説明

POS端末装置

【課題】複数の業務モードで動作し、その業務モードに応じて適切な空冷を行うことが可能な、POS端末装置を提供すること。
【解決手段】本体内に配設され動作することにより温度が上昇する複数の電気回路部と、所定の業務モードに応じて主に動作する前記複数の電気回路部の一部に向けて送風する送風風向装置と、を備えてなることを特徴とするPOS端末装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の業務モードを有するPOS端末装置において、適切に空冷を行うPOS端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
POS端末装置では、個別の商品の売買を主としてその商品売買の処理及びネットワークを介してその売買に基づく販売の情報を処理する。
【0003】
このPOS端末装置における処理は、一般に、大きく、商品を中心に処理する「登録」と、それら商品の合計に関する「点検」と、一定の期間についてまとめる「精算」に分けられる。
【0004】
POS端末装置内には、当然これらの各処理を行う構成部品が内蔵されている。従来はどの部位も一様に、あるいは、一般的に高温になる部位を中心に空気を当てて冷却を行っていた。また、各部位の温度を測定して送風をその方向に変えることもなされていた。
【0005】
しかし、その現在行っている処理に応じて稼働する部分が異なり、各処理の段階で高温になる部位も異なる。それゆえ、必ずしも適切な空冷が行われず、冷却のために電気を浪費する場合も多かった。温度を測定してその方向に向けて空気を当てる場合もその部位の温度が高くなり相当の時間が経過してからでないと、適切な空冷がなされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−48917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、複数の業務モードで動作し、その業務モードに応じて適切な空冷を行うことが可能な、POS端末装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、本体内に配設され動作することにより温度が上昇する複数の電気回路部と、所定の業務モードに応じて主に動作する前記複数の電気回路部の一部に向けて送風する送風風向装置と、を備えてなることを特徴とするPOS端末装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係るPOS端末装置の構成図である。
【図2】この実施形態のPOS端末装置における空調装置の構成例を示す図である。
【図3】この実施形態における空調装置の動作を説明するための図である。
【図4】この実施形態において、業務モードに対する風向領域を示す表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1に、一実施形態の空調装置の構成例を示す。このPOS端末装置10は、販売商品の種類、価格などを入力する入力部11と、入力された商品の価格合計金額などの演算を行う演算部12と、演算部12において演算された商品の登録を行う商品販売登録部13と、販売された商品のデーを記憶する販売データ記憶部14と、販売された商品名、その価格、合計金額などの表示を行う表示部15と、表示部15の表示面上に表示された商品名、その価格、合計金額などをプリントするプリンタ16と、このプリンタ16を制御するプリンタ制御部16cと、これら各部の制御部などを全体として制御する全体制御部17と、後述する登録、点検、精算等のモードの切替を全体制御部17に指示するモード切替部18を備える。
【0011】
入力部11は、商品に付されているバーコードやQRコードを読み取ったり、文字認識により文字を認識し、あるいはテンキーにより手入力などを行うところである。入力部は、例えば、手持ち式のバーコードスキャナやPOS端末に組み込まれて形成される読取スキャナ、据置式の読取スキャナ、CCDカメラ、又はキーボード等である。モード切替部18はこのPOS端末装置を使用するユーザがどの業務を行うかにより切り替えられる。
【0012】
全体制御部17は、入力部11、演算部12、商品販売登録部13、販売データ記憶部14、表示部15、プリンタ制御部16c等を制御する。
【0013】
入力部11にて入力され商品の種類、商品名、商品の価格、合計金額等は演算部12に送られて演算され、表示部15に送られて表示される。演算部12において演算された結果や表示部15に表示された結果は、必要に応じてプリンタ16に送られプリントされる。
【0014】
一方、演算部で演算された商品の種類、商品名、その価格等は商品販売登録部13に登録される。商品販売登録部13に登録された情報は必要に応じて、販売データ記憶部14に記憶される。
【0015】
演算部12及び全体制御部17は、POS端末装置本体内のA領域に配設され、商品販売登録部13及び販売データ記憶部14はB領域に配設され、プリンタ制御部16cはC領域に配設されている。これらは各々は電気回路部を構成し、POS端末装置の本体内に設けられており、動作すると温度が上昇する。
【0016】
次に、モード切替部18により、切り替えられる、業務モードについて説明する。切り替えられる業務モードとして、例えば主に登録、点検、精算の3つがある。
【0017】
登録モードで行われる業務は、個々の商品販売時に行われる業務であり、例えば、商品に付されたバーコードを入力部であるスキャナ等により読み取り、販売された商品の販売価格や販売点数等を記憶し、かつ合計金額等の計算を行い、その結果を登録し販売データを記憶させる業務である。点検モードで行われる業務は、中間的に商品販売の状況を見る業務であり、業務であり、上記登録業務により記憶させた販売データである売上金額、売上点数等を合計して点検レポートデータを編集し、このデータを印字又は表示する業務モードである。
【0018】
また、精算モードで行われる業務は、一定期間の終わり、例えば1日の業務終了時にそれまでの累積された結果、即ち売上合計金額、売上合計点数などを算出し、それまでに記憶されていたデータをクリアして終える業務であり、通常それまでの販売データをプリントして出力する。1日の販売データを図示しないネットワークを介して中央の販売データ蓄積サーバに送ることもある。
【0019】
いずれの業務モードでも、必要に応じて表示部15の表示画面上にそれらの結果を表示し、あるいはその結果を、プリンタ制御部16cにより制御されるプリンタ16に出力してプリントする。
【0020】
この実施形態における空調装置の構成を図2に示す。この空調装置20は、送風装置21と、この送風装置21を駆動する送風モータ22と、送風装置21から出た風を受けてその方向(風向)を変える可動翼23と、図1に示したモード切替部18のモード指示制御信号を受けて可動翼23の翼の向きを変えることにより出力する風の方向を変える翼偏向制御部24と、A領域、B領域、C領域の各々に設けられた温度センサ25A,25B,25Cと、これらの温度センサで検知された温度を無線又は有線により入力する検知温度比較部26とを備える。
【0021】
送風装置21と、送風モータ22と、可動翼23及び翼偏向制御装置24は、送風を行いその風向を変える、送風風向装置を形成する。
【0022】
モード切替部18は、上記3つの業務モードのいずれかのモードを、モード制御信号として図1に示す全体制御部17に与えると共に、図2に示す翼偏向制御部24にも与える。
【0023】
翼偏向制御部24では、上述の各モードでどの領域に送風するかを予め決めておく。この業務モードと風向を行う領域の関係の例を図4に示す。このテーブルを翼偏向制御部24に記憶させておく。翼偏向制御部24は各モードに従ってまず、その領域に送風するように、可動翼を動かす。例えば、登録モードでは個々の商品販売における処理が主であり、演算部12が最大に稼働しこの部分が高い温度になると考えられるので、このモードの時には、演算部12が配設されているA領域に向けて送風する。
【0024】
次に、点検モードの時には、商品販売登録部13に登録された販売データを合計し販売データ記憶部14に記憶する。このとき演算部12も動作するが、商品販売登録部13と販売データ記憶部14が最大に動作しこれらの温度が上がると考えられるので、このモードの時には、商品販売登録部13と販売データ記憶部14が配設されているB領域に向けて送風する。
【0025】
更に、精算モードの時には、通常、例えば1日の終わりにプリントがなされるので、プリンタ制御部16cの温度が高くなると思われるので、プリンタ制御部16が配設されているC領域に向けて送風する。このように翼偏向制御部24は、モード切替部18から受けたモード制御信号に応じて可動翼23を回動させて、A領域、B領域、C領域に送風するように動作する。このモードと送風方向の対応関係の設定は予め、翼偏向制御部24に記憶させておく。送風を行う領域に応じて風量を変えることも可能である。
【0026】
但し、常に各モードに対してそれら設定された方向に送風することが適切とは限らない。各モードにおいても、通常行われる処理だけでなく、その他の処理も行われるので、例外的に予め予測した領域以外の領域の温度が高くなることがある。例えば点検モードにおいて、多くのデータのプリントがなされると、B領域よりもプリンタ制御部が配設されているC領域の温度が高くなることがある。
【0027】
そこで、各領域には、温度センサ25A,25B,25Cが設けられている。これらの温度センサはその領域内で例えば、平均的な温度となる部位、や最も温度が高くなる部位に設けておく。これらの温度センサ25A,25B,25Cにより検知された温度Ta,Tb,Tcは、検知温度比較部26において互いに比較され、各A領域,B領域,C領域で温度が最も高くなった領域の温度Tmが検知される。この最も高い温度Tmは検知温度比較部26において予め定められた基準温度Tsと比較される。いずれかの領域の最も高い温度Tmがこの基準温度Tsよりも高くなった時には、その制御信号が翼偏向制御部24に送られる。翼偏向制御部24はこの制御信号を受けて可動翼23を回動させて、その領域に送風する。いずれかの領域の最も高い温度Tmがこの基準温度Tsよりも高くなったとき、その温度差に応じて風量を大きくするようにすることも可能である。この場合には、送風モータ22の回転数を上げて、送風装置から送られる風量を大にすることができる。
【0028】
次にこの実施形態の、特に空調に関する動作を図3に示すフローチャートにより説明する。まずステップS301で、モード切替部18から業務モードの指示があったか否かを検知する。
【0029】
モード切替部18からモード指示制御信号は、図1に示す全体制御部17に送られる。上述のように、例えば登録モードでは、入力部11から入力された、販売商品に関する数値などの情報が入力され、演算部12で演算されて商品販売登録部13に記憶される。
【0030】
モード指示制御信号は、図2に示す翼偏向制御部24にも送られる。登録モードでは、翼偏向制御部24は可動翼を回動させて送風をA領域に向けて行う。
【0031】
また、点検モードでは、商品販売登録部13から、あるいは演算部12において更に演算されて販売商品に関する情報が販売データ記憶部14に記憶され、必要に応じてそのデータが表示部15に表示されあるいは、プリンタ16でプリントされる。この点検モードでは、そのモード指示制御信号を受けた翼偏向制御部24は、可動翼を回動させてB領域に向けて送風を行う。
【0032】
更に、精算モードでは、例えば1日の終わりに、1日間のデータが販売データ記憶部14等から読み出され演算部12で演算されて、プリンタ16でプリントされる。
【0033】
このとき、モード指示制御信号は、モード切替部18から全体制御部17に送られると共に、翼偏向制御部24にも送られており、可動翼を回動させてC領域に向けて送風を行う。ステップS302ではこのように、各業務モードに応じて送風する領域を変える。
【0034】
次のステップS303では、図2に示す温度センサ25A,25B,25Cによって各領域の温度を検知し、それらの検知温度Ta,Tb,Tcは検知温度比較部26に送られる。
【0035】
ステップS304では、それら検知温度を比較しそのうちの最も高い温度が検知される。この温度をTmとすると、ステップS305ではこの最も高い検知温度Tmが予め定められた基準温度Tsより高くなったかを検知し、その場合には、その旨及びその領域を示す制御信号が翼偏向制御部24に送られる(ステップS306)。これに対応して、ステップS307では、翼偏向制御部24は、可動翼23を回動させて、当該領域に向けて送風を行う。
【0036】
例えば登録モードであって、最初、A領域に向けて送風されていたが、温度センサ25Bにより検知された温度Tbが高くなり基準温度Tsを越えた場合には、翼偏向制御部24は、可動翼23を回動させて、B領域に向けて送風を行う。
【0037】
他の業務モードのときにも同様にして、各領域に設けられている温度センサ25A,25B,25Cにより各検知温度が基準温度Tsよりも高い温度になったことが検知されると、送風をその領域に向けて行う。
【0038】
次のステップS308では、当該領域の温度が基準温度Tsよりも低くなったかが検知される。当該領域の温度が基準温度Tsよりも低くなった(S308;Y)では、ステップS301に戻り、ステップS302において、指示された業務モードに応じた領域に向けて送風が行われる。
【0039】
当該領域の温度が基準温度Tsよりも低くなっていない場合(S308;N)には、ステップS307においてその領域に向けて送風を継続する。そしてステップS308において当該領域の温度が基準温度Tsより低くなった場合には、ステップS301に戻り、業務モードに応じた所定領域への送風が行われる。
【0040】
このようにして、予め業務モードに応じて風向の領域を決めておくと共に、各領域に温度センサを設けて温度を検知し、各領域の温度が所定の基準温度よりも高くなった時には、その領域に向けて風を送る。
【0041】
この実施形態によれば、業務モードに応じて空気による冷却を行うと共にこの冷却では適当でない場合にも適切に冷却を行うことが可能となる。
【0042】
上記実施形態では、登録、点検、精算の各モードに対して、図4に示すように風向の領域を1つに決めたが、これに限られない。例えば登録モードでは、A領域とC領域に向けて風向し、点検モードではA領域とB領域に向けて風向するようにすることも可能であり、図4の表とは全く異なるように風向を決めてもよい。
【0043】
上記実施形態では、各業務モードに対して風向領域を予め決めておき、各領域の温度を検知してそれら各領域の温度が基準温度より高くなった場合には、その領域に向けて風を送るようにしていた。しかし、各領域の温度検知及びこれに基づく風向の変更は必ずしも必要でない。このように業務モードに応じて風向領域を決めると、各領域の温度を検知する温度センサが不要となり、構成が簡単になる利点がある。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10・・・・POS端末装置、
11・・・・入力部、
12・・・・演算部、
13・・・・商品販売登録部、
14・・・・販売データ記憶部、
15・・・・表示部、
16・・・・プリンタ、
16c・・・プリンタ制御部、
17・・・・全体制御部、
18・・・・・モード切替部、
20・・・・空調装置、
21・・・・送風装置、
22・・・・送風モータ
23・・・・可動翼、
24・・・・翼偏向制御部、
25A、25B,25C・・・・温度センサ、
26・・・・検知温度比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に配設され動作することにより温度が上昇する複数の電気回路部と、
所定の業務モードに応じて主に動作する前記複数の電気回路部の一部に向けて送風する送風風向装置と、
を備えてなることを特徴とするPOS端末装置。
【請求項2】
前記送風風向装置は、前記本体内設けられ、送風を行う送風装置と、この送風装置を駆動する送風モータと、前記送風装置から送風される風の方向を変える可動翼と、この可動翼を制御する翼偏向制御部とを有することを特徴とする請求項1記載のPOS端末装置。
【請求項3】
前記業務モードは、商品の販売に関してその商品の種類、商品名、商品価格を登録する登録モードと、この登録モードにより登録された商品の販売データを記憶しそのデータを所定の時点で表示又はプリントする点検モードと、一定期間の終わりとして前記販売データの合計をプリントする精算モードとを有することを特徴とする請求項1又は2記載のPOS端末装置。
【請求項4】
前記複数の電気回路部は、入力された商品の種類、商品名、商品価格からその商品の合計点数、合計金額を演算する演算部と、
この演算部で演算された商品を登録する商品登録部と、
この商品登録部で登録された商品の販売データを記憶する販売データ記憶部と、
この販売データ記憶部に記憶された販売データをプリントするプリンタに接続されるプリント制御部と、
これら全体を制御する全体制御部と、
を前記本体内に設けられ、
前記業務モードに応じて前記演算部、前記商品登録部、前記販売データ記憶部、前記プリント制御部、前記全体制御部の1つまたは複数に向けて前記送風風向装置の風向を変えることを特徴とする請求項3記載のPOS端末装置。
【請求項5】
前記登録モードでは、前記送風風向部は前記演算部及び全体制御部に向けて送風を行うことを特徴とする請求項4記載のPOS端末装置。
【請求項6】
入力された商品の種類、商品名、商品価格からその商品の合計点数、合計金額を演算する演算部と、
この演算部で演算された商品を登録する商品登録部と、
この商品登録部で登録された商品の販売データを記憶する販売データ記憶部と、
この販売データ記憶部に記憶された販売データをプリントするプリンタに接続されるプリント制御部と、
これら全体を制御する全体制御部と、
送風を行いその送風される風の向きを変える送風風向装置と、
を前記本体内に設けられ、
前記送風風向装置は、業務モードに応じて、前記演算部、前記商品登録部、前記販売データ記憶部、前記プリント制御部、前記全体制御部の1つまたは複数に向けて送風することを特徴とするPOS端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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