説明

PTPシート群の供給装置及びそれを用いた製品供給システム

【課題】PTPシート群を1束ずつ供給するか複数束ずつ供給するかにかかわらず、同一の搬送経路を通じて供給が行え、装置全体の省スペース化を図ること
【解決手段】PTPシート群を寝た状態で一束ずつ搬送する搬送コンベア11と、その搬送コンベアの側方に設けられ、その搬送コンベアで搬送されるPTPシート群を受け取ると共に、起立させた駒立て状態で搬送するバケットコンベア12と、そのバケットコンベアで搬送されるPTPシート群を先頭から順に1束ずつ受け取ると共に、製品供給コンベア2に受け渡す第1移し替え装置20と、バケットコンベアで搬送される前後の5束のPTPシート群をピックアップすると共に前後の間隔を詰めて集積する集積機能と、それにより集積されてひとまとめになった5束のPTPシート群をまとめて保持すると共に、製品供給コンベアに受け渡す第2移し替え装置40と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のPTP(Press Through Pack)シートを結束して構成されるPTPシート群を次段の搬送手段(包装機本体へ製品を供給する製品供給コンベア等)に供給するためのPTPシート群の供給装置及びそれを用いた製品供給システムに関し、供給する単位を1束と、複数束のいずれにも対応できるようにするためのものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、PTP(Press Through Packaging)シートは、容器(ポケット部)側から中身を押し出して上蓋を破壊し、中身を取り出すようにした包装形態であり、薬品包装における錠剤やカプセルの包装に良く使われる。そして、係るPTPシートは、通常複数個を積層した状態(物品集合体)でピロー包装し、さらにそのピロー包装した包装体を箱に収納した状態で市販されている。このとき、その複数枚のPTPシートを積層した状態で、把束テープでバンド掛けして一束に纏めた状態で包装処理や箱詰めをすることがある。
【0003】
一方、病院等の薬局に納品する場合には、上記のように把束テープで結束された一束の物品集合体ごとに包装処理するのではなく、係る物品集合体をさらに複数個(5個)纏めた状態で箱詰めやピロー包装等の包装処理を行うようにしている。
【0004】
ピロー包装機本体等では、その包装機本体の上流側に、被包装物を搬送し、所定間隔ごとに包装機本体に供給する製品供給コンベアが設置される。そこで、包装機本体が、1束用と複数束(例えば5束)用で兼用できるようにした場合、係る製品供給コンベアは、包装処理する対象(1束用/複数束用)に応じて、その包装対象となる所定数の束ごとに纏めた状態で搬送することになるので、製品供給コンベアのさらに上流側にて、積層されたPTPシート群を係る所定数の束で纏めて供給する物品供給装置が必要となる。
【0005】
この種の物品供給装置は、例えば、製品供給コンベアに対して、結束されたPTPシートの束を1束ずつ供給する場合と複数束(5束)ずつ供給する場合とでは、異なる搬送経路を通じて行う構成がとれる。すなわち、具体的には、1束ずつ供給するときは搬送ラインAを使用し、PTPシートの束を寝かせた状態にして製品供給コンベアに供給する。一方、複数束ずつ供給するときは搬送ラインBを使用し、PTPシートの束を立てた状態にして製品供給コンベアに供給する。これらの各搬送ラインA,Bは、それぞれ専用の包装機本体に用いられる物品供給装置を併設する構成を採る。もちろん、これら両搬送ラインA,Bの上流側には、複数枚の積層されたPTPシートがバンド掛けされた1束ごとPTPシート群を搬送し、いずれかの搬送ラインに供給するコンベアCが設けられる。
【0006】
なお、本発明に関連した出願を発見することができなかったため、PTPシートの搬送装置であって、処理の違いによって搬送経路を使い分けている点において共通している先行技術文献としては、特許文献1に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−120806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、1束ずつ供給する場合と複数束(5束)ずつ供給する場合とでそれぞれ異なる専用の搬送経路A,Bを単純に併設する構成では、省スペース化がしづらい面がある。
【0009】
また、複数束を供給するための搬送ラインBでは、PTPシートの束を寝かせた状態で受け取り、途中に設けた段差を通過させることにより、PTPシートの束を立てた状態に変換している。この段差のため、搬送ラインBの始点と終点とには高さに大きな差がある。このため、搬送ラインB(及び搬送ラインA)にPTPシートの束を供給するコンベアCと、製品供給コンベアとは異なる高さレベルで設計される。また、搬送ラインAについても、コンベアCと製品供給コンベアとのレベルが異なることから、そのレベルの差を吸収する機構を設けたり、勾配を設けたりする必要がある。このように、コンベアC、搬送ラインA、搬送ラインB、製品供給コンベアをそれぞれ異なるレベルに設定する必要があるため、設計が複雑になったり製造におけるレベル調整などの作業が煩雑になるなどの不都合がある。
【0010】
さらに、製品供給コンベアに対するPTPシート群の供給等は、プッシャーにより当該PTPシート群を押し出すことで行うので、PTPシート群が擦れて、シート面に傷が付くおそれがあるといった課題がある。特に、1束ずつ供給する場合には、下側の1枚のPTPシートのフィルム面が搬送路に面接触する構成を採ることから、係る影響は顕著となる。
【0011】
また、製品供給コンベアは、平坦な搬送路(それ自体は搬送力がない)の上方にオオヤグラコンベア装置と称されるフィンガーコンベアを設け、物品供給装置により製品供給コンベアを構成する搬送路の上に供給された所定束のPTPシート群は、係るオオヤグラコンベア装置のフィンガーにより押送され搬送されることになる。よって、搬送路の上方空間にオオヤグラコンベア装置が設置されることから、搬送路の上方に空きが無いためPTPシート群を人手にて供給するのが困難であるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)複数のPTPシートを積層すると共に、把束テープでバンド掛けされたPTPシート群を、個々のPTPシートが上下に位置する寝た状態で一束ずつ搬送する搬送装置と、その搬送装置の側方に設けられ、その搬送装置で搬送されるPTPシート群を受け取ると共に、起立させた駒立て状態で搬送する駒立て搬送装置と、その駒立て搬送装置で搬送されるPTPシート群を先頭から順に1束ずつ受け取ると共に、下流側の搬送手段(実施形態では、製品供給コンベア2に対応)に受け渡す一束用の移し替え装置と、その駒立て搬送装置で搬送される前後の複数束のPTPシート群をピックアップすると共に前後の間隔を詰めて集積する集積機能と、その集積機能により集積されてひとまとめになった複数束のPTPシート群をまとめて保持すると共に、前記下流側の搬送手段に受け渡す機能を備えた複数束用の移し替え装置と、を備えて構成した。
【0013】
(2)前記集積機能は、各PTPシート群を保持することができる複数の保持部を備え、各保持部はPTPシート群の搬送方向に等間隔で配置され、その間隔をパンタグラフ式の伸縮装置により変更可能にするとともに、PTPシート群を保持した状態で上昇可能となる昇降装置を備えた。(3)前記各保持部は左右一対の爪部からなり、左右の爪部の間隔が変更可能にするとよい。
【0014】
(4)前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持するに際し、そのPTPシート群の側面を把持するようにするとよい。(5)前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持するに際し、前記把束テープの部分を吸着する吸着装置を備えるとよい。(6)前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持した状態で、水平平面内で回転させ、前記PTPシート群の向きを変えることができる機構を備えるとよい。
【0015】
(7)前記集積機能は、前記複数のPTPシート群の間隔を詰めて集積すると共に、その集積したひとまとめのPTPシート群を、駒立て搬送装置の搬送方向に沿って移動させる機能をさらに備えるとよい。
【0016】
(8)一束用の移し替え装置は、そのPTPシート群の側面を把持した状態で移行するようにするとよい。
【0017】
(9)製品供給システムは、上記の(1)から(8)のいずれかに記載のPTPシート群の供給装置と、前記下流側の搬送手段を備え、前記下流側の搬送手段が、プレートコンベア装置とを備えるようにした。
【発明の効果】
【0018】
製品供給コンベア等の下流側の搬送装置に対し、1束ずつ供給するか複数束ずつ供給するかにかかわらず、いずれにも対応することができ、さらに、共通の搬送経路(駒立て搬送装置)を通じて供給が行えるため、装置全体の省スペース化を図ることができる。さらに、プッシャーによってPTPシート群を押送する工程が少なくなるため、PTPシートにダメージを与えにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図2】搬送コンベア及びバケットコンベアを示す平面図である。
【図3】バケットコンベア及び製品供給コンベア並びに物品の移し替え装置を示す正面図である。
【図4】バケットコンベア及び製品供給コンベア並びに物品の移し替え装置を示す正面図である。
【図5】主に第1移し替え装置を示す平面図である。
【図6】主に第1移し替え装置を示す平面図である。
【図7】バケットコンベア及び製品供給コンベア並びに物品の移し替え装置(第2移し替え装置の集積装置)を示す正面図である。
【図8】バケットコンベア及び製品供給コンベア並びに物品の移し替え装置(第2移し替え装置の集積装置)を示す正面図である。
【図9】バケットコンベア及び製品供給コンベア並びに物品の移し替え装置(第2移し替え装置)を示す正面図である。
【図10】主に第2移し替え装置の集積装置を示す正面図である。
【図11】主に第2移し替え装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明のPTPシート群の供給装置が組み込まれた包装システムの一例を示している。この包装システムは、図示省略する上流側で、PTPシートを製造し、その製造された複数のPTPシートを積層すると共に把束テープでバンド掛けして一束ずつのPTPシート群を形成する。そして、PTPシート群の供給装置10は、その搬入側に搬送コンベア11を備え、上流側のシステムで形成された係るPTPシート群1を、1束ずつ一列縦隊で搬送する。この搬送コンベア11上におけるPTPシート群1の搬送姿勢は、各PTPシートを上下に重ねた横置きの状態であって、縦長(進行方向とPTPシートの長手方向が一致)の姿勢となっている。この搬送コンベア11は、ベルトコンベア装置から構成し、搬送ベルト11aと、その搬送ベルト11aの搬送面の上方の左右両側に配置されたL字型プレートからなる上流側側壁11b・下流側側壁11cとを備えている。この搬送コンベア11上では、PTPシート群1は、横置きの状態で搬送されるので、一番下のPTPシートが、搬送ベルト11aに面接触した状態となる。また、上流側側壁11b間の間隔並びに下流側側壁11c間の間隔が、PTPシートの横幅と略一致し、搬送途中での横ぶれを抑制している。この上流側側壁11b並びに下流側側壁11cの間隔は、調整可能であり、搬送するPTPシート群1の幅に合わせて広狭変更調整する。さらに、上流側側壁11bと、下流側側壁11cの間には、前後方向に一定の間隔をおいて設置しており、両者の間に所定の空間Kが形成されており、この空間Kの部分から、搬送コンベア11上を搬送されるPTPシート群1を横方向に搬出させ、次段のバケットコンベア12に移し替えることができる。なお、この空間Kの部分でバケットコンベア12側に搬出されなかったPTPシート群1は、下流側側壁11c間でガイドされながらそのまま搬送ベルト11a上を搬送され、搬送コンベア11の下流側に設けられた貯留部13に搬出される。
【0021】
バケットコンベア12は、PTPシート群1を起立させた駒立て状態で搬送コンベア11の搬送方向と直交方向に搬送するものである。そして、その構造は、所定間隔をおいて配置された駆動プーリ15,従動プーリ16間に、2本の段付きベルト(第1ベルト17a,第2ベルト17b)を掛け渡すと共に、その第1ベルト17aと第2ベルト17bに対して交互にフィンガー(前フィンガー18a,後フィンガー18b)を取り付けている。前フィンガー18a並びに後フィンガー18bは、共に両ベルト17a,17bの上をまたがるように取り付けられる。そして、両ベルト17a,17bの相対的な位置関係を調整することで、前フィンガー18aと後フィンガー18bとの間隔を変更できるので、その間隔を複数のPTPシートが上下に積層されたPTPシート群1の高さに併せておくことで、前フィンガー18aと後フィンガー18bとの間でPTPシート群1を挟み込んで保持することができる。さらに、前フィンガー18a並びに両ベルト17a,17bの回転に伴い、ベルト面に対して起立(垂直)状態で公転移動する。さらに、図3,図4等に示すように、駆動プーリ15や従動プーリ16に沿って旋回する際に、前フィンガー18aと後フィンガー18bとの間がやや開く。
【0022】
一方、搬送コンベア11を挟んでバケットコンベア12と反対側には、プッシャー装置14が設けられ、そのプッシャー装置14が、搬送コンベア11上を搬送されるPTPシート群1の側面を押し、空間Kからバケットコンベア12側に押し出す。このとき、バケットコンベア12の動作タイミングに合わせることで、PTPシート群1は、やや開いた前フィンガー18aと後フィンガー18bとの間にスムーズに供給される。
【0023】
その後、バケットコンベア12の回転駆動に伴い、前フィンガー18a並び後フィンガー18bは、公転移動して起立し、両フィンガー18a,18bにてその前後から1束のPTPシート群1を挟み込んで起立させる。そして、その起立させた状態のまま、前後に所定間隔をおいてバケットコンベア12の搬送方向(搬送コンベア11の搬送方向と直交方向)に搬送する。さらにこのバケットコンベア12は、間欠駆動しており、一時停止しているときに、プッシャー装置14にて1束のPTPシート群1を対となる前フィンガー18a並び後フィンガー18b間の空間内に供給するようにしている。
【0024】
このバケットコンベア12の搬出側には、ピロー包装機本体3に対して被包装物を所定間隔ごとに供給する製品供給コンベア2が配置されている。製品供給コンベア2は、本システムでは、プレートコンベアを用いている。このプレートコンベアは、搬送方向に沿って左右に配置された一対のエンドレスチェーン2cを配置し、その一対のエンドレスチェーン2cに渡るように帯板状のプレート2aを掛け渡すようにしてる。このプレート2aがエンドレスチェーン2cの全長に渡って多数取り付けることで、そのプレート2aが搬送面となる。さらに、多数配置されたプレート2aのうち、所定のプレート2aにはフィンガー2bが起立形成されたものが用意され、そのフィンガー2bにより被包装物が所定間隔ごとに搬送され、次段のピロー包装機本体3に順次供給される。また、このようにプレートコンベアを用いることで、上方空間が開放された状態にできる。さらに、搬送面を構成するプレート2aの上方には、その左右に一対のガイド板2dが設けられている。そして、この一対のガイド板2dのうちの少なくとも一方は、製品供給コンベア2の搬送方向と直交する方向に移動可能になっており、一対のガイド板2dの間隔を変更することができる。
【0025】
バケットコンベア12の搬出側に、このバケットコンベア12で駒立て状で搬送されるPTPシート群1を、1束ずつ製品供給コンベア2に移し替える機構(第1移し替え装置20)と、複数束(本実施形態では5束)ずつ製品供給コンベア2に移し替える機構(第2移し替え装置40)と、を設けた。
【0026】
図3から図6を用いて、第1移し替え装置20を説明する。この第1移し替え装置20は、バケットコンベア12の搬出位置と、製品供給コンベア2の搬入位置との中間地点に配置された第1回転軸21に第1旋回アーム22の一端を連結すると共に、その第1旋回アーム22の先端に設けた軸受部22aに、第2旋回アーム23を回転可能に軸受支持させ、その第2旋回アーム23の先端に連結した支持プレート24の先端側に、シリンダ25で開閉する一対の把持爪部36を備えている。
【0027】
第1旋回アーム22と、第2旋回アーム23は、バケットコンベア12の搬送方向と平行な垂直平面内で所定角度範囲内で正逆回転するように設定されている。さらに、第1旋回アーム22の回転中心となる第1回転軸21と、第2旋回アーム23の回転中心となる第2回転軸28(軸受部22aに軸受される部位)は、噛み合った複数の歯車27a,27b,27cにより連係されている。また、第1回転軸21は、動力伝達ベルト30,オシレーティングドライブ31,伝達ベルト32等の伝達系を介して駆動モータ31に連係され、回転力を受けている。これにより、駆動モータ31が連続等速度で回転すると、その回転が伝達ベルト32を介してオシレーティングドライブ31の入力軸に与えられるので、オシレーティングドライブ31の出力軸が往復回転する。よって、その往復回転が動力伝達ベルト30により第1回転軸21に伝わるので、第1旋回アーム22は、第1回転軸21を中心に所定角度範囲内、より具体的には、ほぼバケットコンベア12側に倒れた水平状態の位置(受け取り位置)からほぼ製品供給コンベア2側に倒れた水平状態の位置(受け渡し位置)までの約180度の範囲内で回転する。また、第1回転軸21の回転力は、複数の歯車27a,27b,27cを介して第2回転軸28に伝達されるので、第2回転軸28は、第1旋回アーム22の回転に追従して半円の円周上を公転移動しつつ、自転する。従って、第2回転軸28に連結された第2旋回アーム23は、全体的に第1旋回アーム22の回転に追従して半円周上を公転移動しながら、自身も回転することで、その姿勢が90度回転、すなわち、図3,図5に示す起立した状態から、時計方向に90度回転して図4,図6に示す横に寝た状態(或いはその逆)に変更される。
【0028】
第2旋回アーム22の先端には、その第2旋回アーム22の旋回面と直交する方向に支持プレート24を連結している。この支持プレート24は、図5,図6に示すように、バケットコンベア12や、製品供給コンベア2側に向けて突出し、その先端は、バケットコンベア12の搬送方向と交差する位置にまで延長形成されている。そして、図5に示すように、第1旋回アーム22の先端がバケットコンベア12側の受け取り位置に位置している状態では、支持プレート24の先端側がバケットコンベア12の上方に位置し、その支持プレート24に取り付けられた把持爪部26が、バケットコンベア12で搬送される駒立て状のPTPシート群1の側は面を左右から挟み込み、シリンダ25が作動して一対の把持爪部26の間隔を狭める(閉じる)ことで、1つのPTPシート群1を挟み込んで保持することができる。
【0029】
すなわち、バケットコンベア12か一時停止している際に、第1移し替え装置20は、把持爪部26が開いた状態(一対の把持爪部26の間隔が、PTPシート群1の長手方向の長さよりも広い状態)で受け取り位置に至り、その一対の把持爪部26間に、先頭のPTPシート群1が入り込む状態となる。このとき、把持爪部26は開いているので、PTPシート群1と、把持爪部26との間には所定の隙間が確保されており、受け渡し位置から旋回してきた第1移し替え装置20は、スムーズにその状態になる。次いで、シリンダ25を作動させて把持爪部26を閉じ、先頭のPTPシート群1を長手方向両側から挟み込んで保持する。このとき、PTPシート群1の側縁を挟み込む形態をとるので、PTPシートのフィルムに傷等が付くことを可及的に抑制できる。
【0030】
その後、第1駆動モータ31を正転駆動させ、第1旋回アーム22並びに第2旋回アーム23を正転させ、図4,図6に示す受け渡し位置に位置させる。この移動途中で、上述したように、第2旋回アーム23は、第1旋回アーム22の回転に追従して公転移動しつつ第2回転軸28を中心に自転することで、第2旋回アーム23の姿勢を90度回転させることになるので、その第2旋回アーム23と一体となって移動する支持プレート24ひいては把持爪部26も同様の動きをする。よって、把持爪部26で保持されているPTPシート群1は、略半円周上の軌跡で公転移動しながら、90度自転することで、受け取り位置における駒立て状に起立していた姿勢から、受け渡し位置では複数のPTPシートが上下に積み重なった横の状態(搬送コンベア11における搬送姿勢と同様)に変更される。
【0031】
そして、受け渡し位置では、1束のPTPシート群1が横になった状態で製品供給コンベア2の搬送路(プレート2a)上に位置するので、その状態でシリンダ25を動作させて把持爪部26を開き、把持爪部26によるPTPシート群1の保持を解除することで、バケットコンベア12から製品供給コンベア2への移し替えが完了する。
【0032】
なお、この移し替えが完了後、第1駆動モータ31は逆転駆動し、各旋回アーム22,23は上記と逆の動きをして、図3,図5に示す受け取り位置に戻る。また、バケットコンベア12は、先頭のPTPシート群1がバケットコンベア12から離反した後、再び第1移し替え装置20が受け取り位置に戻ってくるまでの間に、1ピッチ分だけPTPシート群1を搬送し、再び一時停止する。以後、上記の処理を繰り返すことで、バケットコンベア12上を搬送されてきたPTPシート群1を、先頭から順に1束ずつ製品供給コンベア2に供給することができる。
【0033】
次に図7から図11を用いて、第2移し替え装置40を説明する。この第2移し替え装置40は、パンタグラフ機構を利用した集積装置41と、その集積装置41で集積した5束のPTPシート群1の集まりを一括して保持して製品供給コンベア2に移し替える供給ロボット42と、を備えている。
【0034】
集積装置41は、バケットコンベア12の搬送方向の左右両側に配置された一対のパンタグラフ機構43を備えている。このパンタグラフ機構43は、バケットコンベア12の搬送方向に沿って伸縮するようになり、その搬送方向の先端が、搬送方向に沿って延びるように配置された2本のガイドレール46を取り付けるガイドレール支持板46aの先端に固定され、パンタグラフ機構43の後端は、スライダー47に連係される。スライダー47が、単軸ロボット48からの駆動を受けてバケットコンベア12の搬送方向に沿って前後進移動すると、パンタグラフ機構43は、図7,図8等に示す開いた(延びた)状態と、図9等に示す閉じた(収縮した)状態との間で変位する。
【0035】
また、パンタグラフ機構43の上下方向中央に位置する5つのジョイント(節点)44には、支持ロッド45が連結されている。そして、この支持ロッド45は、その上方部位が垂直方向に延びるとともにその基端側(下端部位)にて上下2箇所でそれぞれのガイドレール46に連係されてガイドされており、パンタグラフ機構43の開閉(伸縮)動作に追従してガイドレール46に沿って前後進移動する。なお、搬送方向の先頭の支持ロッド45は、ガイドレール46に固定される。
【0036】
よって、図7,図8等に示すようにパンタグラフ機構43が開いた状態では、支持ロッド45は、その上方部位は一定の間隔をおいて離れ、図9等に示すようにパンタグラフ機構43が閉じた状態では、接近する。また、開いた状態では、前後の支持ロッド45の上方部位の間隔は、バケットコンベア12におけるPTPシート群1の搬送ピッチに一致させているとともに、バケットコンベア12が一時停止した際における各PTPシート群1の停止位置が、開いた状態における各支持ロッド45の位置に一致させている(図7等参照)。
【0037】
図10等に示すように、一対の支持ロッド45は、その内側(バケットコンベア12側)に向けて支持アーム45aが突出するように取り付けられている。この支持アーム45aの先端は、L字状となり、PTPシート群1をその両側から支え持つことができるようになっている。
【0038】
さらに、スライダー47とパンタグラフ機構43との連係は、相対的な上下方向の移動は許容している。つまり、パンタグラフ機構43は、基台49の上にバケットコンベア12の搬送方向に沿って延びるように取り付けられた帯板50上にガイドレール支持板46aを連係させ、このガイドレール支持板46aを介してパンタグラフ機構43が連係される。帯板50の所定位置(前後2箇所)には、帯板50の長手方向と直交する方向に延びるレール50aが形成され、このレール50aにガイドレール支持板46aの下端部が連係されている。これにより、ガイドレール支持板46aは、レール50aに沿って往復移動することができる。
【0039】
つまり、バケットコンベア12を挟んで両側に配置されたガイドレール支持板46aは、係る往復移動をすることで、接近・離反させることができる。よって、このガイドレール支持板46a(ガイドレール46)に連係されるパンタグラフ機構43や、支持ロッド45(支持アーム45a)も、バケットコンベア12に対して接近離反することができる。そして、バケットコンベア12に対してパンタグラフ機構43や、支持ロッド45が離反した状態では、図10等に示すように、支持アーム45aは、PTPシート群1に非接触の状態となり、バケットコンベア12によるPTPシート群1の搬送を許容する。一方、バケットコンベア12に対してパンタグラフ機構43や、支持ロッド45が接近した状態では、図11等に示すように、支持アーム45aは、PTPシート群1の側面から底面に接触してこれを支持・保持する状態となる。
【0040】
なお、係るレール50aに沿った往復移動のための駆動源は、シリンダ・モータ等を別途用意し、適宜のタイミングで往復移動させるようにしても良いし、後述するように、昇降用駆動モータ62の駆動を受けてパンタグラフ機構43並びに支持ロッド45が昇降移動するので、カム機構やリンク機構などを設け、その昇降移動に同期して係る往復移動を行うようにしても良い。
【0041】
一方、基台49の前後方向両端下面には、支柱58が垂下形成されるとともに、その支柱58の下端に底板59が連結されている。そして、その底板59の中央部位にリンク機構60の一端が連結され、そのリンク機構60の他端には昇降用駆動モータ62の出力軸61が連結される。これにより、昇降用駆動モータ62が正逆回転すると、リンク機構60の動作により、図10に示すように底板59が下方に位置する状態と、図11に示すように底板59が上方に位置する状態との間を往復移動(昇降移動)する。そして、この底板59は、支柱58を介して基台49と一体化しているので、係る昇降移動に伴い、基台49ひいては帯板50も昇降移動し、ひいては、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45(支持アーム45a)も昇降移動(図7に示す下降位置と、図8に示す上方位置との間)する。
【0042】
係る構成を採ることで、パンタグラフ機構43が開いて支持ロッド45が所定間隔で離反配置されている状態(このときは、図10に示すように、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45もバケットコンベア12から離反し、支持アーム45aがPTPシート群1に非接触の位置に待避している)で、バケットコンベア12が間欠移動しながら、PTPシート群1を駒立て状態で所定ピッチで搬送し、先頭のPTPシート群1が、先頭(最前方)の支持ロッド45の位置に至ると、そこで一時停止する(図7参照)。
【0043】
次に、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45は、バケットコンベア12に向けて接近移動し、左右に配置された一対の支持ロッド45の間隔が狭くなるようにし、左右一対の支持アーム45aにて各PTPシート群1を下方・側方から支持する。この状態で、昇降用駆動モータ62を動作させ、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45が上昇する。よって、図8に示すように、支持ロッド45の上端(支持アーム45a)が、バケットコンベア12の前フィンガー18a並び後フィンガー18bよりも上方に位置し、図11等に示すように、支持アーム45aで支持されたPTPシート群1は、バケットコンベア12から離脱し、パンタグラフ機構43を備えた集積装置41側に移行する。
【0044】
さらに、この状態から、スライダー47を動作(前進移動)させてパンタグラフ機構43を閉じ、各支持ロッド45を前進移動させる。これにより、図9に示すように、支持ロッド45の上方部位は、前後に接近するため、その支持ロッド45に設けた支持アーム45aで支持されたPTPシート群1も前後に接近することになる。つまり、5束のPTPシート群1が前後に接近・接触してひとまとめになった状態で、バケットコンベア12の搬出側近傍上方空間内で保持される。
【0045】
この5束のPTPシート群1が保持されている上方空間には、供給ロボット42が配置されているので、その供給ロボット42にて5束のPTPシート群1を受け取ると共に、製品供給コンベア2へ受け渡す。すなわち、この供給ロボット42は、水平平面内で旋回し、かつ昇降する第1アーム63と、第1アーム63の先端下方に垂下形成されている第2アーム64と、その第2アーム64の下端に取り付けられた吸着装置65並びに保持爪66,67と、を備えている。
【0046】
第1アーム63と第2アーム64を適宜に動かすことで、第2アーム64の下端に設けた吸着装置65並び保持爪66,67を3次元空間内で移動させることができる。また、吸着装置65は、各PTPシート群1の把束テープ部分を吸引する。また、保持爪66が開閉することで、両保持爪66,67間で5束のPTPシート群1を一括して保持する。よって、図9,図11に示すように、吸着装置65並び保持爪66,67を用いて5束のPTPシート群1を保持した状態で、第2アーム64の下端位置を上昇させると、5束のPTPシート群1は、集積装置41から離脱する。そして、両アーム63,64を適宜に動作させ、吸着装置65並び保持爪66,67を製品供給コンベア2の搬入位置に位置させる。そして、吸着装置65の吸引を解除すると共に、保持爪66を開くことで、5束がひとまとめとなったPTPシート群1を製品供給コンベア2に駒立て状態のまま供給することができる。また、第2アーム64の下方部位は、自転できるようになっているので、起立したPTPシート群1が横に並んだ状態と、前後に並んだ状態のいずれの姿勢でも供給することができる。もちろん、製品供給コンベア2のガイド壁2dの間隔は、5束のPTPシート群1の全体の幅に合わせて調整しておく。
【0047】
また、5束のPTPシート群1を集積装置41から供給ロボット42に移し替える際に、5束のPTPシート群1の全体の中央部位が、第2アーム64の中心(吸着装置65並び保持爪66,67の中心)と一致させるため、本実施形態では、集積装置41に偏心調整機構を設けている。
【0048】
この偏心調整機構は、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45の全体を前後方向に移動させるものである。つまり、偏心調整用単軸ロボット55により、移動台53が前後進移動可能となり、その移動台53の上に、単軸ロボット48を設置すると共に、ガイドスリーブ52を設け、そのガイドスリーブ52内を貫通するように昇降ロッド54を昇降可能に挿入配置する。昇降ロッド54の上端に帯板50を連結する。これにより、偏心調整用単軸ロボット55を動作させることで、パンタグラフ機構43並びに支持ロッド45や、帯板50,単軸ロボット48等の集積する機構全体を前後方向に移動させることができる。さらに、基台49の昇降に伴い帯板50が昇降移動したとしても、帯板50に連結された昇降ロッド54がそれと一体となって昇降移動し、いずれの状態でもガイドスリーブ52に連係され、帯板50も偏心のための前後方向への移動が可能となる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、複数束をひとまとめに移し替える第2移し替え装置40は、5束ずつ纏めて行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、任意の複数束とすることができる。なお、ひとまとめにする束数に応じて、パンタグラフ機構43のリンクの数を変更したり、4束以下であれば、支持ロッド或いは支持アームを適宜取り外すことで対応できる。
【0050】
本実施形態では、PTPシート群を搬送する各コンベアのレベルが同一、或いは、レベルの差が少なくて済むため、設計がし易くなるとともに、製造におけるレベル調整などの作業が簡単に行えるようになる。
【0051】
なお、上述した実施形態並びに変形例では、第2移し替え装置40は、5束その他の複数束を移し替える装置として実現を図っているが、1束用としても用いることができる。つまり、例えば、バケットコンベア12で搬送される先頭のPTPシート群1のみを供給ロボット42で保持すると共に、製品供給コンベア2へ移し替えることで実現できる。そして、例えば、5束と兼用を図る場合、1束ずつ移し替えるためには、例えば、プッシャー装置14の押し出しによるバケットコンベア12のバケット(一組の前フィンガー18aと後フィンガー18b)に対する供給を5回に1回の割合で行うことで対応できる。このようにすれば、前後に4個分の空のバケットが存在することになるので、供給ロボット42で保持するPTPシート群1は、1つとなる。また、この機能を用いることで、第1移し替え装置20を設けない態様を採ることもできる。
【符号の説明】
【0052】
11 搬送コンベア(搬送装置)
12 バケットコンベア(駒立て搬送装置)
20 第1移し替え装置(一束用移し替え装置)
40 第2移し替え装置(複数束用移し替え装置)
41 集積装置
42 供給ロボット
43 パンタグラフ機構
45 支持ロッド
45a 支持アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のPTPシートを積層すると共に、把束テープでバンド掛けされたPTPシート群を、個々のPTPシートが上下に位置する寝た状態で一束ずつ搬送する搬送装置と、
その搬送装置の側方に設けられ、その搬送装置で搬送されるPTPシート群を受け取ると共に、起立させた駒立て状態で搬送する駒立て搬送装置と、
その駒立て搬送装置で搬送されるPTPシート群を先頭から順に1束ずつ受け取ると共に、下流側の搬送手段に受け渡す一束用の移し替え装置と、
その駒立て搬送装置で搬送される前後の複数束のPTPシート群をピックアップすると共に前後の間隔を詰めて集積する集積機能と、その集積機能により集積されてひとまとめになった複数束のPTPシート群をまとめて保持すると共に、前記下流側の搬送手段に受け渡す機能を備えた複数束用の移し替え装置と、を備えたことを特徴とするPTPシート群の供給装置。
【請求項2】
前記集積機能は、各PTPシート群を保持することができる複数の保持部を備え、各保持部はPTPシート群の搬送方向に等間隔で配置され、その間隔をパンタグラフ式の伸縮装置により変更可能にするとともに、PTPシート群を保持した状態で上昇可能となる昇降装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項3】
前記各保持部は左右一対の爪部からなり、左右の爪部の間隔が変更可能になっていることを特徴とする請求項2に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項4】
前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持するに際し、そのPTPシート群の側面を把持するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項5】
前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持するに際し、前記把束テープの部分を吸着する吸着装置を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項6】
前記受け渡す機能は、前記複数のPTPシート群を保持した状態で、水平平面内で回転させ、前記PTPシート群の向きを変えることができる機構を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項7】
前記集積機能は、前記複数のPTPシート群の間隔を詰めて集積すると共に、その集積したひとまとめのPTPシート群を、駒立て搬送装置の搬送方向に沿って移動させる機能をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項8】
前記一束用の移し替え装置は、そのPTPシート群の側面を把持した状態で移行するもであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のPTPシート群の供給装置と、前記下流側の搬送手段を備え、
前記下流側の搬送手段が、プレートコンベア装置であることを特徴とする包装機本体に対する製品供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−6212(P2011−6212A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152251(P2009−152251)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】