説明

PIPAポリオールの製造方法

【課題】ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールの製造方法、該PIPAポリオール、およびポリウレタンの製造における該PIPAポリオールの使用方法を提供する。
【解決手段】MDI−ベースのポリイソシアネートと最高400の当量を有するポリオールを反応させることにより、分散した形の粒状物質を含むポリオール組成物を製造する方法であって、500以上の当量を有するポリオール中で反応を実施し、その際、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PIPAポリオールの製造方法、該PIPAポリオール、およびポリウレタンの製造における該PIPAポリオールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PIPA(ポリイソシアネート重付加)ポリオールは以前に開示されている。たとえば、US4452923(特許文献1)、US4438252(特許文献2)、US4554306(特許文献3)、GB2102822(特許文献4)、GB2072204(特許文献5)、WO94/12553(特許文献6)、US5292778(特許文献7)およびEP418039(特許文献8)を参照。PIPAポリオールは、ポリイソシアネートと、複数のヒドロキシル基、第一級アミン基および/または第二級アミン基をもつ低分子量化合物とを、高分子量ポリオール、特にポリエーテルポリオールの存在下で重付加反応させた生成物である。PIPAポリオールはポリオール中の粒状物質分散物であり、たとえば改善された耐力特性をもつスラブ材または成形した軟質フォームの製造に使用される。そのようなフォームの製造のための配合物中に用いるPIPAポリオールの量は一般に、配合物中に用いる高分子量ポリオール全体に対して計算した粒状物質の量が1〜15重量%になる量である。現在最も一般的に用いられているPIPAポリオールは、おそらく約20重量%の粒状物質を含むPIPAポリオールであり、これをさらに高分子量ポリオールで希釈して前記の1〜15重量%の配合量にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US4452923
【特許文献2】US4438252
【特許文献3】US4554306
【特許文献4】GB2102822
【特許文献5】GB2072204
【特許文献6】WO94/12553
【特許文献7】US5292778
【特許文献8】EP418039
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これよりかなり高い配合量をもつPIPAポリオールを提供できることも望まれている。これにより、フォーム製造業者はより高い配合量のPIPAポリオールをフォームの製造に使用できるであろう。フォーム製造業者がより高い配合量のPIPAポリオールを希釈するとしても、そのPIPAポリオールをより濃厚な形で輸送し、必要な場所で必要な程度に希釈できるという利点がある。さらに、それはポリウレタン系の配合業者の配合制限を少なくする。そのようなPIPAポリオールから製造したフォームは、良好な難燃性を示し、容易にリサイクルできる。高い配合量をもつそのようなPIPAポリオールの製造方法は既知であり、たとえば前記の先行技術を参照されたい。しかし、これらの方法では、高い粘度をもつ、および/または安定でない生成物が得られ、あるいはこれらの方法では(大規模の場合は確実に)反応を制御できず、このため軟質ポリウレタンフォームの製造に用いた場合にフォーム気泡破壊を生じる可能性のあるPIPAポリオールが生成する。WO00/73364には、配合量30〜80重量%および比較的低い粘度をもつPIPAポリオールの製造方法が記載されている。そのようなPIPAポリオールを軟質フォームの製造に使用すると、しばしば強すぎる気泡開放効果および低すぎる強化作用が生じる;さらに、このフォームの圧縮永久ひずみおよび耐火性能は改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
意外にも、良好な安定性および比較的低い粘度をもち、かつ配合量がより高い、新規なPIPAポリオールが見いだされた。さらに、そのようなPIPAポリオールから製造したフォームは、同等な密度で改善された耐力特性を示す。さらになお、そのようなPIPAポリオールを用いて成形フォームを製造すると、従来のPIPAポリオールが内部欠陥を示すのに対し、良好な成形品が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0006】
したがって本発明は、500以上の平均当量を有するポリオール中に、ポリオール組成物全体に対して計算して1〜80重量%の量の分散した形の粒状物質を含むポリオール組成物であって、組成物は25℃で1500〜25000mPa・sの粘度を有し、粒状物質は最高400の平均当量を有するポリオールとジフェニルメタンジイソシアネート(場合により、3以上のイソシアネート官能価を有するその相同体および/または該ポリイソシアネートの修飾変異体を含む)との反応生成物を含み、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%、好ましくは21〜45重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある組成物に関する。
【0007】
粘度は、スピンドルCP−41を備えたブルックフィールド粘度計DV−II型を用いて測定される。
さらに、本発明によるポリオール組成物は、Hydro2000/s分散アクセサリを備えたMastersizer 2000(Malvern Instruments)によりメタノールを溶離剤として用いて測定して、好ましくは少なくとも90容量%の粒子が10μm以下の粒径をもつ粒状物質を含む。粒状物質の含量は、本発明のポリオール組成物の製造に用いたポリイソシアネートの量と最高400の当量を有するポリオールの量との和であり、次式により計算される。
【0008】
【数1】

【0009】
この計算において、反応した生成物がすべて粒状物質を生成し、ポリイソシアネートが他のポリオールと反応しないと仮定していることは明らかであろう。好ましくは少なくとも95容量%、最も好ましくは少なくとも99容量%の粒子が10μm以下の粒径をもつ。
【0010】
本発明によるポリオール組成物は、最高400の平均当量を有するポリオールとポリイソシアネートを、500以上の平均当量を有するポリオール中で反応させる方法により製造され、その際、ポリイソシアネート中のNCO基は、最高400の当量を有するポリオール中のOH基の数の30〜100%、好ましくは40〜80%である。
【0011】
さらに本発明者らは、500以上の当量を有するポリオール中に、ポリオール組成物全体に対して計算して1〜80重量%の量の粒状物質を含むポリオール組成物の製造方法であって、ジフェニルメタンジイソシアネート(場合により、3以上のイソシアネート官能価を有するその相同体および/または該ポリイソシアネートの修飾変異体を含む)、最高400の平均当量を有するポリオールおよび水を、500以上の平均当量を有するポリオール中で反応させ、その際、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%、好ましくは21〜45重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある方法を見いだした。
【0012】
この方法においては、少量の水(ポリオール組成物の量に対して計算して0.1〜5重量%)を使用できる。
少量の水を使用すると、ポリイソシアネートからのNCO基と最高400の平均当量を有するポリオール中のOH基との同等な当量比において、最終ポリオール組成物の粘度が低下する。
【0013】
さらになお本発明は、本発明によるポリオール組成物1〜99重量部(pbw)、好ましくは5〜95pbw、および500以上の平均当量を有するポリエーテルポリオール(組成物の製造に用いたもの以外)1〜99pbw、好ましくは5〜95pbwのブレンドに関する。他のポリエーテルポリオールには、他のオキシエチレン含量および/または分布をもつものが含まれる。
【0014】
本発明に関して、下記の用語は下記の意味をもつ。
1.本明細書中で用いる「ポリウレタンフォーム」という表現は、一般にポリイソシアネートとイソシアネート反応性水素を含有する化合物を発泡剤を用いて反応させることにより得られる気泡製品を表わし、特に水を反応性発泡剤として用いて得られる気泡製品を含む(水とイソシアネート基が反応して尿素結合および二酸化炭素が生成し、ポリ尿素−ウレタンフォームを形成することを伴う)。
【0015】
2.「平均公称ヒドロキシル官能価」という用語は、本明細書においてポリオール組成物の数平均官能価(分子当たりのヒドロキシル基の数)を示すために用いられる。これは組成物の製造に用いた開始剤(1種類以上)の数平均官能価(分子当たりの活性水素原子の数)であるという仮定に基づくが、実際には若干の末端不飽和のためこれより幾分小さい場合がしばしばあるであろう。「当量」という用語は、分子中のイソシアネート反応性水素原子当たりの分子量を表わす。
【0016】
3.「平均」という語は、別途指示しない限り、数平均を表わす。
500以上の平均当量をもつポリオールは、より好ましくは1000〜5000の平均当量、および2〜6の平均公称ヒドロキシル官能価をもつ(以下、化合物1と呼ぶ)。より好ましくは、これらのポリオールは1000〜3000の平均当量および2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価をもつ。
【0017】
化合物1は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを多官能性開始剤の存在下で重合させることにより得られるポリオールから選択される。適切な開始剤化合物は複数の活性水素原子を含有し、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジメタノール、レソルシノール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ソルビトールおよびスクロースがこれに含まれる。開始剤の混合物も使用できる。
【0018】
本発明においては以下のポリオール記載方法を採用する:PO−EOポリオールは、開始剤にまずPOブロックが結合し、続いてEOブロックが結合したポリオールである。PO−PO/EOポリオールは、まずPOブロック、続いてランダムに分布したPOおよびEOのブロックをもつポリオールである。PO−PO/EO−EOポリオールは、まずPOブロック、続いてランダムに分布したPOおよびEOのブロック、次いでEOのブロックをもつポリオールである。前記の記載には、ポリオールの1つのテイルのみを記載した(開始剤からみて);そのようなテイルが何個存在するかは、公称ヒドロキシル官能価により決定されるであろう。
【0019】
化合物1は、好ましくはタイプPO−PO/EO−EOまたはタイプPO/EO−EOの構造をもつ。総EO含量は15〜49重量%、好ましくは21〜45重量%である(存在する全オキシアルキレン単位の重量に対して)。化合物1は、ポリオール中に存在する第一級および第二級ヒドロキシル基を基準として、少なくとも50%、好ましくは70%の第一級OH含量をもつ。PO−PO/EO−EOタイプのポリオールにおいて、最初のPOブロックは、好ましくは20〜90重量%のPO単位を含む。タイプPO−PO/EO−EOの構造をもつポリオールは、US5594097の教示に従って良好に製造できる。タイプPO/EO−EOの構造をもつポリオールは、US4559366の教示に従って良好に製造できる。最も好ましい構造はタイプPO−PO/EO−EOのものである。
【0020】
ポリエーテルポリオールの混合物が化合物1について前記に述べた特性をもつ限り、その混合物を化合物1として使用できる。
最高400の当量を有するポリオール(以下、「化合物2」と呼ぶ)は、好ましくは最高200の平均当量をもち、アルカノールアミン、低い当量のアミン開始ポリエーテルポリオール、および低い当量のヒドロキシル末端基付き化合物、たとえばエチレングリコール、グリセリン、グリコールエーテル、ペンタエリトリトール、またはその混合物から選択できる。
【0021】
適切なアルカノールアミンは、ジ−およびトリアルカノールアミン、特にアルカノール基がそれぞれ2〜6個、好ましくは2〜3個の炭素原子をもつものである。
最も好ましい化合物はトリエタノールアミンである。
【0022】
PIPAポリオールの製造に用いられるポリイソシアネートは、下記のものから選択できる:ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);場合により3以上のイソシアネート官能価を有するその相同体を含む(そのような相同体を含むそのようなジイソシアネートは、粗製MDIもしくはポリマーMDI、またはそのような粗製ポリマーMDIとMDIの混合物として知られる)、および場合によりそのような相同体を含むジフェニルメタンジイソシアネートの修飾変異体。
【0023】
使用されるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、下記のものから選択できる:4,4’−MDI、2,4’−MDI、4,4’−MDIおよび2,4’−MDIならびに10重量%未満の2,2’−MDIの異性体混合物、ならびにその修飾変異体であって、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、尿素および/またはビウレット基を含むその修飾変異体。好ましいものは4,4’−MDI、4,4’−MDIおよび2,4’−MDIならびに10重量%未満の2,2’−MDIの異性体混合物、ならびに少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%のNCO含量をもつウレトンイミンおよび/またはカルボジイミド修飾MDI、ならびに過剰のMDIとポリオールの反応により得られる、最高1000の分子量をもち、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%のNCO含量をもつウレタン修飾MDI。
【0024】
3以上のイソシアネート官能価を有する相同体を含むジフェニルメタンジイソシアネートは、いわゆるポリマーMDIまたは粗製MDIである。
ポリマーMDIまたは粗製MDIは当技術分野で周知である。それらは、アニリンとホルムアルデヒドの酸縮合により得られるポリアミン混合物のホスゲン化により製造される。
【0025】
ポリマー混合物およびポリイソシアネート混合物の製造は共に周知である。アニリンとホルムアルデヒドを強酸、たとえば塩酸の存在下で縮合させると、ジアミノジフェニルメタンをより高い官能価のポリメチレンポリフェニレンポリアミンと一緒に含有する反応生成物が得られる。その厳密な組成は、既知のように特にアニリン/ホルムアルデヒド比に依存する。ポリイソシアネートはポリアミン混合物のホスゲン化により製造され、種々の割合のジアミン、トリアミンおよびより高級のポリアミンから、関連割合のジイソシアネート、トリイソシアヌレートおよびより高級のポリイソシアネートが生成する。そのような粗製またはポリマーMDI組成物中のジイソシアネート、トリイソシアヌレートおよびより高級のポリイソシアネートの相対割合が、組成物の平均官能価、すなわち分子当たりのイソシアネート基の平均数を決定する。出発物質の割合を変更することにより、ポリイソシアネート組成物の平均官能価を、2よりわずかに高いものから3またはさらに高いものまで変更できる。しかし、実際には平均イソシアネート官能価は好ましくは2.3〜2.8である。これらのポリマーまたは粗製MDIのNCO価は、少なくとも30重量%である。ポリマーまたは粗製MDIは、ジフェニルメタンジイソシアネートを含有し、残部は2より大きい官能価をもつポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、およびポリアミンのホスゲン化によるそのようなポリイソシアネートの製造中に形成された副生物である。そのような粗製またはポリマーMDIのさらに修飾された変異体であって、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、尿素および/またはビウレット基を含むものも使用できる;特に前記のウレトンイミンおよび/またはカルボジイミド修飾されたものならびにウレタン修飾されたものが好ましい。ポリイソシアネートの混合物も使用できる。
【0026】
本発明によるポリオール組成物は、ポリイソシアネートと化合物2を化合物1中で反応させることにより製造される。添加の順序は変更できるが、好ましくは化合物2をまず化合物1に添加し、続いてポリイソシアネートを添加する。ポリイソシアネートの使用量は、イソシアネート基(NCO基)の数が化合物2中のヒドロキシ基(OH基)の30〜100%、好ましくは40〜80%となる量である。ポリイソシアネートと化合物2の量を合わせたものが、化合物1中の粒状物質の目的量を反映する:25重量%の粒状物質を含むポリオールを製造したい場合、ポリイソシアネートと化合物2の量は合わせて全組成物(化合物1+化合物2+ポリイソシアネート)の25重量%である。粒状物質の量は、好ましくは5〜60重量%である。
【0027】
成分を混和して、反応させる。成分の混和は周囲温度または高められた温度で混合することにより実施できる。この反応は発熱性であるので、いったん反応が開始すると、それ以上の加熱は必要ない;特に反応の終了時にはしばしば冷却が望ましい。
【0028】
好ましい方法は下記の方法である:
−化合物2を化合物1中に40〜100℃の温度で高剪断混合条件下に乳化し、
−こうして形成されたエマルションに、温度を60〜150℃に維持し、かつ高剪断混合条件を維持しながら、ポリイソシアネートを徐々に添加し、
−すべてのポリイソシアネートの添加後に得られた反応混合物を、温度を60〜130℃に維持しながらさらに10分ないし2時間反応させ、
−高剪断混合を停止し、そして場合により
−こうして得られたポリオールを周囲温度に冷却させる。
【0029】
本発明によるPIPAポリオール組成物の粘度を低下させるために、そのようなポリオール組成物の製造に際して少量の水を使用することが好ましい。
一般に、その量はポリオール組成物の全量に対して計算して0.1〜5重量%、好ましくは同じ基準で計算して0.1〜2重量%である。水は任意の段階で添加できるが、好ましくは化合物2に、または化合物1と2の混合物に添加される。したがって本発明の1態様においては、NCO基の数が化合物2中のOH基の30〜100%、好ましくは40〜80%となる量のMDIポリイソシアネートを用いて本発明によるポリオール組成物を製造する際に、0.1〜5重量%の水を使用する。他の態様においては、500以上の平均当量を有するポリオール中に分散した形の粒状物質を含むポリオール組成物であって、粒状物質の量がポリオール組成物全体に対して計算して1〜80重量%の量であり、組成物が25℃で1500〜25000mPa・sの粘度を有するものを、前記のポリオール中で、最高400の平均当量を有するポリオール、ジフェニルメタンジイソシアネート(場合により、3以上のイソシアネート官能価を有するその相同体および/または該ポリイソシアネートの修飾変異体を含む)、およびポリオール組成物全体に対して計算して0.1〜5重量%の水を反応させることにより製造し、その際、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%、好ましくは21〜45重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある。前記の好ましい態様は、この方法にも適用される。
【0030】
本発明によるPIPAポリオールは、ポリイソシアネートと本発明によるポリオール組成物または本発明によるブレンドを発泡剤の存在下で反応させることを含む、軟質ポリウレタンフォームの製造に有用である。
【0031】
特にスラブ材ポリウレタンフォームおよび成形した軟質ポリウレタンフォームを、前記のPIPAポリオールから製造できる。本発明のポリオールは、「滲み通り」が少ないので、いわゆる布帛内フォームまたは現場注入成形品の製造に特に有用である。
【実施例】
【0032】
キャリヤーポリオールとしてのDaltocel F428(Huntsman Polyurethanes)、トリエタノールアミン(TFLA、純度99%)およびSuprasec 2020(Huntsman Polyurethanes)を用いて、PIPAポリオール1を製造した。Daltocel F428は、3の公称官能価、約15重量%のEO−ティップ含量、および28mg KOH/gのOH価をもつ、PO−EOポリオールである。
【0033】
Suprasec 2020は、29.5%のNCO価をもつウレトンイミン修飾されたポリイソシアネートである。DaltocelおよびSuprasecは、Huntsman International LLCの商標である。PIPAポリオールは、WO00/73364に従って固形分48重量%で製造された。
【0034】
PIPAポリオール2は下記に従って製造された:30kgのポリオール2と6.92kgのTFLAを、高剪断混合下で30分間ブレンドした。次いで13.08kgのSuprasec 2020を60分間かけて、温度を120℃に維持しながら高剪断混合下で徐々に添加した。ポリイソシアネートの添加が完了した後、分散液の撹拌をさらに60分間続け、その間に混合物を90℃に冷却した。混合を停止し、分散液を周囲温度に放冷した。得られたPIPAポリオール2は25℃で8800mPa・sの粘度、40重量%の固形分をもち、すべての粒子が10μm未満の粒径をもっていた(粘度、固形分および粒径は、前記に従って測定された)。ポリオール2は、55−16/14−15の分布(重量%)および28mgKOH/gのOH価をもつ、PO−PO/EO−EOタイプのグリコール開始ポリオールである。
【0035】
前記で製造したPIPAポリオール1および2を用いて、下記の成分(量は重量部、pbwである)から軟質ポリウレタンフォーム(自由発泡品および成形品)を製造した;表1を参照。ポリイソシアネート以外のすべての成分を、ポリイソシアネートと接触させる前に互いに予備混合した。フォームの物理的特性を表2に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
PIPAポリオール3を下記に従って製造した:2.4kgのポリオール3と0.554kgのTFLAを高剪断混合下で15分間ブレンドした。次いで、温度を120℃に維持しながら高剪断条件下で60分間かけて徐々に1.046kgのSuprasec 2020を添加した。イソシアネートの添加が完了した後、分散液の撹拌をさらに60分間続け、その間に混合物を90℃に冷却した。次いで混合を停止し、分散液を周囲温度に放冷した。PIPAポリオール3は25℃で7100mPa・sの粘度、40重量%の固形分をもち、すべての粒子が10μm未満の粒径をもっていた(すべて前記に従って測定された)。ポリオール3は、55−23/7−15の分布(重量%)および30mgKOH/gのOH価をもつ、PO−PO/EO−EOタイプのグリコール開始ポリオールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
500以上の当量を有するポリオール中に、ポリオール組成物全体に対して計算して1〜80重量%の量の分散した形の粒状物質を含むポリオール組成物であって、組成物は25℃で1500〜25000mPa・sの粘度を有し、粒状物質は最高400の当量を有するポリオールとジフェニルメタンジイソシアネート(場合により、3以上のイソシアネート官能価を有するその相同体および/または該ポリイソシアネートの修飾変異体を含む)との反応生成物を含み、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある、ポリオール組成物。
【請求項2】
イソシアネート基の数が、最高400の当量を有するポリオール中のヒドロキシ基の数の30〜100%である、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
粒状物質の量が5〜60重量%である、請求項1または2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
500以上の当量を有するポリオールがタイプPO−EO/PO−EOのものであって、その最初のPOブロックが20〜90重量%のPO単位を含み、最高400の当量を有するポリオールがアルカノールアミンであって、そのアルカノール基がそれぞれ2〜6個の炭素原子を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
少なくとも90容量%の粒子が10μm以下の粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオール組成物1〜99重量部(pbw)、および組成物の製造に用いたもの以外の、500以上の平均当量を有するポリエーテルポリオール1〜99pbwのブレンド。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオール組成物の製造方法であって、ポリイソシアネートと最高400の当量を有するポリオールを、500以上の当量を有するポリオール中で反応させ、その際、500以上の当量を有するポリオールはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであり、存在するオキシアルキレン基全体に対して計算して15〜49重量%のオキシエチレン含量を有し、該オキシエチレン基のうち20〜80%はポリマー鎖の末端にある方法。
【請求項8】
1)最高400の当量を有するポリオールを、500以上の当量を有するポリオール中に60〜100℃の温度で高剪断混合条件下に乳化し、2)こうして形成されたエマルションに、温度を60〜130℃に維持し、かつ高剪断混合条件を維持しながら、ポリイソシアネートを徐々に添加し、3)すべてのポリイソシアネートの添加後に得られた反応混合物を、温度を60〜130℃に維持しながらさらに10分ないし2時間反応させ、4)高剪断混合を停止し、そして場合により5)こうして得られた、粒状物質を分散した形で含むポリオールを周囲温度に冷却させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ポリオール組成物の全量に対して計算して0.1〜5重量%の量の水を使用する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ポリイソシアネートと請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオール組成物または請求項6に記載のブレンドを反応させることを含む、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2011−6698(P2011−6698A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202079(P2010−202079)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【分割の表示】特願2006−505493(P2006−505493)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】