説明

RNA二次構造の干渉による、mRNA前駆体におけるエクソン認識の調節

【課題】高等真核生物では、細胞内DNAのタンパク質に関する遺伝情報は、イントロンによって互いに隔てられているエクソンによってコードされており、エクソンとイントロンの両方を含むmRNA前駆体が産生されるが、時には、mRNA前駆体の産生時に、早くもmRNA前駆体に存在する複数のエクソンが1つにスプライシングされることがある。DNAレベルでの干渉に代わるものとして、mRNA前駆体からmRNAを生じる際の機構を提供する。
【解決手段】mRNA前駆体のエクソンをスキップし、そこから産生されるmRNAからエクソンを排除するためのオリゴヌクレオチドの製造方法、さらに、mRNA二次構造を改変してスプライシング過程に干渉する方法、ならびに該オリゴヌクレオチドおよび該方法を用いた疾病の治療方法。また、mRNA前駆体中の複数のエクソンのスキッピングを誘導するための医薬組成物、方法および手段。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、
エクソンから転写したRNAについて、RNAの一部分が該RNA中の他の部分にハイブリダイズしている領域からなるクローズド構造と、ハイブリダイズしていない領域からなるオープン構造とを該RNAの二次構造から決定し、そして
少なくとも一部が該RNAのクローズド構造に相補的であり、且つ他の少なくとも一部が該RNAのオープン構造に相補的であることを特徴とするオリゴヌクレオチドを製造する
ことを包含する方法。
【請求項2】
該オリゴヌクレオチドが相補的なオープン構造とクローズド構造が、該RNAにおいて互いに隣接していることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該オリゴヌクレオチドが、該RNAの連続した14〜50ヌクレオチドからなる部分に相補的であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
該オリゴヌクレオチドがRNAを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
該オリゴヌクレオチドに含まれるRNAが修飾、好ましくは2’−O−メチル修飾リボースまたは2’−O−メチル修飾デオキシリボースによる修飾を有することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
該エクソンを含むmRNA前駆体が、対象生物において望ましくないスプライシングを示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
該mRNA前駆体から生じるmRNA中に該エクソンが存在しない場合に、タンパク質のコード領域が生じることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
該エクソンを含む該RNAが転写された遺伝子は、異常型のデュシェンヌ型筋ジストロフィー遺伝子(DMD)、コラーゲンVIα1遺伝子(COL6A1)、筋細管ミオパシー1遺伝子(MTM1)、ジスフェリン遺伝子(DYSF)、ラミニン−α2遺伝子(LAMA2)、エメリー−ドレイファス型筋ジストロフィー遺伝子(EMD)およびカルパイン3遺伝子(CAPN3)からなる群より選ばれる少なくとも1種をコードすることを特徴とする、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
該遺伝子が、異常型のデュシェンヌ型筋ジストロフィーをコードする遺伝子であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
該エクソンが、エクソン2,8,9,17,19,29,40〜46,48〜53,55または59を含むことを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
製造するオリゴヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの同等物であり、該同等物は該オリゴヌクレオチドと同種であるが、その強度は必ずしも同等ではないハイブリダイゼーション特性を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
該同等物が、ペプチド核酸、構造的にロックされた核酸およびモルフォリノ−ホスホロジアミデートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
該同等物が、構造的にロックされた核酸を含むことを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドまたはその同等物が、該エクソンのスプライス供与部位配列およびスプライス受容部位配列の少なくとも1種と重複しないことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかの製造方法によって得られるオリゴヌクレオチドまたはその同等物。
【請求項16】
遺伝子にコードされているmRNA前駆体内の少なくとも2個のエクソンにハイブリダイズし得る化合物であって、該化合物は少なくとも2つの部分を含み、該少なくとも2つの部分には、該少なくとも2個のエクソンの内の第1のエクソンに相補的な配列中の連続した少なくとも8個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを含む第1の部分、および該mRNA前駆体内の第2のエクソンに相補的な配列中の連続した少なくとも8個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを含む第2の部分が含まれる。
【請求項17】
16〜80ヌクレオチドを含むことを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
該mRNA前駆体内の第1と第2のエクソンは、該化合物に含まれるオリゴヌクレオチドが相補性を示さない少なくとも1個のエクソンによって隔てられていることを特徴とする、請求項16または17に記載の化合物。
【請求項19】
該エクソンに相補的なヌクレオチド伸長鎖を含む少なくとも2つの部分は、それぞれ連結成分によって隔てられていることを特徴とする、請求項16〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
該連結成分が4〜40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも4個のウラシルヌクレオチドを含む4〜40ヌクレオチドを包含することを特徴とする、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
請求項16〜20のいずれかの化合物の同等物であって、好ましくは請求項12の製造方法で得られる同等物。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体内の1つまたは複数のエクソンに対する認識を少なくとも部分的に改変する方法。
【請求項23】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、医薬の製造方法。
【請求項24】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を包含する医薬用製剤。
【請求項25】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、伝達性遺伝疾患の治療用医薬の製造方法。
【請求項26】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体におけるエクソンスキッピングを誘導する方法。
【請求項27】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体内のエクソンの認識を改変する方法。
【請求項28】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、スプライシング機構によるスプライス供与部位配列またはスプライス受容部位配列の利用効率を改変する方法。
【請求項29】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体内の2個以上のエクソンのエクソンスキッピングを誘導する方法。
【請求項30】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体内の3個以上のエクソンのエクソンスキッピングを誘導する方法。
【請求項31】
請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を用いた、mRNA前駆体内の少なくとも2個のエクソンと、該少なくとも2個のエクソンの間に位置する配列である介在配列のスキッピングを誘導する方法。
【請求項32】
該介在配列が、少なくとも1個のエクソンを含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
スプライシング機構によるmRNA前駆体内のエクソンの認識効率を改変する方法であって、mRNA前駆体は少なくとも2個のエクソンと少なくとも1個のイントロンを含む遺伝子によってコードされるものであり、該改変方法は以下の工程を包含する。
スプライシング機構と該遺伝子を包含する転写系に、請求項15〜21のいずれかのオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物を第1成分として提供し、但し、該第1成分として用いるオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物は、該少なくとも2個のエクソンの内の少なくとも1個にハイブリダイズし得るものであり、そして
該転写系において転写とスプライシングを実施せしめる。
【請求項34】
該遺伝子が、少なくとも3個のエクソンを含むことを特徴とする、請求項33に記載の改変方法。
【請求項35】
請求項15〜21のオリゴヌクレオチド、その同等物、または化合物であって、該少なくとも2個のエクソンの他の1個にハイブリダイズし得るものを第2成分として該転写系に提供することを特徴とする、請求項33または34に記載の改変方法。
【請求項36】
該第1成分として用いるオリゴヌクレオチドまたはその同等物と、該第二成分として用いるオリゴヌクレオチドまたはその同等物とが、互いに物理的に結合していることを特徴とする、請求項35に記載の改変方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−101655(P2011−101655A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1581(P2011−1581)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【分割の表示】特願2006−507857(P2006−507857)の分割
【原出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(503107439)
【Fターム(参考)】