説明

Lp−PLA2活性を検出する方法

【課題】試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定する方法を提供する。
【解決手段】試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するための複合免疫捕獲方法。特に、酵素的に活性なLp−PLA2標準を用いた、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するための複合免疫捕獲方法。さらに、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するためのキット。特に、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するためのキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2004年2月3日に出願された米国仮特許出願番号60/541,583からの優先権の利益を請求し、これを、この全体において参照により本明細書中に導入する。
【0002】
発明の分野
本発明は、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)の活性を決定する方法に関する。特に、これは、Lp−PLA2特異的結合剤および/または種々の形式で検出可能な生成物に変換され得る基質を用いることにより、Lp−PLA2の活性を決定することに関する。さらに、本発明は、Lp−PLA2の活性を特異的に決定するための、複合免疫捕獲活性アッセイ(hybrid-immunocapture activity assay)に関する。
【背景技術】
【0003】
序論
リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)は、酵素的に活性な50kDのタンパク質である。Lp−PLA2は、ホスホリパーゼA2ファミリーのメンバーであり、ほとんどのホスホリパーゼとは異なり、Ca2+依存性でない。Lp−PLA2は、以前にTewら(1996) Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 16:591-599, Tjoelkerら(1995) Nature 374(6522):549-53およびCaslakeら(2000) Atherosclerosis 150(2): 413-9により、文献において同定されており、特徴づけされている。さらに、タンパク質およびイムノアッセイは、特許文献WO 95/00649-A1、米国特許第5,981,252号;5,968,818号;および6,177,257号(SmithKline Beechamに対して)並びにWO 00/24910-A1、米国特許第5,532,152号;5,605,801号;5,641,669号;5,656,431号;5,698,403号;5,977,308号;および5,847,088号(ICOS Corporationに対して)中に記載されており、この内容を、これらの全体において参照により本明細書中に導入する。Lp−PLA2は、マクロファージにより、動脈硬化病変において増大した発現を伴って発現される(Hakkinin (1999) Arterioscler Thromb Vasc Biol 19(12): 2909-17)。Lp−PLA2は、主にLDLに結合して循環し、LDLと共に同時精製し(co-purifies)、LDLに関連するホスホリパーゼ活性の>95%の原因である(Caslake 2000)。
【0004】
最近の研究において、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)レベルは、男性において血管造影的に証明された冠動脈心疾患(CHD)と有意に相関しており(Caslake 2000)、高コレステロール血症を有する男性における心事故(cardiac event)と関連する(Packard (2000) N Engl J Med 343(16): 1148-55)と示された。
【0005】
冠動脈心疾患(CHD)は、米国における単一の最も一般的な致命的な疾患である。2003年において、1,100,000人と見積もられるアメリカ人が、新たな、または再発性の冠血管発作を有すると予測される(American Heart Associationウェブサイト、ワールドワイドウェブの拡張子.orgを有するamericanheartを参照)。これらの個体の約60%は、以前に知られている危険因子を有していない。CHDを発症する危険にある個体を診断し、療法に適する患者を選択し、指示される療法に対する応答をモニタリングし、個体の危険を低下させるための大きい必要性があることは、明らかである。
【0006】
Lp−PLA2タンパク質を検出するための種々の方法が報告されており、これには、イムノアッセイ(Caslake 2000)、活性アッセイ(PAF Acetylhydrolase Assay Kit, Cat#760901 product brochure, Cayman Chemical, Ann Arbor, MI, 12/18/97 (ワールドワイドウェブの拡張子. comを有するcaymanchem);ネスコカンパニー、アズウェル社、日本国大阪府茨木市庄2−24−3またはKarlan Chemicals, Cottonwood, Arizonaから入手できるAzwell Auto PAF-AHキット、またKosaka (2000)をも参照)、血清血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ活性についての分光学的定量法(Clin Chem Acta 296: 151-161, WO 00/32808(アズウェルに対して))が含まれる。Lp−PLA2を検出するための他の公表されている方法には、WO 03/048172(SIRS-LABに対して)およびWO 2005/001416(Glaxoに対して)が含まれる。公表されている出願の内容を、これらの全体において参照により本明細書中に導入する。これらの公表されている論文または出願はいずれも、Lp−PLA2の質量および活性を共に測定する方法を提供していない。
【0007】
最近、米国食品医薬品局(FDA)は、冠動脈心疾患(CHD)についての危険の前兆として用いるべきヒト血漿におけるLp−PLA2の定量的決定についてのELISA試験についての認可を許諾した((2003)9月〜10月;New test predicts heart risk. FDA Consum. 37(5):6)。
【0008】
これらのアッセイ形式には、制限がある。例えば、酵素活性のみを測定するアッセイは、試験試料中に存在する他の酵素または物質による基質についての競合的な活性の欠点を有する。例えば、ホスホリパーゼA2の多くの要素メンバーは、酸化されたホスファチジルコリンに対する酵素活性を示す。さらに、Cayman活性アッセイは、Lp−PLA2活性に依存しない基質を変換する血清中の物質によるバックグラウンドシグナルの欠点を有する。特に、Caymanキットは、方法の一部として遊離チオールの検出に頼る。Caymanアッセイは、研究室設定において良好に作用し得る一方、遊離チオールを検出することにより、ヒト組織、血漿または血清試料中の豊富な遊離チオールのために、Caymanキットは、ヒト試料中のLp−PLA2(またはPAF−AH)を測定するために用いるには不適当になる。さらに、在来のアッセイは、特異性がないために誤って高い活性を検出し得る。臨床的設定における活性の虚偽の測定により、疾患の不適切な診断、または酵素活性を低下させることを意図する療法に対する患者の応答がもたらされ得る。
【0009】
対照的に、標準的な抗体に基づくイムノアッセイは、高度に特異性であり、関連する標的の量を他の密接に関連するタンパク質中で検出し、定量することができる。しかし、これらは、標的の酵素活性のレベルを決定することができない。このアッセイ形式により、関連するタンパク質のみが測定されることが確実になる一方、この制限により、このようなアッセイは、酵素阻害剤に対する応答をモニタリングするにあたっての有用な手段であることが不可能になる。
【0010】
従って、Lp−PLA2を他のPLA2ファミリーのメンバーの中から特異的に選択することができ、さらにLp−PLA2の酵素活性を測定することができるアッセイについての大きい必要性がある。
【0011】
冠動脈心疾患
冠血管疾患(CVD)には、脈管構造のすべての疾患が含まれ、これには、高血圧、冠動脈心疾患(CHD)、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全が含まれる。研究により、CHDは、CVDの大部分の原因であることが示された。CHDの有病率は、年齢の関数として顕著に増大し、男性は、ほとんどの年齢群内で女性よりも高い有病率を有する。
【0012】
心臓疾患の危険にある個体を同定するために用いられる現在の注意の基準は、トリグリセリド、総コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL)−コレステロールおよび高密度リポタンパク質(HDL)−コレステロールを含む脂質パネル(lipid panel)(Adult Treatment Panel III)の測定である。Executive Summary of The Third Report of The National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, And Treatment of High Blood Cholesterol In Adults (Adult Treatment Panel III). JAMA (2001) 285(19): 2486-97。最近のAdult Treatment Panel III (ATP III)ガイドライン(2001)において、危険因子の根拠に依存して、≧100〜≦130mg/dLのLDL−コレステロールレベルを有する個体は、治療的なライフスタイルの変更を開始することが推薦される。>130mg/dLのLDL−コレステロールを有する成人は、<100mg/dLのLDL−コレステロールの目的を達成するために、集中的なライフスタイル療法およびLDL−コレステロール低下薬剤療法が推薦される。>160mg/dLのLDLレベルを有する患者は、脂質低下薬剤での療法を考慮するべきである。The American Heart Associationは、米国において100,000,000人を超える成人が、総コレステロールの最適なレベルを超えていると見積もった。ワールドワイドウェブの拡張子.orgを有するウェブサイトamericanheartを参照。
【0013】
研究は、上昇したLDL−コレステロールレベルをCHDの危険と関連させ続ける一方、顕著な数の正常なLDL−コレステロールレベルを有する個体が、心事故を経験していることが、十分に理解されており、これは、現在認識されていない他の因子が関与し得ることを示唆している(Eaton (1998) J Am Board Fam Pract 11(3): 180-6)。新たな危険因子についての研究において、アテローム発生における炎症の役割に関する基礎的および臨床的研究の大きくなる主部が明らかになるに従って、顕著な注意が、近年、炎症のマーカーに対して集中されている(Lusis (2000) Atherosclerosis. Nature 407(6801): 233-41; Lindahl (2000) N Engl J Med 343(16): 1139-47)。調査中の炎症マーカーの数種には、細胞接着分子、CD−40リガンド、インターロイキン6およびC−反応性タンパク質(CRP、高感度方法により測定した、またはhsCRP)が含まれる。CRP、即ち非特異性急性期炎症マーカーは、最近CHDについての潜在的な危険指標として顕著な注目を受けている(Ridker (2002) N Engl J Med 347(20): 1557-65; Blake (2002)); J Intern Med 252(4): 283-94)。しかし、CRPは、炎症の多くの源に対して反応性であることが十分知られており、これにより、さらなる調査が、動脈の関与の一層特異的なマーカーを同定することが正当であると証明される。
【0014】
不安定なプラークの形成をもたらすアテローム硬化症の発病は、CHDの主要な原因の1つとして認識されている(Lusis 2000)。最近、アテローム硬化症の発病の新たな理解が、不安定なプラークの形成に対する重要な寄与体としての炎症プロセスに対して強調された。狭窄の程度よりむしろアテローム硬化症プラークの不安定性は、心筋梗塞(MI)の主要部における主な原因であると考慮されている。この実現により、炎症のマーカーは、心臓血管の危険の前兆として有用であり得るという、プラーク生物学の調査および認識がもたらされた。炎症の種々の候補マーカーの中で、CRP(高感度方法により測定した、hs−CRP)、即ち非特異性急性期炎症マーカーは、CHDの前兆として最も大きい注目を受けている(Ridker 2002)。
【0015】
疾患についての分子的基礎
動脈の内皮空間におけるLDLの酸化は、アテローム硬化症の発生における臨界的に重要な段階であると考慮される。酸化されたLDLは、野生型の(native)LDLとは異なり、炎症促進性およびアテローム生成促進性(pro-atherogenic)活性の宿主と関連すると示されており、これは、最終的には、アテローム硬化症プラークの形成に至る(Glass (2001) Cell 104(4): 503-16; Witztum (1994) Lancet 344(8925): 793-5)。基礎的な研究からの増大する根拠により、アテローム硬化症が、炎症性成分を有し、血管壁における脂質の単純な蓄積よりもはるかに多くを表すことが示唆される。病変の最も早期の徴候は、主として泡沫細胞として知られている脂質保有マクロファージで構成されている脂肪線条である。これらの細胞の前駆体は、循環する単球である。後に続く炎症性応答は、さらに、平滑筋細胞および単球の損傷の部位への移動および増殖を刺激して、中間の病変を形成し得る。マクロファージおよび平滑筋細胞の層が蓄積するに従って、繊維状プラークが形成し、これは、細胞残骸、脂質、コレステロール、カルシウム塩および平滑筋の繊維状キャップ、コラーゲンおよびプロテオグリカンで構成されている壊死コア(necrotic core)により特徴づけられる。この進行した病変の次第の成長は、最終的に動脈管腔中に突出し、血流を妨げ得る。アテローム硬化症のさらなる進行により、プラーク破裂およびその後の血栓の形成がもたらされ得、これにより急性冠動脈症候群、例えば不安定狭心症、MIまたは突然の虚血死がもたらされる(Davies (2000) Heart 83:361-366; Libby (1996) Curr Opin Lipidol 7(5): 330-5)。
【0016】
Lp−PLA2は、酸化的に修飾されたLDLのsn−2脂肪酸を加水分解することにより、アテローム発生のプロセスにおいて重要な役割を奏し、リソホスファチジルコリンおよび酸化された遊離脂肪酸の生成をもたらす(Macphee (1999) Biochem J 338 (Pt 2): 479-87)。Lp−PLA2作用のこれらの酸化されたリン脂質生成物の両方は、他の炎症促進性作用の中で、単球を惹きつけ、泡沫細胞形成に寄与するこれらの能力により、アテローム硬化症の発生および進行に寄与すると考えられている(Macphee (2001) Curr Opin Pharmacol 1(2): 121-5; Macphee (2002) Expert Opin Ther Targets 6(3): 309-14)。
【0017】
臨床的研究
Lp−PLA2は、以前、CHDについての潜在的な危険因子として報告されている。Lp−PLA2のCHDについての血漿レベルの予測値は、高コレステロール血症を有する6,595人の男性が関与する大規模な前向き症例対照臨床試験において報告されており、これは、West of Scotland Coronary Prevention Study (WOSCOPS) (Packard 2000)として知られている。Lp−PLA2を、580のCHD症例(致命的でないMI、CHDからの死、または血管再生手順により定義される)および1,160の整合した対照において測定した。結果は、Lp−PLA2の血漿レベルは、一変量および多変量解析によりCHD事象の発生に顕著に関連することを示し、Lp−PLA2の最も低い五分位点(quinitile)と比較して、最も高い五分位点についてのCHD事象についての相対的危険のほぼ2倍の増大を伴う。Lp−PLA2のCHDとの関連は、伝統的な危険因子、例えばLDL−コレステロールおよび他の変数とは独立していた。この研究により、CHDについての危険因子としてのLp−PLA2の臨床的有用性の有望な予備的な指摘が提供された。
【0018】
さらに、血管造影的に明らかになったCHDの研究において、Lp−PLA2は、冠血管狭窄の程度と顕著に関連すると示された(Caslake 2000)。
【0019】
女性のみを試験した(n=246、123の症例および123の対照)他の研究において、Lp−PLA2の基準(baseline)レベルは、症例の中では対照よりも高かった(p=0.016)が、他の心臓血管危険因子について調整した場合には、CHDと顕著に関連しなかった。この研究において、症例は、40%の脳卒中を有する女性、51%の致命的でない心筋梗塞および9%の致命的CHDを含んでいた(Blake (2001) J Am Coll Cardiol 38(5): 1302-6)。
【0020】
最近、いくつかの大きい研究が、臨床的証拠に加えられた。例えば、Atherosclerosis Risk in Communities Study (ARIC)は、10年間の期間にわたり、アテローム硬化症についての病因学、危険因子、臨床的続発症および処置代案を研究することを計画した。これは、National Institutes of Health (NIH)により出資され、米国における4つの地域共同体における15,792人の明らかに健康な男性および女性、年齢45〜64歳が関与している。保存した試料を用いる遡及的な研究において、LDL<130mg/dLであるが上昇したレベルのLp−PLA2(最も高い三分位値)を有する個体は、低レベルのLp−PLA2を有する当該個体と比較して、冠血管事故(coronary event)の2.08倍高い危険を有していた(Ballantyne (2004) Circulation. 109(7):837-42)。
【0021】
最近、Monitoring Trends and Determinants in Cardiovascular Diseases Study (MONICA)は、21カ国における都市部の、および田園の地域からの282,279人の明らかに健康な男性からのデータを採集する世界保健機関のプロジェクトであった。MONICA対象の亜集団からの血清試料を用いたその後の研究において、Lp−PLA2と冠血管事故との間の関連を調査した。この従属研究において、年齢45〜64歳の934人の男性を14年間追跡した。Lp−PLA2の平均の基準レベルは、症例対非症例において、顕著に高かった(p=0.01)。ELISAにより測定した、Lp−PLA2濃度における1つの標準偏差の増大は、1.37の相対的危険度で一変量解析において関連しており(p=0.0002)、危険度の関連は、他の因子、例えば年齢、糖尿病、喫煙、血圧、脂質レベル、BMIおよびCRPレベルについて調整した後にさえも、統計的に有意のままであった(相対的危険度:1.21;p<0.04)。この研究において、Lp−PLA2およびCRPの両方の最も高いレベルを有する個体は、低レベルの両方のマーカーを有する個体よりも、1.9倍大きい危険を有していた。
【0022】
脳卒中および末梢血管疾患
脳卒中は、工業化された世界における死亡および障害の主な原因である。米国において、1年あたり約700,000の脳卒中があり、この中で500,000は、初めての患者において発生する脳卒中である。これらの発作は、米国において15人に1人の死因であり、多数の障害を有する生存者をもたらす(1999年に米国において1,100,000人)。脳卒中の合計の年間費用は、2004年に米国において53,600,000,000ドルであると見積もられた。Rotterdam Study - Oeiら(European Society of Cardiology in August 2004)およびARIC Study - Ballantyneら(Scientific Sessions of the American Heart Association (AHA) in November 2004)から提示されたデータは、Lp−PLA2が、脳卒中についての独立した危険因子であることを示す。さらに、ARIC脳卒中研究により、hsCRPおよびLp−PLA2の両方の測定は、脳卒中危険度評価に特に有用であることが示された。
【0023】
末梢血管疾患(PVD)は、肢の損失、またはさらに生命の損失を生じる可能性を有する、ほぼ汎発性の状態である。PVDは、塞栓または血栓のいずれかにより急速に悪化し得る、存在するアテローム硬化症により生じる不十分な組織灌流として出現する。Lp−PLA2、アテローム硬化症および血管炎症間の関連のために、Lp−PLA2レベルの測定は、PVDを検出、診断またはモニタリングするのに有用であり得る。最近、Santosらは、Lp−PLA2および足関節上腕血圧比(ABI)、末梢血管疾患の尺度の研究を報告した。彼らは、Lp−PLA2は、比較的低いABI(p=0.05)の境界に顕著な前兆であり、他方CRPおよび白血球計数(WBC)を研究された他のマーカーは、顕著ではなかったことを見出した(Santos (2004) Vasc Med. 9(3):171-6)。
【0024】
追加の疾患
Lp−PLA2は、呼吸窮迫症候群(Grissom (2003) Crit Care Med. 31(3):770-5)、免疫グロブリンA腎症(Yoon (2002) Clin Genet. 62(2):128-34)、大腿膝窩動脈バイパスの移植片開存性(Unno (2002) Surgery 132(l):66-71)、口内炎(McManusおよびPinckard (2000) Crit Rev Oral Biol Med. II (2):240-5 8)、気道炎症および反応性亢進(Henderson (2000) J. Immunol. 15; 1 64(6):3360-7)、HIVおよびAIDS(Khovidhunkit (1999) Metabolism 48(12):1524-31)、喘息(Satoh (1999) Am J Respir Crit Care Med. 159(3):974-9)、若年性関節リウマチ(Tselepis (1999) Arthritis Rheum. 42(2):373-83)、ヒト滲出性中耳炎(Tsuji (1998) ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec.60(l):25-9)、統合失調症(Bell (1997) Biochem Biophys Res Commun. 29;241(3):630-5 9)、壊死性腸炎の発生(Muguruma,(1997) Adv Exp Med Biol. 407:3 79-82)、並びに虚血性腸壊死(Furukawa (1993) Pediatr Res. 34(2):237-41)を含む、いくつかの他の疾患に関係していた。
【0025】
Lp−PLA2阻害剤
さらに、Lp−PLA2の、冠動脈疾患およびアテローム硬化症の処置のための治療標的としての有効性を引用するいくつかの論文が公表されている(Caslake 2000; Macphee 2001; Carpenter (2001) FEBS Lett. 505(3):357-63.; Leach (2001) Farmaco 56(1-2): 45-50)。Lp−PLA2が、CHDの処置のための治療標的であるという証拠は、Lp−PLA2の阻害剤のいくつかの属およびこれらの使用を記載する多くの記事中に公表されている。
【0026】
これらの属には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:アゼチジノン阻害剤、SB−222657、SB−223777(MacPhee 1999);可逆的2−(アルキルチオ)−ピリミジン−4−オン(Boydら(2000) Bioorg Med Chem Lett. 10(4):395-8);天然の生成物から誘導される阻害剤、SB−253514および類似体(Pinto (2000); Bioorg Med Chem Lett. 10(17):2015-7);Pseudomonas fluorescens DSM 11579により産生される阻害剤、SB−253514および類似体(Thirkettle (2000)ら、J Antibiot (Tokyo). 53(7):664-9; Busby (2000) J Antibiot (Tokyo). 53(7):670-6.; Thirkettle (2000) J Antibiot (Tokyo). 53(7):733-5);2−(アルキルチオ)−ピリミドン、経口的に活性な1−((アミド結合)−アルキル)−ピリミドン(Boydら(2000) Bioorg Med Chem Lett. 10(22):2557-61);1−((アミド結合)−アルキル)−ピリミドン中の改変されたピリミドン5−置換基は、高度に水溶性である(Boydら(2001) Bioorg Med Chem Lett. 2001 11(5):701-4);1−((アミド結合)−アルキル)−ピリミドン中の親油性1−置換基のフェニルピペラジンアセトアミド誘導体(Bloomer (2001) Bioorg Med Chem Lett. 11(14):1925-9.);1−(ビフェニルメチルアミドアルキル)−ピリミドンの5−(ピラゾリルメチル)誘導体および5−(メトキシピリミジニルメチル)誘導体(Boydら(2002) Bioorg Med Chem Lett. 12(1):51-5);臨床的候補SB−435495中のピリミドン5−置換基のシクロペンチル融合誘導体、SB−480848(Blackie (2003) Bioorg Med Chem Lett. 2003 Mar 24;13(6):1067-70)。
【0027】
現在までに、GlaxoSmithKline (GSK)は、Lp−PLA2活性を劇的に低下させる、以下に示す新規な化合物についての陽性の臨床的データを発表した。このLp−PLA2阻害剤は、心臓血管疾患および死を低減させる薬剤の新たな創出を表し得る。
【化1】

【0028】
Lp−PLA2およびスタチン
Winklerは、最近、2型糖尿病を有する89人の患者におけるLp−PLA2のレベルに対する、フルバスタチンXL対プラシーボの効果を評価する、多施設の、二重盲検の、ランダム化された研究を報告した(フルバスタチン42人およびプラシーボ47人)(Winkler (2004) J Clin Endocrinol Metab. 89(3) 1153-1159)。これらの対象の中で、比較的高いLp−PLA2活性は、CADの履歴と顕著に関連していた。Lp−PLA2活性の観点での最も高い四分位値(quartile)は、最も低い四分位値よりも、顕著に大きい危険にあった(危険率:2.09;95% CI:1.02〜4.29;p=0.043)。フルバスタチン処置により、Lp−PLA2活性は、22.8%低下した。Blankenbergはまた、スタチンを摂取すると、測定可能なLp−PLA2活性が低下することを報告した(Blankenberg (2003) J of Lipid Research 44: 1381-1386)。
【発明の開示】
【0029】
発明の概要
本発明の1つの目的は、試料中のリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)酵素活性を決定する方法であって、Lp−PLA2に特異的に結合する固定化された結合剤を、試料と接触させる段階;固定化された結合剤を洗浄して、酵素的に活性な未結合の物質または干渉物質(1種または2種以上)を除去する段階;結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させる段階;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定する段階を含む、前記方法を提供することにある。
【0030】
本発明の他の目的は、試料中のLp−PLA2酵素活性を決定するためのキットであって、Lp−PLA2に特異的に結合する固体支持体に固定化された結合剤、洗浄溶液およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質を含む、前記キットを提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的は、試料中のLp−PLA2酵素活性を決定する方法であって、Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤を、試料と接触させて、結合剤−Lp−PLA2複合体を形成する段階;結合剤−Lp−PLA2複合体を固定化する段階;固定化された結合剤−Lp−PLA2複合体を洗浄して、酵素的に活性な未結合の物質または干渉物質(1種または2種以上)を除去する段階;固定化された結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させる段階;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定する段階を含む、前記方法を提供することにある。
【0032】
本発明の他の目的は、試料中のLp−PLA2酵素活性を決定するためのキットであって、Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤、固体支持体に固定化された固定化剤、洗浄溶液およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質を含む、前記キットを提供することにある。
【0033】
本発明のさらなる目的は、試料中のリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)酵素活性を決定する方法であって、試料を、試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物と共にインキュベートする段階;インキュベートした試料を、酵素的に活性なLp−PLA2の存在下で遊離のチオール生成物に変換された基質と接触させる段階;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す遊離のチオール生成物を測定する段階を含む、前記方法を提供することにある。
【0034】
本発明の他の目的は、試料中のLp−PLA2酵素活性を決定するためのキットであって、試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物および酵素的に活性なLp−PLA2の存在下で遊離のチオール生成物に変換される基質を含む、前記キットを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A−1B】複合免疫捕獲アッセイの概略図である。
【図2】捕獲mAbとして2c10を用いたHIC−ThioPAFアッセイにおける血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【図3】捕獲mAbとしてB200.1を用いたHIC−ThioPAFアッセイにおける血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【図4】捕獲mAbとしてB501.1を用いたHIC−ThioPAFアッセイにおける血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【図5】捕獲mAbとして2c10を用いたHIC−MNPアッセイにおける血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【図6】市販のThioPAFアッセイにおける血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【図7】DTNBを用いたが、基質を加えていない、改善されたThioPAFアッセイにおける血漿試料バックグラウンドを示す図である。
【図8】改善されたThioPAFアッセイにおけるインキュベーション段階の後の血漿Lp−PLA2活性を示す図である。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明は、試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定する方法であって、Lp−PLA2に特異的に結合する固定化された結合剤を、試料と接触させること;固定化された結合剤を洗浄して、酵素的に活性な未結合の物質または干渉物質(1種または2種以上)を除去すること;結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させること;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定することを含む、前記方法に関する。本発明の1つの観点において、試料は、血清試料、血漿試料またはEDTA処理血漿試料である。本発明の他の観点において、固定化された結合剤は、抗体である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体(phage display antibody)またはポリクローナル抗体である。
【0037】
本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体は、2C10、4B4、B200、B501、90D1E、90E3A、90E6C、90G11D、または90F2Dである。他の高度に好ましい態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株90G11D(ATCC HB 11724)、90F2D(ATCC HB 11725)、または143A(ATCC HB 11900)により産生される。米国特許第5,847,088号を参照。この内容を、参照により本明細書中に導入する。Lp−PLA2(またはPAF−AH)に結合する抗体は、Abcam, Inc. (Cambridge, MA)およびAXXORA, LLC (San Diego, CA)などの供給源から市販されており、本発明の他の態様を含む。
【0038】
本発明の他の観点において、酵素的に活性な未結合の物質は、ホスホリパーゼである。本発明のさらなる観点において、干渉物質(1種または2種以上)は、遊離チオール化合物である。
【0039】
本発明のさらなる他の観点において、基質は、
【化2】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化3】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【0040】
【化4】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている。
【0041】
本発明の他の観点において、基質は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である。
本発明の他の観点において、検出可能な生成物は、放射活性な、比色的な、常磁性の、または蛍光性の標識を有する。さらに、検出可能な生成物を、蛍光的に、比色的に、常磁的に、または放射線により測定する。
【0042】
本発明のさらなる観点は、測定された検出可能な生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準(standard)を含む対照中の検出可能な生成物に対して比較することを含む。本発明のさらなる観点において、酵素的に活性なLp−PLA2標準は、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である。本発明のさらなる他の観点において、組換えLp−PLA2タンパク質は、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される。本発明の他の観点において、固定化された結合剤は、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合しているる。
【0043】
本発明はまた、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定する方法であって:Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤を、試料と接触させて、結合剤−Lp−PLA2複合体を形成すること;結合剤−Lp−PLA2複合体を固定化すること;固定化された結合剤−Lp−PLA2複合体を洗浄して、すべての酵素的に活性な未結合の物質またはすべての干渉物質(1種または2種以上)を除去すること;固定化された結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させること;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定することを含む、前記方法に関する。本発明の1つの観点において、試料は、血清試料、血漿試料またはEDTA処理血漿試料である。本発明の他の観点において、結合剤は、抗体である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である。
【0044】
本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体は、2C10、4B4、B200、B501、90D1E、90E3A、90E6C、90G11D、または90F2Dである。他の高度に好ましい態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株90G11D(ATCC HB 11724)、90F2D(ATCC HB 11725)、または143A(ATCC HB 11900)により産生される。米国特許第5,847,088号を参照。この内容を、参照により本明細書中に導入する。Lp−PLA2(またはPAF−AH)に結合する抗体は、Abcam, Inc. (Cambridge, MA)およびAXXORA, LLC (San Diego, CA)などの供給源から市販されており、本発明の他の態様を含む。
【0045】
本発明の他の観点において、結合剤−Lp−PLA2複合体を、固定化された化合物に結合させることにより固定化する。さらなる観点において、固定化された化合物は、抗体である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である。本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体は、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である。
本発明の他の観点において、固定化された化合物は、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している。
【0046】
本発明の他の観点において、結合剤は、固定化剤に結合している。本発明のさらなる観点において、固定化剤に結合している結合剤は、抗体である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である。本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体は、2C10、4B4、B200、B501、90D1E、90E3A、90E6C、90G11D、または90F2Dである。他の高度に好ましい態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株90G11D(ATCC HB 11724)、90F2D(ATCC HB 11725)、または143A(ATCC HB 11900)により産生される。米国特許第5,847,088号を参照。この内容を、参照により本明細書中に導入する。Lp−PLA2(またはPAF−AH)に結合する抗体は、Abcam, Inc. (Cambridge, MA)およびAXXORA, LLC (San Diego, CA)などの供給源から市販されており、本発明の他の態様を含む。
【0047】
本発明の他の観点において、固定化剤は、抗体、タンパク質または固定化された化合物に結合することができる化合物である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である。本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体は、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である。他の高度に好ましい観点において、固定化剤は、ビオチンである。
【0048】
本発明のさらなる観点において、結合剤−Lp−PLA2複合体に結合した固定化剤は、固定化された化合物に結合する。好ましい観点において、固定化された化合物は、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している。本発明の他の観点において、結合した化合物は、結合した固定化剤に結合することができる抗体、タンパク質または化合物である。本発明の好ましい観点において、抗体は、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である。本発明の高度に好ましい観点において、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体は、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である。他の高度に好ましい観点において、固定化剤は、ストレプトアビジンである。
【0049】
本発明の他の観点において、酵素的に活性な未結合の物質は、ホスホリパーゼである。本発明の他の観点において、干渉物質(1種または2種以上)は、遊離チオール化合物である。
【0050】
本発明のさらに他の観点において、基質は、
【化5】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化6】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【0051】
【化7】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている。
【0052】
本発明の他の観点において、基質は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である。
本発明の他の観点において、検出可能な生成物は、放射活性な、比色的な、常磁性の、または蛍光性の標識を有する。さらに、検出可能な生成物を、蛍光的に、比色的に、常磁的に、または放射線により測定する。
【0053】
本発明のさらなる観点は、測定された検出可能な生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む対照中の検出可能な生成物に対して比較することを含む。本発明の他の観点において、酵素的に活性なLp−PLA2標準は、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である。本発明のさらに他の観点において、組換えLp−PLA2タンパク質は、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される。本発明の他の観点において、固定化された結合剤は、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している。
【0054】
本発明はまた、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するためのキットであって、Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換される基質を含む、前記キットに関する。
【0055】
本発明の他の観点において、基質は、
【化8】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化9】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【0056】
【化10】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている。
【0057】
本発明のさらなる観点において、基質は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である。
【0058】
本発明の他の観点は、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含むキットである。本発明の他の観点において、酵素的に活性なLp−PLA2標準は、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である。本発明のさらに他の観点において、組換えLp−PLA2タンパク質は、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される。
【0059】
本発明はまた、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定する方法であって:試料を、試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物と共にインキュベートすること;インキュベートした試料を、酵素的に活性なLp−PLA2の存在下で遊離のチオール生成物に変換された基質と接触させること;および試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す遊離のチオール生成物を測定することを含む、前記方法に関する。
【0060】
本発明の他の観点において、試料は、血清試料、血漿試料またはEDTA処理血漿試料である。本発明の他の観点において、試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物は、DTNBである。
本発明の他の観点においては、試料を室温でインキュベートする。本発明のさらに他の観点においては、試料を37℃でインキュベートする。さらなる観点において、試料は約2〜約120分インキュベートする。他の観点において、試料は約5〜約30分インキュベートする。
【0061】
また他の観点において、基質は、
【化11】

式中、
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている。
【0062】
本発明の他の観点において、基質は、(a)または(b)の酸化された誘導体である。
本発明はさらに、段階(c)の測定された遊離チオール生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む対照中の遊離のチオール生成物に対して比較することを含む。本発明の他の観点において、酵素的に活性なLp−PLA2標準は、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である。本発明のまた他の観点において、組換えLp−PLA2タンパク質は、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される。本発明の好ましい観点において、前述の方法を、マルチウェルプレートにおいて行う。
【0063】
本発明はまた、試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を測定するためのキットであって、活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換される基質を含む、前記キットに関する。また他の観点において、基質は、
【化12】

式中、
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている。
【0064】
本発明の他の観点において、基質は、(a)または(b)の酸化された誘導体である。本発明のさらなる他の観点において、キットは、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む。本発明のさらなる観点において、酵素的に活性なLp−PLA2標準は、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である。本発明のさらに他の観点において、組換えLp−PLA2タンパク質は、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される。
【0065】
本発明の他の観点は、標準に対して比較した試料中の検出可能な生成物における差異が、標準に対して比較した試料中のLp−PLA2活性における差異によることを含む。
【0066】
本発明の他の観点は、個体における血管疾患を検出するための方法であって、上記した方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで試料中のLp−PLA2の増大した活性が、血管疾患を示す、前記方法を含む。好ましい態様において、血管疾患は、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される。
【0067】
本発明の他の観点は、血管疾患を処置する療法のための個体を選択するための方法であって、上記した方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで試料中のLp−PLA2の増大した活性が、血管疾患を処置する療法から利益を享受する個体を示す、前記方法を含む。好ましい態様において、血管疾患は、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される。他の好ましい態様において、療法は、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される。
【0068】
本発明の他の観点は、血管疾患を処置する療法に対する個体の応答をモニタリングするための方法であって、上記した方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで試料中のLp−PLA2の低下した活性が、血管疾患を処置する療法に対して好ましく応答する個体を示す、前記方法を含む。好ましい態様において、血管疾患は、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される。他の好ましい態様において、療法は、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される。
【0069】
当業者は、本明細書中の本発明を実施するために存在する抗体のさらなる供給源を容易に認識する。高度に好ましい態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株90G11D(ATCC HB 11724)、90F2D(ATCC HB 11725)、または143A(ATCC HB 11900)により産生される。米国特許第5,847,088号を参照。この内容を、参照により本明細書中に導入する。Lp−PLA2(またはPAF−AH)に結合する抗体はまた、Abcam, Inc. (Cambridge, MA)およびAXXORA, LLC (San Diego, CA)などの供給源から市販されている。
【0070】
本明細書中で他に定義しない限り、本発明に関して用いられる科学用語および技術用語は、通常の当業者により一般的に理解される意味を有する。さらに、文脈により他に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は、単数形を含む。一般的に、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質および核酸化学並びに本明細書中に記載したものの複合に関して用いられる命名法およびこの手法は、当該分野において十分知られており、一般的に用いられているものである。
【0071】
他に示さない限り、本発明の方法および手法は、一般的には、当該分野において十分知られており、本明細書中を通して引用し、議論した種々の一般的な、および一層具体的な参考文献中に記載されている慣用の方法により行う。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)並びにSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版、Cold Spring Harbor Press (2001); Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992、および2000に補完); Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology - 第4版、Wiley & Sons (1999); HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1990);並びにHarlowおよびLane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1999)を参照。
【0072】
酵素反応および精製手法は、当該分野において一般的に達成されているか、または本明細書中に記載したように、製造者の仕様書に従って行う。本明細書中に記載した分析化学、合成有機化学、並びに医薬および薬学化学に関して用いられる命名法並びにこの実験室手順および手法は、当該分野において十分知られており、一般的に用いられているものである。標準的な手法を、化学合成、化学的分析、医薬製剤、処方物および送達および患者の処置のために用いる。
【0073】
本明細書中で用いる「抗体」は、無処置の(intact)免疫グロブリン、または分子種、例えば本発明のポリペプチドに特異的に結合するための無処置の抗体と競合するこれらの抗原結合部分を表す。抗原結合部分は、組換えDNA技術により、または無処置の抗体の酵素的もしくは化学的切断により、産生することができる。抗原結合部分には、特に、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディー(diabody)および特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが含まれる。
【0074】
Fab断片は、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価の断片であり;F(ab’)断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により結合した2つのFab断片を含む2価の断片であり;Fd断片は、VHおよびCH1ドメインからなり;Fv断片は、抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなり;およびdAb断片は、VHドメインからなる。例えばWardら、Nature 341: 544-546 (1989)を参照。
【0075】
本明細書中で用いる「特異的に結合する」および「特異的結合」により、抗体が、抗体および第1の分子種を混合した他の分子種への結合に優先して、第1の分子種に結合する能力を意味する。抗体は、特に、これが当該第1の分子種に特異的に結合することができる場合には、第1の分子種を「認識する」と言われる。
【0076】
一本鎖抗体(scFv)は、VLおよびVH領域が対となって、これらを単一のタンパク質鎖とすることを可能にする合成リンカーにより1価の分子を形成する抗体である。例えば、Birdら、Science 242: 423-426 (1988); Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883 (1988)を参照。ダイアボディーは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現される2価の、二重特異性抗体であるが、同一の鎖上の2つのドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを用い、これにより、ドメインが、他の鎖の相補的ドメインと対形成するのを強制し、2つの抗原結合部位を生じる。例えば、Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993); Poljakら、Structure 2: 1121-1123 (1994)を参照。1つまたは2つ以上のCDRを、分子中に、共有的に、または非共有的に導入して、これをイムノアドヘシン(immunoadhesin)とすることができる。イムノアドヘシンは、CDR(1種または2種以上)を、一層大きいポリペプチド鎖の一部として導入することができ、CDR(1種または2種以上)を、他のポリペプチド鎖に共有結合させることができ、またはCDR(1種または2種以上)を非共有的に導入することができる。CDRは、イムノアドヘシンが、関連する特定の抗原に特異的に結合するのを可能にする。キメラ抗体は、1つの抗体からの1つまたは2つ以上の領域および1つまたは2つ以上の他の抗体からの1つまたは2つ以上の領域を含む抗体である。
【0077】
抗体は、1つまたは2つ以上の結合部位を有することができる。1つよりも多い結合部位がある場合には、結合部位は、互いに同一であってもよいか、または異なっていてもよい。例えば、天然に存在する免疫グロブリンは、2つの同一な結合部位を有し、一本鎖抗体またはFab断片は、1つの結合部位を有し、一方「二重特異性」または「二官能価」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0078】
「単離された抗体」は、(1)これをこの野生型の状態において同伴させる他の天然に関連する抗体を含む、天然に関連する成分と関連していない抗体、(2)同一の種からの他のタンパク質を含まない抗体、(3)異なる種からの細胞により発現される抗体、または(4)天然に存在しない抗体である。精製された抗体を含む精製されたタンパク質は、天然に関連しない成分で安定化することができることが知られている。天然に関連しない成分は、タンパク質、例えばアルブミン(例えばBSA)または化学物質、例えばポリエチレングリコール(PEG)であってもよい。
【0079】
「中和抗体」または「阻害抗体」は、ポリペプチドの活性を阻害するか、または通常はこれに結合するリガンドへのポリペプチドの結合をブロックする抗体である。「活性化抗体」は、ポリペプチドの活性を増大させる抗体である。
【0080】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞レセプターに特異的に結合することができるすべてのタンパク質決定基を含む。エピトープ性決定基は、通常分子の化学的に活性な表面基、例えばアミノ酸または糖側鎖からなり、通常特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。抗体は、解離定数が1μMより小さい、好ましくは100nMより小さい、および最も好ましくは10nMより小さい場合に、抗原に特異的に結合すると言われる。
【0081】
当該分野において十分知られているように、抗体が、混合物中の分子種の中で識別され得る程度は、部分的に、混合物中の種の高次構造上の関連性に依存し;典型的に、本発明の抗体は、Lp−PLA2ポリペプチドへの偶発的な結合から、少なくとも2倍、一層典型的には少なくとも5倍、典型的には10倍、25倍、50倍、75倍より大きく、およびしばしば100倍より大きく、場合によっては500倍または1000倍より大きく識別される。
【0082】
典型的には、本発明の抗体(またはIgM五量体の場合におけるように抗体多量体)の、本発明のタンパク質またはタンパク質断片への親和性または結合活性は、少なくとも約1×10−6モル(M)、典型的には少なくとも約5×10−7M、1×10−7Mであり、少なくとも1×10−8M、5×10−9M、1×10−10Mおよび1×10−13Mまでの親和性および結合活性が、特に有用であると示される。
【0083】
本発明の抗体は、すべての鳥類、爬虫類または哺乳類種からの天然に存在する形態、例えばIgG、IgM、IgD、IgE、IgY、およびIgAであってもよい。
【0084】
本発明のIgG、IgM、IgD、IgE、IgY、およびIgA抗体はまた、哺乳類、例えばげっ歯動物(典型的にはマウス、しかしまたラット、モルモット、およびハムスター)、ウサギ目の動物(典型的にはウサギ)、並びにまた一層大きい哺乳類、例えばヒツジ、ヤギ、ウシおよびウマ;または卵を産む鳥類もしくは爬虫類、例えばニワトリもしくはアリゲータを含む他の種から有効に得られる。トランスジェニックヒト抗体産生非ヒト哺乳類におけるようなこのような場合において、偶然の免疫化は、必要ではなく、非ヒト哺乳類は、標準的な免疫化プロトコルに従って、本発明のポリペプチドで典型的には強制的に(affirmatively)免疫化されている。鳥類抗体の1つの形態は、WO 00/29444、2000年5月25日公表に記載された手法を用いて作製することができる。
【0085】
上記で議論したように、本発明のポリペプチドの8個または9個以上の近接するアミノ酸の事実上すべての断片は、担体、典型的にはタンパク質、例えばウシチログロブリン、キーホールリンペットヘモシアニンまたはウシ血清アルブミンと結合した際に、好都合には2価のリンカー、例えば上記の他の箇所で記載したものを用いて、免疫原として有効に用いることができ、この議論を、参照により本明細書中に導入する。
【0086】
免疫原性はまた、本発明のポリペプチドを他の部分に融合させることにより、付与することができる。例えば、本発明のポリペプチドを、分枝状のポリリジンコアマトリックス上での固相合成により産生することができ;これらの複数の抗原性ペプチド(MAP)は、ワクチンの開発において高い純度、増大した結合活性、正確な化学的定義および改善された安全性をもたらす。Tamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5409-5413 (1988); Posnettら、J. Biol. Chem. 263: 1719-1725 (1988)。
【0087】
非ヒト哺乳類または鳥類種を免疫化するためのプロトコルは、当該分野において十分に確立されている。Harlowら(編)、Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1998); Coliganら(編)、Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc. (2001); Zola, Monoclonal Antibodies: Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives (Basics: From Background to Bench), Springer Verlag (2000); Gross M, Speck J.Dtsch. Tierarztl. Wochenschr. 103: 417-422 (1996)を参照。免疫化プロトコルは、しばしば、アジュバント、例えばフロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバントを用いるかまたは用いない複数の免疫化を含み、裸のDNAの免疫化(naked DNA immunization)を含むことができる(Moss, Semin. Immunol. 2: 317-327 (1990)。
【0088】
非ヒト哺乳類および鳥類種からの抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよく、ポリクローナル抗体は、本発明のポリペプチドの免疫組織化学的検出においてある利点を有し、モノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドの特定のエピトープを同定し、区別するにあたり利点を有する。鳥類種からの抗体は、本発明のポリペプチドの検出において、ヒト血清または組織において特定の利点を有し得る(Vikingeら、Biosens. Bioelectron. 13: 1257-1262 (1998)。免疫化に続いて、本発明の抗体を、すべての分野で許容された手法を用いて得ることができる。このような手法は、当該分野において十分知られており、参考文献、例えばColigan, 上記;Zola, 上記;Howardら(編)、Basic Methods in Antibody Production and Characterization, CRC Press (2000); Harlow, 上記;Davis(編)、Monoclonal Antibody Protocols, Vol. 45, Humana Press (1995); Delves(編)、Antibody Production: Essential Techniques, John Wiley & Son Ltd (1997);およびKenney, Antibody Solution: An Antibody Methods Manual, Chapman & Hall (1997)中に詳細に記載されている。
【0089】
要するに、このような手法は、特に、ハイブリドーマによるモノクローナル抗体の産生および、免疫グロブリン遺伝子またはこれらの断片を発現するように操作された宿主細胞からの抗体またはこれらの断片もしくは誘導体の発現を含む。これらの2つの産生方法は、相互に矛盾しない:本発明のポリペプチドに特異的な抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローン化し、その後他の宿主細胞中で発現させることができる。また2つの方法は、必ずしも一緒に行う必要はない:例えば、開示内容をこの全体にわたり参照により本明細書中に導入する米国特許第5,627,052号にさらに記載されているように、本発明のポリペプチドに特異的な抗体をコードする遺伝子を、所望のタンパク質に特異的であると知られているB細胞から、または抗体提示ファージ(antibody-displaying phage)から直接クローン化することができる。
【0090】
宿主細胞における組換え発現は、本発明の抗体の断片または誘導体が望ましい場合に、特に有用である。
全体の抗体、抗体断片または抗体誘導体の組換え抗体産生のための宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であってもよい。
原核宿主は、本発明のファージディスプレイ抗体を産生するのに特に有用である。
【0091】
抗体可変領域断片を、例えば繊維状ファージ、例えばM13の表面上に表示させるために遺伝子IIIタンパク質(pIII)または遺伝子VIIIタンパク質(pVIII)に融合させる、ファージディスプレイ抗体の技術は、現在までに十分に確立されている。例えば、Sidhu, Curr. Opin. Biotechnol. 11(6): 610-6 (2000); Griffithsら、Curr. Opin. Biotechnol. 9(1): 102-8 (1998); Hoogenboomら、Immunotechnology, 4(1): 1-20 (1998); Raderら、Current Opinion in Biotechnology 8: 503-508 (1997); Aujameら、Human Antibodies 8: 155-168 (1997); Hoogenboom, Trends in Biotechnol. 15: 62-70 (1997); de Kruifら、17: 453-455 (1996); Barbasら、Trends in Biotechnol. 14: 230-234 (1996); Winterら、Ann. Rev. Immunol. 433-455 (1994)を参照。このようなライブラリーから抗体断片を作製し、増殖させ、スクリーニング(抽出)し、用いるのに必要な手法およびプロトコルは、最近編集されている。例えば、Barbas (2001), 上記;Kay, 上記;およびAbelson, 上記を参照。
【0092】
典型的には、ファージディスプレイ抗体断片は、scFv断片またはFab断片である;所望により、全長抗体を、提示ファージから完全な抗体中に可変領域をクローン化し、全長抗体を他の原核または真核宿主細胞中で発現させることにより、産生することができる。真核細胞はまた、本発明の抗体、抗体断片、および抗体誘導体の発現のために有用である。例えば、本発明の抗体断片を、Pichia pastorisおよびSaccharomyces cerevisiae中で産生することができる。例えば、Takahashiら、Biosci. Biotechnol. Biochem. 64(10): 2138-44 (2000); Freyreら、J. Biotechnol. 76(2-3):1 57-63 (2000); Fischerら、Biotechnol. Appl. Biochem. 30 (Pt 2): 117-20 (1999); Pennellら、Res. Immunol. 149(6): 599-603 (1998); Eldinら、J. Immunol. Methods. 201(1): 67-75 (1997); Frenkenら、Res. Immunol. 149(6): 589-99 (1998);およびShustaら、Nature Biotechnol. 16(8): 773-7 (1998)を参照。
【0093】
抗体断片および誘導体を含む本発明の抗体はまた、昆虫細胞中で産生することができる。例えば、Liら、Protein Expr. Purif. 21(1): 121-8 (2001); Ailorら、Biotechnol. Bioeng. 58(2-3): 196-203 (1998); Hsuら、Biotechnol. Prog. 13(1): 96-104 (1997); Edelmanら、Immunology 91(1): 13-9 (1997);およびNesbitら、J. Immunol. Methods 151(1-2): 201-8 (1992)を参照。
【0094】
本発明の抗体並びにこれらの断片および誘導体はまた、植物細胞、特にトウモロコシまたはタバコ中で産生することができる。Giddingsら、Nature Biotechnol. 18(11): 1151-5 (2000); Gavilondoら、Biotechniques 29(1): 128-38 (2000); Fischerら、J. Biol. Regul. Homeost. Agents 14(2): 83-92 (2000); Fischerら、Biotechnol. Appl. Biochem. 30 (Pt 2): 113-6 (1999); Fischerら、Biol. Chem. 380(7-8): 825-39 (1999); Russell, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 240: 119-38 (1999);およびMaら、Plant Physiol. 109(2): 341-6 (1995)。
【0095】
抗体断片および誘導体を含む本発明の抗体はまた、トランスジェニック非ヒト哺乳類乳汁中で産生することができる。例えば、Pollockら、J. Immunol Methods. 231: 147-57 (1999); Youngら、Res. Immunol. 149: 609-10 (1998);およびLimonta et al., Immunotechnology 1: 107-13 (1995)を参照。
【0096】
本発明の抗体、抗体断片および抗体誘導体の組換え発現のために有用な哺乳類細胞には、CHO細胞、COS細胞、293細胞および骨髄腫細胞が含まれる。Vermaら、J. Immunol. Methods 216(1-2):165-81 (1998)は、抗体の発現のための細菌、酵母、昆虫および哺乳類発現系を概説し、比較している。本発明の抗体をまた、Merkら、J. Biochem. (Tokyo) 125(2): 328-33 (1999)およびRyabovaら、Nature Biotechnol. 15(1): 79-84 (1997)にさらに記載されているように、細胞フリー翻訳(cell free translation)により、並びにPollockら、J. Immunol. Methods 231(1-2): 147-57 (1999)にさらに記載されているように、トランスジェニック動物の乳汁中で、調製することができる。
【0097】
本発明はさらに、本発明のポリペプチドの1つもしくは2つ以上に、本発明の単離された核酸分子によりコードされたポリペプチドの1つもしくは2つ以上に特異的に結合するか、あるいはこの結合が、本発明のポリペプチドの1つもしくは2つ以上または本発明の単離された核酸分子によりコードされたポリペプチドの1つもしくは2つ以上により競合的に阻害され得る抗体断片を提供する。このような有用な断片の中には、Fab、Fab’、Fv、F(ab)’および一本鎖Fv(scFv)断片がある。他の有用な断片は、Hudson, Curr. Opin. Biotechnol. 9(4): 395-402 (1998)中に記載されている。
【0098】
本発明はまた、本発明のポリペプチドの1つもしくは2つ以上に、本発明の単離された核酸分子によりコードされたポリペプチドの1つもしくは2つ以上に特異的に結合するか、あるいはこの結合が、本発明のポリペプチドの1つもしくは2つ以上または本発明の単離された核酸分子によりコードされたポリペプチドの1つもしくは2つ以上により競合的に阻害され得る抗体誘導体に関する。
【0099】
このような有用な誘導体の中には、キメラの、霊長類化された(primatized)、およびヒト化された抗体がある;このような誘導体は、非ヒト哺乳類種からの改変されていない抗体よりも、ヒトにおいて免疫原性が低く、従ってインビボでの投与に適している。他の有用な方法は、ペグ化して抗体の血清半減期を増大させることである。
【0100】
キメラ抗体は、典型的には、他の種、典型的にはヒトの定常部に融合した、1種の種、典型的にはマウスの免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖可変領域(CDRおよびフレームワーク残基を共に含む)を含む。例えば、Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci USA.81(21): 6851-5 (1984); Sharonら、Nature 309(5966): 364-7 (1984); Takedaら、Nature 314(6010): 452-4 (1985);および米国特許第5,807,715号を参照。この開示を、この全体において参照により本明細書中に導入する。霊長類化された、およびヒト化された抗体は、典型的には、通常はさらにヒト定常部を含む非ヒト霊長類またはヒト抗体V領域フレームワーク中に移植されたマウス抗体からの重鎖および/または軽鎖CDRを含む。Riechmannら、Nature 332(6162): 323-7 (1988); Coら、Nature 351(6326): 501-2 (1991);並びに米国特許第6,054,297号;5,821,337号;5,770,196号;5,766,886号;5,821,123号;5,869,619号;6,180,377号;6,013,256号;5,693,761号;および6,180,370号。この開示内容を、これらの全体にわたり参照により本明細書中に導入する。本発明の他の有用な抗体誘導体には、ヘテロマー抗体複合体および抗体融合体、例えばダイアボディー(二重特異性抗体)、一本鎖ダイアボディーおよび細胞内発現抗体(intrabody)が含まれる。
【0101】
視覚的に検出可能な生成物の産生および析出のための典型的な基質には、o−ニトロフェニル−ベータ−D−ガラクトピラノシド(ONPG);o−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD);リン酸p−ニトロフェニル(PNPP);p−ニトロフェニル−ベータ−D−ガラクトピラノシド(PNPG);3’,3’−ジアミノベンジジン(DAB);3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC);4−クロロ−1−ナフトール(CN);5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸塩(BCIP);ABTS(登録商標);BluoGal;ヨードニトロテトラゾリウム(INT);塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NBT);フェナジンメトサルフェート(PMS);一リン酸フェノールフタレイン(PMP);テトラメチルベンジジン(TMB);テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT);X−Gal;X−Gluc;およびX−グルコシドが含まれる。
【0102】
他の基質を用いて、蛍光性である局所的な析出のための生成物を産生することができる。例えば、過酸化水素(H)の存在下で、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、環式ジアシルヒドラジド、例えばルミノールの酸化を触媒することができる。酸化の直後に、ルミノールは、励起された状態(中間的な反応生成物)にあり、これは、光を発することにより基底状態に崩壊する。発光の強力な増強は、エンハンサー、例えばフェノール系化合物により生じる。利点には、高い感受性、高い分解能、および放射活性を伴わず、少量の抗体のみを必要とする迅速な検出が含まれる。例えば、Thorpeら、Methods Enzymol. 133: 331-53 (1986); Krickaら、J. Immunoassay 17(1): 67-83 (1996);およびLundqvistら、J. Biolumin. Chemilumin. 10(6): 353-9 (1995)を参照。このような増強された化学発光による検出(ECL)のためのキットは、市販されている。抗体はまた、コロイド金を用いて標識することができる。
【0103】
他の例として、本発明の抗体を、例えばフローサイトメトリー検出のために、レーザーサイトメトリー検出を走査するために、または蛍光イムノアッセイのために用いる場合には、これらを、発蛍光団(fluorophore)で有効に標識することができる。本発明の抗体に有効に結合することができる広範囲の発蛍光団標識がある。フローサイトメトリー用途のために、細胞外検出および細胞内検出の両方のために、一般的に有用な発蛍光団は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、アロフィコシアニン(APC)、R−フィコエリスリン(PE)、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)、テキサスレッド、Cy3、Cy5、蛍光共鳴エネルギータンデム(tandem)発蛍光団、例えばPerCP−Cy5.5、PE−Cy5、PE−Cy5.5、PE−Cy7、PE−テキサスレッド、およびAPC−Cy7であってもよい。
【0104】
他の発蛍光団には、特に、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手できるモノクローナル抗体標識キット)、BODIPY染料、例えばBODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リッサミンローダミンB、マリーナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手できる)、およびCy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7が含まれ、これらすべてはまた、本発明の抗体を蛍光的に標識するのに有用である。標識したアビジン、ストレプトアビジン、カプタビジンまたはニュートラビジンを用いた二次的な検出のために、本発明の抗体はビオチンで有効に標識することができる。
【0105】
本発明の抗体を、例えばウエスタンブロッティング用途に用いる場合には、これらを、放射性同位体、例えば33P、32P、35S、H、および125Iで有効に標識することができる。他の例として、本発明の抗体を、放射免疫療法のために用いる場合には、標識は、有効に、H、228Th、227Ac、225Ac、223Ra、213Bi、212Pb、212Bi、211At、203Pb、194Os、188Re、186Re、153Sm、149Tb、131I、125I、111In、105Rh、99mTc、97Ru、90Y、90Sr、88Y、72Se、67Cu、または47Scであってもよい。
【0106】
上記した抗体および化合物は、試料中のLp−PLA2の存在を検出するための診断アッセイにおいて有用である。
【0107】
好ましい態様においては、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはELISAを用いる。既に入手可能ではない場合には、Lp−PLA2に特異的な抗体を調製する。好ましい態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。抗Lp−PLA2抗体を、固体支持体に結合させ、固体支持体上のすべての遊離のタンパク質結合部位を、タンパク質、例えばウシ血清アルブミンでブロックする。関連する試料を、固体支持体上の抗体と共に、Lp−PLA2が抗Lp−PLA2抗体に結合する条件の下でインキュベートする。試料を除去し、固体支持体を洗浄して、未結合の物質を除去し、検出可能な試薬に結合した抗Lp−PLA2抗体(RIAについて放射活性物質およびELISAについて酵素)を、固体支持体に加え、標識した抗体へのLp−PLA2の結合が生じる条件下でインキュベートする。結合した後に、未結合の標識した抗体を、洗浄により除去する。ELISAについて、1種または2種以上の基質を加えて、試料中のLp−PLA2の量に基づく着色された反応生成物を生成する。RIAについて、固体支持体を、放射活性崩壊シグナルについて、当該分野において知られているすべての方法により計数する。RIAおよびELISAの両方についての定量的な結果は、典型的には、標準曲線を参照することにより、得られる。
【0108】
Lp−PLA2レベルを測定するための他の方法は、当該分野において知られている。例えば、競合アッセイを用いることができ、ここで、抗Lp−PLA2抗体は、固体支持体に結合し、計上された量の標識したLp−PLA2および関連する試料を、固体支持体と共にインキュベートする。固体支持体に結合した、標識したLp−PLA2の量は、試料中のLp−PLA2の量に相関し得る。従って、これらのアッセイおよび変化は、本発明のさらなる態様を構成する。
【0109】
本明細書中に記載した方法を、さらに、予後アッセイとして用いて、Lp−PLA2の増大したかまたは低下した発現レベルに関連する疾患または障害を有するか、またはこれを発生する危険にある対象を同定することができる。正常なヒト対照と比較しての、高い(または低い)Lp−PLA2レベルの存在は、CVDを発生する危険にあるヒト患者に特徴的である。本発明のLp−PLA2の発現または活性を低下させる(または増大させる)ための治療剤の有効性をまた、ヒト患者におけるLp−PLA2の発現のレベルを臨床試験において、またはインビトロでのスクリーニングアッセイにおいて、例えばヒト細胞において分析することにより、モニタリングすることができる。このようにして、遺伝子発現パターンは、マーカーとして作用することができ、これは、場合によっては、ヒト患者または細胞の試験される剤に対する生理学的応答を示す。
【0110】
上記の試験を、種々の細胞、体液および/または組織抽出物、例えば患者から得られたホモジネートまたは可溶化された組織から由来する試料に対して、行うことができる。組織抽出物は、組織生検および剖検物質から常習的に得られる。本発明において有用な体液には、血液、尿、唾液またはすべての他の身体の分泌物またはこれらの誘導体が含まれる。本明細書中で用いる「血液」には、全血、血漿、血清、循環する上皮細胞、構成成分または血液のすべての誘導体が含まれる。
【0111】
体液における検出に加えて、本発明のタンパク質および核酸は、細胞捕獲手法による検出に適する。全血を、種々の方法、例えば磁気的分離により捕獲することができる。米国特許第5,200,084号;5,186,827号;5,108,933号;4,925,788号、これらの開示内容を、これらの全体にわたり参照により本明細書中に導入する。上皮細胞を、Dynabeads(登録商標)またはCELLection(登録商標)(Dynal Biotech, Oslo, Norway)のような製品を用いて、捕獲することができる。あるいはまた、血液の画分、例えば上皮細胞を含むバフィー(buffy)コート画分(5mlの血液から単離された50mmの細胞)を捕獲することができる。細胞はまた、WO 00/47998中に記載されている手法を用いて捕獲することができ、この開示内容を、この全体にわたり参照により本明細書中に導入する。細胞を捕獲したまたは濃縮した後に、タンパク質または核酸を、対象の出願中に記載した手段により検出する。あるいはまた、核酸を、血液試料から直接捕獲することができる。米国特許第6,156,504号、5,501,963号;またはWO 01/42504を参照。この開示内容を、これらの全体にわたり参照により本明細書中に導入する。
【0112】

例1:Lp−PLA2複合免疫捕獲(ahybrid ImmunoCapture)(HIC)アッセイ
EGTA、NaCl、HEPES、エルマン試薬;5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、Tris−HCLを、Sigma (St. Louis, MO)から得た。ウシ血清アルブミンを、GIBCO-Invitrogen (Carlsbad, CA)から得た。マイクロタイタープレートを、VWR (West Chester, PA)から得た。TBSおよびSuperBlock/TBSブロッキング溶液を、Pierce (Rockford, IL)から得た。クエン酸一水和物緩衝液を、Teknova (Half Moon Bay, CA)から得た。1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリン(MNP)を、KARLAN (Santa Rosa, CA)から得、2−チオ−PAFを、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI)から得た。酵素的に活性な組換え哺乳類Lp−PLA2(rmLp−PLA2)を、diaDexus (South San Francisco, CA)において作製した。200の正常な血漿試料を分析のために用いた。
【0113】
複合免疫捕獲Lp−PLA2活性アッセイ
複合免疫捕獲アッセイ(HIC)の概略図を、図1Aおよび図1Bに示す。図1Aは、生成物に変換される基質の直接的な読み取りを含む1つの態様を示す。図1Bは、第1の反応からの生成物が反応して、第2の生成物を生成する、二次的な読み取りを示す。HIC−ThioPAFアッセイは、図1Bの態様の例である。
【0114】
2−チオPAF基質を用いたLp−PLA2HICアッセイ
アッセイの前に、2−チオPAFのエタノール性溶液を、窒素の穏和な流れの下で蒸発乾固させ、1xアッセイ緩衝液(0.1MTris−HCl、pH7.2、1mM EGTA)中で再構成して、400uMの最終濃度とした。10mMのDTNB溶液を、0.4MのTris−HCl、pH7.2を用いて調製した。1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリンを含むR2緩衝液を、20mMのクエン酸一水和物緩衝液、pH4.5と90mMの1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリンとを、79:1の比率で、アッセイ前に混合することにより、作成した。
【0115】
先ず、マイクロタイタープレートを、1XTBS中の抗Lp−PLAmAb 2C10(5μg/ml)200uLで被覆し、4℃で一晩インキュベートした。次に、プレートを、250μLのSuperBlock TBSブロッキング溶液で遮断し、振盪しながら180rpmで室温で20分間インキュベートした。プレートを、使用前に洗浄した。
【0116】
先ず、170μLの1xTBS、pH7.4緩衝液を、ウェルに加え、続いて、30μLの試料、または標準(哺乳類組換えLp−PLA、0、25、50、100、200、400ng/mlにおけるロット(lot))を加え、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。インキュベーションの後に、プレートを、1回360μLの洗浄緩衝液(1xTBS、0.05%Tween20)で洗浄した。次に、160μLの1xアッセイ緩衝液(0.1MTris−HCl、pH7.2、1mM EGTA)、10μLのDTNB溶液(0.4MTris−HCl、pH7.2中10mM)、および55μLの400uMの2−チオPAF基質溶液を、各々のウェルに加え、動的(kinetic)モード(1分あたり1回の読み取り)で作動するプレートリーダー(Molecular Device, Sunnyvale, CA)において414nmで、37℃での自動混合オンで5分間読み取った。ΔOD414/分に相当する曲線の勾配を、すべての標準および試料について計算した。ng/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、rLp−PLA2標準の勾配の標準曲線から計算した。結果を、図2に示す。図3は、捕獲抗体として抗体B200.1を用いたHIC−ThioPAFアッセイの結果を示す。図4は、捕獲抗体として抗体B501.1を用いたHIC−ThioPAFアッセイの結果を示す。
【0117】
Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイ
Lp−PLA2活性を分析するための第2のHICアッセイを、1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリン(MNP)を基質として用いて開発した。このアッセイを、本明細書中では、Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイと呼ぶ。
【0118】
p−ニトロフェノール標準曲線
メタノールストック溶液を調製するために、100、75、50、25、10および5uLの1Mのp−ニトロフェノール(Sigma、Cat. #1048-25g)を、それぞれ900、925、950、975および990ulのメタノールと混合して、100、75、50、25、10および5nmol/uLのメタノール溶液を調製した。各々の標準についての作業溶液を、40uLのストック溶液を960uLのメタノール中に希釈する(1:25の希釈)ことにより、調製した。ストック溶液および作業溶液を、4℃で暗所に保存した。25uLのp−ニトロフェノール標準作業溶液を、8つの複製(8 replicates)ウェルに加え、25uLのPBSを、110uLのR2(上記した)を各々のウェルに加える前に、8つのブランクの対照ウェルに加えた。プレートを、上記したように混合し、405nmの吸光度において読み取った。
【0119】
標準曲線を、7つの標準についての平均のOD値(8つの複製)をp−ニトロフェノール(0、5、10、25、50、75、および100nmol)の量に対してプロットすることにより、作成した。次に、p−ニトロフェノール標準曲線の勾配(ΔOD405/nmol)を計算して、Lp−PLA2活性をnmol/分/mLにおいて、以下の式:
Lp−PLA2活性(nmol/分/mL)=試料の勾配(ΔOD405/分)÷標準曲線の勾配(ΔOD405/nmol)÷0.025mL
を用いて決定した。p−ニトロフェノール標準曲線を、通常の間隔で、プレートリーダーの較正QCとして実行した。
【0120】
Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイ
半面積(half-area)96ウェルマイクロタイタープレート(VWR, Cat. #3690)を、一次抗体(抗Lp−PLA2mAb 2C10)で、1xTBS(Pierce, Cat. #28372)中で25μL/ウェル(1ug/25uL)において、4℃で一晩コーティングした。コーティング緩衝液を、Pierce (Rockford, IL) (Cat. #37535)からのSuperBlock TBSブロッキング溶液150μL/ウェルを加える前に、洗浄せずに吸引した。プレートをコーティングし、180rpmで室温で10分にわたり2回振盪しながらインキュベートした。ブロッキング溶液を、吸引により廃棄し、プレートを、24時間以内に用いた。
【0121】
新鮮なR2緩衝液を、R1(200mMのHEPES、200mMのNaCl、5mMのEDTA、10mMのCHAPS、10mMの1−ノナンスルホン酸ナトリウム、pH7.6)とR2B(90mMの1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリン)とを20uL:0.12uL(ウェルあたり)の比率でアッセイ前に混合することにより、調製した。R1とR2Bとを混合した後に;溶液を、室温で暗所に保存し、混合物R2を、2時間以内に用いた。
【0122】
20μLの試料または標準または対照を、被覆したプレートの各々のウェルに加え、180rpmで室温で30分にわたり振盪しながらインキュベートした。(用いた標準は、1%のガンマ−グロブリン/1xPBS中でpH7.4で希釈した0、100、250、500、1000ng/mLのrmLp−PLA2であった。対照の試料は、rmLp−PLA2タンパク質でスパイクした(spike)ものを含む6つの正常な血漿試料を含んでいた。)プレートを、0.05%のTween-20を含む75uLの1xTBSで2回洗浄した。洗浄に続いて、ウェルあたり20uLの反応緩衝液R2(上記した)を加えた。直ちに、プレートを、プレートリーダー中に配置し、読み取りを開始した。プレート全体へのR2の添加を、40秒以内に完了しなければならない(マルチチャンネルピペットおよびロボットを本発明者らのアッセイにおいて用いた)。
【0123】
R2を加えた後、吸光度の変化を、直ちにプレートリーダーを動的モードで405nmにおいて5分間用いて測定した。プレートリーダーを、室温に設定し、自動混合設定として読み取り前に1回混合し、データポイントを、15秒間隔で得た。ΔmOD405/分に相当する曲線の勾配を、すべての標準および試料について15秒〜60秒間計算した。ng/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、rLp−PLA2標準の勾配の標準曲線から計算し、nmol/分/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、勾配:
nmol/分/mL=勾配(ΔmOD405/分)×1.136
から計算した。
【0124】
Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイの結果
アッセイについての定量の下限(LLOQ)を、以下の式:
定量の下限(LLOQ)=バックグラウンド+(6×STDEVバックグラウンド)
を用いて、ブランクの22個の複製からの背バックグラウンドシグナルの平均および標準偏差(STDEV)を計算することにより、決定した。
【0125】
【表1】

【0126】
定量の上限を、信頼可能に測定することができるrLp−PLA2標準の最も高い濃度から推定した。標準の複数の複製(multiple replicates)を評価して、最も高い標準を再現可能に定量することができることを確認した。
【表2】

【0127】
市販されている試料における活性レベルについての分位(quantile)を、以下の表に示す。
【表3】

【0128】
以下の表は、試験した試料からの百分位数(percentile)および対応する分位についての実際のLLOQおよびULOQと比較しての、標的の(または予測された)LLOQおよびULOQを示す。標的のLLOQおよびULOQを、上記した方法を用いて作成し、実際のLLOQおよびULOQを、試料の評価により決定した。
【表4】

LLOQ=5番目の百分位数÷10
**ULOQ=95番目の百分位数×3
【0129】
達成された実際のLLOQは、このLp−PLA2 HICアッセイについて、標的のLLOQ(1/10×通常の範囲の試料の値の5番目の百分位数)に極めて近かった。標的の感度には、主要でない改変で到達する。ULOQ(3×通常の範囲の試料の値の95番目の百分位数)は、Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイについて成功に達成された。さらに、極めて厳密なCVが、MNP基質を用いて、Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイの上方の範囲について得られた。これらのデータは、Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイが、Lp−PLA2活性を正確に測定するために有用であることを例証する。
【0130】
例2:改善されたLp−PLA2 ThioPAFアッセイ
図6は、製造者のプロトコルに従ってCayman Chemicals (Ann Arbor, MI)から入手できる、市販のThioPAFアッセイの結果を示す。特に、当該プロトコルにおいて、DTNBを、2−チオPAFと同時に加える。
【0131】
改善されたアッセイを行う前に、2−チオPAFのエタノール性溶液を、窒素の穏和な流れの下で蒸発乾固させ、1xアッセイ緩衝液(0.1MTris−HCl、pH7.2、1mM EGTA)中で再構成して、400uMの最終濃度とした。DTNB溶液を、0.4MのTris−HCl、pH7.2を用いて調製して、10mM(1mlの緩衝液中4mgのDTNB)の最終濃度を達成した。
【0132】
2−チオPAF基質を用いたLp−PLA2活性アッセイ
アッセイにおいて、83μLの1xアッセイ緩衝液を、20μLの試料または標準(800、400、200、100、50、25、および0ng/mLにおける組換え哺乳類Lp−PLA2)および10μLの10mM DTNB溶液(0.4MのTris−HCl、pH7.2中)と混合し、室温で15分間インキュベートした。図7に、結果を示す。DTNBと共にプレインキュベートして、遊離チオール(1種または2種以上)からバックグラウンドシグナルを消去した後に、112μlの400μMの2−チオPAF溶液を加え、プレートを、動的モード(1分あたり1回の読み取り)で作動するプレートリーダー(Molecular Device, Sunnyvale, CA)において414nmで、室温での自動混合オフで5分間読み取った。ΔOD414/分に相当する曲線の勾配を、すべての標準および試料について計算した。ng/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、rLp−PLA2標準の勾配の標準曲線から計算した。結果を、図8に示す。
【0133】
以下の表は、アッセイあたり2回(市販のThio−PAFおよび改善された2−thioPAF)決定した、24個の種々の血漿試料の群についての、ng/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを示す。活性値に加えて、偏差の係数(CV)を、アッセイあたり各々の試料および各々のアッセイについての全体的な平均について報告する。改善された2−thioPAFアッセイを用いて、CVが、平均で10.7%から4.5%に改善された。
【0134】
【表5】

【0135】
例3:Lp−PLA2 DAZアッセイ
比色活性アッセイを開発して、Lp−PLA2活性を、1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリン(MNP)を基質として用いて決定し、これを、本明細書中では、Lp−PLA2 DAZアッセイと呼ぶ。この基質を、市販のアッセイ、例えばKarlan Research Products Corporation (Santa Rosa, CA)からのAuto-PAF-AHアッセイにおいて用いた。以下に記載するLp−PLA2 DAZアッセイは、試料中のLp−PLA2活性を、Lp−PLA2阻害剤で処理した試料中のLp−PLA2活性における変化に加えて検出するのに有用である。分析を行うための試料の希釈により、試料中のLp−PLA2からのLp−PLA2阻害剤の解離が増大することがあり、誤って高いLp−PLA2活性レベルまたは低い阻害レベルがもたらされ得る。Lp−PLA2 DAZアッセイにより、試料の希釈が低下し、Lp−PLA2活性または阻害が一層正確に報告され、これは、化合物が、試料または患者におけるLp−PLA2活性を阻害する能力または効力をモニタリングするのに有用である。
【0136】
p−ニトロフェノール標準曲線
メタノールストック溶液を調製するために、100、75、50、25、10および5uLの1Mのp−ニトロフェノール(Sigma, Cat. #1048-25g)を、それぞれ900、925、950、975および990ulのメタノールと混合して、100、75、50、25、10および5nmol/uLのメタノール溶液を調製した。各々の標準についての作業溶液を、40uLのストック溶液を960uLのメタノール中に希釈する(1:25の希釈)ことにより、調製した。ストック溶液および作業溶液を、4℃で暗所に保存した。25uLのp−ニトロフェノール標準作業溶液を、8つの複製ウェルに加え、25uLのPBSを、110uLのR2(上記した)を各々のウェルに加える前に、8つのブランクの対照ウェルに加えた。プレートを、上記したように混合し、405nmの吸光度において読み取った。
【0137】
標準曲線を、7つの標準についての平均のOD値(8つの複製)をp−ニトロフェノール(0、5、10、25、50、75、および100nmol)の量に対してプロットすることにより、作成した。次に、p−ニトロフェノール標準曲線の勾配(ΔOD405/nmol)を計算して、Lp−PLA2活性をnmol/分/mLにおいて、以下の式:
Lp−PLA2活性(nmol/分/mL)=試料の勾配(ΔOD405/分)÷標準曲線の勾配(ΔOD405/nmol)÷0.025mL
を用いて決定した。p−ニトロフェノール標準曲線を、通常の間隔で、プレートリーダーの較正QCとして実行した。
【0138】
DAZプロトコル
新鮮なR2緩衝液を、R1(200mMのHEPES、200mMのNaCl、5mMのEDTA、10mMのCHAPS、10mMの1−ノナンスルホン酸ナトリウム、pH7.6)とR2B(90mMの1−ミリストイル−2−(4−ニトロフェニルスクシニル)ホスファチジルコリン)とを110uL:0.66uL(ウェルあたり)の比率でアッセイ前に混合することにより、調製した。R1とR2Bとを混合した後に;溶液を、室温で暗所で保存し、混合物R2を、2時間以内に用いた。
【0139】
25uLの試料または標準または対照を、96ウェルNBSプレート(Corning, Cat. #3641)中に加え、続いて110uLのR2(R1とR2Bとの混合物)を加えた。プレート全体へのR2の添加を、最適な性能のために40秒以内に完了した。アッセイにおける標準試料は、1%のガンマ−グロブリン/1xPBS、pH7.4中で希釈した0、100、250、500、1000、2000ng/mLの哺乳類組換えLp−PLA2(rLp−PLA2)を含んでいた。アッセイにおける対照の試料は、6つの正常な血漿試料を含んでおり、この1つは、組換え哺乳類Lp−PLA2(rmLp−PLA2)でスパイクされていた。
【0140】
R2を加えた後、吸収の変化を、直ちにプレートリーダーを用いて動的モードで405nmにて5分間測定した。プレートリーダーを、室温に設定し、自動混合設定として読み取り前に1回20秒間混合し、データポイントを、15秒間隔で得た。ΔmOD405/分に相当する曲線の勾配を、すべての標準および試料について60秒〜180秒間計算した。ng/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、rLp−PLA2標準の勾配の標準曲線から計算し、nmol/分/mLにおけるLp−PLA2活性のレベルを、勾配:
nmol/分/mL=勾配(ΔmOD405/分)×1.429
から計算した。
【0141】
例4:HIC、改善されたThioPAFおよびDAZアッセイによるLp−PLA2活性のモニタリング
血漿試料を、健康なボランティアから、Lp−PLA2阻害剤またはプラシーボのいずれかを投薬した後の基準(baseline)および予定された時点において採集する。血漿試料を、上記したアッセイを用いて、Lp−PLA2活性について評価する。
【0142】
Lp−PLA2阻害剤で処置したボランティアにおけるLp−PLA2活性の顕著な阻害が、阻害剤の投与の後まもなく、阻害剤の投与後数時間にわたり観察される。対照的に、Lp−PLA2活性の顕著な低下は、プラシーボを施与されたボランティアにおいて検出されない。
【0143】
Lp−PLA2活性の相対的な阻害を、上記に、および参照により導入するWO 2005/001416を含む他の箇所に記載されているアッセイ形式の中で比較する。試料中のLp−PLA2活性の相対的な阻害を、アッセイ形式の中で比較する。各々のアッセイを用いて、基準と比較しての、Lp−PLA2阻害剤の投与の後の各々の時点における合計のLp−PLA2活性の百分率を決定する。アッセイ間変動性を、参照アッセイおよび代替のアッセイ形式において測定した、所定の試料(時点)の阻害の百分率の算術的な差異を計算することにより、決定する。Lp−PLA2 DAZ、HIC、HIC−DAZおよび改善されたThioPAFアッセイ形式は、長時間にわたりボランティアにおいてLp−PLA2活性の変化をモニタリングするのに有用である。さらに、これらのアッセイは、Lp−PLA2活性を変化させる療法、例えばスタチンおよびLp−PLA2阻害剤に対するボランティアの応答をモニタリングするのに有用である。Lp−PLA2活性調節療法に対する応答をモニタリングすることにより、これらのアッセイは、さらにボランティアに対する療法の利点を決定するのに有用である。
【0144】
例5:試料集団における相関および分布
本発明者らは、Karlan (Santa Rosa, CA)から市販されている自動PAF−AHアッセイ(APAF)、Lp−PLA2質量を測定するための市販されているPLAC(登録商標)試験(PLAC)、上記したDAZアッセイ(DAZ)および上記したHIC−DAZアッセイ(HIC)を含むLp−PLA2質量、活性および組み合わせ質量/活性アッセイの中の相関を定めた。R値を、60個のPromedDx (Norton, MA)正常試料集団について計算した。注:すべてのR値>0.75を、比較の容易さのために太字で強調表示した。
【表6】

5個の試料からのデータを、欠落した値により採取した。
【0145】
患者の試料の集団(Lp−PLA2値の範囲および試料のタイプ)に依存して、相関は、活性に基づく、質量に基づく、および複合の活性/質量に基づくアッセイ形式の間で劇的に変動し得る:
PromedDx正常試料について、PLAC(登録商標)試験アッセイは、APAF、DAZおよびHICアッセイと良好に相関していた(R=0.5〜0.6)。予測されたように、Lp−PLA2値の動的範囲が限定されていたため、R値は、減衰した。
【0146】
臨床的試料とPromedDx正常試料との間の分離は、PLAC(登録商標)試験、続いてLp−PLA2 HIC−DAZアッセイを用いて最良に達成される。DAZおよびAPAFアッセイによっては、PLAC(登録商標)試験またはHIC形式と同様に、CHDについての高い危険度を有する集団は、正常から分離されない。直接的な酵素的形式であるDAZおよびAPAFは、互いに比較して同等に作用した(R=0.92)。
【0147】
集団中で疾患の危険にある個体を危険にない個体から分離することができるアッセイは、患者の危険の評価のために、疫学的研究において、および臨床的患者診断において最も好適である。上記したDAZアッセイ、および記載したHIC−DAZアッセイ(HIC)は、アテローム硬化症の危険を評価するFDAにより認可されたPLAC(登録商標)試験との最も高い相関を例証した。従って、DAZおよびHIC−DAZアッセイは、アテローム硬化症および他のタイプの冠血管疾患の危険を評価するのに適する。
【0148】
例6:アッセイ性能
上記したLp−PLA2 DAZおよびHIC−DAZアッセイのアッセイ内、アッセイ間および操作者間変動性を評価するために、8つの正常な血漿試料を、4つ1組で、3つの別個のプレートにおいて、3人の操作者により分析した。
【0149】
アッセイ内変動性
平均の%CVを、4つ1組で試行した8つの血漿試料の%CVから計算した。以下の表は、3つの試行からの平均%CVおよび各々の操作者についての3つの試行からの平均のアッセイ内%CVを示す。HICアッセイについての精度を、rLp−PLA2の標準曲線から計算したnmol/分/mLおよびng/mLの両方の値について計算した。
【0150】
【表7】

【0151】
アッセイ間変動性
以下の表は、3つの独立したアッセイにおいて分析された8つの血漿試料(P1〜P8)についての値からの、平均のアッセイ間%CVを示す。各々の操作者についての平均のアッセイ間%CVを、8つの試料のアッセイ間%CVから計算した。HICアッセイについての精度を、rLp−PLA2の標準曲線から計算したnmol/分/mLおよびng/mLの両方の値について計算した。
【0152】
【表8】

【0153】
操作者間の変動性
3人の操作者についての操作者間の%CVを、3つの別個のプレートにおいて4つ1組で分析した8つの正常な血漿PromedDx試料からのデータに基づいて、各々のアッセイについて計算した。HIC−DAZアッセイについての精度を、rLp−PLA2の標準曲線から計算したnmol/分/mLおよびng/mLの両方の値について計算した。
【0154】
【表9】

【0155】
これらの精度研究は、アッセイ内およびアッセイ間%CVについてのLp−PLA2 DAZおよびHIC−DAZアッセイ形式の両方についての許容し得る再現性を例証した。DAZアッセイについての操作者間の精度は、許容可能であった。HIC−DAZ形式について、操作者間のCVは、高かった(18%)が、増大された操作者の熟練により、または標準曲線を用いることにより低下可能である。
【0156】
希釈の直線性
希釈の直線性を決定するために、PromedDxからの10個の血漿試料を、1%ガンマ−グロブリンを含む50%濃度に希釈し、次にLp−PLA2 DAZおよびHIC−DAZアッセイにおいて試験した。さらに、PromedDxからの5対の血漿試料を、1:1の比率で混合し、DAZおよびHICアッセイにおいて試験した。
【0157】
【表10】

【0158】
DAZアッセイにおいて、50%希釈血漿試料中での回復可能なLp−PLA2活性(1%ガンマ−グロブリン中)は、119%〜135%の範囲内であり、平均回復は、127%であった。5対の血漿試料を1:1の比率で混合した際には、回復したLp−PLA2活性は、予測された値に極めて近く、100%〜102%の範囲内であった。HIC−DAZアッセイにおいて、50%希釈血漿試料(1%ガンマ−グロブリン中)における回復可能なLp−PLA2活性は、91%〜135%の範囲内であり、平均回復は、113%であった。5対の血漿試料を1:1の比率で混合した際には、回復したLp−PLA2活性は、89%〜119%の範囲内であり、平均は、103%であった。DAZおよびHIC−DAZアッセイにおける50%希釈試料の観察された過剰回復は、評価されている。
【0159】
要するに、これらのアッセイ形式−Lp−PLA2 DAZアッセイ(MNP基質を用いる)、Lp−PLA2改善ThioPAFアッセイ(2−チオPAF基質を用いる)、およびLp−PLA2複合免疫捕獲(HIC)アッセイ(MNPまたは2−チオPAF基質を検出のために用いる)−は、試料中のLp−PLA2活性を検出するために開発された。これらのアッセイはすべて、アッセイの経過の間にLp−PLA2酵素からの阻害剤の最小の解離を確実にするように、最適化されている。これは、部分的に、試料容積を最大にし、希釈を最小にし、インキュベーション時間を最小にすることにより、達成された。従って、アッセイは、疫学的研究、危険の評価および疾患、例えばCHDの診断に有用である。
【0160】
例7:Lp−PLA2 DAZおよびHICアッセイ形式の自動化
前に示したように、本発明者らは、Lp−PLA2についてのいくつかの活性に基づいたアッセイ形式を開発した:MNP基質活性アッセイの改変された方式(DAZ)、2−チオPAF基質活性アッセイの改変された方式(改善ThioPAF)、並びにPLAC試験からの抗Lp−PLA2 2C10捕獲抗体およびNMP基質を検出のために用いる複合免疫捕獲(HIC)形式(HIC−DAZ)。HIC−DAZおよびDAZアッセイ形式は共に、対象の血漿中のLp−PLA2レベルを決定するにあたってのH−PAF放射分析方法との相関を例証した。本発明者らは、さらに、1日あたり操作者あたり1000個より多いデータポイントを信頼可能に生じるために用いることができる、高処理能力の自動化されたDAZおよびHIC−DAZアッセイを開発した。さらに、本発明者らは、整合した血漿および血清試料におけるLp−PLA2活性を試験し、これらの2種の試料タイプの間の回復した値の良好な相関を例証した。
【0161】
自動化基本骨格の記載
MultiPROBE
MultiPROBE II HTは、Perkin Elmer/Packard (Torrance, CA)により製造されたロボット利用液体取扱ステーションである。装置は、一緒に、または互いに独立して機能することができる8つのピペッタープローブ、専用のプローブすすぎ(rinsing)/洗浄(washing)機構、および28個の標準的な96ウェルマイクロタイタープレートまたはピペットチップ箱を収容することができる大きいデッキからなる。デッキは、余分のツイスターロボット利用アーム、およびこの処理能力容量を増大するためのプレートスタッカーまたはホテル(本明細書中で用いるユニットに関しては入手可能ではない)を備えていてもよい。不正確な吸引された流体容積または詰まったチップを検出することができる、柔軟なピペッティングオプション部品および内蔵式の液体感知能力のために、これは、血漿または血清試料を移送するかまたは等分するのに有利である。このロボット利用ステーションは、試料を管から96ウェルプレートへと移送することができる。しかし、プローブが、試料および試薬を同時に8つのチャンネルに分配するため、MultiPROBEについては、試薬を96ウェルプレート全体に分配するのに、96ウェル分配ヘッドを備えたロボット利用ステーション(例えばMiniTrak)と比較して、長い時間を要する。MultiPROBEロボット利用ステーションのさらなる記載は、以下のウェブサイト中に見出すことができる:
インターネットアドレス:las.perkinelmer.com/catalog/Product.aspx?ProductId=AMP8B00
【0162】
MiniTrak
MiniTrakは、Perkin Elmer/Packard (Torrance, CA)により製造されたロボット利用液体取扱ステーションである。装置は、試薬および試料をすべての96ウェルに1回で分配することができる96ウェルピペッティングヘッド、12個のピペットチップ箱または50個の標準96ウェルマイクロタイタープレートを収容することができる4つのスタッカー、プレートを種々のステーションへと、またはここから移送するコンベヤーベルト、並びに標準的な96ウェルマイクロタイタープレートまたはピペットチップ箱のための9つの位置を有する小さいデッキからなる。しかし、96ウェルピペッティングヘッドは、不正確な吸引された流体容積または詰まったチップを検出することができる液体感知能力を有せず、従って血漿または血清試料を移送するのには比較的有利ではない。さらに、ロボットは、試料および試薬を、96ウェル形式へと、およびこれから移送および/または分配することができるが、試料を管へと、およびこれから移送することができない。しかし、MiniTrakが、試料および試薬を全部の96ウェルプレートへとすべて1回で分配することができるため、これは、適時性が重要であるDAZまたはHICアッセイにおいてMNP基質を分配する際には、顕著な利点を有する。MiniTrakロボット利用ステーションのさらなる記載は、以下のウェブサイト中に見出すことができる:
インターネットアドレス:las.perkinelmer.com/content/TechnicalInfo/P10503-MinitrakSpecificationsSheet.pdf
【0163】
Lp−PLA2 DAZアッセイの自動化
上記したDAZアッセイの自動化のために、本発明者らは、アッセイを3つの主なタスクに分解した:96ウェルアッセイプレートへの試料の負荷、基質添加および読み取り。各々のタスクの自動化を、MultiPROBEおよびMiniTrakロボット利用基本骨格において評価した。
【0164】
MultiPROBEにおける自動化されたDAZ
MultiPROBE基本骨格における自動化された試料移送のために、管を、管ホルダー中に配置し、またはストック試料プレートを、デッキ上に配置した(最大14個)。MultiPROBE系における試料移送プログラムを、開始し、これは、以下の行為を含む:流し洗浄、チップの採取、試料の採取、試料の試料/アッセイプレート(96ウェル)中への分配、チップの廃棄および繰り返し。試料プレートを標識し、用いるまで4℃で保存した。長期間の保存のために、プレートを、用いるまで密閉し、−80℃において保存した。
【0165】
アッセイを行うために、試料/アッセイプレート(最大28個)を、MultiPROBEデッキ上に配置した。1.4mLのR2基質を、各々のプローブ中に、廃棄可能なチップを取り付けずに採取し、次に110uLのR2基質を、すべてのウェル中に約40秒にわたり分配した。吸収の変化を、直ちにプレートリーダーを用いて、動的モードで405nmにおいて5分間、R2を添加した後に測定した。プレートリーダーを、室温に設定し、自動混合を、読み取り前に1回20秒にわたり混合するように設定し、データポイントを、15秒間隔で得た。プロトコルを、各々の前のプレートの読み取りが完了した後に、その後のプレートを用いて繰り返した。
【0166】
MultiPROBELp−PLA2 DAZ性能
MultiPROBEDAZアッセイの再現性、正確さおよび潜在的なプレート効果を、単一の模擬血漿試料(rLp−PLA2でスパイクしたウシ血清)を用いて、2つのアッセイプレートにおいて試験して、試料の192個の複製を生じた(以下の表を参照)。以下は、各々のプレートの各々の横列および縦列の平均、中央値、標準偏差および%CVを示す分析の結果である。
【0167】
【表11】

【0168】
【表12】

【0169】
分析の結果は、顕著なプレート効果が、MultiPROBELp−PLA2 DAZアッセイについて観察されなかったことを示す。さらに、このアッセイにより、優れたアッセイ内およびアッセイ間CVが示され、これは、Lp−PLA2 DAZアッセイを、MultiPROBE基本骨格において自動化することができることを例証する。
【0170】
MiniTrakにおける自動化されたDAZ
MiniTrak基本骨格における自動化された試料移送について、ストック試料プレートを、試料スタッカー(最大12個)上に負荷させ、等しい数の空のアッセイプレートを、アッセイプレートスタッカー上に負荷させた。MiniTrakシステムにおける試料移送プログラムを開始し、これは、以下の行為を含む:チップの採取、25uLの試料の採取、試料のアッセイプレート中への分配、チップの廃棄および繰り返し。試料プレートを標識し、用いるまで4℃で保存した。長期間の保存のために、プレートを、用いるまで密閉し、−80℃において保存した。
【0171】
アッセイを行うために、試料を負荷したアッセイプレート(最大12個)を、アッセイプレートスタッカー上に配置した。MiniTrak基本骨格は、チップを採取し、115uLのR2基質を、各々のチップ中に吸引した。110uLのR2基質を、すべてのウェル中に分配し、チップを廃棄した。吸収の変化を、直ちにプレートリーダーを用いて、動的モードで405nmにおいて5分間、R2を添加した後に測定した。プレートリーダーを、室温に設定し、自動混合を、読み取り前に1回20秒にわたり混合するように設定し、データポイントを、15秒間隔で得た。プロトコルを、各々の前のプレートの読み取りが完了した後に、その後のプレートを用いて繰り返した。
【0172】
MiniTrakLp−PLA2 DAZ性能
MiniTrakLp−PLA2 DAZアッセイの性能を、バッチ試行の間の再現性および正確さ、プレート効果の証拠、正常な血漿における手動のDAZアッセイに対する相関および精度について評価した。典型的なバッチ試行は、10個のプレートを試験することからなり、これを、1人の操作者により2時間で完了することができる。
【0173】
MiniTrakLp−PLA2 DAZバッチ試行再現性およびプレート効果
バッチ試行における再現性および正確さ、並びにMiniTrakDAZアッセイの潜在的なプレート効果を試験するために、本発明者らは、単一の模擬した血漿試料(rLp−PLA2でスパイクしたウシ血清)を、10個のアッセイプレートにおいて試験して、試料の960個の複製を生じた。以下は、各々のプレートの各々の横列および縦列の平均、中央値、標準偏差および%CVを示す分析の結果である。
【0174】
【表13】

【0175】
【表14】

【0176】
分析の結果は、顕著なプレート効果は、MiniTrakDAZアッセイについて観察されなかったことを示す。さらに、このアッセイにより、優れたアッセイ内およびアッセイ間CVが示された。この値は、10個のプレートのバッチ試行を通して再現可能であり、これは、ドリフトのない正確な値が、バッチ試行の間得られることを示している。
【0177】
自動化されたMiniTrakDAZと手動のDAZアッセイとの間の相関
手動のDAZおよび自動化されたMiniTrakDAZアッセイから由来する値の間の相関を試験するために、80個の正常な血漿試料を、両方のアッセイを用いて試験し、値を、直線回帰プロットにおいて相関させた。直線回帰プロットについての最良の適合線は、y=0.9557x−0.3013の勾配を有していた。さらに、データセットについてのR値は、0.9487であった。
これらの結果は、手動のDAZとMiniTrakDAZアッセイとの間の優れた相関を例証している。MiniTrakにおける自動化されたDAZアッセイは、Lp−PLA2阻害剤の投与によるLp−PLA2活性の変化の検出について、手動のDAZアッセイと同等である。
【0178】
MiniTrakLp−PLA2 DAZ精度
MiniTrakLp−PLA2 DAZアッセイについてのアッセイ内変動性を、3つ1組で試行した24個の血漿試料の%CVから計算した平均の%CVにより評価した。以下の表は、3回の試行における24個の試料からの平均の%CVおよび平均のアッセイ内%CVを示す。DAZアッセイについての精度を、nmol/分/mLについて計算した。
【表15】

【0179】
MiniTrakLp−PLA2 DAZアッセイについてのアッセイ間変動性を、3つの独立したアッセイにおいて分析した24個の血漿試料についての値からの%CVにより評価した。各々についての平均のアッセイ間%CVを、24個の試料の勾配から計算した。MiniTrakLp−PLA2 DAZアッセイについての精度を、nmol/分/mLについて計算した。
【表16】

【0180】
本発明者らは、Lp−PLA2活性に基づくアッセイ、例えばDAZアッセイの、自動化された基本骨格、例えばMultiPROBEおよびMiniTrak自動化基本骨格への改作を、成功に例証した。さらに、本発明者らは、MiniTrak基本骨格における自動化されたDAZアッセイは、優れた再現性および精度を示し、手動のDAZ方法に対して良好な相関を有することを例証した。さらに、自動化されたMiniTrakDAZアッセイは、操作者あたり2時間でバッチあたり10個のプレート(960個の決定)を分析することができる、高処理能力アッセイである。この処理能力に基づいて、本発明者らは、1人の操作者が、1日あたり2つのバッチ試行を信頼可能に行い、1日あたり20個のプレートの分析または1920個の決定を得ることができると推定する。
【0181】
本発明者らは、両方のロボット利用システムを、96ウェルアッセイプレートへの試料の負荷および基質の添加に成功に適用したが、プレートをロボット利用ステーションからプレートリーダーに移動させるのに、操作者に頼っていた。しかし、適切な装置および改変により、段階のすべてを自動化することができることが、予期される。ZymarkツイスターアームをMiniTrakに適合させることにより、全部のプロセスの自動化が可能になる。さらに、特に試料を管からプレートに移動させる際には、試料のアッセイプレートに対する負荷を、手動で、または感度の高い液体検出能力(例えばMultiPROBE)を備えたロボット利用システムで行うのが、好ましい。
【0182】
システムが、血漿および血清試料において共通して見出される妨害的な粒子により、詰まったチップを検出することができるのが、有利である。さらに、基質をアッセイプレートのすべての96ウェル中に加えるのを、96ヘッド分配装置(例えばMiniTrak)を備えたロボット利用システムを用いて同時に行って、良好な精度を維持するのがまた、有利である。従って、両方のロボット利用システム、即ち96ウェルアッセイプレートに負荷する試料についてのMultiPROBE(または手動ピペッティング)、および基質添加についてのMiniTrakは、Lp−PLA2 DAZアッセイの自動化において有用である。適切な装置を用いて、Lp−PLA2 DAZアッセイについてのすべてのプロセス/タスクを、1つの統合されたシステムにおいて完全に自動化することができると、予期される。
【0183】
Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイの自動化
上記したHIC−DAZアッセイの自動化のために、本発明者らは、アッセイを5つの主なタスクに分解した:96ウェルアッセイプレートへの試料の負荷、インキュベーション、洗浄、基質添加および読み取り。各々のタスクの自動化を、DAZアッセイの自動化について観察された成功により、MiniTrakロボット利用基本骨格において評価した。
【0184】
MiniTrakにおける自動化されたHIC
20uLの血漿試料、標準および対照を、抗Lp−PLA2 2C10抗体で被覆した半ウェル(halfwell)アッセイプレート中に、MultiPROBE基本骨格(上記した方法)、MiniTrak(上記した方法)、または手動のいずれかを用いて移送した。これを、5つのプレートについて行った(1つのバッチ試行は、5つのプレートである)。時間を、プレート1について記録し、その後の段階を、プレート1について開始した。同一の手順を、各々のプレートについて、連続して6分間隔で繰り返した。
【0185】
血漿試料、標準および対照を加えた後に、プレートを密封し、180rpmで振盪しながら室温で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、プレートを、0.05%のTween-20を含む75uLの1xTBSで2回洗浄し、MiniTrak上に配置した。MiniTrak上での採取チップの機能を開始し、23uLのR2基質を、各々のチップ中に吸引した。20uLのR2基質を、各々のウェル中に分配した後に、チップを廃棄した。吸収の変化を、直ちにプレートリーダーを用いて、動的モードで405nmにおいて5分間、R2を添加した後に測定した。プレートリーダーを、室温に設定し、自動混合を、読み取り前に1回10秒にわたり混合するように設定し、データポイントを、15秒間隔で得た。プロトコルを、各々の前のプレートの読み取りが完了した後に、その後のプレートを用いて繰り返した。
【0186】
MiniTrakLp−PLA2 HIC−DAZ性能
MiniTrakLp−PLA2 HICアッセイの性能を、バッチ試行の間の再現性および正確さ、プレート効果の証拠、正常な血漿試料における手動のHIC−DAZアッセイに対する相関および精度について評価した。典型的なバッチ試行は、5個のプレートを試験することからなり、これを、1人の操作者により1.5時間で完了することができる。
【0187】
MiniTrakバッチ試行再現性およびプレート効果
バッチ試行における再現性および正確さ、並びにMiniTrakHIC−DAZアッセイの潜在的なプレート効果を試験するために、本発明者らは、単一の模擬血漿試料(rLp−PLA2でスパイクしたウシ血清)を、5個のアッセイプレートにおいて試験して、試料の480個の複製を作製した。以下は、各々のプレートの各々の横列および縦列の平均、中央値、標準偏差および%CVを示す分析の結果である。
【0188】
【表17】

【0189】
【表18】

【0190】
分析の結果は、MiniTrakHIC−DAZアッセイが、MiniTrakDAZアッセイよりも高いウェルごとの変動性を有していたが、一般的に、顕著なプレート効果は、MiniTrakHIC−DAZアッセイにおいて観察されなかったことを示す。さらに、このアッセイにより、許容し得るアッセイ内およびアッセイ間CVが示され、値は、5個のプレートのバッチ試行を通して再現可能であり、これは、ドリフトのない正確な値が、バッチ試行の間得られることを示している。
【0191】
MiniTrakHIC−DAZと手動のHIC−DAZとの間の相関
手動のHIC−DAZおよび自動化されたMiniTrakHIC−DAZアッセイから由来する値の間の相関を試験するために、80個の正常な血漿試料を、両方のアッセイを用いて試験し、値を、直線回帰プロットにおいて相関させた。4つの試料は、CV範囲に適合せず、従って分析から除外した。直線回帰プロットについての最良の適合線は、y=0.8971x+2.5573の勾配を有していた。さらに、データセットについてのR値は、0.8493であった。
【0192】
結果は、手動のHICとMiniTrakHICアッセイとの間に良好な相関があることを示している。さらに、MiniTrakにおける自動化されたHIC−DAZアッセイは、Lp−PLA2阻害剤の投与によるLp−PLA2活性の変化の検出について、手動のHIC−DAZアッセイと同等である。
【0193】
MiniTrakLp−PLA2 HIC−DAZ精度
MiniTrakLp−PLA2 HIC−DAZアッセイについてのアッセイ内変動性を、3つ1組で試行した24個の血漿試料の%CVから計算した平均の%CVにより評価した。以下の表は、3回の試行からの平均の%CVおよびこれらの3回の試行の各々からの平均のアッセイ内%CVを示す。HIC−DAZアッセイについての精度を、nmol/分/mLについて計算した。
【表19】

【0194】
MiniTrakLp−PLA2 HIC−DAZアッセイについてのアッセイ間変動性を、3つの独立したアッセイにおいて分析した24個の血漿試料についての値からの平均のアッセイ間%CVにより評価した。各々についての平均のアッセイ間%CVを、24個の試料の勾配から計算した。HICアッセイについての精度を、nmol/分/mLについて計算した。
【表20】

【0195】
本発明者らは、Lp−PLA2 HIC−DAZアッセイの、自動化された基本骨格、例えばMiniTrak自動化基本骨格への改作を、成功に例証した。本発明者らは、MiniTrakにおける自動化されたHICアッセイは、許容し得る再現性および精度を示し、手動のHIC−DAZ方法に対して良好な相関を有することを例証した。さらに、自動化されたMiniTrakHIC−DAZアッセイは、操作者あたり1.5時間でバッチあたり5個のプレート(480個の決定)を分析することができる、高処理能力アッセイである。この処理能力に基づいて、1人の操作者は、1日あたり3つのバッチ試行を信頼可能に行い、1日あたり15個のプレートの分析または1440個の決定を得ることができる。
【0196】
MiniTrakDAZアッセイと同様に、本発明者らは、前に記載したロボット利用のシステムを、96ウェルアッセイプレートへの試料の負荷およびHIC−DAZアッセイへの基質の添加に成功に適用したが、プレートを洗浄し、プレートをロボット利用ステーションからプレートリーダーに移動させるのに、操作者に頼っていた。しかし、適切な装置および改変により、段階のすべてを統合されたシステムにおいて自動化することができることが、予期される。ZymarkツイスターアームをMiniTrakに適合させることにより、プロセス全体が自動化される。特に試料を管からプレートに移動させる際には、試料のアッセイプレートに対する負荷を、手動で、または血漿および血清試料において共通して見出される粒子により詰まったチップを検出することができる、感度の高い液体検出能力(例えばMultiPROBE)を備えたロボット利用システムで行うのが、有利である。
【0197】
血漿/血清相関および範囲
将来の疫学的研究において血清試料を試験するための上記した活性に基づくLp−PLA2検出方法の好適性を、評価した。整合した血清試料と血漿試料との間で、DAZおよびHIC−DAZアッセイ形式について、比較を行った。整合した血清試料と血漿試料との間の相関および正常な範囲の比較を報告する。
200人のPromedDxおよび38人のdiaDexusドナーからの整合した血漿および血清試料を、各々の試料において測定されたLp−PLA2活性レベルの相関について、試験した。すべての試料を、MiniTrakにおける自動化されたDAZおよびHIC−DAZアッセイを用いて試験した。値を、直線回帰プロットにおいて分析した。
【0198】
38人のdiaDexusドナーからの整合した血漿試料と血清試料との間の、自動化されたLp−PLA2 DAZアッセイを用いた直線回帰プロットにより、y=1.0386x+0.7997の勾配を有する最良の適合線が得られた。さらに、データセットについてのR値は、0.9835であった。
200個のPromeDx(Norton, MA)試料からの整合した血漿試料と血清試料との間の、自動化されたLp−PLA2 DAZアッセイを用いた直線回帰プロットにより、y=0.9771x+3.7692の勾配を有する最良の適合線が得られた。さらに、データセットについてのR値は、0.9356であった。
【0199】
38人のdiaDexusドナーからの整合した血漿試料と血清試料との間の、自動化されたLp−PLA2 HIC−DAZアッセイを用いた直線回帰プロットにより、y=0.9106x+1.3824の勾配を有する最良の適合線が得られた。さらに、データセットについてのR値は、0.786であった。
200個のPromeDx試料からの整合した血漿試料と血清試料との間の、自動化されたLp−PLA2 HIC−DAZアッセイを用いた直線回帰プロットにより、y=0.7728x+4.5458の勾配を有する最良の適合線が得られた。さらに、データセットについてのR値は、0.6846であった。
【0200】
結果は、血漿および血清からのLp−PLA2活性レベル間の相関は、特にDAZアッセイについて優れていることを示す。DAZアッセイにおける血漿試料と血清試料との間の極めて高い相関により、当該形式については、血漿試料と血清試料との間に事実上差異はないことが示される。HIC−DAZアッセイにより、DAZアッセイよりも低い血漿試料と血清試料との間の相関が例証され、これは、HIC−DAZアッセイにおける比較的高い分析的変動性によるものであり得る。しかし、データは、血漿および血清から由来するHIC−DAZ値間の良好な相関を示し、これは、一般的に、血漿および血清から検出されたLp−PLA2活性レベル間に顕著な差異はないと見られることを示している。
【0201】
血漿/血清正常範囲
血漿試料および血清試料から由来するDAZおよびHIC−DAZ正常範囲値を比較するために、本発明者らは、上記した200個の整合する血漿および血清試料からのDAZおよびHIC−DAZ値の分布曲線をプロットした。これらの正常範囲のプロットを、以下の表中に表す。
【表21】

【0202】
上記のデータは、正常範囲の分布が、DAZおよびHICアッセイの両方について、血漿試料と血清試料との間でほぼ同一であることを示す。これらの結果は、再び、200個の整合する血漿および血清試料から由来するDAZ値とHIC値との間の極めて高い相関を示した本発明者らの前の観察を支持している。
【0203】
例8:アッセイ形式間の変換因子
200個のPromeDx正常血漿試料を用いて、DAZおよびHIC−DAZMiniTrak自動化アッセイ形式の両方を用いた分布に基づいて、nmol/分/mLからng/mLへの変換因子を決定した。Molecular Devices (Sunnyvale, CA)からのSoftMax Pro 4.7.1ソフトウエアを用いて、勾配値を発生させる各々の試料の光学密度を採集した。勾配を、それぞれHIC−DAZおよびDAZについて1.11および1.43を乗じることにより、nmol/分/mLに変換した。これらの変換を、上記したp−ニトロフェノール(PNP)標準に基づいて決定した。
【0204】
nmol/分/mLおよびng/mLについての値を、SAS Institute (Cary, NC)からのJMP4統計的発見ソフトウエアを用いて見積もった。データを、Analyzeオプショングループの下でDistributionツールを用いて加工した。各々のアッセイの標準曲線の直線範囲内の当該値のみを、分析した。HIC−DAZの直線範囲は、0〜270ng/mlであると決定され、DAZの直線範囲は、0〜1000ng/mLであると決定された。これらの範囲内の同等の百分位数からの値を、直線状回帰分析を行うことにより比較した。このプログラムにおいて生じた等式を、変換因子として指定した。HIC−DAZアッセイについてのng/mLからnmol/分/mLへの変換因子は、y=8.4464x−10.771であり、R値は0.9874である。DAZアッセイについてのng/mLからnmol/分/mLへの変換因子は、y=4.3404x−98.625であり、R値は0.9956である。両方のアッセイ形式は、活性と質量測定とを高度に相関させることができ、これは、種々のアッセイからの結果を比較するのに有用である。以下の表は、試料群における種々の分位における単位間の変換および単位間の定量を例証する。
【0205】
【表22】

【0206】
nmol/分/mLからng/mLへの変換により、種々のアッセイ形式の結果の相関が可能になる。血清中の高められたLp−PLA2レベル(mg/mL)は、CVDのいくつかの形態と相関していると示された。Lp−PLA2の質量および活性レベルの変換は、危険の評価、Lp−PLA2障害の診断、CVD療法のための人の選択およびCVD療法、例えばスタチンおよびLp−PLA2阻害剤に対する応答のモニタリングにおいて用いるための種々のアッセイ形式を相関させるのに、有用である。
【0207】
要するに、本発明者らは、DAZおよびHIC−DAZアッセイにおいてそれぞれ1920個および1440個の決定の完了、8時間シフトの間の操作者を可能にする、自動化された高処理能力のLp−PLA2アッセイを成功に開発した。これらの結果は、Lp−PLA2 DAZおよびHIC−DAZアッセイの完全な自動化が可能であることを例証する。自動化されたアッセイは、再現可能かつ正確であり、正常な試料における手動の方法と事実上同一のデータを発生する。整合する血漿および血清試料の評価は、Lp−PLA2 DAZおよびHIC−DAZアッセイが共に、血漿および血清において匹敵する値を発生することを示し、将来の疫学的研究において血清試料を用いる可能性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定する方法であって:
(a)Lp−PLA2に特異的に結合する固定化された結合剤を、試料と接触させること;
(b)固定化された結合剤を洗浄して、酵素的に活性な未結合の物質または干渉物質(1種または2種以上)を除去すること;
(c)結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させること;および
(d)試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
試料が、血清試料、血漿試料、EDTA処理血漿試料またはEDTA処理血清試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固定化された結合剤が、抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酵素的に活性な未結合の物質が、ホスホリパーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
干渉物質(1種または2種以上)が、遊離チオール化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基質が、
【化1】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化2】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化3】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基質が、(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
検出可能な生成物が、放射活性な、比色的な、常磁性の、または蛍光性の標識を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
検出可能な生成物を、蛍光的に、比色的に、常磁的に、または放射線により測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、段階(d)の測定された検出可能な生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む対照中の検出可能な生成物に対して比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
酵素的に活性なLp−PLA2標準が、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組換えLp−PLA2タンパク質が、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
固定化された結合剤が、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
標準に対して比較した試料中の検出可能な生成物における差異が、標準に対して比較した試料中のLp−PLA2活性における差異による、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
個体における血管疾患を検出するための方法であって、請求項16に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで、試料中のLp−PLA2の増大した活性が血管疾患を示す、前記方法。
【請求項18】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
血管疾患を処置する療法のための個体を選択するための方法であって、請求項16に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで、試料中のLp−PLA2の増大した活性が、血管疾患を処置する療法から利益を享受する個体を示す、前記方法。
【請求項20】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
療法が、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
血管疾患を処置する療法に対する個体の応答をモニタリングするための方法であって、請求項16に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで、試料中のLp−PLA2の低下した活性が、血管疾患を処置する療法に対して好ましく応答する個体を示す、前記方法。
【請求項23】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
療法が、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定する方法であって:
(a)Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤を、試料と接触させて、結合剤−Lp−PLA2複合体を形成すること;
(b)結合剤−Lp−PLA2複合体を固定化すること;
(c)固定化された結合剤−Lp−PLA2複合体を洗浄して、酵素的に活性な未結合の物質または干渉物質(1種または2種以上)を除去すること;
(d)固定化された結合したLp−PLA2を、Lp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換された基質と接触させること;および
(e)試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す検出可能な生成物を測定すること
を含む、前記方法。
【請求項26】
試料が、血清試料、血漿試料またはEDTA処理血漿試料である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
結合剤が、抗体である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
結合剤−Lp−PLA2複合体が、固定化された化合物に結合させることにより固定化される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
固定化された化合物が、結合剤−Lp−PLA2複合体に結合することができる抗体、タンパク質または化合物である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体が、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
固定化された化合物が、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
結合剤が、固定化剤に結合している、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
固定化剤に結合している結合剤が、抗体である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
固定化剤が、固定化された化合物に結合することができる抗体、タンパク質または化合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体が、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
固定化剤が、ビオチンである、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
結合剤−Lp−PLA2複合体に結合した固定化剤が、固定化された化合物に結合する、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
固定化された化合物が、マルチウェルプレート、磁性ビーズまたはラテックスビーズに結合している、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
結合した化合物が、結合した固定化剤に結合することができる抗体、タンパク質または化合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
抗体が、モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
モノクローナル抗体、ファージディスプレイ抗体またはポリクローナル抗体が、ラット、マウスまたはヤギ抗Ig抗体である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
結合した物質が、ストレプトアビジンである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
酵素的に活性な未結合の物質が、ホスホリパーゼである、請求項25に記載の方法。
【請求項50】
干渉物質(1種または2種以上)が、遊離チオール化合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項51】
基質が、
【化4】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化5】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化6】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている、請求項25に記載の方法。
【請求項52】
基質が、(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
検出可能な生成物が、放射活性な、比色的な、常磁性の、または蛍光性の標識を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項54】
検出可能な生成物を、蛍光的に、比色的に、常磁的に、または放射線により測定する、請求項25に記載の方法。
【請求項55】
さらに、段階(e)の測定された検出可能な生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む対照中の検出可能な生成物に対して比較することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項56】
酵素的に活性なLp−PLA2標準が、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
組換えLp−PLA2タンパク質が、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
標準に対して比較した試料中の検出可能な生成物における差異が、標準に対して比較した試料中のLp−PLA2活性における差異による、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
個体における血管疾患を検出するための方法であって、請求項58に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定し、ここで、試料中のLp−PLA2の増大した活性が血管疾患を示す、前記方法。
【請求項60】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
血管疾患を処置する療法のための個体を選択するための方法であって、請求項58に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで、試料中のLp−PLA2の増大した活性が、血管疾患を処置する療法から利益を享受する個体を示す、前記方法。
【請求項62】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
療法が、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
血管疾患を処置する療法に対する個体の応答をモニタリングするための方法であって、請求項58に記載の方法を用いて、試料中の個体のLp−PLA2活性を決定することを含み、ここで、試料中のLp−PLA2の低下した活性が、血管疾患を処置する療法に対して好ましく応答する個体を示す、前記方法。
【請求項65】
血管疾患が、冠血管疾患(CVD)、冠動脈心疾患(CHD)、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、脳卒中、先天性心臓血管異常およびうっ血性心不全からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
療法が、スタチンおよびLp−PLA2阻害剤からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定するためのキットであって、Lp−PLA2に特異的に結合する結合剤およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換される基質を含む、前記キット。
【請求項68】
基質が、
【化7】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化8】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている;
【化9】

式中、
Xは、O、Sおよび−O(CO)−からなる群から選択されており;
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COまたはCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている、請求項67に記載のキット。
【請求項69】
基質が、(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の酸化された誘導体である、請求項68に記載のキット。
【請求項70】
さらに、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む、請求項67に記載のキット。
【請求項71】
酵素的に活性なLp−PLA2標準が、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
組換えLp−PLA2タンパク質が、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定する方法であって:
(a)試料を、試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物と共にインキュベートすること;
(b)インキュベートした試料を、酵素的に活性なLp−PLA2の存在下で遊離のチオール生成物に変換された基質と接触させること;および
(c)試料中の酵素的に活性なLp−PLA2を示す遊離のチオール生成物を測定すること
を含む、前記方法。
【請求項74】
試料が、血清試料、血漿試料またはEDTA処理血漿試料である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
試料中の活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物が、DTNBである、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
試料を、室温でインキュベートする、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
試料を、37℃でインキュベートする、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
試料を、約2〜約120分インキュベートする、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
試料を、約5〜約30分インキュベートする、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
基質が、
【化10】

式中、
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
基質が、(a)または(b)の酸化された誘導体である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
さらに、段階(c)の測定された遊離のチオール生成物を、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む対照中の遊離のチオール生成物に対して比較することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
酵素的に活性なLp−PLA2標準が、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
組換えLp−PLA2タンパク質が、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
段階(a)、(b)および(c)を、マルチウェルプレートにおいて行う、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
試料中の酵素的に活性なリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)を測定するためのキットであって、活性なチオール(1種または2種以上)を還元する化合物およびLp−PLA2の存在下で検出可能な生成物に変換される基質を含む、前記キット。
【請求項87】
基質が、
【化11】

式中、
Rは、(CHCH、(CHCH、(CHCH、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、および(CHCH=CH(CHCHからなる群から選択されており;
は、(CO)1−2および(CH2−7からなる群から選択されており;かつ
は、COおよびCHからなる群から選択されている、
からなる群から選択されている、請求項86に記載のキット。
【請求項88】
基質が、(a)または(b)の酸化された誘導体である、請求項87に記載のキット。
【請求項89】
さらに、酵素的に活性なLp−PLA2標準を含む、請求項86に記載のキット。
【請求項90】
酵素的に活性なLp−PLA2標準が、組換えLp−PLA2タンパク質または野生型のLp−PLA2タンパク質である、請求項89に記載のキット。
【請求項91】
組換えLp−PLA2タンパク質が、バキュロウイルス発現系または哺乳類発現系において発現される、請求項90に記載のキット。

【図1A−1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177182(P2011−177182A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−83991(P2011−83991)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2006−552204(P2006−552204)の分割
【原出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(502160545)ディアデクサス インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】