説明

RAM診断システム

【課題】CPUに依存することなく、一方のRAM領域の診断を他方のRAM領域で診断することができるRAM診断システムを提供する。
【解決手段】CPU2とROM3と内蔵RAM4とが実装されたCPUカード1と、CPUカード1の外部に形成された外部RAM5とを有し、内蔵RAM4および外部RAM5は、診断領域4A、5Aと、診断用領域4B、5Bとをそれぞれ備え、ROM3は、内蔵RAM4の診断領域4Aの内の診断対象領域の診断データを外部RAM5の診断用領域5Bの第1待避エリア51にコピーし、第2待避エリア52にコピーし、第1待避エリア51の診断データを反転し、診断対象領域に反転データをコピーし、当該データを第1待避エリア51にコピーし、第1待避エリア51のデータを反転し、第1待避エリア51のデータと第2待避エリア52のデータとを比較して診断対象領域が異常か否かの判断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CPUに依存することなく、一方のRAM領域の診断を他方のRAM領域で診断することができるRAM診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のRAM診断システムは、特定のCPUに依存しており、レジスタを介して診断を行うことにより、実現している。この為、CPUの変更による診断処理の流用度が低下する。この課題に対して、例えば、特許文献1ではRAM診断を、RAM診断領域のデータを退避させるときに未使用領域を検索してからRAM診断データの退避領域として割り当てて行い、CPUに依存しないように実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のRAM診断方式は、RAM診断領域のデータを退避させるときに未使用領域を検索してからRAM診断データの退避領域として割り当てているため、未使用領域の検索処理に時間がかかり、RAM診断処理として時間を要するという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、診断対象RAMの未使用領域の検索やレジスタを意識することなく行うことができるRAM診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のRAM診断システムは、
CPUとROMと内蔵RAMとが実装されたCPUカードと、上記CPUカードの外部に形成され上記CUPカード内とデータの送受信可能な外部RAMとにおけるRAM診断システムであって、
上記内蔵RAMおよび上記外部RAMは、診断領域と、診断用領域とをそれぞれ備え、
上記ROMには、
上記一方のRAMの診断領域の内の診断対象領域の診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第2待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを反転して上書き保存し、
上記診断対象領域に上記反転された診断データをコピーし、
上記診断対象領域のデータを上記第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアのデータを反転して上書き保存し、
上記第1待避エリアのデータと上記第2待避エリアのデータを比較して上記診断対象領域が異常か否かの判断を行う機能を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明のRAM診断システムは、
CPUとROMと内蔵RAMとが実装されたCPUカードと、上記CPUカードの外部に形成され上記CUPカード内とデータの送受信可能な外部RAMとにおけるRAM診断システムであって、
上記内蔵RAMおよび上記外部RAMは、診断領域と、診断用領域とをそれぞれ備え、
上記ROMには、
上記一方のRAMの診断領域の内の診断対象領域の診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第2待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを反転して上書き保存し、
上記診断対象領域に上記反転された診断データをコピーし、
上記診断対象領域のデータを上記第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアのデータを反転して上書き保存し、
上記第1待避エリアのデータと上記第2待避エリアのデータを比較して上記診断対象領域が異常か否かの判断を行う機能を備えたので、
診断対象RAMの未使用領域の検索やレジスタを意識することなく、
CPUに依存することなく、一方のRAM領域の診断を他方のRAM領域で診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のRAM診断システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した内蔵RAMの構成を示す図である。
【図3】図1に示した外部RAMの構成を示す図である。
【図4】図1に示した外部RAMのデータの領域を示した図である。
【図5】図1に示したRAM診断システムの動作を示したフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2のRAM診断システムにおける外部RAMのデータの領域を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1におけるRAM診断システムの構成を示す図、図2は図1に示した内蔵RAMの構成を示す図、図3は図1に示した外部RAMの構成を示す図、図4は図1に示した外部RAMのデータの領域を示した図、図5は図1に示したRAM診断システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0010】
図1において、CPUカード1は、CPU2と、適用システムの処理プログラムや設定値(定数および初期値)を格納するROM3と、内蔵RAM4とが搭載されている。
そして、CPUカード1の外部には外部RAM(例えば、バッテリーバックアップ電源供給によるRAM)5が構成されている。そして、外部RAM5にはローカルバス6を介してROM3からデータの送受信を行うことができる。そして、図2に示すように、内蔵RAM4は各種一時保存データを格納する領域であり、データを保存するための領域、ここでは診断領域4Aと、データが保存されない領域である未使用領域、ここでは診断用領域4Bとして割当てる。また、図3に示すように、外部RAM5は各種一時保存データを格納する領域であり、データを保存するための領域、ここでは診断領域5Aと、データが保存されない領域である未使用領域、ここでは診断用領域5Bとして割当てる。
【0011】
そして、ROM3には、一方のRAMの診断領域の内の診断対象領域の診断データを他方のRAMの診断用領域の第1待避エリアにコピーし、第1待避エリアにコピーされた診断データを他方のRAMの診断用領域の第2待避エリアにコピーし、第1待避エリアにコピーされた診断データを反転して上書き保存し、診断対象領域に反転された診断データをコピーし、診断対象領域のデータを第1待避エリアにコピーし、第1待避エリアのデータを反転して上書き保存し、第1待避エリアのデータと第2待避エリアのデータを比較して診断対象領域が異常か否かの判断を行い、診断対象領域が異常でないと判断されると、第2待避エリアのデータを、一方のRAM領域の診断対象領域に上書き保存する機能を備え、内蔵RAM4と外部RAM5とにおいて、一方のRAM診断時に他方のRAMの診断用領域に、診断データを退避させることで、診断対象領域を制御しながら診断を行うことができるRAM診断システムである。例えば、外部RAM5が診断側のRAMの場合には、診断用領域5Bには、第1待避エリア51と第2待避エリア52とをそれぞれ有する。具体的には、第1待避エリア51は診断用領域5Bの先頭アドレスであり、第2待避エリア52は、第1待避エリア51+10byteのアドレスである。
【0012】
次に上記のように構成された実施の形態1のRAM診断システムの動作について図4に基づいて説明する。尚、本RAM診断システムを適用するシステムは、定周期(例:100msec周期)における未処理時または初期化時において、RAM診断を行うものである。また、この実施の形態1においては、説明の便宜上、診断される側のRAM(一方のRAM)を、内蔵RAM4とし、それを診断する側のRAM(他方のRAM)を、外部RAM5として説明する。このため図4においては、その場合を示している。よって、診断される側のRAM(一方のRAM)を、外部RAM5とし、それを診断する側のRAM(他方のRAM)を、内蔵RAM4としても同様に行うことができるものであり、その説明は適宜省略する。
【0013】
まず、内蔵RAM4の診断領域4Aを診断するための待避エリアとして、外部RAM5の診断用領域5Bの先頭アドレスを第1待避エリア51として登録する(図5のステップST1)。尚、本実施の形態1においては、診断対象領域として、1byteずつ診断を行う場合について説明する。次に、内蔵RAM4の診断領域の先頭アドレスとサイズとから、内蔵RAM4の診断を行う診断領域の開始アドレスと、終了アドレスとを算出する。そして、現在診断中アドレスを診断対象領域の開始アドレスとする(図5のステップST2)。次に、内蔵RAM4の診断領域4Aの診断対象領域の診断データの内容(例:0x55)を、外部RAM5の診断用領域5Bの第1待避エリア51にコピーする(図5のステップST3)。
【0014】
次に、外部RAM5の診断用領域5Bの第1待避エリア51の内容を、外部RAM5の診断用領域5Bの第1待避エリア51のアドレスである先頭アドレスに+10byteしたアドレスを第2待避エリア52にコピーする(例:0x55)(図5のステップST4)。次に、外部RAM5の第1待避エリア51の内容をビット反転する(例:0xaa)(図5のステップST5)。次に、内蔵RAM4の診断対象領域に第1待避エリア51にて反転した反転データを上書きする(例:0xaa)(図5のステップST6)。次に、内蔵RAM4の診断対象領域に第1待避エリア51に上書きされたデータ(例:0xaa)を、外部RAM5の第1待避エリア51にコピーする(図5のステップST7)。
【0015】
次に、外部RAM5の第1待避エリア51の内容をビット反転する(図5のステップST8)。次に、現在保存されている第1待避エリア51のデータと、第2待避エリア52のデータとが一致しているか否かを比較する(図5のステップST9)。次に、不一致であれば(No)、RAM診断異常と判断して(図5のステップST12)として、RAM診断処理を終了する。また、一致していれば(Yes)、RAM診断を継続し、内蔵RAM4の診断領域4Aの診断対象領域に、外部RAM5の診断用領域5Bに第2待避エリア52のデータを上書きし、診断対象領域のデータを復元する(図5のステップST10)。次に、RAM診断を継続するために、診断対象領域の現在診断中アドレスを1byte分進め、次の診断対象領域とし(図5のステップST10)、再びステップST3に戻り、次周期にて次の診断を実行する。
尚、一周期内で1byteの診断を行う例を示したが、これに限られるものではなく、一周期内でnbyteを1byteずつ診断する場合も考えられ、残り(n−1)byteを続けて行えば同様に行うことができる。
【0016】
上記のように行われた実施の形態1のRAM診断システムによれば、各ビットを反転するのでデータ健全性において信頼性を高めることができるため、CPUを実装する内蔵RAMと、拡張の外部RAMとにおいても、CPUに依存なしに、一方のRAM領域の診断を他方のRAM領域で診断する機能を備え、相互に切替を行うことができる。
【0017】
実施の形態2.
尚、上記実施の形態1では、診断対象RAMの診断単位が1byteである場合を示したが、RAMの仕様により、RAMのアクセス単位が1、2、4byteと異なる。従って、RAMの診断単位をRAMアクセス単位として、例えば4byteにて行う場合は、図6に示したように、外部RAM5の診断用領域5Bの第1待避エリア53として4byte分を確保し、また、第2待避エリア54として4byte分を確保する。よって、第1待避エリア53は診断用領域5Bの先頭アドレスから4byte分であり、第2待避エリア54は、第1待避エリア53+10byteのアドレスから4byte分である。
【0018】
よって、上記実施の形態1と異なる部分は、診断する診断データの単位が異なるのみで、上記実施の形態1と異なるフローは、図5のステップST11において、現在診断中アドレスを4byte進める点であり、他の動作は上記実施の形態1と同様に行うことができる。
【0019】
上記のような実施の形態2のRAM診断システムによれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、1byte以外の複数バイトの診断も同様に行うことができる。このように、一般的に、8ビットアクセスのRAMと16ビットアクセスのRAMと、アクセス形式の異なるRAM領域を診断することも可能となる。
尚、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 CPUカード、2 CPU、3 内部ROM、4 内部RAM、
4A,5A 診断領域、4B,5B 診断用領域、5 外部RAM、6 ローカルバス、
51 第1待避エリア、52 第2待避エリア、53 第1待避エリア、
54 第2待避エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUとROMと内蔵RAMとが実装されたCPUカードと、上記CPUカードの外部に形成され上記CUPカード内とデータの送受信可能な外部RAMとにおけるRAM診断システムであって、
上記内蔵RAMおよび上記外部RAMは、診断領域と、診断用領域とをそれぞれ備え、
上記ROMには、
上記一方のRAMの診断領域の内の診断対象領域の診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを上記他方のRAMの診断用領域の第2待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアにコピーされた診断データを反転して上書き保存し、
上記診断対象領域に上記反転された診断データをコピーし、
上記診断対象領域のデータを上記第1待避エリアにコピーし、
上記第1待避エリアのデータを反転して上書き保存し、
上記第1待避エリアのデータと上記第2待避エリアのデータを比較して上記診断対象領域が異常か否かの判断を行う機能を備えたことを特徴とするRAM診断システム。
【請求項2】
上記診断対象領域が異常でないと判断されると、上記第2待避エリアのデータを、上記一方のRAM領域の診断対象領域に上書き保存することを特徴とする請求項1に記載のRAM診断システム。
【請求項3】
上記診断データは、1byteまたは複数byteにて行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のRAM診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97689(P2013−97689A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241750(P2011−241750)
【出願日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】