説明

RF−IDメディア情報読取システム及び制御装置

【課題】複数のリーダ/ライタにおいて互いに異なるチャンネルを用いてRF−IDメディアから情報を読み取る場合に、キャリアセンスを効率的に行い、RF−IDメディアから情報を読み取ることができなくなってしまうことを回避する。
【解決手段】制御装置10において、RF−IDラベル50の検査を行うリーダ/ライタ20a〜20fに対して、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、リーダ/ライタ20a〜20f毎に予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合に、リーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネル、または予備チャンネルの全てがリーダ/ライタ20a〜20fのいずれかに割り当てられている場合はその予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルを割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF−IDメディアから情報を読み取るRF−IDメディア情報読取システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をタグやラベルに記録し、該タグやラベルを商品等に添付して商品等の管理が行われている。このようなタグやラベルを用いた商品等の管理においては、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICタグや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
このような非接触型ICタグや非接触型ICラベルといったRF−IDメディアにおいては、製品として出荷される前に検査手段となるリーダ/ライタによってRF−IDメディアから情報を読み取ることにより、良品/不良品の検査が行われている。
【0004】
ところで、電波を出力するシステムにおいては、複数の装置間の電波干渉を回避するために、受信電力の大きさを測定することによって、使用するチャンネルが空いているかどうかを確認する、いわゆるキャリアセンスを実行することが電波法で義務付けられている。
【0005】
そこで、上述したようにRF−IDメディアに対して検査を行う場合においても、検査用の情報をリーダ/ライタから電波によって送信することになるため、複数台のリーダ/ライタ間の電波干渉を回避するために、使用するチャンネルが空いているかどうかを確認し、空いている場合、そのチャンネルを使用して検査を行っている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−148215号公報
【特許文献2】特開2010−198180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数台のリーダ/ライタを近接配置して電波を出力することによってRF−IDメディアに対する検査を行う場合等、RF−IDメディアから情報を読み取る場合、上述したようなキャリアセンスにて空きチャンネルを探すために複数のチャンネルをスイープする等、その処理が煩雑になってしまい、また、複数の装置間で用いるチャンネルが衝突する可能性が高くなり、キャリアセンスに失敗してRF−IDメディアから情報を読み取ることができなくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、複数のリーダ/ライタにおいて互いに異なるチャンネルを用いてRF−IDメディアから情報を読み取る場合に、キャリアセンスを効率的に行い、RF−IDメディアから情報を読み取ることができなくなってしまうことを回避できるRF−IDメディア読取システム及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタにて前記情報の読み取りに用いるチャンネルを、前記リーダ/ライタの数よりも多い複数のチャンネルの中から割り当てる制御装置とを有し、前記複数のリーダ/ライタのそれぞれが、前記RF−IDメディアから情報を読み取る前に、前記制御装置にて割り当てられたチャンネルを用いてキャリアセンスを実行し、当該キャリアセンスに成功した場合に当該チャンネルを用いて前記RF−IDメディアのから情報を読み取るRF−IDメディア読取システムにおいて、
前記制御装置は、
前記複数のリーダ/ライタが、前記複数のリーダ/ライタ毎に予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合、当該リーダ/ライタに対して、前記複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない1つまたは複数の予備チャンネルのうちいずれかの予備チャンネル、または前記1つまたは複数の予備チャンネルの全てが前記複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合は当該予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルを割り当てるチャンネル割り当て部を有することを特徴とする。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、リーダ/ライタにおいてRF−IDメディアから情報を読み取る前にキャリアセンスが実行される際に、まず、複数のリーダ/ライタにおいて、複数のリーダ/ライタ毎に予め設定された初期チャンネルを用いてキャリアセンスが行われる。リーダ/ライタがこの初期チャンネルを用いたキャリアセンスに成功した場合は、この初期チャンネルを用いてRF−IDメディアから情報が読み取られる。また、リーダ/ライタが初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合は、そのリーダ/ライタに対して、複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない予備チャンネル、または予備チャンネルが複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合はその予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルが割り当てられ、リーダ/ライタにおいてその初期チャンネルを用いてキャリアセンスが行われる。
【0011】
このように、RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタにおいて、予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合に、複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない1つまたは複数の予備チャンネルのうちいずれかの予備チャンネル、または1つまたは複数の予備チャンネルの全てが複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合はその予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルが割り当てられるというように、RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタに対して、空きチャンネルをスイープすることなく、空いている可能性が高いチャンネルが割り当てられるので、キャリアセンスが煩雑とならずに効率的に行われ、RF−IDメディアから情報を読み取ることができなくなってしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタにおいて、予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合に、複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない1つまたは複数の予備チャンネルのうちいずれかの予備チャンネル、または1つまたは複数の予備チャンネルの全てが複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合はその予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに設定された初期チャンネルが割り当てられるというように、RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタに対して、空きチャンネルをスイープすることなく、空いている可能性が高いチャンネルが割り当てられる構成としたため、空きチャンネルを探すキャリアセンスを効率的に行うことができ、RF−IDメディアから情報を読み取ることができなくなってしまうことを回避できる。また、同じシステム内で同じチャンネルの出力、受信、キャリアセンスを実施しないことになるため、複数のリーダ/ライタ間の電波干渉が発生する可能性を著しく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のRF−IDメディア情報読取システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した制御装置の詳細な構成を示す図であり、(a)は構成を示すブロック図、(b)は(a)に示した初期チャンネル記憶部にて初期チャンネルがリーダ/ライタ毎に設定されたテーブルを示す図である。
【図3】図1に示したRF−IDメディア情報読取システムにおけるRF−IDラベルに対する検査方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示した制御装置におけるリーダ/ライタに対するチャンネルの割り当て処理の推移の一例を示す図である。
【図5】図1に示したようなRF−IDラベルの検査領域を3つ設けた場合に設定される初期チャンネルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明のRF−IDメディア情報読取システムの実施の一形態を示す図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、6列になって搬送されてくるRF−IDメディアであるRF−IDラベル50に対して検査を行う検査システムであって、RF−IDラベル50が搬送される搬送路40上に6列のそれぞれに対応してアンテナ21a〜21fが設けられ、このアンテナ21a〜21fから電波が出力されてRF−IDラベル50に対して検査が行われる。アンテナ21a〜21fのそれぞれには、アンテナ21a〜21fから出力される電波を用いて非接触状態にてRF−IDラベル50から情報を読み取るためのリーダ/ライタ20a〜20fが接続されており、リーダ/ライタ20a〜20fには制御装置10が接続されている。そして、リーダ/ライタ20a〜20fのそれぞれは、制御装置10にて割り当てられたチャンネルを用いてアンテナ21a〜21fから電波を出力してRF−IDラベル50に対する検査を行う。また、RF−IDラベル50の搬送路40には、RF−IDラベル50を検出するトリガ発生器30が設けられており、このトリガ発生器30にてRF−IDラベル50が検出されたタイミングでトリガ信号が発生し、そのトリガ信号が制御装置10に入力されることになる。
【0017】
上記のように構成されたRF−IDメディア検査システムにおいては、トリガ発生器30にてRF−IDラベル50が検出されることによりトリガ信号が発生すると、まず、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、制御装置10にて割り当てられたチャンネルを用いてキャリアセンスを実行することによって、使用するチャンネルが空いているかどうかを確認し、空いている場合、そのチャンネルを用いてアンテナ21a〜21fから電波を出力することにより、RF−IDラベル50に対する検査を行うことになる。
【0018】
図2は、図1に示した制御装置10の詳細な構成を示す図であり、(a)は構成を示すブロック図、(b)は(a)に示した初期チャンネル記憶部11にて初期チャンネルがリーダ/ライタ20a〜20b毎に設定されたテーブルを示す図である。なお、図2(b)に示すテーブルにおけるRWNo.は、リーダ/ライタ20aが“1”、リーダ/ライタ20bが“2”、リーダ/ライタ20cが“3”、リーダ/ライタ20dが“4”、リーダ/ライタ20eが“5”、リーダ/ライタ20fが“6”となっている。
【0019】
本形態における制御装置10は図2(a)に示すように、初期チャンネル記憶部11と、チャンネル割り当て部12と、RW動作制御部13とから構成されている。
【0020】
初期チャンネル記憶部11は、リーダ/ライタ20a〜20f毎に、互いに異なるチャンネルが初期チャンネルとして予め設定されている。具体的には、図2(b)に示すように、リーダ/ライタ20aにはch1が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20bにはch2が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20cにはch3が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20dにはch4が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20eにはch5が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20fにはch6が初期チャンネルとして予め設定されている。これらch1〜ch6は、周波数が互いに異なるものである。また、リーダ/ライタ20a〜20fにて使用可能なチャンネルとしては、その他にch7とch8とが予備チャンネルとして存在している。
【0021】
チャンネル割り当て部12は、リーダ/ライタ20a〜20fにてキャリアセンス及びそれに続いて行われるRF−IDラベル50に対する検査を行うためのチャンネルを割り当てるものであって、リーダ/ライタ20a〜20fがキャリアセンスを実行する際に、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、初期チャンネル記憶部11にてそのリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合、そのリーダ/ライタに対して、初期チャンネル記憶部11にてリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネル、または予備チャンネルがリーダ/ライタ20a〜20fのいずれかに割り当てられている場合はその予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに初期チャンネル記憶部11にて設定さている初期チャンネルを割り当てる。なお、本形態においては、チャンネル割り当て部12にてリーダ/ライタ20a〜20fに割り当て可能なチャンネル数は、上述したように、リーダ/ライタ20a〜20fの数よりも多いch1〜ch8の8つとなっている。これは、リーダ/ライタ20a〜20fの出力によって周波数帯域が規定されており、チャンネル数には制限があるため、使用可能なリーダ/ライタはチャンネル数より1台以上少ないことが条件となるためである。
【0022】
RW動作制御部13は、チャンネル割り当て部12にて割り当てられたチャンネルを用いてリーダ/ライタ20a〜20fにおけるキャリアセンスやRF−IDラベル50に対する検査といった動作を制御する。
【0023】
以下に、上述したRF−IDメディア検査システムにおけるRF−IDラベル50に対する検査方法について説明する。
【0024】
図3は、図1に示したRF−IDメディア検査システムにおけるRF−IDラベル50に対する検査方法を説明するためのフローチャートである。また、図4は、図1に示した制御装置10におけるリーダ/ライタ21a〜21fに対するチャンネルの割り当て処理の推移の一例を示す図である。
【0025】
RF−IDラベル50が搬送路40を搬送されてきてトリガ発生器30にて検出されると、トリガ発生器30にてトリガ信号が発生して制御装置10に入力される。
【0026】
すると、制御装置10にてリーダ/ライタ20a〜20fにてキャリアセンスを開始するための制御が行われる(ステップ1)。なお、本形態にて搬送路40上に設けられたアンテナ21a〜21fは、搬送路40上においてRF−IDラベル50の進行方向について互いに異なる位置に設けられていても、その位置のずれが、搬送路40を搬送されてくるRF−IDラベル50のピッチと同一となっていれば、トリガ発生器30にて6度目のトリガが発生した後は、トリガ発生器30にてRF−IDラベル50が検出されたタイミングでトリガ信号が発生し、キャリアセンスを開始すれば、そのタイミングにおいてはアンテナ21a〜21fのそれぞれに対向した領域にRF−IDラベル50が存在することになる。
【0027】
キャリアセンスを開始するための制御においては、まず、RW動作制御部13の制御によって、リーダ/ライタ20a〜20fのそれぞれにおいて、初期チャンネル記憶部11にてリーダ/ライタ20a〜20f毎に予め設定された初期チャンネルch1〜ch6におけるアンテナ21a〜21fを介した受信電力が測定されることにより、キャリアセンスが行われる。なお、本形態においては、上述したように、初期チャンネル記憶部11において、リーダ/ライタ20aにはch1が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20bにはch2が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20cにはch3が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20dにはch4が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20eにはch5が初期チャンネルとして予め設定され、リーダ/ライタ20fにはch6が初期チャンネルとして予め設定されているため、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、これらのチャンネルch1〜ch6を用いてキャリアセンスが行われることになる。
【0028】
そして、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、アンテナ21a〜21fを介した受信電力が所定値以下となって初期チャンネルch1〜ch6を用いたキャリアセンスに成功した場合は(ステップ2)、RW動作制御部13の制御によって、割り当てられた初期チャンネルの電波を用いてアンテナ21a〜21fを介してRF−IDラベル50から情報が読み取られることにより、RF−IDラベル50に対する検査が行われる(ステップ3)。図4に示した例においては、リーダ/ライタ20a〜20fのうち4つのリーダ/ライタ20a,20c〜20eがキャリアセンスに成功し、キャリアセンスに用いた初期チャンネルch1,ch3〜ch5を用いてRF−IDラベル50に対する検査が行われることになる。
【0029】
一方、リーダ/ライタ20a〜20fにおいて、アンテナ21a〜21fを介した受信電力が所定値を超えてキャリアセンスに失敗した場合は、制御装置10のチャンネル割り当て部12において、まず、初期チャンネル記憶部11にてリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネルのうち、空いている予備チャンネル、すなわちリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも割り当てられていない予備チャンネルがあるかどうかが確認される(ステップ4)。
【0030】
そして、空いている予備チャンネルがある場合は、チャンネル割り当て部12において、キャリアセンスに失敗したリーダ/ライタに対してその予備チャンネルが割り当てられる(ステップ5)。本形態においては、予備チャンネルとして2つのチャンネルch7,ch8が存在し、これらがリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにもまだ割り当てられていないため、図4に示した例においては、キャリアセンスに失敗したリーダ/ライタ20bに対して予備チャンネルch7が割り当てられ、また、リーダ/ライタ20fに対して予備チャンネルch8が割り当てられる。
【0031】
すると、RW動作制御部13の制御によって、予備チャンネルch7,ch8が割り当てられたリーダ/ライタ20b,20fのそれぞれにおいて、予備チャンネルch7,ch8におけるアンテナ21b,21fを介した受信電力が測定されることにより、キャリアセンスが行われる。
【0032】
そして、リーダ/ライタ20b,20fにおいて、アンテナ21b,21fを介した受信電力が所定値以下となってキャリアセンスに成功した場合は(ステップ6)、RW動作制御部13の制御によって、割り当てられた予備チャンネルch7,ch8の電波を用いてアンテナ21b,21fを介してRF−IDラベル50から情報が読み取られることにより、RF−IDラベル50に対する検査が行われる(ステップ7)。図4に示した例においては、リーダ/ライタ20b,20fのうちリーダ/ライタ20bがキャリアセンスに成功し、リーダ/ライタ20bに割り当てられた予備チャンネルch7を用いてRF−IDラベル50に対する検査が行われることになる。
【0033】
一方、リーダ/ライタ20b,20fにおいて、アンテナ21b,21fを介した受信電力が所定値を超えてキャリアセンスに失敗した場合は、ステップ4の処理に戻り、制御装置10のチャンネル割り当て部12において、初期チャンネル記憶部11にてリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネルのうち、空いている予備チャンネル、すなわちリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも割り当てられていない予備チャンネルがあるかどうかが確認される。ここで、本形態においては、初期チャンネル記憶部11にてリーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネルch7,ch8は全てリーダ/ライタに割り当てられているため、チャンネル割り当て部12において、キャリアセンスに失敗したリーダ/ライタに対して、予備チャンネルを用いてキャリアセンスを実行しているリーダ/ライタに初期チャンネル記憶部11にて設定された初期チャンネルが割り当てられる(ステップ8)。図4に示した例においては、リーダ/ライタ20fがキャリアセンスに失敗し、予備チャンネルch7を用いてキャリアセンスを実行しているリーダ/ライタ20bに初期チャンネル記憶部11にて設定された初期チャンネルch2がリーダ/ライタ20fに割り当てられる。
【0034】
すると、RW動作制御部13の制御によって、チャンネルch2が割り当てられたリーダ/ライタ20fにおいて、チャンネルch2におけるアンテナ21fを介した受信電力が測定されることにより、キャリアセンスが行われる。
【0035】
そして、リーダ/ライタ20fにおいて、アンテナ21fを介した受信電力が所定値以下となってキャリアセンスに成功した場合は(ステップ9)、RW動作制御部13の制御によって、割り当てられたチャンネルch2の電波を用いてアンテナ21fを介してRF−IDラベル50から情報が読み取られることにより、RF−IDラベル50に対する検査が行われる(ステップ10)。
【0036】
また、リーダ/ライタ20fにおいて、アンテナ21fを介した受信電力が所定値を超えてキャリアセンスに失敗した場合は、キャリアセンスエラーである旨が出力される(ステップ11)。
【0037】
このように、RF−IDラベル50の検査を行う複数のリーダ/ライタ20a〜20fにおいて、予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合に、リーダ/ライタ20a〜20fのいずれにも設定されていない予備チャンネルch7,ch8が割り当てられ、またはこれら予備チャンネルch7,ch8がリーダ/ライタ20a〜20fのいずれかに既に割り当てられている場合は予備チャンネルch7,ch8が割り当てられたリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルが割り当てられるというように、RF−IDラベル50の検査を行うリーダ/ライタ20a〜20fに対して、空きチャンネルをスイープすることなく、空いている可能性が高いチャンネルが割り当てられるので、キャリアセンスが煩雑とならずに効率的に行われ、RF−IDラベル50の検査ができなくなってしまうことが回避されることになる。また、同じ周波数帯の電波を重複して出力することがなくなり、システム内で同じチャンネルの出力、受信、キャリアセンスを実施しないことになるため、複数のリーダ/ライタ間の電波干渉が発生する可能性を著しく低減させることができる。
【0038】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、説明を簡単にするために、RF−IDラベル50が6列になって搬送される搬送路40上に、6つのアンテナ21a〜21fが設けられるとともに、これらアンテナ21a〜21fを介してRF−IDラベル50の検査を行う6つのリーダ/ライタ20a〜20fを有するシステムにおいて、リーダ/ライタ20a〜20fのそれぞれに初期チャンネルch1〜ch6が予め設定され、その他に2つの予備チャンネルch7,8を有するものを例に挙げて説明したが、UHF帯の周波数を用いたシステムにおいては、実際には中・高出力帯では21チャンネル、小電力帯では27チャンネルが設定されている。そこで、上述した実施の形態に示したようにRF−IDラベル50が6列になって搬送される搬送路40を3つのエリアに設け、これらを制御装置10にて上記同様に制御することも考えられる。
【0039】
図5は、図1に示したようなRF−IDラベルの検査領域を3つ設けた場合に設定される初期チャンネルの例を示す図である。
【0040】
図5に示すように、RF−IDラベルの3つの検査領域には、それぞれに設けられた6つのリーダ/ライタを制御するためのRWボードが設置されており、このRWボードは図1に示した制御装置10に接続されている。そして、制御装置10においては、上記同様に、18個のリーダ/ライタに対して初期チャンネルが予め設定されている。この初期チャンネルは、同一の領域に設けられたリーダ/ライタにおいて隣接するチャンネルが設定されないようになっており、それにより、リーダ/ライタ間の干渉が生じにくくなっている。
【0041】
このように構成されたシステムにおいても、上記同様に、初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗したリーダ/ライタに対して、予備チャンネルch19〜ch21のいずれか、または予備チャンネルch19〜ch21の全てがリーダ/ライタに既に割り当てられている場合はそのリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルが割り当てられることになるが、予備チャンネルや他のリーダ/ライタの初期チャンネルが割り当てられる際にこれらが複数存在する場合は、キャリアセンスに失敗したチャンネルから最も遠い周波数のチャンネルが割り当てられることになる。また、予備チャンネルや他のリーダ/ライタの初期チャンネルが複数存在し、これらの周波数がキャリアセンスに失敗したチャンネルから同程度離れている場合は、高周波側のチャンネルが割り当てられることになる。
【0042】
なお、上述した実施の形態においては、RF−IDメディアから情報を読み取るRF−IDメディア情報読取システムとして、アンテナ21a〜21fを介してRF−IDラベル50から情報を読み取ることによってRF−IDラベル50の検査を行うものを例に挙げて説明したが、本発明は、リーダ/ライタにおいてRF−IDメディアから情報を読み取るものであればこれに限らない。
【0043】
また、上述した実施の形態においては、RF−IDメディアとしてRF−IDラベル50を例に挙げて説明したが、本発明におけるRF−IDメディアとしては、RF−IDカードやRF−IDタグ等であってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
10 制御装置
11 初期チャンネル記憶部
12 チャンネル割り当て部
13 RW動作制御部
20a〜20f リーダ/ライタ
21a〜21f アンテナ
30 トリガ発生器
40 搬送路
50 RF−IDラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタにて前記情報の読み取りに用いるチャンネルを、前記リーダ/ライタの数よりも多い複数のチャンネルの中から割り当てる制御装置とを有し、前記複数のリーダ/ライタのそれぞれが、前記RF−IDメディアから情報を読み取る前に、前記制御装置にて割り当てられたチャンネルを用いてキャリアセンスを実行し、当該キャリアセンスに成功した場合に当該チャンネルを用いて前記RF−IDメディアから情報を読み取るRF−IDメディア情報読取システムにおいて、
前記制御装置は、
前記複数のリーダ/ライタが、前記複数のリーダ/ライタ毎に予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合、当該リーダ/ライタに対して、前記複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない1つまたは複数の予備チャンネルのうちいずれかの予備チャンネル、または前記1つまたは複数の予備チャンネルの全てが前記複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合は当該予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルを割り当てるチャンネル割り当て部を有することを特徴とするRF−IDメディア情報読取システム。
【請求項2】
RF−IDメディアから情報を読み取る前に、割り当てられたチャンネルを用いてキャリアセンスを実行し、当該キャリアセンスに成功した場合に当該チャンネルを用いて前記RF−IDメディアから情報を読み取る複数のリーダ/ライタに対して、前記リーダ/ライタの数よりも多い複数のチャンネルの中から、前記キャリアセンス及び情報の読み取りに用いるチャンネルを割り当てる制御装置であって、
前記複数のリーダ/ライタが、前記複数のリーダ/ライタ毎に予め設定された初期チャンネルを用いたキャリアセンスに失敗した場合、当該リーダ/ライタに対して、前記複数のリーダ/ライタのいずれにも設定されていない1つまたは複数の予備チャンネルのうちいずれかの予備チャンネル、または前記1つまたは複数の予備チャンネルの全てが前記複数のリーダ/ライタのいずれかに割り当てられている場合は当該予備チャンネルが割り当てられているリーダ/ライタに予め設定された初期チャンネルを割り当てるチャンネル割り当て部を有する制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−234286(P2012−234286A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101525(P2011−101525)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】