MRIで画像化できる介入機器用追跡装置およびその使用方法
本発明は、介入医療装置に取り付けられて、MRIシステムを使用する介入医療処置の際に前記介入医療装置の位置を追跡するための追跡装置を提供する。その追跡装置は、第1の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第1の追跡部材と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第2の追跡部材と、を有する。前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上が、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材の他方に対して調整されて、第1の配列と第2の配列間に前記追跡装置を調整する。前記第1の磁化率及び前記第2の磁化率は、前記追跡装置がMRIシステムの磁場内に配置されているとき、(i)前記追跡装置が、前記第1の配列に配置されたときに、前記MRIシステムによって測定可能な局所磁場を生成し、そして、(ii)前記追跡装置が前記第2の配列に配置されているときに、前記第1の配列にある前記追跡装置によって生成された前記局所磁場に対して減少された局所磁場を生成するように、選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年12月22日付けで提出された米国仮出願第61/289,271号(発明の名称:機械的に制御された磁化率効果を備えた非観血的MRI装置追跡用のシステム及び方法)の利益を享受する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、磁気共鳴画像(MRI;magnetic resonance imaging)システム及び方法に関する。より詳細に、本発明は、測定可能な磁化率(susceptibility)効果を誘導するために動作し得る介入装置(interventional device)を追跡するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
MRIガイダンスを使用した、ガイドワイヤ(guidewire)及びステント(stent)のような介入装置(interventional device)の配置は望ましく、大きな臨床的可能性を秘めた分野である。しかしながら、この分野における特定のチャレンジは、それらが血管又は臓器内において移動し、かつ、操作されるときに、かかる装置を追跡する安全かつ信頼できる方法をどうやって開発していくのかというものであった。ガイドワイヤの先端は、その先端に小さな放射線不透過性マーカー(radio-opaque marker)を適用することで、従来のX線透視(x-ray fluoroscopy)を用いて可視化することができる。MRIにおいて、放射線不透過性マーカーのアナログ(analog)は、ニチノールワイヤ(nitinol wire)上にステンレス製の先端のような、周囲の組織に対する、十分に大きな磁化率(magnetic suceptibility)を持つ材料で作られたマーカーである。そのようなマーカーを含むガイドワイヤーを描いたMR画像では、マーカーに隣接した組織中に部分的な低信号領域(local hypointense region)が存在し、それによって、臨床的に関連情報が失われる。この種の典型的なMR可視介入装置は、例えば、米国特許第5728079号、第6430429号などに記載されている。
【0004】
米国特許第5728079号に記載され介入装置は、中空の管状のホルダーを備えたカテーテル(catheter)であり、ここのインジケータ要素(indicator element)は、常磁性材料(paramagnetic material)の同心層(concentric layer)を含む。同心円状の常磁性層は、その長手方向の軸がホルダーの長手方向の軸と一致する円筒状のシース(cylindrical sheath)の形態で設けられる。常磁性材料(paramagnetic material)は、MRIシステムによって検査される患者の磁気共鳴画像に影響を与える。MR画像に対する装置が持つ影響によって、その装置が直接見えなくても、患者の身体内に介入装置の位置を決定することができる。しかし、MR画像上の装置の常磁性成分の影響が、磁気共鳴画像の診断性能(diagnostic quality)に悪影響を与える。インジケータ要素の影響の結果として、MR画像は、インジケータ要素に隣接する地域で低下または失われた解剖学的詳細(anatomical details)を示す。
【0005】
米国特許第6430429号に記載され介入楽器は、特にMRIシステムの定常磁場(steady magnetic field)の方向に対するインジケータ要素の回転によって、磁気共鳴画像の影響の度合いを調整可能にするインジケータ要素を含む。例えば、インジケータ要素は、異なる磁化率のいくつかのセグメントを含み得る常磁性ストリップ(paramagnetic strip)である。常磁性成分が米国特許第6430429号に記載されただけである。したがって、磁気共鳴画像上のこの装置の影響はMRIシステムの磁界に対する装置の配向(向き)に依存する。しかしながら、装置の影響のこうした調整機能は限られていて、MR画像上の装置のの影響度を低減することはできるものの、それを排除することができず、この減少された影響においても信号の損失が依然として生じる。
【0006】
MR画像において用意に配置することができ、そして、比較的安価で、安全ではあるものの、前述の介入装置は、順番に、関心の所望の領域(装置の先端に隣接した組織)を不明確にする(又は、暗くする)インジケータ要素の近傍における信号の損失をもたらす。したがって、前述した装置の先端の位置を容易に識別することができても、装置が移動される組織の性質は、装置の可視化を可能にする同様の効果によって分かりにくくなる。
【0007】
それゆえ、信号損失を軽減することによって、装置に隣接した組織の可視化を可能にしながら正確にMR画像に配置され得る介入装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MRIによって撮像され得る追跡装置を提供することで前述の問題を克服する。追跡装置は、一般的に、異なる磁化率を有する2以上の追跡部材を含む。その追跡装置は、磁場(たとえば、MRIシステムの磁場)が追跡装置に適用されたときに追跡装置の外部の局所磁場を生成する第1の配置と、前記追跡装置の外部の局所磁場が前記第1の配置に対して減少された第2の配置との間で調整され得る。これらの配置は、一般的に、それぞれ「オン」および「オフ」配置と呼ばれる。追跡装置は、MRIシステムの磁場に対する追跡装置の配向とは関係なく、「オン」配置では測定可能な局所磁場を生成し、かつ、「オフ」配置では減少された局所磁場を生成するように作動する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、介入医療装置に取り付けられて、MRIシステムを使用する介入医療処置の際に前記介入医療装置の位置を追跡するための追跡装置を提供することである。その追跡装置は、第1の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第1の追跡部材と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第2の追跡部材と、を有する。前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上が、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材の他方に対して調整されて、第1の配列と第2の配列間に前記追跡装置を調整する。前記第1の磁化率及び前記第2の磁化率が、前記追跡装置がMRIシステムの磁場内に配置されているとき、(i)前記追跡装置が、前記第1の配列に配置されたときに、前記MRIシステムによって測定可能な局所磁場を生成し、そして、(ii)前記追跡装置が前記第2の配列に配置されているときに、前記第1の配列にある前記追跡装置によって生成された前記局所磁場に対して減少された局所磁場を生成するように、選択される。したがって、第1の配置において、追跡装置は、MRIシステムで測定可能な磁場乱れを生じさせるに対して、第2の配置において、MRIシステムで検出できる追跡装置からの磁場乱れは、実質的に抑制される。
【0010】
本発明の第2の特徴は、追跡装置を備えた、MRIシステムに使用されるカテーテル装置を提供することである。追跡装置は、第1の磁化率を有する第1の環状部品と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する第2の環状部品を含む。ワイヤは、前記追跡装置に取り付けられ、かつ、追跡装置に取り付けられたカテーテルチューブを通じて追跡装置から延設されている。ワイヤは、動作時に前記第1の環状部品および前記第2の環状部品のうち1以上が、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品の他方に対して移動されて、前記追跡装置がMRIシステムの磁場に配置されたときに、前記追跡装置によって生成された局所磁場を変えるように設けられている。そのカテーテル装置は、ワイヤを作動させるようにワイヤに取り付けられたドライバーを含んでも良い。ドライバーは、MRIシステムによって行われるパルスシーケンスと同期して前記ドライバーを動作させるプロセッサに通じるようになっていても良い。
【0011】
本発明の第3の特徴として、互いに対して移動自在に係合された反対の磁化率を有する複数の部品を備えた追跡装置を含む介入機器およびMRIシステムを使用して介入処置をモニターする方法が提供される。その方法は、前記複数の部品を、追跡装置によって生成された局所磁場が前記MRIシステムによって測定できる第1の配置に配置するように前記追跡装置を操作するステップと、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が前記MRIシステムによって測定可能な間に、前記MRIシステムを使用して、前記介入機器が導入された患者の第1の画像セットを取得するステップ(これらの画像が得られると、追跡装置によって生成された磁場乱れは実質的に抑制される)と、前記複数の部品を、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、前記複数の部品が前記第1の位置に配置されたときよりも減少される第2の配置に配置するように前記追跡装置を操作するステップと、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が減少される間に、前記MRIシステムを使用して、前記患者の第2の画像セットを取得するステップと、前記患者の前記第1のおよび第2の画像セットを使用して、前記介入機器の位置を決定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、信号損失を軽減することによって、装置に隣接した組織の可視化を可能にしながらもMR画像内に正確に配置され得る介入装置を提供できる。特に、追跡装置は、MRIシステムの磁場に対する追跡装置の配向とは関係なく、「オン」配置では測定可能な局所磁場を生成し、かつ、「オフ」配置では減少された局所磁場を生成することができる。
【0013】
前述した特徴及び利点は、次の詳細な説明から明らかになるだろう。この明細書において、符号は、その一部を形成する図面に基づいて付され、本発明の好ましい実施例を表すために示される。こうした実施形態は、本発明の範囲を表すものではなく、特許請求の範囲によって発明の範囲が定まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の追跡装置用の例示的な磁気共鳴画像システムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を用いる例示的なカテーテルシステムの平面図である。
【図3】図3は、図2のカテーテル装置の一部を形成する例示的な追跡装置の斜視図である。
【図4】図4は、図2の追跡装置の一部の立面図(正面図)である。
【図4A】図4Aは、線4A−4Aに沿った図4の追跡装置の部分断面図である。
【図4B】図4Bは、線4B-4Bに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4C】図4Cは、線4C-4Cに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4D】図4Dは、線4D-4Bに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4E】図4Eは、線4E-4Eに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図5A】図5Aは、図3の追跡装置の常磁性(paramagnetic)及び反磁性(diamagnetic)部品の斜視図である。ここで、2つの部品は遠位プレート(distal plate)によって結合している。
【図5B】図5Bは、図3のカテーテル追跡装置の常磁性と反磁性部品の斜視図である。ここで、部品の一つのワイヤへの結合は近位プレート(proximal plate)によってされている。
【図6A】図6Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を採用した、ドライバーを含む、別の例示的なカテーテル装置の平面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの例示的なカテーテル装置の斜視図である。
【図7】図7は、図2のカテーテル装置の一部を形成する例示的な追跡装置の別の構成の斜視図である。ここで、追跡装置は、図示のため、部分的に撤回される5つの同心円状の層状をなす部品(concentrically layered component)を含む。
【図7A】図7Aは、線7A-7Aに沿った図7の追跡装置の断面図である。
【図8】図8は、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を採用した別の例示的なカテーテルシステムの平面図である。ここで、追跡装置は、介入装置又は造影剤が通過され得る中央のルーメン(central lumen)を含む。
【図8A】図8Aは、線8A-8Aに沿った図8の追跡装置の断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置の構造の斜視図である。ここで、追跡装置は、複数のラジアルセクタ(radial sector)からなる2つの追跡部材を含む。
【図9B】図9Bは、追跡装置が「オフ」のときの図9Aの追跡装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、磁気共鳴イメージング( "MRI")システムを利用した医療処置の際に介入装置を追跡するための追跡装置100が示されている。一般的には、追跡装置100は、異なる磁化率(magnetic susceptibilities)を有する2以上の追跡部材(tracking member)を含む。以下に詳細に記載されるように、各追跡部材は類似した磁化率を有する1以上の部品を有してもよく、そして、別の追跡部材は、一般的に、異なる磁化率を有する。その部品は、後述するように、同心円状の円筒状、および、環状の部品、ラジアルセクター(radial sector)、環状のディスク、または他のそのような形状を含んでも良い。追跡部材は、MRIシステムの磁場のような、印加磁場の存在下で装置の外部の局所磁場を生成する第1の配置(configuration)と、装置の外部に生成された局所磁場が第1の配置に対して減少された第2の配置(configuration)との間に調整することができる。これらの配置は、それぞれ 「オン」および「オフ」配置とも呼ばれる。追跡装置は、MRIシステムの磁界に対する追跡装置の(相対的)向き(orientation)に関係なく、測定可能な局所磁場を生成するように作動する。
【0016】
常磁性材料のような正の磁化率を有する材料は、印加磁場に露出されたときに、磁化される。ここで、その磁化のベクトル方向は、印加磁場と同じ方向である。 対照的に、反磁性(diamagnetic)材料のような負の磁化率を持つ材料は、印加磁場と反対方向への磁化のベクトル方向に磁化される。追跡装置100を用いて、反対する磁化率の部品からの磁場は、互いに有意に反対して、追跡装置が「オフ配置」にあるときに、追跡装置によって生じる全般的な局所磁場を減少させ、それにより、追跡装置100からの信号損失を最小化した磁気共鳴画像の取得を可能にする。その部品の相対的な間隔(spacing)の結果は、その装置がオフ位置にあるときよりもオン位置にあるときに、より大きい磁場の乱れ(magnetic field disturbance)が生じる。それによって、MRIシステムで取得された画像において追跡装置を可視化する。
【0017】
図1には、カテーテル追跡装置100の位置を決定および画像化する(撮像する)例示的MRIシステム200が示されている。MRIシステム200は、ディスプレイ204とキーボード206を備えたワークステーション202を含む。ワークステーション202は、市販のオペレーティングシステム(operating system)を実行する市販のプログラマブルマシン(programmable machine)のようなプロセッサ208を含む。ワークステーション202は、スキャン処方箋(scan prescription)がMRIシステム200内に入られるようにするオペレータ・インタフェースを提供する。ワークステーション202は、4つのサーバ:パルスシーケンスサーバ(pulse sequence server)210、データ収集サーバ(data acquisition server)212、データ処理サーバ(data processing server)214、データ保存サーバ(data store server)216に結合している。ワークステーション202と、各サーバ210、212、214、216とは、互いに連絡する(communicate with)ように接続されている。
【0018】
パルスシーケンスサーバ210は、勾配システム(gradient system)218と高周波( "RF")システム220を動作させるワークステーション202からダウンロードされた命令に応答して機能する。所定のスキャンを実行するために必要な勾配波形(gradient waveform)が生成され、勾配システム218に適用される。この勾配システム218は、アセンブリ222における勾配コイルを励起させて、MR信号の位置コード化に使用される磁場勾配Gx、Gv、および、G2を生成する。勾配アセンブリ222は、偏光磁石226及び全身用RFコイル228を含む磁石アセンブリ224の一部を形成する。
【0019】
所定の磁気共鳴パルスシーケンスを実施するRFシステム220によって、RF励起波形がRFコイル228、又は、別の局所コイル(local coil)(図1に図示せず)に適用される。RFコイル228、または別の局所コイル(図1には図示せず)によって検出された応答MR信号は、RFシステム220によって受信され、パルスシーケンスサーバ210によって生成されたコマンドの指示下で増幅され、復調され(demodulated)、フィルターされ(filtered)、かつ、デジタル化される。RFシステム220は、MRパルスシーケンスで使用される様々なRFパルスを生成するRF送信機(transmitter)を含む。RF送信機は、パルスシーケンスサーバ210からのスキャン処方箋(scan prescription)および指示(direction)に応答して、所定の周波数、位相、およびパルス振幅波形のRFパルスを生成する。生成されたRFパルスは、全身RFコイル228、又は、1以上の局所コイルまたはコイルアレイ(図1には図示せず)に適用され得る。RFシステム220はまた、1以上のRF受信機チャンネルを含む。各RF受信機チャンネルは、それが接続されたコイル22によって受信したMR信号を増幅するRF増幅器と、受信したMR信号のIおよびQ直交成分(quadrature component)を検出し、デジタル化する検出器と、を含む。したがって、受信したMR信号の大きさ(magnitude)は、IおよびQ成分の二乗和の平方根(数1)によって、任意のサンプルされた点において決定することができ、そして、受信したMR信号の位相は次のように決定することができる(数2)。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
パルスシーケンスサーバは、必要に応じて、生理的取得コントローラ230からの患者データを受け取る。コントローラ230は、ベローズまたは他の呼吸器の監視装置からの呼吸信号又は電極からの心電図( "ECG")信号のような、患者に接続された様々な異なるセンサーの数から信号を受信する。このような信号は、通常、パルスシーケンスサーバ210によって使用されて、スキャンの性能を被験者の心拍、又は、呼吸に同期するか(synchronize)、又は、ゲート(gate)する。
【0023】
パルスシーケンスサーバ210はまた、患者および磁石システム(magnet system)の条件に関連付けられた各種センサーから信号を受信する走査室インターフェース回路(scan room interface circuit)232に接続する。走査室インターフェース回路232を通して、患者位置決めシステム234はスキャン中に所望の位置に患者を移動するコマンドを受信する。走査室インタフェース回路232はまた、追跡装置100と連絡して、「オン」と「オフ」配置間において追跡装置100を直接に操作する。たとえば、追跡装置100は、パルスシーケンスの繰り返し時間(TR)と同期して動作するようにプログラムすることができ、それによって、その「オン」と「オフ」の両方の配置において追跡装置100のデータ収集を提供する。
【0024】
RFシステム220によって生成されるデジタル化MR信号サンプルは、データ収集サーバ212によって受信される。データ収集サーバ212は、ワークステーション220からダウンロードされた指示に応答して動作して、データオーバーラン(data overrun)によりデータが失われないように、リアルタイムMRデータを受信するとともに、バッファー記憶装置(buffer storage)を提供する。いくつかのスキャンでは、データ収集サーバ212は、データ処理サーバ214に取得されたMRデータを渡す役割をするに過ぎない。しかし、スキャンの更なる性能を制御するために取得されたMRデータに由来する情報を必要とするスキャンにおいて、データ収集サーバ212は、このような情報を生成し、パルスシーケンスサーバ210にそれ(情報)を伝えるようにプログラムされる。たとえば、予備スキャン(prescan)の際に、MRデータは、取得され、かつ、パスシーケンスサーバ210によって実行されるパルスシーケンスを較正するために使用される。また、ナビゲータ(navigator)信号は、スキャン中に取得され、そして、RFシステム220または勾配システム218の動作パラメータ(operating parameter)を調整(制御)するために、又は、k空間がサンプリングされるビューの順序(view order)を制御するために使用される。データ収集サーバ212はまた、磁気共鳴血管造影( "MRA")スキャンにおいて造影剤の到着を検出するために使用されるMR信号を処理するのに用いられる場合もある。これらすべての例において、データ収集サーバ212は、MRデータを取得するとともに、リアルタイムでそれを処理して、スキャンを制御するために使用される情報を生成する。
【0025】
データ処理サーバ214は、データ収集サーバ212からMRデータを受信し、ワークステーション202からダウンロードされた指示に基づいてそれを処理する。このような処理は、例えば、未処理(raw)のk空間MRデータをフーリエ変化して、2次元または3次元画像を生成すること、再構成画像(reconstructed image)にフィルタを適用すること、取得したMRデータの逆投影画像再構成(backprojection image reconstruction)の実行、機能的なMR画像(functional MR image)の生成、および、動き(m,otion)又は流れ(flow)画像の計算を含んでも良い。
【0026】
データ処理サーバ214によって再構成された画像は、それらが記憶(格納)あされるワークステーション202に戻される。リアルタイムの画像は、データベースメモリキャッシュ(cache)(図1に図示せず)に格納(保存)される。このデータベースメモリキャッシュから、リアルタイム画像は、関与する医者による使用のために磁石アセンブリ224の近くに配置されたディスプレイ236又はオペレータディスプレイ212のほうに出力され得る。バッチモード画像(batch mode image)または選択されたリアルタイム画像は、ディスク記憶装置238上のホスト・データベースに格納される。このような画像が再構成され、記憶装置に転送されたとき、データ処理サーバ214は、ワークステーション202上のデータ保存サーバ(data store server)216に通知する。ワークステーション202は、オペレータによって使用されて、画像をアーカイブに保存し、フィルムを生成し、又は、ネットワークを通じてその他の施設(設備)へ画像を送る。
【0027】
追跡装置100による磁気共鳴画像に対する影響が追跡装置100の追跡部材(追跡部材は、常磁性と反磁性成分を含む。)の相対的な移動によって調整可能であるため、 追跡装置100の影響を受けるMR画像を取得し得る。これらの画像上の追跡装置100の影響は、追跡装置100の位置が正確に決定することができるように可視化、かつ、測定され得る。また、追跡装置100は、「オン」配置と「オフ」配置間において転換され得る。ここで、「オン」配置では、追跡装置100は有意な磁化率アーチファクト(artifact)を生成して、追跡装置100の位置が測定(決定)できるようにするが、隣接組織からの信号は変形される。また、「オフ」配置では、追跡装置100は可視可能ではなく、隣接組織からの信号の変形は軽微であり、そして、追跡装置100が患者内に配置されている間、患者の臨床的に有用な画像が得られる。例えば、追跡部材の相対的な配置を調整して、第2の配置と第1の配置間に追跡装置を調整することによって、MR画像に対する追跡装置100の影響は減少され、それにより、追跡装置100からの磁気磁化率アーチファクトに基づいて、追跡装置100に隣接した組織における信号損失は実質的に抑制される。各追跡部材は、複数の成分を含んでも良く、そして、追跡装置が第1の配置と第2の配置間で調整されるときに、これらの各成分は、独立して、又は、組み合わせて調整され得る。
【0028】
本発明の追跡装置100は、通常、第1の(磁気)磁化率を有する第1の追跡部材、および、互いに対して第2の(磁気)磁化率を有する第2の追跡部材の一つを調整することによって、追跡装置の配置を調整することによって動作する。これらの第1および第2の追跡部材の異種(磁気)磁化率のために、印加磁場の存在下で追跡装置100によって生成された局所磁場は、第1および第2の追跡部材が第1の配置ある測定可能状態(measurable state)から第1および第2の追跡部材が第2の配置にある最小限の状態(minimal state)まで変わり得る。最小限の状態において、第1および第2の追跡部材によって生成された局所磁場は実施的に互いに相殺するに対して、測定可能状態において第1および第2の追跡部材によって生成された局所磁場は互いに相殺しないため、MRIシステムで測定可能な磁場乱れ(magnetic field disturbance)を生成する。一般的に、この第2の配置は、「オフ」配置と呼ばれ、そして、第1の配置は、「オン」配置と呼ばれる。印加磁場に応答して追跡装置100によって生成された局所磁場が有意に非ゼロであるとき、例えば、追跡装置100は「オン」配置にあるとき、追跡装置100の位置は、インビボでMRIシステムによって測定され、又は、確認(同定)され得る。
【0029】
跡装置100の例示的な配置(カテーテルに取り付けられたもの)が図2および3に示されている。この例示的な構成は、カテーテルシステムの追跡について記載されているが、当業者は、追跡装置100が同様に、生検針(biopsy needle)およびアブレーションプローブ(ablation probe)(熱焼灼や凍結外科療法に使用されるものなど)のようなその他の介入装置に接続され得ることを理解するだろう。追跡装置100は、第1の環状シース(sheath)104がそれに対して移動自在に配置されている円筒状のワイヤ102を含む。第2の環状シース106は、第1の環状シース104に対して移動自在に配置されている。遠位プレート(distal plate)108は、円筒状のワイヤ102の一端において円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106に取り付けられ、そして、近位プレート(proximal plate)110は、円筒状のワイヤ102の他端において第1の環状シース104に取り付けられている。
【0030】
円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、チタンなどの常磁性材料で構成されているが、当業者は、その他の適切な常磁性材料を使用することができるのを理解できるだろう。円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、好ましくは同じ磁化率を有する材料で構成されていますが、いくつかの構成では円筒状のワイヤ102と第2のカテーテルシース106の磁化率が異なっても良い。第1の環状シース104は、グラファイト(黒鉛)のような反磁性材料で構成されているが、当業者は、他の適切な反磁性材料(例えば、ビスマス)をも使用できるのを理解できるだろう。一般的に、常磁性材料が、反磁性材料のような実質的に等しいが反対の磁化率を有するのが好ましいが、この状態は追跡装置100の適切な操作に必須ではない。円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は、カテーテルで使用できる従順属性(amenable attribute)である、柔軟性がとれるような寸法にされ得る。
【0031】
したがって、一般的には、追跡装置100は、常磁性材料で構成された第1の追跡部材と、反磁性材料で構成された第2の追跡部材を含む。図3および図4に示された追跡装置100の配置(構成)では、第2の追跡部材は第1の環状シース104で構成されているのに対し、第1の最初に追跡部材は、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106で構成されている。常磁性および反磁性材料で構成された部品を含む追跡装置100は、X線イメージングによって現れる(visible)と当業者は理解できるだろう。したがって、追跡装置は、X線蛍光透視法およびX線コンピュータ単層撮影のようなX線イメージングを必要とするか、又は、その利用が利益をもたらす介入過程(手続)に有益であり得る。
【0032】
円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は、生体適合性ポリマーまたは医療グレードのポリ塩化ビニル(PVC)などの生体適合性材料で構成されたハウジング112内に配置される。ハウジング112は、これらの要素が共通の長手方向の軸113に沿って互いに相対移動を可能にしつつも、円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106を保持するように設計された構造を形成する。ハウジング112は、追跡装置部品用の無菌操作環境を提供するように設けられている。
【0033】
カテーテルチューブ114は、その遠位端部116からその近位端部118に向かってその近位に延設され、そして、その遠位端部116においてその追跡装置100のハウジング112に取り付けられている。追跡装置100は、カテーテルチューブ114の近位端118に向かってハウジング112の内腔(lumen)122を介して追跡装置100から離れて延設されたワイヤ120に取り付けられている。ワイヤ120は、銅またはポリマーなどの組織に似た磁化率を有する材料で構成されても良い。先端124は、ハウジング112の遠位端部126に形成されている。先端124は、使用時に血管壁に損傷を与えないように丸い形をしているが、それ以外の形をしていても良い。
【0034】
上述のように、いくつかの配置(構成)では、追跡装置100は、それがカテーテルに取り付けられるような寸法にされ得る。たとえば、追跡装置100は、特定の臨床適用に応じて、2つのフレンチ(two French)又はそれより大きい寸法(サイズ)にされるが、適切な製造では、追跡装置は、2つのフレンチよりもさらに小さい寸法にされ得る。
【0035】
図4および4Aに基づけば、円筒状のワイヤ102と、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は実質的に類似した長さを持っており、それらの相対的厚さは、追跡装置100が磁場(例えば、MRIシステムの主磁場)内に配置されたときに、それぞれの部品によって生成された局所磁場が実質的に互いに相殺して、実質的に抑制された磁場乱れ(suppressed magnetic field disturbance)を有する追跡装置100を生じさせるような寸法とされる。
【0036】
遠位プレート108は、中央開口(aperture)109を含んで、遠位プレート108が円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106に接続され得る。その場合に、遠位プレート108は、遠位プレート108の外径が、二つの部品間の強い接続(joint)を保証するように、第2の環状シース106の外径よりも小さくなるような寸法とされ得る。遠位プレートの外径はまた、遠位プレート108が誤って第1の環状シース104に結合されないように、第1の環状シース104の外径よりも大きくなっていても良い。また、遠位プレート10が誤って第1の環状シース104に結合されないように、中央開口109の直径である遠位プレート108の内径は第1の環状シース104の内径よりも小さくても良い。
【0037】
近位プレート110は、近位プレート110の外径が第1の環状シース102の外径よりも小さくて、2つの部品間の強い接続(strong joint)が形成されるような寸法とされ得る。遠位および近位プレート108、110は銅などの材料で構成されても良いが、高分子材料(polymer material)を使用することもできる。遠位プレート108は、エポキシ樹脂によって円筒状のワイヤ102と第2環状シース106に取り付けられても良い。しかし、他の取り付け手段、例えば、とう付けを採用することができる。近位プレート110は、同様に、第1の環状シース104に取り付けられ得る。
【0038】
追跡装置100は、ワイヤ120の近位端部においてワイヤ120に取り付けられたハンドル136によって「オン」および「オフ」配置間に操作され得る。ハンドル136を操作するkとによって、ワイヤ120は追跡装置100の長手方向の軸113に沿って移動され得る。ワイヤ120のこうした移動(translation)によって、第1の追跡部材と第2の追跡部材が、追跡装置100の「オン」および「オフ」配置(configuration)の2つの配置(arrangement)間で調整され得る。例えば、ワイヤ120の移動によって、第1の環状シース104が、円筒状のワイヤ102および第2の環状シース106に対して移動されるようになり得る一方で、追跡装置の別の配置では、ワイヤ120の移動によって、円筒状のワイヤ102および第2の環状シース106の一方又は両方が第1の環状シース104に対して移動されるようになり得る。
【0039】
一般的に、追跡装置100の所望の効果が、その他の部品に対して1以上の追跡部品を移動させることによって得られるということは、当業者に理解できるだろう。これらの部品は、全ての常磁性部品および全ての反磁性部品が互いに対して移動されるように、移動されるのが好ましい。かかる配置は、最大の効果を提供するが、MRIの磁場の測定可能な変化は、その他の部品に対する唯一の部品の移動によって得られる。
【0040】
磁化性(magnetically susceptible) 部品は、追跡装置100の遠位端部126から離れて近くに(proximally)退避して(retract)、その部品がハウジング112内にとどまるように設けられるのが好ましい。この配置は、追跡装置100の内部部品が患者から離れて維持されるようにするので、追跡装置100の内部部品に使用される材料に本体(body)が露出されることで起こり得る任意の毒性を回避するとともに、これらの部品の無菌性を維持できる。しかし、追跡装置100は、磁化性部品がハウジング112の先端における封入された間隙(enclosed void)内へ遠位に移動されるように設けられる。
【0041】
いくつかの配置(構成)では、ワイヤ120は、常磁性材料で構成されているか、又は、常磁性先端部分を含み、そして、円筒状のワイヤ102を置き換えることができる。こうした配置では、第1の環状シース104は、第1の環状シース104の遠位端部においてハウジング112の内部に取り付けられる。したがって、このような配置では、ワイヤ120と第2の環状シース106は、一緒に取り付けられて、ワイヤ120の移動が、同じく第2の環状シース106の移動をも生じさせる。の翻訳のワイヤ120の結果のように翻訳を結合することができる。例えば、ワイヤ120は、例えば、ワイヤ120および第2の環状シース106にろう付けされたワッシャーを介して第2の環状シース106に取り付けられる。
【0042】
図4B〜4Eに基づけば、断面において、ハウジング112と、任意の遠位および近位プレート108、100と、円筒状のワイヤ102と、第1および第2の環状シース104、106と、ワイヤ120と、を含む追跡装置100の部品は全て、実質的に同心であるとともに、共通の長手方向の軸に沿って整列されている。
【0043】
図5Aに基づけば、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、遠位プレート108によって互いに取り付けられ得る。遠位プレート108は、遠位プレート108の縁部(edge)が、ろう付けによって、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106の両方に取り付けられるように、環状ディスクのような形にしても良い。
【0044】
図5Bに基づけば、第1の環状シース104は近位プレート110によってワイヤ120に取り付けられる。第1の環状シース104は非金属材料で構成されているとき、第1の環状シース104とワイヤ120は、エポキシを使用して近位プレート110に取り付けられる。しかし、第1の環状シース104は金属材料で構成されているとき、第1の環状シース104およびワイヤ120を近位プレート110に取り付けるためにろう付けを用いることができる。
【0045】
カテーテルシステムに取り付けられた追跡装置100の別の実施形態(別の例示的な配置)を図6Aに示す。追跡装置100は、カテーテルコネクタ(catheter connector)128に取り付けられるカテーテルチューブ114に取り付けら得る。ワイヤ120は、カテーテルチューブ114およびカテーテルコネクト128を通して延設され、その近位端部129はワイヤホルダ130に取り付けられている。そのワイヤホルダは、ドライバー132(例えば、圧電モータ)に取り付けられる。MRI適合(compatible)圧電モータは、当該技術分野に知られている。例えば、M-PILine precision micro translation stage piezomotor (Physik Instrumente, GmbH & Co. KG; Karlsruhe, Germany) が用いられ、そして、0.1マイクロメートルの分解能(resolution)で数ミリメートルまでワイヤ120を移動させるようにプログラムされる。カテーテルコネクタは、ドライバーホルダ134に取り付けられ、そのドライバーホルダ134は、動作中にドライバー132を保持する。ドライバーホルダ134は、例えば、PVCで構成され得る。図2に示した追跡装置100の配置(構造)に似て、追跡装置100は、ワイヤ120を移動させるように動作され得るドライバー132によって、「オン」および「オフ」配置間に操作され得る。
【0046】
図4および図4Aに示された追跡装置100の配置は、3つの磁化性部品(102、104、106)を含むが、更なる同心円状に層状(layered)部品を追跡装置100に組み込んで、磁場内に追跡装置100によって生成された異なる局所磁場の構成を提供することは当業者に理解できるだろう。例えば、図7および7Aに基づけば、追跡装置100は、3以上、例えば、5個の磁化性部品を含むことができる。追跡装置100は、円筒状のワイヤ152を含むが、第1の環状シース154は円筒状のワイヤ152に対して移動自在に配置されている。この第1の環状シース154は第2の環状シース156内に移動可能に配置されるが、その第2の環状シース156は、順に、第3の環状シース158内に配置され、そして、第3の環状シース158は、順に、第4の環状シース内に配置され得る。一般的には、任意の数の交互の(alternating)磁化性の、同心円状の層状の部品が使用される。
【0047】
常磁性材料で構成された中心部品(central component)に奇数の部品が使用されるのが好ましいが、他の配置をも可能であることは当業者に理解できるだろう。例えば、偶数の部品(例えば、2つの部品)が使用される、そして、類似した磁化性を有する部品が互いに隣接され得る。また、中心部品は、常磁性材料で構成される必要はないが、反磁性材料、または磁気的中性材料で構成されても良い。図7Aおよび7Bに示されたつい追跡装置100の構成について、第1の追跡部材は、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156、および、第4の環状シース160で構成されるに対して、第2の追跡部材は、第1の環状シース154および第3の環状シース158で構成される。したがって、一般に、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156、および、第4の環状シース160は、常磁性材料で構成されるに対して、第1の環状シース154および第3の環状シース158は、反磁性材料で構成される。いくつかの構成では、追跡部材内で個々の部品を互いに対して(相対的に)移動させるのが有益であり得る。例えば、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156および第4の環状シース160は、それらが調和する(in unison)代わりに、互いに相対的に個別に移動できるように構成され得る。追跡装置100内に3つ以上の同心円状の部品が存在するときに、遠位プレート108及び基部プレート110は、類似する、又は、異なる磁化率を持つ部品を取り付けるために同様に用いられることは当業者に理解できるだろう。
【0048】
図8および図8Aに基づけば、一部の構成では、追跡装置100は、追跡装置100を通して追跡装置100の先端部124から近位に延設された中央内腔(central lumen)138を含む。たとえば、中央内腔138は、ハウジング112、遠位プレート108、円筒状のワイヤ102、近位プレート110、ワイヤ120、および、ハンドル136を通って延設されている。中央内腔138は、介入ツール140が、中央内腔138を通って提供されるような寸法となっている。例示的な介入ツールは、カテーテルガイドワイヤ、アブレーションプローブ、バルーンカテーテル、ステント、または針を含む。ガドリニウム(gadolinium)-DTPAまたはX線不透過性染料のような液体造影剤はまた、中央内腔140を通じて提供されて、追跡装置100の先端124を超えた組織および微小血管の可視化を助ける。
【0049】
磁化性部品(magnetically susceptible component)の材料および寸法は、例えば、まず、エヴァンスバランス(Evans balance)を使用して常磁性および反磁性材料の相対的な磁化率を測定することによって選択される。エヴァンスバランスからの読み取り値は、例えば、チタンについては953 + / -1 %であり、グラファイトについては-745 + / - 1%である。これらの測定パラメータは、その後、部品の端部が整列されるときに、追跡装置100の以外の(外側の)磁場を最小化する部品厚さを設計する最適化過程(optimization procedure)に使用され得る。
【0050】
静磁場シミュレーションが使用され、その磁場は最適化の反復(繰り返し)ごとに計算された部品を取り囲む。追跡装置100に隣接する関心領域内の点における磁場オフセットの絶対値の和であるコスト関数(cost function)は、この最適化時に使用される。例示的な関心領域の大きさは2ミリメートル×4.1ミリメートルであり得る。外側の常磁性層の直径は、3ミリメートルのような所定のサイズに固定され、ここで、その後の、最適化されるべきフリーパラメータ(free parameter)はその他の部品の外径である。コスト関数は、範囲を越えて体系的に計算され、コスト関数の最小値が検出される。図4に示したもののような、追跡装置100の3層構造について、例示的な外径組は次のとおりである:第2の環状シース106について3ミリメートル、第1の環状シース104について2.43ミリメートル、円筒状のワイヤ102について1.11ミリメートル。これらの直径は、上述の測定した磁気特性に固有のものであるが、同様の最適化の手順がその他の材料においても使用されて、異なる寸法(dimension)をもたらすことや、最適化は3層以上の装置に拡張できることは、当業者に理解できるだろう。
【0051】
前述のように、追跡装置100の一部を形成する第1および第2の追跡部材は、共通の軸の周りに配置された複数の同心の円筒状または環状の部品を含んでも良い。しかし、他の構成では、第1および第2の追跡部材は異なる構成(配置)で成形され、かつ、配置された部品を含んでも良い。例えば、図9Aおよび9Bによれば、第1および第2の追跡部材の代替構成(alternative configuration)が記載されている。このような追跡部材は、複数の環状ディスク174を形成するように配置された複数のラジアルセクター(radial sector)172として形成されている。環状ディスク174は、長手方向の軸176に沿って整列されて、環状構造178を形成する。好ましくは、各環状ディスク174は、第1の追跡部材にかかわる1以上のラジアルセクタ172と、第2の追跡部材にかかわる1以上の別のラジアルセクタ172と、を含む。一般的には、第1の追跡部材は、第1の磁化性を有するラジアルセクタ172で構成され、そして、第2の追跡部材は、第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有するラジアルセクタ172で構成されている。環状ディスク174のサブセットは、長手方向の軸176の周りに互いに対して回転されて、同様の磁化率を有するラジアルセクタ172は図9Aに示したもののような第1の配置、および、図9Bに示したもののような第2の配置を通して移動する(move through)。図9Aに示した第1の配置は「オフ」配置であるのに対して、図9Bに示した第2の配置は「オン」配置である。環状ディスク174は、例えば、ワイヤ120によって回転される。そのワイヤ120は、環状構造178内の開口(aperture)180を通して延設されつつも各環状リング174に係合する。この配置において、ワイヤ120は、組織に実質的に類似した磁化率を有する材料で構成されるのが望ましい。
【0052】
以上、追跡装置100の一般的な構造および様々なその例示的な配置について説明した。以下、追跡装置100の一般的な操作について説明する。例えば、追跡装置100は、装置の先端に追跡装置100を搭載した介入機器(interventional instrument)を用いて閉塞血管の横断又は交差(crossing)時に使用され得る。磁気共鳴画像は、閉塞遠位側(distal side)から、閉塞血管のトラックに沿って、閉塞近位側を通じて機器を押圧する(push)際に取得される。「オン」および「オフ」配置において追跡装置100を用いて交互に画像を取得することによって、機器のすぐそばにある(即ち、近接した)組織を描く磁気共鳴画像が、磁化率アーティファクト(artifact)の歪みなしで得られる間に、追跡装置100および機器の位置が正確に決定され得る。追跡装置100の正確な位置測定(値)は、追跡装置100の中間経路(immediate path)内にある閉塞血管のセクションの取得画像上に表示される。これは、装置が次の数ミリメートルの閉塞を交差(横断)し、その後、新しい場所の測定(値)、及び、相応する閉塞血管の最小限に歪んだ解剖学的画像(minimally distorted anatomical image)が得られる際に、予定通り進んでいるという確信を医者に与える。
【0053】
迅速かつ正確に追跡装置100の位置を測定するために、いくつかの異なるタイプの磁気共鳴画像を取得しても良い。例えば、公開された米国特許出願番号11/257、415号に記載された、いわゆる「ホワイトマーカー(white marker)」現象を採用することによって、単に追跡装置100のすぐ近くからの信号が受信され、かつ、その他の場所からの信号は非常に抑制された画像が得られる。したがって、追跡装置100の位置は、粗い空間分解能(coarse spatial resolution)を有する投影画像(projection image)から迅速に推定される。その後、より高い空間分解能による測定が行われて、FOV(field-of-view)を、投影画像から推定した体積(容積)に制限する(限る)。第2の取得(second acquisition)は、前述のホワイト−マーカー画像化(white-marker imaging)、従来の勾配エコーイメージング(gradient-echo imaging)、または、「オン」配置の装置の影響を受ける画像を生成する任意の適切な磁気共鳴イメージング方法によって行うことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、追跡装置100の位置を決定するために、2ステッププロセスが使用される。第1のステップでは、追跡装置100のおおよその位置が投影画像(projection image)から計算される。実質的に最大磁場乱れが生成される「オン」配置の装置では、追跡装置の位置を決定するのに前述のホワイトマーカー技術が使用され得る(正確さ:約プラス又はマイナス0.5センチメートル)。かかる方法は、ホワイトマーカー法によって得た画像における信号の最大値の位置を計算することを含む。第2のステップでは、2次元スライス(two-dimensional slice)は、前述のステップにて計算された位置に位置付けられ、そして、2次元画像は、例えば、スライス選択勾配エコーパルスシーケンス(slice-selective gradient echo pulse sequence) を用いて取得される。その後、得られた画像は、以下に説明する適合化アルゴリズム(fitting algorithm)に入力される。これらの2つのステップは、コンソール(console)上のオペレータ、又は、オペ室の医者に表示される位置を連続的に更新するために迅速に交互に起こり得る。
【0055】
追跡装置100の位置を正確に測定するために、画像化データ(imaging data)を、磁気共鳴画像上で追跡装置100の効果のモデルに数値的に適合させることができる。互いに相対的な常磁性および反磁性の部品の配置に関するパラメータは知られており、適合化(fitting)によって導き出す必要はない。したがって、適合されるべきパラメータは、追跡装置100の空間座標だけでなく、MRIシステムの主磁場に対する追跡装置100の(相対的な)向き(配向)である。
【0056】
2つの画像が数値適合(numerical fit)に使用される。 2つの画像は、「オン」配置の追跡装置100を示す画像と、「オフ」配置の追跡装置100を示す画像である。好ましくは、これらの画像は、実行可能な時間内に近接して得られた画像データから再構成される。これらの2つの画像間の位相差は、計算され、かつ、適合化プロセス(fitting process)に対する入力(値)として使用される。
【0057】
数値モデル適合化(numerical model fitting)は一般的に次の通り進む。主磁場に対する(相対的な)追跡装置の角度、及び、おおよその先端の位置は、適合化(fit)における出発点として入力される。MRIスキャンプロセスのシミュレーション(励起、勾配の適用、データ・サンプリング)は、均一な媒質(uniform medium)内で、「オン」及び「オフ」の両方の配置の装置から得た画像を計算するのに使用される。これら二つのシミュレーション画像(simulated image)間の位相差が計算される、その後、コスト関数は、追跡装置100の現在位置、又は、初期位置に対して計算される。いくつかの実施形態では、このコスト関数は、実際とシミュレートされた位相差画像間の差異の二乗の和を含む。その後、そのプロセスは、最適化解法(optimization solver)によって繰り返され、コスト関数の最小値が見つかるまで、位置の列(即ち、並んだ位置)についてコスト関数が計算される。この最小値に対応する位置が同定され(確認され)、計算位置として格納(記憶)される。
【0058】
装置の先端の位置を正確に計算するためには、MRIシステムの主磁場に対する(相対的な)装置の向き(配向)に関する情報を有するのが有用である。追跡装置100が「オン」の位置にあるとき、信号乱れの2つの領域が生成される。その一つの領域は、追跡装置の追跡装置の遠位端に、そして、もう一つの領域は追跡装置の近位端に存在する。信号乱れのこれらの領域は、MRIシステムで生成される画像において現われ、そして、これらの乱れ間の角度は、主磁場に対する(相対的な)装置の角度の推定値(estimate)として使用することができる。この配向(向き)の情報は、追跡装置100の位置を計算するのに使用される適合化アルゴリズムに対する入力(値)として使用することができる。
【0059】
迅速に連続した「オン」及び「オフ」配置の両方にある追跡装置100を使用して画像を取得するために、前述したドライバー132のようなアクチュエータは、オン及びオフ配置間に追跡装置100を迅速、かつ正確に作動させるために使用され得る。いくつかの実施形態において、このアクチュエータは、第1の画像が得られた後、追跡装置100が最小の時間間隔、例えば、20ミリセカンドで「オン」配置から「オフ」配置に作動されるように、MRIシステムと同期され得る。この同期化は、パルスシーケンスの各反復の開始時にMRIシステムによって提供されるトランジスタ-トランジスタロジック(TTL)パルスによってアクチュエータをトリガすることによって達成することができる。前述のように、ドライバー132は、追跡装置100を操作するのに使用される必要はなく、それよりも、追跡装置100の手動操作も同様に行うことができる。
【0060】
オン及びオフ位置の追跡装置100の常磁性及び反磁性部品を用いて画像を交互に取得することによって、追跡装置100の位置を正確に決定することができる。一方で、追跡装置のすぐ前に存在する組織及び追跡装置を囲んでいる組織を示す磁気共鳴画像は、最小限の歪みで取得することができる。これらの正確な追跡装置の位置測定は、必要に応じて、装置の直近の経路にある閉塞血管などの関心領域のMR画像上に重ね合わせられ得る(かぶせられる)。これは、装置が、次の数ミリメートルの閉塞血管の横断又は交差(occlusion crossing)中にあるとの信頼ないし確信を臨床医に与える。その後、新たしい先端の位置測定、および、歪みの最小化された、相応する閉塞血管の解剖学的画像を取得することができる。
【0061】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態に関して記載されており、多くの均等物、代替物、変更等は、本発明の範囲内にあると解すべきである。
【符号の説明】
【0062】
100 追跡装置
102 円筒状のワイヤ
104 第1の環状シース
106 第2の環状シース
108 遠位プレート
110 近位プレート
112 ハウジング
114 カテーテルチューブ
116 遠位端部
118 近位端部
120 ワイヤ
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年12月22日付けで提出された米国仮出願第61/289,271号(発明の名称:機械的に制御された磁化率効果を備えた非観血的MRI装置追跡用のシステム及び方法)の利益を享受する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、磁気共鳴画像(MRI;magnetic resonance imaging)システム及び方法に関する。より詳細に、本発明は、測定可能な磁化率(susceptibility)効果を誘導するために動作し得る介入装置(interventional device)を追跡するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
MRIガイダンスを使用した、ガイドワイヤ(guidewire)及びステント(stent)のような介入装置(interventional device)の配置は望ましく、大きな臨床的可能性を秘めた分野である。しかしながら、この分野における特定のチャレンジは、それらが血管又は臓器内において移動し、かつ、操作されるときに、かかる装置を追跡する安全かつ信頼できる方法をどうやって開発していくのかというものであった。ガイドワイヤの先端は、その先端に小さな放射線不透過性マーカー(radio-opaque marker)を適用することで、従来のX線透視(x-ray fluoroscopy)を用いて可視化することができる。MRIにおいて、放射線不透過性マーカーのアナログ(analog)は、ニチノールワイヤ(nitinol wire)上にステンレス製の先端のような、周囲の組織に対する、十分に大きな磁化率(magnetic suceptibility)を持つ材料で作られたマーカーである。そのようなマーカーを含むガイドワイヤーを描いたMR画像では、マーカーに隣接した組織中に部分的な低信号領域(local hypointense region)が存在し、それによって、臨床的に関連情報が失われる。この種の典型的なMR可視介入装置は、例えば、米国特許第5728079号、第6430429号などに記載されている。
【0004】
米国特許第5728079号に記載され介入装置は、中空の管状のホルダーを備えたカテーテル(catheter)であり、ここのインジケータ要素(indicator element)は、常磁性材料(paramagnetic material)の同心層(concentric layer)を含む。同心円状の常磁性層は、その長手方向の軸がホルダーの長手方向の軸と一致する円筒状のシース(cylindrical sheath)の形態で設けられる。常磁性材料(paramagnetic material)は、MRIシステムによって検査される患者の磁気共鳴画像に影響を与える。MR画像に対する装置が持つ影響によって、その装置が直接見えなくても、患者の身体内に介入装置の位置を決定することができる。しかし、MR画像上の装置の常磁性成分の影響が、磁気共鳴画像の診断性能(diagnostic quality)に悪影響を与える。インジケータ要素の影響の結果として、MR画像は、インジケータ要素に隣接する地域で低下または失われた解剖学的詳細(anatomical details)を示す。
【0005】
米国特許第6430429号に記載され介入楽器は、特にMRIシステムの定常磁場(steady magnetic field)の方向に対するインジケータ要素の回転によって、磁気共鳴画像の影響の度合いを調整可能にするインジケータ要素を含む。例えば、インジケータ要素は、異なる磁化率のいくつかのセグメントを含み得る常磁性ストリップ(paramagnetic strip)である。常磁性成分が米国特許第6430429号に記載されただけである。したがって、磁気共鳴画像上のこの装置の影響はMRIシステムの磁界に対する装置の配向(向き)に依存する。しかしながら、装置の影響のこうした調整機能は限られていて、MR画像上の装置のの影響度を低減することはできるものの、それを排除することができず、この減少された影響においても信号の損失が依然として生じる。
【0006】
MR画像において用意に配置することができ、そして、比較的安価で、安全ではあるものの、前述の介入装置は、順番に、関心の所望の領域(装置の先端に隣接した組織)を不明確にする(又は、暗くする)インジケータ要素の近傍における信号の損失をもたらす。したがって、前述した装置の先端の位置を容易に識別することができても、装置が移動される組織の性質は、装置の可視化を可能にする同様の効果によって分かりにくくなる。
【0007】
それゆえ、信号損失を軽減することによって、装置に隣接した組織の可視化を可能にしながら正確にMR画像に配置され得る介入装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MRIによって撮像され得る追跡装置を提供することで前述の問題を克服する。追跡装置は、一般的に、異なる磁化率を有する2以上の追跡部材を含む。その追跡装置は、磁場(たとえば、MRIシステムの磁場)が追跡装置に適用されたときに追跡装置の外部の局所磁場を生成する第1の配置と、前記追跡装置の外部の局所磁場が前記第1の配置に対して減少された第2の配置との間で調整され得る。これらの配置は、一般的に、それぞれ「オン」および「オフ」配置と呼ばれる。追跡装置は、MRIシステムの磁場に対する追跡装置の配向とは関係なく、「オン」配置では測定可能な局所磁場を生成し、かつ、「オフ」配置では減少された局所磁場を生成するように作動する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、介入医療装置に取り付けられて、MRIシステムを使用する介入医療処置の際に前記介入医療装置の位置を追跡するための追跡装置を提供することである。その追跡装置は、第1の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第1の追跡部材と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第2の追跡部材と、を有する。前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上が、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材の他方に対して調整されて、第1の配列と第2の配列間に前記追跡装置を調整する。前記第1の磁化率及び前記第2の磁化率が、前記追跡装置がMRIシステムの磁場内に配置されているとき、(i)前記追跡装置が、前記第1の配列に配置されたときに、前記MRIシステムによって測定可能な局所磁場を生成し、そして、(ii)前記追跡装置が前記第2の配列に配置されているときに、前記第1の配列にある前記追跡装置によって生成された前記局所磁場に対して減少された局所磁場を生成するように、選択される。したがって、第1の配置において、追跡装置は、MRIシステムで測定可能な磁場乱れを生じさせるに対して、第2の配置において、MRIシステムで検出できる追跡装置からの磁場乱れは、実質的に抑制される。
【0010】
本発明の第2の特徴は、追跡装置を備えた、MRIシステムに使用されるカテーテル装置を提供することである。追跡装置は、第1の磁化率を有する第1の環状部品と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する第2の環状部品を含む。ワイヤは、前記追跡装置に取り付けられ、かつ、追跡装置に取り付けられたカテーテルチューブを通じて追跡装置から延設されている。ワイヤは、動作時に前記第1の環状部品および前記第2の環状部品のうち1以上が、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品の他方に対して移動されて、前記追跡装置がMRIシステムの磁場に配置されたときに、前記追跡装置によって生成された局所磁場を変えるように設けられている。そのカテーテル装置は、ワイヤを作動させるようにワイヤに取り付けられたドライバーを含んでも良い。ドライバーは、MRIシステムによって行われるパルスシーケンスと同期して前記ドライバーを動作させるプロセッサに通じるようになっていても良い。
【0011】
本発明の第3の特徴として、互いに対して移動自在に係合された反対の磁化率を有する複数の部品を備えた追跡装置を含む介入機器およびMRIシステムを使用して介入処置をモニターする方法が提供される。その方法は、前記複数の部品を、追跡装置によって生成された局所磁場が前記MRIシステムによって測定できる第1の配置に配置するように前記追跡装置を操作するステップと、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が前記MRIシステムによって測定可能な間に、前記MRIシステムを使用して、前記介入機器が導入された患者の第1の画像セットを取得するステップ(これらの画像が得られると、追跡装置によって生成された磁場乱れは実質的に抑制される)と、前記複数の部品を、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、前記複数の部品が前記第1の位置に配置されたときよりも減少される第2の配置に配置するように前記追跡装置を操作するステップと、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が減少される間に、前記MRIシステムを使用して、前記患者の第2の画像セットを取得するステップと、前記患者の前記第1のおよび第2の画像セットを使用して、前記介入機器の位置を決定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、信号損失を軽減することによって、装置に隣接した組織の可視化を可能にしながらもMR画像内に正確に配置され得る介入装置を提供できる。特に、追跡装置は、MRIシステムの磁場に対する追跡装置の配向とは関係なく、「オン」配置では測定可能な局所磁場を生成し、かつ、「オフ」配置では減少された局所磁場を生成することができる。
【0013】
前述した特徴及び利点は、次の詳細な説明から明らかになるだろう。この明細書において、符号は、その一部を形成する図面に基づいて付され、本発明の好ましい実施例を表すために示される。こうした実施形態は、本発明の範囲を表すものではなく、特許請求の範囲によって発明の範囲が定まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の追跡装置用の例示的な磁気共鳴画像システムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を用いる例示的なカテーテルシステムの平面図である。
【図3】図3は、図2のカテーテル装置の一部を形成する例示的な追跡装置の斜視図である。
【図4】図4は、図2の追跡装置の一部の立面図(正面図)である。
【図4A】図4Aは、線4A−4Aに沿った図4の追跡装置の部分断面図である。
【図4B】図4Bは、線4B-4Bに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4C】図4Cは、線4C-4Cに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4D】図4Dは、線4D-4Bに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図4E】図4Eは、線4E-4Eに沿った図4の追跡装置の断面図である。
【図5A】図5Aは、図3の追跡装置の常磁性(paramagnetic)及び反磁性(diamagnetic)部品の斜視図である。ここで、2つの部品は遠位プレート(distal plate)によって結合している。
【図5B】図5Bは、図3のカテーテル追跡装置の常磁性と反磁性部品の斜視図である。ここで、部品の一つのワイヤへの結合は近位プレート(proximal plate)によってされている。
【図6A】図6Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を採用した、ドライバーを含む、別の例示的なカテーテル装置の平面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの例示的なカテーテル装置の斜視図である。
【図7】図7は、図2のカテーテル装置の一部を形成する例示的な追跡装置の別の構成の斜視図である。ここで、追跡装置は、図示のため、部分的に撤回される5つの同心円状の層状をなす部品(concentrically layered component)を含む。
【図7A】図7Aは、線7A-7Aに沿った図7の追跡装置の断面図である。
【図8】図8は、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置を採用した別の例示的なカテーテルシステムの平面図である。ここで、追跡装置は、介入装置又は造影剤が通過され得る中央のルーメン(central lumen)を含む。
【図8A】図8Aは、線8A-8Aに沿った図8の追跡装置の断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る追跡装置の構造の斜視図である。ここで、追跡装置は、複数のラジアルセクタ(radial sector)からなる2つの追跡部材を含む。
【図9B】図9Bは、追跡装置が「オフ」のときの図9Aの追跡装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、磁気共鳴イメージング( "MRI")システムを利用した医療処置の際に介入装置を追跡するための追跡装置100が示されている。一般的には、追跡装置100は、異なる磁化率(magnetic susceptibilities)を有する2以上の追跡部材(tracking member)を含む。以下に詳細に記載されるように、各追跡部材は類似した磁化率を有する1以上の部品を有してもよく、そして、別の追跡部材は、一般的に、異なる磁化率を有する。その部品は、後述するように、同心円状の円筒状、および、環状の部品、ラジアルセクター(radial sector)、環状のディスク、または他のそのような形状を含んでも良い。追跡部材は、MRIシステムの磁場のような、印加磁場の存在下で装置の外部の局所磁場を生成する第1の配置(configuration)と、装置の外部に生成された局所磁場が第1の配置に対して減少された第2の配置(configuration)との間に調整することができる。これらの配置は、それぞれ 「オン」および「オフ」配置とも呼ばれる。追跡装置は、MRIシステムの磁界に対する追跡装置の(相対的)向き(orientation)に関係なく、測定可能な局所磁場を生成するように作動する。
【0016】
常磁性材料のような正の磁化率を有する材料は、印加磁場に露出されたときに、磁化される。ここで、その磁化のベクトル方向は、印加磁場と同じ方向である。 対照的に、反磁性(diamagnetic)材料のような負の磁化率を持つ材料は、印加磁場と反対方向への磁化のベクトル方向に磁化される。追跡装置100を用いて、反対する磁化率の部品からの磁場は、互いに有意に反対して、追跡装置が「オフ配置」にあるときに、追跡装置によって生じる全般的な局所磁場を減少させ、それにより、追跡装置100からの信号損失を最小化した磁気共鳴画像の取得を可能にする。その部品の相対的な間隔(spacing)の結果は、その装置がオフ位置にあるときよりもオン位置にあるときに、より大きい磁場の乱れ(magnetic field disturbance)が生じる。それによって、MRIシステムで取得された画像において追跡装置を可視化する。
【0017】
図1には、カテーテル追跡装置100の位置を決定および画像化する(撮像する)例示的MRIシステム200が示されている。MRIシステム200は、ディスプレイ204とキーボード206を備えたワークステーション202を含む。ワークステーション202は、市販のオペレーティングシステム(operating system)を実行する市販のプログラマブルマシン(programmable machine)のようなプロセッサ208を含む。ワークステーション202は、スキャン処方箋(scan prescription)がMRIシステム200内に入られるようにするオペレータ・インタフェースを提供する。ワークステーション202は、4つのサーバ:パルスシーケンスサーバ(pulse sequence server)210、データ収集サーバ(data acquisition server)212、データ処理サーバ(data processing server)214、データ保存サーバ(data store server)216に結合している。ワークステーション202と、各サーバ210、212、214、216とは、互いに連絡する(communicate with)ように接続されている。
【0018】
パルスシーケンスサーバ210は、勾配システム(gradient system)218と高周波( "RF")システム220を動作させるワークステーション202からダウンロードされた命令に応答して機能する。所定のスキャンを実行するために必要な勾配波形(gradient waveform)が生成され、勾配システム218に適用される。この勾配システム218は、アセンブリ222における勾配コイルを励起させて、MR信号の位置コード化に使用される磁場勾配Gx、Gv、および、G2を生成する。勾配アセンブリ222は、偏光磁石226及び全身用RFコイル228を含む磁石アセンブリ224の一部を形成する。
【0019】
所定の磁気共鳴パルスシーケンスを実施するRFシステム220によって、RF励起波形がRFコイル228、又は、別の局所コイル(local coil)(図1に図示せず)に適用される。RFコイル228、または別の局所コイル(図1には図示せず)によって検出された応答MR信号は、RFシステム220によって受信され、パルスシーケンスサーバ210によって生成されたコマンドの指示下で増幅され、復調され(demodulated)、フィルターされ(filtered)、かつ、デジタル化される。RFシステム220は、MRパルスシーケンスで使用される様々なRFパルスを生成するRF送信機(transmitter)を含む。RF送信機は、パルスシーケンスサーバ210からのスキャン処方箋(scan prescription)および指示(direction)に応答して、所定の周波数、位相、およびパルス振幅波形のRFパルスを生成する。生成されたRFパルスは、全身RFコイル228、又は、1以上の局所コイルまたはコイルアレイ(図1には図示せず)に適用され得る。RFシステム220はまた、1以上のRF受信機チャンネルを含む。各RF受信機チャンネルは、それが接続されたコイル22によって受信したMR信号を増幅するRF増幅器と、受信したMR信号のIおよびQ直交成分(quadrature component)を検出し、デジタル化する検出器と、を含む。したがって、受信したMR信号の大きさ(magnitude)は、IおよびQ成分の二乗和の平方根(数1)によって、任意のサンプルされた点において決定することができ、そして、受信したMR信号の位相は次のように決定することができる(数2)。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
パルスシーケンスサーバは、必要に応じて、生理的取得コントローラ230からの患者データを受け取る。コントローラ230は、ベローズまたは他の呼吸器の監視装置からの呼吸信号又は電極からの心電図( "ECG")信号のような、患者に接続された様々な異なるセンサーの数から信号を受信する。このような信号は、通常、パルスシーケンスサーバ210によって使用されて、スキャンの性能を被験者の心拍、又は、呼吸に同期するか(synchronize)、又は、ゲート(gate)する。
【0023】
パルスシーケンスサーバ210はまた、患者および磁石システム(magnet system)の条件に関連付けられた各種センサーから信号を受信する走査室インターフェース回路(scan room interface circuit)232に接続する。走査室インターフェース回路232を通して、患者位置決めシステム234はスキャン中に所望の位置に患者を移動するコマンドを受信する。走査室インタフェース回路232はまた、追跡装置100と連絡して、「オン」と「オフ」配置間において追跡装置100を直接に操作する。たとえば、追跡装置100は、パルスシーケンスの繰り返し時間(TR)と同期して動作するようにプログラムすることができ、それによって、その「オン」と「オフ」の両方の配置において追跡装置100のデータ収集を提供する。
【0024】
RFシステム220によって生成されるデジタル化MR信号サンプルは、データ収集サーバ212によって受信される。データ収集サーバ212は、ワークステーション220からダウンロードされた指示に応答して動作して、データオーバーラン(data overrun)によりデータが失われないように、リアルタイムMRデータを受信するとともに、バッファー記憶装置(buffer storage)を提供する。いくつかのスキャンでは、データ収集サーバ212は、データ処理サーバ214に取得されたMRデータを渡す役割をするに過ぎない。しかし、スキャンの更なる性能を制御するために取得されたMRデータに由来する情報を必要とするスキャンにおいて、データ収集サーバ212は、このような情報を生成し、パルスシーケンスサーバ210にそれ(情報)を伝えるようにプログラムされる。たとえば、予備スキャン(prescan)の際に、MRデータは、取得され、かつ、パスシーケンスサーバ210によって実行されるパルスシーケンスを較正するために使用される。また、ナビゲータ(navigator)信号は、スキャン中に取得され、そして、RFシステム220または勾配システム218の動作パラメータ(operating parameter)を調整(制御)するために、又は、k空間がサンプリングされるビューの順序(view order)を制御するために使用される。データ収集サーバ212はまた、磁気共鳴血管造影( "MRA")スキャンにおいて造影剤の到着を検出するために使用されるMR信号を処理するのに用いられる場合もある。これらすべての例において、データ収集サーバ212は、MRデータを取得するとともに、リアルタイムでそれを処理して、スキャンを制御するために使用される情報を生成する。
【0025】
データ処理サーバ214は、データ収集サーバ212からMRデータを受信し、ワークステーション202からダウンロードされた指示に基づいてそれを処理する。このような処理は、例えば、未処理(raw)のk空間MRデータをフーリエ変化して、2次元または3次元画像を生成すること、再構成画像(reconstructed image)にフィルタを適用すること、取得したMRデータの逆投影画像再構成(backprojection image reconstruction)の実行、機能的なMR画像(functional MR image)の生成、および、動き(m,otion)又は流れ(flow)画像の計算を含んでも良い。
【0026】
データ処理サーバ214によって再構成された画像は、それらが記憶(格納)あされるワークステーション202に戻される。リアルタイムの画像は、データベースメモリキャッシュ(cache)(図1に図示せず)に格納(保存)される。このデータベースメモリキャッシュから、リアルタイム画像は、関与する医者による使用のために磁石アセンブリ224の近くに配置されたディスプレイ236又はオペレータディスプレイ212のほうに出力され得る。バッチモード画像(batch mode image)または選択されたリアルタイム画像は、ディスク記憶装置238上のホスト・データベースに格納される。このような画像が再構成され、記憶装置に転送されたとき、データ処理サーバ214は、ワークステーション202上のデータ保存サーバ(data store server)216に通知する。ワークステーション202は、オペレータによって使用されて、画像をアーカイブに保存し、フィルムを生成し、又は、ネットワークを通じてその他の施設(設備)へ画像を送る。
【0027】
追跡装置100による磁気共鳴画像に対する影響が追跡装置100の追跡部材(追跡部材は、常磁性と反磁性成分を含む。)の相対的な移動によって調整可能であるため、 追跡装置100の影響を受けるMR画像を取得し得る。これらの画像上の追跡装置100の影響は、追跡装置100の位置が正確に決定することができるように可視化、かつ、測定され得る。また、追跡装置100は、「オン」配置と「オフ」配置間において転換され得る。ここで、「オン」配置では、追跡装置100は有意な磁化率アーチファクト(artifact)を生成して、追跡装置100の位置が測定(決定)できるようにするが、隣接組織からの信号は変形される。また、「オフ」配置では、追跡装置100は可視可能ではなく、隣接組織からの信号の変形は軽微であり、そして、追跡装置100が患者内に配置されている間、患者の臨床的に有用な画像が得られる。例えば、追跡部材の相対的な配置を調整して、第2の配置と第1の配置間に追跡装置を調整することによって、MR画像に対する追跡装置100の影響は減少され、それにより、追跡装置100からの磁気磁化率アーチファクトに基づいて、追跡装置100に隣接した組織における信号損失は実質的に抑制される。各追跡部材は、複数の成分を含んでも良く、そして、追跡装置が第1の配置と第2の配置間で調整されるときに、これらの各成分は、独立して、又は、組み合わせて調整され得る。
【0028】
本発明の追跡装置100は、通常、第1の(磁気)磁化率を有する第1の追跡部材、および、互いに対して第2の(磁気)磁化率を有する第2の追跡部材の一つを調整することによって、追跡装置の配置を調整することによって動作する。これらの第1および第2の追跡部材の異種(磁気)磁化率のために、印加磁場の存在下で追跡装置100によって生成された局所磁場は、第1および第2の追跡部材が第1の配置ある測定可能状態(measurable state)から第1および第2の追跡部材が第2の配置にある最小限の状態(minimal state)まで変わり得る。最小限の状態において、第1および第2の追跡部材によって生成された局所磁場は実施的に互いに相殺するに対して、測定可能状態において第1および第2の追跡部材によって生成された局所磁場は互いに相殺しないため、MRIシステムで測定可能な磁場乱れ(magnetic field disturbance)を生成する。一般的に、この第2の配置は、「オフ」配置と呼ばれ、そして、第1の配置は、「オン」配置と呼ばれる。印加磁場に応答して追跡装置100によって生成された局所磁場が有意に非ゼロであるとき、例えば、追跡装置100は「オン」配置にあるとき、追跡装置100の位置は、インビボでMRIシステムによって測定され、又は、確認(同定)され得る。
【0029】
跡装置100の例示的な配置(カテーテルに取り付けられたもの)が図2および3に示されている。この例示的な構成は、カテーテルシステムの追跡について記載されているが、当業者は、追跡装置100が同様に、生検針(biopsy needle)およびアブレーションプローブ(ablation probe)(熱焼灼や凍結外科療法に使用されるものなど)のようなその他の介入装置に接続され得ることを理解するだろう。追跡装置100は、第1の環状シース(sheath)104がそれに対して移動自在に配置されている円筒状のワイヤ102を含む。第2の環状シース106は、第1の環状シース104に対して移動自在に配置されている。遠位プレート(distal plate)108は、円筒状のワイヤ102の一端において円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106に取り付けられ、そして、近位プレート(proximal plate)110は、円筒状のワイヤ102の他端において第1の環状シース104に取り付けられている。
【0030】
円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、チタンなどの常磁性材料で構成されているが、当業者は、その他の適切な常磁性材料を使用することができるのを理解できるだろう。円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、好ましくは同じ磁化率を有する材料で構成されていますが、いくつかの構成では円筒状のワイヤ102と第2のカテーテルシース106の磁化率が異なっても良い。第1の環状シース104は、グラファイト(黒鉛)のような反磁性材料で構成されているが、当業者は、他の適切な反磁性材料(例えば、ビスマス)をも使用できるのを理解できるだろう。一般的に、常磁性材料が、反磁性材料のような実質的に等しいが反対の磁化率を有するのが好ましいが、この状態は追跡装置100の適切な操作に必須ではない。円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は、カテーテルで使用できる従順属性(amenable attribute)である、柔軟性がとれるような寸法にされ得る。
【0031】
したがって、一般的には、追跡装置100は、常磁性材料で構成された第1の追跡部材と、反磁性材料で構成された第2の追跡部材を含む。図3および図4に示された追跡装置100の配置(構成)では、第2の追跡部材は第1の環状シース104で構成されているのに対し、第1の最初に追跡部材は、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106で構成されている。常磁性および反磁性材料で構成された部品を含む追跡装置100は、X線イメージングによって現れる(visible)と当業者は理解できるだろう。したがって、追跡装置は、X線蛍光透視法およびX線コンピュータ単層撮影のようなX線イメージングを必要とするか、又は、その利用が利益をもたらす介入過程(手続)に有益であり得る。
【0032】
円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は、生体適合性ポリマーまたは医療グレードのポリ塩化ビニル(PVC)などの生体適合性材料で構成されたハウジング112内に配置される。ハウジング112は、これらの要素が共通の長手方向の軸113に沿って互いに相対移動を可能にしつつも、円筒状のワイヤ102、第1の環状シース104と、第2の環状シース106を保持するように設計された構造を形成する。ハウジング112は、追跡装置部品用の無菌操作環境を提供するように設けられている。
【0033】
カテーテルチューブ114は、その遠位端部116からその近位端部118に向かってその近位に延設され、そして、その遠位端部116においてその追跡装置100のハウジング112に取り付けられている。追跡装置100は、カテーテルチューブ114の近位端118に向かってハウジング112の内腔(lumen)122を介して追跡装置100から離れて延設されたワイヤ120に取り付けられている。ワイヤ120は、銅またはポリマーなどの組織に似た磁化率を有する材料で構成されても良い。先端124は、ハウジング112の遠位端部126に形成されている。先端124は、使用時に血管壁に損傷を与えないように丸い形をしているが、それ以外の形をしていても良い。
【0034】
上述のように、いくつかの配置(構成)では、追跡装置100は、それがカテーテルに取り付けられるような寸法にされ得る。たとえば、追跡装置100は、特定の臨床適用に応じて、2つのフレンチ(two French)又はそれより大きい寸法(サイズ)にされるが、適切な製造では、追跡装置は、2つのフレンチよりもさらに小さい寸法にされ得る。
【0035】
図4および4Aに基づけば、円筒状のワイヤ102と、第1の環状シース104と、第2の環状シース106は実質的に類似した長さを持っており、それらの相対的厚さは、追跡装置100が磁場(例えば、MRIシステムの主磁場)内に配置されたときに、それぞれの部品によって生成された局所磁場が実質的に互いに相殺して、実質的に抑制された磁場乱れ(suppressed magnetic field disturbance)を有する追跡装置100を生じさせるような寸法とされる。
【0036】
遠位プレート108は、中央開口(aperture)109を含んで、遠位プレート108が円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106に接続され得る。その場合に、遠位プレート108は、遠位プレート108の外径が、二つの部品間の強い接続(joint)を保証するように、第2の環状シース106の外径よりも小さくなるような寸法とされ得る。遠位プレートの外径はまた、遠位プレート108が誤って第1の環状シース104に結合されないように、第1の環状シース104の外径よりも大きくなっていても良い。また、遠位プレート10が誤って第1の環状シース104に結合されないように、中央開口109の直径である遠位プレート108の内径は第1の環状シース104の内径よりも小さくても良い。
【0037】
近位プレート110は、近位プレート110の外径が第1の環状シース102の外径よりも小さくて、2つの部品間の強い接続(strong joint)が形成されるような寸法とされ得る。遠位および近位プレート108、110は銅などの材料で構成されても良いが、高分子材料(polymer material)を使用することもできる。遠位プレート108は、エポキシ樹脂によって円筒状のワイヤ102と第2環状シース106に取り付けられても良い。しかし、他の取り付け手段、例えば、とう付けを採用することができる。近位プレート110は、同様に、第1の環状シース104に取り付けられ得る。
【0038】
追跡装置100は、ワイヤ120の近位端部においてワイヤ120に取り付けられたハンドル136によって「オン」および「オフ」配置間に操作され得る。ハンドル136を操作するkとによって、ワイヤ120は追跡装置100の長手方向の軸113に沿って移動され得る。ワイヤ120のこうした移動(translation)によって、第1の追跡部材と第2の追跡部材が、追跡装置100の「オン」および「オフ」配置(configuration)の2つの配置(arrangement)間で調整され得る。例えば、ワイヤ120の移動によって、第1の環状シース104が、円筒状のワイヤ102および第2の環状シース106に対して移動されるようになり得る一方で、追跡装置の別の配置では、ワイヤ120の移動によって、円筒状のワイヤ102および第2の環状シース106の一方又は両方が第1の環状シース104に対して移動されるようになり得る。
【0039】
一般的に、追跡装置100の所望の効果が、その他の部品に対して1以上の追跡部品を移動させることによって得られるということは、当業者に理解できるだろう。これらの部品は、全ての常磁性部品および全ての反磁性部品が互いに対して移動されるように、移動されるのが好ましい。かかる配置は、最大の効果を提供するが、MRIの磁場の測定可能な変化は、その他の部品に対する唯一の部品の移動によって得られる。
【0040】
磁化性(magnetically susceptible) 部品は、追跡装置100の遠位端部126から離れて近くに(proximally)退避して(retract)、その部品がハウジング112内にとどまるように設けられるのが好ましい。この配置は、追跡装置100の内部部品が患者から離れて維持されるようにするので、追跡装置100の内部部品に使用される材料に本体(body)が露出されることで起こり得る任意の毒性を回避するとともに、これらの部品の無菌性を維持できる。しかし、追跡装置100は、磁化性部品がハウジング112の先端における封入された間隙(enclosed void)内へ遠位に移動されるように設けられる。
【0041】
いくつかの配置(構成)では、ワイヤ120は、常磁性材料で構成されているか、又は、常磁性先端部分を含み、そして、円筒状のワイヤ102を置き換えることができる。こうした配置では、第1の環状シース104は、第1の環状シース104の遠位端部においてハウジング112の内部に取り付けられる。したがって、このような配置では、ワイヤ120と第2の環状シース106は、一緒に取り付けられて、ワイヤ120の移動が、同じく第2の環状シース106の移動をも生じさせる。の翻訳のワイヤ120の結果のように翻訳を結合することができる。例えば、ワイヤ120は、例えば、ワイヤ120および第2の環状シース106にろう付けされたワッシャーを介して第2の環状シース106に取り付けられる。
【0042】
図4B〜4Eに基づけば、断面において、ハウジング112と、任意の遠位および近位プレート108、100と、円筒状のワイヤ102と、第1および第2の環状シース104、106と、ワイヤ120と、を含む追跡装置100の部品は全て、実質的に同心であるとともに、共通の長手方向の軸に沿って整列されている。
【0043】
図5Aに基づけば、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106は、遠位プレート108によって互いに取り付けられ得る。遠位プレート108は、遠位プレート108の縁部(edge)が、ろう付けによって、円筒状のワイヤ102と第2の環状シース106の両方に取り付けられるように、環状ディスクのような形にしても良い。
【0044】
図5Bに基づけば、第1の環状シース104は近位プレート110によってワイヤ120に取り付けられる。第1の環状シース104は非金属材料で構成されているとき、第1の環状シース104とワイヤ120は、エポキシを使用して近位プレート110に取り付けられる。しかし、第1の環状シース104は金属材料で構成されているとき、第1の環状シース104およびワイヤ120を近位プレート110に取り付けるためにろう付けを用いることができる。
【0045】
カテーテルシステムに取り付けられた追跡装置100の別の実施形態(別の例示的な配置)を図6Aに示す。追跡装置100は、カテーテルコネクタ(catheter connector)128に取り付けられるカテーテルチューブ114に取り付けら得る。ワイヤ120は、カテーテルチューブ114およびカテーテルコネクト128を通して延設され、その近位端部129はワイヤホルダ130に取り付けられている。そのワイヤホルダは、ドライバー132(例えば、圧電モータ)に取り付けられる。MRI適合(compatible)圧電モータは、当該技術分野に知られている。例えば、M-PILine precision micro translation stage piezomotor (Physik Instrumente, GmbH & Co. KG; Karlsruhe, Germany) が用いられ、そして、0.1マイクロメートルの分解能(resolution)で数ミリメートルまでワイヤ120を移動させるようにプログラムされる。カテーテルコネクタは、ドライバーホルダ134に取り付けられ、そのドライバーホルダ134は、動作中にドライバー132を保持する。ドライバーホルダ134は、例えば、PVCで構成され得る。図2に示した追跡装置100の配置(構造)に似て、追跡装置100は、ワイヤ120を移動させるように動作され得るドライバー132によって、「オン」および「オフ」配置間に操作され得る。
【0046】
図4および図4Aに示された追跡装置100の配置は、3つの磁化性部品(102、104、106)を含むが、更なる同心円状に層状(layered)部品を追跡装置100に組み込んで、磁場内に追跡装置100によって生成された異なる局所磁場の構成を提供することは当業者に理解できるだろう。例えば、図7および7Aに基づけば、追跡装置100は、3以上、例えば、5個の磁化性部品を含むことができる。追跡装置100は、円筒状のワイヤ152を含むが、第1の環状シース154は円筒状のワイヤ152に対して移動自在に配置されている。この第1の環状シース154は第2の環状シース156内に移動可能に配置されるが、その第2の環状シース156は、順に、第3の環状シース158内に配置され、そして、第3の環状シース158は、順に、第4の環状シース内に配置され得る。一般的には、任意の数の交互の(alternating)磁化性の、同心円状の層状の部品が使用される。
【0047】
常磁性材料で構成された中心部品(central component)に奇数の部品が使用されるのが好ましいが、他の配置をも可能であることは当業者に理解できるだろう。例えば、偶数の部品(例えば、2つの部品)が使用される、そして、類似した磁化性を有する部品が互いに隣接され得る。また、中心部品は、常磁性材料で構成される必要はないが、反磁性材料、または磁気的中性材料で構成されても良い。図7Aおよび7Bに示されたつい追跡装置100の構成について、第1の追跡部材は、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156、および、第4の環状シース160で構成されるに対して、第2の追跡部材は、第1の環状シース154および第3の環状シース158で構成される。したがって、一般に、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156、および、第4の環状シース160は、常磁性材料で構成されるに対して、第1の環状シース154および第3の環状シース158は、反磁性材料で構成される。いくつかの構成では、追跡部材内で個々の部品を互いに対して(相対的に)移動させるのが有益であり得る。例えば、円筒状のワイヤ152、第2の環状シース156および第4の環状シース160は、それらが調和する(in unison)代わりに、互いに相対的に個別に移動できるように構成され得る。追跡装置100内に3つ以上の同心円状の部品が存在するときに、遠位プレート108及び基部プレート110は、類似する、又は、異なる磁化率を持つ部品を取り付けるために同様に用いられることは当業者に理解できるだろう。
【0048】
図8および図8Aに基づけば、一部の構成では、追跡装置100は、追跡装置100を通して追跡装置100の先端部124から近位に延設された中央内腔(central lumen)138を含む。たとえば、中央内腔138は、ハウジング112、遠位プレート108、円筒状のワイヤ102、近位プレート110、ワイヤ120、および、ハンドル136を通って延設されている。中央内腔138は、介入ツール140が、中央内腔138を通って提供されるような寸法となっている。例示的な介入ツールは、カテーテルガイドワイヤ、アブレーションプローブ、バルーンカテーテル、ステント、または針を含む。ガドリニウム(gadolinium)-DTPAまたはX線不透過性染料のような液体造影剤はまた、中央内腔140を通じて提供されて、追跡装置100の先端124を超えた組織および微小血管の可視化を助ける。
【0049】
磁化性部品(magnetically susceptible component)の材料および寸法は、例えば、まず、エヴァンスバランス(Evans balance)を使用して常磁性および反磁性材料の相対的な磁化率を測定することによって選択される。エヴァンスバランスからの読み取り値は、例えば、チタンについては953 + / -1 %であり、グラファイトについては-745 + / - 1%である。これらの測定パラメータは、その後、部品の端部が整列されるときに、追跡装置100の以外の(外側の)磁場を最小化する部品厚さを設計する最適化過程(optimization procedure)に使用され得る。
【0050】
静磁場シミュレーションが使用され、その磁場は最適化の反復(繰り返し)ごとに計算された部品を取り囲む。追跡装置100に隣接する関心領域内の点における磁場オフセットの絶対値の和であるコスト関数(cost function)は、この最適化時に使用される。例示的な関心領域の大きさは2ミリメートル×4.1ミリメートルであり得る。外側の常磁性層の直径は、3ミリメートルのような所定のサイズに固定され、ここで、その後の、最適化されるべきフリーパラメータ(free parameter)はその他の部品の外径である。コスト関数は、範囲を越えて体系的に計算され、コスト関数の最小値が検出される。図4に示したもののような、追跡装置100の3層構造について、例示的な外径組は次のとおりである:第2の環状シース106について3ミリメートル、第1の環状シース104について2.43ミリメートル、円筒状のワイヤ102について1.11ミリメートル。これらの直径は、上述の測定した磁気特性に固有のものであるが、同様の最適化の手順がその他の材料においても使用されて、異なる寸法(dimension)をもたらすことや、最適化は3層以上の装置に拡張できることは、当業者に理解できるだろう。
【0051】
前述のように、追跡装置100の一部を形成する第1および第2の追跡部材は、共通の軸の周りに配置された複数の同心の円筒状または環状の部品を含んでも良い。しかし、他の構成では、第1および第2の追跡部材は異なる構成(配置)で成形され、かつ、配置された部品を含んでも良い。例えば、図9Aおよび9Bによれば、第1および第2の追跡部材の代替構成(alternative configuration)が記載されている。このような追跡部材は、複数の環状ディスク174を形成するように配置された複数のラジアルセクター(radial sector)172として形成されている。環状ディスク174は、長手方向の軸176に沿って整列されて、環状構造178を形成する。好ましくは、各環状ディスク174は、第1の追跡部材にかかわる1以上のラジアルセクタ172と、第2の追跡部材にかかわる1以上の別のラジアルセクタ172と、を含む。一般的には、第1の追跡部材は、第1の磁化性を有するラジアルセクタ172で構成され、そして、第2の追跡部材は、第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有するラジアルセクタ172で構成されている。環状ディスク174のサブセットは、長手方向の軸176の周りに互いに対して回転されて、同様の磁化率を有するラジアルセクタ172は図9Aに示したもののような第1の配置、および、図9Bに示したもののような第2の配置を通して移動する(move through)。図9Aに示した第1の配置は「オフ」配置であるのに対して、図9Bに示した第2の配置は「オン」配置である。環状ディスク174は、例えば、ワイヤ120によって回転される。そのワイヤ120は、環状構造178内の開口(aperture)180を通して延設されつつも各環状リング174に係合する。この配置において、ワイヤ120は、組織に実質的に類似した磁化率を有する材料で構成されるのが望ましい。
【0052】
以上、追跡装置100の一般的な構造および様々なその例示的な配置について説明した。以下、追跡装置100の一般的な操作について説明する。例えば、追跡装置100は、装置の先端に追跡装置100を搭載した介入機器(interventional instrument)を用いて閉塞血管の横断又は交差(crossing)時に使用され得る。磁気共鳴画像は、閉塞遠位側(distal side)から、閉塞血管のトラックに沿って、閉塞近位側を通じて機器を押圧する(push)際に取得される。「オン」および「オフ」配置において追跡装置100を用いて交互に画像を取得することによって、機器のすぐそばにある(即ち、近接した)組織を描く磁気共鳴画像が、磁化率アーティファクト(artifact)の歪みなしで得られる間に、追跡装置100および機器の位置が正確に決定され得る。追跡装置100の正確な位置測定(値)は、追跡装置100の中間経路(immediate path)内にある閉塞血管のセクションの取得画像上に表示される。これは、装置が次の数ミリメートルの閉塞を交差(横断)し、その後、新しい場所の測定(値)、及び、相応する閉塞血管の最小限に歪んだ解剖学的画像(minimally distorted anatomical image)が得られる際に、予定通り進んでいるという確信を医者に与える。
【0053】
迅速かつ正確に追跡装置100の位置を測定するために、いくつかの異なるタイプの磁気共鳴画像を取得しても良い。例えば、公開された米国特許出願番号11/257、415号に記載された、いわゆる「ホワイトマーカー(white marker)」現象を採用することによって、単に追跡装置100のすぐ近くからの信号が受信され、かつ、その他の場所からの信号は非常に抑制された画像が得られる。したがって、追跡装置100の位置は、粗い空間分解能(coarse spatial resolution)を有する投影画像(projection image)から迅速に推定される。その後、より高い空間分解能による測定が行われて、FOV(field-of-view)を、投影画像から推定した体積(容積)に制限する(限る)。第2の取得(second acquisition)は、前述のホワイト−マーカー画像化(white-marker imaging)、従来の勾配エコーイメージング(gradient-echo imaging)、または、「オン」配置の装置の影響を受ける画像を生成する任意の適切な磁気共鳴イメージング方法によって行うことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、追跡装置100の位置を決定するために、2ステッププロセスが使用される。第1のステップでは、追跡装置100のおおよその位置が投影画像(projection image)から計算される。実質的に最大磁場乱れが生成される「オン」配置の装置では、追跡装置の位置を決定するのに前述のホワイトマーカー技術が使用され得る(正確さ:約プラス又はマイナス0.5センチメートル)。かかる方法は、ホワイトマーカー法によって得た画像における信号の最大値の位置を計算することを含む。第2のステップでは、2次元スライス(two-dimensional slice)は、前述のステップにて計算された位置に位置付けられ、そして、2次元画像は、例えば、スライス選択勾配エコーパルスシーケンス(slice-selective gradient echo pulse sequence) を用いて取得される。その後、得られた画像は、以下に説明する適合化アルゴリズム(fitting algorithm)に入力される。これらの2つのステップは、コンソール(console)上のオペレータ、又は、オペ室の医者に表示される位置を連続的に更新するために迅速に交互に起こり得る。
【0055】
追跡装置100の位置を正確に測定するために、画像化データ(imaging data)を、磁気共鳴画像上で追跡装置100の効果のモデルに数値的に適合させることができる。互いに相対的な常磁性および反磁性の部品の配置に関するパラメータは知られており、適合化(fitting)によって導き出す必要はない。したがって、適合されるべきパラメータは、追跡装置100の空間座標だけでなく、MRIシステムの主磁場に対する追跡装置100の(相対的な)向き(配向)である。
【0056】
2つの画像が数値適合(numerical fit)に使用される。 2つの画像は、「オン」配置の追跡装置100を示す画像と、「オフ」配置の追跡装置100を示す画像である。好ましくは、これらの画像は、実行可能な時間内に近接して得られた画像データから再構成される。これらの2つの画像間の位相差は、計算され、かつ、適合化プロセス(fitting process)に対する入力(値)として使用される。
【0057】
数値モデル適合化(numerical model fitting)は一般的に次の通り進む。主磁場に対する(相対的な)追跡装置の角度、及び、おおよその先端の位置は、適合化(fit)における出発点として入力される。MRIスキャンプロセスのシミュレーション(励起、勾配の適用、データ・サンプリング)は、均一な媒質(uniform medium)内で、「オン」及び「オフ」の両方の配置の装置から得た画像を計算するのに使用される。これら二つのシミュレーション画像(simulated image)間の位相差が計算される、その後、コスト関数は、追跡装置100の現在位置、又は、初期位置に対して計算される。いくつかの実施形態では、このコスト関数は、実際とシミュレートされた位相差画像間の差異の二乗の和を含む。その後、そのプロセスは、最適化解法(optimization solver)によって繰り返され、コスト関数の最小値が見つかるまで、位置の列(即ち、並んだ位置)についてコスト関数が計算される。この最小値に対応する位置が同定され(確認され)、計算位置として格納(記憶)される。
【0058】
装置の先端の位置を正確に計算するためには、MRIシステムの主磁場に対する(相対的な)装置の向き(配向)に関する情報を有するのが有用である。追跡装置100が「オン」の位置にあるとき、信号乱れの2つの領域が生成される。その一つの領域は、追跡装置の追跡装置の遠位端に、そして、もう一つの領域は追跡装置の近位端に存在する。信号乱れのこれらの領域は、MRIシステムで生成される画像において現われ、そして、これらの乱れ間の角度は、主磁場に対する(相対的な)装置の角度の推定値(estimate)として使用することができる。この配向(向き)の情報は、追跡装置100の位置を計算するのに使用される適合化アルゴリズムに対する入力(値)として使用することができる。
【0059】
迅速に連続した「オン」及び「オフ」配置の両方にある追跡装置100を使用して画像を取得するために、前述したドライバー132のようなアクチュエータは、オン及びオフ配置間に追跡装置100を迅速、かつ正確に作動させるために使用され得る。いくつかの実施形態において、このアクチュエータは、第1の画像が得られた後、追跡装置100が最小の時間間隔、例えば、20ミリセカンドで「オン」配置から「オフ」配置に作動されるように、MRIシステムと同期され得る。この同期化は、パルスシーケンスの各反復の開始時にMRIシステムによって提供されるトランジスタ-トランジスタロジック(TTL)パルスによってアクチュエータをトリガすることによって達成することができる。前述のように、ドライバー132は、追跡装置100を操作するのに使用される必要はなく、それよりも、追跡装置100の手動操作も同様に行うことができる。
【0060】
オン及びオフ位置の追跡装置100の常磁性及び反磁性部品を用いて画像を交互に取得することによって、追跡装置100の位置を正確に決定することができる。一方で、追跡装置のすぐ前に存在する組織及び追跡装置を囲んでいる組織を示す磁気共鳴画像は、最小限の歪みで取得することができる。これらの正確な追跡装置の位置測定は、必要に応じて、装置の直近の経路にある閉塞血管などの関心領域のMR画像上に重ね合わせられ得る(かぶせられる)。これは、装置が、次の数ミリメートルの閉塞血管の横断又は交差(occlusion crossing)中にあるとの信頼ないし確信を臨床医に与える。その後、新たしい先端の位置測定、および、歪みの最小化された、相応する閉塞血管の解剖学的画像を取得することができる。
【0061】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態に関して記載されており、多くの均等物、代替物、変更等は、本発明の範囲内にあると解すべきである。
【符号の説明】
【0062】
100 追跡装置
102 円筒状のワイヤ
104 第1の環状シース
106 第2の環状シース
108 遠位プレート
110 近位プレート
112 ハウジング
114 カテーテルチューブ
116 遠位端部
118 近位端部
120 ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入医療装置に取り付けられて、MRIシステムを使用した介入医療処置の際に前記介入医療装置の位置を追跡する追跡装置であって、
第1の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第1の追跡部材と、
前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第2の追跡部材と、を有し、
前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上が、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材の他方に対して調整されて、第1の配列と第2の配列間に前記追跡装置を調整し、
前記第1の磁化率及び前記第2の磁化率が、前記追跡装置がMRIシステムの磁場内に配置されているとき、(i)前記追跡装置が前記第1の配列に配置されたときに、前記追跡装置が前記MRIシステムによって測定可能な局所磁場を生成し、そして、(ii)前記追跡装置が前記第2の配列に配置されているときに、前記追跡装置が、前記第1の配列にある前記追跡装置によって生成された前記局所磁場に対して減少された局所磁場を生成するように、選択される、追跡装置。
【請求項2】
前記追跡装置が、前記第1の配列と前記第2の配列間において前記追跡装置を調整するために、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上に取り付けられたワイヤをさらに含む、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項3】
第1の追跡部材が、前記第1の磁化率を有する2以上の部品を含み、
前記第2の追跡部材が、前記第2の磁化率を有する1以上の部品を含み、そして、
前記第2の磁化率を有する前記1以上の部品、および、前記第1の磁化率を有する前記2以上の部品のそれぞれが、前記追跡装置が前記第1の配置から前記第2の配置に調整されるときに、他方とは独立して移動するようになっている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項4】
前記第1の追跡部材が、複数の常磁性のラジアルセクタを含み、
前記第2の追跡部材が、複数の反磁性のラジアルセクタを含み、そして、
前記常磁性のラジアルセクタおよび前記反磁性のラジアルセクタが、回転軸の周りに回転するように設けられている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項5】
前記第1の追跡部材が、1以上の常磁性部品を含み、そして、前記第2の追跡部材が、1以上の反磁性部品を含む、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項6】
前記1以上の常磁性部品、および、前記1以上の反磁性部品が、軸を中心に同心円状に配置されている、請求項5に記載の追跡装置。
【請求項7】
前記1以上の常磁性部品、および、前記1以上の反磁性部品が、交互に配置された常磁性部品および反磁性部品の層に前記軸を中心に配置されている、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項8】
前記1以上の常磁性部品が、3つの同心常磁性部品を含み、そして、前記1以上の反磁性部品が、2つの反磁性部品を含む、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項9】
前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上が調整されて、前記第1の配列と前記第2の配列間に前記追跡装置を調整する際に、前記3つの同心常磁性部品のそれぞれ、および、前記2つの反磁性部品のそれぞれが、他方とは独立して移動するように設けられている、請求項8に記載の追跡装置。
【請求項10】
前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品が、実質的に同程度の長さを有し、
前記追跡装置が前記第2の位置にあるときに、前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品の端部が実質的に整列され、そして、
前記追跡装置が前記第1の位置にあるときに、前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品の端部が整列されていない、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項11】
前記1以上の常磁性部品が、近位端部から遠位端部まで軸に沿って延設された常磁性ワイヤと、近位端部から遠位端部まで前記軸に沿って延設され、かつ、前記常磁性ワイヤに取り付けられた常磁性シースと、を備えた、請求項5に記載の追跡装置。
【請求項12】
前記1以上の反磁性部品が、近位端部から遠位端部まで前記軸に沿って延設された反磁性シースを備え、そして、前記反磁性シースが、前記常磁性ワイヤと前記常磁性シース間に移動自在に配置されている、請求項11に記載の追跡装置。
【請求項13】
前記追跡装置が、前記反磁性シースに取り付けられ、かつ、動作時に、前記反磁性シースの前記軸に沿って前記反磁性シースを軸方向に移動させるワイヤに係合するプレートをさらに含む、請求項12に記載の追跡装置。
【請求項14】
前記追跡装置が、前記常磁性ワイヤを前記常磁性シースに取り付ける環状プレートをさらに含む、請求項12に記載の追跡装置。
【請求項15】
前記追跡装置が、前記環状プレートに取り付けられたワイヤをさらに含み、そして、前記ワイヤが、動作時に、前記常磁性ワイヤおよび前記常磁性シースを軸方向に移動させるように設けられている、請求項14に記載の追跡装置。
【請求項16】
前記追跡装置が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材を収容できるハウジングを含み、そして、前記ハウジングが、前記介入医療装置に連結する近位端部を有している、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項17】
前記介入医療装置が、カテーテル、生検針、ガイドワイヤ、および、アブレーションプローブのうち1以上である、請求項16に記載の追跡装置。
【請求項18】
前記追跡装置が、ドライバーと、遠位端部から近位端部まで軸に沿って延設されたワイヤと、を含み、
前記遠位端部が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上に取り付けられ、
前記近位端部が、前記ドライバーに取り付けられ、
前記ドライバーが、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材の他方に対して移動されるように、動作して、前記第1の配置および前記第2の配置間に前記追跡装置を調整するように設けられている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項19】
前記第1の追跡部材が、チタンを含む常磁性材料で構成され、そして、前記第2の追跡部材が、黒鉛およびビスマスのうち1以上を含む反磁性材料で構成されている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項20】
追跡装置を備えた、MRIシステムに使用されるカテーテル装置であって、
前記追跡装置は、第1の磁化率を有する第1の環状部品と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する第2の環状部品と、前記追跡装置に取り付けられたカテーテルと、前記追跡装置に取り付けられ、かつ、前記カテーテルにおける内腔を通じて近位端部から遠位端部まで軸に沿って延設されたワイヤと、を備え、
前記ワイヤの動作時に、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品のうち1以上が、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品の他方に対して移動されて、前記追跡装置がMRIシステムの磁場に配置されたときに、前記追跡装置によって生成された局所磁場を変えるようになっている、カテーテル装置。
【請求項21】
前記第1の環状部品および前記第2の環状部品が、実質的に同程度の長さを有し、そして、前記第1の環状部品の端部および前記第2の環状部品の端部が整列されていないときに、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、MRIシステムによって測定可能な磁場乱れを生成する、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項22】
前記第1の環状部品が、前記第2の環状部品内に移動自在に配置され、そして、前記ワイヤが、前記第1の環状部品を通って延設され、かつ、前記第2の環状部品の遠位端部において前記第2の環状部品に取り付けられている、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項23】
前記追跡装置が、前記第1の環状部品内に移動自在に配置された円筒状の部品を含み、そして、前記円筒状の部品が、前記第2の環状部品と同様の磁化率を有している、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項24】
前記ワイヤが、前記円筒状の部品に取り付けられている、請求項23に記載のカテーテル装置。
【請求項25】
前記ワイヤが、前記第1の環状部品に取り付けられている、請求項23に記載のカテーテル装置。
【請求項26】
前記カテーテル装置が、前記ワイヤを前記第1の環状部品に取り付けるためのプレートをさらに備えた、請求項25に記載のカテーテル装置。
【請求項27】
エポキシ及びろう付けの少なくとも一つを使用して、前記プレートが、前記ワイヤ及び前記第1の環状部品に取り付けられている、請求項26に記載のカテーテル装置。
【請求項28】
前記カテーテル装置が、前記ワイヤに取り付けられたドライバーをさらに含み、そして、前記ドライバーが、前記第1の環状部品及び第2の環状部品のうち前記1以上が前記第1の環状部品及び前記第2の環状部品の他方に対して移動されるように、前記ワイヤを作動させる、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項29】
前記カテーテル装置が、前記ドライバーに通じるプロセッサをさらに含み、そして、前記プロセッサが、MRIシステムによって行われるパルスシーケンスと同期して前記ドライバーを動作させる、請求項28に記載のカテーテル装置。
【請求項30】
前記追跡装置が、オン位置及びオフ配置の両方にあるMRIシステムによって画像化されるように、前記プロセッサが前記パルスシーケンスの繰り返し時間(repetition time)に同期される、請求項29に記載のカテーテル装置。
【請求項31】
前記ワイヤが、前記ワイヤの前記近位端部から遠位端部まで延設された内腔を含み、そして、前記内腔が、介入ツールおよび造影剤のうち1以上を受け入れる大きさを有する、請求項29に記載のカテーテル装置。
【請求項32】
前記介入ツールが、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、ステント、針、および、アブレーションプローブのうち1以上である、請求項31に記載のカテーテル装置。
【請求項33】
前記造影剤が、ガドリニウム造影剤、および、X線不透過性の造影剤のうち1以上である、請求項31に記載のカテーテル装置。
【請求項34】
互いに対して移動自在に係合された反対の磁化率を有する複数の部品を備えた追跡装置を含む介入機器およびMRIシステムを使用して介入処置をモニターする方法であって、
a)前記複数の部品を、追跡装置によって生成された局所磁場が前記MRIシステムによって測定できる第1の配置に配置するように、前記追跡装置を操作するステップと、
b)前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が前記MRIシステムによって測定可能な間に、前記MRIシステムを使用して、前記介入機器が導入された患者の第1の画像セットを取得するステップと、
c)前記複数の部品を、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、前記複数の部品が前記第1の位置に配置されたときよりも減少される第2の配置に配置するように、前記追跡装置を操作するステップと、
d)前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が減少される間に、前記MRIシステムを使用して、前記患者の第2の画像セットを取得するステップと、
e)前記患者の前記第1の画像セットおよび前記第2の画像セットに基づいて前記介入機器の位置を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項35】
前記ステップe)が、前記第1の画像セットから前記追跡装置の位置及び配向を計算することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップe)が、前記計算された位置及び配向を、前記追跡装置が磁場に配置されたときに前記追跡装置によって生成された局所磁場のモデルに適合化することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項1】
介入医療装置に取り付けられて、MRIシステムを使用した介入医療処置の際に前記介入医療装置の位置を追跡する追跡装置であって、
第1の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第1の追跡部材と、
前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する、前記介入医療装置に取り付けられる、第2の追跡部材と、を有し、
前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上が、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材の他方に対して調整されて、第1の配列と第2の配列間に前記追跡装置を調整し、
前記第1の磁化率及び前記第2の磁化率が、前記追跡装置がMRIシステムの磁場内に配置されているとき、(i)前記追跡装置が前記第1の配列に配置されたときに、前記追跡装置が前記MRIシステムによって測定可能な局所磁場を生成し、そして、(ii)前記追跡装置が前記第2の配列に配置されているときに、前記追跡装置が、前記第1の配列にある前記追跡装置によって生成された前記局所磁場に対して減少された局所磁場を生成するように、選択される、追跡装置。
【請求項2】
前記追跡装置が、前記第1の配列と前記第2の配列間において前記追跡装置を調整するために、前記第1の追跡部材及び前記第2の追跡部材のうち1以上に取り付けられたワイヤをさらに含む、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項3】
第1の追跡部材が、前記第1の磁化率を有する2以上の部品を含み、
前記第2の追跡部材が、前記第2の磁化率を有する1以上の部品を含み、そして、
前記第2の磁化率を有する前記1以上の部品、および、前記第1の磁化率を有する前記2以上の部品のそれぞれが、前記追跡装置が前記第1の配置から前記第2の配置に調整されるときに、他方とは独立して移動するようになっている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項4】
前記第1の追跡部材が、複数の常磁性のラジアルセクタを含み、
前記第2の追跡部材が、複数の反磁性のラジアルセクタを含み、そして、
前記常磁性のラジアルセクタおよび前記反磁性のラジアルセクタが、回転軸の周りに回転するように設けられている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項5】
前記第1の追跡部材が、1以上の常磁性部品を含み、そして、前記第2の追跡部材が、1以上の反磁性部品を含む、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項6】
前記1以上の常磁性部品、および、前記1以上の反磁性部品が、軸を中心に同心円状に配置されている、請求項5に記載の追跡装置。
【請求項7】
前記1以上の常磁性部品、および、前記1以上の反磁性部品が、交互に配置された常磁性部品および反磁性部品の層に前記軸を中心に配置されている、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項8】
前記1以上の常磁性部品が、3つの同心常磁性部品を含み、そして、前記1以上の反磁性部品が、2つの反磁性部品を含む、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項9】
前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上が調整されて、前記第1の配列と前記第2の配列間に前記追跡装置を調整する際に、前記3つの同心常磁性部品のそれぞれ、および、前記2つの反磁性部品のそれぞれが、他方とは独立して移動するように設けられている、請求項8に記載の追跡装置。
【請求項10】
前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品が、実質的に同程度の長さを有し、
前記追跡装置が前記第2の位置にあるときに、前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品の端部が実質的に整列され、そして、
前記追跡装置が前記第1の位置にあるときに、前記1以上の常磁性部品および前記1以上の反磁性部品の端部が整列されていない、請求項6に記載の追跡装置。
【請求項11】
前記1以上の常磁性部品が、近位端部から遠位端部まで軸に沿って延設された常磁性ワイヤと、近位端部から遠位端部まで前記軸に沿って延設され、かつ、前記常磁性ワイヤに取り付けられた常磁性シースと、を備えた、請求項5に記載の追跡装置。
【請求項12】
前記1以上の反磁性部品が、近位端部から遠位端部まで前記軸に沿って延設された反磁性シースを備え、そして、前記反磁性シースが、前記常磁性ワイヤと前記常磁性シース間に移動自在に配置されている、請求項11に記載の追跡装置。
【請求項13】
前記追跡装置が、前記反磁性シースに取り付けられ、かつ、動作時に、前記反磁性シースの前記軸に沿って前記反磁性シースを軸方向に移動させるワイヤに係合するプレートをさらに含む、請求項12に記載の追跡装置。
【請求項14】
前記追跡装置が、前記常磁性ワイヤを前記常磁性シースに取り付ける環状プレートをさらに含む、請求項12に記載の追跡装置。
【請求項15】
前記追跡装置が、前記環状プレートに取り付けられたワイヤをさらに含み、そして、前記ワイヤが、動作時に、前記常磁性ワイヤおよび前記常磁性シースを軸方向に移動させるように設けられている、請求項14に記載の追跡装置。
【請求項16】
前記追跡装置が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材を収容できるハウジングを含み、そして、前記ハウジングが、前記介入医療装置に連結する近位端部を有している、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項17】
前記介入医療装置が、カテーテル、生検針、ガイドワイヤ、および、アブレーションプローブのうち1以上である、請求項16に記載の追跡装置。
【請求項18】
前記追跡装置が、ドライバーと、遠位端部から近位端部まで軸に沿って延設されたワイヤと、を含み、
前記遠位端部が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上に取り付けられ、
前記近位端部が、前記ドライバーに取り付けられ、
前記ドライバーが、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材のうち前記1以上が、前記第1の追跡部材および前記第2の追跡部材の他方に対して移動されるように、動作して、前記第1の配置および前記第2の配置間に前記追跡装置を調整するように設けられている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項19】
前記第1の追跡部材が、チタンを含む常磁性材料で構成され、そして、前記第2の追跡部材が、黒鉛およびビスマスのうち1以上を含む反磁性材料で構成されている、請求項1に記載の追跡装置。
【請求項20】
追跡装置を備えた、MRIシステムに使用されるカテーテル装置であって、
前記追跡装置は、第1の磁化率を有する第1の環状部品と、前記第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する第2の環状部品と、前記追跡装置に取り付けられたカテーテルと、前記追跡装置に取り付けられ、かつ、前記カテーテルにおける内腔を通じて近位端部から遠位端部まで軸に沿って延設されたワイヤと、を備え、
前記ワイヤの動作時に、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品のうち1以上が、前記第1の環状部品および前記第2の環状部品の他方に対して移動されて、前記追跡装置がMRIシステムの磁場に配置されたときに、前記追跡装置によって生成された局所磁場を変えるようになっている、カテーテル装置。
【請求項21】
前記第1の環状部品および前記第2の環状部品が、実質的に同程度の長さを有し、そして、前記第1の環状部品の端部および前記第2の環状部品の端部が整列されていないときに、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、MRIシステムによって測定可能な磁場乱れを生成する、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項22】
前記第1の環状部品が、前記第2の環状部品内に移動自在に配置され、そして、前記ワイヤが、前記第1の環状部品を通って延設され、かつ、前記第2の環状部品の遠位端部において前記第2の環状部品に取り付けられている、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項23】
前記追跡装置が、前記第1の環状部品内に移動自在に配置された円筒状の部品を含み、そして、前記円筒状の部品が、前記第2の環状部品と同様の磁化率を有している、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項24】
前記ワイヤが、前記円筒状の部品に取り付けられている、請求項23に記載のカテーテル装置。
【請求項25】
前記ワイヤが、前記第1の環状部品に取り付けられている、請求項23に記載のカテーテル装置。
【請求項26】
前記カテーテル装置が、前記ワイヤを前記第1の環状部品に取り付けるためのプレートをさらに備えた、請求項25に記載のカテーテル装置。
【請求項27】
エポキシ及びろう付けの少なくとも一つを使用して、前記プレートが、前記ワイヤ及び前記第1の環状部品に取り付けられている、請求項26に記載のカテーテル装置。
【請求項28】
前記カテーテル装置が、前記ワイヤに取り付けられたドライバーをさらに含み、そして、前記ドライバーが、前記第1の環状部品及び第2の環状部品のうち前記1以上が前記第1の環状部品及び前記第2の環状部品の他方に対して移動されるように、前記ワイヤを作動させる、請求項20に記載のカテーテル装置。
【請求項29】
前記カテーテル装置が、前記ドライバーに通じるプロセッサをさらに含み、そして、前記プロセッサが、MRIシステムによって行われるパルスシーケンスと同期して前記ドライバーを動作させる、請求項28に記載のカテーテル装置。
【請求項30】
前記追跡装置が、オン位置及びオフ配置の両方にあるMRIシステムによって画像化されるように、前記プロセッサが前記パルスシーケンスの繰り返し時間(repetition time)に同期される、請求項29に記載のカテーテル装置。
【請求項31】
前記ワイヤが、前記ワイヤの前記近位端部から遠位端部まで延設された内腔を含み、そして、前記内腔が、介入ツールおよび造影剤のうち1以上を受け入れる大きさを有する、請求項29に記載のカテーテル装置。
【請求項32】
前記介入ツールが、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、ステント、針、および、アブレーションプローブのうち1以上である、請求項31に記載のカテーテル装置。
【請求項33】
前記造影剤が、ガドリニウム造影剤、および、X線不透過性の造影剤のうち1以上である、請求項31に記載のカテーテル装置。
【請求項34】
互いに対して移動自在に係合された反対の磁化率を有する複数の部品を備えた追跡装置を含む介入機器およびMRIシステムを使用して介入処置をモニターする方法であって、
a)前記複数の部品を、追跡装置によって生成された局所磁場が前記MRIシステムによって測定できる第1の配置に配置するように、前記追跡装置を操作するステップと、
b)前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が前記MRIシステムによって測定可能な間に、前記MRIシステムを使用して、前記介入機器が導入された患者の第1の画像セットを取得するステップと、
c)前記複数の部品を、前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が、前記複数の部品が前記第1の位置に配置されたときよりも減少される第2の配置に配置するように、前記追跡装置を操作するステップと、
d)前記追跡装置によって生成された前記局所磁場が減少される間に、前記MRIシステムを使用して、前記患者の第2の画像セットを取得するステップと、
e)前記患者の前記第1の画像セットおよび前記第2の画像セットに基づいて前記介入機器の位置を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項35】
前記ステップe)が、前記第1の画像セットから前記追跡装置の位置及び配向を計算することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップe)が、前記計算された位置及び配向を、前記追跡装置が磁場に配置されたときに前記追跡装置によって生成された局所磁場のモデルに適合化することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9A】
【図9B】
【公表番号】特表2013−514847(P2013−514847A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545034(P2012−545034)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2010/002041
【国際公開番号】WO2011/075839
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(502274244)サニーブルック ヘルス サイエンスセンター (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2010/002041
【国際公開番号】WO2011/075839
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(502274244)サニーブルック ヘルス サイエンスセンター (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]