説明

LEDランプユニット

【課題】LEDを光源とするLEDランプユニットを放熱性の高い構造とすることによりLED光源の温度上昇を抑制し、よってLEDの発光効率の低下が抑制されて所定の照射光量を確保することが可能となるLEDランプユニットを提供することにある。
【解決手段】ヒートシンク3上に載置されたLED実装基板7が、ヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9内に収容されている。ヒートシンク3は板状のベース部3aと該ベース部3から平行に並設された複数の板状のフィン部3bで構成され、フィン部3bのベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDを光源とするLEDランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは温度上昇によって発光効率が低下するという特性を有している。LEDの温度上昇の要因は、点灯時の自己発熱や高温環境下に晒された場合等が考えられる。
【0003】
一方、LEDは各種ランプに比較して一般的に小型、低消費電力、長寿命等の利点を有しており、従来この利点を利用してハイマウントストップランプ、ストップアンドテールランプ、方向指示灯等の車両用灯具の光源として使用され、近年ではLEDを光源とする車両用前照灯の提案もなされている。
【0004】
LEDを光源とする車両用灯具の構成としては、例えば、前面レンズとハウジングによって灯室を形成し、その灯室内にLEDを光源とするLEDランプユニットを支持したものがある。但し、この場合LEDを点灯するとLEDの自己発熱によってLED自体の温度が上昇し、その結果、LEDの発光効率が低下して灯具の照射光量が低減すると共に、配光性能の悪化によって極端な場合には灯具に要求される配光規格を満足しなくなる可能性を有している。
【0005】
そこで、上記問題の発生を抑制する目的で、灯室内に支持するLEDランプユニットを図9に示すような構成にすることが提案されている。それは、LEDランプユニット50をプロジェクタタイプのユニット構造とするものであり、その構成部材は、楕円を基調とする反射面51を有する上側リフレクタ52、シェード53が一体に形成された下側リフレクタ54、所定の配光パターンを形成する投影レンズ55、LED光源56が実装されたLED実装基板57、取付面58と放熱部59で構成されたヒートシンク部材60からなっている。
【0006】
そして、ヒートシンク部材60の取付面58上に絶縁性熱伝導フィルムを介してLED実装基板57が載置されると共に、該LED実装基板57を覆うように上側リフレクタ52と下側リフレクタ54も取り付けられ、上側リフレクタ52と下側リフレクタ54で形成された開口縁部に投影レンズ55が保持されている。
【0007】
上記構成のLEDランプユニット50において、LED光源56に電力を供給して点灯させると、LED光源56から上側リフレクタ52の反射面51に向かって出射された光は反射面51で反射されてその反射光の一部が下側リフレクタ54に一体形成されたシェード53でカットオフ(遮光)され、シェード53を通過した残りの反射光が投影レンズ55内を導光されてカットオフラインを有する所定の配光パターンでLEDランプユニット50外に照射される。
【0008】
このとき、LED光源56の点灯時に発生した熱は、LED実装基板57および絶縁性熱伝導フィルムを介してヒートシンク部材60の取付面58から放熱部59に伝導されて移動し、放熱部59からLEDランプユニット50外に放散されてLED光源56の温度上昇が抑制されるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−109613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記提案されたLEDランプユニット50は、LED光源56がヒートシンク部材60を構成する取付面58と放熱部59、上側リフレクタ52、下側リフレクタ54および投影レンズ55で形成される密閉空間61内に位置する構造となっており、LED光源56の発熱がヒートシンク部材60の放熱部59からLEDランプユニット50外に放散されると同時に、ヒートシンク部材60の取付面58からLED光源56を内包する密閉空間61内にも放散される。
【0010】
そのため、密閉空間61内にこもった熱がLED光源56の周囲温度を上昇させ、ヒートシンク部材60による放熱効果が低減してLED光源56の温度上昇の抑制が阻害されることになる。
【0011】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、LEDを光源とするLEDランプユニットを放熱性の高い構造とすることによりLED光源の温度上昇を抑制し、よってLEDの発光効率の低下が抑制されて所定の照射光量を確保することが可能となるLEDランプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、LED光源と、前記LED光源を載置したヒートシンクと、前記LED光源を覆うように配置されて該LED光源から出射された光を前方に向けて反射するリフレクタと、を備えたLEDランプユニットであって、前記ヒートシンクは前記LED光源を載置したベース部と前記ベース部の前記LED光源が載置された面と反対面に設けられた板状のプレートフィンまたは波状のコルゲートフィンからなるフィン部を有し、前記ベース部の前記LED光源が載置された面は後方から前方に向かって前記リフレクタ側に傾斜していると共に前記LED光源が載置された前方部分が前記リフレクタに覆われる位置にあり、前記フィン部の前記ベース部と対向する側にある先端部は後方から前方に向かって前記ベース部と反対側に傾斜していることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記ベース部は前記LED光源が載置された面と前記LED光源が載置された面と反対側の面の間の厚みが、略均一または前方から後方に向かって薄くなっていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1または2のいずれか1項において、前記フィン部は前記ベース部に鋳造、ロウ付け、またはカシメのうちいずれかの方法で取り付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のLEDランプユニットは、LED光源の点灯時に発生する熱を外部に放散するためのヒートシンクを設け、同時にヒートシンクの形状を最適化することにより放散熱がLEDランプユニットに影響を与えないような対流の流れを形成した。
【0016】
その結果、高い放熱性能によってLED光源の温度上昇が抑制され、よってLED光源の発光効率の低下が抑制されて所定の照射光量を確保することが可能となるLEDランプユニットが実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図8を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0018】
図1は本発明のLEDランプユニットに係わる実施形態の斜視図である。LEDランプユニット1は図1の外観上、リフレクタ2、リフレクタ2に固定されたヒートシンク3、リフレクタ2に連接されたレンズホルダ4、およびレンズホルダ4に保持された投影レンズ5が観視される。
【0019】
図2は本実施形態のLEDランプユニットの概略断面図である。LEDランプユニット1は、LED光源6、LED光源6が実装されたLED実装基板7が絶縁性熱伝導シート(図示せず)を介して載置されたヒートシンク3、ヒートシンク3が固定されたリフレクタ2、リフレクタ2に連接されたレンズホルダ4、レンズホルダ4のヒートシンク3側の内底面から上方に延びるシャッタ8、およびレンズホルダ4に保持された投影レンズ5で構成され、プロジェクタタイプのLEDランプユニットを形成している。
【0020】
そのうち、LED光源6は青色光を発光する青色LED素子または紫外光を発光する紫外LED素子のそれぞれと蛍光体の組み合わせによって白色光あるいは白色光に近い色調の光を放出する光源である。
【0021】
例えば、LED素子が青色LED素子の場合、青色光に励起されて青色の補色となる黄色光に波長変換する蛍光体を用いることにより、青色LED素子から出射された青色光の一部が蛍光体を励起することによって波長変換された黄色光と、青色LED素子から出射された青色光との加法混色によって白色に近い色調の光を生成することができる。
【0022】
また、同様にLED素子が青色LED素子の場合、青色光に励起されて緑色光および赤色光にそれぞれ波長変換する2種類の蛍光体を混合したものを用いることにより、青色LED素子から出射された青色光の一部が蛍光体を励起することによって波長変換された緑色光および赤色光と、青色LED素子から出射された青色光との加法混色によって白色光を生成することもできる。
【0023】
一方、LED素子が紫外LED素子の場合、紫外光に励起されて青色光、緑色光、および赤色光にそれぞれ波長変換する3種類の蛍光体を混合したものを用いることにより、紫外LED素子から出射された紫外光が蛍光体を励起することによって波長変換された青色光、緑色光、および赤色光の加法混色によって白色光を生成することもできる。
【0024】
更に、LED素子から出射される光の色調と蛍光体のとを適宜に組み合わせることによって白色光以外の種々な色調の光を生成することができる。
【0025】
ヒートシンク3はベース部3aとフィン部3bからなり、ベース部3aに絶縁性熱伝導シートを介してLED実装基板7が載置されている。また、ヒートシンク3は熱伝導性が良好な材料からなっており、例えばAl、Al合金、Cu、およびCu合金等のうちいずれかの金属からなっている。
【0026】
但し、ヒートシンク3は鋳造やロウ付けやカシメ等の方法により製造され、ロウ付けやカシメ等の方法によってベース部3aにフィン部3bを後付けする場合は、フィン部3bをベース部3aと異なる材料でコルゲートフィンやプレートフィンとすることができる。
【0027】
リフレクタ2は上記ヒートシンク3と同様に、例えばAl、Al合金、Cu、およびCu合金等のうちいずれかの金属、または樹脂からなっており、いずれも内周面を反射面とする3つの領域からなっている。
【0028】
そのうち、第1のリフレクタ領域2aは、LED光源6を覆うように該LED光源6近傍を第1の焦点F1の位置とし、シャッタ8の上端8a近傍を第2の焦点F2の位置とする楕円系面からなる内周面を有しており、該内周面は楕円系反射面2aaとなっている。第1の焦点F1および第2の焦点F2を含む長軸はこのランプユニット1の照射軸Xと同一直線上に位置する。
【0029】
第2のリフレクタ領域2bは、上記第1のリフレクタ領域2aと同様にLED光源6を覆うようにLED光源6近傍を第1の焦点F1の位置とし、第3のリフレクタ領域2cの内周面の第1の焦点F3の位置を第2の焦点F3の位置とする楕円系面からなる内周面を有しており、該内周面は楕円系反射面2bbとなっている。
【0030】
第3のリフレクタ領域2cは、第2のリフレクタ領域2bの内周面の第2の焦点F3の位置を第1の焦点F3の位置とし、シャッタ8の上端8a近傍を第2の焦点F2の位置とする楕円系面からなる内周面を有しており、該内周面は楕円系反射面2ccとなっている。
【0031】
レンズホルダ4は略円筒形状を呈しており、照射方向側の開口に投影レンズ5を保持すると共に、ヒートシンク3側の内底面から上方に延びるシャッタ8を有している。シャッタ8は上記リフレクタ2の各楕円系反射面2aa、2bb、2ccと投影レンズ5の間に位置し、上端8aが照射ビームのカットオフラインを形成する。
【0032】
投影レンズ5は少なくとも照射方向に膨らんだ凸レンズからなっている。
【0033】
そして、LED光源6を実装したLED実装基板7は絶縁性熱伝導シートを介してヒートシンク3のベース部3a上に載置されているが、該LED実装基板7はLED光源6を第1のリフレクタ領域2aの楕円系反射面2aaおよび第2のリフレクタ領域2bの楕円系反射面2bbに近付けることによりLED光源6から出射される光を効率良く反射光として利用できるように、ランプユニット1の照射軸Xに対して所定の傾きをもって配置されている。
【0034】
そのため、ヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9がヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cとの隙間10によってランプユニット1の外部と繋がっている。
【0035】
上記構成のランプユニット1において、第1の焦点F1の位置にあるLED光源6が点灯して該LED光源6から第1のリクレクタ領域2aの楕円系反射面2aaの方向に向けて出射された光は、楕円系反射面2aaで反射されて反射光が第2の焦点F2の位置にある、シャッタ8の上端8a方向に向かい、その一部はシャッタ8によって光路が遮られる。
【0036】
一方、第1のリクレクタ領域2aの楕円系反射面2aaで反射された光のうちシャッタ8に遮られることのない反射光はレンズホルダ4内を伝搬されて投影レンズ5に至る。
【0037】
また、第1の焦点F1の位置にあるLED光源6から第2のリクレクタ領域2bの楕円系反射面2bbの方向に向けて出射された光は、楕円系反射面2bbで反射されて反射光が第2の焦点F3の方向に向う。該第2の焦点F3は第3のリフレクタ2cの第1の焦点F3でもあり、焦点F3の方向に向かった反射光は第3のリクレクタ領域2cの楕円系反射面2ccで再度反射されて反射光が第2の焦点F2の位置にある、シャッタ8の上端8a方向に向かい、その一部はシャッタ8によって光路が遮られる。
【0038】
一方、第3のリクレクタ領域2cの楕円系反射面2ccで反射された光のうちシャッタ8に遮られることのない反射光はレンズホルダ4内を伝搬されて投影レンズ5に至る。
【0039】
このようにLED光源6から出射して楕円系反射面2aaで1回反射して投影レンズ5に至った光、およびLED光源6から出射して楕円系反射面2bbと楕円系反射面2ccで2回反射して投影レンズ5に至った光はいずれも投影レンズ5内を導光され、集束しながらカットオフラインを有する所定の配光パターンでランプユニット1外に照射される。
【0040】
それと同時に、LED光源6が点灯すると該LED光源6が発熱するが、この熱はLED光源6が実装されたLED実装基板7および絶縁性熱伝導シートを介して該LED実装基板7が載置された、ヒートシンク3の板状あるいはブロック状のベース部3aに伝導されて移動し、ベース部3aの表面から外部に放散される。また、ベース部3aに移動した熱は更にベース部3aの一端部から平行に並設された複数の板状のフィン部3bに伝導されて移動し、フィン部3bから外部に放散される。
【0041】
ヒートシンク3に移動した熱はヒートシンク3に固定されたリフレクタ2にも伝導されて移動し、リフレクタ2の第1のリフレクタ領域2a、第2のリフレクタ領域2b、および第3のリフレクタ領域2cの各リフレクタ領域から外部に放散される。よって、LED光源6の点灯時に発生する熱は主にヒートシンク3とリフレクタ2で放熱されることになり、ランプユニット1が放熱性の高いものとなっている。
【0042】
ところで、上述したように、ヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9がヒ−トシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cとの隙間10によってランプユニット1の外部と繋がっており、ヒートシンク3で放散された熱がこの隙間10から空間9内に侵入して空間9内にこもり、空間9内に位置するLED光源6の放熱効果を低下させることが考えられる。
【0043】
そこで、以下の実施例1〜4において、ヒートシンク3からの熱が隙間10から空間9内に侵入するのを抑制するようなヒートシンク3の構造を提案している。
【実施例1】
【0044】
図3は実施例1の概略断面図である。本実施例は、ヒートシンク以外は上述の実施形態と同様の構造となっている。ヒートシンク3のベース部3aは一定の厚みからなる板状を呈しており、ランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって下側に傾斜している。
【0045】
そして、ベース部3aの上面3aaの一部がリフレクタ2と面接触し、一部が空間9内に位置しており、ベース部3aの上面3aaの空間9内に位置する部分にLED実装基板7が載置されている。
【0046】
ヒートシンク3のフィン部3bは両横端部3baがランプユニット1の照射軸Xに対して略直角方向に延びており、ベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0047】
つまり、フィン部3bはLED光源6の下方に長く、LED光源6から遠ざかるにつれて短くなっており、台形を呈している。そのため、図4のヒートシンク3の断面図に示すように、フィン部3bから放散される熱の量はLED光源6の下方部が最も多く、LED光源6から遠ざかるにつれて少なくなる。そのため、フィン部3bの、ランプユニット1の照射方向から照射方向の反対方向に向かい、更に照射方向の反対方向の横端部3ba側から上方に向かう対流が形成される。
【0048】
そこで、LED光源6で発生してフィン部3bに移動した熱の多くは上記対流に乗ってランプユニット1外に放散されるため、対流の流路にない、ヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cで形成された隙間10からヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9に侵入する熱は少なく、空間9内に位置するLED光源6の放熱効果を低下させることはほとんどない。
【実施例2】
【0049】
図5は実施例2の概略断面図である。実施例2は実施例1とヒートシンク3のベース部3aおよびフィン部3bの形状のみが異なる。
【0050】
ベース部3aは、LED実装基板7を載置する上面3aaがランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって下側に傾斜しており、フィン部3bが延びる下面3abはランプユニット1の照射軸Xに対して略平行となっている。
【0051】
そして、ベース部3aの上面3aaの一部がリフレクタ2と面接触し、一部が空間9内に位置しており、ベース部3aの上面3aaの空間9内に位置する部分にLED実装基板7が載置されている。
【0052】
ヒートシンク3のフィン部3bは両横端部3baがランプユニット1の照射軸Xに対して略直角方向に延びており、ベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0053】
つまり、ベース部3aおよびフィン部3bは共にLED光源6の下方に長く、LED光源6から遠ざかるにつれて短くなっており、ベース部3aおよびフィン部3bはいずれも台形を呈している。したがって、ベース部3aの厚みはLED光源6の下方部が最も厚く、LED光源6から遠ざかるにつれて薄くなっており、熱伝導抵抗はLED光源6の下方部が最も低く、LED光源6から遠ざかるにつれて高くなる。
【0054】
そこで、LED光源6で発生してベース部3aに移動した熱は、ベース部3aの熱伝導抵抗が最も低い領域を伝導されたフィン部3bのLED光源6の下方部に最も多く移動し、LED光源6から遠ざかるにつれて熱伝導抵抗が高い領域を伝導されるために少なくなる。
【0055】
更に、フィン部3bから放散される熱の量はLED光源6の下方部が最も多く、LED光源6から遠ざかるにつれて少なくなる。そのため、フィン部3bの、ランプユニット1の照射方向から照射方向の反対方向に向かい、更に照射方向の反対方向の横端部3ba側から上方に向かう対流が形成される。
【0056】
そこで、LED光源6で発生してフィン部3bに移動した熱の多くは上記対流に乗ってランプユニット1外に放散されるため、対流の流路にない、ヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cで形成された隙間10からヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9に侵入する熱は少なく、空間9内に位置するLED光源6の放熱効果を低下させることはほとんどない。
【実施例3】
【0057】
図6は実施例3の概略断面図である。実施例3は実施例2とヒートシンク3のベース部3aおよびフィン部3bの形状のみが異なる。
【0058】
ベース部3aは、LED実装基板7を載置する上面3aaがランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって下側に傾斜しており、フィン部3bが延びる下面3abはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0059】
そして、ベース部3aの上面3aaの一部がリフレクタ2と面接触し、一部が空間9内に位置しており、ベース部3aの上面3aaの空間9内に位置する部分にLED実装基板7が載置されている。
【0060】
ヒートシンク3のフィン部3bは両横端部3baがランプユニット1の照射軸Xに対して略直角方向に延びており、ベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0061】
つまり、ベース部3aはLED光源6の下方に長く、LED光源6から遠ざかるにつれて短くなっており、台形を呈している。フィン部3bはLED光源6の下方からLED光源6から遠ざかる方向においても長さが一定であり、平行四辺形を呈している。したがって、ベース部3aの厚みはLED光源6の下方部が最も厚く、LED光源6から遠ざかるにつれて薄くなっており、熱伝導抵抗はLED光源6の下方部が最も低く、LED光源6から遠ざかるにつれて高くなる。
【0062】
そこで、LED光源6で発生してベース部3aに移動した熱は、ベース部3aの熱伝導抵抗が最も低い領域を伝導されたフィン部3bのLED光源6の下方部に最も多く移動し、LED光源6から遠ざかるにつれて熱伝導抵抗が高い領域を伝導されるために少なくなる。
【0063】
よって、フィン部3bから放散される熱の量はLED光源6の下方部が最も多く、LED光源6から遠ざかるにつれて少なくなる。そのため、フィン部3bの、ランプユニット1の照射方向から照射方向の反対方向に向かい、更に照射方向の反対方向の横端部3ba側から上方に向かう対流が形成される。
【0064】
そこで、LED光源6で発生してフィン部3bに移動した熱の多くは上記対流に乗ってランプユニット1外に放散されるため、対流の流路にない、ヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cで形成された隙間10からヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9に侵入する熱は少なく、空間9内に位置するLED光源6の放熱効果を低下させることはほとんどない。
【実施例4】
【0065】
図7は実施例4の概略断面図である。実施例4は実施例3とヒートシンク3のフィン部3bの形状のみが異なる。
【0066】
ベース部3aは、LED実装基板7を載置する上面3aaがランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって下側に傾斜しており、フィン部3bが延びる下面3abはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0067】
そして、ベース部3aの上面3aaの一部がリフレクタ2と面接触し、一部が空間9内に位置しており、ベース部3aの上面3aaの空間9内に位置する部分にLED実装基板7が載置されている。
【0068】
ヒートシンク3のフィン部3bは両横端部3baがベース部3aの下面3abに対して略垂直となっており、ベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向と反対方向に向かって上側に傾斜している。
【0069】
つまり、ベース部3aはLED光源6の下方に長く、LED光源6から遠ざかるにつれて短くなっており、台形を呈している。フィン部3bはLED光源6の下方からLED光源6から遠ざかる方向においても長さが一定であり、平行四辺形を呈している。したがって、ベース部3aの厚みはLED光源6の下方部が最も厚く、LED光源6から遠ざかるにつれて薄くなっており、熱伝導抵抗はLED光源6の下方部が最も低く、LED光源6から遠ざかるにつれて高くなる。
【0070】
そこで、LED光源6で発生してベース部3aに移動した熱は、ベース部3aの熱伝導抵抗が最も低い領域を伝導されたフィン部3bのLED光源6の下方部に最も多く移動し、LED光源6から遠ざかるにつれて熱伝導抵抗が高い領域を伝導されるために少なくなる。
【0071】
よって、フィン部3bから放散される熱の量はLED光源6の下方部が最も多く、LED光源6から遠ざかるにつれて少なくなる。そのため、フィン部3bの、ランプユニット1の照射方向から照射方向の反対方向に向かい、更に照射方向の反対方向の横端部3ba側から上方に向かう対流が形成される。
【0072】
そこで、LED光源6で発生してフィン部3bに移動した熱の多くは上記対流に乗ってランプユニット1外に放散されるため、対流の流路にない、ヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cで形成された隙間10からヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9に侵入する熱は少なく、空間9内に位置するLED光源6の放熱効果を低下させることはほとんどない。
【0073】
次に、図3に基づいて説明した実施例1と図8の比較例との放熱効果の差を実験によって検証したので以下に説明する。図8に示す比較例は実施例1とヒートシンク3のフィン部3bの形状のみが異なる。
【0074】
具体的には、ヒートシンク3のフィン部3bは両横端部3baがベース部3aの下面3abに対して略垂直となっており、ベース部3aと対向する側にある先端部3bbはランプユニット1の照射軸Xに対して照射方向に向かって上側に傾斜している。
【0075】
表1は実験結果を示している。
【表1】

【0076】
表1より、投影レンズの内面において実施例1は比較例に対して2.8%温度が低下し、LED光源においては実施例1は比較例に対して2.3%温度が低下している。つまり、本発明のLEDランプユニットが従来の比較例に比べて放熱効果が高いことがわかる。
【0077】
これは、LED光源6で発生してフィン部3bに移動した熱の多くは照射方向の端部3ba側から上方に向かう対流に沿って上昇し、ヒートシンク3とリフレクタ2の第3のリフレクタ領域2cで形成された隙間10からヒートシンク3、リフレクタ2、レンズホルダ4および投影レンズ5で形成された空間9に侵入する。
【0078】
そのため、空間9内にこもった熱がLED光源6の周囲温度を上昇させ、ヒートシンク2による放熱効果が低減してLED光源6の温度上昇の抑制が阻害されることになる。
【0079】
なお、上記実施形態において、ヒートシンクは金属材料で形成されているが、ランプユニットの軽量化のために多少放熱効果が抑制されるが樹脂材料で形成することも可能である。同様にレンズホルダも金属材料あるいは樹脂材料のいずれでも形成可能である。
【0080】
以上、詳細に説明したように、本発明のLEDランプユニットは、LED光源の点灯時に発生する熱を外部に放散するためのヒートシンクを設け、同時にヒートシンクの形状を最適化することにより放熱性を向上させると共に、LED光源が収容された空間内にヒートシンクからの放散熱が侵入しないような対流の流路を確保するようにした。
【0081】
その結果、高い放熱性能によってLED光源の温度上昇が抑制され、よってLED光源の発光効率の低下が抑制されて所定の照射光量を確保することが可能となるLEDランプユニットが実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係わる実施形態の概略斜視図である。
【図2】本発明に係わる実施形態の概略断面図である。
【図3】本発明に係わる実施例1の概略断面図である。
【図4】同じく、本発明に係わる実施例1の概略部分断面図である。
【図5】本発明に係わる実施例2の概略断面図である。
【図6】本発明に係わる実施例3の概略断面図である。
【図7】本発明に係わる実施例4の概略断面図である。
【図8】比較例の概略断面図である。
【図9】従来例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 LEDランプユニット
2 リフレクタ
2a 第1のリフレクタ領域
2aa 楕円系反射面
2b 第2のリフレクタ領域
2bb 楕円系反射面
2c 第3のリフレクタ領域
2cc 楕円系反射面
3 ヒートシンク
3a ベース部
3aa 上面
3ab 下面
3b フィン部
3ba 横端部
3bb 先端部
4 レンズホルダ
5 投影レンズ
6 LED光源
7 LED実装基板
8 シャッタ
8a 上端
9 空間
10 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、前記LED光源を載置したヒートシンクと、前記LED光源を覆うように配置されて該LED光源から出射された光を前方に向けて反射するリフレクタと、を備えたLEDランプユニットであって、前記ヒートシンクは前記LED光源を載置したベース部と前記ベース部の前記LED光源が載置された面と反対面に設けられた板状のプレートフィンまたは波状のコルゲートフィンからなるフィン部を有し、前記ベース部の前記LED光源が載置された面は後方から前方に向かって前記リフレクタ側に傾斜していると共に前記LED光源が載置された前方部分が前記リフレクタに覆われる位置にあり、前記フィン部の前記ベース部と対向する側にある先端部は後方から前方に向かって前記ベース部と反対側に傾斜していることを特徴とするLEDランプユニット。
【請求項2】
前記ベース部は前記LED光源が載置された面と前記LED光源が載置された面と反対側の面の間の厚みが、略均一または前方から後方に向かって薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のLEDランプユニット。
【請求項3】
前記フィン部は前記ベース部に鋳造、ロウ付け、またはカシメのうちいずれかの方法で取り付けられることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のLEDランプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−70732(P2009−70732A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239397(P2007−239397)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】