LED駆動回路、LED照明装置およびバックライト
【課題】 並列された複数のLED回路に等しい電流を流すことのできるLED駆動回路を簡易な構成で実現する。
【解決手段】 時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備える。
【解決手段】 時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等のバックライトに用いられるLED(発光ダイオード)照明装置、特に、その駆動(点灯)回路(LED駆動回路)に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は従来のLED照明装置の回路図である。同図に示されるように、LED照明装置801は、入力電源Vin(直流電源)と、LED駆動回路と、4つのLED回路(803a〜803d)とを備える。LED駆動回路は、PWM制御IC804、スイッチング素子805、ダイオード806、コイル807、抵抗Ra〜Rdおよび平滑コンデンサ808を備える。なお、LED回路803aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路803bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路803cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路803dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。コイル807の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル807の他方端と、ダイオード806のアノードと、スイッチング素子805の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子805の制御端子(ゲート)はPWM制御IC804に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。ダイオード806のカソードは平滑コンデンサ808を介して入力電源Vinのマイナスに接続されており、さらに、ダイオード806のカソード、平滑コンデンサ808の第1電極およびノードa1〜ドd1が互いに接続されるとともに、ノードa2〜d2がそれぞれ、抵抗Ra〜Rdを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。例えば、ノードa2は抵抗Raを介して入力電源Vinのマイナスに接続され、ノードb2は抵抗Rbを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。これにより、ダイオード806のカソードと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路803a〜803dが並列に配される。また、ノードa2はPWM制御IC804の電流フィードバック入力にも接続される。
【0003】
上記駆動回路は、ステップアップコンバータ(ブーストコンバータ)を構成し、スイッチング素子805のON期間にコイル807(コイル)にエネルギーを蓄積し、OFF期間に、上記エネルギーに基づく起電圧と入力電圧とを重畳させて平滑コンデンサ808および各LED回路(803a〜803d)に与える。ここで、LED回路803aに流れる電流値を抵抗Raで検出してPWM制御IC804に電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子805のデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。これにより、LED回路803aに流れる電流を定電流とすることができる。
【0004】
ここで、LED回路803a〜803dは並列であるため、LED回路803aの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)と、LED回路803c〜803dのIF−VF特性とが一致していれば、LED回路803c〜803dにもLED回路803aを流れる電流IFaと等しい定電流(IFb〜IFd)を流すことが可能である。
【0005】
図11も従来のLED照明装置の回路図である。同図に示されるように、LED照明装置901は、入力電源Vin(直流電源)と、LED駆動回路と、LED回路903a〜903dとを備える。LED駆動回路は、PWM制御IC904a〜904d、スイッチング素子905a〜905d、ダイオード906a〜906d、コイル907a〜907d、平滑コンデンサ908a〜908dおよび抵抗ra〜rdを備える。なお、LED回路903aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路903bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路903cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路903dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0006】
ここで、図11の回路を部材903a〜908aおよびraを含む回路Aと、部材903b〜908bおよびrbを含む回路Bと、部材903c〜908cおよびrcを含む回路Cと、部材903d〜908dおよびrdを含む回路Dとに分けてみると、各回路(A〜D)の構成・作用は同一である。
【0007】
例えば回路Aについて説明すると、コイル907aの一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル907aの他方端と、ダイオード906aのアノードと、スイッチング素子905aの第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子905aの制御端子(ゲート)はPWM制御IC904aに接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。ダイオード906aのカソードは平滑コンデンサ908aを介して入力電源Vinのマイナスに接続されており、さらに、ダイオード906aのカソード、平滑コンデンサ908aの第1電極およびノードa1が互いに接続されるとともに、ノードa2が抵抗raを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。そして、スイッチング素子905aのON期間にコイル907a(コイル)にエネルギーが蓄積され、OFF期間に、上記エネルギーに基づく起電圧と入力電圧とが重畳されて平滑コンデンサ908aおよびLED回路903aに与えられる。ここで、LED回路903aに流れる電流値を抵抗raで検出してPWM制御IC904aに電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子905aのデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。これにより、LED回路903aに流れる電流を定電流とすることができる。
【0008】
上記構成によれば、回路A〜Dにおいて電流IFa〜IFdを個別に制御できる。したがって、LED回路903a〜903dの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)にばらつきがあっても各LED回路903a〜903dに流れる電流を等しくし、各LED回路(903a〜903d)の発光量(輝度)を等しくすることができる。
【0009】
なお、関連技術を開示した公知文献として以下の特許文献1〜10を挙げることができる。
【特許文献1】特開2004−319583公報(公開日:2004年11月11日)
【特許文献2】特開2002−8409公報(公開日:2002年1月11日)
【特許文献3】特開平11−67471号公報(公開日:1993年3月9日)
【特許文献4】特開2004−253364公報(公開日:2004年9月9日)
【特許文献5】特開2004−51014公報(公開日:2004年2月19日)
【特許文献6】特開平8−194448号公報(公開日:1996年7月30日)
【特許文献7】特開2000−12907号公報(公開日:2000年1月14日)
【特許文献8】特開2004−335443公報(公開日:2004年11月25日)
【特許文献9】特開昭56−86495号公報(公開日:1981年5月14日)
【特許文献10】特開昭59−108297公報(公開日:1984年6月22日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した各LED回路は直列接続された10個のLEDを含むが、同じ型名のLEDであっても、順方向電流−順方向電圧特性にばらつきがある。例えば、ある型名のLEDでは、図10に示すように、IF35mAにおけるVFが、2.2V(最小)〜2.5V(標準)〜3.0V(最大)の範囲で変動する。
【0011】
このように、各LEDの順方向電流−順方向電圧特性がばらつくと、これらを複数接続したLED回路の順方向電流−順方向電圧特性も当然ばらつくことになる。すなわち、図10のLED照明装置801では、LED回路103aの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)と、LED回路803c〜803dのIF−VF特性とが一致しないことになる。こうなると、LED回路803c〜803dには、LED回路803aとは異なる電流が流れ、各LED回路(803a〜803d)間で発光量(輝度)の不均衡が生じてしまう。このような不具合は、照明や大型液晶バックライトの面光源等の応用場面において、発光量の不揃いで輝度ムラ等が発生する、電流値の相違により温度上昇や寿命に差が発生するといった問題を招来し、製品品位を著しく低下させる。
【0012】
一方、図11のLED照明装置901では、各LED回路903a〜903dに流れる電流(IFa〜IFd)を等しくすることが可能であるものの、部品点数増加に伴う故障率上昇(歩留まり悪化)、製造コスト上昇の問題がある。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列された複数のLED回路に等しい電流を流すことのできるLED駆動回路を簡易な構成で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のLED駆動回路は、上記課題を解決するために、時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイル(の一方端同士)がタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備える。
【0015】
上記構成によれば、電流源によって生成された時間的に変化する電流が分流コイルに流れ込む。このとき、該分流コイルでは電磁結合作用が発生し、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性に関わりなく、電流源から流れ込んだ電流を2つの巻線数の逆比に分けることができる。そして、分流された電流を、各逆流防止ダイオードを介して、並列に配された平滑コンデンサおよびLED回路に与えることができる。
【0016】
これにより、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性が異なって(ばらついて)いても、各LED回路に等しい電流を流すことができる。この結果、各LED回路における光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コスト低く抑えることが可能となる。なお、上記分流コイルがタップを備えた1つのコイル形状であっても構わない。
【0017】
本発明のLED駆動回路は、上記課題を解決するために、時間的に変化する電流を生成する電流源と第1〜第4の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路と、第3の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第3のLED回路と、第4の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第4のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源が接続された第1の分流コイルと、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの一方端が接続された第2の分流コイルと、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの他方端が接続された第3の分流コイルと、上記第2の分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、上記第2分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードと、上記第3の分流コイルの一方端および上記第3の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第3の逆流防止ダイオードと、上記第3分流コイルの他方端および上記第4の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第4の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とする。
【0018】
上記構成のように複数の分流コイルを用いることで、多数(3以上)のLED回路を駆動することが可能となる。なお、分流コイルを2つ用い、一方の分流コイルの一方端を他の分流コイルのタップに接続するとともに他方端を逆流防止ダイオードに接続することで3つのLED回路を駆動することも可能である。
【0019】
上記LED駆動回路においては、上記電流源を、DC電源に接続するコイルと、該コイルに接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流に基づいてスイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源で構成することもできる。
【0020】
本LED駆動回路においては、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁し、上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させる(フォトカプラを含む検出回路で検出する)構成とすることもできる。このように、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁することで、平滑コンデンサやLED回路に短絡故障が発生しても負荷側に異常電流が流れることを防止することができる。
【0021】
また、本LED駆動回路においては、上記電流源と各LED回路とが電気的に絶縁され、
上記電流源は、整流回路を介してAC電源に接続するトランスと、該トランスの一次巻線に接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させて(フォトカプラを含む検出回路で検出し)該スイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であっても構わない。このように、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁することで、平滑コンデンサやLED回路に短絡故障が発生しても負荷側に異常電流が流れることを防止できる。
【0022】
また、本発明のLED照明装置は、上記LED駆動回路を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のバックライトは、上記LED駆動回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、電流源によって生成された時間的に変化する電流が分流コイルに流れ込む。このとき、該分流コイルでは電磁結合作用が発生し、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性に関わりなく、電流源から流れ込んだ電流を2つの巻線数の逆比に分けることができる。そして、分流された電流を、各逆流防止ダイオードを介して、並列に配された平滑コンデンサおよびLED回路に与えることができる。これにより、各LED回路の順方向電流−順方向電圧特性が異なっていても、各LED回路に所望の電流(例えば、等しい電流)を流すことができる。この結果、各LED回路における光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
本発明のLED駆動回路の一実施形態を説明すれば以下のとおりである。図1は、実施の形態1に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0026】
同図に示されるように、本LED照明装置1は、入力電源Vinと、スイッチング電源回路2aおよび分流回路2bを備えるLED駆動回路2と、2つのLED回路3a・3bとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路2aは、PWM制御IC4、スイッチング素子5(NチャネルMOSトランジスタ)、ダイオード6、コイル7、平滑コンデンサ8a・8bおよび抵抗R1を備え、分流回路2bは、分流コイル(インダクタ)9およびダイオード10・11(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル9は、同一磁心(コア)に巻かれた巻線n1(巻数n1)および巻線n2(巻数n2)がセンタータップ(中継端子)を介して接続された構成である。また、LED回路3aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路3bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0027】
本LED駆動回路2において、コイル7の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル7の他方端と、ダイオード6のアノードと、スイッチング素子5の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子5の制御端子(ゲート)はPWM制御IC4に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。
【0028】
ここで、ダイオード6のカソードは分流コイル9のセンタータップに接続され、この分流コイル9の一方端はダイオード10のアノードに接続されるとともに、他方端はダイオード11のアノードに接続されている。
【0029】
また、ダイオード10のカソードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ8aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード11のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ8bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。さらに、ノードa2は、PWM制御IC4の電流フィードバック入力に接続されるとともに抵抗R1を介して入力電源Vinのマイナスに接続され、ノードb2も入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル9のセンタータップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路3a・3bが並列に配される。
【0030】
スイッチング電源回路2aは、ステップアップコンバータ(ブーストコンバータ)を構成しており、スイッチング素子5のON期間にコイル7にエネルギーを蓄積し、OFF期間にこのエネルギーに基づく起電圧と入力電圧とを重畳させることで生成される電流IF’をダイオード6を介して分流コイル9のセンタータップに流す。これにより、分流コイル9の巻線n1(ダイオード10)および巻線n2(ダイオード11)には、電磁結合作用により、それぞれの巻数比の逆比に応じた分流電流IF1およびIF2が流れる。巻数比n1:n2を1:1とすればIF1:IF2=1:1となり、巻数比n1:n2を2:1とすればIF1:IF2=1:2となる。
【0031】
分流電流IF1は、分流回路2bのダイオード10を介して平滑コンデンサ8aおよびLED回路3aに流れ、分流電流IF2は、分流回路2bのダイオード11を介して平滑コンデンサ8bおよびLED回路3bに流れる。巻数比n1:n2を1:1とした場合、図2に示すように、スイッチング素子5のoff期間の電流IF’(ダイオード6に流れる電流)は、スイッチング素子5ターンoff時の電流Idの電流値を最大とし、時間とともに減衰する。これにより、分流電流IF1およびIF2も減衰するが、平滑コンデンサ8a・8bの作用(充電)によってLED回路3a・3bには、平滑された同じ値の直流定電流IFa・IFb(図2参照)が流れる。また、スイッチング素子5のoff期間にはIF’並びに分流電流IF1およびIF2はともに0となるが、平滑コンデンサ8a・8bの作用(放電)によってLED回路3a・3bには平滑された同じ値の直流定電流IFa・IFb(図2参照)が流れる。
【0032】
ここで、LED回路3aに流れる電流値を抵抗R1で検出してPWM制御IC4に電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子5のデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。このLED駆動回路2の一連の作用によって、LED回路3aおよびLED回路3bの順方向電流−順方向電圧特性が異なっていても、各LED回路3a・3bに等しい電流を流すことができる。このように、本LED駆動回路2によれば、各LED回路3a・3bにおける光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コスト低く抑えることが可能となる。
【0033】
また、各LED回路3a・3bにおいて、順方向電流−順方向電圧特性の異なるLED(例えば、色の異なるLED)を接続したり、LEDの個数が異なっていても、本LED駆動回路2によれば、各LED回路3a・3bを流れる電流を均衡させることができ、各LED回路3a・3bの発光量を等しく保つことが可能になる。
【0034】
なお、ダイオード6を省略し、コイル7の一方端および分流コイル9のセンタータップを直接接続することも可能である。
【0035】
また、分流回路2bの変形例を図3に示す。同図に示すように、本LED駆動回路2の分流回路を、同一磁心に巻かれた巻数n1および巻数n2の2つの巻線の一方端部同士を接続してセンタータップとし、各他端部をダイオード10およびダイオード11のアノードに接続するような構成とすることもできる。
【0036】
〔実施の形態2〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図4は、実施の形態2に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0037】
同図に示されるように、本LED照明装置101は、入力電源Vinと、スイッチング電源回路102aおよび分流回路102bを備えるLED駆動回路102と、4つのLED回路103a〜103dとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路102aは、PWM制御IC104、スイッチング素子105、ダイオード106、コイル107、平滑コンデンサ108a〜108dおよび抵抗R2を備え、分流回路102bは、分流コイル109x〜109zおよびダイオード110〜113(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル109x〜109zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路103aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路103bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路103cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路103dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0038】
本LED駆動回路102においては、コイル107の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル107の他方端と、ダイオード106のアノードと、スイッチング素子105の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子105の制御端子(ゲート)はPWM制御IC104に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。
【0039】
ここで、ダイオード106のカソードは分流コイル109xのセンタータップに接続され、この分流コイル109xの一方端はコイル109yのセンタータップに接続され、他方端はコイル109zのセンタータップに接続される。また、分流コイル109yの一方端はダイオード110のアノードに接続され、他方端はダイオード111のアノードに接続される。また、分流コイル109zの一方端はダイオード112のアノードに接続され、他方端はダイオード113のアノードに接続される。
【0040】
また、ダイオード110のカソードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード111のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード112のカソードは、ノードc1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108cを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード113のカソードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108dを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。
【0041】
さらに、ノードa2は、PWM制御IC104の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R2を介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ノードb2、c2およびd2それぞれが入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル109xのセンタータップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路103a〜103dが並列に配される。
【0042】
ここで、各分流コイル(109x・109y・109z)の2つの巻線の巻数比を1:1とすれば、IF1(ダイオード110を流れる電流):IF2(ダイオード111を流れる電流):IF3(ダイオード112を流れる電流):IF4(ダイオード113を流れる電流)=1:1:1:1となり、4系統の電流を均衡させることができる。なお、さらに系統数を増加させる場合、例えば、分流コイル109yの2つの出力を新たに2つの分流コイル(各センタータップ)に接続し、分流コイル109zの2つの出力を新たに2つの分流コイル(各センタータップ)に接続すれば、8系統の電流均衡が可能となる。さらに系統数を増やす場合は同様に分流コイルの数を増やせばよい。なお、ダイオード106を削除して上記LED駆動回路102を構成することも可能である。
【0043】
また、図5のように、3つの分流コイル119x・119yを構成し、分流コイル119xの巻数比を2:1、分流コイル119yの巻数比を1:1とすれば、IF1(ダイオード120を流れる電流):IF2(ダイオード121を流れる電流):IF3(ダイオード122を流れる電流)=1:1:1となり、3系統の電流を均衡させることもできる。
【0044】
〔実施の形態3〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図6は、実施の形態3に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0045】
同図に示されるように、本LED照明装置201は、AC電源と、スイッチング電源回路202aおよび分流回路202bを備えるLED駆動回路202と、4つのLED回路203a〜203dとを備える。AC電源に接続するスイッチング電源回路202aは、ブリッジダイオード220、コンデンサ221、抵抗Ra・Rb、PWM制御IC204、スイッチング素子205(PチャネルMOSトランジスタ)、コイル207(磁芯入)、平滑コンデンサ208a〜208d、フォトカプラ255(発光用および受光用)および抵抗R3・4を備え、分流回路202bは、分流コイル209x〜209zおよびダイオード210〜213(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル209x〜209zは、同一磁芯(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路203aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路203bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路203cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路203dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0046】
本LED駆動回路202においては、ブリッジダイオード220の各入力端子がAC電源に接続され、ブリッジダイオード220のプラス端子がコイル207の一方端に接続され、このコイル207の他方端と、スイッチング素子205の第1導通端子(ドレイン)と、分流コイル209xのセンタータップとが互いに接続されている。なお、スイッチング素子205の制御端子(ゲート)はPWM制御IC204に接続され、第2導通端子(ソース)は、PWM制御IC204の電流フィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R4を介して、ブリッジダイオード220のマイナス端子に接続するノードPに接続されている。さらに、ブリッジダイオード220のプラス端子は抵抗Raを介してノードQに接続され、ノードP・Q間には、抵抗Rbおよびコンデンサ221が並列に接続されている。なお、ノードP・QはPWM制御IC204にも接続されている。
【0047】
ここで、分流コイル209xの一方端はコイル209yのセンタータップに接続され、一方端はコイル209zのセンタータップに接続される。また、分流コイル209yの一方端はダイオード210のアノードに接続され、他方端はダイオード211のアノードに接続される。また、分流コイル209zの一方端はダイオード212のアノードに接続され、他方端はダイオード213のアノードに接続される。
【0048】
また、ダイオード210のカソードはノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ208aを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード211のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ208bを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード212のカソードは、ノードc1に接続されるとともに平滑コンデンサ208cを介してノードxに接続されている。同様に、ダイオード213のカソードは、ノードd1に接続されるとともに平滑コンデンサ208dを介してノードxに接続されている。
【0049】
さらに、ノードa2は、フォトカプラ255を介してPWM制御IC204の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R3を介してノードxに接続されている。また、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれがノードxに接続されている。さらに、ノードxはコイル207の一方端およびブリッジダイオード220のプラス端子に接続されている。
【0050】
本実施の形態に係るLED照明装置201においては、AC電源からブリッジダイオード220で整流した電圧を直接スイッチング素子205でスイッチングし、そのon期間中にコイル207に蓄積したエネルギーだけをそのoff期間に電流ループAによって分流回路202b(ひいてはLED回路203a〜203d)に供給する。
【0051】
本構成では、昇圧回路側(電流源)と負荷(分流回路209x〜209zおよびLED回路203a〜203d)とでGNDを共通にしない(AC電源と負荷を並列に接続しない)。PWM制御IC204への電流帰還にはフォトカップラ255にて行う。これにより、負荷に流れた電流を、図中に示すループAによって、昇圧エネルギーを蓄積するコイル207の入力に帰すことができ、昇圧エネルギーだけを負荷側へ供給することができる。
【0052】
したがって、平滑コンデンサ208a〜208dまたはLED回路203a〜203dが短絡故障した場合でも、コイル207に蓄積されたエネルギーだけが放出され、定電流作動を維持することができる。この結果、AC電源から過大な短絡電流が流れることで発生する発煙事故や配線パターンの焼損等といった問題を回避でき、機器の安全設計を図ることができる。
【0053】
〔実施の形態4〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図7は、実施の形態4に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0054】
同図に示されるように、本LED照明装置301は、AC電源と、スイッチング電源回路302aおよび分流回路302bを備えるLED駆動回路302と、4つのLED回路303a〜303dとを備える。AC電源に接続するスイッチング電源回路302aは、ブリッジダイオード320、PWM制御IC304、スイッチング素子305、巻線Np・Nqを有するトランス307、ダイオード306、平滑コンデンサ308a〜308d、フォトカプラ355(発光用および受光用)および抵抗R5・6を備え、分流回路302bは、分流コイル309x〜309zおよびダイオード310〜313(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル309x〜309zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路303aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路303bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路303cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路303dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0055】
本LED駆動回路302においては、ブリッジダイオード320の各入力端子がAC電源に接続されており、巻線Npの一方端はブリッジダイオード320のプラス端子に接続され、他方端はスイッチング素子305の第1導通端子(ドレイン)に接続されている。なお、スイッチング素子305の制御端子(ゲート)はPWM制御IC304に接続され、第2導通端子(ソース)は、PWM制御IC304の電流フィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R6を介して、ブリッジダイオード320のマイナス端子に接続されている。
【0056】
ここで、巻線Nqの一方端はダイオード306を介して分流コイル309xのセンタ−タップに接続され、他方端はノードxに接続されている。分流コイル309xの一方端はコイル309yのセンタータップに接続され、一方端はコイル309zのセンタータップに接続される。また、分流コイル309yの一方端はダイオード310のアノードに接続され、他方端はダイオード311のアノードに接続される。また、分流コイル309zの一方端はダイオード312のアノードに接続され、他方端はダイオード313のアノードに接続される。
【0057】
また、ダイオード310のカソードはノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308aを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード311のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308bを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード312のカソードは、ノードc1に接続されるとともに平滑コンデンサ308cを介してノードxに接続されている。同様に、ダイオード313のカソードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308dを介してノードxに接続されている。
【0058】
さらに、ノードa2は、フォトカプラ355を介してPWM制御IC304の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R5を介してノードxに接続されている。また、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれがノードxに接続されている。
【0059】
本実施の形態に係るLED照明装置301においては、AC電源をブリッジダイオード320で全波整流した電圧をトランス307のNp巻線に印加しつつ、スイッチング素子305をスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子305のオン期間にNp巻線へ1次電流Idを流してエネルギーを蓄積し、そのオフ期間に、このNp巻線に蓄積したエネルギーによってNs巻線に誘導起電力を発生させる。この誘導起電力により発生した電流はダイオード306で整流し、2次電流IF’として分流コイル309xのセンタータップに入力する。分流コイル309xではIF1+2、IF3+4に分流され、それらは更に分流コイル309y、309zへ入力され、それぞれIF1・2とIF3・4に分流される。分流された電流は、平滑コンデンサC308a〜308dおよび各LED回路303a〜303dへ供給される。
【0060】
また、R5でLED回路303aに流れる電流を検出し、フォトカップラ355を介して1次側のPWM制御IC404にフィードバックさせる。これにより、IF’=(IF1+IF2+IF3+IF4)の定電流制御が可能となる。この2次電流IF’は図2と同じくスイッチング素子305のスイッチングのオフ期間毎に発生し、時間の経過と共に減衰する電流波形である。このため、分流コイルに電磁誘導を発生させることができ、本発明の分流回路(分流コイルおよび逆流防止ダイオードで構成される回路)を応用できる。
【0061】
また、絶縁型コンバータを介して蓄積されたエネルギーを2次側に出力するため、AC電源と負荷は並列に接続されない。したがって、平滑コンデンサ308a〜308dまたはLED回路303a〜303d短絡故障等があっても過大電流が流れることがなく安全である。なお、絶縁型コンバータは、図7に示すような1石式でも良いし、多石式でも構わない。
【0062】
〔実施の形態5〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図8は、実施の形態5に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0063】
同図に示されるように、本LED照明装置401は、(DC)入力電源Vinと、スイッチング電源回路402aおよび分流回路402bを備えるLED駆動回路402と、4つのLED回路403a〜403dとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路402aは、PWM制御IC404、スイッチング素子405(PチャネルMOSトランジスタ)、ダイオード406、コイル407、平滑コンデンサ408a〜408dおよび抵抗R7・8を備え、分流回路402bは、分流コイル409x〜409zおよびダイオード410〜413(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル409x〜409zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路403aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路403bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路403cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路403dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0064】
本LED駆動回路402において、スイッチング素子405の第1導通端子(ソース)が入力電源Vinのプラスに接続され、このスイッチング素子405の第2導通端子(ドレイン)と、ダイオード406のカソードと、コイル407の一方端が互いに接続されている。なお、コイル407の他方端はノードyに接続されており、このノードyはPWM制御IC404のフィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R7を介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、スイッチング素子405の制御端子(ゲート)はPWM制御IC404に接続される。
【0065】
ここで、ダイオード406のアノードは分流コイル409xのセンタータップに接続され、この分流コイル409xの一方端はコイル409yのセンタータップに接続され、一方端はコイル409zのセンタータップに接続される。また、分流コイル409yの一方端はダイオード410のカソードに接続され、他方端はダイオード411のカソードに接続される。また、分流コイル409zの一方端はダイオード412のカソードに接続され、他方端はダイオード413のカソードに接続される。
【0066】
また、ダイオード410のアノードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード411のアノードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード412のアノードは、ノードc1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408cを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード413のアノードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408dを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。
【0067】
さらに、ノードa2は、PWM制御IC404の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R7を介して入力電源Vinのマイナスに接続され、PWM制御IC404、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれも入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル409xのタップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路403a〜403dが並列に配される。
【0068】
本実施の形態のLED駆動回路402は、反転チョッパー回路に分流コイル409x〜409zと逆流防止ダイオード410〜413を付加したものである。すなわち、スイッチング素子405のオン期間中に入力電圧Vinから点線で示すIdでコイル407にエネルギーを蓄積する。このとき負荷側へはダイオード406またはダイオード410〜413によって阻止されるため電流は流れない。次にスイッチング素子405がオフしたときコイル407に流れていたIdは遮断され、蓄積されたエネルギーはIF’のループで流れ続け、エネルギーを負荷へ放出する。この電流IF’も時間と共に減衰する電流波形であり、この電流ループに分流コイル409x〜409zと逆流防止ダイオード410〜413を挿入することにより各LED回路403a〜403dに均衡した電流を流すことができる。本回路の動作原理は実施の形態4(図7参照)と類似するが、図7のトランス307を図8ではコイル407にしているため、負荷に印加する電圧が負電圧となることが異なっている。
【0069】
さらに、入力電圧VinとLED回路403a〜403dとの間にダイオード406が介在し、両者が並列に接続されていないため、平滑コンデンサ408a〜408dまたはLED回路403a〜403dに短絡故障等があっても過大電流が流れることがなく安全である。
【0070】
上記各実施の形態によれば、並列接続された各LEDのIF−VF特性が異なっても分流回路の作用で電流を均等に分流することができ、各LED回路には等しい定電流あるいは所望の電流を流すことができ、発光量を均衡させることができる。これにより、面光源の明るさを均一にすることが可能となる。また、定電流均衡作用が実現し、従来のようにLED回路ごとに定電流制御する必要がなくなるため、回路をシンプルに低価格に構成できる。また定電流均衡作用により、IF−VF特性の異なる種類のLEDや直列個数の異なるLED回路を用いても均衡した電流を流すことができ、回路設計の自由度が拡大する。また定電流均衡作用により、従来方式のVFの低いLEDに電流が増大し、VF×IFによる発熱により部分的に温度上昇や寿命劣化を引き起こすこともなく信頼性の面でも安定した特性が得られる。さらに、実施の形態3や4では、LEDが長期間に順次短絡故障しても各ラインが定電流で維持されバランスしているので、短絡異常電流が流れず機器の安全性が保てる。
【0071】
なお、上記実施の形態(1〜5)に係るLED駆動回路は、放電管とLEDを併用する、いわゆるハイブリッドタイプのLED照明におけるLEDの駆動用としても応用することができる。
【0072】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るLED駆動回路は、液晶TV、モニター等の液晶バックライトインバータ、LED照明機器およびLED応用機器に広く応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態1に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すLED照明装置の回路を流れる電流を説明するグラフである。
【図3】上記LED照明装置の分流回路の変形例を示す回路図である。
【図4】実施の形態2に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図5】上記LED照明装置の分流回路の変形例を示す回路図である。
【図6】実施の形態2に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図7】実施の形態3に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図8】実施の形態4に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】従来のLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図10】LEDの順方向電流−順方向電圧特性(IF−VF特性)を説明するグラフである。
【図11】従来のLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0075】
1・101・201・301・401 LED照明装置
2・102・202・302・402 LED駆動回路
2a・102a・202a・302a・402a スイッチング電源回路
2b・102b・202b・302b・402b 分流回路
3・103・203・303・403 LED回路
4・104・204・304・404 PWM制御IC
5・105・205・305・405 スイッチング素子
7・107・207・407 (磁芯入)コイル
307 トランス
8・108・208・308・408 平滑コンデンサ
Vin DC入力電源
AC AC電源
9 109x〜109z・209x〜209z・309x〜309z・409x〜409z 分流コイル
10・11・110〜113・210〜113・310〜313・410〜413 ダイオード(逆流防止ダイオード)
255 355 フォトカプラ
a1〜d1・a2〜d2・p・Q・x・y ノード
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等のバックライトに用いられるLED(発光ダイオード)照明装置、特に、その駆動(点灯)回路(LED駆動回路)に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は従来のLED照明装置の回路図である。同図に示されるように、LED照明装置801は、入力電源Vin(直流電源)と、LED駆動回路と、4つのLED回路(803a〜803d)とを備える。LED駆動回路は、PWM制御IC804、スイッチング素子805、ダイオード806、コイル807、抵抗Ra〜Rdおよび平滑コンデンサ808を備える。なお、LED回路803aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路803bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路803cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路803dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。コイル807の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル807の他方端と、ダイオード806のアノードと、スイッチング素子805の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子805の制御端子(ゲート)はPWM制御IC804に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。ダイオード806のカソードは平滑コンデンサ808を介して入力電源Vinのマイナスに接続されており、さらに、ダイオード806のカソード、平滑コンデンサ808の第1電極およびノードa1〜ドd1が互いに接続されるとともに、ノードa2〜d2がそれぞれ、抵抗Ra〜Rdを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。例えば、ノードa2は抵抗Raを介して入力電源Vinのマイナスに接続され、ノードb2は抵抗Rbを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。これにより、ダイオード806のカソードと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路803a〜803dが並列に配される。また、ノードa2はPWM制御IC804の電流フィードバック入力にも接続される。
【0003】
上記駆動回路は、ステップアップコンバータ(ブーストコンバータ)を構成し、スイッチング素子805のON期間にコイル807(コイル)にエネルギーを蓄積し、OFF期間に、上記エネルギーに基づく起電圧と入力電圧とを重畳させて平滑コンデンサ808および各LED回路(803a〜803d)に与える。ここで、LED回路803aに流れる電流値を抵抗Raで検出してPWM制御IC804に電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子805のデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。これにより、LED回路803aに流れる電流を定電流とすることができる。
【0004】
ここで、LED回路803a〜803dは並列であるため、LED回路803aの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)と、LED回路803c〜803dのIF−VF特性とが一致していれば、LED回路803c〜803dにもLED回路803aを流れる電流IFaと等しい定電流(IFb〜IFd)を流すことが可能である。
【0005】
図11も従来のLED照明装置の回路図である。同図に示されるように、LED照明装置901は、入力電源Vin(直流電源)と、LED駆動回路と、LED回路903a〜903dとを備える。LED駆動回路は、PWM制御IC904a〜904d、スイッチング素子905a〜905d、ダイオード906a〜906d、コイル907a〜907d、平滑コンデンサ908a〜908dおよび抵抗ra〜rdを備える。なお、LED回路903aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路903bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路903cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され、LED回路903dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0006】
ここで、図11の回路を部材903a〜908aおよびraを含む回路Aと、部材903b〜908bおよびrbを含む回路Bと、部材903c〜908cおよびrcを含む回路Cと、部材903d〜908dおよびrdを含む回路Dとに分けてみると、各回路(A〜D)の構成・作用は同一である。
【0007】
例えば回路Aについて説明すると、コイル907aの一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル907aの他方端と、ダイオード906aのアノードと、スイッチング素子905aの第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子905aの制御端子(ゲート)はPWM制御IC904aに接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。ダイオード906aのカソードは平滑コンデンサ908aを介して入力電源Vinのマイナスに接続されており、さらに、ダイオード906aのカソード、平滑コンデンサ908aの第1電極およびノードa1が互いに接続されるとともに、ノードa2が抵抗raを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。そして、スイッチング素子905aのON期間にコイル907a(コイル)にエネルギーが蓄積され、OFF期間に、上記エネルギーに基づく起電圧と入力電圧とが重畳されて平滑コンデンサ908aおよびLED回路903aに与えられる。ここで、LED回路903aに流れる電流値を抵抗raで検出してPWM制御IC904aに電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子905aのデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。これにより、LED回路903aに流れる電流を定電流とすることができる。
【0008】
上記構成によれば、回路A〜Dにおいて電流IFa〜IFdを個別に制御できる。したがって、LED回路903a〜903dの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)にばらつきがあっても各LED回路903a〜903dに流れる電流を等しくし、各LED回路(903a〜903d)の発光量(輝度)を等しくすることができる。
【0009】
なお、関連技術を開示した公知文献として以下の特許文献1〜10を挙げることができる。
【特許文献1】特開2004−319583公報(公開日:2004年11月11日)
【特許文献2】特開2002−8409公報(公開日:2002年1月11日)
【特許文献3】特開平11−67471号公報(公開日:1993年3月9日)
【特許文献4】特開2004−253364公報(公開日:2004年9月9日)
【特許文献5】特開2004−51014公報(公開日:2004年2月19日)
【特許文献6】特開平8−194448号公報(公開日:1996年7月30日)
【特許文献7】特開2000−12907号公報(公開日:2000年1月14日)
【特許文献8】特開2004−335443公報(公開日:2004年11月25日)
【特許文献9】特開昭56−86495号公報(公開日:1981年5月14日)
【特許文献10】特開昭59−108297公報(公開日:1984年6月22日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した各LED回路は直列接続された10個のLEDを含むが、同じ型名のLEDであっても、順方向電流−順方向電圧特性にばらつきがある。例えば、ある型名のLEDでは、図10に示すように、IF35mAにおけるVFが、2.2V(最小)〜2.5V(標準)〜3.0V(最大)の範囲で変動する。
【0011】
このように、各LEDの順方向電流−順方向電圧特性がばらつくと、これらを複数接続したLED回路の順方向電流−順方向電圧特性も当然ばらつくことになる。すなわち、図10のLED照明装置801では、LED回路103aの順方向電流−順方向電圧特性(以下、IF−VF特性)と、LED回路803c〜803dのIF−VF特性とが一致しないことになる。こうなると、LED回路803c〜803dには、LED回路803aとは異なる電流が流れ、各LED回路(803a〜803d)間で発光量(輝度)の不均衡が生じてしまう。このような不具合は、照明や大型液晶バックライトの面光源等の応用場面において、発光量の不揃いで輝度ムラ等が発生する、電流値の相違により温度上昇や寿命に差が発生するといった問題を招来し、製品品位を著しく低下させる。
【0012】
一方、図11のLED照明装置901では、各LED回路903a〜903dに流れる電流(IFa〜IFd)を等しくすることが可能であるものの、部品点数増加に伴う故障率上昇(歩留まり悪化)、製造コスト上昇の問題がある。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列された複数のLED回路に等しい電流を流すことのできるLED駆動回路を簡易な構成で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のLED駆動回路は、上記課題を解決するために、時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイル(の一方端同士)がタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備える。
【0015】
上記構成によれば、電流源によって生成された時間的に変化する電流が分流コイルに流れ込む。このとき、該分流コイルでは電磁結合作用が発生し、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性に関わりなく、電流源から流れ込んだ電流を2つの巻線数の逆比に分けることができる。そして、分流された電流を、各逆流防止ダイオードを介して、並列に配された平滑コンデンサおよびLED回路に与えることができる。
【0016】
これにより、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性が異なって(ばらついて)いても、各LED回路に等しい電流を流すことができる。この結果、各LED回路における光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コスト低く抑えることが可能となる。なお、上記分流コイルがタップを備えた1つのコイル形状であっても構わない。
【0017】
本発明のLED駆動回路は、上記課題を解決するために、時間的に変化する電流を生成する電流源と第1〜第4の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路と、第3の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第3のLED回路と、第4の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第4のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源が接続された第1の分流コイルと、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの一方端が接続された第2の分流コイルと、2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの他方端が接続された第3の分流コイルと、上記第2の分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、上記第2分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードと、上記第3の分流コイルの一方端および上記第3の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第3の逆流防止ダイオードと、上記第3分流コイルの他方端および上記第4の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第4の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とする。
【0018】
上記構成のように複数の分流コイルを用いることで、多数(3以上)のLED回路を駆動することが可能となる。なお、分流コイルを2つ用い、一方の分流コイルの一方端を他の分流コイルのタップに接続するとともに他方端を逆流防止ダイオードに接続することで3つのLED回路を駆動することも可能である。
【0019】
上記LED駆動回路においては、上記電流源を、DC電源に接続するコイルと、該コイルに接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流に基づいてスイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源で構成することもできる。
【0020】
本LED駆動回路においては、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁し、上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させる(フォトカプラを含む検出回路で検出する)構成とすることもできる。このように、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁することで、平滑コンデンサやLED回路に短絡故障が発生しても負荷側に異常電流が流れることを防止することができる。
【0021】
また、本LED駆動回路においては、上記電流源と各LED回路とが電気的に絶縁され、
上記電流源は、整流回路を介してAC電源に接続するトランスと、該トランスの一次巻線に接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させて(フォトカプラを含む検出回路で検出し)該スイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であっても構わない。このように、上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁することで、平滑コンデンサやLED回路に短絡故障が発生しても負荷側に異常電流が流れることを防止できる。
【0022】
また、本発明のLED照明装置は、上記LED駆動回路を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のバックライトは、上記LED駆動回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、電流源によって生成された時間的に変化する電流が分流コイルに流れ込む。このとき、該分流コイルでは電磁結合作用が発生し、第1および第2のLED回路の順方向電流−順方向電圧特性に関わりなく、電流源から流れ込んだ電流を2つの巻線数の逆比に分けることができる。そして、分流された電流を、各逆流防止ダイオードを介して、並列に配された平滑コンデンサおよびLED回路に与えることができる。これにより、各LED回路の順方向電流−順方向電圧特性が異なっていても、各LED回路に所望の電流(例えば、等しい電流)を流すことができる。この結果、各LED回路における光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
本発明のLED駆動回路の一実施形態を説明すれば以下のとおりである。図1は、実施の形態1に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0026】
同図に示されるように、本LED照明装置1は、入力電源Vinと、スイッチング電源回路2aおよび分流回路2bを備えるLED駆動回路2と、2つのLED回路3a・3bとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路2aは、PWM制御IC4、スイッチング素子5(NチャネルMOSトランジスタ)、ダイオード6、コイル7、平滑コンデンサ8a・8bおよび抵抗R1を備え、分流回路2bは、分流コイル(インダクタ)9およびダイオード10・11(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル9は、同一磁心(コア)に巻かれた巻線n1(巻数n1)および巻線n2(巻数n2)がセンタータップ(中継端子)を介して接続された構成である。また、LED回路3aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路3bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0027】
本LED駆動回路2において、コイル7の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル7の他方端と、ダイオード6のアノードと、スイッチング素子5の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子5の制御端子(ゲート)はPWM制御IC4に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。
【0028】
ここで、ダイオード6のカソードは分流コイル9のセンタータップに接続され、この分流コイル9の一方端はダイオード10のアノードに接続されるとともに、他方端はダイオード11のアノードに接続されている。
【0029】
また、ダイオード10のカソードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ8aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード11のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ8bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。さらに、ノードa2は、PWM制御IC4の電流フィードバック入力に接続されるとともに抵抗R1を介して入力電源Vinのマイナスに接続され、ノードb2も入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル9のセンタータップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路3a・3bが並列に配される。
【0030】
スイッチング電源回路2aは、ステップアップコンバータ(ブーストコンバータ)を構成しており、スイッチング素子5のON期間にコイル7にエネルギーを蓄積し、OFF期間にこのエネルギーに基づく起電圧と入力電圧とを重畳させることで生成される電流IF’をダイオード6を介して分流コイル9のセンタータップに流す。これにより、分流コイル9の巻線n1(ダイオード10)および巻線n2(ダイオード11)には、電磁結合作用により、それぞれの巻数比の逆比に応じた分流電流IF1およびIF2が流れる。巻数比n1:n2を1:1とすればIF1:IF2=1:1となり、巻数比n1:n2を2:1とすればIF1:IF2=1:2となる。
【0031】
分流電流IF1は、分流回路2bのダイオード10を介して平滑コンデンサ8aおよびLED回路3aに流れ、分流電流IF2は、分流回路2bのダイオード11を介して平滑コンデンサ8bおよびLED回路3bに流れる。巻数比n1:n2を1:1とした場合、図2に示すように、スイッチング素子5のoff期間の電流IF’(ダイオード6に流れる電流)は、スイッチング素子5ターンoff時の電流Idの電流値を最大とし、時間とともに減衰する。これにより、分流電流IF1およびIF2も減衰するが、平滑コンデンサ8a・8bの作用(充電)によってLED回路3a・3bには、平滑された同じ値の直流定電流IFa・IFb(図2参照)が流れる。また、スイッチング素子5のoff期間にはIF’並びに分流電流IF1およびIF2はともに0となるが、平滑コンデンサ8a・8bの作用(放電)によってLED回路3a・3bには平滑された同じ値の直流定電流IFa・IFb(図2参照)が流れる。
【0032】
ここで、LED回路3aに流れる電流値を抵抗R1で検出してPWM制御IC4に電流帰還をかけ、これに基づいてスイッチング素子5のデューティレシオ(on時間とoff時間の比)を制御する。このLED駆動回路2の一連の作用によって、LED回路3aおよびLED回路3bの順方向電流−順方向電圧特性が異なっていても、各LED回路3a・3bに等しい電流を流すことができる。このように、本LED駆動回路2によれば、各LED回路3a・3bにおける光量(輝度)の不揃い、電流値の相違による温度上昇や寿命差の発生といった問題を解決でき、シンプルな構成でもって高品位の製品を提供できる。また、製造コスト低く抑えることが可能となる。
【0033】
また、各LED回路3a・3bにおいて、順方向電流−順方向電圧特性の異なるLED(例えば、色の異なるLED)を接続したり、LEDの個数が異なっていても、本LED駆動回路2によれば、各LED回路3a・3bを流れる電流を均衡させることができ、各LED回路3a・3bの発光量を等しく保つことが可能になる。
【0034】
なお、ダイオード6を省略し、コイル7の一方端および分流コイル9のセンタータップを直接接続することも可能である。
【0035】
また、分流回路2bの変形例を図3に示す。同図に示すように、本LED駆動回路2の分流回路を、同一磁心に巻かれた巻数n1および巻数n2の2つの巻線の一方端部同士を接続してセンタータップとし、各他端部をダイオード10およびダイオード11のアノードに接続するような構成とすることもできる。
【0036】
〔実施の形態2〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図4は、実施の形態2に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0037】
同図に示されるように、本LED照明装置101は、入力電源Vinと、スイッチング電源回路102aおよび分流回路102bを備えるLED駆動回路102と、4つのLED回路103a〜103dとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路102aは、PWM制御IC104、スイッチング素子105、ダイオード106、コイル107、平滑コンデンサ108a〜108dおよび抵抗R2を備え、分流回路102bは、分流コイル109x〜109zおよびダイオード110〜113(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル109x〜109zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路103aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路103bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路103cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路103dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0038】
本LED駆動回路102においては、コイル107の一方端は入力電源Vinのプラスに接続され、このコイル107の他方端と、ダイオード106のアノードと、スイッチング素子105の第1導通端子(ドレイン)とが互いに接続されている。なお、スイッチング素子105の制御端子(ゲート)はPWM制御IC104に接続され、第2導通端子(ソース)は入力電源Vinのマイナスに接続されている。
【0039】
ここで、ダイオード106のカソードは分流コイル109xのセンタータップに接続され、この分流コイル109xの一方端はコイル109yのセンタータップに接続され、他方端はコイル109zのセンタータップに接続される。また、分流コイル109yの一方端はダイオード110のアノードに接続され、他方端はダイオード111のアノードに接続される。また、分流コイル109zの一方端はダイオード112のアノードに接続され、他方端はダイオード113のアノードに接続される。
【0040】
また、ダイオード110のカソードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード111のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード112のカソードは、ノードc1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108cを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード113のカソードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ108dを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。
【0041】
さらに、ノードa2は、PWM制御IC104の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R2を介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ノードb2、c2およびd2それぞれが入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル109xのセンタータップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路103a〜103dが並列に配される。
【0042】
ここで、各分流コイル(109x・109y・109z)の2つの巻線の巻数比を1:1とすれば、IF1(ダイオード110を流れる電流):IF2(ダイオード111を流れる電流):IF3(ダイオード112を流れる電流):IF4(ダイオード113を流れる電流)=1:1:1:1となり、4系統の電流を均衡させることができる。なお、さらに系統数を増加させる場合、例えば、分流コイル109yの2つの出力を新たに2つの分流コイル(各センタータップ)に接続し、分流コイル109zの2つの出力を新たに2つの分流コイル(各センタータップ)に接続すれば、8系統の電流均衡が可能となる。さらに系統数を増やす場合は同様に分流コイルの数を増やせばよい。なお、ダイオード106を削除して上記LED駆動回路102を構成することも可能である。
【0043】
また、図5のように、3つの分流コイル119x・119yを構成し、分流コイル119xの巻数比を2:1、分流コイル119yの巻数比を1:1とすれば、IF1(ダイオード120を流れる電流):IF2(ダイオード121を流れる電流):IF3(ダイオード122を流れる電流)=1:1:1となり、3系統の電流を均衡させることもできる。
【0044】
〔実施の形態3〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図6は、実施の形態3に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0045】
同図に示されるように、本LED照明装置201は、AC電源と、スイッチング電源回路202aおよび分流回路202bを備えるLED駆動回路202と、4つのLED回路203a〜203dとを備える。AC電源に接続するスイッチング電源回路202aは、ブリッジダイオード220、コンデンサ221、抵抗Ra・Rb、PWM制御IC204、スイッチング素子205(PチャネルMOSトランジスタ)、コイル207(磁芯入)、平滑コンデンサ208a〜208d、フォトカプラ255(発光用および受光用)および抵抗R3・4を備え、分流回路202bは、分流コイル209x〜209zおよびダイオード210〜213(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル209x〜209zは、同一磁芯(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路203aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路203bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路203cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路203dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0046】
本LED駆動回路202においては、ブリッジダイオード220の各入力端子がAC電源に接続され、ブリッジダイオード220のプラス端子がコイル207の一方端に接続され、このコイル207の他方端と、スイッチング素子205の第1導通端子(ドレイン)と、分流コイル209xのセンタータップとが互いに接続されている。なお、スイッチング素子205の制御端子(ゲート)はPWM制御IC204に接続され、第2導通端子(ソース)は、PWM制御IC204の電流フィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R4を介して、ブリッジダイオード220のマイナス端子に接続するノードPに接続されている。さらに、ブリッジダイオード220のプラス端子は抵抗Raを介してノードQに接続され、ノードP・Q間には、抵抗Rbおよびコンデンサ221が並列に接続されている。なお、ノードP・QはPWM制御IC204にも接続されている。
【0047】
ここで、分流コイル209xの一方端はコイル209yのセンタータップに接続され、一方端はコイル209zのセンタータップに接続される。また、分流コイル209yの一方端はダイオード210のアノードに接続され、他方端はダイオード211のアノードに接続される。また、分流コイル209zの一方端はダイオード212のアノードに接続され、他方端はダイオード213のアノードに接続される。
【0048】
また、ダイオード210のカソードはノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ208aを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード211のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ208bを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード212のカソードは、ノードc1に接続されるとともに平滑コンデンサ208cを介してノードxに接続されている。同様に、ダイオード213のカソードは、ノードd1に接続されるとともに平滑コンデンサ208dを介してノードxに接続されている。
【0049】
さらに、ノードa2は、フォトカプラ255を介してPWM制御IC204の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R3を介してノードxに接続されている。また、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれがノードxに接続されている。さらに、ノードxはコイル207の一方端およびブリッジダイオード220のプラス端子に接続されている。
【0050】
本実施の形態に係るLED照明装置201においては、AC電源からブリッジダイオード220で整流した電圧を直接スイッチング素子205でスイッチングし、そのon期間中にコイル207に蓄積したエネルギーだけをそのoff期間に電流ループAによって分流回路202b(ひいてはLED回路203a〜203d)に供給する。
【0051】
本構成では、昇圧回路側(電流源)と負荷(分流回路209x〜209zおよびLED回路203a〜203d)とでGNDを共通にしない(AC電源と負荷を並列に接続しない)。PWM制御IC204への電流帰還にはフォトカップラ255にて行う。これにより、負荷に流れた電流を、図中に示すループAによって、昇圧エネルギーを蓄積するコイル207の入力に帰すことができ、昇圧エネルギーだけを負荷側へ供給することができる。
【0052】
したがって、平滑コンデンサ208a〜208dまたはLED回路203a〜203dが短絡故障した場合でも、コイル207に蓄積されたエネルギーだけが放出され、定電流作動を維持することができる。この結果、AC電源から過大な短絡電流が流れることで発生する発煙事故や配線パターンの焼損等といった問題を回避でき、機器の安全設計を図ることができる。
【0053】
〔実施の形態4〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図7は、実施の形態4に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0054】
同図に示されるように、本LED照明装置301は、AC電源と、スイッチング電源回路302aおよび分流回路302bを備えるLED駆動回路302と、4つのLED回路303a〜303dとを備える。AC電源に接続するスイッチング電源回路302aは、ブリッジダイオード320、PWM制御IC304、スイッチング素子305、巻線Np・Nqを有するトランス307、ダイオード306、平滑コンデンサ308a〜308d、フォトカプラ355(発光用および受光用)および抵抗R5・6を備え、分流回路302bは、分流コイル309x〜309zおよびダイオード310〜313(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル309x〜309zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路303aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路303bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路303cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路303dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0055】
本LED駆動回路302においては、ブリッジダイオード320の各入力端子がAC電源に接続されており、巻線Npの一方端はブリッジダイオード320のプラス端子に接続され、他方端はスイッチング素子305の第1導通端子(ドレイン)に接続されている。なお、スイッチング素子305の制御端子(ゲート)はPWM制御IC304に接続され、第2導通端子(ソース)は、PWM制御IC304の電流フィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R6を介して、ブリッジダイオード320のマイナス端子に接続されている。
【0056】
ここで、巻線Nqの一方端はダイオード306を介して分流コイル309xのセンタ−タップに接続され、他方端はノードxに接続されている。分流コイル309xの一方端はコイル309yのセンタータップに接続され、一方端はコイル309zのセンタータップに接続される。また、分流コイル309yの一方端はダイオード310のアノードに接続され、他方端はダイオード311のアノードに接続される。また、分流コイル309zの一方端はダイオード312のアノードに接続され、他方端はダイオード313のアノードに接続される。
【0057】
また、ダイオード310のカソードはノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308aを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード311のカソードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308bを介してノードxに接続される。同様に、ダイオード312のカソードは、ノードc1に接続されるとともに平滑コンデンサ308cを介してノードxに接続されている。同様に、ダイオード313のカソードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ308dを介してノードxに接続されている。
【0058】
さらに、ノードa2は、フォトカプラ355を介してPWM制御IC304の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R5を介してノードxに接続されている。また、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれがノードxに接続されている。
【0059】
本実施の形態に係るLED照明装置301においては、AC電源をブリッジダイオード320で全波整流した電圧をトランス307のNp巻線に印加しつつ、スイッチング素子305をスイッチングさせる。すなわち、スイッチング素子305のオン期間にNp巻線へ1次電流Idを流してエネルギーを蓄積し、そのオフ期間に、このNp巻線に蓄積したエネルギーによってNs巻線に誘導起電力を発生させる。この誘導起電力により発生した電流はダイオード306で整流し、2次電流IF’として分流コイル309xのセンタータップに入力する。分流コイル309xではIF1+2、IF3+4に分流され、それらは更に分流コイル309y、309zへ入力され、それぞれIF1・2とIF3・4に分流される。分流された電流は、平滑コンデンサC308a〜308dおよび各LED回路303a〜303dへ供給される。
【0060】
また、R5でLED回路303aに流れる電流を検出し、フォトカップラ355を介して1次側のPWM制御IC404にフィードバックさせる。これにより、IF’=(IF1+IF2+IF3+IF4)の定電流制御が可能となる。この2次電流IF’は図2と同じくスイッチング素子305のスイッチングのオフ期間毎に発生し、時間の経過と共に減衰する電流波形である。このため、分流コイルに電磁誘導を発生させることができ、本発明の分流回路(分流コイルおよび逆流防止ダイオードで構成される回路)を応用できる。
【0061】
また、絶縁型コンバータを介して蓄積されたエネルギーを2次側に出力するため、AC電源と負荷は並列に接続されない。したがって、平滑コンデンサ308a〜308dまたはLED回路303a〜303d短絡故障等があっても過大電流が流れることがなく安全である。なお、絶縁型コンバータは、図7に示すような1石式でも良いし、多石式でも構わない。
【0062】
〔実施の形態5〕
本LED駆動回路の他の実施形態を説明すれば以下のとおりである。図8は、実施の形態5に係るLED照明装置の構成を示す回路図である。
【0063】
同図に示されるように、本LED照明装置401は、(DC)入力電源Vinと、スイッチング電源回路402aおよび分流回路402bを備えるLED駆動回路402と、4つのLED回路403a〜403dとを備える。入力電源Vinに接続するスイッチング電源回路402aは、PWM制御IC404、スイッチング素子405(PチャネルMOSトランジスタ)、ダイオード406、コイル407、平滑コンデンサ408a〜408dおよび抵抗R7・8を備え、分流回路402bは、分流コイル409x〜409zおよびダイオード410〜413(逆流防止ダイオード)を備える。ここで、分流コイル409x〜409zは、同一磁心(コア)に巻かれた2つの巻線がセンタータップを介して接続された構成である。また、LED回路403aは、ノードa1およびノードa2間に10個のLEDが直列に接続された構成であり、同様に、LED回路403bでは、ノードb1およびノードb2間に10個のLEDが直列に接続され、同様に、LED回路403cでは、ノードc1およびノードc2間に10個のLEDが直列に接続され同様に、LED回路403dでは、ノードd1およびノードd2間に10個のLEDが直列に接続されている。
【0064】
本LED駆動回路402において、スイッチング素子405の第1導通端子(ソース)が入力電源Vinのプラスに接続され、このスイッチング素子405の第2導通端子(ドレイン)と、ダイオード406のカソードと、コイル407の一方端が互いに接続されている。なお、コイル407の他方端はノードyに接続されており、このノードyはPWM制御IC404のフィードバック入力に接続されるとともに、抵抗R7を介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、スイッチング素子405の制御端子(ゲート)はPWM制御IC404に接続される。
【0065】
ここで、ダイオード406のアノードは分流コイル409xのセンタータップに接続され、この分流コイル409xの一方端はコイル409yのセンタータップに接続され、一方端はコイル409zのセンタータップに接続される。また、分流コイル409yの一方端はダイオード410のカソードに接続され、他方端はダイオード411のカソードに接続される。また、分流コイル409zの一方端はダイオード412のカソードに接続され、他方端はダイオード413のカソードに接続される。
【0066】
また、ダイオード410のアノードは、ノードa1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408aを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。同様に、ダイオード411のアノードは、ノードb1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408bを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード412のアノードは、ノードc1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408cを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。また、ダイオード413のアノードは、ノードd1に接続されるとともに、平滑コンデンサ408dを介して入力電源Vinのマイナスに接続される。
【0067】
さらに、ノードa2は、PWM制御IC404の電流フィードバック入力にも接続されるとともに抵抗R7を介して入力電源Vinのマイナスに接続され、PWM制御IC404、ノードb2、ノードc2およびノードd2それぞれも入力電源Vinのマイナスに接続されている。これにより、分流コイル409xのタップと入力電源Vinのマイナスとの間にLED回路403a〜403dが並列に配される。
【0068】
本実施の形態のLED駆動回路402は、反転チョッパー回路に分流コイル409x〜409zと逆流防止ダイオード410〜413を付加したものである。すなわち、スイッチング素子405のオン期間中に入力電圧Vinから点線で示すIdでコイル407にエネルギーを蓄積する。このとき負荷側へはダイオード406またはダイオード410〜413によって阻止されるため電流は流れない。次にスイッチング素子405がオフしたときコイル407に流れていたIdは遮断され、蓄積されたエネルギーはIF’のループで流れ続け、エネルギーを負荷へ放出する。この電流IF’も時間と共に減衰する電流波形であり、この電流ループに分流コイル409x〜409zと逆流防止ダイオード410〜413を挿入することにより各LED回路403a〜403dに均衡した電流を流すことができる。本回路の動作原理は実施の形態4(図7参照)と類似するが、図7のトランス307を図8ではコイル407にしているため、負荷に印加する電圧が負電圧となることが異なっている。
【0069】
さらに、入力電圧VinとLED回路403a〜403dとの間にダイオード406が介在し、両者が並列に接続されていないため、平滑コンデンサ408a〜408dまたはLED回路403a〜403dに短絡故障等があっても過大電流が流れることがなく安全である。
【0070】
上記各実施の形態によれば、並列接続された各LEDのIF−VF特性が異なっても分流回路の作用で電流を均等に分流することができ、各LED回路には等しい定電流あるいは所望の電流を流すことができ、発光量を均衡させることができる。これにより、面光源の明るさを均一にすることが可能となる。また、定電流均衡作用が実現し、従来のようにLED回路ごとに定電流制御する必要がなくなるため、回路をシンプルに低価格に構成できる。また定電流均衡作用により、IF−VF特性の異なる種類のLEDや直列個数の異なるLED回路を用いても均衡した電流を流すことができ、回路設計の自由度が拡大する。また定電流均衡作用により、従来方式のVFの低いLEDに電流が増大し、VF×IFによる発熱により部分的に温度上昇や寿命劣化を引き起こすこともなく信頼性の面でも安定した特性が得られる。さらに、実施の形態3や4では、LEDが長期間に順次短絡故障しても各ラインが定電流で維持されバランスしているので、短絡異常電流が流れず機器の安全性が保てる。
【0071】
なお、上記実施の形態(1〜5)に係るLED駆動回路は、放電管とLEDを併用する、いわゆるハイブリッドタイプのLED照明におけるLEDの駆動用としても応用することができる。
【0072】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るLED駆動回路は、液晶TV、モニター等の液晶バックライトインバータ、LED照明機器およびLED応用機器に広く応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態1に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すLED照明装置の回路を流れる電流を説明するグラフである。
【図3】上記LED照明装置の分流回路の変形例を示す回路図である。
【図4】実施の形態2に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図5】上記LED照明装置の分流回路の変形例を示す回路図である。
【図6】実施の形態2に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図7】実施の形態3に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図8】実施の形態4に係るLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】従来のLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図10】LEDの順方向電流−順方向電圧特性(IF−VF特性)を説明するグラフである。
【図11】従来のLED照明装置の回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0075】
1・101・201・301・401 LED照明装置
2・102・202・302・402 LED駆動回路
2a・102a・202a・302a・402a スイッチング電源回路
2b・102b・202b・302b・402b 分流回路
3・103・203・303・403 LED回路
4・104・204・304・404 PWM制御IC
5・105・205・305・405 スイッチング素子
7・107・207・407 (磁芯入)コイル
307 トランス
8・108・208・308・408 平滑コンデンサ
Vin DC入力電源
AC AC電源
9 109x〜109z・209x〜209z・309x〜309z・409x〜409z 分流コイル
10・11・110〜113・210〜113・310〜313・410〜413 ダイオード(逆流防止ダイオード)
255 355 フォトカプラ
a1〜d1・a2〜d2・p・Q・x・y ノード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、
該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、
該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
時間的に変化する電流を生成する電流源と第1〜第4の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路と、第3の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第3のLED回路と、第4の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第4のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源が接続された第1の分流コイルと、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの一方端が接続された第2の分流コイルと、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの他方端が接続された第3の分流コイルと、
上記第2の分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、
上記第2分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードと、
上記第3の分流コイルの一方端および上記第3の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第3の逆流防止ダイオードと、
上記第3分流コイルの他方端および上記第4の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第4の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項3】
上記電流源は、DC電源に接続するコイルと、該コイルに接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流に基づいてスイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であることを特徴とする請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項4】
上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁し、
上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させることを特徴とする請求項3記載のLED駆動回路。
【請求項5】
上記電流源と各LED回路とが電気的に絶縁され、上記電流源は、整流回路を介してAC電源に接続するトランスと、該トランスの一次巻線に接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流をフォトカプラを介して帰還させ、該スイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であることを特徴とする請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED駆動回路を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED駆動回路を備えることを特徴とするバックライト。
【請求項1】
時間的に変化する電流を生成する電流源と第1および第2の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源で生成された電流が流れ込むように構成された分流コイルと、
該分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、
該分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
時間的に変化する電流を生成する電流源と第1〜第4の平滑コンデンサとを備え、第1の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第1のLED回路と、第2の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第2のLED回路と、第3の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第3のLED回路と、第4の平滑コンデンサと並列に配され、1つあるいは直列接続された複数のLEDからなる第4のLED回路とを駆動するLED駆動回路であって、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記電流源が接続された第1の分流コイルと、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの一方端が接続された第2の分流コイルと、
2つのコイルがタップを介して接続されるとともに該タップに上記第1の分流コイルの他方端が接続された第3の分流コイルと、
上記第2の分流コイルの一方端および上記第1の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第1の逆流防止ダイオードと、
上記第2分流コイルの他方端および上記第2の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第2の逆流防止ダイオードと、
上記第3の分流コイルの一方端および上記第3の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第3の逆流防止ダイオードと、
上記第3分流コイルの他方端および上記第4の平滑コンデンサの一方電極間に接続された第4の逆流防止ダイオードとを備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項3】
上記電流源は、DC電源に接続するコイルと、該コイルに接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流に基づいてスイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であることを特徴とする請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項4】
上記電流源と各LED回路とを電気的に絶縁し、
上記第1のLED回路に流れる電流を、フォトカプラを介して帰還させることを特徴とする請求項3記載のLED駆動回路。
【請求項5】
上記電流源と各LED回路とが電気的に絶縁され、上記電流源は、整流回路を介してAC電源に接続するトランスと、該トランスの一次巻線に接続するスイッチング素子と、上記第1のLED回路に流れる電流をフォトカプラを介して帰還させ、該スイッチング素子のON/OFFを制御する制御回路とを含むスイッチング電流源であることを特徴とする請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED駆動回路を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED駆動回路を備えることを特徴とするバックライト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−319221(P2006−319221A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141906(P2005−141906)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(592136761)シャープ新潟電子工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(592136761)シャープ新潟電子工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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