説明

SAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法

【課題】SAWセンサ溶液測定システムにおいて、被測定溶液の物性の経時変化を表示画面に視覚的に表示する。
【解決手段】SAWセンサ溶液測定システム1において、被測定溶液LmにSAWセンサ10を浸漬し、SAWセンサ10からの連続的な電気信号RSを所定時間間隔Tk毎に演算して2値からなる出力データDを算出する。演算により出力データDが算出される度に、出力データDの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸AXと座標軸AXによって規定される領域AR内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線CRとが描画されたチャート図Cに出力データDを点描したデータ図Pを作成する。表示画面Sに時間軸tを設定してデータ図Pをそれぞれ時間軸t上の所定時間間隔Tkを置いた位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定溶液にSAWセンサを浸漬して被測定溶液の物性を測定するSAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電基板上に、逆圧電効果により表面弾性波(Surface Acoustic Wave)を送信する送信電極と、表面弾性波が伝搬する伝搬面と、表面弾性波を圧電効果により電気信号として受信する受信電極とが配置された表面弾性波遅延線を有するSAWセンサが知られている。
【0003】
SAWセンサは、被測定溶液に浸漬することで伝搬面に被測定溶液が接触している状態で送信電極から表面弾性波を送信し、伝搬面を伝搬した表面波弾性波を受信電極から電気信号として受信する。
【0004】
また、このSAWセンサを物性(粘度、比誘電率、導電率等)が既知である基準液に浸漬し、SAWセンサから出力された出力データを基準として設定する校正を行った後、被測定溶液にSAWセンサを浸漬し、SAWセンサから出力された出力データと上記基準とを比較して被測定溶液の上記物性を測定するSAWセンサ溶液測定システムが知られている。
【0005】
出力データは、SAWセンサからの電気信号を演算して得られ、2値で構成されている。SAWセンサ溶液測定システムは、演算により出力データが算出される度に、出力データの一方を横軸、他方を縦軸とする座標軸とこの座標軸により規定される領域内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に出力データを点描し、測定者が被測定溶液の物性を読み取るものである。
【0006】
特許文献1には、表面弾性波のうち、伝搬面に平行に、且つ伝搬方向に垂直に変位するすべり表面弾性波を送信電極から送信することにより、伝搬面に被測定溶液が接触した状態であっても、伝搬面を伝搬する表面弾性波の減衰を低減し、受信電極で十分な強度を有する表面弾性波の受信が可能なSAWセンサを利用したSAW溶液測定システムが提案されている。
【0007】
特許文献2には、被測定溶液に接触している伝搬面を伝搬する表面弾性波は、被測定溶液のいわゆる機械的な物性(粘度、質量等)および環境温度により変化するだけではなく、被測定溶液のいわゆる電気的な物性(比誘電率、導電率)によっても変化するという知見に基づくSAWセンサ溶液測定システムが提案されている。
【0008】
具体的に特許文献2には、伝搬面が電気的に開放された表面弾性波遅延線(以下、OPEN側遅延線という。)と、伝搬面が電気的に短絡された表面弾性波遅延線(以下、SHORT側遅延線という。)とを有するSAWセンサを利用して、被測定溶液のいわゆる機械的な物性、環境温度およびいわゆる電気的な物性等により表面弾性波が変化するOPEN側遅延線の電気信号から伝搬面を電気的に短絡することで被測定溶液のいわゆる電気的な物性による表面弾性波の変化は生じないSHORT側遅延線の電気信号の差分により、被測定溶液のいわゆる電気的な物性(比誘電率および導電率)による表面弾性波の変化のみをセンシングし、被測定溶液の比誘電率および導電率を測定するSAW溶液測定システムが提案されている。
【特許文献1】特開平2−238357号公報
【特許文献2】特開平3−209157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、SAWセンサ溶液測定システムには、被測定溶液の物性の経時的な変化を測定する要望が存在する。具体的には、被測定溶液の環境温度による物性変化、被測定溶液が溶剤の場合の溶解状態による物性変化および管内の被測定溶液の流動状態による物性変化等を測定する要望が存在する。
【0010】
しかしながら、従来のSAWセンサ溶液測定システムは、被測定溶液の物性を測定の度に1つのチャート図に逐次点描して表示しているのみであり、測定者が被測定溶液の物性の経時的変化を把握することが困難であった。
【0011】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、被測定溶液の物性の経時的変化を表示画面に視覚的に表示するSAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のSAWセンサ溶液測定システムは、被測定溶液に浸漬され、この浸漬中に電気信号を連続的に出力するSAWセンサと、電気信号を設定時間間隔毎に演算して2値からなる出力データを算出する演算部と、この演算による出力データの算出時と読出時に、出力データの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸とこの座標軸によって規定される領域内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に出力データを点描したデータ図を作成するデータ図作成部と、表示画面に時間軸を設定してデータ図をそれぞれ時間軸上の設定時間間隔を置いた位置に配置する表示部とを備えることを特徴とする。
【0013】
ここで「SAWセンサ」とは、圧電基板上に送信電極と受信電極を有し、圧電基板の表面の一部である伝搬面に被測定溶液を接触させ、送信電極から逆圧電効果により表面弾性波を送信し、この伝搬面を伝搬した表面弾性波を受信電極から圧電効果により電気信号として受信して、被測定溶液の物性の変化を電気信号として出力するセンサを意味する。上記「設定時間間隔毎」とは、各時間間隔が一定に設定されている場合のみだけではなく、各時間間隔が異なるように設定されている場合をも意味する。上記「算出時」とは、演算が終了した時を意味する。上記「読出時」とは、既に演算されている結果を読み出す時を意味する。上記「物性」とは、液体の粘度、比誘電率、導電率等を意味する。
【0014】
また、時間軸は、領域内において縦軸および横軸と交差して延びるように設定されてもよい。
【0015】
本発明のSAWセンサ溶液測定システムの表示方法は、被測定溶液にSAWセンサを浸漬し、この浸漬中のSAWセンサからの連続的な電気信号を設定時間間隔毎に演算して2値からなる出力データを算出し、この演算による出力データの算出時または読出時に、出力データの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸とこの座標軸によって規定される領域内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に出力データを点描したデータ図を作成し、表示画面に時間軸を設定してデータ図をそれぞれ時間軸上の設定時間間隔を置いた位置に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のSAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法は、被測定溶液にSAWセンサを浸漬し、浸漬中のSAWセンサからの連続的な電気信号を設定時間間隔毎に演算して2値からなる出力データを算出し、出力データが算出される時または既に算出された出力データを読み出す時に、出力データの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸と座標軸によって規定される領域内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に出力データを点描してデータ図を作成し、表示画面に時間軸を設定してデータ図をそれぞれ時間軸上の設定時間間隔を置いた位置に配置するため、測定者は、経時的に配置されたデータ図から被測定溶液の物性の経時的変化を表示画面に視覚的に表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のSAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明のSAWセンサ溶液測定システムの実施形態の概略構成図である。SAWセンサ溶液測定システム1は、一例として被測定溶液Lmの物性のうち、比誘電率εr’および導電率σ’を測定する。また、SAWセンサ溶液測定システム1の校正は、一例として純水(比誘電率80.37、導電率0)を基準液Lrとする。以下、本実施形態では、基準液を純水Lrとして説明する。
【0019】
SAWセンサ溶液測定システム1は、同図に示すとおり、測定時には被測定溶液Lm、校正時には純水Lrに浸漬されるSAWセンサ10と、SAWセンサ10と送信ケーブル2、受信ケーブル3を介して接続されるSAWセンサ制御装置20と、SAWセンサ制御装置20と通信ケーブル4を介して接続されるSAWセンサ測定装置30とから構成される。なお、SAWセンサ10は、図示しないコネクタにより送信ケーブル2および受信ケーブル3と着脱自在であり、SAWセンサ溶液測定システム1は、複数のSAWセンサ10を交換して使用することが可能である。
【0020】
図2は、SAWセンサ10の概略構成図である。SAWセンサ10は、同図に示すとおり、エポキシ、シリコン等の樹脂性のハウジング11と、ハウジング11内の2組の表面弾性波遅延線12、13とから主に構成される。
【0021】
表面弾性波遅延線12、13は、圧電基板14と、この圧電基板14の略中央を伝搬面14aとし、該伝搬面14aの両端に配置された送信側インターデジタル型トランスデューサ15(以下、送信側IDT15という。)と受信側インターデジタル型トランスデューサ16(以下、受信側IDT16という。)とから構成される。本実施形態での圧電基板14は、一例として36Y−XLiTaO3基板である。このように、SAWセンサ10は、一枚の基板14上に、2チャンネルのセンシング部を有するものであり、同一基板上のため、温度特性が略同一となる。
【0022】
表面弾性波遅延線13の伝搬面14aの全面は、金属性の薄膜17で覆われ、この薄膜17は、表面弾性波遅延線13の伝搬面14aを電気的に短絡する。一方、表面弾性波遅延線12の伝搬面14aは、電気的に開放されている。また、表面弾性波遅延線12、13の各伝搬面14aは、ハウジング11から露出し、校正時には純水Lrと、測定時には被測定溶液Lmと接触する。
【0023】
送信側IDT15および受信側IDT16は、櫛歯状の送信電極15a、15bおよび受信電極16a、16bの組合せにより構成される。送信電極15aと送信ケーブル2の信号線2a、受信電極16aと受信ケーブル3の信号線3aはそれぞれ接続し、送信電極15bおよび受信電極16bはともに接地される。
【0024】
SAWセンサ制御装置20からの送信信号SSが送信ケーブル2を介して送信側IDT15に入力されると、送信側IDT15は、逆圧電効果により送信電極15a、15bから表面弾性波Wを送信する。
【0025】
表面弾性波Wは、校正時には純水Lr、測定時には被測定溶液Lmと接触している伝搬面14aを伝搬して受信側IDT16に到達する。
【0026】
受信側IDT16は、圧電効果により受信電極16a、16bから受信信号RSを出力する。ここで、表面弾性波遅延線12の受信信号RS1は、校正時には純水Lr、測定時には被測定溶液Lmのいわゆる機械的な物性(粘度、質量等)、いわゆる電気的な物性(比誘電率εr’、導電率σ’)および環境温度等の影響を受けた電気信号であり、一方、表面弾性波遅延線13の受信信号RS2は、伝搬面14aが薄膜17で短絡されることにより、純水Lrまたは被測定溶液Lmのいわゆる機械的な物性(粘度、質量等)および環境温度等の影響のみを受けた電気信号である。受信信号RS1、RS2は、受信ケーブル3を介して図示しないSAWセンサ制御装置20に入力される。なお、SAWセンサ10は、識別番号IDが記録されたメモリ19を有している。
【0027】
再び、図1を参照して説明する。SAWセンサ制御装置20は、SAWセンサ10を制御するものであり、送信ケーブル2を介して表面弾性波遅延線12、13の各送信側IDT15へ送信信号SSを出力する送信部21と、各受信ケーブル3を介して受信信号RS1、RS2が入力され、通信ケーブル4を介してSAWセンサ測定装置30に出力する受信部22とから構成される。また、SAWセンサ10の識別番号IDは、必要に応じてSAWセンサ制御装置20を介してSAWセンサ測定装置30に出力される。
【0028】
本実施形態では、SAWセンサ測定装置30は、一例としてコンピュータにより実現さる。SAWセンサ測定装置30は、SAWセンサ10からの受信信号RS1、RS2に基づいて2値からなる出力データDを算出する演算部31、出力データDが算出された時または後述するデータ図を再表示するために読み出す時に、出力データDの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸と座標軸によって規定される領域内に位置する被測定溶液Lmの物性を読み取るための補助曲線CRとが描画されたチャート図Cに出力データDを点描したデータ図Pを作成するデータ図作成部32、表示画面に時間軸を設定してデータ図Pを時間軸上の設定時間間隔を置いた位置に配置する表示部33とから構成される。
【0029】
演算部31は、伝搬面14aが電気的に開放された表面弾性波遅延線12の受信信号RS1および伝搬面14aが電気的に短絡された表面弾性波遅延線13の受信信号RS2を
A/D変換するA/D変換手段31aと、受信信号RS1から受信信号RS2を差分して得られる位相値φおよび振幅値Aに基づいて出力データDを演算するSAW演算手段31bとから構成される。また、校正時の純水Lrの位相値φおよび振幅値Aは、演算部31内の不図示のメモリに記録される。
【0030】
SAW演算手段31bは、測定時の被測定溶液Lmの位相値φおよび振幅値Aから不図示のメモリに記録される純水Lrの位相値φおよび振幅値Aを引くことで、被測定溶液Lmの位相差Δφと振幅比ΔAを算出する。次に、SAW演算手段31bは、この位相差Δφと振幅比ΔAを用いて下記の式(1)および式(2)より、出力データDとして速度変化Δ(V/V)および減衰変化Δ(α/k)を演算する。
【0031】
Δ(V/V)=Δφ/L*λ/360 式(1)
Δ(α/k)=ΔA/8.686/L*λ/2π 式(2)
ここで、式(1)、式(2)において、λは、送信信号SSの波長、Lは送信側IDT15と受信側IDT16との間の距離、kは波数を示す。具体的に、送信信号SSの周波数は、50MHz程度であり、圧電素子中の波長λは80μm程度、Lは5mm程度である。
【0032】
校正時の出力データDは、後述するデータ図において、比誘電率が80.37、導電率0となるものとして決定する。また、演算された出力データDは、不図示のメモリに記録され、後述するデータ図を再表示する場合、これを読み出すようにしてもよい。
【0033】
ここで、出力データDは、受信信号RS1から受信信号RS2を差分することにより、純水Lrおよび被測定溶液Lmのいわゆる電気的性質(比誘電率εr、導電率σ)の影響によって生じた変化を示す。
【0034】
演算部31は、測定時には設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)毎に出力データDk(k=0、1、、n)を算出する。設定時間間隔Tkは、一定の時間間隔Tx毎に設定される。なお、設定時間間隔Tkは、一定の時間間隔Tx毎に設定されるものに限定されず、各時間間隔が異なるように、時間関数Tf、時間テーブルTb等に基づいて設定されてもよい。
【0035】
データ図作成部32は、チャート図Cを作成するチャート図作成手段32a、設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)毎の出力データDk(k=0、1、、n)をチャート図Cに点描してデータ図Pk(k=0、1、、n)を作成するデータ図作成手段32bから構成されている。
【0036】
チャート図作成手段32aは、2値からなる出力データDの一方を縦軸、他方を横軸とする座標軸AXと、この座標軸AXで規定される領域AR内に位置する被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線CRとを描画する。本実施形態では、横軸を速度変化Δ(V/V)、縦軸を減衰変化Δ(α/k)とし、補助曲線CRを被測定溶液Lmの比誘電率εr’、導電率σ’を表示する比誘電率・導電率曲線CRとして説明する。
【0037】
また、比誘電率・導電率曲線CRは、
【数1】

【数2】

【0038】
を用いて作成される。ここで、ωは角周波数、εpTは圧電基板14の実効誘電率、εは空気の誘電率を示す。
【0039】
データ図作成手段32bは、校正時の出力データDの値が比誘電率80.37、導電率0の値となるように、測定時の出力データDk(k=0、1、、n)が演算される時または後述するデータ図を再表示するために既に演算された測定時の出力データDk(k=0、1、、n)を読み出す時、チャート図作成手段32aからチャート図Cを読み込み、読み込まれたチャート図Cに各出力データDk(k=0、1、、n)を点描し、データ図Pk(k=0、1、、n)を作成する。図3は、図中○印に被測定溶液Lmを設定時間間隔Tk(k=0〜3)に一例として被測定溶液Lmをジオキサン溶液として測定したデータ図Pk(k=0〜3)を示す。
【0040】
表示部33は、表示画面Sに設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)毎のデータ図Pk(k=0、1、、n)を表示する。表示部33は、表示画面Sに時間軸tを設定し、この時間軸t上の設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)を置いた位置にデータ図Pk(k=0、1、、n)を配置する。
【0041】
図4および図5は、図3で説明したジオキサン溶液のデータ図Pk(k=0〜3)を用いた表示画面Sの実施形態を示す図である。
【0042】
図4および図5は、時間軸tが各領域内ARにおいて各座標軸AXの縦軸および横軸と交差するように延び、且つ時間軸tが各座標軸AXの原点を通過するように設定したものである。図4は、データ図Pk(k=0〜3)を斜視図として表示し、図5は、データ図Pk(k=0〜3)を正面図として表示する。また、表示部33は、本実施形態において、経時変化の把握を容易にするため出力データDk(k=0〜3)を線分で連結して表示する。なお、時間軸tの設定は、特に限定されるものではない。
【0043】
次に本発明の表示方法について説明する。図6は、本発明の表示方法の実施形態のフローチャートを示す。測定者は、純水LrにSAWセンサ10を浸漬する(ST1)。純水Lrの位相値φおよび振幅値Aを記録する(ST2)。チャート図Cが作成される(ST3)。測定者がSAWセンサ10を被測定溶液Lmに浸漬すると、設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)毎に出力データDk(k=0、1、、n)が算出される(ST4)。チャート図Cに出力データDk(k=0、1、、n)を点描する(ST5)。表示画面Sの時間軸t上に設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)を置いた位置にデータ図Pk(k=0、1、、n)を配置する(ST6)。設定時間間隔Tkが終了するまでST4〜ST6が繰り返される。
【0044】
また、データ図Pk(k=0、1、、n)は、順次表示されるものに限定されず、設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)の終了後に一時に表示するものであってもよい。なお、既に演算された出力データDk(k=0、1、、n)を再表示する場合も、上記のST1の工程を必要とせず、上記のST4の工程が算出から読み込みに変わるだけであり、その説明を省略する。
【0045】
したがって、本発明のSAWセンサ溶液測定システムおよびその表示方法によれば、出力データDk(k=0、1、、n)が算出される度に、チャート図Cに各出力データDk(k=0、1、、n)が描画されたデータ図Pk(k=0、1、、n)作成され、この各データ図Pk(k=0、1、、n)が表示画面Sに設定された時間軸tの設定時間間隔Tk(k=0、1、、n)を置いた位置に配置されるため、測定者は、経時的に配置されたデータ図Pk(k=0、1、、n)から被測定溶液Lmの比誘電率εr’、導電率σ’の経時的な変化を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】SAWセンサ溶液測定システム1の概略構成図
【図2】SAWセンサ10の概略構成図
【図3A】データ図Pの実施形態を示す図(その1)
【図3B】データ図Pの実施形態を示す図(その2)
【図3C】データ図Pの実施形態を示す図(その3)
【図3D】データ図Pの実施形態を示す図(その4)
【図4】表示画面Sの実施形態を示す図(その1)
【図5】表示画面Sの実施形態を示す図(その2)
【図6】表示方法の実施形態のフローチャート
【符号の説明】
【0047】
AR 領域
AX 座標軸
C チャート図
Cr 曲線、比誘電率・導電率曲線
εr’ 物性、比誘電率
σ’ 物性、導電率
D 出力データ
Lm 被測定溶液
P データ図
RS 電気信号
S 表示画面
t 時間軸
Tk 設定時間間隔
1 SAWセンサ溶液測定システム
10 SAWセンサ
31 演算部
31b SAW演算手段
32 データ図作成部
33 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定溶液に浸漬され、該浸漬中に電気信号を連続的に出力するSAWセンサと、
前記電気信号を設定時間間隔毎に演算して2値からなる出力データを算出する演算部と、
該演算による前記出力データの算出時または読出時に、前記出力データの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸と該座標軸によって規定される領域内に位置する前記被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に前記出力データを点描したデータ図を作成するデータ図作成部と、
表示画面に時間軸を設定して前記データ図をそれぞれ前記時間軸上の前記設定時間間隔を置いた位置に配置する表示部とを備えることを特徴とするSAWセンサ溶液測定システム。
【請求項2】
前記時間軸は、前記領域内において前記縦軸および前記横軸と交差して延びるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のSAWセンサ溶液測定システム。
【請求項3】
被測定溶液にSAWセンサを浸漬し、
該浸漬中の前記SAWセンサからの連続的な電気信号を設定時間間隔毎に演算して2値からなる出力データを算出し、
該演算による前記出力データの算出時または読出時に、前記出力データの一方を横軸および他方を縦軸とする座標軸と該座標軸によって規定される領域内に位置する前記被測定溶液の物性を読み取るための補助曲線とが描画されたチャート図に前記出力データを点描したデータ図を作成し、
表示画面に時間軸を設定して前記データ図をそれぞれ前記時間軸上の前記設定時間間隔を置いた位置に配置することを特徴とするSAWセンサ溶液測定システムの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101624(P2010−101624A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270439(P2008−270439)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100152401
【弁理士】
【氏名又は名称】我妻 慶一
【Fターム(参考)】