説明

PDP用光学フィルタ、及びこれを用いたプラズマディスプレイ装置

【課題】高輝度かつ高コントラストで電磁波遮蔽機能を備える、PDP用光学フィルタと、プラズマディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】
PDP用光学フィルタ100は、透明基材1と導電性凸状パターン層2からなる電磁波遮蔽層10、コントラスト向上層20、電磁波遮蔽層の観察者V側に近赤外線吸収、色補正等する有色透明層30を有し、導電性凸状パターン層は光反射性の銀粒子を含み透明基材側が光反射性の導電パターン層3と表面に黒化層5を有する。画像光Ldが導電パターン層裏面で反射後、パネル面で反射し観察者側に向かうことで、高輝度、高コントラストとなる。導電性凸状パターン層は導電パターン層表面に端角部が突出し中央部が凹陥した金属層と、この表面に金属針状体からなる黒化層とするのが良い。プラズマディスプレイ装置はこのフィルタをプラズマディスプレイパネル200の前面に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDPとも言う)の画像観察者側である前面に配置するPDP用光学フィルタと、これを用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
特に、高輝度かつ高コントラストのPDP用光学フィルタと、これを用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)の観察者側には、外光による画像のコントラスト低下を防ぐコントラスト向上フィルタ、ディスプレイパネルから放出される電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽フィルタ、近赤外線を吸収する近赤外線吸収フィルタ、ネオン光を吸収するネオン光吸収フィルタ、表示画像を好みの色調に調整する色補正フィルタ、或いは外光反射を防止する反射防止フィルタ等の各種フィルタが要求に応じて設けられている。
【0003】
コントラスト向上層は、通常、多数の直線状の光吸収部をストライプ状に配列して、光吸収部の間を光透過部とする。そして、光吸収部で外光を吸収し、光透過部で画像光を透過させる(特許文献1)。
近赤外線吸収フィルタ、ネオン光吸収フィルタ、色補正フィルタなどは、それぞれに対応した、近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、色補正色素をバインダ樹脂中に含有させた色素含有層として形成される。
電磁波遮蔽層は、印刷法によるものがコスト的に有利であり、例えば、特許文献2では、透明基材上に、銀などの金属粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物層からなる導電パターン層を、凹版印刷法によって形成したものを提案している。
【0004】
また、特にディスプレイパネル用のフィルタでは、複数のフィルタ機能を一枚のフィルタで実現することが、フィルタの薄型化、低コスト化などの点で望まれている。このため、PDP用光学フィルタにおいても、コントラスト向上機能以外に、電磁波遮蔽機能、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能、反射防止機能等を、要求性能に応じて複合化したフィルタとすることが多い。例えば、ディスプレイパネルと貼り合せる粘着剤層中に各種色素を含ませて、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能の各フィルタ機能を兼用させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−146073号公報
【特許文献2】特許第4436441号公報(国際公開第2008/149969号のパンフレット)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PDP用光学フィルタとして、コントラスト向上機能、電磁波遮蔽機能、さらには、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能などの各種フィルタ機能を備えさせることは出来ても、さらに、ディスプレイパネルからの画像光の吸収が少なく高輝度であり、なおかつ高コントラストでもある、より高性能のPDP用光学フィルタが望まれていた。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、高輝度かつ高コントラストでコントラスト向上機能や電磁波遮蔽機能等を備える、PDP用光学フィルタと、この光学フィルタを用いたプラズマディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるPDP用光学フィルタ及びプラズマディスプレイ装置は、以下の構成とした。
(1)入射した光を制御して観察者側に出射すると共に、プラズマディスプレイパネルから放出される電磁波を遮蔽するPDP用光学フィルタにおいて、
透明基材と該透明基材上にパターン状に形成された導電性凸状パターン層とを有する電磁波遮蔽層、
光を吸収する複数の光吸収部と光を透過する複数の光透過部とがフィルタ面方向に交互に配置されたコントラスト向上層、及び、
可視光領域に吸収のある有色透明層、
を備え、
前記電磁波遮蔽層の導電性凸状パターン層が、前記透明基材上に形成され金属粒子として光反射性の銀粒子とバインダ樹脂とを含む導電性組成物層からなり前記透明基材側の界面が光反射性の導電パターン層と、該導電パターン層の表面上に形成された黒化層を有し、
前記電磁波遮蔽層はその導電性凸状パターン層を観察者側に向けて配置され、
かつ前記有色透明層は該電磁波遮蔽層よりも観察者側に配置される、PDP用光学フィルタ。
(2)上記有色透明層が上記電磁波遮蔽層と上記コントラスト向上層との間に配置されている上記(1)のPDP用光学フィルタ。
(3)上記有色透明層が上記コントラスト向上層よりも観察者側に配置される上記(1)のPDP用光学フィルタ。
(4)上記電磁波遮蔽層の導電性凸状パターン層が、その導電パターン層の表面に形成され端角部が突出し中央部が凹陥した金属層と、該金属層の表面に形成され金属針状体からなる黒化層とを有する、上記(1)〜(3)のいずれかのPDP用光学フィルタ。
(5)上記有色透明層が、近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能、ネオン光を吸収するネオン光吸収機能、表示画像を好みの色調に調整する色補正機能、のいずれか1以上の機能を備える、上記(1)〜(4)のいずれかのPDP用光学フィルタ。
【0009】
(6)プラズマディスプレイパネルの前面に、上記(1)〜(5)のいずれかのPDP用光学フィルタが、その有色透明層が電磁波遮蔽層よりも観察者側となる向きで配置されている、プラズマディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有色透明層を電磁波遮蔽層よりもディスプレイパネル側ではなく観察者側に配置することで、電磁波遮蔽層のディスプレイパネル側の導電パターン層裏面の光反射性を有効利用して、該裏面に当たった画像光を、有色透明層を往復通過させずにディスプレイパネル側に戻して反射させ、観察者側に届けることができる。このため、輝度が上昇する。この結果、高輝度かつ高コントラストな性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるPDP用光学フィルタをその一形態で説明する断面図。
【図2】本発明によるPDP用光学フィルタの別の一形態を例示する断面図。
【図3】導電性凸状パターン層が金属針状体からなる黒化層を有する形態を示す断面図。
【図4A】導電性凸状パターン層を黒化層側から見た走査型電子顕微鏡写真(図4A〜図4Dの順に高倍率化)。
【図4B】導電性凸状パターン層を黒化層側から見た走査型電子顕微鏡写真。
【図4C】導電性凸状パターン層を黒化層側から見た走査型電子顕微鏡写真。
【図4D】導電性凸状パターン層を黒化層側から見た走査型電子顕微鏡写真。
【図5】導電性凸状パターン層が透明基材と導電パターン層間にプライマ層を有する形態を例示する断面図。
【図6】本発明によるプラズマディスプレイ装置の一形態を例示する断面図。
【図7】従来のPDP用光学フィルタ及びプラズマディスプレイ装置をその一例で説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
【0013】
《定義》
本明細書にて、以下の用語は次の意味で用いる。
「面方向」とは、PDP用光学フィルタのフィルタ面に平行な方向であり、コントラスト向上層、透明基材などの層面に平行な方向でもある。
「主切断面」とは、コントラスト向上層の層面に立てた法線を含む断面である「縦断面」のうち、光吸収部の延在方向に直交する断面として定義される面が「主切断面」である。この「主切断面」に於ける形状が「主切断面形状」である。
【0014】
《要旨》
本発明のPDP用光学フィルタを、図1に例示する一実施形態のPDP用光学フィルタ100を参照して説明する。
本発明のPDP用光学フィルタ100は、プラズマディスプレイパネル200の画像を観察する観察者V側である前面に配置されて使用される。同図に例示のPDP用光学フィルタ100は、プラズマディスプレイパネル200の側から順に、電磁波遮蔽層10、有色透明層30、コントラスト向上層20を有する。
【0015】
電磁波遮蔽層10は、透明基材1と該透明基材1上にパターン状に形成された導電性凸状パターン層2からなる。該導電性凸状パターン層2は、透明基材1上にパターン状に形成され金属粒子としての銀粒子とバインダ樹脂とを含む導電性組成物からなる導電パターン層3と、導電パターン層3の表面上に形成された黒化層5を有する。この結果、導電性凸状パターン層2は、透明基材1側の界面を透明基材1側から見ると銀粒子により光反射性となっている。一方、導電性凸状パターン層2の凸状となった逆側の面は黒化層5によって光吸収性となっている。この電磁波遮蔽層10は、透明基材1よりも導電性凸状パターン層2を観察者Vに向けて配置される。このため、導電性凸状パターン層2はプラズマディスプレイパネル200側の裏面が光反射性であり、観察者V側の面が光吸収性になる。
【0016】
コントラスト向上層20は、光を吸収する複数の光吸収部20aと、光を透過する複数の光透過部20bとが、フィルタ面方向に交互に配置された構成である。図1において、光吸収部20aは、紙面に垂直方向に直線状に延在している。このため、観察者V側からコントラスト向上層20を見ると、複数の光吸収部20aは、ストライプ状の外観を呈する。光透過部20bは、面方向において光吸収部20aの隙間に形成されている。
コントラスト向上層20は、同図に例示する形態の様に、透明支持体21に積層されていても良い。透明支持体21に積層することで、機械的強度が増して取り扱いが容易となる。
【0017】
有色透明層30は、少なくとも可視光領域において光を吸収する透明な層である。例えば、ネオン光を吸収するネオン光吸収機能、表示画像を好みの色調に調整する色補正機能、などを有する層は有色透明層30である。また、本来ならば可視光領域での光吸収は望まれない、例えば近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能を有する層だが、コスト、技術的難易度等の点で可視光領域での光吸収も不本意ながら容認し可視光を吸収する層も、この有色透明層30に該当する。
有色透明層30は電磁波遮蔽層10よりも観察者V側に配置される。言い換えれば、有色透明層30は電磁波遮蔽層10よりもプラズマディスプレイパネル200側には配置しない。
【0018】
この様な構成とすることで、図1に示す様に、プラズマディスプレイパネル200から放出される画像光Ld(なかでも特に直進せず斜め方向に拡散する光線)について、電磁波遮蔽層10のプラズマディスプレイパネル200側面の導電性凸状パターン層2の裏面の光反射性を有効利用して、該裏面に当たった画像光Ldを、有色透明層30を通過させずにプラズマディスプレイパネル200側に戻して反射させ、観察者V側に届けることができる。
一方、有色透明層30が電磁波遮蔽層10のプラズマディスプレイパネル200側に配置された場合には、図7に示す様に、導電性凸状パターン層2の裏面に当たった画像光Ldは、有色透明層30を3回通過して観察者V側に向かうので、有色透明層30による減衰が大きくなってしまう。
但し、本発明でも、画像光Ldは有色透明層30を1回は通過するが、これは、有色透明層30がどの位置に配置されていても同じである。そして、本発明では、導電性凸状パターン層2で遮られていた画像光Ldも有効利用できるので、その分、輝度が上昇する。この結果、高輝度かつ高コントラストな性能が得られることになる。
【0019】
図2は、別の実施形態例を示し、同図のPDP用光学フィルタ100では、有色透明層30が図1の様に電磁波遮蔽層10とコントラスト向上層20との間ではなく、コントラスト向上層20の観察者V側に配置された形態である。より具体的には、コントラスト向上層20に対して透明支持体21を介して観察者V側に配置された形態である。
この様に、本発明のディスプレイ用前面フィルタ100では、有色透明層30を電磁波遮蔽層10のプラズマディスプレイパネル200側としなければ、電磁波遮蔽層10のディスプレイパネル200側での導電性凸状パターン層2による光反射を有効活用でき、輝度向上効果が得られる。
【0020】
A.PDP用光学フィルタ:
PDP用光学フィルタの構成要素などについて更に説明する。
【0021】
《電磁波遮蔽層》
電磁波遮蔽層10は、透明基材1と、透明基材1上にパターン状に形成された導電性凸状パターン層2を有する。導電性凸状パターン層2は、透明基材1上に形成された導電パターン層3と、該導電パターン層3の表面上に形成された黒化層5を有する。該導電パターン層3は、金属粒子として光反射性の銀粒子とバインダ樹脂とを含む導電性組成物層から構成される。
この為、導電性凸状パターン層2の透明基材1側の界面(裏面とも言う)は、透明基材1側から見た場合、つまりプラズマディスプレイパネル200側から見た場合、光反射性となっている。本発明では、この光反射性を利用することで、電磁波遮蔽層10の存在によって無駄になっていた画像光を観察者側に導き出して、輝度を向上させる。
【0022】
〔透明基材〕
透明基材1としては、透明であれば、特に制限はなく公知のものを適宜選択使用すれば良い。例えば、樹脂フィルム(乃至シート)、樹脂板、或いは無機材料板等が代表的である。樹脂フィルム(乃至シート)の樹脂は例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、或いは、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、等である。樹脂板の樹脂としては、例えば、前記の樹脂フィルムと同様の樹脂である。無機材料板の材料としては、例えば、硝子、石英、透明セラミックス等である。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムはコスト、透明性、機械的強度等の点で好適な材料である。なお、透明基材の厚みは通常12〜5000μm程度である。
【0023】
〔導電性凸状パターン層〕
導電性凸状パターン層2は、透明基材1上に形成された導電パターン層3と、該導電パターン層3の表面上に形成された黒化層5とを有する。
導電性凸状パターン層2は、電磁波遮蔽機能を有すると共に、透明基材1側の裏面が導電パターン層3に含まれる金属粒子としての銀粒子によって光反射機能を有し、なお且つ、観察者V側に向ける他方の面側では、黒化層5によって外光に対する光吸収性も有する。
【0024】
導電性凸状パターン層2は、図3で示す様に、透明基材1上に形成された導電パターン層3と、該導電パターン層3の表面に形成された金属層4と、黒化層5として該金属層4の表面に形成され突出した金属針状体を有する黒化層5を有することが好ましい。黒化層5が有する多数の放射状に突き出した金属針状体によって、良好なる光吸収性が得られる。また、金属層4によって、導電性凸状パターン層2としての導電性を高めて、優れた電磁波遮蔽性が得られる。
【0025】
[導電パターン層]
導電パターン層3は、銀粒子からなる導電性粒子3aとバインダ樹脂3bとを含む導電性組成物層として形成される。このような導電パターン層3は、透明基材1にパターン状に印刷法により形成することができる。
導電パターン層3を印刷形成する場合の印刷法には特に制限はない。例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷などの有版印刷、或いはインクジェット印刷に代表される無版印刷等である。
これらの印刷法の中でも、前記特許文献2で開示された凹版印刷の一種である「引抜プライマ方式凹版印刷法」は、高転移率、微細パターン再現性、及び透明基材との高密着性などの点で特に好ましい印刷方式の一種である。また、当該印刷法では、優れた電磁波遮蔽性と優れた光透過性とを高度に両立させることができる。なお、「引抜プライマ方式凹版印刷法」で形成されるプライマ層については、後述する。
【0026】
(パターン形状)
導電パターン層3の(平面視の)パターン形状は、また結果として導電性凸状パターン層2のパターン形状は、公知の形状など任意であり、例えば、メッシュ形状(六角形や四角形などの格子模様)、ストライプ形状(直線状縞模様、螺旋模様など)などの幾何学形状である。なかでもメッシュ形状、それも正方格子形状が代表的である。導電パターン層3の非形成部に該当する開口部の形状は、メッシュ形状が例えば正方格子形状では正方形、ストライプ形状では帯形状となる。また、パターンの線幅、つまり導電パターン層3の形成部の線幅は、電磁波遮蔽性能とメッシュの不可視性の両立の観点から通常は5〜50μmである。更に、電磁波遮蔽性能と可視光透過性の両立の観点からは、線幅は好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
格子やストライプ等の幾何学模様のパターンの周期は通常100〜500μmである。
また、導電パターン層3の開口率〔(導電パターン層3の開口部の合計面積/導電パターン層3の開口部及び導電パターン層3の形成部を含めた全被覆面積)×100で定義〕は、電磁波遮蔽性能及び可視光透過性との両立の観点から、50〜95%程度である。導電パターン層3の厚みは電磁波遮蔽性の点からは3μm以上、好ましくは10μm以上とする。又、通常最大100μm以下とする。これ以上の厚みでは、通常用途に於いては過剰性能となる上、パターン形成が困難となったり、導電パターン層3が外力を受けて破損し易くなったりする為である。
【0027】
(導電性組成物)
導電パターン層3は、銀粒子からなる導電性粒子3aと樹脂バインダとを含む液状の導電性組成物(導電性ペースト、導電性インク等とも呼ばれる)を用いて形成でき、該導電性組成物を溶剤乾燥、電離放射線照射、加熱などのエネルギー付加、化学反応などの固化プロセスによって固化させて導電性組成物層として得られる。なお、樹脂バインダは、上記導電性組成物から導電性粒子3aを除いた残りの成分であり、また溶剤等の揮発散逸成分を含み得る成分であり、この樹脂バインダ中に含まれる樹脂分がバインダ樹脂3bである。また、樹脂バインダには、安定剤、分散剤、酸化防止剤、粘度調整剤など、公知の各種添加剤を含み得る。なお、バインダ樹脂が硬化性樹脂でその硬化に硬化剤や重合開始剤等を使用する場合、これらの硬化剤はバインダ樹脂の一成分であると捉える。
【0028】
導電性粒子3aとしては、銀粒子を用いるのが好ましい。導電性粒子3aとして銀以外の粒子としては、例えば、金、銀、白金、銅、錫、アルミニウム、ニッケルなど高導電性金属(乃至その合金)の粒子やコロイド(粒子)等である。なお、これらの金属粒子としては、樹脂粒子や無機非金属物粒子等の表面を前記高導電性金属で被覆した金属被覆粒子を用いることもできるが、これらに比べて、銀粒子が光反射性、導電性、コスト等の各種特性の点で優れている。なお、導電性粒子3aの粒子径は、平均粒子径で、0.01〜10μm、より低表面抵抗率とする点で好ましくは0.1〜3μmである。
【0029】
バインダ樹脂3bとしては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを単独使用又は併用する。熱硬化性樹脂は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などである。また、電離放射線硬化性樹脂には、電離放射線で架橋反応などによって重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーを含む組成物を使用する。なお、電離放射線としては、通常、紫外線、電子線などが使用される。また、該モノマーやプレポリマーにはラジカル重合性やカチオン重合性の化合物を使用する。なかでも、アクリレート系化合物を用いた電離放射性硬化性樹脂が代表的である。
また、熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂など、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等である。
【0030】
そして、樹脂バインダは、印刷適性を調整するために、例えば凹版の版面凹部への充填に適した流動性を得るために、上記の様なバインダ樹脂を有機溶剤に溶解したワニスとして使用することができる。該有機溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インクに用いられる溶剤の中から適宜選択使用すれば良い。
【0031】
[金属層]
金属層4は、導電性凸状パターン層2としての表面抵抗率を導電パターン層3と黒化層5のみによる場合よりも下げるために、導電パターン層3の表面に電解めっきによって形成される層である。
金属層4の金属としては、導電性が高く容易にめっき可能な金属(乃至その合金)であれば特に制限はなく、例えば、銅、銀、金、クロム、ニッケル、錫、などを用いることができる。なかでも、銅は材料費及び導電性に優れているので、好ましい金属の一種である。なお、金属層4の厚さは、用途、要求物性に応じたものとすればよく、例えば、0.1〜10μmである。
【0032】
電解めっきは公知の方法で行うことができる。電解めっき条件は、例えば、浴温度20〜60℃、電流密度0.001〜10A/dm2、めっき時間1〜10min程度である。電流密度を大きくすることによって、導電パターン層3の端角部に電力集中が起こり電解めっきが付きやすくなり、導電パターン層3の表面に形成された金属層4は前記端角部が突出する一方、導電パターン3の頂部に於ける中央部が凹陥した表面形状となる。また、電流密度が大きい程、端角部と中央部とのめっき層成長速度に差が生じ、相対的に端角部の電流密度が高くなって、中央部が凹陥した表面形状となり易い。端角部と中央部との段差は、1〜3μm程度である。また、このような現象を生じさせるには、導電パターン3の断面形状が、半円形状や半楕円形状の様な角のない形状ではなく、図1に例示の様な、台形、或いは長方形、正方形とするのが、端角部の電流密度を相対的に大きくできる。
金属層4の端角部が突出した形状となることで、導電性凸状パターン層2の端角部が突出した形状となる。電磁波遮蔽層10において、導電性凸状パターン層2の突出した端角部がスペーサとして機能することで、電磁波遮蔽層10を連続帯状シートとして製造時に、ロールやシートで重ね合わされた時に、導電性凸状パターン層2の表面の金属針状体が潰れるのを保護することができる。その結果、金属針状体による外光の減衰による反射防止効果を維持することができる。
【0033】
また、電流密度を大きくすると、金属層4の頂部に於ける表面に、溝状凹部U、特に、図4B〜図4Dの走査型電子顕微鏡写真で示す様に、分岐、蛇行、又はこれらの両方を有する渓谷状の溝状凹部Uが生成し易くなる。なお、図4B〜図4Dの写真は、正方格子状のメッシュパターンがそれと判る撮影倍率の最も小さい図4Aから、図4A〜図4Dの順に倍率が大きして撮影したうちの高倍率の方の3枚である。このような溝状凹部U、特に、分岐、蛇行、又はこれらの両方を有する渓谷状の溝状凹部Uによって、光が溝状凹部Uの内部に進入すると複雑な経路で反射を多数回繰り返すことで減衰する。この為、溝状凹部Uによって、外光の反射を防止できる。
【0034】
なお、金属層4の端角部を突出させた形状とするには、金属層4を形成前の導電パターン層3の端角部自体を突出させた形状としておく方法もある。導電パターン層3を凹版印刷する際の凹版の形状を端角部が凹んだ形状としておけば良い。
【0035】
[黒化層]
黒化層5は、導電パターン層2の表面に、或いは導電パターン層2の表面に金属層4を形成した場合は、この金属層4の表面に、黒化処理によって形成され、外光を吸収し減衰させる。
黒化層5は、暗色を呈する層であり、暗色であれば良く、黒以外に低明度の色、例えばこげ茶色など有彩色でもよい。
黒化層5としては、公知の黒化処理、例えば、黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっきなどによって形成することができる。ただ、優れた光吸収性を有する点で、以下に述べる、金属針状体が表面から放射状に延びた黒化層5が、より好ましい。金属針状体からなる黒化層5は、好ましくは金属層4の表面に形成される。
【0036】
(金属針状体からなる黒化層)
黒化処理は、例えば、硫酸銅五水和物と硫酸を含む水溶液からなる電解浴を用いた陰極電解処理によって、粗面化処理を行うことで、金属層4の表面に、銅からなる金属針状体を有する黒化層5を形成することができる。粗面化処理は、陰極電解で金属の粒状突起物を析出させた後、その上に金属めっきして粒状突起物の脱落を防いだ後、金属皮膜を形成して金属の粗面を形成する。
このような粗面化処理を伴う黒化処理は、粒状突起物形成時の電流密度を大きくすることによって、針状結晶が生成され易いので好ましい。この針状結晶が、最終的に、金属針状体となる。金属針状体の長さは、0.1〜1μm程度である。図4C及び図4Dは、導電性凸状パターン層2の表面に形成されている黒化層5が有する金属針状体が表面に突出している様子を示す走査型電子顕微鏡写真である。
黒化層5が多数の金属針状体を表面に突出して有することよって、黒化層5に入射した光が金属針状体の面間で多重反射することで、吸収、散乱が多数回発生して、光を減衰させて、反射を防止できる。
そして、前記溝状凹部Uを形成した上で、更にその表面に、金属針状体を有する黒化層5を形成することで、溝状凹部Uによる効果と、金属針状体による効果との相乗効果によって、光反射防止効果がより高められる。
【0037】
〔プライマ層〕
図5の断面図で示す様に、引抜プライマ方式凹版印刷法では、透明基材1上の導電パターン層3が特有のプライマ層6を介して形成され、このプライマ層6に他の印刷法に見られない大きな特徴を有する。それは、同図の様に、プライマ層6と導電パターン層3との界面について、プライマ層6は、導電パターン層3の形成部での厚さが導電パターン層3の非形成部での厚さよりも厚い形状となることである。なお、同図では、プライマ層6に注目した図面であり、導電パターン層3上に形成される金属層4や黒化層5の図示は省略してある。
上記非形成部の厚さ、つまり光透過性を確保する為の開口部の厚さは、上記形成部の厚さの影響のない開口部の中央部での厚さで捉える。非形成部の厚さは1〜10μm程度であり、形成部の厚さは非形成部の厚さに較べて1〜10μm程度厚く形成される。
このようなプライマ層6としては、透明な樹脂層で、その樹脂には熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用い、硬化性樹脂には熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を用いることができるが、固化が迅速な点で紫外線照射等で硬化する電離放射線硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂は、導電パターン層3で列記したバインダ樹脂などを使用できる。
【0038】
このように、電磁波遮蔽層10は、透明基材1と導電性凸状パターン層2との間にプライマ層6を有する形態が、高精細な導電性凸状パターン層2となる点で好ましいが、要求性能次第では、プライマ層6を省略した形態でも構わない。プライマ層6がない形態は、引抜プライマ方式凹版印刷法以外の印刷法、例えば、スクリーン印刷法などによって形成すれば良い。
【0039】
《コントラスト向上層》
コントラスト向上層20は、光を吸収する複数の光吸収部20aと、光を透過する複数の光透過部20bとがフィルタ面方向に交互に配置された層である。コントラスト向上層20は、光を吸収する光吸収部20aの少なくとも隙間に、光を透過する光透過部20bを有する。
コントラスト向上層20は、透明支持体21と積層されていても良い。透明支持体21が積層される側は、任意であり、図1では観察者V側であった。この形態では、透明支持体21は保護層として機能させることができる。或いは逆に、透明支持体21は、電磁波遮蔽層10側でも良い。
コントラスト向上層20はコントラストの向上効果を有し得るが、この他、画像光を正面方向など視野角を特定の方向に絞って出光することも可能であり、この機能のみに注目すれば、覗き見防止フィルタとしての機能も有し得る。
【0040】
[光吸収部]
光吸収部20aは、外光を吸収する光学要素である。
【0041】
(平面視形状)
光吸収部20aの平面視形状は、通常は、多数の直線が互いに平行に一方向に多数所定の間隔で配列したストライプ形状である。例えば、図1に例示の形態では、光吸収部20aは、紙面に垂直な方向を延在方向としている。配列は通常所定の間隔を一定とする周期配列である。この場合、個々の直線が一つの単位光学要素となる。
光吸収部20aの平面視形状は、ストライプ形状の様な一次元配列の他に、面方向に二次元配列したパターンでも良い。面方向に二次元配列したパターンとしては、例えば、正方格子、六方格子などのメッシュ形状であっても良い。メッシュ形状の場合は、平面視において、光吸収部20aは面方向に連続した一つの光学要素となっている。面方向に二次元配列したパターンとしては、メッシュ形状の他に、平面視が円形、三角、多角形等を単位光学要素として、この単位光学要素が正方格子、六方格子等の格子点に互いに離れて配置されたパターンでも良い。
光吸収部20aの平面視形状は、要求される外光遮蔽特性に応じて設計する。
【0042】
(主切断面形状)
光吸収部20aの主切断面形状は、任意である。例えば、図1に例示の形態では、全周囲が直線からなる三角形状であり、楔形状でもあったが、その他の形状でも良い。例えば、斜辺が、面方向の法線に平行、つまりフィルタ面に垂直となる四角形状でも良い。また、断面形状が、台形形状、五角形形状、六角形形状等でも良い。或いは、三角形や台形等の両方又は片方の斜辺が、折れ線化又は曲線化した形状(光吸収部20aの外側に向かって凸形状或いは凹形状)等でも良い。例えば、三角形や台形の両側斜辺の傾斜が底辺(台形の場合は下底)近傍で緩くなった漏斗状の形状等である。
また、光吸収部20aの高さ(厚さ)と光透過部20bの厚さが同じで、光吸収部20aと光透過部20bがコントラスト向上層20の層面の両面で面一となるものでもよい。
光吸収部20aの主切断面形状は、要求される外光遮蔽特性に応じて設計する。
光吸収部20aの形状とその向きは、図1では二等辺三角形形状の楔形状であり、楔形状の先端の向きは、観察者V側であるが、この逆にプラズマディスプレイパネル200側にしても良い。
光吸収部20aの寸法は、一例を示せば、厚み(高さ)は50〜200μm程度、幅は10〜100μm程度、配列時の隙間が50〜200μm程度である。
【0043】
(材料)
光吸収部20aは、光吸収性の暗色材料で形成することができる。暗色材料としては有機材料、無機材料、いずれでも良い。有機材料としては、光吸収性色材を樹脂バインダに含有させた、塗料(乃至はインキ)等の暗色樹脂組成物を用いることができる。
該光吸収性色材
は、光吸収性が高く暗色の、つまり低明度の有彩色或いは無彩色を呈する暗色色材を用いることができる。暗色の代表例は黒色であり、無彩色の黒色が画像表示の色に影響を与えず、また外光吸収が大きい点で好ましい。又、低明度の有彩色としては、茶褐色、紺色、臙脂色、深緑色等が挙げられる。なお、暗色色材としては、公知の色材、黒色で言えば、例えば、カーボンブラック、黒色酸化鉄等の黒色顔料、アニリンブラック等の黒色染料などを用いれば良い。また、暗色色材としては、これら暗色色材でアクリル樹脂粒子等を暗色に着色した暗色の樹脂粒子などでもよい。また、青色、黄色、赤色などの有彩色の色材を複数種類用いて混色により、暗色材料を黒色など無彩色乃至は有彩色の暗色としても良い。光吸収性色材の含有量は、樹脂分固形分全量に対して例えば5〜100質量%である。
樹脂バインダの樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電子線や紫外線等で硬化する電離放射線硬化性樹脂があり、熱硬化性樹脂としては、2液硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、ポリエステル系、エポキシ系などの樹脂が挙げられる。なかでも、電離放射線硬化性樹脂は硬化が迅速で無溶剤にできる点などで好適な樹脂である。電離放射線としては、通常、紫外線、又は電子線が用いられる。
【0044】
[光透過部]
光透過部20bは、画像光を透過させる光学要素である。
光透過部20bは、厚み方向では厚みが、光吸収部20aの厚み以上で、面方向では光吸収部20a同士の間を埋めて光吸収部20aを少なくとも側面から支持して機械的強度を補強すると共に画像光を透過させる光学要素である。光透過部20bは透明な樹脂層として形成することができる。図1では、光透過部20bは光吸収部20aを(両側)側面と、三角形の光吸収部20aの頂点側の3方向から支持している例である。なお、光透過部20bの厚みは、例えば100〜300μm程度である。
【0045】
(材料)
光透過部20bを構成する樹脂としては、透明であれば基本的には特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電子線や紫外線等で硬化する電離放射線硬化性樹脂があり、熱硬化性樹脂としては、2液硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、ポリエステル系、エポキシ系などの樹脂が挙げられる。なかでも、電離放射線硬化性樹脂は硬化が迅速で無溶剤にできる点などで好適な樹脂である。電離放射線としては、通常、紫外線、又は電子線が用いられる。
【0046】
[コントラスト向上層の形成法]
コントラスト向上層20の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂に電離放射線照射して重合させて形成する、いわゆるフォトポリマー法(別名2P法)で形成する。フォトポリマー法では、シリンダ状の成形型を使用すれば、透明支持体21を連続シートで供給しながら連続的に成形できる点で、生産性に優れる成形方法である。
例えば、先ず最初に、2P法で透明支持体21上に、光吸収部20aとは逆凹凸形状の凹部を表面に有する層として、成形型と電離放射線硬化性樹脂への紫外線など電離放射線照射による硬化によって光透過部20bを形成する。次に、前記凹部の内部のみに、暗色材料の暗色インクをワイピング法で充填し固化させて光吸収部20aを形成して、コントラスト向上層20とする。
【0047】
《透明支持体》
透明支持体21としては、前記電磁波遮蔽層10で述べた透明基材1で列記した材料を用いることができる。透明支持体21の厚みも、透明基材1と同様である。透明支持体21には、透明基材1と同じ材料を用いても良く、異なる材料を用いても良い。
【0048】
《有色透明層》
有色透明層30は、可視光領域に吸収のある有色で透明な層である。有色透明層30は、可視光に何らかの吸収を有するが完全に可視光を吸収するのではない色の付いた透明層である。つまり、有色透明層30は、少なくとも可視光領域において光を吸収する透明な層である。なお、ここで有色とは、有彩色はもちろん、灰色などの無彩色も含む。
プラズマディスプレイパネルに対する光学フィルタにおいては、例えば、ネオン光を吸収するネオン光吸収機能を担うネオン光吸収層、表示画像を好みの色調に調整する色補正機能を担う色補正層は、必然的に、可視光領域に吸収を有する。一方、近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能を担う近赤外線吸収層は、本来ならば可視光領域での光吸収は必要がなく且つ望まれない層である。ただ、コスト、技術的難易度等の点で、可視光領域において何らかの吸収が通常は生じる層である。
以上が、プラズマディスプレイパネルに対する光学フィルタにおいて、代表的な有色透明層30となり得る層である。ただ、本有色透明層30としては、これ以外の機能を担う層であっても、可視光領域に吸収のある層であれば、該当する。
【0049】
有色透明層30は、単層で以上の様な各種機能のうち1以上の機能を担うことができる。また、有色透明層30は2層以上の多層構成としても良い。
また、有色透明層30は、他の機能を担う機能層と兼用することもできる。例えば、有色透明層30は接着剤層(含む粘着剤層)と兼用することができる。
【0050】
ここで、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、及び色補正層について、更に説明しておく。これらの層は、通常それぞれに対応する色素を用いることで形成される。代表的には、色素をバインダ樹脂中に含有する層として形成される。
また、これらの層については、PDP用光学フィルタとして、従来公知の層を用いることができる。
【0051】
[近赤外線吸収層の色素]
近赤外線吸収層に用いる近赤外線吸収色素としては、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオニール錯体などの有機系色素、インジウム錫酸化物、チタン酸化物、セシウム含有タングステン酸化物などの無機系色素を1種又は2種以上併用する。併用では、例えばフタロシアニン系化合物とジイモニウム系化合物との併用が、特に、可視光に対する透明性、耐光性などの点で好ましい。
【0052】
[ネオン光吸収層の色素]
ネオン光吸収層に用いるネオン光吸収色素としては、PDPから放射されるネオン光を吸収させる色素である。ネオン光吸収色素は、上記ネオン光の中心波長を590nmとすれば、該590nm付近に最大吸収ピークを有するものが好ましい。ネオン光吸収色素としては、具体的には、シアニン系色素、オキソノール系色素、メチン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素等のネオン光吸収色素が挙げられる。これらの色素は、1種単独使用、又は2種以上併用する。
【0053】
[色補正層の色素]
色補正層に用いる色補正色素は、コントラスト向上フィルタによる表示画像を好みの色調( 天然色、或いは天然色から多少偏移した色) に補正する為の色素である。このような色補正色素としては、有機系色素、無機系色素などであり、具体的には、アントラキノン系、ナフタレン系、などが挙げられる。これらの色素は、1種単独使用、又は2種以上併用する。
【0054】
[バインダ樹脂]
上記色素を含有させるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
有色透明層30を粘着剤層と兼用させるときは、バインダ樹脂として、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系等の粘着剤を用いることもできる。
なお、有色透明層30中には、必要に応じて、公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤、酸化防止剤などである。
【0055】
[有色透明層の層的位置と輝度及びコントラストとの関係]
ここで、有色透明層30の層的位置関係と、輝度及びコントラストとの関係について、図1の本発明のPDP用光学フィルタ100、及び図7の従来のPDP用光学フィルタ400(及び従来のプラズマディスプレイ装置500)を参照して考察する。
図7の構成は、有色透明層30が電磁波遮蔽層10よりもプラズマディスプレイパネル200側に位置しており、電磁波遮蔽層10とコントラスト向上層20との間には粘着剤層などとして無色透明層40を有する以外は、図1と同様である。
【0056】
(輝度との関係)
プラズマディスプレイパネル200からの画像光Ldは拡散光である。先ず、この拡散光の画像光Ldのうち、パネル面に垂直に進む正面方向成分は、PDP用光学フィルタの構成によらず同じ減衰量で透過し同じ輝度を与える。一方、正面以外への成分の画像光Ldのうち、電磁波遮蔽層10の導電性凸状パターン層2の裏面に当たる光がある。この導電性凸状パターン層の裏面側は、光反射性としてあるので該裏面に当たった画像光Ldは、そこで吸収されない。この為、該裏面に当たって反射した画像光Ldは再度プラズマディスプレイパネル200に戻る。そして、プラズマディスプレイパネル200に戻って再度反射して、観察者V側に進む。この画像光Ldについては、従来の図7の様に、導電性凸状パターン層2の裏面側に有色透明層30があると、画像光Ldは都合3回有色透明層30を通過するため、より減衰した光がPDP用光学フィルタ100を通過することになる。一方、本発明では図1の様に、電磁波遮蔽層10のプラズマディスプレイパネル200側に有色透明層30を設けないため、画像光Ldが電磁波遮蔽層10の観察者V側に位置する有色透明層30を1回通過するだけで、観察者Vに届く。この為、減衰がより小さくなり、輝度が明るくなる。
【0057】
なお、プラズマディスプレイパネル200から拡散した画像光Ldのなかには、導電性凸状パターン層2の側面に当たる成分光もある。この側面を光反射性にしておけば、側面に当たった画像光Ldを正面方向に向かわせ観察者V側に進めて、輝度向上に寄与させることが可能である。ただ、この様な側面は観察者V側から導電性凸状パターン層2を見たときに、見える側面でもあり、外光の影響で側面が明るく見え易い。これを解消するには、側面には黒化層5を形成しておくのが好ましい。ただ、導電性凸状パターン層2側面への外光の影響(特に黒輝度に影響する)を減らせるのであれば、また、導電性凸状パターン層2の断面が長方形の場合で言えば、観察者V側の頂上部の面のみに黒化層5を設け且つ側面には黒化層5を設けない構成が容易形成できれば、この様な構成を採用しても良い。この場合、側面に当たる画像光は、有色透明層30が電磁波遮蔽層10のプラズマディスプレイパネル200側に位置するときは、有色透明層30を1回しか通過しないが、有色透明層30を斜めに通過するため、垂直に通過する場合よりも減衰が大きく、有色透明層30の位置による減衰の差が大きい。
【0058】
(コントラストとの関係)
一方、外光については、外光が、PDP用光学フィルタ100で反射し、或いはプラズマディスプレイパネル200まで到達し反射した成分光が、明室でのコントラストの特に黒輝度に加担する度合いが大きい。黒輝度は、プラズマディスプレイパネル200からの黒画面の輝度がゼロと仮定したとき、その全部が外光によるものとなる。つまり、明所でのコントラストにおける黒輝度は、外光がPDP用光学フィルタ100及びプラズマディスプレイパネル200で反射した成分光による。外光は、プラズマディスプレイパネル200に到達してからは、輝度上昇と同じように振舞うため、有色透明層30が電磁波遮蔽層10よりも観察者V側にある方が輝度が大きくなるが、プラズマディスプレイパネル200からの画像光に比べて、一度有色透明層30を通過しているため、相対的に弱い光となり、輝度の上昇率は低くなる。このため、白輝度/黒輝度として計算されるコントラストは白輝度上昇分が大きいため高くなる。
【0059】
《その他の層》
なお、本発明によるPDP用光学フィルタは、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、上記した以外のその他の層を含んでもよい。例えば、各種光学フィルタ機能を付与する光学フィルタ層、光学フィルタ機能以外の機能を付与する機能層などである。これらの層には公知の層を適宜採用することができる。
なお、光学フィルタ層としては、紫外線吸収層、反射防止層(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれか)などである。また、光学フィルタ機能以外の機能を付与する機能層としては、防汚層、帯電防止層、ハードコート層、粘着剤層、該粘着剤層を使用時まで保護する離型フイルム、接着剤層、層間密着を強化するプライマ層、耐衝撃層などである。なお、これらの層は単層で2以上の機能を兼用することもある。
【0060】
B.プラズマディスプレイ装置:
本発明によるプラズマディスプレイ装置は、図6に例示する様に、上記の様なPDP用光学フィルタ100と、プラズマディスプレイパネル200とを備えるプラズマディスプレイ装置300である。本プラズマディスプレイ装置300は、該PDP用光学フィルタ100及び該プラズマディスプレイパネル200以外に、筐体(キャビネット)、入出力部品等の他、画像表示装置の用途に応じて、例えば、テレビジョン受像機の場合はチューナ等の、公知の各種部品を備える。これらのその他の構成要素は、特に制限はなく、用途に応じたものとなる。
プラズマディスプレイパネル200としては、ディスプレイ駆動回路等の各種回路、該駆動回路とディスプレイパネル本体間の配線、これらを一体化するシャーシ、フレーム等を含んでいても良い。従って、プラズマディスプレイパネル200は、「ディスプレイモジュール」乃至は「パネルモジュール」等と呼ぶこともできる。
【0061】
本PDP用光学フィルタ100のプラズマディスプレイパネル200に対する配置は、図6及び図1の様に、プラズマディスプレイパネル200の画像を観察する観察者V側の前面に配置するとき、電磁波遮蔽層10を構成する導電性凸状パターン層2と透明基材1とについて、透明基材1をプラズマディスプレイパネル200側に向けて配置する。言い換えると、透明基材1よりも導電性凸状パターン層2を観察者V側に向けて配置する。
図6及び図1等では、PDP用光学フィルタ100とプラズマディスプレイパネル200との間に空気層がある様に描いてあるが、粘着剤層など樹脂層で密着積層すると、空気層界面での反射による光損失を減らせる点で好ましい。
【0062】
この様な構成のプラズマディスプレイ装置とすることによって、PDP用光学フィルタ100の効果が得られる。その結果、高輝度かつ高コントラストにすることが出来る。
【0063】
なお、プラズマディスプレイ装置300は、図示はしないが、更にその他の光学部材を備えていても良い。その他の光学部材は、例えば前記したその他の層として述べた機能層を有する光学部材等である。例えば、反射防止フィルタ、衝撃吸収フィルタ等である。その他の光学部材を配置する位置は任意である。
【0064】
C.用途:
本発明によるPDP用光学フィルタ100は、プラズマディスプレイパネルの観察者側の前面側に配置する用途が好適である。また、このPDP用光学フィルタ100を備えるプラズマディスプレイ装置300は、テレビジョン受像機、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電子看板、案内表示板、遊戯機器等の画像表示装置として好適である。
【実施例】
【0065】
次に、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述する。
【0066】
《実施例1》
〔電磁波遮蔽層の作製〕
電磁波遮蔽層10は、導電パターン層3の印刷に引抜プライマ方式凹版印刷法を利用して、次の様にして作製した。
【0067】
[導電パターン層]
透明基材1として、厚み100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、紫外線硬化性樹脂組成物を固化時厚みが10μmとなる様にグラビアリバースロールコートにより塗工した。紫外線硬化性樹脂組成物は、エポキシアクリレート系プレポリマー、ウレタンアクリレート系プレポリマー、単官能モノマーとしてフェノキシエチルアクリレート、及び多官能モノマーとしてエチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなるアクリレート系重合性化合物、光重合開始剤としてイルガキュア(登録商標)184(チバ・スペシャルティ・ケミカル株式会社製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を含むものを使用した。プライマ層は塗布後、硬化前の状態において流動性を示すが透明基材1から流れ落ちはしない。
次に、導電パターン層3形成用として、導電性粒子として平均粒子径2μmの銀粒子を熱可塑性ポリエステルウレタン樹脂及び溶剤を含む樹脂バインダ中に分散させた導電性組成物からなる銀ペーストを用意した。この銀ペーストを、引抜プライマ方式凹版印刷法によって、透明基材1上の前記プライマ層を介して印刷して、導電パターン層3を形成した。また、プライマ層の硬化は、透明基材1が円筒状の凹版版面上にあるうちに紫外線を照射して行った。形成された導電パターン層3は、正方格子のメッシュパターンで、線幅20μm、格子周期300μm、層厚み19μmであり、線の断面形状は略台形形状であった。また、硬化したプライマ層6は、導電パターン層3の形成部で厚みが厚く、導電パターン層3の非形成部で厚みが薄かった。
【0068】
[金属層]
次に、導電パターン層3の表面に、銅からなる金属層4を電解めっきして形成した。電解めっき液は、水溶液(3000L)として、硫酸銅五水和物(75g/L)、硫酸(180g/L)、塩酸(60mg/L)、配向調整成分として炭化水素系高分子系めっき添加剤(40mL/L)を含む液を用いた。めっき条件は、浴量(500mL)、攪拌(エアー攪拌)、浴温(25℃)、電流密度(2A/dm2)、めっき時間(5min)の条件である。電解めっき後、120℃で60min間加熱しアニール処理を行った。金属層4の厚みは2μmである。
【0069】
電解めっきでは、被めっき物とアノード電極とが近い部分にめっきが付き易く、角部に電流密度の集中が生じてめっきが厚く付き易い。ここで、被めっき物である導電パターン層3は、断面形状が台形形状で、しかも該台形形状は頂部の端角部が尖り、その端角部が頂部の中央部よりも突出している形状となっている。このため、導電パターン層3の表面に形成された金属層4の表面が成す断面形状は、端角部が頂部の中央部よりも突出し該中央部が端角部に対して陥没した形状となった。
【0070】
[黒化層]
次に、金属層4の表面に、次の条件で黒化処理を施し黒化層5を形成して、透明基材1上に導電性凸状パターン層2を有する電磁波遮蔽層10を作製した。
【0071】
(1層目)
硫酸銅五水和物 70g/L
硫酸 100g/L
液温 40℃
電流密度 40A/dm2
電解時間 5s
陽極 白金
(2層目)
硫酸銅五水和物 250g/L
硫酸 100g/L
液温 45℃
電流密度 20A/dm2
電解時間 30s
陽極 白金
【0072】
黒化層5は、(導電性凸状パターン層2としての頂部の)端角部が突出し頂部の中央部が凹陥した表面形状であった。また、黒化層5の表面には、図4B〜図4Dの走査型電子顕微鏡写真の如く、分岐しかつ蛇行する渓谷状の溝状凹部Uを多数観察された。また、黒化層5の表面には、図4B〜図4Dの走査型電子顕微鏡写真の如く、多数の金属針状体が観察された。
【0073】
〔コントラスト向上層の作製〕
透明支持体21として、厚み100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、円筒状の成形型を用いた2P法で、紫外線硬化性樹脂組成物(アクリレート系樹脂、三洋化成工業株式会社製)を用い紫外線照射により硬化させて、厚み110μmの光透過部20bを形成した。この光透過部40bの表面には、光吸収部20aとは逆凹凸形状の台形形状(高さ88μm、下底10μm、上底3μm)の溝で且つ上部(下底に対応する)が漏斗状に開いた形状である。次に、光透過部20bのV字状溝を有する表面に、暗色材料として黒色樹脂粒子を含む紫外線硬化性樹脂組成物(株式会社DNPファインケミカル製)を塗布し、ドクターブレードでV字状溝以外の余分の暗色材料を掻き取ることで、V字状溝の内部のみに暗色材料を充填させて、紫外線照射により硬化させて、光吸収部20aを形成して、透明支持体21と積層されたコントラスト向上層20を作製した。
【0074】
〔粘着剤層を兼用する有色透明層の準備〕
有色透明層30用として次の有色透明粘着フィルムを用意した。
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン(登録商標)」BPS6271:商品名、固形分27%、東洋インキ製造株式会社製)及び硬化剤(BXX5627:商品名、東洋インキ製造株式会社製)に対して、近赤外線吸収色素として、フタロシアニン系化合物(IR12:商品名、株式会社日本触媒製)0.05質量部、フタロシアニン系化合物(IR14:商品名、株式会社日本触媒製)0.02質量部、及びジインモニウム系化合物(IRG−068:商品名、株式会社日本触媒製)0.03質量部を配合した。更に、ネオン光吸収色素(TAP2:商品名、山田化学工業株式会社製)を0.01質量部配合した。更に、紫外線吸収剤として、Cyasorb(登録商標)UV24(サイテック社製)を4質量部、光安定剤として、TINUVINN(登録商標)144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を2質量部、調色色素として、KAYASET(日本化薬株式会社製)を0.1質量部、及び、層状粘土鉱物として、クニピア(登録商標)D36(クニミネ工業株式会社製)を0.05質量部配合したものを有色透明層形成用の樹脂組成物として作製した。
【0075】
この樹脂組成物を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、加熱乾燥させ塗膜を形成した後、この塗膜上に38μmの離型フィルムをラミネートし、離型フィルム間に粘着剤層を兼用する有色透明層を有する有色透明粘着フィルムを作製した。
【0076】
〔PDP用光学フィルタの作製〕
先ず、上記有色透明粘着フィルムの離型フィルムを剥がし、前記コントラスト向上層20の表面と、前記電磁波遮蔽層10の導電性凸状パターン層2側の表面とを貼合して、目的とするPDP用光学フィルタ100を得た。
【0077】
《比較例1》
比較例1として、有色透明層30の代わりに無色透明層40を有し、電磁波遮蔽層10の透明基材1の面に有色透明層30が積層された、図7のようなPDP用光学フィルタ400を次の様にして作製した。
【0078】
〔粘着剤層として無色透明層を有する無色透明粘着フィルムの準備〕
無色透明層40用として次の無色透明粘着フィルムを用意した。
実施例1における、粘着剤層を兼用する有色透明層の準備にて、近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、及び調色色素の配合を省略した樹脂組成物を、無色透明層形成用の樹脂組成物として作製した。
この樹脂組成物を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、加熱乾燥させ塗膜を形成した後、この塗膜上に38μmの離型フィルムをラミネートし、離型フィルム間に粘着剤層を兼用する無色透明層40を有する無色透明粘着フィルムを作製した。
【0079】
〔PDP用光学フィルタの作製〕
実施例1において、コントラスト向上層20と電磁波遮蔽層10との貼合に、上記無色透明粘着フィルムによる無色透明層40を用い、貼合後の電磁波遮蔽層10の透明基材1の面に、実施例1で用いた有色透明粘着フィルムを用いて有色透明層30を積層して、目的とするPDP用光学フィルタ400を得た。
【0080】
《性能評価》
実施例1および比較例1のPDP用光学フィルタについて、プラズマディスプレイパネル200の前面ガラス板に、実施例1では有色透明層30によって、比較例1では無色透明層40によって、貼り合わせて、外光存在下で、黒輝度と白輝度とを測定し、明室でのコントラストを算出した。
外光は、天井からの蛍光灯の照明で、画面上での照度は550lxである。輝度計にて白画面表示をして白輝度を計測し、黒画面表示をして黒輝度を計測した。明室下でのコントラストは、白輝度/黒輝度となる。結果は、輝度及びコントラストについて、比較例1を基準の100.0とした、実施例1の相対値も含めて、表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1に示す様に、実施例1では、白画面表示時の白輝度は55.0cd/m2、黒画面表示時の黒輝度は3.5cd/m2で、したがってコントラスト(白輝度/黒輝度)は15.7だった。
一方、比較例1では、白画面表示時の白輝度は52.4cd/m2黒画面表示時の黒輝度は3.4cd/m2、したがって、コントラスト(白輝度/黒輝度)は15.3となった。
この結果、輝度(白輝度)は、5.0%明るくなり、コントラストは2.6%向上し、高輝度かつ高コントラストのPDP用光学フィルタ100が得られた。
【0083】
1 透明基材
2 導電性凸状パターン層
3 導電パターン層
3a 導電性粒子
3b バインダ樹脂
4 金属層
5 黒化層
6 プライマ層
10 電磁波遮蔽層
20 コントラスト向上層
20a 光吸収部
20b 光透過部
21 透明支持体
30 有色透明層
40 無色透明層
100 PDP用光学フィルタ
200 プラズマディスプレイパネル
300 プラズマディスプレイ装置
400 従来のPDP用光学フィルタ
500 従来のプラズマディスプレイ装置
V 観察者
U 溝状凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を制御して観察者側に出射すると共に、プラズマディスプレイパネルから放出される電磁波を遮蔽するPDP用光学フィルタにおいて、
透明基材と該透明基材上にパターン状に形成された導電性凸状パターン層とを有する電磁波遮蔽層、
光を吸収する複数の光吸収部と光を透過する複数の光透過部とがフィルタ面方向に交互に配置されたコントラスト向上層、及び、
可視光領域に吸収のある有色透明層、
を備え、
前記電磁波遮蔽層の導電性凸状パターン層が、前記透明基材上に形成され金属粒子として光反射性の銀粒子とバインダ樹脂とを含む導電性組成物層からなり前記透明基材側の界面が光反射性の導電パターン層と、該導電パターン層の表面上に形成された黒化層を有し、
前記電磁波遮蔽層はその導電性凸状パターン層を観察者側に向けて配置され、
かつ前記有色透明層は該電磁波遮蔽層よりも観察者側に配置される、PDP用光学フィルタ。
【請求項2】
上記有色透明層が上記電磁波遮蔽層と上記コントラスト向上層との間に配置されている請求項1記載のPDP用光学フィルタ。
【請求項3】
上記有色透明層が上記コントラスト向上層よりも観察者側に配置される請求項1記載のPDP用光学フィルタ。
【請求項4】
上記電磁波遮蔽層の導電性凸状パターン層が、その導電パターン層の表面に形成され端角部が突出し中央部が凹陥した金属層と、該金属層の表面に形成され金属針状体からなる黒化層とを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のPDP用光学フィルタ。
【請求項5】
上記有色透明層が、近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能、ネオン光を吸収するネオン光吸収機能、表示画像を好みの色調に調整する色補正機能、のいずれか1以上の機能を備える、請求項1〜4のいずれかに記載のPDP用光学フィルタ。
【請求項6】
プラズマディスプレイパネルの前面に、請求項1〜5のいずれかに記載のPDP用光学フィルタが、その有色透明層が電磁波遮蔽層よりも観察者側となる向きで配置されている、プラズマディスプレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公開番号】特開2012−204738(P2012−204738A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69754(P2011−69754)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】