説明

LED電源回路

【課題】LEDの駆動電圧が上昇した場合に、回路損失の増加を防止し、光の減少幅を抑えることができる制御方法への切り替えを可能とするLED電源回路を提供すること。
【解決手段】電源供給手段8、電圧検出手段(R、R)、電流検出手段(R)、制御回路12を備える。電源供給手段8は、入力電力Pを駆動電力Pに変換する変換部を有する。電圧検出手段はLEDへの駆動電圧Vを検出し、電流検出手段は駆動電流I2を検出する。更に入力電力P値を取得する入力電力取得手段6を有する。制御回路12は、入力電力P値と、駆動電圧値及び駆動電流値の積Pとの差分(P−P)を算出する差分演算部を有する。この差分が一定になるように変換部の変換率を制御する定損失制御部と、駆動電流I値が一定になるように制御する定電流制御部とを有し、駆動電圧V値が基準電圧を超えたら定損失制御に切り替わるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LED( Light Emitting Diode )と呼ぶ。)を点灯するために用いられるLED電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED素子の性能が高くなってきておりLEDを用いた照明器具は寿命が長いなどの理由により従来の光源から置き換えられる状態にある。今後LEDの性能がますます向上して行けば、さらに汎用の照明器具分野で採用されると考えられる。
【0003】
LEDは、点灯により温度が上昇すると電気抵抗が小さくなる特性を持っているため、その照明器具では定電流制御を行うことが基本である。しかし、定電流制御中に、周辺温度等の環境変化によりLEDの駆動電圧が上昇した場合、外部電源からLED電源回路に定格電力以上の電力が供給されることになり、回路損失が増大してしまう。その結果、LED電源回路の故障率が増えるといった問題点があった。また、LED素子(又はLED発光ユニット)を交換したときに、LED側の駆動電圧が変化することもあり、同様の問題が生じ得た。
【0004】
特許文献1には、LEDの駆動電圧(端子間電圧)に基づいて、定電流制御と定電力制御との切り替えを行う制御方式を備えたLED駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4100400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のLED駆動装置では、定電流制御から定電力制御へ移行した後の回路損失について、詳細な検討がなされておらず、移行に伴って光の減少幅が大きくなってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり、一定電流制御中にLEDの駆動電圧が上昇した場合に、回路損失の増加を防止しつつ、かつ、光の減少幅を抑えることができる制御方法への切り替えを可能とするLED電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明者は、許容される回路損失の上限値がLED電源回路のケースの大きさで決まることに着目し、その回路損失が一定となるように、LEDの駆動電流を制御する回路損失一定制御(以降、定損失制御と呼ぶ。)を実現した。そして、定電流制御中にLEDの駆動電圧が上昇して決められた設定値に達したら、定電流制御から定損失制御への移行を実行する制御切替方式を構築し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明に係るLED電源回路は、電源供給手段と、電圧検出手段と、電流検出手段と、制御手段とを備える。まず、電源供給手段は、外部電源を受ける入力部、入力電力をLEDに必要な駆動電圧及び駆動電流に変換する変換部、該駆動電圧及び該駆動電流をLEDに出力する出力部、を有する。電圧検出手段は、前記出力部の駆動電圧値を検出し、電流検出手段は、前記出力部の駆動電流値を検出する。そして、制御手段は、検出された前記駆動電圧値及び駆動電流値に基づいて前記電源供給手段を制御する。
【0010】
前記LED電源回路には、更に、前記入力部の入力電力値を取得する入力電力取得手段が設けられている。また、前記制御手段は、差分演算部、定損失制御部、定電流制御部、及び、制御選択部を有する。
【0011】
差分演算部は、取得された前記入力電力値と、前記駆動電圧値及び前記駆動電流値の積との差分を算出する。定損失制御部は、算出された前記差分が一定になるように前記変換部の変換率を制御する。定電流制御部は、検出された前記駆動電流値が一定になるように前記変換部の変換率を制御する。そして、制御選択部は、前記駆動電圧値が基準電圧未満の場合に前記定電流制御部による制御を選択し、基準電圧以上の場合に前記定損失制御部による制御を選択するようになっている。
【0012】
また、前記制御手段は、更に、過電圧保護制御部を有する。過電圧保護制御部は、予め決められた電圧以上の駆動電圧のLEDへの印加を防止する。また、前記制御手段は、過電流保護制御部を有する。過電流保護制御部は、予め決められた電流以上の駆動電流のLEDへの供給を防止する。
【0013】
また、前記入力電力取得手段は、予め設定された複数の入力電力値を含むデータテーブルを有し、検出される前記駆動電圧値によって前記データテーブルから対応する一の入力電力値を読み出すようになっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定電流制御の実行中にLEDの駆動電圧が上昇した場合であっても、定電流制御から定損失制御へ切り替えることによって、回路損失の増加を防止することができ、かつ、従来のような定電力制御への切り替えよりもLED照明の光の減少量を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るLED照明器具の全体構成図である。
【図2】本発明のLED電源回路の構成図である。
【図3】従来の定電流制御中に駆動電圧が上昇した場合を説明する図である。
【図4】従来の電源回路における定電力制御の問題点を説明するための図である。
【図5】本発明の電源回路における定損失制御の効果を説明するための図である。
【図6】前記LED電源回路の駆動電力特性図である。
【図7】前記LED電源回路の回路損失特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。図1に本実施形態に係るLED照明器具の全体構成を示す。LED照明器具は、LED素子列2と、このLED素子列2に直流電源を供給するLED電源回路4とを有して構成されている。なお、LED電源回路4の電源は交流電源ACである。
【0017】
<LED電源回路の全体構成>
LED電源回路4は、入力電力取得手段6と、電源供給手段8と、電圧検出手段(R、R)と、電流検出手段(R)とを備える。入力電力取得手段6は、ACからの入力電圧V及び入力電流I1を検出して、これらの検出値から入力電力Pを算出する。具体的な入力電力Pの算出方法は、まず、瞬時電力値(V×I)を計算し、一周期分の瞬時電力値を加算し、そして、合計値を一周期の加算個数で割って得られる数値を入力電力Pとする方法である。このP値を、電源供給手段8の入力部に供給される入力電力値として、電源供給手段8に内蔵された制御手段(制御回路12)に与える。
【0018】
電源供給手段8は、交流電力からLED素子列2の点灯に必要な駆動電力Pを生成するもので、例えば、後述するフライバック・コンバータなどで構成される。本実施形態では電源供給手段8にICチップが制御回路12として内蔵されている。しかし、制御回路12としては、電源供給手段8から独立して設けられた回路等でも構わない。
【0019】
電圧検出手段は、抵抗R、Rの直列接続を有する。この直列接続は、電源供給手段8の一対の出力端子を結んでいる。そして、抵抗Rの端子間電圧を駆動電圧の分圧Vとして検出し、このV値を電源供給手段8の制御回路12に与える。制御回路12では、抵抗R、Rの抵抗値に基づいて、分圧Vの検出値より駆動電圧Vを算出する。従って、電圧検出手段は実質的に電源供給手段8の出力部からの駆動電圧Vを検出していることになる。
【0020】
電流検出手段は、電源供給手段8の負側の出力端子とLED素子列2の負側端子とを結ぶ抵抗Rを有する。そして、抵抗Rの端子間電圧Vを検出し、このV値を制御回路12へ与える。制御回路12では、抵抗Rの抵抗値に基づいて、抵抗Rの電圧Vの検出値より駆動電流Iを算出する。従って、電流検出手段は実質的に電源供給手段8の出力部からの駆動電流Iを検出していることになる。
【0021】
制御回路12は、与えられた入力電力P値、駆動電圧V値、及び、駆動電流I値に基づいて電源供給手段8を制御する。
【0022】
<電源供給手段の制御システム>
図2に基づいて電源供給手段8の制御システムに関して詳しく説明する。電源供給手段8は、交流電力の入力部14、その電力の変換部16、及び、駆動電力の出力部18を有する。
【0023】
入力部14は、ダイオードブリッジなどで構成される全波整流回路DBと、バイパスコンデンサCとを有する。バイパスコンデンサCは、全波整流回路DBの出力端同士を結ぶもので、全波整流回路DBからの整流電流を部分平滑するため、および、充電用スイッチング素子Qのオンオフ駆動により断続された電流の影響がAC電源側に及ぶことを防止するために設けられている。
【0024】
出力部18は、LED素子列2に対して並列接続された出力コンデンサC(電解コンデンサ)によって構成される。そして、出力コンデンサCに蓄えられたエネルギーを用いて、LED素子列2に安定した駆動電力Pを供給する。
【0025】
変換部16は、全波整流回路DBの後段に接続され、整流電流を電力変換して出力コンデンサCを充電する。本実施形態の変換部16は、フライバック・コンバータと呼ばれ、出力コンデンサCを介して一定電流をLED素子列2に供給する。また、変換部16は、力率改善回路としても機能し、全波整流回路DBに入力される交流電流を歪みのない正弦波に整形することができる回路である。
【0026】
変換部16は、具体的にフライバック・トランスTと、充電用スイッチング素子Qと、ダイオードDと、充電用スイッチング素子Qを制御する制御回路12とを有する。トランスTは、全波整流後の整流電圧を一次電圧として二次電圧を出力コンデンサCに印加するように設けられている。
【0027】
充電用スイッチング素子Qは、トランスTの一次巻線T1aに直列接続されていて、オンオフ駆動により二次巻線T1bに二次電圧を誘起させる。充電用スイッチング素子Qのドレイン側端子は、一次巻線T1aに接続され、Qのソース側端子は、全波整流回路DBの負極端子側であるグラウンドラインに接続されている。スイッチング素子QにはNチャネルのエンハンスメント形のMOSFETを使用する。制御回路12に設けられている駆動回路からスイッチング素子Qのゲートに駆動電流が供給されてゲート電圧が生じると、ドレイン−ソース間に電流が流れる。この状態をスイッチング素子Qのオン状態という。一方、ゲートに駆動電流が供給されず、ドレイン電流が流れない状態をオフ状態という。ダイオードDは、二次巻線T1bに直列接続されて二次電流を整流し、整流後の二次電流を出力コンデンサCの正極に供給する。
【0028】
変換部16にはノイズ除去回路が設けられている。ノイズ除去回路は、ダイオードDおよびノイズ除去コンデンサCの直列回路と、抵抗Rとを有して構成されている。直列回路(DおよびC)は、トランスTの一次巻線の両端子を結ぶように接続されている。ここで、ダイオードDのアノード側端子は、一次巻線T1aと充電用スイッチング素子Qの接続点につながれ、カソード側端子はノイズ除去コンデンサCに接続される。ノイズ除去コンデンサCおよび抵抗Rは並列回路を形成している。
【0029】
変換部16は以上のように構成され、出力コンデンサCに整流電流に基づくエネルギーを蓄積する。そして出力コンデンサCに蓄積されたエネルギーによってLED素子列2に駆動電流I2が供給されるようになっている。
【0030】
制御回路12は、マイクロコンピュータ(CPU)と、電圧等の検出用のADコンバータと、充電用スイッチング素子Qに駆動電流を供給するFET駆動回路と、ROMおよびRAMを有し、充電用スイッチング素子Qの駆動制御システムを構築している。
制御回路12を機能ブロックで表現すると、図2のように、差分演算部22、定電流制御部24、定損失制御部26、及び、制御選択部28を有する。更に、制御回路12は、過電圧保護制御部32、過電流保護制御部34、及び、保護制御選択部36を有する。
【0031】
CPUでは、例えば、全波整流後の電圧の分圧値に基づいて、スイッチング周期を決定するとともに、抵抗Rを介して検出されるLED素子列2の駆動電流I値に基づいてオン幅(オン状態の時間)を決定する。CPUは、決定されたスイッチング周期とオン幅の指令信号をスイッチング素子Q用のMOSFET駆動回路に送る。Q用の駆動回路は、指令信号に基づく駆動電流をQへ供給し、これをオンオフ駆動させる。
【0032】
<定電流制御について>
定電流制御部24は、充電用スイッチング素子Qを駆動させることにより、LED素子列2に流れる電流の定電流制御を行ないつつ力率改善制御も同時に実行するように充電用スイッチング素子Qのスイッチングを高周波数制御する。すなわち、制御回路12は、検出された駆動電流I値が予め設定されている電流値に近づくように充電用スイッチング素子Qのスイッチングのオン幅(変換率)を制御する。充電用スイッチング素子Qのオン状態では、全波整流電流がトランスTの磁性体に磁場のエネルギーとして蓄積され、オフ状態では二次側に誘起される二次電圧に基づいて電流が流れ、出力コンデンサCが充電される。制御回路12によるオン幅の調整により、駆動電流Iの定電流制御が実行され、LED素子列2の駆動電流値を安定させている。
【0033】
また、制御回路12は、交流電源ACから流れ込む入力電流Iの電流波形を正弦波に近似させるために、充電用スイッチング素子Qのスイッチングの周期(スイッチングのオン幅+スイッチングのオフ幅)を例えば、整流電圧の瞬時値に比例するように制御することで力率改善を行なっている。
【0034】
<定損失制御について>
本発明で特徴的な定損失制御について説明する。定損失制御は主に差分演算部22と定損失制御部24とにより実行される。差分演算部22は、取得された入力電力P値と、駆動電力P値(駆動電圧V値と駆動電流I値の積)との差分(P−P)を算出する。また、定損失制御部は、算出された差分(P−P)が一定、すなわち、回路損失が一定になるように変換部16の充電用スイッチング素子Qのオン幅(変換率)を制御する。
【0035】
制御選択部28は、駆動電圧V値に基づいて定損失制御部及び定電流制御部のいずれか一方の制御を選択する。すなわち、定電流制御中に駆動電圧Vが上昇して、その検出値が基準値Vに達したら、制御選択部28が定電流制御から定損失制御への切り替えを実行する。また、定損失制御中に駆動電圧Vが基準値Vを下回ったら、制御選択部28が定損失制御から定電流制御への切り替えを実行する。
【0036】
制御回路12の過電圧保護制御部32は、予め決められた電圧以上の駆動電圧V2がLED素子列2へ印加されるのを防止する。また、過電流保護制御部34は、予め決められた電流以上の駆動電流IがLED素子列2へ供給されるのを防止する。保護制御選択部36は、これら2つの過電圧保護制御部32及び過電流保護制御部34のいずれか一方の制御を選択する。
【0037】
<本実施形態の効果>
図3〜図5に基づいて、本発明の効果を説明する。図3は、定電流制御中に駆動電圧Vが一時的に上昇した場合の駆動電流I及び駆動電圧Vの時間変化を示す。カーブaは、駆動電流Iの検出値である。定電流制御中のカーブaの推移は、ほぼ一定になる。カーブbは、駆動電圧Vの検出値である。定電流制御中に駆動電圧Vが一時的に上昇すると、カーブbのようにV値が変化する。
【0038】
図4には、比較として、定電流制御から定電力制御へ切り替えた場合の駆動電流I、駆動電圧V、及び駆動電力Pの時間変化を示す。従来の定電流制御では、駆動電圧Vが上昇すると、交流電源ACからLED電源回路4へ定格電力以上の入力電力Pが供給されてしまうので、駆動電圧Vが上昇して基準値Vを超えた場合、制御方式を定電流制御から定電力制御に切り替える場合があった。定電力制御では、制御回路が電源供給手段の駆動を制御して、カーブcのように駆動電力P2値がほぼ一定になる。しかし、定電力制御は、駆動電圧Vの上昇そのものを抑える制御ではなく(カーブd参照)、駆動電力P値を一定に維持することにより、駆動電流I値がカーブeのように一時的に落ち込んでしまう。その結果、LEDの光束量の減少幅が大きくなってしまう。
【0039】
一方、図5には、本発明の定損失制御を実行した場合の駆動電流I、駆動電圧V、及び駆動電力Pの時間変化を示す。カーブfは、入力電力検出手段6で取得された入力電力P値である。また、カーブh及びカーブiは、電流検出手段で検出される駆動電流Iと電圧検出手段で検出される駆動電圧Vの検出値である。図4と同様に、駆動電圧Vが一時的に上昇した場合について説明する(カーブi)。入力電力P値(カーブf)は、駆動電圧Vの上昇に伴って変化する。定電流制御の間、I値が一定を維持されるため、駆動電力P値(カーブg)は駆動電圧Vの上昇に伴って増える。そして、駆動電圧Vが基準値Vを超えると、制御方式が定電流制御から定損失制御に切り替わる。定損失制御では、制御回路12が電源供給手段の駆動を制御して、入力電力Pと駆動電力Pの差分(P−P)をほぼ一定値に維持する(カーブg)。これにより駆動電力Pのカーブgは、定電流制御の場合のカーブ(破線)と、定電力制御の場合のカーブ(一点鎖線)との間を推移するようになる。このように定損失制御が実行された場合、駆動電圧Vが一時的に上昇したとしても、駆動電流I値の落ち込みは小さくて済む(カーブh)。その結果、LEDの光束量の減少幅を定電力制御の場合よりも小さく抑えることができて、所定の光束量を維持することができる。
【0040】
図6及び図7は、本発明のLED電源回路4における駆動電力Pの特性図、及び、回路損失(P−P)の特性図である。例えば、図6中の点Aを点灯の定常ポイントとする。LED電源回路4をオンにしたときのスタートモードでは、駆動電圧Vが上昇するにつれて、駆動電流Iが増加していき、点Aに達する。定常モードでは、駆動電圧V2が基準電圧V未満において定電流制御が実行される。図6のように、定電流制御により駆動電圧V値と駆動電力Pは比例関係となる。一方、駆動電圧が基準電圧V以上では、定電流制御から定損失制御に切り替わる。定損失制御では、駆動電力Pは、V値に比例して増大するのではなく、V値が大きくなった場合に入力電力Pとの差分(P−P)が一定を保つように変化する。この定損失制御の区間では、図7に示すように、回路損失(P−P)が一定に保たれるので、回路損失に伴う発熱も一定になる。
【0041】
このようにLED電源回路4からの駆動電力Pを制限する目的は、回路損失に伴う発熱を抑制することにある。本発明の定損失制御によれば、上記のように電源回路における発熱を一定にすることができるため、使用可能範囲の限界近くでLED電源回路4を使用することができる。従って、電源回路の性能をフルに引き出すことができる制御を実現できる。
【0042】
なお、過電圧制御モードでは、駆動電圧Vが基準電圧Vを超えて予め決められた電圧まで上昇すると、電源供給手段8が駆動電力Pの供給を停止する。この過電圧制御モードは、定電流制御及び定損失制御のいずれにおいても、LED素子列2への駆動電圧Vが突発的に大きくなった場合に、駆動電力Pの供給を停止してLED素子列2を保護するようになっている。同様に、過電流制御モードでは、駆動電流Iが定電流制御における基準電流値を超えて予め決められた電流値まで上昇すると、電源供給手段8が駆動電力Pの供給を停止する。この過電流保護も、定電流制御及び定損失制御のいずれにおいても、LED素子列2へ供給される駆動電流Iが突発的に大きくなった場合に、駆動電力P2の供給を停止してLED素子列2を保護するようになっている。
【0043】
<変形例>
入力電力取得手段としては、予め設定された複数の入力電力P値を含むデータテーブルを有し、実際に入力電力値を検出するのではなく、検出された駆動電圧V値によってデータテーブルから対応する一の入力電力P値を読み出すように構成されたものでもよい。LED電源回路4の回路損失がLEDの駆動電圧Vに依存することを利用した入力電力取得手段である。
【0044】
また、交流電源ACの代わりに直流電源DCを用いたLED照明器具に対しても、本発明のLED電源回路を適用できる。この場合、入力部14の構成として、ダイオードブリッジDBを省略してバイパスコンデンサCのみとすることができる。
【符号の説明】
【0045】
2 LED素子列
4 LED電源回路
6 入力電力取得手段
8 電源供給手段
12 制御回路(制御手段)
14 入力部
16 変換部
18 出力部
22 差分演算部
24 定電流制御部
26 定損失制御部
28 制御選択部
32 過電圧保護制御部
34 過電流保護制御部
36 保護制御選択部
、R電圧検出手段の抵抗
電流検出手段の抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源を受ける入力部、入力電力をLEDに必要な駆動電圧及び駆動電流に変換する変換部、該駆動電圧及び該駆動電流をLEDに出力する出力部を有する電源供給手段と、
前記出力部の駆動電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記出力部の駆動電流値を検出する電流検出手段と、
検出された前記駆動電圧値及び駆動電流値に基づいて前記電源供給手段を制御する制御手段と、を備えるLED電源回路であって、
更に、前記入力部の入力電力値を取得する入力電力取得手段が設けられ、
前記制御手段は、
取得された前記入力電力値と、前記駆動電圧値及び前記駆動電流値の積との差分を算出する差分演算部と、
算出された前記差分が一定になるように前記変換部の変換率を制御する定損失制御部と、
検出された前記駆動電流値が一定になるように前記変換部の変換率を制御する定電流制御部と、
前記駆動電圧値が基準電圧未満の場合に前記定電流制御部による制御を選択し、基準電圧以上の場合に前記定損失制御部による制御を選択する制御選択部と、
を有することを特徴とするLED電源回路。
【請求項2】
請求項1記載のLED電源回路において、
前記制御手段は、更に、予め決められた電圧以上の駆動電圧のLEDへの印加を防止する過電圧保護制御部を有することを特徴とするLED電源回路。
【請求項3】
請求項1記載のLED電源回路において、
前記制御手段は、更に、予め決められた電流以上の駆動電流のLEDへの供給を防止する過電流保護制御部を有することを特徴とするLED電源回路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のLED電源回路において、
前記入力電力取得手段は、予め設定された複数の入力電力値を含むデータテーブルを有し、検出される前記駆動電圧値によって前記データテーブルから対応する一の入力電力値を読み出すことを特徴とするLED電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−8632(P2013−8632A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141841(P2011−141841)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)
【Fターム(参考)】