説明

N−(オルト−フェニル)−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボキシアニリドおよびそれらの殺菌剤としての使用

本発明は、式Iの1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボン酸-(オルト-フェニル)-アニリド[式中、置換基は次の意味を有する:R1およびR2は独立してハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロゲンアルキル、シアノ、ニトロ、メトキシ、トリフルオロメトキシまたはジフルオロメトキシを表し;ただし、R2が4位の塩素を表す場合には、R1は3位のトリフルオロメチルを表さない]に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

【0002】
[式中、置換基は下記に定義される通りである:
R1およびR2は互いに独立して、ハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、シアノ、ニトロ、メトキシ、トリフルオロメトキシまたはジフルオロメトキシであり;
ただし、R2が4位の塩素である場合には、R1は3位のトリフルオロメチルではない]
のN-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドに関する。
【0003】
さらに、本発明は化合物Iを使用して有害な菌類を防除する方法、および殺菌組成物を調製するための化合物Iの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
N-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドはEP-A 0589301により公知であり、この文献にはそれらの調製法、およびそれらと混合することが可能な、殺菌剤(fungicides, bactericides)、殺ダニ剤、殺線虫剤および殺虫剤の群からの薬剤のリストも開示されている。
【0005】
WO 01/42223にも同様に、フェニル環が一置換されたN-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドが開示されている。
【0006】
JP 09 132567には、フェニル環がトリフルオロメチルにより置換されたN-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドが開示されている。
【0007】
しかしながら、記載された1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドは、特に低い施量において完全に満足できるものではない。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、特に低い施量において、改善された殺菌作用を有する新規の1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドを提供することである。
【0009】
その結果、本発明者らは上記で定義した式Iの化合物を見出した。
【0010】
式I
【化2】

【0011】
[式中、置換基は下記の通りに定義される:
R1およびR2は互いに独立して、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシまたはトリフルオロメチルである]
のN-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリドが好ましい。
【0012】
さらに、R1およびR2が互いに独立して、フッ素、塩素、シアノまたはメトキシである式Iの化合物が好ましい。
【0013】
R1およびR2が互いに独立してフッ素または塩素である式Iの化合物が特に好ましい。
【0014】
R1およびR2がフェニル環の3および4位に位置する式Iの化合物が非常に好ましい。
【0015】
本発明の化合物Iの中でも、下記の表に記載する式Ia〜Ifの化合物が好ましい。
【化3】

【表1】

【0016】
表1:
化合物1.1〜1.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0017】
表2:
化合物2.1〜2.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0018】
表3:
化合物3.1〜3.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0019】
表4:
化合物4.1〜4.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0020】
表5:
化合物5.1〜5.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0021】
表6:
化合物6.1〜6.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0022】
表7:
化合物7.1〜7.11
R1がトリフルオロメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0023】
表8:
化合物8.1〜8.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0024】
表9:
化合物9.1〜9.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0025】
表10:
化合物10.1〜10.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Iaの化合物。
【0026】
表11:
化合物11.1〜11.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0027】
表12:
化合物12.1〜12.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0028】
表13:
化合物13.1〜13.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0029】
表14:
化合物14.1〜14.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0030】
表15:
化合物15.1〜15.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0031】
表16:
化合物16.1〜16.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0032】
表17:
化合物17.1〜17.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0033】
表18:
化合物18.1〜18.11
R1がトリフルオロメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0034】
表19:
化合物19.1〜19.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0035】
表20:
化合物20.1〜20.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0036】
表21:
化合物21.1〜21.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0037】
表22:
化合物22.1〜22.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ibの化合物。
【0038】
表23:
化合物23.1〜23.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0039】
表24:
化合物24.1〜24.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0040】
表25:
化合物25.1〜25.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0041】
表26:
化合物26.1〜26.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0042】
表27:
化合物27.1〜27.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0043】
表28:
化合物28.1〜28.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0044】
表29:
化合物29.1〜29.11
R1がトリフルオロメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0045】
表30:
化合物30.1〜30.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0046】
表31:
化合物31.1〜31.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0047】
表32:
化合物32.1〜32.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0048】
表33:
化合物33.1〜33.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Icの化合物。
【0049】
表34:
化合物34.1〜34.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0050】
表35:
化合物35.1〜35.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0051】
表36:
化合物36.1〜36.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0052】
表37:
化合物37.1〜37.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0053】
表38:
化合物38.1〜38.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0054】
表39:
化合物39.1〜39.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0055】
表40:
化合物40.1〜40.10
R1がトリフルオロメチルであり、R2が、番号2の意味を有するものを除いて、それぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0056】
表41:
化合物41.1〜41.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0057】
表42:
化合物42.1〜42.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0058】
表43:
化合物43.1〜43.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0059】
表44:
化合物44.1〜44.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Idの化合物。
【0060】
表45:
化合物45.1〜45.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0061】
表46:
化合物46.1〜46.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0062】
表47:
化合物47.1〜47.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0063】
表48:
化合物48.1〜48.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0064】
表49:
化合物49.1〜49.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0065】
表50:
化合物50.1〜50.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0066】
表51:
化合物51.1〜51.11
R1がトリフルオロメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0067】
表52:
化合物52.1〜52.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0068】
表53:
化合物53.1〜53.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0069】
表54:
化合物54.1〜54.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0070】
表55:
化合物55.1〜55.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ieの化合物。
【0071】
表56:
化合物56.1〜56.11
R1がフッ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0072】
表57:
化合物57.1〜57.11
R1が塩素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0073】
表58:
化合物58.1〜58.11
R1が臭素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0074】
表59:
化合物59.1〜59.11
R1がヨウ素であり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0075】
表60:
化合物60.1〜60.11
R1がメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0076】
表61:
化合物61.1〜61.11
R1がメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0077】
表62:
化合物62.1〜62.11
R1がトリフルオロメチルであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0078】
表63:
化合物63.1〜63.11
R1がトリフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0079】
表64:
化合物64.1〜64.11
R1がシアノであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0080】
表65:
化合物65.1〜65.11
R1がニトロであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0081】
表66:
化合物66.1〜66.11
R1がジフルオロメトキシであり、R2がそれぞれ表Aの1つの欄に記載される通りの意味を有する式Ifの化合物。
【0082】
本発明において、ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を、特にフッ素および塩素を意味する。
【0083】
「アルキル」という用語は、直鎖および分枝鎖アルキル基を含む。それらは、好ましくは直鎖および分枝鎖C1〜C6-アルキル基である。アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチルなどのアルキルである。
【0084】
ハロアルキルは、1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および塩素により部分的または完全にハロゲン化された、上に定義された通りのアルキル基である。好ましくは、1〜3個のハロゲン原子が存在し、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0085】
式Fの化合物を調製する方法はEP-A 0 589 301により公知である。
【0086】
たとえば、式IIの1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾールカルボニルハライドを式IIIのアニリンと反応させて、式Iの化合物を得る:
【化4】

【0087】
式II中の基Halは、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子、特に塩素または臭素を意味する。
【0088】
この反応は通常-20℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃の温度で実施される。
【0089】
好適な溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよび石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、トルエン、o-、m-およびp-キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルムおよびクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アニソールおよびテトラヒドロフランなどのエーテル、アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびtert-ブチルメチルケトンなどのケトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールおよびtert-ブタノールなどのアルコール、ならびにジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドであり、特に好ましくはトルエンおよびテトラヒドロフランである。
【0090】
前記の溶媒の混合物を使用することも可能である。
【0091】
好適な塩基は、一般に、無機化合物、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属水素化物、リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドなどのアルカリ金属アミド、炭酸リチウムおよび炭酸カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、および炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、ならびに有機金属化合物、特にメチルリチウム、ブチルリチウムおよびフェニルリチウムなどのアルキルアルカリ金属、塩化メチルマグネシウムなどのハロゲン化アルキルマグネシウム、およびナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドおよびジメトキシマグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属アルコキシド、さらに有機塩基、たとえばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンおよびN-メチルピペリジンなどの第三級アミン、ピリジン、コリジン、ルチジンおよび4-ジメチルアミノピリジンなどの置換ピリジン、ならびに二環式アミンである。
【0092】
トリエチルアミンおよびピリジンを使用するのが特に好ましい。
【0093】
一般的に、塩基は、化合物IIに基づいて当モル量で使用する。しかしながら、それらを5 mol%〜30 mol%、好ましくは5 mol%〜10 mol%過剰に使用することができ、または第三級アミンの場合、適切な場合には溶媒として使用することもできる。
【0094】
一般的に、出発物質は互いに当モル量で反応させる。収率の点では、IIをIIIに対して1 mol%〜20 mol%、好ましくは1 mol%〜10 mol%過剰に使用すると有利である。
【0095】
本発明の化合物Iは、殺菌剤としての施用剤形において、他の活性化合物と共に、たとえば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤、殺菌剤と共に、あるいは肥料と共に存在させてもよい。殺菌剤としての施用剤形において化合物Iまたはそれらを含む組成物を他の殺菌剤と混合すると、多くの場合、より広い殺菌スペクトルの活性が得られる。
【0096】
下記に本発明の化合物と混合して使用することができる殺菌剤のリストを記載するが、これらは可能な組合せを例示することを目的とするものであって、それらに限定するものではない:
・鉄(III)ジメチルジチオカルバメート、亜鉛ジメチルジチオカルバメート、亜鉛エチレンビスジチオカルバメート、マンガンエチレンビスジチオカルバメート、マンガン亜鉛エチレンジアミンビスジチオカルバメート、テトラメチルチウラムジスルフィド、亜鉛(N,N’-エチレンビスジチオカルバメート)のアンモニア錯体、亜鉛(N,N’-プロピレンビスジチオカルバメート)のアンモニア錯体、亜鉛(N,N’-プロピレンビスジチオカルバメート)またはN,N’-ポリプロピレンビス(チオカルバモイル)ジスルフィドなどのイオウ、ジチオカルバメートおよびそれらの誘導体;
・ジニトロ(1-メチルヘプチル)フェニルクロトネート、2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニル3,3-ジメチルアクリレート、2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニルイソプロピルカルボネートまたはジイソプロピル5-ニトロイソフタレートなどのニトロ誘導体;
・2-ヘプタデシル-2-イミダゾリンアセテート、2,4-ジクロロ-6-(o-クロロアニリノ)-s-トリアジン、O,O-ジエチルフタルイミドホスホノチオエート、5-アミノ-1-[ビス(ジメチルアミノ)ホスフィニル]-3-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2,3-ジシアノ-1,4-ジチオアントラキノン、2-チオ-1,3-ジチオロ[4,5-b]キノキサリン、メチル1-(ブチルカルバモイル)-2-ベンズイミダゾールカルバメート、2-(メトキシカルボニルアミノ)ベンズイミダゾール、2-(2-フリル)ベンズイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、N-(1,1,2,2-テトラクロロエチルチオ)テトラヒドロフタルイミド、N-(トリクロロメチルチオ)テトラヒドロフタルイミドまたはN-(トリクロロメチルチオ)フタルイミドなどの複素環物質、
・N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-フェニル硫酸ジアミド、5-エトキシ-3-トリクロロメチル-1,2,3-チアジアゾール、2-チオシアネートメチルチオベンゾチアゾール、1,4-ジクロロ-2,5-ジメトキシベンゼン、4-(2-クロロフェニルヒドラゾノ)-3-メチル-5-イソキサゾロン、2-チオピリジン1-オキシド、8-ヒドロキシキノリンもしくはその銅塩、2,3-ジヒドロ-5-カルボキシアニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン、2,3-ジヒドロ-5-カルボキシアニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン4,4-ジオキシド、2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-3-カルボキシアニリド、2-メチルフラン-3-カルボキシアニリド、2,5-ジメチルフラン-3-カルボキシアニリド、2,4,5-トリメチルフラン-3-カルボキシアニリド、N-シクロヘキシル-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキシアミド、N-シクロヘキシル-N-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキシアミド、2-メチルベンズアニリド、2-ヨードベンズアニリド、N-ホルミル-N-モルホリン2,2,2-トリクロロエチルアセタール、ピペラジン-1,4-ジイルビス-1-(2,2,2-トリクロロエチル)ホルムアミド、1-(3,4-ジクロロアニリノ)-1-ホルミルアミノ-2,2,2-トリクロロエタン、2,6-ジメチル-N-トリデシルモルホリンもしくはその塩、2,6-ジメチル-N-シクロドデシルモルホリンもしくはその塩、N-[3-(p-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロピル]-cis-2,6-ジメチルモルホリン、N-[3-(p-tert-ブチル)フェニル]-2-メチルプロピル]ピペリジン、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-イルエチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(n-プロピル)-1,3-ジオキソラン-2-イルエチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、N-(n-プロピル)-N-(2,4,6-トリクロロフェノキシエチル)-N’-イミダゾリル尿素、1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン、1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノール、(2RS,3RS)-1-[3-(2-クロロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)オキシラン-2-イルメチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、α-(2-クロロフェニル)-α-(4-クロロフェニル)-5-ピリミジンメタノール、5-ブチル-2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン、ビス(p-クロロフェニル)-3-ピリジンメタノール、1,2-ビス(3-エトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼンまたは1,2-ビス(3-メトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン、
・メチルE-メトキシイミノ[α-(o-トリルオキシ)-o-トリル]アセテート、メチルE-2-{2-[6-(2-シアノフェノキシ)ピリミジン-4-イルオキシ]フェニル}-3-メトキシアクリレート、メチルE-メトキシイミノ-[α-(2-フェノキシフェニル)]アセトアミド、メチルE-メトキシイミノ-[α-(2,5-ジメチルフェノキシ)-o-トリル]アセトアミドなどのストロビルリン、
・N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アニリン、N-[4-メチル-6-(1-プロピニル)ピリミジン-2-イル]アニリンまたはN-[4-メチル-6-シクロプロピルピリミジン-2-イル]-アニリンなどのアニリノピリミジン、
・4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル)ピロール-3-カルボニトリルなどのフェニルピロール、
・3-(4-クロロフェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリロイルモルホリンなどのシンナムアミド、および
・酢酸ドデシルグアニジン、3-[3-(3,5-ジメチル-2-オキシシクロヘキシル)-2-ヒドロキシエチル]グルタルイミド、ヘキサクロロベンゼン、メチルN-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2-フロイル)-DL-アラニネート、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2’-メトキシアセチル)-DL-アラニンメチルエステル、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-クロロアセチル-D,L-2-アミノブチロラクトン、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(フェニルアセチル)-DL-アラニンメチルエステル、5-メチル-5-ビニル-3-(3,5-ジクロロフェニル)-2,4-ジオキソ-1,3-オキサゾリジン、3-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-5-メトキシメチル-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン、3-(3,5-ジクロロフェニル)-1-イソプロピルカルバモイルヒダントイン、N-(3,5-ジクロロフェニル)-1,2-ジメチルシクロプロパン-1,2-ジカルボキシイミド、2-シアノ-N-(エチルアミノカルボニル)-2-[メトキシイミノ]アセトアミド、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)ペンチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジフルオロ-α-(1H-1,2,4-トリアゾリル-1-メチル)ベンズヒドリルアルコール、N-(3-クロロ-2,6-ジニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5-トリフルオロメチル-3-クロロ-2-アミノピリジン、1-((ビス(4-フルオロフェニル)メチルシリル)メチル)-1H-1,2,4-トリアゾールなどのさまざまな殺菌剤。
【0097】
式Iの化合物は広範囲の植物病原性の菌類、特に子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、藻菌綱(Phycomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)のクラスに属する菌類に対して高い活性を有する点で際だっている。それらのいくつかは浸透作用を有するため、葉および土壌に作用する殺菌剤として使用することもできる。それらは種子粉衣にも使用することができる。
【0098】
それらは、ワタ、野菜種(たとえば、キュウリ、マメ、トマト、ジャガイモおよびウリ科植物)、オオムギ、牧草、オートムギ、バナナ、コーヒー、トウモロコシ、果実種、イネ、ライムギ、ダイズ、ブドウ、コムギ、観賞用植物、サトウキビなどのさまざまな栽培植物ならびに多くの種子における多くの菌類を防除する際に特に重要である。
【0099】
それらは、次の植物病原性菌類を防除するのに特に適している:すなわち、穀類のブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(うどん粉病)、ウリ科植物のエリシフェ・シコラセアラム(Erysiphe cichoracearum)およびスファエロセカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、リンゴのポドスフェラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)、ブドウのウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、穀類のプクキニア(Puccinia)属の種、ワタ、イネおよびシバのリゾクトニア(Rhizoctonia)属の種、穀類およびサトウキビのウスチラゴ(Ustilago)属の種、リンゴのベンツリア・イナエカリス(Venturia inaequalis)(黒星病)、穀類のヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属の種、コムギのセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)、イチゴ、野菜、観賞用植物およびブドウのボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色かび病)、ラッカセイのセルコスポラ・アラキディコラ(Cercospora arachidicola)、コムギおよびオオムギのシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、イネのピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)、ジャガイモおよびトマトのフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、ブドウのプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、ホップおよびキュウリのシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属の種、果実および野菜のアルタナリア(Alternaria)属の種、バナナのミコスファエレラ(Mycosphaerella)属の種、ならびにフサリウム(Fusarium)およびベルチシリウム(Verticillium)属の種である。
【0100】
望まれる効果に応じて、本発明の式Iの化合物の施量は、特に農業栽培をおこなっている区域の場合に、0.01〜8 kg/ha、好ましくは0.1〜5 kg/ha、特に0.1〜3.0 kg/haである。
【0101】
化合物Iについて、その施量は、特に0.01〜1 kg/ha、好ましくは0.05〜0.5 kg/ha、特に0.05〜0.3 kg/haである。
【0102】
種子粉衣においては、混合物の施量は、一般的に0.001〜250 g/種子kg、好ましくは0.01〜100 g/kg、特に0.01〜50 g/kgである。
【0103】
植物病原性の有害な菌類の防除において、化合物Iの施用は、植物の種蒔きの前もしくは後、または植物の発芽の前もしくは後に、種子、植物または土壌に噴霧または散粉することにより実施される。
【0104】
本発明の殺菌化合物Iは、たとえば、直接噴霧可能な溶液、粉末および懸濁液の形で、または高度に濃縮された水性、油性または他の懸濁液、分散物、エマルション、油分散物、ペースト、散粉用製品、散布用組成物または顆粒の形で調製することができ、噴霧(spraying, atomizing)、散粉、散布または注入により施用することができる。使用剤形は意図される特定の目的に依存するが、いずれの場合にも本発明の混合物の可能な限り微細で均一な分布を保証するものでなければならない。
【0105】
製剤はそれ自体公知の方法、たとえば、溶媒および/または担体を加えることにより、所望により乳化剤および分散剤を用いることにより調製される。この目的に好適な溶媒/添加剤は基本的に次の通りである。
【0106】
- 水、芳香族溶媒(たとえば、ソルベッソ(Solvesso)製品、キシレン)、パラフィン(たとえば、鉱油留分)、アルコール(たとえば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(たとえば、シクロヘキサノン、ガンマ-ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、酢酸エステル(二酢酸グリコール)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステル。原則として、溶媒混合物も用いることができる。
【0107】
- 粉砕した天然鉱物(たとえば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)および粉砕した合成鉱物(たとえば、高分散シリカ、ケイ酸塩)などの担体;非イオンおよび陰イオン乳化剤(たとえば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)などの乳化剤;およびリグノ亜硫酸廃液およびメチルセルロースなどの分散剤。
【0108】
好適な界面活性剤は、芳香族スルホン酸、たとえばリグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびジブチルナフタレンスルホン酸の、および脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、アルキルスルホネートおよびアルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート、脂肪アルコールスルフェート、および硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-およびオクタデカノールまたは脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテルまたはトリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシル化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液またはメチルセルロースである。
【0109】
粉末、散布用組成物および散粉用製品は、化合物Iを固体の担体と混合または同時に粉砕することにより調製される。
【0110】
顆粒(たとえば、コートされた顆粒、含浸顆粒および均一な顆粒)は、通常、活性化合物を固体の担体に結合させることにより調製することができる。
【0111】
充填剤および固体の担体の例は、シリカゲル、シリカ、ケイ酸塩、タルク、カオリン、石灰岩、石灰、チョーク、膠塊粘土、黄土、クレー、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕した合成材料などの鉱物土類、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、および穀物粗挽き粉、樹皮粗挽き粉、木材粗挽き粉および木の実の殻の粗挽き粉などの植物由来の製品、セルロース粉末および他の固体の担体である。
【0112】
一般的に、製剤は、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の化合物Iを含む。活性化合物は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルまたはHPLCによる)のものを使用する。
【0113】
以下に製剤の例を示す。
【0114】
1. 水により希釈するための製品
A) 水溶性濃縮物(SL)
10重量部の活性化合物を水または水溶性溶媒に溶解する。あるいは、湿潤剤または他の添加剤を加える。活性化合物は水により希釈すると溶解する。
【0115】
B) 分散性濃縮物(DC)
20重量部の活性化合物を、分散剤、たとえばポリビニルピロリドンを加えてシクロヘキサノンに溶解する。水により希釈すると分散物が得られる。
【0116】
C) 乳化性濃縮物(EC)
15重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ひまし油(それぞれ濃度5%)を加えてキシレンに溶解する。水により希釈すると乳濁液が得られる。
【0117】
D) 乳濁液(EW、EO)
40重量部の活性化合物をドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ひまし油(それぞれ濃度5%)を加えてキシレンに溶解する。この混合物を乳化器(Ultraturax)を用いて水中に導入し、均一な乳濁液を調製する。水により希釈すると乳濁液が得られる。
【0118】
E) 懸濁液(SC、OD)
撹拌したボールミル中で、20重量部の活性化合物を、分散剤、湿潤剤および水または有機溶媒を加えて粉砕し、微細な活性化合物の懸濁液が得られる。水により希釈すると、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。
【0119】
F) 水分散性顆粒および水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部の活性化合物を、分散剤および湿潤剤を加えて微細に粉砕し、技術機器(たとえば、射出機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性または水溶性顆粒を調製する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。
【0120】
G) 水分散性粉末および水溶性粉末(WP、SP)
75重量部の活性化合物を、分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを加えてローターステーターミル(rotor-stator mill)中で粉砕する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。
【0121】
2. 希釈せずに施用する製品
H) 粉剤(DP)
5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95%の微細に粉砕したカオリンと緊密に混合する。これにより散粉用製品が得られる。
【0122】
I) 粒剤(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95.5%の担体と組み合わせる。最新の方法は射出、噴霧乾燥または流動床である。これにより希釈せずに施用される顆粒が得られる。
【0123】
J) ULV溶液(UL)
10重量部の活性化合物を有機溶媒、たとえばキシレンに溶解する。これにより希釈せずに施用される製品が得られる。
【0124】
活性化合物は、そのままで、それらの製剤の形で、またはその製剤から調製された使用形態で、たとえば、直接噴霧できる溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、乳濁液、油分散物、ペースト、散粉用製品、散布用材料、または顆粒の形で、スプレー、噴霧、散粉、散布または注入により使用することができる。使用形態は意図される目的に完全に依存するが、いずれの場合にも、それらは本発明の活性化合物の可能な限り微細な分布を保証することを目的とするものである。
【0125】
水性の使用形態は、濃縮乳濁液、ペーストまたは湿潤性粉末(噴霧用粉末、油分散物)に水を加えることにより調製することができる。乳濁液、ペーストまたは油分散物を調製するために、物質を、そのままで、または油または溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤を用いて水中に均一化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤、および適切な場合には溶媒または油を含む濃縮物を調製することができ、このような濃縮物は水による希釈に適している。
【0126】
そのまま使える製剤における活性化合物濃度は比較的広い範囲内で変化し得る。一般的に、上記濃度は0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。
【0127】
活性化合物は、95重量%以上の活性化合物を含む製剤を施用することが可能な、または添加剤を含まない活性化合物を施用することさえも可能な微量散布法(ULV)にも効果的に使用することができる。
【0128】
さまざまなタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤(fungicides)、他の殺虫剤または殺菌剤(bactericides)を、適切な場合には使用の直前に、活性化合物に加えることができる(タンクミックス)。これらの薬剤は本発明の組成物に、通常1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0129】
化合物Iまたは対応する製剤は、有害な菌類、その生育環境、またはそれらから保護するべき植物、種子、土壌、領域、材料もしくは空間を、化合物Iの殺菌に有効な量で処理することにより施用される。
【0130】
施用は、有害な菌類の感染の前または後に実施することができる。
【実施例】
【0131】
調製例
実施例1
1.) オルト-(3,4-ジクロロフェニル)アニリンの合成
0.14 gのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を、20.47 gの2-ブロモアニリン、24.98 gの3,4-ジクロロフェニルボロン酸および25.23 gの炭酸ナトリウムの150 mlの水および450 mlのエチレングリコールジメチルエーテルの混合物中の溶液に加えた。混合物を48時間還流下で撹拌した。混合物を減圧濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテルに溶かし、炭酸水素ナトリウム溶液により1回、水により4回洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧濃縮した。トルエンおよびシクロヘキサン(1:2)の混合物を用いてクロマトグラフィーにより精製すると、15.5 gの生成物が淡黄色の粉末として得られた。
【0132】
2.) N-(オルト-(3,4-ジクロロフェニル)フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアミドの合成
0.32 gの1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボニルクロリド、0.36 gのオルト-(3,4-ジクロロフェニル)アニリンおよび0.23 gのトリエチルアミンを10 mlのトルエンに溶解した。混合物を室温で4時間攪拌した後、20 mlのメチルtert-ブチルエーテルを加え、混合物を濃度5%の塩酸により2回、濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液により2回、食塩水により1回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧濃縮した。トルエンおよびメチルtert-ブチルエーテルの混合物を用いてクロマトグラフィーにより精製すると、0.32 gの生成物が無色の粉末として得られた。Mp = 131〜133℃。
表67
【化5】

【表2】

【0133】
使用例
活性化合物を、25 mgの活性化合物を含み、アセトンおよび/またはDMSOおよび乳化剤Uniperol(登録商標)EL(エトキシル化アルキルフェノールをベースとする乳化および分散作用を有する湿潤剤)の溶媒/乳化剤の体積比が99:1である混合物により全体を10mlとした原液として調製した。次に、溶液に水を加えて100 mlとした。この原液を記載される溶媒/乳化剤/水の混合物を用いて下記の通りの活性化合物濃度に希釈した。
【0134】
使用例1 - ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)により引き起こされるピーマンの葉の灰色カビ病に対する活性、保護的施用
ピーマンの品種「Neusiedler Ideal Elite」の苗に、2、3枚の葉がよく発達した後に、下記の濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。翌日、処理した植物に、濃度2%のビオモルト(biomalt)水溶液中に1.7×106個/mlの胞子を含有するボトリティス・シネレアの胞子懸濁液を接種した。次に、試験植物を、22〜24℃でかつ高い大気湿度を有する暗い気候調節室に置いた。5日後には、葉の菌類感染の程度を視覚的に%で測定することができた。
【表3】

【0135】
使用例2 - プクキニア・レコンディタ(Puccinia recondita)により引き起こされるコムギの赤さび病に対する治療活性
鉢植えのコムギの品種「Kanzler」の苗の葉に、赤さび病菌(プクキニア・レコンディタ)の胞子懸濁液を接種した。次に、鉢を高い大気湿度(90〜95%)でかつ20〜22℃の室に24時間置いた。この時間内に、胞子が発芽し、発芽管が葉の組織の中に侵入した。翌日、感染した植物に、下記の濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。懸濁液またはエマルションは上記の通りに調製した。噴霧コーティングが乾燥した後、試験植物を20〜22℃の温度でかつ65〜70%の相対大気湿度の温室で7日間栽培した。次に、葉のさび菌の発達の程度を測定した。
【表4】

【0136】
使用例3 - プクキニア・レコンディタにより引き起こされるコムギの赤さび病に対する治療活性
鉢植えのコムギの品種「Kanzler」の苗の葉に、赤さび病菌(プクキニア・レコンディタ)の胞子懸濁液を接種した。次に、鉢を高い大気湿度(90〜95%)でかつ20〜22℃の室に24時間置いた。この時間内に、胞子が発芽し、発芽管が葉の組織の中に侵入した。翌日、感染した植物に、下記の濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。懸濁液またはエマルションは上記の通りに調製した。噴霧コーティングが乾燥した後、試験植物を20〜22℃の温度でかつ65〜70%の相対大気湿度の温室で7日間栽培した。次に、葉のさび菌の発達の程度を測定した。
【表5】

【0137】
使用例4 - ボトリティス・シネレアにより引き起こされるピーマンの葉の灰色カビ病に対する活性、保護的施用
ピーマンの品種「Neusiedler Ideal Elite」の苗に、2、3枚の葉がよく発達した後に、下記の濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。翌日、処理した植物に、濃度2%のビオモルト水溶液中に1.7×106個/mlの胞子を含有するボトリティス・シネレアの胞子懸濁液を接種した。次に、試験植物を、22〜24℃でかつ高い大気湿度を有する暗い気候調節室に置いた。5日後には、葉の菌類感染の程度を視覚的に%で測定することができた。
【表6】

【0138】
使用例5 - プクキニア・レコンディタにより引き起こされるコムギの赤さび病に対する治療活性
鉢植えのコムギの品種「Kanzler」の苗の葉に、赤さび病菌(プクキニア・レコンディタ)の胞子懸濁液を接種した。次に、鉢を高い大気湿度(90〜95%)でかつ20〜22℃の室に24時間置いた。この時間内に、胞子が発芽し、発芽管が葉の組織の中に侵入した。翌日、感染した植物に、下記の濃度の活性化合物を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。懸濁液またはエマルションは上記の通りに調製した。噴霧コーティングが乾燥した後、試験植物を20〜22℃の温度でかつ65〜70%の相対大気湿度の温室で7日間栽培した。次に、葉のさび菌の発達の程度を測定した。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、置換基は下記に定義される通りである:
R1およびR2は互いに独立して、ハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、シアノ、ニトロ、メトキシ、トリフルオロメトキシまたはジフルオロメトキシであり;
ただし、R2が4位の塩素である場合には、R1は3位のトリフルオロメチルではない]
のN-(オルト-フェニル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-カルボキシアニリド。
【請求項2】
R1およびR2が互いに独立して、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシまたはトリフルオロメチルである、請求項1に記載の式Iのアニリド。
【請求項3】
R1およびR2が互いに独立して、フッ素、塩素、シアノまたはメトキシである、請求項1または2に記載の式Iのアニリド。
【請求項4】
R1およびR2が互いに独立して、フッ素または塩素である、請求項1に記載の式Iのアニリド。
【請求項5】
置換基R1およびR2がフェニル環の3および4位に位置する式Iの化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iのアニリド。
【請求項6】
有害な菌類を防除する方法であって、有害な菌類、それらの生育環境または菌類が存在しない状態に保つべき植物、種子、土壌、領域、材料または空間を、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iのアニリドにより処理する、前記方法。
【請求項7】
請求項1に記載の式Iのアニリドおよび固体または液体の担体を含む殺菌組成物。

【公表番号】特表2008−502625(P2008−502625A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515842(P2007−515842)
【出願日】平成17年6月11日(2005.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006278
【国際公開番号】WO2005/123689
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】