説明

PTH断片含有化粧品

化粧品および/または医薬品を製造するための、または化粧期間中に、内因性または外因性皮膚劣化に対して皮膚および人毛を処置するための、および劣化した外観を防止するための、構造式:R1-NH-AA-R2〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、およびAAは、PTH領域(28〜34)に対応する配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応する〕で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片および/またはペプチド断片の誘導体および/またはペプチド断片の塩の使用を提案する。さらに、構造式:R1-NH-AA-R2〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、およびAAは、PTH領域(28〜34)の配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応し、ただし、R2が-OHとは異なる場合のみ、R1はHであり、またはR2がOHである場合、R1はHとは異なる〕で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片の誘導体を含有する化粧品を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副甲状腺ホルモンPTHの断片を含有する化粧品に関する。また、本発明は、化粧品または医薬品の適用分野における、副甲状腺ホルモンPTHのペプチド断片を含有する化粧品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、化粧品は、非常に多くの組合せで消費者に利用可能である。したがって、それらの化粧品は、特別な有利な効果を有するか、または所定の欠陥を治療することが期待されているばかりでなく、ますます、その製品には、同時に複数の特性を有し、したがって、より広い範囲の有効性を有することが期待されている。化粧品の技術的特性、例えば、保存安定性、耐光性およびそれらを処方するための容量に正の影響を与えるもの、および同時に皮膚および/または毛髪に対して、例えば、有利な抗刺激性および抗炎症性および/または光保護性を与える有効成分を有するもの。ここで、顧客は、製品が表皮によく許容されること、および特に、天然物が使用されることをさらに要求している。
環境の有害な影響に対して皮膚を有効に保護することが必要である。
【0003】
非常に多くのアミノ酸を有するペプチド、例えば、完全な副甲状腺ホルモンPTH(84個のアミノ酸)またはPTH断片(1〜34)などを含有する化粧品は、使用できないか、部分的にしか使用できず、そのタイプのペプチドの製造は、非常に費用がかかり、工業スケールでは困難であった。
【0004】
国際公開WO 00/40611および国際公開WO 00/04047において、化粧品および皮膚科学におけるペプチドの使用が、局所適用を有する減量製品に関して記載されている。それらのペプチドは、アデニル酸シクラーゼ膜の活性に対して脂肪分解活性を示す。副甲状腺ホルモンPTHの特別な断片は、活性ペプチドとして記載されている。これらは、PTH(1〜6)、PTH(1〜10)およびPTH(9〜19)であり、好ましくはPTH(12〜16)およびPTH(12〜14)である。
【0005】
PTH領域(28〜34)Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-Pheは、ROS17/2ラットの骨肉腫細胞中のタンパク質キナーゼC(PKC)の刺激物質として分類することができる[Jouishomme H.ら、副甲状腺ホルモンのタンパク質キナーゼC活性化ドメイン、Endocrinology 130:53〜60頁、1992年]。同じ研究グループは、PKCの活性化に完全に機能する位置のPTHの最小ドメインは、領域29〜32(Gln-Asp-Val-His)に相当すること、および極性アミノ酸Hisを非極性酸Leuに交換することは、PKCの活性化に負の影響を与えないことを発見した(Jouishommeら、副甲状腺ホルモンのタンパク質キナーゼC活性化ドメインのさらなる定義、J. Bone miner Res. 9:943〜9頁、1994年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本特許出願の目的は、環境の攻撃的な効果、酸化ストレス、有害物質または紫外線に対する、皮膚、頭皮、粘膜および/または毛髪の保護を与え、そして、皮膚の老化の遅延および癒しに特に貢献し、したがって、局所適用の化粧品および皮膚薬理学に有効に使用することができる、化粧品を提供することであった。
【0007】
本発明の別の目的は、できるだけ短く、かつ、有効なペプチド断片またはペプチド断片の誘導体を含有する、上記プロファイルを有する化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、配列表の配列番号1に対応するPTHのペプチド断片(28〜34)または配列表の配列番号1の2〜5位に対応するペプチド断片(29〜32)(Gln-Asp-Val-His)を含有する化粧品が上記要件を満たすことを発見した。
【0009】
(本発明の説明)
したがって、本出願の第1の目的は、化粧品および/または医薬品を製造するための、または化粧期間中に、内因性または外因性皮膚劣化に対して皮膚および人毛を処置するための、および劣化した外観を防止するための、構造式:
R1-NH-AA-R2
〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、
R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、および
AAは、PTH領域(28〜34)(Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-Phe)に対応する配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応し、特に配列表の配列番号1の2〜5位に対応するPTH領域(29〜32)(Gln-Asp-Val-His)に対応する〕
で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片および/またはペプチド断片の誘導体および/またはペプチド断片の塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
残基R1は、好ましくはアセチル基、エタノイル基、プロピオニル基、ブタノイル基、デカノイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレイル基、リポイル基、リノレイル基または共役リノレイル基によって形成される群から選択され、特に好ましくはアセチル基である。
【0011】
ステロール基は、好ましくはコレステロール、スチグマステロール、シトステロール、ブラシカステロールまたはスフィンゴ脂質を含み、該基は、官能基、例えば、二酸(例えば、コハク酸)によって結合している。
【0012】
R2がステロール基を示す場合、それは好ましくはコレステロール、スチグマステロール、シトステロール、ブラシカステロールまたはスフィンゴ脂質によって形成される群から選択される。
【0013】
配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応するアミノ酸配列AAは、好ましくはPTH領域(29〜32)(Gln-Asp-Val-His)に対応する配列表の配列番号1の2〜5位であり、または好ましくはpGlu-Asp-Val-Hisから構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、R1は、Hまたはアセチル基を示し、R2は、OHであり、ここで、同様に、AAがPTH領域(29〜32)に対応する配列表の配列番号1の2〜5位を示すことが特に好ましい。
【0015】
本発明の別の特定の実施態様において、配列表の配列番号1または好ましいPTH領域(29〜32)に対応する配列表の配列番号1の2〜5位のアミノ酸配列は、置換されていてもよく、Hisは、Leu、Ile、Nle(ノルロイシン)、Met、Val、Ala、TrpまたはPheを含んでなる群から選択されるアミノ酸によって置換されていてもよい。
【0016】
本発明によれば、ペプチド断片は、化学的または酵素的合成によって、および微生物、植物または動物の配列表の配列番号1の配列を含有する天然タンパク質の制御加水分解によって得られる。天然タンパク質の加水分解によって得られた配列表の配列番号1または少なくともPTH領域(29〜32)に対応する配列表の配列番号1の2〜5位の配列を含有する加水分解物は、既知の手法、例えば、膜ろ過、クロマトグラフィーまたは免疫沈降によって精製することができる。また、該ペプチド断片は、生まれつき該ペプチド断片を形成するか、あるいは、必要に応じて、遺伝子組み換えされ得る、または、本発明のペプチド断片を形成する発酵条件による発酵の間に他の手段によって操作される、微生物によって製造することができる。
アミノ酸は、ペプチド断片中、L型もしくはD型またはDL型で製造され得る。
【0017】
好ましい実施態様において、本発明のペプチド断片、ペプチド断片の誘導体および/または塩を使用して、しわの形成と闘うのに、およびしわの後に残される痕跡を低減するのに、または真皮および/または真皮/表皮接合(DEJ)を強化するのに、または皮下組織のセルライトの現象を低減するのに、または癒しを促進するのに、またはヒト皮膚の劣化によりもたらされる細胞数の低減と闘うのに、または毛細血管の再生を刺激および/または再生して毛髪の脱落と闘うのに有効な調製物を製造する。
【0018】
ペプチド断片および/または断片の誘導体および/または断片の塩は、好ましくは、本発明にしたがって、TGFβ1タンパク質(形質転換増殖因子)および/またはTGFβ1に対して生物学的応答を起こす細胞表面に存在する受容体の製造を刺激するのに、またはmRNAおよび細胞外マトリックスのタンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチンまたはプロテオグリカン(例えば、ルミカンおよびシンデカン))の製造を刺激するのに、または炎症と闘うのに有効な調製物の成分として使用される。
【0019】
ペプチド断片および/または断片の誘導体および/または断片の塩は、好ましくは、本発明にしたがって、mRNAおよび/またはタンパク質(例えば、パーレカン、トロンボスポンジン、ナイドジェンまたはインテグリン)の製造を刺激するのに、または細胞外マトリックスの分解に関与するタンパク質(例えば、MMP2および/またはMMP9)の割合を調節するのに、および/またはTIMP(メタロプロテイナーゼの組織阻害剤)の発現を制御するのに有効な調製物の成分として使用される。
【0020】
遺伝子組み換えの引き金となる内性因子、または環境条件によって条件付けられる外性因子、例えば、紫外線、酸化ストレス、毒性汚染物質は、皮膚の早過ぎる老化を導き、および皮膚老化(例えば、しわなど)の発生を増大させる。
しわの後に残される痕跡の低減は、しわの深さおよびしわの長さの両方に関係する。
【0021】
老化により誘導された皮膚の変性は、4つのタイプの高分子:コラーゲン、エラスチン、糖タンパク質およびプロテオグリカンから構成される細胞外マトリックスの変性に起因する、真皮および表皮層の厚みの低減を特徴とする。これらの変性は、ケラチノサイトおよび線維芽細胞の増殖の低減、および細胞外マトリックスのタンパク質の製造の低下、および該マトリックスの分解に関与する酵素であるメタロプロテイナーゼ(MMP)の合成の増大に起因する。
【0022】
化粧品および/または医薬品の成分として、配列表の配列番号1の、好ましくはドメインPTH(29〜32)と等価である配列表の配列番号1の2〜5位と等しい、副甲状腺ホルモンのペプチド断片および/またはペプチド断片の誘導体および/またはペプチド断片の塩を使用することにより、ヒトの老化した皮膚細胞の数を効率的に増大させ、およびmRNAおよびタンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン)の製造を効率的に刺激する調製物を得ることができる。また、これらの調製物は、真皮-表皮接合の合成に関与し、およびマトリックス分解酵素(例えば、MMP2および/またはMMP9)の制御および/またはTIMPの制御に関与し得る、パーレカン、トロンボスポンジン、ナイドジェンおよび/またはインテグリンの合成を効率的に刺激する。
別の研究は、真皮/表皮接合が老化または紫外線により変化することを示している。
【0023】
DEJは、表皮およびその従属組織を真皮から分離し、およびヘミデスモソーム、中間径フィラメント、係留フィラメント、緻密層(lamina densa)および係留線維を含む複雑な構造を有する。その場所で主に形成される生物学的成分としては、透明層(lamina lucida)中のラミニン-5;ヘミデスモソーム中の抗原AgBP230およびAgPB180およびプレクチン/HD1;透明層および緻密層中のエンタクチン/ナイドジェンおよびプロテオグリカン、パーレカン;緻密層中のタイプIVコラーゲンおよび半緻密層中の係留線維の成分としてのタイプVIIコラーゲンが挙げられる。全てのこれらの成分は、相互作用ネットワークに関与する。皮膚が劣化する場合、接合の全般的な弱体化が生じ、接合の有効性が低下する。
【0024】
DEJの機能は、健康ばかりでなく、外見の必須条件である。それは、表皮と真皮の下部組織との間の良好な結合を確保し、また、皮膚の弾性および堅さを与え、そして、しわの形成を防止する。したがって、DEJは、一方で表皮と真皮との間の不可欠な分子の循環による皮膚の良好な洗浄を確保し、他方で有害な分子の皮膚のより深い層への侵入を防御する。
【0025】
分子の移動機能における改善を条件として、ケラチノサイトと真皮との間の交換および皮膚の供給が最適化され、したがって、皮膚は、老化に対してばかりでなく、紫外線の有害な影響および環境の有毒な影響に対して保護され、また、より良好な洗浄は、有害な分子に対する防御を強化する。
【0026】
頭皮において、DEJは、毛包を取り囲み、およびその場所で毛包の保護を与え、その結果、その領域でのDEJの強化は、毛髪特性の改善をもたらし、特に毛髪の損失または毛細血管構造の劣化との闘争をもたらす。
【0027】
配列表の配列番号1の副甲状腺ホルモンのペプチド断片および/またはペプチド断片の誘導体および/またはペプチド断片の塩は、好ましくはドメインPTH(29〜32)と等価である配列表の配列番号1の2〜5位と等しく、本発明にしたがって、TGFβ1タンパク質および/またはTGFβ1に対して生物学的応答を起こす細胞表面に存在する受容体の製造を刺激するのに有効な調製物の成分として好ましく使用される。
【0028】
PTHのペプチド断片は、培養したヒト真皮線維芽細胞の増殖を刺激したことを示すことができる。細胞増殖の刺激は、TGFβ1のmRNAおよびタンパク質の製造の増大の結果であり得る。また、細胞表面に位置する潜在的形質転換増殖因子β結合タンパク質またはTGFR3受容体の刺激も実現され得る。
【0029】
増殖因子のなかでも、TGFβ1は、細胞代謝の最も有効な調整剤の一つであり、およびCTGF(結合組織増殖因子)、FGF-2(線維芽細胞増殖因子2)およびマトリックスタンパク質の合成の誘導に関与する。また、増殖因子CTGFおよびFGF-2、ならびに他のマトリックスタンパク質の合成の誘導は、本発明を使用した場合、TGFβ1によって刺激される。
【0030】
TGFβ1は、細胞外マトリックスの皮膚成分(例えば、コラーゲン)の合成を促進することが知られている。そのため、TGFβ1は、真皮の弾性および弾力性を強化し、および皮下脂肪組織の増大によってもたらされるセルライトの出現に対して作用する。さらに、TGFβ1は、多くの機能を有し、および炎症の原因となる細胞の増殖の阻害に貢献することが知られている。炎症の進行は阻害され、およびTGFβ1は、損傷後の炎症を低減し、したがって、より良い癒しに貢献する。
【0031】
本発明の使用は、ペプチド断片またはペプチド断片の誘導体またはペプチド断片の塩を、0.01〜1000ppmの濃度で使用すること、好ましくは0.1〜100ppmの範囲で使用することを特徴とする。
【0032】
使用されるペプチド断片またはペプチド断片の誘導体またはペプチド断片の塩は、好ましくは化粧品および/または医薬品について容認された1以上の溶媒、例えば、水、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ジグリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、またはそれらの溶媒の混合物などで希釈される。
本発明の調製物において、溶媒と共に、他の添加剤および混合剤を使用することができる。
【0033】
〔化粧品、医薬品および/または皮膚科学的調製物〕
本発明の使用は、例えば、シャンプー、毛髪ローション、バス発泡剤、バスシャワー調製物、クリーム、ゲル、ローション、アルコール溶液または水性/アルコール溶液、エマルジョン、脂肪/ワックス材料物質、スティック調製物、粉末または軟膏などの化粧品および/または皮膚科学的調製物の製造を含み得る。また、これらの調製物は、混合剤および添加剤として、穏やかな界面活性剤、脂肪体、乳化剤、真珠光沢ワックス、粘稠剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン含有化合物、脂肪質の物質、ワックス、レシチン、リン脂質、UV保護剤、生体由来物質、抗酸化剤、脱臭剤、発汗防止剤、抗皮膜剤、皮膜形成剤、膨潤剤、防虫剤、日焼け剤、チロシン阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料などをさらに含有していてもよい。
【0034】
〔界面活性剤〕
陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤は、界面活性物質として含有させることができる。媒体中のそれらの割合は、通常1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に10〜30重量%である。
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセリンエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホン酸化脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセリンエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、混合エーテル/ヒドロキシスルフェート、モノグリセリンエーテルスルフェート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、モノおよびジアルキルスルホネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質を有する脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)、および、アルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、それらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキレニルオリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートエステルおよびアミンオキシドエステルである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、それらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクォート(esterquat)、特に第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンのエステルの塩である。
両性または双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
上記した界面活性剤は既知化合物である。
適当な穏やかな界面活性剤(すなわち、特に皮膚に許容されるもの)の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、タンパク質脂肪酸アンホアセタールおよび/または縮合物(好ましくは、コムギタンパク質に基づく)である。
【0035】
〔脂肪体〕
脂肪体としては、例えば、6〜18個(好ましくは8〜10個)の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖状または分枝状C〜C22脂肪アルコールとの直鎖状C〜C22脂肪酸エステル、直鎖状または分枝状C〜C22脂肪アルコールとの分枝状C〜C13カルボン酸エステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルエルケート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートなどが挙げられる。
同様に、分枝状アルコール(特に2-エチルヘキサノール)との直鎖状C〜C22脂肪酸エステル、直鎖状または分枝状C〜C22脂肪アルコールとのC18〜C38アルキルヒドロキシカルボン酸エステル(独国特許公開DE 19 756 377参照;特にジオクチルマレエート)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジオールダイマーまたはトリオールトリマー)および/またはゲルベアルコールとの直鎖状および/または分枝状脂肪酸エステル、C〜C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C〜C18脂肪酸に基づくモノ/ジまたはトリグリセリド混合物、芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのC〜C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールのエステル、1〜22個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのC〜C12ジカルボン酸エステル、植物油、分枝状第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状および分枝状C〜C22脂肪アルコールカーボネート(例えば、ジカプリリルカーボネート;Cetiol(登録商標) CC)、6〜18個(好ましくは8〜10個)の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、直鎖状および/または分枝状C〜C22アルコールとの安息香酸エステル(例えば、Finsolv(登録商標) TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の対称または非対称のジアルキルエーテル(例えば、ジカプリリルエーテル;Cetiol(登録商標) OE)、ポリオールとのエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(特に、シクロメチコーン、ケイ素メチコーン型)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0036】
〔乳化剤〕
乳化剤としては、例えば、下記の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤が挙げられる:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖状脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸への、アルキル基に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、および、例えば、アルキル残基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・アルキル/アルケニル残基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、ならびに、そのエトキシル化等価物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油中にエチレンオキシド1〜15モルを付加した生成物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油中にエチレンオキシド15〜60モルを付加した生成物;
・グリセリンおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を含む不飽和直鎖状または飽和分枝状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、およびエチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ポリグリセリン(平均縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)と、12〜22個の炭素原子を含む飽和および/または不飽和の直鎖状もしくは分枝状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、およびエチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくは、グリセリンまたはポリグリセリン)の混合エステル;
・モノ、ジおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートおよびその塩;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリキシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーまたは対応する誘導体;
・シーケンスポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30 ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichからのPemulen (TR-1、TR-2);
・ポリアルキレングリコール;および
・グリセリンカーボネート。
【0037】
〔エチレンオキシド付加生成物〕
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールおよびヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販品である。これらは同族体混合物であり、中間アルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの物質量の関係に相当する。グリセリンへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品について既知の脂質導入剤である。
【0038】
〔アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド〕
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、その製造およびその使用は、従来技術から既知である。その製造は、グルコースまたはオリゴ糖を8〜18個の炭素原子を含む第一級アルコールで交換することによって行われる。グリコシドの残基に関する限り、モノグリコシド(環状糖の残基がグリコシドによって脂肪アルコールに結合している)ならびにオリゴマーグリコシド(好ましくは8までのオリゴマー化度を有し得る)の両方が適当であると考えられる。したがって、オリゴマー化度は、統計学的中間値であり、それらの工業製品に関して、一般的な同族体分布は、この値に基づく。
【0039】
〔部分グリセリド〕
適する部分グリセリドの代表例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレフィン酸モノグリセリド、オレフィン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、マレイン酸モノグリセリド、マレイン酸ジグリセリド、ならびに、これらの工業用混合物(これらは、製造方法における少量の副生成物のトリグリセリドを含み得る)である。また、上記部分グリセリドへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物も適当である。
【0040】
〔ソルビタンエステル〕
ソルビタンエステルとして考えられるものは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業用混合物である。また、適当な付加生成物としては、上記ソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0041】
〔ポリグリセリンエステル〕
適するポリグリセリンエステルの代表例は、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls(登録商標) PGPH)、ポリグリセリン-3 ジイソステアレート(Lameform(登録商標) TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan(登録商標) GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan(登録商標) PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care(登録商標) 450)、ポリグリセリル-3 蜜蝋(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane(登録商標) NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor(登録商標) GS 32)、ポリグリセリル ポリリシノレエート(Admul(登録商標) WOL 1403)、ポリグリセリル ジメレート イソステアレートおよびこれらの混合物である。他の適するポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パーム酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとの、モノ、ジおよびトリエステルである(所望により、これらをエチレンオキシド1〜30モルと反応させてもよい)。
【0042】
〔陰イオン性乳化剤〕
典型的な陰イオン性乳化剤は、12〜22個の炭素原子を含む脂肪族脂肪酸(例えば、パーム酸、ステアリン酸またはベヘン酸)ならびに12〜22個の炭素原子を含むジカルボン酸(例えば、アゼライン酸またはセバシン酸)である。
【0043】
〔両性および陽イオン性乳化剤〕
さらに、双性イオン性界面活性剤を、乳化剤として使用することができる。双性イオン性界面活性剤として具体的には、分子中に少なくとも1つの第四級アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および/またはスルホネート基を含む界面活性化合物が挙げられる。特に適する双性イオン性界面活性剤は、ベタインであり、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(例えば、ヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(例えば、ヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(いずれの場合もアルキル基またはアシル基に8〜18個の炭素原子を含む)、およびヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。CTFA名称コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のもと既知である脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
同様に適する乳化剤は、両性界面活性剤である。両性界面活性剤は、分子中にC/C18アルキル基および/またはC/C18アシル基、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物を指すことが意図される。適する両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(いずれの場合もアルキル基に8〜18個の炭素原子を含む)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/C18アシルサルコシンである。
最後に、乳化剤として陽イオン性界面活性剤が考えられ、エステルクォート(esterquat)型のもの、好ましくはジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩、特に好ましくはメチルで第四級化したものが挙げられる。
【0044】
〔脂質およびワックス〕
脂質の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセリンエステルから本質的になる固体または液体の動物または植物産物である。
ワックスとしては、特に、天然ワックス、例えば、カンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、アルファ(Alfa)ワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コムギ胚種油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(ドライワックス)、例えば、モンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ジョジョバワックス、ならびに、合成ワックス、例えば、ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが挙げられる。
脂質に加えて、添加剤としては、脂肪に類似した物質、例えば、レシチンおよびリン脂質が挙げられる。用語「レシチン」は、エステル化によって脂肪酸、グリセリン、リン酸およびコリンから形成されるグリセロリン脂質であると当業者に理解されている。レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)と称されることも多い。天然レシチンの例としては、ケファリンが挙げられる。これは、ホスファチジン酸とも称され、1,2-ジアシル-sn-グリセリン-3-リン酸の誘導体である。同時に、リン脂質は、一般のリン酸とグリセリンとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)を指すと理解されており、これは、通常、脂質であると考えられている。同時に、スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も挙げられる。
【0045】
〔真珠光沢ワックス〕
真珠光沢ワックスとしては、例えば、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂質、例えば、合計して少なくとも24個の炭素原子を含む、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドと、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールとの開環生成物;およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0046】
〔粘稠剤および増粘剤〕
粘稠剤としては、まず、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらに、部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。これらの物質と、オリゴアルキルグルコシドおよび/または脂肪酸N-メチルグルカミド(同じ鎖長)および/またはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せが好ましい。
適する増粘剤は、例えば、Aerosil(登録商標)タイプ(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアール、寒天、アルギネートおよびチロース(tylose)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、さらに比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート[例えば、Carbopol(登録商標)およびPemulenタイプ(Goodrich);Synthalen(登録商標)(Sigma);KelcoタイプのKeltrol;SeppicタイプのSepigel;Allied ColloidsからのSalcareタイプ]、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンである。ベントナイト、例えば、Bentone(登録商標) Gel VS-5PC (Rheox)(これらのいずれも、シクロペンタシロキサン、ジステアルジモニウムヘクトライトおよびプロピレンカーボネートの混合物である)も特に有効であることが示される。また、他の界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド、ポリオール(例えば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)の脂肪酸エステル、狭範囲の同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、またはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、電解質(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム電解質)も挙げられる。
【0047】
〔過脂肪剤〕
過脂肪溶液として、例えば、ラノリンおよびレシチン、さらにアシル化またはポリエトキシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドを使用することができる。最後に挙げたものは、同時に、発泡安定剤として働く。
【0048】
〔安定剤〕
安定剤として、脂肪酸の金属塩、および、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよび/またはステアリン酸亜鉛、およびオレイン酸リシンを使用することができる。
【0049】
〔ポリマー〕
適する陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば、第四級ヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400(登録商標)の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンのポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標) L/Gruenau)、第四級化したコムギのポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretin(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat(登録商標) 550/Chemviron)、ポリアミノポリアミド(例えば、仏国特許FR2252840に記載されたものなど)、およびそれらの水溶性架橋ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(所望により微結晶分散している)、ジハロアルキル(例えばジブロモブタン)とビスジアルキルアミン(例えばビスジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、陽イオン性グアールゴム(例えば、Celanese社からのJaguar(登録商標) CBS、Jaguar(登録商標) C-17、Jaguar(登録商標) C-16)、第四級化したアンモニウム塩ポリマー(例えば、Miranol社からのMirapol(登録商標) A-15、Mirapol(登録商標) AD-1、Mirapol(登録商標) AZ-1)である。
【0050】
陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマー、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、ポリオールで架橋したポリアクリル酸および未架橋のポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエステルおよびシリコーンなども挙げることができる。
【0051】
〔シリコーン含有化合物〕
適するシリコーン含有化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-修飾したシリコーンに基づく化合物である(これらは、室温で液体または樹脂形態のいずれかであり得る)。さらに、シメチコーンが適当であり、これは、いずれの場合も200〜300のジメチルシロキサン単位の中間鎖長を有するジメチコーンと水素化シリケートとの混合物である。
【0052】
〔UV保護フィルター〕
UV保護因子は、例えば、室温で液体または結晶性で存在し、かつ、紫外線放射を吸収することができ、吸収したエネルギーをより長波長の放射(例えば熱)の形態で放出することができる有機物質を指すことが意図される。UV-Bフィルターは、油溶性または水溶性であり得る。油溶性物質としては、例えば、以下のものを挙げることができる:
・3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびその誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンファー;
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルエステルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
・ケイ皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシケイ皮酸プロピルエステル、4-メトキシケイ皮酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン);
・サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸モノメチルエステル;
・ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンゾマロン酸2-エチルヘキシルエステル;
・トリアジンの誘導体、例えば2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンまたはオクチルトリアゾンまたはジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標) HEB);
・プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
・ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体。
水溶性物質としては、以下のものが挙げられる:
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ならびに、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム塩;
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;
・3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびそれらの塩。
【0053】
通常のUV-Aフィルターとしては、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標) 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびそれらのエナミン化合物などを挙げることができる。勿論、UV-AフィルターおよびUV-Bフィルターを、混合物として使用することもできる。特に有利な組合せは、ベンゾイルメタンの誘導体(例えば4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標) 1789))および2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン))と、ケイ皮酸のエステル(好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルエステルおよび/または4-メトキシケイ皮酸プロピルエステルおよび/または4-メトキシケイ皮酸イソアミルエステル)との組合せを含む。このようなタイプの組合せを、水溶性フィルター(例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ならびにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム塩)と組み合わせた場合、有利である。
【0054】
上記可溶性物質に加えて、不溶性顔料(即ち、微細に分散させた金属酸化物または塩)も、この目的に使用することができる。適当な金属酸化物としては、特に、例えば、二酸化チタンおよび酸化亜鉛、さらに、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化マンガン、酸化アルミニウムおよび酸化セリウム、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛は、塩として使用される。酸化物および塩は、皮膚保護および皮膚ケア用エマルジョンおよび美飾化粧品のための顔料の形態で使用される。粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特には15〜30nmの中間直径を有する必要がある。これらは球形でもよく、楕円形または異なる様式で球形から逸脱した粒子を使用することもできる。また、顔料を、表面処理すること、即ち親水性化または疎水性化することもできる。その代表例は、被覆した二酸化チタン、例えば、二酸化チタンT 805(Degussa)またはEusolex(登録商標) T2000(Merck)である。適当な疎水性被覆剤としては、上記全てのシリコーン、特にトリアルコキシオクチルシランまたはジメチコーンが挙げられる。日光保護剤として、ミクロまたはナノ顔料を使用することが好ましい。ミクロ化した酸化亜鉛は、好ましく使用される。
【0055】
〔生体由来物質および抗酸化物質〕
生体由来物質は、例えば、トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールパルミテート、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、ピタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、偽セラミド、精油、植物抽出物(例えば、プラナス抽出物、バンバラマメ抽出物)ならびにビタミン含有複合体である。
【0056】
抗酸化剤は、UV線が皮膚に貫通したときに始まる光化学反応連鎖を遮断する。その代表例は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド(例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン)およびその誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲニン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポン酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびに、そのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、およびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩である。適合用量(例えば、pモル〜μモル/kg)のチオジプロピオン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートおよびそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに、スルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-およびヘプタ-チオニンスルホキシイミン)。他の金属キレート化剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、マレイン酸)、フミン酸、没食子酸、没食子酸抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロールおよびその誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンAおよびその誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシド ジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)、ならびに、本発明に適当な上記活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)。
【0057】
〔脱臭剤および抗微生物剤〕
化粧品用脱臭剤(消臭剤)は、体臭に対して作用し、それらを遮蔽するか、または除去する。体臭は、アポクリン発汗における皮膚上に存在する細菌の影響により生じ、および、不快臭を有する分解生成物が形成される。したがって、幾つかの脱臭剤は、抗微生物剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気遮蔽剤として作用する活性成分を含有する。
【0058】
〔抗微生物剤〕
グラム陽性細菌に対して有効な全ての物質は、抗微生物剤として特に適当であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセリンモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド(例えば、サリチル酸n-オクチルアミドまたはサリチル酸n-デシルアミド)などである。
【0059】
〔酵素阻害剤〕
エステラーゼ阻害剤が、酵素阻害剤として特に適当である。この場合、これらは、好ましくはクエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標) CAT)である。これらの物質は、酵素活性を阻害し、これによって臭気の形成を低減させる。エステラーゼ阻害剤として考えられる他の物質は、ステロールスルフェートまたはステロールホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールのスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、マレイン酸、酒石酸または酒石酸ジエチル、およびグリシン酸亜鉛である。
【0060】
〔臭気吸収剤〕
臭気吸収剤として作用するのに適した物質は、臭気形成化合物を収容し、さらに固定することができるものである。これらは、種々の成分の分圧を低下させ、したがって、その伝搬速度を低下させる。結果として、芳香物質が変化しないことが重要である。臭気吸収剤は、抗細菌効果を有しない。これらは、例えば主成分として、リシノール酸の錯亜鉛塩、および、例えば、ラブダナム抽出物もしくはエゴノキ抽出物、または特定のアビエチン酸誘導体などの、固定剤として当業者に知られている特定の中性芳香物質を含有する。
芳香物質または香油は、臭気を遮蔽し、および、その臭気遮蔽剤としての機能に加えて、脱臭剤に芳香を与える物として使用される。香油としては、例えば、天然および合成の芳香物質の混合物を挙げることができる。天然の芳香物質は、植物、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび芳香性植物、針状葉、枝、樹脂および天然バルサム由来の抽出物である。また、動物起源の原料、例えば、シベットおよびビーバーなどを使用することもできる。典型的な合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香物質の化合物は、例えば、酢酸ベンジル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが挙げられる。ケトンとしては、例えばイオノンおよびメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが挙げられ、炭化水素としては、主にテルペンおよび天然バルサムが挙げられる。しかしながら、好ましくは、種々の芳香物質の混合物が使用され、一緒になって快い芳香を生じさせる。また、比較的低揮発性の精油(これらのほとんどは芳香化合物として使用される)も香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、バルム油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxane)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンダー油、マスカット、セージ油、β-ダマスコーン、ゼラニウムバーボン油、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide) NP、エベルニル(evernyle)、ガンマイラルデイン(iraldeine)、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミリアット(romilliat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramate)は、単独でまたは混合物として、好ましく使用される。
【0061】
〔発汗防止剤〕
発汗防止剤は、エクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことにより汗の形成を低減し、また、腋下の湿気および体臭に対して作用する。水性または無水の発汗防止処方物は、通常、以下の物質を含有する:
・収斂性物質、
・脂肪成分、
・非イオン性乳化剤、
・共乳化剤、
・粘稠剤、
・添加剤、例えば、増粘剤または錯生成剤、および/または
・非水性溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンなど)。
【0062】
とりわけ、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩が、収斂性発汗防止物質として適当である。適するこのタイプの抗ヒドロ(antihydrotic)活性成分は、例えば、アルミニウムクロリド、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレートおよびその錯化合物(例えば1,2-プロピレングリコールとの錯化合物)、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルトレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、およびその錯化合物、例えば、アミノ酸(例えば、グリセロール)との錯化合物である。
さらに、通常の水溶性および油溶性の添加剤が、発汗防止剤中に少量存在していてもよい。このような油溶性の添加剤は、例えば、以下のものであり得る:
・芳香性、皮膚保護性または抗炎症性の精油、
・皮膚保護性合成活性成分、および/または
・油溶性香油。
【0063】
通常の水溶性の添加剤は、例えば、防腐剤、水溶性芳香物質、pH調節剤(例えば、緩衝剤混合物)、水溶性増粘剤(例えば、水溶性の天然または合成ポリマー、例えば、キサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリエチレンオキシド)である。
【0064】
〔皮膜形成剤〕
通常の皮膜形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系列のポリマー、第四級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸またはその塩、および同様の化合物である。
【0065】
〔ふけ防止物質〕
ふけ防止物質としては、ピロクトンオラミン(pirocton olamine)[1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノンモノエタノールアミン塩]、Baypival(登録商標)(クリンバゾール)、Ketoconazole(登録商標)、4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル)r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、セレンジスルフィド、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、ゴーフロン(goufron)/イオウ蒸留物、サリチル酸(または、ヘキサクロロフェンと組合せて)、ウンデシレン酸モノエタノールアミドスルホスクシネートナトリウム塩、Lamepon(登録商標) UD(ウンデシレン酸タンパク質縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/マグネシウムジピリチオンスルフェートが挙げられる。
【0066】
〔膨潤剤〕
水相用膨潤剤として、モンモリロナイト、ペムレン(pemulen)粘土の鉱物およびアルキル修飾したカルボポール(carbopol)タイプ(Goodrich)を使用することができる。他の適当なポリマーおよび膨潤剤は、R. Lochheadの概説[Cosm.Toil.、108、95(1993)]から選ぶことができる。
【0067】
〔防虫剤〕
防虫剤として、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはブチルアセチルアミノプロピオン酸エチルを使用することができる。
【0068】
〔日焼け剤および脱色剤〕
ジヒドロキシアセトンは、日焼け剤として適当である。メラニン形成を防止し、脱色液に使用されるチロシン阻害剤としては、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマル酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)が挙げられる。
【0069】
〔ヒドロトロープ剤〕
流れ挙動を改善するため、とりわけ、ヒドロトロープ剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールなどを使用することができる。この場合、好ましいと考えられるポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含有することができ、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールなど;
・1.5〜10の縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、例えば、40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物など;
・メチロール化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールなど;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル残基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えば、ブチルグルコシドおよびメチルグルコシドなど;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えば、ソルビトールまたはマンニトールなど;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えば、グルコースまたはスクロースなど;
・アミノ糖、例えば、グルカミン;
・ジアルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0070】
〔防腐剤〕
適する防腐剤としては、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、商品名Surfacine(登録商標)のもと既知の銀錯体、および化粧品指針(Cosmetics Regulations)の付属書6のパートAおよびBに挙げられている他の群の物質が挙げられる。
【0071】
〔香油および芳香油〕
香油としては、合成および天然の芳香物質の混合物が挙げられる。天然の芳香物質は、植物(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コリアンダー、クミン、ジュニパー)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルムス)、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シーダー、シタン)、ハーブおよび芳香性植物(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低マツ)、樹脂および天然バルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス)由来の抽出物である。また、動物原料、例えば、シベットおよびビーバーなども挙げることができる。典型的な合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香物質は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8〜18個の炭素原子を含む直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが挙げられる。ケトンとしては、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが挙げられ、炭化水素としては、主にテルペンおよび天然バルサムが挙げられる。しかしながら、好ましくは種々の芳香物質の混合物が使用され、一緒になって快い芳香を生じさせる。また、低揮発性の精油(これらは主として芳香成分として使用される)も香油として適している。これらは、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンダー油である。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ、アムブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラベンダー油、マスカット、セージ油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー、イソ-E-スーパー、フィクソリドNP、エベルニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミリアット、イロチルおよびフロラマットは、単独でまたは混合物として、好ましく使用される。
【0072】
適当な芳香剤は、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス実油、スターアニス油、キャラウェー油、ユーカリ油、ウイキョウ油、レモン油、ウィンターグリーン油、チョウジ油、メントールなどである。
【0073】
〔染料〕
使用し得る染料としては、化粧品用に容認され、かつ、適している物質、例えば、刊行物「Kosmetische Faerbemittel」(Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft、Verlag Chemie、Weinheim、1984年、81〜106頁)などに列挙されたものが挙げられる。その例としては、コチニール・レッドA(C.I.16255)、パテント・ブルーV(C.I.42051)、インジゴチン(C.I.73015)、クロロフィリン(C.I.75810)、キノリン・イエロー(C.I.47005)、二酸化チタン(C.I.77891)、インダントレン・ブルーRS(C.I.69800)およびマッダーレーキ(C.I.58000)が挙げられる。また、発光染料としてルミノールを使用することもできる。これらの染料は、通常、混合物全体に対して0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【0074】
添加剤および配合剤の合計の割合は、当該剤に対して1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であり得る。当該剤の製造は、標準の低温状態または高温状態の方法で行われ得るが、好ましくは転相温度法にしたがって行われる。
【0075】
本発明の別の目的は、構造式:
R1-NH-AA-R2
〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、
R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、および
AAは、PTH領域(28〜34)(Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-Phe)に対応するPTH(28〜34)の配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応し、
ただし、R2がOHとは異なる場合のみ、R1はHであり、またはR2がOHである場合、R1はHとは異なる〕
で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片誘導体を含有する化粧品に関する。
【0076】
残基R1は、好ましくはアセチル基、エタノイル基、プロピオニル基、ブタノイル基、デカノイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレイル基、リポイル基、リノレイル基および共役リノレイル基によって形成される群から選択される。これらの基のなかでも、アセトイル基が特に好ましい。
【0077】
好ましいステロール基は、コレステロール、スチグマステロール、シトステロール、ブラシカステロールまたはスフィンゴ脂質を示し、該基は、官能基、例えば、二酸(例えば、コハク酸)によって結合される。
【0078】
R2がステロール基を示す場合、それは好ましくはコレステロール、スチグマステロール、シトステロール、ブラシカステロールまたはスフィンゴ脂質によって形成される群から選択される。
【0079】
PTH領域(28〜34)に対応する配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応するアミノ酸配列AAは、好ましくはPTH領域(29〜32)(Gln-Asp-Val-His)に対応する配列表の配列番号1の2〜5位であり、または好ましくはpGlu-Asp-Val-Hisを含んでなる。
【実施例】
【0080】
実施例1:ヒト真皮線維芽細胞の増殖に対する効果
この試験の目的は、インビトロでのヒト真皮線維芽細胞の培養物の再生および活性化活性を検査することにある。
ヒト真皮線維芽細胞を、ウシ胎仔血清(FCS)を有する細胞培養用標準培地中でインキュベートした。5%含量のCO、37℃での1日間の培養後、培地を異なる濃度のペプチドを有する標準培地に交換した。3日間および6日間のさらなるインキュベーションの後、生存細胞数を、蛍光プローブ(Hoechst 33258)でDNA細胞含量を確認することによって確認した。
その結果を、3重の4つの試験に基づく平均値(その標準培地が如何なる添加剤も含まなかったコントロール培地に対する%)の形で表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
配列表の配列番号1の2〜5位に対応するPTH断片(29〜32)(Gln-Asp-Val-His)は、健康な成人被験体の生体材料から培養したヒト真皮線維芽細胞の増殖を刺激する。この活性は、細胞培養培地を如何なる変化もさせることさえなく、6日間後でも検出される。
【0083】
実施例2:ヒト皮膚線維芽細胞mRNAプロファイルに対する効果
この研究の目的は、PTHペプチド断片(29〜32)による処理によって誘導されるヒト皮膚線維芽細胞のmRNAプロファイルの変化を検出することにある。
正常なヒト皮膚線維芽細胞を、5%のCO雰囲気中、ウシ胎仔血清(FCS)を補充した標準培地中で3日間培養した。培養後、培地を、5μg/mlのPTHペプチド断片(29〜32)を補充した標準培地に、または該断片を補充しない標準培地に、交換した。3時間または24時間のインキュベーション後、培養を停止し、および異なる培養物の総RNAを抽出した。ペプチド処理RNAまたは非処理RNAから得られたcDNAを、それぞれシアニン-3およびシアニン-5で標識付けした。
処理cDNAおよび非処理cDNAの混合物を、10,000個に近い遺伝子発現を研究可能な市販のPanhuman(登録商標) 10K(MW Biotech、Roissy Charles-de-Gaulle、仏国)cDNA配列上にハイブリダイズした。高度にストリンジェントな洗浄後、シアニン-3蛍光およびシアニン-5蛍光を測定した。これにより分析した各遺伝子の処理対非処理の発現率の評価を可能にした。
表2は、2つの独立したアッセイからの関連遺伝子の分析を示す。結果は、処理条件と非処理条件との間の測定した遺伝子発現の比率のLogで示す。
【0084】
【表2】

【0085】
PTHペプチド断片(29〜32)は、異なるファミリーに属する幾つかの遺伝子、例えば、増殖因子(結合組織増殖因子および線維芽細胞増殖因子2)、細胞外マトリックスの成分(コラーゲンI、または多くのプロテオグリカン)、DEJの成分(ナイドジェン、トロンボスポンジン)の発現を刺激する。
このRNAプロファイル分析は、PTHペプチド断片(29〜32)が皮膚の質に強く関与する多くの線維芽細胞遺伝子の発現を刺激することを示す。
【0086】
実施例3:老化ヒト皮膚線維芽細胞でのルミカン合成の刺激
3.1 プロトコル
(試薬)
抗ルミカンモノクローナル抗体およびFITC結合二次抗体は、COGER(パリ)から入手した。
PBS(リン酸緩衝生理食塩水pH7.2)は、SIGMA(L’Isle d’Abeau Chesnes)から入手した。
IL4(正のコントロール)は、SIGMAから入手した。
【0087】
(初代ヒト皮膚線維芽細胞培養物)
ヒト皮膚線維芽細胞懸濁物を、形成外科から収集したヒト成人真皮標本のコラゲナーゼによる標準消化によって製造した。
インビトロで繰り返し継代培養して疑似老化させた後(ヘイフリックモデル)、ヒト皮膚線維芽細胞を、37℃、CO=5%にて、DMEM中に2日間播種した。次いで、アセチル-QDVH(1μg/mlおよび3μg/ml)を導入し、そして37℃、CO=5%にて6日間インキュベーションした後、ルミカン合成の発現をスライドグラス上で免疫細胞化学によって評価した。
染色の定量化は、画像解析により行った。
その結果を、画素数と緑の検出値の積の合計(任意単位)として示す。
【0088】
3.2 結果
処理をしない場合、培養物中のヒト皮膚線維芽細胞は、少量のルミカンを発現した。
アセチル-Gln-Asp-Val-His(=アセチル-QDVH)によるヒト皮膚線維芽細胞の処理は、培養物中のルミカン発現の増大を可能にした。
また、正のコントロールIL-4による処理も、線維芽細胞培養物中のルミカン発現の増大を誘導した。
【0089】
【表3】

【0090】
これらの結果は、アセチル-QDVHが用量依存効果的にルミカンの発現を顕著に刺激したことを示す。
【0091】
実施例4:ヒト皮膚線維芽細胞からのI型コラーゲン遺伝子発現の発現の刺激
4.1. プロトコル
(試薬)
qRT-PCR用キットを、ROCHE(MEYLAN 38242、仏国)から入手した。
TGFβ(正のコントロール)を、SIGMAから入手した。
【0092】
(ヒト皮膚線維芽細胞培養物)
ヒト皮膚線維芽細胞を播種し、そして37℃、CO=5%にて3〜5日間インキュベートした。
細胞培養培地を、試験物質を有する合成細胞培養培地に交換した後、37℃、CO=5%で1日間インキュベーション。
インビトロで培養したヒト皮膚線維芽細胞からの細胞の回収およびRNAの回収前の計数。
I型コラーゲンをコードするmRNAのレベルを、定量的RT-PCRまたはリアルタイムRT-PCRによって評価した。
その結果を、まず、明確な蛍光の上昇に必要なサイクル数を示す交点(CP)によって表す。次いで、各試料の結果を、参照遺伝子または「ハウスキーピング」遺伝子に対する比率(目的物のCP/参照遺伝子のCP)として計算する。EF1α遺伝子を内部コントロール遺伝子として使用して、mRNA発現量を標準化した。
【0093】
【表4】

【0094】
TGFβは、ヒト皮膚線維芽細胞中のI型コラーゲン遺伝子発現速度を強く高めている。この結果は、培養線維芽細胞でのアッセイが有効であることを示す。
アセチル-QDVHペプチドは、ヒト皮膚線維芽細胞中のI型コラーゲン遺伝子発現速度を顕著に高めている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品および/または医薬品を製造するための、または化粧期間中に、内因性または外因性皮膚劣化に対して皮膚および人毛を処置するための、および劣化した外観を防止するための、構造式:
R1-NH-AA-R2
〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、
R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、および
AAは、PTH領域(28〜34)に対応する配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応する〕
で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片および/またはペプチド断片の誘導体および/またはペプチド断片の塩の使用。
【請求項2】
AAは、配列表の配列番号1の2〜5位に対応するPTH領域(29〜32)Gln-Asp-Val-His、またはpGlu-Asp-Val-Hisを含んでなる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Hisは、Leu、Ile、Nle(ノルロイシン)、Met、Val、Ala、TrpまたはPheを含んでなる群から選択されるアミノ酸で置換することができる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式中、R1は、Hまたはアセチル基を示し、R2はOHであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
ペプチド断片は、化学的または酵素的合成によって、および微生物、植物または動物の上記配列を含有する天然タンパク質の制御加水分解によって得られることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
しわの形成と闘うのに、およびしわの後に残される痕跡を低減するのに、または真皮および/または真皮/表皮接合(DEJ)を強化するのに、または皮下組織のセルライトの現象を低減するのに、または癒しを促進するのに、またはヒト皮膚の(老化または外性因子による)劣化によりもたらされる細胞数の低減と闘うのに、または毛細血管の再生を刺激および/または再生して毛髪の脱落と闘うのに有効な調製物を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
TGFβ1タンパク質(形質転換増殖因子)および/またはTGFβ1に対して生物学的応答を引き起こす細胞表面に存在する受容体の製造を刺激するのに、またはmRNAおよび母体タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチンまたはプロテオグリカン(例えば、ルミカンおよびシンデカン))の製造を刺激するのに、または炎症と闘うのに有効な調製物を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
mRNAおよび/またはタンパク質(例えば、パーレカン、トロンボスポンジン、ナイドジェンまたはインテグリン)の製造を調節するのに、またはマトリックスを分解するタンパク質(例えば、MMP2および/またはMMP9)を制御するのに、および/またはTIMPを制御するのに有効な調製物を製造するための、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
ペプチド断片またはペプチド断片の誘導体またはペプチド断片の塩を、0.01〜1000ppmの濃度で使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
構造式:
R1-NH-AA-R2
〔式中、R1は、-H、または-OH、-SH、-COOHまたは-CONH基によって官能化されていてもよい1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アシル基または分枝状飽和もしくは不飽和アシル基、または官能基(例えば二酸)によって該ペプチドと結合したステロール基によって形成される群から選択され、
R2は、-OHであるか、または該OH基は、1〜24個の炭素原子を有する直鎖状飽和もしくは不飽和アルキル基または分枝状飽和もしくは不飽和アルキル基、またはステロール基によって官能化されており、および
AAは、PTH領域(28〜34)の配列表の配列番号1のアミノ酸配列に完全にまたは部分的に対応し、
ただし、R2が-OHとは異なる場合のみ、R1はHであり、またはR2がOHである場合、R1はHとは異なる〕
で示される副甲状腺ホルモンのペプチド断片の誘導体を含有する化粧品。
【請求項11】
AAは、配列表の配列番号1の2〜5位に対応するPTH領域(29〜32)Gln-Asp-Val-His、またはpGlu-Asp-Val-Hisを含んでなる、請求項10に記載の化粧品。
【請求項12】
Hisは、Leu、Ile、Nle(ノルロイシン)、Met、Val、Ala、TrpまたはPheを含んでなる群から選択されるアミノ酸で置換することができる、請求項10または11に記載の化粧品。
【請求項13】
ペプチド断片は、化学的または酵素的合成によって、および微生物、植物または動物の上記配列を含有する天然タンパク質の制御加水分解によって得られることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の化粧品。

【公表番号】特表2008−502624(P2008−502624A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515837(P2007−515837)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006261
【国際公開番号】WO2005/120554
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(502021660)コグニス・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (21)
【氏名又は名称原語表記】COGNIS FRANCE, S.A.S
【Fターム(参考)】