説明

QoS保障型ネットワークシステム、集中制御装置、及び集中制御装置の制御方法

【課題】高信頼で高品質の次世代のネットワークを、利用者が利用したいタイミングで利用可能にする。
【解決手段】経路を計算・管理する集中制御装置とネットワーク制御装置とから構成されたネットワーク制御システムにおいて、集中制御へのユーザ要求応じて、経路を計算後、必要なタイミングで経路をネットワークに反映し、ネットワークを利用可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯域品質保証型ネットワークシステム、集中制御装置、及びその制御方法に関し、例えば、MPLS(Multi Protocol Label Switching)ネットワーク等のラベルスイッチングネットワークにおいて、QoS(Quality of Service)を保障するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にネットワークには最善型ネットワークと呼ばれる、経路を割り当てただけのネットワークと、利用する帯域の品質を保証したQoS保障型ネットワークが存在する。近年、テレビ会議、映像配信等の多種多様なデータ、利用方法の普及とデータ量の増大に伴い、これまでの最善型ネットワークでは品質の面で大きな問題となってきている。このため、データ転送に対しQoSの高いネットワークが必要とされている。その結果、QoSを保証するための多くの方法が開発されている。
【0003】
このような技術を利用して、QoSを保障するためのネットワークとしてMPLSなどのラベルスイッチ技術を利用したネットワークが開発されている。例えば、特許文献1には、MPLSネットワークの構造をより簡素化することを目的として、ラベルスイッチング技術を利用したネットワークを集中管理することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開2006−180494
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、帯域を保障するための集中制御に関する問題は解決しているものの、利用者が保障された帯域を一時的に確保するための仕組みとして必要である帯域の管理方法や利用方法について解決するものではない。従って、ネットワークを十分有効に活用するものではなかった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザ要求に応じて一時的に経路を制御し、ネットワークにおける帯域を有効に活用するための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、ラベルスイッチングネットワークにおいて、集中制御装置が、認証装置で認証されたユーザの利用可能帯域管理機能および利用登録(契約)機能、及びユーザ毎の最大割り当て可能帯域値による割り当ての制限機能を有している。集中制御装置(ユーザ要求受付管理部)は、あらかじめユーザにより指定された制限帯域を管理している。上記制限機能は、集中制御装置が、利用者が経路を要求する際に確保されている帯域ならびに、確保しようとする帯域の総和で制限帯域の超過チェックを行うことにより実現する。
【0008】
集中制御装置は、トポロジ情報を管理し、時間を考慮した経路計算を実行する。また、この集中制御装置は、一般的な最大流量計算によって得られる全ルート探索に加え、時系列のリンク使用状態に基づく経路の時間別帯域状態を考慮し、最終経路を選択することが出来るようになっている。
【0009】
さらに、集中制御装置は、ユーザ要求と経路計算の結果を管理する経路管理部により一元管理を行うことで、経路(ノード、リンク)障害に伴う影響度合いをユーザ別に判断する機能を有している。また、集中制御装置は、経路計算の結果をラベルスイッチングネットワークに反映させる時刻を管理するためのスケジュール管理機能を有しており、これによりあらかじめユーザによって指定された時刻、或いは時間帯において経路を確保することで、有限なMPLSスイッチングラベルの増加を抑えている。
【0010】
即ち、本発明は、集中制御装置と、ネットワーク制御装置と、複数のラベルスイッチとを有するQoS保障型ネットワークシステムに関するものである。ここで、記集中制御装置は、ユーザ要求受付管理部と、経路計算処理部と、経路管理部と、トポロジ管理部と、スケジュール管理部と、ラベル制御部と、を含んでいる。そして、ユーザ要求受付管理部は、ネットワークの帯域利用に関するユーザ要求を受信する。経路計算処理部は、ユーザ要求を満たす経路を算出する。ラベル制御部は、算出された経路に含まれるラベルスイッチに対して、ユーザ要求に含まれる指定時刻に関連付けながらラベルを発行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザ要求に応じて一時的に経路を制御し、ネットワークにおける帯域を有効に活用することができるようになる。
【0012】
なお、上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の本発明を実施するための形態および添付図面によって明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の集中制御装置の内部構成例を示す図である。
【図3】集中制御装置におけるユーザ要求受付管理部が管理する情報の構成例を示す図である。
【図4】集中制御装置の経路管理部が管理する情報の構成例を示す図である。
【図5】集中制御装置のスケジュール管理部が管理する情報の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、一般的な管理者による経路設定ではなく、利用者が利用したいタイミングで自発的に経路設定を行うことを可能にしたネットワーク制御に関するものである。
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0016】
なお、以後の説明では「テーブル」(図2乃至5参照)を用いて本発明の情報について説明するが、これら情報は必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良く、リスト、DB、キュー等のデータ構造やそれ以外で表現されていても良い。そのため、データ構造に依存しないことを示すために「テーブル」、「リスト」、「DB」、「キュー」等について単に「情報」と呼ぶことがある。
【0017】
また、各情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「名前」、「ID」という表現を用いることが可能であり、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0018】
<ネットワークシステムの構成>
図1は、本発明の実施形態によるネットワークシステム100の概略構成を示す図である。当該ネットワークシステム100は、利用者が使用し、必要なソフトウェア(アプリケーションソフトウェア)を含む利用者端末101と、集中制御装置102と、ネットワーク制御装置103と、利用者側のエッジルータ104及び105と、プロバイダ側のエッジルータ106及び107と、ラベルスイッチルータ108乃至110と、ユーザ認証装置111と、を有している。
【0019】
ラベルスイッチルータ108乃至110は、ラベルスイッチングネットワークを形成する1つ以上のルータである。また、利用者側のルータ104及び105は、利用者端末101とラベルスイッチングネットワークをつなげるためのルータである。プロバイダ側ルータ106及び107は、ラベルスイッチングネットワークと利用者側ネットワークとをつなぐためのルータである。
【0020】
集中制御装置102は、利用者からの要求を処理するための装置である。ネットワーク制御装置103は、集中制御装置102によって作成されたラベルスイッチ情報及びQoS情報を、ラベルスイッチングネットワーク内のルータ106乃至110に反映させるための装置である。また、認証装置111は、集中制御装置102の利用を認証するための装置である。なお、本実施形態において、プロバイダ側ルータ106及び107とラベルスイッチルータ108乃至110は、構成上の区別が無いため単に「ラベルスイッチ」という用語を用いて、以下説明を続ける。
【0021】
本実施形態においては、集中制御装置102がLSP(Label Switched Path)計算を行うため、ラベルスイッチ106乃至110は、当該LSP計算を行う必要がなく、単純なラベル転送機能を有しているものとする。
【0022】
なお、ネットワーク制御装置103に関しては、特許文献1にもあるように一般的な設定手順にてラベルスイッチングルータの設定を変更するもので、本実施手順には影響しないため、説明を省略する。
【0023】
<集中制御装置の構成>
図2は、本実施形態による集中制御装置102の概略構成を示す図である。なお、図2には示されていないが、集中制御装置102は、CPU(プロセッサ)と、メモリと、通信用インタフェースを有し、集中制御装置102が提供する機能を、ソフトウェアプログラムを実行することによって提供するようにしても良い。その場合、プログラム各構成部1021乃至1026は、プロセッサの一部として機能するものである。
【0024】
図2に示すように集中制御装置102は、利用者要求を受け付けるためのユーザ要求受付管理部1021と、利用者要求に対応した経路を計算するための経路計算部1022と、経路計算の結果を管理するための経路管理部1023と、経路計算に必要なトポロジの情報を管理するトポロジ管理部1024と、経路計算の結果をスケジュール管理するためのスケジュール管理部1025と、ラベルを管理するためのラベル制御部1026と、を有している。
【0025】
ユーザ要求受付管理部1021は、利用者毎に利用可能な帯域の登録を管理している。これにより、利用者は利用端末101を用いて、保障された帯域を必要なときに利用可能となる。利用者は、利用端末101を用いて、認証装置111にて認証を受けた後、ユーザ要求受付管理部1021に対して要求を送信する。ユーザ要求受付管理部1021は、認証装置111と連携して当該利用者(或いは利用端末101)の認証状態を確認した後、指定された区間、帯域、開始終了時刻(会議や、深夜利用など、開始、終了がわかっている場合に指定)、利用時間(データ量がわかっている場合などに帯域から、利用時間を推定し指定)、データ量等の情報を受付け、管理する。また、ユーザ要求受付管理部1021は、利用者が利用可能な最大帯域の管理をも行っている。これは、一利用者にリソースを独占させないために必要であり、ユーザ登録(契約)時に規定されるものである。さらに、ユーザ要求受付管理部1021は、利用者の要求を記録する(図3参照)。これにより、実際の利用システムにおける、利用、変更、削除などの操作や使用時間に対する課金システム、および、使用制限に当該登録情報を利用することができる。本実施形態においては、ユーザ要求受付管理部1021ではHTTP(HiperTextTransportProtocal)を利用したXML(Extensible Markup Langage)構造のデータの受け渡し等による情報交換機能を備えている。ただし、必要な情報はネットワークを通じて行うものとし、データの形式、送受信形態は他の方法でも可能である。
【0026】
経路管理部1023は、ユーザ要求受付管理部1021が受け付けたユーザ要求を、経路計算に必要な情報に変換し、管理を行う。また、経路管理部1023は、経路計算処理部1022が確定した経路の管理を行うことで、すべての経路と経路の利用時間の管理を行う。さらに、経路管理部1023は、ユーザ要求受付管理部1021が受け付けたユーザ要求と、経路計算処理部1022によって確定した経路の連携情報の管理を行う。なお、経路管理部1023は、現在利用されている経路情報のみを管理し、既に利用が終了している要求に関しては破棄する。これにより、経路管理部1023が持つ情報量を削減している。
【0027】
トポロジ管理部1024は、本実施形態におけるトポロジ情報(ネットワークリソース情報)を管理している。なお、このトポロジ情報は、外部から入力されることを想定しており、障害時や構成変更におけるトポロジの変化も外部から入力される。例えば、トポロジ情報は、ネットワークツール等の市販製品のトポロジ情報出力機能により出力されたデータを読み込みことにより入力される。
【0028】
また、トポロジ管理部1024は、手動、または、データにより与えられたトポロジ情報を集中制御装置102で利用できるように管理するために、内部IDを割り当てている。例えば、トポロジ情報は、ノード間の接続情報、インタフェース、ポート、及び帯域の情報を含むものとする。
【0029】
スケジュール管理部1025は、ユーザ要求の設定状態を保持することで、経路管理部1023が持つ経路情報と現在時刻により、必要なタイミングで要求の設定状態を変更し、設定要求情報である、帯域、品質情報をネットワーク制御部103に通知する。
【0030】
ラベル制御部1026は、経路管理部1023が管理している経路に関して、確定開始時刻(図4の開始232)、確定終了時刻(図4の終了233)に基づき、ラベルスイッチング106乃至110で使用するラベルを発行、或いは削除を行う。
【0031】
<ユーザ要求受付管理部が管理する情報>
図3は、ユーザ要求受付管理部1021で管理している情報の構成例を示す図である。図3に示す通り、ユーザ要求受付管理部1021は、受付ID210と、送信元211と、送信先212と、利用開始時刻である開始213と、利用終了時刻である終了214と、利用帯域に関する情報である帯域215と、品質に関する情報である遅延216と、取り扱いデータ量を示すデータ量217と、品質に関するオプション218と、を構成項目として有している。
ID210は、ユーザにより要求があった場合に発行される管理IDである。
【0032】
また、図3において、ID210以外の各情報は、ユーザにより指定されるものである。例えば、ユーザは、利用端末101を用いて、あらかじめ登録されているノード名称を基に、経路を引く区間として、送信元211及び送信先212を指定する。また、要求時に開始終了時刻を指定したい場合は、要求時に開始213、終了214を指定する。さらに、利用者は、要求時に必要な帯域215、遅延216、及びオプション218を指定することで、期待品質の経路を取得することができるようになっている。なお、オプション218は、一般的なQoSに対する情報であり、帯域に対しての品質状態ならびに確保においての要求レベル情報などを含んでいる。また、ユーザ要求受付管理部1021では、各利用者が該当する帯域を利用したい時間を管理するようになっている。
【0033】
<経路計算処理>
経路計算処理部1022は、開始時刻213と終了時刻214が指定されていない場合、データ量217と確保帯域からデータ転送に必要な時間を割り出し、開始時刻、終了時刻などを決定することで、経路確保時間を決定することができる。また、開始213、終了214、及びデータ量217の指定が無い場合は、継続的に利用するための経路として確定した時刻が計算され、その計算結果が経路管理情報として保持される(図4参照)。確保された時刻は、経路管理部1023の開始232及び終了233(図4参照)として管理される。
【0034】
経路計算処理部1022は、時間別の各リンクの使用帯域情報を保持しており、あらかじめ、全ルート探索により算出されたルートから、送信元211と送信先212を結ぶ経路を抽出し、抽出された各経路別に該当時刻に通過するリンクの中で最小の空き帯域を計算し、抽出された経路の中で帯域確保可能な経路を算出する。
【0035】
また、経路計算処理部1022は、ユーザ要求受付管理部1021、経路管理部1023、及びトポロジ管理部1024が持つ情報に基づいて、ユーザ要求に従った帯域確保が可能な経路についての演算を実行する。なお、経路計算処理部1022では、経路計算として、MaxFrow(最大流量)アルゴリズムによって算出された経路から、送信元211、送信先212の区間の経路を抽出し、よりホップ数が短く、帯域が空いている険路が算出される。経路そのものは、MaxFrowアルゴリズムにより算出されており、各経路の空き帯域計算を上述した時間別のリンク帯域より算出することで経路を選定している。
【0036】
<経路管理部が管理する情報>
図4は、経路管理部1023で管理されている情報の構成例を示す図である。図4に示すように経路管理部1023は、要求に対応した経路データである経路管理情報230と、経路の経由ノードデータである経路ホップ情報237と、を構成項目として有している。
【0037】
ここで、経路管理情報230は、ID231と、確定した開始時刻である開始232と、終了時刻である終了233と、確定帯域である帯域234と、確定した遅延235と、経路のホップ番号の情報である経路番号情報236と、を構成項目として有している。なお、ID231は、ユーザ要求受付管理部1021が管理するID210として保持され、両者が関連付けられている。また、経路ホップ番号情報236は、後述する経路ホップ情報237の番号に対応するものである。
【0038】
経路ホップ情報237は、経由するノードの情報を管理するための情報である。このノード情報は、トポロジ情報で扱っているノードの番号で経由する順にホップ1〜n(239a乃至239n)までが1つの経由ホップ番号として管理される。同一のノードを通過する経路は、単一の経路ホップ番号にて管理され、経路計算の結果同一の経路が算出された場合には、同一の経路ホップ番号が経路管理情報230の経路ホップ番号236に設定される。
【0039】
<スケジュール管理部が管理する情報>
図5は、スケジュール管理部1025が管理する情報の構成例を示す図である。図5に示すように、スケジュール管理部1025は、経路の設定状態252と、経路計算結果である経路管理情報230に含まれるID251を持っている。
【0040】
ここで、経路設定状態252は、「設定済み」及び「未設定」の2つの状態を持ち、それぞれ、実際の経路への反映状態を意味している。利用者は、利用端末101を操作して、開始213及び終了214を設定することにより、時刻指定で予約することになる。この指定された開始時刻と終了時刻により経路が計算され、実際のネットワーク網内のラベルスイッチング106乃至110に反映されるようになる。このラベルスイッチングへの反映を待機している状態が「未設定」の状態となり、開始時刻になると同時にラベルスイッチング106乃至110に情報が反映され、経路設定状態252が「設定済み」となる。
【0041】
そして、スケジュール管理部1025は、経路管理情報230が持つ開始232と終了233から規定される時間範囲に現在時刻が含まれているかどうかをチェックし、当該時間範囲内に含まれているが未設定(経路が未設定)の場合、或いは設定済みで範囲外の場合に、経路設定状態252を更新し、追加、削除の経路情報をネットワーク制御装置103に送ることで、経路の物理装置への設定を行う。
【0042】
<ラベル制御部の処理>
ラベル制御部1026は、経路管理部1023により管理されている経路ホップ情報に基づいて、必要なホップに伴うラベルを生成し、管理する。
【0043】
生成されるラベルは、経路ホップ情報237のホップ239毎に割り振られる情報である。また、ラベルは、ホップ239の実施のノード毎にユニークな値を振る必要があり、ラベル制御部1026においてノード別に発行しているラベルを管理し、重複しない最小値を発行するようになっている。
【0044】
さらに、ラベルは、経路設定状態252が「設定済み」になる際に発行され、「未設定」または削除される際にラベルは解放される。ただし、複数のユーザ要求が経路を共有(経路ホップ番号が同一の経路を利用)している場合は、1つでも経路設定状態252が「設定済み」状態にある場合は、ラベルは解放されない。
【0045】
<まとめ>
以上のように、QoS保証型ネットワークシステムを集中管理する際にユーザが必要に応じて経路を確保するための制御について説明した。
【0046】
本発明は、次世代の高品質なネットワークを想定したシステムの利用形態のひとつであり、利用者が必要に応じて経路を確保する必要が発生した場合に必要となる装置に適用可能である。近い将来、ネットワークを利用するアプリケーション自身がネットワーク回線に対して、品質を要求することが想定され、そのような場合に、アプリケーション単位に時間を割り当てて経路を利用するための基本的な装置構成となるものである。
【0047】
本発明の実施形態では、QoS保障型ネットワークシステムにおいて、集中制御装置が、ネットワークの帯域利用に関するユーザ要求を受信し、ユーザ要求を満たす経路を算出し、算出された経路に含まれるラベルスイッチに対して、ユーザ要求に含まれる指定時刻に関連付けながらラベルを発行する。このようにすることにより、利用者が帯域を利用したい時間に所望の経路を提供することが可能となる。また、必要なタイミングで必要なラベルを割り当てるため、各ラベルスイッチングノードでのラベル数の減少を見込むことが可能となる。
【0048】
また、集中制御装置は、ユーザ要求に含まれる利用開始及び終了の時間情報に基づいて、経路予約可能な経路計算を行う。このように利用者が必要な時間だけ経路を利用させることができるようになるため、帯域を有効に利用することできるようになる。
【0049】
ユーザ要求に時間情報が含まれていない場合には、ユーザ要求に含まれるデータ量に基づいて、利用時間を算出する。このようにすることにより、時間指定がなくても必要な時間だけ経路を利用させることが可能となる。
【0050】
なお、本発明は、実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0051】
また、実施形態で示された各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能等を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録或いは記憶装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録或いは記憶媒体に格納することができる。
【0052】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【符号の説明】
【0053】
101…利用者端末、102…集中制御装置、103…ネットワーク制御装置、104及び105…利用者側ルータ、106及び107…プロバイダ側ルータ、108乃至110…ラベルスイッチングルータ、111…認証装置、1021…ユーザ要求受付管理部、1022…経路計算処理部、1023…経路管理部、1024…トポロジ管理部、1025…スケジュール管理部、1026…ラベル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
QoS保障型ネットワークシステムであって、
集中制御装置と、ネットワーク制御装置と、複数のラベルスイッチと、を有し、
前記集中制御装置は、ユーザ要求受付管理部と、経路計算処理部と、経路管理部と、トポロジ管理部と、スケジュール管理部と、ラベル制御部と、を含み、
前記ユーザ要求受付管理部は、ネットワークの帯域利用に関するユーザ要求を受信し、
前記経路計算処理部は、前記ユーザ要求を満たす経路を算出し、
前記ラベル制御部は、前記算出された経路に含まれる前記ラベルスイッチに対して、前記ユーザ要求に含まれる指定時刻に関連付けながらラベルを発行する、
ことを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1において、
さらに、利用者の認証処理を実行する認証装置を有し、
前記ユーザ要求受付管理部は、前記認証装置のユーザ認証機能と連動して動作して前記ユーザ要求を受け付けることを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2において、
前記ユーザ要求受付管理部は、利用登録情報に含まれる、最大割り当て可能帯域に基づきユーザ要求の受付を拒否することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3において、
前記経路計算処理部は、前記ユーザ要求に含まれる利用開始及び終了の時間情報に基づいて、経路予約可能な経路計算を行うことを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項3において、
前記経路計算処理部は、前記ユーザ要求に時間情報が含まれていない場合、前記ユーザ要求に含まれるデータ量に基づいて、利用時間を算出することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項4において、
前記経路管理部は、前記経路計算処理部が算出した経路及び時刻情報を管理することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6において、
前記集中制御装置は、さらに、前記経路管理部が管理する時間情報を基に、現時刻から設定が必要なユーザ要求を処理するスケジュール管理部を有することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項8】
請求項7において、
前記経路計算処理部は、時間別のリンク帯域を用いて、時間別の経路を算出することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項9】
請求項8において、
前記ラベル制御部は、前記経路管理部により管理された経路計算結果に基づいてラベルを発行することを特徴とするQoS保障型ネットワークシステム。
【請求項10】
複数のラベルスイッチを有するネットワークにおける利用者からのアクセス要求を管理する集中制御装置であって、
ユーザ要求受付管理部と、経路計算処理部と、経路管理部と、トポロジ管理部と、スケジュール管理部と、ラベル制御部と、を含み、
前記ユーザ要求受付管理部は、ネットワークの帯域利用に関するユーザ要求を受信し、
前記経路計算処理部は、前記ユーザ要求を満たす経路を算出し、
前記ラベル制御部は、前記算出された経路に含まれる前記ラベルスイッチに対して、前記ユーザ要求に含まれる指定時刻に関連付けながらラベルを発行する、
ことを特徴とする集中制御装置。
【請求項11】
複数のラベルスイッチを有するネットワークにおいて、利用者からのアクセス要求を管理する、プロセッサを有する集中制御装置の制御方法であって、
前記プロセッサが、利用者端末から送信されてきたユーザ要求を受信し、当該ユーザ要求を管理するステップと、
前記プロセッサが、前記ユーザ要求に含まれる情報に基づいて、利用時間を考慮した経路を算出するステップと、
前記プロセッサが、前記算出した経路の計算結果又は前記ユーザ要求に含まれるアクセス要求時間に基づいて、経路を利用可能にするように経路設定状態を管理するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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