RF−IDメディア
【課題】厚さを必要以上に厚くすることなく、外力が加わった場合においてもICチップが配置された領域に外力が加わる可能性を低減する。
【解決手段】樹脂シート130上にICチップ110が搭載されてなる非接触型ICラベル100において、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面に、ICチップ110に対向する領域を囲むように補強部材160を配置する。
【解決手段】樹脂シート130上にICチップ110が搭載されてなる非接触型ICラベル100において、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面に、ICチップ110に対向する領域を囲むように補強部材160を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップを具備するRF−IDメディアに関し、特に、ICチップの保護技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、商品等に貼着されるタグやラベルに情報を記録し、このタグやラベルを用いての商品等の管理が行われている。このようなタグやラベルを用いた情報管理においては、タグやラベルに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICタグや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触型ICタグや非接触型ICラベルにおいては、近年、小型化及び通信可能距離を確保するために、マイクロ波帯を利用して通信を行う微細なICチップが用いられることが多くなってきている。
【0004】
このような微細なICチップを用いた場合、ICチップに導電性のアンテナを接続することにより、ICチップに対して情報の書き込みや読み出しが行われることになる。
【0005】
図8は、マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0006】
本構成例は図8に示すように、PET等からなる樹脂シート530上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部520a,520bからなるアンテナ部520が形成されており、この2つの導体部520a,520bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ510が搭載され、樹脂シート530のICチップ510が搭載された面の全面に粘着剤540が塗布されて剥離紙550が剥離可能に貼着されて構成されている。
【0007】
上記のように構成された非接触型ICラベル500においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部520に電流が流れ、この電流がICチップ510に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ510に情報が書き込まれたり、ICチップ510に書き込まれた情報がアンテナ部520を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0008】
このような非接触型ICラベル500においては、剥離紙550が剥離されて粘着剤540を介して物品等に貼着されるが、物品等に貼着された状態において樹脂シート530側から非接触型ICラベル500に圧力が加わった場合、ICチップ510が破壊されてしまったり、ICチップ510とアンテナ部520とが断線してしまったりする虞れがある。
【0009】
ここで、ICチップを有するICカードにおいて、ICチップの表裏に対向する領域に補強板を配置し、それにより、ICカードに外力が加わった場合に、ICチップが破壊されてしまったり、ICチップとアンテナ部とが断線してしまったりする可能性を低減させることが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
図9は、従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0011】
本構成例は図9に示すように、PET等からなる樹脂シート630上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部620a,620bからなるアンテナ部620が形成されており、この2つの導体部620a,620bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ610が搭載され、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面の全面に粘着剤640が塗布されて剥離紙650が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面とは反対側の面にICチップ610と対向するように補強板660aが配置されているとともに、ICチップ610上にも補強板660bが配置されている。
【0012】
上記のように構成された非接触型ICラベル600においては、ICチップ610の表裏に対向する領域に補強板660a,660bが配置されているため、物品等に貼着された状態において非接触型ICラベル600に圧力が加わった場合に、ICチップ610が破壊されてしまったり、ICチップ610とアンテナ部620とが断線してしまったりする可能性が低減することになる。
【0013】
また、樹脂シートのICチップが搭載された面にICチップを取り囲むような形状を有する補強部材を配置することも考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0014】
図10は、従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0015】
本構成例は図10に示すように、PET等からなる樹脂シート730上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部720a,720bからなるアンテナ部720が形成されており、この2つの導体部720a,720bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ710が搭載され、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面の全面に粘着剤740が塗布されて剥離紙750が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面に、ICチップ710を取り囲むような形状を有する補強部材760が配置されている。
【0016】
上記のように構成された非接触型ICラベル700においては、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面に、ICチップ710を取り囲むような形状を有する補強部材760が配置されているため、物品等に貼着された状態において非接触型ICラベル700に圧力が加わった場合に、ICチップ710が破壊されてしまったり、ICチップ710とアンテナ部720とが断線してしまったりする可能性が低減することになる。なお、このように補強部材760は、ICチップ710を外力から保護するものであるため、その高さが、ICチップ710の高さよりも高くなっている。
【特許文献1】特許第3478281号公報
【特許文献2】特開2003−288568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図11は、図9に示した非接触型ICラベル600に外力が加わった場合の作用を説明するための図であり、ICチップ610が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0018】
図9に示した非接触型ICラベル600においては、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面側から外力が加わった場合、その外力がICチップ610に直接加わることがなくなるものの、その外力の大きさによっては、補強板660a,660bを介してICチップ610が配置された領域にも外力が加わることとなり、それにより、例えば、補強板660aが配置された面側から外力が加わった場合、図11に示すように、ICチップ610が搭載された領域にて樹脂シート630が撓み、ICチップ610とアンテナ部620とがバンプ611にて断線してしまう虞れがある。
【0019】
また、図10に示した非接触型ICラベル700においては、補強部材760の高さをICチップ710の高さよりも高くする必要があるため、補強部材760が設けられた領域の厚さが他の領域の厚さよりも厚くなり、樹脂シート730上における平坦性が損なわれ、樹脂シート730上への印字適性が低下してしまったり、カード化する等のために他の層を積層する場合、積層工程において層間に気泡が混入してしまったりするという問題点がある。また、平坦性を確保するために全体の厚さを均一にした場合、非接触型ICラベル700全体の厚さが必要以上に厚くなってしまうという問題点がある。
【0020】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、厚さを必要以上に厚くすることなく、外力が加わった場合においてもICチップが配置された領域に外力が加わる可能性を低減することができるRF−IDメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材を介して前記ICチップとは反対側に、前記ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有することを特徴とする。
【0022】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材のICチップが搭載された面とは反対側から外力が加わった場合、その外力は補強部材が配置された領域に集中的に加わることになる。補強部材はICチップに対向する領域を囲むように配置されているため、ICチップが配置された領域には外力が加わりにくくなる。この際、補強部材は、ベース基材を介してICチップとは反対側に配置されているため、その高さをICチップの高さよりも高くする必要がなく、RF−IDメディアの厚さが一部のみ厚くなったり、全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。
【0023】
また、補強部材をインキから構成すれば、補強部材を印刷によって形成することができ、ICチップと補強部材との位置合わせを容易に行うことができる。
【0024】
また、ベース基材のICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されていれば、使用状態においては、補強部材が配置されていない側が被着体に貼着されている状態となるため、補強部材が配置されていない側から外力が加わりにくくなり、ICチップをさらに確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明においては、ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、ベース基材を介してICチップとは反対側に、ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有する構成としたため、ベース基材のICチップが搭載された面とは反対側から外力が加わった場合、その外力は補強部材が配置された領域に集中的に加わることとなり、また、補強部材の高さをICチップの高さよりも高くする必要がなく、それにより、厚さを必要以上に厚くすることなく、外力が加わった場合においてもICチップが配置された領域に外力が加わる可能性を低減することができる。
【0026】
また、補強部材がインキから構成されるものにおいては、補強部材を印刷によって形成することができ、ICチップと補強部材との位置合わせを容易に行うことができる。
【0027】
また、ベース基材が、ICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されている構成としたものにおいては、使用状態では、補強部材が配置されていない側が被着体に貼着されている状態となるため、補強部材が配置されていない側から外力が加わりにくくなり、ICチップをさらに確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0030】
本形態は図1に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート130上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部120a,120bからなるアンテナ部120が形成されており、この2つの導体部120a,120bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ110が搭載され、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面にICチップ110を避けるように粘着剤140が塗布されて剥離紙150が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面に補強部材160が配置されている。補強部材160は、ICチップ110を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ110に対向する領域を取り囲むように形成されている。樹脂シート130には、例えば、非接触型ICラベル100の製造元において、補強部材160が設けられた面に、所定の情報が印字される。
【0031】
上記のように構成された非接触型ICラベル100においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部120に電流が流れ、この電流がICチップ110に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ110に情報が書き込まれたり、ICチップ110に書き込まれた情報がアンテナ部120を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0032】
このような非接触型ICラベル100は、樹脂シート130上に導体部120a,120が形成され、ICチップ110が搭載された後、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面に粘着剤140が塗布されて製造されるが、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面のうち、ICチップ110が搭載された領域に粘着剤140を塗布しないことにより、粘着剤140を塗布する工程において、ICチップ110に不要な負荷が加わることを回避することができる。
【0033】
以下に、上述した非接触型ICラベル100の補強部材160による作用について説明する。
【0034】
図2は、図1に示した非接触型ICラベル100の補強部材160による作用を説明するための図であり、ICチップ110が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0035】
図1に示した非接触型ICラベル100は、剥離紙150が剥離され、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面に塗布された粘着剤140が表出することにより、この粘着剤140によって被着物に貼着されて使用される。
【0036】
この状態において、非接触型ICラベル100に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側から接触物190が接触することにより外力が加わると、樹脂シート130の外力が加わった面には補強部材160が配置されているため、図2に示すように、その外力はまず補強部材160に加わる。
【0037】
ここで、ICチップ110の一辺の長さを800μmとし、補強部材160の内径を900μm、高さを10μmとした場合、三角関数を用いた計算によると、接触物190の半径が10.2mmよりも大きな場合、接触物190は樹脂シート130に接触することがなく、樹脂シート130には、補強部材160が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。また、補強部材160の高さを20μmとした場合は、接触物190の半径が5.1mmよりも大きな場合、接触物190は樹脂シート130に接触することがなく、樹脂シート130には、補強部材160が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。そのため、樹脂シート130のICチップ110が搭載された領域には、外力がくわわりにくくなり、それにより、ICチップ110が破壊されてしまったり、ICチップ110と導体部120a,120bとがバンプ111にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材160が、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ130の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル100の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル100の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材160を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、ICチップ110と補強部材160との位置合わせを容易に行うことができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0039】
本形態は図3に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート230上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部220a,220bからなるアンテナ部220が形成されるとともに、この2つの導体部220a,220bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ210が搭載されてなるインレット201のICチップ110が搭載された面の全面に粘着剤240aが塗布されて剥離紙250が剥離可能に貼着され、インレット201の反対側の面の全面に粘着剤240bが塗布されて上紙270が貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に補強部材260が配置されている。補強部材260は、ICチップ210を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ210に対向する領域を取り囲むように形成されている。なお、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に塗布された粘着剤240bは、ホットメルトや粘着テープ等といった、樹脂シート230に塗布後も硬化せずに柔らかいままの状態が保持されるものである。
【0040】
上記のように構成された非接触型ICラベル200においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部220に電流が流れ、この電流がICチップ210に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ210に情報が書き込まれたり、ICチップ210に書き込まれた情報がアンテナ部220を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0041】
このような非接触型ICラベル200は、樹脂シート230に補強部材260が設けられていることにより、上紙270の表面がフラットな状態となっているため、非接触型ICラベル200の製造元に限らず、非接触型ICラベル200の販売元やエンドユーザにおいて上紙270に所望の情報を容易に印字あるいは記入することができる。
【0042】
以下に、上述した非接触型ICラベル200の補強部材260による作用について説明する。
【0043】
図4は、図3に示した非接触型ICラベル200の補強部材260による作用を説明するための図であり、ICチップ210が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0044】
図3に示した非接触型ICラベル200は、剥離紙250が剥離され、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面に塗布された粘着剤240aが表出することにより、この粘着剤240aによって被着物に貼着されて使用される。
【0045】
この状態において、非接触型ICラベル200に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側から外力が加わると、その外力は上紙270全体に加わった後、粘着剤240bに加わる。そして、粘着剤240bが柔らかく、また、補強部材260が樹脂シート230から粘着剤240b側に突出していることにより、図4に示すように、粘着剤240bに加わった外力が補強部材260に集中的に加わり、樹脂シート230には、補強部材260が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。そのため、樹脂シート230のICチップ210が搭載された領域には、外力がくわわりにくくなり、それにより、ICチップ210が破壊されてしまったり、ICチップ210と導体部220a,220bとがバンプ211にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材260が、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ230の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル200の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル200の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材260を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、ICチップ210と補強部材260との位置合わせを容易に行うことができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0047】
本形態は図5に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート330上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部320a,320bからなるアンテナ部320が形成されるとともに、この2つの導体部320a,320bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ310が搭載されてなるインレット301のICチップ310が搭載された面にICチップ310を避けるように粘着剤340aが塗布されて剥離紙350が剥離可能に貼着され、インレット301の反対側の面にICチップ310に対向する領域を避けるように粘着剤340bが塗布されて上紙370が貼着されて構成されている。さらに、上紙370のインレット301に対向する面に補強部材360が配置されている。補強部材360は、ICチップ310を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、上紙370のインレット301と対向する面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ310に対向する領域を取り囲むように形成されている。なお、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側の面に塗布された粘着剤340bは、ホットメルトや粘着テープ等といった、樹脂シート330に塗布後も硬化せずに柔らかいままの状態が保持されるものである。
【0048】
上記のように構成された非接触型ICラベル300においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部320に電流が流れ、この電流がICチップ310に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ310に情報が書き込まれたり、ICチップ310に書き込まれた情報がアンテナ部320を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0049】
このような非接触型ICラベル300は、上紙370の樹脂シート330との貼着面に補強部材360が設けられていることにより、上紙370の表面がフラットな状態となっているため、非接触型ICラベル300の製造元に限らず、非接触型ICラベル300の販売元やエンドユーザにおいて上紙370に所望の情報を容易に印字あるいは記入することができる。
【0050】
以下に、上述した非接触型ICラベル300の補強部材360による作用について説明する。
【0051】
図6は、図5に示した非接触型ICラベル300の補強部材360による作用を説明するための図であり、ICチップ310が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0052】
図5に示した非接触型ICラベル300は、剥離紙350が剥離され、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面に塗布された粘着剤340aが表出することにより、この粘着剤340によって被着物に貼着されて使用される。
【0053】
この状態において、非接触型ICラベル300に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側から外力が加わると、その外力は上紙370全体に加わった後、粘着剤340bに加わる。そして、粘着剤340bが柔らかく、また、補強部材360が上紙370から粘着剤340b側に突出していることにより、粘着剤340bに加わった外力が補強部材360に対向する領域に集中的に加わり、樹脂シート330においても、補強部材360に対向する領域に外力が集中的に加わることになる。また、上紙370のICチップ310に対向する領域においては、樹脂シート330との間に粘着剤340bが存在しないことにより、上紙370が樹脂シート330に向かう方向に撓むが、上紙370のICチップ310に対向する領域を取り囲むように補強部材360が配置されているため、補強部材360が樹脂シート330と上紙370との間に介在し、外力が、樹脂シート330のうち補強部材360に対向する領域に集中的に加わり、ICチップ310が配置された領域には加わりにくくなる。それにより、ICチップ310が破壊されてしまったり、ICチップ310と導体部320a,320bとがバンプ311にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材360が、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ330の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル300の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル300の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材360を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、上紙370がインレット301に貼着された場合に補強部材360がICチップ310に対向する領域を取り囲むようにICチップ310と補強部材360との位置合わせを容易に行うことができる。
【0054】
なお、上述した3つの実施の形態にて示した補強部材160,260,360は、ICチップ110,210,210を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有するものであるが、本発明における補強部材は、ICチップの周囲に部分的に配置されるようなものであってもよい。
【0055】
図7は、本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材の他の例を示す図である。
【0056】
本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材としては、第1〜第3の実施の形態にて示したものに限らず、図7(a)に示すようにICチップ410の4辺に沿う形状を有する補強部材460aや、図7(b)に示すようにICチップ410の4辺のうち3辺に沿う形状を有する補強部材460bや、図7(c)に示すようにICチップ410の4辺のうち2辺に沿う形状を有する補強部材460cや、図7(d)に示すようにICチップ410の4つの頂点に隣接するように4つの柱からなる補強部材460dであってもよい。
【0057】
いずれの補強部材460a〜460dにおいても、ICチップ410に対向する領域に配置することにより、ICチップ410を外力から保護することができる。本発明においては、第1〜第3の実施の形態に示したような補強部材160,260,360や図7(a)に示した補強部材460aのように、閉じた形状を有し、ICチップ110,210,310,410に対向する領域がその内部となるように補強部材160,260,360,460aが配置されることのみならず、図7(b)〜図7(d)に示したように、一部が開放された形状を有し、ICチップ410に対向する領域が補強部材460b〜460dによって囲まれるように配置されることも、補強部材が、ICチップに対向する領域を囲むように配置されるものと定義する。
【0058】
また、補強部材160,260,360は、上述したようにインキを用いたスクリーン印刷によって形成するものではなく、金属や樹脂等の板材から構成してもよい。例えば、リボン状テープのような薄い固形樹脂製物を粘着剤等で樹脂シートや上紙に貼着するものであってもよい。ただし、インキを用いたスクリーン印刷によって形成したものの方が、上述したように、ICチップに対する位置合わせを容易に行うことができる。
【0059】
また、上述した3つの実施の形態においては、RF−IDメディアとして非接触型ICラベル100,200,300を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限らず、非接触型ICカードや非接触型ICタグ等、樹脂シート上にICチップが搭載されてなるものであれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図3】本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図4】図3に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図5】本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図6】図5に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図7】本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材の他の例を示す図である。
【図8】マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図9】従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図10】従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図11】図9に示した非接触型ICラベルに外力が加わった場合の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
100,200,300 非接触型ICラベル
110,210,310,410 ICチップ
111,211,311 バンプ
120,220,320 アンテナ部
120a,120b,220a,220b,320a,320b 導体部
130,230,330 樹脂シート
140,240a,240b,340a,340b 粘着剤
150,250,350 剥離紙
160,260,360,460a〜460d 補強部材
190 接触物
201,301 インレット
270,370 上紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップを具備するRF−IDメディアに関し、特に、ICチップの保護技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、商品等に貼着されるタグやラベルに情報を記録し、このタグやラベルを用いての商品等の管理が行われている。このようなタグやラベルを用いた情報管理においては、タグやラベルに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICタグや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触型ICタグや非接触型ICラベルにおいては、近年、小型化及び通信可能距離を確保するために、マイクロ波帯を利用して通信を行う微細なICチップが用いられることが多くなってきている。
【0004】
このような微細なICチップを用いた場合、ICチップに導電性のアンテナを接続することにより、ICチップに対して情報の書き込みや読み出しが行われることになる。
【0005】
図8は、マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0006】
本構成例は図8に示すように、PET等からなる樹脂シート530上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部520a,520bからなるアンテナ部520が形成されており、この2つの導体部520a,520bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ510が搭載され、樹脂シート530のICチップ510が搭載された面の全面に粘着剤540が塗布されて剥離紙550が剥離可能に貼着されて構成されている。
【0007】
上記のように構成された非接触型ICラベル500においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部520に電流が流れ、この電流がICチップ510に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ510に情報が書き込まれたり、ICチップ510に書き込まれた情報がアンテナ部520を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0008】
このような非接触型ICラベル500においては、剥離紙550が剥離されて粘着剤540を介して物品等に貼着されるが、物品等に貼着された状態において樹脂シート530側から非接触型ICラベル500に圧力が加わった場合、ICチップ510が破壊されてしまったり、ICチップ510とアンテナ部520とが断線してしまったりする虞れがある。
【0009】
ここで、ICチップを有するICカードにおいて、ICチップの表裏に対向する領域に補強板を配置し、それにより、ICカードに外力が加わった場合に、ICチップが破壊されてしまったり、ICチップとアンテナ部とが断線してしまったりする可能性を低減させることが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
図9は、従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0011】
本構成例は図9に示すように、PET等からなる樹脂シート630上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部620a,620bからなるアンテナ部620が形成されており、この2つの導体部620a,620bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ610が搭載され、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面の全面に粘着剤640が塗布されて剥離紙650が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面とは反対側の面にICチップ610と対向するように補強板660aが配置されているとともに、ICチップ610上にも補強板660bが配置されている。
【0012】
上記のように構成された非接触型ICラベル600においては、ICチップ610の表裏に対向する領域に補強板660a,660bが配置されているため、物品等に貼着された状態において非接触型ICラベル600に圧力が加わった場合に、ICチップ610が破壊されてしまったり、ICチップ610とアンテナ部620とが断線してしまったりする可能性が低減することになる。
【0013】
また、樹脂シートのICチップが搭載された面にICチップを取り囲むような形状を有する補強部材を配置することも考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0014】
図10は、従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0015】
本構成例は図10に示すように、PET等からなる樹脂シート730上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部720a,720bからなるアンテナ部720が形成されており、この2つの導体部720a,720bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ710が搭載され、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面の全面に粘着剤740が塗布されて剥離紙750が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面に、ICチップ710を取り囲むような形状を有する補強部材760が配置されている。
【0016】
上記のように構成された非接触型ICラベル700においては、樹脂シート730のICチップ710が搭載された面に、ICチップ710を取り囲むような形状を有する補強部材760が配置されているため、物品等に貼着された状態において非接触型ICラベル700に圧力が加わった場合に、ICチップ710が破壊されてしまったり、ICチップ710とアンテナ部720とが断線してしまったりする可能性が低減することになる。なお、このように補強部材760は、ICチップ710を外力から保護するものであるため、その高さが、ICチップ710の高さよりも高くなっている。
【特許文献1】特許第3478281号公報
【特許文献2】特開2003−288568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図11は、図9に示した非接触型ICラベル600に外力が加わった場合の作用を説明するための図であり、ICチップ610が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0018】
図9に示した非接触型ICラベル600においては、樹脂シート630のICチップ610が搭載された面側から外力が加わった場合、その外力がICチップ610に直接加わることがなくなるものの、その外力の大きさによっては、補強板660a,660bを介してICチップ610が配置された領域にも外力が加わることとなり、それにより、例えば、補強板660aが配置された面側から外力が加わった場合、図11に示すように、ICチップ610が搭載された領域にて樹脂シート630が撓み、ICチップ610とアンテナ部620とがバンプ611にて断線してしまう虞れがある。
【0019】
また、図10に示した非接触型ICラベル700においては、補強部材760の高さをICチップ710の高さよりも高くする必要があるため、補強部材760が設けられた領域の厚さが他の領域の厚さよりも厚くなり、樹脂シート730上における平坦性が損なわれ、樹脂シート730上への印字適性が低下してしまったり、カード化する等のために他の層を積層する場合、積層工程において層間に気泡が混入してしまったりするという問題点がある。また、平坦性を確保するために全体の厚さを均一にした場合、非接触型ICラベル700全体の厚さが必要以上に厚くなってしまうという問題点がある。
【0020】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、厚さを必要以上に厚くすることなく、外力が加わった場合においてもICチップが配置された領域に外力が加わる可能性を低減することができるRF−IDメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材を介して前記ICチップとは反対側に、前記ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有することを特徴とする。
【0022】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材のICチップが搭載された面とは反対側から外力が加わった場合、その外力は補強部材が配置された領域に集中的に加わることになる。補強部材はICチップに対向する領域を囲むように配置されているため、ICチップが配置された領域には外力が加わりにくくなる。この際、補強部材は、ベース基材を介してICチップとは反対側に配置されているため、その高さをICチップの高さよりも高くする必要がなく、RF−IDメディアの厚さが一部のみ厚くなったり、全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。
【0023】
また、補強部材をインキから構成すれば、補強部材を印刷によって形成することができ、ICチップと補強部材との位置合わせを容易に行うことができる。
【0024】
また、ベース基材のICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されていれば、使用状態においては、補強部材が配置されていない側が被着体に貼着されている状態となるため、補強部材が配置されていない側から外力が加わりにくくなり、ICチップをさらに確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明においては、ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、ベース基材を介してICチップとは反対側に、ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有する構成としたため、ベース基材のICチップが搭載された面とは反対側から外力が加わった場合、その外力は補強部材が配置された領域に集中的に加わることとなり、また、補強部材の高さをICチップの高さよりも高くする必要がなく、それにより、厚さを必要以上に厚くすることなく、外力が加わった場合においてもICチップが配置された領域に外力が加わる可能性を低減することができる。
【0026】
また、補強部材がインキから構成されるものにおいては、補強部材を印刷によって形成することができ、ICチップと補強部材との位置合わせを容易に行うことができる。
【0027】
また、ベース基材が、ICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されている構成としたものにおいては、使用状態では、補強部材が配置されていない側が被着体に貼着されている状態となるため、補強部材が配置されていない側から外力が加わりにくくなり、ICチップをさらに確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0030】
本形態は図1に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート130上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部120a,120bからなるアンテナ部120が形成されており、この2つの導体部120a,120bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ110が搭載され、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面にICチップ110を避けるように粘着剤140が塗布されて剥離紙150が剥離可能に貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面に補強部材160が配置されている。補強部材160は、ICチップ110を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側の面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ110に対向する領域を取り囲むように形成されている。樹脂シート130には、例えば、非接触型ICラベル100の製造元において、補強部材160が設けられた面に、所定の情報が印字される。
【0031】
上記のように構成された非接触型ICラベル100においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部120に電流が流れ、この電流がICチップ110に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ110に情報が書き込まれたり、ICチップ110に書き込まれた情報がアンテナ部120を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0032】
このような非接触型ICラベル100は、樹脂シート130上に導体部120a,120が形成され、ICチップ110が搭載された後、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面に粘着剤140が塗布されて製造されるが、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面のうち、ICチップ110が搭載された領域に粘着剤140を塗布しないことにより、粘着剤140を塗布する工程において、ICチップ110に不要な負荷が加わることを回避することができる。
【0033】
以下に、上述した非接触型ICラベル100の補強部材160による作用について説明する。
【0034】
図2は、図1に示した非接触型ICラベル100の補強部材160による作用を説明するための図であり、ICチップ110が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0035】
図1に示した非接触型ICラベル100は、剥離紙150が剥離され、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面に塗布された粘着剤140が表出することにより、この粘着剤140によって被着物に貼着されて使用される。
【0036】
この状態において、非接触型ICラベル100に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側から接触物190が接触することにより外力が加わると、樹脂シート130の外力が加わった面には補強部材160が配置されているため、図2に示すように、その外力はまず補強部材160に加わる。
【0037】
ここで、ICチップ110の一辺の長さを800μmとし、補強部材160の内径を900μm、高さを10μmとした場合、三角関数を用いた計算によると、接触物190の半径が10.2mmよりも大きな場合、接触物190は樹脂シート130に接触することがなく、樹脂シート130には、補強部材160が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。また、補強部材160の高さを20μmとした場合は、接触物190の半径が5.1mmよりも大きな場合、接触物190は樹脂シート130に接触することがなく、樹脂シート130には、補強部材160が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。そのため、樹脂シート130のICチップ110が搭載された領域には、外力がくわわりにくくなり、それにより、ICチップ110が破壊されてしまったり、ICチップ110と導体部120a,120bとがバンプ111にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材160が、樹脂シート130のICチップ110が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ130の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル100の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル100の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材160を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、ICチップ110と補強部材160との位置合わせを容易に行うことができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0039】
本形態は図3に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート230上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部220a,220bからなるアンテナ部220が形成されるとともに、この2つの導体部220a,220bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ210が搭載されてなるインレット201のICチップ110が搭載された面の全面に粘着剤240aが塗布されて剥離紙250が剥離可能に貼着され、インレット201の反対側の面の全面に粘着剤240bが塗布されて上紙270が貼着されて構成されている。さらに、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に補強部材260が配置されている。補強部材260は、ICチップ210を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ210に対向する領域を取り囲むように形成されている。なお、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に塗布された粘着剤240bは、ホットメルトや粘着テープ等といった、樹脂シート230に塗布後も硬化せずに柔らかいままの状態が保持されるものである。
【0040】
上記のように構成された非接触型ICラベル200においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部220に電流が流れ、この電流がICチップ210に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ210に情報が書き込まれたり、ICチップ210に書き込まれた情報がアンテナ部220を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0041】
このような非接触型ICラベル200は、樹脂シート230に補強部材260が設けられていることにより、上紙270の表面がフラットな状態となっているため、非接触型ICラベル200の製造元に限らず、非接触型ICラベル200の販売元やエンドユーザにおいて上紙270に所望の情報を容易に印字あるいは記入することができる。
【0042】
以下に、上述した非接触型ICラベル200の補強部材260による作用について説明する。
【0043】
図4は、図3に示した非接触型ICラベル200の補強部材260による作用を説明するための図であり、ICチップ210が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0044】
図3に示した非接触型ICラベル200は、剥離紙250が剥離され、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面に塗布された粘着剤240aが表出することにより、この粘着剤240aによって被着物に貼着されて使用される。
【0045】
この状態において、非接触型ICラベル200に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側から外力が加わると、その外力は上紙270全体に加わった後、粘着剤240bに加わる。そして、粘着剤240bが柔らかく、また、補強部材260が樹脂シート230から粘着剤240b側に突出していることにより、図4に示すように、粘着剤240bに加わった外力が補強部材260に集中的に加わり、樹脂シート230には、補強部材260が配置された領域に外力が集中的に加わることになる。そのため、樹脂シート230のICチップ210が搭載された領域には、外力がくわわりにくくなり、それにより、ICチップ210が破壊されてしまったり、ICチップ210と導体部220a,220bとがバンプ211にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材260が、樹脂シート230のICチップ210が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ230の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル200の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル200の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材260を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、ICチップ210と補強部材260との位置合わせを容易に行うことができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0047】
本形態は図5に示すように、PET等からなるベース基材である樹脂シート330上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部320a,320bからなるアンテナ部320が形成されるとともに、この2つの導体部320a,320bの一端にそれぞれ設けられた給電点(不図示)に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ310が搭載されてなるインレット301のICチップ310が搭載された面にICチップ310を避けるように粘着剤340aが塗布されて剥離紙350が剥離可能に貼着され、インレット301の反対側の面にICチップ310に対向する領域を避けるように粘着剤340bが塗布されて上紙370が貼着されて構成されている。さらに、上紙370のインレット301に対向する面に補強部材360が配置されている。補強部材360は、ICチップ310を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有し、上紙370のインレット301と対向する面にインキを用いたスクリーン印刷によってICチップ310に対向する領域を取り囲むように形成されている。なお、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側の面に塗布された粘着剤340bは、ホットメルトや粘着テープ等といった、樹脂シート330に塗布後も硬化せずに柔らかいままの状態が保持されるものである。
【0048】
上記のように構成された非接触型ICラベル300においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波に共振してアンテナ部320に電流が流れ、この電流がICチップ310に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ310に情報が書き込まれたり、ICチップ310に書き込まれた情報がアンテナ部320を介して情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0049】
このような非接触型ICラベル300は、上紙370の樹脂シート330との貼着面に補強部材360が設けられていることにより、上紙370の表面がフラットな状態となっているため、非接触型ICラベル300の製造元に限らず、非接触型ICラベル300の販売元やエンドユーザにおいて上紙370に所望の情報を容易に印字あるいは記入することができる。
【0050】
以下に、上述した非接触型ICラベル300の補強部材360による作用について説明する。
【0051】
図6は、図5に示した非接触型ICラベル300の補強部材360による作用を説明するための図であり、ICチップ310が搭載された領域の近傍の状態を示す。
【0052】
図5に示した非接触型ICラベル300は、剥離紙350が剥離され、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面に塗布された粘着剤340aが表出することにより、この粘着剤340によって被着物に貼着されて使用される。
【0053】
この状態において、非接触型ICラベル300に対して、被着物とは反対側となる樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側から外力が加わると、その外力は上紙370全体に加わった後、粘着剤340bに加わる。そして、粘着剤340bが柔らかく、また、補強部材360が上紙370から粘着剤340b側に突出していることにより、粘着剤340bに加わった外力が補強部材360に対向する領域に集中的に加わり、樹脂シート330においても、補強部材360に対向する領域に外力が集中的に加わることになる。また、上紙370のICチップ310に対向する領域においては、樹脂シート330との間に粘着剤340bが存在しないことにより、上紙370が樹脂シート330に向かう方向に撓むが、上紙370のICチップ310に対向する領域を取り囲むように補強部材360が配置されているため、補強部材360が樹脂シート330と上紙370との間に介在し、外力が、樹脂シート330のうち補強部材360に対向する領域に集中的に加わり、ICチップ310が配置された領域には加わりにくくなる。それにより、ICチップ310が破壊されてしまったり、ICチップ310と導体部320a,320bとがバンプ311にて断線してしまったりする可能性が低減することになる。また、補強部材360が、樹脂シート330のICチップ310が搭載された面とは反対側に配置されているため、その高さをICチップ330の高さよりも高くする必要がなく、非接触型ICラベル300の厚さが一部のみ厚くなったり、非接触型ICラベル300の全体の厚さが必要以上に厚くなったりすることがない。さらに、補強部材360を、インキを用いたスクリーン印刷によって形成することにより、上紙370がインレット301に貼着された場合に補強部材360がICチップ310に対向する領域を取り囲むようにICチップ310と補強部材360との位置合わせを容易に行うことができる。
【0054】
なお、上述した3つの実施の形態にて示した補強部材160,260,360は、ICチップ110,210,210を内部に含むのに十分な径を具備するリング形状を有するものであるが、本発明における補強部材は、ICチップの周囲に部分的に配置されるようなものであってもよい。
【0055】
図7は、本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材の他の例を示す図である。
【0056】
本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材としては、第1〜第3の実施の形態にて示したものに限らず、図7(a)に示すようにICチップ410の4辺に沿う形状を有する補強部材460aや、図7(b)に示すようにICチップ410の4辺のうち3辺に沿う形状を有する補強部材460bや、図7(c)に示すようにICチップ410の4辺のうち2辺に沿う形状を有する補強部材460cや、図7(d)に示すようにICチップ410の4つの頂点に隣接するように4つの柱からなる補強部材460dであってもよい。
【0057】
いずれの補強部材460a〜460dにおいても、ICチップ410に対向する領域に配置することにより、ICチップ410を外力から保護することができる。本発明においては、第1〜第3の実施の形態に示したような補強部材160,260,360や図7(a)に示した補強部材460aのように、閉じた形状を有し、ICチップ110,210,310,410に対向する領域がその内部となるように補強部材160,260,360,460aが配置されることのみならず、図7(b)〜図7(d)に示したように、一部が開放された形状を有し、ICチップ410に対向する領域が補強部材460b〜460dによって囲まれるように配置されることも、補強部材が、ICチップに対向する領域を囲むように配置されるものと定義する。
【0058】
また、補強部材160,260,360は、上述したようにインキを用いたスクリーン印刷によって形成するものではなく、金属や樹脂等の板材から構成してもよい。例えば、リボン状テープのような薄い固形樹脂製物を粘着剤等で樹脂シートや上紙に貼着するものであってもよい。ただし、インキを用いたスクリーン印刷によって形成したものの方が、上述したように、ICチップに対する位置合わせを容易に行うことができる。
【0059】
また、上述した3つの実施の形態においては、RF−IDメディアとして非接触型ICラベル100,200,300を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限らず、非接触型ICカードや非接触型ICタグ等、樹脂シート上にICチップが搭載されてなるものであれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図3】本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図4】図3に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図5】本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態となる非接触型ICラベルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図6】図5に示した非接触型ICラベルの補強部材による作用を説明するための図である。
【図7】本発明のRF−IDメディアに用いられる補強部材の他の例を示す図である。
【図8】マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図9】従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図10】従来の非接触型ICラベルの他の構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図11】図9に示した非接触型ICラベルに外力が加わった場合の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
100,200,300 非接触型ICラベル
110,210,310,410 ICチップ
111,211,311 バンプ
120,220,320 アンテナ部
120a,120b,220a,220b,320a,320b 導体部
130,230,330 樹脂シート
140,240a,240b,340a,340b 粘着剤
150,250,350 剥離紙
160,260,360,460a〜460d 補強部材
190 接触物
201,301 インレット
270,370 上紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材を介して前記ICチップとは反対側に、前記ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有することを特徴とするRF−IDメディア。
【請求項2】
請求項1に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記補強部材は、インキから構成されるRF−IDメディア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材は、前記ICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されているRF−IDメディア。
【請求項1】
ベース基材上にICチップが搭載されてなるRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材を介して前記ICチップとは反対側に、前記ICチップに対向する領域を囲むように配置された補強部材を有することを特徴とするRF−IDメディア。
【請求項2】
請求項1に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記補強部材は、インキから構成されるRF−IDメディア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記ベース基材は、前記ICチップが搭載された面に粘着剤が塗布されているRF−IDメディア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−301099(P2009−301099A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151653(P2008−151653)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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