説明

SOAP通信を用いるメッセージ送受信システム

【課題】流通BMS対応EDIシステムに用いて好適で、効率よくメッセージの送受信を行うことができるメッセージ送受信システムを得る。
【解決手段】送信側SOAPクライアント10は、入力された送信すべきメッセージを、SOAPサーバ13に送信し、サーバ13は、Pushメールサーバ15にメッセージの到着を通知し、メールサーバ15は、メッセージの内容を確認後、受信側SOAPクライアント18にメッセージ受信依頼のPushメールを送信し、受信側クライアント18は、Pushメールを受信すると、自身が有するメッセージ登録履歴DB19に着信情報を登録し、登録したメッセージ種別を元に、自身が有するメッセージ種別優先度パラメータ参照して、登録したメッセージのメッセージ種別優先度に従って、メッセージが受信対象メッセージか否かを判断し、受信対象メッセージであった場合、SOAPサーバから受信対象メッセージを取得し、受信側管理者の端末22に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOAP通信を用いるメッセージ送受信システムに係り、特に、流通業向け流通BMS対応EDI(Electronic Data Interchange)システムのSOAP通信を利用した発注処理を始めとする各種メッセージの受信処理を、メッセージ種別に従って自動化したSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムに関する。
【0002】
なお、前述の流通BMS(Business Message Standard)は、経済産業省の「流通システム標準化事業」の一環で、事務局である(財)流通システム開発センタが公開した総合小売業や食品スーパーが卸売業者と取引する際に必要なメッセージ項目を定義したものである。
【背景技術】
【0003】
一般に、SOAP通信の受信処理の仕様は、受信側からの問い合わせが必要なPULL型である。流通BMS対応EDIシステムの標準通信方式の1つとして、SOAP通信が挙げられるが、前述したSOAP通信の受信仕様上、SOAP通信を使用したシステムでは、受信すべきメッセージがサーバに存在していても、クライアント側からサーバにアクセスしなければサーバ上にメッセージが存在することが判らない。流通業務において処理スピードが重視される発注業務においては、SOAP通信の前述の仕様が業務を遂行する上でのボトルネックとなる。
【0004】
なお、本発明に関連する技術として、「ネットワークを利用した受注システム」に関する技術が、特許文献1等に記載されて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−39396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のSOAP通信を利用した流通BMS対応EDIシステムは、クライアント側がサーバにアクセスしない限り、サーバにメッセージが存在することを知ることができないという問題点を有し、また、メッセージの種別に従って、即座にメッセージを受信すべきか否かを判断していないため、効率よくメッセージの送受信を行うことができないという問題点を有している。
【0007】
本発明の目的は、前述した従来のSOAP通信技術を用いる流通BMS対応EDIシステムの問題点を解決し、流通BMS対応EDIシステムに用いて好適な効率よくメッセージの送受信を行うことができるようにしたSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば前記目的は、送信側SOAPクライアントと、SOAPサーバ及びPushメールサーバを備えるEDIセンタと、受信側SOAPクライアントと、受信側管理者が使用する端末とがネットワークを介して接続されたSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムにおいて、前記送信側SOAPクライアントは、入力された送信すべきメッセージを、前記SOAPサーバに送信し、前記SOAPサーバは、前記Pushメールサーバにメッセージの到着を通知し、前記Pushメールサーバは、メッセージの内容を確認後、前記受信側SOAPクライアントにメッセージ受信依頼のPushメールを送信し、前記受信側SOAPクライアントは、前記Pushメールを受信すると、自クライアントが有するメッセージ登録履歴データベースに着信情報を登録し、登録したメッセージ種別を元に、自クライアントが有するメッセージ種別優先度パラメータファイルを参照して、登録したメッセージのメッセージ種別優先度に従って、当該メッセージが受信対象メッセージか否かを判断し、受信対象メッセージであった場合、前記SOAPサーバから当該受信対象メッセージを取得し、メッセージを登録している旨を受信側管理者が使用する端末に通知することにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、最短のリードタイムで、効率よくメッセージの受信処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】受信側SOAPクライアントが備えるメッセージ登録履歴データベースの履歴テーブルの構成を示す図である。
【図3】メッセージ種別毎の優先度レベルを設定したパラメータファイルの例を示す図である。
【図4】取引先情報毎のメッセージ種別の優先度レベルの閾値を設定したプロパティファイルの例を示す図である。
【図5】送信側SOAPクライアントから送信されたメッセージが受信側SOAPクライアントで受信されるまでの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムの構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムは、入力された送信すべきメッセージをインターネット11等のネットワークに送信する送信側SOAPクライアント10と、SOAPクライアント10からのメッセージを受信して保持した後、インターネット17等のネットワークに送信するSOAPサーバ13及びPushメールサーバ15を備えるEDIセンタ12と、EDIセンタ12のPushメールサーバ15から送信されてきたメッセージを受信登録してメッセージ種別毎の優先度をチェックし、その結果により、メッセージが登録されている旨を、インターネット21等のネットワークを介して受信側管理者が使用する端末22に通知する受信側SOAPクライアント18と、受信側管理者が使用する端末22とを備えて構成されている。
【0014】
前述において、EDIセンタ12に備えられるSOAPサーバ13は、受信監視プログラム14を有し、Pushメールサーバ15は、Pushメール送信WEBサービス16を有している。また、受信側SOAPクライアント18は、メッセージ登録履歴データベース19と、受信監視プログラム20とを備えて構成されている。
【0015】
前述において、送信側及び受信側のSOAPクライアント10、18は、図示しないが、CPU、メインメモリ、HDD等の記憶装置、キーボード、マウス等の入力装置、表示装置等を備えるPCに代表される情報処理装置であり、記憶装置に記憶されている本発明に必要なプログラムをメインメモリにロードし、そのプログラムをCPUが実行することにより、後述する本発明の実施形態での機能を構築する。また、EDIセンタ12に設置されているSOAPサーバ13、Pushメールサーバ15も、前述と同様な構成を持つ情報処理装置であり、前述と同様に、記憶装置に記憶されている本発明に必要なプログラムをメインメモリにロードし、そのプログラムをCPUが実行することにより、後述する本発明の実施形態での機能を構築する。
【0016】
また、図1に示す本発明の実施形態によるSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムの構成例では、3つの異なるインターネット等のネットワークを備えるように示しているが、これらのネットワークは、同一のネットワークでよい。
【0017】
図5は送信側SOAPクライアント10から送信されたメッセージが受信側SOAPクライアント18で受信されるまでの動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0018】
(1)送信側SOAPクライアント10は、メッセージをHTTP PUTメソッドを用いてEDIセンタ11内のSOAPサーバ13へ送信して登録させる(ステップ50)。
【0019】
(2)EDIセンタ11内のSOAPサーバ13の着信監視プログラム14は、メッセージの登録を検知し、Pushメールサーバ15のPushメール送信WEBサービス16の引数として、取引先情報、メッセージ種別、登録時刻を設定し、Pushメールサーバ15のPushメール送信WEBサービス16を呼び出す(ステップ51)。
【0020】
(3)Pushメールサーバ15は、Pushメール送信WEBサービス15に、メッセージの内容を確認させ、SOAPサーバ13から通知された先の情報を、メッセージ受信依頼のPushメールとして受信側SOAPクライアント18へ送信させる(ステップ52)。
【0021】
(4)受信側SOAPクライアント18の着信監視プログラム20は、Pushメールの着信を検知すると、検知したPushメールの着信情報をメッセージ登録履歴データベース19へ登録する。なお、メッセージ登録履歴データベース19の構成については、図2を参照して後述する(ステップ53)。
【0022】
(5)受信側SOAPクライアント18は、メッセージ登録履歴データベース19へメッセージ情報を登録した後、メッセージ種別による優先度のレベルが、閾値以上であるか否かのチェックを行う(ステップ54)。
【0023】
(6)ステップ54のチェックで、登録されたメッセージのメッセージ種別による優先度のレベルが閾値以上であった場合、登受信側SOAPクライアント18は、EDIセンタ12のSOAPサーバ13に対してHTTP GETメソッドを用いたメッセージの取得を要求して、メッセージを取得し、また、メッセージ登録履歴データベース19の該当メッセージのレコードを更新する。なお、メッセージ種別による優先度については、図3、図4を参照して後述する(ステップ55、56)。
【0024】
(7)ステップ54のチェックで、登録されたメッセージのメッセージ種別による優先度のレベルが閾値未満であった場合、受信側SOAPクライアント18は、メッセージ登録履歴データベース19を参照して受信履歴チェック処理を行う。ここでのチェックの処理は、メッセージ登録履歴データベース19の現在月の1か月前からのデータを元に、登録されたメッセージ種別IDをキーにしてメッセージ受信の平均受信時刻を求め、求めた平均受信時刻と現在時刻とを比較し、現在時刻が平均受信時刻を過ぎていないか否かをチェックする処理である(ステップ57)。
【0025】
(8)ステップ57のチェックで、現在時刻が平均受信時刻を過ぎていなかった場合、何もせず、現在時刻が平均受信時刻と同一、あるいは、現在時刻が平均受信時刻を過ぎていた場合、受信側SOAPクライアント18は、メッセージ登録履歴データベース19を参照して、設定されている着信通知日時のチェックを行う(ステップ58、59)。
【0026】
(9)ステップ59のチェックで、現在日時が着信通知時間外である場合、現在日時から最も直近の着信通知時刻に、メッセージが登録されている旨を受信側管理者が使用する端末22へメールにより通知する(ステップ60)。
【0027】
(10)ステップ59のチェックで、現在日時が、着信通知時間内であった場合、直ちにメッセージが登録されている旨を受信側管理者が使用する端末22へメールにより通知する(ステップ61)。
【0028】
(12)ステップ60またはステップ61の処理により、受信側管理者にメッセージが登録されていることの着信通知を送信した後、受信側SOAPクライアント18は、メッセージ登録履歴DB19の該当レコードの着信通知時刻を更新する(ステップ62)。
【0029】
図2は受信側SOAPクライアント18が備えるメッセージ登録履歴データベース19の履歴テーブルの構成を示す図である。
【0030】
図2に示すメッセージ登録履歴データベース19の履歴テーブル内のデータは、着信監視プログラム20が、Pushメールの着信を検知して登録したものである。そして、図示履歴テーブルは、メッセージ送信元の事業者コードである送信元GLN(Global Location Number)と、メッセージの種別を示すメッセージ種別IDと、メッセージを登録した日時と、設定された受信側管理者へのメッセージの着信を通知する着信通知時刻である通知日時と、メッセージの受信日時とを組としたレコードを複数格納して構成されている。
【0031】
図3はメッセージ種別毎の優先度レベルを設定したパラメータファイルの例を示す図である。このパラメータファイルは、受信側SOAPクライアント18が有するファイルである。
【0032】
図3に示すメッセージ種別毎の優先度レベルのパラメータファイルは、メッセージ種別IDとその優先度レベルとを組とした複数のレコードを格納している。そして、図示例では、メッセージ種別IDが「001」のメッセージの優先度レベルが「5」であり、メッセージ種別IDが「002」のメッセージの優先度レベルが「2」であは、また、メッセージ種別IDが「003」のメッセージの優先度レベルが「3.5」であるというレコードが格納されている。
【0033】
図4は取引先情報毎のメッセージ種別の優先度レベルの閾値を設定したプロパティファイルの例を示す図である。このプロパティファイルは、受信側SOAPクライアント18が有するファイルであり、取引先情報毎のメッセージ種別毎に設けられている。そして、図4に示す例では、
図4に示す取引先情報毎のメッセージ種別の優先度レベルの閾値を設定したプロパティファイルには、その取引先に着信があったことを通知する日時の情報である着信通知時間と、メッセージ種別IDの優先度レベルの閾値の情報であるメッセージ自動受信優先度レベルとが保持されている。図4に示す例は、メッセージ種別IDが「003」であるプロパティファイルの例であるものとし、メッセージの優先度レベルの閾値が3であると登録されている。
【0034】
受信側SOAPクライアント18は、前述した図5に示すフローのステップ54からステップ56の処理で、図3、図4に示すファイルを参照するが、その際、図3、図4に示される設定例で、メッセージ種別IDが「003」であるメッセージが登録されている場合、優先度レベルが3.5、閾値が3であるため、メッセージを自動受信する。
【0035】
また、受信側SOAPクライアント18は、図3、図4にメッセージ種別IDが「002」であるメッセージが登録されている場合、優先度レベルが2、閾値が3であるため、メッセージの自動受信を行わず、次のステップ57の処理を行うことになる。
【符号の説明】
【0036】
10 送信側SOAPクライアント
11、17、21 インターネット
12 EDIセンタ
13 SOAPサーバ
14 着信監視プログラム
15 Pushメールサーバ
16 Pushメール送信WEBサービス
18 受信側SOAPクライアント
19 メッセージ登録履歴データベース
20 着信監視プログラム
22 受信側管理者が使用する端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側SOAPクライアントと、SOAPサーバ及びPushメールサーバを備えるEDIセンタと、受信側SOAPクライアントと、受信側管理者が使用する端末とがネットワークを介して接続されたSOAP通信を用いるメッセージ送受信システムにおいて、
前記送信側SOAPクライアントは、入力された送信すべきメッセージを、前記SOAPサーバに送信し、
前記SOAPサーバは、前記Pushメールサーバにメッセージの到着を通知し、
前記Pushメールサーバは、メッセージの内容を確認後、前記受信側SOAPクライアントにメッセージ受信依頼のPushメールを送信し、
前記受信側SOAPクライアントは、前記Pushメールを受信すると、自クライアントが有するメッセージ登録履歴データベースに着信情報を登録し、登録したメッセージ種別を元に、自クライアントが有するメッセージ種別優先度パラメータファイルを参照して、登録したメッセージのメッセージ種別優先度に従って、当該メッセージが受信対象メッセージか否かを判断し、受信対象メッセージであった場合、前記SOAPサーバから当該受信対象メッセージを取得し、メッセージを登録している旨を受信側管理者が使用する端末に通知することを特徴とするSOAP通信を用いるメッセージ送受信システム。
【請求項2】
前記受信側SOAPクライアントは、登録したメッセージが受信対象メッセージでなかった場合、前記メッセージ登録履歴データベースの受信日時の現在月の1ヶ月前からのデータを元に、メッセージ受信の平均受信時刻を求め、求めた平均受信時刻と現在時刻とを比較し、現在時刻が平均受信時刻と同一、あるいは、現在時刻が平均受信時刻を過ぎていた場合、メッセージ登録履歴データベースの着信通知日時のチェックを行い、現在日時が着信通知時間外である場合、現在日時から最も直近の着信通知時刻に、メッセージが登録されている旨を受信側管理者が使用する端末へ通知することを特徴とする請求項1記載のSOAP通信を用いるメッセージ送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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