説明

NMRにおける等核デカップリングのためのフーリエティックリング

【課題】等核カップリングのデカップリングの効果的で速い方法を提供する。
【解決手段】本発明は、励起パルスを印加すると共に、データ点を取得する高解像度NMR(核磁気共鳴)の測定方法であって、滞留時間Δtだけ間隔を空けて2つの連続したデータ点を取得する方法において、持続時間がτである1つ又は複数のティックリングRF(=無線周波数)パルスを、各滞留時間Δt内に加え、且つティックリングRFパルスの各々の平均RF場振幅が、条件<ω>=ωτ/Δt=πJをほぼ満たし、ここでJはスカラーJカップリング定数であり、ω=γBでγは磁気回転比であり、Bは各ティックリングRFパルスの磁気成分の強度であることを特徴とする方法に関する。この方法は、等核カップリングをデカップリングするのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励起パルスを印加すると共に、データ点を取得する高解像度NMR(核磁気共鳴)の測定方法であって、滞留時間Δtだけ間隔を空けて2つの連続したデータ点を取得する方法に関する。
【0002】
前述の方法は、1987年、Pergamon Press発行のアンドルー E.デローム著「Modern NMR Techniques for Chemistry Research」によって知られている。
【背景技術】
【0003】
非特許文献1の1954年ブロッホにより、高解像度CW−NMRに二重共鳴技法が最初に導入され、非特許文献2のブルーム及びシューレリーは、γB≫2π|J|になるようにRF電磁場B2を31P核に加えることにより、異核カップリングJ(31P−19F)から生じる19Fスペクトルにおける二重線の崩壊に至る可能性があることを示した。非特許文献3、4のフリーマン及びアンダーソンは、等核カップリング又は異核カップリングを用いるスピン系に適用可能であり、CW(=連続波)状での応答を観測するために主たるRF電磁場Bの周波数を掃引している間に第2のRF電磁場Bから生じるスペクトルの複雑性及び多様性を説明する理論的説明を提案した。具体的には、非特許文献5、6によると、非縮退エネルギー(non−degenerate energy)準位のトポロジー及び結合定数の相対符号についての情報を抽出することができる。非特許文献7、8によると、「スピンティックリング」実験として後に知られるようになったこれらの効果の詳細な議論は、他の箇所にも示されている。その後ずっと、(しばしば生体分子において)ますます複雑になるシステムの特性を決定するための改良された方法の開発は、解像度における利得及びスペクトルの単純化を実現に付随して起こることを望まれていた。非特許文献9〜15によると、等核のスカラー相互作用を除去することで、1Dと2Dの両方のスペクトルにおける重複領域での割当てを簡略化することができ、Jカップリングによる微細構造を排除するために数多くの方法が提案されてきた。しかし、これらの方法はいずれも、広範にわたる応用を見いだしてこなかったように思える。さらに、これらの方法は通常、2Dスペクトルの間接次元でのデカップリング効果を実現するのみである。
【0004】
上記と同様の方法が等核デカップリングとして知られており、信号の観測を通して、振幅が一定の弱いRF電磁場が加えられる。この方法では、RF照射と信号観測との間の干渉が問題点であり、複数の周波数に拡張することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】F.ブロッホ著、Phys. Rev.85、1954年、944
【非特許文献2】A.L.ブルーム及びJ.N.シューレリー著、Phys. Rev.97、1955年、1261
【非特許文献3】R.フリーマン及びW.A.アンダーソン著、J.Chem. Phys.37、1962年、2053
【非特許文献4】W.A.アンダーソン及びR.フリーマン著、J.Chem. Phys.37、1962年、85
【非特許文献5】J.A.エルビジ及びL.M.ジャクマン著、J.Chem. Soc.、1961年、859
【非特許文献6】J.P.マーハ及びD.F.エヴァンス著、Proc. Chem. Soc.、1961年、208
【非特許文献7】R.A.ホフマン及びS.フォーセン著、Prog. NMR Spectrosc.1、1966年、15
【非特許文献8】R.R.エルンスト、G.ボーデンハウゼン及びA.ヴォーガン著、Principles of Nuclear Magnetic Resonance in One and Two Dimensions、Clarendon Press Oxford、1987年、Chapter 4
【非特許文献9】W.P.アウエ、J.カルハン及びR.R.エルンスト著、J.Chem. Phys.、1976年、64、4226
【非特許文献10】A.バックス、R.フリーマン及びG.A.モリス著、J.Magn. Reson.、1981年、43、333
【非特許文献11】J.R.ガルボウ、D.P.ヴァイテカンプ及びA.パインズ著、Chem Phys. Lett.、1982年、93、504
【非特許文献12】A.J.シャカ、J.キーラー及びR.フリーマン著、J.Magn. Reson.、1984年、56、294
【非特許文献13】M.ランセ、G.ワーグナー、O.W.セーアンセン、K.ヴュートリッヒ及びR.R.エルンスト著、J.Magn. Reson.、1984年、59、250
【非特許文献14】O.W.セーアンセン、C.グリージンガー及びR.R.エルンスト著、J.Am. Chem. Soc.、1985年、107、7778
【非特許文献15】K.ツァンガー及びH.シュテルク著、J.Magn. Reson.、1997年、124、486
【非特許文献16】M.バク、J.T.ラスムッセン及びN.C.ニールセン著、J.Magn. Reson.、147、2、2000年
【非特許文献17】R.R.エルンスト、G.ボーデンハウゼン及びA.ヴォーガン著、Principles of Nuclear Magnetic Resonance in One and Two Dimensions、Clarendon Press Oxford、1987年、Chapter 2
【非特許文献18】F.ブロッホ及びA.ジガート著、Phys. Rev.、1940年、57、522
【非特許文献19】L.エムズリー及びG.ボーデンハウゼン著、Chem. Phys. Lett.、1990年、168、297
【非特許文献20】K.T.サムマネン著、Phys. Lett. A.、1991年、155、335
【非特許文献21】U.エーベルレン及びJ.S.ウォー著、Phys. Rev.、1968年、175、453
【非特許文献22】Wolfram Research,Inc.、Mathematica7.0、Wolfram Research Inc.、Champain、2008年
【非特許文献23】J.ディトマー及びG.ボーデンハウゼン著、ChemPhysChem.、2004年、5、1750
【非特許文献24】J.ディトマー及びG.ボーデンハウゼン著、ChemPhysChem.、2006年、7、831
【非特許文献25】Malcolm H. LevittがプログラムしたMathematica用のmPackagesコード(www.mhl.soton.ac.ukで入手可能)
【非特許文献26】B.ミシュラ及びE.C.G.スダルシャン著、J.Math. Phys.、1977年、18、756
【非特許文献27】H.ナカザト、M.ナミキ、S.パスカジオ及びH.ラウホ著、Phys. Lett. A、1995年、199、27
【非特許文献28】D.ホーム及びM.A.B.ウィタカー著、Annals of Physics 258、1997年、237
【非特許文献29】K.コシノ及びA.シミズ著、Physics Reports 412、2005年、191
【非特許文献30】J.M.レイモンド、C.セイリン、S.グレーズ、I.ドツェンコ、M.ブリュヌ、S.ハロシ、P.ファッキ及びS.パスカジオ著、Phys. Rev. Lett.105、2010年、213601
【非特許文献31】G.ボーデンハウゼン及びR.フリーマン及びG.A.モリス著、J.Magn. Reson.23、1976年、171
【非特許文献32】G.A.モリス及びR.フリーマン著、J.Magn. Reson. 29、1978年、433
【非特許文献33】P.カラヴァティ、G.ボーデンハウゼン及びR.R.エルンスト著、J.Magn. Reson.55、1983年、88
【非特許文献34】V.フィッツトゥーム、M.カポリニ、S.オルゼゲア及びG.ボーデンハウゼン著、J.Magn. Reson.、近刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、等核カップリングのデカップリングの効果的で速い方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
持続時間がτである1つ又は複数のティックリングRF(無線周波数)パルスが、各滞留時間Δt内に加えられ、ティックリングRFパルスの各々の平均RF場振幅が

【数1】

と<ω>=ωτ/Δt=10πJとの間にあり、ここでJはスカラーJ結合定数であり、ω=γBであって、γは磁気回転比であり、Bは各ティックリングRFパルスの磁気成分の強度であり、これによって、この目的が達成される。
【0008】
データ点を取得している間の時間間隔(滞留時間)において、短いが極めて強い無線周波数(RF)の「ティックリング」パルスを加えることにより、溶液の高解像度NMRスペクトルにおけるJカップリングスピン系での等核スカラー相互作用のデカップリングを実現することができる。平均RF場振幅、すなわちデューティサイクルでスケーリングされたピーク振幅は、条件<ω>≒πJをほぼ満たさなければならない。この方法が機能するには、<ω>が(π/10)Jと10πJの間であれば、十分と考えられる。この方法は、Jカップリングした核ペアの間での広範囲にわたる化学シフトの差について有効である。
【0009】
本発明は、一連の短いRFパルスを加えることにより、等核スカラー相互作用を取り除くための1D技法を提示する。この方法は、フーリエ分光法とティックリング分光法の組合せと見なしてもよい。不適切な(INEPT)及び不十分な(INADEQUATE)など控えめな頭辞語を念頭に、我々の方法をWindow−Acquired Spin Tickling Experiment(WASTE)と呼びたい。この新規の方法は、適度に強く結合したスピン系から適度に弱く結合したスピン系までの一連の試料の陽子スペクトルに対して試験されてきた。
【0010】
本発明の好ましい変形形態
この発明性のある方法の好ましい変形形態は、ティックリングRFパルスの各々の平均RF場振幅が条件である<ω>=ωτ/Δt=πJを満たすことを特徴とする。この方法は、ほぼπJに達する<ω>の値であれば正確に動作するように思えるが、<ω>=πJが最適条件であることが分かる。
【0011】
この発明性のある方法のさらなる有利な変形形態は、ティックリングパルスの持続時間τが0.1μsと20μsの間にあり、好ましくは約1μsであることを特徴とする。ティックリングRFパルスの持続時間が短かったり長かったりすると、望ましくない副次的影響が生じるものと思われる。
【0012】
滞留時間毎に一度取得されるデータ点が、フーリエ変換によってあるスペクトルに変換される場合、そのことは有利である。
【0013】
この発明性のある方法の他の好ましい変形形態では、持続時間τのM個のティックリングRFパルスが、複数の滞留時間Δtの各々の時間内に任意に加えられ、滞留時間Δt内の各ティックリングRFパルスが、ティックリングRFパルスの互いに異なるコームCに属しており、mは正の整数で1≦m≦Mであり、同じコームCに属している全てのティックリングRFパルスが、互いに等距離の関係にある。
【0014】
複数のティックリングパルスは、各滞留時間内に加えられ、グループ化されて複数のコームにすることができ、ティックリングRFパルスは互いに等距離にある。
【0015】
この変形形態のさらなる変形形態は、同じコームCに属している各ティックリングRFパルスの位相が、ある滞留時間から次の滞留時間まで一定の係数分だけシフトされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この変形形態により、いくつかのスピン系を同時にデカップリングすることが可能になる。
【0017】
本発明を以下の図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ティックリングRFパルスの応用を示す、フーリエティックリングの実験用の方式を示す図である。
【図2】連続的なスピンロッキングが達成されるまで、2μsのステップでパルス長τが徐々に増大するように、下から上に積み重ねられたシミュレーション済みのティックリングスペクトルを示す図である。
【図3】図2と同様に積み重ねられたシミュレーション済みのティックリングスペクトルであるが、パルス長0≦τ≦2.25μsでの増分が0.25μsと、より小さいものを示す図である。最良のデカップリングは、τ=1μs(下から5番目のスペクトル)のときに生じる。
【図4】ティックリングパルスのRF場の強度が0≦ω/(2π)≦50kHzの範囲にわたって2kHzの25ステップで増大するときの、下から上に積み重ねされたシミュレーション済みのスペクトルのセットを示す図である。ティックリングパルス長はτ=1μs(デューティサイクル1%)であり、オフセットはΩx/(2π)=1kHzであり、カップリング定数はJAX=10Hzである。スピンXの真のオフセットが鎖線で示してある。
【図5】図4と同様であるが、1%のデューティサイクルで0≦ω/(2π)≦4.75kHzの限定された範囲にわたって、より小さい0.25kHzの20ステップで積み重ねられたシミュレーション済みのティックリングスペクトルを示す図である。
【図6】下から上に積み重ねられた、オフセットがΩ/2π=0及びΩ/2π=50、100、150、200、300、400、500、及び600Hzについてのシミュレーションを示す図である。ティックリングパルスの長さはτ=1μsであった。ティックリングRF場の強度は、1%のデューティサイクルでω/(2π)=2.5kHzであり、Jカップリング定数はJAX=10Hzであった。全てのスペクトルは、1Hzの線の広がりで処理された。
【図7】図6と同様であるが、より弱いRFティックリング場ω/(2π)=0.8kHzについてのシミュレーション済みのスペクトルを示す図である。
【図8】JAX=10Hz及びΔt=100μsを用いて式2の平均ハミルトニアン理論によって計算された、非共鳴スピンXの多重線を示す図である。黒い鎖線は、RF照射がない場合の非摂動二重線を示す。黒い破線は、式6の条件に合うよう持続時間がτ=1μsでRFの振幅がω/(2π)=0.5kHzのティックリングパルスを使用する結果として生じるスペクトルを示す。黒い実線は、2倍のRF振幅、すなわちω/(2π)=1kHzを使用する結果として生じる改善されたスペクトルを示す。1Hzの線の広がりが適用された。計算はMathematicaを用いて実行された(非特許文献22参照)。
【図9】以下のパラメータ、すなわちデューティサイクル1%でΩ/(2π)=0、Ω/(2π)=1kHz、JAX=10Hz、ω/(2π)=3.5kHz、τ=1μs、Δ=100μsであり、また、n=2522の観測点での、図1のフーリエティックリング実験に供される2スピン系での部分空間
【数2】

に属する3つの積演算子(それぞれ、長いバーの破線、短いバーの十字線及び破線で示す)のシミュレーションを示す図である。これら3つの演算子のノルム(黒い閉線)が一定に保たれており、変化がこの部分空間に制限される。フーリエ変換を実行すると、期待値の浅い振幅変調

【数3】

により、図2に示すような「ティックリングサイドバンド」が生じる。このシミュレーションは、mPackagesを用いて実行した(非特許文献25参照)。
【図10】a)500MHzでのDMSO−d中の2,3−ジブロモチオフェンの従来のNMRスペクトル、b)左側にある二重線で、波形矢印で示された搬送周波数と同じ試料のティックリングスペクトルを示す図である。2つの化学シフトの間の差は305Hzであり、結合定数はJAX=5.8Hzである。ティックリングパルスの長さは、滞留時間Δt=50μs(デューティサイクル2%)においてτ=1μsであった。ティックリング場強度は、ω/(2π)≒910Hzであった。両方のスペクトルは、1Hzの線の広がりで処理された。
【図11】a)CDCl中の2,3,6−トリクロロフェノールの従来のNMRスペクトル、b)搬送周波数が波形矢印で示した共振上にある状態での同じ試料のティックリングスペクトルを示す図である。2つの化学シフトの間の差は98Hzであり、結合定数はJAX=8.7Hzである。ティックリングパルスの長さは、滞留時間Δt=50μs(デューティサイクル2%)においてτ=1μsであった。ティックリング場強度は、ω/(2π)≒240Hzであった。両方のスペクトルは、1Hzの線の広がりで処理された。約7.3ppmでの一重線は、溶媒の残留CHClから生じる。
【図12】以下のa)〜d)を示す図である。a)500MHzでのDO中の1−プロパノールのAシステムの従来のNMRスペクトル。b)搬送周波数(波形矢印)がA共振上にある場合に得られるティックリングスペクトル。差込み図には、カップリングの相手側Mの多重線を単純化したものが示してあり、これは単純な四重線になる。c)搬送周波数(波形矢印)がX共振上にある状態でのティックリングスペクトル。差込み図には、カップリングの相手側Mの多重線を単純化したものが示してあり、これは次に単純な三重線として現れる。d)搬送周波数(波形矢印)がMの中央の多重線上にある状態でのティックリングスペクトルであり、完全にデカップリングした3つの一重線になっている。ティックリングパルスの長さはτ=1μsであり、ティックリング場強度は、あらゆる場合においてω/(2π)≒1.6kHzであった。全てのスペクトルは、差込み図に示された、線の広がりが使用されなかった拡大したものを除いて、1Hzの線の広がりで処理された。
【図13】a)400MHzでのAMXシステムの従来のNMRスペクトルのシミュレーション、b)搬送周波数(波形矢印)がスピンMの中央共振から−40Hz共振がずれている2パルスティックリング実験で得られるティックリングスペクトルを示す図である。照射すべき所望のオフセットによって各ティックリングパルスの位相を増加させることにより、完全にデカップリングしたスペクトルが得られる。デューティサイクル1%においてティックリングパルスの長さはτ=1μsであり、ティックリング場強度は、両方のパルスについてω/(2π)=1.5kHzであった。全てのスペクトルは、1Hzの線の広がりで処理された。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、フーリエティックリング実験のスキームが示してある。背の高い長方形は、初期の励起パルスを表しており、小さい長方形は、x軸に沿って加えられる、持続時間がτのティックリングパルスを表している。黒い点は、単一のデータ点の取得を表している。受信機が絶えず動作している場合、受信機が作動された時間間隔において取得される全てのデータ点にわたって平均することにより、このデータ点が得られる。ループをn回繰り返してn個のデータ点を取得することにより、駆動誘導減衰(DID:Induction Decay)が構築される。
【0020】
データ点を取得している間に、短くただし極めて強い無線周波数(RF)の「ティックリング」パルス(典型的には、持続時間がτ=1μsで、RF振幅が2<ωJ/(2π)<3kHz)を加えることにより、結合したスピン系における等核スカラー相互作用JAXのデカップリングを実現することができる。これらは、所望のスペクトル幅が10Hzである場合は、典型的にはΔt=100μsであり得る時間間隔(「滞留時間」)によって分離される。以下で説明するように、平均RF場振幅<ω>=ωτ/Δtは、条件<ω>=πJをほぼ満たさなければならない。搬送周波数ωrfを化学シフトΩ上に配置することにより、スピンAを「ティックリングする」場合、JAXによる微細構造が、A多重線とX多重線の両方において崩壊する。JAX=0Hzの「線形」のAMX3スピンシステムでは、中央スピンMをティックリングすることにより、相互作用JAMとJMXの両方をなくすことができる。その結果、3つの多重線全てが崩壊し、等方性化学シフトΩ、Ω及びΩにおいて、スペクトルは3つの1重線のみを示す。しかし、スピンMのみがティックリングされる、JMX≠0である一般のAMX3スピンシステムでは、非照射のAスピンとXスピンの両方についてJAXによる多重度が維持される。
【0021】
図1に示すシーケンスでは、初期の90°のパルス及びティックリングパルスの位相が、それぞれy軸とx軸に沿っている場合を考える。フーリエ分光法では常のごとく、ナイキスト条件を満たすよう、所望のスペクトル幅に反比例する規則的な時間間隔Δt(滞留時間)で信号が観測される。長さがτで一定のRF振幅ω=γBを有するティックリングパルスが、各Δt間隔の中央付近で加えられる。所望の数の点を得るまでn回ループを繰り返すことにより、いわゆる駆動誘導減衰(DID)を得ることができる。SIMPSONプログラムを用いて数値シミュレーションが実行された(非特許文献16参照)。この研究では緩和効果は考慮されなかった。ティックリングパルスのRF搬送波は、スピンAとの共振上にあり(すなわち、ωrf=ω)、したがってこの相殺によって消滅する(Ω=ω−ωrf=0)。したがって、ωrf=ωと同期して回転するゼーマンフレームでは、ハミルトニアンは以下の通りである。

【数4】

ここで、ティックリングパルス期間中を除けば、第3項は消える。
【0022】
図2は、連続的なスピンロッキングが達成されるまで、2μsのステップでパルス長τが徐々に増大するように、下から上に積み重ねられたシミュレーション済みのティックリングスペクトルを示す。RF電磁場強度は、ω/(2π)=2.5kHzである。オフセットは、Ω/(2π)=0Hz、Ω/(2π)=1kHzであり、結合定数はJAX=10Hzである。スピンXのオフセットが鎖線で示してある。全てのスペクトルは1Hzの線の広がりで処理されたが、それというのも、そうしなければ共振上の線は非常に狭く、背が高くなるからである。
【0023】
非特許文献17におけるリュウヴィルフォンノイマンの式を使用して、密度行列の変化を数値的に評価することができる。図2で、滞留時間Δtを一定に保ちながらパルス長τを徐々に増大させることにより、ティックリングパルスの長さτの効果を調査した。ティックリングパルスの長さτが増大するにつれて、Ω=0Hzで共振しているスピンAの信号の両側に対称に配置された信号が現れる。共振していないスピンXのオフセットも摂動し、搬送波周波数から「外れている」ように見える。これは、非特許文献18〜20におけるブロッホ・ジガート効果を表したものである。見かけ上の化学シフトは以下の通りである。

【数5】

<ω><<Ωであるため、<ω>/Ω=0の周りで級数展開して最初の2項をとると、

【数6】

となる。ここで、<ω/(2Ω)の比は、系統的誤差をラジアン/秒で示す。通常、10kHzのスペクトル幅でτ=1μs且つΔt=100μsの場合、RFのデューティサイクルはτ/Δt=0.01=1%になる。RF振幅がω/(2π)=2.5kHzであり、結合パートナーのオフセット量がΩ/(2π)>1kHz(すなわち、500MHzで2ppm超、又は1GHzで1ppm超)であると考えると、以下の系統的誤差が生じる。

【数7】

すなわち、共振していないスピンXの見かけ上のオフセットは、ほとんど摂動しない。必要に応じて、ティックリングスペクトル内で観測される見かけ上の化学シフトを、これらのブロッホ・ジガートの効果について訂正してもよい。

【数8】

ここで、右手側の

【数9】

でΩを単に置換した。(ティックリング場がない場合に生じる円形の軌跡とは対照的に)回転フレームの赤道面での磁化の軌跡の投影は楕円形であり、したがって、振幅が等しくない二重反転する2つの成分に分解することができるという事実から、図2の搬送波周波数に対して対称の位置に現れる信号を説明することができる。ω>>Ωの場合、両方のスピンに関連する磁化の変化は、<ω>=ω(スピンロッキング)のとき、連続的な照射に限界にまで完全に抑制されることになり、その結果、Ω=0Hzでの単一の無変調信号が見込まれる。図2での最上部のスペクトルは、この限界のケースに近づいており、ここで2つのスピンは事実上磁気的に同等である。
【0024】
図3を見て分かるように、これは図2の部分拡大図を示しているが、ティックリングパルスの長さがτ=1μsであるとき、両方の共振について理想的なデカップリング効果が実現される。パルスの持続時間τが低減する場合、各一重線には、振幅が増大する2つの「ティックリングサイドバンド」が隣接しているように見える。共振スピンA及び非共振スピンXの両方の多重線の構造が、0≦τ≦2.25μsにおいて非常に類似したままであることに留意されたい。
【0025】
図4に示したように、シミュレーションによりRF場強度の役割をさらに調査した。場の強度が0≦ω/(2π)≦50kHzの範囲で徐々に増大したのに対し、ティックリングパルスの長さはτ=1μs及びオフセットΩ/(2π)=1kHzに固定されていた。Aスピン共振はRF場強度とは関係なくきれいにデカップリングしているように見えるが、RF場強度が12kHzを超えて増大するにつれて、非共振Xスピンは紛らわしい分裂を示す。RF場強度が増大するにつれて、Xスピン共振の歪みは劣化する。
【0026】
しかし、図5の拡大図で理解できるように、ティックリングサイドバンドは、τ=1μs及びΩ/(2π)=1kHzの場合に、2<ω/(2π)<4kHzの範囲で大きく抑圧される。デカップリングの効率は、スピンXのオフセットにも依存する。数値シミュレーションによると、強く結合したスピン系では、すなわち化学シフトの差がたとえば10Hzよりも小さい場合には、デカップリングが失敗することが分かる。
【0027】
図6には、オフセット量が50<Ω/(2π)<600Hzであり、RF場強度がω/(2π)=2.5kHzである場合の、1組のティックリングスペクトルが示してある。デカップリングの飛躍的改善、すなわち、化学シフトの差が増大するにつれてX信号の強度の増大が観測される。この差が100Hzよりも小さいとき、すなわち500MHzにおいて0.2ppmよりも小さいとき、デカップリングの効率は損なわれるように見える(11.7T)。
【0028】
図7では、RF電磁場強度がより低くω/(2π)=800Hzであり、やはりデューティサイクルが1%の場合の、同様のシミュレーションが示してある。ティックリングサイドバンドの強度は図6の場合よりはるかに高いが、50Hz、又は500MHzにおいて0.1ppmの小さなオフセットについて、適切なデカップリングを実現することができる。したがって、逆説的に言えば、強くカップリングしたスピン系で効率的なデカップリングを実現するには、低いRFティックリング強度が求められる。
【0029】
非特許文献21によると、スピンティックリングのデカップリング効果は、平均ハミルトニアン理論の観点から合理的に説明することができる。非特許文献22のMathematicaを用いて実行されるシミュレーションにより、図1のパルスシーケンスを記述するマグヌス展開の0次項のみを考慮するとき、デカップリング効果はすでに観測されることが分かる。2つのスピン系の積ベースでの、この項の行列表示は以下の通りである。

【数10】

【0030】
非対角要素c=ωτ/(2Δt)=<ω>/2は、位相xのティックリングパルスに対応し、デューティサイクルτ/Δtに比例する。その他の要素a=(Ω+πJ)/2及びb=(Ω−πJ)/2は、オフセット及びJカップリング相互作用を記述し、デューティサイクルには依存しないが、それというのも、自由歳差期間中とティックリングパルス中の両方において、これらの相互作用の下での変化が発生するからである。この行列の固有値は、期間Δtでストロボのようにスピン演算子の期待値をサンプリングするときの、2スピン系のエネルギー準位を表す。
【0031】
固有値の差によって遷移周波数が与えられる。ティックリングパルスがない場合、各スピンに関連する2つの単一量子遷移間の周波数差Δνは、結合定数JAXになる。すなわち、Δν=2πJAXである。周波数差Δν(c)=0を導くcの値を識別することにより、JAX分裂が崩壊する条件が見つかることになる。

【数11】

の固有値はやや複雑だが、等式Δν(c)=0を解くことにより、以下のコンパクトな結果が得られる。

【数12】

【0032】
したがって、所与の結合定数JAXについては、時間間隔Δtで周期的に観測する場合に分裂が消失するよう、平均RF場強度<ω>、すなわち、ピークRF場強度ω及びティックリングパルスの持続時間τを選択することが可能である。式6を書き直して、β=ωτ=±πJAXΔtを得ることができる。したがって、各ティックリングパルスのフリップ角βは、滞留時間ΔtでのJカップリング相互作用の下で任意のRF摂動がない場合に、各二重線の2つの成分の単一量子のコヒーレンスが互いに対して変化することになる角度の半分に等しくなければならない。
【0033】
図8には、初期の密度演算子

【数13】

で始まる式5の平均ハミルトニアンを使用する、非共振スピンXの多重線の数値計算が示してある。ティックリングパルスの長さはτ=1μsであり、結合定数はJAX=10Hzであった。ω/(2π)=0Hzのとき、非摂動二重線が観測される(黒い点線)。τ=1μs、Δt=100μs、及びω/(2π)=0.5kHzで式6の条件が満たされるときに得られる多重線が破線で示されている。すなわち、わずかなブロッホ・ジガート効果によってわずかに変位するが、非摂動スペクトルの各ピークに相当する強度を有する中央のピークがΩ=1kHzで現れる。さらに、一重線のピークの約半分の強度を有する、2つのティックリングサイドバンドが現れる。RF振幅がω/(2π)=1.0kHzまで増大するとき(実線で示してある)、ティックリングサイドバンドは、Ωから対称に遠ざかり、強度を失う。
【0034】
式6の条件Δν(c)=0は2のファクターだけ相違しているが(violated by a factor of 2)、中央のピークの強度が増大する。したがって、RF振幅ωが増大するとき、式6の相違によって誘起される単一量子遷移間の分裂は、中央のラインを著しく広げることはないが、ティックリングサイドバンドは低減する。3つの全てのスペクトルの全体が保存される。
【0035】
(サンプリングがストロボのように実行されることを条件として)式(1)の平均ハミルトニアンでのスカラー結合項を無効にする要求は、密度演算子の変化の自由度を厳しく抑えなければならないことを意味する。簡単に言えば、

【数14】



【数15】

などの同相項から始める場合、効率的なデカップリングとは、これらの初期状態の

【数16】



【数17】

など逆位相項への変換を不可能にしなければならないことを意味する。

【数18】

から始める場合、且つオフセットΩが消失する場合、コヒーレンス転移は、非可換演算子

【数19】

の3つ組におよぶリュウヴィル部分空間に制約されることになる。
【0036】
図9には、これら3つの積演算子及びそれらのノルムの時間依存性のシミュレーションが示してあり、通常のティックリング実験中の

【数20】

として定義されている(実線)。これら3つの演算子のノルムは一定なので、コヒーレンス転移は、非可換演算子の3つ組がおよぶ部分空間に制限しなければならない。同相項

【数21】

から始める場合、Jカップリングは、この同相項を逆相演算子

【数22】

に変換する傾向があるが、このプロセスは、ティックリングパルスにより、

【数23】

を縦2−スピンオーダー

【数24】

に変換することによって停止する。その結果、同相項

【数25】

の振動が最小限に保たれる。これにより、デカップリングが成功する。同様の現象が互いに異なる背景で観測され、「複数のリフォーカシングパルスの下におけるコヒーレンスの3つ組内での相互変換による安定化」(SITCOM)と呼ばれた(非特許文献23、24参照)。もちろん、ここで提示されたティックリング実験では、短いパルスはリフォーカシング効果をもたないが、安定化効果は同様である。
【0037】
類似性については強引ではあると思われるが、フーリエティックリングにより、連続射影測定と同様の効果が実現され、システムは単一の状態には制限されず、ヒルベルト空間の多次元部分空間においてそのハミルトニアンの作用の下で変化する。これらの類似性に照らし合せると、実現可能な変形形態について熟考することは有益になり得る(非特許文献26〜30参照)。
【0038】
全ての実験は、静的な場B=11.7T(陽子については500MHz)で実行された。この場では、DMSO−d中の2,3−ジブロモチオフェンの2つの陽子が、(Ω−Ω)/(2π)≒305Hz且つJAX≒5.8Hzで弱く結合している。
【0039】
図10では、非摂動スペクトルが、最良のティックリングスペクトルと比較される。搬送周波数が、波形矢印で示すように、左手側の共振上にあった。実験的にω/(2π)≒900Hzに最適化されたティックリング場強度で、ティックリングサイドバンドの良好なデカップリング及び最小限の干渉が得られる。
【0040】
図11には、アスタリスクでマークされた溶媒のピークを重畳した、2,3,6−トリクロロフェノールの強く結合したABシステムのスペクトルが示してある。
【0041】
図10におけるAXシステムとは対照的に、ティックリングサイドバンドによっては、図11における強く結合したABシステムにおいて明確に現れて見える。この望ましくない効果は、図7の数値シミュレーションで強調された。
【0042】
それにもかかわらず、合理的なデカップリング効率が実現する。化学シフトにおける小さな差については、弱いRF場振幅を使用しなければならない。1−プロパノール(HOCHCHCH)のAシステムと同様に、分子が磁気的に同等なスピンを含む場合に、ティックリングも機能する。
【0043】
従来のスペクトル、及び搬送周波数が3つの多重線のうちの1つにあるティックリングスペクトルが、図12で示されている。搬送周波数がAの化学シフトにある場合、結合パートナーMの多重度がAMのデカップリングによって簡略化されるが、差込み図に示すように、MXによる微細構造は影響を受けない。搬送周波数がXの化学シフトにある場合、結合パートナーMの多重度がXMのデカップリングによって簡略化されるが、図12cの差込み図に示すように、AMによる微細構造(三重線)はそのままである。明らかに、ティックリングは、照射されたスピンとそのJカップリングパートナーとの間の全てのJ相互作用をデカップリングすることができる。明らかに、ティックリングは、照射されていないスピン間のカップリングには影響を及ぼさない。図12dで、搬送周波数はAシステムのM共振上にあった。Mスピンは、AX=0の状態でAとXの両方に結合しているので、3つの共振全てが、この場合にデカップリングしているように見える。これらの結果により、磁気的に同等なスピンの存在は、ティックリング実験での性能を損なわないことが分かる。さらに、考慮に入れた3つの試料全てにおいて、ティックリングスペクトル全体に異常は観測されなかった。
【0044】
シフトkΔφを介してk番目の滞留時間ΔtにおけるコームCのk番目のパルスの位相を進めることにより、パルスのコームCの中心帯の有効周波数を、搬送周波数νrfからν=νrf+Δφ(2πΔt)に自在にシフトできることがよく知られている。非特許文献31〜34による、いわゆる「delays alternating with nutation for tailored excitation」(DANTE)とともに、このような位相変調の手法が使用されてきた。持続時間τのティックリングパルスの期間Δt内での位置は任意の1つのコームCに属しているが、重要ではないので、ティックリングパルスのいくつかのコームC(m=1、2、...M)を容易に重畳することができ、この各コームは、それ自体の位相シフトkΔφと、したがって、それ自体の周波数シフトとに関連し得る。各滞留時間Δtには、コーム毎にティックリングパルスをただ1つ含む。様々なコームCに属する、滞留時間Δt内のティックリングパルスは、等距離である必要はない。これにより、図13のシミュレーションに示すように、事実上、数多くの周波数で同時に照射することができるようになる。
【0045】
この方法は、広範囲の化学シフトにわたって有効である。メチレン基及びメチル基で生じる磁気的に同等なスピンのグループを、効率的にデカップリングすることができる。信号全体を歪ませることなく、解像度及びスペクトルの簡略化における著しい改善をこのように得ることができる。この新規の実験道具は、生体高分子を含め、複雑なシステムの特性を決定する一助となることができると考える。各Δt期間に数多くの多色ティックリングパルスを挿入することにより、いくつかのサブシステムを同時にデカップリングすることができる。
【0046】
この新規のティックリング法により、干渉を回避することができるようになり、また複数の周波数による照射で、いくつかの相互作用を同時にデカップリングすることができるようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起パルスを印加すると共に、データ点を取得する高解像度NMR(核磁気共鳴)の測定方法であって、滞留時間Δtだけ間隔を空けて2つの連続したデータ点を取得する方法において、
持続時間がτである1つ又は複数のティックリングRF(無線周波数)パルスを、各滞留時間Δt内に加え、且つ
前記ティックリングRFパルスの各々の平均RF場振幅が、
【数26】

と<ω>=ωτ/Δt=10πJとの間にあり、ここでJはスカラーJカップリング定数であり、ω=γBであって、γは磁気回転比であり、Bは各ティックリングRFパルスの磁気成分の強度であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ティックリングRFパルスの各々の前記平均RF場振幅が、条件<ω>=ωτ/Δt=πJを満たすことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ティックリングパルスの前記持続時間τが0.1μsと20μsの間にあり、好ましくは約1μsであることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
滞留時間Δt毎に一度取得されるデータ点が、フーリエ変換によってスペクトルに変換されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
持続時間τのM個のティックリングRFパルスが、複数の滞留時間Δtの各々の時間内に任意に加えられること、
各滞留時間Δt内の各ティックリングRFパルスが、ティックリングRFパルスの互いに異なるコームCに属しており、mが正の整数で1≦m≦Mであること、及び
前記同じコームCに属している全てのティックリングRFパルスが、互いに等距離にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記同じコームCに属している各ティックリングRFパルスの位相が、ある滞留時間から次の滞留時間まで一定の係数分だけシフトされることを特徴とする請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−24875(P2013−24875A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−159695(P2012−159695)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(591148048)ブルーカー バイオシュピン アー・ゲー (53)
【出願人】(512061331)
【氏名又は名称原語表記】Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL)