説明

N−アセチルグルコサミンの酵素定量方法

【課題】簡便で迅速であり、精度の高いGlcNAcの定量方法を提供する。
【解決手段】試料中のN−アセチルグルコサミンの定量方法であって、(1)N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させる工程、及び(2)前記(1)工程で生成するNADPH又はNADH量を測定し、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量する工程を有することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の定量方法、GlcNAcの定量用キット、及びGlcNAcの定量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GlcNAcは甲殻類の外骨格に含まれるキチンを構成する単糖であり、細菌や糸状菌の細胞壁に含有される。生体内ではグルコサミノグルカン(ヒアルロン酸など)の合成に利用されている。また、GlcNAcは甘味料や機能性食品原料として知られており、製造販売も行われている。そのため、GlcNAc原料製品、及びGlcNAc配合食品・製品の成分分析試験やGlcNAcの機能性を探索するための研究などで優れたGlcNAcの定量方法が要望されている。
【0003】
従来のGlcNAcの定量方法としては、(1)HPLC法や(2)酵素定量方法(N-アセチルヘキソサミンデヒドロゲナーゼなどを用いる方法)がある。(1)HPLC法は一般的な機器分析法であるが、操作が煩雑であり簡便で迅速なGlcNAcの定量方法が必要である。また、ピークが重なるという問題もある。(2)酵素定量方法としては、非特許文献1や特許文献1に記載の方法がある。
【0004】
非特許文献1には、シュードモナス(Pseudomonas) sp. 15-1由来のN-アシル-D-ヘキソサミンオキシダーゼ(N-acyl-D-hexosamine oxidase)について記載されている。そして、当該酵素とGlcNAcを反応させ、生成したH2O2を4-アミノアンチピリンとN,N-ジメチルアニリンと反応させ、生成したキノンイミン色素を測定することによりGlcNAcの測定を行うことが記載されている。しかしながら、当該酵素はN-アセチルガラクトサミンとも同レベルで反応するため、基質特異性という点で問題がある。
【0005】
特許文献1には、N-アセチルヘキソサミンデヒドロゲナーゼを使用したGlcNAc又はN-アセチルガラクトサミンの定量方法が記載されている。具体的な測定原理は以下の反応式に示されるものであり、生成したNADHを測定することによりGlcNAcの定量を行う。この定量方法はGlcNAcとN-アセチルガラクトサミンの両方を定量することを目的としており、GlcNAcのみを特異的に定量する方法ではない。
GlcNAc(N-アセチルガラクトサミン)+NAD→N-アセチルグルコサミノラクトン(N-アセチルガラクトサミノラクトン)+NADH+H+
【0006】
非特許文献2には、特許文献1の実施例で使用されているシュードモナス sp. 53由来のN-アセチルヘキソサミンデヒドロゲナーゼについて記載されている。そして、当該酵素はGlcNAcとN-アセチルガラクトサミンに対して活性があることが記載されており、GlcNAcの定量に使用する場合には基質特異性に問題がある。
【0007】
生合成経路においては、N-アセチルグルコサミン1-リン酸がUDP-N-アセチルグルコサミンとなり、グリコシルトランスフェラーゼにより複合糖質などに組み込まれる。大腸菌のGlcNAc代謝経路は図1に示されており、GlcNAcがフルクトース-6-リン酸(F-6-P)になり、F-6-Pは解糖系に入って代謝されることになる。図1に示されている大腸菌由来のGlcNAc代謝関連酵素は、N-アセチルグルコサミンキナーゼ(N-Acetylglucosamine kinase, NagK)、N-アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ(N-Acetylglucosamine-6-phosphate deacetylase, NagA)、及びグルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ(Glucosamine-6-phosphate deaminase, NagB)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平6−67317号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T. Horiuchi, Agric. Biol. Chem., 53(2), 361-368, 1989
【非特許文献2】T. Horiuchi et al., Agric. Biol. Chem., 53(7), 1919-1925, 1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述するように、従来のGlcNAcの定量方法は、操作が煩雑であることや、他の糖に反応し分析精度が低い等の問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、簡便で迅速であり、精度の高いGlcNAcの定量方法、GlcNAcの定量用キット、及びGlcNAcの定量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の大腸菌のGlcNAc代謝経路以外のGlcNAc代謝経路は、膜貫通酵素を用いるものであるため、ミクロソームを調製等する必要があり簡便に使用することが困難であった。
【0013】
本発明者らは、前述の大腸菌のGlcNAcの代謝経路で使用される3種類の酵素に加えて、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(Glucose-6-phophate isomerase, PGI)及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(Glucose-6-phosphate dehydrogenase, G6PDH)をGlcNAcに作用させることによって、上記目的を達成することができるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次のGlcNAcの定量方法、GlcNAcの定量用キット、及びGlcNAcの定量装置を提供するものである。
【0014】
項1.試料中のN−アセチルグルコサミンの定量方法であって、
(1)N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させる工程、及び
(2)前記(1)工程で生成するNADPH又はNADH量を測定し、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量する工程
を有することを特徴とする方法。
【0015】
項2.前記(1)工程の前にヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させ、生成するNADPH又はNADHを測定する前処理を行い、前記(2)工程において測定されたNADPH又はNADH量から前処理で測定されたNADPH又はNADH量を差し引いた値を用いて、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量することを特徴とする、項1に記載の方法。
【0016】
項3.N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含むN−アセチルグルコサミンの定量用キット。
【0017】
項4.更にヘキソキナーゼを含むことを特徴とする、項3に記載のキット。
【0018】
項5.試料中のN−アセチルグルコサミンを定量する装置であって、
試料に作用させるN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第一固定化体と、
第一固定化体での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを検知する第一検出機構とを備える
ことを特徴とするN−アセチルグルコサミンの定量装置。
【0019】
項6.前記第一固定化体の上流において、
試料に作用させるヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第二固定化体と、
第二固定化体での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを検知し、前記第一固定化体へ試料を送る第二検出機構を更に有する
ことを特徴とする項5に記載の装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明のGlcNAcの定量方法、定量用キット及び定量装置は、簡便且つ迅速であり、精度が高いGlcNAcの定量が可能である。また、更にヘキソキナーゼを使用する本発明のGlcNAcの定量方法、定量用キット及び定量装置は、GlcNAcに加えてグルコースを含む試料であっても、グルコースの影響を排除し、精度の高いGlcNAcの定量が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】大腸菌のGlcNAcの代謝経路を示す図である。GlcNAc-6-P:N-アセチルグルコサミン-6-リン酸、GlcN-6-P:グルコサミン-6-リン酸、F-6-P:フルクトース-6-リン酸
【図2】本発明のGlcNAcの定量方法の比色分析システムを示す図である。PGI:グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、G6PDH:グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、G-6-P:グルコース-6-リン酸、Gl-6-P:グルコノ-δ-ラクトン-6-リン酸
【図3】本発明のグルコースの影響を排除したGlcNAcの定量方法の比色分析システムを示す図である。
【図4】GlcN-6-Pの比色分析における時間(秒)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【図5】GlcN-6-Pの比色分析におけるGlcN-6-Pの濃度(mM)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【図6】精製したNagK、NagA及びNagBのSDS-PAGEの結果を示す写真である。レーン1:マーカー、レーン2:NagK、レーン3:NagA、レーン4:NagB
【図7】GlcNAcの比色分析における時間(秒)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【図8】GlcNAcの比色分析におけるGlcNAcの濃度(mM)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【図9】基質特異性の試験における時間(秒)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【図10】グルコースの影響を排除したGlcNAcの定量性の試験における時間(秒)と吸光度(340 nm)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のGlcNAcの定量方法、GlcNAcの定量用キット、及びGlcNAcの定量装置について詳細に説明する。
【0023】
GlcNAcの定量方法
本発明のGlcNAcの定量方法(I)は、(1)N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させる工程、及び(2)前記(1)工程で生成するNADPH又はNADH量を測定し、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量する工程を有することを特徴とする。
【0024】
本発明のGlcNAcの定量方法の測定原理は図2に示されている。このように5種類の酵素を組み合わせることで、簡便且つ迅速であり、精度が高いGlcNAcの定量が可能となる。
【0025】
更に、本発明のGlcNAcの定量方法(II)は、前記(1)工程の前にヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させ、生成するNADPH又はNADHを測定する前処理を行い、前記(2)工程において測定されたNADPH又はNADH量から前処理で測定されたNADPH又はNADH量を差し引いた値を用いて、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量することを特徴とする。当該定量方法はGlcNAcに加えグルコースを含む試料を使用する場合であっても、グルコースの影響を排除し、精度の高いGlcNAcの定量が可能となる。当該定量方法の測定原理は図3に示されている。ヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを先に添加してグルコースを反応系外に除いた後に、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、及びグルコース−6−リン酸イソメラーゼを添加することで、図10に示されているような2段階のNADPH又はNADHの生成が測定される。前処理で生成したNADPH又はNADHはグルコース由来のものであり、(2)工程で測定されるNADPH又はNADHはグルコースとGlcNAc由来のものであるから、(2)工程で測定されるNADPH又はNADH量から前処理で測定されるグルコース由来のNADPH又はNADH量を差し引くことで、測定すべきGlcNAc由来のNADPH又はNADH量を求めることができる。
【0026】
上記グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼは、GlcN-6-Pを脱アミノ化しF-6-Pを生成させることができるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、大腸菌由来のものが好ましく、特に大腸菌由来のNagBが好ましい。NagBのアミノ酸配列は、配列表の配列番号1及び2に示されている。また、配列番号1及び2で表されるアミノ酸配列において1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるグルコサミン−6−リン酸デアミナーゼも好ましい。
【0027】
上記N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼは、GlcNAc-6-Pを脱アセチル化しGlcN-6-Pを生成させることができるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、大腸菌由来のものが好ましく、特に大腸菌由来のNagAが好ましい。NagAのアミノ酸配列は、配列表の配列番号3及び4に示されている。また、配列番号3及び4で表されるアミノ酸配列において1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるN−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼも好ましい。
【0028】
上記N−アセチルグルコサミンキナーゼは、GlcNAcをリン酸化しGlcNAc-6-Pを生成させることができるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、大腸菌由来のものが好ましく、特にNagKが好ましい。NagKのアミノ酸配列は、配列表の配列番号5及び6に示されている。また、配列番号5及び6で表されるアミノ酸配列において1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるN−アセチルグルコサミンキナーゼも好ましい。
【0029】
上記「1個若しくは2個以上」の範囲は特に限定されないが、例えば1〜50個、好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜12個、更に好ましくは1〜9個、特に好ましくは1〜5個を意味する。特定のアミノ酸において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が置換、欠失、若しくは付加させる技術は公知である。
【0030】
上記グルコース−6−リン酸イソメラーゼは、F-6-Pを異性化しG-6-Pを生成させることができるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、例えば酵母由来のものが挙げられる。
【0031】
上記グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼは、G-6-PとNADP+からGl-6-PとNADPHを生成させることができるもの、又はG-6-PとNAD+からGl-6-PとNADHを生成させることができるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、例えば酵母由来のものが挙げられる。NADP+を基質とするものとしては、例えばロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)由来のものがある。
【0032】
上記ヘキソキナーゼは、グルコースとATPからG-6-PとADPを生成させることができるものできるものであれば、微生物、動物及び植物いずれの由来のものでも使用できるが、例えば酵母由来のものが挙げられる。
【0033】
本明細書において、微生物、動物又は植物由来の酵素とは微生物、動物又は植物が産生する酵素、及び該酵素のアミノ酸配列において、1又はそれ以上のアミノ酸を置換、付加、欠失、挿入させることで得られる改変体を広く包含する。
【0034】
上記酵素は市販品として入手可能であるか、又は公知の遺伝子配列の情報を利用して遺伝子を取得し形質転換体を作製することにより生産することができる。生産した酵素の精製は、硫酸アンモニウム塩折法、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー等により行うことができる。
【0035】
本発明の試料としては、GlcNAcの定量が求められているものであれば特に限定されず、例えばGlcNAc原料製品、GlcNAc配合食品、サプリメント、医薬、ヒト又は動物の血液、血漿又は血清、微生物、植物、ヒト又は動物の細胞抽出液等が挙げられる。試料は希釈液により希釈されていても良く、そのような希釈液としては緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、例えばリン酸カリウム緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、グリシン-塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。試料は酵素反応の前に前処理されていも良く、そのような処理としては加熱処理等が挙げられる。
【0036】
本発明のGlcNAcの定量方法(I)では、試料に上記5種類の酵素を作用させる際には、好ましくはすべての酵素を一緒に添加して一度に反応させる。酵素の反応平衡を考慮すると酵素を個別に添加するよりすべての酵素を一緒に添加した方が、酵素反応で生じた反応生成物をすぐに次の反応に移すことができるため望ましい。当該5種類の酵素は作用温度及びpHが重複しているものを用いることが望ましい。
【0037】
本発明のGlcNAcの定量方法(II)では、ヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを先に添加しグルコースからGl-6-Pへの反応が終了後、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、及びグルコース−6−リン酸イソメラーゼを添加する。酵素の反応平衡を考慮すると、前者の2種類の酵素又は後者の5種類の酵素は個別に添加するよりすべての酵素を一緒に添加した方が、酵素反応で生じた反応生成物をすぐに次の反応に移すことができるため望ましい。当該6種類の酵素は作用温度及びpHが重複しているものを用いることが望ましい。
【0038】
本発明のGlcNAcの定量方法(I)では、試料に上記5種類の酵素を作用させる条件としては使用する酵素の特性に応じて適宜設定することができるが、pHは通常6〜9、温度は通常25〜40℃である。分析する試料に上記5種類の酵素を作用させる時間は、分析する試料の特性に応じて適宜設定することができるが、通常20〜40分である。上記5種類の酵素の作用温度やpHが共通する場合はすべての酵素の反応を同時に行うことができ、作用温度やpHが酵素により異なる場合は逐次段階的に必要とされる温度やpHに設定し反応を行うことができる。
【0039】
本発明のGlcNAcの定量方法(II)では、試料に上記6種類の酵素を作用させる条件としては使用する酵素の特性に応じて適宜設定することができるが、例えばpHは通常6〜9、温度は通常25〜40℃である。分析する試料に上記6種類の酵素を作用させる時間は、分析する試料の特性に応じて適宜設定することができるが、作用時間は通常20〜40分である。上記6種類の酵素の作用温度やpHが共通する場合はすべての酵素の反応を同条件で行うことができ、作用温度やpHが酵素により異なる場合は逐次段階的に必要とされる温度やpHに設定し反応を行うことができる。
【0040】
本発明のGlcNAcの定量方法(I)及び(II)において、GlcNAcにそれぞれ上記5又は6種類の酵素を作用させる反応液(以下、単に反応液という)中の上記5又は6種類の酵素の量は、含まれるGlcNAc量等を考慮して分析に適切な酵素量に適宜調整することができるが、それぞれ通常1〜5 unit/mlである。
【0041】
本発明において、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びへキソキナーゼの活性は実施例に記載の方法により測定される活性である。
【0042】
反応液には、試料と酵素の他にはATP(アデノシン三リン酸)とNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)又はNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が含まれている必要がある。NADP+とNAD+のいずれを使用するかは、どちらを基質とするグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを使用するかで適宜決定する。反応液中のATPの量は、通常7〜10 mMであり、NADP+とNAD+の量は、通常0.3〜0.5 mMである。これら以外では反応液には、緩衝液、金属塩等が含まれていても良い。緩衝液としては、前述するものが挙げられる。反応液に緩衝液を使用する場合には、試料も同じ緩衝液で予め希釈されていても良い。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0043】
本発明の酵素作用により生成されるNADPH又はNADHの定量は、これらの物質を定量できる方法であればいかなる方法を用いても良いが、例えば340nmにおける吸光度を測定する方法が挙げられる。
【0044】
本発明のGlcNAcの定量方法(I)及び(II)の一例として次の方法が挙げられる。まずGlcNAcの濃度が既知の溶液を適宜希釈した標準試料について本発明の方法によりNADPH又はNADHを測定し、GlcNAc濃度に対するNADPH又はNADH量(340nmにおける吸光度等)の検量線を作成する。そして、GlcNAcの含量が未知の試料を用いて本発明によりNADPH又はNADHを測定し、上記検量線からGlcNAc量を求めることができる。
【0045】
GlcNAcの定量用キット
本発明のGlcNAcの定量用キット(I)は、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含むことを特徴とする。
【0046】
本発明のGlcNAcの定量用キットを用いて前記GlcNAcの定量方法(I)を実施することで、簡便且つ迅速であり、精度が高いGlcNAcの定量が可能となる。
【0047】
本発明のGlcNAcの定量用キット(II)は更にヘキソキナーゼを含んでおり、その場合は当該キットを用いてGlcNAcの定量方法(II)を実施することで、GlcNAcに加えグルコースを含む試料を使用する場合であっても、グルコースの影響を排除し、精度の高いGlcNAcの定量が可能となる。
【0048】
本発明のGlcNAcの定量用キット(I)及び(II)を使用する方法は、それぞれ前述するGlcNAcの定量方法(I)及び(II)を適用できる。
【0049】
N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びヘキソキナーゼは前述したものと同様である。
【0050】
本発明のGlcNAcの定量用キット(I)は、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼからなる少なくとも5成分を含有する酵素液を含み、当該酵素液は必ずしも1つでなくても良く、上記5成分を単独又は任意の組み合わせで含有する複数の酵素液であっても良い。当該酵素はまた乾燥粉末の形態でキットに含まれていても良い。
【0051】
また、本発明のGlcNAcの定量用キット(II)は、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ及びグルコース−6−リン酸イソメラーゼからなる少なくとも4成分を含有する酵素液と、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びヘキソキナーゼからなる少なくとも2成分を含有する酵素液を含むものである。N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ及びグルコース−6−リン酸イソメラーゼを含有する酵素液は必ずしも1つでなくても良く、上記4成分を単独又は任意の組み合わせで含有する複数の酵素液であっても良い。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びヘキソキナーゼを含有する酵素液は必ずしも1つでなくても良く、上記2成分を単独で含有する2つの酵素液であっても良い。当該酵素はまた乾燥粉末の形態でキットに含まれていても良い。
【0052】
本発明のGlcNAcの定量用キットは、上記酵素の他にATPとNADP+又はNAD+を含んでいても良い。NADP+とNAD+のいずれを使用するかは、どちらを基質とするグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを使用するかで適宜決定する。ATPとNADP+又はNAD+は水溶液又は粉末の形態でキットに含まれていることが好ましい。
【0053】
本発明のGlcNAcの定量用キットは、更に緩衝剤、金属塩等を含んでいても良い。緩衝剤としては、例えばリン酸カリウム緩衝剤、トリス-塩酸緩衝剤、グリシン-塩酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤等が挙げられる。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。緩衝剤及び金属塩は水溶液又は粉末の形態でキットに含まれていることが好ましい。
【0054】
GlcNAcの定量装置
本発明のGlcNAcの定量装置(I)は、試料中のN−アセチルグルコサミンを定量する装置であって、試料に作用させるN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第一固定化体と、第一固定化体での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを検知する第一検出機構とを備えることを特徴とする。
【0055】
本発明のGlcNAcの定量装置を用いて試料を分析することで、簡便且つ迅速であり、精度が高いGlcNAcの定量が可能となる。
【0056】
また、本発明のGlcNAcの定量装置(II)は、前記第一固定化体の上流において、試料に作用させるヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第二固定化体と、第二固定化体での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを検知し、前記第一固定化体へ試料を送る第二検出機構を更に有することを特徴とする。当該構成とすることで、GlcNAcに加えグルコースを含む試料を使用したとしても、グルコースの影響を排除し、精度の高いGlcNAcの定量が可能となる。当該装置を用いた具体的な測定機構は次の通りである。ヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第二固定化体に試料を通過させ、当該第二固定化での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを第二検出機構で検知する。その後、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第一固定化体に試料を通過させて、当該第一固定化での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを第一検出機構で検知する。第一検出機構で検知した(グルコースとGlcNAc由来の)NADPH又はNADH量から第二検出機構で検知した(グルコース由来の)NADPH又はNADH量を引くことで、グルコースの影響を排除したGlcNAc由来のNADPH又はNADH量を求めることができる。
【0057】
上記の「第一固定化体の上流」とは、試料を投入する上流から下流に向けて、第二固定化体→第二検出機構→第一固定化体→第一検出機構の順で配置されていることを意味する。
【0058】
N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ及び試料は前述したものと同様である。
【0059】
第一固定化体では、試料が投入され、試料と酵素が接触し、酵素が試料に作用することでGlcNAcの存在によりNADPH又はNADHが生成する反応が起きる。反応後の試料は次の第一検出機構に送られる。当該第一固定化体は、酵素が反応できる温度に設定するために加温装置を備えていることが望ましい。
【0060】
第一検出機構では、第一固定化体を通過した試料が投入され、第一固定化体での試料の反応で生成したNADPH又はNADHを検知する。検知後の試料は回収又は破棄される。試料中のGlcNAc量は、第一検出機構により検知されたNADPH又はNADH量と標準試料から求められた検量線から第一演算機構により算出することで求めることができる。
【0061】
第二固定化体では、試料が投入され、試料と酵素が接触し、酵素が試料に作用することでグルコースの存在によりNADPH又はNADHが生成する反応が起きる。反応後の試料は次の第二検出機構に送られる。当該第二固定化体酵素は、酵素が反応できる温度に設定するために加温装置を備えていることが望ましい。
【0062】
第二検出機構では、第二固定化体を通過した試料が投入され、第二固定化体での試料の反応で生成したNADPH又はNADHを検知する。検知後の試料は上記第一固定化機構に送られる。グルコースの影響を排除した試料中のGlcNAc量は、まず第一検出機構により検知されたNADPH又はNADH量から第二検出機構により検知されたNADPH又はNADH量を差し引いた値を第二演算機構により求め、当該値と標準試料から求められた検量線から第一演算機構により算出することで求めることができる。
【0063】
N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第一固定化体はこれらの酵素が均一に固定されていることが好ましい。また、ヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第二固定化体もこれらの酵素が均一に固定化されていることが好ましい。
【0064】
本発明のGlcNAcの定量装置は、更に試料を注入する機構を備えていても良い。本発明のGlcNAcの定量装置(I)では、当該試料の注入機構に注入された試料は第一固定化体に送られる。本発明のGlcNAcの定量装置(II)では、当該試料の注入機構に注入された試料は第二固定化体に送られる。
【0065】
本発明のGlcNAcの定量装置で分析を行う試料は、ATPとNADP+又はNAD+を含んでいることが好ましい。NADP+とNAD+のいずれを使用するかは、どちらを基質とするグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを使用するかで適宜決定する。当該試料は、更に緩衝液、金属塩等を含んでいることが好ましい。緩衝液としては、例えばリン酸カリウム緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、グリシン-塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。使用する緩衝液は固定化酵素の活性が高くなるpHになるように適宜選択すれば良い。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0066】
本発明で使用する酵素の固定化方法としては、物理吸着法、イオン結合法、包括法、共有結合法などタンパク質の固定化方法として公知の方法を利用できる。タンパク質を共有結合させる方法としては、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド基を有する化合物を用いる方法、多官能基性アシル化剤を利用する方法、スルフヒドリル基を架橋させる方法などの方法を利用できる。酵素固定化体の形状としては、膜状に固定化し電極上にのせても良いし、不溶性担体に固定化し担体をカラムリアクターに充填しても良い。
【0067】
NADPH又はNADHを検知する検出機構としては、これらの物質を検知できる検出機構であればいかなる機構を用いても良いが、例えば340nmにおける吸光度を測定することによりNADPH又はNADHを検知する検出機構が挙げられる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0069】
1.材料
1.1.試薬
遺伝子工学用試薬
NdeI TaKaRa
EcoRI TaKaRa
XhoI TaKaRa
KOD Plus TOYOBO
DNA Ligation kit ver. 2 TaKaRa
PCR-M VIOGENE
Mini-M VIOGENE
定量用試薬
グルコース-6-リン酸イソメラーゼ(PGI)Barker’s Yeast SIGMA
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)Leuconostoc mesenteroides オリエンタル酵母
グルコース(Glu) 和光純薬
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc) ナカライテスク
N-アセチルグルコサミン-6-リン酸(GlcNAc-6P) SIGMA
グルコサミン-6-リン酸(GlcN-6P) SIGMA
上記以外の試薬は、特級市販品を使用した。
【0070】
1.2.使用菌株およびプラスミドベクター
Escherichia coli K-12、E. coli JM109(TaKaRa)、およびE. coli Rosetta-Gami B(DE3)(Novagen)を用いた。E. coli K-12は染色体DNAの抽出に、E. coli JM109は遺伝子クローニング時の宿主として、E. coli Rosetta-Gami B(DE3)は組換えタンパク質の発現時の宿主として用いた。
【0071】
また、発現プラスミドにはpET22b(+)(Novagen)を用いた。
【0072】
2.グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼ(NagB)の発現と精製
2.1.NagB遺伝子発現系の構築
(1)プライマーの設計とPCR
NagB(protein database ID: AAC73772.1)遺伝子配列(配列番号1)中にはNdeI制限酵素サイト(塩基配列664-669)が含まれている。まず、塩基配列1-506までをPCRで増幅するために、プライマーNBNdef1とNBEcor1を設計した(表1)。NBNdef1はNdeI制限酵素サイト、NBEcor1はEcoRI制限酵素サイトを導入した。次いで、塩基配列507-801までを増幅するために、プライマーEcoNBf1とxhoNBr1を設計した(表1)。EcoNBf1はEcoRI制限酵素サイト、xhoNBr1はXho I制限酵素サイトを導入した。
【0073】
PCRの鋳型にE. coli K-12の染色体DNAを用い、ポリメラーゼはKOD DNAポリメラーゼを使用した(94℃ 30 sec、55℃ 30 sec、72℃ 1 min、30 cycle)。得られた遺伝子断片は、PCR産物精製キットPCR-M(VIOGENE)を用いて精製した。
【0074】
【表1】

【0075】
(2)制限酵素処理とライゲーション
塩基配列1-506を含むPCR産物とpET22b(+)を、制限酵素Nde IとEcoRIを用いて消化した。制限酵素処理した遺伝子断片とプラスミドpET22b(+) のライゲーションは、TaKaRa ligation kit ver.2を用いて行った。ライゲーション産物は、E. coli JM109のコンピテント細胞に形質転換した。目的遺伝子を含むプラスミドを持つE. coli JM 109を特定し、プラスミドDNA精製キットMini-M(VIOGENE)を用いてプラスミドを精製した。得られたプラスミドをpET-NagB1-506とした。
【0076】
同様に、塩基配列507-801を含むPCR産物とpET-NagB1-506を制限酵素EcoRIとXho Iを用いて消化し、TaKaRa ligation kit ver.2を用いてライゲーションした。得られたプラスミドをpET-NagBとした。
【0077】
(3)NagB遺伝子の発現
pET-NagBをE. coli Rosetta-Gami B(DE3)に形質転換し、その形質転換したE. coli Rossetta gami B(DE3)を、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む5 mlのLB培地2本に植菌し、振とう培養した(37℃,18 h)。次いで、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む1 LのLB培地に接種し、OD600が0.6以上に達するまで、20℃で振とう培養した(12 h)。
【0078】
OD600が0.6以上になった時、最終濃度が0.4 mMとなるようにIPTGを培養液に加え、さらに12時間培養した。
【0079】
2.2.NagBの精製
(1)無細胞抽出液の調製
上で得た培養液を遠心分離(5,000×g、10 min、4℃)し、菌体を得た。菌体を10 mM Tris-HCl緩衝液 (pH 8.0)に懸濁し、菌懸濁液とした。菌懸濁液を超音波処理後、遠心分離(10,000×g、15 min、4℃)し、上清を得た。上清を同緩衝液に対して一晩透析し、無細胞抽出液とした。
【0080】
(2)硫酸アンモニウム分画
無細胞抽出液に、硫酸アンモニウムを30%飽和となるように添加し、1時静置後、遠心分離(10,000×g、10 min)によって上清と沈殿を得た。また、上清に硫酸アンモニウムを60%飽和となるように添加し、1時間静置した。遠心分離(10,000×g, 10 min)によって得た沈殿を、Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)に溶解し、同様に透析した(硫酸アンモニウム30-60%画分)。
【0081】
(3)DEAE-cellulofine A-500 カラムクロマトグラフィー
硫酸アンモニウム30-60%画分を10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化したDEAE-cellulofineカラム(3.0 × 6.0 cm)に吸着させ、同緩衝液で洗浄した。吸着タンパク質は、同緩衝液中のNaCl濃度を100 mMに高めることで溶出した。100 mM NaCl溶出画分に溶出したNagB活性画分を回収した。同緩衝液に対して1夜透析したものをNagB単一標品とした。
【0082】
3.N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼ(NagA)の発現と精製
3.1.NagA遺伝子発現系の構築
(1)プライマーの設計とPCR
ゲノムデータベースに公開されているNagA(protein database ID: AAC73771.1)遺伝子配列(配列番号3)の5’末端上流と3’末端下流の配列に基づいて、これらに相補的なプライマーNANdef1とNAEcor1を設計した(表2)。なお、NANdef1はNdeI制限酵素サイト、NAEcor1はEcoRI制限酵素サイトを導入した。
【0083】
【表2】

【0084】
PCRの鋳型にE. coli K-12の染色体DNAを用い、ポリメラーゼはKOD DNAポリメラーゼを使用した(94℃ 30 sec、55℃ 30 sec、72℃ 1 min、30 cycle)。得られた遺伝子断片は、PCR産物精製キットPCR-M(VIOGENE)を用いて精製した。
【0085】
(2)制限酵素処理とライゲーション
精製したPCR産物と発現プラスミドpET22b(+)を、制限酵素Nde IとEcoRIを用いて消化した。制限酵素処理した遺伝子断片とプラスミドpET22b(+)のライゲーションは、TaKaRa ligation kit ver.2を用いて行った。ライゲーション産物は、E. coli JM109のコンピテント細胞に形質転換した。目的遺伝子を含むプラスミドを持つE. coli JM 109を特定し、プラスミドDNA精製キットMini-M(VIOGENE)を用いてプラスミドを精製した。
得られたプラスミドをpET-NagAとした。
【0086】
(3)NagA遺伝子の発現
pET-NagAをE. coli Rosetta-Gami B(DE3)に形質転換し、その形質転換したE. coli Rossetta gami B(DE3)を、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む5 mlのLB培地2本に植菌し、振とう培養した(37℃,18 h)。次いで、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む1 LのLB培地に接種し、OD600が0.6以上に達するまで、20℃で振とう培養した(12 h)。
【0087】
OD600が0.6以上になった時、最終濃度が0.4 mMとなるようにIPTGを培養液に加え、さらに12時間培養した。
【0088】
3.2.NagAの精製
(1) 無細胞抽出液の調製
上で得た培養液を遠心分離(5,000×g、10 min、4℃)し、菌体を得た。菌体を10 mM Tris-HCl緩衝液 (pH 8.0)に懸濁し、菌懸濁液とした。菌懸濁液を超音波処理後、遠心分離(10,000×g、15 min、4℃)し、上清を得た。上清を同緩衝液に対して一晩透析し、無細胞抽出液とした。
【0089】
(2)硫酸アンモニウム分画
無細胞抽出液に、硫酸アンモニウムを10%飽和となるように添加し、1時静置後、遠心分離(10,000×g、10 min)によって上清と沈殿を得た。また、上清に硫酸アンモニウムを60%飽和となるように添加し、1時間静置した。遠心分離(10,000×g, 10 min)によって得た沈殿を、Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)に溶解し、同様に透析した(硫酸アンモニウム10-60%画分)。
【0090】
(3)DEAE-cellulofine A-500 カラムクロマトグラフィー
硫酸アンモニウム10-60%画分を10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化したDEAE-cellulofineカラム(3.0 × 6.0 cm)に吸着させ、同緩衝液で洗浄した。吸着タンパク質は、同緩衝液中のNaCl濃度を100 mM、150 mMと段階的に高めることで溶出した。150 mM NaCl溶出画分に溶出したNagA活性画分を回収した。
【0091】
(4)Butyl-Toyopearl 650M カラムクロマトグラフィー
30%飽和になるように硫酸アンモニウムを添加した陰イオン交換クロマトグラフィー150 mM NaCl溶出画分を、30%硫酸アンモニウムを含む10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化したButyl-Toyopearl 650M カラムに吸着させた。カラムを同緩衝液で洗浄後、吸着したタンパク質を、緩衝液中の硫酸アンモニウムの濃度を30%から0%まで直線的に低下させて溶出した。活性画分を回収して、10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)に対して1晩透析したものをNagA単一標品とした。
【0092】
4.N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NagK)の発現と精製
4.1.NagK遺伝子発現系の構築
(1)プライマーの設計とPCR
NagK(protein database ID: AAC74203.1)遺伝子配列(配列番号5)中にはNdeI制限酵素サイト(塩基配列469-474)が含まれている。まず、塩基配列1-352までをPCRで増幅するために、プライマーNKNdef1とNKEcor1を設計した(表3)。NKNdef1はNdeI制限酵素サイト、NKEcor1はEcoRI制限酵素サイトを導入した。次いで、塩基配列353-912までを増幅するために、プライマーEcoNKf1とxhoNKr1を設計した(表3)。EcoNKf1はEcoRI制限酵素サイト、xhoNKr1はXho I制限酵素サイトを導入した。
【0093】
PCRの鋳型にE. coli K-12の染色体DNAを用い、ポリメラーゼはKOD DNA polymeraseを使用した。得られた遺伝子断片は、PCR産物精製キットPCR-M(VIOGENE)を用いて精製した。
【0094】
【表3】

【0095】
(2)制限酵素処理とライゲーション
塩基配列1-352を含むPCR産物とpET22b(+)を、制限酵素Nde IとEcoRIを用いて消化した。制限酵素処理した遺伝子断片とプラスミドpET22b(+) のライゲーションは、TaKaRa ligation kit ver.2を用いて行った。得られたプラスミドをpET-NagK1-352とした。
【0096】
同様に、塩基配列353-912を含むPCR産物とpET-NagK1-352を制限酵素EcoRIとXho Iを用いて消化し、TaKaRa ligation kit ver.2を用いてライゲーションした。得られたプラスミドをpET-NagKとした。
【0097】
(3)NagK遺伝子の発現
pET-NagKをE. coli Rosetta-Gami B(DE3)に形質転換し、その形質転換したE. coli Rossetta gami B(DE3)を、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む5 mlのLB培地2本に植菌し、振とう培養した(37℃,18 h)。次いで、50 μg/mlのアンピシリン、25 μg/mlのクロラムフェニコール、25 μg/mlのカナマイシンを含む1 LのLB培地に接種し、OD600が0.6以上に達するまで、20℃で振とう培養した(12 h)。
【0098】
OD600が0.6以上になった時、最終濃度が0.4 mMとなるようにIPTGを培養液に加え、さらに12時間培養した。
【0099】
4.2.NagKの精製
(1)無細胞抽出液の調製
上で得た培養液を遠心分離(5,000×g、10 min、4℃)し、菌体を得た。菌体を10 mM Tris-HCl緩衝液 (pH 8.0)に懸濁し、菌懸濁液とした。菌懸濁液を超音波処理後、遠心分離(10,000×g、15 min、4℃)し、上清を得た。上清を同緩衝液に対して一晩透析し、無細胞抽出液とした。
【0100】
(2)DEAE-cellulofine A-500 カラムクロマトグラフィー
無細胞抽出液を10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化したDEAE-cellulofineカラム(3.0 × 6.0 cm)に吸着させ、同緩衝液で洗浄した。吸着タンパク質は、同緩衝液中のNaCl濃度を100 mMに高めることで溶出した。100 mM NaCl溶出画分に溶出したNagK活性画分を回収した。10 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に対して1夜透析した。
【0101】
(3)Hydroxyapatiteカラムクロマトグラフィー
陰イオン交換クロマトグラフィー100 mM NaCl溶出画分を10 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)で平衡化したHydroxyapatiteカラム(3.0 × 6.0 cm)に吸着させ、同緩衝液で洗浄した。リン酸カリウム濃度を10 mMから300 mMまで直線的に高め、溶出を行った。NagK活性画分を回収し、10 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に対して1夜透析したものをNagK単一標品とした。
【0102】
5.活性測定
5.1.グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼ活性
グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼ活性は、表4に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。なお、(光路長:1 cm)NADPHの340 nmにおけるモル吸光係数は6.22×103である。
【0103】
グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0104】
【表4】

【0105】
5.2.N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼ活性
N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼは、表5に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。
【0106】
N-アセチルグルコサミン-6-リン酸デアセチラーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0107】
【表5】

【0108】
5.3.N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ活性
N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ活性は、表6に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。
【0109】
N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0110】
【表6】

【0111】
5.4.グルコース−6−リン酸イソメラーゼ活性
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ活性は、表7に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。なお、(光路長:1 cm)NADPHの340 nmにおけるモル吸光係数は6.22×103である。
【0112】
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0113】
【表7】

【0114】
5.5.グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ活性
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ活性は、表8に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。なお、(光路長:1 cm)NADPHの340 nmにおけるモル吸光係数は6.22×103である。
【0115】
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0116】
【表8】

【0117】
5.6.へキソキナーゼ活性
へキソキナーゼ活性は、表9に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定することにより求めた(日立レシオビーム分光光度計U-1900)。なお、(光路長:1 cm)NADPHの340 nmにおけるモル吸光係数は6.22×103である。
【0118】
へキソキナーゼ1 unitは、1分間に1 μmolのNADPHを生成する酵素量とした。
【0119】
【表9】

【0120】
(結果)
NagBの発現と精製
発現させたNagBの精製を行った結果について表10に示す。
【0121】
【表10】

【0122】
GlcN-6-Pの比色分析
表11に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定した。結果を図4及び5に示す。図5の結果からGlcN-6-P濃度と吸光度の関係は直線的であり、GlcN-6-Pの定量が可能なことが分かる。
【0123】
【表11】

【0124】
NagAの発現と精製
発現させたNagAの精製を行った結果について表12に示す。
【0125】
【表12】

【0126】
NagKの発現と精製
発現させたNagKの精製を行った結果について表13に示す。
【0127】
【表13】

【0128】
精製したNagB、NagA及びNagKについてSDS-PAGEを行った結果を図6に示す。この結果からそれぞれ単一のバンドが得られていることが分かる。
【0129】
GlcNAcの比色分析
表14に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定した。結果を図7及び8に示す。図8の結果からGlcNAc濃度と吸光度の関係は直線的であり、GlcNAcの定量が可能なことが分かる。
【0130】
【表14】

【0131】
基質特異性
GlcNAcに代えて表15に記載の基質を含む表14に示した反応液を用いて、反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定した。結果を図9に示す。GlcNAcに対する比活性を表15に示す。表15の結果から、本発明の方法はグルコースを除く基質に対してはほとんど反応せず、基質特異性が高いことが分かる。
【0132】
【表15】

【0133】
グルコースの影響を排除したGlcNAcの定量
上記のように本発明のGlcNAcの定量方法は、GlcNAcとグルコースを両方含むサンプルを定量する場合にはグルコースも検出することになる。NagK、NagA、NagB及びPGIを添加する前にへキソキナーゼとG6PDHを添加することで図3に示すようにグルコースがGl-6-Pになる。その後にNagK、NagA、NagB及びPGIを添加することでGlcNAcがGl-6-Pになる反応が進むので、この2段階反応の2段階目のNADPHの変化を測定することでグルコースの影響を排除しGlcNAcのみの定量が可能となる。
【0134】
表16に示した反応液を用いて、へキソキナーゼとG6PDHを先に添加し、後からNagK、NagA、NagB及びPGIを添加することによる反応液中のNADPHの増加量を340 nmにおける吸光度の変化によって測定した。結果を図10に示す。図10の結果からグルコースの反応とGlcNAcの反応が二段階で起こることが分かるので、GlcNAcとグルコースを両方含むサンプルであってもGlcNAcの定量をすることが可能である。
【0135】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のN−アセチルグルコサミンの定量方法であって、
(1)N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させる工程、及び
(2)前記(1)工程で生成するNADPH又はNADH量を測定し、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量する工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記(1)工程の前にヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを試料に作用させ、生成するNADPH又はNADHを測定する前処理を行い、前記(2)工程において測定されたNADPH又はNADH量から前処理で測定されたNADPH又はNADH量を差し引いた値を用いて、予め求めた検量線からN−アセチルグルコサミンを定量することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含むN−アセチルグルコサミンの定量用キット。
【請求項4】
更にヘキソキナーゼを含むことを特徴とする、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
試料中のN−アセチルグルコサミンを定量する装置であって、
試料に作用させるN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−リン酸デアセチラーゼ、グルコサミン−6−リン酸デアミナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第一固定化体と、
第一固定化体での試料の反応によって生成したNADPH又はNADHを検知する第一検出機構とを備える
ことを特徴とするN−アセチルグルコサミンの定量装置。
【請求項6】
前記第一固定化体の上流において、
試料に作用させるヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを固定化した第二固定化体と、
第二固定化体での試料の反応によっ生成したNADPH又はNADHを検知し、前記第一固定化体へ試料を送る第二検出機構を更に有する
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−229503(P2011−229503A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105545(P2010−105545)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行所名 日本農芸化学会関西・中四国・西日本支部 日本食品栄養・食糧学会九州・沖縄支部 日本食品科学工学会西日本支部 2009年度合同沖縄大会 大会実行委員会 刊行物名 日本農芸化学会関西・中四国・西日本支部 日本食品栄養・食糧学会九州・沖縄支部 日本食品科学工学会西日本支部 2009年度合同沖縄大会講演要旨集 発行年月日 2009年10月30日
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】