説明

PDE5モジュレーターの同定方法

本発明は、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインを含有する新規のポリペプチド並びに前記ポリペプチドの、PDEモジュレーターの同定方法における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインを含有する新規のポリペプチド、並びに前記ポリペプチドのPDEモジュレーターの同定方法における使用に関する。
【0002】
公知技術
ホスホジエステラーゼ5(=PDEs)は真核性のタンパク質であり、環式ヌクレオチドcAMP及びcGMPのモジュレーターとして公知である。PDEsは、3つのクラス(I、II、及びIII)に区分され、これらのうち11つのPDEファミリー(PDE1〜11と呼称される)を有するクラスIのみが、哺乳類の場合には現れる。PDE5は、平滑筋の弛緩及び収縮において、及びニューロンの生残において役割を果たす。PDE5阻害剤の多数が公知であり、そして3つ(シルデナフィル、タダラフィル、及びバルデナフィル)が、勃起不全または肺高血圧症の治療のために使用される。
【0003】
GAFドメインは、生命の全ての系列において普遍的であり、かつAravind及びPonting(Aravind L. and Ponting C.P :The GAF domain :an evolutionary link between diverse phototransducing proteins. 1997, TIBS, 22, 458-459)により、タンパク質構造及びタンパク質配列比較に基づいて定義された。PDE2、PDE5、及びPDE6は、いわゆるcGMPに結合するGAFドメインを含有し、前記ドメインは、PDEsのアロステリックな活性化において役割を果たす。
【0004】
PDE5のGAFAドメインに関しては、高親和性のcGMP結合が検出されていて、その一方でGAFBドメインはむしろ、この二量体化に供される(Mc-Allister Lucas L. M., Haik T. L., Colbran J. L., Sonnenburg W. K., Seger D., Turko I. V., Beavo J. A., Francis S. H. and Corbin J.D. :An essential aspartic add at each of the allosteric cGMP-binding sites of a cGMP-specific phosphodiesterase. 1995, JBC, 270, 30671-30679 ;Turko I. V., Haik T.L., McAllister-Lucas L. M., Burns F., Frands S. H. and Corbin J.D.: Identification of key amino adds in a conserved cGMP-binding site of cGMP-binding. 1996, JBC, 271, 22240-22244)。Rybalkin et al.(Rybalkin S. D., Rybalkina I. G., Shimizu-Albergine M., Tang X. B. and Beavo J.A.: PDE5 is converted to an activated state upon cGMP binding to the GAF A domain, 2003, EMBO J. 22,469-78)によれば、このGAFタンデムは、cGMP結合を通じて、前記PDE5の活性を、10倍だけ高める。
【0005】
アデニル酸シクラーゼ(=ACs)は、生命の全ての範囲において、ATPからAMPへの変換を触媒する(Cooper D.M. :Regulation and organization of adenylyl cyclases and cAMP. 2003, Biochem J., 375(Pt 3),517-29; Tang W. J. and Gilman A.G. :Construction of a soluble adenylyl cyclase activated by Gsα and forskolin. 1995, Science, 268, 1769-1772)。配列比較及び構造的な考察に基づいて、これらは5つのクラス(I〜V)に区分される。分子生物学的な興味がもたれるのは、シアノバクテリアからの、特に、ノストック種 PCC 7120からの細菌のクラスIIIのACsであり、これにはまたCyaB1も属する。係るシアノバクテリアのACs、CyaB1及びCyaB2は同様に、N末端のGAFドメインを含有し、これは構造的に、前記PDEsのものに類似するが、しかしながらcAMPを活性化リガンドとして有する。ヒトの前記のクラスIIIのACsの9つの公知のファミリーは、全て膜結合型であり、かつGタンパク質を介して制御される(Tang W. J. and Gilman A.G. :Construction of a soluble adenylyl cyclase activated by Gsα and forskolin. 1995, Science, 268,1769-1772)。GAFドメインとの組み合わせは公知でない。
【0006】
ラットPDE2のGAFドメインと、アデニル酸シクラーゼCyaB1の触媒中心とからのキメラの構築は既に記載されている(Kanacher T., Schultz A., Linder J. U.and Schultz J.E. :A GAF-domain-regulated adenylyl cyclase from Anabaena is a self activated cAMP switch. 2002, EMBO J., 21, 3672-3680)。
【0007】
ヒトのPDE5と細菌性のアデニル酸シクラーゼとからのキメラは公知でない。同様に、係るキメラの、PDE5モジュレーターの同定方法における使用は、公知技術から公知でない。
【0008】
本発明の詳細な説明
本発明に基づく課題は、PDE5モジュレーターの同定方法を提供することにある。
【0009】
前記課題は、本発明によるポリペプチドであって、機能的に連結した、(a)ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、又はこの機能的に等価である変形、及び(b)アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形を含有する本発明によるポリペプチドの提供、及びPDE5モジュレーターの同定方法におけるこの使用により解決された。
【0010】
意外にも、N末端のヒトのPDE5−GAF−ドメイン及びC末端のアデニル酸シクラーゼの触媒中心からなるキメラタンパク質が、エフェクター分子として適することが確認された。キメラタンパク質においては前記GAFドメインが、この活性化ドメインであり、前記活性化ドメインが、リガンド結合の際にこのコンフォメーションを変更し、これにより前記アデニル酸シクラーゼドメイン(これは読み出し(read-out)として用いられる)の触媒活性が調節される。
【0011】
本発明は、前記PDE5の触媒中心の結合及び遮断を介して作用するのではなく、前記PDE5のN末端、即ちGAFドメインに対するアロステリックな制御により作用するPDE5モジュレーター、即ちPDE5アンタゴニスト又はPDE5アゴニストを同定することを可能にする。
【0012】
前述したように、本発明は、ポリペプチドであって、機能的に連結した、
(a)ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、又はこの機能的に等価である変形、及び
(b)アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形を含有するポリペプチドに関する。
【0013】
ヒトのホスホジエステラーゼ又はPDE5とは、ヒト由来の酵素が理解され、従って、cAMP又はcGMPはこの相応する不活性な5’モノホスファートに移行されることができる。その構造及び特性に基づいて、前記PDEsは、様々なファミリーに分類される。ヒトのホスホジエステラーゼ5又はPDE5とは、特にヒト由来の酵素ファミリーが理解され、前記ファミリーは、cGMPはこの不活性な5’モノホスファートに移行されることができる。
【0014】
本発明により、PDE5として、GAFAドメイン及びGAFBドメインを有する全てのPDE5が理解される。PDE5のGAFドメインは、タンデムとしてN末端に、タンパク質中で局在している。このN末端に最も近接するGAFドメインは、GAFAドメインと呼称され、この直ぐ次のものはGAFBドメインと呼称される。前記GAFドメインの発端及び終端は、タンパク質配列比較に基づいて決定されてよい。SMART配列比較(Schultz J., Milpetz F., Bork P. and Pointing C.P. :SMART a simple modular architecture research tool :Identification of signaling domains. 1998, PNAS, 95,5857-5864)は例えば、アイソフォームPDE5A1のGAFAに対して:D164〜L324、そしてGAFBに対してS346〜E513を生じる。
【0015】
アデニル酸シクラーゼとは、ATPをcAMPに移行できる酵素が理解される。これに応じて、アデニル酸シクラーゼ活性とは、定義した時間中に、本発明によるポリペプチドにより変換されたATP量又は形成されたcAMP量が理解される。
【0016】
アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインとは、アデニル酸シクラーゼがATPをcAMPに移行させる特性をまだなお有し、即ちまだなお実質的に機能性であり、従ってアデニル酸シクラーゼ活性を有するために必要であるアデニル酸シクラーゼのアミノ酸配列の部分が理解される。
【0017】
前記アミノ酸配列の反復的な短縮化及びアデニル酸シクラーゼ活性の引き続く測定により、アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインは容易に決定される。
【0018】
前記アデニル酸シクラーゼ活性の決定は例えば、放射性の、[α−32P]−cAMPへの[α−32P]−ATPの変換の測定により行われてよい。
【0019】
一般的に、前記アデニル酸シクラーゼ活性は、抗体結合を介した、この生じたcAMPの測定により、容易に可能である。これには、様々な市販のアッセイキットが存在し、例えばAmersham(R)のcAMP[3H−]又は[125−I]Biotrak(R) cAMP SPA Assays、又はPerkinElmer(R)のAlphaScreen(R)又はLance(R) cAMP Assayである:これらは全て、AC反応の際にATPから標識していないcAMPが生じるとの原理に基づく。これは、外来性の添加された3H標識したcAMP、125I標識したcAMP、又はビオチン標識したcAMPと、cAMP特異的抗体に対する結合を競合する。非放射性Lance(R)Assayでは、Alexa(R)Fluorが、前記抗体に結合し、これは、トレーサーを用いてTR−FRETシグナルを665nmで生ずる。非標識cAMPが多く結合するほど、この標識したcAMPにより惹起されるシグナルは弱くなる。標準曲線を用いて、このシグナル強度は、この相応するcAMP濃度に割り当てられてよい。
【0020】
Molecular Devicesによる高効率性蛍光分極(High-Efficiency Fluorescence Polarization)(HEFPTM)−PDEアッセイと同様に、これはIMAP技術に基づいているが、放射性標識した物質の代わりに蛍光標識した物質を使用してもよい。HEFP−PDE−アッセイの際には、フルオレセイン標識したcAMP(FI−cAMP)が使用され、これはPDEにより、フルオレセイン標識した5′AMP(FI−AMP)へと変換される。前記FI−AMPは選択的に、特殊なビーズに結合し、これによりこの蛍光は強力に分極する。FI−cAMPは、前記ビーズに結合せず、従ってこの分極の増加は、この生じたFI−AMPの量に比例する。相応するAC試験のために、蛍光標識したATPを、FI−cAMPの代わりに、及びビーズ(これは、選択的にFI−cAMPに、FI−cAMPの代わりに結合する)を使用してよい(例えば、前記ビーズは、cAMP抗体で負荷されているものである)。
【0021】
ポリペプチド又はドメインの「機能的に等価である変形」とは、即ち一定の機能を有する前記ポリペプチドの配列部分は、例えば以下に記載するように構造的に相違するが、それでもなお同様の機能を充実するポリペプチド又はドメインであると理解される。ドメインの機能的に等価である変形は、当業者は容易に、例えば以下に詳細に記載するように、前記の相応するドメインの変異及び機能試験により、その他の公知のタンパク質の相応するドメインとの配列比較により、又はこのドメインをコードする相応する核酸配列とその他の生物からの適した配列とのハイブリダイゼーションにより、見出されてよい。
【0022】
「機能的に連結」とは、連結、有利にはドメインの共有結合が理解され、これはこの機能を充実する前記ドメインの配置を生じる。例示的には、前記GAFAドメイン、GAFBドメイン及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの機能的な連結とは、前記ドメインの以下の配置を生じるこれらのドメインの結合が理解され、この配置は、前記GAFドメインが、リガンドの結合の際に、例えばcGMP又はPDE5モジュレーターによる結合の際に、そのコンフォメーションを変更し、これにより前記アデニル酸シクラーゼドメインの触媒活性を調節する。更に、例えば前記GAFAドメイン及びGAFBドメインの機能的な連結とは、前記ドメインの以下の配置を生じるこれらのドメインの結合が理解され、この配置は、前記GAFAドメイン及びGAFBドメインが、一緒になってGAFドメインとして、リガンドの結合の際に、例えばcGMP又はPDE5モジュレーターによる結合の際に、そのコンフォメーションを変更する。
【0023】
有利には、前記GAFドメイン、GAFA及びGAFBを考慮するヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)であり、これはグループ、アイソフォームPDE5A1(アクセッション:NP_001074)、PDE5A2(アクセッション:NP_236914)、PDE5A3(アクセッション:NP_246273)及びPDE5A4(アクセッション:NP_237223)又はこれらのそのつどの機能的に等価である変形から選択され、特に有利には、アイソフォームPDE5A1のGAFドメイン又はこの機能的に等価である変形の本発明による使用である。
【0024】
有利な実施態様において、本発明によるポリペプチドのGAFAドメインは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:6と、少なくとも90%、有利には少なくとも91%、より有利には少なくとも92%、より有利には少なくとも93%、より有利には少なくとも94%、より有利には少なくとも95%、より有利には少なくとも96%、より有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の同一性、及びGAFAドメインの特性を有する。
【0025】
この際これは前記したように、前記の配列とその他のタンパク質との同一性比較により見出されてよいGAFAドメインの天然の機能的に等価である変形であるか、又はSEQ ID NO:6の配列から出発して、人工的な変異により、例えばアミノ酸の置換、挿入、又は欠失により変更された人工的なGAFAドメインであってよい。
【0026】
「置換」との概念には、本明細書において、1つ又は複数のアミノ酸の、1つ又は複数のアミノ酸による交換であると理解されたい。有利には、いわゆる保存的交換が実施され、前記交換の際には、この置き換えられたアミノ酸が、この当初のアミノ酸と同様の類似の特性を有し、例えばAspによるGlu、AsnによるGln、IleによるVal、IleによるLeu、ThrによるSerの交換である。
【0027】
欠失は、アミノ酸の、直接結合による置き換えである。欠失のための有利な位置は、前記ポリペプチドの末端及びこの単独のタンパク質ドメインの間の連結である。
【0028】
挿入は、前記ポリペプチド鎖中へのアミノ酸の導入であり、その際形式的に、直接結合は、1つ又は複数のアミノ酸により置き換えられる。
【0029】
2つのタンパク質の間での同一性は、そのつど全体のタンパク質の長さを介したアミノ酸の同一性が理解され、特にDNASTAR社(inc. Madison, Wisconsin USA)のLasergene Softwareを用いた比較により、クラスタル(Clustal)法(Higgins DG, Sharp PM. Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer. Comput Appl. Biosci. 1989 Apr ;5(2):151-1)の適用下で、以下のパラメーターの調整下で算出された同一性が理解される:
多重アラインメントパラメーター:
ギャップペナルティ 10
ギャップ長ペナルティ 10
ペアワイズアラインメントパラメーター:
Kタプル 1
ギャップペナルティ 3
ウィンドウ 5
斜め保存 5
タンパク質又はドメインとは、これはアミノ酸水準で、配列SEQ ID NO:6と少なくとも90%の同一性を有するが、相応して、その配列と配列SEQ ID NO:6との比較の際に、特に上述のパラメーターセットを有する上述のプログラムアルゴリズムにより、少なくとも90%の同一性を有するタンパク質又はドメインが理解される。
【0030】
GAFAドメインの特性とは、特に、cGMPに結合するその機能が理解される。
【0031】
更なる有利な実施態様において、前記の本発明によるポリペプチドのGAFAドメインは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を有する。
【0032】
有利な実施態様において、前記の本発明によるポリペプチドのGAFBドメインは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:8と、少なくとも90%、有利には少なくとも91%、より有利には少なくとも92%、より有利には少なくとも93%、より有利には少なくとも94%、より有利には少なくとも95%、より有利には少なくとも96%、より有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の同一性、及びGAFBドメインの特性を有する。
【0033】
この際これは前記したように、前記の配列とその他のタンパク質との同一性比較により見出されてよいGAFBドメインの天然の機能的に等価である変形であるか、又は配列SEQ ID NO:6から出発して、人工的な変異により、例えばアミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、前述したように変更された人工的なGAFBドメインであってよい。
【0034】
GAFBドメインの特性とは、特に、二量体形成を担うその機能が理解され、特にGAFAドメインと一緒になって、cGMPの結合により、前記PDE5を活性化させる特性、又はPDE5モジュレーターの結合により、前記PDE5活性を調節、即ち高めるか又は減少させる特性が理解される。
【0035】
更なる有利な実施態様において、前記の本発明によるポリペプチドのGAFBドメインは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を有する。
【0036】
前記の本発明によるポリペプチドの更なる有利な実施態様において、前記の機能的に連結した、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、即ち完全なGAFドメイン又はこの機能的に等価である変形は、アミノ酸配列SEQ ID NO:10又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:10と、少なくとも70%、有利には少なくとも75%、より有利には少なくとも80%、より有利には少なくとも85%、より有利には少なくとも90%、より有利には少なくとも93%、より有利には少なくとも95%、より有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の同一性、及びヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFドメインの制御性特性を有し、その際この含有された、GAFAドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:6、及びGAFBドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:8は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、最大で10%、より有利には最大で9%、より有利には最大で8%、より有利には最大で7%、より有利には最大で6%、より有利には最大で5%、より有利には最大で4%、より有利には最大で3%、より有利には最大で2%、より有利には最大で1%、より有利には最大で0.1%だけ変化する。
【0037】
特に、特に有利なGAFドメインSEQ ID NO:10のN末端残基は、N末端からGAFAドメインSEQ ID NO:6まで自由に変化可能であり、特に短縮可能である。有利には、前記の特に有利なGAFドメインSEQ ID NO:10のN末端残基は、100アミノ酸だけ、有利には90アミノ酸だけ、より有利には80アミノ酸だけ、より有利には70アミノ酸だけ、より有利には60アミノ酸だけ、より有利には50アミノ酸だけ、より有利には40アミノ酸だけ、より有利には30アミノ酸だけ、より有利には20アミノ酸だけ、より有利には10アミノ酸だけ、より有利には5アミノ酸だけN末端で短縮可能である。
【0038】
前記GAFAドメインSEQ ID NO:6及びGAFBドメインSEQ ID NO:8のアミノ酸部分配列は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、最大で10%、より有利には最大で9%、より有利には最大で8%、より有利には最大で7%、より有利には最大で6%、より有利には最大で5%、より有利には最大で4%、より有利には最大で3%、より有利には最大で2%、より有利には最大で1%、より有利には最大で0.5%だけ、このそのつどの、前記した機能の損失を生じることなしに変化する。
【0039】
有利には、機能的に連結した、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、即ち完全なGAFドメイン又はこの機能的に等価である変形は、以下のグループ
(a)アミノ酸E513までのヒトのPDE5A1のN末端、又は
(b)SEQ ID NO:10
から選択されたアミノ酸配列を有する。
【0040】
前記の本発明によるポリペプチドのアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの部分のために、有利には、天然の形においてGAFドメインを有するアデニル酸シクラーゼが使用される。特に有利なアデニル酸シクラーゼは、細菌由来のアデニル酸シクラーゼ、特にシアノバクテリアからのアデニル酸シクラーゼであり、これは天然の形においてGAFドメインを有し、又はこれらのそのつどの機能に等価である変形である。
【0041】
特に有利なアデニル酸シクラーゼは、以下のグループ:
(a)アナベナ種PCC7120からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(b)アナベナ・バリアビリ(Anabaena variabili)ATTC29413からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(c)ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)PCC73102からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(d)トリコデスミウム・エリスラム(Trichodesmium erythraeum)IMS101からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(e)ブデロビブリオ・バクテリオボラス(Bdellovibrio bacteriovorus)HD100からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(f)マグネトコッカス(Magnetococcus)種MC−1からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形
から選択される。
【0042】
特に有利なアデニル酸シクラーゼは、アイソフォームCyaB1又はCyaB2のアナベナ種PCC7120からのアデニル酸シクラーゼ、特にCyaB1(アクセッション:NP_486306、D89623)又はこの機能的に等価である変形である。
【0043】
有利な実施態様において、アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形は、アミノ酸配列SEQ ID NO:12又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:12と、少なくとも90%、有利には少なくとも91%、より有利には少なくとも92%、より有利には少なくとも93%、より有利には少なくとも94%、より有利には少なくとも95%、より有利には少なくとも96%、より有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の同一性、及びアデニル酸シクラーゼの触媒特性を有する。
【0044】
この際これは前記したように、前記の配列とその他のアデニル酸シクラーゼとの同一性比較により見出されてよいアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの天然の機能的に等価である変形であるか、又は配列SEQ ID NO:12から出発して、人工的な変異により、例えばアミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、前述したように変更された人工的なアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインであってよい。
【0045】
アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの特性とは、前述した、アデニル酸シクラーゼの触媒特性、特にATPをcAMPに移行させる能力が理解される。
【0046】
有利には、アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形は、以下のグループ
(a)アミノ酸L386〜K859のCyaB1のC末端、その際CyaB1のL386は、V386により置き換えられている、又は
(b)SEQ ID NO:12
から選択されたアミノ酸配列を有する。
【0047】
特に有利な実施態様において、前記の本発明によるポリペプチドは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4又はこれらの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含み、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4と、少なくとも70%、有利には少なくとも75%、より有利には少なくとも80%、より有利には少なくとも85%、より有利には少なくとも90%、より有利には少なくとも93%、より有利には少なくとも95%、より有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の同一性及びヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFドメインの制御性特性及びアデニル酸シクラーゼの触媒特性を有し、その際この含有された、GAFAドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:6、GAFBドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:8、及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:12は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により最大で10%だけ変化する。
【0048】
特に、前記の特に有利な本発明によるポリペプチドSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:4のN末端残基は、N末端からGAFAドメインSEQ ID NO:6まで自由に変化可能であり、特に短縮可能である。有利には、前記の特に有利な本発明によるポリペプチドSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4のN末端残基は、100アミノ酸だけ、有利には90アミノ酸だけ、より有利には80アミノ酸だけ、より有利には70アミノ酸だけ、より有利には60アミノ酸だけ、より有利には50アミノ酸だけ、より有利には40アミノ酸だけ、より有利には30アミノ酸だけ、より有利には20アミノ酸だけ、より有利には10アミノ酸だけ、より有利には5アミノ酸だけN末端で短縮可能である。
【0049】
GAFAドメインSEQ ID NO:6、GAFBドメインSEQ ID NO:8、及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインSEQ ID NO:12のアミノ酸部分配列は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、最大で10%、より有利には最大で9%、より有利には最大で8%、より有利には最大で7%、より有利には最大で6%、より有利には最大で5%、より有利には最大で4%、より有利には最大で3%、より有利には最大で2%、より有利には最大で1%、より有利には最大で0.5%だけ、このそのつどの、前記した機能の損失を生じることなしに変化する。
【0050】
特に有利には、本発明によるキメラポリペプチドはN末端に、E513までのヒトのPDE5A1のN末端を含有する(アクセッション:NP_001074)。これには、C末端に、V386から、これはL386からクローニング切断部位の導入の際に変異されているが、CyaB1のC末端のK859(アクセッション:NP_486306)まで引き続く。
【0051】
特に有利には、アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4を含有する本発明によるポリペプチドである。
【0052】
特に有利な本発明によるポリペプチドは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4を有するポリペプチドである。
【0053】
更なる有利な実施態様において、本発明は更に、前述した、本発明によるポリペプチドの1つをコードするポリヌクレオチド(以下において核酸とも呼称される)に関する。
【0054】
本明細書において言及されるポリヌクレオチド又は核酸の全ては、例えばRNA配列、DNA配列、又はcDNA配列であってよい。
【0055】
特に有利な本発明によるポリヌクレオチドは、部分配列として、
(a)SEQ ID NO:5又は前記核酸配列SEQ ID NO:5とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、及び
(b)SEQ ID NO:7又は前記核酸配列SEQ ID NO:7とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、及び
(c)SEQ ID NO:11又は前記核酸配列SEQ ID NO:11とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含有する。
【0056】
SEQ ID NO:5は、特に有利なGAFAドメインSEQ ID NO:6をコードする特に有利な部分核酸配列である。
【0057】
SEQ ID NO:7は、特に有利なGAFBドメインSEQ ID NO:8をコードする特に有利な部分核酸配列である。
【0058】
SEQ ID NO:11は、特に有利なアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインSEQ ID NO:12をコードする特に有利な部分核酸配列である。
【0059】
前述のドメインをコードする核酸又は部分核酸のための更なる天然の例は、更に、前述した部分核酸から出発して、特に配列SEQ ID NO:5、7、又は11から出発して、ゲノム配列が公知でない様々な生物から、ハイブリダイゼーション技術により、公知の手法において容易に生じる。
【0060】
このハイブリダイゼーションは、適度(低ストリンジェンシー)な、又は有利にはストリンジェント(高ストリンジェンシー)な条件下で行われてよい。
【0061】
係るハイブリダイゼーション条件は、例えばSambrook, J., Fritsch, E. F., Maniatis, T.,: Cloning (A Laboratory Manual), 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 頁9. 31-9.57又はCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6. 3.1-6.3.6 に記載されている。
【0062】
例示的に、洗浄工程の間の前記条件は、低ストリンジェンシー(2×SSC 50℃で)を有する条件及び高ストリンジェンシー(0.2×SSC 50℃で、有利には65℃で)を有する条件により制限される条件の範囲から選択されてよい(20×SSC:0.3Mクエン酸ナトリウム、3M塩化ナトリウム、pH7.0)。
【0063】
更に、前記洗浄工程の間の温度は、室温、22℃での適度な条件から、65℃でのストリンジェントな条件まで増加させてよい。
【0064】
パラメーター、塩濃度及び温度の両者は、同時に変化させても、またこの両者のパラメーターのうち1つを一定に維持し、かつ他方のみを変化させてもよい。前記ハイブリダイゼーションの間に、変性剤、例えばホルムアミド又はSDSを使用してもよい。50%のホルムアミドの存在下で、前記ハイブリダイゼーションは有利には42℃で実行される。
【0065】
ハイブリダイゼーション及び洗浄工程の例示的な条件は、以下に挙げられる:
(1)ハイブリダイゼーション条件、例えば
(i)4×SSC、65℃で、又は
(ii)6×SSC、45℃で、又は
(iii)6×SSC、68℃で、変性した魚の精子DNA100mg/ml、又は
(iv)6×SSC、0.5%SDS、変性した、断片化したサケ精子DNA100mg/ml、68℃で、又は
(v)6×SSC、0.5%SDS、変性した、断片化したサケ精子DNA100mg/ml、50%のホルムアミド、42℃で、又は
(vi)50%のホルムアミド、4×SSC、42℃で、又は
(vii)50%(vol/vol)のホルムアミド、0.1%のウシ血清アルブミン、0.1%のフィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウム、42℃で、又は
(viii)2×又は4×SSC、50℃で(適度な条件)、又は
(ix)30〜40%のホルムアミド、2×又は4×SSC、42℃で(適度な条件)。
【0066】
(2)そのつど10分間の洗浄工程、例えば以下を用いて:
(i)0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%のSDS、50℃で、又は
(ii)0.1×SSC、65℃で、又は
(iii)0.1×SSC、0.5%のSDS、68℃で、又は
(iv)0.1×SSC、0.5%のSDS、50%のホルムアミド、42℃で、又は
(v)0.2×SSC、0.1%のSDS、42℃で、又は2×SSC、65℃で(適度な条件)。
【0067】
本発明によるポリペプチドをコードする特に有利な本発明によるポリヌクレオチドは、核酸配列SEQ ID NO:2を含有する。
【0068】
本発明によるポリペプチドをコードするとりわけ特に有利な本発明によるポリヌクレオチドは、核酸配列SEQ ID NO:5を示す。
【0069】
前記の本発明によるポリペプチドは、有利には、本発明によるポリペプチドをコードする前述したポリヌクレオチドを、適した発現ベクター中にクローニングし、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、この宿主細胞を本発明によるポリペプチドの発現下で発現させ、引き続き本発明によるタンパク質を単離することにより製造される。
【0070】
本発明は従って、組み換え宿主細胞の培養、本発明によるポリペプチドの発現及び単離による、本発明によるポリペプチドの製造方法に関する。
【0071】
この形質転換法は当業者に公知であり、例えばSambrook, J., Fritsch, E.F., Maniatis, T., :Molecular Cloning (A Laboratory Manual), 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 頁9.31-9.57に記載されている。
【0072】
本発明は更に、本発明によるポリペプチドをコードする本発明によるポリヌクレオチドを含有する組み換えプラスミドベクター、特に発現ベクターに関する。
【0073】
発現ベクターの種類は決定的ではない。相応する宿主細胞中で、この所望のポリペプチドを発現することができる任意の発現ベクターが使用されてよい。適した発現系は、当業者に公知である。
【0074】
有利な発現ベクターは、PQE30(Quiagen)、pQE60(Quiagen)、pMAL(NEB)、plRES、PIVEX2.4a(ROCHE)、PIVEX2.4b(ROCHE)、PIVEX2.4c(ROCHE)、pUMVCI(Aldevron)、pUMVC2(Aldevron)、PUMVC3(Aldevron)、PUMVC4a(Aldevron)、PUMVC4b(Aldevron)、pUMVC7(Aldevron)、PUMVC6a(Aldevron)、pSP64T、pSP64TS、pT7TS、pCro7(Takara)、pKJE7(Takara)、pKM260、pYes260、pGEMTeasyである。
【0075】
本発明は更に、本発明によるプラスミドベクターを含有する組み換え宿主細胞に関する。係る形質転換した宿主細胞は、有利には、本発明によるポリペプチドを発現することができる。
【0076】
前記宿主細胞の種類は決定的ではない。原核宿主細胞も、真核宿主細胞も適する。相応する発現ベクターにより、この所望のポリペプチドを発現できる、任意の宿主細胞が使用されてよい。適した発現系は、発現ベクター及び宿主細胞から、当業者に公知である。
【0077】
有利な宿主細胞は、例えば原核細胞、例えば大腸菌、コリネバクテリウム、酵母、ストレプトマイセス菌、又は真核細胞、例えばCHO、HEK293、又は昆虫細胞系、例えばSF9、SF21、アフリカツメガエル卵母細胞である。
【0078】
前記の形質転換した宿主細胞の培養条件、例えば培地組成及び発酵条件は、当業者に公知であり、この選択した宿主細胞の種類に適合される。
【0079】
前記ポリペプチドの単離及び精製は、標準的方法により行われてよく、例えば「The QuiaExpressionist(R)」(第5版、2003年6月)に記載されている。
【0080】
前述した形質転換した宿主細胞は、これは本発明によるポリペプチドを発現するが、後述する、細胞アッセイ中でのPDE5モジュレーターの同定方法の実施にも特に適する。これには、固体の担体上でこの相応する宿主細胞を不死化すること、及び/又は相応するスクリーニング方法をハイスループット規模において実施すること(High-Through-Put-Screening)が更に有利であってよい。
【0081】
前述した核酸配列の全ては、当業者に公知の方法、例えば酵素による方法より、公知の核酸配列から切断され、公知の核酸配列を用いて新規に構成され、そしてこれにより製造される。更に、前述した核酸配列の全ては自体公知の方法において、化学的な合成により、ヌクレオチド構成要素から、例えば、個々の、オーバーラップする、相補的な、二重らせんの核酸構成要素の断片縮合により製造可能である。オリゴヌクレオチドの化学的合成は、例えば公知の方法において、ホスホアミジッド(Phosphoamidit)法(Voet, Voet, 第2版, Wiley Press New York, 896-897頁)により行われてよい。DNAポリメラーゼのクレノウ断片を用いた合成のオリゴヌクレオチドの付加及び間隙の充填及びライゲーション反応並びに一般的なクローニング方法は、Sambrook et al. (1989), Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
【0082】
本発明は更に、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のモジュレーターの同定方法であって、以下の工程
(a)ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の可能性のあるモジュレーターと、本発明によるポリペプチドとの接触、及び
(b)前記の可能性のあるモジュレーターが、本発明によるポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性を、前記の可能性のあるモジュレーターの非存在下に比較して変更させるかの決定
を含む同定方法に関する。
【0083】
本発明による方法の有利な実施態様において、工程(a)において、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の可能性のあるモジュレーターに付加的に、cGMPを本発明によるポリペプチドと接触させる。
【0084】
本発明による方法において、前記の可能性のあるPDE5モジュレーターを、有利にはin vitroで、有利には、精製された本発明によるポリペプチドと、及び特に有利にはcGMPとインキュベーションし、かつ本発明によるポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性の変更を、PDE5モジュレーターなしの試験バッチに対して測定する。
【0085】
代替的にこのために、前記の可能性のあるPDE5モジュレーターの、試験バッチへの添加後の前記アデニル酸シクラーゼ活性の変更が測定されてよく、前記試験バッチは、本発明によるポリペプチド及び場合によりcGMPを含有する。前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性は、以下に詳細に記載するように、一定の量のATPのcAMPへの変換により決定される。
【0086】
ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のモジュレーター、以下ではPDE5モジュレーターとは、PDE5のGAFドメインへの結合を介して、前記PDE5活性を調節でき、即ち変更できる物質が理解され、この際アデニル酸シクラーゼ活性の変更を介して測定される。PDE5モジュレーターは従って、PDE5のアロステリック中心を介して作用し、そしてPDE5の触媒中心を介さず作用するか、又は介してのみでなく作用する。前記モジュレーターは、前記PDE5の酵素活性を高めることによりアゴニストであってよく(PDE5アゴニスト)、又はPDE5の酵素活性を減少させることによりアンタゴニストであってよい(PDE5アンタゴニスト)。
【0087】
例示的に、本発明による方法により、例えば以下に詳細に説明するように、cGMPがPDE5アゴニストであることが示された。
【0088】
有利なPDE5モジュレーターは更に、例えばペプチド、ペプチド擬似体、タンパク質、特に抗体、特にGAFドメインに対して指向したモノクローナル抗体、アミノ酸、アミノ酸類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ポリヌクレオチド、特にオリゴヌクレオチド、特に有利には、いわゆる「小分子」又はSMOLsである。有利なSMOLsは、有機又は無機化合物、1000g/モルより小さい分子量、特に200〜800g/モルの分子量、特に有利には300〜600g/モルの分子量を有する、ヘテロ有機化合物又は有機金属化合物を含む、有機又は無機化合物である。
【0089】
本発明によれば、PDE5モジュレーターは有利には、本発明によるポリペプチド(PDE5/CyaB1キメラ)中のGAFドメインに結合し、そして直接的に、本発明によるポリペプチド(PDE5/CyaB1キメラ)のアデニル酸シクラーゼ活性の変更を生じるか、又はPDE5/CyaB1キメラによるcGMPの変更により、PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性の変更を生じる。
【0090】
本発明による方法が、試験すべき物質としてcGMP又はcAMPを用いるのみであって、そしてPDE5モジュレーターなしで実施される場合には、図5の用量作用曲線が生じる。前記PDE5/CyaB1キメラは、100μMのcGMPにより、約7.8倍活性化される。これは、780の%ベース値に相当し、前記cGMPは、PDE5−GAF−アゴニストであることを示す。cAMPは非活性性に作用し、そして約100の%ベース値を有し、即ちこれは、PDE5アゴニストでも、PDE5アンタゴニストでもない。
【0091】
この調節は、即ちこの変更は、即ちアデニル酸シクラーゼ活性の上昇又は減少は、前記PDE5モジュレーターにより、cGMPなしの試験バッチ中で、%ベース値として、以下の式により算出される:
【表1】

【0092】
前記の可能性のあるPDE5モジュレーターの100μMの使用の際の%ベース値が50より小さい場合には、これはPDE5アンタゴニストを示唆し、これはPDE5/CyaB1キメラ中のGAFドメインに結合し、その一方で200よりも大きい%ベース値は、PDE5アゴニストを示唆する。
【0093】
本発明は従って、前記モジュレーターの存在下で前記アデニル酸シクラーゼ活性の減少が、前記モジュレーターの非存在下に比較して測定され、そしてこのモジュレーターがPDE5アンタゴニストである、特に有利な本発明による方法に関する。
【0094】
更に本発明は、前記モジュレーターの存在下で前記アデニル酸シクラーゼ活性の上昇が、前記モジュレーターの非存在下に比較して測定され、そしてこのモジュレーターがPDE5アゴニストである、特に有利な本発明による方法に関する。
【0095】
本発明による方法の特に有利な実施態様において、前記アデニル酸シクラーゼ活性の決定は、放射性標識した又は蛍光標識したATPの変換の測定により行われる。
【0096】
本発明によるポリペプチド、PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性の測定は、放射性の[α−32P]−ATPの[α−32P]cAMPへの変換の測定により行われてよい。
【0097】
一般的に前記アデニル酸シクラーゼ活性は容易に、抗体結合を介する、この生じたcAMPの測定を介して可能である。このためには様々な市販のアッセイキット、例えばcAMP[3H−]又は[125−I]BioTrak(R)cAMP SPA−Assays(Amersham(R))又はAlphaScreen(R)又はLance(R)cAMP Assay(PerkinElmer(R))が存在する:これら全ては、AC反応の際にATPから非標識cAMPが生じるとの原理に基づく。これは、外来性の添加された3H標識したcAMP、125I標識したcAMP、又はビオチン標識したcAMPと、cAMP特異的抗体に対する結合を競合する。非放射性Lance(R)Assayでは、Alexa(R)Fluorが、前記抗体に結合し、これは、トレーサーを用いてTR−FRETシグナルを665nmで生ずる。非標識cAMPが多く結合するほど、この標識したcAMPにより惹起されるシグナルは弱くなる。標準曲線を用いて、このシグナル強度は、この相応するcAMP濃度に割り当てられてよい。
【0098】
Molecular Devicesによる高効率性蛍光分極(High-Efficiency Fluorescence Polarization)(HEFPTM)−PDEアッセイと同様に、これはIMAP技術に基づいているが、放射性標識された物質の代わりに蛍光標識された物質を使用してよい。HEFP−PDE−アッセイの際には、フルオレセイン標識したcAMP(FI−cAMP)が使用され、これはPDEにより、フルオレセイン標識した5′AMP(FIAMP)へと変換される。前記FI−AMPは選択的に、特殊なビーズに結合し、これによりこの蛍光は強力に分極する。FI−cAMPは、前記ビーズに結合せず、従ってこの分極の増加は、この生じたFI−AMPの量に比例する。相応するAC試験のために、蛍光標識したATPを、FI−cAMPの代わりに、及びビーズ(これは、選択的にFI−cAMPに、FI−cAMPの代わりに結合する)を使用してよい(例えば、前記ビーズは、cAMPの抗体で負荷されているものである)。
【0099】
本発明の方法の更なる有利な実施態様において、この変更された%ベース値が、前記物質のGAF調節性の効果に、又は前記のAC触媒中心の直接的な調節に条件付けられているかを区分するために、付加的にカウンタースクリーンを実施する。
【0100】
本発明は従って更に、有利な本発明による方法であって、前記アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの直接的なモジュレーターの除外のために、本発明の方法を、アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインを有し、かつヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の機能性GAFドメインを有しないポリペプチドの使用下で実施する方法に関する。
【0101】
有利にはこのために、前述した方法と同様に前記の%ベース値が、有利には、PED5/CyaB1キメラを用いる代わりに、タンパク質を用いて算出され、前記タンパク質は、有利には
a)AC触媒中心を含有するか、又は
b)GAF機能のために必須であるアミノ酸に関する変異を含有するか、又は
c)前記GAFドメインだけN末端において短縮した
のみである。
【0102】
a)のための例は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を有するポリペプチドであり、但し、N末端ではE2からL720は欠失しているとの条件付きである。
【0103】
b)のための例は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を有するポリペプチドであり、但し、これは変異D299Aを含有するとの条件付きである。
【0104】
c)のための例は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を有するポリペプチドであり、但し、D164からE513の部分配列は欠失しているとの条件付きである。
【0105】
a、b、又はcにより変性されたタンパク質を有する物質100μMが、50よりも小さい%ベース値を生ずる場合には、前記AC触媒中心の阻害が存在し、かつ純粋なGAF拮抗作用は排除されてよい。
【0106】
本発明による方法の更なる有利な実施態様において、前記方法は細胞アッセイとして、前述した、本発明による宿主細胞の存在下で実施される。
【0107】
このために、前記の生じたcAMPが、前記アデニル酸シクラーゼ活性に関する程度として、細胞アッセイ中においても測定されてよく、これは例えば、Johnston, P. Cellular assays in HTS, Methods Mol Biol. 190, 107-16. (2002)及びJohnston, P. A. and Johnston, P. A. Cellular platforms for HTS :three case studies.Drug Discov Today. 7,353-63. (2002)に記載されている。
【0108】
このために、有利には、本発明によるポリペプチド、PDE/CyaB1のcDNAを、適した制限部位を介して、トランスフェクションベクター中に導入し、前記の生じたベクター構築物を用いて、適した細胞、例えばCHO又はHEK293をトランスフェクションする。本発明によるポリペプチドを安定に発現する細胞クローンが選択される。
【0109】
前記のトランスフェクションされた細胞クローンの細胞内cAMP濃度は、本発明によるポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性により、かなり影響を及ぼされる。GAFアンタゴニストは、前記アデニル酸シクラーゼ活性の阻害により細胞内cAMPの減少を、そしてGAFアゴニストは、細胞内cAMPの上昇を引き起こす。
【0110】
前記cAMP量は、前述した方法(Biotrak(R)、Alphascreen(R)、又はHEFP(R))を用いた細胞の溶解により、又は直接的に細胞中で測定されてよい。このためには、前記細胞系においては有利にはリポーター遺伝子を、CRE(cAMP応答配列)にカップリングする(Johnston, P. Cellular assays in HTS, Methods Mol Biol. 190,107-16. (2002))。高まったcAMP濃度は、CREB(cAMP応答配列結合タンパク質)の、CRE制御因子に対する高まった結合、そして従って前記リポーター遺伝子の高まった転写を生じる。リポーター遺伝子として、例えば緑色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼを用いてよく、この発現レベルは、蛍光測定、光度測定、又は発光測定により測定されてよく、例えばこれは、Greer, L. F. and Szalay, A.A. Imaging of light emission from the expression of luciferase in living cells and organisms :a review. Luminescence 17,43-72 (2002)又はHill, S. et al. Reporter-gene systems for the study of G-protein coupled receptors. Curr. Opin. Pharmacol. 1,526-532 (2001)に記載されている。
【0111】
特に有利な実施態様において、前述した本発明による方法は、特にハイスループットの規模にある細胞アッセイとして適用される。
【0112】
本発明は、更に以下の、引き続く15段落に記載されている実施態様に関する:
本発明に基づく課題は、PDE5アンタゴニストの同定方法を提供することにある。
【0113】
前記課題は、態様Aによるポリペプチドにより後述するように、そして態様Qによる方法により後述するように解決される。有利な実施態様は、後述する下位請求中に示されている。
【0114】
意外にも、有利には、N末端のヒトのPDE5−GAF−ドメイン及び、有利には、アナベナ又はノストック種、PCC7120からのアデニル酸シクラーゼ(AC)CyaB1のC末端の触媒中心からのキメラタンパク質がエフェクター分子として適することが確認された。前記キメラタンパク質は、有利にはN末端に、E513までのヒトのPDE5A1のN末端を含有する(アクセッション:NP_001074)。これには有利には、C末端に、V386から、これはL386からこのクローニング切断部位の導入の際に変異されているが、CyaB1のC末端のK859まで引き続く(アクセッション:NP_486306)。キメラタンパク質においては有利には、前記GAFドメインが活性化ドメインであり、これはリガンド結合の際にこのコンフォメーションを変更し、かつこれによりADドメイン(これは読み出しとして使用される)の触媒活性を高める。
【0115】
本発明による方法は、PDE5の触媒中心の結合及び遮断を介してではなく、PDE5のN末端に、即ちGAFドメインにあるアロステリックな制御を介して作用するアンタゴニストの同定を可能にする。
【0116】
このために、前記の可能性のあるPDE5アンタゴニストを、有利には、in vitroで、精製された本発明によるポリペプチドと、及び有利にはcGMPとインキュベーションし、かつ本発明によるポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性の減少を、有利にはPDE5アンタゴニストなしの試験バッチに対して測定する。代替的にこのために、前記の可能性のあるPDE5アンタゴニストの、試験バッチへの添加後の前記アデニル酸シクラーゼ活性の減少が測定されてよく、前記試験バッチは、本発明によるポリペプチド及びcGMPを含有する。前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性は有利には、一定の量のATPのcAMPへの変換を介して決定される。
【0117】
本発明によれば、有利にはPDE5アンタゴニスト(PDE5に対するアンタゴニスト)は、PDE5/CyaB1キメラ中のGAFドメインに結合し、そして有利には、直接的に、前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼの減少を生じるか、又はPDE5/CyaB1キメラによるcGMPの変更により、PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性の変更による前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼの減少を生じる。
【0118】
本発明による方法が、試験すべき物質としてcGMP又はcAMPを用いるのみであって、そしてPDE5アンタゴニストなしで実施される場合には、図5の用量作用曲線が生じる。このPDE5/CyaB1キメラは、100μMのcGMPにより、約7.8倍活性化される。これは、7800の%ベース値に相当し、前記cGMPは、PDE5−GAF−アゴニストであることを示す。cAMPは非活性性に作用し、約100の%ベース値を有し、即ちこれは、GAFアゴニストでも、アンタゴニストでもない。
【0119】
このアデニル酸シクラーゼの阻害は、前記PDE5アンタゴニストにより、cGMPなしの試験バッチ中で、%ベース値として、以下の式により算出される:
【表2】

【0120】
前記の可能性のあるPDE5アンタゴニストの100μMの使用の際の%ベース値が50より小さい場合には、これはPDE5アンタゴニストを示唆し、これはPDE5/CyaB1キメラ中のGAFドメインに結合し、その一方で200よりも大きい%ベース値は、PDE5アゴニストを示唆する。
【0121】
発現のためには、前記PDE5/CyaB1キメラは、MSCのBamHI及びSall制限酵素切断部位を介してPQE30発現ベクター(Quiagen)中に導入される。前記発現は、原核細胞及び真核細胞中で行われてよい。このタンパク質の精製は、標準的な方法により行われ、従って、例えば「TheQiaExpressionist(R)」第5版(2003年6月)により行われる。
【0122】
前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性の検出は、放射性の、[α−32P]−cAMPへの[α−32P]−ATPの変換の測定により行われる。
【0123】
一般的に前記アデニル酸シクラーゼ活性は容易に、抗体結合を介するこの生じたcAMPの測定を介して可能である。このために、様々な市販のアッセイキットが存在し、例えばcAMP[3H−]又は[125−I]Biotrak(R) cAMP SPA Assays(Amersham(R))、又はAlphaScreen(R)cAMP Assay(PerkinElmer(R))が存在する:これら全ては、AC反応の際にATPから非標識cAMPが生じるとの原理に基づく。これは、外来性の添加された3H標識したcAMP、125I標識したcAMP、又はビオチン標識したcAMPと、cAMP特異的抗体に対する結合を競合する。非標識cAMPが多く結合するほど、この標識したcAMPにより惹起されるシグナルは弱くなる。標準曲線を用いて、このシグナル強度は、この相応するcAMP濃度に割り当てられてよい。
【0124】
Molecular Devicesによる高効率性蛍光分極(High-Efficiency Fluorescence Polarization)(HEFPTM)−PDEアッセイと同様に、これはIMAP技術に基づいているが、放射性標識された物質の代わりに蛍光標識された物質を使用してよい。HEFP−PDE−アッセイの際には、フルオレセイン標識したcAMP(FI−cAMP)が使用され、これはPDEにより、フルオレセイン標識した5′AMP(FIAMP)へと変換される。前記FI−AMPは選択的に、特殊なビーズに結合し、これによりこの蛍光は強力に分極する。FI−cAMPは、前記ビーズに結合せず、従ってこの分極の増加は、この生じたFI−AMPの量に比例する。相応するAC試験のために、蛍光標識したATPを、FI−cAMPの代わりに、及びビーズ(これは、選択的にFI−cAMPに、FI−cAMPの代わりに結合する)を使用してよい(例えば、前記ビーズは、cAMPの抗体で負荷されているものである)。
【0125】
前記アッセイが、試験すべき物質としてcGMP又はcAMPとともに実施される場合には、図5の用量作用曲線が生じる。前記PDE5/CyaB1キメラは、100μMのcGMPにより、約7.8倍活性化される。これは、7800の%ベース値に相当し、前記cGMPは、PDE5−GAF−アゴニストであることを示す。cAMPは非活性性に作用し、約100の%ベース値を有し、即ちこれは、GAFアゴニストでも、GAFアンタゴニストでもない。
【0126】
本発明は更に:
A. (a)ヒトのPDE5からのGAFAドメイン及びGAFBドメイン、及び(b)CyaB1の触媒性ドメインを含有するポリペプチド。
B. A記載のポリペプチドであって、(a)アミノ酸E513までのヒトのPDE5A1のN末端、及び(b)アミノ酸L386からK859までのCyaB1のC末端(その際、CyaB1のL386はV386により置き換えられている)を含有することを特徴とするポリペプチド。
C. 図1に示したポリペプチド配列を含有する、A記載のポリペプチド。
D. 図3に示したポリペプチド。
E. A記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
F. B記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
G. C記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
H. D記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
I. 図2に示したヌクレオチド配列を含有する、単離したDNA分子。
J. A、B、C、又はD記載のポリペプチドをコードする、cDNA配列を含有する、組み換えDNA分子。
K. A、B、C、又はD記載のポリペプチドと、少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする、cDNA配列を含有する、組み換えDNA分子。
L. E、F、G、又はH記載のポリヌクレオチドを含有する、組み換えプラスミドベクター。
M. L記載のプラスミドベクターを含有する、組み換え宿主細胞。
N. 工程(a)PDE5に対する可能性のあるアンタゴニストと、A、B、C、又はD記載のポリペプチドとの接触、及び(b)前記の可能性のあるアンタゴニストが、PDE5の活性を阻害するかの決定、を含む、PDE5に対するアンタゴニストの同定方法。
O. 工程(a)において、PDE5に対するアンタゴニストに付加的に、cGMPを、A、B、C、又はD記載のポリペプチドと競合させる、N記載の方法。
P. 工程(a)の後であってかつ工程(b)の前に、工程(a)において使用した前記ポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性を測定する、更なる工程を含む、N及びO記載の方法。
Q. アデニル酸シクラーゼ活性の減少を測定する、P記載の方法。
【0127】
以下の実施例は、本発明をこれらの実施例に制限することなく説明するものである:
実施例1
PDE5/CyaB1キメラをコードする組み換えDNAの製造
このクローニングは標準的な方法に従って行われた。ヒトのPDE5A1に対する遺伝子を有する当初のクローン(Genbankアクセッション番号:AF043731)は、pcDNA-Zeocin-VectorのA. Friebe教授より提供された。PCRにより、Kanacher et al., EMBO J. 2002に記載された、PDE2−GAF−キメラのクローニングと同様に行った。特異的なプライマーを用いて、遺伝子断片hPDE51〜348を増幅し、これはGAF−A−ドメインを有するPDE5−N末端をコードし、かつN末端にBglll、並びC末端にXbal切断部位を含有する。同様に、遺伝子断片hPDE5349〜450を増幅し、これはGAF−B−ドメインをコードし、かつN末端にXbal切断部位並びにC末端にSall切断部位を含有する。この両断片は、サブクローニング工程を介して、クローニングベクター、pBluescriptll SK(−)中で、Xbal切断部位を介して、pPDE51〜450へとつなぎ合わされる。この遺伝子断片hPDE51〜450に、Sall切断部位を介してC末端に、PCRにより産生された、アデニル酸シクラーゼCyaB1の触媒性ドメインを有する遺伝子断片CyaB1386〜859(Genbankアクセッション番号:D89623)を連結した。この際hPDE51〜450のN末端のSall切断部位を、CyaB1386〜859のC末端のXhol切断部位にクローニングし、CyaB1のL386をVに変異させた。全てのクローニング工程は、大腸菌のXl1blueMRF’中で行った。
【0128】
PDE−5−GAFキメラのための遺伝子を、発現ベクターpQE30(Quiagen)中で再クローニング(Umklonieren)した。
【0129】
実施例2
前記ポリペプチドの発現及び精製
発現のために、実施例1から得られた、PDE5/CyaB1キメラをコードするDNA構築物を、MCSのBamHl及びSallの制限酵素切断部位を介して、PQE30発現ベクター(Quiagen)中に導入した。PDE5−GAFキメラに対する遺伝子を有するこのpQE30ベクターを、大腸菌BL21細胞中で再形質転換した。このタンパク質の発現及び精製を、「The QiaExpressionist(R)」(第5版、2003年6月)と同様に行った。この際、この最適なタンパク質収率を以下の発現条件で達成した:25μM IPTGで誘導、16℃で16時間インキュベーション、及び引き続きこの大腸菌のフレンチプレス処理。
【0130】
実施例3
アッセイの実施
PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性を、試験すべき物質有り、及びなしで測定した。この際、前記アデニル酸シクラーゼ活性を、一定量のATPのcAMPへの変換、及びSalomon et al.(Salomon Y., Londos C., and Rondbell M.: A highly sensitive adenylate cyclase assay. 1974, Anal. Biochem., 58, 541-548)による2つのカラム工程を介した分離を介して決定した。この変換の検出のために、放射性トレーサーとして、[α−32P]−ATPを使用し、かつこの生じた[α−32P]−cAMPの量を測定した。3H−cAMPを、回収率(Wiedefindungsrate)のための内部標準として用いた。このインキュベーション時間は、1〜120分間、このインキュベーション温度は20〜45℃、このMg2+補因子濃度は1〜20mM(これはまた、補因子として相応するMn2+量を使用してもよい)、及びこのATP濃度は0.5μM〜5mMにあることが望ましい。物質なしに対して、物質有りでの前記変換の上昇は、GAFアゴニスト効果を示唆する。前記変換が物質添加により阻害される場合には、前記物質のGAFアンタゴニスト効果が示唆される。GAF拮抗作用は、天然のGAFリガンドcGMPによるPDE5/CyaB1キメラの活性化の遮断を介しても測定されてよい。このために、上昇性の又は固定のcGMP濃度での変換を、物質有り、及びなしで測定する。物質有りでの前記変換が、物質なしでの前記変換を下回る場合には、前記物質のGAF拮抗作用を示唆する。
【0131】
反応バッチは以下を含有する:
・50μlのAC試験カクテル(グリセロール43.5%(V/V)、0.1M Tris/HCl、pH7.5、20mM MgCl2
・40−x−yμlの酵素希釈液(活性次第で、0.1〜0.3μgのPDE5/CyaB1キメラを、0.1%(W/V)のBSA水溶液中に含有する)
・xμlの物質
・yμlのcGMP
・10μlの750μM ATP開始溶液(16〜30kBq[α32P]−ATPを含有する)
前記タンパク質試料及び前記カクテルを、氷上の1.5mlの反応容器中で混合し、この反応をATPで開始させ、10分間37℃でインキュベーションした。150μlのAC停止緩衝液でもってこの反応を終了させ、前記反応容器を氷上に配置し、10μlの20mM cAMP(100Bq[2,8−3H]−cAMP及び750μlの水を含有する)を添加した。
【0132】
それぞれの試験バッチを2回実施した。ブランクとして、酵素の代わりに水を用いた試験バッチを使用した。物質及びcGMPなしの試験バッチを用いて、前記酵素−ベース活性を決定した。ATPとcAMPとの分離のために、それぞれの試料を1.2gのDowex−50WX4−400を有するガラスカラム上に付与し、浸透後に3−4mlの水で洗浄した。引き続き、5mlの水を用いて酸化アルミニウムカラム(9×1cmガラスカラム、AL23 90を有する、活性あり、中性)上で溶離させ、これを4mlの0.1M TRIS/HCl、pH7.5を用いて、4mlの装入したシンチレーターUltima XR Goldを有するシンチレーション容器中で溶離させた。十分な混合後、液体シンチレーションカウンター中でカウントした。放射性標識したcAMP及びATPの使用量を、3H合計、及び32P合計として、直接的に5mlの溶離緩衝液及び4mlのシンチレーター中でカウントした。
【0133】
この変換を酵素活性として以下の式に従って算出した:
【表3】

【0134】
この物質による前記酵素の阻害又は活性化は、%ベース値として、以下の式に従って算出された:
【表4】

【0135】
%ベース値が100μMの物質の際に50よりも小さい場合には、これは、PDE5−GAFアンタゴニストを示唆し、その一方で%ベース値が200よりも大きい場合には、GAFアゴニストを示唆する。
【0136】
前記ベース値が、100μMの可能性のあるPDE5−GAFアンタゴニストの使用の際に90よりも小さい場合には、cGMPを有する試験バッチ中に、PDE5−GAF−アンタゴニストが存在する。
【0137】
前記カラムは、利用後に以下のように再生される:
Dowexカラム:5mlの2N HCl、2×5mlの水
酸化アルミニウムカラム:2×5mlの0.1M TRIS/HCl、pH7.5
【0138】
実施例4
試験物質を用いたアッセイの実施
実施例3と同様に、前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性を、cGMP、及び公知のPDE5阻害剤、シルデナフィル、タダラフィル、及びバルデナフィルの存在下で測定した。この結果を、図6にグラフにより表した。この測定したPDE5阻害剤のいずれも、PDE5アンタゴニスト性作用を示さず、これらはPDE5のGAFドメインに対する結合を介して作用する。
【0139】
実施例5
後続のLANCE(R) cAMPアッセイを用いたアッセイの実施
PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性を、試験すべき物質有り、及びなしで測定した。この際前記アデニル酸シクラーゼ活性を、一定量のATPのcAMPへの変換を介して決定した。前記PDE5/CyaB1キメラにより形成されるcAMPの検出のために、反応バッチ中の本来の酵素反応に、抗体ベースのホモジニアスアッセイ(例えば、Lance cAMP、Perkin Eimer;HitHunter cAMP Assay、DisvoverX;cAMP AlphaScreen、Perkin Eimer)が後続した。この酵素アッセイのインキュベーション時間は、1〜120分間、このインキュベーション温度は20〜45℃、このMg2+補因子濃度は1〜20mM(これはまた、補因子として相応するMn2+量を使用してもよい)、及びこのATP濃度は0.5μM〜5mMにあることが望ましい。物質なしに対して、物質有りでの前記変換の向上は、GAFアゴニスト効果を示唆する。物質添加による変換が阻害される場合には、これは前記物質のアンタゴニスト効果を示唆する。GAF拮抗作用は、天然のGAFリガンド、cGMPによるPDE5/CyaB1キメラの活性化の遮断を介して測定されてもよい(例えば以下反応バッチに対して示したように)。このために、上昇性の又は固定のcGMP濃度での変換を、物質有り、及びなしで測定する。物質有りでの前記変換が、物質なしでの前記変換を下回る場合には、これは前記物質のGAF拮抗作用を示唆する。
【0140】
後続のLANCE cAMPアッセイを用いたアッセイのためには、以下のピペッティング工程及びインキュベーション工程が、384ウェルプレート中で実施される:
・1μlの試験すべき化合物(DMSO中で−3〜−12log M)
・1μlのcGMP(2〜0.2mM;GAFドメインの活性化因子)
3μlの反応緩衝液(22%グリセリン、50mM Tris/HCl、pH8.5、10mM MgCl2、1mg/mlのウシ血清アルブミン)
・反応緩衝液(0.001〜100ngの酵素含有)中の10μlのPDE5/CyaB1酵素
・5分間のインキュベーション、37℃で
・5μlのATP(300μM)
・15分間のインキュベーション、37℃で
・10μlのAIexaFluor647−抗cAMP抗体溶液(Perkin Eimer, LANCE cAMP Assay)の添加
・30〜60分間のインキュベーション
・ビオチンcAMPと混合した、10μlのLANCE Eu−W8044標識したストレプトアビジン溶液(Perkin Elmer, LANCE cAMP Assay)の添加
・30分間〜24時間のインキュベーション
・励起波長340±10nm及び発光波長665±10nm及び615±10nmでの測定(LANCE又はHTRF手法において)
それぞれの試験バッチは2回実施した。ブランクとして、基質であるATPの添加なしの試験バッチを使用した。物質及びcGMPなしの試験バッチを用いて、前記酵素−ベース活性を決定した。
【0141】
様々な酵素量の使用下での例示的な測定を図7に表した。
【0142】
図の説明
図1:PDE5/CyaB1キメラのアミノ酸配列
図2:PDE5/CyaB1キメラのcDNA
図3:精製後のPDE5/CyaB1キメラのタンパク質配列イタリック体=発現ベクター(PQE30、Quiagen)からの精製タグ;ボールド体=PDE5−GAF−ドメインを有するN末端;ボールド体かつ下線=GAFAドメイン及びGAFBドメイン;V386は、L386からのクローニング切断部位の導入の際に変異;下線=触媒性ドメインを有するCyaB1のC末端
図4:キメラPDE5/CYAB1ポリペプチドの図示
図5:環式ヌクレオチドによるPDE5/CyaB1キメラの活性化前記アッセイが、試験すべき物質としてcGMP又はcAMPとともに実施される場合には、図5の用量作用曲線が生じる。このPDE5/CyaB1キメラは、100μMのcGMPにより、約7.8倍活性化される。これは、780の%ベース値に相当し、前記cGMPは、PDE5−GAF−アゴニストであることを示す。cAMPは非活性性に作用し、約100の基%底値を有し、即ちこれは、GAFアゴニストでも、GAFアンタゴニストでもない。
図6:シルデナフィル、タダラフィル、及びバルデナフィルを用いたアッセイの実施公知のPDE5阻害剤、シルデナフィル、タダラフィル、及びバルデナフィルの存在下での前記PDE5/CyaB1キメラのアデニル酸シクラーゼ活性の測定による前記のアッセイの実施。結果を図6にグラフにより表した。この測定したPDE5阻害剤のいずれも、PDE5アンタゴニスト性作用を示さず、これらはPDE5のGAFドメインに対する結合を介して作用する。
図7:様々な酵素量の使用の際の読み出しとしてLance(R)Assayを用いた例示的な測定
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、PDE5/CyaB1キメラのアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2は、PDE5/CyaB1キメラのcDNAを示す図である。
【図3】図3は、精製後のPDE5/CyaB1キメラのタンパク質配列を示す図である。
【図4】図4は、キメラPDE5/CYAB1キメラポリペプチドの図示を示す図である。
【図5】図5は、環式ヌクレオチドによるPDE5/CyaB1キメラの活性化を示す図である。
【図6】図6は、シルデナフィル、タダラフィル、及びバルデナフィルを用いたアッセイの実施を示す図である。
【図7】図7は、様々な酵素量の使用の際の読み出しとしてLance(R)Assayを用いた例示的な測定を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドであって、機能的に連結した、
(a)ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、又はこの機能的に等価である変形、及び
(b)アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形を含有するポリペプチド。
【請求項2】
ホスホジエステラーゼ5(PDE5)は、グループ、PDE5A1、PDE5A2、PDE5A3、PDE5A4又は、このそのつどの機能的に等価である変形から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
ホスホジエステラーゼ5(PDE5)は、アイソフォームPDE5A1を示すことを特徴とする、請求項1又は2記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記GAFAドメインが、アミノ酸配列SEQ ID NO:6又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:6と、少なくとも90%の同一性、及びGAFAドメインの特性を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記GAFAドメインが、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含有するアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記GAFBドメインが、アミノ酸配列SEQ ID NO:8又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:8と、少なくとも90%の同一性、及びGAFBドメインの特性を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記GAFBドメインが、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含有するアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項6記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記の機能的に連結した、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン、又はこの機能的に等価である変形が、アミノ酸配列SEQ ID NO:10又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:10と、少なくとも70%の同一性、及びヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFドメインの制御性特性を有し、その際この含有された、前記GAFAドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:6及び前記GAFBドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:8は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により、最大で10%だけ変化することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記の機能的に連結した、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFAドメイン及びGAFBドメイン又はこの機能的に等価である変形は、以下のグループ
(a)アミノ酸E513までのヒトのPDE5A1のN末端、又は
(b)SEQ ID NO:10
から選択されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項10】
アデニル酸シクラーゼは、GAFドメインを含有する細菌由来のアデニル酸シクラーゼ又はこのそのつどの機能的に等価である変形であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記アデニル酸シクラーゼは、以下のグループ:
(a)アナベナ種PCC7120からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(b)アナベナ・バリアビリATTC29413からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(c)ノストック・パンクチフォルメPCC73102からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(d)トリコデスミウム・エリスラムIMS101からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(e)ブデロビブリオ・バクテリオボラスHD100からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
(f)マグネトコッカス種MC−1からのアデニル酸シクラーゼ又はこの機能的に等価である変形、
から選択されるアデニル酸シクラーゼであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記アデニル酸シクラーゼは、アイソフォームCyaB1又はCyaB2のアナベナ種PCC7120からのアデニル酸シクラーゼ、又はこの機能的に等価である変形であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項13】
アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形は、アミノ酸配列SEQ ID NO:12又はこの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含有するアミノ酸配列を有し、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:12と、少なくとも90%の同一性、及びアデニル酸シクラーゼの触媒特性を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項14】
アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメイン又はこの機能的に等価である変形は、以下のグループ
(a)アミノ酸L386〜K859のCyaB1のC末端、その際CyaB1のL386は、V386により置き換えられている、又は
(b)SEQ ID NO:12
から選択されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項15】
アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4又はこれらの配列から、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により導かれる配列を含み、前記配列は、アミノ酸水準で、前記配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4と、少なくとも70%の同一性及びヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のGAFドメインの制御性特性及びアデニル酸シクラーゼの触媒特性を有し、その際この含有された、GAFAドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:6、GAFBドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:8、及びアデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインのアミノ酸配列、SEQ ID NO:12は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失により最大で10%だけ変化する、請求項1から14までのいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項16】
アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4を含有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項17】
アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:4を有するポリペプチド。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドの1つをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項19】
部分配列として、
(a)SEQ ID NO:5又は前記核酸配列SEQ ID NO:5とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、及び
(b)SEQ ID NO:7又は前記核酸配列SEQ ID NO:7とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、及び
(c)SEQ ID NO:11又は前記核酸配列SEQ ID NO:11とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含有する、請求項18記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
核酸配列SEQ ID NO:2を含有する、ポリヌクレオチド。
【請求項21】
核酸配列SEQ ID NO:2の、ポリヌクレオチド。
【請求項22】
請求項18から22までのいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含有する、組み換えプラスミドベクター。
【請求項23】
請求項22記載のプラスミドベクターを含有する、組み換え宿主細胞。
【請求項24】
請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドの製造において、請求項23記載の組み換え宿主細胞の培養、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドの発現及び単離による、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドの製造方法。
【請求項25】
ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のモジュレーターの同定方法であって、以下の工程
(a)ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の可能性のあるモジュレーターと、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドとの接触、及び
(b)前記の可能性のあるモジュレーターが、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドのアデニル酸シクラーゼ活性を、前記の可能性のあるモジュレーターの非存在下に比較して変更させるかの決定
を含む、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)のモジュレーターの同定方法。
【請求項26】
工程(a)において、ヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の可能性のあるモジュレーターに付加的に、cGMPを請求項1から17までのいずれか1項記載のポリペプチドと接触させる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記アデニル酸シクラーゼ活性の決定は、放射性標識した又は蛍光標識したATPの変換の測定により行われることを特徴とする、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記モジュレーターの存在下で前記アデニル酸シクラーゼ活性の減少が、前記モジュレーターの非存在下に比較して測定され、そしてこのモジュレーターがPDE5アンタゴニストであることを特徴とする、請求項25から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記モジュレーターの存在下で前記アデニル酸シクラーゼ活性の上昇が、前記モジュレーターの非存在下に比較して測定され、そしてこのモジュレーターがPDE5アゴニストであることを特徴とする、請求項25から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインの直接的なモジュレーターの除外のために、請求項25から27までのいずれか1項記載の方法を、アデニル酸シクラーゼの触媒性ドメインを有し、かつヒトのホスホジエステラーゼ5(PDE5)の機能性GAFドメインを有しないポリペプチドの使用下で実施することを特徴とする、請求項25から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記方法を細胞アッセイとして請求項23記載の宿主細胞の存在下で実施することを特徴とする、請求項25から30までのいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記方法をハイスループットの規模で適用することを特徴とする、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−500824(P2008−500824A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513912(P2007−513912)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052269
【国際公開番号】WO2005/116195
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】