説明

TC1507イベントを含むトウモロコシの接合性を決定するためのエンドポイントTAQMAN法

トウモロコシCry1FイベントTC1507の接合性分析のための方法が提供される。その方法は、TC1507イベント特異的およびトウモロコシ内在性参照遺伝子特異的プライマーならびにTC1507の分子育種を支援するための確実な遺伝子型コールを生成できるエンドポイント二重TaqMan PCRアッセイに使用するためのTaqManプローブの組み合わせを提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
Herculex(登録商標)Iは、Cry1FイベントTC1507を含む、市販のトウモロコシ製品であり、それは(特にヨーロッパマツマダラメイガ(European corn borer)による)虫害に抵抗性がある。そのイベント自体は例えば米国特許第7,605,310号明細書および同第7,449,564号明細書に開示されている。
【0002】
様々な方法がトウモロコシの試料におけるこのイベントの存在を検出するために使用され得る。一例は、Winge(Innov.Pharma.Tech.00:18-24,2000)によって記載されているピロシーケンス技術である。この方法では、隣接ゲノムDNAおよび挿入DNA結合部と重複するオリゴヌクレオチドを設計する。そのオリゴヌクレオチドを、目的とする領域由来の一本鎖PCR産物にハイブリダイズし(挿入配列中の1つのプライマーおよびフランキングゲノム配列中の1つのプライマー)、そしてDNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホ硫酸およびルシフェリンの存在下でインキュベートする。DNTPを個々に加え、その取り込みによって、測定される光シグナルが生じる。光シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション、および単一または複数の塩基の伸長の成功に起因する、導入遺伝子挿入/フランキング配列の存在を示す(この技術は通常、既知である場合の特異的遺伝子の検出ではなく、初期のシークエンシングに使用される)。
【0003】
蛍光偏光はアンプリコンを検出するために使用され得る別の方法である。この方法に従えば、フランキングゲノムおよび挿入DNA結合部と重複するオリゴヌクレオチドを設計する。そのオリゴヌクレオチドを、目的とする領域由来の一本鎖PCR産物にハイブリダイズし(挿入DNA中の1つのプライマーおよびフランキングゲノムDNA配列中の1つプライマー)、そしてDNAポリメラーゼおよび蛍光標識ddNTPの存在下でインキュベートする。単一の塩基の伸長により、ddNTPの取り込みが生じる。取り込みは、蛍光光度計を用いて偏光の変化として測定され得る。偏光の変化は、増幅、ハイブリダイゼーション、および単一の塩基の伸長の成功に起因する導入遺伝子挿入/フランキング配列の存在を示す。
【0004】
TAQMAN(Life Technologies,Foster City,Calif.)は、DNA配列の存在を検出し、定量化する方法である。手短に述べると、導入遺伝子内に1つのオリゴおよびイベント特異的検出のためのフランキングゲノム配列中に1つのオリゴを有するFRETオリゴヌクレオチドプローブを設計する。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入DNA配列中の1つのプライマーおよびフランキングゲノム配列中の1つのプライマー)を、耐熱性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下で循環させる。FRETプローブのハイブリダイゼーションの結果、蛍光性部分がFRETプローブ上のクエンチング部分から離れて切断および遊離する。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼーションの成功に起因する、フランキング/導入遺伝子挿入配列の存在を示す。
【0005】
配列検出に使用するための分子標識が記載されている。手短に述べると、フランキングゲノムおよび挿入DNA結合部と重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブを設計する。FRETプローブの特有な構造の結果、それは蛍光性およびクエンチング部分を近接して維持する二次構造を含有する。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入DNA配列中の1つのプライマーおよびフランキングゲノム配列中の1つのプライマー)を、耐熱性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下で循環させる。PCR増幅の成功に続いて、標的配列へのFRETプローブのハイブリダイゼーションの結果、蛍光性およびクエンチング部分のプローブ二次構造および空間的分離を除去する。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼーションの成功に起因する、フランキングゲノム/導入遺伝子挿入配列の存在を示す。
【0006】
多くの中から、別のチャレンジにより、所与の試験のために好適な参照遺伝子が見出されている。例えば、Czechowskiらの要約において、「Affymetrix ATH1全ゲノムGeneChip研究からの非常に大きなデータセットにより、モデル植物種であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において非常に安定した発現レベルで参照遺伝子の新規生成を識別する手段が提供された。数百のシロイヌナズナ遺伝子は、進行の全体にわたって、および様々な環境条件下で安定に発現するという点で従来の参照遺伝子より優れていることを見出した。」と記載されている(Czechowskiら(2005)Genome-wide identification and testing of superior reference genes for transcript normalization in Arabidopsis.Plant Physiol.139,5-17)。
【0007】
Brodmannら(2002)は、欧州連合で承認された4種の異なるトウモロコシ品種についての食物中のトランスジェニックトウモロコシ含有量のリアルタイム定量的PCR検出を説明している。Brodmann,P.D.,P.D.,Ilg E.C.,Berthoud H.およびHerrmann,A.Real-Time Quantitative Polymerase Chain Reaction Methods for Four Genetically Modified Maize Varieties and Maize DNA Content in Food.J.of AOAC international 2002 85(3)。
【0008】
Hernandezら(2004)は、リアルタイムPCRで使用するための4種の可能な遺伝子を述べている。Hernandez,M.,Duplan,M.-N.,Berthier,G.,Vaitilingom,M.,Hauser,W.,Freyer,R.,Pla,M.,およびBertheau,Y.Development and comparison of four real-time polymerase chain reation systems for specific detection and quantification of Zea mays L.J.Agric.Food Chem.2004,52,4632-4637。
【0009】
Costaら(2007)は、これらの4種の遺伝子で(リアルタイムPCRの状況でも同様に)調べて、トランスジェニック食物混合の問題のための試料の「イベント」(レクチン遺伝子)を検出するためにアルコール脱水素酵素およびゼイン遺伝子が最適な参照遺伝子であることを結論付けた。Costa,L.D.およびMartinelli L.Development of a Real-Time PCR Method Based on Duplo Target Plasmids for Determining an Unexpected Genetically Modified Soybean Intermix with Feed Components.J.Agric.Food Chem.2007,55,1264-1273。
【0010】
Huangら(2004)は、トウモロコシにおけるMON810およびNK603導入遺伝子を検出するための参照分子としてプラスミドpMulM2を使用した。HuangおよびPan,「Detection of Genetically Modified Maize MON810 and NK603 by Multiplex and Real-Time Polymerase Chain Reaction Methods」,J.Agric.Food Chem.,2004,52(11),pp3264-3268。
【0011】
Gasparicら(2008)は、トウモロコシイベント(例えばMON810)を定量的に分析するための、サイクリングプローブ技術、TaqMan、および種々のリアルタイムPCR化学との比較から、LNA技術を提案している。Gasparic,Cankar,ZelおよびGruden,「Comparison of different real-time PCR chemistries and their suitability for detection and quantification of genetically modified organisms」,BMC Biotechnol.2008;8:26。
【0012】
米国特許出願第20070148646号明細書は、組み込まれるヌクレオチドの量によって検出され、定量化され得る個々のヌクレオチドの制御された分配を必要とする定量化のためのプライマー伸張法を説明している。これは内部参照遺伝子を用いるTaqMan PCR法とは異なる。
【0013】
TC1507のホモ接合遺伝子型とヘミ接合遺伝子型とを識別するために、インベーダーアッセイがこのイベントに成功して使用されている。Gupta,M.,Nirunsuksiri,W.,Schulenberg,G.,Hartl,T.,Novak,S.,Bryan,J.,Vanopdorp,N.,Bing,J.およびThompson,S.A non-PCR-based Invader Assay Quantitatively Detects Single-Copy Genes in Complex Plant Genomes.Mol.Breeding 2008,21,173-181。
【0014】
Huabang(2009)は、トランスジェニックトウモロコシのPCRベースの接合性試験を説明している。しかしながら、参照遺伝子は使用していないように見える。Huabang,「An Accurate and Rapid PCR-Based Zygosity Testing Method for Genetically Modified Maize」,Molecular Plant Breeding,2009,Vol.7,No.3,619-623。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はトウモロコシにおけるイベントTC1507の接合性を決定するための分子アッセイに部分的に関する。より具体的には、本発明は、トウモロコシ内在性参照遺伝子を利用するトウモロコシにおけるHerculex(登録商標)IイベントTC1507についてのエンドポイントTaqMan PCRアッセイに部分的に関する。一部の実施形態は、ハイスループット接合性分析を可能にするアッセイを対象とする。本主題発明はさらに、接合性を決定するのに使用するための好ましい参照遺伝子の発見に部分的に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試料番号とSOB1/SOB2の絶対比との間の一例の分布図である。
【図2】TC1507と、調査した異なる参照遺伝子との二重(biplex)組み合わせのリアルタイムPCR増幅プロットである。リアルタイムPCR増幅プロットは、Cry1Fホモ接合体ゲノムDNAの2倍連続希釈で、TC1507と、ivr(2a)、hmg(2b)、ivr104(2c)、およびzein(2d)のそれぞれとの二重を示す。各希釈でのCt値をそれらの対応するプロットの内側に示す。
【図3】異なる参照遺伝子を用いるエンドポイントTaqManでのCry1F接合性決定の分布図である。パネルは、以下:参照遺伝子としてivr104(a)、ivr(b)、hmg(c)およびzein(d)を用いるアッセイについてのものである。PCRおよび蛍光読み取りの完了時に、分布図を生成した:SOB1=FAMのバックグラウンドに対するシグナル(535nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナル)、SOB2=Cy5のバックグラウンドに対するシグナル(670nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナル)。ivr104(a)について、遺伝子型コールは、野生型についてSOB1/SOB2<0.5、ヘミ接合体について0.5<SOB1/SOB2<2、およびホモ接合体についてSOB1/SOB2>2で作成できる。
【図4a】3つの集団(各集団について2つの96ウェルプレートのゲノムDNA)における参照遺伝子としてivr104を用いるエンドポイントTaqManアッセイでのCry1F接合性決定の検証を示す図である。PCRおよび蛍光読み取りの完了時に、分布図を生成した:SOB1=FAMのバックグラウンドに対するシグナル(535nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)、SOB2=Cy5のバックグラウンドに対するシグナル(670nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)。遺伝子型コールは、ホモ接合体、ヘミ接合体および野生型の別個のクラスターに従って作成した。図4aは、Cry34/35 PoCry1Fスタック集団におけるエンドポイントTaqManアッセイでのCry1F接合性決定の分布図である。
【図4b】3つの集団(各集団について2つの96ウェルプレートのゲノムDNA)における参照遺伝子としてivr104を用いるエンドポイントTaqManアッセイでのCry1F接合性決定の検証を示す図である。PCRおよび蛍光読み取りの完了時に、分布図を生成した:SOB1=FAMのバックグラウンドに対するシグナル(535nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)、SOB2=Cy5のバックグラウンドに対するシグナル(670nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)。遺伝子型コールは、ホモ接合体、ヘミ接合体および野生型の別個のクラスターに従って作成した。図4bは、PoCry1F単一スタック集団におけるエンドポイントTaqManアッセイでのCry1F接合性決定の分布図である。
【図4c】3つの集団(各集団について2つの96ウェルプレートのゲノムDNA)における参照遺伝子としてivr104を用いるエンドポイントTaqManアッセイでのCry1F接合性決定の検証を示す図である。PCRおよび蛍光読み取りの完了時に、分布図を生成した:SOB1=FAMのバックグラウンドに対するシグナル(535nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)、SOB2=Cy5のバックグラウンドに対するシグナル(670nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)。遺伝子型コールは、ホモ接合体、ヘミ接合体および野生型の別個のクラスターに従って作成した。WT植物は予想通り除草剤噴霧で生存しなかったため、図4c(PoCry1F_NK603)は2つのクラスター(ホモ接合体およびヘミ接合体)のみを有した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、トウモロコシイベントTC1507の5’フランキング配列の配列である。
配列番号2は、トウモロコシイベントTC1507の3’フランキング配列の配列である。
配列番号3は、5’フランキング配列、cry1F挿入、および3’フランキング配列を含むトウモロコシイベントTC1507についての連続配列である。
配列番号4〜21は、本主題発明に従って使用するために例示したプライマーおよびプローブである。
【0018】
発明の詳細な説明
本主題発明は、TC1507、トウモロコシCry1Fイベントのハイスループット接合性分析のための参照(コピー数)対照として内在性遺伝子を利用する蛍光ベースのエンドポイントTaqMan PCRアッセイに部分的に関する。本主題発明はさらに、好ましい参照遺伝子、インベルターゼの発見に部分的に関する。いくつかの参照遺伝子を可能なオプションとして識別した。
【0019】
本主題発明はまた、TC1507イベント特異的接合性分析のための二重エンドポイントTaqMan PCRの開発に部分的に関する。さらに、本主題発明は、TC1507育種試験キットの開発に部分的に関する。
【0020】
エンドポイントTaqManアッセイはプラス/マイナスストラテジーに基づき、そのストラテジーによる「プラス」は、試料がアッセイした遺伝子について陽性であることを示し、「マイナス」は、試料がアッセイした遺伝子について陰性であることを示す。これらのアッセイは典型的に、TC1507導入遺伝子配列および野生型遺伝子配列のそれぞれ、ならびに導入遺伝子および野生型配列の含有量を測定するための二重標識プローブを識別するための2セットのオリゴヌクレオチドを利用する。
【0021】
インベーダーアッセイはこれらのイベントを特徴付けるための確実な技術であるが、それはDNAの質に対して非常に感受性が強い。加えて、そのアッセイは多量のDNAを必要とする。インベーダーはまた、適切に扱われない場合、そのインベーダーアッセイを不成功にする可能性がある、さらなる変性工程を必要とする。さらに、インベーダーアッセイの長いアッセイ時間により、商業的な環境において分析するための多数のTC1507試料を効果的に扱うことのその柔軟性が制限される。本主題発明の1つの主な利点は、時間を節約し、変性工程を排除することである。
【0022】
TC1507イベントを検出するための本主題のEndpoint TaqMan分析は、驚くべきことに、特に多数の試料を分析する際に、インベーダーよりも利点を与える。しかしながら、TC1507に対するその適用は複雑であった。1つには、TC1507の境界領域は真のゲノム配列ではない。例えば、それは反復フランキング配列を含有する。それは導入遺伝子フラグメントおよびレトロトランスポゾンを含有する特異的配列であり、この状況においてエンドポイントTaqmanアッセイプラス/マイナスストラテジーの実施に対して非常に大きな障害と認識されている。
【0023】
加えて、例えば、多重プライマーおよびプローブの組み合わせが試みられていた。しかしながら、それらの組み合わせのいずれも、野生型対立遺伝子と導入遺伝子とを識別できる強いシグナルを生じなかった。
【0024】
一実施形態において、TC1507イベント特異的PCR反応は、TC1507構築カセットのトウモロコシゲノムDNAへの挿入によって生じる、イベントに特異的な58−bpフラグメントを増幅させる。TC1507標的特異的オリゴヌクレオチドプローブは、2つのイベント特異的PCRプライマー間の標的に結合し、蛍光色素およびクエンチャーで標識される。可能な蛍光標識は、TC1507プローブ5’末端におけるレポーター色素としてFAMおよびTC1507プローブ3’末端におけるクエンチャーとしてブラックホールクエンチャー1(BHQ1)を含む。
【0025】
本発明者らの判断と共に様々な実験的因子を使用して、本発明者らは、単一または低コピー数のPCR増幅を可能にし、多くの栽培品種において保存されると証明されている、トウモロコシ内在性遺伝子を実験的に識別した。多数の参照遺伝子が可能であった。本発明者らが最初に評価するために選択したものを、TC1507接合性分析のための可能な参照遺伝子として評価した。5セットのオリゴ(表1)を選択した:ivr、ivr104(インベルターゼ由来の79および104bpフラグメント)、adh(adh1由来の136bpフラグメント)、hmg(hmga由来の79bpフラグメント)、およびzein(ゼイン由来の72bpフラグメント)。遺伝子特異的プライマーならびに一実施形態において、プローブ5’末端においてCy5およびプローブ3’末端においてブラックホールクエンチャー2(BHQ2)で標識した遺伝子特異的プローブを、TC1507接合性分析のための可能な参照遺伝子として評価したトウモロコシ内在性遺伝子についての迅速な定量に使用するために評価した。
【0026】
Cry1F遺伝子およびトウモコロシ内在性遺伝子についての遺伝子特異的プライマーおよびプローブをPCR効率について試験した。Cry1Fイベント特異的プライマーおよびプローブと比較的類似したPCR効率を有すると決定したトウモロコシ内在性遺伝子のプライマーおよびプローブの組み合わせをさらに、多重化能力およびエンドポイントTaqMan接合性アッセイのために利用した。
【0027】
全てのオリゴをPCR効率について試験した。イベント特異的オリゴと比較的近いPCR効率を有するオリゴをさらに、多重化およびエンドポイントTaqMan接合性アッセイのために利用した。
【0028】
一部の実施形態において、この接合性アッセイは、同じ増幅アッセイにおいてTC1507イベントおよびトウモロコシ内在性参照遺伝子(一部の好ましい実施形態においてインベルターゼ)に特異的な二重のオリゴヌクレオチドを利用する。接合性は、参照DNAと比べてイベントTC1507に特異的な蛍光相対強度により決定される。
【0029】
一部の実施形態において、TC1507イベント特異的アッセイは、TC1507構築カセットのトウモロコシゲノムDNAへの挿入により生じる、イベントに特異的な58−bpフラグメントを増幅させる。標的特異的オリゴヌクレオチドプローブは、2つのイベント特異的TC1507PCRプライマー間の標的に結合し、2つの蛍光色素:その5’末端におけるレポーター色素としてFAMおよびその3’末端におけるクエンチャー色素としてBHQで標識される。反応が初期の対数期にある場合、最適なサイクル数の後にPCR産物を測定する。
【0030】
一部の実施形態において、トウモロコシ特異的参照系はインベルターゼ遺伝子の104bpフラグメントを増幅させる。一対のインベルターゼ特異的オリゴならびに3’末端におけるCy5および5’末端におけるBHQで標識したインベルターゼ遺伝子特異的プローブを、迅速な定量のために使用する。
【0031】
一部の実施形態において、TC1507接合性分析のための蛍光ベースのエンドポイントTaqManアッセイにより、トウモロコシおよび参照遺伝子におけるHerculex(登録商標)IイベントTC1507を識別するためにプレートリーダーで直接読み取ることができる。
【0032】
本主題発明は、Herculex(登録商標)Iの他のトウモロコシ系統への遺伝子移入を試験することなどの育種用途を含む。
【0033】
本主題発明の検出方法およびキットは、本主題発明に係るイベントを識別するために使用できる。本主題発明の方法およびキットは、育種ストラテジーを加速させ、連鎖データを確立するために使用できる。本主題発明の検出技術は特に、植物育種と併せて有用であり、子孫において目的とする1つまたは複数のさらなる形質を与えようとして、目的とするイベントを含む親植物が別の植物系統と交雑した後に、子孫植物が所与のイベントを含むかを決定する。これらのTaqman PCR分析法は、トウモロコシ育種プログラムおよび特に市販のトランスジェニックトウモロコシ種についての品質管理に有益となる。これらのトランスジェニックトウモロコシ系統についてのTaqman PCR検出キットもまた、ここで作製され、使用され得る。これはまた、製品登録および製品管理に有益となり得る。
【0034】
なおさらに、本主題発明は、導入遺伝子の組み込みプロセス、ゲノム組み込み部位特性、イベント分類、導入遺伝子およびそれらのフランキング配列の安定性、ならびに遺伝子発現(特に遺伝子サイレンシング、導入遺伝子メチル化パターン、位置効果、およびMARS[マトリクス付着領域]などの潜在的発現関連エレメント)を研究および特徴付けるために使用できる。
【0035】
本発明はさらに、少なくとも1つの親においてTC1507植物を用いて交雑を行うプロセスを含む。例えば、本主題発明は、本明細書に例示した植物のいずれかの1つまたは両方の親を有するFハイブリッド植物を含む。本発明は、例示した植物と、異なる(例えば近交系親)植物とを交雑することによってFハイブリッド種を産生し、得られたハイブリッド種を収集し、本主題発明に従って種/植物試料を試験する方法を含む。得られた植物の特徴は、親植物の熟慮により改良できる。
【0036】
耐虫性トウモロコシ植物を、本明細書に参照される系統のいずれか1つの種から成長させたトウモロコシ植物からなる第1の親トウモロコシ植物と、第2の親トウモロコシ植物とを最初に性的に交雑することによって育種でき、それにより、複数の第1の子孫植物を産生し、次いで昆虫に耐性のある(または本主題発明のイベントの少なくとも1つを有する)第1の子孫植物を選択し、第1の子孫植物を自殖し、それにより、複数の第2の子孫植物を産生し、次いで第2の子孫植物から昆虫に耐性のある(または本主題発明のイベントの少なくとも1つを有する)植物を選択する。これらの工程はさらに、第1の子孫植物または第2の子孫植物から第2の親トウモロコシ植物または第3の親トウモロコシ植物への戻し交雑を含む。次いで本主題発明のトウモロコシ種を含むトウモロコシ作物またはその子孫が植え付けられ得る。
【0037】
また、2つの異なるトランスジェニック植物も交配されて、2つの独立し、分離して加えられた外来遺伝子を含む子孫を産生できることも理解されるべきである。適切な子孫の自殖は、両方加えられた外来遺伝子についてホモ接合性である植物を産生できる。栄養繁殖のように、親植物への戻し交雑および非トランスジェニック植物での異系交雑も意図される。異なる形質および作物に一般的に使用される他の育種法は当該技術分野において公知である。戻し交雑育種は、単に遺伝による高い遺伝子形質についての遺伝子を所望のホモ接合性栽培品種または反復親である、近交系に移入するために使用されている。移入される形質源はドナー親と呼ばれる。得られる植物は、反復親(例えば栽培品種)の属性およびドナー親から移入された所望の形質を有すると予想される。初期交雑の後、ドナー親の表現型を有する個体が選択され、反復親に繰り返し交雑(戻し交雑)される。得られる親は、反復親(例えば栽培品種)の属性およびドナー親から移入された所望の形質を有すると予想される。
【0038】
本発明のDNA分子は、マーカー利用育種(marker assisted breeding)(MAB)法において分子マーカーとして使用され得る。本発明のDNA分子は、当該技術分野において知られているような、遺伝的に関係のある農学的に有用な形質を識別する方法(例えばAFLPマーカー、RFLPマーカー、RAPDマーカー、SNPおよびSSR)において使用され得る。虫害抵抗性形質は、MAB法を用いて本主題発明のトウモロコシ植物(またはその子孫および任意の他のトウモロコシ品種もしくは種類)で交雑した子孫に受け継がれ得る。DNA分子はこの形質についてのマーカーであり、当該技術分野において周知のMAB法は、本主題発明の少なくとも1つのトウモロコシ系統、またはその子孫が親または先祖であったトウモロコシ植物における虫害抵抗性形質(複数も可)を受け継がせるために使用され得る。本発明の方法は、トウモロコシ系統TC1507由来の害虫抵抗性イベントを有する任意のトウモロコシ種類を識別するために使用され得る。
【0039】
本主題発明の方法は、害虫抵抗性トウモロコシ植物を産生する方法であって、前記方法は、本主題発明の植物を用いる育種を含む、方法を含む。より具体的には、前記方法は、本主題発明の2つの植物、または本主題発明の1つの植物および任意の他の植物を交雑することと、本主題発明に係る対象イベントを受け継がせることを含み得る。好ましい方法はさらに、本主題発明に係る検出可能なイベントについて前記子孫を分析することによって前記交雑の子孫を選択することを含む。
【0040】
本主題発明に従って繁殖され、成長する、好ましい植物、または種は、そのゲノム内に、表1に識別するような、挿入の両側に少なくとも20〜500またはそれ以上の連続したフランキングヌクレオチドと共に、表1に識別するような挿入配列のうちの少なくとも1つを含む。他に示さない限り、「イベントTC1507」または同様の参照は、そのイベントを含む親系統の性的交雑の結果として挿入DNAを受け取る子孫に移入されると予想される挿入DNAに直接隣接した配列番号1および/または配列番号2のフランキングゲノム配列の両方の全てまたは一部により識別されるゲノム位置に挿入される異種DNAを含む配列番号3のDNAを指す。
【0041】
本発明の説明に役立ち、当業者が本発明を実施することを誘導するように定義および実施例を本明細書に提供する。他に記載しない限り、用語は、従来の使用に従って関連技術分野の当業者により理解されるべきである。37 CFR §1.822に記載されるDNA塩基について命名法を使用する。
【0042】
遺伝子組換え「イベント」は、異種DNAによる植物細胞の形質転換によって生じるもの、すなわち、目的とする導入遺伝子を含む核酸構築物、植物ゲノムへの導入遺伝子の挿入によって生じる植物集団の再生、および特定のゲノム位置への挿入によって特徴付けられる特定の植物選択である。「イベント」という用語は、元の形質転換体および異種DNAを含む形質転換体の子孫を指す。「イベント」という用語はまた、形質転換体とゲノム/導入遺伝子DNAを含む別の種類との間の性的異種交配によって産生される子孫も指す。反復親に対する反復戻し交雑後でさえ、形質転換された親由来の挿入された導入遺伝子DNAおよびフランキングゲノムDNA(ゲノム/導入遺伝子DNA)は、同一染色体上の位置において交雑の子孫に存在する。「イベント」という用語はまた、挿入DNA(例えば、元の形質転換体および自殖によって生じた子孫)を含む1つの親系統と、挿入DNAを含まない親系統との性的交雑の結果として、目的とする導入遺伝子を含む挿入DNAを受け取る子孫への転移が期待される挿入DNAおよび挿入DNAに直接隣接するフランキングゲノム配列を含む、元の形質転換体およびその子孫に由来するDNAも指す。
【0043】
ゲノム内にDNAが挿入される点にわたる「接合配列」は、挿入点に隣接するトウモロコシネイティブゲノム由来のDNAに連結され、植物の遺伝物質における1つまたは他の接合配列の識別または検出はイベントを診断するのに十分である。本明細書に記載されるトウモロコシイベントにおける挿入にわたるDNA配列および同様の長さのフランキングDNAが含まれる。このような診断配列の具体例は本明細書に提供されるが、挿入接合部、または挿入接合部およびゲノム配列の接合部と重複する他の配列も診断に関し、本主題発明に従って使用され得る。
【0044】
プライマー、アンプリコン、およびプローブは、フランキング、接合および/または挿入配列に部分的に基づいて本主題発明に係る使用のために設計され得る。関連プライマーおよびアンプリコンは本発明の構成要素として含まれ得る。挿入DNAおよびその境界にわたるアンプリコンを用いるPCR分析法は、対象の特許により保護されているトランスジェニックトウモロコシ系統に由来する商業化されたトランスジェニックトウモロコシ種類または系統を検出または識別するために使用され得る。
【0045】
HERCULEX I(TC1507イベント)についての5’フランキング配列の配列は配列番号1として提供される。3’フランキング配列の配列は配列番号2として提供される。(配列番号1および2の)フランキング配列と隣接している(調節配列と共に)cry1F挿入配列は配列番号3として提供される。表1は配列番号3に対する挿入の配置およびフランキング配列を提供する。
【0046】
【表1】

【0047】
これらの挿入イベント、およびさらにその構成要素は、例えば米国特許第7,605,310号明細書および同第7,449,564号明細書(例えば’564特許の図1を参照)にさらに例示される。これらの挿入および境界配列に基づいて、イベント特異的プライマーを生成した、および生成できる。PCR分析により、これらのトウモロコシ系統が、これらのイベント特異的プライマーセットで生成したPCRアンプリコンの分析によって異なるトウモロコシ遺伝子型において識別できることが実証された。したがって、これらおよび他の関連手順は、これらのトウモロコシ系統を独自に識別するために使用できる。
【0048】
本明細書で使用する場合、「系統」は、少なくとも1つの形質について個体間で遺伝的変異をほとんどまたは全く示さない植物の群である。このような系統は、数世代の自家受粉および選択、または組織もしくは細胞培養技術を用いる単一の親からの栄養繁殖により作製され得る。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「品種」および「種類」は同義語であり、商業生産に使用される系統を指す。「安定」または「安定した」とは、所与の構成要素に対して、その構成要素が、好ましくは実質的に同じレベル、例えば好ましくは±15%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%にて、世代間、および少なくとも3世代で維持されることを意味する。安定は、温度、場所、ストレスおよび植え付け期間による影響を受け得る。フィールド条件下での次の世代の比較は、同様の方法における構成要素を産生すべきである。
【0050】
「商業的実用性」は、作物が、従来の耕作装置を用いて農業従事者により産生でき、記載される成分を含む油が、従来の破砕および抽出装置を用いて種子から抽出できるような、良好に生育し、高い生産力を有する植物と定義される。商業的実用性があるためには、種子重、含油率、および1エーカー当たりに産生される総油量により測定されるような収率が、同じ領域において成長する高品質の価値の形質を有さない同等の他の商業的キャノーラの種類の平均収率の15%以内である。
【0051】
「農学的に選択された」とは、対象イベント(複数も可)に起因する虫害抵抗性に加えて、収率、成熟、病害抵抗性などの所望の農学的特徴を有する系統を意味する。
【0052】
当業者は、本開示を考慮して、例えば、(トウモロコシゲノムフランキング配列が挿入配列を満たす場合)「接合配列」または「転移配列」に関連する、および/またはそれらを含むプローブおよび/またはプライマーを含み得る検出キットの好ましい実施形態を認識するだろう。例えば、これは表1に示すような残基を含む配列を含むポリヌクレオチドプローブ、プライマー、またはアンプリコンを含む。一部の好ましいプライマーは、少なくとも約15残基の隣接したフランキング配列および少なくとも約15残基の隣接した挿入配列を含み得る。接合配列の200塩基程度の範囲内の残基が標的とされ得る。この配列を用いて、フランキングまたは挿入領域のいずれかにおける別のプライマーが、本主題発明のイベントの存在を示す検出可能なアンプリコンを産生するために使用されてもよい。一部の好ましい実施形態において、1つのプライマーはフランキング領域に結合し、1つのプライマーは挿入領域に結合し、それらのプライマーは、上記に示すような接合配列(残基2829〜2030および/または9015〜9016)にわたる(および含む)アンプリコンを産生するために使用されてもよい。配列番号1および/または2は、このような接合を例示するために配列番号3と並べられ得る。
【0053】
当業者はまた、プライマーおよびプローブが、様々な標準的ハイブリダイゼーションおよび/またはPCR条件下で、配列番号1、配列番号2、配列番号3、およびそれらの相補体(ここで、そのプライマーまたはプローブは完全には例示した配列に相補的ではない)のセグメントにハイブリダイズするように設計され得ることを認識するだろう。すなわち、ある程度のミスマッチが許容され得る。約20ヌクレオチドプライマーに関して、ミスマッチした塩基がアンプリコンと反対のプライマーの内部または端部にある場合、例えば、典型的に1つまたは2つほどのヌクレオチドは逆鎖と結合する必要はない。種々の適切なハイブリダイゼーション条件は以下に提供する。イノシンなどの合成ヌクレオチド類似体もまた、プローブに使用されてもよい。ペプチド核酸(PNA)プローブ、ならびにDNAおよびRNAプローブもまた、使用されてもよい。重要なことは、このようなプローブおよびプライマーは、本主題発明のイベントの存在に対して診断的である(独自に識別し、区別できる)ことである。
【0054】
導入遺伝子「挿入」または構築物の構成要素は、例えば、米国特許第7,605,310号明細書および同第7,449,564号明細書(例えば’564特許の図1を参照)に開示されている。ポリヌクレオチド配列またはそれらの構成要素のフラグメントは、本発明の方法におけるDNAプライマーまたはプローブとして使用されてもよい。
【0055】
本発明の一部の実施形態において、Cry1FイベントTC1507を含むHERCULEXと指定されたトウモロコシ植物由来の植物および種子などにおける導入遺伝子/ゲノム挿入領域のコピー数を検出するための組成物および方法が提供される。配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらのセグメント、ならびに例示した配列の相補体およびそれらの任意のセグメントにおいて本明細書に提供される少なくとも1つの導入遺伝子/ゲノム挿入領域接合配列を含むDNA配列が提供される。挿入領域接合配列は、ゲノム内に挿入された異種DNAと、挿入部位に隣接するトウモロコシ細胞由来のDNAとの間の接合部にわたる。このような配列は対象イベントに対して診断的である。
【0056】
これらの挿入および境界配列に基づいて、イベント特異的プライマーを生成した。本主題発明のTaqman PCR分析により、トウモロコシイベントTC1507が、これらのイベント特異的プライマーセットで生成したPCRアンプリコンの分析により異なるトウモロコシ系統および表現型において識別され得ることが実証された。これらおよび他の関連処理はこれらのトウモロコシ系統を独自に識別するために使用され得る。
【0057】
一部の実施形態において、導入遺伝子/ゲノム挿入領域の連続する部分/セグメントを含む(または少なくとも一部においてそれらに相補的である)DNA配列は本発明の態様である。導入遺伝子挿入配列の十分な長さのポリヌクレオチドおよび対象トウモロコシ植物の1つまたは複数由来のトウモロコシゲノム配列の十分な長さのポリヌクレオチドを含むDNA配列が含まれる。
【0058】
関連実施形態は、配列番号3のDNA配列の導入遺伝子部分、またはその相補体の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、またはそれ以上の隣接ヌクレオチドを含むDNA配列、ならびに配列番号1および配列番号2、またはそれらの相補体からなる群より選択される同様の長さのフランキングトウモロコシDNA配列に関する。このような配列は、例えばDNA増幅法におけるDNAプライマーとして有用である。本発明の化合物はまた、このようなDNAプライマーおよび相同プライマーによって産生されたアンプリコンを含む。
【0059】
本発明はまた、本明細書に参照されるトウモロコシ植物の少なくとも1つ由来の試料におけるDNAの存在を検出する方法を含む。そのような方法は、(a)本主題発明の核酸増幅反応において使用する場合、プライマーセットを有するDNAを含む試料と、これらのトウモロコシイベントの少なくとも1つ由来のDNAとを接触させることと、(b)本明細書において識別した参照遺伝子を用いてTAQMAN PCR増幅反応を実施することと、(c)その結果を分析することとを含む。
【0060】
なおさらなる実施形態において、本主題発明は、本主題発明のcry1Fイベントを含むトウモロコシ植物を産生する方法を含み、前記方法は、(a)第1の親トウモロコシ系統(前記系統の植物に前記虫害抵抗性形質を与える、本発明の発現カセットを含む)と、第2の親トウモロコシ系統(この虫害抵抗性形質を欠く)とを性的に交雑することによって、複数の子孫植物を産生する工程と、(b)本主題発明の少なくとも1つのアッセイ技術の結果に基づいて子孫植物を選択する工程と、を含む。このような方法は、子孫植物の第2の親トウモロコシ系統への戻し交雑により、前記虫害抵抗性形質を含む、何世代にもわたって同じ特徴を示すトウモロコシ植物を産生するさらなる工程を任意選択に含んでもよい。本発明の別の態様によれば、交雑の子孫の接合性を決定する関連方法が提供される。
【0061】
DNA検出キットは、本明細書に開示される組成物およびDNA検出の分野において周知の方法を用いて開発できる。そのキットは試料中の対象のトウモロコシイベントDNAの識別に有用であり、このDNAを含有するトウモロコシ植物を育種する方法に適用できる。そのキットは、例えば本明細書に開示されているアンプリコン、または対象イベントの導入遺伝子の遺伝要素に含まれるDNAに相同的もしくは相補的であるDNA配列に相同的もしくは相補的であるDNA配列を含む。これらのDNA配列は、DNA増幅反応において使用できるか、またはDNAハイブリダイゼーション法におけるプローブとして使用できる。そのキットはまた、検出方法の実施に必要な試薬および材料を含んでもよい。
【0062】
「プローブ」は、従来の検出可能な標識またはレポーター分子(例えば放射性同位体、リガンド、化学発光剤、または酵素)に結合される単離核酸分子である。このようなプローブは、標的核酸の鎖、本発明の場合においては、トウモロコシ植物由来であるか、イベント由来のDNAを含む試料由来であるかに関わらず、前記トウモロコシイベントのもの由来のゲノムDNAの鎖と相補的である。本発明に係るプローブは、デオキシリボ核酸またはリボ核酸を含むだけでなく、標的DNA配列に特異的に結合するポリアミドおよび他のプローブ物質も含み、その標的DNA配列の存在を検出するために使用できる。
【0063】
「プライマー」は、プライマーと標的DNA鎖との間のハイブリッドを形成するための核酸ハイブリダイゼーションにより相補的標的DNA鎖にアニールされる単離核酸であり、ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼと共に使用できる。本発明のプライマー対とは、標的核酸配列を例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の従来の核酸増幅法により増幅させるためのそれらの使用を指す。
【0064】
プローブおよびプライマー(およびアンプリコン)は概して5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、もしくは500ポリヌクレオチドまたはそれ以上の長さである。そのようなプローブおよびプライマーは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズする。好ましくは、本発明に係るプローブおよびプライマーは、標的配列と同様の完全な配列を有するが、標的配列と異なり、標的配列とハイブリダイズする能力を保持するプローブが従来の方法により設計されてもよい。
【0065】
プローブおよびプライマーを調製および使用する方法は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1-3,ed.Sambrookら,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989に記載されている。PCR−プライマー対は、例えばその目的を意図するコンピュータープログラムを使用することによって既知の配列から誘導できる。
【0066】
本明細書に開示されるフランキングDNAおよび挿入配列に基づくプライマーおよびプローブは、従来の方法によって、例えばそのような配列を再クローニングおよびシークエンシングすることによって、開示された配列を確認(および必要な場合、修正)するために使用できる。
【0067】
本発明の核酸プローブおよびプライマーは、ストリンジェントな条件下で、標的DNA配列とハイブリダイズする。任意の従来の核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅方法は、試料中のトランスジェニックイベント由来のDNAの存在を識別するために使用できる。核酸分子またはそのフラグメントは、特定の条件下で他の核酸分子と特異的にハイブリダイズできる。本明細書で使用する場合、2つの核酸分子は、2つの分子が逆平行、二本鎖核酸構造を形成できる場合、互いに特異的にハイブリダイズできると言われる。核酸分子は、それらが完全な相補性を示す場合、別の核酸分子の「相補体」であると言われる。本明細書で使用する場合、分子は、その分子のうちの一方のヌクレオチド全てが他方のヌクレオチドと相補的である場合、「完全な相補性」を示すと言われる。2つの分子は、それらが、少なくとも従来の「低いストリンジェンシー」条件下で互いにアニールされた状態を保持できるのに十分な安定性で互いにハイブリダイズできる場合、「最低限の相補性」であると言われる。同様に、分子は、それらが、従来の「高いストリンジェンシー」条件下で互いにアニールされた状態を保持できるのに十分な安定性で互いにハイブリダイズできる場合、「相補性」であると言われる。従来のストリンジェンシー条件は、Sambrookら,1989に記載されている。したがって、完全な相補性からの開始は、そのような開始が、二本鎖構造を形成する分子の能力を完全に妨げない限り、許容される。核酸分子に関して、プライマーまたはプローブとして機能するために、それは、利用される特定の溶媒および塩濃度下で安定な二本鎖構造を形成できる配列において十分相補性であることのみを必要とする。
【0068】
本明細書で使用する場合、実質的な相同配列は、高いストリンジェンシー条件下で比較される核酸配列の相補体と特異的にハイブリダイズする核酸配列である。用語「ストリンジェント」条件は、Sambrookら,1989,9.52-9.55に議論されている特異的ハイブリダイゼーション処理によって標的核酸(すなわち、目的とする特定の核酸配列)に対する核酸プローブのハイブリダイゼーションに関すると機能的に定義されている。Sambrookら,1989,9.47-9.52および9.56-9.58もまた参照のこと。したがって、本発明のヌクレオチド配列はDNAフラグメントの相補的伸長を有する二本鎖分子を選択的に形成するそれらの能力のために使用できる。
【0069】
想定される用途に応じて、標的配列に対するプローブの種々の程度の選択性を達成するためのハイブリダイゼーションの種々の条件を使用できる。高選択性を必要とする用途に関して、典型的に、ハイブリッドを形成するために比較的ストリンジェントな条件を利用する。例えば、約50℃〜約70℃の温度にて約0.02M〜約0.15M NaClにより与えられるような、比較的低塩および/または高温条件を選択する。ストリンジェント条件は、例えば、高いストリンジェンシー洗浄バッファー(0.2×SSC、0.1%SDS、65℃)で少なくとも2回、ハイブリダイゼーションフィルターを洗浄することを含んでもよい。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件、例えば約45℃にて6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、その後、50℃にて2.0×SSCの洗浄液が当業者に公知である(6.3.1-6.3.6)。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃にて約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから50℃にて0.2×SSCの高いストリンジェンシーまで選択できる。加えて、洗浄工程における温度は、室温、約22℃の低いストリンジェンシー条件から約65℃の高いストリンジェンシー条件まで増加させてもよい。両方の温度および塩は変化させてもよく、または温度もしくは塩濃度のいずれかは、他方の可変物を変化させながら、一定に保ってもよい。プローブと鋳型または標的鎖との間にミスマッチがある場合、そのような選択条件はほとんど許容されない。ハイブリダイゼーションを介するDNA配列の検出は当業者に周知であり、米国特許出願第4,965,188号明細書および同第5,176,995号明細書の教示が、ハイブリダイゼーション分析法の例である。
【0070】
特定の好ましい実施形態において、本発明の核酸は、高いストリンジェンシー条件下で、相補体およびそのフラグメントを含む、本明細書に例示または教示したプライマー(またはアンプリコンもしくは他の配列)の1つまたは複数と特異的にハイブリダイズする。本発明の一態様において、本発明の核酸分子は、配列番号4〜21、またはその相補体および/もしくはフラグメントに記載されている核酸配列を有する。
【0071】
本発明の別の態様において、本発明のマーカー核酸分子は、そのような核酸配列と80%〜100%または90%〜100%の間の配列同一性を共有する。本発明のさらなる態様において、本発明の核酸分子は、そのような配列と95%〜100%の間の配列同一性を共有する。そのような配列は、例えば、遺伝的交雑の子孫を識別するために、植物育種法において使用できる。標的DNA分子に対するプローブのハイブリダイゼーションは当業者に公知の任意の数の方法により検出でき、それらの方法には、限定されないが、蛍光タグ、放射性タグ、抗体ベースのタグ、および化学発光タグが含まれる。
【0072】
特定の増幅プライマー対を用いる(例えばPCRによる)標的核酸配列の増幅に関して、「ストリンジェント条件」は、プライマー対が、対応する野生型配列(またはその相補体)を有するプライマーが結合する標的核酸配列のみとハイブリダイズでき、好ましくは特有の増幅産物、アンプリコンを産生できる条件である。
【0073】
「(標的配列)に特異的」という用語は、プローブまたはプライマーが、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下のみで、標的配列を含む試料中の標的配列とハイブリダイズすることを示す。
【0074】
本明細書で使用する場合、「増幅DNA」または「アンプリコン」とは、核酸鋳型の一部である標的核酸配列の核酸増幅産物を指す。例えば、性的交雑から生じるトウモロコシ植物が、本発明のトウモロコシ植物由来のトランスジェニックイベントゲノムDNAを含有するかどうかを決定するために、トウモロコシ植物組織試料から抽出したDNAを、挿入した異種DNAの挿入部位に隣接する植物のゲノム内のフランキング配列由来のプライマー、および挿入した異種DNA由来の第2のプライマーを含むプライマー対を用いて核酸増幅法に供して、イベントDNAの存在を診断するアンプリコンを産生することができる。アンプリコンは、一定の長さであり、イベントに診断的でもある配列を有する。アンプリコンは、プライマー対プラス1つのヌクレオチド塩基対を組み合わせた長さ、および/またはプライマー対プラス約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、もしくは500、750、1000、1250、1500、1750、2000、またはそれ以上のヌクレオチド塩基対(プラスマイナス上記の増分のいくらか)を組み合わせた長さの範囲の長さであり得る。あるいは、プライマー対は、挿入ヌクレオチド配列全体を含むアンプリコンを産生するように挿入DNAの両側上のフランキング配列に由来し得る。植物ゲノム配列に由来するプライマー対のメンバーは、挿入DNA配列から一定の距離に位置し得る。この距離は、1ヌクレオチド塩基対から約20000ヌクレオチド塩基対までの範囲であり得る。「アンプリコン」という用語の使用は具体的には、DNA熱増幅反応において形成され得るプライマーダイマーを除外する。
【0075】
核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、当該技術分野において公知の種々の核酸増幅法のいずれかにより達成され得る。種々の増幅法は当該技術分野において公知であり、とりわけ、米国特許第4,683,195号明細書および米国特許第4,683,202号明細書に記載されている。PCR増幅法は22kbまでのゲノムDNAを増幅させるために開発されている。これらの方法およびDNA増幅の技術分野において公知の他の方法は本発明を実施するのに使用され得る。異種の導入遺伝子DNA挿入配列または対象のトウモロコシイベント由来のフランキングゲノム配列は、本明細書に提供される配列に由来するプライマーを用いてイベント由来のそのような配列を増幅させ、続いてPCRアンプリコンまたはクローン化DNAの標準的DNAシークエンシングによって確認(および必要な場合、修正)され得る。
【0076】
これらの方法によって産生されるアンプリコンは複数の技術によって検出できる。アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイドでの染色はDNA増幅を検出する一般的に周知の方法である。別のそのような方法は、隣接するフランキングゲノムDNA配列および挿入DNA配列の両方と重複するDNAオリゴヌクレオチドを設計するジェネティックビット分析(Genetic Bit Analysis)である。オリゴヌクレオチドはマイクロウェルプレートのウェル中で固定される。(挿入配列中の1つのプライマーおよび隣接するフランキングゲノム配列中の1つのプライマーを用いる)目的とする領域のPCR後、一本鎖PCR産物は、固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダイズでき、DNAポリメラーゼおよび予想される次の塩基に特異的な標識ddNTPを用いる単一塩基伸長反応に対する鋳型として機能できる。読み出しは蛍光またはELISAベースであり得る。シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション、および単一塩基伸長の成功に起因する挿入/フランキング配列の存在を示す。
【0077】
本明細書で参照または引用した全ての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度まで、それらの全体が参照によって組み込まれる。
[実施例]
【実施例1】
【0078】
全ゲノムDNAの単離および定量ならびにPCRプライマー増幅。Cry1Fホモ接合体、ヘミ接合体および野生型試料由来のゲノムDNAの単離を、1つのサンプルにつき8個の葉ディスクに穴を開け、Genogrinder2000を用いてそのディスクを微粉に砕くことによって個々の試料から単離した。特注のChargeSwitch(登録商標)gDNA植物キット(Invitrogen,Carlsbad,CA)またはQiagen DNeasy96ウェルキット(Valencia,CA)を用いてDNAを抽出した。PCRの前に、製造業社の指示書を用いてQuant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)Quantification Kit(Invitrogen,Carlsbad,CA)でDNA試料を定量した。
【0079】
オリゴヌクレオチドプライマーならびにFAMおよびブラックホールクエンチャー1(BHQ1)を有する二重標識TaqManプローブを、MWG Biotech(High Point,NC)によって合成した(表1b)。
【0080】
【表2】

【0081】
Cy5およびBHQ2を有する二重標識TaqManプローブをIDT(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)によって合成した。全てのプライマーを200μMまで、およびプローブを100μMまで1×Tris−EDTAに溶解した。プライマーおよび二重標識TaqManプローブの作業ストックを分子グレード水で10倍希釈した。
【0082】
2.5mM〜5.5mMのMgClの濃度を用いて、モノプレックス(mono-plex)反応について表2a、2bおよび2cに従ってPCR反応を設定した。
【0083】
【表3】

【0084】
多重反応についてのPCR反応を表3に従って設定した。Qiagen(Valencia,CA,カタログ番号203203または203205)社製のHotStar Taq DNAポリメラーゼ(HotStar Taq、10×PCRバッファー、および25mM MgCl)およびApplied Biosystems(Foster City,CA,カタログ番号N8080260)社製の10mM dNTPヌクレオチドミックスを使用した。リアルタイムPCR反応を、推奨されているように95℃にて15分の変性、続いて15秒間95℃、1分間60℃の50サイクルで開始するiCycler光学系(BioRad,Hercules,CA)で実施した。各サイクルの終わりに蛍光シグナルを記録した。
【0085】
エンドポイントTaqMan PCRアッセイは表3に従って設定した。ABI GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700(Applied Biosystems,Foster City,CA)を増幅のために使用した。28サイクルであると決定した最適数のサイクルの後、PCR産物を、4% E−Gel(Invitrogen,Carlsbad,CA)または蛍光分光計(Tecan GENios,Mannedorf,Switzerland)のいずれかにより測定した(表4)。
【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
バックグラウンドをわずかに超える蛍光値を有する、リアルタイムPCR閾値を、iCyclerソフトウェア(バージョン3.0a)によって自動的に算出した。閾値サイクル(Ct値)を、規定した閾値を超える蛍光を生成するのに必要とするサイクル数により決定した。PCR効率を投入ゲノムDNAおよびCt値に基づいて推定した。
【0089】
FAMのバックグラウンドに対するシグナル対Cy5の比を算出した。比の絶対値をエクセルで各集団についてプロットした。遺伝子型コールは対照(ホモ接合体、ヘミ接合体および野生型)ならびに分離集団のクラスター分布に基づいた。
【実施例2】
【0090】
トウモロコシ内在性遺伝子についてのPCR効率試験。エンドポイントTaqMan接合性アッセイを開発する際の1つの態様は、参照遺伝子として最も好適な内在性遺伝子の選択であった。本発明者らは、種特異的であり、ゲノム内に低コピー数を有する、好適な参照遺伝子である、インベルターゼを選択した。イベントTC1507におけるトウモロコシCry1Fについての可能性のある参照遺伝子として、数千の可能性のあるものの中から、4種のトウモロコシ内在性遺伝子、アルコールデヒドロゲナーゼ1(adh1)、高移動度群タンパク質a(hmga)、インベルターゼ(ivr)、およびゼイン(zein)を最初に調べた。
【0091】
好適な参照遺伝子を選択するプロセスは、全てのプライマーについてのPCR効率を推定するために、30ngの抽出したCry1Fホモ接合体、ヘミ接合体および野生型トウモロコシゲノムDNA対照(この実施例に記載した単離処理に従って抽出した)を最初にプールすることを含んだ。TC1507および5種の最初に選択した参照遺伝子(ivr、ivr104、adh、hmg、zein)についてのPCRを表2cに従って設定した。次いで32サイクル後のPCR産物を4%E−gelで可視化した。全てのプライマーは予想したサイズのフラグメントに増幅し、4種の参照遺伝子は同様の強度を有するバンドを有した。任意選択の参照遺伝子であるadhについてのアッセイは、他の最初に選択した参照遺伝子アッセイと比べてほとんど産物を産生しなかった。TC1507イベント特異的オリゴのみが、ホモ接合体およびヘミ接合体対照においてアンプリコンを産生し、ホモ接合体試料についてはより明るいバンドを有した。
【0092】
エンドポイントTaqManアッセイについて、導入遺伝子および参照遺伝子反応物の両方を単一反応(多重化した)において増幅させた。両方の遺伝子についての最適なPCR効率を達成しようとして、全てのプライマーを、リアルタイムPCRを使用するホモ接合体試料由来の30ngのゲノムDNA上で様々な濃度のMgClを用いて3連で試験した(表2a、2bおよび2cを参照)。
【0093】
表5は、異なる濃度のMgClにおける30ngのCry1Fホモ接合体ゲノムDNAを用いるivr、adh、ivr104、hmg、zeinおよびTC1507についてのリアルタイムPCRのCt値を提供する。
【0094】
【表6】

【0095】
最初に選択した参照遺伝子zeinおよびTC1507についてのサイクル閾値(Ct)の平均値は、高濃度のMgCl(4mMおよび5.5mM)において同様(約21)であったが、一方、最初に選択した参照遺伝子ivrおよびhmgについての平均値はより高いCt値(約23〜約25)を有した。最初に選択した参照遺伝子adhは26より多いCt値を有し、選択肢としては除外した。5.5mMのMgCl2濃度は、試験した遺伝子全ての増幅反応について最も低いCt値を有したので、後の実験において使用した。
【0096】
最初に選択した参照遺伝子ivr、ivr104、hmgおよびzeinについてのプライマーを、プールしたホモ接合体由来のDNAの1:2連続希釈を用いて、表3に従って、リアルタイムPCRを使用してTC1507で多重化した(3連で実施した)。
【0097】
PCR効率を比較するためにCt値を再度使用した。図2は、TC1507と、調べた異なる参照遺伝子との二重組み合わせを示す。TC1507のCt値により、各希釈間で約1サイクルの相違が実証された。TC1507についてのPCR効率は100%であった。参照遺伝子をほとんどの希釈においてTC1507反応と同様に実施した。
【実施例3】
【0098】
接合性遺伝子型決定についてのエンドポイントTaqManアッセイの試験。 分離TC1507を有する、Cry1F単一スタック集団(Q:07K:PF04DS_ZYGO)を使用して、エンドポイントTaqMan PCRを使用する1種の参照遺伝子(ivr、ivr104、hmgまたはzein)とTC1507との多重化を試験した(表3)。エンドポイントTaqMan PCRの前に、DNAを10ng/μlに正規化した。TaqMan PCR反応を28サイクルで終了し、次いで蛍光分光計で測定した。バックグラウンド1に対するシグナル(SOB1)として、バックグラウンド(HO)に対するFAM(TC1507)、およびバックグラウンド2に対するCy5(参照遺伝子)(SOB2)の蛍光シグナルを算出した。SOB1/SOB2の比をエクセルで散布図としてプロットした。分離集団において、データ点の3つのクラスターが得られるべきであり、カットオフ点を視覚的に決定できる。本明細書に開示した反応条件下でTC1507と多重化したIvr104のみが、明確な遺伝子型コールを作成できることを発見した。他の最初に選択した参照遺伝子反応物(ivr、hmgおよびzein)は、明確な遺伝子型コールを作成するためにホモ接合体とヘミ接合体との間の十分な分離を生じることができなかった。
【実施例4】
【0099】
異なる集団を用いるプロトコルの使用。インベーダーおよびPCRベースの接合性分析(5)は、植物の遺伝的背景により影響を受け得ることは知られている。Herculex IイベントTC1507についてのエンドポイントTaqMan接合性アッセイを、異なる遺伝的バックグラウンド由来の3つの集団を用いて植物の遺伝的バックグラウンドによる影響について試験した。各バックグラウンドは184サンプル(2つの96ウェルプレートのDNA)からなった。3つの集団は:Cry34/35_PoCry1FおよびPoCry1F_NK603二重スタックおよびPoCry1F単一スタックであった。図4aおよび図4bに示すように、Cry34/35_PoCry1FおよびPoCry1Fの両方は、上部にホモ接合体、中間にヘミ接合体および底部に野生型(WT)を有する典型的な3つのクラスターを生じた。これに対して、予想されるように、WT植物は除草剤スプレーで生存しなかったために、PoCry1F_NK603(図4c)は2つのクラスター(ホモ接合体およびヘミ接合体)のみを有した。結果をインベーダーアッセイと比較すると、98.8%のスコアは2つのアッセイ間で同じである。スコアに不一致がある7種の植物において、インベーダーアッセイにおいて6種のホモ接合体は、エンドポイントTaqManを用いて分析した場合、ヘミ接合体になった。1種のヘミ接合体はホモ接合体になった。
【0100】
確実な接合性アッセイは、分離集団において明確に区別される目的とする遺伝子の2つの対立遺伝子を必要とする。この研究に記載するように、異なる参照遺伝子はまた、結果の著しい相違の要因となり得る。さらに、遺伝子型コールは、各々の集団データからのクラスターに基づくはずである。
【0101】
トウモロコシ内在性遺伝子インベルターゼは、トウモロコシにおけるTC1507イベントについての好適な参照遺伝子であると決定した。したがって、確実な遺伝子型を生成できるTC1507イベント特異的接合性分析についての高スループット二重エンドポイントTaqMan PCRを実施例5に従って開発した。
【実施例5】
【0102】
トウモロコシにおけるHerculex(登録商標)IイベントTC1507の接合性を決定するための高スループット二重エンドポイントTaqMan PCRにおけるインベルターゼの使用。典型的に、許容可能な相対蛍光単位(RFU)を用いて導入遺伝子および/または既知のゲノムDNA鋳型における参照配列の両方を増幅させるPCRおよび熱サイクル条件を確立する。導入遺伝子対照より高い0.5〜1単位の蛍光読み取り値で内在性参照遺伝子が増幅しない場合、または導入遺伝子配列が増幅しない場合、プライマー濃度および/または他のパラメーターを変化させることによって最適化を実施できる。
【0103】
鋳型DNA:1つの試料につき8個の葉ディスクをサンプリングし、鋳型DNAを製造業社の指示書に従って調製した(ゲノムDNA抽出キット(DNeasy96ウェルキット,Qiagen,Valencia,CA,カタログ番号69181)または等価物)。(一部の追加材料およびそれらの供給源のさらなる詳細は実施例1に見出され得る。)通常、25μlの反応につき30ngの全ゲノムDNAが最適な結果を得た。
【0104】
試験および対照物質:陰性対照のトウモロコシDNA試料は、Herculex(登録商標)IイベントTC1507を含有しない非トランスジェニックまたはトランスジェニックトウモロコシ葉DNAであった。
【0105】
Herculex(登録商標)IイベントTC1507トウモロコシDNA試料は、ヘミ接合性またはホモ接合性のいずれかであるHerculex(登録商標)IイベントTC1507を含有するトランスジェニックトウモロコシ葉DNA試料であった。均等な割合の陰性対照DNAとホモ接合性Herculex(登録商標)IトウモロコシDNAを合わせることによって得られない場合、ヘミ接合性試料が作製され得る。
【0106】
陽性および陰性対照を表6に例示する。
【0107】
【表7】

【0108】
DNA抽出、精製、および定量のための手順。以下の工程を順序通りに行った。
1つの試料につき8個の葉ディスクに穴を開け、Qiagen回収チューブに移す。各々のサンプリング後、パンチャーを70%アルコールで除菌し、続いて水で迅速にリンスし、次いで水気を拭き取る。製造業社の推奨に従ってDNA抽出バッファーを調製する。製造業社の推奨に従ってDNAを単離する。Quant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)定量キットおよび分光光度計または機器を用いてDNA濃度を測定する。
【0109】
PCR条件。以下の工程を順序通りに行った。
【0110】
DNA鋳型を除いて全ての成分を含有するマスターミックスとして以下の反応混合物を調製する。混合物を調製する場合、正確に必要とするより10%多い反応で十分になるように確保する。
【0111】
以下は、Herculex(登録商標)IイベントTC1507および内在性遺伝子インベルターゼオリゴヌクレオチドを含有する二重反応についての成分であった(全てのDNA試料の濃度を正規化した):
【0112】
【表8】

【0113】
プライマーおよびプローブは以下のように調製し、利用した。
【0114】
【表9】

【0115】
【表10】

【0116】
プライマーストックをアリコートし、20μMの最終作業濃度にHOで1:10に希釈した。
【0117】
【表11】

【0118】
プローブストックをアリコートし、10μMの最終作業濃度にHOで1:10に希釈した。プローブは感光性であり、可能な限り暗所で保存すべきである。各プローブの複数のアリコートは、凍結および解凍サイクルの数を最小化するように作製すべきである。
【0119】
PCRアッセイは適切な対照を用いて設定した。96ウェルプレートを使用する場合、以下のウェルを対照に使用することを推奨する:H11−H12=陰性対照(DNAでない試薬)、A1=Herculex(登録商標)I TC1507トウモロコシゲノムDNAを含有するホモ接合性陽性対照;A2=Herculex(登録対照)IイベントTC1507を含有するヘミ接合性陽性対照;A3=Herculex(登録商標)IイベントTC1507を有さないトウモロコシゲノムDNAを含有する陰性対照、およびA4〜H10=未知の試料。
【0120】
DNAを以下の条件下でGenAmp PCRシステム9700で増幅させた:
【0121】
【表12】

【0122】
サンプルは以下のように解析した。
機器設定:PCR結果を読み取るために推奨される波長は以下の通りである。
【0123】
【表13】

【0124】
Herculex(登録商標)IイベントTC1507ゲノムDNAを含有しない試料は、参照遺伝子PCR産物の蛍光読み取り値を生じるのみである。ヘミ接合性またはホモ接合性Herculex(登録商標)IイベントTC1507ゲノムDNAを含有する試料は、陰性バックグラウンド対照のものより高い少なくとも0.5〜1単位にてFAMプローブについてのRFU読み取り値を生じる。試料が、導入遺伝子または内在性遺伝子の対立遺伝子についてのPCR産物を生じない場合、DNAは、適切な質または量ではない場合がある。その場合、新しいDNA調製または新しい反応を実施すべきである。以下の場合、結果は許容可能である:
既知のヘミ接合性およびホモ接合性対照は、Herculex(登録商標)IイベントTC1507および参照遺伝子インベルターゼについて予想される高い蛍光読み取り値を示す。0.5〜1.0単位の読み取り値は2つの対照の間のSOB1/SOB2比を区別するはずである。
陰性対照は、Herculex(登録商標)IイベントTC1507および参照遺伝子の両方について非常に低い蛍光読み取り値を示さなければならない。
非トランスジェニックDNA対照は、参照遺伝子のみについての蛍光読み取り値を示さなければならない。
【0125】
TaqMan PCRおよび蛍光読み取り値の完了後、表および分布図を生成した(表10、図1)。類似の遺伝子型バックグラウンドの「野生型」(Wt)、「ヘミ接合性」、および「ホモ接合性」対照は陰性および陽性対照として機能し得る。分離集団において、データ点の3つのクラスターは、カットオフ点が可視化により決定できるように得られるべきである。これらのカットオフ点は任意であり、クラスターの間の分離は通常約0.5〜1単位である。しかしながら、データ点はアッセイの変動性に起因して分散できる。以下に示した例に関して、データ点の3つのクラスターが明確に可視化できる。野生型についてのデータ点は0.5未満であり、「ヘミ接合性」試料についてのものは0.5〜1.1の範囲であり、「ホモ接合性」についてのものは1.1超である。
【0126】
表10データ表の例。レポーター1=FAM読み取り値、レポーター2=Cy5読み取り値、SOB1=FAMのバックグラウンドに対するシグナル(535nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)、SOB2=Cy5のバックグラウンドに対するシグナル(670nmにおけるバックグラウンドシグナルの平均に対する試料シグナルの比)、比=SOB1/SOB2(絶対値)、コール=Herculex(登録商標)IイベントTC1507について、野生型(比<0.5)、ヘミ接合性(比>0.5だが<1.1)、およびホモ接合性(比>1.1)試料の解釈。
【0127】
【表14】

【0128】
PCRおよび蛍光読み取りの完了時に、上記のように分布図を生成した。図1を参照のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トウモロコシ(Zea mays)組織におけるTC1507イベントの接合性を決定する方法であって、前記TC1507イベントは、cry1F遺伝子を含む導入遺伝子構築物を含み、前記方法は、蛍光ベースのエンドポイントTaq PCRアッセイを用いて、前記TC1507イベントおよび内在性参照遺伝子を検出することを含み、
前記方法は、
前記トウモロコシ(Zea mays)組織からゲノムDNAの試料を得ること、
前記試料を、
a.イベントフォワードプライマーおよびイベントリバースプライマーであって、前記イベントプライマーのうちの少なくとも1つは、前記導入遺伝子構築物と特異的に結合し、前記プライマーは、前記試料に存在する場合、前記イベントに診断的であるイベントアンプリコンを産生する、イベントフォワードプライマーおよびイベントリバースプライマー
b.前記内在性参照遺伝子から参照アンプリコンを産生する参照フォワードプライマーおよび参照リバースプライマー
c.前記イベントアンプリコンとハイブリダイズする蛍光イベントプローブ
d.前記参照アンプリコンとハイブリダイズする蛍光参照プローブ
と接触させること、
前記イベントアンプリコンにハイブリダイズされる前記蛍光イベントプローブを定量すること、
前記参照アンプリコンにハイブリダイズされる前記蛍光参照プローブを定量すること、
ハイブリダイズされた蛍光イベントプローブの量と、ハイブリダイズされた蛍光参照プローブの量とを比較すること、ならびに
ハイブリダイズされた蛍光イベントプローブおよびハイブリダイズされた蛍光参照プローブの蛍光比を比較することによってTC1507の接合性を決定すること
を含む、方法。
【請求項2】
1つのイベントプライマーはTC1507フランキング配列にハイブリダイズし、1つのイベントプライマーは前記導入遺伝子構築物にハイブリダイズする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TC1507フランキング配列は、配列番号1および配列番号2からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導入遺伝子構築物は、配列番号3の2830〜9015残基である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記参照遺伝子は、内在性トウモロコシ(Zea mays)インベルターゼ遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フランキング配列は、配列番号3の2629〜2829残基である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記フランキング配列は、配列番号3の9016〜9216残基である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
TC1507イベントの別のトウモロコシ系統への遺伝子移入を育種するために使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記別のトウモロコシ系統は、null TC1507トウモロコシ(Zea mays)系統である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イベントアンプリコンは、58塩基対である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記参照遺伝子は、配列番号7、配列番号8、および配列番号9からなる群より選択される配列を含むか、または配列番号7、配列番号8、および配列番号9からなる群より選択される配列にハイブリダイズする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記参照プライマーは、配列番号7および配列番号8を含み、前記参照プローブは、配列番号9を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブは、蛍光色素およびクエンチャーで標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記イベントプローブは、前記イベントプローブの5’末端における前記蛍光色素としてFAMおよび前記イベントプローブの3’末端における前記クエンチャーとしてブラックホールクエンチャー1(BHQ1)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記参照遺伝子は、単一または低コピー数のPCR増幅が可能な保存されたトウモロコシ内在性遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記参照プローブは、前記参照プローブの5’末端においてCy5および前記参照プローブの3’末端においてブラックホールクエンチャー2(BHQ2)で標識される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記参照アンプリコンは、前記プライマーにより増幅した104塩基対フラグメントである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記参照プローブは、配列番号9を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記参照フォワードプライマーは、配列番号7を含み、前記参照リバースプライマーは、配列番号8を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記方法の結果は、プレートリーダーで直接読み取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記試料は、フィールドにおけるトウモロコシ植物から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
a.イベントフォワードプライマーおよびイベントリバースプライマーであって、前記イベントプライマーのうちの少なくとも1つは、前記cry1F導入遺伝子構築物に特異的に結合し、前記プライマーは、前記試料に存在する場合、前記イベントに診断的であるイベントアンプリコンを産生する、イベントフォワードプライマーおよびイベントリバースプライマーと、
b.前記内在性参照遺伝子から参照アンプリコンを産生する参照フォワードプライマーおよび参照リバースプライマーと、
c.前記イベントアンプリコンとハイブリダイズするイベントプローブと、
d.前記参照アンプリコンとハイブリダイズする参照プローブと、
を含む、請求項1の方法を実施するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2013−514780(P2013−514780A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544895(P2012−544895)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061036
【国際公開番号】WO2011/075648
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】