説明

PTPシート製造装置

【課題】ポケット部に内容物が収容された遮光性を有する容器フィルムに対して遮光性を有するカバーフィルムを取着した後に内容物の検査を行うとともに、内容物の保護をより確実に図ることのできるPTPシートを製造可能なPTPシート製造装置を提供する。
【解決手段】容器フィルム2及びカバーフィルム5が遮光性を有する材料で構成され、ポケット部3の深さが錠剤7の厚みと同じとなるように形成されるPTPシート1を製造するPTP包装機11は、容器フィルム2に取着されたカバーフィルム5のうち、ポケット部3の開口縁の内周側、かつ、ポケット部3に充填された錠剤7の外周側に位置する部位を押圧し、当該部位をポケット部3の内側に所定量押し込むことのできる押圧部材51と、押圧部材51にて押圧された状態にあるカバーフィルム5を撮像するカメラ43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等を収容するPTPシートを製造するためのPTPシート製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、錠剤を収容するPTPシートは、錠剤が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムにポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
近年では、遮光性や気密性等の向上を図るといった観点から、容器フィルム及びカバーフィルムをアルミニウム等の遮光性を有する材料により形成される場合がある。この場合、容器フィルムにカバーフィルムが取着されてしまうと、ポケット部の内部が視認不可能となる。そこで、容器フィルムにカバーフィルムを取着した後、各ポケット部に錠剤が収容されているか否かを判別するべく、ポケット部の深さを錠剤の厚みよりも浅く構成し、カバーフィルムの盛り上がりを確認することで、錠剤の有無を確認するといった技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−118978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、ポケット部の深さを錠剤の厚みよりも浅くしているため、錠剤とカバーフィルムとが圧接された状態となり、錠剤やカバーフィルムが破損し易くなってしまうことが懸念される。また、錠剤のうちポケット部からはみ出している部位に関しては、容器フィルムによって保護を図ることが不可能であるため、錠剤の破損を招き易くなるおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ポケット部に内容物が収容された遮光性を有する容器フィルムに対して遮光性を有するカバーフィルムを取着した後に内容物の検査を行うとともに、内容物の保護をより確実に図ることのできるPTPシートを製造可能なPTPシート製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.遮光性を有する容器フィルムにポケット部を形成するポケット形成手段と、
前記ポケット部に内容物を投入する投入手段と、
前記ポケット部に前記内容物が投入された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして遮光性を有するカバーフィルムを取着する取着手段とを備え、
前記ポケット部は、その深さが前記内容物の厚みと同じ又は前記内容物の厚みよりも若干深くなるように形成され、
前記容器フィルムに取着された前記カバーフィルムのうち、前記ポケット部の開口縁の内周側、かつ、前記ポケット部に充填された内容物の外周側に位置する部位を押圧し、当該部位を前記ポケット部の内側に所定量押し込むことのできる押圧手段と、
前記押圧手段にて押圧された状態にある前記カバーフィルムを撮像する撮像手段とを備えていることを特徴とするPTPシート製造装置。
【0009】
手段1によれば、内容物の厚みと同じ深さ、又は、内容物の厚みよりも若干深くなるように形成されたポケット部に内容物を収容して、カバーフィルムを取着した後、カバーフィルムを押圧手段で押圧することで、ポケット部に内容物が充填されていれば、カバーフィルムと内容物とが圧接し、カバーフィルムの表面において内容物の輪郭等が浮かび上がることとなる。従って、容器フィルム及びカバーフィルムが遮光性を有する材料で構成され、かつ、内容物の全体がポケット部の内側に収まった状態としても、押圧手段でカバーフィルムを押圧した状態でカバーフィルムを撮像すれば、ポケット部に内容物が充填されているか否かを確実に判別することができる。
【0010】
また、製造されたPTPシートに関し、内容物はポケット部からはみ出す(突出する)ことなく全体がポケット部の内側に収まる構成となっている。このため、例えば、ポケット部が内容物よりも小さく、ポケット部に内容物を充填しても内容物の一部がポケット部からはみ出し、はみ出した内容物に圧接させるようにして無理やりカバーフィルムを取着するといった構成のように、容器フィルムとカバーフィルムとによって内容物が圧縮されるような力が作用し、内容物が破損し易くなってしまうといった事態を回避することができる。さらに、内容物全体が容器フィルムによって保護されることとなる。従って、例えば、PTPシートが落下したり、PTPシートを積み重ねたりした場合等において、内容物に対して比較的大きな力が作用してしまうといった事態を抑制することができる。特に、ポケット部が内容物の厚みよりも若干深くなるように形成された場合、かかる作用効果が一層確実に奏される。尚、押圧手段でカバーフィルムを押圧する際にはカバーフィルムと内容物とが圧接することとなるが、当然、押圧手段の押圧力(押圧量)は内容物等が破損しない程度に適宜設定することができるため、内容物等が破壊されることはない。
【0011】
また、ポケット部からはみ出した内容物をカバーフィルムで覆う場合のように、カバーフィルムが内容物に押されて不用意に破れ易くなったり、カバーフィルムの盛り上がった部位が所定の物体等に対して擦れたり引っ掛かったりして破れ易くなってしまうといった事態を防止することができる。
【0012】
加えて、カバーフィルムは容器フィルムのポケット部の開口側の面に対して平らに取着していけばよいため、取着に関する構成の簡素化や、カバーフィルムの取着不良の抑制等を図ることができる。
【0013】
手段2.前記ポケット形成手段は、前記ポケット部において当該ポケット部に充填された内容物を基準位置に案内する案内部を形成し、
前記押圧手段は、前記カバーフィルムのうち前記案内部に対向する部位を押圧することを特徴とする手段1に記載のPTPシート製造装置。
【0014】
手段2によれば、ポケット部に案内部が形成されることで、ポケット部内の内容物の位置を定めることができる。そして、押圧手段でカバーフィルムのうち案内部に対向する部位を押圧することで、確実にカバーフィルムのうちポケット部の開口縁の内周側かつ内容物の外周側の部位を押圧することができる。従って、押圧手段がカバーフィルム越しに内容物に突き当たってしまい、内容物が破損するといった事態をより確実に防止することができる。
【0015】
手段3.前記押圧手段は、前記内容物の外周全域に沿って、前記カバーフィルムを一度に又は複数回に分けて押圧することを特徴とする手段1又は2に記載のPTPシート製造装置。
【0016】
手段3によれば、内容物の外周全域に沿ってカバーフィルムを押圧し、内容物の外周全域の輪郭等をカバーフィルムの表面に浮き上がらせ、それを撮像・検査することにより、内容物の有無のみならず、内容物の欠けや割れをも検出することができる。
【0017】
尚、押圧手段による内容物の外周全域に沿ったカバーフィルムの押圧を複数回に分けて行う場合には、押圧に起因するカバーフィルムへの負担を軽減させることができ、一方、一度に行う場合には、押圧に関する構成や工程の簡素化、及び時間短縮等を図ることができる。また、内容物の全周に対応する押圧を例えば1点ずつ複数回に分けて行う場合、押圧手段でカバーフィルムを押圧すると、内容物がカバーフィルムに案内されるようにして押圧部位から遠ざかる側に、ポケット部の内周面に近接するようにして変位してしまうことが懸念される。これに対し、ポケット部において、上記手段2の構成に加え、「基準位置にある内容物の外周縁と当接可能に構成され、当該基準位置にある内容物の位置ずれを規制する位置規制部」を設けることによって、押圧手段による押圧を一点だけで行っても、内容物が位置ずれすることなく、その後、別の箇所を押圧するときに位置ずれした内容物に対して押圧手段がカバーフィルム越しに突き当たってしまうといった事態を防止することができる。
【0018】
また、内容物の全周に対応する押圧を一度に行う場合、上記手段2の構成に加え、「前記ポケット部に充填された内容物は、前記案内部によって内容物の外周縁が前記ポケット部の内周面から離間する前記基準位置に案内され、前記押圧手段は、前記容器フィルムに取着された前記カバーフィルムが上方を向くような姿勢となった状態において、前記カバーフィルムを下方に押圧すること」としてもよい。この場合、内容物の外周全域に沿って一度にカバーフィルムを押圧しても、押圧手段がカバーフィルム越しに突き当たってしまうといった事態を確実に防止することができる。
【0019】
手段4.前記押圧手段は、前記容器フィルム及び当該容器フィルムに取着された前記カバーフィルムが上下方向に延在する姿勢となった状態において、前記カバーフィルムを押圧可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート製造装置。
【0020】
手段4によれば、カバーフィルムが取着された容器フィルムを上下に延在する向きとすることで、ポケット部に収容された内容物をポケット部の下部に寄せることができる。従って、その上方に形成されたポケット部の空間に対応して押圧手段によるカバーフィルムの押圧を行うことで、押圧手段がカバーフィルムを介して内容物に突き当たってしまうといった事態を確実に回避することができる。
【0021】
手段5.前記カバーフィルムは前記ポケット部を閉塞する閉塞部と、前記容器フィルムのうち少なくとも前記ポケット部の開口周縁のフランジ部に取着される取着部とを備え、
前記押圧手段は、前記閉塞部のうち前記内容物の外周側に位置する部位に接触して当該部位を前記ポケット部の内側に押し込むことのできる押圧部と、前記押圧部と前記カバーフィルムとが接触した状態において前記取着部に対向するベース部とを備え、
前記押圧部は、前記ベース部のうち前記取着部との対向面から突出するとともに、前記押圧部の前記ベース部からの突出長は、予め定められた前記カバーフィルムの押し込み量に相当することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【0022】
手段5によれば、押圧手段の押圧部でカバーフィルムを予め定められた押し込み量だけ押し込むと、押圧手段のベース部とカバーフィルムの取着部とが当接し、それ以上の押し込みが制限されることとなる。従って、押圧部によるカバーフィルムの過度な押し込みが規制されることとなり、カバーフィルムの破れや錠剤の破壊等をより確実に抑制することができる。また、カバーフィルムを所望の押し込み量だけ押し込むための構成、すなわち、押圧部のカバーフィルムを押し込む動作を、所望の押し込み量だけ押し込んだときに即時に止める構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図である。
【図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
【図3】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
【図4】押圧検査装置等を示す断面模式図である。
【図5】押圧検査装置等を示す断面模式図である。
【図6】カメラの撮像画像を示す説明図であり、(a)は錠剤がポケット部に収容されている場合を示し、(b)は収容されていない場合を示す。
【図7】別の実施形態における押圧検査装置等を示す断面模式図である。
【図8】別の実施形態におけるPTPシートの部分拡大断面図である。
【図9】別の実施形態における押圧検査装置を用いた検査方法を説明するための一部断面を含む平面模式図である。
【図10】別の実施形態における押圧検査装置等を示す断面模式図である。
【図11】別の実施形態における押圧検査装置等を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部3を備えた容器フィルム2と、ポケット部3を塞ぐようにして容器フィルム2に取着されたカバーフィルム5とを有している。本実施形態における容器フィルム2及びカバーフィルム5はいずれもアルミニウムにより形成されている。また、PTPシート1は、容器フィルム2及びカバーフィルム5から形成された帯状のPTPフィルム6(図1(b)参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0025】
図2に示すように、ポケット部3は、略円盤状の底壁部3aと、底壁部3aの周縁部から逆テーパ状に拡開しつつ延出する側壁部3bとを備え、各ポケット部3には、内容物としての錠剤7が1つずつ収容されている。本実施形態では、錠剤7として角部が面取り加工された円形の平錠がポケット部3に収容され、ポケット部3は、底壁部3aが錠剤7と面で当接可能な形状に構成されている。尚、PTPシート1(PTPフィルム6)の断面等を示す図2等では、便宜上、錠剤7を断面ではなく側面から見たものとして示す。
【0026】
また、ポケット部3の深さ、すなわち、容器フィルム2のうちポケット部3の開口縁から延出し、複数のポケット部3の間を連結する平板状部位(以下、フランジ部4と称する)の垂線方向において、ポケット部3の底壁部3aの底面(ポケット部3の開口側の面)と、フランジ部4のカバーフィルム5が取着される面との間の距離が、錠剤7の厚みと同じとなっている。このため、カバーフィルム5が取着された状態では、錠剤7が、ポケット部3の底壁部3aと、カバーフィルム5とに当接した状態とされる。以下、カバーフィルム5のうち、ポケット部3を閉塞する部位を閉塞部5aとも称し、フランジ部4に取着(貼着)されている部位を取着部5bとも称する。
【0027】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTPシート製造装置としてのPTP包装機11の概略について説明する。
【0028】
図3に示すように、PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム2の原反がロール状に巻回されている。PTP包装機11においては、ロール状に巻回された容器フィルム2が間欠的に移送されるようになっており、容器フィルム2の移送経路に沿って、ポケット形成手段としてのポケット部形成装置13が配置されている。このポケット部形成装置13により、容器フィルム2の移送動作間のインターバルにおいて、容器フィルム2に上記ポケット部3が形成される。
【0029】
さらに、ポケット部3が形成された容器フィルム2の移送経路に沿って、投入手段としての錠剤投入装置16、検査装置17、フィルム受けローラ18が配設されている。
【0030】
錠剤投入装置16は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤7を自由落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部3に錠剤7が投入される。
【0031】
検査装置17は、照明装置やカメラ等を備えている(図示略)。照明装置及びカメラは、ポケット部3の開口部側(上側)に配置されている。このような構成の下、照明装置から照射される光が錠剤7等を照らし、錠剤7等から反射した光がカメラによって撮像される。そして、検査装置17は、カメラにより撮像された画像データに基づき、各ポケット部3における錠剤7の有無、錠剤7のヒビ割れの有無、異物の混入等に係る検査を行う。
【0032】
また、帯状に形成されたカバーフィルム5の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。当該カバーフィルム5の引出し端は、フィルム受けローラ18の方へと案内されている。フィルム受けローラ18には、加熱ローラ19が圧接可能となっており、両ローラ18,19間に容器フィルム2及びカバーフィルム5が送り込まれるようになっている。
【0033】
そして、容器フィルム2及びカバーフィルム5が、両ローラ18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム2(フランジ部4)のポケット部3の開口側の面にカバーフィルム5が貼着され、ポケット部3がカバーフィルム5で塞がれる。これにより、錠剤7が各ポケット部3に充填されたPTPフィルム6(図1(b)参照)が製造される。尚、容器フィルム2及びカバーフィルム5はアルミニウム製であることから、ポケット部3がカバーフィルム5によって閉塞されると、ポケット部3の内部を視認不可能となる。また、フィルム受けローラ18及び加熱ローラ19により本実施形態における取着手段が構成される。
【0034】
フィルム受けローラ18の下流では、PTPフィルム6の移送経路に沿って、押圧検査装置21、スリット形成装置22、刻印装置23及びシート打抜装置24が順に配設されている。スリット形成装置22は、PTPフィルム6の所定位置にスリット(ミシン目)を形成する機能を有する。刻印装置23はPTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印を付す機能を有する。シート打抜装置24は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。尚、押圧検査装置21の詳細については後述する。
【0035】
前記シート打抜装置24の下流側には、シート打抜装置24からの端材25を貯留するためのスクラップ用ホッパ26が設けられている。また、シート打抜装置24の下方には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア28が設けられている。打ち抜かれたPTPシート1は、前記コンベア28によって、完成品用ホッパ(図示略)に移送される。その後、完成品用ホッパに収容されたPTPシート1は、2枚1組で互いのポケット部3同士を向き合うようにしてセットされた上で、複数組ずつ集積され積上げられる。最終的には、バンド(結束)工程や、製袋工程へと案内され、箱詰めされる。但し、検査装置17や押圧検査装置21によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0036】
尚、容器フィルム2やPTPフィルム6は、複数のローラを介して移送されるようになっている。また、ローラのうち、ポケット部3の膨出側に面するローラ18、31、32、33、34、35は、そのローラ表面とポケット部3とが対向する位置関係となっているが、これらフィルム受けローラ18等の表面には、ポケット部3が収容される凹部が形成されているため、基本的にはポケット部3が潰れてしまうことがない。また、ポケット部3がフィルム受けローラ18等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作等が確実に行われる。
【0037】
一方、容器フィルム2のうちポケット部3の開口側の面やPTPフィルム6のカバーフィルム5に接するローラ19、36、37には凹部は形成されていない。つまり、本実施形態では、錠剤7の全体がポケット部3の内側に収まる構成であるため、PTPフィルム6のカバーフィルム5に圧接するローラ19、37に対して、例えば、ポケット部3からはみ出した錠剤7及びこれを覆うカバーフィルム5の錠剤7により盛り上った部分を収容するための凹部を形成するといった必要がなく、凹部のないローラ19、37をカバーフィルム5に圧接させても錠剤7が破損してしまうことがない。
【0038】
PTP包装機11の概略は以上のとおりであるが、以下において押圧検査装置21について詳しく説明する。
【0039】
図4等に示すように、押圧検査装置21は、容器フィルム2に貼着されたカバーフィルム5をポケット部3の内側に所定量押し込むことのできる押圧手段としての押圧装置41と、カバーフィルム5に光を照射する照明装置42と、押圧装置41で押圧された状態のカバーフィルム5を撮像する撮像手段としてのカメラ43とを備えている。また、本実施形態では、押圧検査装置21は、ポケット部3に錠剤7が充填され、かつ、容器フィルム2にカバーフィルム5が貼着されたPTPフィルム6を略水平に移送する箇所(カバーフィルム5が上方を向いている箇所)において配置されている(図3参照)。
【0040】
押圧装置41は、移送されるPTPフィルム6の上方に配置され、カバーフィルム5を押圧可能な押圧部材51と、押圧部材51を上下動させる図示しない押圧駆動装置と、移送されるPTPフィルム6の下方に配置され、押圧部材51によって押圧されるPTPフィルム6の容器フィルム2を支持する支持部材55と、支持部材55を上下動させる図示しない支持駆動装置とを備えている。
【0041】
押圧部材51は、移送方向及び移送方向とは直交する方向に並ぶ複数のポケット部3に対応して上下に貫通する複数の貫通孔53が形成された略平板状のベース部52と、各貫通孔53を囲むようにしてベース部52の下面に溶接された押圧部としての押圧リング54とを備えている。押圧リング54の内径は、錠剤7の直径よりも大きく、かつ、押圧リング54の外径は、ポケット部3の開口縁の内径よりも小さく構成されている。また、貫通孔53の内径は、押圧リング54の内径とほぼ同じとなるように構成され、押圧リング54は、ベース部52の下面の貫通孔53の周縁部から下方に突出するようにして設けられている。
【0042】
本実施形態では、押圧リング54によって、カバーフィルム5の閉塞部5aのうち、上下方向においてポケット部3の側壁部3bと対向する部位を押圧し、当該部位をポケット部3の内側へ所定量押し込むようになっている。上記のように、本実施形態では、ポケット部3の内周面を構成する側壁部3bが傾斜していることから、ポケット部3に充填された錠剤7は、側壁部3bによってポケット部3の中央部側(底壁部3a)に案内される。このため、カバーフィルム5のうち上下方向においてポケット部3の側壁部3bと対向する部位を押圧リング54によって押圧するよう設定することで、カバーフィルム5のうちポケット部3の開口縁の内周側、かつ、ポケット部3に収容された錠剤7の外周側の部位をポケット部3の内側に押し込むことができる。従って、押圧リング54がカバーフィルム5を介して錠剤7に突き当たるといった事態が回避される。本実施形態では、ポケット部3の側壁部3bが案内部を構成し、錠剤7が底壁部3aに載置される位置が基準位置に相当する。
【0043】
また、押圧リング54によるカバーフィルム5の押し込み設定量は、予め実施される検証によって、カバーフィルム5を押し込んだ際にカバーフィルム5及び錠剤7にかかる圧力がカバーフィルム5を破らず、かつ、錠剤7を破損させない程度の範囲内となるように設定されている。本実施形態では、押圧リング54のベース部52下面からの突出長は、その押し込み設定量に対応しており、押圧リング54でカバーフィルム5を設定量以上押し込もうとしても、ベース部52の下面がカバーフィルム5のうちフランジ部4に貼着された取着部5bの表面(上面)に当接し、それ以上押し込めないようになっている。
【0044】
支持部材55は、その上面側において、PTPフィルム6の移送方向及び移送方向とは直交する方向に並ぶ複数のポケット部3を収容可能な収容凹部57を有している。本実施形態の収容凹部57は、押圧部材51の貫通孔53(押圧リング54)に対応して形成されている。そして、収容凹部57に収容されたポケット部3を閉塞するカバーフィルム5の閉塞部5aが押圧リング54によって押圧される構成となっている。また、支持部材55の上面は平滑面であり、収容凹部57にポケット部3を収容することで、支持部材55の上面と、容器フィルム2のフランジ部4とが面で当接するようになっている。
【0045】
照明装置42は、押圧装置41の上方に設けられ、カバーフィルム5を押圧リング54で押圧した状態にある押圧部材51の各貫通孔53に対して真上から光を照射可能に構成されている。但し、照明装置42は、貫通孔53に対して直接光を照射するのではなく、貫通孔53の真上から外れた位置において、ベース部52と平行に(略水平方向に)光を照射する構成となっており、その光をハーフミラー45で下方に反射させることで、照明装置42の光が貫通孔53に照射されるようになっている。また、本実施形態では、押圧リング54でカバーフィルム5の閉塞部5aを押圧した状態においては、貫通孔53及び押圧リング54の内周側において閉塞部5aが上方に露出する構成となっている。このため、照明装置42から照射された光は、貫通孔53及び押圧リング54を介して閉塞部5aに入射するとともに、アルミニウム製のカバーフィルム5(閉塞部5a)において反射されることとなる。
【0046】
カメラ43は、ハーフミラー45の上方に配置されており、カバーフィルム5(閉塞部5a)に反射した照明装置42の光のうち、ほぼ鉛直に上方に向けて進む光がハーフミラー45を介してカメラ43に入射し、カメラ43によって撮像されることとなる。本実施形態では、カメラ43の撮像時においては、カバーフィルム5の閉塞部5aが押圧リング54により押圧されてポケット部3の内側に所定量押し込まれている。このため、図5に示すように、ポケット部3に錠剤7が収容されていれば、錠剤7と押圧リング54とにかけてカバーフィルム5が傾斜するような格好となり、カバーフィルム5(閉塞部5a)の表面には錠剤7の輪郭が浮かび上がる。従って、閉塞部5aのうち、錠剤7と接触している部位に入射した光はほぼ鉛直方向に反射され、錠剤7と押圧リング54との間に位置する傾斜部位に入射した光は上方かつ貫通孔53の遠心方向(カメラ43から外れる方向)に向けて反射されることとなる。このため、図6(a)に示すように、カメラ43で撮像された押圧リング54の内周側の画像は、錠剤7の存在部位が明部44aとなり、その外周側が暗部44bなる。すなわち、明部44aと暗部44bとの境界によって錠剤7の輪郭を把握することができる。
【0047】
一方、ポケット部3に錠剤7が収容されていない場合においては、押圧リング54に押圧されたカバーフィルム5を支持する錠剤7がないことから、カバーフィルム5のうち押圧リング54の内周側の部位が略面一となる。従って、図6(b)に示すように、押圧リング54の内周側の部位は全て明部44aとなる。すなわち、錠剤7が収容されている場合に比べ、明部44aの直径等が明らかに異なる。
【0048】
次に、押圧検査装置21を用いたPTPフィルム6の検査工程について説明する。
【0049】
PTPフィルム6の移送中においては、図4に示すように、押圧部材51及び支持部材55はPTPフィルム6から離間している。PTPフィルム6の移送が停止されると、図5に示すように、支持部材55が上昇し、収容凹部57にポケット部3が収容されるとともに、支持部材55の上面と容器フィルム2のフランジ部4の下面とが当接又は近接状態とされる。
【0050】
さらに、押圧部材51が下降し、カバーフィルム5の閉塞部5aが押圧リング54に押圧されてポケット部3の内側に押し込まれる。このとき、フランジ部4が支持部材55に当接して支持されることとなる。また、本実施形態では、ベース部52の下面と、PTPフィルム6のカバーフィルム5(取着部5b)とが当接するまで押圧部材51が下降する構成となっている。尚、押圧リング54によって、カバーフィルム5の各閉塞部5aが錠剤7の外周全域に沿って押圧されるため、ポケット部3に錠剤7が収容されている場合、閉塞部5aの表面には、錠剤7の全周の輪郭が浮かび上がることとなる。
【0051】
その後、照明装置42から光を照射するとともに、閉塞部5aにて反射した光をカメラ43にて撮像する。そして、カメラ43により撮像された画像データに基づき、図示しない画像処理手段等によって各ポケット部3における錠剤7の有無、及び、錠剤7の割れや欠け等に係る検査を行う一方で、押圧部材51及び支持部材55をPTPフィルム6から離間させる。以上のようにして、PTPフィルム6の検査工程が終了する。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態によれば、錠剤7の厚みと同じ深さとなるように形成されたポケット部3に錠剤7を収容して、カバーフィルム5を取着した後、カバーフィルム5を押圧装置41で押圧することで、ポケット部3に錠剤7が充填されていれば、カバーフィルム5と錠剤7とが圧接し、カバーフィルム5の表面において錠剤7の輪郭等が浮かび上がることとなる。従って、容器フィルム2及びカバーフィルム5がアルミニウムで構成され、かつ、錠剤7の全体がポケット部3の内側に収まった状態としても、押圧装置41でカバーフィルム5を押圧した状態でカバーフィルム5を撮像すれば、ポケット部3に錠剤7が充填されているか否かを確実に判別することができる。
【0053】
また、製造されたPTPシート1に関し、錠剤7はポケット部3からはみ出す(突出する)ことなく全体がポケット部3の内側に収まる構成となっている。このため、例えば、ポケット部3が錠剤7よりも小さく、ポケット部3に錠剤7を充填しても錠剤7の一部がポケット部3からはみ出し、はみ出した錠剤7に圧接させるようにして無理やりカバーフィルム5を取着するといった構成のように、容器フィルム2とカバーフィルム5とによって錠剤7が圧縮されるような力が作用し、錠剤7が破損し易くなってしまうといった事態を回避することができる。さらに、錠剤7全体が容器フィルム2によって保護されることとなり、例えば、PTPシート1が落下したり、PTPシート1を積み重ねたりした場合等において、錠剤7に対して比較的大きな力が作用してしまうといった事態を抑制することができる。尚、押圧装置41でカバーフィルム5を押圧する際にはカバーフィルム5と錠剤7とが圧接することとなるが、押圧部材51の押圧力(押圧量)は錠剤7やカバーフィルム5が破損しない程度に設定されているため、錠剤7やカバーフィルム5が破損することはない。
【0054】
さらに、ポケット部3からはみ出した錠剤7をカバーフィルム5で覆う場合のように、カバーフィルム5が錠剤7に押されて不用意に破れ易くなったり、カバーフィルム5の錠剤7により盛り上がった部位が所定の物体等に対して擦れたり引っ掛かったりして破れ易くなってしまうといった事態を防止することができる。
【0055】
加えて、錠剤7の全体がポケット部3に収まっていることから、カバーフィルム5は容器フィルム2のポケット部3の開口側の面に対して平らに貼着していけばよい。このため、例えば、錠剤7がポケット部3からはみ出している場合のように、ローラ19、37の外周面に対してポケット部3からはみ出した錠剤7及びカバーフィルム5の閉塞部5aを収容可能な凹部を形成する等しなくても済み、構成の簡素化やカバーフィルム5の貼着不良の抑制等を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態のポケット部3は、円盤状の底壁部3aの外周縁から側壁部3bが逆テーパ状に傾斜して延びており、中央部が最も深くなる構成となっている。このため、ポケット部3に投入された錠剤7は側壁部3bによってポケット部3の中央部に案内されることとなり、結果的に、ポケット部3内の錠剤7の位置を定めることができる。そして、押圧リング54でカバーフィルム5のうち側壁部3bに対向する部位を押圧することで、確実にカバーフィルム5のうちポケット部3の開口縁の内周側かつ錠剤7の外周側の部位を押圧することができる。従って、押圧リング54がカバーフィルム5越しに錠剤7に突き当たってしまい、錠剤7が破損するといった事態をより確実に防止することができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、押圧リング54によって、錠剤7の外周全域に沿ってカバーフィルム5を一度に押圧する構成となっている。このように、錠剤7の外周全域に沿ってカバーフィルム5を押圧し、錠剤7の外周全域の輪郭等をカバーフィルム5の表面に浮き上がらせ、それを撮像・検査することにより、錠剤7の有無のみならず、錠剤7の欠けや割れをも検出することができる。また、押圧リング54でカバーフィルム5を押圧することで、錠剤7の全周にわたる検査を一度に行うことができるため、1つのポケット部3に対応して閉塞部5aを何回か押圧することで錠剤7の全周にわたる検査を行う場合に比べ、構成や工程の簡素化、及び時間短縮等を図ることができる。さらに、押圧リング54で錠剤7の外周全域に沿って閉塞部5aを一度に押圧するため、ポケット部3の内部で錠剤7が位置ずれするといった事態を防止することができる。
【0058】
また、押圧部材51の押圧リング54でカバーフィルム5を予め定められた押し込み量だけ押し込むと、押圧部材51のベース部52と、カバーフィルム5の取着部5bとが面当接する。これにより、支持部材55で支持されたフランジ部4によってベース部52が支持され、それ以上押し込めないようになっている。従って、押圧部材51によるカバーフィルム5の過度な押し込みが規制されることとなり、カバーフィルム5の破れや錠剤7の破壊等をより確実に抑制することができる。加えて、押圧部材51は、ベース部52とPTPフィルム6(カバーフィルム5)とが当接するまで下降する構成となっているため、カバーフィルム5を所望の押し込み量だけ押し込むための構成、すなわち、押圧部材51のカバーフィルム5を押し込む動作を、所望の押し込み量だけ押し込んだときに即時に止める構成の簡素化を図ることができる。
【0059】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0060】
(a)上記実施形態では、照明装置42の光が、ベース部52に形成された貫通孔53に対して真上から照射されるように構成されているが、例えば、図7に示すように、貫通孔53に対して斜め上方から照射されるように構成してもよい。この場合、押圧リング54で押圧されたカバーフィルム5の閉塞部5aのうち、錠剤7の角部に圧接して屈曲させられた部位において反射した照明装置42の光の一部がカメラ43に入射することとなり、カメラ43の撮像画像としては、錠剤7の輪郭に沿って明るくなり、その他(錠剤7の輪郭の内側及び外側)が暗くなる。すなわち、錠剤7の輪郭を示すリング状の明部の有無や欠け等を検査することで、錠剤7の有無、錠剤7の割れや欠け等の検査を行うことができる。
【0061】
また、カメラ43で撮像された画像の明暗で錠剤7の検査を行うのではなく、図11に示すように、距離を計測可能な計測手段63を用いて、計測手段63とカバーフィルム5の閉塞部5a(押圧リング54の内周側の部位)との距離を測ることで錠剤7の検査を行うこととしてもよい。すなわち、カバーフィルム5が押圧されたときに、錠剤7があれば、図11(a)に示すように、カバーフィルム5が錠剤7に支持されて計測手段63との距離が近くなり、錠剤7がなければ、図11(b)に示すように、カバーフィルム5が錠剤7に支持されず、計測手段63との距離が遠くなる。従って、距離を測ることでも確実に錠剤7の有無を判別することができる。
【0062】
(b)ポケット部3の断面形状は特に限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、ポケット部3を、円盤状の底壁部3aと、底壁部3aの外周から底壁部3aの略垂線方向に延出する位置規制部としての筒壁部3cと、筒壁部3cの先端縁から逆テーパ状に拡開するようにして延出する側壁部3bとから構成し、底壁部3aを側壁部3bの下縁部よりも一段深い位置に形成することとしてもよい。また、筒壁部3cは錠剤7が底壁部3aに接した状態において錠剤7の外周縁と当接可能に構成されていることとしてもよい。このような構成を採用する場合、ポケット部3に収容された錠剤7の位置ずれをより確実に防止することができる。従って、カバーフィルム5のうち筒壁部3cとフランジ部4との間の側壁部3bと対向する部位を押圧リング54で押圧すれば、より確実に押圧リング54がカバーフィルム5越しに錠剤7に突き当たってしまうといった事態を回避することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、ポケット部3を円盤状の底壁部3aと、テーパ状の側壁部3bとにより構成しているが、例えば、ポケット部3の底面又はポケット部3の全体を断面略円弧状に構成することとしてもよい。
【0064】
(c)上記実施形態では、押圧装置41の押圧リング54によって錠剤7の外周全域に沿ってカバーフィルム5を押圧し、錠剤7の全周にわたる検査を一度に行っているが、図9に示すように、円弧状の押圧部61を用いて、錠剤7の全周にわたる検査を複数回に分けて行うこととしてもよい。当該構成を採用する場合、押圧に起因するカバーフィルム5への負担を軽減させることができる。
【0065】
尚、錠剤7の全周に対応する押圧を1点ずつ複数回に分けて行う場合、押圧部61でカバーフィルム5を押圧すると、錠剤7がカバーフィルム5に案内されるようにして押圧部位(押圧部61)から遠ざかる側にポケット部3の側壁部3bに近接するようにして変位してしまうことが懸念される。この場合、例えば、ポケット部3内で変位した錠剤7がポケット部3とカバーフィルム5とで挟持されるようにして、変位した位置で留まってしまうと、同ポケット部3に対応して閉塞部5aのその他の箇所を押圧する際に、押圧部61がカバーフィルム5越しに錠剤7に突き当たってしまうおそれがある。
【0066】
この点、上記(b)に記載のように、錠剤7がカバーフィルム5に押圧されても側壁部3bに載置される位置にまで変位しないように構成したり(図8参照)、カバーフィルム5の閉塞部5aうち錠剤7を挟んで対向する部位を一度に押圧したり、ポケット部3を錠剤7の厚みよりも若干深く構成し、錠剤7がカバーフィルム5に押圧されて変位しても、押圧が解徐されれば錠剤7が自重により基準位置へと戻ることができるように構成したりすることで、かかる不具合を抑制することができる。但し、カバーフィルム5を押圧することで錠剤7の輪郭をカバーフィルム5の表面に浮かび上がらせるといった観点からすると、ポケット部3内の錠剤7の変位を規制する構成を採用することが望ましい。
【0067】
(d)上記実施形態では、ポケット部3の深さが錠剤7の厚みと同じとなっているが、ポケット部3の深さを錠剤7の厚みよりも若干深くしてもよい。当該構成を採用することで、例えば、ポケット部3やカバーフィルム5の閉塞部5aに対して外部から衝撃が加えられた場合に、錠剤7にかかる力をより緩和することができ、錠剤7の保護を一層確実に図ることができる。但し、ポケット部3の深さから押圧リング54によるカバーフィルム5の押し込み量(長)を引いた長さが、錠剤7の厚みよりも短く、押圧リング54でカバーフィルム5を押圧してポケット部3内に押し込むと、カバーフィルム5と錠剤7とが圧接する構成とする。
【0068】
(e)上記実施形態では、カバーフィルム5が上側を向く姿勢で押圧検査装置21による検査が行われる構成となっているが、検査時のPTPフィルム6の姿勢は特に限定されるものではなく、カバーフィルム5越しに錠剤7に突き当たらないように押圧装置41でカバーフィルム5を押圧できるように構成されていればよい。また、上記実施形態では、錠剤7の全周にわたる検査を行うことで、錠剤7の有無のみならず、欠けや割れについても検出可能に構成されているが、各ポケット部3に対応して閉塞部5aの少なくとも一点を押圧し、錠剤7の有無を確認するだけの構成としてもよい。
【0069】
例えば、図10に示すように、PTPフィルム6が上下に延在する状態で押圧検査手段21による検査を行うこととしてもよい。すなわち、PTPフィルム6が上下に延在する向きとされると、ポケット部3に収容された錠剤7は、自重によってポケット部3の下側に移動することとなる。従って、錠剤7をポケット部3の下部(一側部)に寄せることができ、その上方(他側部)に形成されたポケット部3の空間に対応してカバーフィルム5を押圧装置41の押圧部62で押圧することで、押圧装置41がカバーフィルム5を介して錠剤7に突き当たってしまうといった事態を確実に回避することができる。また、ポケット部3の形状によって錠剤7の案内や位置決めを行う必要がなく、ポケット部3やポケット部形成装置13の構成の簡素化等を図ることができる。尚、当該構成を採用する場合、ポケット部3の深さを錠剤7の厚みよりも若干深く形成することが望ましい。
【0070】
(f)押圧検査装置21による検査が行われるタイミングは、容器フィルム2にカバーフィルム5を取着した後であればよく、例えば、スリット形成装置22によってPTPフィルム6にスリットが形成された後、押圧検査装置21による検査を行うこととしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、支持部材55に対してポケット部3を収容可能な収容凹部57を形成することで、ポケット部3を潰すことなく、押圧リング54に押圧されるPTPフィルム6を支持する構成となっているが、例えば、収容凹部57に代えて、支持部材55に対してポケット部3を挿通可能な孔部を形成することとしてもよい。
【0072】
さらに、押圧部材51に設けられる貫通孔53及び押圧リング54の数は特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。また、例えば、PTPフィルム6は移送方向において並ぶポケット部3のn個分の距離だけ順次間欠移送される構成において、押圧部材51は、PTPフィルム6の移送方向において並ぶn個のポケット部3に対応してカバーフィルム5の閉塞部5aを、移送方向とは直交する方向において1列おきに一度に押圧する第1区間と、第1区間で押圧されなかった閉塞部5aを押圧する第2区間とを備えていることとしてもよい。
【0073】
(g)上記実施形態では、押圧検査装置21による検査に際し、ベース部52とカバーフィルム5とが当接するまで押圧部材51が下降する構成となっているが、ベース部52とカバーフィルム5とが近接するまでとしてもよい。すなわち、押圧部材51でカバーフィルム5を押圧することで、カバーフィルム5の表面に錠剤7の輪郭の少なくとも一部が浮かび上がるように、かつ、ベース部52とカバーフィルム5とが当接するまで押圧部材51が下降したとしても、錠剤7やカバーフィルム5が破損しないようになっていればよい。
【0074】
(h)容器フィルム2及びカバーフィルム5の素材はアルミニウムに限定されるものではなく、他の素材、例えばフィルム層がコーティングされたアルミラミネートフィルム等を採用してもよい。さらに、遮光性を有するものであれば、金属材料に限らず、例えば合成樹脂材料等を採用してもよい。
【0075】
また、ポケット部3に収容される錠剤7の形状や種類は特に限定されるものではなく、例えば、平面視で略三角形状、略楕円形状、略四角形状、略菱形状等であってもよく、R錠、レンズ錠等であってもよく、素錠、糖衣錠、フィルムコート錠、カプセル錠等であってもよい。さらに、ポケット部3に収容される内容物としては錠剤7に限定されるものではなく、上記実施形態のように押圧部材51に押圧されたカバーフィルム5に圧接状態とされても形状が維持される程度の硬度を有するものであればよい。
【符号の説明】
【0076】
1…PTPシート、2…容器フィルム、3…ポケット部、3a…底壁部、3b…側壁部、4…フランジ部、5…カバーフィルム、5a…閉塞部、6…PTPフィルム、7…錠剤、11…PTP包装機、14…ポケット部形成装置、16…錠剤投入装置、18…フィルム受けローラ、19…加熱ローラ、21…押圧検査装置、41…押圧装置、42…照明装置、43…カメラ、52…ベース部、54…押圧リング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性を有する容器フィルムにポケット部を形成するポケット形成手段と、
前記ポケット部に内容物を投入する投入手段と、
前記ポケット部に前記内容物が投入された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして遮光性を有するカバーフィルムを取着する取着手段とを備え、
前記ポケット部は、その深さが前記内容物の厚みと同じ又は前記内容物の厚みよりも若干深くなるように形成され、
前記容器フィルムに取着された前記カバーフィルムのうち、前記ポケット部の開口縁の内周側、かつ、前記ポケット部に充填された内容物の外周側に位置する部位を押圧し、当該部位を前記ポケット部の内側に所定量押し込むことのできる押圧手段と、
前記押圧手段にて押圧された状態にある前記カバーフィルムを撮像する撮像手段とを備えていることを特徴とするPTPシート製造装置。
【請求項2】
前記ポケット形成手段は、前記ポケット部において当該ポケット部に充填された内容物を基準位置に案内する案内部を形成し、
前記押圧手段は、前記カバーフィルムのうち前記案内部に対向する部位を押圧することを特徴とする請求項1に記載のPTPシート製造装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記内容物の外周全域に沿って、前記カバーフィルムを一度に又は複数回に分けて押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のPTPシート製造装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記容器フィルム及び当該容器フィルムに取着された前記カバーフィルムが上下方向に延在する姿勢となった状態において、前記カバーフィルムを押圧可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート製造装置。
【請求項5】
前記カバーフィルムは前記ポケット部を閉塞する閉塞部と、前記容器フィルムのうち少なくとも前記ポケット部の開口周縁のフランジ部に取着される取着部とを備え、
前記押圧手段は、前記閉塞部のうち前記内容物の外周側に位置する部位に接触して当該部位を前記ポケット部の内側に押し込むことのできる押圧部と、前記押圧部と前記カバーフィルムとが接触した状態において前記取着部に対向するベース部とを備え、
前記押圧部は、前記ベース部のうち前記取着部との対向面から突出するとともに、前記押圧部の前記ベース部からの突出長は、予め定められた前記カバーフィルムの押し込み量に相当することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のPTPシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−25482(P2012−25482A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168761(P2010−168761)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】