説明

LED照明装置

【課題】 本発明は、少ない光源から複数のライン状の発光部を備えた、簡易な構成で実現するLED照明灯具を提供する。
【解決手段】 本発明では、光源と、導光板と、透明もしくは半透明のレンズと、を含み、光源は、導光板端面から光を入射するように配置されており、導光板は、その表面の少なくとも一箇所に、その表面を直線又は曲線状に走る段差形状の出射部が設けられており、レンズは、光源と導光板を覆い、かつ、その内面または外面にローレットカットが出射部に対して平行でない方向に形成したLED照明装置とする。これにより、一つの導光板から複数のライン状発光が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動販売機や看板などの演出用に使用され、主としてライン状に発光する照明灯具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のライン状に発光するLED灯具の構成の例としては、図3に示すように、例えばアクリル樹脂など透明度が高い樹脂で、平面性、平行性が高い一定な厚さを有する四辺形の板状に導光板(100)を形成し、その一辺を光源取付部(105)とし、この光源取付部(105)に複数のLEDランプ(107)を光源として配置しておく。
【0003】
このときに、前記導光板(100)の板厚は、前記LEDランプ(107)の外径よりも厚いものとすることなどで、LEDランプ(107)からの光を可能な限り導光板(100)中に取り込めるように図り、利用効率を向上させ、使用数が少なくなるようにしている。また、光源取付部(105)と対峙する辺には適宜なレンズカット、フロスト加工などが施されて発光部(102)とされ、拡散光として外部に放射するものとし光ムラの発生が少なくなるようにしている。
【0004】
このように構成したことで、LEDランプ(107)が点灯されると、導光板(100)内に入射された光は、導光板(100)と大気との接触面に達すると部材の屈折率の差による臨界角以内の角度では、高屈折率の部材側に全反射するもの(スネルの法則)となり、この全反射の繰り返しで全ての光が発光部(102)に達するものとなる。
【0005】
そして、発光部(102)に達したLEDランプ(107)からの光は、この発光部(102)に施されたレンズカット、或いは、シボ加工などにより、この面では全反射を生じなく、むしろ拡散を生じるようにされているので、内部を伝導してきた光は、発光部(102)から外部に拡散放射され観視者に視認されるものとなる。
【0006】
よって、前記導光板(100)の発光部(102)に相当する面積が光輝して見えるものとなり、ライン状に光るLED灯具が得られるものとなるのである。なお、上記光源取付部(105)および発光部(102)以外の辺(面)は全反射を行うことにより内部の光を射出することはないので透明な状態を保持し、窓ガラスなどとしても使用可能である。なお、このように導光板と光源とを使用する構成のものの他に、例えば、熱陰極、或いは、蛍光管、ネオン管などバルブ自体がライン状となっているものもある。
【特許文献1】特開2004−184767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した従来のこの種、ライン状の発光を行うLED灯具では、導光板(100)の一辺の形状が発光部(102)となるものであり、即ち、ほぼ導光板(100)の厚みと長辺とに制約を受けるものとなり、例えば、より幅広のライン状の発光部を得ようとする場合には、導光板(100)自体を厚く作らなければならないものとなる。
【0008】
この場合、射出成形などで形成するときには、厚みを厚くすると製品にヒケなどを発生しやすくなる問題点を生じ、これを防止するためにはショット数を減じるなど、生産効率が低下せざるを得ないものとなり、コストアップの問題点を生じるものとなる。
【0009】
また、発光面積が増えれば、光源取付部(105)に取付けるLEDランプ(107)の数が同じであれば、発光部(102)の明るさは、当然に暗くなるので、設置数を増す、或いは、明るいLEDランプ(107)を採用するなどの対策も講じなければ成らず、この面でもコストアップの問題を生じるものとなる。
【0010】
加えて、上記に説明したように、導光板(100)を採用した照明灯具は、全体が板状となり、特に側面(板面)は光を光源から発光部までロスなく内面反射により導くために平滑面であることが要求され、結果的に照明灯具としては、全体形状がデザイン性に乏しいものと成りがちであるという問題点を生じていた。
【0011】
さらに、ライン状の発光部(102)は1本のライン状発光であるため、複数のライン状発光を形成するには、必要とするライン状発光の本数分の光源および導光板が必要なため、非効率的であるという問題点が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記した従来の課題を解決するための具体的手段として、光源と、導光板と、透明もしくは半透明のレンズと、を含み、光源は、導光板端面から光を入射するように配置されており、導光板は、その表面の少なくとも一箇所に、その表面を直線又は曲線状に走る段差形状の出射部が設けられており、レンズは、光源と導光板を覆い、かつ、その内面または外面にローレットカットが出射部に対して平行でない方向に形成されていること、を特徴とするLED照明装置であり、このような簡易な構成にて上記した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、少ない光源にて複数の高さ及びまたは奥行きの異なるライン状の発光部を可能なものとして、コストアップの問題を生じることなく立体的なデザインを与えるLED照明灯具の実現を可能とすると言う極めて優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1及び図2に示すものは、本発明に係るLED灯具1の実施形態であり、この第一実施形態ではLED灯具1は、透明部材で形成された導光板2と、光源とするLEDランプ3と、前記LEDランプ3を保持し給電を行うためにプリント回路板などで形成された基板5とから構成されている点は従来例のものと同様である。そして、この実施形態においては、導光板2、LEDランプ3および基板5を覆うように透明な箱状のレンズ4が設けられ、基板5がレンズ4内の開口部を塞ぐようにして固定される。
【0015】
ここで、前記導光板2は、従来例のものが1枚の板状で1つの出射部が形成されていたのみであるのに対し、本発明のLED灯具1においては、導光板の厚み方向に形成された段部からなる複数の出射部6が上方において各々ライン状に設けられている。また、底面21のLEDランプ3と対向する部分には、使用するLEDランプ3から照射される光を好適な効率にて導光板2内に取り入れられるように入射レンズ部22が一体に形成されている。LEDランプ3は面実装タイプのもので、基板5に設置され、その基板5に導光板2が固定される。
【0016】
導光板2は複数の直線部を有し、底面21から第一出射部6aまでの第一直線部23a、第一出射部6aから第二出射部6bまでの第二直線部23b、第二出射部6bから第三出射部6cまでの第三直線部23cからなる。その断面厚み方向の幅Lは、第一直線部23a、第二直線部23b、第三直線部23cの順に狭くなっている。また、第一出射部6aおよび第二出射部6bは、導光板2の両面において対称形状となるようにライン状に設けられており、第三出射部6cは上端面24とされている。
【0017】
また、この実施形態では、透明な箱状のレンズ4の上部41および側面42の内面にはレンズカットを設けている。上部41内面のレンズカット41aは、凸ローレットカットとされ、ライン状の複数の出射部6の配列方向と直交する方向、すなわち図面2における紙面左右方向に延びる多数の凸ローレットカットが、紙面手前から奥に向かう方向に整列するように施されている。側面42の内面のレンズカット42aは、上下方向に延びるように凸ローレットカットが形成されている。なお、本明細書でいう凸ローレットカットとは、シリンドリカルレンズの多数を連接してなる形状のカットをいい、上下方向に延びるような凸ローレットカットは、シリンドリカルレンズの半円柱の柱面方向が上下方向となるように多数のシリンドリカルレンズが並んでいるようなカットが形成されている状態を示す。
【0018】
本実施形態のLED灯具は上記のように構成されている。ここでLEDランプ3を点灯すると、LEDランプ3からの光は入射レンズ部22から導光板2内に取り込まれる。導光板2内を繰返し反射しながら、5つの出射端面、すなわち、出射部6a、6a、6b、6b、6cから出射される。このとき出射方向は、導光板2の延長方向、すなわち上方に向かうことになる(図2の矢印参照)。また、その出射部6から出た光は、箱状の透明レンズ4を通って視認者の目に届く。このとき、導光板における各出射部では、光源からの光が各出射部上の各点において各々の方向に直進するため、視野角の範囲内に直進して入る光だけしか捉えることができない。そのため、出射部はライン状だが、視認者には点状の光として認識される。
【0019】
一方、このような出射部を持つ導光板の上にライン状の複数の出射部配列方向と直交して凸ローレットカットを並べたレンズを配置すると、各出射部から放射された光は凸レンズにより屈折する。各出射部上の各点からの光は全て様々な方向に屈折(または直進)して出射するため、各出射部上の全ての点からの光の夫々一部を視認者が認識することができ、その結果ライン状に発光していると認識できる。ライン状出射部と対向する側面42においても同様であり、導光板出射部を直視するとライン状発光ではなく出射部における輝点と認識されるが、内側に上下方向に伸びる凸ローレットカットを施した箱状透明レンズを通して観察すると、ライン状発光として認識できる(この場合の凸ローレットカットの配列方向も、複数のライン状出射部の配列方向と直交している)。外部に照射された光は、導光板に設けてある5つの出射部6aの高さ及びまたは奥行きが異なるものとされているので、一つの光源から出射された光が、ライン状の複数本の光源として異なる高さ及びまたは奥行きに位置する照明として見えるものとなる。
【0020】
本実施例では箱状のレンズの内側に凸ローレットカットを設けたが、外側に同じ形状の凸ローレットカットを設けても、同様の効果が得られる。導光板厚み方向の面(図2で示す導光板断面方向の面)には凸ローレットレンズカットを設ける必要は無いが、この面からもラインを視認させたい場合は、紙面左右方向に凸ローレットカットを整列させると良い。つまり、図2の上下方向ではなく、横方向に凸ローレットカットを並べると良い。
【0021】
以上のような構成により、少ない光源で複数のライン状発光を形成することができる。またライン状発光の高さ及びまたは奥行きを異なるものとして、立体的な印象を与えることができる。
【0022】
尚、LED照明灯具は上記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、透明な箱状のレンズに施すレンズカットを斜め方向に形成したり、途中で分割して複数の異なる方向のカットとしたり、円形状に配列したりすることもできる。更に言えば、そのレンズカットについて、凸ローレットカットのようにその断面が曲線なものに限定するのではなく、多面体カットなどを用いても構わない。また、導光板を曲面状としたり、出射部形状をライン状ではなく曲線形状とする等の本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。レンズについても、箱状に限定されること無く角が丸い形状やドーム型でも良いし、拡散材を入れて半透明としても良い。実施例では導光板端面は光源からの光を入光し易いようなレンズ形状としたが、レンズを導光板と別体で設けても良いし、導光板に十分な光が入れば端面は平らでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るLED灯具の第一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係るLED灯具の断面図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1…LED灯具
2…導光板
21…底面
22…入射レンズ部
23…直線部
3…LEDランプ
4…レンズ
5…基板
6…出射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、導光板と、透明もしくは半透明のレンズと、を含み、光源は、導光板端面から光を入射するように配置されており、導光板は、その表面の少なくとも一箇所に、その表面を直線又は曲線状に走る段差形状の出射部が設けられており、レンズは、光源と導光板を覆い、かつ、その内面または外面にローレットカットが出射部に対して平行でない方向に形成されていること、を特徴とするLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−252465(P2009−252465A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97639(P2008−97639)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】