説明

LED照明器具

【課題】蛍光灯型照明器具を利用した簡単な構成のLED照明器具を得る。
【解決手段】LED照明器具おいて、交流電源20から供給され少なくともチョークコイル22により電流制限された電流が流れる電源側回路31と、この電源側回路31に接続できる口金端子28と、この口金端子28を両端部に有する管体2と、この管体2の管体側回路32としては、上記チョークコイル22により電流制限された電源が上記口金端子28から供給されこれを全波整流する全波整流回路29と、この全波整流回路29の両端に接続された複数個のLED30と、これら複数個のLED30と上記全波整流回路29を実装し上記管体2の内部に設置されたプリント基板4とにより構成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光灯との互換性のあるLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に多数の発光ダイオード(LED)を配列し、管状のバルブ(以下、管体という)内に配設して、従来の蛍光灯と同様な形状にした装飾ランプがある(特許文献1)。
【0003】
しかし、このような従来の装飾ランプでは、通常の蛍光灯型照明器具との接続において、照明器具の管体側に個別に定格電流との関係で電流制限抵抗を設置した設計が必要であった。
また、サイリスタの点弧制御を行いLEDに流れる電流を制御するものが開示されている(特許文献2)。
しかし、狭い点弧角内での的確な制御のために制御回路が複雑になるという欠点がある。
【特許文献1】実開昭61−112392号公報
【特許文献1】特開2006−270007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に係るLED照明器具は、上述のような欠点を解消するためなされたものであり、通常の蛍光灯型照明器具を流用し、管体内において交流電源を全波整流した簡単な構成のLED照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るLED照明器具は、交流電源から供給され少なくともチョークコイルにより電流制限された電流が流れる電源側回路と、この電源側回路に接続できる口金端子と、この口金端子を両端部に有する管体と、この管体の管体側回路としては、上記チョークコイルにより電流制限された電源が上記口金端子から供給されこれを全波整流する全波整流回路と、この全波整流回路の両端に接続された複数個のLEDと、これら複数個のLEDと上記全波整流回路を実装し上記管体の内部に設置されたプリント基板とにより構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るLED照明器具によれば、従来の蛍光灯型照明器具を流用できると共に、管体内の複数個のLEDを全波整流による脈流で点灯させるため、温度上昇が少なく、省エネルギーかつ極めて簡単な構成により駆動でき、複雑なサイリスタによる制御回路を必要とせず、かつ大容量の平滑コンデンサも不要とするLED照明器具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
通常の蛍光灯型照明器具に接続できる口金端子を有し、管体内にLEDを点灯する管体側回路をプリント基板に内蔵したLED照明器具とする。
【実施例1】
【0008】
図1はこの発明に係るLED照明器具の管体部分の斜視図である。図1において、1は従来の蛍光灯と同様な寸法の口金、2はこの口金を両端に有し断面略円形状であり、たとえば1〜2mほどの長いポリカーボネート製の管体、3は複数個のLED、4は全波整流回路と複数個のLED3を内蔵したプリント基板である。
【0009】
図1に示すような管体2を従来の蛍光灯型照明器具に装着して点灯させる構成である。すなわち、口金1の口金端子には、商用の交流電源から所定の電圧と電流が印加され、プリント基板4に形成された全波整流回路により全波整流され脈流として、直列に接続された複数個のLED3に所定電流を流し、各LED3を点灯させる。
【0010】
図2は実施例1の動作と作用を説明するための回路図である。図2において、20は外部から供給される商用の交流電源、21は点灯用オンオフのスイッチ、22はLEDに流れる電流を制限するチョークコイル、23は所定値の電圧に昇圧又は減圧する変圧用トランス、24はコンデンサ、25は抵抗、26はコンデンサ、27は電源側回路の出力端子、28は管体側回路の電源入力端子となるの口金端子、29は全波整流回路、30は点灯用の複数個のLED、31はチョクーコイル22等からなる電源側回路、32は全波整流回路29と複数個のLED30からなるプリント基板3で構成されたの管体側回路である。
【0011】
たとえば従来のグローランプ型の電源側回路31であれば従来の蛍光灯型照明器具内のチョークコイルが流用でき、グローランプを外すのみで使用できる。また電源側回路31の出力端子27の出力に応じて管体側回路32のLED30の仕様や数量を構成する。
【0012】
従って、実施例1において、図2のようなラピッド型においても、特にチョークコイル22は電流制限用に用い、他のコンデンサ24、26は接続したままで良い。
管体側回路32も全波整流回路29と従来の蛍光灯と同様な照度を得るに必要な複数個のLED30を直列接続する。個々のLEDの信頼性が増した現在では直列接続でも十分長時間の点灯が可能であり、構成の簡単化のためには単に直列接続でもよい。
【0013】
図3は実施例1に係るLED照明器具の電圧波形図である。
図3において、縦軸は直列接続したLED30のうち、一個のLEDの両端子間電圧波形、横軸は時間〔ms〕であり、この実施例1に使用したLEDの場合、3.0Vを越えた部分が発光に有効な電流の流れる部分である。
従って全波整流により約8ms周期での間欠的な点灯であるが、全波整流回路の後段で平滑コンデンサにより平滑しない脈流であっても視覚生理的に実用できるものである。
【0014】
LEDは順電圧が3.0V以下では順電流は極端に減少するものを使用し、通常の40W型蛍光灯型照明器具を電源側回路31として用いた。
40W型蛍光灯型照明器具の蛍光灯の端子電圧は昇圧用のトランス23により100Vが昇圧され約216Vになる。この端子電圧からLED30に流される電流は、安定器として使用されたチョークコイル22を流用してそのインピーダンスにより電流値が決定される。
【0015】
電源側回路31の出力端子27からの電源を管体2内のプリント基板4に内蔵された全波整流回路29により全波整流するが、半波整流ではちらつきが目立つので全波整流が好ましい。
【0016】
この全波整流された電圧すなわち脈流電圧を管体側回路32の駆動電源とした波形は、図3に示すような脈流波形の脈流電圧であり、複数個のLED全体に印加される最大値は約308VDCとなる。
【0017】
いま、複数個のLEDの直列接続数を64個とすると、64個×3.0V=192Vとなり、64個×3.3V=212V以上では100mA以上の電流が流れる。
すなわち、全波整流された脈流電圧の192Vより低い部分では、順電流が極端に減少し、消費電力も比例して減少する。
【0018】
図4は実施例1に係るLED照明器具の電流波形図である。
図4において、管体側回路のLED直列回路中に抵抗値10Ωの抵抗を直列接続して、その両端電圧を測定した波形図である。したがって、一目盛=100mAである。
この実施例1のLEDの仕様は順電流が最大350mA、標準150mAであり、最大180mA、平均80mAであるため、結果、熱の発生を抑え、LED単体の長寿命化に有効に作用する。
【0019】
この実施例1によれば、従来の蛍光灯型照明器具にLED光源としての管体を置き換えて使用することができ、すでに設置されている蛍光灯型照明器具の設備を流用してLED照明器具を実現することができるので極めて簡単な構成で長寿命で省エネルギーな照明器具を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係るLED照明器具はいままで蛍光灯が設置されたいた電源側回路を流用し、管体側回路を含む管体を嵌め込んで使用するので変更点が極めて少なく、省エネルギー、長寿命化の照明器具のため、ビル管理産業の発展にも大いに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係るLED照明器具の斜視図である。
【図2】実施例1に係るLED照明器具の回路図である。
【図3】実施例1に係る電圧波形図である。
【図4】実施例1に係る電流波形図である。
【符号の説明】
【0022】
1 口金
2 管体
3 LED
4 プリント基板
20 交流電源
21 スイッチ
22 チョークコイル
28 口金端子
29 全波整流回路
30 LED
31 電源側回路
32 管体側回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給され少なくともチョークコイルにより電流制限された電流が流れる電源側回路と、この電源側回路に接続できる口金端子と、この口金端子を両端部に有する管体と、この管体の管体側回路としては、上記チョークコイルにより電流制限された電源が上記口金端子から供給されこれを全波整流する全波整流回路と、この全波整流回路の両端に接続された複数個のLEDと、これら複数個のLEDと上記全波整流回路を実装し上記管体の内部に設置されたプリント基板とにより構成されたことを特徴とするLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−105355(P2009−105355A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299818(P2007−299818)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(507382382)第一通商株式会社 (4)
【出願人】(500510261)ジェイアール東日本ビルテック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】