説明

LED灯具

【課題】 従来の導光板を使用した灯具においては、灯具の幅は導光板の厚みに影響を受けるものとなり、形態が固定化するなど自由度が低くなり、灯具としての用途が狭く汎用性が低くなる問題点を生じていた。
【解決手段】 本発明により導光板2を直線部21と曲線部22とで集合記号(∈)状に形成し、直線部22により照明光を得ると共に、板状でデザイン的に乏しい印象を持つ直線部21を曲線部22で覆い、かつ、直線部からの発光を損なわない程度に部分的に発光させることで、従来にない斬新なデザインとして課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動販売機や看板などの演出用に使用され、主としてライン状に発光する照明灯具に係るものであり、詳細には、円弧状の頂点部分が明るく光るようにすることで、板状の導光板を使用し端面のみが光るライン状灯具に比べて表示される文字などに適宜のボリューム感と高級感を与えることを可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のライン状に発光するLED灯具の構成の例としては、図5に示すように、例えばアクリル樹脂など透明度が高い樹脂で、平面性、平行性が高い一定な厚さを有する四辺形の板状に導光板(100)を形成し、その一辺を光源取付部(105)とし、この光源取付部(105)に複数のLEDランプ(107)を光源として配置しておく。
【0003】
このときに、前記導光板(100)の板厚は、前記LEDランプ(107)の外径よりも厚いものとすることなどで、LEDランプ(107)からの光を可能な限り導光板(100)中に取り込めるように図り、利用効率を向上させ、使用数が少なくなるようにしている。また、光源取付部(105)と対峙する辺には適宜なレンズカット、フロスト加工などが施されて発光部(102)とされ、拡散光として外部に放射するものとし光ムラの発生が少なくなるようにしている。
【0004】
このように構成したことで、LEDランプ(107)が点灯されると、導光板(100)内に入射された光は、導光板(100)と大気との接触面に達すると部材の屈折率の差による臨界角以内の角度では、高屈折率の部材側に全反射するもの(スネルの法則)となり、この全反射の繰り返しで全ての光が発光部(102)に達するものとなる。
【0005】
そして、発光部(102)に達したLEDランプ(107)からの光は、この発光部(102)に施されたレンズカット、或いは、シボ加工などにより、この面では全反射を生じなく、むしろ拡散を生じるようにされているので、内部を伝導してきた光は、発光部(102)から外部に拡散放射され観視者に視認されるものとなる。
【0006】
よって、前記導光板(100)の発光部(102)に相当する面積が光輝して見えるものとなり、ライン状に光るLED灯具が得られるものとなるのである。なお、上記光源取付部(105)および発光部(102)以外の辺(面)は全反射を行うことにより内部の光を射出することはないので透明な状態を保持し、窓ガラスなどとしても使用可能である。なお、このように導光板と光源とを使用する構成のものの他に、例えば、熱陰極、或いは、蛍光管、ネオン管などバルブ自体がライン状となっているものもある。
【特許文献1】特開2004−184767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した従来のこの種、ライン状の発光を行うLED灯具では、導光板(100)の一辺の形状が発光部(102)となるものであり、即ち、ほぼ導光板(100)の厚みと長辺とに制約を受けるものとなり、例えば、より幅広のライン状の発光部を得ようとする場合には、導光板(100)自体を厚く作らなければならないものとなる。
【0008】
この場合、射出成形などで形成するときには、厚みを厚くすると製品にヒケなどを発生しやすくなる問題点を生じ、これを防止するためにはショット数を減じるなど、生産効率が低下せざるを得ないものとなり、コストアップの問題点を生じるものとなる。
【0009】
また、発光面積が増えれば、光源取付部(105)に取付けるLEDランプ(107)の数が同じであれば、発光部(102)の明るさは、当然に暗くなるので、設置数を増す、或いは、明るいLEDランプ107を採用するなどの対策も講じなければ成らず、この面でもコストアップの問題を生じるものとなる。
【0010】
加えて、上記に説明したように、導光板(100)を採用した照明灯具は、全体が板状となり、特に側面(板面)は光を光源から発光部までロスなく内面反射により導くために平滑面であることが要求され、結果的に照明灯具としては、全体形状がデザイン性に乏しいものと成りがちであるという問題点を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した従来の課題を解決するための具体的手段として、板状の透光性部材を略U字状に湾曲させた曲線部と、該曲線部の略中心に略板状の透光部材である直線部が密接或いは貫通し両部が形成する断面が略集合記号∈状となる導光板を形成し、前記直線部の前記曲線部との交差する部分とは反対側の端部には、複数のLEDランプが前記直線部の板厚方向に沿い配置されて光源とされ、前記曲線部と直線部との交差する部分においてライン状の発光が得られることを特徴とするLED照明灯具を提供することで、直線部と曲線部とを組合わせ、導光板の機能は直線部が受け持ち、側面の装飾性は曲線部が受け持つものとして、照明灯具としての見栄えの向上を可能とし、課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、直線部と曲線部とを組合わせ、且つ、前記直線部と曲線部との間に空間を設け、この空間部分にもLEDランプが取付けられるようにして、前記直線部によるライン状の光と、曲線部分を透過する模様状の光の組合せも可能なものとして、配光的にも形状的にも向上させて、より美観に優れる照明用灯具の実現を可能とすると言う極めて優れた効果を沿うするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1及び図2に示すものは、本発明に係るLED灯具1の第一実施形態であり、この第一実施形態ではLED灯具1は、透明部材で形成された導光板2と、光源とする複数のLEDランプ3と、前記LEDランプ3を保持し給電を行うためにプリント回路板などで形成された基板5とから構成されている点は従来例のものと同様である。
【0014】
ここで、前記導光板2は、従来例のものが1枚の板状として形成されていたのに対し、本発明のLED灯具1においては、従来の導光板に相当する略板状の直線部21と、前記直線部21に対して一体化が行われている部分の近傍では、ほぼ直交して交差するものとされている曲線部22とで構成されている。
【0015】
そして、この第一実施形態においては、前記直線部21は上記のように略板状として形成されていて、図示の状態で下方、即ち、曲線部22と接合されているのとは反対側となる辺には基板5に取付けられた複数のLEDランプ3が対峙させられて入光部21aとされている。
【0016】
また、この第一実施形態では、前記入光部21aに対峙する辺は、曲線部22を貫通している形状とされ、適宜寸法が曲線部22から上方に突出させられて光射出部21bとされ、この光射出部21bには拡散カット、或いは、シボ加工など光を拡散させる拡散処理21cが施されて、前記入光部21aから入射されたLEDランプ3からの光を外部に射出するものとされ、よって、光射出部21bには従来通りにライン状の光出力が得られるものとなる。
【0017】
前記曲線部22は、前記直線部21と交差する状態で一体化が行われているものであるので、構成的には前記直線部21と同一部材で一体に成形するのが簡便であり、本発明においてもそのようして形成されている。そして、直線部21の光射出部21b側から入光部21a側に向かい前記直線部2に対して平行に近づくように湾曲させられて、前記直線部21を外側から覆うような形状とされている。従って、導光板2としての断面は集合記号∈に近似するものとなっている。
【0018】
尚、上記にも記載したように、直線部21も曲線部22も同一部材で形成されているので、前記曲線部22も表面が平面として形成すると、曲線部22を透過して直線部21、LEDランプ3、基板5などが透視されるものとなる。よって、透明感を強調するなどの必要がない場合には、前記曲線部22には、例えば内面側と外面側とで直交する凹溝状、または凸溝状の拡散用カット22aを設けるなどとして内部の構成が明確に透視できないものとし、観視者に違和感を生じさせないようにしておくことが好ましい。
【0019】
また、直線部21と曲線部22とで形成される底面には、前記直線部21に沿うようにLEDランプ3の複数が取付けられた基板5が取付けられる。このような状態で前記LEDランプ3の点灯を行えば、基本的には本発明のLED灯具1は直線部21に設定された長さに見合うライン状の発光を行うものとなる。
【0020】
ここで、曲線部22について考察してみると、この曲線部22にはLEDランプ3などによる発光源は設けられていないものであるので、直線部21の点灯中であっても発光を行うことはない。しかしながら、上記したように直線部21と同一の透光性部材で形成されているものであるので、適切な位置として光を入射させれば、直線部21からの光のライン状とした形状を損なわない状態で、曲線部22においても発光する部分を得られるものとすることが充分に考えられる。
【0021】
そこで、本発明では、前記基板5上で、かつ、前記直線部21と曲線部22とのほぼ中間の位置に適宜間隔として装飾用LEDランプ4を設置するものであり、この装飾用LEDランプ4は、前記直線部21に対応するLEDランプ3と発光色が同色であっても良く、或いは、異なる発光色であっても良い。さらに言えば、複数の発光色のものを順次に並べるなどしても良い。
【0022】
上記のようにして、設置が行われた装飾用LEDランプ4を点灯するときには、この装飾用LEDランプ4からの光は前記曲線部22の外面側に設けられた拡散用カット22a及び内面側に設けられた拡散用カット22bにより拡散された状態で曲線部22を透過して見えるものとなる。
【0023】
ここで、直線部21における発光と、曲線部22における発光との見え方の相違について説明すると、直線部21からに光は直線部21の板厚の範囲での内面反射の繰り返しによる伝播であるので、比較的に指向性が強く、その指向性が強い光を光射出部21bに施した拡散処理21cにより拡散しているので、光射出部21b自体が発光しているようにエッジが明確に見えるものとなり、明確なライン形状のものとなる。
【0024】
これに対して、曲線部22における発光は、一旦、大気中に放射された装飾用LEDランプ4からの光が、曲線部22を透過する際にさらに拡散されるものであり、従って、拡散度が強く、また、看視する位置と装飾用LEDランプ4との中間に位置する曲線部22の部分が光るので、光る位置も特定されないものとなる。
【0025】
よって、点灯時にLED灯具1を見る位置により、直線部21により光る位置と、曲線部22により光る位置との相対位置が異なるものとなり、様々なパターンで光るものとなって、本発明のLED灯具1の装飾性は向上するものとなる。尚、用途により、直線部21、曲線部22の何れか一方を消灯させた状態で使用するのは自在である。
【0026】
更に言えば、直線部21、曲線部22の双方、或いは何れか一方に、異なる発光色のLEDランプを混在させ、色毎に点灯させて表示を単色で切換えたり、或いは、任意の複数色を同時に点灯させて混合色の表示を行うなども自在である。
【0027】
図3は本発明に係るLED灯具1の第二実施形態であり、前の第一実施形態では導光板2の直線部21は、入光部21aから光射出部21bまでが一体として形成され、且つ、曲線部22を貫通する形状としてあったが、この第二実施形態においては、まず、直線部23は下半部23eと上半部23fとに分割形成され、総合で第一実施形態の直線部21とほぼ同じ寸法となるようにされている。
【0028】
そして、下半部23eには前の第一実施形態と同様な入光部23aと共に、入光部と対峙する位置となる板厚面には接続部23gが設けられ、後に説明する上半部23eと嵌め込みにより接続可能とするように溝状とされている。また、この接続部23gの溝状の底面に第一実施形態と同様な拡散処理23dが行われている。
【0029】
また、上半部23fの上端は、図示の状態で(図3参照)曲線部22に接続されるが、前の第一実施形態のように曲線部22を貫通することはなく接する状態で接続され、下端は、上記下半部23eに設けられた接続部23gに嵌め込まれ接続が行われ、よって、上半部23fと下半部23eとで第一実施形態の直線部21に相当する作用を行うものとされている。尚、曲線部22については前の第一実施形態と同じ構成であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
このように構成したことで、第二実施形態におけるLED灯具1は、点灯が行われたLEDランプ3からの光は下半部23e中を内面反射により伝播し、接続部23gに達した時点で、拡散された状態で上半部23f内に移行する。従って、板厚と平行方向に重点的に拡散させるような拡散処理23dを行っておけば、この接続部23gでそれ程の損失を生じることなく光は上半部23fに移行し、そして、曲線部22に達して、この曲線部22を透過して外部に放射される。
【0031】
このときに、曲線部22から外部に放射される光は、接続部23gに設けられた拡散処理23dにより拡散が行われるが、その後に再び直線部23の上半部23fで規正が行われるので、拡散による滲みを生じているものの全体形状としては、直線部23の長さ方向に対応するライン状に光る照明光が得られるものとなる。
【0032】
尚、この第二実施形態においては、上半部23fは曲線部22と一体で形成可能であるが、下半部23eは別体に形成する必要があるものとなり、逆の面から考慮すれば、下半部23eには、ある程度自由なる形状を与えることが自在となる。また、この第二実施形態においても装飾用LEDランプ4を設けることは自在である。尚、本発明においては直線部21の分割数を限定するものではなく、接続部23gは上記説明の1箇所以上(多段)に設けられるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るLED灯具の第一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係るLED灯具の第二実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1…LED灯具
2…導光板
21、23…直線部
21a、23a…入光部
21b、23b…光射出部
21c、23d…拡散処理
23e…下半部
23f…上半部
23g…接続部
22…曲線部
22a…拡散用カット
3…LEDランプ
4…装飾用LEDランプ
5…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の透光性部材を略U字状に湾曲させた曲線部と、該曲線部の略中心に略板状の透光部材である直線部が密接或いは貫通し両部が形成する断面が略集合記号∈状となる導光板を形成し、前記直線部の前記曲線部との交差する部分とは反対側の端部には、複数のLEDランプが前記直線部の板厚方向に沿い配置されて光源とされ、前記曲線部と直線部との交差する部分においてライン状の発光が得られることを特徴とするLED照明灯具。
【請求項2】
前記導光板の前記直線部が前記曲線部を貫通し、その交差する側の端面には前記光源からの光を拡散するための拡散処理が行われていることを特徴とする請求項1記載のLED照明灯具。
【請求項3】
前記導光板の前記直線部は前記曲線部を貫通することなく、前記直線部は光源と交差する部分との間で少なくとも2分割が行われ、分割が行われた部分の一方の端面には前記光源からの光を拡散するための拡散処理が行われていることを特徴とする請求項1記載のLED照明灯具。
【請求項4】
前記導光板の前記曲線部の外面または内面の少なくとも一方の面には適宜なレンズカットが施され、前記直線部と曲線部との間隙にも適宜な数、適宜な位置としてLEDランプによる光源が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3何れかに記載のLED灯具。
【請求項5】
前記光源とするLEDランプは、同一色、または、複数色であることを特徴とする請求項1〜請求項4何れかに記載のLED灯具。
【請求項6】
前記LEDランプが複数色であるときには、夫々の色のLEDランプ中の少なくとも1色の駆動電力が可変とされて調色可能とされていることを特徴とする請求項5記載のLED灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−92915(P2006−92915A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277186(P2004−277186)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】