RFIDタグ
【課題】取り付け対象物に取り付けられた後でその取り付け対象物から取り外される場合に破壊されるRFIDタグを提供する。
【解決手段】ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、弾性を有するスペーサと、ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、スペーサを介して第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、スペーサを押圧する押圧力により第1の係止部方向へ変位して第1の係止部に係止し、押圧力が除去されることで第1の係止部を介してICチップの周囲に押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、第2の係止部により発生する押圧力に対応する力により、ICチップ又はアンテナを破壊する破壊部とを有する。
【解決手段】ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、弾性を有するスペーサと、ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、スペーサを介して第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、スペーサを押圧する押圧力により第1の係止部方向へ変位して第1の係止部に係止し、押圧力が除去されることで第1の係止部を介してICチップの周囲に押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、第2の係止部により発生する押圧力に対応する力により、ICチップ又はアンテナを破壊する破壊部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFID(Radio Frequency Identification)タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグの不正利用防止のため、RFIDタグが対象物品に貼り付けられた状態で上部のみ引き剥がされることにより、RFIDタグが破壊される技術がある。
【0003】
なお、RFIDタグに関連する幾つかの技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−48147号公報
【特許文献2】特開2005−242971号公報
【特許文献3】特許3636202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の不正利用防止のためのRFIDタグは、対象物品に接着されている必要がある。従って、対象物品に接着されないRFIDタグに適用できない。また、上述した従来の不正利用防止のためのRFIDタグは、RFIDタグ全体が剥がされた場合に無効となる。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、取り付け対象物に取り付けられた後でその取り付け対象物から取り外される場合に破壊されるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、弾性を有するスペーサと、ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、スペーサを介して第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、スペーサを押圧する押圧力により第1の係止部方向へ変位して第1の係止部に係止し、押圧力が除去されることで第1の係止部を介してICチップの周囲に押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、第2の係止部により発生する押圧力に対応する力により、ICチップ又はアンテナを破壊する破壊部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
開示のRFIDタグによれば、取り付け対象物に取り付けられた後でその取り付け対象物から取り外される場合に破壊される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】RFIDタグ1aの構成の一例を示す下面図である。
【図2】RFIDタグ1aの構成の一例を示す正面図である。
【図3】RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す上面図である。
【図4】RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す正面図である。
【図5】RFIDタグ1aの構成の一例を正面から見た断面図である。
【図6】破壊機構13a,14の構成の一例を示す正面図である。
【図7】破壊機構13a周辺の構成の一例を示す下面図である。
【図8】破壊機構13a周辺の構成の一例を示す側面図である。
【図9】RFIDタグ1aの第1状態の一例を正面から見た断面図である。
【図10】RFIDタグ1aの第2状態の一例を正面から見た断面図である。
【図11】RFIDタグ1aの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【図12】RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す下面図である。
【図13】RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す側面図である。
【図14】RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す下面図である。
【図15】RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す側面図である。
【図16】RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す下面図である。
【図17】RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す側面図である。
【図18】RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す下面図である。
【図19】RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す側面図である。
【図20】RFIDタグ1aの製造方法における第5工程の一例を示す下面図である。
【図21】誤作動防止対策を施したRFIDタグ1aの一例を正面から見た断面図である。
【図22】RFIDタグ1bの構成の一例を示す下面図である。
【図23】インレット基板12bの構成の一例を示す下面図である。
【図24】RFIDタグ1cの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【図25】破壊機構13bの構成の一例を示す正面図である。
【図26】破壊機構13b及びインレット基板12aの構成の一例を示す斜視図である。
【図27】RFIDタグ1dの第2状態の一例を正面から見た断面図である。
【図28】破壊機構13cの構成の一例を示す正面図である。
【図29】RFIDタグ1dの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(実施の形態1)
本実施の形態のRFIDタグ1aの構成について以下に説明する。
【0012】
図1は、RFIDタグ1aの構成の一例を示す下面図である。図2は、RFIDタグ1aの構成の一例を示す正面図である。本実施の形態のRFIDタグ1aは、取り付けバンド2、回路収容部3、スペーサ6を有する。取り付けバンド2は、両端を接続することができ、結束バンドと同様の機能を有する。回路収容部3の壁は、スペーサ7である。
【0013】
図3は、RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す上面図である。図4は、RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す正面図である。RFIDタグ1aは取り付け対象物5に取り付けられる。この時、取り付けバンド2が取り付け対象物5に巻き付けられて締められることにより、回路収容部3及びスペーサ6が押し潰される。
【0014】
図5は、RFIDタグ1aの構成の一例を正面から見た断面図である。この図は、RFIDタグ1aのうち回路収容部3の内部を示す。回路収容部3は、チップ11(ICチップ)、インレット基板12a、破壊機構13a,14、スペーサ7、接着剤16a,16bを有する。スペーサ7における各壁面のうち、インレット基板12aに接する上側の壁面を上壁とし、破壊機構14に接着する下側の壁面を下壁とし、それ以外の側面を側壁とする。スペーサ6,7は、弾性体、例えばゴムにより実現される。なお、スペーサ6,7は、スプリングや板バネであっても良い。
【0015】
インレット基板12aのうち、破壊機構13aに接する部分を中央部(第1位置)とし、取り付けバンド2に接着される部分を両端部(第2位置)とする。チップ11の上面とインレット基板12aの中央部の下面とは、接着されている。更に、チップ11の電極とインレット基板12a上のアンテナパターンとが接続されている。インレット基板12aの両端部の下面とスペーサ7の上壁の上面は、接着剤16bにより接着されている。インレット基板12aの両端部の上面と取り付けバンド2の下面とは、接着剤16aにより接着されている。
【0016】
図6は、破壊機構13a,14の構成の一例を示す正面図である。この図において、上側は、破壊機構13aを示し、下側は、破壊機構14を示す。
【0017】
破壊機構13aは、ベース21とフック22とを有する。ベース21とフック22とは、結合している。ベース21は、インレット基板12aの中央部の上面に固定される。フック22は、インレット基板12aを貫通してスペーサ7の内部空間内に延びている。破壊機構13aと取り付けバンド2とは、結合していない。
【0018】
破壊機構14は、ベース23とフック24とを有する。ベース23とフック24とは、結合している。ベース23は、スペーサ7の下壁の下面に固定される。フック24は、スペーサ7の下壁を貫通してスペーサ7の内部空間内に延びている。
【0019】
フック22は、フック24の突起が掛かることができるフック用孔25を有する。
【0020】
図7は、破壊機構13a周辺の構成の一例を示す下面図である。この図は、RFIDタグ1aのうち、取り付けバンド2、破壊機構13a、インレット基板12a、チップ11を示す。図8は、破壊機構13a周辺の構成の一例を示す側面図である。この図は、図7の右方から見た側面図である。この図の左方は、インレット基板12aの下方である。インレット基板12aは、アンテナパターン17(アンテナ)を有する。
【0021】
取り付け時のRFIDタグ1aの状態の変化について以下に説明する。
【0022】
図9は、RFIDタグ1aの第1状態の一例を正面から見た断面図である。第1状態は、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられる前の状態であり、スペーサ7の下壁の下面が取り付け対象物5に接した状態である。
【0023】
図10は、RFIDタグ1aの第2状態の一例を正面から見た断面図である。第2状態は、取り付け者が取り付けバンド2を締め付けることにより、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられた状態である。これにより、取り付けバンド2が締め付けられると、取り付けバンド2が取り付け対象物5へ押し付けられ、ベース21をベース23の方向へ押すと共にベース23をベース21の方向へ押す押圧力F1が、RFIDタグ1aに加わる。この押圧力F1により、スペーサ7が押し潰されて弾性変形し、フック22とフック24とが係止する。
【0024】
取り外し時のRFIDタグ1aの状態の変化について以下に説明する。
【0025】
図11は、RFIDタグ1aの第3状態の一例を正面から見た断面図である。第3状態は、RFIDタグ1aの取り付け後に、RFIDタグ1aが取り付け対象物5から取り外される状態である。スペーサ7は、押圧力F1に対し、弾性復元力F2を発生させる。
【0026】
取り付けバンド2が切断等により緩められ、取り付けバンド2の締め付け力が低下し、押圧力F1が低下すると、弾性復元力F2は、インレット基板12aの両端部を上方へ押すと共にベース23を下方へ押す弾性復元力F2をRFIDタグ1aに加える。一方、フック22とフック24とが互いに係止した状態でベース21とベース23とが拘束されているため、インレット基板12aの中央部とベース23との距離は維持される。これにより、インレット基板12aの中央部と両端部へ互いに逆方向の力が加えられ、インレット基板12a及びアンテナパターン17は破壊される。
【0027】
ここで、弾性復元力F2は、インレット基板12aの強度より大きい。
【0028】
破壊機構13a,14は、スペーサ7で覆われているため、不正にRFIDタグ1aを取り付け対象物5から外す者が外観から破壊機構13a,14を知ることはできない。
【0029】
RFIDタグ1aの製造方法について以下に説明する。
【0030】
図12は、RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す下面図である。図13は、RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す側面図である。第1工程において、インレット基板12aの中央部に貫通する孔31,32,33,34が空けられると共に、インレット基板12aの中央部の下面にチップ11が実装される。
【0031】
図14は、RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す下面図である。図15は、RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの中央部の上面にベース21が配置される。
【0032】
図16は、RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す下面図である。図17は、RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの中央部の下面にフック22が配置され、ベース21とフック22が結合される。
【0033】
図18は、RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す下面図である。図19は、RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの上面に取り付けバンド2が配置され、インレット基板12aの両端部の上面と取り付けバンド2の下面とが接着剤16aにより接着される。ベース21と取り付けバンド2とは、接着されない。
【0034】
図20は、RFIDタグ1aの製造方法における第5工程の一例を示す下面図である。下壁に破壊機構14が付けられたスペーサ7がインレット基板12aの下面に配置され、インレット基板12aの両端部の下面とスペーサ7の上壁の上面が接着剤16bにより接着される。
【0035】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合に、インレット基板12aが破壊される。これにより、RFIDタグ1aの不正利用を防止することができる。
【0036】
RFIDタグ1aの誤作動防止対策について以下に説明する。
【0037】
図21は、誤作動防止対策を施したRFIDタグ1aの一例を正面から見た断面図である。輸送時の衝撃等によりフック22とフック24が係止しないように、製造後から取り付け前まで、ストッパ26がフック22に付けられてフック用孔25を塞ぐ。取り付け直前に、ストッパ26は、取り除かれる。
【0038】
なお、ストッパ26は、フック24に付けられても良いし、フック22とフック24の両方に付けられても良い。
【0039】
(実施の形態2)
本実施の形態のRFIDタグ1bの構成について以下に説明する。
【0040】
図22は、RFIDタグ1bの構成の一例を示す下面図である。RFIDタグ1bの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1bは、インレット基板12aの代わりにインレット基板12bを有する。
【0041】
図23は、インレット基板12bの構成の一例を示す下面図である。インレット基板12aと比較すると、インレット基板12bの中央部と両端部の境界には、境界の強度を低下させるための4つの切れ込み(溝)41が設けられている。RFIDタグ1bが実施の形態1と同様の第1状態及び第2状態を経て第3状態になる場合、切れ込み41によりインレット基板12bの破壊の確実性が高まる。切れ込み41は、インレット基板12bの平面の長辺上に設けられ、上述の境界方向に切られている。
【0042】
なお、インレット基板の平面上に上述の境界に沿った溝が設けられ、この溝が破壊を確実にしても良い。上面及び下面の少なくともいずれかである。更に、インレット基板の平面の長辺上の切れ込み41とインレット基板の平面上の溝とが組み合わせられても良い。
【0043】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1bが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合において、インレット基板12bの破壊の確実性を高める。
【0044】
(実施の形態3)
本実施の形態のRFIDタグ1cの構成について以下に説明する。
【0045】
図24は、RFIDタグ1cの第3状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第1状態及び第2状態を経た第3状態、即ちRFIDタグ1cが取り付け対象物5から取り外される状態を示す。RFIDタグ1cの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1cは、破壊機構13aの代わりに破壊機構13bを有する。
【0046】
図25は、破壊機構13bの構成の一例を示す正面図である。破壊機構13bの構成要素において、破壊機構13aの構成要素と同一符号は破壊機構13aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。破壊機構13aと比較すると、破壊機構13bは、フック22の代わりにワイヤ42を有する。
【0047】
図26は、破壊機構13b及びインレット基板12aの構成の一例を示す斜視図である。この図の視点は、インレット基板12aの下面側である。RFIDタグ1cの取り付け時、実施の形態1の第2状態におけるフック22と同様にして、ワイヤ42は、フック24の突起に掛けられる。これにより、ベース21とベース23の距離が所定距離以下になるように、ベース21とベース23とが拘束される。RFIDタグ1cの取り外し時、実施の形態1の第3状態と同様にして、インレット基板12aの中央部と両端部とにそれぞれ逆方向の力が加えられ、インレット基板12aは破壊される。
【0048】
(実施の形態4)
本実施の形態のRFIDタグ1dの構成について以下に説明する。
【0049】
図27は、RFIDタグ1dの第2状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第2状態、即ちRFIDタグ1dが取り付け対象物5に取り付けられた状態を示す。RFIDタグ1dの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1dは、破壊機構13aの代わりに破壊機構13cを有する。
【0050】
図28は、破壊機構13cの構成の一例を示す正面図である。破壊機構13cの構成要素において、破壊機構13aの構成要素と同一符号は破壊機構13aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。破壊機構13aと比較すると、破壊機構13cは、新たにベース21の下面に突起部43を有する。突起部43は、インレット基板12aを介してチップ11の中心部に対向する位置に設けられる。突起部43の先端は、インレット基板12aの方向を向く。
【0051】
図29は、RFIDタグ1dの第3状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第3状態、即ちRFIDタグ1cが取り付け対象物5から取り外される状態を示す。
【0052】
実施の形態1の第3状態と同様にして、取り付けバンド2が緩められて押圧力F1が低下すると、インレット基板12aの両端部を上方へ押すと共にベース23を下方へ押すスペーサ7の弾性復元力F2が押圧力F1より大きくなる。一方、フック22とフック24とが締結された状態でベース21とベース23とが拘束されているため、突起部43とベース23との距離は維持される。これにより、突起部43とインレット基板12aへ互いに逆方向の力が加えられ、突起部43の先端がインレット基板12aに突き刺さり、チップ11及びインレット基板12aは破壊される。
【0053】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1dが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合に、チップ11及びインレット基板12aが破壊される。これにより、RFIDタグ1d及びチップ11の不正利用を防止することができる。
【0054】
第1の係止部は、フック22又はワイヤ42に対応する。第2の係止部は、破壊機構14に対応する。破壊部は、ベース21または突起部43に対応する。支持部は、インレット基板12a又はインレット基板12bに対応する。
【0055】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【0056】
以上の実施の形態1〜4に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、
弾性を有するスペーサと、
前記ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、
前記スペーサを介して前記第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、前記スペーサを押圧する押圧力により前記第1の係止部方向へ変位して前記第1の係止部に係止し、前記押圧力が除去されることで前記第1の係止部を介して前記ICチップの周囲に前記押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、
前記第2の係止部により発生する前記押圧力に対応する力により、前記ICチップ又は前記アンテナを破壊する破壊部と、
を備えるRFIDタグ。
(付記2)
更に、
前記RFIDタグを取り付け対象物へ取り付けるためのバンドを備え、
前記バンドは、前記取り付け対象物を締め付けることにより前記押圧力を発生させる、
付記1に記載のRFIDタグ。
(付記3)
更に、
前記アンテナを支持し、前記破壊部により前記アンテナと共に破壊される、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記4)
前記支持部は、前記破壊部による破壊を補助する溝が設けられている、
付記3の記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記破壊部は、前記ICチップへ向く突起を有し、
前記突起は、前記弾性復元力により前記ICチップに当接して該ICチップを破壊する、
付記1に記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記押圧力に対応する力は、前記スペーサの弾性復元力である、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記破壊部は、前記スペーサを介して前記第2の係止部の反対側に設けられる、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記破壊部は、前記第1の係止部に固定される、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記9)
前記スペーサと前記第1の係止部と前記第2の係止部とは、前記アンテナに対して前記破壊部の反対側に設けられる、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記10)
前記破壊部は、前記アンテナ又は前記ICチップの第1位置に接し、
前記スペーサは、前記アンテナ又は前記ICチップの第2位置に接し、
前記押圧力に対応する力は、前記第1位置と前記第2位置とを互いに逆方向へ変位させる、
付記9の記載のRFIDタグ。
(付記11)
更に、
前記第1の係止部及び前記第2の係止部の少なくともいずれかに設けられ、前記第1の係止部と前記第2の係止部との係止を防ぐストッパを備え、
前記ストッパは、前記RFIDタグが取り付け対象物へ取り付ける際に外される、
付記1の記載のRFIDタグ。
【符号の説明】
【0057】
1a,1b,1c,1d RFIDタグ、2 取り付けバンド、3 回路収容部、5 取り付け対象物、6,7 スペーサ、11 チップ、12a,12b インレット基板、13a,13b,14 破壊機構、16a,16b 接着剤、17 アンテナパターン、21,23 ベース、22,24 フック、25 フック用孔、26 ストッパ、41 切れ込み、42 ワイヤ、43 突起部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFID(Radio Frequency Identification)タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグの不正利用防止のため、RFIDタグが対象物品に貼り付けられた状態で上部のみ引き剥がされることにより、RFIDタグが破壊される技術がある。
【0003】
なお、RFIDタグに関連する幾つかの技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−48147号公報
【特許文献2】特開2005−242971号公報
【特許文献3】特許3636202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の不正利用防止のためのRFIDタグは、対象物品に接着されている必要がある。従って、対象物品に接着されないRFIDタグに適用できない。また、上述した従来の不正利用防止のためのRFIDタグは、RFIDタグ全体が剥がされた場合に無効となる。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、取り付け対象物に取り付けられた後でその取り付け対象物から取り外される場合に破壊されるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、弾性を有するスペーサと、ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、スペーサを介して第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、スペーサを押圧する押圧力により第1の係止部方向へ変位して第1の係止部に係止し、押圧力が除去されることで第1の係止部を介してICチップの周囲に押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、第2の係止部により発生する押圧力に対応する力により、ICチップ又はアンテナを破壊する破壊部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
開示のRFIDタグによれば、取り付け対象物に取り付けられた後でその取り付け対象物から取り外される場合に破壊される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】RFIDタグ1aの構成の一例を示す下面図である。
【図2】RFIDタグ1aの構成の一例を示す正面図である。
【図3】RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す上面図である。
【図4】RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す正面図である。
【図5】RFIDタグ1aの構成の一例を正面から見た断面図である。
【図6】破壊機構13a,14の構成の一例を示す正面図である。
【図7】破壊機構13a周辺の構成の一例を示す下面図である。
【図8】破壊機構13a周辺の構成の一例を示す側面図である。
【図9】RFIDタグ1aの第1状態の一例を正面から見た断面図である。
【図10】RFIDタグ1aの第2状態の一例を正面から見た断面図である。
【図11】RFIDタグ1aの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【図12】RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す下面図である。
【図13】RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す側面図である。
【図14】RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す下面図である。
【図15】RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す側面図である。
【図16】RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す下面図である。
【図17】RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す側面図である。
【図18】RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す下面図である。
【図19】RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す側面図である。
【図20】RFIDタグ1aの製造方法における第5工程の一例を示す下面図である。
【図21】誤作動防止対策を施したRFIDタグ1aの一例を正面から見た断面図である。
【図22】RFIDタグ1bの構成の一例を示す下面図である。
【図23】インレット基板12bの構成の一例を示す下面図である。
【図24】RFIDタグ1cの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【図25】破壊機構13bの構成の一例を示す正面図である。
【図26】破壊機構13b及びインレット基板12aの構成の一例を示す斜視図である。
【図27】RFIDタグ1dの第2状態の一例を正面から見た断面図である。
【図28】破壊機構13cの構成の一例を示す正面図である。
【図29】RFIDタグ1dの第3状態の一例を正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(実施の形態1)
本実施の形態のRFIDタグ1aの構成について以下に説明する。
【0012】
図1は、RFIDタグ1aの構成の一例を示す下面図である。図2は、RFIDタグ1aの構成の一例を示す正面図である。本実施の形態のRFIDタグ1aは、取り付けバンド2、回路収容部3、スペーサ6を有する。取り付けバンド2は、両端を接続することができ、結束バンドと同様の機能を有する。回路収容部3の壁は、スペーサ7である。
【0013】
図3は、RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す上面図である。図4は、RFIDタグ1aの取り付け状態の一例を示す正面図である。RFIDタグ1aは取り付け対象物5に取り付けられる。この時、取り付けバンド2が取り付け対象物5に巻き付けられて締められることにより、回路収容部3及びスペーサ6が押し潰される。
【0014】
図5は、RFIDタグ1aの構成の一例を正面から見た断面図である。この図は、RFIDタグ1aのうち回路収容部3の内部を示す。回路収容部3は、チップ11(ICチップ)、インレット基板12a、破壊機構13a,14、スペーサ7、接着剤16a,16bを有する。スペーサ7における各壁面のうち、インレット基板12aに接する上側の壁面を上壁とし、破壊機構14に接着する下側の壁面を下壁とし、それ以外の側面を側壁とする。スペーサ6,7は、弾性体、例えばゴムにより実現される。なお、スペーサ6,7は、スプリングや板バネであっても良い。
【0015】
インレット基板12aのうち、破壊機構13aに接する部分を中央部(第1位置)とし、取り付けバンド2に接着される部分を両端部(第2位置)とする。チップ11の上面とインレット基板12aの中央部の下面とは、接着されている。更に、チップ11の電極とインレット基板12a上のアンテナパターンとが接続されている。インレット基板12aの両端部の下面とスペーサ7の上壁の上面は、接着剤16bにより接着されている。インレット基板12aの両端部の上面と取り付けバンド2の下面とは、接着剤16aにより接着されている。
【0016】
図6は、破壊機構13a,14の構成の一例を示す正面図である。この図において、上側は、破壊機構13aを示し、下側は、破壊機構14を示す。
【0017】
破壊機構13aは、ベース21とフック22とを有する。ベース21とフック22とは、結合している。ベース21は、インレット基板12aの中央部の上面に固定される。フック22は、インレット基板12aを貫通してスペーサ7の内部空間内に延びている。破壊機構13aと取り付けバンド2とは、結合していない。
【0018】
破壊機構14は、ベース23とフック24とを有する。ベース23とフック24とは、結合している。ベース23は、スペーサ7の下壁の下面に固定される。フック24は、スペーサ7の下壁を貫通してスペーサ7の内部空間内に延びている。
【0019】
フック22は、フック24の突起が掛かることができるフック用孔25を有する。
【0020】
図7は、破壊機構13a周辺の構成の一例を示す下面図である。この図は、RFIDタグ1aのうち、取り付けバンド2、破壊機構13a、インレット基板12a、チップ11を示す。図8は、破壊機構13a周辺の構成の一例を示す側面図である。この図は、図7の右方から見た側面図である。この図の左方は、インレット基板12aの下方である。インレット基板12aは、アンテナパターン17(アンテナ)を有する。
【0021】
取り付け時のRFIDタグ1aの状態の変化について以下に説明する。
【0022】
図9は、RFIDタグ1aの第1状態の一例を正面から見た断面図である。第1状態は、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられる前の状態であり、スペーサ7の下壁の下面が取り付け対象物5に接した状態である。
【0023】
図10は、RFIDタグ1aの第2状態の一例を正面から見た断面図である。第2状態は、取り付け者が取り付けバンド2を締め付けることにより、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられた状態である。これにより、取り付けバンド2が締め付けられると、取り付けバンド2が取り付け対象物5へ押し付けられ、ベース21をベース23の方向へ押すと共にベース23をベース21の方向へ押す押圧力F1が、RFIDタグ1aに加わる。この押圧力F1により、スペーサ7が押し潰されて弾性変形し、フック22とフック24とが係止する。
【0024】
取り外し時のRFIDタグ1aの状態の変化について以下に説明する。
【0025】
図11は、RFIDタグ1aの第3状態の一例を正面から見た断面図である。第3状態は、RFIDタグ1aの取り付け後に、RFIDタグ1aが取り付け対象物5から取り外される状態である。スペーサ7は、押圧力F1に対し、弾性復元力F2を発生させる。
【0026】
取り付けバンド2が切断等により緩められ、取り付けバンド2の締め付け力が低下し、押圧力F1が低下すると、弾性復元力F2は、インレット基板12aの両端部を上方へ押すと共にベース23を下方へ押す弾性復元力F2をRFIDタグ1aに加える。一方、フック22とフック24とが互いに係止した状態でベース21とベース23とが拘束されているため、インレット基板12aの中央部とベース23との距離は維持される。これにより、インレット基板12aの中央部と両端部へ互いに逆方向の力が加えられ、インレット基板12a及びアンテナパターン17は破壊される。
【0027】
ここで、弾性復元力F2は、インレット基板12aの強度より大きい。
【0028】
破壊機構13a,14は、スペーサ7で覆われているため、不正にRFIDタグ1aを取り付け対象物5から外す者が外観から破壊機構13a,14を知ることはできない。
【0029】
RFIDタグ1aの製造方法について以下に説明する。
【0030】
図12は、RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す下面図である。図13は、RFIDタグ1aの製造方法における第1工程の一例を示す側面図である。第1工程において、インレット基板12aの中央部に貫通する孔31,32,33,34が空けられると共に、インレット基板12aの中央部の下面にチップ11が実装される。
【0031】
図14は、RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す下面図である。図15は、RFIDタグ1aの製造方法における第2工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの中央部の上面にベース21が配置される。
【0032】
図16は、RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す下面図である。図17は、RFIDタグ1aの製造方法における第3工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの中央部の下面にフック22が配置され、ベース21とフック22が結合される。
【0033】
図18は、RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す下面図である。図19は、RFIDタグ1aの製造方法における第4工程の一例を示す側面図である。インレット基板12aの上面に取り付けバンド2が配置され、インレット基板12aの両端部の上面と取り付けバンド2の下面とが接着剤16aにより接着される。ベース21と取り付けバンド2とは、接着されない。
【0034】
図20は、RFIDタグ1aの製造方法における第5工程の一例を示す下面図である。下壁に破壊機構14が付けられたスペーサ7がインレット基板12aの下面に配置され、インレット基板12aの両端部の下面とスペーサ7の上壁の上面が接着剤16bにより接着される。
【0035】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1aが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合に、インレット基板12aが破壊される。これにより、RFIDタグ1aの不正利用を防止することができる。
【0036】
RFIDタグ1aの誤作動防止対策について以下に説明する。
【0037】
図21は、誤作動防止対策を施したRFIDタグ1aの一例を正面から見た断面図である。輸送時の衝撃等によりフック22とフック24が係止しないように、製造後から取り付け前まで、ストッパ26がフック22に付けられてフック用孔25を塞ぐ。取り付け直前に、ストッパ26は、取り除かれる。
【0038】
なお、ストッパ26は、フック24に付けられても良いし、フック22とフック24の両方に付けられても良い。
【0039】
(実施の形態2)
本実施の形態のRFIDタグ1bの構成について以下に説明する。
【0040】
図22は、RFIDタグ1bの構成の一例を示す下面図である。RFIDタグ1bの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1bは、インレット基板12aの代わりにインレット基板12bを有する。
【0041】
図23は、インレット基板12bの構成の一例を示す下面図である。インレット基板12aと比較すると、インレット基板12bの中央部と両端部の境界には、境界の強度を低下させるための4つの切れ込み(溝)41が設けられている。RFIDタグ1bが実施の形態1と同様の第1状態及び第2状態を経て第3状態になる場合、切れ込み41によりインレット基板12bの破壊の確実性が高まる。切れ込み41は、インレット基板12bの平面の長辺上に設けられ、上述の境界方向に切られている。
【0042】
なお、インレット基板の平面上に上述の境界に沿った溝が設けられ、この溝が破壊を確実にしても良い。上面及び下面の少なくともいずれかである。更に、インレット基板の平面の長辺上の切れ込み41とインレット基板の平面上の溝とが組み合わせられても良い。
【0043】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1bが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合において、インレット基板12bの破壊の確実性を高める。
【0044】
(実施の形態3)
本実施の形態のRFIDタグ1cの構成について以下に説明する。
【0045】
図24は、RFIDタグ1cの第3状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第1状態及び第2状態を経た第3状態、即ちRFIDタグ1cが取り付け対象物5から取り外される状態を示す。RFIDタグ1cの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1cは、破壊機構13aの代わりに破壊機構13bを有する。
【0046】
図25は、破壊機構13bの構成の一例を示す正面図である。破壊機構13bの構成要素において、破壊機構13aの構成要素と同一符号は破壊機構13aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。破壊機構13aと比較すると、破壊機構13bは、フック22の代わりにワイヤ42を有する。
【0047】
図26は、破壊機構13b及びインレット基板12aの構成の一例を示す斜視図である。この図の視点は、インレット基板12aの下面側である。RFIDタグ1cの取り付け時、実施の形態1の第2状態におけるフック22と同様にして、ワイヤ42は、フック24の突起に掛けられる。これにより、ベース21とベース23の距離が所定距離以下になるように、ベース21とベース23とが拘束される。RFIDタグ1cの取り外し時、実施の形態1の第3状態と同様にして、インレット基板12aの中央部と両端部とにそれぞれ逆方向の力が加えられ、インレット基板12aは破壊される。
【0048】
(実施の形態4)
本実施の形態のRFIDタグ1dの構成について以下に説明する。
【0049】
図27は、RFIDタグ1dの第2状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第2状態、即ちRFIDタグ1dが取り付け対象物5に取り付けられた状態を示す。RFIDタグ1dの構成要素において、RFIDタグ1aの構成要素と同一符号はRFIDタグ1aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。RFIDタグ1aと比較すると、RFIDタグ1dは、破壊機構13aの代わりに破壊機構13cを有する。
【0050】
図28は、破壊機構13cの構成の一例を示す正面図である。破壊機構13cの構成要素において、破壊機構13aの構成要素と同一符号は破壊機構13aに示された対象と同一又は相当物を示しており、ここでの説明を省略する。破壊機構13aと比較すると、破壊機構13cは、新たにベース21の下面に突起部43を有する。突起部43は、インレット基板12aを介してチップ11の中心部に対向する位置に設けられる。突起部43の先端は、インレット基板12aの方向を向く。
【0051】
図29は、RFIDタグ1dの第3状態の一例を正面から見た断面図である。この図は、実施の形態1と同様の第3状態、即ちRFIDタグ1cが取り付け対象物5から取り外される状態を示す。
【0052】
実施の形態1の第3状態と同様にして、取り付けバンド2が緩められて押圧力F1が低下すると、インレット基板12aの両端部を上方へ押すと共にベース23を下方へ押すスペーサ7の弾性復元力F2が押圧力F1より大きくなる。一方、フック22とフック24とが締結された状態でベース21とベース23とが拘束されているため、突起部43とベース23との距離は維持される。これにより、突起部43とインレット基板12aへ互いに逆方向の力が加えられ、突起部43の先端がインレット基板12aに突き刺さり、チップ11及びインレット基板12aは破壊される。
【0053】
本実施の形態によれば、RFIDタグ1dが取り付け対象物5に取り付けられた後で取り外される場合に、チップ11及びインレット基板12aが破壊される。これにより、RFIDタグ1d及びチップ11の不正利用を防止することができる。
【0054】
第1の係止部は、フック22又はワイヤ42に対応する。第2の係止部は、破壊機構14に対応する。破壊部は、ベース21または突起部43に対応する。支持部は、インレット基板12a又はインレット基板12bに対応する。
【0055】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【0056】
以上の実施の形態1〜4に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、
弾性を有するスペーサと、
前記ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、
前記スペーサを介して前記第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、前記スペーサを押圧する押圧力により前記第1の係止部方向へ変位して前記第1の係止部に係止し、前記押圧力が除去されることで前記第1の係止部を介して前記ICチップの周囲に前記押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、
前記第2の係止部により発生する前記押圧力に対応する力により、前記ICチップ又は前記アンテナを破壊する破壊部と、
を備えるRFIDタグ。
(付記2)
更に、
前記RFIDタグを取り付け対象物へ取り付けるためのバンドを備え、
前記バンドは、前記取り付け対象物を締め付けることにより前記押圧力を発生させる、
付記1に記載のRFIDタグ。
(付記3)
更に、
前記アンテナを支持し、前記破壊部により前記アンテナと共に破壊される、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記4)
前記支持部は、前記破壊部による破壊を補助する溝が設けられている、
付記3の記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記破壊部は、前記ICチップへ向く突起を有し、
前記突起は、前記弾性復元力により前記ICチップに当接して該ICチップを破壊する、
付記1に記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記押圧力に対応する力は、前記スペーサの弾性復元力である、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記破壊部は、前記スペーサを介して前記第2の係止部の反対側に設けられる、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記破壊部は、前記第1の係止部に固定される、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記9)
前記スペーサと前記第1の係止部と前記第2の係止部とは、前記アンテナに対して前記破壊部の反対側に設けられる、
付記1の記載のRFIDタグ。
(付記10)
前記破壊部は、前記アンテナ又は前記ICチップの第1位置に接し、
前記スペーサは、前記アンテナ又は前記ICチップの第2位置に接し、
前記押圧力に対応する力は、前記第1位置と前記第2位置とを互いに逆方向へ変位させる、
付記9の記載のRFIDタグ。
(付記11)
更に、
前記第1の係止部及び前記第2の係止部の少なくともいずれかに設けられ、前記第1の係止部と前記第2の係止部との係止を防ぐストッパを備え、
前記ストッパは、前記RFIDタグが取り付け対象物へ取り付ける際に外される、
付記1の記載のRFIDタグ。
【符号の説明】
【0057】
1a,1b,1c,1d RFIDタグ、2 取り付けバンド、3 回路収容部、5 取り付け対象物、6,7 スペーサ、11 チップ、12a,12b インレット基板、13a,13b,14 破壊機構、16a,16b 接着剤、17 アンテナパターン、21,23 ベース、22,24 フック、25 フック用孔、26 ストッパ、41 切れ込み、42 ワイヤ、43 突起部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、
弾性を有するスペーサと、
前記ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、
前記スペーサを介して前記第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、前記スペーサを押圧する押圧力により前記第1の係止部方向へ変位して前記第1の係止部に係止し、前記押圧力が除去されることで前記第1の係止部を介して前記ICチップの周囲に前記押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、
前記第2の係止部により発生する前記押圧力に対応する力により、前記ICチップ又は前記アンテナを破壊する破壊部と、
を備えるRFIDタグ。
【請求項2】
更に、
前記RFIDタグを取り付け対象物へ取り付けるためのバンドを備え、
前記バンドは、前記取り付け対象物を締め付けることにより前記押圧力を発生させる、
請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
更に、
前記アンテナを支持し、前記破壊部により前記アンテナと共に破壊される、
請求項1または請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記支持部は、前記破壊部による破壊を補助する溝が設けられている、
請求項3の記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記破壊部は、前記ICチップへ向く突起を有し、
前記突起は、前記弾性復元力により前記ICチップに当接して該ICチップを破壊する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項1】
ICチップと該ICチップに接続されたアンテナとを有するRFIDタグであって、
弾性を有するスペーサと、
前記ICチップの周囲に形成された第1の係止部と、
前記スペーサを介して前記第1の係止部に対して離間した位置に設けられ、前記スペーサを押圧する押圧力により前記第1の係止部方向へ変位して前記第1の係止部に係止し、前記押圧力が除去されることで前記第1の係止部を介して前記ICチップの周囲に前記押圧力に対応する力を作用させる第2の係止部と、
前記第2の係止部により発生する前記押圧力に対応する力により、前記ICチップ又は前記アンテナを破壊する破壊部と、
を備えるRFIDタグ。
【請求項2】
更に、
前記RFIDタグを取り付け対象物へ取り付けるためのバンドを備え、
前記バンドは、前記取り付け対象物を締め付けることにより前記押圧力を発生させる、
請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
更に、
前記アンテナを支持し、前記破壊部により前記アンテナと共に破壊される、
請求項1または請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記支持部は、前記破壊部による破壊を補助する溝が設けられている、
請求項3の記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記破壊部は、前記ICチップへ向く突起を有し、
前記突起は、前記弾性復元力により前記ICチップに当接して該ICチップを破壊する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−198154(P2010−198154A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40269(P2009−40269)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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