説明

LED灯付オーニング

【課題】オーニングに照明を付加すると共にオーニングの周囲を照明しながらも虫が寄って来ないようにすることを可能とする。
【解決手段】オーニング1にとってのベース部材であるベースパイプ12と、オーニングキャンバス16を支持する枠部材であるフロントバー14と、ベースパイプ12とフロントバー14との間に介在するオーニングアーム13を構成するアーム13a,13bとの下面にLED灯2が取り付けられているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED灯付オーニングに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば店頭において日除けや雨除けなどのために用いられるオーニングに照明を付加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーニングとしては、例えば、図3に示すように、店舗等の外壁に離間して固定された左右一対の取付ブラケット101を介して固定されるアーム支持枠103と、基端がアーム支持枠103の左右両端近傍にアームブラケット107を介して回転自在に結合されると共に中間部に関節部材を有して水平方向に屈伸可能な左右一対のく形のリンク方式の関節アーム105,106と、左右一対のアーム106の先端に関節部在を介して回転自在に結合されて架け渡されるキャンバス支持前枠108と、アーム支持枠103の両端部に取り付けられたエンドブラケット111に対して回動自在に支持される巻取パイプ110と、一端側がキャンバス支持前枠108に取り付けられると共に他端側が巻取パイプ110に巻き回される日除け又は雨除けとなる合成繊維製布地のキャンバス109とを有するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のオーニングでは、例えば街灯や店頭の看板などの照明をキャンバス109によって遮ることになってしまうので、キャンバス109の下側は暗くなってしまうという問題がある。
【0005】
そして、特許文献1のオーニングにおいて、キャンバス109の下側が暗くなってしまうためにキャンバス109の下側で蛍光灯や白熱電球を点灯させるようにすると種々の虫が寄って来てしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、照明が付加されたオーニングを提供することを目的とし、さらに、オーニングの周囲を照明しながらも虫が寄って来ないようにすることができるLED灯付オーニングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のLED灯付オーニングは、オーニングのベース部材と、オーニングキャンバスを支持する枠部材と、ベース部材と枠部材との間に介在するオーニングアームとの少なくとも一部にLED灯が取り付けられているようにしている。
【0008】
したがって、このLED灯付オーニングによると、例えば夕暮方や夜間などにおいてもオーニングの視認性が向上する。そして、周りが暗い状況においても支障なく使用することができる。特に、オーニングの構成部材へのLED灯の取り付け方によっては、オーニングキャンバス下の空間をLED灯で取り囲むことも可能であり、照明によって囲われた光の空間を演出することができる。
【0009】
また、このLED灯付オーニングによると、照明器具としてLEDを用いるようにしているので、すなわち従来の照明器具と比べて小型・軽量のLEDを用いて照明機能を付加するようにしているので、オーニング自体の強度に与える影響が小さくて済み、従来のオーニングに単にLED灯を装着することによって本発明が構成される。また、LEDは消費電力が小さいので、本発明を適用した例えば自立型のオーニングを野外で用いる場合でLED灯の電源としてバッテリーを用いる場合でも、他の照明器具と比べて照明機能を長時間保つことができる。
【0010】
また、このLED灯付オーニングによると、従来の照明器具と比べて小型・軽量のLEDを用いて照明機能を付加するようにしているので、オーニング自体のデザインに大きな影響を与えることなく照明が付加される。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のLED灯付オーニングにおいて、LED灯の発光スペクトル波長が450nm以上であるようにしている。この場合には、LED灯が昆虫類の視覚域から外れた光を発光するので、夕暮方や夜間にオーニングを用いる場合でLED灯を点灯しても虫が寄ってくることがない。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のLED灯付オーニングにおいて、LED灯が着脱自在に構成されているようにしている。この場合には、必要な時・必要な箇所のみにLED灯を取り付けると共に不要な場合には取り外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のLED灯付オーニングによれば、周りが暗い状況においても支障なく使用することができるので、オーニングの汎用性の向上が可能になる。また、照明によって囲われた光の空間を演出することができるので、オーニングの魅力の向上が可能になる。
【0014】
また、請求項1記載のLED灯付オーニングによれば、オーニング自体の強度に与える影響が小さくて済み、従来のオーニングに単にLED灯を装着することによって本発明を構成することができるので、構成の達成が容易でオーニングに照明を付加する技術としての汎用性が高い。また、他の照明器具を用いる場合と比べて照明機能を長時間保つことができるので、オーニングに照明を付加する技術としての汎用性が高い。
【0015】
また、請求項1記載のLED灯付オーニングによれば、オーニング自体のデザインに大きな影響を与えることなく照明を付加することができるので、オーニングに照明を付加する技術としての汎用性が高い。
【0016】
また、請求項2記載のLED灯付オーニングによれば、夕暮方や夜間にオーニングを用いる場合でLED灯を点灯しても虫が寄ってくることがなく虫除けの効果を発揮するので、オーニング利用の快適性の向上が可能になる。
【0017】
また、請求項3記載のLED灯付オーニングによれば、必要な時・必要な箇所のみにLED灯を取り付けると共に不要な場合には取り外すことができるので、オーニングに照明を付加する技術としての汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のLED灯付オーニングの実施形態の一例を示す底面図(下側視図)である。
【図2】本発明のLED灯付オーニングの実施形態の一例を示す側面図である。
【図3】従来のオーニングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に、本発明のLED灯付オーニングの実施形態の一例を示す。ここで、本実施形態では、本発明が適用されるオーニングとして図1及び図2に概略構造を示すオーニング1を例に挙げている。なお、本実施形態のオーニング1は本発明を説明するためのオーニングの一例に過ぎないものであり、また、オーニング1自体の構造はオーニングの構造として従来からよく知られているものと同様である。
【0021】
本実施形態のオーニング1は、概略の構成として、例えば店舗の外壁に離間して配置され固定された左右一対のブラケット11,11と、これら一対のブラケット11,11に軸心方向両端部が支持されて固定されるベースパイプ12と、一端(言い換えると基端)がベースパイプ12の軸心方向端部近傍の位置に連結される左右一対のオーニングアーム13,13と、軸心方向両端寄りの位置にオーニングアーム13,13の先端が連結されて一対のオーニングアーム13,13の先端の間に架け渡されるフロントバー14と、ベースパイプ12の軸心方向両端部に取り付けられて前方斜め上方に張り出す巻取パイプ支持部材15a,15aに軸回転可能に両端が支持される巻取パイプ15と、基端側が巻取パイプ15に巻装されると共に先端部がフロントバー14に固着された可撓性を有する布若しくは合成樹脂で形成されたシート状のオーニングキャンバス16とを有する。
【0022】
オーニングアーム13は、ベースパイプ12側のアーム13aと、フロントバー14側のアーム13bとからなる。そして、アーム13aの基端は、揺動軸を有しベースパイプ12の軸心方向端部近傍の位置に取り付けられたアーム支持部13cを介してベースパイプ12に対して水平方向に対し下り傾斜で揺動可能に連結される。また、アーム13aの先端とアーム13bの一端とは、揺動軸を有する関節部材13dを介して屈曲可能に連結される。さらに、アーム13bの他端は、揺動軸を有しフロントバー14の軸心方向両端寄りの位置に取り付けられたアーム連結部13eを介してフロントバー14に対して大凡水平方向に揺動可能に連結される。
【0023】
以上の構成により、オーニング1は、アーム13aとアーム13bとからなるオーニングアーム13が伸展することによってフロントバー14をベースパイプ12から離れるように押し出してオーニングキャンバス16を巻取パイプ15から引き出して張り出させ(図1及び図2はこの状態を表す図である)、また、オーニングアーム13を折り畳むことによってフロントバー14をベースパイプ12側に引き寄せてオーニングキャンバス16を引き込ませる。なお、オーニングアーム13を折り畳む際には同時にオーニングキャンバス16が巻取パイプ15に巻き取られる。
【0024】
そして、本実施形態のオーニング1は、本実施形態のオーニング1にとってのベース部材であるベースパイプ12と、オーニングキャンバス16を支持する枠部材であるフロントバー14と、ベースパイプ12とフロントバー14との間に介在するオーニングアーム13を構成するアーム13a,13bとの下面にLED灯2が取り付けられている。
【0025】
なお、本発明におけるベース部材とは、オーニングにおいて、オーニングキャンバスの枠部材と連結するオーニングアームを支持する部材や、オーニングキャンバスを巻き取るための巻取パイプを支持する部材のことをいう。
【0026】
LED灯2は、本実施形態では、細長の帯状の基台2aと、当該基台2aに長手方向一列に配置され固定された複数のLED2bとを有する。なお、LED灯2は必要に応じて防水性や防錆性を有するように構成される。
【0027】
本実施形態では、LED2bとして白色LEDが用いられる。なお、夕暮方や夜間においてLED灯2を点灯しても虫が寄って来ないようにするためには450nm以上の発光スペクトル波長を有する発光体を用いると良いとされており、本実施形態では450nm以上の発光スペクトル波長を有する白色LEDが用いられる。なお付け加えると、白色LEDであれば紫外線を発光しないので虫が寄って来ないようにすることができる。一方、虫が寄って来ないようにする効果を必要としない場合には、450nm以上の発光スペクトル波長を有するLEDに限らなくても良い。
【0028】
LED灯2は、本実施形態では、各構成部材(具体的には、符号12,13a,13b,14)の下面とLED灯2裏面との間のLED灯2長手方向両端位置に備えられる両面テープ2cによって各構成部材の下面に取り付けられる。なお、LED灯2は、各構成部材の内側面若しくは外側面に取り付けられるようにしても良いし、下面と内側面と外側面とのうちの二つ以上の面に取り付けられるようにしても良い。
【0029】
また、LED灯2は、螺子によって固定されるようにしても良いし、或いは磁石によって取り付けられるようにしても良い。なお、螺子によって固定する場合も磁石によって取り付けるようにする場合もLED灯2は着脱自在になり、磁石を用いる場合にはLED灯2の着脱が特に容易になり、照明が必要な時のみ、必要な箇所のみにLED灯2を取り付けて用いるようにすることができる。
【0030】
また、LED灯2にはそれぞれ電源線3が接続されている。そして、本実施形態では、LED灯2が取り付けられているオーニング1の構成部材はそれぞれ揺動自在に連結されているものであるので、オーニング1の伸展や折り畳みの際に電源線3が構成部材の連結部に巻き込まれて破損しないようにするための構成を有する。
【0031】
具体的には、フロントバー14のオーニングアーム13のアーム13bが連結する箇所の下面には、フロントバー14下面に取り付けられたLED灯2の電源線3の方向を転換させてアーム13bの方向に導いて連結部巻き込まれを防止するための電源線カバー4Aが設けられる。なお、本実施形態では、電源線カバー4Aによってアーム13bに向けて導かれたフロントバー14下面のLED灯2の電源線3はアーム13b下面と当該下面に取り付けられたLED灯2との間を這わせられる。
【0032】
また、アーム13bとアーム13aとが連結する箇所には、アーム13b下面に取り付けられたLED灯2の電源線3並びに上述のフロントバー14下面のLED灯2の電源線3を覆う可撓性を有する管状のフリージョイント4Bが設けられる。そして、本実施形態では、フリージョイント4Bを通過したフロントバー14下面のLED灯2及びアーム13b下面のLED灯2の電源線3はアーム13a下面と当該下面に取り付けられたLED灯2との間を這わせられる。
【0033】
さらに、アーム13aとベースパイプ12とが連結する箇所には、アーム13a下面に取り付けられたLED灯2の電源線3並びに上述のフロントバー14下面のLED灯2及びアーム13b下面のLED灯2の電源線3を覆う可撓性を有する管状のフリージョイント4Cが設けられる。そして、本実施形態では、フリージョイント4Cを通過したこれら電源線3はベースパイプ12下面と当該下面に取り付けられたLED灯2との間を這わせられる。
【0034】
そして、フロントバー14下面及び左右一対のアーム13a,13b下面及びベースパイプ12下面のそれぞれに取り付けられているLED灯2の電源線3は束ねられて電源線束3Tとして商用電源などに接続されて各LED灯2に対して電源が供給される。なお、電源線3は各構成部材の内部を通過させるようにしても良い。
【0035】
以上の構成を有する本発明のLED灯付オーニングによれば、周りが暗い状況においても支障なく使用することができるので、オーニングの汎用性の向上が可能になる。また、照明によって囲われた光の空間を演出することができるので、オーニングの魅力の向上が可能になる。また、夕暮方や夜間にオーニングを用いる場合でLED灯を点灯しても虫が寄ってくることがないので、言い換えると、LED灯によってオーニング下面の周辺(縁辺)を囲むことによって虫が侵入しない空間を確保することができるので、オーニング利用の快適性を向上させることができる。
【0036】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、本発明が適用されるオーニングとして図1及び図2に概略構造を示すオーニング1を例として挙げているが、本発明が適用され得るオーニングは本実施形態のオーニング1に限られるものではない。具体的には例えば、ベース部材(ベースパイプ12)とオーニングアーム(符号13)とオーニングキャンバスの枠部材(フロントバー14)との結合が固定的であってオーニングキャンバスを張り出させたり引き込ませたりする動作をしない(言い換えると、開閉動作をしない)オーニングであっても良いし、オーニングキャンバスの巻取パイプを例えば二本の支柱で支持するような自立型のオーニングであっても良い。なお、自立型のオーニングの場合には、巻取パイプを支持したりオーニングアームと連結したりする支柱がベース部材に該当する。
【0037】
また、本実施形態では、ベースパイプ12とオーニングアーム13のアーム13a,13bとフロントバー14との全ての下面にLED灯2が取り付けられるようにしているが、これに限られず、これらのうちの一部のみにLED灯2が取り付けられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 オーニング
2 LED灯
12 ベース部材(ベースパイプ)
13 オーニングアーム
13a,13b アーム
14 枠部材(フロントバー)
16 オーニングキャンバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーニングのベース部材と、オーニングキャンバスを支持する枠部材と、前記ベース部材と前記枠部材との間に介在するオーニングアームとの少なくとも一部にLED灯が取り付けられていることを特徴とするLED灯付オーニング。
【請求項2】
前記LED灯の発光スペクトル波長が450nm以上であることを特徴とする請求項1記載のLED灯付オーニング。
【請求項3】
前記LED灯が着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のLED灯付オーニング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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