説明

LUCA2およびそれに結合する抗体

本発明は、疾患および癌に関連する抗原であるLUCA2の同定および特徴付けを提供する。本発明は、抗原LUCA2に結合するモノクローナル抗体のファミリー、LUCA2を発現する様々なヒトの癌および疾患を診断し、処置する方法も提供する。本発明の一局面では、ヒトの様々な癌上で発現されるLUCA2に結合するLUCA2アンタゴニスト、モジュレーター、およびモノクローナル抗体を提供する。LUCA2は、上皮細胞、および好中球などの、様々な細胞上で発現される、新規なN−連結した炭水化物の標的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学および免疫療法の分野である。より詳しくは、本発明は、疾患および癌に関連する新規な抗原であるLUCA2、ならびにLUCA2に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体および他のポリペプチドに関する。本発明は、抗LUCA2抗体を含めた、LUCA2に結合するアンタゴニスト、モジュレーター、およびペプチドを用いて、LUCA2に関連する様々なヒト疾患および癌の診断および/または処置をさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
抗体は、診断における知られている使用の他に、治療物質として有用であることが示されている。例えば、免疫療法、または治療目的での抗体の使用は、近年、癌を処置するために用いられている。受動的な免疫療法は、癌の処置におけるモノクローナル抗体の使用を伴う。例えば、非特許文献1を参照されたい。これらの抗体は、腫瘍細胞の増殖または生存を直接阻害することにより、および身体の免疫系の天然の細胞死滅活性を補充する能力により、固有の治療上の生物学的活性を有することができる。これらの物質は、単独で、または放射線もしくは化学療法剤と組み合わせて投与することができる。リツキシマブおよびトラスツズマブは、それぞれ、非ホジキンリンパ腫および乳癌の処置に認可されており、そのような治療法の2例である。あるいは、抗体を用いて、抗体が毒性物質に連結し、腫瘍に特異的に結合することによりその物質を腫瘍に向けさせる抗体コンジュゲートを作製することができる。ゲムツズマブオゾガミシンは、白血病の処置に用いられる認可された抗体コンジュゲートの一例である。癌細胞に結合し、診断および治療のための潜在的な使用を有するモノクローナル抗体が、刊行物に開示されている。例えば、とりわけ、ある分子量の標的タンパク質を開示している以下の特許出願:特許文献1(200kD c−erbB−2(Her2)、およびサイズ40〜200kDの他の知られていない抗原)、および特許文献2(50kDおよび55kDの癌胎児性タンパク質)を参照されたい。臨床試験における、および/または固形腫瘍の処置に認可されている抗体の例には、トラスツズマブ(抗原:180kD、HER/neu)、エドレコロマブ(Edrecolomab)(抗原:40〜50kD、Ep−CAM)、抗ヒト乳脂肪球(HMFG1)(抗原>200kD、HMW Mucin)、セツキシマブ(抗原:150kDおよび170kD、EGF受容体)、アレムツズマブ(抗原:21〜28kD、CD52)、ならびにリツキシマブ(抗原、35kD、CD20)が含まれる。
【0003】
乳癌を処置するために用いられているトラスツズマブの抗原標的(Her−2受容体)、およびいくつかの癌の処置に対して臨床試験中であるセツキシマブの抗原標的(EGF受容体)は、皮膚、結腸、肺、卵巣、肝臓、および膵臓を含む、多数のヒト成人正常組織に、いくらかの検出可能なレベルで存在する。これらの治療法を用いる上での安全性の限界は、これらの部位における抗体の発現のレベルの相違、または抗体のアクセスもしくは活性の相違により、おそらく提供される。
【0004】
抗体療法は、癌の標的の他に、慢性の炎症、および他の免疫障害に対して有効であることも示されている。免疫障害の処置に認可されている抗体療法の一例は、インフリキシマブ(抗原:TNFα)である。
【0005】
別のタイプの免疫療法は、特定の癌に存在する抗原、または抗原の発現を導くDNA構築物を用いた能動免疫療法、またはワクチン接種であり、次いで、これにより、個体における免疫反応が誘起されて、すなわち、自身の癌に対する抗体を能動的に生成するように個体が誘発される。能動免疫は、受動免疫療法または免疫毒素ほど多用されていない。
【0006】
疾患の(癌を含む)進行のいくつかのモデルが、提案されている。理論の範囲は、単一の感染性の/形質転換の事象による因果関係から、最終的に、完全な病原性能力、または悪性能力を有する組織タイプに至る、徐々に進む「疾患様」または「癌様」組織タイプの進展に及ぶ。癌では、例えば、1回の突然変異の事象は悪性腫瘍を引き起こすのに十分であると論じる者もあり、一方、引き続き改変が起こることも必要であると論じる者もある。他に、突然変異性の負荷および腫瘍の段階の増大が、細胞レベルでの突然変異−選択事象の連続による新形成の開始および進行の両方に必要であると提唱する者もいる。癌の標的には、腫瘍組織だけで見出されるものもあり、正常組織に存在し、上方制御され、かつ/または腫瘍組織で過剰発現されるものもある。このような場合では、過剰発現は悪性の獲得に関連すると提唱する研究者もあり、一方、過剰発現は疾患状態の増大への経路に沿った傾向のマーカーにすぎないと提唱する研究者もある。
【0007】
理想的な診断用および/または治療用の抗体であれば、多数の癌の上に存在するが、任意の正常組織上には存在しないか、または低レベルでのみ存在する抗原に特異的であろう。癌に特異的に関連する新規な抗原の、発見、特徴付け、および単離は、多くの方法で有用である。まず、抗原は、抗原に対するモノクローナル抗体を作成するのに用いることができる。抗体は、癌細胞に対して生物学的活性を有するのが理想的であり、外来の抗原に対する免疫系の反応を補充することができる。抗体は、治療として、単独で、または現在の処置と組み合わせて投与することができ、あるいは毒性物質に連結した免疫複合体を調製するのに用いることができる。単独で投与した場合に特異性が同じであるが生物学的活性が低いまたは活性がない抗体も、抗体を用いて放射性同位体、毒素、または化学療法剤もしくは化学療法剤を含むリポソームとの免疫複合体を調製することができるという点で有用であることができ、複合型は、毒素を抗原含有細胞に向けさせる抗体によって生物学的に活性である。
【0008】
理想的な診断用および/または治療用の抗体に望ましい一態様は、様々な癌に関連する抗原の発見および特徴付けである。非癌性の細胞上での発現が限られている、数々のタイプの癌上で発現される抗原(例えば、「汎癌」抗原)は殆どない。そのような抗原を単離および精製すれば、抗原を標的にする抗体(例えば、診断用または治療用の)を作成するのに有用である。「汎癌」抗原に結合する抗体は、唯一の特定のタイプの癌に関連する抗原に対する抗体とは対照的に、異なる組織で見出される様々な癌を標的にすることができ得る。抗原は、また、薬物の発見(例えば、小分子)に有用であり、細胞の調節、増殖、および分化のさらなる特徴付けに有用である。
【0009】
抗体および細胞表面の標的を特異的に認識する他の物質で、そのような疾患および/または癌を診断し、処置するのに用いることができる、罹患している、および/または癌の細胞の表面上の新規な標的が必要とされている。LUCA2の疾患促進性の活性を低減し、または増大することのいずれかにより変調することができる細胞の表面上の標的を特異的に認識する新規な抗体および他の物質に対するさらなる必要性が、本明細書に開示する発見に基づいて存在する。
【特許文献1】米国特許第6054561号明細書
【特許文献2】米国特許第5656444号明細書
【非特許文献1】Cancer:Principles and Practice of Oncology、(2001年)第6版第20章、495〜508頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一目的は、疾患に関連するその活性を阻害することができるヒトLUCA2のアンタゴニストを同定することである。別の一目的は、LUCA2のアッセイで使用するための、および免疫原として使用するための、または抗ヒトLUCA2抗体を選択するための、新規な化合物を提供することである。
【0011】
以下により詳しく記載するように、本発明者らは、本明細書に提供する新規なアンタゴニスト、モジュレーター、および抗体の抗原標的として同定されている、本明細書で我々がLUCA2と呼ぶ新規な抗原を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、ヒトの様々な癌上で発現されるLUCA2に結合するLUCA2アンタゴニスト、モジュレーター、およびモノクローナル抗体を提供する。LUCA2は、上皮細胞、および好中球などの、様々な細胞上で発現される、新規なN−連結した炭水化物の標的である。一態様では、本発明は、LUCA2に結合するモノクローナル抗体のファミリーである。
【0013】
別の一態様では、本発明は、特許寄託番号PTA#5068でアメリカ培養細胞株統保存機関に2003年3月20日に寄託された、宿主細胞株CA130.14H2.1A5が生成するモノクローナル抗体抗LUCA2である。
【0014】
さらに別の一態様では、本発明は、(a)宿主の哺乳動物を免疫原で免疫化する工程と、(b)哺乳動物からリンパ球を得る工程と、(c)(b)のリンパ球をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを生成する工程と、(d)(c)のハイブリドーマを培養してモノクローナル抗体を生成する工程と、(e)抗体をスクリーニングして、罹患した、および/または癌性の細胞または細胞株に結合するが、非癌性または正常の細胞または細胞株に結合しない、あるいは正常の細胞に低レベルで、または異なる様式で結合する抗体だけを選択する工程とを含む、罹患した細胞および/または癌性の細胞に反応性のモノクローナル抗体抗LUCA2を産生する方法である。
【0015】
別の一態様では、本発明は、抗体の生成を可能にし、抗LUCA2抗体を精製する条件下で、このような抗体またはその子孫をコードする宿主細胞を培養することを含む、抗LUCA2抗体を産生する方法である。
【0016】
別の一態様では、本発明は、適切な細胞で抗体(単一の軽鎖または重鎖として別々に発現されてもよく、または軽鎖および重鎖の両方が1つのベクターから発現される)をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数を発現することにより、一般的には、その後、対象の抗体またはポリペプチドを回収および/または単離することにより、本明細書に記載された抗体(またはポリペプチド)のあらゆるものを産生する方法を提供する。
【0017】
別の一態様では、本発明は、抗LUCA2抗体のLUCA2への優先的な結合を競合的に阻害する、抗LUCA2抗体またはポリペプチド(抗体でもよく、抗体でなくてもよい)である。いくつかの実施形態では、本発明は、他の抗LUCA2抗体と同じ、または異なる、LUCA2上のエピトープに優先的に結合する抗体またはポリペプチド(抗体でもよく、抗体でなくてもよい)である。
【0018】
別の一態様では、本発明は、抗LUCA2抗体のLUCA2への優先的な結合を競合的に阻害するLUCA2モジュレーター(ポリペプチドでもよく、ポリペプチドでなくてもよい)である。いくつかの実施形態では、本発明は、他の抗LUCA2抗体と同じ、または異なる、LUCA2上のエピトープに優先的に結合する小分子、または化学物質であることができる。
【0019】
さらに別の一態様では、本発明は、LUCA2のエピトープに特異的な抗体により結合されているLUCA2を含む組成物である。一実施形態では、抗体は抗LUCA2である。他の実施形態では、2つまたはそれを超える抗LUCA2抗体が投与され、そのような抗体はLUCA2上の2つまたはそれを超える異なるエピトープに位置付ける。いくつかの実施形態では、抗LUCA2抗体は、治療物質または検出可能な標識に連結している。
【0020】
別の一実施形態では、本発明は、抗LUCA2抗体のフラグメントまたは領域を含む抗体である。一実施形態では、フラグメントは抗体の軽鎖である。別の一実施形態では、フラグメントは抗体の重鎖である。さらに別の一実施形態では、フラグメントは、抗体の軽鎖および/または重鎖からの可変領域を1つまたは複数含む。さらに別の一実施形態では、フラグメントは、抗体の軽鎖および/または重鎖からの相補性決定領域(CDR)を1つまたは複数含んでいる。
【0021】
別の一態様では、本発明は、以下のいずれか:(a)軽鎖または重鎖からの1つまたは複数のCDR(またはそのフラグメント)、(b)軽鎖からの3つのCDR、(c)重鎖からの3つのCDR、(d)軽鎖からの3つのCDR、および重鎖からの3つのCDR、(e)軽鎖可変領域、(f)抗LUCA2抗体の重鎖可変領域を含むポリペプチド(抗体でもよく、抗体でなくてもよい)を提供する。
【0022】
別の一実施形態では、本発明は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、非ヒトの抗LUCA2抗体のCDRを1つまたは複数含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、他の抗LUCA2抗体と同じまたは異なるエピトープに結合する。一般的に、本発明のヒト化抗体は、同一のCDR、および/またはオリジナルの非ヒト抗LUCA2抗体のCDRに由来するCDRを1つまたは複数(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれらのフラグメント)含む。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、他の抗LUCA2抗体と同じまたは異なるエピトープに結合する。別の一態様では、本発明は、非ヒトの抗LUCA2抗体の重鎖および軽鎖の可変領域に由来する可変領域、ならびにヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に由来する定常領域を含む、キメラの抗体である。
【0023】
別の一態様では、本発明は、寄託番号ATCC PTA#5068の宿主細胞またはその子孫が生成する抗体mu−抗LUCA2をコードする、単離されたポリヌクレオチドである。本発明は、上記に特定した抗体のいずれかの、固有の結合活性または生物学的活性を有する抗体ポリペプチドを包含する。別の一態様では、本発明は、あらゆる抗体(抗体フラグメントを含む)、および本明細書に記載した他のあらゆるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
別の一態様では、本発明は、あらゆるポリペプチド(本明細書に記載したあらゆる抗体を含む)、または本明細書に記載したポリヌクレオチドを含む薬剤組成物であり、例えば、化学療法剤に連結している抗LUCA1抗体、抗LUCA2抗体のフラグメントを含む抗体、非ヒトLUCA−2抗体のヒト化抗体、非ヒト抗LUCA2抗体の可変領域に由来する可変領域とヒト抗体に由来する定常領域とを含むキメラの抗体、または非ヒト抗LUCA2抗体の、もしくは化学療法剤(放射性の部分など)に連結している本明細書に記載した抗LUCA2抗体の1つもしくは複数の性質を有するヒト抗体、および薬学的に許容できる賦形剤を含む薬剤組成物である。
【0025】
一態様では、本発明は、罹患した細胞または癌性の細胞上に存在するLUCA2に結合する抗LUCA2抗体を含む組成物である。好ましい実施形態では、癌細胞は、腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸、および乳房の癌細胞からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、癌細胞は単離される。いくつかの実施形態では、癌細胞は生物学的サンプルである。一般的に、生物学的サンプルは、ヒトなどの個体からのものである。
【0026】
別の一態様では、本発明は、個体由来の細胞上のLUCA2を検出することにより個体における疾患を、特に、個体における炎症性反応または自己免疫反応に関連する疾患または障害を診断する方法である。本発明の他の態様では、LUCA2の機能を変調することにより個体における炎症反応または自己免疫反応を変調するための方法が提供される。本発明の組成物および方法を用いた処置を受けることができる炎症障害および自己免疫障害に起因する疾患および状態には、例示によるもので限定的なものではないが、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、脳卒中、他の脳の外傷、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、重症筋無力症、狼瘡、関節リウマチ、喘息、急性若年発症糖尿病、AIDS痴呆、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血、ならびに急性白血球媒介性肺傷害が含まれる。
【0027】
本発明の抗体および他の治療物質を治療用に使用するためのなお他の適応症には、臓器または移植片の拒絶反応の危険のある個体への投与が含まれる。近年、組織、ならびに皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、および骨髄などの臓器を移植するための外科技術の有効性においてかなりの改善があった。おそらく、主要な著しい問題は、移植された同種移植片または臓器に対する、レシピエントにおける免疫寛容を誘発するのに十分な薬剤がないことである。同種異系の細胞または臓器を宿主(すなわち、ドナーおよびドニーが同種からの異なる個体である)中に移植する場合、宿主の免疫系は、移植において外来の抗原に対する免疫反応を開始すると思われ(移植片対宿主病)、移植された組織の破壊をもたらす。
【0028】
別の一態様では、本発明は、個体からの選択された細胞上にLUCA2の発現があるか否かを決定することを含む、個体が癌を有するか否かを診断するための方法であり、前記細胞上のLUCA2の発現は、前記癌を示すものである。いくつかの実施形態では、LUCA2の発現を、抗LUCA2抗体を用いて決定する。いくつかの実施形態では、この方法は、細胞由来のLUCA2の発現のレベルを検出することを含む。本明細書で用いられる「検出」の語には、コントロールを参照として、または参照としない、定性的な、および/または定量的な検出(レベルの測定)を含む。
【0029】
さらに別の一態様では、本発明は、個体由来の細胞上の、または個体由来の細胞から放出されたLUCA2を検出することにより、個体における癌を診断する方法であり、癌は、それだけには限定されないが、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ(dhordoma)、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ(posterious unveal melanoma)、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ(rhabdomysarcoma)、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)を含む群から選択される。
【0030】
別の一実施形態では、本発明は、個体からの生物学的サンプルにおけるLUCA2の発現を検出することを含む、個体における癌(例えば、それだけには限定されないが、腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸、または乳房の癌)の診断を助けるための方法である。いくつかの実施形態では、LUCA2の発現を、抗LUCA2抗体を用いて決定する。いくつかの実施形態では、方法は、細胞由来のLUCA2の発現のレベルを検出する。癌から放出されたLUCA2は、LUCA2またはその一部分のレベルの上昇に寄与することがあり、体液(例えば、血液、唾液、または腸の粘液性の分泌)において検出可能である。
【0031】
さらに別の一態様では、本発明は、癌性細胞の増殖を低減するのに十分なLUCA2に結合する抗体の有効量を投与することにより、癌を処置する方法である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗LUCA2抗体である。ある実施形態では、癌性細胞は、それだけには限定されないが、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)を含む群から選択される。ある好ましい実施形態では、癌性細胞は、それだけには限定されないが、乳癌、結腸癌、前立腺癌、肺癌、肉腫、腎臓の転移性癌、甲状腺の転移性癌、および明細胞癌を含む固形腫瘍の群から選択される。
【0032】
さらに別の一態様では、本発明は、LUCA2に特異的に結合する抗体のファミリーの少なくとも1つの有効量を投与することを含む、癌を有する個体における転移の進行を遅延する方法である。一実施形態では、抗体は抗LUCA2抗体である。別の一態様では、本発明は、化学療法剤に会合した(化学療法剤に連結することを含む)抗LUCA2抗体を含む組成物の有効量を、細胞培養物もしくはサンプル、または個体に投与することを含む、in vitroまたは個体における癌細胞の成長および/または増殖を阻害する方法である。
【0033】
さらに別の一態様では、本発明は、LUCA2に特異的に結合する抗体のファミリーの少なくとも1つのメンバーの有効量を個体に投与することによる、個体における癌性細胞に治療物質を送達する方法である。他の実施形態では、抗LUCA2抗体を、別の治療物質と組み合わせて(別の治療物質と連結することを含む)個体に送達する。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗LUCA2抗体は、本明細書で列挙した抗体から送達されるヒト化抗体である(一般的に、しかし必ずしもそうではないが、抗体のCDRの1つまたは複数の部分、または完全なものを含む)。いくつかの実施形態では、抗LUCA2抗体は、列挙した抗体の1つまたは複数の性質を有するヒト抗体である。いくつかの実施形態では、化学療法剤(例えば、毒素、または放射性分子)を癌細胞中に送達する(内面化する)。いくつかの実施形態では、この薬剤はサポリンである。
【0035】
別の一態様では、本発明は、化学療法剤に会合する(化学療法剤に連結することを含む)抗LUCA2抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体における癌を処置する方法である。
【0036】
本発明は、LUCA2の細胞質内シグナリングパートナーとの会合を、増強し、または低減することのいずれかにより変調するための方法をさらに提供する。LUCA2の細胞質内シグナリングパートナーとの会合は、細胞表面上に示されているLUCA2分子を、LUCA2に対するシグナリングパートナーの結合を変調する物質と接触させることにより影響を受けることがある。LUCA2の、その結合パートナーおよび/またはシグナリングパートナーとの会合を阻止または低減する物質は、LUCA2が媒介する炎症反応または免疫反応に関与する生物学的プロセスおよび病理学的プロセスを変調するために用いることができる。この作用に関与する病理学的プロセスには、腫瘍に関連する細胞の増殖が含まれる。
【0037】
物質を、抗LUCA2抗体などの、LUCA2の結合パートナーとの会合を阻止し、低減し、増強し、またはそうでなければ変調するその能力について試験することができる。特に、LUCA2の相互作用部位(典型的には、完全な生細胞上に存在するようなその天然の立体配座)を含むペプチドを結合パートナーおよび試験物質と共にインキュベートし、その試験物質がLUCA2ペプチドに対する結合パートナーの結合を低減するかまたは増強するかを決定することにより、そのような相互作用を変調する能力について物質を試験することができる。
【0038】
LUCA2機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレーターが、本発明の範囲内に特に含まれる。これらのアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターは、LUCA2における抗原決定部位を1つまたは複数含み、あるいは、そのような部位のフラグメント、そのような部位の変異体、またはそのような部位のペプチド模倣物を1つまたは複数含むポリペプチドである。これらのアゴニスト、アンタゴニスト、およびLUCA2の調節性化合物は、直線状または環状の形態で提供され、天然に通常見出されないアミノ酸残基の少なくとも1つ、またはアミドアイソスターの少なくとも1つを任意選択で含む。これらの化合物は、グリコシル化されていてもよい。本発明の、LUCA2機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレーターは、抗体に関して上記に記載した実施形態および方法の全てにおいて用いられることが望ましい。
【0039】
本発明の他の態様は、本明細書でLUCA2と同定され、LUCA2と呼ばれる新規な抗原に関する。この抗原は、免疫原として用いるのに適しており、様々な研究、診断、および治療の目的に適している。
【0040】
ある態様では、本発明は、(i)個体から得た血液または組織のサンプルにおけるLUCA2の存在をアッセイする工程と、(ii)前記サンプルに、正常の(罹患していない)血液または組織のサンプルに比べて増大した量のLUCA2マーカーがあるか否かを検出する工程と、(iii)増大した量の前記マーカーをポジティブの診断に相関させ、または増大した量の前記マーカーの非存在を疾患に対するネガティブの診断に相関させる工程とを含む、個体における疾患の診断を助けるための方法である。ある実施形態では、マーカーを、抗LUCA2抗体を用いて検出する。ある実施形態では、この方法は、放射性核種画像化、フローサイトメトリー、および免疫組織化学からなる群より選択される技術により成し遂げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(発明の詳細な説明)
本発明は、それだけには限定されないが、乳房、結腸、肺、および前立腺の癌を含む、様々な組織タイプの癌性細胞上に発現される、新規な抗原であるLUCA2を提供する。LUCA2は、様々な細胞およびタンパク質上に見られるN−連結した炭水化物のエピトープであり、例えば、上皮細胞および好中球上に見られる。好中球上では、LUCA2は、MAC−1(CD11b/CD18)上に見ることができる。さらに、本発明は、LUCA2に結合するモノクローナル抗体およびポリペプチドを提供し、例えばLUCA2の発現および/または過剰発現に関連するヒトの癌などの様々な疾患、ならびに自己免疫反応および/または慢性炎症を伴う様々なヒト疾患を診断し、処置するためのこれらの抗体およびポリペプチドを作成し使用する方法を提供する。
【0042】
I.一般的技術
本発明を実践するには、別段の指摘がなければ、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を使用するものであり、これらは当業者の範囲内である。このような技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(Sambrook ら、1989年)、Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait編集、1984年);Methods in Molecular Biology, Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook(J.E. Cellis編集、1998年)Academic Press;Animal Cell Culture(RI. Freshney編集、1987年);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P. Mather and P.E. Roberts、1998年)Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures(A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell、編集1993〜8年)J. Wiley and Sons; Methods in Enzymology(Academic Press, Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M. Weir and C.C. Blackwell編集);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M. Miller and M.P. Calos編集1987年);Current Protocols in Molecular Biology(F.M. Ausubelら編集、1987年);PCR: The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編集1994年);Current Protocols in Immunology(J.E. Coliganら編集1991年);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999年);Immunobiology(C.A. Janeway and P. Travers、1997年); Antibodies(P. Finch、1997年); Antibodies: a practical approach(D. Catty.編集、IRL Press、1988〜1989年);Monoclonal antibodies : a practical approach(P. Shepherd and C. Dean編集、Oxford University Press、2000年);Using antibodies: a laboratory manual(E. Harlow and D. Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999年);The Antibodies (M. Zanetti and J.D. Capra編集、Harwood Academic Publishers、1995年);および、Cancer: Principles and Practice of Oncology(V.T. DeVitaら編集J.B. Lippincott Company、1993年)などの文献で十分に説明されている。
【0043】
II.定義
「LUCA2」は、ポリペプチド上に存在する新規な抗原エピトープを意味し、それに対して本発明の抗体が向けられる、分子量約150kDaおよび210kDaのダブレットである。LUCA2は、抗LUCA2抗体によって結合している細胞表面タンパク質上に存在し、結腸および十二指腸、ならびにいくつかのタイプの癌上に存在する。この抗原は、複数のポリペプチド上に存在することがある。LUCA2は、ある種の癌細胞で、それらの正常組織の対応物に比べて過剰発現されることがあると、現在考えられている。
【0044】
LUCA2機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレーターは、本発明の範囲内に特に含まれる。これらのアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターは、LUCA2における抗原決定部位を1つもしくは複数含み、またはそのような部位のフラグメント、そのような部位の変異体、もしくはそのような部位のペプチド模倣物を1つもしくは複数含むポリペプチドである。これらの、アゴニストの、アンタゴニストの、およびLUCA2の調節性化合物は、直鎖上または環状の形態で提供され、天然において通常見られないアミノ酸残基の少なくとも1個、または少なくとも1個のアミドアイソスターを場合により含んでいる。これらの化合物は、グリコシル化されていてもよい。
【0045】
より詳しくは、本明細書で用いられる語である「LUCA2モジュレーター」は、(1)ヒトLUCA2と、その天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱または阻止することができ、(2)ヒトLUCA2、およびその天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体に結合することができ、(3)ヒトLUCA2、およびその天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体に結合することができる抗体を産生するのに用いることができる抗原性部位を含み、(4)ヒトLUCA2、およびその天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体に結合することができる抗体をスクリーニングするのに用いることができる抗原性部位を含み、(5)ヒトLUCA2と、その天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱または阻止することができる抗体を産生させるのに用いられる抗原性部位を含み、(6)ヒトLUCA2と、その天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱または阻止することができる抗体をスクリーニングするのに用いることができる抗原性部位を含む、あらゆる化合物と定義される。LUCA2モジュレーターは、それらの活性が、正常のLUCA2の生物学的活性を、それぞれ増強するかまたは阻害するかに応じて、「LUCA2アゴニスト」または「LUCA2アンタゴニスト」であることができる。
【0046】
LUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターはLUCA2変異体、LUCA2ペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣物、および小分子、抗LUCA2抗体および免疫グロブリン変異体、アミノ酸置換、欠失、および付加の変異体を含むヒトLUCA2のアミノ酸変異体、またはそれらのあらゆる組合せ、ならびにキメラの免疫グロブリンを含む。本発明のLUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターは、ヒトLUCA2の、その天然のリガンドまたは抗LUCA2抗体に対する結合に関与する、LUCA2ドメインの本発明者らの同定に基づくものである。したがって、本発明は、ヒトLUCA2の1つまたは複数の抗LUCA2結合性領域を複製し、または模倣する分子構造のLUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターを提供する。
【0047】
本明細書で用いられる「LUCA2変異体」の語は、アミノ酸置換、欠失、および付加の変異体、またはそれらのあらゆる組合せを含む、ヒトLUCA2のあらゆるアミノ酸変異体を意味する。この定義は、ヒトLUCA2/非ヒトのキメラ、および他のハイブリッド分子などのキメラ分子を包含する。分子の変異またはハイブリッドの領域を含むLUCA2変異分子のあらゆるフラグメントも、この定義に含まれる。
【0048】
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位により、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で用いられるように、この語が包含するのは、完全なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、天然に存在する変異体、必要とされる特異性の抗原認識部位を有する抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラの抗体、および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の修飾された立体配置も包含する。
【0049】
「モノクローナル抗体」は、均一な抗体の集団を意味し、この場合、モノクローナル抗体は、抗原の選択的な結合性に関与するアミノ酸(天然に存在するものおよび天然に存在しないもの)からなる。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられている。「モノクローナル抗体」の語は、完全なモノクローナル抗体および全長のモノクローナル抗体だけではなく、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化のモノクローナル抗体、キメラのモノクローナル抗体、ならびに必要とされる特異性の抗原認識部位および抗原に結合する能力を含む、あらゆる他の修飾された立体配置の免疫グロブリン分子も包含する。これは、抗体の供給源に関して、またはそれが作成される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関して、制限されることを意図しない。この語は、免疫グロブリン全体、および「抗体」の定義のもとに上記に記載したフラグメントなどを含む。
【0050】
「ヒト化」抗体は、一般的に組換え技術を用いて調製され、非ヒト種からの免疫グロブリンに由来する抗原結合性部位、および残りの、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の免疫グロブリン構造を有するキメラ分子に関する。抗原結合性部位は、定常ドメイン上に融合した完全な可変ドメイン、または可変ドメインにおける好適なフレームワーク領域上に移植された相補性決定領域(CDR)だけのいずれかを含むことができる。抗原結合性部位は、天然型でもよく、または1つまたは複数のアミノ酸置換により修飾されていてもよい。これは、ヒト個体における免疫原として定常領域を排除するものであるが、外来の可変領域に対する免疫反応の可能性は残存する(LoBuglio, A. F.ら(1989年)Proc Natl Acad Sci USA、86巻、4220〜4224頁)。別の取組みは、ヒト由来の定常領域を提供することだけではなく、ヒト型にできるだけ近くそれらを再構築するために可変領域を修飾することにも注目している。重鎖および軽鎖両方の可変領域は一定の種では比較的保存されており、CDRに対する骨格を提供することが推定される4つのフレームワーク領域(FR)に隣接する、問題の抗原に反応して変化し結合可能性を決定する、3つの相補性決定領域(CDR)を含むことが知られている。非ヒトの抗体を、特定の抗原に関して調製する場合、可変領域は、修飾されるべきヒト抗体に存在するFR上の非ヒト抗体に由来する移植CDRにより、「再構築」または「ヒト化」され得る。この取組みの様々な抗体への適用については、Sato, K.ら、(1993年)Cancer Res、53巻、851〜856頁;Riechmann, Lら(1988年)Nature、332巻、323〜327頁;Verhoeyen, M.ら(1988年)Science、239巻、1534〜1536頁;Kettleborough, C. A.ら、(1991年)Protein Engineering、4巻、773〜3783頁;Maeda, H.ら(1991年)Human Antibodies Hybridoma、2巻、124〜134頁;Gorman, S. D.ら(1991年)Proc Natl Acad Sci USA、88巻、4181〜4185頁;Tempest, P. R.ら(1991年)Bio/Technology、9巻、266〜271頁;Co, M. S.ら、(1991年)Proc Natl Acad Sci USA、88巻、2869〜2873頁;Carter, P.ら(1992年)Proc Natl Acad Sci USA、89巻、4285〜4289頁;およびCo, M. S.ら(1992年)J.Immunol、148巻、1149〜1154頁に報告されている。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、CDR配列を全て保存している(例えば、マウス抗体からの6個のCDR全てを含むヒト化のマウス抗体)。他の実施形態では、ヒト化抗体は、オリジナルの抗体に関して変更された1つまたは複数のCDR(1、2、3、4、5、6つ)を有し、これは、オリジナルの抗体からの1つまたは複数のCDRに「由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0051】
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書では交換可能に用いられる)エピトープは、当技術分野ではよく理解されている語であり、このような特異的な、または優先的な結合を決定するための方法は、当技術分野では、やはりよく知られている。分子が、代替の細胞または物質と反応するよりも頻繁に、速やかに、長い期間で、かつ/または高い親和性で特定の細胞または物質と反応または会合する場合に、分子は「特異的な結合性」または「優先的な結合性」を示すと言われる。抗体が、他の物質に結合するよりも高い親和性、結合力で、より速やかに、かつ/またはより長い期間結合する場合に、抗体は標的に「特異的に結合」し、または「優先的に結合」する。例えば、LUCA2のエピトープに、特異的または優先的に結合する抗体は、それが他のLUCA2のエピトープまたは非−LUCA2のエピトープに結合するよりもより高い親和性、結合力で、より速やかに、かつ/またはより長い期間、このLUCA2のエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分またはエピトープ)は、第2の標的に特異的または優先的に結合することができ、または結合することができないことも理解される。このような、「特異的な結合性」または「優先的な結合性」は、排他的な結合性を(含むことはできるが)必ずしも必要としない。必然的にではないが、一般的に、結合性に対する言及は、優先的な結合性を意味する。
【0052】
「免疫学的に活性で」ある、または「あり続ける」エピトープに関して、「免疫学的に活性である」の語は、例えば、エピトープが還元性または変性の条件に曝された後、様々な条件下で抗体(例えば、抗LUCA2抗体)がエピトープに結合する能力を意味する。
【0053】
それだけには限定されないが、LUCA2(それだけには限定されないが、膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の癌細胞を含む癌細胞上のLUCA2を含む)に結合する能力、in vitroまたはin vivoで生細胞の表面上に露出しているLUCA2の一部分に結合する能力、LUCA2を発現する癌細胞(膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の癌細胞)に化学療法剤を送達する能力、LUCA2を発現する癌細胞中に治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力を含めた、様々な生物学的機能が、抗LUCA2抗体に関連している。本明細書で論じるように、本発明のポリペプチド(抗体を含む)は、これらの性質の任意の1つまたは複数を有することができる。
【0054】
「抗LUCA2の等価な抗体」または「抗LUCA2の等価なポリペプチド」は、例えば、結合特異性など、抗LUCA2抗体に関連する生物学的機能を1つまたは複数有する抗体またはポリペプチドを意味する。
【0055】
本明細書で用いられる「物質」は、生物学的化合物、薬剤化合物、または化学物質を意味する。非限定的な例には、単純または複雑な、有機または無機の分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、または化学療法化合物が含まれる。様々な化合物、例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに様々なコア構造をベースとする合成有機化合物を合成することができる。さらに、植物または動物の抽出物などの様々な天然の供給源は、スクリーニング用の化合物を提供することができる。当業者であれば、本発明の物質の構造上の性質に関して制限がないことを容易に理解するであろう。
【0056】
本発明の方法に用いられる物質は、無作為に選択され、または合理的に選択もしくはデザインされ得る。本明細書で用いられるように、LUCA2の、その天然の結合パートナーまたは既知の抗体との会合に関与する特定の配列を考慮しないで、物質を無作為に選択する場合に、物質は無作為に選択されると言う。無作為に選択される物質の例は、化学ライブリーまたはペプチドのコンビナトリアルライブラリーの使用である。
【0057】
本明細書で用いられるように、物質を、標的部位の配列、および/または物質の作用に関連したその立体構造を考慮に入れた無作為ではない基準に基づいて選択する場合、物質は合理的に選択またはデザインされると言う。抗LUCA2物質に関しては、それに対して抗体が産生され得るLUCA2上に少なくとも3つのエピトープが存在し、したがってLUCA2/抗LUCA2相互作用を阻止する物質に対して少なくとも3つの作用部位が存在すると現在考えられている。本発明は、LUCA2とその天然の結合パートナー間との相互作用の部位で作用する物質も包含するが、他のリガンドおよびそれらの活性なLUCA2−相互作用的な部位も、現在知られていても、後に同定されても、本発明の範囲内に包含される。物質は、受容体/リガンド、および/または、LUCA2/抗LUCA2抗体複合体の接触部位を作成するペプチド配列を利用することにより、合理的に選択され、または合理的にデザインされ得る。例えば、合理的に選択されたペプチド物質は、その自然の環境で生細胞の表面上に露出しているので、そのアミノ酸配列が、LUCA2上に表れるエピトープと同一であるペプチドであることができる。そのような物質は、所望により、抗LUCA2抗体または天然のリガンドに結合することにより、抗LUCA2抗体のLUCA2との会合、またはLUCA2のその天然のリガンドとの会合を低減または阻止する。
【0058】
本明細書で用いられる語である、抗体に関して「標識された」は、放射性物質または蛍光体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)またはフィコエリスリン(PE))などの検出可能な物質を抗体に結合する(すなわち、物理的連結)ことによる、抗体の直接の標識、および検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識を包含することが意図される。
【0059】
本明細書で用いられる語である、抗体に関する「会合」は、物質(例えば、化学療法剤)に対する共有および非共有の付着または結合を含む。抗体は、物質(例えば、化学療法剤)と、共通のプラットホームに対する付着を通した直接的結合または間接的結合により会合することができ、したがって、抗体は、それに対して抗体が結合する癌性細胞への物質の局在化に向け、この場合、抗体および物質は、生理学的条件下では実質的に解離せず、したがってそれに抗体が結合する同じ癌性細胞を物質は標的にせず、または物質の作用強度は低下しない。
【0060】
「生物学的サンプル」は、個体から得られる様々なサンプルのタイプを包含し、診断上の、またはモニタリングのアッセイに用いることができる。この定義は、唾液、血液、および生物起源の他の液体サンプル;生検検体、または組織培養物、またはそれらに由来する細胞などの固形組織サンプル、およびそれらの子孫;例えば癌を有すると疑われる個体から、好ましい実施形態では、膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の組織から、採取した組織サンプルから得た細胞を包含する。この定義は、それらの獲得後、あらゆる方法で、例えば、試薬での処理、可溶化、またはタンパク質もしくはポリヌクレオチドなどのある構成成分に対する濃縮、または切片化の目的での半固体もしくは固体のマトリックスにおける包埋などにより操作されたサンプルも含む。「生物学的サンプル」の語は、臨床学的サンプルを包含し、培養物における細胞、細胞の上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体、および組織サンプルも含む。
【0061】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドの挿入物を組み入れるためのベクターに対するレシピエントであることができ、またはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、自然突然変異、偶発突然変異、または計画的な突然変異によりオリジナルの親細胞と完全に同一である(形態学上、またはゲノムDNA相補体として)とは限らない可能性がある。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドで、in vivoでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0062】
本明細書で用いられる「転移の進行の遅延」は、転移の進行を、延期し、妨げ、減速し、遅らせ、安定化し、かつ/または先送りすることを意味する。この遅延は、処置される癌および/または個体の病歴に応じて、様々な長さの時間とすることができる。当業者であれば明らかであるように、十分な、または著しい遅延は、個体が転移を進行させない点で、事実上、予防を包含し得る。
【0063】
一実施形態における、薬剤組成物の「有効量」は、無制限に、腫瘍のサイズの縮小(癌のコンテクストでは、例えば、乳房または前立腺の癌)、癌性細胞の増殖の減速、転移の進行の遅延、疾患に起因する症状の低減、疾患に罹患する者の生活の質の向上、疾患を処置するのに必要とされる他の薬物治療の投与量の低減、標的化および/または内面化などによる別の薬物治療の効果の増強、疾患の進行の遅延、ならびに/あるいは個体の生存の延長などの臨床上の結果を含む、有益な結果または望ましい結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または薬剤組成物の有効量は、直接的または間接的どちらかで、癌性細胞の増殖を低減し(または破壊し)、癌性細胞の転移の進行もしくは増殖を、低減および/または遅延するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量の薬物、化合物、または薬剤組成物は、別の薬物、化合物、または薬剤組成物と組み合わせて達成してもよく、またはしなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の化学療法剤を投与するコンテクストで考慮することができ、1つまたは複数の他の物質と組み合わせて望ましい結果を達成することができ、または達成する場合には、単一の物質を有効量で投与したと考えることができる。個体の必要性は変化する一方、各化合物の有効量の最適範囲の決定は当業者の範囲内である。典型的な投与量は、0.1から100mg/kg/体重を含む。好ましい投与量は、1から100mg/kg/体重を含む。最も好ましい投与量は、10から100mg/kg/体重を含む。
【0064】
本明細書では、核酸分子、物質、抗体、組成物、または細胞などが、そのオリジナルの供給源からの汚染物質の核酸分子、抗体、物質、組成物、または細胞などから実質的に分離されると、核酸分子または物質、抗体、組成物または細胞などが「単離された」と言う。
【0065】
「個体」は、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、それだけには限定されないが、家畜、スポーツアニマル(sport animal)、ペット、霊長類、マウス、およびラットが含まれる。
【0066】
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」の語は、本明細書では交換可能に用いられて、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを意味する。ポリマーは、直線状でも、または分枝でもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸により割り込まれていてもよい。この語は、天然に、または介入により、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または、標識化合物との複合などあらゆる他の操作または修飾により、修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、および当技術分野では知られている他の修飾物を含むポリペプチドも、定義内に含まれる。本発明のポリペプチドは、抗体をベースにしているので、ポリペプチドは、単鎖または結合鎖として生じることができることが理解される。
【0067】
本明細書に記載するLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーター(抗LUCA2抗体を含む)のペプチド模倣物も、本発明の範囲内に包含される。このようなペプチド模倣物には、少なくとも1つのアミノ酸残基が、アミノ酸のD異性体またはアミノ酸のN−アルキル化種などの天然では通常見られないアミノ酸残基で置換されているペプチドが含まれる。他の実施形態では、ペプチド模倣物は、LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターにおける少なくとも1つのアミド結合(−C(=O)−NH−)を、アミドアイソスターで置換することにより構築されている。適切なアミドアイソスターには、−CH−NH−、−CH−S−、−CH−S(O)−(式中、nは1または2である)、−CH−CH−、−CH=CH−(EまたはZ)、−C(=O)−CH−、−CH(CN)NH−、−C(OH)−CH−、および−O−(=O)−NH−が含まれる。アミドアイソスターでの置換に適する候補である、LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターにおけるアミド結合には、LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターの処置を受けさせることが意図される内因性のエステラーゼまたはプロテアーゼによる加水分解性の結合が含まれる。
【0068】
本明細書で用いられる「実質的に純粋」は、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質がない)、より好ましくは90%純粋、より好ましくは95%純粋より好ましくは少なくとも98%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋、またはそれを超えて純粋である材料を意味する。
【0069】
「毒素」は、細胞内に有害反応をもたらすあらゆる物質を意味する。例えば、癌性細胞に向けられる毒素は、癌性細胞に対して、反対の、時には有毒な効果を有する。毒素の例には、それだけには限定されないが、放射性同位元素、カリケアマイシン、およびメイタンシノイドが含まれる。
【0070】
本明細書で用いられる「処置」または「処置する」は、臨床上の結果を含み、臨床上の結果が好ましい、有益な、または望ましい結果を得るための取組みである。本発明の目的では、有益な、または望ましい臨床上の結果には、それだけには限定されないが、以下の1つまたは複数が含まれる:癌性細胞または他の罹患した細胞の増殖の低減(または破壊)、癌に見られる癌性細胞の転移の低減、腫瘍のサイズの縮小、疾患に起因する症状の低減、疾患に冒されている者の生活の質の向上、疾患を処置するのに必要とされる他の薬物治療の投与量の低減、疾患の進行の遅延、および/または個体の生存の延長。
【0071】
III.抗体およびポリペプチドの作成方法
モノクローナル抗体を作成する方法は、当技術分野では知られている。使用することができる一方法は、KohlerおよびMilstein、Nature、256巻、495〜497頁(1975年)の方法、またはその改変である。典型的には、モノクローナル抗体は、マウスなどの非ヒト種で発生する。一般的には、免疫化をするためにマウスまたはラットを用いるが、他の動物も用いることができる。免疫原性の量の細胞、細胞抽出物、またはヒトLUCA2を含むタンパク質調製物でマウスを免疫化することにより抗体を生成する。免疫原は、それだけには限定されないが、初代細胞、培養した細胞株、癌性細胞、核酸、または組織であることができる。一実施形態では、ヒト肺癌細胞を用いる。別の一実施形態では、ヒト膀胱または膵臓の前駆細胞を用いる。ヒト肺癌細胞を単離し、培養するための方法を、実施例1に詳しく述べる。例えば、ヒト肺癌細胞、膀胱細胞、またはヒト膵臓の前駆細胞を免疫化するために用いられる細胞を、それらを免疫原として用いる前に、ある期間(少なくとも24時間)培養してもよい。細胞(例えば、ヒト肺癌細胞、LUCA2を発現する他の細胞または細胞株)を、単独で、またはRibiなどの非変性のアジュバントと組み合わせて、免疫原として用いることができる。一般的に、細胞を無傷で保ち、好ましくは免疫原として用いるときに生存可能であるべきである。無傷の細胞は、抗原を、免疫化した動物により破裂された細胞よりも良好に検出できるようにする。変性性の、または粗いアジュバント、例えばフロイント(Freud’s)アジュバントの使用は、ヒト胎児の腎臓または他の細胞を破裂させることがあり、したがってこの使用は推奨されない。免疫原は、2週間に1度、または1週間に1度などの周期的な間隔で複数回投与してもよく、または、そのような方法で、動物体内で生存性を維持するように投与してもよい(例えば、組織組換えにおいて)。実施例2は、抗LUCA2抗体を産生するのに用いられる方法を記載しており、LUCA2に結合する他のモノクローナル抗体を産生するのに用いることができる。
【0072】
一実施形態では、LUCA2に結合するモノクローナル抗体を、免疫原としてLUCA2を過剰発現する宿主細胞を用いて得る。そのような細胞には、例示とするもので限定するものではないが、ヒト肺癌細胞が含まれる。
【0073】
抗体の応答をモニターするために、少量の生物学的サンプル(例えば、血液)を、動物から得、免疫原に対する抗体の力価について試験することができる。脾臓および/またはいくつかの大きなリンパ節を切除し、単一の細胞に分離してもよい。所望により、細胞懸濁物をプレートまたは抗原でコーティングしたウェルに適用することにより、脾臓細胞をスクリーニングしてもよい(非特異的な接着細胞を除去した後)。抗原に特異的な、膜結合した免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合し、残りの懸濁液ですすぎ流されることはない。得られたB細胞、または解離した脾臓細胞全てを、次いで、ミエローマ細胞(例えば、X63−Ag8.653、およびSalk Institute、Cell Distribution Center、San Diego、CAからのもの)と融合することができる。脾臓またはリンパ球をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを形成するために、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてもよい。次いで、ハイブリドーマを選択培地(例えば、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン培地、他には「HAT培地」として知られている)で培養する。次いで、得られたハイブリドーマを、限界希釈により塗抹し、FACSまたは免疫組織化学(IHCスクリーニング)を用いて免疫原(例えば、ヒト胎児腎臓細胞の表面、癌細胞株の表面、Ag−LUCA2、胎児膀胱切片など)に特異的に結合する抗体の生成についてアッセイする。次いで、選択されたモノクローナル抗体分泌性ハイブリドーマを、in vitro(例えば、組織培養ボトル、もしくはホローファイバーリアクター)、またはin vivo(例えば、マウスにおける腹水として)のいずれかで培養する。実施例3は、抗LUCA2抗体を得、スクリーニングするために利用する方法についてのさらなる詳細を提供する。
【0074】
細胞融合技術に対する別の一代替として、EBVで不死化したB細胞を用いて本発明のモノクローナル抗体を生成してもよい。所望により、ハイブリドーマを膨張させ、サブクローニングし、上清を従来のアッセイ手順(例えば、FACS、IHC、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイなど)により抗免疫原活性についてアッセイする。
【0075】
別の一実施形態では、モノクローナル抗体抗LUCA2、およびあらゆる他の同等の抗体を、当技術分野では周知のあらゆる手段(例えば、ヒト化、完全なヒト抗体を生成するためのトランスジェニックマウスの使用、ファージディスプレイ技術など)により、配列決定し、組換えで生成することができる。一実施形態では、抗LUCA2モノクローナル抗体を配列決定し、次いで、ポリヌクレオチド配列を、発現または繁殖のためにベクター中にクローニングする。対象の抗体をコードする配列は、宿主細胞におけるベクターに維持することができ、次いで宿主細胞を、将来使用するために拡大し凍結することができる。
【0076】
モノクローナル抗体抗LUCA2およびあらゆる他の同等の抗体のポリヌクレオチド配列を遺伝子操作に用いて、親和性または抗体の他の特徴を改善するための「ヒト化」抗体を産生することができる。抗体をヒト化する一般的原理は、抗体の抗原結合性の部分の基本的配列は維持し、一方抗体の非ヒトの残り部分をヒト抗体配列と取り替えることを含む。モノクローナル抗体をヒト化するには、4つの一般的な工程が存在する。これらは、(1)出発の抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメインのヌクレオチドおよび予測されるアミノ酸配列を決定する工程と、(2)ヒト化抗体をデザインする工程、すなわち、ヒト化の過程の間にどの抗体のフレームワーク領域を用いるかを決定する工程と、(3)実際のヒト化の方法論/技術の工程と、(4)ヒト化抗体の形質移入および発現の工程とである。例えば、米国特許第4816567号、第5807715号、第5866692号、および第6331415号を参照されたい。
【0077】
ヒト定常ドメインに融合している、齧歯動物または修飾された齧歯動物のV領域およびそれらの会合している相補性決定領域(CDR)を有するキメラの抗体を含めた、非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合性部位を含む「ヒト化」抗体分子の数々が記載されている。例えば、Winterら、Nature、349巻、293〜299頁(1991年)、Lobuglioら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、86巻、4220〜4224頁(1989年)、Shawら、J Immunol.、138巻、4534〜4538頁(1987年)、およびBrownら、Cancer Res.、47巻、3577〜3583頁(1987年)を参照されたい。他の参考文献では、好適なヒト抗体定常ドメインに融合する前にヒト支持性フレームワーク領域(FR)中に移植されている齧歯動物のCDRが記載されている。例えば、Riechmannら、Nature、332巻、323〜327頁(1988年)、Verhoeyenら、Science、239巻、1534〜1536頁(1988年)、およびJonesら、Nature、321巻、522〜525頁(1986年)を参照されたい。別の参考文献では、組換えで張り合わされた齧歯動物のフレームワーク領域により支持されている齧歯動物のCDRが記載されている。例えば、欧州特許公開第519596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療上の適用の期間および有効性を制限する、齧歯動物の抗ヒト抗体分子に対する不必要な免疫学的反応を最小にするようにデザインされている。やはり利用することができる抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl. Acids Res.、19巻、2471〜2476頁(1991年)、および米国特許第6180377号、第6054297号、第5997867号、および第5866692号に開示されている。
【0078】
本発明は、mu−抗LUCA2などの、本発明の抗体の単鎖可変領域フラグメント(「scFv」)も包含する。単鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを用いることにより、軽鎖および/または重鎖の可変領域を連結することにより作成する。Birdら(1988年)、Science、242巻、423〜426頁は、ある可変領域のカルボキシ末端と、他の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する連結ペプチドの例を記載している。他の配列のリンカーがデザインされ、用いられている、Birdら(1988年)。リンカーを今度は、薬物の付着または固体支持体への付着などのさらなる機能に関して修飾することができる。単鎖の変異体を、組換えまたは合成のいずれかで生成することができる。scFvを合成で生成するには、自動合成機を用いることができる。scFvを組換えで生成するには、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドを、酵母菌、植物、昆虫、もしくは哺乳動物細胞などの真核細胞、または大腸菌などの原核細胞のいずれかの適切な宿主細胞中に導入することができる。対象のscFvをコードするポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの日常操作により作成することができる。得られたscFvを、当技術分野では周知の標準のタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
【0079】
本発明は、それらの性質に著しく影響を及ぼさない機能的に同等の抗体およびポリペプチド、ならびに活性の増大または低減した変異体を含めた、LUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、および抗体に対する修飾を含む。ポリペプチドの修飾は、当技術分野では日常的な実践であり、本明細書に詳しく記載する必要はない。修飾されたポリペプチドの例には、アミノ酸残基が保存的置換されたポリペプチド、機能的活性を著しく有害に変更しないアミノ酸の1つまたは複数の欠失または付加のあるポリペプチド、あるいは化学的類似体の使用が含まれる。相互に保存的に置換され得るアミノ酸残基には、それだけには限定されないが、グリシン/アラニン、バリン/イソロイシン/ロイシン、アスパラギン/グルタミン、アスパラギン酸/グルタミン酸、セリン/スレオニン、リジン/アルギニン、およびフェニルアラニン/チロシンが含まれる。これらのポリペプチドには、グリコシル化されたポリペプチド、および非グリコシル化のポリペプチド、ならびに、例えば、異なる糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化など、他の翻訳後修飾されたポリペプチドも含まれる。好ましくは、アミノ酸置換は保存的であり、すなわち、置換されたアミノ酸は、オリジナルのアミノ酸の化学的性質と同様の化学的性質を所有する。このような保存的置換は、当技術分野では知られており、例を上記に提供した。アミノ酸修飾は、1つまたは複数のアミノ酸の変更または修飾から、可変領域などの領域の完全な再設計までの範囲であり得る。可変領域における変化は、結合親和性および/または特異性を変化させることがある。他の修飾の方法には、それだけには限定されないが、酵素的手段、酸化的置換、およびキレート化を含む、当技術分野で周知のカップリング技術の使用が含まれる。例えば、イムノアッセイ用の標識を付着するために、例えば、ラジオイムノアッセイ用の放射活性部分を付着するために、修飾を用いることができる。修飾されたポリペプチドを、当技術分野では確立された手段を用いて作成し、当技術分野では周知の標準アッセイを用いてスクリーニングすることができる。
【0080】
本発明は、本発明のポリペプチドおよび抗体からのフラグメントまたは領域を1つまたは複数含む融合タンパク質も包含する。一実施形態では、可変軽鎖領域の少なくとも10個の近接するアミノ酸、および可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む、融合ポリペプチドを提供する。別の一実施形態では、融合ポリペプチドは、異種性の免疫グロブリン定常領域を含む。別の一実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書に記載したATCCに寄託されたハイブリドーマから生成された抗体の、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。本発明の目的では、抗体融合タンパク質は、1つまたは複数の抗LUCA2ポリペプチド、および天然の分子ではそれに対して付着していない別のアミノ酸配列、例えば、異種性の配列、または別の領域からの相同の配列を含む。
【0081】
抗LUCA2ポリペプチド、および他のLUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターは、当技術分野では周知の技術により、例えば、合成または組換えで作成することができる。LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターを生成する一方法は、ポリペプチドの化学合成を伴い、その後天然の立体配座、すなわち正確なジスルフィド結合の連結を得るのに好適な酸化条件下で処理する。これは、当業者にはよく知られている方法論を用いて達成することができる(Kelley, R. F. & Winkler, M. E. 「Genetic Engineering Principles and Methods」Setlow, J. K.編集、Plenum Press, N.Y.、12巻、1〜19頁(1990年);Stewart, J. M. & Young, J. D.、Solid Phase Peptide Synthesis Pierce Chemical Co. Rockford, Ill.(1984年)を参照されたい。米国特許第4105603号、第3972859号、第3842067号、および第3862925号)も参照されたい)。
【0082】
本発明のポリペプチドは、固相ペプチド合成を用いて、好都合に調製することができる(Merrifield, J. Am. Chem. Soc.、85巻、2149頁(1964年);Houghten、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82巻、5132頁(1985年)。
【0083】
さらに別の一代替では、完全なヒト抗体は、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された市販のマウスを用いることにより得ることができる。より望ましい(例えば、完全なヒト抗体)またはより頑強な免疫反応を生成するようにデザインされているトランスジェニック動物を、ヒト化またはヒトの抗体を産生するために用いることもできる。このようなテクノロジーの例には、Abgenix,Inc.(Fremont、カリフォルニア州)からのXenomouse(商標)、およびMedarex,Inc.(Princeton、ニュージャージー州)からのHuMAb−Mouse(登録商標)、およびTC Mouse(商標)がある。
【0084】
一代替では、抗体を組換えで作成し、当技術分野では周知の任意の方法を用いて発現することができる。宿主動物から作成した抗体を最初に単離し、遺伝子配列を得、宿主細胞(例えば、CHO細胞)で抗体を組換えで発現するために遺伝子配列を用いることにより、抗体を組換えで作成することができる。使用することができる別の方法は、抗体の配列を植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニックミルクで発現させることである。植物またはミルクで抗体を組換えで発現させるための方法が開示されている。例えば、Peetersら(2001年)Vaccine、19巻、2756頁;Lonberg, N. and D. Huszar(1995年)Int.Rev.Immunol、13巻、65頁;およびPollockら(1999年)J Immunol Methods、231巻、147頁を参照されたい。抗体の誘導体、例えば、ヒト化、単鎖などを作成するための方法は、当技術分野では知られている。別の一代替では、抗体を、ファージディスプレイ技術により組換えで作成することができる。例えば、米国特許第5565332号、第5580717号、第5733743号、第6265150号、およびWinter ら、Annu. Rev. Immunol.、12巻、433〜455頁(1994年)を参照されたい。
【0085】
対象の抗体またはタンパク質を、当業者にはよく知られているエドマン分解により配列決定を受けさせることができる。質量分析法またはエドマン分解から産生されるペプチドの情報を用いて、対象のタンパク質をクローニングするのに用いられるプローブまたはプライマーをデザインすることができる。
【0086】
対象のタンパク質をクローニングする代替の一方法は、対象の抗体またはタンパク質を発現する細胞に対して、精製したLUCA2またはその部分を用いた「パニング」によるものである。「パニング」の手順は、対象の抗体またはタンパク質を発現する組織または細胞から、cDNAライブラリーを得、第2の細胞型でcDNAを過剰発現させ、第2の細胞型の形質移入された細胞をLUCA2に対する特異的な結合についてスクリーニングすることにより実行される。「パニング」により、細胞表面タンパク質をコードする哺乳動物の遺伝子をクローニングするのに用いられる方法の詳しい記載を、当技術分野で見出すことができる。例えば、Aruffo, A. and Seed, B. Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84巻、8573〜8577頁(1987年)、およびStephan, J. ら、Endocrinology、140巻、5841〜5854頁(1999年)を参照されたい。
【0087】
抗LUCA2抗体、および他のLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターをコードするcDNAは、当技術分野における標準の方法により、特定の細胞型からmRNAを逆転写することにより得ることができる。具体的には、mRNAは、様々な溶菌酵素または化学溶液を用いて、Sambrookら、上述に述べた手順に従って単離することができ、または市販の核酸結合性樹脂により、製造元(例えば、Qiagen、Invitrogen、Promega)により提供される添付の指示に従って抽出することができる。合成したcDNAを、次いで、発現ベクター中に導入して第2の型の細胞において対象の抗体またはタンパク質を生成する。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして、宿主細胞において複製可能でなければならないことが含意される。適切な発現ベクターには、それだけには限定されないが、プラスミド;アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、レトロウィルスを含むウィルスのベクター、およびコスミドが含まれる。
【0088】
対象のポリヌクレオチドを含むベクターを、電気穿孔;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を用いた形質移入;微粒子銃、リポフェクション、および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウィルスなどの感染性の病原体の場合)を含めた、数々の好適な手段のあらゆるものにより宿主細胞中に導入することができる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は、宿主細胞の特徴にしばしば依存する。
【0089】
異種性のDNAを過剰発現することができるあらゆる宿主細胞を、対象の抗体、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で用いることができる。哺乳動物の宿主細胞の非限定的な例には、それだけには限定されないが、COS、HeLa、およびCHO細胞が含まれる。好ましくは、宿主細胞はcDNAを、宿主細胞に存在する場合は、対応する内因性の対象の抗体またはタンパク質のレベルよりも、約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルで発現する。LUCA2に対する特異的な結合に関する宿主細胞のスクリーニングは、免疫アッセイまたはFACSにより行われる。対象の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を、同定することができる。
【0090】
親のLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーター分子に対して得られたタンパク質のアミノ酸配列における、付加、欠失、または変化をコードする突然変異のLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターを生成するために、現在使用することができる様々な技術も利用することができる。
【0091】
本発明は、本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドは、当技術分野では周知の手順により作成することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解または他の分解により、上記に記載した組換えの方法(すなわち、単一の、または融合のポリペプチド)により、あるいは化学合成により生成することができる。抗体のポリペプチド、特にアミノ酸約50個までのより短いポリペプチドは、化学合成により作成すると好都合である。化学合成の方法は、当技術分野では周知であり、市販されている。例えば。抗LUCA2ポリペプチドは、固相方法を使用する自動化したポリペプチド合成機により生成することができる。
【0092】
IV.ポリペプチドおよびモノクローナル抗体をスクリーニングするための方法
LUCA2に結合するポリペプチドおよびモノクローナル抗体をスクリーニングするために、いくつかの方法を用いることができる。「結合」は、生物学的または免疫学的に関連性のある結合、すなわち、それに対して免疫グロブリン分子がコードされ、またはそれに対してポリペプチドが向けられている独特の抗原に特異的な結合を意味すると理解される。これは、免疫グロブリンが非特異的な標的に対して非常に高い濃度で用いられる場合に起こることがある、非特異的な結合を意味するものではない。一実施形態では、モノクローナル抗体を、標準のスクリーニング技術を用いて、LUCA2に対する結合についてスクリーニングする。このやり方で、抗LUCA2モノクローナル抗体が得られた。ブダペスト条約に従って、抗LUCA2モノクローナル抗体を生成するハイブリドーマが、特許寄託名PTA#5068で、2003年3月20日にアメリカ培養細胞株統保存機関(ATCC)10801 University Blvd.、Manassas VA 20110−2209に寄託されている。
【0093】
LUCA2に結合するモノクローナル抗体を、癌性組織および非癌性細胞に対する結合についてスクリーニングする。一実施形態では、LUCA2に結合し、また、ヒトの癌性細胞または組織に交差反応性であるが、正常の細胞または組織には同等の度合いで交差反応性ではないモノクローナル抗体が選択される。スクリーニングに使用することができる一方法は、免疫組織化学(IHC)である。標準の免疫組織化学技術は、当業者には周知である。例えば、Animal Cell Culture Methods(J.P. Mather and D. Barnes編集、Academic Press、57巻、第18および19章、314〜350頁、1998年)を参照されたい。生物学的サンプル(例えば、組織)は、生検、剖検(autopsy)、または検屍(necropsy)から得ることができる。LUCA2が、癌性細胞上だけに存在することを確認するために、抗LUCA2抗体を用いて、癌を有する個体からの組織上におけるLUCA2の存在を検出することができ、一方、癌に罹患している個体からの他の非癌性の組織、または癌のない個体からの組織をコントロールとして用いる。組織を、凍結の間の損傷を防ぐ固体または半固体の物質(例えば、アガロースゲルまたはOTC)に包埋し、次いで染色用に切片にすることができる。異なる臓器からの、および異なる段階の癌を用いて、モノクローナル抗体をスクリーニングすることができる。スクリーニングの目的で用いることができる組織の例には、それだけには限定されないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓が含まれる。スクリーニングの目的で用いることができる様々な癌のタイプの例には、それだけには限定されないが、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫、および白血病が含まれる。
【0094】
さらに別の一代替では、HMEC(BioWhittakerCC−2251)、HUVEC(初代内皮細胞)、BT−474(ATCC#HTB−20)、MFC7(ATCC#HTB22)、MDA−MB−175−VII(ATCC#HB−25)、MDA−MB−361(ATCC#HB−27)、SKBR3(ATCC#HTB−30)、9979(Raven専売特許の肺癌細胞株)、A549(ATCC#CCL−185)、CA130(Raven専売特許の肺小細胞癌細胞株)、Calu−3(ATCC# HTB−55)、SKMES−1(ATCC#HTB−58)、ES−2(ATCC#CRL−1978)、SKOV3(ATCC#HTB−77)、9926(Raven専売特許の膵臓腺癌細胞株)、AsPC−1(ATCC#CRL−1682)、HPAF−II(ATCC#CRL−1997)、Hs700T(ATCC#HTB−174)、Colo205(ATCC#CCL−222)、HT−29(ATCC#HTB−38)、SW480(ATCC#CCL−228)、SW948(ATCC#CCL−237)、293(ATCC#CRL−1573)、786−O(ATCC#CRL−1932)、A498(ATCC#HTB−44)、Caki−2(ATCC#HTB−47)、COS−7(ATCC#CRL−1651)、RL−65(ATCC#CRL−10345)、SV−T2(ATCC#CCL−163.1)、22RV1(ATCC#CRL−2505)、DU145(ATCC#HTB−81)、LNCaP(ATCC# CRL−1740)、PC−3(ATCC#CRL−1435)、TDH(Raven専売特許の前立腺癌細胞株)、Hs746T(ATCC#HTB−135)、NCI−N87(ATCC#CRL−5822)などの癌性細胞株、およびそれらのそれぞれの組織からの正常の細胞を用いて、癌性組織に特異的であるモノクローナル抗体についてスクリーニングすることができる。それだけには限定されないが、腎臓、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、大動脈平滑筋、および内皮細胞を含めた、異なる臓器からの正常な組織に由来する、初代の、または低い継代の細胞培養物を、陰性コントロールとして用いることができる。癌性または非癌性の細胞を、WO第01/43869号に記載されているように、スライドガラスもしくはカバーガラスの上で、またはプラスチック表面上で、またはCellArray(商標)で調製して増殖させることができ、組織について上記で記載したようにIHCを用いて抗体の結合に対してスクリーニングすることができる。あるいは、非タンパク質分解性の手段を用いて増殖表面から細胞を除去し、回転させてペレットにしてもよく、次いで、ペレットを、上記に記載したように、包埋し、IHC分析用の組織として処置する。細胞を免疫不全の動物中に接種し、腫瘍を増殖させ、次いでこの腫瘍を回収し、包埋し、IHC分析用の組織源として用いることができる。別の一代替では、単一の細胞を、一次抗体;蛍光分子に連結している第2の「レポーター」抗体とインキュベートすることによりスクリーニングし、次いで、蛍光が活性化する細胞選別(FACS)機を用いて分析することができる。
【0095】
いくつかの異なる検出システムを利用して、抗体の組織切片に対する結合を検出することができる。典型的には、免疫組織化学が一次抗体の組織に対する結合に関与し、次いで、一次抗体からの種に対して反応性の二次抗体が産生され、検出可能なマーカー(例えば、西洋ワサビのペルオキシダーゼ、HRP、またはジアミノベンゼジン(diaminobenzedine)、DAB)に複合した。用いることができる一代替方法は、ポリクローナル鏡像相補的抗体、すなわちポリMICAである。ポリMICA(ポリクローナル鏡像相補的抗体)技術は、D.C. Mangham and P.G. Isaacson(Histopathology(1999年)35巻(2)、129〜33頁に記載されており、正常、および癌性組織に対する一次抗体(例えば、抗LUCA2抗体)の結合を試験するために用いることができる。幾種類かのpolyMICA(商標)検出キットが、The Binding Site Limited(P.O.Box4073 Birmingham B29 6AT England)から市販されている。製品番号HK004.Dは、DABクロマゲン(chromagen)を用いるpolyMICA(商標)検出キットである。製品番号HK004.Aは、AECクロマゲンを用いるpolyMICA(商標)検出キットである。あるいは、一次抗体を、検出可能なマーカーで直接標識してもよい。
【0096】
好適な抗体を選択するためのIHCスクリーニングにおける第1の工程は、マウスで産生させた一次抗体(例えば、抗LUCA2抗体)を、1つまたは複数の免疫原(例えば、細胞または組織サンプル)に結合させることである。一実施形態では、組織サンプルは、様々な臓器からの凍結組織の切片である。細胞または組織サンプルは、癌性であることができ、または非癌性であることができる。
【0097】
凍結組織を、調製し、固定しまたは固定しないで切片にし、当業者には周知の数々の方法の任意のものによりIHCを行うことができる。例えば、Stephanら、Dev. Biol.、212巻、264〜277頁(1999年)、およびStephanら、Endocrinology、140巻、5841〜54頁(1999年)を参照されたい。
【0098】
V.抗LUCA2抗体を特徴付ける方法
抗LUCA2抗体を特徴付けるのに、いくつかの方法を用いることができる。一方法は、それに対して抗LUCA2抗体が結合するエピトープを同定することである。エピトープのマッピングは、様々な供給源、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg15,8219PH Lelystad、オランダ)から市販されている。エピトープのマッピングを用いて、それに対して抗LUCA2抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープは、直線状のエピトープであってよく、すなわち、一続きのアミノ酸に含まれていてもよく、または、一続きで必ずしも含まれていなくてもよいアミノ酸の3次元の相互作用により形成されている立体配座のエピトープでもよい。様々な長さのペプチド(例えば、少なくとも4〜6個のアミノ酸長)を単離し、または合成し(例えば、組換えで)、抗LUCA2抗体との結合アッセイに用いることができる。それに対して抗LUCA2抗体が結合するエピトープを、細胞外の配列に由来する重複のペプチドを用い、抗LUCA2抗体により結合を決定することにより、系統的なスクリーニングで決定することができる。
【0099】
抗LUCA2抗体を特徴付けるのに用いることができるさらに別の一方法は、抗LUCA2抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを決定するために、同じ抗原、すなわちLUCA2に結合することが知られている他の抗体との競合アッセイを用いることである。市販されているLUCA2に対する抗体の例は、入手可能であり、本明細書に教示する結合アッセイを用いて同定することができる。競合アッセイは、当業者にはよく知られており、そのような手順および実例となるデータを、さらに実施例に詳述する。抗LUCA2抗体を、組織、それに対して結合する癌のタイプまたは腫瘍のタイプによりさらに特徴付けることができる。
【0100】
抗LUCA2抗体を特徴付ける別の一方法は、それが結合する抗原によるものである。抗LUCA2抗体を、様々なヒトの癌からの細胞溶解物とのウエスタンブロットで用いた。当業者には周知のように、ウエスタンブロット法は、細胞溶解物および/または細胞分画を、変性ゲルまたは非変性ゲル上で流し、タンパク質をニトロセルロース紙に移し、次いで抗体(例えば、抗LUCA2抗体)でブロットをプローブしてどのタンパク質が抗体に結合しているかを見ることを含み得る。この手順は、さらに実施例4に詳述してある。LUCA2は、それだけには限定されないが、結腸、乳房、卵巣、膵臓、および肺を含む様々な組織の様々なヒトの癌と関連している。実施例5および6に、LUCA2のさらなる記載を提供する。
【0101】
VI.抗LUCA2抗体およびLUCA2モジュレーターを用いた癌を診断する方法
本明細書に開示した方法により作成したLUCA2に対するモノクローナル抗体を用いて、診断の目的で、それだけには限定されないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、膵臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、および上部消化管を含めた様々な組織における癌性細胞の存在または非存在を同定することができる。本明細書に開示した方法により作成したLUCA2に対するモノクローナル抗体を用いて、固形腫瘍からLUCA2が放出された後血中を循環する癌性細胞の存在もしくは非存在、またはそのレベルを同定することもできる。このような循環する抗原は、本明細書に教示する方法に従って検出される能力を保持している、完全なLUCA2抗原、またはそのフラグメントであることができる。このような検出は、当技術分野で一般に用いられている標準の方法を用いて、FACS分析により行うことができる。
【0102】
これらの使用は、LUCA2と、LUCA2に特異的に結合する抗体との間の複合体の形成を伴うことがある。このような抗体には、それだけには限定されないが、PTA#5068の名称でATCCに寄託されているハイブリドーマにより生成されたこれらの抗LUCA2モノクローナル抗体が含まれる。このような複合体の形成は、in vitroでも、またはin vivoでもよい。理論によって拘泥されるものではないが、モノクローナル抗体抗LUCA2は、LUCA2の細胞外ドメインによりLUCA2に結合することができ、次いで内部に取り込まれ得る。
【0103】
本発明の診断方法の好ましい一実施形態では、抗体は検出可能な標識を有する。用いることができる標識の例には、放射性物質、または蛍光体、例えば、フルオロイソチオシアネート、またはフィコエリスリンが含まれる。
【0104】
診断および治療の目的で、市販で用いられている他の知られている抗体と同様、本発明の標的の抗原は、正常組織で幅広く発現されている。これは、いくつかの腫瘍では、また、上方制御されている。したがって、診断用物質または治療物質として用いられる本発明の抗体の特定の投与量および送達経路は、特定の腫瘍または目下の疾患の状態、および処置される特定の個体に応じてテーラーメイドされる。
【0105】
診断用に抗体を用いる一方法は、抗体を放射性物質または放射線不透過性物質に連結し、この抗体を個体に投与し、エックス線または他の画像化機械を用いて、抗原を発現する癌細胞の表面の標識された抗体の局在を可視化することによる、in vivoの腫瘍画像化である。抗体を、生理学的条件での結合を促進する濃度で投与する。
【0106】
LUCA2を検出するためのin vitroの技術は、当技術分野では日常的であり、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光法、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびウエスタンブロットアッセイが含まれる。
【0107】
本発明の態様では、腫瘍または新生物の放射性イメージングの方法、または放射標識した抗体で処置する方法の有効性を測定する方法は、放射標識した、腫瘍特異的な抗体を、本発明の実施に従って個体に投与する工程を含む。放射標識した抗体は、好ましくは、テクネチウム−99m、インジウム−111、ヨウ素−131、レニウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、ルテニウム−177、銅−64、スカンジウム−47、イットリウム−90からなる群より選択される放射標識を含む、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であることができる。ヨウ素−131、レニウム−188、ホルミウム−166、サマリウム−153、およびスカンジウム−47などの治療用の放射性核種で標識したモノクローナル抗体は、抗体の免疫反応性を損なわず、in vivoで分解されず、特に好ましい。当業者であれば、他の放射性同位元素が知られており、特定の適用に適し得ることを理解するであろう。放射性イメージングは、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、または磁気共鳴画像法(MRI)を用いて行うことができる。放射免疫イメージングにより局在する転移の位置を解剖学的に、より際立って限定することを可能にする、相関的な画像化も、企図されている。
【0108】
他の方法では、癌性細胞を取り出し、組織を当技術分野ではよく知られている方法により(例えば、凍結した化合物に包埋し、凍結し、固定しまたは固定なしで切片にし;抗原を修復する様々な方法で、またはそれなしで固定し、パラフィン包埋し、対比染色することにより)免疫組織化学用に調製する。進行の様々な段階の癌性細胞を同定するのに、モノクローナル抗体を用いることもできる。どの個体の腫瘍が、その表面上に予め決定されたレベルの抗原を発現し、したがって前記抗原に対して向けられた抗体を用いた免疫治療の候補であるかを決定するために、この抗体を用いることもできる。この抗体は、LUCA2を発現する、腎臓、卵巣、前立腺、および膵臓の原発性および転移性両方の癌、ならびに肺の原発性の癌を認識することができる。本明細書で用いられる、検出は、定性的および/または定量的な検出を含むことができ、正常細胞に対して測定されたレベルを、癌性細胞におけるLUCA2の発現レベルの増大と比べることを含み得る。
【0109】
本発明は、LUCA2に結合するあらゆる抗体、およびLUCA2の発現のレベルを決定するのに用いることができるあらゆる他の方法を用いて、個体における癌(例えば、膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の癌)の診断を助ける方法も提供する。本明細書で用いられる、「診断を助ける」ための方法は、これらの方法は、癌の分類または性質に関して臨床上の決定を行うのを助けることを意味し、最終的な診断に関して決定的であることも、またはないこともある。したがって、癌の診断を助ける方法は、個体からの生物学的サンプルにおけるLUCA2のレベルを検出する工程、および/またはサンプルにおけるLUCA2の発現のレベルを決定する工程を含むことができる。抗原またはその一部分を認識する抗体を、また、使用して、それだけには限定されないが、血液、唾液、尿、肺液、または腹水を含む体液における、生存する、または死滅しつつある癌細胞から放出または分泌された抗原を検出するための診断用のイムノアッセイを作成することができる。
【0110】
対象の特定の腫瘍における細胞が全てLUCA2を発現するわけではなく、他の組織における癌性細胞がLUCA2を発現することもあり、したがって、癌性細胞上におけるLUCA2の存在または非存在に対して個体をスクリーニングして、個体における免疫治療の有用性を決定しなければならない。本明細書に開示する方法により作成される抗LUCA2抗体を用いて、癌と診断された個体が、LUCA2に対して向けられた抗体を用いた免疫治療の候補者とみなすことができるか否かを決定することができる。一実施形態では、癌性腫瘍または生検サンプルを、LUCA2に対して向けられた抗体を用いて、LUCA2の発現について試験することができる。LUCA2を発現する癌細胞を有する個体は、LUCA2に対して向けられた抗体を用いた免疫治療に適する候補者である。抗LUCA2抗体での染色を用いて、癌性の組織を正常の組織と区別することもできる。
【0111】
診断の目的で抗LUCA2抗体を用いる方法は、あらゆる形態の抗癌処置、例えば、化学療法または放射線療法の前および後の両方で、どの腫瘍が所与の処置に最も応答しそうであるか、癌を有する個体に対する予後、腫瘍のサブタイプまたは転移性の疾患の起源、および疾患の進行または処置に対する応答を決定するのに有用である。
【0112】
本発明の組成物は、他の罹患した(非癌性の)細胞での応用で上記に概ね記載した方法を用いて、癌以外の疾患状態の診断にも適している。本発明の方法で用いるのに適する疾患状態には、それだけには限定されないが、個体における炎症応答または自己免疫応答に関連する疾患または障害が含まれる。上記に記載した方法を、個体における炎症反応または自己免疫反応を変調するのに用いることができる。本発明の組成物および方法を用いた診断および/または処置を受けることができる、炎症応答または自己免疫応答に起因する疾患および病状には、例示によるもので限定的なものではないが、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、脳卒中、他の脳の外傷、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、重症筋無力症、狼瘡、関節リウマチ、喘息、急性若年発症糖尿病、AIDS痴呆、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血、および急性白血球媒介性肺傷害が含まれる。
【0113】
本発明の抗体および他の治療物質の診断用および/または治療用に使用するための、さらに他の適応症には、臓器または移植片の拒絶反応の危険性のある個体への投与が含まれる。近年、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、および骨髄などの組織および臓器を移植するための外科技術の効率に、かなりの改善があった。おそらく、主要な著明な問題点は、移植された同種移植片または臓器に対するレシピエントに免疫寛容を誘発する満足な物質がないことである。同種異系の細胞または臓器が宿主中に移植される(すなわち、ドナーおよびドニーが同種からの異なる個体である)場合、宿主の免疫システムは、移植片における外来の抗原に対して免疫反応を開始する可能性があり(宿主対移植片病)、移植された組織の破壊をもたらす。
【0114】
抗LUCA2抗体にそれらを使用することを列挙する本出願の随所に記載されている使用は、本明細書に記載するように、他のLUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターの使用も包含する。そのような実施形態では、LUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、または他の非抗体モジュレーターを、記載した工程においてLUCA2抗体の代わりに用い、当業者の範囲内で変更を行って置換されたLUCA2調節性組成物に合わせて方法をテーラーメイドする。
【0115】
VII.本発明の組成物
本発明は、抗LUCA2抗体、抗LUCA2抗体由来のポリペプチド、抗LUCA2抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド、および本明細書に記載するような他の物質を含む、薬剤組成物を含む組成物も包含する。本明細書で用いられる組成物は、LUCA2、LUCA2アゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、および/またはLUCA2に結合する抗体、ポリペプチド、およびタンパク質を1つまたは複数コードする配列を含むポリヌクレオチドの1つまたは複数に結合する、1つまたは複数の抗体、ポリペプチド、ならびに/あるいはタンパク質をさらに含む。
【0116】
本発明は、任意のLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターと、特定のLUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターの意図された機能または機能(複数)を支持するさらなる化学構造との複合体をさらに提供する。これらの複合体には、本明細書で論じる診断、スクリーニング、または精製の手順で用いられるあらゆる不溶の、固体支持マトリックスなどの巨大分子と共有結合している、LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターが含まれる。適切なマトリックス材料には、化学的に不活性で、多孔度が高く、ペプチドのリガンドと共有結合を形成することができる多数の官能基を有するあらゆる物質が含まれる。マトリックス−リガンド複合体を調製するためのマトリックス材料および手順は、Deanら(編集)、Affinity Chromatography: A Practical Approach、IRL Press(1985年);Workら(編集)「Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology」、第7巻、PartII、North−Holland(1979年)における、Lowe、「An Introduction to Affinity Chromatography」;Neurathら(編集)The Proteins第3版、1巻、95〜178頁(1975年)における、Porathら、「Biospecific Affinity Chromatography」;およびSchott、Affinity Chromatography、Dekker(1984年)に記載されている。
【0117】
本明細書では、LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターと、本明細書で論じられる診断手順で用いられるあらゆるレポーター部分との複合体も提供する。
【0118】
LUCA2ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーター物質、抗LUCA2抗体を含む本発明のポリペプチドおよびタンパク質は、以下のあらゆる(1つまたは複数の)判定基準によりさらに同定され、特徴付けられる:(a)LUCA2(それだけには限定されないが、膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の癌細胞を含む、癌細胞上のLUCA2を含む)に結合する能力、(b)それに対してオリジナルの抗体が優先的に結合する同じLUCA2エピトープに対して優先的に結合する能力を含む、周知の抗LUCA2抗体のLUCA2に対する優先的な結合を競合的に阻害する能力、(c)in vitroまたはin vivoで生細胞の表面上に露出しているLUCA2の一部分に結合する能力、(d)それだけには限定されないが、卵巣、前立腺、膵臓、肺、結腸、または乳房の癌細胞などの、生存する癌細胞の表面上に露出しているLUCA2の一部分に結合する能力、(e)LUCA2を発現する癌性細胞(例えば、それだけには限定されないが、膵臓、肺、腎臓、乳房、結腸、および前立腺の癌細胞)に、化学療法剤または検出可能なマーカーを送達する能力、(f)LUCA2を発現する癌性細胞(例えば、それだけには限定されないが、卵巣癌細胞)中に治療物質を送達する能力。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、寄託番号ATCC Nos.PTA#5068の宿主細胞、またはその子孫により生成される抗体である。本発明は、これらの寄託されたハイブリドーマ、および等価の抗体またはポリペプチドフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラの抗体、単鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、および、抗原(LUCA2)、必要とされる特異性の認識部位を含むこれらの、または等価の抗体のあらゆるもののあらゆる他の修飾された立体配置により生成される抗体の様々な製剤も包含する。本発明は、抗LUCA2ファミリーメンバーの1つまたは複数の生物学的特徴を示すヒト抗体も提供する。抗LUCA2ファミリー(ヒト化抗体およびヒト抗体を含む)、ポリペプチドフラグメント、およびこれらのフラグメントのあらゆるものを含むポリペプチドの等価の抗体を、あらゆる(1つまたは複数の)上記に記載した5つの判断基準により、同定し、特徴付ける。
【0120】
いくつかの実施形態では、LUCA2に結合する本発明の抗体、ポリペプチド、およびタンパク質は、本明細書で特定する抗LUCA2抗体のLUCA2への優先的な結合を競合的に阻害する抗体、ポリペプチド、およびタンパク質である。いくつかの実施形態では、抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、抗体mu−抗LUCA2が優先的に結合するのと同じLUCA2上のエピトープに優先的に結合する。
【0121】
したがって、本発明は、以下のあらゆるもの(または、以下のあらゆるものを含む薬剤組成物を含めた組成物)を提供する:(a)上記に特定した寄託番号を有する宿主細胞、またはその子孫により生成される抗体、(b)このような抗体のヒト化形態、(c)このような抗体の軽鎖および/または重鎖の可変領域の1つまたは複数を含む抗体、(d)このような抗体の重鎖および軽鎖の可変領域に相同の、またはそれに由来する可変領域、ならびにヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に相同の、またはそれに由来する定常領域を含むキメラの抗体、(e)このような抗体の軽鎖および/または重鎖のCDRを1つまたは複数(少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)含む抗体、(f)このような抗体の重鎖および/または軽鎖を含む抗体、(g)このような抗体に等価であるヒト抗体。ヒト化形態の抗体は、そのオリジナルの抗体、または上記に特定した寄託番号を有する宿主細胞により生成される抗体に同一のCDRを有してもよく、または有さなくてもよい。CDR領域の決定は、十分当業者の範囲内にある。いくつかの実施形態では、本発明は、上記に特定した寄託されたハイブリドーマ(あるいは、いくつかの実施形態では、これらの抗体の1つの6つのCDR全てに実質的に相同の、またはこれらの抗体の1つに由来する)の1つにより生成される抗体の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのCDRに実質的に相同である少なくとも1つのCDRを含む抗体、または上記に特定した寄託番号の宿主細胞により生成される抗体を提供する。他の実施形態には、本明細書で同定したように寄託されたハイブリドーマから生成された抗体の、またはそのような抗体に由来する少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRに実質的に相同である少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを有する抗体が含まれる。本発明の目的では、活性の程度は寄託されたハイブリドーマにより生成される抗体に比べて変化することがある(大きいこともありまたは小さいこともある)が、結合特異性および/または全体の活性(化学療法剤を癌性細胞に、または細胞中に送達して、癌細胞の成長および/または増殖を低減し、癌細胞におけるアポトーシスの細胞死を誘発し、転移の進行を遅延し、かつ/または緩和的に処置する点であることができる)は、概ね保持されることが理解される。本発明は、あらゆるこれらの抗体を作成する方法を、また提供する。抗体を作成する方法は、当技術分野では周知であり、本明細書に記載されている。
【0122】
本発明は、本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドも提供する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体の軽鎖および/または重鎖の可変領域を1つまたは複数含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体の軽鎖および/または重鎖のCDRを1つまたは複数含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体の軽鎖および/または重鎖の3個のCDRを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、以下のいずれか:オリジナルの抗体のアミノ酸配列の少なくとも5個の近接するアミノ酸、少なくとも8個の近接するアミノ酸、少なくとも約10個の近接するアミノ酸、少なくとも約15個の近接するアミノ酸、少なくとも約20個の近接するアミノ酸、少なくとも約25個の近接するアミノ酸、少なくとも約30個の近接するアミノ酸を有する抗体のアミノ酸配列を含み、この場合、少なくとも3個のアミノ酸は、抗体の可変領域からのものである。一実施形態では、可変領域はオリジナルの抗体の軽鎖からのものである。別の一実施形態では、可変領域は抗体の重鎖からのものである。別の一実施形態では、5個(またはそれを超える)の近接のアミノ酸は、抗体の相補性決定領域(CDR)からのものである。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、LUCA2、LUCA2の一部分、抗LUCA2抗体、または本発明の他のLUCA2結合性ポリペプチドを発現する本発明の細胞を、個体に直接投与して、それらのin vivoのLUCA2生物学的活性を変調する。
【0124】
VIII.治療目的でLUCA2モジュレーターおよび抗LUCA2抗体を使用する方法
LUCA2に対するモノクローナル抗体を、癌または他の疾患を有する個体に治療の目的のために用いることができる。抗LUCA2抗体での治療は、上記に記載したようにin vitroおよびin vivo両方で複合体の形成を伴うことができる。一実施形態では、モノクローナル抗体抗LUCA2は、癌性細胞に結合し、その増殖を低減することができる。抗体を、生理学的(例えば、in vivoの)条件で結合を促進する濃度で投与することが理解される。別の一実施形態では、LUCA2に対するモノクローナル抗体を、結腸、肺、乳房、前立腺、膵臓、腎臓などの様々な組織の癌性細胞、および肉腫などの他のタイプの癌に向けた免疫治療に用いることができる。別の一実施形態では、モノクローナル抗体抗LUCA2は単独で結合して、癌細胞における細胞分裂を低減する。別の一実施形態では、モノクローナル抗体抗LUCA2は癌性細胞に結合し、転移の進行を遅延することができる。さらに別の一実施形態では、癌を有する個体に抗LUCA2抗体での対症療法を与える。癌の個体の対症療法には、癌の進行に直接影響を及ぼさずに、疾患の有害症状、または疾患に与えた他の処置に起因する医原性の症状を処置し、または軽減することを伴う。これには、疼痛の緩和、栄養上の支援、性的な問題、心理的苦悩、抑うつ、疲労、精神学的障害、悪心、嘔吐などに対する処置が含まれる。
【0125】
このような場合には、抗LUCA2抗体を、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強する物質など、個体の自身の免疫応答を増強し、または目的とする物質と共に投与することができる。
【0126】
他の実施形態では、抗LUCA2抗体に存在する少なくとも1個のフコース残基を、ADCCを増強するための修飾であるこの抗体のオリゴ糖から除去する。同様の実施形態では、抗LUCA2抗体に存在するフコース残基を修飾して、オリジナルの非修飾の抗体に比べてADCCを増強するのに必要とされる程度までその組成を変化させる。
【0127】
さらに別の一実施形態では、抗LUCA2抗体を、放射性分子、毒素(例えば、カリケアマイシン)、化学療法分子、化学療法化合物を含むリポソームまたは他の小胞と複合し、または会合し、かつ、そのような処置を必要とする個体に投与して、これらの化合物を、抗体が認識する抗原を含む癌細胞に送り込み、したがって癌性の、または罹患した細胞を排除する。いかなる特定の理論に制限するものではないが、抗LUCA2抗体は、その表面にLUCA2を有する細胞によって内面化され、したがって複合した部分を細胞に送達して治療効果を誘発する。さらに別の一実施形態では、抗体を、転移の進行を遅延するために、抗原を発現する癌を外科的に除去する際に補助療法として使用することができる。腫瘍のサイズを低減し、したがって手術を可能にし、または単純化し、手術の間に組織を残し、かつ/またはもたらされる変形を低減するために、抗体を、抗原を発現する腫瘍を有する個体に、手術前に投与することもできる(ネオアジュバント療法)。
【0128】
本発明の実施には、細胞周期投薬が企図される。このような実施形態では、化学療法剤を用いて腫瘍細胞または他の標的とする罹患細胞の細胞周期を予め決定された段階で同期化する。引き続き、本発明の抗LUCA2抗体(単独、またはさらなる治療部分とともに)の投与を行う。代替の実施形態では、抗LUCA2抗体を用いて細胞周期を同期化し、細胞分裂を低減させた後、2回目の治療の投与を行い、2回目は、抗LUCA2抗体および/またはさらなる治療部分の投与であることができる。
【0129】
化学療法剤は、放射性分子、毒素を含み、細胞毒素または細胞毒性物質とも呼ばれ、癌性の細胞の生存能に有害である任意の物質、物質、および化学療法の化合物を含むリポソームまたは他の小胞を含む。適切な化学療法剤の例には、それだけには限定されないが、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカルバジン(decarbazine)、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アンスラマイシン(anthramycin)(AMC))、有糸分裂阻害剤、シス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝アンタゴニスト、アスパラギナーゼ、生BCG(小胞内)、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ロイコウオリン(leucouorin)カルシウム、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、複合したエストロゲン、シクロホスファミド、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、HCLダウニルビシン(daunirubicin)、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトックス、デキストラゾキサン(dextrazoxane)、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、メシル酸ドラセトロン、HCLドキソルビシン、ドロナビノール、E.coli L−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチンアルファ、エルウィニアL−アスパラギナーゼ、エステル型エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチジウムブロマイド、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシドシトロロラムファクター(citrororum factor)、リン酸エトポシド、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、HCLゲムシタビン、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、HCLグラニセトロン、ヒドロキシ尿素、HCLイダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα−2b、HCLイリノテカン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、HCLレバミソール、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、HCLメクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、HCLメルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、HCLオンダンセトロン、パクリタキセル、パミドロネート二ナトリウム、ペントスタチン、HCLピロカルピン、プリマイシン(plimycin)、カルムスチンの埋め込みを伴うポリフェプロサン(polifeprosan)20、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、HCLプロカルバジン、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチン、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド(teniposide)、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオテパ(thioepa)クロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、HCLトポテカン、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、および酒石酸ビノレルビンが含まれる。
【0130】
好ましい一実施形態では、細胞毒は、分裂する細胞、または急速に分裂する細胞に特に有効であるので、非分裂性の細胞は毒性の効果から比較的免れる。
【0131】
本発明の抗体は、それに対して抗体が結合する罹患した細胞または癌腫細胞内に内面化され得、したがって、例えば、それらの有害活性のために内面化される必要がある毒素を細胞内に送達する治療上の適用に特に有用である。そのような毒素の例には、それだけには限定されないが、サポリン、カリケアマイシン、オーリスタチン(auristatin)、およびメイタンシノイドが含まれる。
【0132】
本発明の抗体またはポリペプチドは、放射性分子、毒素、または他の治療物質に、あるいは治療物質を含むリポソームまたは他の小胞に、共有的に、または非共有に、直接的にまたは間接的に会合(複合、または連結を含む)させることができる。抗体は、放射性分子、毒素、または化学療法分子に、抗体がその標的であるLUCA2に結合できる限り抗体に沿ったあらゆる位置で連結することができる。
【0133】
毒素または化学療法剤は、直接的または間接的に(例えば、リンカー基により、または代わりに、米国特許第5552391号に記載されているプラットホーム分子など、好適な付着部位のある連結分子により)適切なモノクローナル抗体に結合する(例えば、共有結合する)ことができる。本発明の毒素および化学療法剤を、当技術分野では周知の方法を用いて特定の標的タンパク質に、直接連結させることができる。例えば、物質と抗体との間の直接反応は、各々が他方と反応することができる置換基を所有する場合に可能である。例えば、一方上のアミノ基またはスルフヒドリル基などの求核性の基は、他方上の、無水物または酸ハロゲン化物などのカルボニル含有基と、または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基と反応できることがある。
【0134】
抗体またはポリペプチドは、マイクロキャリアにより、化学療法剤に連結することもできる。マイクロキャリアは、水に不溶性で、サイズが約150、120、または100mm未満、より一般的には約50〜60μm未満、好ましくは約10、5、2.5、または1.5μm未満である、生物分解性の、または生物分解性ではない粒子を意味する。マイクロキャリアは、サイズが約1μm未満、好ましくは約500nm未満のマイクロキャリアである「ナノキャリア」を含む。このような粒子は、当技術分野では周知である。固相のマイクロキャリアは生体適合性の天然に存在するポリマー;アガロースまたは架橋したアガロースから形成されたマイクロキャリアを含むことがあり、またはそれを除外することがある、合成のポリマーまたは合成のコポリマー、および当技術分野では周知の他の生物分解性の材料から形成された粒子であることができる。生物分解性の固相マイクロキャリアは、哺乳動物の生理学的条件下で、分解可能であり(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびそれらのコポリマー)、または受食性である(例えば、3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)またはポリ(無水物)、例えばセバシン酸のポリ(無水物)などのポリ(オルトエステル))ポリマーから形成することができる。マイクロキャリアは、また、液相のマイクロキャリアが生物分解性であるならば、リポソーム、抗原のないイスコム(iscom)(コレステロール、およびアジュバント活性のサポニンであるリン脂質の安定な複合体である免疫賦活複合体)、または、水中油型もしくは油中水型乳剤に見られる液滴もしくはミセルなどの、液相(例えば、油または脂質ベース)であってもよい。生物分解性の液相のマイクロキャリアは、典型的には生物分解性の油を組み込み、その数々は当技術分野では知られており、スクアレンおよび植物油を含む。マイクロキャリアは、典型的には球形の形状であるが、球形の形状に由来するマイクロキャリア(例えば、楕円体、桿状形など)も許容できる。マイクロキャリアは不溶性(水に関して)の性質であるので、水および水ベース(水性の)の溶液からろ過することができる。
【0135】
本発明の抗体またはポリペプチド複合体は、毒性物質または化学療法剤に結合することが可能な基、および抗体に結合することができる基の両方を含む、二官能性のリンカーを含むことができる。リンカーは、結合能力との干渉を避けるために、抗体を物質から隔てるためのスペーサーとして働くことができる。リンカーは、切断可能でも、または切断不可能でもよい。リンカーは、物質または抗体上の置換基の化学反応性を増大し、したがって連結の効率を増大するように働くこともできる。化学反応性が増大すると、物質、または物質上の官能基の使用も容易になるが、これはそうでない場合には可能ではない。二官能性のリンカーは、当技術分野では周知である手段により、抗体に結合することができる。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどの活性エステル部分を含むリンカーを、抗体におけるリジン残基をアミド結合により結合するのに用いることができる。別の一例では、求核性のアミンまたはヒドラジン残基を含むリンカーは、抗体の炭水化物残基の糖分解性の酸化により生成されたアルデヒド基に結合することができる。これらの連結の直接的な方法の他に、リンカーは、アミノデキストランなどの中間体キャリアにより抗体に間接的に結合することができる。これらの実施形態では、修飾された結合は、リジン、炭水化物、または中間体のキャリアのいずれかによる。一実施形態では、リンカーは、タンパク質における遊離のチオール残基に部位選択的に結合する。タンパク質上のチオール基に選択的に結合するのに適する部分は、当技術分野ではよく知られている。例としては、ジスルフィド化合物、α−ハロカルボニルおよびα−ハロカルボキシル化合物、ならびにマレイミドが含まれる。求核のアミン官能基がα−ハロカルボニルまたはカルボキシル基と同じ分子に存在する場合、アミンの分子内アルキル化により環化が起こる可能性が存在する。この問題を防ぐ方法は、当業者にはよく知られており、例えば、アミンおよびα−ハロ官能基が、アリール基またはトランスアルケンなどの、望ましくない環化を立体化学的に好ましくないものにする柔軟性のない基によって分離されている分子を調製することによる。例えば、ジスルフィド部分によるメイタンシノイドと抗体との複合体の調製に関する米国特許第6441163号を参照されたい。
【0136】
抗体−薬物複合体を調製するために用いることができる切断可能なリンカーの1つは、受容体が媒介するエンドサイトーシスおよびリソソームの間で遭遇されるエンドソームなどの様々な細胞内区画の酸性の環境を上手く利用する、シス−アコニット酸をベースとする酸に不安定なリンカーである。例えば、ダウノルビシンの巨大分子キャリアとの複合体の調製については、Shenら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、102巻、1048〜1054頁(1981年)を、ダウノルビシンの抗メラノーマ抗体に対する複合体の調製については、Yangら、J. Natl. Canc. Inst.、80巻、1154〜1159頁(1988年)を、類似した様式で、ダウノルビシンの抗T細胞抗体との複合体を調製するための、酸に不安定なリンカーの使用についてはDillmanら、Cancer Res.、48巻、6097〜6102頁(1988年)、ダウノルビシンをペプチドスペーサーアームにより抗体に連結することについては、Trouetら、Proc. Natl. Acad. Sci.、79巻、626〜629頁(1982年)を参照されたい。
【0137】
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、当技術分野では周知のあらゆる方法により放射性分子に複合する(連結する)ことができる。抗体を放射標識するための方法の考察については、「Cancer Therapy with Monoclonal AntibodiesT」、D. M. Goldenberg編集(CRC Press, Boca Raton、1995年)を参照されたい。
【0138】
あるいは、抗体は、第2の抗体に複合して、米国特許第4676980号でSegalにより記載されている抗体のヘテロ複合体を形成することができる。架橋した抗体の形成により、免疫系は特定のタイプの細胞、例えばLUCA2を発現する癌細胞または罹患している細胞を標的とすることができる。
【0139】
本発明は、抗LUCA2抗体、または化学療法剤に連結しているLUCA2に結合する他の実施形態を用いて、癌(それだけには限定されないが、前立腺、肺、乳房、卵巣、膵臓、または結腸の癌を含む)を有する個体における転移の進行を遅延する方法も提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化またはキメラの形態の、非ヒトの抗LUCA2抗体である。
【0140】
さらに別の一実施形態では、抗体を、転移の進行を遅延するために、抗原を発現する癌を外科的に除去する際に、補助療法として使用することができる。腫瘍のサイズを低減し、したがって手術を可能にし、または簡単にし、手術中に組織を残し、かつ/または得られる変形を低減するために、抗体、または化学療法剤と会合した抗体を、抗原を発現する腫瘍を有する個体に手術前に投与することもできる(ネオアジュバント療法)。
【0141】
さらに別の一実施形態では、本明細書に記載するLUCA2結合の実施形態のあらゆるものは、LUCA2発現性の癌性細胞に結合し、LUCA2を発現する癌性細胞に対する能動的な免疫反応を誘発することができる。いくつかの場合では、能動的な免疫反応は、癌性細胞の死滅を引き起こし(例えば、癌細胞に結合する抗体はアポトーシス性の細胞死を誘発し)、または癌性細胞の増殖を阻害する(例えば、細胞周期の進行を阻止する)ことができる。他の場合では、本明細書に記載する新規な抗体のあらゆるものは、癌性細胞に結合することができ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、抗LUCA2が結合する癌性細胞を排除することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載する組成物のあらゆるものを投与することを含む、免疫反応を刺激する方法を提供する。
【0142】
いくつかの場合では、抗体の結合は、また、細胞性および体液性両方の免疫応答を活性化し、より多くのナチュラルキラー細胞を補充し、または個体の免疫系をさらに活性化して癌性細胞を破壊するサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−g、IL−12、TNF−a、TNF−bなど)の生成を増大することができる。さらに別の一実施形態では、抗LUCA2抗体は癌性細胞に結合することができ、マクロファージまたは他の食作用性の細胞は癌性細胞をオプソニン化することができる。
【0143】
他の場合では、抗体の結合は、細胞の免疫応答を阻止することができ、免疫細胞の活性化の応答を変えることができる。例えば、抗LUCA2抗体は、正常ヒト好中球の細胞表面上のMAC−1(CD11b/CD18)に結合することができる。このような結合は、正常MAC−1の、樹状細胞などの他の免疫細胞との相互作用を阻止し、抗原提示の過程を変えることができる。この効果は、それらを免疫学的障害、炎症過程、および神経学的機能に適用する際、本明細書で主張する処置および診断の方法の適用性を実証するものである。
【0144】
抗LUCA2抗体またはそのフラグメントの様々な製剤を、投与するために用いることができる。いくつかの実施形態では、抗LUCA2抗体またはそのフラグメントを、ニートで投与することができる。薬理学的に活性な物質の他に、本発明の組成物は、薬理学的に有効な物質の投与を容易にし、または作用部位に送達するために薬剤上使用することができる調製物中への有効化合物の処理加工を容易にする当技術分野ではよく知られており比較的不活性な物質である賦形剤および佐剤を含めた、適切な薬学的に許容できるキャリアを含むことができる。例えば、賦形剤は形状または堅さを与え、または希釈剤として働くことができる。適切な賦形剤には、それだけには限定されないが、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変化させるための塩類、カプセル化剤、バッファー、および皮膚浸透増強剤が含まれる。
【0145】
非経口投与のための適切な製剤には、水溶性の形態の有効化合物の、例えば、水溶性の塩の、水溶液が含まれる。さらに、油性の懸濁注射液に好適な有効化合物の懸濁剤を投与することができる。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油、例えばゴマ油、または合成の脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリドが含まれる。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質を含むことができ、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含むことができる。場合により、懸濁液は、安定化剤も含むことができる。リポソームも、細胞中に送達するための物質をカプセル化するのに用いることができる。
【0146】
本発明による全身投与のための薬剤性剤を、経腸投与、非経口投与、または局所投与するために配合することができる。実際に、3タイプの製剤全てを同時に用いて、有効成分の全身投与を達成することができる。賦形剤、ならびに非経口のおよび経口の薬物送達のための製剤は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000年)に記載されている。
【0147】
経口投与に適する製剤には、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤、丸剤、コーティング錠を含む錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、または吸入剤、およびそれらの制御放出形態が含まれる。
【0148】
一般的に、これらの物質は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)により投与するために配合されるが、他の投与の形態(例えば、経口、粘膜など)も用いることができる。したがって、抗LUCA2抗体を、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの、薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることが好ましい。
【0149】
特定の投与量レジメン、すなわち、投与量、タイミング、および反復は、特定の個体およびその個体の治療歴による。一般的には、少なくとも約100ug/kg体重、より好ましくは少なくとも約250ug/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約750ug/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約3mg/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約5mg/kg体重、さらにより好ましくは少なくとも約10mg/kg体重の投与量を投与する。
【0150】
半減期などを、実験的に考慮することは、一般的に投与量の決定に寄与する。ヒトの免疫系に適合性である抗体、例えば、ヒト化抗体または完全なヒト抗体を用いて、抗体の半減期を延長し、抗体が宿主の免疫系により攻撃されるのを防ぐことができる。投与の頻度は、治療の経過にわたって決定し調節することができ、癌性細胞の数の低下、癌性細胞の低下の維持、癌性細胞の増殖の低減、または転移の進行の遅延に基づくものである。あるいは、抗LUCA2抗体の持続性の徐放製剤も好適であり得る。徐放を達成するための様々な製剤および装置は、当技術分野では周知である。
【0151】
一実施形態では、抗LUCA2抗体に対する投与量を、1回または複数回投与されている個体で実験的に決定することができる。個体に、抗LUCA2抗体の増大する投与量を投与する。抗LUCA2抗体の有効性を評価するために、特定の癌の疾患状態のマーカーを追跡することができる。これらには、触診もしくは肉眼観察による腫瘍サイズの直接的な測定、エックス線もしくは他の画像技術による腫瘍サイズの間接的な測定、直接的な腫瘍の生検および腫瘍サンプルの顕微鏡検査により評価した改善、間接的な腫瘍マーカー(例えば、前立腺癌に対するPSA)の測定、疼痛もしくは麻痺の低減、言語、視力、呼吸、もしくは腫瘍に関連する他の機能不全の改善、食欲の増大、または認可された試験もしくは生存の延長により測定した生活の質における向上が含まれる。当業者であれば、投与量は、個体、癌のタイプ、癌の病期、癌が個体における他の部位に転移を始めたか否か、および用いた過去および同時の処置に応じて変化することが明らかであろう。
【0152】
他の製剤は、それだけには限定されないが、リポソームなどの担体を含む、当技術分野では周知の適切な送達形態を含む。例えば、Mahatoら(1997年)Pharm. Res.、14巻、853〜859頁を参照されたい。リポソームの調製物には、それだけには限定されないが、サイトフェクチン(cytofectin)、多重膜の小胞、および単層の小胞が含まれる。
【0153】
いくつかの実施形態では、複数の抗体が存在することができる。抗体は、モノクローナルでもよく、またはポリクローナルでもよい。このような組成物は、癌腫、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性である、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの、異なる抗体を含むことができる。抗LUCA2抗体を、それだけには限定されないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、骨、上部消化管、および膵臓を含む臓器における癌腫、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性の、1つまたは複数の抗体と混合することができる。一実施形態では、異なる抗LUCA2抗体の混合物を用いる。当技術分野でしばしば示されるように、抗体の混合物は、より広い範囲の個体の集団を処置するのに特に有用であり得る。
【0154】
以下の実施例は、例示のために提供するものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【実施例】
【0155】
(実施例1.免疫原としてのヒト肺癌細胞の調製)
ヒト肺腺癌からの組織を、ゲンタマイシン100μg/mlを含む、滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)で、手短にすすいだ。次いで、すすいだ組織を、100mm組織培養皿に配置し、はさみで細かく刻んだ(1mm片未満)。ゲンタマイシン100μg/mlおよびコラゲナーゼ−ディスパーゼ(ダイズトリプシン阻害物質10%を含む、10%wt/vlPBS溶液)を含むF12/DME(50:50)培地5mlを、刻んだ組織片に加えた。組織片を、この解離培地に手短に再懸濁し、次いで、細胞の凝集物をほぐすために、5分毎に繰り返しピペッティングして37℃で30分間インキュベートした。細胞10〜20個の小さな凝集物が組織から解離した様子になったら、酵素活性を止めた。懸濁液を15mlの円錐状の遠心管に配置し、体積をF12/DME培地で10mlに調整し、900rpmで4分間遠心した。上清を吸引し、ペレットを、以下の栄養補助物質を含むF12/DME(1mMCa2+)増殖培地に再懸濁した:インスリン10μg/ml、トランスフェリン10μg/ml、上皮成長因子(EGF)5ng/ml、トリヨードチロニン(T3)10−12M、エタノールアミン10−6M、ホスホエタノールアミン10−6M、セレン2.5×10−8M、プロゲステロン10−8M、ヒドロコルチゾン10−9M、フォルスコリン5μM、ブタ下垂体抽出物(PPE)5μl/ml、ゲンタマイシン100μg/ml、および胎児肺細胞培養物からの滅菌ろ過した条件培地20%v/v。
【0156】
解離した組織のアリコートを各々全量10mlに再懸濁し、次いでフィブロネクチンでコーティングしたディッシュ100mm5枚中に塗抹した。培養物は大部分混合の細胞型であったが、血清の非存在下では上皮細胞は維持され、殆どの非上皮細胞は生存または増殖しなかった。微速度のビデオカメラ撮影により、いくつかのコロニーは繊毛性の上皮細胞を含むことが示された。これらの培養物を、以下の栄養物を補ったDME/F12基本培地で増殖させた:インスリン10μg/ml、上皮成長因子(EGF)5ng/ml、セレン2.5×10−8M、ヒドロコルチゾン10−9M、およびブタ下垂体抽出物(PPE)5μl/ml。
【0157】
細胞を回収するために、細胞の単層を、カルシウムおよびマグネシウムを含まないHanksの食塩水溶液で1回すすぎ、10mM EDTAのHanks食塩水溶液で、37℃で15分間インキュベートした。細胞を、穏やかにピペッティングすることにより培養物の表面から剥離した。細胞懸濁液を、1000×gで5分間遠心することによりペレット化した。上清を除去し、細胞を、適宜、非変性のアジュバントと、無血清のDME/F12培地に再懸濁した。
【0158】
(実施例2.モノクローナル抗体の産生)
非変性のアジュバント(Ribi、R730、Corixa、Hamilton、モンタナ州)を、リン酸緩衝食塩水2mlに再水和した。次いで、この再水和したアジュバント100μlを、免疫化に用いるために、実施例1からの細胞ペレットのいくつかと穏やかに混合した。マウス1匹あたり約10個のヒト肺癌腫細胞を、1週あたり約1回または2回、Balb/cマウス中に足蹠より注射した。正確な免疫化スケジュールは、以下の通りである:ゼロ日目、免疫化プラスRibi、3日目、免疫化プラスRibi、7日目、免疫化プラスRibi、24日目、免疫化マイナスRibi、29日目、免疫化マイナスRibi、32日目、免疫化マイナスRibi、36日目、免疫化マイナスRibi、44日目、免疫化マイナスRibi、51日目、免疫化マイナスRibi、69日目、力価試験用に採血、71日目、免疫化プラスRibi、74日目、免疫化プラスRibi、81日目免疫化プラスRibi、91日目、融合前追加免疫(Riviなし)、104日目、融合用に節を回収。
【0159】
69日目に、1滴の血液を、免疫化した各動物の尾部から採取して、FACS分析を用いて免疫化細胞または細胞株に対する抗体の力価を試験した。力価が、少なくとも1:2000に到達したら、COを用いその後頸部脱臼によりマウスを屠殺した。ハイブリドーマを調製するために、リンパ節を回収した。
【0160】
マウスからのリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を用いて、マウスミエローマ系X63−Ag8.653と融合した。融合後10日目に、ハイブリドーマの上清を、蛍光標示式細胞分取器(FACS)によりヒト胎児性腎細胞特異的モノクローナル抗体の存在についてスクリーニングした。各ハイブリドーマからの条件培地を、アリコートの免疫化細胞または細胞株とともに、30分間インキュベートした。インキュベート後、細胞サンプルを洗浄し、希釈液0.1mlに再懸濁し、FITC複合したヤギ抗マウスIgGのF(ab’)2フラグメント1μg/mlと、4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、FACS希釈液0.2mlに再懸濁し、FACScan細胞アナライザー(Becton Dickinson、San Jose、カリフォルニア州)を用いて分析した。FACSによる、免疫化細胞または細胞株の表面に対するそれらの結合に基づいて、さらなる拡大/増殖、クローニング、および特徴付けをするために、ハイブリドーマのクローンを選択した。LUCA2と呼ばれる抗原に結合するmu−抗LUCA2と呼ばれるモノクローナル抗体を作成するハイブリドーマを選択した。mu−抗LUCA2抗体を作成するハイブリドーマを、ハイブリドーマの持続的な増殖および抗体の精製に適する増殖培地で、さらに増殖させた。
【0161】
(実施例3.mu−抗LUCA2を含む抗LUCA2抗体の精製)
ヒト肺癌細胞を、10.0mM EDTAの存在下で、組織培養フラスコから剥離し、1400rpmで5分間遠心し、1%BSAおよび2mM EDTAを含むPBS(FACS希釈液)に再懸濁した。細胞を計数し、10細胞/mlに調整した。約0.1mlの細胞を、FACS希釈液100μlと、37℃で30分間インキュベートした。ヒト肺癌腫細胞に結合するモノクローナル抗体を、タンパク質−Gのアフィニティークロマトグラフィーを用いて、細胞培養上清から精製した。所望により上清における過剰のウシIgGを除去するために、組織培養上清を、ウシIgGカラムを最初に通過させてもよい。以下の材料を抗体の精製プロセスに用いた:ハイブリドーマ組織培養上清、Immunopure(G)IgG結合バッファー(Pierce#21011Rockford、イリノイ州)、Immunopure IgG溶出バッファー(Pierce#21009)、濃HCl(pH調整用)、Corning1リットルPES(ポリエーテルスルホン)、0.22μmフィルター(Corning#431098、Corning、ニューヨーク州)、Amersham Pharmacia AKTA Explorer System(Amersham Biosciences、Piscataway、ニュージャージー州)、タンパク質−Gセファロース4Fast Flow(Amersham Biosciences#17−0618−03)、3Mチオシアン酸カリウム/50mM Tris pH7.8、およびPBS(リン酸緩衝食塩水)、3M Tris pH9.0からなるストリッピングバッファー。
【0162】
mu−抗LUCA2と本明細書で呼ぶマウス抗ヒトLUCA2抗体を精製するために、上清の体積を測定し、等体積の結合バッファーを上清に加えた。混合液を、室温に平衡にした。0.22μmのフィルターを通過させることにより、上清を清澄にした。上清を、AKTA Explorerシステム(Amersham Biosciences)を用いてタンパク質−Gセファロースカラムに充填し、次いで、5〜10カラム体積の結合バッファーで洗浄した。モノクローナル抗体を、溶出バッファーで溶出し、画分を採集した。3M Tris、pH9.0を空のチューブに加えて(画分の1/60体積)、溶出時に画分を中性化した。モノクローナル抗体を含むピーク画分をプールした。プールしたサンプルを、予め湿らせたスライデアライザー(slidealyzer)カセット(カットオフ10000MW、Pierce#66810)中に注入し、1×PBSで4℃で透析した(交換1回あたり、少なくとも4時間透析し、バッファー交換3回)。精製したモノクローナル抗体を、滅菌ろ過(0.2μm Acrodisc)し、2〜8℃で貯蔵した。
【0163】
UV吸光度(A280)およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により濃度を決定するために、精製した抗体のサンプルを採取する。SDS−PAGEを、分子量を分析し、モノクローナル抗体の典型的なバンドのパターンを同定し、純度を評価するために、非還元性および還元性の両方の条件下で流す。
【0164】
ハイブリドーマの上清からのmu−抗LUCA2モノクローナル抗体を精製した後、ヒト胎児腎細胞に対する結合性について再試験した。細胞サンプルを、上記に記載したように調製し、様々な濃度の精製した抗体とインキュベートした。インキュベート後、細胞を洗浄し、0.1ml希釈液に再懸濁し、FITC複合したヤギ抗マウスIgGのF(ab’)2フラグメント1μlと、4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、0.5mlFACS希釈液に再懸濁し、FACScanセルソーター(Beckton Dickinson、San Jose、カリフォルニア州)を用いて分析した。FACScanヒストグラム上の、右への移行により、精製した抗体は免疫化した細胞に依然として結合していることが示された。
【0165】
他の実験では、mu−抗LUCA2抗体のLUCA2への結合を、生細胞ELISAを用いて試験した。以下の方法を用いたが、当技術分野で一般的に知られている他の方法が適用可能である。細胞(HT−29、SKOV3、SKMES−1、SW480、SKBR−3、およびHPAFII)を、10%ウシ胎児血清(FBS)含有培地で、組織培養処置した96ウェルプレート(Falcon)上でコンフルエントに増殖させた。細胞をPBSで洗浄し、次いで、1%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)で、望ましい濃度の望ましい抗体50μlで、1時間室温でインキュベートした。次いで、細胞を、1ウェルあたり100μlのHBSSで3回洗浄し、その後、西洋ワサビのペルオキシダーゼ(HRP)の2次抗体(HBSSに希釈したものを1ウェルあたり50μl)で、30分間室温でインキュベートした。細胞を、最終的にHBSSで3回洗浄し、変色基質(TMB基質、KPL)を、1ウェルあたり100μlで、各ウェルに加えた。変色反応を、1Mリン酸を1ウェルあたり100μl加えて停止させた。次いで、プレートをO.D.450nmで読んだ。
【0166】
(実施例4.癌細胞株統Colo205およびHT−29におけるLUCA2発現のウエスタンブロット分析)
結腸直腸の腺癌細胞株Colo205およびHT−29を、175cm培養皿上でコンフルエントに増殖させた。コンフルエントの単層を、ハンクスの平衡塩溶液(HBSS+炭酸水素ナトリウムまたはフェノールレッドを含まない、10mM HEPES、pH7.4で緩衝した、Sigma Chemicals)で3回洗浄し、スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce Endogen)200μgで、室温で30分間ビオチン化した。次いで、細胞をHBSS+含有0.1M Tris、pH7.4(Sigma Chemicals)で洗浄し、HBSS+含有0.1M Tris、pH7.4で、室温で15分間インキュベートした。細胞を、最終的にHBSS+で3回洗浄し、溶解バッファー(HBSS+2%TritonX−100、2mM PMSF、0.1%アジ化ナトリウム、および溶解バッファー5mlあたり1錠の、EDTAを含まない完全ミニ−プロテアーゼカクテル(Roche Molecular Biochemicals)を含む)で、氷上で5分間インキュベートすることにより、溶解した。
【0167】
細胞を溶解バッファーにこすり取り、溶解物を回収した。溶解物を、4℃、14000×gで1時間遠心した。次いで、清澄にした溶解物を、ヒトIgG複合した(1mg/ml)CNBr 4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)5μlで、4℃で2時間、予め清澄にした。ヒトIgGビーズを遠心し、取り出し、次いで予め清澄にした溶解物を、CNBr4MBセファロースビーズに複合したモノクローナル抗体mu−抗LUCA2(1mg/mlで複合した)と、4℃で2時間インキュベートした。mu−抗LUCA2ビーズを遠心し、2時間インキュベートした後、取り出した。ヒトIgGおよびmu−抗LUCA2ビーズの両方を、個々に溶解バッファー1mlで3回洗浄し、次いで、1mlHBSS+で3回洗浄した。洗浄したビーズを、SDS−PAGEサンプルバッファー30μlを加え、99℃で5分間煮沸することにより溶出した。
【0168】
次いで、サンプルを4〜20%Novexグラジエントゲル(Invitrogen)上で分解し、0.2μmニトロセルロース膜(Invitrogen)上に移し、1ブロットあたり5μgのmu−抗LUCA2でのウエスタンブロットにより可視化した。
【0169】
mu−抗LUCA2でのウエスタンブロットでは、ニトロセルロースを、同様に、1時間ブロッキングバッファーで阻止した。次いで、ニトロセルロースを、ブロッキングバッファーで希釈した5μg/ml mu−抗LUCA2を1ml含む、ヒートシールしたプラスチック製パウチでインキュベートした。ニトロセルロースをTBSTで3回洗浄し、その後、1μg/mlのHRP複合したロバ抗マウスIgG(重鎖および軽鎖特異的、ウシ、トリ、ヤギ、モルモット、シリアンハムスター、ウマ、ヒト、ウサギ、ヒツジ血清タンパク質に対して交差吸着される、Jackson Immunoresearch、カタログ#709−035−149)10mlで、室温で1時間インキュベートした。最終的にニトロセルロースをTBSTで3回洗浄し、ECL+(Amersham)で可視化した。このプロトコールおよびmu−抗LUCA2抗体を用いた結果は、還元条件下で、〜150kDa、および〜210kDaに2重の高分子量のバンドを示している。これらの結果の例を、図1に示すが、矢印は、Colo205およびHT−29レーンにあるが、IgGコントロールのレーンにはない、特異的な高分子量の二重線を指している。
【0170】
(実施例5.免疫組織化学の方法)
癌患者からの凍結組織サンプルをOCT化合物に包埋し、イソペンタン中ドライアイスで急速冷凍した。凍結切片を、Leica3050CMミクロトームで厚さ8〜10μmに切断し、SuperFrost Plus slide(VWR#48311−703)上に、解凍搭載した。切片を75%アセトン/25%エタノールで、10℃で固定し、室温で2〜4時間、空気乾燥した。固定した切片を、使用するまで−80℃で貯蔵した。
【0171】
免疫組織化学では、組織切片を、Tris緩衝した0.05%Tween(TB−T)で洗浄して修復し、ブロッキングバッファー(TB−T、5%正常ヤギ血清および100μg/mlアビジン)で、室温で30分間ブロックした。次いで、スライドをmu−抗LUCA2、およびブロッキングバッファー(1μg/ml)で希釈したコントロールのモノクローナル抗体と、室温で60〜90分間インキュベートした。次いで、切片を、ブロッキングバッファーで3回洗浄した。結合したモノクローナル抗体を、ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼ複合体、およびペルオキシダーゼ基質ジアミノベンチジン(1mg/ml、Sigmaカタログ番号D5637)の0.1M酢酸ナトリウムバッファーpH5.05および0.003%過酸化水素(Sigmaカタログ番号H1009)溶液で検出した。染色したスライドを、ヘマトキシリンで対比染色し、Nikon顕微鏡下で検査した。
【0172】
いくつかの場合では、パラフィン包埋したホルムアルデヒド固定した組織を、好適な抗原修復方法を使用した後、免疫組織化学に用いた。そのような抗原修復方法の1つは、Mangham and Isaacson、Histopathology、35巻、129〜33頁(1999年)に記載されている。他の、抗原修復および/または検出の他の方法を、当業者は用いることができる。凍結組織、または、適切な場合には、抗原修復で固定した組織およびポリMICA検出を用いて行った同様の実験からの結果が得られた。抗LUCA2抗体の、様々な正常および癌組織に対する結合を評価した。全ての場合で、コントロールの固定組織の抗体の結合は、凍結組織における抗体の結合に相関していた。凍結組織からの結果は、この2つがコントロールにおいてマッチしなかった場合に用いたにすぎない。
【0173】
便宜上、様々な供給源からの、凍結した外科的な組織を用いたいくつかの実験の結果を組み合わせた概略を、以下の表1および表2に示す。
【0174】
【表1】

【0175】
【表2】

(実施例6.免疫細胞化学の結果)
モノクローナル抗体mu−抗LUCA2を用いて、異なる型の組織からの様々な細胞株で反応性を試験した。結果を、弱陽性染色に対して「+」、中程度の陽性染色に対して「++」、強陽性染色に対して「+++」、および陰性染色に対して「−」とスコア付けた。
【0176】
免疫組織化学の結果を、WO第01/43869号に記載されているように、CellArray(商標)技術を用いて得た。様々な確立された細胞株からの細胞を、プロテアーゼを用いないで、増殖表面から取り出し、OCT化合物中に充填し、包埋した。細胞を凍結し、切片にし、次いで、標準のIHCプロトコールを用いて染色した。
【0177】
様々な確立されたヒトの正常および腫瘍細胞株に対する、mu−抗LUCA2抗体の結合の結果を、便宜上、表3にまとめる。表3に示した実験には、本明細書に記載した方法を用いた、生細胞ELISAおよびCellArray(商標)結合実験が含まれる。
【0178】
【表3−1】

【0179】
【表3−2】

【0180】
【表3−3】

モノクローナル抗体mu−抗LUCA2を用いて、グリオーマ由来の細胞株との反応性を試験した。上記でCellArray(商標)技術について記載した同様のプロトコールを用いて、免疫細胞化学の結果を得た。グリオーマ由来の細胞株を、プロテアーゼを用いないで増殖表面から取り出し、充填し、OCT化合物に包埋した。細胞を凍結し、切片にし、次いで、標準のIHCプロトコールを用いて染色した。mu−抗LUCA2は、スクリーニングした7/25のグリオーマ由来細胞株に対して陽性(+/−から3+)であった。
【0181】
(実施例7.タンデム質量分析法(MS/MS)を用いた、それに対してmu−抗LUCA2が結合するエピトープの特徴付け)
それに対してmu−抗LUCA2が結合するエピトープを、実施例4に記載したように単離し、Kaneら、2002年の方法に従ってタンデム質量分析にかけた。タンパク質を、SDS−PAGEにより分離し、ゲルをコロイドのクーマシーブルー試薬(Invitrogen)で染色した。対象のタンパク質を、ゲルにおいてトリプシンで消化した。トリプシンペプチドを、Wuら、2000年に記載されているように、イオントラップ質量分析計上のミクロキャピラリー液体クロマトグラフィーMS/MS(Thermo−Finnigan LCDQ DECA XP)により配列決定した。
【0182】
あるいは、MALDI質量分析などの、他のよく知られた質量分析方法も、本発明の実施に用いることができる。
【0183】
質量分析実験からの結果は、mu−抗LUCA2に特異的なバンドは、炭水化物のエピトープと一致する様々なタンパク質からなることを指摘していた。
【0184】
(実施例8.LUCA2を同定するための他の特徴付け実験)
LUCA2をさらに特徴付けるために、正常ヒト好中球を用いてLUCA2の発現を決定した。正常ヒト好中球を、フィコール−デキストラン沈降(GE Healthcare)を用いて全血から単離した。単離した好中球を溶解し、細胞溶解物を市販のCD11b抗体(R&D Systems)で免疫沈降した。タンパク質を、SDS−PAGEを用いて分離し、LUCA2抗体を用いたウエスタンブロットを行った。LUCA2に特異的なバンドが、170kDaで観察されたが、これはCD11bの分子量に対応する。
【0185】
LUCA2を含むタンパク質の炭水化物の性質を試験するために、LUCA2を正常ヒト好中球(170kDa CD11bタンパク質)から精製し、N−グリカナーゼ、S−グリカナーゼ、O−グリカナーゼ、およびこれら3つのグリカナーゼの組合せ(Prozyme、カリフォルニア州)を用いて脱グリコシル化させた。製造元のプロトコールに従った方法を用いたが、当技術分野では一般的に知られている他の方法も適用可能である。N−グリカナーゼで処置した170kDaのタンパク質調製物は、mu−抗LUCA2を用いたウエスタンブロット上で分離した場合に、mu−抗LUCA2活性を示さなかった(図2、レーン2)。同様に、N−グリカナーゼ+S−グリカナーゼで処置した170kDaのタンパク質調製物は、mu−抗LUCA2を用いてウエスタンブロット上で分離した場合に、mu−抗LUCA2活性を示さなかった(図2、レーン3)。O−グリカナーゼで処置しても、mu−抗LUCA2を用いてウエスタンブロット上で分離した場合にグリカナーゼ処置なしのものと比べて、mu−抗LUCA2活性に影響を及ぼした様子はなかった(グリカナーゼ処置なし:図2、レーン1;O−グリカナーゼ処置:図2、レーン4)。3つ全てのグリカナーゼで処置した170kDaのタンパク質調製物は、mu−抗LUCA2活性を示さなかった(図2、レーン5)。これらの結果は、LUCA2はCD11bを含む数々のタンパク質上に存在するN−連結した炭水化物のエピトープである可能性が高いことを示している。
【0186】
mu−抗LUCA2が認識する炭水化物のエピトープをさらに特徴付けるために、LewisB(LNFP−I)、LewisA(LNFP−II)、LewisX(LNFP−III)、およびラクト−N−ジフコヘキサオースI(LNDFP−I)に対するmu−抗LUCA2の結合についてELISAを行った。一般的に知られているELISAの方法が、適用可能である。手短に述べると、以下の方法を用いた。BSA−複合したグリコ−類似体を、HBSS中10μg/mlおよび50μl/ウェルの濃度で96ウェルプレート上に、室温で2時間コーティングした。プレートを、HBSSで1回洗浄し、1%BSAを含むHBSSで、室温で30分間ブロックした。ブロッキング溶液を除去し、次いで、1%BSAを含むmu−抗LUCA2HBSS溶液、2μg/ml、50μl/ウェルを、室温で1時間、各ウェルに加えた。プレートを、HBSSで3回洗浄した。2次抗体(0.1μg/ml、50μl/ウェルの濃度の、ロバ抗マウスIgG、H+L−HRP複合体)を、室温で30分間、各ウェルに加えた。プレートを、HBSSで3回洗浄した。TMB基質(KPL Labs)100μl/ウェルで発色を誘発し、その後、1Mリン酸100μl/ウェルを加えることにより反応を停止した。プレートを、O.D.450nmで読んだ。グラフ化した結果を、図3上に示す。mu−抗LUCA結合は、LNFP−II(LewisA抗原)およびLNFP−III(LewisX抗原)を認識したが、LNFP−I(LewisB抗原)もLNDFP−I(ラクト−N−ジフコヘキサオースI)も認識しなかった。これらの結果は、mu−抗LUCA2は、LNFP−IIおよびLNFP−IIIの両方により表される炭水化物のエピトープを認識することを指摘している。
【0187】
(実施例9.mu−抗LUCA2は、Mac−1(CD11b/CD18)活性化を誘発する)
mu−抗LUCA2の、Mac−1(CD11b/CD18)依存T84細胞接着に影響を及ぼす能力を試験した。T84細胞は、好中球遊走アッセイで用いられている腸上皮細胞株である。好中球は、Mac−1(CD11b/CD18)依存の接着性の事象において、培養されたT84上皮細胞の単層を越えて遊走することができることが、当技術分野では知られている。このMac−1依存の好中球の遊走を阻止することは、好中球が永続化させる慢性炎症を低減するのに重要であり得る。正常ヒト好中球から精製したMac−1を、HBSSで希釈し、飽和濃度で、96ウェルプレート上に室温で2時間コーティングした。プレートを洗浄し、1%BSAを含むHBSSで、室温で30分間ブロックし、その後、HBSS/1%BSAを含む抗体に、BCECF標識したT84細胞を加えた。用いた抗体は、mu−抗LUCA2、TS1/18、およびW6/32であった。W6/32は、T84細胞の接着を増大できることが知られている、陽性コントロールの抗体である。TS1/18は、Mac−1依存性のT84細胞接着を阻害することが知られている陰性コントロールの抗体である。プレートを、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを、Gemini蛍光プレートリーダー(Molecular Devices)上で読んで、洗浄前の蛍光シグナルを得る。次いで、プレートを、29ゲージ針の吸引およびHBSSを用いて穏やかに洗浄し、1%BSAを3回適用する。各洗浄後、プレートをGeminiプレートリーダー上で、洗浄後の蛍光シグナルについて読む。以下の式:100×(洗浄後/洗浄前の蛍光)により、各洗浄に対する接着パーセントを計算する。T84細胞接着アッセイの結果を、図4に示す。mu−抗LUCA2を、陽性コントロール抗体であるW6/32と比べて用いた場合に、Mac−1依存T84細胞の接着に増大がある。これらの結果は、mu−抗LUCA2は、Mac−1に結合することができ、T84細胞の接着を増大することができることを示している。T84細胞はLUCA2を発現しないので(FAC分析により実証された通り)、mu−抗LUCA2が増大するT84細胞の接着は、Mac−1特異的であり、したがって、抗体が誘導する架橋を除外するものである。これらの結果は、mu−抗LUCA2は、上皮細胞への好中球の接着を増大することができ、したがって慢性炎症において好中球の遊出に影響を及ぼすことを示唆している。
【0188】
(実施例10.膵臓腫瘍細胞株Hs700Tに対するmu−抗LUCA2の効果)
単層として増殖させた場合にin vitroにおいて細胞数を減少させる抗体の能力を、試験またはコントロールの精製した抗体の様々な量の存在下または非存在下で増殖させた細胞の単層を用いて評価することができ、細胞数における変化をMTTを用いて評価することができる。MTTは、ミトコンドリアの酵素の活性を測定する色素であり、相対的な生存可能な細胞数に相関する。対象の細胞を、96ウェルプレートで、10%ウシ胎児血清を補ったF12/DMEM(1:1)増殖培地に塗抹し、増殖させた。Hs700T細胞を、96ウェルディッシュの3つ組のウェルに2000細胞/ウェルで塗抹した。塗抹直後に、mu−抗LUCA2を加えた。細胞を、5%COの加湿したインキュベーターで、37℃で5日間インキュベートした。アッセイの終わりに、MTTをPBS(5mg/ml)に溶解し、1:10の希釈でウェルに直接加えた。プレートを、4時間、インキュベーターに戻した。インキュベート後、培地を除去し、DMSO100μlを加えて、MTT沈殿物を可溶化した。プレートをO.D.540nmで読んだ。
【0189】
mu−抗LUCA2は、20μg/mlで膵臓腺癌細胞株Hs700Tの増殖を約40%阻害した。mu−抗LUCA2の効果の、グラフ化した代表的な結果を、図5に示す。
【0190】
(実施例11.mu−抗LUCA2および毒素複合した抗マウスIgGの内面化)
Mab−ZAP(Advanced Targeting Systems、San Diego、カリフォルニア州)は、タンパク質合成を阻害する毒素であるサポリンに複合した、抗マウスIgGである。この毒素は、細胞膜に不透過性である。モノクローナル抗体が、内面化可能な細胞表面抗原に結合している場合、毒素複合体は結合しているモノクローナルに結合することができ、それにより内面化され、最終的に細胞を死滅させる。Mab−ZAPは毒性の活性を示すのに内面化に依存しているので、所与の表面抗原が、細胞の毒性効果を発現するための内面化に依存しているあらゆる毒素に適する標的として役立つか否かを評価するのに、Mab−ZAPは役立つことができる。それ自体として、Mab−ZAPは、メイタンシノイドおよびカリケアマイシンなど、そのような内面化依存性毒素に対するモデルとして役立つ。
【0191】
mu−抗LUCA2およびサポリン複合した抗マウスIgGの腫瘍細胞による内面化、およびサポリンの内面化後の腫瘍細胞の死滅の効果を試験するために、ヒト膵臓腺癌細胞であるHs700Tを、10mM EDTAで保存フラスコから取り出し、遠心した。細胞を好適な培地に50000/mlで再懸濁し、96ウェルのプレートに1ウェルあたり100μlを塗抹した。抗体mu−抗LUCA2を、10×濃度として好適なウェルに即座に加えて、最終濃度を10ug/mlとした。室温で15分後に、Mab−ZAP(カタログ#IT−04、Advanced Targeting Systems、San Diego、カリフォルニア州)を好適なウェルに10×濃度として加えて、最終濃度を0.001nMから10nMまでとした。4日増殖させた後、MTTを37℃で4時間加えた(保存液5mg/mlPBS、ウェルにおいて1:10希釈)。次いで、培地を全てのウェルから除去し、DMSO100μl/ウェルを加えた。プレートを穏やかに回転させて青色のMTT沈殿物を可溶化し、プレートをO.D.540nmで読んだ。
【0192】
mu−抗LUCA2の非存在下の染色に比べて、mu−抗LUCA2の存在下で、Hs700T細胞において、MTT染色における低減があった。これは、Hs700T細胞の増殖は、mu−抗LUCA2およびMab−ZAPの存在下で阻害されたことを示しており、これらの結果はmu−抗LUCA2および毒素複合した抗マウスIgGはHs700T細胞に内面化されたことを示している。
【0193】
本実施例の方法に従った内面化実験の結果を、図6に示す。
【0194】
(実施例12.Hs700T細胞を用いたヒト膵臓腺癌の皮下モデルにおけるmu−抗LUCA2抗体の抗腫瘍効果)
この試験は、膵臓癌の皮下モデルにおける抗LUCA2抗体に対する用量−反応の抗腫瘍データを試験するためにデザインされた。細胞毒性の化学療法剤であるフルオロウラシル(5FU)を陽性コントロールとして用い、mu−抗LUCA2および5FUとの蓄積効果が存在したか否かを見るために試験した。
【0195】
培養したHs700Tヒト膵臓腺癌細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、遠心沈殿し、培地1ミリリットルあたり1億細胞(体積0.05mLあたり500万細胞)で培地に再懸濁し、次いで最終注射体積の0.1mLにするために、等体積のMatrigel(登録商標)に混合した。試験の間は、72NCR.nu/nuホモ接合型のマウスを、腹腔内投与した。グループは、(1)0.2mLの食塩水コントロール、週2回で10回処置、(2)50mg/kgのmu−抗LUCA2抗体、週2回で10回処置、(3)35mg/kgのフルオロウラシル(5FU)、週1回で4回処置、および(4)50mg/kgのmu−抗LUCA2抗体、および35mg/kgの5FU、週2回で10回処置であった。
【0196】
経時の腫瘍の増殖を評価して、抗腫瘍活性を決定した。腫瘍は、治療開始前に、触診可能であった。抗体処置に応答する動物を処置中断後も維持して、腫瘍再増殖までの時間を決定した。
【0197】
35mg/kg 5FUで処置した動物は、腫瘍体積において大幅な低減を示した(食塩水コントロールに比べた場合約21.5%の阻害)。50mg/kg mu−抗LUCA2抗体および35mg/kg 5FUで処置したマウスは、5FU単独よりも腫瘍体積においてさらに大幅な低減を示した(食塩水コントロールに比べた場合約32.3%の阻害)。最後に、mu−抗LUCA2抗体で処置したマウスは、食塩水コントロールと異なるいかなる効果も示さなかった。これらの結果に基づくと、5FUおよびmu−抗LUCA2抗体処置に、いずれか一方のみの処理を上回る蓄積効果が存在し得る。
【0198】
本明細書に記載した実施例および実施形態は例示を目的とするにすぎず、それらを考慮した様々な改変形態または変更形態は、当業者に対して示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書に引用した刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が、特に、かつ個別に、参照としてそのように組み入れられることが示されるごとく、全て、全ての目的で同程度にその全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1は、結腸直腸の腺癌細胞株HT−29およびColo205の細胞溶解物に、mu−抗LUCA2抗体、またはコントロールのIgGを用いて免疫沈降し、次いでmu−抗LUCA2抗体でウエスタンブロットしたものを示す。矢印は、HT−29およびColo205の細胞溶解物に存在し、コントロールの細胞溶解物に存在しない特定の2重のバンドを指している。
【図2】図2は、正常ヒト抗中球由来で、様々なグリカナーゼで処置したLUCA2の免疫沈降およびウエスタンブロットである。レーン1は、グリカナーゼ処置なしの正常ヒト抗中球から精製したLUCA2を示す。2本の矢印は、mu−抗LUCA2に特異的なバンドを示す。レーン2は、N−グリカナーゼで処置したLUCA2を示す。レーン3は、N−グリカナーゼおよびS−グリカナーゼで処置したLUCA2を示す。レーン4は、O−グリカナーゼで処置したLUCA2を示す。レーン5は、N、S、およびO−グリカナーゼで処置したLUCA2を示す。
【図3】図3は、LewisB抗原、LewisA抗原、LewisO抗原、およびラクトN−ジフコヘキソースIを用いたELISAアッセイにおけるmu−抗LUCA2の結果をグラフ化したものを示す。図3は、mu−抗LUCA2、および4つの異なるグリコ類似体:LNFP−I(LewisB抗原)、LNFP−II(LewisA抗原)、LNFP−III(LewisX抗原)、およびLNDFP−1(ラクト−N−ジフコヘキサオース(difucohexaose)I)を用いたELISAを示すグラフである。
【図4】図4は、mu−抗LUCA2の、Mac−1(CD11b/CD18)が媒介するT84細胞の接着に対する効果を示すグラフである。
【図5】図5は、mu−抗LUCA2の、膵臓の腺癌細胞株であるHs700Tの増殖に対するin vitroの活性を示すグラフである。
【図6】図6は、mu−抗LUCA2およびMab−ZAP(抗IgGのサポリンに対する複合体)の、ヒトの膵臓腺癌細胞株Hs700Tの増殖に対する効果の結果をグラフ化したものを示す。中抜きの円は、Mab−ZAP単独でのコントロールのサンプルを表し、黒塗りの円はmu−抗LUCA2およびMab−ZAPでのサンプルを表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LUCA2に特異的に結合し、以下の特徴:
a.癌細胞上のLUCA2に結合する能力、
b.in vitroまたはin vivoで生細胞の表面上に露出しているLUCA2の一部分に結合する能力、
c.LUCA2を発現する癌細胞に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、
d.LUCA2を発現する癌細胞中に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、および
e.末梢血球上のLUCA2に結合する能力
の少なくとも1つまたは複数を有する、実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の精製された免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記末梢血球が、B−リンパ球、T−リンパ球、好塩基球、好酸球、好中球、単球、血小板、および赤血球からなる群より選択される、請求項1に記載の精製された免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合フラグメント。
【請求項4】
請求項1に記載の免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸配列。
【請求項5】
前記核酸が、プロモーターに作動可能に連結している、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
前記プロモーターおよび核酸が発現ベクターに含まれている、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
前記ポリペプチドがモノクローナル抗体である、請求項4に記載の核酸。
【請求項8】
請求項4の核酸を含むベクターでトランスフェクト、形質転換、または感染された細胞株。
【請求項9】
実質的に精製された免疫グロブリンポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントを生成する方法であって、
a.該免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合フラグメントが発現される条件下で、請求項4に記載の核酸で形質転換された細胞株を増殖させる工程と、
b.発現された免疫グロブリンポリペプチドまたはフラグメントを回収する工程とを含む方法。
【請求項10】
前記細胞株がハイブリドーマである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ハイブリドーマが、ATCC番号PTA#5068である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫グロブリンポリペプチドがモノクローナル抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
治療上有効な投与量の、請求項1に記載の精製された免疫グロブリンまたは抗原結合フラグメントを薬学的に許容できる担体と共に含む薬剤組成物。
【請求項14】
LUCA2に特異的に結合し、以下の特徴:
a.癌細胞上のLUCA2に結合する能力、
b.in vitroまたはin vivoで生細胞の表面上に露出しているLUCA2の一部分に結合する能力、
c.LUCA2を発現する癌細胞に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、
d.LUCA2を発現する癌細胞中に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、および
e.末梢血球上のLUCA2に結合する能力
の少なくとも1つまたは複数を有する、治療上有効な投与量のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを、薬学的に許容できる担体と共に含む薬剤組成物。
【請求項15】
さらなる治療用の部分を含む、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
ATCC番号PTA#5068からなる単離された細胞株またはその子孫。
【請求項17】
化学療法剤を癌細胞に送達するための方法であって、該化学療法剤に結合された抗LUCA2抗体を含む組成物を投与することを含み、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞からなる群より選択される方法。
【請求項18】
前記化学療法剤を個体に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ハイブリドーマがATCC番号PTA#5068またはその子孫である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
個体における癌細胞の増殖を阻害する方法であって、化学療法剤に結合された抗LUCA2抗体を含む組成物の有効量を該個体に投与することを含み、前記癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞からなる群より選択される方法。
【請求項21】
前記化学療法剤を前記癌細胞中に送達する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗LUCA2抗体が、ハイブリドーマATCC番号PTA#5068またはその子孫によって発現されるモノクローナル抗体である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
個体における癌細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、該個体由来の細胞を抗LUCA2抗体と接触させる工程と、該細胞由来のLUCA2と該抗体との複合体がある場合にはそれを検出する工程とを含み、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連の癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌、および移行上皮癌)、骨癌(アダマンチノーマ、動脈瘤性骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄の癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈小体腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、ドードーマ、嫌色素性腎細胞癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、繊維形成不全骨髄、繊維性骨異形成症、胆嚢癌および胆管癌、妊娠性絨毛疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫、脂肪肉腫/悪性脂肪腫、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、メラノーマ、髄膜腫、多発性内分泌腺腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、ポステリアスアンビールメラノーマ、稀な血液学的障害、腎臓の転移性癌、ラブドイド腫瘍、ラブドミサルコーマ、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺の転移性癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞からなる群より選択される方法。
【請求項24】
LUCA2とLUCA2結合パートナーとの間の以下の相互作用:
a.癌細胞上のLUCA2に結合する能力、
b.in vitroまたはin vivoで生細胞の表面上に露出しているLUCA2の部分に結合する能力、
c.LUCA2を発現する癌細胞に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、
d.LUCA2を発現する癌細胞中に、治療物質または検出可能なマーカーを送達する能力、および
e.末梢血球上のLUCA2に結合する能力
の少なくとも1つまたは複数を阻止する物質。
【請求項25】
治療上有効な投与量の請求項24に記載の物質を薬学的に許容できる担体と共に含む薬剤組成物。
【請求項26】
以下の特徴:
a.ヒトLUCA2と天然LUCA2リガンドとの間の相互作用をかく乱し、または阻止する能力、
b.ヒトLUCA2と抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱し、または阻止する能力、
c.ヒトLUCA2に結合する能力、
d.ヒトLUCA2に対する天然のリガンドに結合する能力、
e.抗LUCA2抗体に結合する能力、
f.ヒトLUCA2、天然LUCA2リガンド、または抗LUCA2抗体に結合することができる抗体を産生するのに用いることができる抗原性部位の含有、
g.ヒトLUCA2、天然LUCA2リガンド、または抗LUCA2抗体に結合することができる抗体をスクリーニングするのに用いることができる抗原性部位の含有、
h.ヒトLUCA2と天然LUCA2リガンドとの間の、またはLUCA2と抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱し、または阻止することができる抗体を産生するのに用いられる抗原性部位の含有、
i.ヒトLUCA2と天然LUCA2リガンドとの間の、またはLUCA2と抗LUCA2抗体との間の相互作用をかく乱し、または阻止することができる抗体をスクリーニングするのに用いることができる抗原性部位の含有
の少なくとも1つを有するLUCA2モジュレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−538173(P2008−538173A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553353(P2007−553353)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/003382
【国際公開番号】WO2006/083852
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(504258240)レイベン バイオテクノロジーズ,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】