説明

RFIDラベル及びラベル貼付装置

【課題】RFIDインレットを、物品の表面から離間させて貼付する、安価なRFIDラベルと、このRFIDラベルを物品に貼り付けるのに用いて好適な、ラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】基材にRFIDインレットが設けられ、情報記憶部と貼り付け部を備えて構成される。貼り付け部は、切り込み線で2分されていて、それぞれ折り曲げ線22で情報記憶部30と接続されている。基材の一方の主表面である粘着面には、RFIDインレットが設けられている。ラベル貼付装置は、上述のRFIDラベルを物品に貼り付ける装置であって、ラベル折り曲げ部と、ラベル湾曲部とを備えて構成される。ラベル折り曲げ部は、RFIDラベルを、折り曲げ線で印刷面側に谷折りする。ラベル湾曲部は、RFIDラベルの情報記憶部を、印刷面20b側を凸に湾曲させつつ、RFIDラベルの貼り付け部を、物品に押し当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品に貼り付けられるラベルであって、電磁波を媒体として情報の送受信を行う、ラジオ周波数識別(RFID:Radio Frequency IDentification)ラベルと、このRFIDラベルを物品に貼り付けるのに用いられるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID用途のラベルとして、情報を記憶するICチップと、情報の送受信に用いられるアンテナとを備えるRFIDラベルが知られている。RFIDラベルが備えるICチップは、情報の読取りや書込みを行うリーダ/ライタからの電磁波の受信に応答して起動し、ICチップ内の情報を電磁波として送信する。このRFIDラベルは、例えば、物品に貼り付けられ、物品管理などに用いられる。
【0003】
ここで、RFIDラベルを金属製の物品の表面に貼付した場合、リーダ/ライタが発信した電磁波によりアンテナに誘起される起電力が低下し、ICチップが作動しないという問題がある。
【0004】
この問題を回避するために、アンテナコイルとICチップが設けられた面に、これらアンテナコイルとICチップを覆う磁性体層を設ける技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、アンテナコイル及びICチップからなるRFIDインレットを金属製の物品の表面から離間させる技術がある(例えば、特許文献2又は3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−310054号公報
【特許文献2】特開2007−213329号公報
【特許文献3】特開2010−026934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている技術を用いたRFIDラベルは、一般に高価である。物品管理でRFIDラベルを用いる場合、再利用が困難なため、消耗品として取り扱えること、すなわち低価格化が望まれている。
【0007】
また、上述の特許文献2又は3に開示されている技術を用いたRFIDラベルの、物品への貼付は、手作業で行う必要があるので、大量生産される製品での利用には、不便である。
【0008】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、RFIDインレットを、物品の表面から離間させて貼付する、安価なRFIDラベルと、このRFIDラベルを物品に貼り付けるのに用いて好適な、ラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、この発明のRFIDラベルは、基材にRFIDインレットが設けられていて、情報記憶部と貼り付け部を備えて構成される。貼り付け部は、切り込み線で2分されていて、それぞれ折り曲げ線で情報記憶部と接続されている。基材の一方の主表面である粘着面には、RFIDインレットが設けられている。また、基材は、他方の主表面である印刷面側に、折り曲げ線において谷折りされる。
【0010】
また、この発明のラベル貼付装置は、上述のRFIDラベルを物品に貼り付ける装置であって、ラベル折り曲げ部と、ラベル湾曲部とを備えて構成される。
【0011】
ラベル折り曲げ部は、RFIDラベルを、折り曲げ線において印刷面側に谷折りする。ラベル湾曲部は、RFIDラベルの情報記憶部を、印刷面側に凸に湾曲させつつ、RFIDラベルの貼り付け部を、物品に押し当てる。
【発明の効果】
【0012】
この発明のRFIDラベルによれば、基材が印刷面側に折り曲げ線において谷折りされ、貼り付け部において貼り付けられるので、RFIDインレットが設けられた情報記憶部30が、物品から立ち上がった状態で固定される。このため、物品が金属である場合など、RFIDラベルが金属面上に固定される場合であっても、リーダ/ライタが発振した電磁波によりアンテナに誘起される起電力が低下することがなく、ICチップが正常に作動する。
【0013】
また、貼り付け部が2分されているので、RFIDラベルは、情報記憶部が湾曲した状態で物品に固定される。このため、情報記憶部が物品の表面から立ち上がった状態の維持が容易である。
【0014】
また、この発明のRFIDラベルは、基材が紙など安価な材料で構成され、かつ、RFIDラベルの製造に、複雑な工程が不要であるので、RFIDラベル自体が安価に製造できる。
【0015】
また、この発明のラベル貼付装置は、ラベル折り曲げ部と、ラベル湾曲部とを備えて構成されるので、RFIDラベルを折り曲げ線において印刷面側に谷折りさせるとともに、RFIDラベルを物品に貼り付ける際に、ラベルを湾曲させることができる。
【0016】
この結果、情報記憶部が物品の表面から立ち上がった状態での、RFIDラベルの物品への貼付が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】RFIDラベルの模式図である。
【図2】RFIDラベルを物品に貼り付けた状態を示す模式図である。
【図3】ラベル貼付装置で用いて貼り付けられる、台紙上に固定されているRFIDラベルの模式図である。
【図4】ラベル貼付装置の概略構成図である。
【図5】ラベル折り曲げ部の模式図である。
【図6】ラベル折り曲げ部の他の構成例1の模式図である。
【図7】ラベル折り曲げ部の他の構成例2の模式図である。
【図8】ラベル湾曲部の模式図(その1)である。
【図9】ラベル湾曲部の模式図(その2)である。
【図10】ラベル貼付装置の他の構成例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0019】
(RFIDラベル)
図1を参照して、この発明のRFIDラベルの一実施形態について説明する。図1(A)及び(B)は、RFIDラベルの模式図である。図1(A)は、RFIDラベルの一方の主表面である粘着面側の平面図である。また、図1(B)は、他方の主表面である印刷面側の平面図である。
【0020】
RFIDラベル10は、基材20に、RFIDインレット40を備えて構成される。RFIDラベル10は、RFIDインレット40が設けられたり、印字されたりするなど、情報が格納される情報記憶部30と、当該RFIDラベル10を物品へ固定するのに用いられる貼り付け部50とを備えている。
【0021】
基材20は、シート状に形成されている。基材20の材質は、紙であるのが良く、より好ましくは、紙を構成する繊維の方向性が強い、いわゆる異方性を有する紙であるのが良い。以下の説明では、基材20を構成する一方の主表面を粘着面20aと称し、他方の主表面を印刷面20bと称する。粘着面20a上には、粘着剤(図示を省略する。)が塗布されている。粘着剤は、一般に用いられる、物品に貼り付けられるラベルと同様のものを用いることができる。
【0022】
基材20は、折り曲げ線22で2分されている。基材20が2分された一方が、情報記憶部30として用いられ、他方が貼り付け部50として用いられる。
【0023】
情報記憶部30は、情報の記憶に用いられる部分である。情報記憶部30には、RFIDインレット40が設けられている。RFIDインレット40は、ICチップ42とアンテナ44で構成される。ICチップ42が、情報が電気的に格納される部分であり、アンテナ44が、情報の送受信に用いられる部分である。また、情報記憶部30の基材20の印刷面20bには、印字がなされることもある。
【0024】
貼り付け部50は、RFIDラベル10を物品の表面に貼り付けて固定するのに用いられる部分である。貼り付け部30の粘着面20a上に塗布された粘着剤により、RFIDラベル10が物品に貼り付けられる。
【0025】
貼り付け部50は、切り込み線52で2分されている。切り込み線52は、折り曲げ線22と交わる方向、例えば、直交する方向に設けられている。切り込み線52で2分された貼り付け部50のそれぞれ50a及び50bは、折り曲げ線22で、情報記憶部30と接続されている。
【0026】
図2を参照して、RFIDラベルの物品への貼り付けについて説明する。図2は、RFIDラベルを物品に貼り付けた状態を示す模式図である。
【0027】
RFIDラベル10は、折り曲げ線22において、基材20の印刷面20b側に谷折りされた状態で、物品90に貼り付けられる。また、折り曲げ線22が基材20の印刷面20b側に凸となるように、基材20の情報記憶部30が湾曲している。この湾曲により、物品90に貼り付けられたRFIDラベル10は、基材20の情報記憶部30の部分が、物品90の表面から立ち上がるように、固定される。
【0028】
ここで、基材20の材質が、異方性を有する紙である場合、その繊維方向(図1(B)中、Iで示す。)が、折り曲げ線22に直交する方向であるのが良い。一般に、紙は、一方の面側が湿気を帯び、かつ、他方の面側が乾燥していると、すなわち、紙の両面での湿気の度合いが異なると、湾曲して、湿気を帯びた側の面が伸びる。
【0029】
ここで、紙が異方性を有していると、紙は繊維方向を軸として湾曲する。この構成では、印刷面20b側には粘着剤が塗布されておらず、粘着面20a側にのみ粘着剤が塗布されている。このため、印刷面20b側は、粘着面20a側に比べて、基材20の水分の吸収量が多くなり、その結果、折り曲げ線22が基材20の印刷面20b側に凸となる方向に、情報記憶部30を湾曲させようとする力が働く。すなわち、情報記憶部30の湾曲を強める方向に、力が働くので、情報記憶部30の立ち上がりの状態の維持が容易になる。
【0030】
上述した、この実施形態のRFIDラベル10によれば、RFIDラベル10が物品90に固定される際に、RFIDインレット40が設けられた情報記憶部30が、物品の表面から立ち上がった状態で固定される。このため、物品90が金属である場合など、RFIDラベル10が金属に固定される場合であっても、リーダ/ライタが発信した電磁波によりアンテナに誘起される起電力が低下することがなく、ICチップ42が正常に作動する。また、リーダ/ライタと物品との配置関係などから、RFIDラベルが物品の上面に貼り付けられ、リーダ/ライタが物品の側面側に設けられる場合、すなわち、RFIDラベルの貼り付け面と、リーダ/ライタの方向とが異なる場合であっても、ICチップ42を正常に作動させることができる。
【0031】
また、この実施形態のRFIDラベルは、基材が紙など安価な材料で構成され、かつ、RFIDラベルの製造に複雑な工程が不要であるので、RFIDラベル自体が安価に製造できる。また、例えば、後述するラベル貼付装置を用いて、簡単にRFIDラベルを物品に貼り付けることができる。
【0032】
(ラベル貼付装置)
図3及び図4を参照して、この発明のラベル貼付装置の一実施形態について説明する。図3は、ラベル貼付装置を用いて物品に貼り付けられる、台紙上に固定されているRFIDラベルの模式図である。また、図4は、ラベル貼付装置の概略構成図である。
【0033】
ラベル貼付装置で用いて貼り付けられるRFIDラベル10は、印刷面20bを上にして台紙80上に固定されている。ラベル貼付装置に供給される時点では、RFIDラベル10は、折り曲げ線22で谷折されていない。
【0034】
ラベル貼付装置100は、図3を参照して説明したRFIDラベルを、物品92に貼り付ける装置である。このラベル貼付装置100は、図2を参照して説明したように、情報記憶部30が、物品90の表面から立ち上がった状態での、RFIDラベル10の物品92への貼付を可能にする。このために、ラベル貼付装置100は、ラベル搬送機構、ラベル折り曲げ部120及びラベル湾曲部140を備えている。
【0035】
ラベル搬送機構は、例えば、特開2007−153346号に開示されている、RFIDラベル貼着装置と同様の、任意好適な従来周知の構成にすることができる。ここでは、ラベル貼付装置100が、ラベル搬送機構として、台紙供給軸114を有する台紙供給部112と、台紙巻取り軸118を有する台紙回収部116を備える例について説明する。
【0036】
RFIDラベル10が固定された台紙80は、ロール状となっていて、台紙供給軸114に取り付けられる。また、ロール状の台紙の先端は、台紙巻取り軸118に取り付けられる。例えば、台紙巻取り軸118が回転すると、台紙80は台紙供給部112から順次に引き出され、台紙回収部116に送られる。また、台紙搬送機構は、台紙供給部112と台紙回収部116の間に、1又は複数の台紙案内部を備えていても良い。この台紙案内部は、回転可能な案内軸(ガイドローラ)で構成され、台紙の搬送、及び、搬送方向の変更に用いられる。
【0037】
ラベル折り曲げ部120は、台紙供給部112と、台紙回収部116の間に設けられる。ラベル折り曲げ部120は、RFIDラベル10を、折り曲げ線22で印刷面20b側に谷折りする機能を有している。
【0038】
図5を参照して、ラベル折り曲げ部120について説明する。図5は、ラベル折り曲げ部120を説明するための模式図である。
【0039】
このために、ラベル折り曲げ部120は、搬送される台紙80のRFIDラベル10が固定された面(ラベル面)80a側に接する、圧着用ローラ122及び折り曲げ用ローラ124を備えている。台紙80と、台紙80のラベル面80a上に固定されているRFIDラベル10は、圧着用ローラ122及び折り曲げ用ローラ124に接しながら搬送される。
【0040】
ここで、折り曲げ用ローラ124を通る前後の台紙80のなす角度θが180°未満であれば、台紙80上のRFIDラベル10は、印刷面20b側が凹となるように湾曲する。このラベル貼付装置100に用いられるRFIDラベル10には、折り曲げ線22としてミシン目が設けられているので、この折り曲げ線22の部分での湾曲の度合いが最も大きくなり、結果として、RFIDラベル10は、折り曲げ線22において印刷面20b側に谷折りされた状態となる。また、台紙80が、ラベル搬送機構の構成などにより平坦になると、RFIDラベル10は折り曲げ線22で2分される一方の側が台紙からはずれ、他方の側でのみ固定されることになる。
【0041】
従って、RFIDラベル10の折り曲げ線22を、台紙80の搬送方向に対して中心からずらして設けておけば、面積の大きい方で台紙80に固定され、面積の小さい側が台紙80からはがれた状態となる。ここでは、情報記憶部30の面積が、貼り付け部50の面積よりも大きくなるように、RFIDラベル10を構成し、また、貼り付け部50が情報記憶部30よりも先に折り曲げ用ローラ124を通過するように、台紙80をラベル貼付装置100に取り付ける。このように構成すると、折り曲げ用ローラ124を通過後のRFIDラベル10は、貼り付け部50が立ち上がり、情報記憶部30が台紙80に固定された状態となる。
【0042】
なお、折り曲げ用ローラ124の構成については、任意好適に設計することができるが、折り曲げ用ローラ124の直径Dをより小さく、また、折り曲げ用ローラ124を通る前後の台紙80のラベル面80aのなす角度θをより小さくすると、貼り付け部30の立ち上がりの角度αがより大きくなる。例えば、折り曲げ用ローラ124の直径Dを3mmとし、折り曲げ用ローラ124を通る前後の台紙80の印刷面80aのなす角度θを45°とすると、RFIDラベル10の搬送速度が5cm/s程度のときに、貼り付け部50の立ち上がりの角度αが70°程度になる。
【0043】
なお、RFIDラベル10の搬送速度を大きくする、折り曲げ用ローラ124の直径Dを大きくする、あるいは、折り曲げ用ローラ124を通る前後の台紙80のラベル面80aのなす角度θを大きくすると、貼り付け部50の立ち上がりの角度αは小さくなる傾向にある。従って、例えば、RFIDラベル10の搬送速度を大きくする必要がある場合は、折り曲げ用ローラ124の直径Dを小さくする、あるいは、折り曲げ用ローラ124を通る前後の台紙80のラベル面80aのなす角度θを小さくするなどすればよい。
【0044】
また、この実施形態では、ラベル折り曲げ部120が、折り曲げ用ローラ124に加えて、圧着用ローラ122を備えている。圧着用ローラ122は、折り曲げ用ローラ124よりも、台紙供給部112側に設けられる。この場合、圧着用ローラ122の直径は、折り曲げ用ローラ124の直径Dよりも大きく設定される。このように構成すると、圧着用ローラ122を通過したRFIDラベル10が、台紙80により強く固定される。この結果、折り曲げ用ローラ124を通過したRFIDラベル10については、貼り付け部50が立ち上がり、情報記憶部30は、台紙80に固定された状態となる。
【0045】
ここでは、ラベル折り曲げ部120が、圧着用ローラ122と折り曲げ用ローラ124を備える構成例について説明したがこれに限定されない。例えば、ラベル折り曲げ部120が折り曲げ用ローラ124のみを備えて、圧着用ローラ122を備えない構成にすることもできる。また、台紙搬送機構などが備えるガイドローラや、台紙供給部112など、他の部分が備えるローラを圧着用ローラとして、共用する構成にしても良い。
【0046】
図6を参照して、ラベル折り曲げ部120の他の構成例1について説明する。図6は、ラベル折り曲げ部120の他の構成例1を説明するための模式図である。
【0047】
図5を参照して説明したラベル折り曲げ部120では、折り曲げ用ローラ124の位置が固定されているが、この構成例では、折り曲げ用ローラ125が移動可能に設けられている。
【0048】
折り曲げ用ローラ125は、図6の左右方向に繰り返し移動する。この移動の周期は、RFIDラベル10の搬送間隔に対応して定められる。この場合、折り曲げ用ローラ125を、RFIDラベルを押す方向(図6中、矢印Iで示す方向)に移動させて、RFIDラベル10の折り曲げ線22の部分でRFIDラベル10を折り曲げる(図6(A))。一方、折り曲げ線22以外の部分ではRFIDラベル10から離れる方向(図6中、矢印IIで示す方向)に移動させて、RFIDラベル10に接しないようにする(図6(B))。
【0049】
このように構成すると、RFIDラベル10は、折り曲げ線22で確実に折り曲げられ、他の部分でのRFIDラベル10の湾曲を抑制することが可能になる。なお、折り曲げ用ローラ125が、RFIDラベル10から離れる方向に移動したとき、折り曲げ用ローラ125が、RFIDラベル10が折り曲げ線22以外の部分で湾曲する力をRFIDラベル10に及ぼさなければ良く、折り曲げ用ローラ125が、RFIDラベル10と完全に離間していなくても良い。すなわち、折り曲げ用ローラ125が、RFIDラベル10あるいは台紙80に接してもよい。
【0050】
図7を参照して、ラベル折り曲げ部120の他の構成例2について説明する。図7は、ラベル折り曲げ部120の他の構成例2を説明するための模式図である。
【0051】
図5及び図6を参照して説明した構成例では、台紙の搬送方向が、折り曲げ用ローラを通過する前後で変化している。これに対し、図7に示す構成例2では、台紙の搬送方向は、折り曲げ用ローラを通過する前後で変化しない。
【0052】
この構成例2では、ラベル折り曲げ部120は、第1フィードローラ132、第2フィードローラ134及び折り曲げ用ローラ136を備えている。台紙80は、第1フィードローラ132及び第2フィードローラ134上を搬送される。折り曲げ用ローラ136は、図7の上下方向に繰り返し移動する。この移動の周期は、RFIDラベルの搬送間隔に対応して定められる。
【0053】
この場合、折り曲げ用ローラ136を、RFIDラベル10を押す方向(図7中、矢印IIIで示す方向)に移動させて、RFIDラベル10の折り曲げ線22の部分でRFIDラベル10を折り曲げる(図7(B))。一方、折り曲げ線22以外の部分ではRFIDラベル10から離れる方向(図7中、矢印IVで示す方向)に移動させて、RFIDラベル10に接しないようにする(図7(A)又は図7(C))。このとき、折り曲げ用ローラ136が、RFIDラベル10が折り曲げ線22以外の部分で湾曲する力をRFIDラベル10に及ぼさなければ良く、折り曲げ用ローラ136は、台紙80あるいはRFIDラベル10と完全に離間していなくても良い。すなわち、折り曲げ用ローラ136が、RFIDラベル10あるいは台紙80に接してもよい。
【0054】
ラベル折り曲げ部120は、RFIDラベル10を、折り曲げ線22で印刷面20b側に谷折りする機能を有していれば良く、上述した構成以外の構成にしても良い。
【0055】
次に、図4、図8及び図9を参照して、ラベル湾曲部140について説明する。図8及び図9は、ラベル湾曲部140を説明するための模式図である。図8(A)は、ラベル湾曲部140を台紙の搬送方向に対して側面から見た図である。図8(B)は、ラベル湾曲部を、RFIDラベルが貼り付けられる物品側から見た図である。図9(A)及び(B)は、ラベル湾曲部140の動作を示す模式図である。
【0056】
ラベル湾曲部140は、ラベル折り曲げ部120と、台紙回収部116の間に設けられる。ラベル湾曲部140は、RFIDラベル10の情報記憶部30を、折り曲げ線22が印刷面側に凸となった状態で、貼り付け部を物品に押し当てて、RFIDラベルを物品に貼り付ける機能を有している。
【0057】
このために、ラベル湾曲部140は、台紙を印刷面側が凸になるように湾曲させるガイドローラ142と、RFIDラベル10の貼り付け部50を物品92に押し当てるラベル押し当て部150を備えて構成される。
【0058】
台紙80がガイドローラ142で方向を変えると、RFIDラベル10と、台紙80の材質の違いから、台紙80がガイドローラ142に沿って曲がるのに対し、RFIDラベル10は曲がらずに、台紙80からはがれる方向に力が働く。そこで、ラベル押し当て部150を用いて、RFIDラベル10の貼り付け部50を物品92に押し当てていけば、ラベルは、台紙からはがれつつ、物品に貼り付けられる。
【0059】
ラベル押し当て部150は、押し当て板152、押し当て軸154及び押し当て制御部156を備えて構成される。押し当て軸154を介して、押し当て制御部156に取り付けられた押し当て板152は、ラベルの通過間隔に対応する時間間隔で前後運動するように設けられ、RFIDラベルの貼り付け部50を物品92に押し当てる。
【0060】
ここで、ラベル押し当て板152が、物品92の表面との間で、RFIDラベル10の貼り付け部50を挟む。なお、押し当て板152は、任意好適な材質で形成することができるが、物品92の表面が平坦であるか否かによらず、RFIDラベルの貼り付けが可能となるように、弾性を有しているのが良い。
【0061】
また、ラベル押し当て板152にはRFIDラベルの情報記憶部30を湾曲させるように、情報記憶部30に接する面153を凹状にするのが良い。この押し当て板152が、RFIDラベル10の情報記憶部30の、搬送方向に対して両側を下側に向けて押すことで、折り曲げ線22が印刷面20b側に凸になるように、情報記憶部30を湾曲させる。なお、RFIDラベル10の材質や厚みなどによっては、折り曲げ線22が印刷面20b側に凸になるように、情報記憶部30が湾曲せずに、RFIDラベル10の搬送方向に沿って湾曲してしまう恐れがある。この場合には、RFIDラベル10の下方に、案内ピン146などを設けて、情報記憶部30の、搬送方向の両側のみ押し下げる構成にすれば良い。
【0062】
ここで、案内ピン146を設ける場合、案内ピン146の先端部は、RFIDラベル10を粘着面側から押す機能を有するので、RFIDラベル10の粘着剤が案内ピン146につくなどして、物品への貼り付けの妨げとなる恐れがある。
【0063】
このため、例えば案内ピン146を押し当て板152と連動させて、上下させる構成にすればよい。
【0064】
押し当て板152により、RFIDラベル10の貼り付け部50が物品92に押し当てられた時点で、案内ピン146を下方に移動させれば、RFIDラベルは案内ピン146に貼り付くことなく物品92に固定される。
【0065】
なお、ここでは、押し当て板152の、情報記憶部30に接する面153を凹状にする例を説明したが、これに限定されない。押し当て板152が、RFIDラベルの情報記憶部30の搬送方向に対して両側を、下側に向けて押す機能を有していれば良く、押し当て板と、情報記憶部30の搬送方向に対して両側を下側に向けて押すガイド部材とを組み合わせるなどしても良い。
【0066】
以上説明したラベル貼付装置では、貼り付け部50が切り込み線52で2分され、折り曲げ線22としてミシン目が生成されたRFIDラベル10が固定された台紙を供給して、RFIDラベルを物品貼り付ける例について説明したが、これに限定されない。
【0067】
例えば、図10に示すように、切り込み線生成部162やミシン目生成部164を、台紙供給部112と、ラベル折り曲げ部120の間に設けても良い。また、切り込み線生成部162やミシン目生成部164に加えて、RFIDラベル10の印刷面20bに印字する印刷部166と、RFIDラベル10のICチップ42に情報を格納する通信部168を備える構成にしても良い。
【0068】
ラベル貼付装置101が、切り込み線生成部162及びミシン目生成部164を備える場合、台紙供給部に取り付けられるラベルには、切り込み線やミシン目が生成されていない、従来用いられているものと同様のラベルを用いることができる。この場合、切り込み線生成部162が、RFIDラベル10の切り込み線52を切断して、貼り付け部50を切り込み線52で2分する。また、ミシン目生成部164が、折り曲げ線22にミシン目を生成する。これら切り込み線生成部162及びミシン目生成部164は、任意好適な構成にすることができる。
【0069】
なお、ラベル貼付装置101は、切り込み線生成部162及びミシン目生成部164の両者を備えていても良い。また、RFIDラベル製造装置が、切り込み線生成部162及びミシン目生成部164のいずれか一方の機能を備えている場合は、ラベル貼付装置101は、RFIDラベル製造装置が備えない機能を実現するように、切り込み線生成部162及びミシン目生成部164のいずれか一方を備える構成にすれば良い。
【0070】
また、ラベル貼付装置101が、印刷部166及び通信部168を備える場合は、RFIDラベルに必要な情報を格納しつつ、RFIDラベルを物品に貼り付けることができる。この印刷部166は、任意好適な従来周知のラベルプリンタと同様の技術を用いて構成することができる。また、通信部168は、RFIDラベルに情報を格納するのに用いられる、従来周知のリーダ/ライタと同様の技術を用いて構成することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 RFIDラベル
20 基材
20a 粘着面
20b 印刷面
22 折り曲げ線
30 情報記憶部
40 RFIDインレット
42 ICチップ
44 アンテナ
50 貼り付け部
52 切り込み線
80 台紙
90、92 物品
100、101 ラベル貼付装置
112 台紙供給部
114 台紙供給軸
116 台紙回収部
118 台紙巻取り軸
120 ラベル折り曲げ部
122 圧着用ローラ
132、134 フィードローラ
124、125、136 折り曲げ用ローラ
140 ラベル湾曲部
142 ガイドローラ
146 案内ピン
150 ラベル押し当て部
152 押し当て板
154 押し当て軸
156 押し当て制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材にRFIDインレットが設けられたRFIDラベルであって、
情報記憶部と貼り付け部を備え、
前記貼り付け部は、切り込み線で2分されていて、それぞれ折り曲げ線で前記情報記憶部と接続されていて、
前記基材の一方の主表面である粘着面に、前記RFIDインレットが設けられており、
前記基材は、他方の主表面である印刷面側に、前記折り曲げ線において、谷折りされる
ことを特徴とするRFIDラベル。
【請求項2】
前記基材が紙である
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDラベル。
【請求項3】
前記紙が異方性を有しており、
前記紙の繊維方向が、前記折り曲げ線に直交する方向である
ことを特徴とする請求項2に記載のRFIDラベル。
【請求項4】
前記基材の粘着面上に、粘着剤が塗布されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のRFIDラベル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のRFIDラベルを物品に貼り付ける装置であって、
前記RFIDラベルを、前記折り曲げ線において前記印刷面側に谷折りするラベル折り曲げ部と、
前記RFIDラベルの前記情報記憶部を、前記印刷面側に凸に湾曲させつつ、前記RFIDラベルの前記貼り付け部を、前記物品に押し当てるラベル湾曲部と
を備えるラベル貼付装置。
【請求項6】
さらに、前記切り込み線部分を切断する切り込み線生成部と、
前記折り曲げ線部分にミシン目を生成するミシン目生成部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載のラベル貼付装置。
【請求項7】
さらに、前記RFIDラベルの印刷面に印字する印刷部と、
前記RFIDラベルが備えるICチップに情報を格納する通信部と
を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−242696(P2011−242696A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116573(P2010−116573)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【特許番号】特許第4563509号(P4563509)
【特許公報発行日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(508340329)株式会社プロビデント (2)
【Fターム(参考)】