説明

N−アシルヒドラジンの製法

【課題】 プロパギルトリクロロシラン及びアレニルトリクロロシランを用いたC=N結合への選択的アレニル化及びプロパギル化反応による、N−アシルヒドラジン並びにホモアレニル及びホモプロパギルアミンの新規な合成方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式
化1: RHC=NNHCOR
(式中、Rは炭化水素基又は複素環基等を表し、Rは芳香族炭化水素等を表す。)で表されるN-アシルヒドラゾンを、特にジメチルホルムアミド溶媒中で、プロパギルトリハロシラン又はアレニルトリハロシランと反応させることによりN−アシルヒドラジンを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、N−アシルヒドラゾンへのプロパギルトリハロシラン又はアレニルトリハロシランの位置特異的付加反応による、高選択的なN−アシルヒドラジンの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素官能基を有するアレンやアルキン、例えばアレニルメチルアミン、ホモプロパギルアミン、N−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジン、N−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジンなどは有機合成上有用な合成中間体である。これらを合成するための最も効率的な手法はC=N結合を有する求電子剤に対するプロパギル−金属化合物及びアレニル−金属化合物の位置選択的な付加反応による炭素−炭素結合形成反応である(非特許文献1)。しかし、プロパギル及びアレニル−金属化合物の使用にあたっては、下式(化8)に示すように、プロパギル−金属化合物とアレニル−金属化合物間の転位(非特許文献2)及び非位置選択的な付加反応が問題として残されている(非特許文献3)。
【化8】

また、プロパギル及びアレニル求核剤の反応性が基質に大きく依存する点も問題である(非特許文献4)。さらに、有機金属試薬を求核剤や触媒として用いる場合は、特に大スケールの反応において、安全性や環境負荷の問題が発生しやすい。
【0003】
このような中で、これまでにN−アシルヒドラゾンやイミンに対する種々の触媒的アリル化反応が開発されている(非特許文献5)。一方、本発明者らは最近、下式(化9)に示すようにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホロアミド(HMPA)、スルホキシド、ホスフィンオキシドのような中性のルイス塩基がアリルトリクロロシランやクロチルトリクロロシランのアルデヒド、N−アシルヒドラゾンに対する求核付加反応を促進することを報告した(非特許文献6)。これらの場合には、いかなる金属触媒も使用せずに、非イオン性のルイス塩基がルイス酸性を有するケイ素原子に配位することによりトリクロロシリル求核剤が活性化され、反応が進行する。
【化9】

【0004】
しかし、アルデヒドのプロパギル化やアレニル化の例はいくつか報告されているものの(非特許文献7、8)、C=N結合へのアレニル化、プロパギル化の例は少ない。
(1)Goreらはエーテル中で1−メトキシアレニルリチウムを用いてヒドラゾンのアレニル化を行った(非特許文献9)。(2)秋山らは銅(I)とキラルBINAP錯体を触媒として用い、α−イミノエステルのエナンチオ選択的なアレニル化及びプロパギル化反応を行った(非特許文献10)。(3)Prajapatiらは、臭化プロパギルを用いたインジウム金属によるBarbier型反応で、芳香族N−アリールイミン、N−アリールニトロン、N−フェニルヒドラゾンのプロパギル化を報告した(非特許文献11)。しかしながら、これら全ての反応において、化学量論量以上の金属化合物が必要であり、基質一般性、選択性、収率なども十分ではない。
【0005】
以前に本発明者らは、下式(化10)に示すように塩化プロパギルから調製したプロパギルトリクロロシラン及びアレニルトリクロロシランをアルデヒドと反応させることにより、対応するアレニルアルコール及びホモプロパギルアルコールの合成法を報告した(非特許文献12)。さらに最近、この反応の選択性、収率、基質一般性を改善した手法を報告した(非特許文献8)。
【化10】

【0006】
【非特許文献1】Chem. Rev. 1999, 99, 1069-1094
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 13326-13334
【非特許文献3】Synlett 2003, 1713-1715
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 1787-1796
【非特許文献5】Org. Lett. 2005, 7, 2767-2770
【非特許文献6】Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 5176-5186
【非特許文献7】Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1219-1222
【非特許文献8】Tetrahedron 2006, 62, 496-502
【非特許文献9】Tetrahedron Lett. 1999, 40, 5009-5012
【非特許文献10】Chem. Lett. 2002, 298-299
【非特許文献11】Tetrahedron Lett. 2003, 44, 6755-6757
【非特許文献12】J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 6392-6393
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、これらの知見を元に、プロパギルトリハロシラン及びアレニルトリハロシランを用いたC=N結合への選択的アレニル化及びプロパギル化反応による、アレニルメチルアミン及びホモプロパギルアミン並びにヒドラジンの新規な合成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはイミン等価体としてイミンよりも安定なN−アシルヒドラゾンを用いて検討を行った結果、従来よりも効率的にN−アシル−N'−アレニルメチル ヒドラジン及びN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジンを合成することができることを見出した。
これらの炭素−炭素結合形成反応は、プロパギルトリハロシラン、又はアレニルトリハロシランを用いて行われ、金属触媒を使用することなく、ジメチルホルムアミドなどの配位性溶媒を使用することにより収率及び選択性を向上させることができる。さらにいずれの反応においても3級アミンの添加が有効である。
【0009】
即ち、本発明は、N−アシルヒドラゾンとプロパギルトリハロシラン又はアレニルトリハロシランとを反応させることから成るN−アシルヒドラジンの製法であり、特に、下記一般式
化1: RHC=NNHCOR
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素を表す。)
で表されるN−アシルヒドラゾンと下記一般式
化2: CH≡C−CH−SiX
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるプロパギルトリハロシラン又は
化3: CH=C=CH−SiX
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアレニルトリハロシランとを反応させることから成る下記一般式
化4: CH=C=CH−CHR−NH−NHCOR
又は
化5: CH≡C−CH−CHR−NH−NHCOR
(式中、RびRは上記と同様に定義される。)で表されるN−アシルヒドラジン(N−アシル−N'−アレニルメチル ヒドラジン及びN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジン)の製法である。
【0010】
また、本発明は、このようにして製造されたN−アシルヒドラジンを、更に、ヨウ化サマリウムと反応させることから成るα−アレニルアミン又はホモプロパギルアミンの製法である。このα−アレニルアミンは下式
化6: CH=C=CH−CHR−NH
で表され、このホモプロパギルアミンは下式
化7: CH≡C−CH−CHR−NH
(式中、Rは上記と同様に定義される。)で表されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、有害な金属触媒の代わりにジメチルホルムアミドや3級アミンなどの有機化合物のみを用いることで、N−アシルヒドラゾンから、基質に特に依存せずに、高収率かつ高立体特異的にN−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジン及びN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジン誘導体を得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明の製法においては、N−アシルヒドラゾンとプロパギルトリハロシラン又はアレニルトリハロシランとを反応させることにより、N−アシルヒドラジンを合成する。
本発明で用いるN−アシルヒドラゾンは下記一般式(化1)で表される。
化1: RHC=NNHCOR
本願発明の反応は一方の基質が上記N−アシルヒドラゾン構造を有していればよく、R及びRには特に制限はないが、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素を表す。
このRの炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基などが挙げられる。複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
これらが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、短鎖アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、エステル基等が挙げられる。
【0013】
が芳香族炭化水素の場合には、原料のN−アシルヒドラゾンの結晶性が良好で、単離・保存が容易であることが多いため好ましい。このような芳香族炭化水素としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基などが好ましく用いられる。これらが有していてもよい置換基としては、ハロゲン、短鎖アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0014】
本発明で用いるプロパギルトリハロシランは下記一般式(化2)で表される。
化2: CH≡C−CH−SiX
Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子又は臭素原子を表す。
また、本発明で用いるアレニルトリハロシランは下記一般式(化3)で表される。
化3: CH=C=CH−SiX
Xは上記と同様に定義される。
【0015】
本発明の反応においては、更に反応系に3級アミンを添加してもよい。3級アミンを添加すると、目的物の収率及び位置選択性を向上させることができる。
3級アミンとしては、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられるが、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0016】
本反応系においては溶媒としてジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホロアミド、ジメチルアセトアミド等を用いることができるが、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いることが好ましい。ジメチルホルムアミドは安価で安全性も高く、ケイ素原子に配位して求核剤の反応性及び位置選択性を向上させていると考えられる。
【0017】
本発明の方法に於ては、下式に示すようにN−アシルヒドラゾンとプロパギルトリハロシランとを反応させることにより、又は
【化11】

下式に示すようにN−アシルヒドラゾンとアレニルトリハロシランとを反応させることにより、
【化12】

対応するN−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジン及びN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジンが合成される。
【0018】
この反応は、S2’タイプの付加反応と考えられる。遷移状態を下式に示す。(1)は反応物にプロパギルトリハロシランを用いた場合、(2)は反応物にアレニルトリハロシランを用いた場合を示す。
【化13】

【0019】
これらの反応における位置選択性はほぼ完璧であり、反応物がプロパギルトリハロシランの場合には、下記一般式(化4)
化4: CH=C=CH−CHR−NH−NHCOR
で表されるN−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジンが、反応物がアレニルトリハロシランの場合には、下記一般式(化5)
化5: CH≡C−CH−CHR−NH−NHCOR
(式中、RびRは上記と同様に定義される。)で表されるN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジンが唯一の反応物として得られる。
【0020】
原料となるアシルヒドラゾンの濃度は0.05〜1.0M程度であり、好ましくは0.10〜0.50Mである。
プロパギルトリクロロシラン又はアレニルトリクロロシランの量は、アシルヒドラゾンに対するモル比で0.8〜2.0、好ましくは1.0〜1.5である。
プロパギル化反応において添加する3級アミンの量は、アシルヒドラゾンに対するモル比で0〜10、好ましくは1〜3である。
反応温度は、マイナス10℃〜室温程度、好ましくは0℃から10℃であり、反応時間は1時間〜72時間、好ましくは10時間〜48時間程度である。
【0021】
このようにして得られたN−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジン及びN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジンは、公知の手法により還元的に窒素−窒素結合を切断することで、それぞれアレニルメチルアミン及びホモプロパギルアミンに容易に変換することができる。この反応は例えば以下のようにして行うことができる(heterocycles 2000, 52, 1143-1162)。即ち、ヒドラジン化合物の溶液に攪拌しながらヨウ化サマリウムのテトラヒドロフラン溶液を滴下する。溶媒はメタノールやエタノールなどのプロトン性溶媒が好ましく、ヒドラジン化合物の濃度は0.01〜0.5M程度、反応温度は−20℃〜10℃程度、反応時間は5分間〜1時間程度である。ヨウ化サマリウムはヒドラジンに対してモル比で2〜5倍使用する。
【0022】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
合成例1
本合成例では3−フェニルプロパナール−ベンゾイルヒドラゾン(化合物4a)を合成した。
N−ベンゾイルヒドラジン(50 mmol)をTHF(100 ml)に溶解し、3−フェニルプロパナール(55 mmol)と濃塩酸(1滴)を加えた後1時間還流した。室温に戻した後、氷冷し、析出した沈殿を濾取した。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶して3−フェニルプロパナール−ベンゾイルヒドラゾンを白色結晶として収率75%で得た。生成物の物性を以下に示す。
3-Phenylpropanal benzoylhydrazone(化合物4a): mp 130℃; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 2.67 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.84 (t, J = 7.32 Hz, 2H), 7.16-7.29 (m, 5H), 7.38 (dd, J = 7.8, 7.4 Hz, 2H), 7.48 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.64 (br s, 1H), 7.80 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 9.61 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ32.8, 33.9, 126.2, 127.4, 128.4, 128.6, 131.9, 133.1, 140.5, 151.6, 164.2; IR (KBr): 3238, 3059, 1653, 1284, 1045, 874, 789, 696 cm-1; Anal. Calcd for C16H16N2O: C 76.16; H 6.39; N 11.10. Found: C 76.29; H 6.58; N 11.14
【0023】
化合物4b〜4jも同様の方法により合成した。以下、これらの分析データを記す。
化合物4b:
Benzaldehyde p-methoxybenzoylhydrarone : Mp 201-202℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.84 (s, 3H), 6.93 (br d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.30-7.37 (m, 3H), 7.70 (m, 2H), 7.86 (m, 1H), 8.30 (br s, 1H); IR (KBr) 3201, 1633, 1257, 1174, 845, 766, 696 cm-1; Anal. Calcd for Cl5H14N2O2: C, 70.85; H, 5,55; N, 11.02. Found: C, 70.66; H, 5.69; N, l0.90.
化合物4c:
p-Chlorobenzaldehyde benzoylhydrazone : Mp 174.7- 174.8℃; 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7,51-7.54 (m, 4H), 7.59 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.43 (s, 1H), 11.95 (br s, 1H); 13C NMR (150 MHz, DMSO-d6) δ 127.7, 128.6, 128.8, 129.1, 132.0, 133.3, 134.6, 146.5, 163.3; IR (KBr) 3292, 3062, 1667, 1605, 1542, 1485, 1282, 1146, 1088, 826, 679 cm-1; HR-ESIMS calcd for Cl4Hl2ClN20 (M+H+) 259.0593, found 259.0605.
化合物4d:
p-Anisaldehyde benzoylhydrazone : Mp 155.5-155.6℃; 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.78 (s, 3H), 6.81 (s, 1H), 7.38-7.52 (m, 3H), 7.62 (d. J = 5.5 Hz, 2H), 7.89 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.35 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 10.18 (br s, 1H) 13C NMR (150 MHz CDCl3) δ 55.3, 114.0, 136.3, 127.4, 128.6, 129.4, 131.9, 133.3, 148.8, 161.4, 164.4; IR (KBr) 3203, 1641, 1605, 1546, 1256, 1168, 1026, 833, 696 cm-1; Anal. Calcd for Cl5H14N2O2: C, 70.85; H, 5.55; N, 11.02. Found: C, 70.99; H, 5.71; N, 11.13.
化合物4e:
Cinnamaldehyde benzoylhydrazone : Mp 145-146℃; 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6)δ 7.06 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.31-7.40 (m, 3H), 7.50-7.63 (m, 5H), 7.89 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.23 (d, J = 7. 6 Hz, 1H), 11.8 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, DMSO-d6) δ 125.7, 127.2, 127. 7, 128.6, 128.9, 131.8, 133.4, 136.0, 139.2, 149.8, 163.1; IR (KBr) 3199, 3033, 1672, 1547, 1371, 1252, 1146, 1041, 800, 710 cm-1; Anal. Calcd for Cl1H12N2O3: C, 59.99; H, 5.49; N, 12.76. Found: C, 60.06; H, 5.61; N, 12.56.
化合物4g:
2-Methylpropanal benzoylhydrazone : Mp 129.6-129.9℃; 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.09 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 2.61-2.66 (m, 1H), 7.37-7.53 (m, 4H), 7.81 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 9.79 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 19.9, 31.6, 127,4, 128.5, 131.8, 133.3, 167,6, 164.4; IR (KBr) 3234, 3071, 2965, 1650, 1549, 1354, 1282, 1145, 1031, 887, 694 cm-1; Anal. Calcd for Cl1H14N2O: C, 69.45; H, 7.46; N, 14.73. Found: C, 69.63; H, 7.53; N, 14.65.
化合物4h:
Cyclohexanecarboxaldehyde benzoylhydrazone : Mp 170℃; 1H NMR (600 MHz. CDCl3) δ 1.13-1.32 (m, 6H), 1.65-1.81 (m, 4H), 2.34-2.39 (m, 1H), 7.37 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.46-7.53 (m, 2H), 7.80 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 9.80 (br s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 25.3, 25.8, 30.1, 4O.9, 127.4, 128.5, 131.8, 133.3, 156.7, 164.3; IR (KBr) 3201, 2925, 1645, 1556, 1448, 1147, 1043, 694 cm-1; Anal. Calcd for Cl4H18N2O: C, 73.01; H, 7.88; N, 12.16. Found C, 73.25; H, 8.03; N, 12.12.
化合物4j:
Ethyl benzoylhydrazonoacetate : Mp 194℃; 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ l.39 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 4.34 (q, J = 7.6, 2H), 7.12 (br s, 1H), 7.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.61 (t. J = 7.6 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 7.6 Hz, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 14.0, 61.9, 127.7, 128.8, 129.9, 131.8, 132.9, 162.5; IR (KBr) 3267, 3060, 1647, 1539, 1367, 1281, 1132, 1047, 985, 900, 748, 690 cm-1; Anal. Calcd for Cl6H14ClN2O: C, 76.78; H, 5.64; N, 11.19. Found: C, 76.83; H, 5.83; N, 11.17.
【0024】
合成例2
本合成例では以下の手順でプロパギルトリクロロシラン(化合物2)を調製した。
フッ化銅(II)(0.50 mmol、和光純薬工業)を含む乾燥エーテル(20 ml)中に、攪拌しながら20℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(40 mmol、東京化成工業)、塩化プロパギル(20 mmol、東京化成工業)又は臭化プロパギル(20 mmol、東京化成工業)、トリクロロシラン(44 mmol、東京化成工業)を順次滴下した。混合物を20℃で3〜12時間攪拌し、反応液の一部を採取し重クロロホルムで希釈し、H−NMRを測定し収率及び生成した化合物2とアレニルトリクロロシラン(化合物3)の比率を決定した。収率75%、化合物2:化合物3=>99:1。
【0025】
合成例3
本合成例では以下の手順でアレニルトリクロロシラン(化合物3)を調整した。
ビス(2,4−ペンタジオネート)ニッケル(II)(0.50 mmol、和光純薬工業)を含む乾燥エーテル(20 ml)中に、攪拌しながら20℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(40 mmol)、塩化プロパギル(20 mmol)又は臭化プロパギル(20 mmol)、トリクロロシラン(44 mmol)を順次滴下した。混合物を20℃で3〜12時間攪拌し、反応液の一部を採取し重クロロホルムで希釈し、H−NMRを測定し収率及び生成した化合物2と化合物3の比率を決定した。収率75%、化合物2:化合物3=1:>99。
【実施例1】
【0026】
本実施例では、N'−(1−フェニルヘキサ−4,5−ジエン−3−イル)ベンゾヒドラジド(化合物5a)を合成した。
合成例1で得た3−フェニルプロパナール−ベンゾイルヒドラゾン(化合物4a、1.0 mmol)のDMF(10 ml、和光純薬工業)溶液を0℃に冷却し、合成例2で調整したプロパギルトリクロロシラン(化合物2)のエーテル溶液(1.5 mmol、濃度はNMRで決定)を滴下した。24時間攪拌後トリエチルアミン(7.5 mmol) のメタノール溶液を滴下して反応を停止した。さらに30分間攪拌し、室温まで昇温、水を加えた後、塩化メチレンで3回抽出した。有機相を併せて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮し、得られた残渣を調製用薄層クロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製して化合物5aを収率93%で得た。生成物の物性データを以下に示す。
N'-(1-phenylhexa-4,5-dien-3-yl)benzohydrazide (化合物5a) (表1, entry 1): 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.89 (dt, J = 7.2 Hz, J = 8.1 Hz, 2H), 2.25 (br s, 1H), 2.70 (dt, J = 4.5 Hz, J = 8.1 Hz, 2H), 3.56 (m, 1H), 4.81 (dd, J = 2.4 Hz, J = 7.2 Hz, 2H), 5.18 (dt, J = 6.0 Hz, J = 7.2 Hz, 1H), 7.10-7.28 (m, 5H), 7.38-7.59 (m, 3H), 7.70-7.91 (m, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): ( 31.4, 34.3, 58.0, 77.3, 94.4, 125.9, 127.5, 128.3, 128.5, 128.6, 132.6, 134.7, 141.9, 167.0, 207.5; IR (neat): 3286, 2932, 1954, 1711, 1638, 1450, 895, 700 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C19H20N2O [M+H]+: m/z 292.1576, found: m/z 292.1578.
【0027】
次に、この反応の基質に対する依存性を調べた。その結果を表1に示す。
【表1】

【0028】
芳香族ヒドラゾン(化合物4b、4c)及びα−ヒドラゾノエステル(化合物4j)からは高い選択性と高収率(3%〜87%)で目的物が得られた。脂肪族化合物(化合物4f〜h)及びα、β−不飽和化合物もスムースに反応が進行し、完全な位置選択性で対応するN−アシル−N'−アレニルメチルヒドラジンが得られた(収率70%〜80%、entries 5-8)。
一方、芳香族基質(化合物4d)と立体障害のある基質(化合物4i)の場合は若干収率が低下した(entry 4, 9)。ほとんど全ての場合において位置選択性は完璧であったが、芳香族ヒドラゾンを用いた場合(化合物4b−d)のみ、僅かに選択性が低下し、ホモプロパギル体の生成が検出された(entry 2-4)。
その結果、本発明の方法が特に基質の構造や性質に依存しないことが判った。
【0029】
以下、得られた化合物5b〜5jの物性データを示す。
N'(1-Phenylbuta-2,3-dienyl)benzohydrazide (5b):
(表1, entry 2; R = Ph)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 2.92 (br s, 1H), 4.40-4.50 (m, 1H), 4.75 (dd, J = 2.5 Hz, J = 7.0 Hz, 2H), 5.43 (dt, J = 6.3 Hz, J = 7.0 Hz, 1H), 7.02-7.21 (m, 5H), 7.39-7.62 (m, 3H), 7.76-7.91 (m, 2H); 8.23 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ59.7, 77.8, 92.7, 126.9, 127.2, 127.7, 128.9, 129.2, 132.0, 134.5, 142.8, 166.0, 207.9.
N'-(1-(4-Chlorophenyl)buta-2,3-dienyl)benzohydrazide (5c):
(表1, entry 3; R = 4-ClC6H4)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ3.36 (br s, 1H), 4.47-4.59 (m, 1H), 4.73 (dd, J = 2.4 Hz, J = 7.1 Hz, 2H), 5.48 (dt, J = 6.0 Hz, J = 7.1 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 7.19 (dd, J = 9.6 Hz, 2H), 7.35-7.59 (m, 3H), 7.79-7.95 (m, 2H); 8.46 (br s, 1H), 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ60.2, 77.6, 92.0, 127.4, 128.6, 128.8, 132.5, 132.8, 134.1, 141.7, 165.9, 208.0.
N'-(1-(4-Methoxyphenyl)buta-2,3-dienyl)benzohydrazide (5d):
(表1, entry 4; R = 4-MeOC6H4)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 3.27 (br s, 1H), 3.76 (s, 3H), 4.42-4.47 (m, 1H), 4.70 (dd, J = 2.3 Hz, J = 7.0 Hz, 2H), 5.33 (dt, J = 6.3 Hz, J = 7.0 Hz, 1H), 6.67 (dt, J = 9.3 Hz, 2H), 6.90 (dt, J = 9.3 Hz, 2H), 7.38-7.57 (m, 3H), 7.77-7.89 (m, 2H); 8.18 (br s, 1H), 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 55.9, 59.5, 76.8, 92.0, 114.0, 127.9, 128.2, 128.8, 132.6, 134.0, 135.5, 158.9, 166.3, 208.0.
N'-((E)-1-Phenylhexa-1,4,5-trien-3-yl)benzohydrazide (5e):
(表1, entry 5; R = (E)-PhCH=CH)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ2.87 (br s, 1H), 3.90-4.04 (m, 1H), 4.78 (dd, J = 2.6 Hz, J = 7.3 Hz, 2H), 5.48 (dt, J = 6.2 Hz, J = 7.3 Hz, 1H), 6.16-6.21 (m, 1H), 6.50-6.56 (m, 1H), 7.07-7.35 (m, 5H), 7.38-7.60 (m, 3H), 7.79-7.97 (m, 2H), 8.26 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ58.9, 76.8, 92.5, 123.7, 126.0, 127.5, 128.1, 128.8, 129.0, 129.2, 132.2, 134.5, 135.0, 165.7, 208.1.
N'-(Hepta-1,2-dien-4-yl)benzohydrazide (5f):
(表1, entry 6; R = nPr)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ0.91-0.98 (m, 3H), 1.35-1.59 (m, 4H), 3.20-3.39 (m, 2H), 4.68 (dd, J = 2.1 Hz, J = 7.4 Hz, 2H), 5.31 (dt, J = 6.0 Hz, J = 7.4 Hz, 1H), 7.40-7.59 (m, 3H), 7.72-7.86 (m, 2H), 8.27 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ14.5, 17.9, 32.4, 55.8, 75.8, 93.0, 127.5, 128.6, 131.9, 134.1, 165.8, 207.4.
N'-(2-Methylhexa-4,5-dien-3-yl)benzohydrazide (5g):
(表1, entry 7; R = iPr)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.05 (d, J = 7.5 Hz, 6H), 2.17 (m, 1H), 3.20-3.38 (m, 2H), 4.75 (dd, J = 2.5 Hz, J = 7.2 Hz, 2H), 5.44 (dt, J = 6.4 Hz, J = 7.2 Hz, 1H), 7.37-7.55 (m, 3H), 7.75-7.94 (m, 2H), 8.15 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ17.8, 29.6, 63.3, 75.7, 93.6, 127.4, 128.7, 132.2, 134.6, 165.6, 207.7.
N'-(1-Cyclohexylbuta-2,3-dienyl)benzohydrazide (5h):
(表1, entry 8; R = Cy)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.32-1.56 (m, 10H), 1.68-1.75 (m, 1H), 3.17 (br s, 1H), 3.27-3.36 (m, 1H), 4.66 (dd, J = 2.3 Hz, J = 6.9 Hz, 2H), 5.31 (dt, J = 6.1 Hz, J = 6.9 Hz, 1H), 7.32-7.51 (m, 3H), 7.79-8.15 (m, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ26.7, 27.8, 28.2, 29.9, 56.7, 76.2, 92.8, 127.5, 128.5, 132.0, 134.3, 165.9, 207.9.
N'-(2,2-Dimethylhexa-4,5-dien-3-yl)benzohydrazide (5i):
(表1, entry 9; R = tBu)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.02 (s, 9H), 3.16-3.28 (m, 2H), 4.75 (dd, J = 2.3 Hz, J = 7.0 Hz, 2H), 5.40 (dt, J = 6.0 Hz, J = 7.0 Hz, 1H), 7.42-7.64 (m, 3H), 7.73-7.96 (m, 2H), 8.30 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 24.2, 34.8, 72.3, 75.5, 93.6, 127.5, 128.4, 131.9, 134.4, 165.8, 207.8.
Ethyl 2-(Benzamido)penta-3,4-dienoate (5j):
(表1, entry 10; R = CO2Et)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 3.37 (br s, 1H), 4.10-4.21 (m, 3H), 4.74 (dd, J = 2.5 Hz, J = 7.2 Hz, 2H), 5.39 (dt, J = 6.2 Hz, J = 7.2 Hz, 1H), 7.40-7.55 (m, 3H), 7.74-7.90 (m, 2H), 8.45 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ14.1, 61.0, 63.9, 76.9, 92.7, 127.5, 128.8, 132.5, 134.3, 165.9, 171.5, 208.0.
【実施例2】
【0030】
本実施例では、N'−(1−フェニルヘキサ−5−イン−3−イル)ベンゾヒドラジド(化合物6a)を合成した。
プロピオンアルデヒドベンゾイルヒドラゾン(化合物4a、1.0 mmol)のDMF(10 ml) 溶液に10℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.5 mmol)と合成例3で調製した化合物3のエーテル溶液(1.5 mmol、濃度はNMRで決定)を滴下した。24時間攪拌後トリエチルアミン(7.5 mmol) のメタノール溶液を滴下して反応を停止した。さらに30分間攪拌し、室温まで昇温、水を加えた後、塩化メチレンで3回抽出した。有機相を併せて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮し、得られた残渣を調製用薄層クロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製して化合物6aを収率85%で得た。生成物の物性データを以下に示す。
N'-(1-phenylhex-5-yn-3-yl)benzohydrazide(化合物6a)(表2, entry 1): 1H NMR (CDCl3): δ 1.79-2.02 (m, 3H), 2.08 (t, J = 2.7 Hz, 1H), 2.26-2.49 (m, 2H), 2.65-2.89 (m, 2H), 3.29 (tt, J = 5.4 Hz, J = 11.7 Hz, 1H), 7.11-7.24 (m, 5H), 7.31-7.55 (m, 3H), 7.65-7.85 (m, 3H); 13C NMR (CDCl3): ( 29.0, 29.9, 32.1, 58.5, 71.2, 80.8, 126.2, 127.8, 128.1, 128.6, 129.0, 132.9, 134.9, 141.2, 166.7; IR (neat): 3290, 2926, 2118, 1705, 1644, 1451, 880, 698 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C19H20N2O [M+H]+: m/z 292.1576, found: m/z 292.1575.
【0031】
次に、この反応の基質に対する依存性を調べた。その結果を表2に示す。
【表2】

【0032】
種々のヒドラゾン(化合物4a−j)とアレニルトリクロロシラン(化合物3)との反応の結果、収率はプロパギルシラン(化合物2)を用いた反応に比べると若干低下した。芳香族ヒドラゾン(化合物4b、4c)及びα、β−不飽和体(化合物4j)、α−ヒドラゾノエステル(化合物4j)からは、良好な選択性で対応するN−アシル−N’−ホモプロパギルヒドラジン(化合物6)が70〜76%で得られた(表2, entry 2,3,5,10)。脂肪族の基質(化合物4f-4i)も化合物3と円滑に反応して目的物(化合物6f−6i)が58〜69%で得られた(entry 6-9)。
この場合もほとんどの場合、位置選択性は完璧であり、芳香族ヒドラゾン(化合物4b−4d)を用いた場合のみ僅かにアレニル体が検出された(entry 2-4)。
【0033】
以下、得られた化合物6b〜6jの物性データを示す。
N'-(1-Phenylbut-3-ynyl)benzohydrazide (6b):
(表2, entry 2; R = Ph)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.87 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 2.41-2.75 (m, 3H), 4.01-4.13 (m, 1H), 7.05-7.18 (m, 5H), 7.39-7.59 (m, 3H), 7.76-7.92 (m, 2H), 8.22 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 25.9, 58.7, 70.5, 87.2, 126.9, 127.0, 127.7, 128.5, 128.9, 132.2, 134.4, 143.3, 165.9.
N'-(1-(4-Chlorophenyl)but-3-ynyl)benzohydrazide (6c):
(表2, entry 3; R = 4-ClC6H4)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.95 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 2.43-2.65 (m, 2H), 2.96 (br s, 1H), 4.21 (tt, J = 5.1 Hz, J = 11.4 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.34-7.55 (m, 3H), 7.80-8.05 (m, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 25.9, 58.6, 69.9, 87.0, 127.5, 128.5, 128.9, 132.1, 132.4, 134.5, 141.9, 165.8.
N'-(1-(4-Methoxyphenyl)but-3-ynyl)benzohydrazide (6d):
(表2, entry 4; R = 4-MeOC6H4)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.92 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 2.40-2.77 (m, 3H), 3.97-4.11 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 6.70 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 7.03 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 7.39-7.56 (m, 3H), 7.70-7.91 (m, 2H), 8.29 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 25.9, 56.3, 58.7, 69.8, 87.1, 114.4, 127.6, 128.1, 128.9, 132.2, 134.1, 135.4, 158.7, 165.6.
N'-((E)-1-Phenylhex-1-en-5-yn-3-yl)benzohydrazide (6e):
(表2, entry 5; R = (E)-PhCH=CH)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.88 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 2.16-2.60 (m, 3H), 3.25-3.37 (m, 1H), 6.07-6-11 (m, 1H), 6.42-6.48 (m, 1H), 7.14-7.30 (m, 5H), 7.45-7.67 (m, 3H), 7.72-7.92 (m, 2H), 8.09 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 27.0, 58.1, 69.9, 86.9, 126.3, 127.5, 128.2, 128.6, 128.9, 129.2, 129.5, 132.0, 134.5, 135.3, 165.7.
N'-(Hept-1-yn-4-yl)benzohydrazide (6f):
(表2, entry 6; R = nPr)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.90-1.02 (m, 3H), 1.30-1.54 (m, 4H), 1.84 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 2.10-2.39 (m, 2H), 2.49-2.70 (m, 2H), 7.31-7.55 (m, 3H), 7.65-7.85 (m, 2H), 8.09 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 14.3, 16.9, 31.8, 34.5, 55.2, 69.4, 83.9, 127.7, 128.9, 132.2, 134.0, 165.6.
N'-(2-Methylhex-5-yn-3-yl)benzohydrazide (6g):
(表2, entry 7; R = iPr)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.01 (d, J = 7.4 Hz, 6H), 1.85 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 2.00-2.11 (m, 1H), 2.17-2.68 (m, 4H), 7.37-7.52 (m, 3H), 7.69-7.90 (m, 2H), 8.17 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 17.0, 28.9, 30.8, 62.3, 69.4, 84.7, 127.5, 128.8, 132.0, 134.3, 165.9.
N'-(1-Cyclohexylbut-3-ynyl)benzohydrazide (6h):
(表2, entry 8; R = Cy)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.30-1.53 (m, 10H), 1.65-1.72 (m, 1H), 1.89 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 2.29-2.76 (m, 3H), 2.79-2.86 (m, 1H), 7.37-7.57 (m, 3H), 7.69-8.05 (m, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 26.0, 27.5, 28.4, 29.7, 39.0, 58.5, 69.2, 83.8, 127.6, 128.5, 132.6, 134.2, 165.7.
N'-(2,2-Dimethylhex-5-yn-3-yl)benzohydrazide (6i):
(表2, entry 9; R = tBu)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.07 (s, 9H), 1.90 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 2.15-2.69 (m, 4H), 7.38-7.59 (m, 3H), 7.66-7.90 (m, 2H), 8.25 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 23.9, 27.5, 33.0, 69.7, 70.9, 84.6, 127.6, 128.9, 132.1, 134.2, 166.0.
Ethyl 2-(Benzamido)pent-4-ynoate (6j):
(表2, entry 10; R = CO2Et)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.85 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 2.00 (br s, 1H), 2.48-2.79 (m, 3H), 3.80-3.89 (m, 1H), 4.15 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 7.34-7.61 (m, 3H), 7.75-7.90 (m, 2H), 8.19 (br s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): δ 14.0, 22.7, 61.5, 61.9, 70.9, 87.4, 127.6, 129.0, 132.1, 134.4, 166.1, 172.5.
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の方法により製造されるN−アシルヒドラジン及びそれらから誘導されるアミン化合物はピロリジン誘導体の原料になるなど(Org. Lett. 2001, 3, 511-514)、医薬品などファインケミカルズの合成中間体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−アシルヒドラゾンとプロパギルトリハロシラン又はアレニルトリハロシランとを反応させることから成るN−アシルヒドラジンの製法。
【請求項2】
下記一般式
化1: RHC=NNHCOR
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は複素環基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素を表す。)
で表されるN−アシルヒドラゾンと下記一般式
化2: CH≡C−CH−SiX
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるプロパギルトリハロシラン又は
化3: CH=C=CH−SiX
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアレニルトリハロシランとを反応させることから成る下記一般式
化4: CH=C=CH−CHR−NH−NHCOR
又は
化5: CH≡C−CH−CHR−NH−NHCOR
(式中、RびRは上記と同様に定義される。)で表されるN−アシルヒドラジンの製法。
【請求項3】
ジメチルホルムアミドを反応溶媒として用いる請求項1又は2に記載の製法。
【請求項4】
反応系に更に3級アミンを添加する請求項1〜3のいずれか一項に記載の製法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の製法により製造されたN−アシルヒドラジンを、更に、ヨウ化サマリウムと反応させることから成るアレニルメチルアミン又はホモプロパギルアミンの製法。
【請求項6】
前記アレニルメチルアミンが下式
化6: CH=C=CH−CHR−NH
で表され、前記ホモプロパギルアミンが下式
化7: CH≡C−CH−CHR−NH
(式中、Rは上記と同様に定義される。)で表される請求項5に記載の製法。

【公開番号】特開2007−191440(P2007−191440A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12214(P2006−12214)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】