説明

OFDM波遅延プロファイル測定装置

【課題】 遅延プロファイルの測定方法における、遅延波を測定可能な最大遅延時間の長さ、遅延波を測定可能な時間分解能、遅延波を測定可能なレベル、遅延波レベルの精度および偽りのパルス応答の無くすことができるOFDM波遅延プロファイル測定装置を提供する。
【解決手段】 OFDM波の遅延波の遅延時間および当該OFDM波の直接波と遅延波との強度比を示すDU比を含んでなる遅延プロファイルを測定する遅延プロファイル測定手段13を備えるOFDM波遅延プロファイル測定装置1において、OFDM波受信手段3と、直接波推定手段5と、周波数領域変換手段7と、伝達関数導出手段9と、遅延プロファイル変換手段11と、測定結果判定出力手段15と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM波の遅延波の遅延時間と、OFDM波の希望波と遅延波との強度の比を示すDU比とからなる遅延プロファイルを測定するOFDM波遅延プロファイル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex;直交周波数分割多重)方式による地上デジタル放送のSFN(Single Frequency Network;単一周波数ネットワーク)において、受信されるOFDM波の遅延プロファイルを測定する場合、この遅延プロファイルの理想的な測定方法は、直接波を入力信号とし、受信波を出力信号とする伝播路の伝達関数を求め、求めた伝達関数をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)することである。
【0003】
ここで、直接波とは、送信側から受信側に直接伝播されたOFDM波であり、遅延波(マルチパス遅延波)を含まないものである。受信波とは、送信側から受信側に伝播する途中で、妨害波や遅延波が混在して受信されたOFDM波である。つまり、受信波に遅延波(および妨害波)が含まれていなければ、直接波と同じになる。
【0004】
また、受信波に遅延波が含まれていなければ、伝播路の伝達関数をIFFTした応答は、時間軸を横軸に、レベルの強度を縦軸にとった場合の時間領域番号“0”の箇所(時刻0)には、直接波に相当するインパルスが現れ、他の時間領域番号の箇所にはインパルスが現れない。
【0005】
逆に、受信波に遅延波が含まれていれば、伝播路の伝達関数をIFFTした応答は、時間領域番号“0”の箇所には、直接波に相当するインパルスが現れ、遅延時間に相当する時間領域番号の箇所には、遅延波に相当するレベルの強度の低いインパルスが現れる。
【0006】
すなわち、伝播路の伝達関数をIFFTした応答から時間領域番号“0”以外の時間領域番号に現れた、遅延波に相当するインパルスの時間領域番号とレベルの強度とを測定すれば、時間領域番号から遅延時間およびレベルの強度から遅延波のレベルを推定する、つまり、遅延プロファイルを測定することができる。
【0007】
なお、遅延プロファイルとして測定可能な遅延時間の最大値は、伝播路の伝達関数をIFFTするウインドウ長の2分の1の時間となり、遅延時間の分解能はサンプル周波数の逆数となっている。
【0008】
ところが、SFN内にあり、伝播しているOFDM波を受信する受信点において、遅延波を含まない直接波のみを受信する受信手段を実現することは困難であるので、伝達関数を求める際の出力信号となる受信波から、当該伝達関数を求める際の入力信号となる直接波を推定する必要がある。そして、推定した直接波から伝播路の伝達関数を求め、IFFTすることで、遅延プロファイルを求める方法がとられている。
【0009】
ちなみに、出力信号(受信波)から入力信号(直接波)を推定した後、遅延プロファイルを測定する方法(既存の遅延プロファイル測定方法)がいくつか開示されている。
例えば、既存の遅延プロファイル測定方法としては、受信したOFDM波を復調した復調キャリアには、振幅と位相とが既知であるSP信号(スキャッタードパイロット信号)が挿入されている点に着目し、抽出したSP信号を使用する方法が挙げられる(以下、SP法という)。
【0010】
また、既存の遅延プロファイル測定方法としては、OFDM波をスペクトルアナライザで観測した振幅周波数特性を、FFTで分析する方法として「OFDM波の遅延プロファイル測定装置」(特許文献1参照)が挙げられる(以下、スペアナ法という)。
【0011】
SP法による入力信号は、信号規格によって、予め設定された値(直接波)としている。また、SP法による測定可能な遅延波の最大遅延時間は、OFDM波の有効シンボル時間長の3分の1までであり、SFN(単一周波数ネットワーク)における遅延プロファイルの測定機能としては不十分である。すなわち、SP信号を復調するためには、ウインドウ長を有効シンボル時間長(モード3の信号の場合、1008μs)としなければならないからである。
【0012】
そこで、遠距離からの遅延波の遅延時間である遠距離遅延時間に原理的な制約がない測定方式である「地上デジタルSFN波測定装置」(特願2004−73673)を、本願発明者は提案している(以下、電力スペクトル法という)。
【0013】
この電力スペクトル法は、OFDM波をFFT(高速フーリエ変換)によって、周波数領域の信号に変換する場合のウインドウ長(FFTウインドウ長)をSP法に比べて長くとり、且つ、時間領域の信号を二乗し、当該OFDM波を電圧次元から電力次元に変換することで、遅延プロファイルを求める方式である。この電力スペクトル法は、ウインドウ長の時間長について、SP法のように有効シンボル時間長にしなければならないという制約条件はなく、自由に設定することができるので、測定可能な遅延波の最大遅延時間に原理的な制約が生じないというメリットがある。
【0014】
また、この電力スペクトル法によって求められる伝達関数は、周波数領域の出力信号(受信波)である複素数を、実数の値に変換していることを意味しており、入力信号(直接波)として、全ての周波数領域番号(周波数を横軸に、各周波数のレベルの強度を縦軸にとった場合の番号)の値が“1”の一定値としている。
【0015】
ちなみに、電力スペクトル法において、入力信号(直接波)と出力信号(受信波)とによって伝達関数を求めて、求めた伝達関数をIFFT(逆高速フーリエ変換)すると、遅延波の数が1つの場合には問題なく、当該遅延波に相当するインパルスが現れるが、遅延波の数が複数の場合には、当該遅延波相互の干渉による混変調による偽のインパルスが現れる。
【0016】
さらに、推定した入力信号(直接波)を、実際には複雑な値をとっているにも拘わらず、全て“1”と近似しているので、この近似した値である“1”と入力信号(直接波)の実際の値との誤差(近似誤差)が大きくなる場合が生じ、全ての時間領域番号の応答に、遅延波に相当するインパルスに比べて、レベルの小さいインパルス(誤差インパルスとする)が現れる。
【0017】
この誤差インパルスは、遅延波に相当する小さいレベルのインパルスの識別下限に影響する。つまり、全ての時間領域番号において、ほぼ一様に現れる誤差インパルスと、遅延波に相当する小さいレベルのインパルスとが分離識別できなくなり、この結果、小さいレベルのインパルスが、入力信号(直接波)の実際の値との近似誤差によって生じたものなのか、遅延波によって生じたものなのか識別(認識)することが困難になる。
【0018】
ここでさらに、SP法と電力スペクトル法との2つの遅延プロファイルの測定方法の事例から当該測定方法の優劣を評価する事項(優劣評価項目)について説明する。
遅延プロファイルの測定方法の優劣評価項目としては、遅延波を測定可能な最大遅延時間と、遅延波を測定可能な時間分解能と、遅延波を測定可能なレベルと、遅延波レベルの精度と、偽のインパルス応答の有無等が挙げられる。
【0019】
遅延波を測定可能な最大遅延時間は、SP法では、有効シンボル時間長の1/2が限界であり、電力スペクトル法では、ウインドウ長(FFTウインドウ長)を長くすることによって、実用上の限界がなくなる。
【0020】
遅延波を測定可能な時間分解能は、SP法では、SP信号が復調したキャリアの中で12本毎にしか挿入されておらず、実効的なサンプル周波数が1/12に低下しているので、その分だけ低下し、電力スペクトル法では、実効的なサンプル周波数が有効シンボル時間長の逆数の8192倍のままとなるので、低下しない。
【0021】
遅延波を測定可能なレベルは、SP法では、入力信号(直接波)の誤差がなく、全ての時間領域信号の応答に発生する誤差応答が生じないので、レベルが小さくても遅延波の分離識別が可能である。また、遅延波を測定可能なレベルは、電力スペクトル法では、入力信号(直接波)が全て周波数領域番号で“1”であるとする理論的に極めて粗い近似を行っており、全ての時間領域番号の応答に遅延波に相当するインパルスに比べて、レベルの小さい誤差インパルスが全ての周波数領域に発生し、レベルの小さい遅延波に相当するインパルスと分離識別が困難になるので、低下してしまう。
【0022】
遅延波レベルの精度は、SP法および電力スペクトル法共に、ガードインターバル期間を超えた遅延時間の遅延波が含まれている場合には、測定した遅延波レベルに誤差が発生するので悪化する。しかし、電力スペクトル法ではウインドウ長に対してガードインターバルを超えた遅延時間の比率が小さければ、SP法で発生する遅延波レベルの誤差に比べて電力スペクトル法で発生する遅延波レベルの誤差が微小になり、ウインドウ長を長くすれば、当該誤差を実用上無視できることができ、遅延波レベルの精度を高水準に維持することができる。
【0023】
偽のインパルス応答の有無については、SP法では発生しないが、電力スペクトル法では、周波数領域の出力信号(受信波)である複素数を2乗しており、当該出力信号が2乗特性である非線形特性を備えているのと等価であるので、元々の出力信号に含まれていない偽のインパルス応答が発生する。
【0024】
【特許文献1】特開2001−23666号公報(段落0021〜0023、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
以上説明したように、SP法と電力スペクトル法との2つの遅延プロファイルの測定方法の優劣評価項目である、遅延波を測定可能な最大遅延時間と、遅延波を測定可能な時間分解能と、遅延波を測定可能なレベルと、遅延波レベルの精度と、偽のインパルス応答の有無とについて、全てを満足する遅延プロファイルの測定方法は存在していないという問題がある。
【0026】
しかしながら、地上デジタル放送のSFN(単一周波数ネットワーク)の拡大に伴って、遅延プロファイルの測定方法の優劣評価項目の全てを満足する新たな測定方式が望まれている。
【0027】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、遅延プロファイルの測定方法について、遅延波を測定可能な最大遅延時間を長くすることができ、遅延波を測定可能な時間分解能を向上させることができ、遅延波を測定可能なレベルを低くすることができ、遅延波レベルの精度を向上させることができ、偽のインパルス応答の無くすことができるOFDM波遅延プロファイル測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記課題を解決するため、請求項1記載のOFDM波の遅延波の遅延時間、および、当該OFDM波の直接波と遅延波との強度比を示すDU比を含んでなる遅延プロファイルを測定する遅延プロファイル測定手段を備えるOFDM波遅延プロファイル測定装置において、OFDM波受信手段と、直接波推定手段と、周波数領域変換手段と、伝達関数導出手段と、遅延プロファイル変換手段と、測定結果判定出力手段と、を備える構成とした。
【0029】
かかる構成によれば、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、OFDM波受信手段によって、伝播しているOFDM波を受信し、直接波推定手段によって、受信したOFDM波を復調した復調キャリアの位相を、当該復調キャリアにおける位相基準点に置換することで、OFDM波の有効シンボル長の時間長の2の整数のべき乗(例えば、2,4,・・・32,64等)倍の直接波を推定する。なお、有効シンボル長の時間長を超える有効シンボル超過時間長とは、伝達関数を求めるのに必要な誤差の少ない入力信号(直接波)を得るために、有効シンボル長の時間長より長いウインドウ長に設定した時間長である。また、復調キャリアにおける位相基準点とは、例えば、OFDM波の変調方式(信号形式)を64QAMとした場合、当該OFDM波を復調した復調キャリアが信号点配置図において64個の枡(正方形)内に収まるようになり、この枡の中心点を指している。すなわち、位相基準点に置換するとは、枡内に分散している復調キャリアの位相を、枡の中心点に収束させることである。
【0030】
また、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、周波数領域変換手段によって、直接波推定手段で推定した直接波と受信OFDM波(受信後のOFDM波)とのそれぞれを周波数領域における信号(周波数領域信号)に変換する。この周波数領域変換手段は、例えば、FFTを実行可能に構成されている。そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、伝達関数導出手段によって、周波数領域変換手段で変換した直接波の周波数領域における信号である直接波周波数領域信号を、受信OFDM波の周波数領域における信号である受信OFDM波周波数領域信号で複素数除算することで、伝達関数を導出する。伝達関数は、ある伝播経路から出力した出力信号(受信波)を、当該伝播経路に入力した入力信号(直接波)で除算することで求められる伝播経路の伝播特性である。
【0031】
そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、遅延プロファイル変換手段によって、伝達関数を新たな遅延プロファイルに変換する。この遅延プロファイル変換手段は、例えば、IFFTを実行可能に構成されている。その後、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、測定結果判定出力手段によって、遅延プロファイル変換手段で変換した新たな遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段で測定した遅延プロファイルとを比較した結果に基づいて、測定結果を判定して出力する。
【0032】
請求項2記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置は、請求項1に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置において、前記直接波推定手段が、時間領域信号変換手段と、単位シンボル信号生成手段と、を備える構成とした。
【0033】
かかる構成によれば、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、時間領域信号変換手段によって、OFDM波のシンボル単位で、当該OFDM波を復調した復調キャリアを、有効シンボル長の時間領域における信号である時間領域信号に変換する。なお、時間領域信号とは、時間軸を横軸に、レベルの強度を縦軸にとった信号である。続いて、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、単位シンボル信号生成手段によって、時間領域信号変換手段で変換した時間領域信号からガードインターバル期間の部分を複製すると共に、時間領域信号に付加した単位シンボル信号を生成する。つまり、各単位シンボル信号は、有効シンボル長(有効シンボル期間)とガードインターバル期間(ガード期間)とによって形成されている。
【0034】
請求項3記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置は、請求項2に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置において、前記直接波推定手段が、多数シンボル信号生成手段を備える構成とした。
【0035】
かかる構成によれば、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、多数シンボル信号生成手段によって、複数のシンボルについて、単位シンボル信号の生成を実行し、この生成したシンボル信号をシンボル順に接続した多数シンボル信号を生成する。シンボル順とは、単位シンボル信号を生成した順序である。
【0036】
請求項4記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置において、前記測定結果判定出力手段が、自動論理判定選択手段を備える構成とした。
【0037】
かかる構成によれば、OFDM波遅延プロファイル測定装置は、自動論理判定選択手段によって、遅延プロファイル変換手段で変換された新たな遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段(従来の電力スペクトル法)で測定された遅延プロファイルとの双方の遅延プロファイル中に、共通して存在する遅延波のレベルについては、遅延プロファイル測定手段で測定した遅延プロファイルに含まれている測定結果を選択し、遅延プロファイル変換手段で変換した新たな遅延プロファイルのみで測定されている遅延波は、そのまま測定結果として選択する。
【発明の効果】
【0038】
請求項1に記載の発明によれば、受信したOFDM波の有効シンボル長を超える超過時間長の直接波を、OFDM波を復調した復調キャリアの位相を、当該復調キャリアにおける位相基準点に置換することで推定して、この推定した直接波を用いて伝達関数を求めているので、正確な遅延プロファイルを求めることができ、遅延プロファイルの測定方法において、遅延波を測定可能な最大遅延時間を長くすることができ、遅延波を測定可能な時間分解能を向上させることができ、遅延波を測定可能なレベルを低くすることができ、遅延波レベルの精度を向上させることができ、偽のインパルス応答を無くすことができる。
【0039】
請求項2に記載の発明によれば、OFDM波のシンボル単位で、当該OFDM波を復調した復調キャリアを時間領域信号に変換し、この時間領域信号からガードインターバル期間の部分を複製すると共に、時間領域信号に付加した単位シンボル信号を生成して、直接波を推定しているので、この推定した直接波によって正確な伝達関数が求まり、その結果、従来の方法(電力スペクトル法)に比べて、より正確な遅延プロファイルを求めることができる。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、複数のシンボルについて、単位シンボル信号の生成を実行し、この生成したシンボル信号をシンボル順に接続した多数シンボル信号を生成し、この多数シンボル信号を直接波として推定しているので、この推定した直接波によって正確な伝達関数が求まり、その結果、従来の方法(電力スペクトル法)に比べて、より正確な遅延プロファイルを求めることができる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、遅延プロファイル変換手段で変換された新たな遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段(従来の電力スペクトル法)で測定された遅延プロファイルとの双方の遅延プロファイル中に、共通して存在する遅延波のレベルについては、遅延プロファイル測定手段で測定した遅延プロファイルに含まれている測定結果を選択し、遅延プロファイル変換手段で変換した新たな遅延プロファイルのみで測定されている遅延波は、そのまま測定結果として選択しているので、正確な遅延プロファイルを求めることができ、特に、偽のインパルス応答を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈OFDM波遅延プロファイル測定装置の構成〉
図1は、OFDM波遅延プロファイル測定装置のブロック図である。この図1に示すように、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、SFN(単一周波数ネットワーク)におけるOFDM波の遅延プロファイルを測定するもので、OFDM波受信手段3と、直接波推定手段5と、周波数領域変換手段7と、伝達関数導出手段9と、遅延プロファイル変換手段11と、遅延プロファイル測定手段13と、測定結果判定出力手段15とを備えている。
【0043】
このOFDM波遅延プロファイル測定装置1は、SFNを構成する複数の送信所(基幹放送所、中継放送所等)から送信された送信信号(送信時のOFDM波)の直接波および遅延波を測定することで、遅延プロファイルを生成するものである。
【0044】
遅延プロファイルは、OFDM波の遅延波(マルチパス遅延波を含む)の遅延時間、および、直接波(希望波、所望のOFDM波)と遅延波との強度比を示すDU比を含んでなるもので、例えば、複数の遅延波が存在した場合、それぞれの遅延波について、当該遅延波と希望波との強度比を示すDU比および当該遅延波の遅延時間が含まれることになる。
なお、OFDM波の変調方式(信号形式)には、QPSK、16QAM、64QAM、DQPSK等があるが、この実施形態では、64QAMを使用した場合について説明する。
【0045】
OFDM波受信手段3は、図示を省略した受信アンテナから入力される、SFN(単一周波数ネットワーク)内を伝播しているOFDM波をOFDM波として受信するものである。このOFDM波には、直接波(希望波、所望のOFDM波)と、遅延波(マルチパス遅延波を含む)とが混在している。
【0046】
また、このOFDM波受信手段3は、受信したOFDM波を、直接波推定手段5、周波数領域変換手段7および遅延プロファイル測定手段13に出力するものである。
【0047】
直接波推定手段5は、OFDM波受信手段3から出力されたOFDM波から、有効シンボル長の時間長を超える時間長である有効シンボル長超過時間長の直接波を推定して、周波数領域変換手段7に出力するもので、時間領域信号変換手段5aと、単位シンボル信号生成手段5bと、多数シンボル信号生成手段5cを備えている。
【0048】
まず、この直接波推定手段5は、OFDM波受信手段3から出力されたOFDM波をOFDM復調し、このOFDM復調によってシンボル単位の周波数領域信号(復調キャリア)を得る。このシンボル単位の周波数領域信号(復調キャリア)は、複素数であり、実数部と虚数部とで構成されており、実数部を横軸に、虚数部を縦軸にした平面上に表示すると、図2に示すようになる。
【0049】
OFDM波の変調方式(信号形式)が64QAMの場合、1シンボルに対して、復調キャリアが5617本あり、これら多数の復調キャリアは、図2(a)に示すように、64個の枡毎に、広がり(バラツキ)を持ったグループを形成している。なお、枡の数はOFDM波の信号形式によって異なっている。この実施の形態では、OFDM波の信号形式が64QAMであるので、グループ化された復調キャリアが収まる枡の数は64個となる。また、例えば、OFDM波の変調方式(信号形式)が16QAMの場合、グループ化された復調キャリアが収まる枡の数は16個の枡となる。
【0050】
なお、復調キャリアが枡内毎に広がりを持つようになるのは、ガウス雑音や遅延波が直接波に加わるからである。また、図2(b)は、SFN(単一周波数ネットワーク)を構成する送信所(基幹送信所、中継送信所等)から送信された送信信号(送信時のOFDM波)を示しており、この送信信号は、各枡の中心の値で送信されているので、この各枡の中心点を位相基準点ということにする。
【0051】
そして、直接波推定手段5では、図2(a)に示した広がり(バラツキ)を持つ復調キャリアのそれぞれ、つまり、横軸成分の値、縦軸成分の値を、3ビットで量子化(AD変換)し、図2(b)に示した各枡の中心点である位相基準点に置換する。図2(b)に示した各枡の中心点である位相基準点に置換した復調キャリアは、図2(a)に示した広がりを持つ復調キャリアの当該広がりが枡の内側であれば(枡内に収まるのであれば)、理想状態の送信信号のキャリア(変調キャリア)と等しくなるので、復調キャリアから送信信号、すなわち、1有効シンボル長の直接波の周波数領域信号を得たことになる。
【0052】
図1に戻って、OFDM波遅延プロファイル測定装置1の構成の説明を続ける。
時間領域信号変換手段5aは、復調キャリアから得られた1有効シンボル長の直接波の周波数領域信号にIFFT(逆高速フーリエ変換)を施して、時間領域信号に変換するものである。時間領域信号は、時間軸を横軸に、レベルの強度を縦軸にとった場合の、有効シンボル期間における信号である。
【0053】
この時間領域信号変換手段5aによって得られる時間領域信号の時間範囲は、有効シンボル期間である。この有効シンボル期間となる理由は、復調キャリアを得るために連続するOFDM波の中から有効シンボルだけを抜き出すように、直接波推定手段5によって、FFTウインドウの長さと位置とを、有効シンボル期間(有効シンボル長)を超える超過時間長となる有効シンボル長にしているためである。
【0054】
すなわち、この時間領域信号変換手段5aによって、1有効シンボル長の直接波の周波数領域信号にIFFT(逆高速フーリエ変換)を施すことで、復調キャリアを得る前に通常の復調動作として行われるFFTの逆を行っているので、時間領域範囲が元の有効シンボル期間に戻ったものとなる。
【0055】
なお、時間領域信号は、直接波推定手段5によって、OFDM波を周波数領域信号にして、位相基準点に置換する動作により、復調キャリアに含まれていたガウス雑音や遅延波の成分が除去されており、直接波の成分だけになっている。
【0056】
単位シンボル信号生成手段5bは、時間領域信号変換手段5aで変換された時間領域信号(有効シンボル期間における信号)からガードインターバル期間(ガード期間)に該当する部分である時間領域信号を複製して、元々の時間領域信号(有効シンボル期間における信号)に付加した単位シンボル信号を生成するものである。つまり、この単位シンボル信号は、有効シンボル期間における信号と、ガードインターバル期間(ガード期間)における信号とを合わせたものである。
【0057】
また、ガードインターバル期間(ガード期間)に該当する部分である時間領域信号は、時間領域信号(有効シンボル期間における信号)の末尾を当該ガードインターバル期間(ガード期間)の時間長分だけ複製したものである。
【0058】
多数シンボル信号生成手段5cは、生成された単位シンボル信号を、必要な数だけシンボル順(生成された順番)に、接続(連結)した多数シンボル信号を生成するものである。なお、ここで、接続される単位シンボル信号の数(必要なシンボル数)、すなわち、ウインドウ長は、測定可能な遅延時間とDU比の誤差の生じないことを考慮して決定する。ちなみに、測定可能な遅延時間は、ウインドウ長の1/2が原理的限界であり、遅延時間とウインドウ長との比がDU比の誤差を決定する要因となり、ウインドウ長が長い程誤差は少なくなる。DU比の誤差は、遅延時間の16倍以上のウインドウ長であれば微小で実用上無視できる。
【0059】
ここで、単位シンボル信号生成手段5bで生成された単位シンボル信号が、多数シンボル信号生成手段5cによって、接続された多数シンボル信号を図3に示す。
【0060】
この図3に示すように、多数シンボル信号は、多数の単位シンボル信号(3)が連続したものであり、この単位シンボル信号(3)は、有効シンボル期間(1)とガード期間(2)とによって構成されている。この図3に示すように、図示を省略した送信所から、単位シンボル信号を連続させた多数シンボル信号が送信されていることになる。この多数シンボル信号を直接波として、多数シンボル信号生成手段5cが周波数領域変換手段7に出力している。
【0061】
図1に戻って、OFDM波遅延プロファイル測定装置1の構成の説明を続ける。
周波数領域変換手段7は、OFDM波受信手段3から出力されたOFDM波と、直接波推定手段5で推定された直接波(多数シンボル信号)とのそれぞれに、FFT(高速フーリエ変換)を施して、周波数領域信号に変換するものである。この周波数領域変換手段7で施されるFFTのウインドウ長は、データ数が2のべき乗であり、遅延波を測定できる遅延時間が、DU比の誤差を生じない長さに設定されている。具体的には、遅延波の測定可能な最大遅延時間が原理的に1008μs(測定可能な目標値)の2分の1(504μs)、伝播距離に換算すると約150kmであると、FFTのウインドウ長は1008μs×16以上(16128μs以上)となる。
【0062】
なお、この周波数領域変換手段7によって変換される周波数領域信号(OFDM波周波数領域信号および直接波周波数領域信号)は、実数部と虚数部とを備える複素数のスペクトルである。
【0063】
伝達関数導出手段9は、周波数領域変換手段7で変換された、推定された直接波の周波数領域信号である直接波周波数領域信号(直接波の複素数スペクトル)を分子とし、直接波と遅延波とを含むOFDM波の周波数領域信号であるOFDM波周波数領域信号(OFDM波の複素数のスペクトル)を分母として、除算の演算(複素数除算)を行って、伝達関数を導出するものである。
【0064】
この伝達関数は、SFN(単一周波数ネットワーク)において、図示を省略した送信所の送信アンテナを入力端とし、伝播しているOFDM波の受信点である、当該OFDM波遅延プロファイル測定装置1のOFDM波受信手段3に接続されている受信アンテナ(図示を省略)を出力端とした場合に、当該伝送路の複素周波数特性を意味するものである。
【0065】
遅延プロファイル変換手段11は、伝達関数導出手段9で導出された伝達関数(複素周波数特性)に、IFFT(逆高速フーリエ変換)を施して、当該伝達関数を遅延プロファイル(請求項に示した、新たな遅延プロファイル)に変換するものである。遅延プロファイルは、遅延波に関して、遅延時間とレベルを示す数値(DU比)とが、一つの組になったデータである。
【0066】
つまり、伝達関数(複素周波数特性)をIFFTすれば、遅延波の遅延時間に相当する、時間軸の位置にインパルスが現れ、このインパルスのレベルが遅延波の強度に相当しているので、これらが遅延波の遅延時間および直接波(希望波、所望のOFDM波)と遅延波との強度比を示すDU比を含んだ遅延プロファイルということになる。さらに言い換えるならば、周波数領域の伝達関数を時間領域に変換するIFFTによって、時間領域の応答に該当する遅延波の遅延時間と当該遅延波のレベルを示すインパルスとが得られ、これらが遅延プロファイルとなる。
【0067】
ここで、図4に伝達関数と遅延プロファイルとの関係を示す。図4(a)に示すような、周波数領域の関数(伝達関数)を、遅延プロファイル変換手段11によるIFFTを施すことで、図4(b)に示すような時間領域の関数(遅延プロファイル)に変換している。なお、図4(a)の縦軸は、伝達関数の値を示しており、図4(b)の縦軸の単位は、DU比を示している。
【0068】
この図4(a)では、伝達関数が連続する正弦波状の波形であるのに対し、図4(b)では遅延プロファイルが2つの三角形状の波形になっている。すなわち、この遅延プロファイルでは、直接波と1つの遅延波とが含まれていることを示しており、遅延波の遅延時間が2つ目の三角形の頂点まで(4メモリ分)の長さによって示されていると共に、遅延波のレベルが三角形の高さによって示されている。
【0069】
図1に戻って、OFDM波遅延プロファイル測定装置1の構成の説明を続ける。
遅延プロファイル測定手段13は、電力スペクトル法によって、遅延プロファイルを測定するものである。この電力スペクトル法では、OFDM波をFFT(高速フーリエ変換)によって、周波数領域の信号に変換する場合のウインドウ長(FFTウインドウ長)をSP法に比べて長くとり、且つ、時間領域の信号を二乗し、当該OFDM波を電圧次元から電力次元に変換することで、遅延プロファイルを求める方式である。
【0070】
なお、この遅延プロファイル測定手段13で測定される遅延プロファイルを電力スペクトル法による遅延プロファイルと呼称し、遅延プロファイル変換手段11で変換した新たな遅延プロファイルを伝達関数法による遅延プロファイルと呼称することにする。
【0071】
測定結果判定出力手段15は、遅延プロファイル変換手段11で変換された伝達関数法による遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段13で測定された電力スペクトル法による遅延プロファイルとを比較して、比較した結果に基づいて、当該OFDM波遅延プロファイル測定装置1としての測定結果を出力するもので、自動論理判定選択手段15aを備えている。
【0072】
自動論理判定選択手段15aは、遅延プロファイル変換手段11で変換された遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段13で測定された遅延プロファイルとの中で、共通して存在する遅延波のレベルについては、電力スペクトル法による遅延プロファイルに含まれている測定結果を選択し、伝達関数法による遅延プロファイルのみで測定されている遅延波についてはそのまま測定結果として選択するものである。
【0073】
また、この自動論理判定選択手段15aは、電力スペクトル法による遅延プロファイルに存在していて、伝達関数法による遅延プロファイルに存在していない遅延波のインパルスは、偽のインパルス応答として、除去するものである。
【0074】
このOFDM波遅延プロファイル測定装置1によれば、遅延波の測定可能な最大遅延時間が原理的に1008μsの2分の1、伝播距離に換算すると約150kmであるという制約条件を克服し、制約条件のない遠距離からのOFDM波の遅延波の遅延時間を測定することができる。
【0075】
また、このOFDM波遅延プロファイル測定装置1によれば、直接波推定手段5によって、OFDM波を復調した復調キャリアの位相を、当該復調キャリアにおける位相基準点に置換することで、OFDM波の有効シンボル長を超える超過時間長の直接波を推定している。そして、この推定した直接波を用いて、伝達関数導出手段9によって、伝達関数を求めているので、遅延プロファイル変換手段11によって、より正確な遅延プロファイルを求めることができ、遅延プロファイルの測定方法における全ての優劣評価項目を満足する、すなわち、遅延波を測定可能な最大遅延時間を長くすることができ、遅延波を測定可能な時間分解能を向上させることができ、遅延波を測定可能なレベルを低くすることができ、遅延波レベルの精度を向上させることができ、偽のインパルス応答を無くすことができる。
【0076】
さらに、このOFDM波遅延プロファイル測定装置1によれば、直接波推定手段5の時間領域信号変換手段5aによって、OFDM波のシンボル単位で、当該OFDM波を復調した復調キャリアを時間領域信号に変換し、単位シンボル信号生成手段5bによって、時間領域信号からガードインターバル期間の部分を複製すると共に、時間領域信号に付加した単位シンボル信号を生成して、直接波を推定している。このため、ガウス雑音や遅延波を除去した単位シンボル信号が求まり、正確な直接波を求めることができ、この推定した直接波によって正確な伝達関数が求まり、その結果、従来の電力スペクトル法に比べて、正確な遅延プロファイルを求めることができる。
【0077】
さらにまた、このOFDM波遅延プロファイル測定装置1によれば、多数シンボル信号生成手段5cによって、複数のシンボルについて、単位シンボル信号の生成を実行し、この生成したシンボル信号をシンボル順に接続した多数シンボル信号を生成し、この多数シンボル信号を直接波として推定している。このため、ガウス雑音や遅延波を除去した単位シンボル信号を連続させた多数シンボル信号を直接波と推定しているので、この推定した直接波によって正確な伝達関数が求まり、その結果、従来の電力スペクトル法に比べて、正確な遅延プロファイルを求めることができる。
【0078】
そしてまた、このOFDM波遅延プロファイル測定装置1によれば、遅延プロファイル変換手段11で変換された新たな遅延プロファイル(伝達関数法による遅延プロファイル)と、遅延プロファイル測定手段13で測定された遅延プロファイル(電力スペクトル法による遅延プロファイル)との双方の遅延プロファイル中に、共通して存在する遅延波のレベルについては、電力スペクトル法による遅延プロファイルに含まれている測定結果を選択し、伝達関数法による遅延プロファイルのみで測定されている遅延波は、そのまま測定結果として選択しているので、正確な遅延プロファイルを求めることができる。特に、伝達関数法による遅延プロファイルのみで測定されている遅延波を、そのまま測定結果として選択しているので、電力スペクトル法による遅延プロファイルに現れる偽のインパルス応答を無くすことができる。
【0079】
〈OFDM波遅延プロファイル測定装置の動作〉
次に、図5に示すフローチャートを参照して、OFDM波遅延プロファイル測定装置1の動作を説明する(適宜、図1参照)。
まず、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、OFDM波受信手段3によって、SFN内を伝播しているOFDM波を、受信OFDMとして受信する(ステップS1)。
【0080】
続いて、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、直接波推定手段5によって、OFDM波をOFDM復調して、復調キャリアを求めて、時間領域信号変換手段5aでIFFTを施して、有効シンボル期間の時間領域信号を求める。そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、直接波推定手段5の単位シンボル信号生成手段5bおよび多数シンボル信号生成手段5cによって、単位シンボル信号を生成し、この単位シンボル信号を接続させた多数シンボル信号を生成し、この多数シンボル信号を直接波として推定する(ステップS2)。
【0081】
そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、周波数領域変換手段7によって、OFDM波受信手段3で受信されたOFDM波および直接波推定手段5によって推定された直接波を、周波数領域の信号であるOFDM波周波数領域信号および直接波周波数領域信号に変換する(ステップS3)。
【0082】
そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、伝達関数導出手段9によって、周波数領域変換手段7で変換された直接波周波数領域信号を、OFDM波周波数領域信号で複素数除算して、伝達関数(複素周波数特性)を導出する(ステップS4)。そして、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、遅延プロファイル変換手段11によって、伝達関数導出手段9で導出された伝達関数を遅延プロファイルに変換する(ステップS5)。
【0083】
さらに、OFDM波遅延プロファイル測定装置1は、測定結果判定手段15によって、遅延プロファイル変換手段11で変換された新たな遅延プロファイルと、遅延プロファイル測定手段13で測定された遅延プロファイルとを比較し、比較した結果に基づいて、当該OFDM波遅延プロファイル測定装置1としての測定結果を判定して出力する(ステップS6)。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、OFDM波遅延プロファイル測定装置1の装置として説明したが、当該装置1の各構成の処理を、遅延プロファイルを測定する一つずつの過程ととらえたOFDM波遅延プロファイル測定方法とみなすことも可能である。この場合、当該装置1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係るOFDM波遅延プロファイル測定装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る である。このOFDM復調によってシンボル単位の周波数領域信号(復調キャリア)を得る。このシンボル単位の周波数領域信号(復調キャリア)は、複素数であり、実数部と虚数部とで構成されており、実数部を横軸に、虚数部を縦軸にした平面上に表示すると、図2に示すようになる。
【0086】
OFDM波の信号形式が64QAMの場合の復調キャリアは示した図であり、図2(a)は復調キャリアの広がり(バラツキ)を持ったグループを示しており、図2(b)は復調キャリアの位相基準点を示している。
【図3】多数シンボル信号の模式図である。
【図4】(a)は伝達関数の例を示した図であり、(b)は遅延プロファイルの例を示した図である。
【図5】図1に示したOFDM波遅延プロファイル測定装置の動作を説明したフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 OFDM波遅延プロファイル測定装置
3 OFDM波受信手段
5 直接波推定手段
5a 時間領域信号変換手段
5b 単位シンボル信号生成手段
5c 多数シンボル信号生成手段
7 周波数領域変換手段
9 伝達関数導出手段
11 遅延プロファイル変換手段
13 遅延プロファイル測定手段
15 測定結果判定出力手段
15a 自動論理判定選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM波の遅延波の遅延時間、および、当該OFDM波の直接波と遅延波との強度比を示すDU比を含んでなる遅延プロファイルを測定する遅延プロファイル測定手段を備えるOFDM波遅延プロファイル測定装置において、
伝播している前記OFDM波を受信するOFDM波受信手段と、
このOFDM波受信手段で受信したOFDM波を復調した復調キャリアの位相を、当該復調キャリアにおける位相基準点に置換することで、前記OFDM波の有効シンボル長の時間長を超える超過時間長の直接波を推定する直接波推定手段と、
この直接波推定手段で推定した直接波と前記OFDM波とをそれぞれ、周波数領域における信号に変換する周波数領域変換手段と、
この周波数領域変換手段で変換した前記直接波の周波数領域における信号である直接波周波数領域信号を、前記OFDM波の周波数領域における信号であるOFDM波周波数領域信号で複素数除算することで、伝達関数を導出する伝達関数導出手段と、
この伝達関数導出手段で導出した伝達関数を逆フーリエ変換して、新たな遅延プロファイルに変換する遅延プロファイル変換手段と、
この遅延プロファイル変換手段で変換した新たな遅延プロファイルと、前記遅延プロファイル測定手段で測定した遅延プロファイルとを比較した結果に基づいて、測定結果を判定して出力する測定結果判定出力手段と、
を備えることを特徴とするOFDM波遅延プロファイル測定装置。
【請求項2】
前記直接波推定手段は、前記OFDM波のシンボル単位で、当該OFDM波を復調した復調キャリアを、前記有効シンボル長の時間領域における信号である時間領域信号に変換する時間領域信号変換手段と、
この時間領域信号変換手段で変換した時間領域信号からガードインターバル期間の部分を複製すると共に、前記時間領域信号に付加した単位シンボル信号を生成する単位シンボル信号生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置。
【請求項3】
前記直接波推定手段は、複数の前記シンボルについて、前記単位シンボル信号の生成を実行し、この生成したシンボル信号を前記シンボル順に接続した多数シンボル信号を生成する多数シンボル信号生成手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置。
【請求項4】
前記測定結果判定出力手段は、双方の遅延プロファイル中に、共通して存在する遅延波のレベルについては、前記遅延プロファイル測定手段で測定した遅延プロファイルに含まれている測定結果を選択し、前記遅延プロファイル変換手段で変換した新たな遅延プロファイルのみで測定されている遅延波は、そのまま測定結果として選択する自動論理判定選択手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOFDM波遅延プロファイル測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−93760(P2006−93760A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272756(P2004−272756)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【出願人】(591164613)株式会社エヌエイチケイアイテック (39)
【Fターム(参考)】