程度は、FGFレセプターと相互作用するための細胞構造決定因子が維持される場合に、増加する。従って、より長く欠失しているKGFアナログは、酸性FGFとより類似して挙動する。驚くべきことに、最長の欠失の場合でさえ、KGFに典型的な標的細胞特異性は維持され、そして、酸性FGFおよび塩基性FGFとは対照的に、そのアナログは、血管内皮細胞についてマイトジェンではない。
【0142】
(実施例6)
(熱安定性研究)
ネイティブのKGFポリペプチドおよび種々のN末端短縮型KGFポリペプチドの、上昇した温度に耐える能力を試験した。0.1mg/mlタンパク質を含むサンプルを、PBSを含まないCa++Mg++中に調製し、そして各サンプルの100μlを、1mlプラスチックバイアルへとアリコートした。このバイアルを密封し、そして37℃のインキュベーターに置いた。所定の時間間隔で、バイアルを取り出し、そして可溶性タンパク質の損失について分析した。
【0143】
30μlのアリコートを、SDS−PAGE電気泳動により分析した。SDS−PAGEを、Tris−グリシンプレキャストゲル(5%〜20%のアクリルアミド、Laemmli Nature(1970)227:680−685に従う)を用いる電気泳動システム(Novex,San Diego,California,U.S.A.)で行った。サンプルを、還元または非還元のSDSサンプル緩衝液と、加熱しないでローディングの前に混合した。
【0144】
タンパク質を、Coomassieブルー染色により検出した。この染色したゲルを、BioRad Model GS 700 Imagingデンシトメーター(Richmond,Calif.,USA)を用いてデンシトメトリーによりスキャンした。可溶性タンパク質の量を、染色されたバンドの面積を積分し、そして37℃でのインキュベーション時間の関数として結果をプロットすることにより決定した。次いで、可溶性単量体タンパク質の損失についての半減期を、これらの動力学的曲線から評価した。
【0145】
種々の時間間隔でのサンプルの生物学的活性をまた、上記のBalb/MK細胞増殖アッセイを用いて決定した。種々のサンプルの生物学的活性についての半減期を、37℃でのインキュベーション時間の関数としてサンプルのED50をプロットすることにより決定した。
【0146】
特に、ネイティブKGF(KGF163)対KGFdes1−23の熱安定性およびオリゴマー形成を、37℃にて0〜8日間の範囲でKGFポリペプチド(PBS中に希釈した184μg/mlネイティブKGFおよび138μg/ml KGFdes1−23)をインキュベートすることにより評価した。アリコートを、毎日取り、そしてそれら能力をBalb/Mk細胞について評価し、一方で、オリゴマー形成をSDS−PAGEにより評価した。SDS−PAGEにより分析した場合、ネイティブのKGFは、二量体を容易に形成した。二量体化は、KGFdes1−23についてはるかに明白ではなかった。ネイティブKGFの単量体形態についての時間の関数として染色した際の低下もまた顕著であった。再度、これも、KGFdes1−23についてはるかに明白ではなかった。
【0147】
細胞増殖アッセイは、これらの条件下で、ネイティブKGFの生物学的半減期は、2日であり、一方、KGFdes1−23の半減期は、7日であったことを示した。
【0148】
熱安定性研究はまた、KGFdes1−15、KGFdes1−18、KGFdes1−19、KGFdes1−120、KGFdes1−21、KGFdes1−22、KGFdes1−24、KGFdes1−25、KGFdes1−26、KGFdes1−30、およびKGFdes1−35を、全長KGFよりも、様々な程度ではあるが、より安定にしたことを示す。3日ごとにサンプルを採取して24日間続く代表的な安定性研究を図4に示す。この研究において、KGFdes1−24およびKGFdes1−15(100μg/ml)を、PBS中に希釈し、そして37℃でインキュベートした。SDS−PAGEによりサンプルを非還元条件下で分析した。次いで、ゲルを染色し、そしてデンシトメトリーによりスキャンした。
【0149】
9日〜24日の熱安定性研究の延長は、KGFdes1−23対ネイティブKGFのより正確に規定された半減期の溶液を可能にする。図5に示されるように、ネイティブのKGFの半減期は、KGFdes1−23について7日対17日であった。
【0150】
これらの結果は、合わせると、ネイティブのKGFと短縮型分子との間の生物学的活性の差異は、一部、異なる熱安定性により引き起こされ得ることを示す。
【0151】
(実施例7)
(pH2.1での酸安定性)
時間の関数としてのオリゴマーの形成の後、37℃にて種々の時間間隔の間維持された、ネイティブのKGFサンプルおよびKGFdes1−23サンプルを、逆相HPLCにより分析した。100μlのサンプルを、水中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)(pH2.1)に希釈した。次いで、このサンプルを、0.1%(v/v)TFA中で平衡化した、Vydac Cカラム(0.46cm×25cm、5μm粒子サイズ、300Åポアサイズ)にアプライした。タンパク質を、線形の115分の多重線形アセトニトリル勾配(20〜100%)で溶出した。吸収ピークを、これらの表面積を積分することにより、それらのタンパク質含有量について分析した。単量体タンパク質の量を、時間の関数としてプロットした。次いで、この単量体タンパク質についての半減期を、上記のように推定した。オリゴマーの形成を決定するために、サンプルをまた、SDS−PAGEにより非還元条件下で分析した。種々のタンパク質ピークの生物学的活性を、上記のように、Balb/Mk細胞増殖アッセイを用いて決定した。
【0152】
特に、ネイティブのKGF(28μg/ml)およびKGFdes1−23(36μg/ml)を、PBS中に希釈し、37℃にて0〜9日間の範囲の時間間隔の間でインキュベーションし、そしてアリコートを、酸条件(pH2.1)下で、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により、毎日分析した。ネイティブおよびKGFdes1−23の両方について60分で溶離した、UV吸収の単一のピークを観察した。ピークの強度は、時間の関数として減少した。しかし、この減少は、KGFdes1−23よりもネイティブのKGFについてより明白であり、その結果、9日までに、両方のピークの積分は、ネイティブKGFの量がKGFdes1−23の1/3であったことを示した。ネイティブKGFの質量の減少は、生物学的活性の激しい低下に関係していた。7日までに、ネイティブのKGFは、不活化した。対照的に、KGFdes1−23は、その本来の生物学的活性の50%をまだ保持した(図6)。
【0153】
(実施例8)
(一度のみ対一日おきに加えた場合の、ネイティブKGF対KGFdes1−23の生理活性の比較)
上記の細胞増殖アッセイにおいて、漸増濃度のネイティブKGFおよびKGFdes1−23を、1日おきに加えた。安定性が増加した活性の機構である場合、たとえ、全ての細胞増殖が少ないとしても、ネイティブKGFポリペプチドまたは短縮型KGFポリペプチドを、一日おきよりもむしろ、一度で、加えた場合、これらは、なおも、用量応答において同じ差異であるべきである。この仮説を試験するために、種々の濃度のKGFdes1−18、KGFdes1−23およびKGFdes1−25を、図7に示される濃度で一回のみ加えた。図7および表2に示されるように、生物学的活性の同じ差異が、KGFdes1−23で観察された。特にKGFdes1−23は、1日おきに加えた場合、ネイティブKGFよりも、10倍より活性であったのに対して、一度で加えた場合、13倍、より活性であった。さらに、KGFdes1−18ポリペプチドおよびKGFdes1−25ポリペプチドの両方は、ネイティブのKGFを超える活性の増加を示した。このことは、増加した安定性が、増加した能力に寄与する機構の1つであるを確かにする。
【0154】
【表2】

【0155】
(実施例9)
(ネイティブKGFの迅速な消失の原因となるプロテアーゼ汚染)
ネイティブKGF調製物のプロテアーゼ汚染(KGFdes1−23調製物由来を除く)がネイティブKGFの迅速な消失の原因であった可能性を除外するために、以下の実験を行った。ネイティブのKGFおよびKGFdes1−23(100μg/ml)を、PBS中に希釈し、そして単独かまたは等比率(v/v)のいずれかで、37℃にてインキュベートした。サンプルを、3、6、9および12日目に取り、そして上記のように、SDS−PAGEにより分析した。染色の後、ゲルをデンシトメトリーでスキャンした。ネイティブのKGFが消失し、KGFdes1−23が消失しない場合、プロテアーゼ汚染を除外した。
【0156】
ネイティブのKGFは、6日までに消失した。しかし、KGFdes1−23は、12日後になおも見られ得、このことは、ネイティブKGFの消失についての理由としてのプロテアーゼ汚染の可能性を排除する。しかし、驚くべきことに、KGFdes1−23を単独でインキュベートした場合、対 KGFdes1−23をネイティブのKGFと組合わせてインキュベートした場合には、バンド染色強度における差異があった。KGFdes1−23バンドの染色強度は、ネイティブのKGFと混合した場合よりも、単独でインキュベートした場合、かなり増大した。KGFdes1−23がネイティブのKGFと共にインキュベートした場合、複合体形態およびKGFdes1−23を溶液から取り出すことが可能である。
【0157】
ネイティブKGF対KGFdes1−23の生物学的活性を分析した場合、能力の10倍の増加が観察され、これは、短縮型形態対ネイティブ形態のより高い熱安定性と関係した。従って、増大した安定性は、増大した能力を一部説明する。しかし、このことは、増大した活性に寄与する機構のみであるようではない。特定の理論にとらわれることなく、ネイティブのKGFの活性の欠如は、溶液からの沈殿に起因し得る。上記の種々の短縮を、安定性および生物学的活性について分析した場合、これらは、ネイティブ形態と比較して、増大した安定性および生物学的活性を示した。しかし、増大した安定性と増大した生物学的活性との間にわずかな関係が存在した。例えば、KGFdes1−15およびKGFdes1−24は、匹敵する熱安定性を有したが、KGFdes1−24は、ネイティブKGFよりも、10倍より強力であった一方、KGFdes1−15は、1.5倍より活性であった。従って、他の機構が存在するようであり、これは、最も強力な分子、KGFdes1−22、KGFdes1−23およびKGFdes1−24の増大した能力に寄与する。能力の最大増加を与えるドメインが、これらの残基からなるドメインに限定されることもまた著しかった。従って、これらの3つの残基は、レセプターと相互作用するKGFの最適な立体配座を提供し得る。
【0158】
短縮化は、ネイティブのKGF能力が、細胞特異性の変化なしにaFGFの能力に変化され得ることを確認する。酸性FGFは、Balb/Mk細胞についての公知のマイトジェンであり、そしてこれは、KGFよりも10倍低い活性である。このことは、KGFレセプターについての低い結合アフィニティーに起因する。30〜35アミノ酸の除去は、短縮型ポリペプチドの生物学的活性の強力な低下(それぞれ、ネイティブのKGFの28.5%および3%)を導く。同時に、より長い欠失は、aFGFとKGFとの間の相同性の度合を増加し、そしてFGFレセプターと相互作用するための細胞構造決定因子を増加する。従って、欠失が長くなれば、よりaFGFのように、短縮型KGFポリペプチドは振舞う。驚くべくことに、最も長い欠失でさえ、KGFの特色を示す標的細胞特異性(すなわち、上皮起源の細胞について)を保持し、そして最も短いポリペプチドは、aFGFまたはbFGFとは対照的に、血管内皮細胞に対して分裂促進性ではなかった。KGFのNH末端ドメイン(少なくとも最初の35残基と同じくらい遠いドメインが考慮される)は、その細胞特異性に関与するようにみえないというこれらの知見は、以前の報告と対照的である(例えば、国際公開WO 90/08771を参照のこと)。
【0159】
(実施例10)
(N末端短縮型KGFポリペプチドのインビボでの効力)
全長KGF(KGF163)およびN末端短縮型分子(KGFdes1−23)を、外科的結腸吻合(anastamosis)の治癒のラットモデルにおいて試験した。特に、5mg/ml KGF163または1mg/ml KGFdes1−23を含む、KGF処方物を、ラットに腹腔内投与する。結腸の陰窩の深さ(μm)、治癒に関係する細胞増殖の測定、およびmmHgの破裂圧、治癒した創傷の強度の測定を、KGF163を与えたラットについて2、4および7日目に、そして短縮型分子を与えたラットについて2、4、6日目に測定した。結果を表3および4に示す。
【0160】
特に、1mg/mlの短縮型分子は、創傷治癒を促進する5mg/mlの全長KGFと同じくらいまたはそれよりも有効であった。より小用量の短縮型分子もまた有効であった。これらの結果に基づくと、他のN末端短縮型KGF(特に、KGFdes1−22およびKGFdes1−24)もまた、KGF163を用いて必要とされるよりも、より少ない用量を用いる創傷治癒があまり有効でなければ、有効であるようである。
【0161】
【表3】

【0162】
【表4】

【0163】
従って、新規のKGF組成物および新規のKGF組成物を用いる方法が開示される。本
発明の好ましい実施形態を、いくらか詳細に記載してきたが、明白なバリエーションが、
添付の特許請求の範囲に規定される発明の精神と範囲から逸脱することなくなされ得るこ
とが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(ix)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;
からなる群より選択され、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該ポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の75%以下である、使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項4】
請求項1に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22またはその生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、141アミノ酸からなり、かつ該生物学的に活性なアナログは、該KGFdes1〜22に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である、使用。
【請求項5】
請求項4に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22である、使用。
【請求項6】
請求項1に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24またはその生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、139アミノ酸からなり、かつ該生物学的に活性なアナログは、該KGFdes1〜24に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である、使用。
【請求項7】
請求項6に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24である、使用。
【請求項8】
上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ該(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該ポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の10%〜75%である、使用。
【請求項9】
請求項8に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項10】
請求項8に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項11】
請求項8に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなり、N末端アルギニンがアラニン残基で置換されている、使用。
【請求項12】
請求項8に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22である、使用。
【請求項13】
請求項8に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜50%である、使用。
【請求項14】
請求項8に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜25%である、使用。
【請求項15】
請求項10に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%である、使用。
【請求項16】
上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ該(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該ポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の5%〜75%である、使用。
【請求項17】
請求項16に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項18】
請求項16に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項19】
請求項16に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24である、使用。
【請求項20】
請求項16に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜50%である、使用。
【請求項21】
請求項16に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜25%である、使用。
【請求項22】
請求項16に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%である、使用。
【請求項23】
請求項16に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の5%〜10%である、使用。
【請求項24】
創傷を処置するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(xi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;
からなる群より選択され、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該KGFポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の75%以下である、使用。
【請求項25】
請求項24に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項26】
請求項24に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項27】
請求項24に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22またはその生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、141アミノ酸からなり、かつ該生物学的に活性なアナログは、該KGFdes1〜22に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である、使用。
【請求項28】
請求項27に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22である、使用。
【請求項29】
請求項24に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24またはその生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、139アミノ酸からなり、かつ該生物学的に活性なアナログは、該KGFdes1〜24に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療的応答を惹起するために必要なKGF163の量の50%以下である、使用。
【請求項30】
請求項29に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24である、使用。
【請求項31】
創傷を処置するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ該(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該ポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の10%〜75%である、使用。
【請求項32】
請求項31に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項33】
請求項31に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項34】
請求項31に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなり、N末端アルギニンがアラニン残基で置換されている、使用。
【請求項35】
請求項31に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22である、使用。
【請求項36】
請求項31に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜50%である、使用。
【請求項37】
請求項31に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜25%である、使用。
【請求項38】
請求項31に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%である、使用。
【請求項39】
創傷を処置するための医薬の製造におけるKGFポリペプチドの使用であって、該KGFポリペプチドは、(i)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24、または(ii)(i)の生物学的に活性なアナログであり、該生物学的に活性なアナログは、(i)と同じ数のアミノ酸からなりかつ該(i)に対して少なくとも70%の配列相同性を有し、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、
成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該ポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、該KGFポリペプチドは、治療上有効な量で存在し、該治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の5%〜75%である、使用。
【請求項40】
請求項39に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、使用。
【請求項41】
請求項39に記載の使用であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)または(ii)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、使用。
【請求項42】
請求項39に記載の使用であって、前記KGFポリペプチドが、図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24である、使用。
【請求項43】
請求項39に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜50%である、使用。
【請求項44】
請求項39に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜25%である、使用。
【請求項45】
請求項39に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の10%〜20%である、使用。
【請求項46】
請求項39に記載の使用であって、前記治療上有効な量が、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要な全長KGFの量の5%〜10%である、使用。
【請求項47】
組成物であって、
(a)治療上有効な量のKGFポリペプチドと、
(b)薬学的に受容可能な賦形剤と、
を含み、該KGFポリペプチドは、
(i)図1のアミノ酸残基16〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜15
(ii)図1のアミノ酸残基19〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜18
(iii)図1のアミノ酸残基20〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜19
(iv)図1のアミノ酸残基21〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜20
(v)図1のアミノ酸残基22〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜21
(vi)図1のアミノ酸残基23〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜22
(vii)図1のアミノ酸残基25〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜24
(viii)図1のアミノ酸残基26〜163に示される連続するアミノ酸配列からなるKGFdes1〜25
(ix)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)の生物学的に活性なアナログであって、該生物学的に活性なアナログは、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)と同じ数のアミノ酸からなりかつ(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、または(viii)に対して少なくとも70%の配列相同性を有する、生物学的に活性なアナログ;および
(x)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)のアナログであって、それぞれ、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)のアミノ酸配列と、さらなるN末端メチオニンとからなる、アナログ;
からなる群より選択され、
該KGFポリペプチドは、Balb/MK生物活性アッセイにより決定される場合に、成熟した全長KGF(KGF163)に対して生物活性の増加を示し、かつ該KGFポリペプチドは、上皮細胞増殖を特異的に刺激し、さらに、治療上有効な量は、1分子ベースで、等価な治療応答を惹起するために必要なKGF163の量の75%以下である、
組成物。
【請求項48】
請求項47に記載の組成物であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも80%の配列相同性を有する、組成物。
【請求項49】
請求項47に記載の組成物であって、前記生物学的に活性なアナログが、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)または(ix)に対して少なくとも90%の配列相同性を有する、組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−221207(P2009−221207A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119866(P2009−119866)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2003−521814(P2003−521814)の分割
【原出願日】平成14年8月21日(2002.8.21)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】