説明

OLEDの開口率の改良方法

横方向に間隔取りされた複数の電極及びこれらの電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を含むOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法。該方法には、横方向に間隔取りされた電極と間隔取りされた関係で、転写可能な有機材料を有する供与体を提供する段階及び、有機材料の実質的に全てが転写され有機材料のエッジテーパー領域が8μm未満となり、かくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減及びOLEDデバイスの開口率、解像度又はその両方の改善を可能にするような形で、横方向に間隔取りされた電極全体にわたり有機材料を転写するべく横方向に間隔取りされた電極の領域に対応するパターンで供与体に輻射熱を照射する段階が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDデバイスの開口率又は解像度を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
市販用の製品における有機層膜被着の使用は、過去10年間にわたり著しく成長してきた。特に、OLEDディスプレイといったような小型精密高開口率利用分野における有機薄膜構造の使用は、増々商業的に有利なものとなってきた。OLED被着プロセスは、数多くの有機薄膜利用分野の一例であり、従来の有機薄膜被着構造の必要条件及び制限の好例を提供している。
【0003】
従来のOLEDディスプレイ構造は、2次元OLED画素アレイを形成するような形で基板上に構築される。アレイ内の各OLEDは、基板上に形成された電極に始まり、第1の電極上に被着された有機エレクトロルミネセンス(EL)発光媒体及びEL発光層の上面の電極が続く、オーバーレイ層を内含する。電極のうちの少なくとも1つは透明である。有機EL媒体被着物のサイズ及び形状は、被着プロセス中に基板をカバーするパターン化されたアパーチャを伴う一般には金属のプレートであるシャドウマスクの使用を通して制御される。有機材料ソースは、予め設計された画素パターンで、ガラス基板上にシャドウマスク内のアパーチャを通してEL材料を被着させる。フルカラーディスプレイは標準的に、赤、緑及び青のサブ画素から成る。フルカラーOLEDディスプレイについては、一部の層が全てのサブ画素(例えば正孔及び電子輸送層)に共通であり得、一方その他の層は特定の色のサブ画素(例えばEL発光層)に固有のものであり得る。共通層のためには、シャドウマスクは往々にして使用されない。それが使用される場合、シャドウマスクのアパーチャは通常大きく、標準的に精度の高い許容誤差を必要としない。しかしながら、固有の層は標準的に、非常に小さい個々のサブ画素上に被着され、標準的には異なる色の隣接するサブ画素内に被着するのを回避するため非常に精密な許容誤差を必要とする。EL媒体の被着がひとたび完了すると、シャドウマスクは基板から取り除かれる。現在、高い解像度の被着をパターン化するために必要とされる精密シャドウマスクを生産するための主要なシャドウマスク製造技術が2つ存在する。すなわち無電解メッキとエッチングである。
【0004】
OLEDディスプレイの製造における1つの特定的な課題は、OLEDディスプレイ内の解像度の質を最大限にしかつ様々なサイズのOLEDディスプレイを製造する柔軟性を高めるために、画素間の距離を最小にする方法を発見することにある。無電解メッキにより形成される精密シャドウマスクアパーチャは、ディスプレイの矩形形状の画素を整合させるのに理想的である鋭いエッジとコーナーをもつ。しかしながらこれらの鋭いエッジは、EL媒体を被着している間の点ソースからの又は線形ソースがシャドウマスクを横断するにつれての変動する被着角度に起因する重大な「シャドーイング効果」を作り出す。このシャドウイング効果は、標準的に矩形形状の被着の厚みをエッジに向かって低減させる。対照的に、エッチングにより形成される精密シャドウマスクアパーチャは、シャドーイング効果を最小限におさえるのを助けるテーパーの付いたエッジを有するが、該エッチングプロセスは同様に、丸みのあるコーナーをもつ被着構造を結果としてもたらす丸味あるコーナーを伴うアパーチャを生成する。無電解メッキされた又はエッチングされた精密シャドウマスクのいずれかを利用する場合、有機材料は、発光領域内での完全な画素充填及び均一な厚みを確保するために平均15μmだけ画素部域と重複しなければならない。この重複は、画素をいかに密に間隔取りし得るかについての制限を課し、従って、開口率にマイナスの効果を及ぼす。
【0005】
基板上に有機媒体を転写する1つのシステムは、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層が非重合体材料で構成されているOLEDについて記述する米国特許第5,844,363号の中で記述されている。真空被着技術を用いてOLEDを調製する方法及びシャドウマスクがさらに開示されている。米国特許第5,844,363号は、改良型OLEDを記述するものの、OLED画素解像度又は開口率を改善すること、薄膜構造の製造方法の改善又は無電解メッキされたシャドウマスク又はエッチングされた精密シャドウマスクのいずれかの改善に取組んでいるわけではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、有機層エッジテーパーが制限されたOLEDデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、横方向に間隔取りされた複数の電極及びこれらの電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を含むOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法において、
a) 該横方向に間隔取りされた電極と間隔取りされた関係で、転写可能な有機材料を有する供与体を提供する段階;
b) 有機材料の実質的に全てが転写され有機材料のエッジテーパー領域が8μm未満となりかくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減を可能にするような形で、横方向に離して間隔取りされた電極全体にわたり有機材料を転写し、かつ、OLEDデバイスの開口率、又は解像度を改善するべく、横方向に間隔取りされた電極の領域に対応するパターンで供与体に輻射線を照射する段階、
を含んで成る改良において達成される。
【発明の効果】
【0008】
シャドウマスク無しで輻射熱転写を用いることにより生成される有機層の制限されたエッジテーパー及びコーナー半径が、開口率又は解像度の増大を容易にし得るということが見極められてきた。この方法は同様に、各々の発光部域内部でより均一な色及び光の強度を提供する、発光部域内部のさらに均一なフィルム厚みをも結果としてもたらす。より均等なフィルム厚は、発光部域内のエージング差を防止する発光部域内部のより均等な電流分布を結果としてもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
層厚みといったようなデバイスのフィーチャ寸法は、往々にしてサブミクロン範囲内であることから、図面は、寸法的正確さよりもむしろ視覚化を容易にするように拡大縮小されている。
【0010】
「ディスプレイ」又は「表示パネル」という用語は、ビデオ画像又はテキストを電子的に表示する能力をもつスクリーンを呼称するのに用いられる。「画素」という用語は、その他の部域とは独立して光を発出するように刺激され得る表示パネルの部域を呼称するべく、当該技術分野において認められたその用法の中で利用される。「OLEDデバイス」という用語は、画素として有機発光ダイオードを含むディスプレイデバイスの当該技術分野において認められたその意味において用いられる。カラーOLEDデバイスは少なくとも1つの色の光を発出する。「マルチカラー」という用語は、異なる部域内で異なる色相の光を発出する能力をもつ表示パネルを記述するために利用される。特にこれは、異なる色の画像を表示する能力をもつ表示パネルを記述するために利用される。これらの部域は必ずしも隣接していない。「フルカラー」という用語は、可視スペクトルの赤、緑及び青色領域内で発光し、任意の色相又はその組合せで画像を表示する能力をもつマルチカラー表示パネルを記述するのに利用される。赤、緑及び青の色は、それらを適切に混合することによってその他全ての色を生成することのできる3原色を構成する。「色相」という語は、可視スペクトル内の発光の強度プロフィールを意味し、異なる色相は、視覚的に識別可能な色の差異を示す。画素又はサブ画素は、一般に、表示パネル内のアドレス可能な最少単位を呼称するのに用いられる。モノクロ表示については、画素又はサブ画素の間の区別は全くない。「サブ画素」という用語は、マルチカラー表示パネルにおいて用いられ、特定の色を発出するべく独立してアドレス可能な1つの画素の任意の部分を呼称するために利用される。例えば、青色サブ画素は、画素のうち、青色光を放出するためにアドレス可能な部分である。フルカラーディスプレイにおいては、画素は一般に、3原色サブ画素すなわち青、緑及び赤を含む。本発明の場合、「画素」及び「サブ画素」という用語は互換的に使用されることになる。「ピッチ」という用語は、表示パネル内の2つの画素又はサブ画素を離隔する距離を呼称するために用いられる。かくして、サブ画素ピッチは、2つのサブ画素間の離隔を意味する。
【0011】
本発明は、鋭いコーナーとエッジを伴う有機被着構造を作製し、かくして被着領域の間の空間を最小限にし解像度及び開口率を改善する方法である。該発明の好ましい実施形態においては、有機被着構造は、OLEDディスプレイの画素アレイの一部として用いられ、本発明のOLED構造を介して形成された方法のピクチャ解像度の鮮明度と輝度を著しく増強する。OLED構造を形成し利用する方法は、OLEDディスプレイの形状及びサイズの柔軟性を犠牲にすることなくより鮮明な解像度を提供する。
【0012】
該発明をより良く理解するため、以下の図1〜6は背景として提供されており、一方図7〜9は本発明の具体的実施形態に関するものである。
【0013】
図1は、従来のシャドウマスクを用いて形成されたOLED構造を代表する先行技術の部分的OLEDデバイス100の断面図を例示している。部分的OLEDデバイスは、被着部域115をもつ従来のシャドウマスク110と接触しており、線形ソース120と転写関係にある。被着部域115は標準的には、サブ画素ピッチ面積(サブ画素水平ピッチ×サブ画素垂直ピッチ)に等しい。部分的OLEDデバイス100は、正孔輸送層(HTL)130、最も一般的には陽極として構成される電極140、基板150、エッジテーパー領域175によってとり囲まれている均一領域170を伴う有機層160及び充填領域180を内含する。OLEDデバイスについての解像度は、一線形単位あたりの画素数(例えば1cmあたりの画素数又は1インチあたりの画素数)である。このタイプのOLEDデバイスについての開口率は、被着面積115で電極面積140を除したものとして定義づけされる。すなわち、
【数1】

【0014】
従来のシャドウマスク110は、アパーチャが鋭いエッジ及びコーナーを有するような形で、無電解メッキを通して生成される従来の精密マルチアパーチャマスクである。線形ソース120は、長軸から半径方向分散パターンで所望の被着有機材料の分子を発出する従来の線形有機蒸着源である。正孔輸送層130は、OLEDスタックの予め被着させられた正孔輸送層である。電極140は、横方向に間隔取りされた電極の予め被着させられたパターンであり、有機層160の均一被着部域のための所要面積を画定する。電極140は、アクティブマトリクスデバイスの一部であり得、その中で各電極140は1つの画素に対応している。代替的には、電極140は、パッシブアレイの一部であり得、その場合、1つの電極140は1本の画素行を活性化することができる。充填領域180は、充填材料とその他の無関係の構造の部域である。充填領域180は、隣接する電極の間の空間である。高い開口率又は高解像度ディスプレイのためには、この充填領域は小さいものでなくてはならない。有機層160は、従来のシャドウマスク110内のアパーチャを通る線形ソース120の放出の結果である。
【0015】
作動中、線形ソース120は、有機材料を放出しながら予め定められた速度で従来のシャドウマスク110全体にわたり移行する。放出された有機材料は、従来のシャドウマスク110の被着部域115と結びつけられたアパーチャ内を通過し、正孔輸送層130上に被着させられ、かくして有機層160を形成する。従来のシャドウマスク110の鋭いエッジは、有機層160内の均一領域170をとり囲む均一でないエッジテーパー領域175を作り上げるシャドーイングをひき起こす。
【0016】
図2は、電極140と関連づけて示されている先行技術のシャドウマスクアパーチャ210の平面図である。さらにシャドウマスクアパーチャ210と結びつけられているのは、ガードバンドx220及びガードバンドy230である。
【0017】
図2は、精密シャドウマスクアパーチャ210内部の電極140の相対的位置及び面積を示す。電極140により画定された面積を横断して均一な被着厚みを確保するために、シャドウマスクアパーチャ210は、ガードバンドx220及びガードバンドy230として描かれている寸法だけ電極140より広い。ガードバンドx220及びガードバンドy230は、エッジテーパー領域175の対応する寸法以上でなくてはならない。しかしながら、これらの増大した寸法は、多重有機層160を正孔輸送層130上でいかに近接して設置できるかについて制限を加える。その結果として開口率は減少する。
【0018】
図3Aは、有機層160、均一領域170及びエッジテーパー領域175を示す上述の従来のシャドウマスクによって形成された従来の被着パターン300の平面図である。
【0019】
有機層160は、被着した有機EL発光媒体の全面積に相当する。エッジテーパー領域175は、従来のシャドウマスク110の鋭いエッジのシャドーイング効果により形成される部域である。均一領域170は、シャドーイング効果が無く、実質的に厚みが均一である有機層160の部域である。
【0020】
図3Bは、図3Aの被着パターン300との関係における有機層160の厚みプロフィールを示すプロフィール曲線360を内含するプロット350である。プロット350は、被着方法又は被着パターンのコントラストをエッジテーパー領域175の幅によっていかに測定できるかを示している。
【0021】
図4は、テーパー付きシャドウマスクを形成されたOLED構造を代表する先行技術の部分的OLEDデバイス400の横断面図を例示している。部分的OLEDデバイス400はテーパー付きシャドウマスク410と接触しており、線形ソース120と転写関係にある。部分的OLEDデバイス400は、上述の通りの正孔輸送層130、電極140、基板150及び不均一エッジテーパー領域475によりとり囲まれている均一領域470を有する有機層460を内含する。
【0022】
テーパー付きシャドウマスク410は、アパーチャエッジが規定のテーパーを有するような形でエッチングプロセスを通して生成される従来のマルチアパーチャマスクである。電極140は、予め被着され、有機層460の均一領域470のための所要面積を画定する。有機層460は、テーパー付きシャドウマスク410内のアパーチャを通した線形ソース120の有機材料放出の結果である。
【0023】
線形ソース120は、上述の通りに作動する。テーパー付きシャドウマスク410のテーパー付きエッジは、線形ソース120の放出のシャドーイングを最小限におさえ、不均一なエッジテーパー領域475を形成する。不均一エッジテーパー領域475は、テーパー付きシャドウマスク410のテーパー付きがシャドーイングを低減させることから、図1のエッジテーパー領域175よりも小さい。
【0024】
テーパー付きシャドウマスク410を形成するために用いられるエッチングプロセスのアーチファクトは、コーナーが丸くなるということにある。図5は、付随する電極140との関係において示されている先行技術のテーパー付きシャドウマスクアパーチャ510の平面図である。テーパー付きシャドウマスクアパーチャ510にさらに結びつけられているのは、ガードバンドx520、ガードバンドy530及びコーナー半径540である。
【0025】
図5は、テーパー付きシャドウマスクアパーチャ510内の電極140の相対的位置と面積を示す。電極140により画定された面積を横断して均一な被着厚みを確保するために、シャドウマスクアパーチャ510(ひいては有機層460)はガードバンドx520及びガードバンドy530として描かれている寸法だけ大きくなっている。ガードバンドx520及びガードバンドy530は、エッジテーパー領域475の対応する寸法以上でなくてはならないと同時に、コーナー半径540の丸いエッジに起因する材料の損失に対処するのに充分な広さをもたなくてはならない。
【0026】
図6は、無電解メッキ又はテーパー付きシャドウマスクプロセスのいずれかなどによる従来の製造プロセスを介して形成された従来の(先行技術の)多層OLED画素600の横断面図を示す。多層OLEDデバイス600は、正孔輸送層130、電極140、基板150、充填領域180、有機層630、有機層640、有機層650、最も一般的には陰極として構成される電極660、空隙670、勾配エッジ680及び未使用部域690を内含する。有機層は、発光層、電子輸送層及び当該技術分野においてOLEDデバイスを生産する上で有用であることが示されてきたその他の任意の層を含むことができる。これらの層について以下で記述する。
【0027】
基板150は、供与体から有機材料を受けとるための表面を提供する有機固体、無機固体又はそれらの組合せであり得る。基板150は、剛性又は可とう性であり得、シート又はウェーハといったような個別の部品としてか又は連続したロールとして加工可能である。標準的な基板材料としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミクス、半導体、金属酸化物、半導体酸化物、半導体窒化物又はそれらの組合せが含まれる。基板150は、複数の材料の均質混合物、材料の複合物又は材料の多重層であり得る。基板150は、例えばアクティブマトリクス低温ポリシリコンTFT基板といったように、OLEDデバイスを調製するために一般的に使用される基板であるOLED基板であり得る。基板150は、意図されている発光方向に応じて、光透過性でも不透明でもあり得る。光透過性特性は、基板を通してEL発光を検分するために望ましい。このような場合には、透明なガラス又はプラスチックが一般的に利用される。EL発光が上面電極を通して検分される利用分野については、底面支持体の透過特性は重要ではなく、従って、光透過性、吸光性又は光反射性であり得る。この場合使用するための基板としてはガラス、プラスチック、半導体材料、セラミックス及び回路板材料、又はパッシブマトリクスデバイス又はアクティブマトリクスデバイスのいずれでもありうるOLEDデバイスの形成において一般的に使用される任意のその他のものがあるが、これらに制限されるわけではない。
【0028】
電極140は、基板150全体にわたり形成され、最も一般的には陽極として構成される。EL発光が基板150を通して検分される場合、電極140は、問題の発光に対し透明か又は実質的に透明であるべきである。本発明において有用である一般的な透明陽極材料は、インジウム−錫酸化物及び錫酸化物であるか、アルミニウム又はインジウムでドープされた酸化亜鉛、マグネシウム−インジウム酸化物及びニッケル−タングステン酸化物を含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)その他の金属酸化物も役立つ。これらの酸化物に加えて、窒化ガリウムといった金属窒化物、セレン化亜鉛といった金属セレン化物、及び硫化亜鉛といった金属硫化物を陽極材料として使用することもできる。EL発光が上面電極を通して検分される利用分野については、陽極材料の透過特性は重要ではなく、透明、不透明又は反射性のあらゆる導電性材料を使用することができる。この利用分野のための導体の例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム及び白金が含まれるがこれらに制限されるわけではない。好ましい陽極材料は、透過性その他のいずれであれ、4.1eV以上の仕事関数を有する。望ましい陽極材料を、蒸発、スパッタリング、化学蒸着又は電気化学的手段といったあらゆる適切な手段により被着させることができる。陽極材料は、周知のフォトリソグラフィプロセスを用いてパターン化することができる。
【0029】
つねに必要ではないものの、有機発光ディスプレイ内で電極140上に正孔注入層を形成させることが往々にして有用である。正孔注入材料は、その後の有機層のフィルム形成特性を改善させるため及び正孔輸送層内への正孔の注入を容易にするために役立ち得る。正孔注入層内で使用するのに適した材料としては、米国特許第4,720,432号に記述されている通りのポルフィリン化合物、及び米国特許第6,208,075号に記述されているプラズマ被着フッ素樹脂が含まれるかこれらに制限されるわけではない。有機ELデバイス内で有用とされている代替的な正孔注入材料は、欧州特許第0,891,121A1号及び1,029,909A1号の中で記述されている。
【0030】
つねに必要ではないものの、正孔注入層上又はいかなる正孔注入層も使用されない場合には電極140上に、正孔輸送層130を形成することが往々にして有用である。蒸気、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写、又は供与体材料からのレーザー熱転写といったような任意の適切な手段により、所望の正孔輸送層を被着させることができる。正孔輸送層130内で有用な正孔輸送材料は、周知であり、芳香族第3アミンといった化合物が含まれ、ここでこの芳香族第3アミンは、少なくとも1つが芳香族環の成員である炭素原子にのみ結合される少なくとも1つの3価の窒素原子を含有する化合物であるものと理解される。1つの形態においては、該芳香族第3アミンは、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又は重合体アリールアミンといったようなアリールアミンであり得る。単量体トリアリールアミンの例は、Klupfel et al. の米国特許第3,180,730号によって例示されている。単数又は複数のビニルラジカルで置換されかつ/又は少なくとも1つの活性水素含有基を含むその他の適切なトリアリールアミンは、Brantley et al. 米国特許第3,567,450号及び3,658,520号により開示されている。
【0031】
より好ましい種類の芳香族第3アミンは、米国特許第4,720,432号及び5,061,569号に記述されているような少なくとも2つの芳香族第3アミン部分を内含するものである。かかる化合物には、構造式Aにより表わされるものが含まれる。
【0032】
【化1】

なお式中、
1及びQ2は独立して選択された芳香族第3アミン部分であり;
Gは、炭素−炭素結合のアリーレン、シクロアルキレン又はアルキレン基といった連結基である。
【0033】
1実施形態においては、Q1又はQ2のうちの少なくとも1つは、多環式縮合環構造例えばナフタレンを含有する。Gがアリール基である場合、それは適切にはフェニレン、ビフェニレン又はナフタレン部分である。
【0034】
構造式Aを満たしかつ2つのトリアリールアミン部分を含有する有用な種類のトリアリールアミンは、構造式Bによって表わされる。
【0035】
【化2】

なお式中、
1及びR2は各々独立して水素基、アリール基又はアルキル基を表わすか、そうでなければ、R1及びR2は合わせてシクロアルキル基を補完する原子を表わし、
3及びR4は各々独立して、構造式Cにより表わされているようなシアリル置換されたアミノ基でそれ自体置換されるアリール基を表わす。
【0036】
【化3】

なお式中、R5及びR6は独立して選択されたアリール基である。一実施形態においては、R5又はR5のうちの少なくとも1つが多環式縮合環構造例えばナフタレンを含有する。
【0037】
もう1種類の芳香族第3アミンはテトラアリールジアミンである。望ましいテトラアリールジアミンには、アリーレン基を通して連結された、構造式Cにより表わされているような2つのジアリールアミノ基が含まれる。有用なテトラアリールジアミンには、構造式Dにより表わされるものが含まれる。
【0038】
【化4】

なお式中、
各Areは、フェニレン又はアントラセン部分といったような独立して選択されたアリーレン基であり、
nは1〜4の整数であり、
Ar、R7、R8及びR9は独立して選択されたアリール基である。
【0039】
標準的実施形態においては、Ar、R7、R8及びR9のうちの少なくとも1つは、多環式縮合環構造、例えばナフタレンである。
【0040】
上述の構造式A、B、C、Dのさまざまなアルキル、アルキレン、アリール及びアリーレン部分は各々それ自体置換され得る。標準的な置換分としては、フッ化物、塩化物及び臭化物といったようなハロゲン及びアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基が含まれる。さまざまなアルキル及びアルキレン部分には標準的には1〜約6個の炭素原子が含まれる。シクロアルキル部分は、3個〜約10個の炭素原子を含有し得るが、標準的には、5、6、又は7個の炭素原子例えばシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル環構造を含有する。アリール及びアリーレン部分は通常、フェニル及びフェニレン部分である。
【0041】
OLEDデバイス内の正孔輸送層は、単一の芳香族第3アミン化合物又はその混合物で形成され得る。特定的には、構造式Dによって表わされているようなテトラアリールジアミンとの組合せの形で構造式Bを満たすトリアリールアミンといったようなトリアリールアミンを利用することができる。トリアリールアミンがテトラアリールジアミンと組合わせた形で利用される場合、このテトラアリールジアミンは、トリアリールアミンと電子注入及び輸送層の間に介在する層として位置づけされる。有用な芳香族第3アミンを例示するものとしては以下のものがある:
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン
4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クワドリフェニル
ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン
N,N,N−トリ(p−トリル)アミン
4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)−スチリル]スチルベン
N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4−4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル
N−フェニルカルバゾール
ポリ(N−ビニルカルバゾール)
N,N’−ジ−1−ナフタレニル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル
4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’’−ビス[N−(l−アントリル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(8−フルオルアンテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフタセリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン
2,6−ビス[ジ−(l−ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’’−ジアミノ−p−テルフェニル
4,4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(l−ナフチル)−フェニル]アミノ}ビフェニル
4,4’−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル
2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミン]フルオレン
1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
【0042】
もう1つのクラスの有用な正孔輸送材料としては、欧州特許第1,009,041号に記述されているような多環式芳香族化合物が含まれる。さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びPEDOT/PSSとも呼ばれるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルフォナート)といったような共重合体などの重合体正孔輸送材料を使用することができる。
【0043】
有機層630は、正孔−電子再結合に応答して光を生成する発光層でありうる。該発光層は、電極140上及び正孔輸送層130といったような形成されたその他のあらゆる層全体にわたり形成される。蒸発、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段又は供与体材料からの輻射熱転写といった適切なあらゆる手段により、所望の有機発光材料を被着させることができる。有用な有機発光材料は周知である。米国特許第4,769,292号及び5,935,721号の中でさらに詳しく記述される通り、有機EL素子の発光層は、発光又は螢光材料を含み、ここでエレクロトルミネセンスは、この領域内の電子−正孔対再結合の結果として生成される。発光層は、単一材料から成り得るが、より一般的には、ゲスト化合物又はドーパントでドープされたホスト材料を内含し、ここで光の放出は、主としてドーパントから由来し、任意の色のものであり得る。発光層内のホスト材料は、以下で定義するような電子輸送材料、以上で定義するような正孔輸送材料又は正孔−電子再結合を支援するもう1つの材料であり得る。ドーパントは通常、きわめて螢光性の高い染料の中から選択されるが、例えば国際公開第98/55561号、国際公開第00/18851号、国際公開第00/57676号及び国際公開第00/70655号の中で記述されている通りの遷移金属錯体といったリン光性化合物も同様に有用である。ドーパントは標準的には、ホスト材料中に0.01〜10質量%としてコーティングされる。
【0044】
ドーパントとして染料を選択するために重要な関係は、最高占有分子軌道と分子の最低未占有分子軌道の間のエネルギー差として定義されるバンドギャップ電位の比較である。ホスト材料からドーパント分子への効率の良いエネルギー伝達のために必要な条件は、ドーパントのバンドギャップがホスト材料のものよりも小さいということにある。
【0045】
有用であるものとして知られているホスト及び発光分子としては、米国特許第4,768,292;5,141,671;5,150,006;5,151,629;5,294,870;5,405,709;5,484,922;5,593,788;5,645,948;5,683,823;5,755,999;5,928,802;5,935,720;5,935,721;及び6,020,078内に開示されているものが含まれる。
【0046】
8−ヒドロキシキノリン及び類似の誘導体の金属錯体(構造式E)が、エレクトロミネセンスを支援する能力をもつ有用なホスト材料の1種類を構成し、例えば緑、黄、オレンジ及び赤といった500nmより長い波長の発光に特に適している。
【0047】
【化5】

なお式中、
Mは、金属を表わす;
nは1〜3の整数である;そして
Zは各々の発生において独立して、少なくとも2つの縮合芳香族環を有する核を補完する原子を表わす。
【0048】
以上のことから、該金属が1価、2価又は3価の金属でありうることは明白である。金属は例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムといったようなアルカリ金属;マグネシウム又はカルシウムといったようなアルカリ土類金属;又はホウ素又はアルミニウムといった土類金属であり得る。一般に、有用なキレート金属として知られているあらゆる1価、2価又は3価の金属を利用することができる。
【0049】
Zは、少なくとも1つがアゾール又はアジン環である少なくとも2つの融合芳香族環を含有する複素環核を補完する。脂肪族環及び芳香族環の両方を含む付加的な環を、必要な場合2つの所要環と融合させることができる。機能の改善なく分子の嵩を上乗せするのを避けるため、環原子の数は通常18個以下に維持される。
【0050】
有用なキレート化オキシノイド化合物の例としては以下のものがある:
CO−1:アルミニウムトリソキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−2:マグネシウムビソキシン[別名、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO−3:ビス[ベンゾ{f}−8−キノリノラト]亜鉛(II)
CO−4:ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)
CO−5:インジウムトリソキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)インジウム]
CO−6:アルミニウムトリス(5−メチロキシン)[別名、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−7:リチウムオキシン[別名、(8−キノリノラト)リチウム(I)]
【0051】
9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(構造式F)の誘導体が、エレクロトルミネセンスを支援する能力をもつ有用なホスト材料の1種類を構成し、例えば青、緑、黄、オレンジ及び赤といった400nmより長い波長の発光に特に適している。
【0052】
【化6】

なお式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各置換分が個別に以下の基から選択されている各環上の単数又は複数の置換分を表わしている:
グループ1:水素又は1〜24個の炭素原子のアルキル;
グループ2:5〜20個の炭素原子のアリール又は置換アリール;
グループ3:アントラセニル、ピレニル又はペリレニルの縮合芳香族環を補完するのに必要な4〜24個の炭素原子;
グループ4:フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル又はその他の複素環系の縮合複素環式芳香族環を補完するのに必要とされるような5〜24個の炭素原子のヘテロアリール又は置換ヘテロアリール;
グループ5:1〜24個の炭素原子のアルコキシルアミノ、アルキルアミノ又はアリールアミノ;及び
グループ6:フッ素、塩素、臭素又はシアノ。
【0053】
ベンザゾール誘導体(構造式G)は、エレクロトルミネセンスを支援する能力をもつもう1種類の有用なホストを構成し、例えば、青、緑、黄、オレンジ及び赤といった400nmより長い波長の発光に特に適している。
【0054】
【化7】

なお式中、nは3〜8の整数であり;
Zは、O、NR又はSであり
R’は、水素;1〜24個の炭素原子のアルキル、例えばプロピル、t−ブチル、ヘプチルなど;5〜20個の炭素原子のアリール又はヘテロ原子置換アリール、例えばフェニル及びナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル及びその他の複素環系;又はハロ例えばクロロ、フルオロ;又は縮合芳香族環を補完するのに必要な原子であり、
Lは、接合体的に又は非接合体的に多数のベンザゾールを結び合わせるアルキル、アリール、置換アルキル又は置換アリールから成る連結単位である。
【0055】
有用なベンザゾールの一例としては、2,2’,2”−(1,3,5−フェニレン)トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)がある。
【0056】
望ましい螢光性ドーパントとしては、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム及びチアピリリウム化合物及びカルボスチリル化合物の誘導体が含まれる。有用なドーパントの例示的な実例としては、以下のものが含まれるがこれらに制限されるわけではない:
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【0057】
その他の有機発光物質は、譲渡された米国特許第6,194,119B1号及びその中に引用されている参考文献の中でWolk et al.により教示されているように、例えばポリフェニレンビニレン誘導体、ジアルコキシ−ポリフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン誘導体及びポリフルオレン誘導体などの重合体物質であり得る。
【0058】
図示されてはいないが、発光層は、結果としてのOLEDデバイスの適正な放出特性のために望まれる場合、さらに2つ以上の発光層を含むことができる。
【0059】
電子輸送層が発光層全体にわたり形成される。蒸発、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写又は供与体材料からのレーザー熱転写といった適切なあらゆる手段により、所望の電子輸送材料を被着させることができる。電子輸送層内で使用するための好ましい電子輸送材料は、(一般的に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれている)オキシン自体のキレートを含めた、金属キレート化オキシノイド化合物である。かかる化合物は、電子を注入し輸送するのを助け、高レベルの性能を共に示し、薄膜の形で容易に製造可能である。考慮対象のオキシノイド化合物の例としては、前述の構造式Eを満たすものがある。
【0060】
その他の電子輸送材料としては、米国特許第4,356,429号内で開示されているようなさまざまなブタジエン誘導体及び米国特許第4,539,507号の中で記述されているようなさまざまな複素環式螢光増白剤が含まれる。構造式Gを満たすベンザゾールも又有用な電子輸送材料である。
【0061】
その他の電子輸送材料は、重合体物質例えばポリフェニルビニレン誘導体、ポリ−パラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びその他の導電性重合体有機材料例えば「導電性分子及び重合体便覧」、第1〜第4巻、H.S. Nalwa,編、John Wiley and Sons, Chichester(1997)の中で列挙されているものであり得る。
【0062】
電極660は、電子輸送層全体にわたり形成され、最も一般的には陰極として構成される。光の放出が陽極を通してのものである場合、陰極材料は、ほぼどんな導電性材料ででも構成され得る。望ましい材料は、優れたフィルム形成特性を有して下にある有機層との優れた接触を確保し、低電圧で電子注入を促進し、かつ優れた安定性を有する。有用な陰極材料は往々にして、低い仕事関数の金属(<3.0eV)又は金属合金を含有する。1つの好ましい陰極材料は、Mg:Agの合金から成り、ここで銀の百分率は、米国特許第4,885,221号に記述されている通り1〜20%の範囲内にある。もう1つの適切な種類の陰極材料には、導電性金属のより厚い層でキャッピングされた、低い仕事関数の金属又は金属塩の薄層で構成された2重層が含まれる。1つのかかる陰極は、米国特許第5,677,572号に記述されているような、LiFの薄膜とそれに続くAlのより厚い層から成る。その他の有用な陰極材料としては、米国特許第5,059,861号;5,059,862号及び6,140,763号に開示されているものが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0063】
光の放出が陰極を通して検分される場合、陰極は、透明か又はほぼ透明でなくてはならない。このような利用分野のためには、金属は薄くなくてはならず、そうでなければ、透明な導電性酸化物又はこれらの材料の組合せでなくてはならない。光学的に透明な陰極については、米国特許第5,776,623号中でより詳細に記述されてきた。陰極材料は、蒸発、スパッタリング又は化学蒸着によって被着可能である。必要な場合、パターン化を、スルーマスク被着、米国特許第5,276,380号及び押収特許第0.732868号で記述されているような内蔵シャドーマスキング、レーザーアブレーション、及び選択的化学蒸着を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)数多くの周知の方法を通して達成可能である。
【0064】
電極660は、横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた電極である。電極660は、アクティブマトリクスデバイスの一部であり得、その場合、ディスプレイ全体のための単一の電極である。代替的には、電極660は、パッシブマトリクスデバイスの一部であり得、ここでは、各々の電極660は画素列を活性化でき、電極660は電極140に直交して配置されている。
【0065】
陰極と電子輸送層の間には電子注入層も存在し得る。電子注入材料の例としては、前述のLiFといったようなアルカリハロゲン化物塩が含まれる。
【0066】
先行技術のデバイスについては、1つの画素内で完全に充填するべく、推定上15ミクロンの有機材料重複を用いなくてはならない。未使用部域690内のいかなる発光性有機材料も、その材料が電極140の表面が画定する電流路の中にないことから、光を放出しない。未使用部域690は、OLED表示デバイス内の1つの多層DLED画素600から次のものまでの最小間隔取りを制限し、こうして今度は解像度が制限され、又OLEDディスプレイをいかに小さく製造できるかということについても制限が加わることになる。その上、多重被着層では、整列の問題に起因してピラミッド効果が作り出され、ここでは、有機層640の面積がより小さい状態で有機層630の面積はより大きく、有機層650の面積はより一層小さくなる。多数の積重ねられた有機層630、640及び650の不均一層によってひき起こされるピラミッド形は、多層OLED画素600が基板150に直交する鋭いエッジを有するのを妨げ、その結果空隙670及び勾配エッジ680をもたらす。複数の有機材料層を被着することのもつピラミッド効果は、多層OLED画素600が鋭いコーナー及びエッジをもつのを妨げ、このことはさらに、OLED表示デバイス内の多数の多層OLED画素600の設置ピッチを制限する。
【0067】
図7は、エッジテーパー領域を制限することによりOLEDデバイスの改善された開口率又は解像度を達成するための1つの方法を例示している。図7は、輻射熱転写プロセス700の側面図を示している。輻射熱転写プロセス700は、本発明の第1の実施形態に従った輻射熱転写システム714を含む。輻射熱転写システム714はさらに、輻射ソース716、輻射ビーム718、輻射スポット720及び供与体722を内含する。輻射ソース716は、例えば、米国特許第6582,875号中にKay et al.により記述されている通りのマルチチャンネルレーザープリントヘッドであり得る。付加的には、輻射熱転写プロセス700は、図1に描かれているように、正孔輸送層130、電極140、基板150及び充填領域180を含み、これらの上に、エッジテーパー領域728を有する有機層726が被着される。輻射熱転写プロセス700といったような輻射熱転写プロセスのさらなる詳細は、共同譲渡された米国特許第5,937,272号の中でTangにより記述されてきた。しかしながら、有機層726をより良く理解するために、それは、有機層726を形成する輻射熱転写プロセス700と組合わせた形で示されている。
【0068】
供与体722は、最小限、少なくとも以下の必要条件を満たす複数の材料のうちのいずれかで作ることのできる可とう性供与体支持基板を内含する。該供与体支持基板は、片面に圧力を受けながらの光−熱誘発型転写段階の間、及び水蒸気といった揮発性成分を除去するために考慮されているあらゆる予熱段階の間、構造的無欠性を維持する能力を有していなくてはならない。さらに、供与体支持体は、転写可能な有機材料730の比較的薄いコーティングを受けかつコーティングされた支持体の予想保管期間中劣化無くこのコーティングを保持する能力を有していなくてはならない。これらの必要条件を満たす支持体材料としては、例えば、金属箔、支持体上のコーティングの転写可能な有機供与体材料の転写をひき起こすと予想される支持体温度値よりも高いガラス遷移温度値を示す或る種のプラスチック箔、そしてファイバ強化プラスチック箔が含まれる。適切な支持体材料の選択は、既知の工学的方法に依存し得るが、本発明の実践に有用な供与体支持体として構成される場合、選択された支持体材料の幾つかの様相を考慮する価値があるということがわかるだろう。例えば、支持体は、転写可能な有機材料を予備コーティングするに先立ち、多階段式清浄及び表面前処理プロセスを必要とする可能性がある。支持体材料が輻射線透過性材料である場合には、輻射線吸収性材料の支持体内又はその表面上への取込みは、適切なレーザーからのレーザー光といった適切なソースからの輻射を使用する場合、供与体支持体をより効果的に加熱しかつ供与体722から基板に対する転写可能な有機材料730の相応して増強された転写を提供するために有利であり得る。輻射線熱吸収性材料16は、米国特許第5,578,416号中で特定されている染料といった染料、炭素などの顔料、又はニッケル、クロム、チタンなどの金属であり得る。供与体722は、上述のような発光性材料を含む有機材料730を内含する。有機材料730は、高コントラスト応答を有することができる。すなわち、有機材料の転写が全く起こらない放射ビーム718の最大強度と100%の有機材料転写が発生することになる最小強度の間の差が小さい、ということである。このことは一般に、有機材料730が全ての転写を受けるか又は全く転写を受けないことを意味することになる。供与体722は、個々のシートの形でも、連続したウェブの形でも可能である。
【0069】
供与体722は、横方向に間隔取りされた電極と間隔取りされた関係で設置される。間隔取りされた関係というのは、供与体722が正孔輸送層130と接触状態で設置されるか又は電極140から10μm未満の制御された離隔距離のギャップを伴って保持され、有機材料730の輻射熱転写を容易にしていることを意味する。
【0070】
輻射熱転写システム714は、より大きい輻射熱転写システムの単一のチャンネルを代表するものである。作動中、輻射ソース716が活性化され、輻射ビーム718で横方向に間隔取りされた電極140の面積に対応するパターンで供与体722を照射し、これが輻射スポット720を生成する。輻射エネルギーの大部分は、供与体722内部で吸収材層(図示せず)により吸収され、熱に転換される。これが供与体722の有機材料730を加熱し、蒸発した有機材料724を形成し、かくして、有機材料730の実質的に全てが、図9にさらに詳しく示されているような単数又は複数の有機材料層を代表する有機層726を形成する正孔輸送層130の表面上に転写されることになる。
【0071】
輻射熱転写プロセス700は、高い精度で有機材料を被着させることから、それは、幅が8μm未満の鋭いエッジテーパー領域728を有しかつ6μm未満のコーナー半径を有する有機層726を形成する。結果として得られたこの有機層726は、未使用部域690を削減し、横方向に間隔取りされた電極140の間の間隔取りを削減できるようにする特定の有利な幾何形状を有し、これは、画素間のより近接した間隔取りを可能にしかくしてOLEDデバイスの解像度を改善させる。
【0072】
下表1は、エッジ及びコーナーの最小限の所要ガードバンドに関する、従来の無電解メッキされたシャドウマスクベースの被着プロセス(線形ソースを用いる)、テーパー付きシャドウマスクベースの被着プロセス(線形ソースを用いる)、及び輻射熱転写プロセス(例えば輻射熱転写プロセス700)の比較を例示している。
【0073】
表1:蒸着技法の開口ガードバンド範囲
【表1】

【0074】
異なる有機材料730を有する付加的な異なる供与体722を提供し、輻射熱転写プロセス700を反復することにより、例えば赤、緑及び青色発光有機材料730を被着するために、輻射熱転写プロセス700を反復することができる。
【0075】
図8は、付随する電極140との関係において、本発明に従った方法により形成された有機層726の被着部域750の平面図を示す。被着部域は、ガードバンドx760及びガードバンドy770として描かれている寸法だけ大きめにサイズ決定されている。ガードバンドx760及びガードバンドy770は、ガードバンドx760及びガードバンドy770は、エッジテーパー領域728の対応する寸法以上でなくてはならず、又同様に、コーナー半径780の丸いエッジに起因する材料損失に対処するよう充分大きいものでなくてはならない。表1により示されているように、ガードバンド領域は、被着パターン300又は被着部域500のために必要なものよりも著しく小さいものであり得、かくして有機層726の開口率を改善する。
【0076】
図9は、図7に関して記述された通りに本発明の輻射熱転写プロセス700を介して形成される改良型多層OLED画素800の横断面図を示す。改良型多層OLED画素800は、図1に関して記述された通りの正孔輸送層130、電極140、基板150及び充填領域180、及び正孔輸送層130上に被着された被着構造810を内含する。図9は、被着構造810がさらに、有機層830、有機層840、有機層850、電極860、空隙870及び勾配エッジ880をも内含し、かくして横方向に間隔取りされた電極140と垂直方向に離して間隔取りされた電極860の間に有機層830、840及び850が形成されるようになっている、ということを例示している。この例においては、正孔輸送層130、電極140、基板150、有機層830、有機層840、有機層850及び電極860は、OLED画素600についてすでに記述した通り、OLED画素中の従来の素子である。
【0077】
輻射熱転写プロセス700を用いて、例えば有機層830、840及び850といった多数の有機材料層が電極140上に被着される。輻射熱転写プロセス700は高い精度で有機層を互いの上に被着させることから、多数の被着において無視できるほどのピラミッド効果しか形成されず、基板150に対しほぼ直交するエッジ880をもつ全体的構造を形成し、かくして最小体積の空隙870そして図6の勾配エッジ680に見られる漸進的勾配に比べて鋭角の傾斜をもつ勾配エッジ880を結果としてもたらす。結果として得られる改良型多層OLED構造800は、被着ガードバンド必要条件ならびに被着層整列許容誤差の両方を最小限にする特定的な有利な幾何形状を有する。さらにそれは、画素を互いに近接して設計できるようにし、より優れた解像度を可能する。OLEDデバイス面積のさらに大きい割合を占めるように電極140を設計することができ、より輝度の高いディスプレイが可能となる。又より小さな画素を設計でき、より優れた解像度が可能になる。
【0078】
ここで図10を参照し、かつ図7も同様に参照すると、本発明に従ったOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法のブロック図が示されている。開始時点(ステップ900)で、横方向に間隔取りされた複数の電極140が基板150上に提供される(ステップ910)。横方向に間隔取りされた電極140と間隔取りされた関係で、転写可能な有機材料730を有する供与体722が提供される(ステップ920)。このとき、供与体722は、有機材料730の実質的に全てが転写され、エッジテーパー領域728が8μm未満でコーナー丸みが6μm未満となるような形で横方向に間隔取りされた電極140全体にわたり有機材料730を転写するべく横方向に間隔取りされた電極140の面積に対応するパターンで輻射ビーム718といったような輻射熱での照射を受ける(ステップ930)。例えば異なる発光波長の有機材料を被着させるために異なる有機材料を有する付加的な異なる供与体が、使用されなくてはならない場合には(ステップ940)、ステップ920及び930が必要なだけ繰返される。さらなる供与体が全く必要とされない場合、横方向に間隔取りされた電極140から垂直方向に間隔取りされた電極が提供される(ステップ950)。このとき、該方法は終了する(ステップ960)。
【0079】
該発明については、そのいくつかの好ましい実施形態を特に参照しながら詳述してきたが、該発明の精神及び範囲内で変更及び修正を加えることができるということがわかるだろう。例えば、8μm未満のエッジテーパー領域又は6μm未満のコーナー半径又はその両方を伴うOLEDデバイスが、記述された熱転写方法を用いて作製されているものとして記述されてきたが、当業者であれば、8μm未満のエッジテーパー領域又は6μm未満のコーナー半径又はその両方を達成するのにその他の方法を使用できることがわかるであろう。例えば、米国特許第5,937,272号の中でTangが記述している方法は、有機EL材料の転写可能なコーティングで被覆された供与体支持体の形をした大面積ソースと組合せたアパーチャ−マスクを利用している。アパーチャマスクのタイプ及び供与体とアパーチャマスクの間の距離Dを、適正に選択してDが大角度被着を最小限におさえるのに充分小さいものとなるようにすることにより、8μm未満のエッジテーパー又は6μm未満のコーナー丸み又はその両方を伴うOLEDデバイスを達成することができる。
【0080】
もう1つのタイプの大面積ソースが、Schwambera et alにより「OLEDデバイス製造のための有機蒸気相被着(OVPD)機器のモデリングと製造」情報ディスプレイ学会2002年年次総会摘要p894内で記述されている。このソースと適切なアパーチャマスクの組合せ及び正しい間隔取り及び流量により、8μm未満のエッジテーパー又は6μm未満のコーナー半径又はその両方を伴うOLEDデバイスを生産するためのもう1つの方法を提供することが可能である。
【0081】
最後に、テーパー付きマスク設計及び/又はOLEDデバイス設計を適切に選択することで、8μm未満のエッジテーパー又は6μm未満のコーナー半径又はその両方を伴うOLEDデバイスを結果として得ることができる。例えば、テーパー付きマスクのためのマスクのエッチング段階には、テーパーマスクの最終的なエッチングされたコーナーが6μm未満の半径をもつ結果となるような形でのコーナーの修正が含まれる。代替的には、OLEDデバイス設計には、テーパー付きスロット入りマスクを使用でき、かくしてコーナー丸みの問題が無くなるように、縞状カラーパターンを利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】従来のシャドウマスクを用いて形成されたOLEDデバイスを代表する部分的OLEDデバイスの横断面図である(先行技術)。
【図2】付随する電極との関係における精密シャドウマスクアパーチャの平面図である(先行技術)。
【図3A】上述の従来のシャドウマスクにより形成された従来の被着パターンの平面図である(先行技術)。
【図3B】図3Aの被着パターンとの関係における有機層の厚みプロフィールのプロットである(先行技術)。
【図4】テーパー付きシャドウマスクを用いて形成されたOLEDデバイスを代表する部分的OLEDデバイスの横断面図である(先行技術)。
【図5】上述の付随するテーパー付きシャドウマスクアパーチャにより形成された被着部域の平面図である(先行技術)。
【図6】従来の製造プロセスを介して形成された従来の多層OLED画素の横断面図を示す(先行技術)。
【図7】本発明に従ったOLEDデバイスの開口率を改善するための方法の側面図を例示する。
【図8】付随する電極との関係における本発明に従った方法により形成された被着部域の平面図を示す。
【図9】本発明の方法を介して形成された改良型多層OLED画素の横断面図を示す。
【図10】本発明に従ったOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法のブロック図である。
【符号の説明】
【0083】
100 部分的OLEDデバイス
110 シャドウマスク
115 被着部域
120 線形ソース
130 正孔輸送層
140 横方向に間隔取りされた電極
150 基板
160 有機層
170 均一領域
175 エッジテーパー領域
180 充填領域
210 シャドウマスクアパーチャ
220 ガードバンドx
230 ガードバンドy
300 被着パターン
350 プロット
360 プロフィール曲線
400 部分的OLEDデバイス
410 シャドウマスク
460 有機層
470 均一領域
475 エッジテーパー領域
500 被着部域
510 シャドウマスクアパーチャ
520 ガードバンドx
530 ガードバンドy
540 コーナー半径
600 OLED画素
630 有機層
640 有機層
650 有機層
660 電極
670 空隙
680 エッジ
690 未使用部域
700 輻射熱転写プロセス
714 輻射熱転写システム
716 輻射ソース
718 輻射ビーム
720 輻射スポット
722 供与体
724 蒸発した有機材料
726 有機層
728 エッジテーパー領域
730 有機材料
750 被着部域
760 ガードバンドx
770 ガードバンドy
780 コーナー半径
800 OLED画素
810 被着構造
830 有機層
840 有機層
850 有機層
860 電極
870 空隙
880 エッジ
900 ブロック
910 ブロック
920 ブロック
930 ブロック
940 決定ブロック
950 ブロック
960 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に間隔取りされた複数の電極及びこれらの電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を含むOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法において、
a) 横方向に間隔取りされた電極と間隔取りされた関係で、転写可能な有機材料を有する供与体を提供する段階;
b) 有機材料の実質的に全てが転写され有機材料のエッジテーパー領域が8μm未満となりかくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減及びOLEDデバイスの開口率、解像度又はその両方の改善を可能にするような形で、横方向に間隔取りされた電極全体にわたり有機材料を転写するべく横方向に間隔取りされた電極の領域に対応するパターンで供与体に輻射熱を照射する段階、
を含んで成る方法。
【請求項2】
横方向に間隔取りされた複数の電極及びこれらの電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を含むOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法において、
a) 横方向に間隔取りされた電極と間隔取りされた関係で、転写可能な有機材料を有する供与体を提供する段階;
b) 有機材料の実質的に全てが転写され有機材料のエッジテーパー領域が8μm未満で有機材料のコーナー半径が6μm未満となりかくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減を可能にするような形で横方向に間隔取りされた電極全体にわたり有機材料を転写し、OLEDデバイスの開口率、又は解像度を改善するべく、横方向に間隔取りされた電極の領域に対応するパターンで供与体に輻射熱を照射する段階、
を含んで成る方法。
【請求項3】
異なる有機材料を有する単数又は複数の異なる供与体を提供し、要素a)及びb)を反復する段階をさらに含んで成る請求項2に記載の方法。
【請求項4】
横方向に間隔取りされた複数の電極及びこれらの電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を含むOLEDデバイスの開口率又は解像度を改善する方法において、
a) 横方向に間隔取りされた電極から10μm未満のところで間隔取りされた関係で、高いコントラスト応答をもつ転写可能な有機材料を有する供与体を提供する段階;
b) 有機材料の実質的に全てが転写され有機材料のエッジテーパー領域が8μm未満で有機材料のコーナー半径が6μm未満となりかくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減を可能にするような形で横方向に間隔取りされた電極全体にわたり有機材料を転写し、OLEDデバイスの開口率、又は解像度を改善するべく、横方向に間隔取りされた電極の領域に対応するパターンで供与体に輻射熱を照射する段階、
を含んで成る方法。
【請求項5】
異なる有機材料を有する単数又は複数の異なる供与体を提供し、要素a)及びb)を反復する段階をさらに含んで成る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
OLEDデバイスがアクティブマトリクスデバイスであり、横方向に間隔取りされた電極が各々1つの画素に対応し、横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた単一の電極が存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の横方向に間隔取りされた電極及び該複数の横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を内含する、改善された開口率又は解像度を有するOLEDデバイスにおいて、
a)単数又は複数の有機層の各々の有機材料が8μm未満のエッジテーパー領域を有し、かくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔の削減及びOLEDデバイスの開口率又は解像度の改善を可能にするような形で単数又は複数の垂直方向に離して間隔取りされた電極と横方向に間隔取りされた電極の間に形成された単数又は複数の有機層、
を含んで成るOLEDデバイス。
【請求項8】
OLEDデバイスがアクティブマトリクスデバイスであり、横方向に間隔取りされた電極が各々1つの画素に対し、横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた単一の電極が存在する、請求項7に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
複数の横方向に間隔取りされた電極及び該複数の横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた単数又は複数の電極を内含する、改善された開口率又は解像度を有するOLEDデバイスにおいて、
a) 単数又は複数の有機層の各々の有機材料が8μm未満のエッジテーパー領域及び6μm未満のコーナー半径を有し、かくして横方向に間隔取りされた電極間の間隔取りの削減及びOLEDデバイスの開口率又は解像度の改善を可能にするような形で単数又は複数の垂直方向に離して間隔取りされた電極と横方向に間隔取りされた電極の間に形成された単数又は複数の有機層、
を含んで成るOLEDデバイス。
【請求項10】
OLEDデバイスがアクティブマトリクスデバイスであり、横方向に間隔取りされた電極が各々1つの画素に対し、横方向に間隔取りされた電極から垂直方向に離して間隔取りされた単一の電極が存在する、請求項9に記載のOLEDデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−531961(P2007−531961A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520209(P2006−520209)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/021316
【国際公開番号】WO2005/011015
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】