THDプライマーターゲット検出
本発明は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)を利用したターゲット核酸配列の検出に関する。本発明は、PCR反応で使用されるプライマーに標識を導入して、ターゲット及びシグナルが全部増幅されるようにして、複雑なオリゴヌクレオチドの使用無しに、PCR反応を利用してリアルタイムターゲット検出を可能にする。本発明は、従来のリアルタイムPCR方法に係わる問題点及び短所から完璧に自由である。本発明は、標識されたプライマーだけを利用して、成功的にリアルタイムターゲット検出ができるようにする。このような本発明の特徴は、マルチプレックス方式において優れたリアルタイムターゲット検出を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)を利用したターゲット核酸配列の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲット核酸を検出するための大部分の技術は、ターゲット核酸増幅過程を含んでいる。核酸増幅は、分子生物学分野で利用される極めて重要(pivotal)な過程であって、多様な増幅方法が提示された。例えば、Miller,H.I.ら(特許文献1)は、プロモーター/プライマー配列をターゲット一本鎖DNA(ssDNA)にハイブリッド形成させた後、前記配列の多いRNAコピーを転写する過程を含む核酸配列増幅方法を開示している。他の公知の核酸増幅方法は、転写増幅システムを含む(非特許文献1;及びGingeras T.R. et al.,特許文献2)。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(以下、‘PCR’という)として公知された、最もよく利用される核酸増幅方法は、二本鎖DNAの変性、DNA鋳型へのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング及びDNAポリメラーゼによるプライマー伸長の繰り返されたサイクル過程を含む(Mullisら、特許文献3〜5;非特許文献2)。
【0004】
PCR関連技術は、ターゲットDNA配列の増幅だけではなく、生物学と医学の研究分野で科学的応用または方法に広く利用されており、例えば、ターゲット配列の検出、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、ディファレンシャルディスプレイ(Differential Display)PCR(DD−PCR)、公知あるいは未知の遺伝子のPCRを利用したクローニング、cDNA末端の高速増幅(RACE)、任意的プライミングPCR(AP−PCR)、マルチプレックス(multiplex)PCR、SNPゲノムタイピング及びPCR関与ゲノム分析(非特許文献3)がある。
【0005】
一方、現在まで提示された核酸増幅に基づいたターゲット核酸検出方法は、以下の通りである。
【0006】
1.ポストPCR検出方法
典型的にポストPCR方法は、ターゲット核酸配列を分析するために、核酸増幅及び以後の増幅産物の検出を含む。従来のポストPCR検出方法によると、増幅産物を大きさの差によって分離するか(一般に、ゲル電気泳動を利用して行う)、または増幅産物の固定化により分離しなければならない。しかし、分離過程は、持ち込み物による汚染及び低い処理性のような深刻な問題を引き起こす。
【0007】
2.リアルタイム検出方法
ポストPCR方法の問題点を克服するために、リアルタイムで増幅された産物を検出するリアルタイムPCR方法が提示されて、汚染から自由になって、ターゲット核酸配列を定量的に分析することができるようになった。
【0008】
2.1 ハイブリッド形成及び伸長反応を利用した方法
2.1.1 サンライズプライマー方法
この方法は、5’末端にヘアピンループを形成し、蛍光団及びクエンチャーの一対を互いに隣接させ、減少された蛍光を示すサンライズプライマー(Sunrise primer)を利用する。このようなプライマーがPCR産物に取り込まれた場合、テイル部分が二重鎖になって、ヘアピンが解けて蛍光を増加させる(非特許文献4、及び特許文献6)。しかし、サンライズプライマー方法は、プライマーがターゲット核酸配列に相補的な配列及びその5’−末端にヘアピンループを形成できる配列を含むように複雑にデザインしなければならず、このような側面で便宜性が大きく劣る。
【0009】
2.1.2 テイルドプライマー方法(スコーピオンプライマー方法)
この方法は、テイルド(tailed)プライマー(スコーピオンプライマー)及び統合(integrated)シグナリングシステムを利用する。前記プライマーは、鋳型結合領域及びテイルを有して、テイルは、リンカーとターゲット結合領域(region)を含む。ターゲット結合領域は、プライマーの伸長産物で相補的な配列とハイブリッド形成される。その後、ターゲット特異ハイブリダイゼーションイベントは、シグナリングシステムとカップリングされて、ハイブリダイゼーションは、検出可能な変化を引き起こす。テイルドプライマーのリンカーは、プライマー鋳型のテイル領域のポリメラーゼ−媒介連鎖複写を妨害する(非特許文献5、特許文献7)。テイルドプライマーは、アンプリコン−依存的シグナルを発生させるためのリンカーと、プライマー伸長産物とハイブリッド形成されるターゲット結合領域をプライマーに含ませる必要があるため、サンライズプライマー方法と同様に、プライマーのデザイン及び合成に困難がある。
【0010】
2.2 ハイブリッド形成反応を利用した方法
2.2.1 分子ビーコン(Molecular beacon)方法
分子ビーコンは、蛍光及びクエンチング染料を含むが、クエンチング染料が蛍光染料に隣接している場合にのみ、FRET(fluorescence resonance energy transfer)が発生する。分子ビーコンは、ヘアピン構造(溶液中で自由である)を利用してデザインされて、二つの染料を近接させる。分子ビーコンがターゲットとハイブリッド形成される場合、蛍光及びクエンチャー染料は、分離される。FRETは発生せず、蛍光染料は、照射(irradiation)により光を放出する(非特許文献6及び7)。
【0011】
しかし、分子ビーコン方法には幾つかの短所がある。
【0012】
第一に、ヘアピン構造の二つの逆反復(inverted repeat)は、ターゲット核酸に相補的カウンターパートを有しなければならず、これは、ターゲットにおいても逆反復の存在を要求する。
【0013】
第二に、相補的核酸配列を有するヘアピン構造のループ部位のTm及びステム部位のTmは、注意を払って均衡を合わせることが必要であり、これは、非特異的アンフォールディング(unfolding)無しにターゲットが存在する時、ヘアピンプローブの特異的アンフォールディングが可能であるよう分析温度を調節しなければならない。
【0014】
最後に、この方法は、ターゲット核酸配列を増幅するために、追加的にプライマーを必要とする。
【0015】
2.2.2 ハイブリダイゼーションプローブ法
この方法は、四つのオリゴヌクレオチドを利用する:二つのプライマー及び二つのプローブ。ハイブリダイゼーションプローブは単一標識を有して、一つは供与体蛍光団、他の一つは、受容体蛍光団を有する。二つのプローブの配列は、これらがヘッドトゥーテイル配置(head to tail arrangement)でターゲット配列にハイブリッド形成されるように選択されて、二つの染料を互いに近接するようにして、FRETが起こるようにする。プローブの一つにある受容体染料は、エネルギーを転移させて、他の一つは、異なる波長で蛍光を放出させる。蛍光の量は、PCR過程の間に生成されるターゲットDNAの量に正比例する(非特許文献6、8及び9)。
【0016】
しかし、この方法は、マルチプレックス検出に適しておらず、ターゲット核酸配列を増幅するために、追加的にプライマーを必要とする。
【0017】
2.3 ハイブリダイゼーション及びヌクレアーゼ活性を利用した方法
2.3.1 TaqManプローブ法(5’→3’ヌクレアーゼ活性)
TaqManプローブは、PCR産物の内部にハイブリッド形成されるように製作される。PCRの間、即ち、ポリメラーゼがTaqManプローブの取り込まれた鋳型を複製すると、ポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性は、プローブを切断させる。これは、蛍光とクエンチング染料を分離して、FRET(fluorescence resonance energy transfer)は、それ以上起こらない(非特許文献6及び8、並びに特許文献8)。
【0018】
しかし、この方法は、三つのオリゴヌクレオチド(一つの二重標識プローブ及び二つのプライマー)を利用するという側面で限界点を有する。この方法は、プローブのデザイン及び合成、そして反応条件の最適化を複雑にする。
【0019】
2.3.2 標識プライマー方法(3’→5’ヌクレアーゼ活性)
この方法は、プライマーの3’−末端に少なくとも一つのヌクレオチドを人為的にミスマッチさせた標識プライマーを利用する。ハイブリッド形成がなされるに十分な条件下で標識プライマー及び試料がインキュベーションされて、次いで試料は、3’→5’校正活性を有する核酸ポリメラーゼに暴露されて、これにより、標識または標識システムの一部が放出される(特許文献9)。
【0020】
しかし、ミスマッチプライマーは、その3’末端にミスマッチヌクレオチドを含むように複雑にデザインしなければならない。しかも、3’末端が非ターゲット配列とミスマッチされる場合も、ミスマッチプライマーは、3’→5’校正活性を有する核酸ポリメラーゼにより、擬陽性シグナルを生じる可能性が高い。
【0021】
以上のように、今まで開発された従来のターゲット検出方法の大部分は、本質的な欠点を有して、これは、克服することが難しいと考えられる。
【0022】
したがって、技術的、時間的及び費用的に効果的な、ターゲット核酸配列を検出する新規なやり方が要求される。
【0023】
本明細書全体にかけて多数の特許及び文献が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許及び文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第89/06700号パンフレット
【特許文献2】国際公開第88/10315号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,683,195号
【特許文献4】米国特許第4,683,202号
【特許文献5】米国特許第4,800,159号
【特許文献6】米国特許第6,117,635号
【特許文献7】米国特許第6,326,145号
【特許文献8】米国特許第5,210,015号
【特許文献9】米国特許第6,248,526号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Kwoh,D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,86:1173−1177(1989)
【非特許文献2】Saiki et al.,Science 230,1350−1354(1985)
【非特許文献3】McPherson and Moller, PCR. BIOS Scientific Publishers, Springer−Verlag New York Berlin Heidelberg,NY(2000)
【非特許文献4】Nazarenko et al.,Nucleic Acids Research,vol.25 no.12:2516−2521(1997)
【非特許文献5】Whitcomb et al.,Nature Biotechnology,vol.17 AUGUST:804−807(1999)
【非特許文献6】Pareshar D.et al.,Indian J Med Res,124:385−398(2006)
【非特許文献7】Tyagi et al,Nature Biotechnology,vol.14 MARCH:303−308(1996)
【非特許文献8】Indian J Med Res 124:303−308(2006)
【非特許文献9】Bernad et al.,Clin Chem,46:147−148(2000)
【発明の概要】
【0026】
本発明者らは、ターゲット核酸配列の検出に対する従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した。本発明者らは、二重監視機能、即ち、プロービング及びプライミング機能を有する新規な分析−機能的プライマーを考案し、前記プライマーを利用してターゲット核酸配列の検出のための多様なプロトコールを立案した。その結果、本発明者らは、本発明の新規なプロトコールまたは方法が、ターゲット核酸配列の検出、特に、リアルタイム検出において優れた作動性を示し、より強くて速い方式でターゲット核酸配列を検出するシグナルを発生させるということを確認した。
【0027】
本発明者らの鍵となる発見は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたプライマーが5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触する場合、その3’−末端が伸長されて、またその5’−末端部位が切断されることであり、これは、本発明を掌握している基盤である。このような発見に基づいて、PCR反応においてアンプリコンを生成させるためのプライマーに検出可能なシグナルを発生する標識が含まれた場合、リアルタイムPCR反応の間、シグナルが発生されることを見出した。追加的なプローブまたはプライマーの修飾が必要な既存の方法と比較し、ターゲット検出において、本発明は、さらに効率的であることが明かされた。本発明の標識プライマーは、ターゲット核酸配列の効果的な検出のための卓越で且つ柔軟なツール(tool)を提供することができるだけではなく、より簡便でより短縮された、そしてより経済的な方式で、リアルタイムPCRアッセイの開発を可能にする。
【0028】
したがって、本発明の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供することにある。
【0030】
本発明のまた他の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するキットを提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
本発明の基本原理は、図1〜4に要約した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列を検出するアッセイに係わる工程を模式的に示す。図1aは、ターゲット核酸配列を検出する標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図1b】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列を検出するアッセイに係わる工程を模式的に示す。図1bは、ターゲット核酸配列の検出において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図2a】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列の増幅無しにターゲット核酸配列を検出するリアルタイムシグナル増幅アッセイを模式的に示す。図2aは、ターゲット核酸配列を検出する標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図2b】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列の増幅無しにターゲット核酸配列を検出するリアルタイムシグナル増幅アッセイを模式的に示す。図2bは、ターゲット核酸配列の検出において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図3a】本発明のTHDプライマーを利用して実施したリアルタイムPCRの間、ターゲット核酸及びシグナルのリアルタイム増幅を模式的に示す。図3aは、リアルタイムPCR増幅のために標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図3b】本発明のTHDプライマーを利用して実施したリアルタイムPCRの間、ターゲット核酸及びシグナルのリアルタイム増幅を模式的に示す。図3bは、リアルタイムPCR増幅において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図4a】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4aは、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーの利用を示す。
【図4b】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4bは、標識プローブと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図4c】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4cは、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと共に、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図4d】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4dは、内部プライマーと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図5】変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返し無しに、本発明のTHDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、指定時間間隔におけるターゲット核酸配列の検出を示す。1) 鋳型は、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドである。2) THDプライマーは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図6】変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しと共に、THDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、dNTPの多様な濃度におけるリアルタイムシグナル増幅結果を示す。1) 鋳型は、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドである。2) THD プライマーは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図7a】Streptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図7aは、リアルタイムPCR増幅の結果を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プローブは、標準的な構造を有し、二重標識及びその3’−末端にホスフェートを有する。4) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図7b】Streptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図7bは、リアルタイムPCR増幅の結果を示すアガロースゲル写真である。
【図8a】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図8aは、リアルタイムPCR増幅の結果を示す。1) 鋳型は、N.meningitidisのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プローブは、標準的な構造を有し、二重標識及びその3’−末端にホスフェートを有する。4) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図8b】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図8bは、リアルタイムPCR増幅の結果を示すアガロースゲル写真である。
【図9】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniae(SP)、N.gonorrhoeae(NG)またはN.meningitidis(NM)のゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図10】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したNeisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、N.meningitidis(NM)、N.gonorrhoeae(NG)またはS.pneumoniae(SP)のゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図11】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図12】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用した Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、N.meningitidisのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図13】nestedリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniae(SP)、N.gonorrhoeae(NG)またはN.meningitidis(NM)のゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図14】nestedリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図15】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。
【図16】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、標識プローブと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プローブは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図17】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2)、4) 上流プライマー及び逆方向プライマーは、DPO構造を有する。3) 正方向プライマーは、標準的な構造を有する。5) THDは、二重標識を有するTHDプライマーを示す。6) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。
【図18】Neisseria meningitides (NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、内部プライマーと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プライマーは、標準的な構造を有し、標識がない。
【図19】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、THDプライマー及びTaqManプローブを利用した方法を比較して示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プライマーは、標準的な構造を有し、標識がない。4) 内部プローブは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、標識を有するプライマー及び鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用してターゲット核酸配列を検出する新規な方法を提示する。特に、本発明は、リアルタイム方式でターゲット核酸配列を検出する卓越な方法を提案する。
【0034】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)と命名された、標識されたプライマーがターゲット核酸配列にハイブリッド形成されると、前記プライマーは伸長されて、ターゲット核酸配列に対する相補的な配列が合成されて、その後、前記プライマーは切断され、前記プライマーから標識が放出されて、これによりターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。即ち、THDプライマーは、5’−切断反応及び3’−伸長反応過程を経る。
【0035】
本発明者らは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的標識システムを有するTHDプライマーをターゲット核酸配列にハイブリッド形成させた後、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼとインキュベーションさせた場合、標識(標識断片)がTHDプライマーから放出され、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生するということを見出した。
【0036】
また、本発明者らは、THDプライマーの3’−末端における伸長反応が、反応温度変化によるシグナル強度の変化(variation)の程度を抑えることを見出して、これは、THDプライマーの3’−末端の伸長は、シグナルが反応温度の変化による影響をほとんど受けないか、全く影響を受けないようにして、結局、より信頼性があって安定的なシグナル結果が得られるようになる。加えて、本発明の方法において、THDプライマーは、増幅プライマーとして提供できるため、ターゲット核酸配列は、シグナル増幅と共に増幅される。
【0037】
本発明によると、標識されたプライマー及び鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用して、極めて向上された効率性及び信頼度でターゲット核酸配列をリアルタイムで検出することができる。本発明者らが知る限りでは、このような科学的結果及び技術的な戦略は、本発明者らによって最初に提示された。
【0038】
3’−伸長反応は、ターゲット核酸配列とTHDプライマーのハイブリッド形成安定化及び反応温度の変化によるシグナル強度の変化を低く維持するに重要な役割をする。
【0039】
上記のような本発明者らの結果に基づいて、本発明の一般的な方法を下記の通りに提示する:従来方法により標識されたプライマー及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを、ターゲット核酸配列を含んでいる試料と共にインキュベーションさせて、プライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が誘導されてプライマーから標識が放出され、最終的にターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。
【0040】
本発明によると、FRET(fluorescence resonance energy transfer)現象を利用した標識である相互作用的標識が、リアルタイム方式で簡単にターゲット核酸配列を検出できるようにする。
【0041】
また、連続的な二つの工程、即ち、ターゲット核酸配列とプライマーのハイブリッド形成及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼとのインキュベーションの繰り返しは、ターゲット核酸配列に対するシグナルを増幅する。したがって、シグナル増幅は、ターゲット検出の感度を向上させるに非常に寄与する。
【0042】
本発明において、THDプライマー及びターゲットを増幅できるカウンターパートプライマーを一緒に利用する場合、シグナル増幅だけではなく、ターゲット配列増幅が同時に達成されて、同時的(homogeneous)アッセイ方法を成功裏に提供する。
【0043】
本発明の同時的アッセイ方法は、現在まで開発された従来の方法と明白に異なっている。
【0044】
ターゲット検出のために標識プライマーを利用する方法として、サンライズ方法(Nazarenkoら、Nucleic Acids Research, v.25 no.12,2516−2521(1997) 及び米国特許第6,117,635号)及びスコーピオン方法(Whitcombeら、 Nature Biotechnology v.17 AUGUST, 804−807(1999) 、及び米国特許第6,326,145号)が提示された。このような方法は、プライマー伸長によってのみターゲットを示すシグナルを発生して、核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用しない;しかし、本発明の方法において、前記ヌクレアーゼ活性は、シグナル発生に重要な役割をする。このようなシグナル発生メカニズムにおける相違点は、既存の方法において必須的である複雑な構造のプライマーを利用しなくても、本発明によって、より容易にターゲット核酸配列が検出できるようにする。
【0045】
米国特許第6,248,526号では、標識プライマー及び核酸ポリメラーゼを利用したターゲット検出方法を開示している。このような方法は、シグナル発生のために、核酸ポリメラーゼの3’→5’校正活性を利用して標識プライマーの3’−末端部位を切断する。要するに、従来の方法は、本発明の方法とは相異なるヌクレアーゼ活性を利用する。核酸ポリメラーゼの3’→5’校正活性を利用する場合、3’−末端にミスマッチを含むターゲットにハイブリッド形成可能なプライマーをデザインすることは困難である。3’−末端のミスマッチ配列のみを除いて非ターゲット配列にプライマーがハイブリッド形成される場合、ミスマッチ配列は、3’→5’校正活性により切断され、擬陽性シグナルが発生する。しかし、本発明は、ミスマッチ配列を必要とせず、従来の方法における問題点はない。
【0046】
核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用したTaqManプローブ法は、主にターゲット検出のために当業界で利用される(米国特許第5,210,015号)。上記方法は、ターゲットを示すシグナルを発生させるために、標識プローブ及び上流プライマーを必要とする。
【0047】
TaqManプローブ技術は、シグナル発生に対する二つの接近法を提示する:重合依存的切断及び重合独立的切断。重合依存的切断において、上流プライマーの伸長は、必ず核酸ポリメラーゼが標識プローブの5’−末端に接触する前に起こらなければならない。伸長反応に続いて、ポリメラーゼは、標識プローブの5’−末端を徐々に切断する。重合独立的切断において、上流プライマー及び標識プローブは、非常に近接してターゲット核酸にハイブリッド形成されて、これにより、上流プライマーの3’−末端に結合された核酸ポリメラーゼは、標識プローブの5’−末端に接触するようになり、結局、標識が放出される。上述のように、TaqManプローブ技術は、シグナルの発生のために、上流プライマーだけではなく、標識プローブを必要とする。標識プローブは、ターゲット増幅には関与しない。
【0048】
TaqManプローブ技術とは異なって、本発明は、シグナル発生のために、独立的な方式で核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用して、5’→3’ヌクレアーゼ活性は、他の活性(例えば、重合活性)及び他の添加物(例えば、上流プライマー)の助け無しに、その核酸切断反応を起こす。TaqManプローブ技術とは異なり、本発明は、標識をプローブではなく、プライマーに付加している。
【0049】
本発明者らは、ターゲット核酸配列の検出に対する従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した。本発明者らは、二重監視機能、即ち、プロービング及びプライミング機能を有する新規な分析−機能的プライマーを考案し、前記プライマーを利用してターゲット核酸配列の検出のための多様なプロトコールを確立した。その結果、本発明者らは、本発明の新規なプロトコールまたは方法が、ターゲット核酸配列の検出、特に、リアルタイム検出に適した方法であることを示し、より強くて速い方式でターゲット核酸配列を示すシグナルを発生させるということを確認した。
【0050】
本発明者らの鍵となる発見は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたプライマーが5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触する場合、その3’−末端が伸長されて、またその5’−末端部位が切断されることであり、これは、本発明を掌握している基盤である。このような発見に基づいて、PCR反応においてアンプリコンを生成させるためのプライマーに検出可能なシグナルを発生する標識が含まれた場合、リアルタイムPCR反応の間、シグナルが発生することを確認した。追加的なプローブまたはプライマーの修飾が必要な既存の方法に比べ、本発明がターゲット検出においてさらに効率的であることが分かる。本発明の標識プライマーは、ターゲット核酸配列の効果的な検出のための卓越で且つ柔軟なツール(tool)を提供することができるだけではなく、より簡便でより短縮された、そしてより経済的な方式で、リアルタイムPCRアッセイの開発を可能にする。
【0051】
本発明の一様態によると、
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する。
【0052】
本発明によると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されるオリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸配列とのハイブリッド形成に二重監視機能を示す:その一は、相補的な配列の合成であり;その二は、ターゲット核酸配列を示すシグナルの発生である。
【0053】
したがって、前記オリゴヌクレオチドは、‘ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)’と命名されて、本発明の方法は、‘THDプライマーターゲット検出アッセイ’と命名される。
【0054】
本発明によると、まず、ターゲット核酸配列は、THDプライマーとハイブリッド形成される。
【0055】
本明細書で使用される用語‘ターゲット核酸’、‘ターゲット核酸配列’または‘ターゲット配列’は、検出しようとする核酸配列を意味し、ハイブリッド形成、アニーリングまたは増幅条件下でプライマー及びプローブとアニーリングまたはハイブリッド形成される。
【0056】
本明細書で使用された用語‘プライマー’は、オリゴヌクレオチドを意味するもので、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件、即ち、ヌクレオチドとDNAポリメラーゼのような重合剤の存在、そして適した温度とpHの条件で合成の開始点として作用できる。好ましくは、プライマーは、増幅において最大効率を有する一本鎖である。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。本発明で利用されるプライマーは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP、dGMP、dCMP及びdTMP)、修飾ヌクレオチドまたは非−天然ヌクレオチドが含まれる。また、プライマーは、リボヌクレオチドも含むことができる。
【0057】
プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングさせることができるほど十分長くなければならない。プライマーの適した長さは、多数の要素、例えば、温度、応用分野及びプライマーのソース(source)によって決定される。用語‘アニーリング’または‘プライミング’は、鋳型核酸にオリゴデオキシヌクレオチドまたは核酸が並置(apposition)されることを意味し、前記並置は、ポリメラーゼがヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸またはその一部分に相補的な核酸分子を形成するようにする。
【0058】
本明細書で使用される用語‘ハイブリッド形成、ハイブリダイゼーション(hybridization)’は、相補的な一本鎖核酸が二本鎖核酸を形成することを意味する。本明細書で使用された用語‘アニーリング’と‘ハイブリッド形成’に差はなく、本明細書で混用される。
【0059】
本明細書で使用される用語‘THDプライマー’は、ターゲット核酸配列とハイブリッド形成されるプライマーを意味し、これは、ターゲット核酸配列の相補的な配列の生産を誘導して、その5’−末端部位は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断される。
【0060】
本明細書で使用される用語‘正方向プライマー’は、3’→5’方向に配列されたターゲット核酸配列の一つの鎖に相補的なプライマーを意味する。逆方向プライマーは、前記核酸配列の他の一つの鎖に相補的な配列を有する。
【0061】
明細書で使用される用語‘上流プライマー’は、目的の(または関心の)プライマー(a primer of interest)がハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されるプライマーを意味し、目的の(または関心の)プライマーと同一な方向性を有する。
【0062】
明細書で使用される用語‘下流プライマー’は、目的の(または関心の)プライマー(a primer of interest)がハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されるプライマーを意味し、目的の(または関心の)プライマーと同一な方向性を有する。
【0063】
THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む。本明細書で使用される用語‘相補的’は、所定のアニーリング条件または厳格条件(stringent conditions)下でプライマーまたはプローブがターゲット核酸配列に選択的にハイブリッド形成するほど十分相補的なことを意味し、用語‘実質的に相補的(substantially complementary)’及び‘完全に相補的(perfectly complementary)’を包括する意味を有して、好ましくは、完全に相補的なことを意味する。
【0064】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーの5’−末端または5’−末端部位は、ターゲット核酸配列に完全に相補的である。
【0065】
本明細書において、THDプライマーを言及しながら使用された用語‘5’−末端部位’は、THDプライマーの5’−末端からある長さの連続的な配列を含む部位または領域を意味する。好ましくは、THDプライマーの5’−末端部位は、その5’−末端から1〜10ヌクレオチドを含む配列で構成される(より好ましくは、1〜5ヌクレオチド、より好ましくは、1〜3ヌクレオチド)。
【0066】
本発明で利用される、検出可能なシグナルを発生する標識は、当業界に知られたあらゆる標識を含む。標識の大部分は、単一分子または単一原子(atom)標識を含むが、一部標識(例えば、相互作用的標識システム)は、少なくとも二つまたはそれ以上の標識分子または原子を含む。
【0067】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む(より好ましくは、5’−末端からの1〜10ヌクレオチドを含む配列のある位置であり、さらに好ましくは、5’−末端からの1〜5ヌクレオチドを含む配列のある位置、よりさらに好ましくは、その5’−末端からの1〜3ヌクレオチドを含む配列のある位置)。最も好ましくは、THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む。
【0068】
鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性が5’→3’エキソヌクレアーゼ活性である場合、THDプライマーの5’−末端に連結された標識は、エキソヌクレアーゼ活性により切断され得る。鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性が5’→3’エンドヌクレアーゼ活性である場合、THDプライマーの5’−末端から1〜3ヌクレオチド離隔された位置に連結された標識は、エンドヌクレアーゼ活性により切断され得る。
【0069】
少なくとも2種の標識分子を含む相互作用的標識システムを除いて、一つまたはそれ以上の標識(好ましくは、一つの標識)は、THDプライマーの5’−末端部位に連結できる。例えば、供与体分子及び受容体分子の一対を含む相互作用的標識システムを利用する場合、二つの分子間にエネルギーが伝達されると、前記一対のうち、一つがTHDプライマーの5’−末端部位に連結されて、他の一つは、THDプライマーのどのような位置にも連結できる。
【0070】
本発明の好ましい具現例によると、検出可能なシグナルを発生する標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識(例えば、金)である。
【0071】
前記化学的標識は、ビオチンを含む。ストレプトアビジン(またはアビジン)とビオチンの結合特異性は、ターゲット核酸配列を示す間接的なシグナルが発生されるようにする。
【0072】
前記酵素標識は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ルシフェラーゼ、シトクロムP450及びホースラディッシュペルオキシダーゼを含む。前記酵素標識に対する基質を利用することにより、ターゲット核酸配列を示すシグナルを得ることができる。アルカリホスファターゼを利用する場合、BCIP(bromochloroindolylphosphate)、NBT(nitro blue tetrazolium)またはECFが発色反応に対する基質として利用でき、ホースラディッシュペルオキシダーゼを利用する場合、クロロナフトール、アミノエチルカルバゾール、ジアミノベンジジン、D−ルシフェリン、ルシゲニン(ビス−N−メチルアクリジニウムニトレート)、レゾルフィンベンジルエーテル、ルミノール、アンプレックスレッド試薬(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)、HYR(p−フェニレンジアミン−HCl及びピロカテコール)、TMB(3,3,5,5−テトラメチルベンジジン)、ABTS(2,2−アジン−ジ[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート])、o−フェニレンジアミン(OPD)またはナフトール/ピロニンが基質として利用でき;そして、グルコースオキシダーゼを利用する場合、t−NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)またはm−PMS(フェナジンメトスルファート)が基質として利用できる。
【0073】
前記放射能性標識は、C14、I125、P32及びS35を含む。
【0074】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーに連結された標識は、リアルタイムシグナルを提供できる単一標識である。例えば、前記単一標識は、蛍光テルビウムキレート(terbium chelate)である(Nurmi et al, Nucleic Acids Research, 2000, Vol. 28 No.8)。Nurmiらは、前記標識がプローブ−連結された形態では低い水準の蛍光を放出するが、5’→3’核酸切断活性によりプローブ−鋳型二本鎖から解離される場合、蛍光シグナルが増加されることを開示された。したがって、単一標識がTHDプローブに連結された場合も、前記蛍光テルビウムキレートは、本発明でリアルタイムターゲット検出が可能にする。
【0075】
前記相互作用的標識システムは、供与体分子及び受容体分子間にエネルギーが非−放射能的(non−radioacively)に伝達されるシグナル発生システムである。
【0076】
相互作用的標識システムの代表的例として、FRET(fluorescence resonance energy transfer)標識システムは、蛍光レポーター分子(供与体分子)及びクエンチング分子(受容体分子)を含む。FRETでエネルギー供与体は、蛍光性であるが、エネルギー受容体は、蛍光性または非−蛍光性である。
【0077】
相互作用的標識システムの他の形態において、エネルギー供与体は、非−蛍光性、例えば、発色団(chromophore)であり、エネルギー受容体は、蛍光性である。相互作用的標識システムのまた他の形態において、エネルギー供与体は、発光性、例えば、生物発光性、化学発光性または電気化学発光性であり、受容体は、蛍光性である。
【0078】
より好ましくは、ターゲット核酸配列を示すシグナルは、相互作用的標識システムにより発生して、さらに好ましくは、FRET標識システムである。
【0079】
FRET標識を利用する場合、二種の標識(THDプライマー上に位置した蛍光レポーター分子及びクエンチング分子であり、前記クエンチャー分子は、前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置)は、THDプライマー内の一位置(ヌクレアーゼ切断が起こる部位)により分割されており、これにより、鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応でクエンチャー分子からレポーター分子を分離させて、これは、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生されるようにする。
【0080】
本発明の好ましい具現例によると、蛍光レポーター分子は、THDプライマーの5’−末端部位に位置して(より好ましくは、5’−末端)、クエンチャー分子は、蛍光レポーター分子から下流に位置する。択一的に、クエンチャー分子は、THDプライマーの5’−末端部位に位置して(より好ましくは、5’−末端)、蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する。
【0081】
本発明に利用された蛍光分子及びクエンチャー分子は、蛍光物質である。レポーター分子及びクエンチャー分子は、当業界に公知されている如何なるものでも利用でき、その例は、下記の通りである:Cy2TM(506)、YOPROTM−1(509)、YOYOTM−1(509)、Calcein(517)、FITC(518)、FluorXTM(519)、AlexaTM(520)、Rhodamine 110(520)、5−FAM(522)、Oregon GreenTM500(522)、Oregon 25 GreenTM488(524)、RiboGreenTM(525)、Rhodamine GreenTM(527)、Rhodamine 123(529)、Magnesium GreenTM(531)、Calcium GreenTM(533)、TO−PROTM−1(533)、TOTO1(533)、JOE(548)、BODIPY530/550(550)、Dil(565)、BODIPY TMR(568)、BODIPY558/568(568)、BODIPY564/570(570)、Cy3TM(570)、AlexaTM546(570)、TRITC(572)、Magnesium OrangeTM(575)、Phycoerythrin R&B(575)、Rhodamine Phalloidin(575)、Calcium OrangeTM(576)、Pyronin Y(580)、Rhodamine B(580)、TAMRA (582)、Rhodamine RedTM(590)、Cy3.5TM(596)、ROX(608)、Calcium CrimsonTM(615)、AlexaTM594(615)、Texas Red(615)、Nile Red(628)、YO−PROTM−3(631)、YOYOTM−3(631)、Rphycocyanin(642)、C−Phycocyanin(648)、TO−PROTM−3(660)、TOTO3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5TM(670)、Thiadicarbocyanine(671)及びCy5.5(694)。括弧の数字は、ナノメートル単位で表示した最大発光波長である。
【0082】
適したレポーター−クエンチャー対は、下記のようなたくさんの文献に開示されている:Pesceら、editors, FLUORESCENCE SPECTROSCOPY (Marcel Dekker, New York, 1971); Whiteら、FLUORESCENCE ANALYSIS: A PRACTICAL APPROACH (Marcel Dekker, New York, 1970); Berlman, HANDBOOK OF FLUORESCENCE SPECTRA OF AROMATIC MOLECULES, 2nd EDITION (Academic Press, New York, 1971); Griffiths, COLOUR AND CONSTITUTION OF ORGANIC MOLECULES (Academic Press, New York, 1976); Bishop, editor, INDICATORS (Pergamon Press, Oxford, 1972); Haugland, HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS (Molecular Probes, Eugene, 1992); Pringsheim, FLUORESCENCE AND PHOSPHORESCENCE (Interscience Publishers, New York, 1949); Haugland, R. P., HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS, Sixth Edition, Molecular Probes, Eugene, Oreg., 1996; U.S. Pat. Nos. 3,996,345及び4,351,760。
【0083】
本発明において、広範囲波長または特定波長の蛍光をクエンチングできる非−蛍光ブラッククエンチャー分子が利用できるということは、注目すべきことである。
【0084】
THDプライマーに適用されるFRET標識において、レポーターは、FRETの供与体を含み、クエンチャーは、FRETのその他のパートナー(受容体)を含む。例えば、フルオレセイン色素(fluorescein dye)は、レポーター分子として利用されて、ロダミン色素(rhodamine dye)は、クエンチャー分子として利用される。
【0085】
本発明は、ポリメラーゼ活性及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を含む鋳型依存的核酸ポリメラーゼの二つの異なる活性を利用する。本明細書で使用される用語‘5’→3’ヌクレアーゼ活性’は、一般にDNAポリメラーゼに係わる5’→3’エキソヌクレアーゼ活性(これにより、鋳型にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドの5’−末端からヌクレオチドが切断される)、または5’→3’エンドヌクレアーゼ活性(鋳型にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドの5’−末端から一つ以上のヌクレオチドが離隔された位置で切断される)を意味する。
【0086】
ポリメラーゼ活性により触媒された反応は、本明細書で3’−伸長反応と表現される。5’→3’ヌクレアーゼ活性により触媒された反応は、本明細書で5’−切断反応と表現される。
【0087】
5’−切断反応は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー及びプローブ)の5’−末端または5’−末端部位(例えば、5’−末端から一つ以上のヌクレオチド離隔された)における核酸切断反応を意味する。この反応は、プライマー及びプローブの切断を引き起こし、多様な大きさのヌクレオチド切片を生産する。
【0088】
3’−伸長反応は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるプライマー3’−末端における核酸重合反応を意味する。
【0089】
本明細書で使用される表現‘標識の放出’は、標識自体の放出または標識を含むヌクレオチド切片の放出を含む。本発明で利用されるオリゴヌクレオチド(例えば、プリマー及びプローブ)が少なくとも2種の標識を含む場合、表現‘標識の放出’は、少なくとも1種の標識の放出または少なくとも1種の標識を含む少なくとも1種のヌクレオチド切片の放出を意味する。
【0090】
本明細書で使用される表現‘相互作用的標識システムの少なくとも1種の標識の放出’は、相互作用的標識システムを構成する多数の標識のうち、少なくとも1種の標識自体の放出または少なくとも1種の標識を含むヌクレオチド切片の放出を意味する。
【0091】
本発明は、ターゲット核酸配列を検出するための6個の具体的なプロトコールを一般的に含んでいるが、これに限定されるものではない。
【0092】
第一のプロトコールは、THDプライマーのみを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0093】
第二のプロトコールは、THDプライマー及び標識プローブを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0094】
第三のプロトコールは、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0095】
第四のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマーを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0096】
第五のプロトコールは、(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)標識プローブを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0097】
第六のプロトコールは、(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)上流プライマー(または下流プライマー)を利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0098】
全ての検出プロトコールは、以下の通りに、より詳細に説明できる。
【0099】
1.THDプライマーを利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
本発明の最も基本的な過程である第一のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが伸長される場合、それは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0100】
第一のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0101】
図1は、第一のプロトコールの基本的な工程を模式的に示し、図5は、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返し無しに、本発明のTHDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、指定時間間隔におけるターゲット核酸配列の検出を示す。
【0102】
好ましくは、前記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。サイクルの反復は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが切断されるようにして、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルの増幅に寄与する。このようなシグナル増幅は、リアルタイムシグナル増幅と見なされる。
【0103】
好ましくは、第一のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0104】
上記反復する工程を含むこの方法を図2で模式的に示し、図6は、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しと共に、THDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、dNTPの多様な濃度におけるリアルタイムシグナル増幅結果を示す。
【0105】
第一のプロトコールによると、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルは、THDプライマーにおける切断反応によってのみ発生されるか増幅される。
【0106】
工程(b)の前記結果物の変性は、工程(b)で形成された二本鎖二合体が一本鎖核酸になるようにする。変性に対する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、変性は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)により提供される。
【0107】
本発明の好ましい具現例によると、シグナルの検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる。リアルタイム方式における検出は、反復の各サイクルでシグナルを検出するものである。エンド−ポイント方式における検出は、反復の終了時点でシグナルを検出するものである。指定時間間隔方式における検出は、反復の間、指定時間間隔のそれぞれでシグナルを検出するものである。
【0108】
本発明は、ターゲット核酸配列のマルチプレックス検出に非常に適している。
【0109】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0110】
少なくとも二つのTHDプライマーが利用される場合、それらは、分析目的によって多様な組み合わせで標識を含むように製作できる。例えば、THDプライマーの多数が全て同一な標識、全て相異なる標識または部分的に相異なる標識と連結され得る。また、少なくとも二つの部分的にまたは全体的に相異なるかまたは同一な標識が一つのTHDプライマーに連結されることもできる。
【0111】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0112】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。本発明における前増幅された核酸配列の利用は、ターゲット検出に対する感度及び特異性が顕著に向上されるようにする。少量のターゲット核酸配列が適した水準に前増幅された後、本発明により検出することにより、ターゲット検出の感度が大きく向上されるようにする。興味深いことに、前増幅反応に利用されたプライマーの下流配列にハイブリッド形成できるTHDプライマーは、ターゲット検出の特異性を向上させるnested primerとして利用できる。
【0113】
2.THDプライマー及び標識プローブを利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
第二のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブを利用する。標識プローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有して、標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有して、連続的な工程で切断される。
【0114】
標識プローブの3’−末端は、伸長が抑制されるようにブロッキング(blocking)されている。ブロッキングは、非相補的な塩基を利用するか、あるいは最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシル基にビオチンまたはホスフェート基のような化学的部分(moiety)を追加して達成できる。また、ブロッキングは、3’−OH基を除去するか、またはジデオキシヌクレオチドのように、3’−OH基のないヌクレオチドを利用することにより達成できる。
【0115】
本明細書で使用される用語‘プローブ(probe)’は、ターゲット核酸配列に実質的に相補的な部位または部位を含む一本鎖核酸分子を意味する。
【0116】
第二のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブからもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用した第一のプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0117】
標識プローブに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0118】
また、標識プローブは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて、標識が標識プローブから放出される。したがって、第二のプロトコールは、ターゲット核酸配列の存在を示す二つの異なるシグナルを提供する。
【0119】
第二のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマー及び/または標識プローブから5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマー及び/または標識プローブから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。
【0120】
第二のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生し、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0121】
好ましくは、第二のプロトコールは、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。
【0122】
具体的に、第二のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて前記プローブから前記標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0123】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0124】
少なくとも二つのTHDプライマー及び少なくとも二つのプローブが利用される場合、それらは、分析目的によって多様な組み合わせで標識を含むように製作できる。例えば、THDプライマーの多数及び少なくとも二つのプローブが全て同一な標識、全て相異なる標識または部分的に相異なる標識と連結され得る。また、少なくとも二つの部分的にまたは全体的に相異なるかまたは同一な標識が一つのTHDプライマーまたはひとつのプローブに連結されることもできる。
【0125】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0126】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0127】
3.THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
第三のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマー及び上流プライマー(また下流プライマー)が伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマー及び/または上流プライマー(また下流プライマー)で5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0128】
上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する。下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する。
【0129】
第三のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び上流プライマーまたは下流プライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0130】
好ましくは、上記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。サイクルの反復は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが切断されるようにして、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルの増幅に寄与する。
【0131】
具体的に、第三のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び上流プライマーまたは下流プライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0132】
本発明の好ましい具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーは、検出可能なシグナルを発生する標識を有する。上流プライマーまたは下流プライマーに連結された標識は、THDプライマーに連結されたものと共に工程(b)で放出できて、または工程(c)におけるシグナルに関与できる。具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーに連結された標識は、THDプライマーに連結されたものと相異なっている。上流プライマーまたは下流プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0133】
上流プライマーまたは下流プライマーが標識を有する場合、第三のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識された上流プライマー(または標識された下流プライマー)からもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用した第一のプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0134】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記上流プライマー(または下流プライマー)は、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0135】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0136】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0137】
4.THDプライマーを利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第四のプロトコールによると、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらの少なくとも一つのプライマーがターゲット核酸配列にハイブリッド形成されるTHDプライマーである一対のプライマーが伸長される場合、プライマー5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより、二つのプライマーで5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される(図3)。
【0138】
正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーはTHDプライマーである一対のプライマーは、過程が反復的に行われる場合、ターゲット増幅及びシグナル増幅を両方ともすることができる。
【0139】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列と一対のプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0140】
第四のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成された一対のプライマーを利用する。二つのプライマーのうち、少なくとも一つは、THDプライマーである。
【0141】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的な標識プローブを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマーのハイブリッド形成に利用できる。
【0142】
本発明の好ましい具現例によると、二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される一つの標識を有する。二つのプライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。THDプライマーのカウンターパートプライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0143】
工程(b)の前記結果物の変性は、工程(b)で形成された二本鎖二合体が一本鎖核酸になるようにする。変性に対する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、変性は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)により提供される。
【0144】
本発明は、ターゲット核酸配列のマルチプレックス検出に非常に適している。本発明者らが知る限りでは、本発明は、マルチプレックスリアルタイム検出が実現されるようにする唯一の方法である。
【0145】
第四のプロトコールでは、図4aに示したように、THDプライマーの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてのTHDプライマー。
【0146】
図15は、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した図4aにおけるプライマー組み合わせの結果を示す。
【0147】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0148】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0149】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。本発明の方法において、初期物質として前増幅された核酸配列を利用する場合、ターゲット検出における感度及び特異性が大きく改善されるようにnested増幅が誘導される。
【0150】
5.THDプライマー及び標識プローブを利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第五のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマーだけではなく、標識プローブを利用する。標識プローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有して、標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有して、続く工程で切断される。二つのプライマーがターゲット核酸配列とハイブリッド形成されて伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマーで5’−切断反応が起こり、標識が、二つのプライマーのうち、THDプライマーから放出されて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、切断され前記標識プローブに連結された標識が放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される(図4b)。
【0151】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)前記ターゲット核酸配列と一対のプライマー及び追加的な標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止されて、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成される工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記プローブから標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0152】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)のハイブリッド形成に利用できる。
【0153】
本発明の好ましい具現例によると、二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する。二つのプライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。THDプライマーのカウンターパートプライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0154】
第五のプロトコールでは、図4bに示したように、プライマー対及び標識プローブの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0155】
図16は、図4bに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅において、標識プローブと共に、正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0156】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0157】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0158】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0159】
6.THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第六のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成される(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーのうち、少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)上流プライマー(また下流プライマー)が伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマー及び/または上流プライマー(また下流プライマー)で5’−切断反応が起こり、標識が、二つのプライマーのうち、THDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0160】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)前記ターゲット核酸配列と一対のプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)をハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーはTHDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマー及び上流プライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)は、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0161】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)のハイブリッド形成に利用できる。
【0162】
本発明の好ましい具現例によると、前記THDプライマーだけではなく、他のプライマーも検出可能なシグナルを発生させる標識を有する。プライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0163】
第六のプロトコールにおいて、プライマー対及び上流プライマーの多様な組み合わせを、図4cに示したように製作することができる:(A)正方向プライマー及び上流プライマーとしてTHDプライマー;(B)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー、上流プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー;(D)正方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0164】
図17は、図4cに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと共に、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0165】
第六のプロトコールでは、図4dに示したように、プライマー対及び下流プライマーの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0166】
図18は、図4dに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、内部プライマーと、追加的に正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0167】
図4dにおいて、下流プライマーは、内部プライマーとして表現できる。
【0168】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、上流プライマーは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0169】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0170】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0171】
好ましい具現例:THDプライマーを利用したリアルタイムPCRアッセイ
第四〜第六のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである、ターゲット核酸配列を増幅できる一対のプライマーを利用する。したがって、反応の繰り返しは、ターゲット核酸配列の増幅が伴われる。好ましくは、前記増幅は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって行われて、これは、U.S.特許番号4,683,195, 4,683,202及び4,800,159に開示されている。
【0172】
本発明の好ましい具現例によると、本発明は、
(a)ターゲット核酸配列、一対のプライマー及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含むPCR混合物を準備する工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる二つのプライマーを含み、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含み、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これによって前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応により前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする工程と、
(b)前記PCR混合物を利用して前記ターゲット核酸配列を増幅させる工程であって、プライマーアニーリング、プライマー伸長及び変性を少なくとも2回行って、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、ターゲット核酸配列を増幅して、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記レポーター分子または前記クエンチャー分子が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(c)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する発明である。
【0173】
第四のプロトコールで述べたように、リアルタイムPCR反応におけるTHDプライマーの多様な組み合わせが提示できる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてのTHDプライマー。
【0174】
本発明の好ましい具現例によると、PCR混合物は、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、上流プライマー(または下流プライマー)及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含み、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する。
【0175】
本発明の好ましい具現例によると、PCR混合物は、二つのプライマーのうち、少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー及び検出可能なシグナルを発生する標識を有する標識プローブを含み、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成される。
【0176】
本発明の好ましい具現例によると、このプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブからもシグナルが発生するため、プライマー対のみを利用したプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0177】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマーのハイブリッド形成に利用できる。
【0178】
本発明の好ましい具現例によると、工程(c)の前記検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる。
【0179】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0180】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、上流プライマー(または下流プライマー)は、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0181】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0182】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーだけではなく、他のプライマーも検出可能なシグナルを発生する標識を有する。プライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0183】
THDプライマーだけではなく、他のプライマーも標識を有する場合、THDプライマーだけではなく他のプライマーからもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用したプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0184】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0185】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0186】
本発明の好ましい具現例によると、利用されるTHDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0187】
より好ましくは、THDプライマーは、一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する。
【0188】
mDSO構造を有するTHDプライマーは、上流プライマーを利用する第三及び第四のプロトコールに好適である。DPOを有するTHDプライマーは、他のプロトコールに好適である。
【0189】
DSO(dual specificity oligonucleotide)のプライマー形態であるDPO構造は、本発明者らにより最初に提示された(参照WO 2006/095981;Chun et al., Dual priming oligonucleotide system for the multiplex detection of respiratory viruses and SNP genotyping of CYP2C19 gene, Nucleic Acid Research, 35:6e40(2007))。mDSO構造は、DPO構造の新規に修飾された形態であり、これは、本発明者らにより最初に提示された(参照WO 2006/095981)。
【0190】
DSOは、ハイブリッド形成またはアニーリングが分割領域により互いに分離された5’−高Tm特異性部位(または5’−第1ハイブリッド形成部位、5’−第1プライミング部位)及び3’−低Tm特異性部位(または3’−第2ハイブリッド形成部位、3’−第2プライミング部位)により二重的に決定されるようにする新規な概念を具現したもので、非常に驚くべきアニーリング特異性を示す(参照:WO 2006/095981; Kim et al., Direct detection of lamivudine−resistant hepatitis B virus mutants by multiplex PCR using dual−priming oligonucleotide primers, Journal of Virological Methods, 149:76−84(2008); Kim, et. al., Rapid detection and identification of 12 respiratory viruses using a dual priming oligonucleotide system−based multiplex PCR assay, Journal of Virological Methods, doi:10.1016/j.jviromet.2008.11.007(2008); Horii et. al., Use of dual priming oligonucleotide system to detect multiplex sexually transmitted pathogens in clinical specimens, Letters in Applied Microbiology, doi:10.111/j.1472−765X2009.02618x(2009)))。上述のように、DSOは、互いに異なるハイブリッド形成特性を有する二つのプライマー部分(segment)、すなわち、初期の安定したハイブリッド形成を招来する5’−第1プライミング部位;及びターゲット特異性を決定する3’−第2プライミング部位を究極的に有するようになる。
【0191】
mDSO構造は、前記DSO構造が逆転されたものである:ターゲット特異性を決定する5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)及び初期の安定したハイブリッド形成を招来する3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)。
【0192】
本発明の好ましい具現例によると、分割部位に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される。より好ましくは、ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロールまたは5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。
【0193】
好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3ユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4ユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5ユニバーサル塩基を有する連続したヌクレオチドを含む。
【0194】
好ましくは、DPO構造の5’−第1プライミング部位の長さは、3’−第2プライミング部位より長い。5’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記3’−第2プライミング部位は、好ましくは、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有することが好ましい。本発明の好ましい具現例によると、5’−第1プライミング部位は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45℃〜65℃のTmを有する。前記3’−第2プライミング部位は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3℃〜15℃のTmを有する。
【0195】
好ましくは、mDSO構造の3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)の長さは、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)より長い。前記3’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−第2プライミング部位は、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有する。
【0196】
本発明の好ましい具現例によると、前記3’−第1プライミング部位は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45℃〜65℃のTmを有する。前記5’−第2プライミング部位は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3℃〜15℃のTmを有する。
【0197】
本発明の好ましい具現例によると、標識プローブは、下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)のTmは、3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)のTmより低く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)を前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)及び前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記プローブの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0198】
好ましくは、標識プローブのためのmDSO構造の3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)の長さは、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)より長い。前記3’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−第2プライミング部位は、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有する。
【0199】
本発明の好ましい具現例によると、前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45〜65℃のTmを有する。前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3〜15℃のTmを有する。
【0200】
本発明の好ましい具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、前記5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記上流プライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0201】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット増幅に利用されたプライマー(即ち、カウンターパートプライマー)及びTHDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p, q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X, Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、前記5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記プライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0202】
ターゲット核酸を検出するためにプライマーを利用する従来技術は、使用されるプライマーの内在的限界のため、エラーシグナルから十分に自由ではない。しかし、そのような意図的デザインのDPOまたはmDSO構造を含むTHDプライマー、標識プライマー、上流プライマー及び逆方向プライマーは、顕著に向上された特異性でターゲット核酸配列にハイブリッド形成され、エラーシグナル無しにターゲット核酸配列が検出されるようにする。
【0203】
本明細書において、プライマーまたはプローブを言及しながら使用される用語‘標準的な’は、DPOまたはmDSO構造を含まない全てのプライマーまたはプローブを意味する。それらは、本明細書において標準的なプライマーまたは標準的なプローブとして説明される。
【0204】
ターゲット核酸配列とのハイブリッド形成後、鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させて;前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0205】
表現‘鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で’は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの3’−末端における伸長反応及び5’−末端または5’−末端部位における切断反応が誘導されるに十分な条件を意味する。このような条件は、従来核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長のための条件に従うことができる。例えば、条件は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)で確認することができる。実施例から分かるように、条件には、適する時間の間、相対的に高温(例えば、50〜75℃)におけるターゲット核酸配列、THDプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)、dNTPs及びMgCl2のインキュベーションが含まれる。
【0206】
表現‘鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で’は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより、ターゲットを増幅する前記プライマー対(正方向プライマー及び逆方向プライマー)の3’−末端における伸長反応及び5’−末端または5’−末端部位における切断反応が誘導されるに十分な条件を意味する。条件の詳細な説明は、上述と同様である。
【0207】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼであり、これは、多様なバクテリア種から得ることができて、例えば、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus(Tth)、Thermus filiformis、Thermis flavus、Thermococcus literalis、Pyrococcus furiosus (Pfu)、Thermus antranikianii、Thermus caldophilus、Thermus chliarophilus、Thermus flavus、Thermus igniterrae、Thermus lacteus、Thermus oshimai、Thermus ruber、Thermus rubens、Thermus scotoductus、Thermus silvanus、Thermus species Z05、Thermus species sps 17、Thermus thermophilus、Thermotoga maritima、Thermotoga neapolitana及びThermosipho africanusを含む。最も好ましくは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。
【0208】
最終的に、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが検出される。シグナル検出は、反復の各サイクルにおいて、反復の終了時点で、または反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行うことができる。好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルで行って、これは、検出の正確性を向上させる。
【0209】
本発明は、検出及び/または増幅しようとするターゲット核酸配列に対して、特定配列または長さを必要としない。RNAターゲット配列は、cDNAで逆転写されなければならない(Joseph Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001); 及びNoonan, K. F.ら, Nucleic Acids Res. 16:10366 (1988)。特に、本発明で検出及び/または増幅できるターゲット核酸配列は、如何なる核酸分子、例えば、DNA(gDNAまたはcDNA)及びRNA分子も全て含む。ターゲット核酸配列は、如何なる天然(Naturally occurring)の原核細胞核酸、真核細胞(例えば、原生動物と寄生動物、菌類、酵母、高等植物、下等動物、及び哺乳動物と人間を含む高等動物)核酸、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、 Epstein−Barrウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)核酸、またはウイロイド核酸も全て含む。
【0210】
ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて、THDプライマーに連結された標識が放出され、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。シグナルは各標識にとって公知の方法により、検出または測定することができる。例えば、標識が酵素を含む場合、シグナルは、酵素に対する基質を利用して検出される。金属標識として金粒子が利用される場合、シグナルは、硝酸銀を利用したシルバーステイニング方法を利用して検出する。蛍光シグナルは、従来の方法、例えば、蛍光強度測定器を利用して検出するか測定することができる。
【0211】
検出されるシグナルは、標識自体から直接的に得てもよく、連続的な標識関連反応から間接的に得てもよい。また、検出されるシグナルは、放出された標識または残留した標識(切断されたヌクレオチドに含まれていない)(例えば、相互作用する標識システム)から得てもよい。
【0212】
少なくとも二つのターゲット核酸配列が同時に検出されるという点に本発明の格別な利点がある。本発明の好ましい具現例によると、反応において多数のターゲット核酸配列を同時に検出することができる。
【0213】
また、本発明は、ヌクレオチド変異の検出において非常に有用である。本発明で使用される用語‘ヌクレオチド変異(nucleotide variation)’は、連続的DNA断片または配列が類似したDNA断片において、特定位置に存在するDNA配列のヌクレオチド多様性を意味する。そのような連続的DNA断片は、一つの遺伝子または一つの染色体のある他の部位を含む。例えば、本発明の方法により検出できるヌクレオチド変異は、欠失、挿入、置換を含む。ヌクレオチド変異の例は、ヒトゲノムにある多様な変異(例えば、MTHFR(methylenetetrahydrofolate reductase)遺伝子の変異)、薬剤耐性病原体のヌクレオチド変異及び癌発生−関連ヌクレオチドの変異を含む。
【0214】
好ましくは、本発明で検出されるヌクレオチド変異は、塩基置換であり、より好ましくは、SNP(single nucleotide polymorphism)及び点突然変異である。
【0215】
本発明の他の様態によると、本発明は、
(a)(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含むTHDプライマーと、
(b)5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼ(前記THDプライマーが前記ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される)と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する。
【0216】
本発明の好ましい具現例によると、前記キットは、ターゲット増幅のための追加的なプライマー、THDプライマー、上流プライマー、下流プライマー、標識プローブ、またはこれらの組み合わせを追加的に含む。
【0217】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット増幅のための追加的なプライマー、上流プライマー及び/または下流プライマーは、標識を有する。
【0218】
プライマーまたは標識プローブに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0219】
また、標識プローブ及び標識されたプライマーは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断され、標識がそれらから放出されて、ターゲット核酸配列の存在を示す二種の異なるシグナルが提供する。
【0220】
本発明のキットは、上述の本発明の検出方法を実施して構成されるため、その重複する内容は、本明細書の複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0221】
本発明のキットは、バッファー、DNAポリメラーゼ助因子及びデオキシリボヌクレオチド−5−トリホスフェートのようなターゲット増幅PCR反応(例えば、PCR反応)に必要な試薬を選択的に含むことができる。また、選択的に本発明のキットは、多様なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、多様なバッファー及び試薬、及びDNAポリメラーゼ活性を抑制する抗体を含むことができる。
【0222】
また、キットは、陽性対照群及び陰性対照群反応を実施するに必須的な試薬を含むことができる。ある一つの特定反応で使用される試薬の最適量は、本明細書の開示事項を習得した当業者により容易に決定できる。典型的に、本発明のキットは、上記言及された構成成分を含む別途の包装または区分で製作される。
【0223】
本発明の特徴と利点は、下記のように要約できる:
(a)従来のリアルタイムPCR方法は、標識プローブまたはヘアピン構造のように複雑に修飾されたプライマー構造を必要とし、これは、プローブ及びプライマーのデザイン、合成または配列の選択を難しくする。しかし、本発明のTHDプライマーは、追加的な標識プローブまたは複雑に修飾されたプライマー構造無しに、ターゲット増幅だけではなく、シグナル増幅に利用されるため、リアルタイムPCRのためのTHDプライマーのデザイン、合成または配列の選択が相対的に簡単且つ容易である。
(b)プライマーだけではなく、プローブに対しても最適化されたハイブリッド形成条件が従来のリアルタイムPCR反応に必須であるため、従来のリアルタイムPCR方法の最適化は難しい。ヘアピンループを形成するテイルを有するプライマーを利用する従来のリアルタイムPCR方法は、プライマーにおけるヘアピンループ形成及び修飾を考慮して反応条件を最適化する必要がある。しかし、本発明は、従来のリアルタイムPCR方法の最適化に係わる問題点及び短所から完璧に自由である。
(c)実施例7で確認したように、(i)正方向プライマー、逆方向プライマーまたは上流プライマーとしてのTHDプライマーの多様な組み合わせ、または(ii)THDプライマー及びプローブの多様な組み合わせは、ターゲット核酸配列が効果的に検出されるようにする。
(d)従来のリアルタイムPCR方法は、プライマーまたはプローブのデザイン及び最適化が難しいため、マルチプレックスアッセイが適切ではない。それに対し、本発明は、リアルタイムPCRにおいて、追加的なプローブまたは複雑に修飾されたプライマー構造無しに、標識されたプライマーだけを利用するため、マルチプレックス方式で卓越にリアルタイムにターゲット検出をすることが可能である。
(e)従来のリアルタイムPCRプローブと比較し、THDプライマーは伸長されて、伸長されたTHDプライマーは、ターゲット核酸配列に対してより高い結合力を示す。従来のリアルタイムPCRプライマーは、ヘアピン構造のように複雑に修飾された構造を必要とし、これは、ターゲット核酸配列に結合することを妨害する。その反面、THDプライマーは、そのような修飾を必要とせず、THDプライマーがターゲット核酸配列とのよりよい結合効率を有する。この特徴は、本発明によるターゲット検出効率の向上に寄与する。
(f)本発明は、一般にPCR反応に使用するプライマーを利用して、リアルタイムPCR反応を容易に実施することができる。要するに、PCR反応でアンプリコンを生成させるプライマーは、成功的なリアルタイムPCR反応を保障する。したがって、本発明は、リアルタイムPCRアッセイの開発において、時間的−及び費用的−効率性が改善されたと判断される。
(g)上記論議のように、本発明で使用されるDPOまたはmDSO構造を有するプライマー及び/またはプローブは、リアルタイムPCR反応において、結合特異性の向上をもたらし、これにより、プライマー及び/またはプローブの非−ターゲット結合に係わる擬陽性シグナルが除去される。
【実施例】
【0224】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0225】
実施例1:ターゲット核酸検出におけるTHDプライマーの評価
Taq DNAポリメラーゼ反応下で、本発明のTHDプライマーがターゲット核酸配列にアニーリングして、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が実施され、THDプライマー上に位置したクエンチャー分子から蛍光レポーター分子が分離される場合、二重−標識THDプライマーがターゲット核酸配列を検出するに十分なシグナルを発生することができるかどうかを評価した。THDプライマーは、レポーター分子として6−FAM(6−carboxy−fluorescein)を有して、クエンチャー分子としてBHQ−1(Black Hole Quencher 1)を有する。標識の位置は、オリゴヌクレオチド配列に表示した。
【0226】
この評価を実験するために、本発明者らは、Staphylococcus aureus遺伝子をターゲット鋳型として利用して、実験便宜のために、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。ターゲット核酸配列の増幅のない指定時間間隔(predetermined time interval)でシグナルを測定した。
【0227】
ターゲットであるStaphylococcus aureus遺伝子のシグナルの発生及び検出に対する方法及び結果は、本明細書に記載した。
【0228】
本実施例で利用された合成鋳型及び二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
SA−Tem:5’−gccaataaaactaggaggaaatttaaatgttagaatttgaacaaggatttaatcatttagcgactttaaaggtcattggtgtaggtggtggcggtaacaacgccgtaaaccgaatgattgaccacggaatgaataatgttgaatttatcgctatcaacacagacggtcaagctttaaacttatctaaagctgaatctaaa−3’ (SEQ ID NO:1);及び
SA−THD:5’−[6−FAM]CATTCCG[BHQ1−dT]GGTCAATCATTCGGTT−3’ (SEQ ID NO:2)。
【0229】
鋳型2pmole(SEQ ID NO:1), 10mM MgCl2を含有した2×マスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2ユニット、4種のdNTPs(dATPdCTPdGTP及びdTTP)を各200μM及び二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)5pmoleを含有した20μLの最終容量で、二重標識THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を行った;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、55℃または65℃で60秒過程を40回繰り返した。指定時間間隔(predetermined time interval)による各サイクルで発生したシグナルを検出した。
【0230】
図5に示されたように、ターゲット核酸配列の増幅がない場合の反応でも、指定時間間隔にある蛍光シグナルを、モニタリングによりStaphylococcus aureusに対する蛍光シグナルの増加をリアルタイム単位で観察した。また、55℃(No.2)及び65℃(No.4)間のシグナル差は表れなかった。鋳型がない場合、蛍光シグナルの変化がなかった(No.1及び3)。
【0231】
実施例2:ターゲット核酸検出のためのリアルタイムPCR反応条件下におけるTHDプライマーの評価
本発明者らは、リアルタイムPCR反応条件下で、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しをdNTPの多様な濃度に適用させた場合、THDプライマーがターゲット核酸配列を検出するに十分なシグナルを発生することができるかどうかを追加的に確認した。
【0232】
この評価を実験するために、本実施例1で利用されたのと同一な鋳型(SEQ ID NO:1)及び二重−標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)をリアルタイムターゲットシグナル増幅に利用した。
【0233】
多様な濃度のdNTP(最終濃度500μM、200μM、20μM及び0μM)を鋳型2pmole(SEQ ID NO:1)10mM MgCl2を含有した2×マスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2ユニット及び二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)5pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムターゲットシグナル増幅を行った;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、55℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0234】
図6に示されたように、Taq DNAポリメラーゼがないか(No.1)または鋳型がない場合(NO.2)のような陰性対照群反応において、ターゲット核酸配列の蛍光シグナル増幅が表れなかった。このような結果は、ターゲット鋳型とTHDプライマーのハイブリッド形成または一本鎖のTHDプライマーの切断によってはシグナルの増幅が起こらないということを示す。一方、dNTPがない場合(NO.6)だけではなく、dNTPの異なる濃度下で(No.3、4及び5)、ターゲット核酸配列の蛍光シグナルを確認した。20μM dNTPの場合、Ct値が最も低く、シグナルの強度は最も高くて(No.5)、500μM dNTPの場合、Ct値が最も高くて、シグナルの強度が最も低かった(No.3)。
【0235】
したがって、ターゲット核酸配列の増幅無しに、THDプライマーを利用した変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しがターゲット蛍光シグナルを発生させるに十分であり、これにより、リアルタイムシグナル増幅によるターゲット核酸配列の検出が可能になる。
【0236】
実施例3:リアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及びプローブの相違点
プライマー及びプローブの最も大きい相違点は、プローブは、増幅産物に含まれないということである。THDプライマーは、リアルタイムPCR増幅産物に含まれるが、プローブは、リアルタイムPCR条件下で含まれないことを確認するために、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用してStreptococcus pneumoniae遺伝子及びNeisseria meningitidis遺伝子を検出するリアルタイムPCRを実施した。
【0237】
S.pneumoniae遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する場合、本実施例で利用された正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマー及び二重標識プローブの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−Probe:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:5)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0238】
S.pneumoniaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmoleまたは二重標識プローブ(SEQ ID NO:5)10pmole、及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。エチジウムブロマイドで染色した2%アガロースゲルで増幅されたPCR産物を分離した。
【0239】
図7に示されたようにリアルタイムPCRでTHDプライマーは、ターゲットシグナル増幅だけではなく、ターゲット核酸配列の増幅から産物を得ることができるようにして(図7aのNo.3)、増幅されたターゲット核酸配列S.pneumoniaeから出た産物をアガロースゲル上で確認した(図7bのレーン2)。一方、THDプライマーと異なって、二重標識プローブを利用したリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナルも表れなく(図7aのNo.1)、またアガロースゲル上からも如何なる産物も確認することができなかった(図7bのレーン1)。
【0240】
N. meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する場合、本実施例で利用された正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマー及び二重標識プローブの配列は、下記の通りである:
NM−THD2:5’−[6−FAM]TCCACCAATGGCG[BHQ1−dT]ATAGCGGA−3’ (SEQ ID NO:8)
NM−Probe:5’−[6−FAM]TCCACCAATGGCGTATAGCGGA[BHQ1a−Q]−3’ (SEQ ID NO:9)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0241】
S.pneumoniaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:8)10pmoleまたは二重標識プローブ(SEQ ID NO:9)10pmole、及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。エチジウムブロマイドで染色した2%アガロースゲルで増幅されたPCR産物を分離した。
【0242】
ターゲット核酸であるN.meningitidis遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅は、図7と類似した結果を示す。THDプライマーを利用したリアルタイムPCRの結果は、ターゲットシグナルの増幅だけではなく、ターゲット核酸配列の増幅を示して(図8aのNo.3)、N.meningitidis遺伝子のPCR産物をアガロースゲル上で確認した(図8bのレーン2)。一方、二重標識プローブを利用したリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナルも表れなく(図8aのNo.1)、またアガロースゲル上からもターゲット核酸配列の如何なる産物も確認することができなかった(図8bのレーン1)。
【0243】
実施例4:THDプライマーを利用したリアルタイムPCR特異性
S.pneumoniae遺伝子及びN.meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したリアルタイムPCR特異性を確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0244】
A. S.pneumoniaeに対するリアルタイムPCR特異性
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0245】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0246】
ターゲット核酸としてS.pneumoniae遺伝子を利用したリアルタイムPCRでは、蛍光シグナル増幅が発生したが(図9のNo.1)、その反面、N.gonorrhoeae(図9のNo.2)及びN.meningitidis(図9のNo.3)のような非ターゲット核酸配と、陰性対照群(図9のNo.4)のリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナル増幅も観察されなかった。
【0247】
B. N.meningitidisに対するリアルタイムPCR特異性
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
NM−THD1:5’−[6−FAM]CCATAACC[BHQ1−dT]TGAGCAATCCAIIIIICCTGACGTTC−3’ (SEQ ID NO:7)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0248】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:7)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0249】
ターゲット核酸としてN.meningitidis遺伝子を利用したリアルタイムPCRでは、蛍光シグナル増幅が発生したが(図10のNo.1)、その反面、N.gonorrhoeae(図10のNo.2)及びS.pneumoniae(図10のNo.3)のような非ターゲット核酸配列だけではなく、陰性対照群(図10のNo.4)のリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナル増幅も観察されなかった。
【0250】
実施例5:THDプライマーを利用したリアルタイムPCR感度
S.pneumoniae遺伝子及びN.meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したリアルタイムPCR感度を確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0251】
A. S.pneumoniaeに対するリアルタイムPCR感度
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0252】
一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pgまたは0.1pg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0253】
図11に示されたように、10ngから一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、0.1pgまで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−6)。
【0254】
B. N.meningitidisに対するリアルタイムPCR感度
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
NM−THD1:5’−[6−FAM]CCATAACC[BHQ1−dT]TGAGCAATCCAIIIIICCTGACGTTC−3’ (SEQ ID NO:7)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0255】
一連の希釈したN.meningitidisゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pgまたは0.1pg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:7)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0256】
図12に示されたように、10ngから一連の希釈したN.meningitidisゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、0.1pgまで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−6)。
【0257】
実施例6:THDプライマーを利用したnestedリアルタイムPCR
S. pneumoniae 遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したNestedリアルタイムPCRの特異性及び感度を追加的に確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0258】
A.Nested リアルタイムPCRの特異性
本実施例で第1PCRに利用された正方向プライマー及び逆方向プライマーの配列と、NestedリアルタイムPCRに利用された二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
SP−P1:5’−TTGACCACTTCGCTATTTCC−3’ (SEQ ID NO:3)
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT/BHQ1−dT/GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0259】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマー(SEQ ID NO:3)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(ABI9700、ABI)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を30回繰り返した。
【0260】
第1PCR産物2μL、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)5pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)5pmoleを含有した20μLの最終容量でNestedリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0261】
図13に示されたように、ターゲット核酸であるS.pneumoniae(No.1)に対するリアルタイムPCRでは、シグナルが確認されたが、非ターゲット核酸であるN.gonorrhoeae(No.2)及びN.meningitidis(No.3)と鋳型のない陰性対照群(No.4)に対するリアルタイムPCRでは、如何なるシグナルも表れなかった。
【0262】
B.NestedリアルタイムPCRの感度
本実施例で利用された正方向プライマー、逆方向プライマー及び二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
NestedリアルタイムPCRの特異性に対する実施例6Aで利用された、第1PCR用正方向プライマー及び逆方向プライマーの配列、そしてNestedリアルタイムPCR用二重−標識THDプライマーの配列と同一な配列を利用した。
【0263】
一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pg、100fg、10fgまたは1fg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマー(SEQ ID NO:3)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量で第1PCR増幅を行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(ABI9700、ABI)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を30回繰り返した。
【0264】
PCR産物2μl、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)5pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)5pmoleを含有した20μLの最終容量でNestedリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0265】
図14に示されたように、10ngから一連の希釈したターゲット鋳型であるS.pneumoniaeゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、10fgゲノムDNA濃度まで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−7)。
【0266】
実施例7:THDプライマーの多様な組み合わせを利用したリアルタイムPCR
分子ビーコン、サンライズまたはスコーピオンでは、ヘアピンステムのような如何なる構造的修飾無しに、一般的なプライマーを二重監視機能でリアルタイムPCRに利用できるということが、本発明により最初に提示された:第1の機能は、相補的な配列の合成であり、第2の機能は、ターゲットヌクレオチド配列を示すシグナルの発生である。したがって、本発明者らは、リアルタイムPCR増幅にTHDプライマーの多様な組み合わせを適用して、これは、THDプライマーの最も大きい長所の一つである。
【0267】
本実験のために、N.gonorrhoeae遺伝子をターゲット核酸鋳型として利用した。THDプライマーは、DPO構造または二重標識を含む従来の構造を有する。
【0268】
本実施例で利用された二重−標識THDプライマー及びプライマーの配列は、下記の通りである:
NG−P1:5’−CAATGGATCGGTATCACTCGCIIIIICGAGCAAGAAC−3’ (SEQ ID NO:11)
NG−THD1:5’−[6−FAM]CAATGGATCGG[BHQ1−dT]ATCACTCGCIIIIICGAGCAAGAAC−3’(SEQ ID NO:12)
NG−P2:5’−ATTGGCGTGTTTCGCATATTTAAG−3’ (SEQ ID NO:13)
NG−THD2:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG−3’ (SEQ ID NO:14)
NG−Probe:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:15)
NG−P3:5’−TACGCCTGCTACTTTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’ (SEQ ID NO:16)
NG−THD3:5’−[6−FAM]TACGCCTGCTAC[BHQ1−dT]TTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’(SEQ ID NO:17)
【0269】
A.正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、またはこれらの組み合わせ
N.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマーとして二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:12)10pmole、逆方向プライマーとして二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:17)10pmoleまたはこれらの組み合わせ(SEQ ID NO:12及び17)及び正方向プライマーとしてのプライマー(SEQ ID NO:11)10pmoleまたは逆方向プライマーとしてのプライマー(SEQ ID NO:16)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0270】
B.二重標識THDプライマー及び二重標識内部プローブの組み合わせ
二重標識内部プローブの使用を除いて、二重標識THDプライマーの組み合わせ及びリアルタイムPCR反応は、実施例7Aと同一である(5pmole、SEQ ID NO:15)。
【0271】
C.正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー及び逆方向プライマー及び/または上流プライマーの組み合わせ
正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー(5pmole、SEQ ID NO:14)の使用及び上流二重標識THDプライマー(10pmole、SEQ ID NO:12)または上流プライマー(10pmole、SEQ ID NO:11)の使用を除いては、実施例7Aと同様にリアルタイムPCR反応を行った。
【0272】
D.内部非標識プライマー及び二重標識THDプライマーの組み合わせ
リアルタイムPCR反応は、内部プライマーの使用を除いては、実施例7Aに利用されたものと同一である(10pmole、SEQ ID NO:13)。
【0273】
図15〜18に示されたように、リアルタイムシグナル増幅及びターゲット核酸配列増幅は、リアルタイムPCR増幅において、多様なTHDプライマー組み合わせの適用可能性を示す。
【0274】
実施例8:リアルタイムPCRにおいて、TaqManプローブ法とTHDプライマーを用いる方法の比較
シグナリングのメカニズムを調べるために、本発明者は、ターゲット核酸鋳型にN.gonorrhoeae遺伝子を利用して、TaqManリアルタイムPCR法でTHDプライマーを利用した本発明のリアルタイムPCR法を比較した。
【0275】
THDプライマーは、二重標識を含むDPO構造を有する。本実施例で利用された二重標識THDプライマー、TaqManプローブ及びプライマーの配列は、下記の通りである:
NG−P2:5’−ATTGGCGTGTTTCGCATATTTAAG−3’ (SEQ ID NO:13)
NG−Probe:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:15)
NG−P3:5’−TACGCCTGCTACTTTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’ (SEQ ID NO:16)
NG−THD3:5’−[6−FAM]TACGCCTGCTAC[BHQ1−dT]TTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’(SEQ ID NO:17)
【0276】
N.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマーとしてプライマー(SEQ ID NO:11)10pmoleまたは二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:12)10pmole、逆方向プライマーとしてプライマー(SEQ ID NO:16)10pmoleまたは二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:17)、内部プローブ/プライマーとしてTaqManプローブ(SEQ ID NO:15)5pmoleまたは内部プライマー(SEQ ID NO:13)5pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0277】
図19に示されたように、多様なTHDプライマー組み合わせがターゲット核酸配列を増幅させるということが証明された。しかし、一般にTaqManプローブ法(No.4)で要求される二重標識プローブがない場合も、シグナル増幅は、より効率的に発生する(No.2、3、5及び6)。即ち、TaqManプローブ反応と比較し、さらに低いCt値を表すだけではなく、さらに高い強度の蛍光シグナルを示した。したがって、既存のTaqManプローブ法とは異なって、ターゲット核酸配列を増幅するようにデザインされたプライマーだけを利用し、より効率的にターゲットシグナル及びターゲット核酸配列を増幅することが可能である。
【0278】
以上、本発明の望ましい具体例を詳細に記述したが、当業者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具体例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその均等物により定義されると言える。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)を利用したターゲット核酸配列の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲット核酸を検出するための大部分の技術は、ターゲット核酸増幅過程を含んでいる。核酸増幅は、分子生物学分野で利用される極めて重要(pivotal)な過程であって、多様な増幅方法が提示された。例えば、Miller,H.I.ら(特許文献1)は、プロモーター/プライマー配列をターゲット一本鎖DNA(ssDNA)にハイブリッド形成させた後、前記配列の多いRNAコピーを転写する過程を含む核酸配列増幅方法を開示している。他の公知の核酸増幅方法は、転写増幅システムを含む(非特許文献1;及びGingeras T.R. et al.,特許文献2)。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(以下、‘PCR’という)として公知された、最もよく利用される核酸増幅方法は、二本鎖DNAの変性、DNA鋳型へのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング及びDNAポリメラーゼによるプライマー伸長の繰り返されたサイクル過程を含む(Mullisら、特許文献3〜5;非特許文献2)。
【0004】
PCR関連技術は、ターゲットDNA配列の増幅だけではなく、生物学と医学の研究分野で科学的応用または方法に広く利用されており、例えば、ターゲット配列の検出、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、ディファレンシャルディスプレイ(Differential Display)PCR(DD−PCR)、公知あるいは未知の遺伝子のPCRを利用したクローニング、cDNA末端の高速増幅(RACE)、任意的プライミングPCR(AP−PCR)、マルチプレックス(multiplex)PCR、SNPゲノムタイピング及びPCR関与ゲノム分析(非特許文献3)がある。
【0005】
一方、現在まで提示された核酸増幅に基づいたターゲット核酸検出方法は、以下の通りである。
【0006】
1.ポストPCR検出方法
典型的にポストPCR方法は、ターゲット核酸配列を分析するために、核酸増幅及び以後の増幅産物の検出を含む。従来のポストPCR検出方法によると、増幅産物を大きさの差によって分離するか(一般に、ゲル電気泳動を利用して行う)、または増幅産物の固定化により分離しなければならない。しかし、分離過程は、持ち込み物による汚染及び低い処理性のような深刻な問題を引き起こす。
【0007】
2.リアルタイム検出方法
ポストPCR方法の問題点を克服するために、リアルタイムで増幅された産物を検出するリアルタイムPCR方法が提示されて、汚染から自由になって、ターゲット核酸配列を定量的に分析することができるようになった。
【0008】
2.1 ハイブリッド形成及び伸長反応を利用した方法
2.1.1 サンライズプライマー方法
この方法は、5’末端にヘアピンループを形成し、蛍光団及びクエンチャーの一対を互いに隣接させ、減少された蛍光を示すサンライズプライマー(Sunrise primer)を利用する。このようなプライマーがPCR産物に取り込まれた場合、テイル部分が二重鎖になって、ヘアピンが解けて蛍光を増加させる(非特許文献4、及び特許文献6)。しかし、サンライズプライマー方法は、プライマーがターゲット核酸配列に相補的な配列及びその5’−末端にヘアピンループを形成できる配列を含むように複雑にデザインしなければならず、このような側面で便宜性が大きく劣る。
【0009】
2.1.2 テイルドプライマー方法(スコーピオンプライマー方法)
この方法は、テイルド(tailed)プライマー(スコーピオンプライマー)及び統合(integrated)シグナリングシステムを利用する。前記プライマーは、鋳型結合領域及びテイルを有して、テイルは、リンカーとターゲット結合領域(region)を含む。ターゲット結合領域は、プライマーの伸長産物で相補的な配列とハイブリッド形成される。その後、ターゲット特異ハイブリダイゼーションイベントは、シグナリングシステムとカップリングされて、ハイブリダイゼーションは、検出可能な変化を引き起こす。テイルドプライマーのリンカーは、プライマー鋳型のテイル領域のポリメラーゼ−媒介連鎖複写を妨害する(非特許文献5、特許文献7)。テイルドプライマーは、アンプリコン−依存的シグナルを発生させるためのリンカーと、プライマー伸長産物とハイブリッド形成されるターゲット結合領域をプライマーに含ませる必要があるため、サンライズプライマー方法と同様に、プライマーのデザイン及び合成に困難がある。
【0010】
2.2 ハイブリッド形成反応を利用した方法
2.2.1 分子ビーコン(Molecular beacon)方法
分子ビーコンは、蛍光及びクエンチング染料を含むが、クエンチング染料が蛍光染料に隣接している場合にのみ、FRET(fluorescence resonance energy transfer)が発生する。分子ビーコンは、ヘアピン構造(溶液中で自由である)を利用してデザインされて、二つの染料を近接させる。分子ビーコンがターゲットとハイブリッド形成される場合、蛍光及びクエンチャー染料は、分離される。FRETは発生せず、蛍光染料は、照射(irradiation)により光を放出する(非特許文献6及び7)。
【0011】
しかし、分子ビーコン方法には幾つかの短所がある。
【0012】
第一に、ヘアピン構造の二つの逆反復(inverted repeat)は、ターゲット核酸に相補的カウンターパートを有しなければならず、これは、ターゲットにおいても逆反復の存在を要求する。
【0013】
第二に、相補的核酸配列を有するヘアピン構造のループ部位のTm及びステム部位のTmは、注意を払って均衡を合わせることが必要であり、これは、非特異的アンフォールディング(unfolding)無しにターゲットが存在する時、ヘアピンプローブの特異的アンフォールディングが可能であるよう分析温度を調節しなければならない。
【0014】
最後に、この方法は、ターゲット核酸配列を増幅するために、追加的にプライマーを必要とする。
【0015】
2.2.2 ハイブリダイゼーションプローブ法
この方法は、四つのオリゴヌクレオチドを利用する:二つのプライマー及び二つのプローブ。ハイブリダイゼーションプローブは単一標識を有して、一つは供与体蛍光団、他の一つは、受容体蛍光団を有する。二つのプローブの配列は、これらがヘッドトゥーテイル配置(head to tail arrangement)でターゲット配列にハイブリッド形成されるように選択されて、二つの染料を互いに近接するようにして、FRETが起こるようにする。プローブの一つにある受容体染料は、エネルギーを転移させて、他の一つは、異なる波長で蛍光を放出させる。蛍光の量は、PCR過程の間に生成されるターゲットDNAの量に正比例する(非特許文献6、8及び9)。
【0016】
しかし、この方法は、マルチプレックス検出に適しておらず、ターゲット核酸配列を増幅するために、追加的にプライマーを必要とする。
【0017】
2.3 ハイブリダイゼーション及びヌクレアーゼ活性を利用した方法
2.3.1 TaqManプローブ法(5’→3’ヌクレアーゼ活性)
TaqManプローブは、PCR産物の内部にハイブリッド形成されるように製作される。PCRの間、即ち、ポリメラーゼがTaqManプローブの取り込まれた鋳型を複製すると、ポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性は、プローブを切断させる。これは、蛍光とクエンチング染料を分離して、FRET(fluorescence resonance energy transfer)は、それ以上起こらない(非特許文献6及び8、並びに特許文献8)。
【0018】
しかし、この方法は、三つのオリゴヌクレオチド(一つの二重標識プローブ及び二つのプライマー)を利用するという側面で限界点を有する。この方法は、プローブのデザイン及び合成、そして反応条件の最適化を複雑にする。
【0019】
2.3.2 標識プライマー方法(3’→5’ヌクレアーゼ活性)
この方法は、プライマーの3’−末端に少なくとも一つのヌクレオチドを人為的にミスマッチさせた標識プライマーを利用する。ハイブリッド形成がなされるに十分な条件下で標識プライマー及び試料がインキュベーションされて、次いで試料は、3’→5’校正活性を有する核酸ポリメラーゼに暴露されて、これにより、標識または標識システムの一部が放出される(特許文献9)。
【0020】
しかし、ミスマッチプライマーは、その3’末端にミスマッチヌクレオチドを含むように複雑にデザインしなければならない。しかも、3’末端が非ターゲット配列とミスマッチされる場合も、ミスマッチプライマーは、3’→5’校正活性を有する核酸ポリメラーゼにより、擬陽性シグナルを生じる可能性が高い。
【0021】
以上のように、今まで開発された従来のターゲット検出方法の大部分は、本質的な欠点を有して、これは、克服することが難しいと考えられる。
【0022】
したがって、技術的、時間的及び費用的に効果的な、ターゲット核酸配列を検出する新規なやり方が要求される。
【0023】
本明細書全体にかけて多数の特許及び文献が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許及び文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第89/06700号パンフレット
【特許文献2】国際公開第88/10315号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,683,195号
【特許文献4】米国特許第4,683,202号
【特許文献5】米国特許第4,800,159号
【特許文献6】米国特許第6,117,635号
【特許文献7】米国特許第6,326,145号
【特許文献8】米国特許第5,210,015号
【特許文献9】米国特許第6,248,526号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Kwoh,D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,86:1173−1177(1989)
【非特許文献2】Saiki et al.,Science 230,1350−1354(1985)
【非特許文献3】McPherson and Moller, PCR. BIOS Scientific Publishers, Springer−Verlag New York Berlin Heidelberg,NY(2000)
【非特許文献4】Nazarenko et al.,Nucleic Acids Research,vol.25 no.12:2516−2521(1997)
【非特許文献5】Whitcomb et al.,Nature Biotechnology,vol.17 AUGUST:804−807(1999)
【非特許文献6】Pareshar D.et al.,Indian J Med Res,124:385−398(2006)
【非特許文献7】Tyagi et al,Nature Biotechnology,vol.14 MARCH:303−308(1996)
【非特許文献8】Indian J Med Res 124:303−308(2006)
【非特許文献9】Bernad et al.,Clin Chem,46:147−148(2000)
【発明の概要】
【0026】
本発明者らは、ターゲット核酸配列の検出に対する従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した。本発明者らは、二重監視機能、即ち、プロービング及びプライミング機能を有する新規な分析−機能的プライマーを考案し、前記プライマーを利用してターゲット核酸配列の検出のための多様なプロトコールを立案した。その結果、本発明者らは、本発明の新規なプロトコールまたは方法が、ターゲット核酸配列の検出、特に、リアルタイム検出において優れた作動性を示し、より強くて速い方式でターゲット核酸配列を検出するシグナルを発生させるということを確認した。
【0027】
本発明者らの鍵となる発見は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたプライマーが5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触する場合、その3’−末端が伸長されて、またその5’−末端部位が切断されることであり、これは、本発明を掌握している基盤である。このような発見に基づいて、PCR反応においてアンプリコンを生成させるためのプライマーに検出可能なシグナルを発生する標識が含まれた場合、リアルタイムPCR反応の間、シグナルが発生されることを見出した。追加的なプローブまたはプライマーの修飾が必要な既存の方法と比較し、ターゲット検出において、本発明は、さらに効率的であることが明かされた。本発明の標識プライマーは、ターゲット核酸配列の効果的な検出のための卓越で且つ柔軟なツール(tool)を提供することができるだけではなく、より簡便でより短縮された、そしてより経済的な方式で、リアルタイムPCRアッセイの開発を可能にする。
【0028】
したがって、本発明の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供することにある。
【0030】
本発明のまた他の目的は、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、DNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するキットを提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
本発明の基本原理は、図1〜4に要約した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列を検出するアッセイに係わる工程を模式的に示す。図1aは、ターゲット核酸配列を検出する標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図1b】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列を検出するアッセイに係わる工程を模式的に示す。図1bは、ターゲット核酸配列の検出において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図2a】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列の増幅無しにターゲット核酸配列を検出するリアルタイムシグナル増幅アッセイを模式的に示す。図2aは、ターゲット核酸配列を検出する標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図2b】5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用して、ターゲット核酸配列の増幅無しにターゲット核酸配列を検出するリアルタイムシグナル増幅アッセイを模式的に示す。図2bは、ターゲット核酸配列の検出において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図3a】本発明のTHDプライマーを利用して実施したリアルタイムPCRの間、ターゲット核酸及びシグナルのリアルタイム増幅を模式的に示す。図3aは、リアルタイムPCR増幅のために標準的な構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図3b】本発明のTHDプライマーを利用して実施したリアルタイムPCRの間、ターゲット核酸及びシグナルのリアルタイム増幅を模式的に示す。図3bは、リアルタイムPCR増幅において、プライマーアニーリング特異性のために、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するTHDプライマーの利用を示す。
【図4a】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4aは、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーの利用を示す。
【図4b】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4bは、標識プローブと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図4c】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4cは、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと共に、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図4d】リアルタイムPCR増幅において、THDプライマー組み合わせの多様性を模式的に示す。図4dは、内部プライマーと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した例を示す。
【図5】変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返し無しに、本発明のTHDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、指定時間間隔におけるターゲット核酸配列の検出を示す。1) 鋳型は、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドである。2) THDプライマーは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図6】変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しと共に、THDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、dNTPの多様な濃度におけるリアルタイムシグナル増幅結果を示す。1) 鋳型は、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドである。2) THD プライマーは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図7a】Streptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図7aは、リアルタイムPCR増幅の結果を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プローブは、標準的な構造を有し、二重標識及びその3’−末端にホスフェートを有する。4) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図7b】Streptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図7bは、リアルタイムPCR増幅の結果を示すアガロースゲル写真である。
【図8a】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図8aは、リアルタイムPCR増幅の結果を示す。1) 鋳型は、N.meningitidisのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プローブは、標準的な構造を有し、二重標識及びその3’−末端にホスフェートを有する。4) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図8b】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及び標識プローブを比較して示す。図8bは、リアルタイムPCR増幅の結果を示すアガロースゲル写真である。
【図9】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniae(SP)、N.gonorrhoeae(NG)またはN.meningitidis(NM)のゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図10】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したNeisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、N.meningitidis(NM)、N.gonorrhoeae(NG)またはS.pneumoniae(SP)のゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図11】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図12】リアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用した Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、N.meningitidisのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図13】nestedリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR特異性を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniae(SP)、N.gonorrhoeae(NG)またはN.meningitidis(NM)のゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図14】nestedリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用したStreptococcus pneumoniae(SP)遺伝子に対するリアルタイムPCR感度を示す。1) 鋳型は、S.pneumoniaeのゲノムDNAである。2) THDは、標準的な構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、標準的な構造を有し、標識のないプライマーである。
【図15】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。
【図16】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、標識プローブと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プローブは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【図17】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2)、4) 上流プライマー及び逆方向プライマーは、DPO構造を有する。3) 正方向プライマーは、標準的な構造を有する。5) THDは、二重標識を有するTHDプライマーを示す。6) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。
【図18】Neisseria meningitides (NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、内部プライマーと共に、正方向プライマーとしてのTHDプライマー、逆方向プライマーとしてのTHDプライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを組み合わせて利用した結果を示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プライマーは、標準的な構造を有し、標識がない。
【図19】Neisseria meningitides(NM)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、THDプライマー及びTaqManプローブを利用した方法を比較して示す。1) 鋳型は、N.gonorrhoeaeのゲノムDNAである。2) THDは、DPO構造を有し、二重標識を有するTHDプライマーを示す。3) プライマーは、DPO構造を有し、標識のないプライマーを示す。4) 内部プライマーは、標準的な構造を有し、標識がない。4) 内部プローブは、標準的な構造を有し、二重標識を有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、標識を有するプライマー及び鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用してターゲット核酸配列を検出する新規な方法を提示する。特に、本発明は、リアルタイム方式でターゲット核酸配列を検出する卓越な方法を提案する。
【0034】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)と命名された、標識されたプライマーがターゲット核酸配列にハイブリッド形成されると、前記プライマーは伸長されて、ターゲット核酸配列に対する相補的な配列が合成されて、その後、前記プライマーは切断され、前記プライマーから標識が放出されて、これによりターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。即ち、THDプライマーは、5’−切断反応及び3’−伸長反応過程を経る。
【0035】
本発明者らは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的標識システムを有するTHDプライマーをターゲット核酸配列にハイブリッド形成させた後、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼとインキュベーションさせた場合、標識(標識断片)がTHDプライマーから放出され、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生するということを見出した。
【0036】
また、本発明者らは、THDプライマーの3’−末端における伸長反応が、反応温度変化によるシグナル強度の変化(variation)の程度を抑えることを見出して、これは、THDプライマーの3’−末端の伸長は、シグナルが反応温度の変化による影響をほとんど受けないか、全く影響を受けないようにして、結局、より信頼性があって安定的なシグナル結果が得られるようになる。加えて、本発明の方法において、THDプライマーは、増幅プライマーとして提供できるため、ターゲット核酸配列は、シグナル増幅と共に増幅される。
【0037】
本発明によると、標識されたプライマー及び鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用して、極めて向上された効率性及び信頼度でターゲット核酸配列をリアルタイムで検出することができる。本発明者らが知る限りでは、このような科学的結果及び技術的な戦略は、本発明者らによって最初に提示された。
【0038】
3’−伸長反応は、ターゲット核酸配列とTHDプライマーのハイブリッド形成安定化及び反応温度の変化によるシグナル強度の変化を低く維持するに重要な役割をする。
【0039】
上記のような本発明者らの結果に基づいて、本発明の一般的な方法を下記の通りに提示する:従来方法により標識されたプライマー及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを、ターゲット核酸配列を含んでいる試料と共にインキュベーションさせて、プライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が誘導されてプライマーから標識が放出され、最終的にターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。
【0040】
本発明によると、FRET(fluorescence resonance energy transfer)現象を利用した標識である相互作用的標識が、リアルタイム方式で簡単にターゲット核酸配列を検出できるようにする。
【0041】
また、連続的な二つの工程、即ち、ターゲット核酸配列とプライマーのハイブリッド形成及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼとのインキュベーションの繰り返しは、ターゲット核酸配列に対するシグナルを増幅する。したがって、シグナル増幅は、ターゲット検出の感度を向上させるに非常に寄与する。
【0042】
本発明において、THDプライマー及びターゲットを増幅できるカウンターパートプライマーを一緒に利用する場合、シグナル増幅だけではなく、ターゲット配列増幅が同時に達成されて、同時的(homogeneous)アッセイ方法を成功裏に提供する。
【0043】
本発明の同時的アッセイ方法は、現在まで開発された従来の方法と明白に異なっている。
【0044】
ターゲット検出のために標識プライマーを利用する方法として、サンライズ方法(Nazarenkoら、Nucleic Acids Research, v.25 no.12,2516−2521(1997) 及び米国特許第6,117,635号)及びスコーピオン方法(Whitcombeら、 Nature Biotechnology v.17 AUGUST, 804−807(1999) 、及び米国特許第6,326,145号)が提示された。このような方法は、プライマー伸長によってのみターゲットを示すシグナルを発生して、核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用しない;しかし、本発明の方法において、前記ヌクレアーゼ活性は、シグナル発生に重要な役割をする。このようなシグナル発生メカニズムにおける相違点は、既存の方法において必須的である複雑な構造のプライマーを利用しなくても、本発明によって、より容易にターゲット核酸配列が検出できるようにする。
【0045】
米国特許第6,248,526号では、標識プライマー及び核酸ポリメラーゼを利用したターゲット検出方法を開示している。このような方法は、シグナル発生のために、核酸ポリメラーゼの3’→5’校正活性を利用して標識プライマーの3’−末端部位を切断する。要するに、従来の方法は、本発明の方法とは相異なるヌクレアーゼ活性を利用する。核酸ポリメラーゼの3’→5’校正活性を利用する場合、3’−末端にミスマッチを含むターゲットにハイブリッド形成可能なプライマーをデザインすることは困難である。3’−末端のミスマッチ配列のみを除いて非ターゲット配列にプライマーがハイブリッド形成される場合、ミスマッチ配列は、3’→5’校正活性により切断され、擬陽性シグナルが発生する。しかし、本発明は、ミスマッチ配列を必要とせず、従来の方法における問題点はない。
【0046】
核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用したTaqManプローブ法は、主にターゲット検出のために当業界で利用される(米国特許第5,210,015号)。上記方法は、ターゲットを示すシグナルを発生させるために、標識プローブ及び上流プライマーを必要とする。
【0047】
TaqManプローブ技術は、シグナル発生に対する二つの接近法を提示する:重合依存的切断及び重合独立的切断。重合依存的切断において、上流プライマーの伸長は、必ず核酸ポリメラーゼが標識プローブの5’−末端に接触する前に起こらなければならない。伸長反応に続いて、ポリメラーゼは、標識プローブの5’−末端を徐々に切断する。重合独立的切断において、上流プライマー及び標識プローブは、非常に近接してターゲット核酸にハイブリッド形成されて、これにより、上流プライマーの3’−末端に結合された核酸ポリメラーゼは、標識プローブの5’−末端に接触するようになり、結局、標識が放出される。上述のように、TaqManプローブ技術は、シグナルの発生のために、上流プライマーだけではなく、標識プローブを必要とする。標識プローブは、ターゲット増幅には関与しない。
【0048】
TaqManプローブ技術とは異なって、本発明は、シグナル発生のために、独立的な方式で核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用して、5’→3’ヌクレアーゼ活性は、他の活性(例えば、重合活性)及び他の添加物(例えば、上流プライマー)の助け無しに、その核酸切断反応を起こす。TaqManプローブ技術とは異なり、本発明は、標識をプローブではなく、プライマーに付加している。
【0049】
本発明者らは、ターゲット核酸配列の検出に対する従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した。本発明者らは、二重監視機能、即ち、プロービング及びプライミング機能を有する新規な分析−機能的プライマーを考案し、前記プライマーを利用してターゲット核酸配列の検出のための多様なプロトコールを確立した。その結果、本発明者らは、本発明の新規なプロトコールまたは方法が、ターゲット核酸配列の検出、特に、リアルタイム検出に適した方法であることを示し、より強くて速い方式でターゲット核酸配列を示すシグナルを発生させるということを確認した。
【0050】
本発明者らの鍵となる発見は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたプライマーが5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触する場合、その3’−末端が伸長されて、またその5’−末端部位が切断されることであり、これは、本発明を掌握している基盤である。このような発見に基づいて、PCR反応においてアンプリコンを生成させるためのプライマーに検出可能なシグナルを発生する標識が含まれた場合、リアルタイムPCR反応の間、シグナルが発生することを確認した。追加的なプローブまたはプライマーの修飾が必要な既存の方法に比べ、本発明がターゲット検出においてさらに効率的であることが分かる。本発明の標識プライマーは、ターゲット核酸配列の効果的な検出のための卓越で且つ柔軟なツール(tool)を提供することができるだけではなく、より簡便でより短縮された、そしてより経済的な方式で、リアルタイムPCRアッセイの開発を可能にする。
【0051】
本発明の一様態によると、
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法を提供する。
【0052】
本発明によると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されるオリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸配列とのハイブリッド形成に二重監視機能を示す:その一は、相補的な配列の合成であり;その二は、ターゲット核酸配列を示すシグナルの発生である。
【0053】
したがって、前記オリゴヌクレオチドは、‘ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THD primer)’と命名されて、本発明の方法は、‘THDプライマーターゲット検出アッセイ’と命名される。
【0054】
本発明によると、まず、ターゲット核酸配列は、THDプライマーとハイブリッド形成される。
【0055】
本明細書で使用される用語‘ターゲット核酸’、‘ターゲット核酸配列’または‘ターゲット配列’は、検出しようとする核酸配列を意味し、ハイブリッド形成、アニーリングまたは増幅条件下でプライマー及びプローブとアニーリングまたはハイブリッド形成される。
【0056】
本明細書で使用された用語‘プライマー’は、オリゴヌクレオチドを意味するもので、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件、即ち、ヌクレオチドとDNAポリメラーゼのような重合剤の存在、そして適した温度とpHの条件で合成の開始点として作用できる。好ましくは、プライマーは、増幅において最大効率を有する一本鎖である。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。本発明で利用されるプライマーは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP、dGMP、dCMP及びdTMP)、修飾ヌクレオチドまたは非−天然ヌクレオチドが含まれる。また、プライマーは、リボヌクレオチドも含むことができる。
【0057】
プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングさせることができるほど十分長くなければならない。プライマーの適した長さは、多数の要素、例えば、温度、応用分野及びプライマーのソース(source)によって決定される。用語‘アニーリング’または‘プライミング’は、鋳型核酸にオリゴデオキシヌクレオチドまたは核酸が並置(apposition)されることを意味し、前記並置は、ポリメラーゼがヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸またはその一部分に相補的な核酸分子を形成するようにする。
【0058】
本明細書で使用される用語‘ハイブリッド形成、ハイブリダイゼーション(hybridization)’は、相補的な一本鎖核酸が二本鎖核酸を形成することを意味する。本明細書で使用された用語‘アニーリング’と‘ハイブリッド形成’に差はなく、本明細書で混用される。
【0059】
本明細書で使用される用語‘THDプライマー’は、ターゲット核酸配列とハイブリッド形成されるプライマーを意味し、これは、ターゲット核酸配列の相補的な配列の生産を誘導して、その5’−末端部位は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断される。
【0060】
本明細書で使用される用語‘正方向プライマー’は、3’→5’方向に配列されたターゲット核酸配列の一つの鎖に相補的なプライマーを意味する。逆方向プライマーは、前記核酸配列の他の一つの鎖に相補的な配列を有する。
【0061】
明細書で使用される用語‘上流プライマー’は、目的の(または関心の)プライマー(a primer of interest)がハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されるプライマーを意味し、目的の(または関心の)プライマーと同一な方向性を有する。
【0062】
明細書で使用される用語‘下流プライマー’は、目的の(または関心の)プライマー(a primer of interest)がハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されるプライマーを意味し、目的の(または関心の)プライマーと同一な方向性を有する。
【0063】
THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む。本明細書で使用される用語‘相補的’は、所定のアニーリング条件または厳格条件(stringent conditions)下でプライマーまたはプローブがターゲット核酸配列に選択的にハイブリッド形成するほど十分相補的なことを意味し、用語‘実質的に相補的(substantially complementary)’及び‘完全に相補的(perfectly complementary)’を包括する意味を有して、好ましくは、完全に相補的なことを意味する。
【0064】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーの5’−末端または5’−末端部位は、ターゲット核酸配列に完全に相補的である。
【0065】
本明細書において、THDプライマーを言及しながら使用された用語‘5’−末端部位’は、THDプライマーの5’−末端からある長さの連続的な配列を含む部位または領域を意味する。好ましくは、THDプライマーの5’−末端部位は、その5’−末端から1〜10ヌクレオチドを含む配列で構成される(より好ましくは、1〜5ヌクレオチド、より好ましくは、1〜3ヌクレオチド)。
【0066】
本発明で利用される、検出可能なシグナルを発生する標識は、当業界に知られたあらゆる標識を含む。標識の大部分は、単一分子または単一原子(atom)標識を含むが、一部標識(例えば、相互作用的標識システム)は、少なくとも二つまたはそれ以上の標識分子または原子を含む。
【0067】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む(より好ましくは、5’−末端からの1〜10ヌクレオチドを含む配列のある位置であり、さらに好ましくは、5’−末端からの1〜5ヌクレオチドを含む配列のある位置、よりさらに好ましくは、その5’−末端からの1〜3ヌクレオチドを含む配列のある位置)。最も好ましくは、THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む。
【0068】
鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性が5’→3’エキソヌクレアーゼ活性である場合、THDプライマーの5’−末端に連結された標識は、エキソヌクレアーゼ活性により切断され得る。鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性が5’→3’エンドヌクレアーゼ活性である場合、THDプライマーの5’−末端から1〜3ヌクレオチド離隔された位置に連結された標識は、エンドヌクレアーゼ活性により切断され得る。
【0069】
少なくとも2種の標識分子を含む相互作用的標識システムを除いて、一つまたはそれ以上の標識(好ましくは、一つの標識)は、THDプライマーの5’−末端部位に連結できる。例えば、供与体分子及び受容体分子の一対を含む相互作用的標識システムを利用する場合、二つの分子間にエネルギーが伝達されると、前記一対のうち、一つがTHDプライマーの5’−末端部位に連結されて、他の一つは、THDプライマーのどのような位置にも連結できる。
【0070】
本発明の好ましい具現例によると、検出可能なシグナルを発生する標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識(例えば、金)である。
【0071】
前記化学的標識は、ビオチンを含む。ストレプトアビジン(またはアビジン)とビオチンの結合特異性は、ターゲット核酸配列を示す間接的なシグナルが発生されるようにする。
【0072】
前記酵素標識は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ルシフェラーゼ、シトクロムP450及びホースラディッシュペルオキシダーゼを含む。前記酵素標識に対する基質を利用することにより、ターゲット核酸配列を示すシグナルを得ることができる。アルカリホスファターゼを利用する場合、BCIP(bromochloroindolylphosphate)、NBT(nitro blue tetrazolium)またはECFが発色反応に対する基質として利用でき、ホースラディッシュペルオキシダーゼを利用する場合、クロロナフトール、アミノエチルカルバゾール、ジアミノベンジジン、D−ルシフェリン、ルシゲニン(ビス−N−メチルアクリジニウムニトレート)、レゾルフィンベンジルエーテル、ルミノール、アンプレックスレッド試薬(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)、HYR(p−フェニレンジアミン−HCl及びピロカテコール)、TMB(3,3,5,5−テトラメチルベンジジン)、ABTS(2,2−アジン−ジ[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート])、o−フェニレンジアミン(OPD)またはナフトール/ピロニンが基質として利用でき;そして、グルコースオキシダーゼを利用する場合、t−NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)またはm−PMS(フェナジンメトスルファート)が基質として利用できる。
【0073】
前記放射能性標識は、C14、I125、P32及びS35を含む。
【0074】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーに連結された標識は、リアルタイムシグナルを提供できる単一標識である。例えば、前記単一標識は、蛍光テルビウムキレート(terbium chelate)である(Nurmi et al, Nucleic Acids Research, 2000, Vol. 28 No.8)。Nurmiらは、前記標識がプローブ−連結された形態では低い水準の蛍光を放出するが、5’→3’核酸切断活性によりプローブ−鋳型二本鎖から解離される場合、蛍光シグナルが増加されることを開示された。したがって、単一標識がTHDプローブに連結された場合も、前記蛍光テルビウムキレートは、本発明でリアルタイムターゲット検出が可能にする。
【0075】
前記相互作用的標識システムは、供与体分子及び受容体分子間にエネルギーが非−放射能的(non−radioacively)に伝達されるシグナル発生システムである。
【0076】
相互作用的標識システムの代表的例として、FRET(fluorescence resonance energy transfer)標識システムは、蛍光レポーター分子(供与体分子)及びクエンチング分子(受容体分子)を含む。FRETでエネルギー供与体は、蛍光性であるが、エネルギー受容体は、蛍光性または非−蛍光性である。
【0077】
相互作用的標識システムの他の形態において、エネルギー供与体は、非−蛍光性、例えば、発色団(chromophore)であり、エネルギー受容体は、蛍光性である。相互作用的標識システムのまた他の形態において、エネルギー供与体は、発光性、例えば、生物発光性、化学発光性または電気化学発光性であり、受容体は、蛍光性である。
【0078】
より好ましくは、ターゲット核酸配列を示すシグナルは、相互作用的標識システムにより発生して、さらに好ましくは、FRET標識システムである。
【0079】
FRET標識を利用する場合、二種の標識(THDプライマー上に位置した蛍光レポーター分子及びクエンチング分子であり、前記クエンチャー分子は、前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置)は、THDプライマー内の一位置(ヌクレアーゼ切断が起こる部位)により分割されており、これにより、鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応でクエンチャー分子からレポーター分子を分離させて、これは、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生されるようにする。
【0080】
本発明の好ましい具現例によると、蛍光レポーター分子は、THDプライマーの5’−末端部位に位置して(より好ましくは、5’−末端)、クエンチャー分子は、蛍光レポーター分子から下流に位置する。択一的に、クエンチャー分子は、THDプライマーの5’−末端部位に位置して(より好ましくは、5’−末端)、蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する。
【0081】
本発明に利用された蛍光分子及びクエンチャー分子は、蛍光物質である。レポーター分子及びクエンチャー分子は、当業界に公知されている如何なるものでも利用でき、その例は、下記の通りである:Cy2TM(506)、YOPROTM−1(509)、YOYOTM−1(509)、Calcein(517)、FITC(518)、FluorXTM(519)、AlexaTM(520)、Rhodamine 110(520)、5−FAM(522)、Oregon GreenTM500(522)、Oregon 25 GreenTM488(524)、RiboGreenTM(525)、Rhodamine GreenTM(527)、Rhodamine 123(529)、Magnesium GreenTM(531)、Calcium GreenTM(533)、TO−PROTM−1(533)、TOTO1(533)、JOE(548)、BODIPY530/550(550)、Dil(565)、BODIPY TMR(568)、BODIPY558/568(568)、BODIPY564/570(570)、Cy3TM(570)、AlexaTM546(570)、TRITC(572)、Magnesium OrangeTM(575)、Phycoerythrin R&B(575)、Rhodamine Phalloidin(575)、Calcium OrangeTM(576)、Pyronin Y(580)、Rhodamine B(580)、TAMRA (582)、Rhodamine RedTM(590)、Cy3.5TM(596)、ROX(608)、Calcium CrimsonTM(615)、AlexaTM594(615)、Texas Red(615)、Nile Red(628)、YO−PROTM−3(631)、YOYOTM−3(631)、Rphycocyanin(642)、C−Phycocyanin(648)、TO−PROTM−3(660)、TOTO3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5TM(670)、Thiadicarbocyanine(671)及びCy5.5(694)。括弧の数字は、ナノメートル単位で表示した最大発光波長である。
【0082】
適したレポーター−クエンチャー対は、下記のようなたくさんの文献に開示されている:Pesceら、editors, FLUORESCENCE SPECTROSCOPY (Marcel Dekker, New York, 1971); Whiteら、FLUORESCENCE ANALYSIS: A PRACTICAL APPROACH (Marcel Dekker, New York, 1970); Berlman, HANDBOOK OF FLUORESCENCE SPECTRA OF AROMATIC MOLECULES, 2nd EDITION (Academic Press, New York, 1971); Griffiths, COLOUR AND CONSTITUTION OF ORGANIC MOLECULES (Academic Press, New York, 1976); Bishop, editor, INDICATORS (Pergamon Press, Oxford, 1972); Haugland, HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS (Molecular Probes, Eugene, 1992); Pringsheim, FLUORESCENCE AND PHOSPHORESCENCE (Interscience Publishers, New York, 1949); Haugland, R. P., HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS, Sixth Edition, Molecular Probes, Eugene, Oreg., 1996; U.S. Pat. Nos. 3,996,345及び4,351,760。
【0083】
本発明において、広範囲波長または特定波長の蛍光をクエンチングできる非−蛍光ブラッククエンチャー分子が利用できるということは、注目すべきことである。
【0084】
THDプライマーに適用されるFRET標識において、レポーターは、FRETの供与体を含み、クエンチャーは、FRETのその他のパートナー(受容体)を含む。例えば、フルオレセイン色素(fluorescein dye)は、レポーター分子として利用されて、ロダミン色素(rhodamine dye)は、クエンチャー分子として利用される。
【0085】
本発明は、ポリメラーゼ活性及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を含む鋳型依存的核酸ポリメラーゼの二つの異なる活性を利用する。本明細書で使用される用語‘5’→3’ヌクレアーゼ活性’は、一般にDNAポリメラーゼに係わる5’→3’エキソヌクレアーゼ活性(これにより、鋳型にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドの5’−末端からヌクレオチドが切断される)、または5’→3’エンドヌクレアーゼ活性(鋳型にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドの5’−末端から一つ以上のヌクレオチドが離隔された位置で切断される)を意味する。
【0086】
ポリメラーゼ活性により触媒された反応は、本明細書で3’−伸長反応と表現される。5’→3’ヌクレアーゼ活性により触媒された反応は、本明細書で5’−切断反応と表現される。
【0087】
5’−切断反応は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー及びプローブ)の5’−末端または5’−末端部位(例えば、5’−末端から一つ以上のヌクレオチド離隔された)における核酸切断反応を意味する。この反応は、プライマー及びプローブの切断を引き起こし、多様な大きさのヌクレオチド切片を生産する。
【0088】
3’−伸長反応は、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによるプライマー3’−末端における核酸重合反応を意味する。
【0089】
本明細書で使用される表現‘標識の放出’は、標識自体の放出または標識を含むヌクレオチド切片の放出を含む。本発明で利用されるオリゴヌクレオチド(例えば、プリマー及びプローブ)が少なくとも2種の標識を含む場合、表現‘標識の放出’は、少なくとも1種の標識の放出または少なくとも1種の標識を含む少なくとも1種のヌクレオチド切片の放出を意味する。
【0090】
本明細書で使用される表現‘相互作用的標識システムの少なくとも1種の標識の放出’は、相互作用的標識システムを構成する多数の標識のうち、少なくとも1種の標識自体の放出または少なくとも1種の標識を含むヌクレオチド切片の放出を意味する。
【0091】
本発明は、ターゲット核酸配列を検出するための6個の具体的なプロトコールを一般的に含んでいるが、これに限定されるものではない。
【0092】
第一のプロトコールは、THDプライマーのみを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0093】
第二のプロトコールは、THDプライマー及び標識プローブを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0094】
第三のプロトコールは、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0095】
第四のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマーを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0096】
第五のプロトコールは、(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)標識プローブを利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0097】
第六のプロトコールは、(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)上流プライマー(または下流プライマー)を利用してターゲット核酸配列を検出する。
【0098】
全ての検出プロトコールは、以下の通りに、より詳細に説明できる。
【0099】
1.THDプライマーを利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
本発明の最も基本的な過程である第一のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが伸長される場合、それは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0100】
第一のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0101】
図1は、第一のプロトコールの基本的な工程を模式的に示し、図5は、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返し無しに、本発明のTHDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、指定時間間隔におけるターゲット核酸配列の検出を示す。
【0102】
好ましくは、前記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。サイクルの反復は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが切断されるようにして、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルの増幅に寄与する。このようなシグナル増幅は、リアルタイムシグナル増幅と見なされる。
【0103】
好ましくは、第一のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0104】
上記反復する工程を含むこの方法を図2で模式的に示し、図6は、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しと共に、THDプライマー及びTaq DNAポリメラーゼを利用した、dNTPの多様な濃度におけるリアルタイムシグナル増幅結果を示す。
【0105】
第一のプロトコールによると、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルは、THDプライマーにおける切断反応によってのみ発生されるか増幅される。
【0106】
工程(b)の前記結果物の変性は、工程(b)で形成された二本鎖二合体が一本鎖核酸になるようにする。変性に対する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、変性は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)により提供される。
【0107】
本発明の好ましい具現例によると、シグナルの検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる。リアルタイム方式における検出は、反復の各サイクルでシグナルを検出するものである。エンド−ポイント方式における検出は、反復の終了時点でシグナルを検出するものである。指定時間間隔方式における検出は、反復の間、指定時間間隔のそれぞれでシグナルを検出するものである。
【0108】
本発明は、ターゲット核酸配列のマルチプレックス検出に非常に適している。
【0109】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0110】
少なくとも二つのTHDプライマーが利用される場合、それらは、分析目的によって多様な組み合わせで標識を含むように製作できる。例えば、THDプライマーの多数が全て同一な標識、全て相異なる標識または部分的に相異なる標識と連結され得る。また、少なくとも二つの部分的にまたは全体的に相異なるかまたは同一な標識が一つのTHDプライマーに連結されることもできる。
【0111】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0112】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。本発明における前増幅された核酸配列の利用は、ターゲット検出に対する感度及び特異性が顕著に向上されるようにする。少量のターゲット核酸配列が適した水準に前増幅された後、本発明により検出することにより、ターゲット検出の感度が大きく向上されるようにする。興味深いことに、前増幅反応に利用されたプライマーの下流配列にハイブリッド形成できるTHDプライマーは、ターゲット検出の特異性を向上させるnested primerとして利用できる。
【0113】
2.THDプライマー及び標識プローブを利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
第二のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブを利用する。標識プローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有して、標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有して、連続的な工程で切断される。
【0114】
標識プローブの3’−末端は、伸長が抑制されるようにブロッキング(blocking)されている。ブロッキングは、非相補的な塩基を利用するか、あるいは最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシル基にビオチンまたはホスフェート基のような化学的部分(moiety)を追加して達成できる。また、ブロッキングは、3’−OH基を除去するか、またはジデオキシヌクレオチドのように、3’−OH基のないヌクレオチドを利用することにより達成できる。
【0115】
本明細書で使用される用語‘プローブ(probe)’は、ターゲット核酸配列に実質的に相補的な部位または部位を含む一本鎖核酸分子を意味する。
【0116】
第二のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブからもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用した第一のプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0117】
標識プローブに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0118】
また、標識プローブは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて、標識が標識プローブから放出される。したがって、第二のプロトコールは、ターゲット核酸配列の存在を示す二つの異なるシグナルを提供する。
【0119】
第二のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマー及び/または標識プローブから5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマー及び/または標識プローブから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生する。
【0120】
第二のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生し、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0121】
好ましくは、第二のプロトコールは、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。
【0122】
具体的に、第二のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて前記プローブから前記標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0123】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0124】
少なくとも二つのTHDプライマー及び少なくとも二つのプローブが利用される場合、それらは、分析目的によって多様な組み合わせで標識を含むように製作できる。例えば、THDプライマーの多数及び少なくとも二つのプローブが全て同一な標識、全て相異なる標識または部分的に相異なる標識と連結され得る。また、少なくとも二つの部分的にまたは全体的に相異なるかまたは同一な標識が一つのTHDプライマーまたはひとつのプローブに連結されることもできる。
【0125】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0126】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0127】
3.THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用したTHDプライマーターゲット検出アッセイ
第三のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマー及び上流プライマー(また下流プライマー)が伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマー及び/または上流プライマー(また下流プライマー)で5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0128】
上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する。下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する。
【0129】
第三のプロトコールは、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び上流プライマーまたは下流プライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0130】
好ましくは、上記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程をさらに含む。サイクルの反復は、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーが切断されるようにして、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルの増幅に寄与する。
【0131】
具体的に、第三のプロトコールは、下記のような工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列、THDプライマー及び上流プライマーまたは下流プライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(b’)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(b”)前記工程(a)−(b’)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b”)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(b”)の前記反復の終了時点で、または工程(b”)の前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0132】
本発明の好ましい具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーは、検出可能なシグナルを発生する標識を有する。上流プライマーまたは下流プライマーに連結された標識は、THDプライマーに連結されたものと共に工程(b)で放出できて、または工程(c)におけるシグナルに関与できる。具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーに連結された標識は、THDプライマーに連結されたものと相異なっている。上流プライマーまたは下流プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0133】
上流プライマーまたは下流プライマーが標識を有する場合、第三のプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識された上流プライマー(または標識された下流プライマー)からもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用した第一のプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0134】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記上流プライマー(または下流プライマー)は、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0135】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0136】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0137】
4.THDプライマーを利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第四のプロトコールによると、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらの少なくとも一つのプライマーがターゲット核酸配列にハイブリッド形成されるTHDプライマーである一対のプライマーが伸長される場合、プライマー5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより、二つのプライマーで5’−切断反応が起こり、標識がTHDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される(図3)。
【0138】
正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーはTHDプライマーである一対のプライマーは、過程が反復的に行われる場合、ターゲット増幅及びシグナル増幅を両方ともすることができる。
【0139】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)ターゲット核酸配列と一対のプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0140】
第四のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成された一対のプライマーを利用する。二つのプライマーのうち、少なくとも一つは、THDプライマーである。
【0141】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的な標識プローブを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマーのハイブリッド形成に利用できる。
【0142】
本発明の好ましい具現例によると、二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される一つの標識を有する。二つのプライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。THDプライマーのカウンターパートプライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0143】
工程(b)の前記結果物の変性は、工程(b)で形成された二本鎖二合体が一本鎖核酸になるようにする。変性に対する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコサール処理、酵素方法(例えば、ヘリカーゼ反応)、及び結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、変性は、80℃乃至105℃範囲の温度に熱を加えて達成できる。このような処理を達成するための一般的な方法は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)により提供される。
【0144】
本発明は、ターゲット核酸配列のマルチプレックス検出に非常に適している。本発明者らが知る限りでは、本発明は、マルチプレックスリアルタイム検出が実現されるようにする唯一の方法である。
【0145】
第四のプロトコールでは、図4aに示したように、THDプライマーの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてのTHDプライマー。
【0146】
図15は、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用した図4aにおけるプライマー組み合わせの結果を示す。
【0147】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0148】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0149】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。本発明の方法において、初期物質として前増幅された核酸配列を利用する場合、ターゲット検出における感度及び特異性が大きく改善されるようにnested増幅が誘導される。
【0150】
5.THDプライマー及び標識プローブを利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第五のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマーだけではなく、標識プローブを利用する。標識プローブは、検出可能なシグナルを発生する標識を有して、標識プローブは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有して、続く工程で切断される。二つのプライマーがターゲット核酸配列とハイブリッド形成されて伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマーで5’−切断反応が起こり、標識が、二つのプライマーのうち、THDプライマーから放出されて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、切断され前記標識プローブに連結された標識が放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される(図4b)。
【0151】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)前記ターゲット核酸配列と一対のプライマー及び追加的な標識プローブをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて、鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止されて、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成される工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、前記標識プローブは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記プローブから標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0152】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)のハイブリッド形成に利用できる。
【0153】
本発明の好ましい具現例によると、二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する。二つのプライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。THDプライマーのカウンターパートプライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0154】
第五のプロトコールでは、図4bに示したように、プライマー対及び標識プローブの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0155】
図16は、図4bに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅において、標識プローブと共に、正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0156】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0157】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0158】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0159】
6.THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)を利用したリアルタイムターゲット増幅アッセイ
第六のプロトコールによると、ターゲット核酸配列にハイブリッド形成される(i)正方向プライマー及び逆方向プライマーのうち、少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、及び(ii)上流プライマー(また下流プライマー)が伸長される場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマー及び/または上流プライマー(また下流プライマー)で5’−切断反応が起こり、標識が、二つのプライマーのうち、THDプライマーから放出されて、これにより、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0160】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、下記の工程を含む:
(a)前記ターゲット核酸配列と一対のプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)をハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーはTHDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含み、前記上流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有し、前記下流プライマーは、THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、THDプライマーと同一な方向性を有する工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマー及び上流プライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)は、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程。
【0161】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマー及び上流プライマー(または下流プライマー)のハイブリッド形成に利用できる。
【0162】
本発明の好ましい具現例によると、前記THDプライマーだけではなく、他のプライマーも検出可能なシグナルを発生させる標識を有する。プライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0163】
第六のプロトコールにおいて、プライマー対及び上流プライマーの多様な組み合わせを、図4cに示したように製作することができる:(A)正方向プライマー及び上流プライマーとしてTHDプライマー;(B)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー、上流プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー;(D)正方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0164】
図17は、図4cに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅において、正方向プライマーとしてのTHDプライマーと共に、追加的に上流プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0165】
第六のプロトコールでは、図4dに示したように、プライマー対及び下流プライマーの多様な組み合わせを製作することができる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてTHDプライマー。
【0166】
図18は、図4dに例示されたプライマー組み合わせの結果を示し、Neisseria gonorrhoeae(NG)遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅に、内部プライマーと、追加的に正方向プライマー、逆方向プライマー、または両方のプライマーとしてのTHDプライマーを利用する。
【0167】
図4dにおいて、下流プライマーは、内部プライマーとして表現できる。
【0168】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、上流プライマーは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0169】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0170】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0171】
好ましい具現例:THDプライマーを利用したリアルタイムPCRアッセイ
第四〜第六のプロトコールは、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである、ターゲット核酸配列を増幅できる一対のプライマーを利用する。したがって、反応の繰り返しは、ターゲット核酸配列の増幅が伴われる。好ましくは、前記増幅は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって行われて、これは、U.S.特許番号4,683,195, 4,683,202及び4,800,159に開示されている。
【0172】
本発明の好ましい具現例によると、本発明は、
(a)ターゲット核酸配列、一対のプライマー及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含むPCR混合物を準備する工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる二つのプライマーを含み、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含み、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これによって前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応により前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする工程と、
(b)前記PCR混合物を利用して前記ターゲット核酸配列を増幅させる工程であって、プライマーアニーリング、プライマー伸長及び変性を少なくとも2回行って、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、ターゲット核酸配列を増幅して、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記レポーター分子または前記クエンチャー分子が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(c)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する発明である。
【0173】
第四のプロトコールで述べたように、リアルタイムPCR反応におけるTHDプライマーの多様な組み合わせが提示できる:(A)正方向プライマーとしてTHDプライマー;(B)逆方向プライマーとしてTHDプライマー;及び(C)正方向プライマー及び逆方向プライマーとしてのTHDプライマー。
【0174】
本発明の好ましい具現例によると、PCR混合物は、正方向プライマー及び逆方向プライマーの少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー、上流プライマー(または下流プライマー)及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含み、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する。
【0175】
本発明の好ましい具現例によると、PCR混合物は、二つのプライマーのうち、少なくとも一つのプライマーがTHDプライマーである一対のプライマー及び検出可能なシグナルを発生する標識を有する標識プローブを含み、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成される。
【0176】
本発明の好ましい具現例によると、このプロトコールは、THDプライマーだけではなく、標識プローブからもシグナルが発生するため、プライマー対のみを利用したプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0177】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる。この場合、鋳型(即ち、ターゲット核酸配列)がより利用可能になって、THDプライマーのハイブリッド形成に利用できる。
【0178】
本発明の好ましい具現例によると、工程(c)の前記検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる。
【0179】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0180】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、上流プライマー(または下流プライマー)は、少なくとも2種のプライマーを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0181】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、正方向プライマー及び逆方向プライマーとしての二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)、標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種であり、最も好ましくは、少なくとも5種である)。
【0182】
本発明の好ましい具現例によると、THDプライマーだけではなく、他のプライマーも検出可能なシグナルを発生する標識を有する。プライマーに連結された標識は、互いに同一であるかまたは相異なっている。プライマーに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0183】
THDプライマーだけではなく、他のプライマーも標識を有する場合、THDプライマーだけではなく他のプライマーからもシグナルが発生するため、THDプライマーのみを利用したプロトコールに比べ、ターゲット核酸配列に対してさらに高いシグナル強度を発生させることができる。
【0184】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0185】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0186】
本発明の好ましい具現例によると、利用されるTHDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0187】
より好ましくは、THDプライマーは、一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する。
【0188】
mDSO構造を有するTHDプライマーは、上流プライマーを利用する第三及び第四のプロトコールに好適である。DPOを有するTHDプライマーは、他のプロトコールに好適である。
【0189】
DSO(dual specificity oligonucleotide)のプライマー形態であるDPO構造は、本発明者らにより最初に提示された(参照WO 2006/095981;Chun et al., Dual priming oligonucleotide system for the multiplex detection of respiratory viruses and SNP genotyping of CYP2C19 gene, Nucleic Acid Research, 35:6e40(2007))。mDSO構造は、DPO構造の新規に修飾された形態であり、これは、本発明者らにより最初に提示された(参照WO 2006/095981)。
【0190】
DSOは、ハイブリッド形成またはアニーリングが分割領域により互いに分離された5’−高Tm特異性部位(または5’−第1ハイブリッド形成部位、5’−第1プライミング部位)及び3’−低Tm特異性部位(または3’−第2ハイブリッド形成部位、3’−第2プライミング部位)により二重的に決定されるようにする新規な概念を具現したもので、非常に驚くべきアニーリング特異性を示す(参照:WO 2006/095981; Kim et al., Direct detection of lamivudine−resistant hepatitis B virus mutants by multiplex PCR using dual−priming oligonucleotide primers, Journal of Virological Methods, 149:76−84(2008); Kim, et. al., Rapid detection and identification of 12 respiratory viruses using a dual priming oligonucleotide system−based multiplex PCR assay, Journal of Virological Methods, doi:10.1016/j.jviromet.2008.11.007(2008); Horii et. al., Use of dual priming oligonucleotide system to detect multiplex sexually transmitted pathogens in clinical specimens, Letters in Applied Microbiology, doi:10.111/j.1472−765X2009.02618x(2009)))。上述のように、DSOは、互いに異なるハイブリッド形成特性を有する二つのプライマー部分(segment)、すなわち、初期の安定したハイブリッド形成を招来する5’−第1プライミング部位;及びターゲット特異性を決定する3’−第2プライミング部位を究極的に有するようになる。
【0191】
mDSO構造は、前記DSO構造が逆転されたものである:ターゲット特異性を決定する5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)及び初期の安定したハイブリッド形成を招来する3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)。
【0192】
本発明の好ましい具現例によると、分割部位に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される。より好ましくは、ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロールまたは5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。
【0193】
好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3ユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4ユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5ユニバーサル塩基を有する連続したヌクレオチドを含む。
【0194】
好ましくは、DPO構造の5’−第1プライミング部位の長さは、3’−第2プライミング部位より長い。5’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記3’−第2プライミング部位は、好ましくは、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有することが好ましい。本発明の好ましい具現例によると、5’−第1プライミング部位は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45℃〜65℃のTmを有する。前記3’−第2プライミング部位は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3℃〜15℃のTmを有する。
【0195】
好ましくは、mDSO構造の3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)の長さは、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)より長い。前記3’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−第2プライミング部位は、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有する。
【0196】
本発明の好ましい具現例によると、前記3’−第1プライミング部位は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45℃〜65℃のTmを有する。前記5’−第2プライミング部位は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3℃〜15℃のTmを有する。
【0197】
本発明の好ましい具現例によると、標識プローブは、下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する:
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)のTmは、3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)のTmより低く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)を前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)及び前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記プローブの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0198】
好ましくは、標識プローブのためのmDSO構造の3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)の長さは、5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)より長い。前記3’−第1プライミング部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、15〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは、15〜25ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記5’−第2プライミング部位は、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜13ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、4〜8ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜7ヌクレオチドの長さを有する。
【0199】
本発明の好ましい具現例によると、前記3’−第1プライミング部位(または3’−第1ハイブリッド形成部位)は、40℃〜80℃のTmを有して、より好ましくは、45〜65℃のTmを有する。前記5’−第2プライミング部位(または5’−第2ハイブリッド形成部位)は、好ましくは、10℃〜40℃のTmを有する。前記分割部位は、好ましくは、3〜15℃のTmを有する。
【0200】
本発明の好ましい具現例によると、上流プライマーまたは下流プライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、前記5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記上流プライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0201】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット増幅に利用されたプライマー(即ち、カウンターパートプライマー)及びTHDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する:
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p, q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X, Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、前記5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記プライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【0202】
ターゲット核酸を検出するためにプライマーを利用する従来技術は、使用されるプライマーの内在的限界のため、エラーシグナルから十分に自由ではない。しかし、そのような意図的デザインのDPOまたはmDSO構造を含むTHDプライマー、標識プライマー、上流プライマー及び逆方向プライマーは、顕著に向上された特異性でターゲット核酸配列にハイブリッド形成され、エラーシグナル無しにターゲット核酸配列が検出されるようにする。
【0203】
本明細書において、プライマーまたはプローブを言及しながら使用される用語‘標準的な’は、DPOまたはmDSO構造を含まない全てのプライマーまたはプローブを意味する。それらは、本明細書において標準的なプライマーまたは標準的なプローブとして説明される。
【0204】
ターゲット核酸配列とのハイブリッド形成後、鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させて;前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。
【0205】
表現‘鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で’は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの3’−末端における伸長反応及び5’−末端または5’−末端部位における切断反応が誘導されるに十分な条件を意味する。このような条件は、従来核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長のための条件に従うことができる。例えば、条件は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001)で確認することができる。実施例から分かるように、条件には、適する時間の間、相対的に高温(例えば、50〜75℃)におけるターゲット核酸配列、THDプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)、dNTPs及びMgCl2のインキュベーションが含まれる。
【0206】
表現‘鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で’は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより、ターゲットを増幅する前記プライマー対(正方向プライマー及び逆方向プライマー)の3’−末端における伸長反応及び5’−末端または5’−末端部位における切断反応が誘導されるに十分な条件を意味する。条件の詳細な説明は、上述と同様である。
【0207】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼであり、これは、多様なバクテリア種から得ることができて、例えば、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus(Tth)、Thermus filiformis、Thermis flavus、Thermococcus literalis、Pyrococcus furiosus (Pfu)、Thermus antranikianii、Thermus caldophilus、Thermus chliarophilus、Thermus flavus、Thermus igniterrae、Thermus lacteus、Thermus oshimai、Thermus ruber、Thermus rubens、Thermus scotoductus、Thermus silvanus、Thermus species Z05、Thermus species sps 17、Thermus thermophilus、Thermotoga maritima、Thermotoga neapolitana及びThermosipho africanusを含む。最も好ましくは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。
【0208】
最終的に、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが検出される。シグナル検出は、反復の各サイクルにおいて、反復の終了時点で、または反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行うことができる。好ましくは、シグナル検出は、反復の各サイクルで行って、これは、検出の正確性を向上させる。
【0209】
本発明は、検出及び/または増幅しようとするターゲット核酸配列に対して、特定配列または長さを必要としない。RNAターゲット配列は、cDNAで逆転写されなければならない(Joseph Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2001); 及びNoonan, K. F.ら, Nucleic Acids Res. 16:10366 (1988)。特に、本発明で検出及び/または増幅できるターゲット核酸配列は、如何なる核酸分子、例えば、DNA(gDNAまたはcDNA)及びRNA分子も全て含む。ターゲット核酸配列は、如何なる天然(Naturally occurring)の原核細胞核酸、真核細胞(例えば、原生動物と寄生動物、菌類、酵母、高等植物、下等動物、及び哺乳動物と人間を含む高等動物)核酸、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、 Epstein−Barrウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)核酸、またはウイロイド核酸も全て含む。
【0210】
ターゲット核酸配列にハイブリッド形成されたTHDプライマーは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断されて、THDプライマーに連結された標識が放出され、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される。シグナルは各標識にとって公知の方法により、検出または測定することができる。例えば、標識が酵素を含む場合、シグナルは、酵素に対する基質を利用して検出される。金属標識として金粒子が利用される場合、シグナルは、硝酸銀を利用したシルバーステイニング方法を利用して検出する。蛍光シグナルは、従来の方法、例えば、蛍光強度測定器を利用して検出するか測定することができる。
【0211】
検出されるシグナルは、標識自体から直接的に得てもよく、連続的な標識関連反応から間接的に得てもよい。また、検出されるシグナルは、放出された標識または残留した標識(切断されたヌクレオチドに含まれていない)(例えば、相互作用する標識システム)から得てもよい。
【0212】
少なくとも二つのターゲット核酸配列が同時に検出されるという点に本発明の格別な利点がある。本発明の好ましい具現例によると、反応において多数のターゲット核酸配列を同時に検出することができる。
【0213】
また、本発明は、ヌクレオチド変異の検出において非常に有用である。本発明で使用される用語‘ヌクレオチド変異(nucleotide variation)’は、連続的DNA断片または配列が類似したDNA断片において、特定位置に存在するDNA配列のヌクレオチド多様性を意味する。そのような連続的DNA断片は、一つの遺伝子または一つの染色体のある他の部位を含む。例えば、本発明の方法により検出できるヌクレオチド変異は、欠失、挿入、置換を含む。ヌクレオチド変異の例は、ヒトゲノムにある多様な変異(例えば、MTHFR(methylenetetrahydrofolate reductase)遺伝子の変異)、薬剤耐性病原体のヌクレオチド変異及び癌発生−関連ヌクレオチドの変異を含む。
【0214】
好ましくは、本発明で検出されるヌクレオチド変異は、塩基置換であり、より好ましくは、SNP(single nucleotide polymorphism)及び点突然変異である。
【0215】
本発明の他の様態によると、本発明は、
(a)(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含むTHDプライマーと、
(b)5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼ(前記THDプライマーが前記ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される)と、
を含み、ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(THD primer)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットを提供する。
【0216】
本発明の好ましい具現例によると、前記キットは、ターゲット増幅のための追加的なプライマー、THDプライマー、上流プライマー、下流プライマー、標識プローブ、またはこれらの組み合わせを追加的に含む。
【0217】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット増幅のための追加的なプライマー、上流プライマー及び/または下流プライマーは、標識を有する。
【0218】
プライマーまたは標識プローブに有用な標識は、THDプライマーで述べたものと同様である。好ましくは、標識は、FRET標識である。
【0219】
また、標識プローブ及び標識されたプライマーは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより切断され、標識がそれらから放出されて、ターゲット核酸配列の存在を示す二種の異なるシグナルが提供する。
【0220】
本発明のキットは、上述の本発明の検出方法を実施して構成されるため、その重複する内容は、本明細書の複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0221】
本発明のキットは、バッファー、DNAポリメラーゼ助因子及びデオキシリボヌクレオチド−5−トリホスフェートのようなターゲット増幅PCR反応(例えば、PCR反応)に必要な試薬を選択的に含むことができる。また、選択的に本発明のキットは、多様なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、多様なバッファー及び試薬、及びDNAポリメラーゼ活性を抑制する抗体を含むことができる。
【0222】
また、キットは、陽性対照群及び陰性対照群反応を実施するに必須的な試薬を含むことができる。ある一つの特定反応で使用される試薬の最適量は、本明細書の開示事項を習得した当業者により容易に決定できる。典型的に、本発明のキットは、上記言及された構成成分を含む別途の包装または区分で製作される。
【0223】
本発明の特徴と利点は、下記のように要約できる:
(a)従来のリアルタイムPCR方法は、標識プローブまたはヘアピン構造のように複雑に修飾されたプライマー構造を必要とし、これは、プローブ及びプライマーのデザイン、合成または配列の選択を難しくする。しかし、本発明のTHDプライマーは、追加的な標識プローブまたは複雑に修飾されたプライマー構造無しに、ターゲット増幅だけではなく、シグナル増幅に利用されるため、リアルタイムPCRのためのTHDプライマーのデザイン、合成または配列の選択が相対的に簡単且つ容易である。
(b)プライマーだけではなく、プローブに対しても最適化されたハイブリッド形成条件が従来のリアルタイムPCR反応に必須であるため、従来のリアルタイムPCR方法の最適化は難しい。ヘアピンループを形成するテイルを有するプライマーを利用する従来のリアルタイムPCR方法は、プライマーにおけるヘアピンループ形成及び修飾を考慮して反応条件を最適化する必要がある。しかし、本発明は、従来のリアルタイムPCR方法の最適化に係わる問題点及び短所から完璧に自由である。
(c)実施例7で確認したように、(i)正方向プライマー、逆方向プライマーまたは上流プライマーとしてのTHDプライマーの多様な組み合わせ、または(ii)THDプライマー及びプローブの多様な組み合わせは、ターゲット核酸配列が効果的に検出されるようにする。
(d)従来のリアルタイムPCR方法は、プライマーまたはプローブのデザイン及び最適化が難しいため、マルチプレックスアッセイが適切ではない。それに対し、本発明は、リアルタイムPCRにおいて、追加的なプローブまたは複雑に修飾されたプライマー構造無しに、標識されたプライマーだけを利用するため、マルチプレックス方式で卓越にリアルタイムにターゲット検出をすることが可能である。
(e)従来のリアルタイムPCRプローブと比較し、THDプライマーは伸長されて、伸長されたTHDプライマーは、ターゲット核酸配列に対してより高い結合力を示す。従来のリアルタイムPCRプライマーは、ヘアピン構造のように複雑に修飾された構造を必要とし、これは、ターゲット核酸配列に結合することを妨害する。その反面、THDプライマーは、そのような修飾を必要とせず、THDプライマーがターゲット核酸配列とのよりよい結合効率を有する。この特徴は、本発明によるターゲット検出効率の向上に寄与する。
(f)本発明は、一般にPCR反応に使用するプライマーを利用して、リアルタイムPCR反応を容易に実施することができる。要するに、PCR反応でアンプリコンを生成させるプライマーは、成功的なリアルタイムPCR反応を保障する。したがって、本発明は、リアルタイムPCRアッセイの開発において、時間的−及び費用的−効率性が改善されたと判断される。
(g)上記論議のように、本発明で使用されるDPOまたはmDSO構造を有するプライマー及び/またはプローブは、リアルタイムPCR反応において、結合特異性の向上をもたらし、これにより、プライマー及び/またはプローブの非−ターゲット結合に係わる擬陽性シグナルが除去される。
【実施例】
【0224】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0225】
実施例1:ターゲット核酸検出におけるTHDプライマーの評価
Taq DNAポリメラーゼ反応下で、本発明のTHDプライマーがターゲット核酸配列にアニーリングして、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼによりTHDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が実施され、THDプライマー上に位置したクエンチャー分子から蛍光レポーター分子が分離される場合、二重−標識THDプライマーがターゲット核酸配列を検出するに十分なシグナルを発生することができるかどうかを評価した。THDプライマーは、レポーター分子として6−FAM(6−carboxy−fluorescein)を有して、クエンチャー分子としてBHQ−1(Black Hole Quencher 1)を有する。標識の位置は、オリゴヌクレオチド配列に表示した。
【0226】
この評価を実験するために、本発明者らは、Staphylococcus aureus遺伝子をターゲット鋳型として利用して、実験便宜のために、S.aureus遺伝子に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。ターゲット核酸配列の増幅のない指定時間間隔(predetermined time interval)でシグナルを測定した。
【0227】
ターゲットであるStaphylococcus aureus遺伝子のシグナルの発生及び検出に対する方法及び結果は、本明細書に記載した。
【0228】
本実施例で利用された合成鋳型及び二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
SA−Tem:5’−gccaataaaactaggaggaaatttaaatgttagaatttgaacaaggatttaatcatttagcgactttaaaggtcattggtgtaggtggtggcggtaacaacgccgtaaaccgaatgattgaccacggaatgaataatgttgaatttatcgctatcaacacagacggtcaagctttaaacttatctaaagctgaatctaaa−3’ (SEQ ID NO:1);及び
SA−THD:5’−[6−FAM]CATTCCG[BHQ1−dT]GGTCAATCATTCGGTT−3’ (SEQ ID NO:2)。
【0229】
鋳型2pmole(SEQ ID NO:1), 10mM MgCl2を含有した2×マスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2ユニット、4種のdNTPs(dATPdCTPdGTP及びdTTP)を各200μM及び二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)5pmoleを含有した20μLの最終容量で、二重標識THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応を行った;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、55℃または65℃で60秒過程を40回繰り返した。指定時間間隔(predetermined time interval)による各サイクルで発生したシグナルを検出した。
【0230】
図5に示されたように、ターゲット核酸配列の増幅がない場合の反応でも、指定時間間隔にある蛍光シグナルを、モニタリングによりStaphylococcus aureusに対する蛍光シグナルの増加をリアルタイム単位で観察した。また、55℃(No.2)及び65℃(No.4)間のシグナル差は表れなかった。鋳型がない場合、蛍光シグナルの変化がなかった(No.1及び3)。
【0231】
実施例2:ターゲット核酸検出のためのリアルタイムPCR反応条件下におけるTHDプライマーの評価
本発明者らは、リアルタイムPCR反応条件下で、変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しをdNTPの多様な濃度に適用させた場合、THDプライマーがターゲット核酸配列を検出するに十分なシグナルを発生することができるかどうかを追加的に確認した。
【0232】
この評価を実験するために、本実施例1で利用されたのと同一な鋳型(SEQ ID NO:1)及び二重−標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)をリアルタイムターゲットシグナル増幅に利用した。
【0233】
多様な濃度のdNTP(最終濃度500μM、200μM、20μM及び0μM)を鋳型2pmole(SEQ ID NO:1)10mM MgCl2を含有した2×マスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)2ユニット及び二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:2)5pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムターゲットシグナル増幅を行った;前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、55℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0234】
図6に示されたように、Taq DNAポリメラーゼがないか(No.1)または鋳型がない場合(NO.2)のような陰性対照群反応において、ターゲット核酸配列の蛍光シグナル増幅が表れなかった。このような結果は、ターゲット鋳型とTHDプライマーのハイブリッド形成または一本鎖のTHDプライマーの切断によってはシグナルの増幅が起こらないということを示す。一方、dNTPがない場合(NO.6)だけではなく、dNTPの異なる濃度下で(No.3、4及び5)、ターゲット核酸配列の蛍光シグナルを確認した。20μM dNTPの場合、Ct値が最も低く、シグナルの強度は最も高くて(No.5)、500μM dNTPの場合、Ct値が最も高くて、シグナルの強度が最も低かった(No.3)。
【0235】
したがって、ターゲット核酸配列の増幅無しに、THDプライマーを利用した変性、ハイブリッド形成、切断及び伸長の繰り返しがターゲット蛍光シグナルを発生させるに十分であり、これにより、リアルタイムシグナル増幅によるターゲット核酸配列の検出が可能になる。
【0236】
実施例3:リアルタイムPCR増幅におけるTHDプライマー及びプローブの相違点
プライマー及びプローブの最も大きい相違点は、プローブは、増幅産物に含まれないということである。THDプライマーは、リアルタイムPCR増幅産物に含まれるが、プローブは、リアルタイムPCR条件下で含まれないことを確認するために、正方向プライマーとしてTHDプライマーを利用してStreptococcus pneumoniae遺伝子及びNeisseria meningitidis遺伝子を検出するリアルタイムPCRを実施した。
【0237】
S.pneumoniae遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する場合、本実施例で利用された正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマー及び二重標識プローブの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−Probe:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:5)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0238】
S.pneumoniaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmoleまたは二重標識プローブ(SEQ ID NO:5)10pmole、及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。エチジウムブロマイドで染色した2%アガロースゲルで増幅されたPCR産物を分離した。
【0239】
図7に示されたようにリアルタイムPCRでTHDプライマーは、ターゲットシグナル増幅だけではなく、ターゲット核酸配列の増幅から産物を得ることができるようにして(図7aのNo.3)、増幅されたターゲット核酸配列S.pneumoniaeから出た産物をアガロースゲル上で確認した(図7bのレーン2)。一方、THDプライマーと異なって、二重標識プローブを利用したリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナルも表れなく(図7aのNo.1)、またアガロースゲル上からも如何なる産物も確認することができなかった(図7bのレーン1)。
【0240】
N. meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を鋳型として利用する場合、本実施例で利用された正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマー及び二重標識プローブの配列は、下記の通りである:
NM−THD2:5’−[6−FAM]TCCACCAATGGCG[BHQ1−dT]ATAGCGGA−3’ (SEQ ID NO:8)
NM−Probe:5’−[6−FAM]TCCACCAATGGCGTATAGCGGA[BHQ1a−Q]−3’ (SEQ ID NO:9)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0241】
S.pneumoniaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:8)10pmoleまたは二重標識プローブ(SEQ ID NO:9)10pmole、及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。エチジウムブロマイドで染色した2%アガロースゲルで増幅されたPCR産物を分離した。
【0242】
ターゲット核酸であるN.meningitidis遺伝子に対するリアルタイムPCR増幅は、図7と類似した結果を示す。THDプライマーを利用したリアルタイムPCRの結果は、ターゲットシグナルの増幅だけではなく、ターゲット核酸配列の増幅を示して(図8aのNo.3)、N.meningitidis遺伝子のPCR産物をアガロースゲル上で確認した(図8bのレーン2)。一方、二重標識プローブを利用したリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナルも表れなく(図8aのNo.1)、またアガロースゲル上からもターゲット核酸配列の如何なる産物も確認することができなかった(図8bのレーン1)。
【0243】
実施例4:THDプライマーを利用したリアルタイムPCR特異性
S.pneumoniae遺伝子及びN.meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したリアルタイムPCR特異性を確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0244】
A. S.pneumoniaeに対するリアルタイムPCR特異性
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0245】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0246】
ターゲット核酸としてS.pneumoniae遺伝子を利用したリアルタイムPCRでは、蛍光シグナル増幅が発生したが(図9のNo.1)、その反面、N.gonorrhoeae(図9のNo.2)及びN.meningitidis(図9のNo.3)のような非ターゲット核酸配と、陰性対照群(図9のNo.4)のリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナル増幅も観察されなかった。
【0247】
B. N.meningitidisに対するリアルタイムPCR特異性
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
NM−THD1:5’−[6−FAM]CCATAACC[BHQ1−dT]TGAGCAATCCAIIIIICCTGACGTTC−3’ (SEQ ID NO:7)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0248】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:7)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0249】
ターゲット核酸としてN.meningitidis遺伝子を利用したリアルタイムPCRでは、蛍光シグナル増幅が発生したが(図10のNo.1)、その反面、N.gonorrhoeae(図10のNo.2)及びS.pneumoniae(図10のNo.3)のような非ターゲット核酸配列だけではなく、陰性対照群(図10のNo.4)のリアルタイムPCRでは、如何なる蛍光シグナル増幅も観察されなかった。
【0250】
実施例5:THDプライマーを利用したリアルタイムPCR感度
S.pneumoniae遺伝子及びN.meningitidis遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したリアルタイムPCR感度を確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0251】
A. S.pneumoniaeに対するリアルタイムPCR感度
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT[BHQ1−dT]GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0252】
一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pgまたは0.1pg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0253】
図11に示されたように、10ngから一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、0.1pgまで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−6)。
【0254】
B. N.meningitidisに対するリアルタイムPCR感度
本実施例で利用された二重標識THDプライマー及び逆方向プライマーの配列は、下記の通りである:
NM−THD1:5’−[6−FAM]CCATAACC[BHQ1−dT]TGAGCAATCCAIIIIICCTGACGTTC−3’ (SEQ ID NO:7)
NM−P1:5’−CCAATCCCTATACCTTTACGTC−3’ (SEQ ID NO:10)
【0255】
一連の希釈したN.meningitidisゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pgまたは0.1pg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:7)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:10)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0256】
図12に示されたように、10ngから一連の希釈したN.meningitidisゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、0.1pgまで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−6)。
【0257】
実施例6:THDプライマーを利用したnestedリアルタイムPCR
S. pneumoniae 遺伝子のターゲット核酸配列を検出することにより、THDプライマーを利用したNestedリアルタイムPCRの特異性及び感度を追加的に確認した。本実験のために、リアルタイムPCR増幅に二重−標識THDプライマーを正方向プライマーとして利用した。
【0258】
A.Nested リアルタイムPCRの特異性
本実施例で第1PCRに利用された正方向プライマー及び逆方向プライマーの配列と、NestedリアルタイムPCRに利用された二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
SP−P1:5’−TTGACCACTTCGCTATTTCC−3’ (SEQ ID NO:3)
SP−THD:5’−[6−FAM]TCCTTCAAACTGTGGATT/BHQ1−dT/GGGTGT−3’ (SEQ ID NO:4)
SP−P2:5’−GGTTTCCGTACAGCCTTGA−3’ (SEQ ID NO:6)
【0259】
S.pneumoniae、N.meningitidisまたはN.gonorrhoeaeゲノムDNA10ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマー(SEQ ID NO:3)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(ABI9700、ABI)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を30回繰り返した。
【0260】
第1PCR産物2μL、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)5pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)5pmoleを含有した20μLの最終容量でNestedリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0261】
図13に示されたように、ターゲット核酸であるS.pneumoniae(No.1)に対するリアルタイムPCRでは、シグナルが確認されたが、非ターゲット核酸であるN.gonorrhoeae(No.2)及びN.meningitidis(No.3)と鋳型のない陰性対照群(No.4)に対するリアルタイムPCRでは、如何なるシグナルも表れなかった。
【0262】
B.NestedリアルタイムPCRの感度
本実施例で利用された正方向プライマー、逆方向プライマー及び二重標識THDプライマーの配列は、下記の通りである:
NestedリアルタイムPCRの特異性に対する実施例6Aで利用された、第1PCR用正方向プライマー及び逆方向プライマーの配列、そしてNestedリアルタイムPCR用二重−標識THDプライマーの配列と同一な配列を利用した。
【0263】
一連の希釈したS.pneumoniaeゲノムDNA(10ng、1ng、100pg、10pg、1pg、100fg、10fgまたは1fg)、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマー(SEQ ID NO:3)10pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)10pmoleを含有した20μLの最終容量で第1PCR増幅を行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(ABI9700、ABI)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を30回繰り返した。
【0264】
PCR産物2μl、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:4)5pmole及び逆方向プライマー(SEQ ID NO:6)5pmoleを含有した20μLの最終容量でNestedリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0265】
図14に示されたように、10ngから一連の希釈したターゲット鋳型であるS.pneumoniaeゲノムDNAを利用してリアルタイムPCRを行う場合、10fgゲノムDNA濃度まで希釈した場合も、ターゲット核酸配列が検出された(No.1−7)。
【0266】
実施例7:THDプライマーの多様な組み合わせを利用したリアルタイムPCR
分子ビーコン、サンライズまたはスコーピオンでは、ヘアピンステムのような如何なる構造的修飾無しに、一般的なプライマーを二重監視機能でリアルタイムPCRに利用できるということが、本発明により最初に提示された:第1の機能は、相補的な配列の合成であり、第2の機能は、ターゲットヌクレオチド配列を示すシグナルの発生である。したがって、本発明者らは、リアルタイムPCR増幅にTHDプライマーの多様な組み合わせを適用して、これは、THDプライマーの最も大きい長所の一つである。
【0267】
本実験のために、N.gonorrhoeae遺伝子をターゲット核酸鋳型として利用した。THDプライマーは、DPO構造または二重標識を含む従来の構造を有する。
【0268】
本実施例で利用された二重−標識THDプライマー及びプライマーの配列は、下記の通りである:
NG−P1:5’−CAATGGATCGGTATCACTCGCIIIIICGAGCAAGAAC−3’ (SEQ ID NO:11)
NG−THD1:5’−[6−FAM]CAATGGATCGG[BHQ1−dT]ATCACTCGCIIIIICGAGCAAGAAC−3’(SEQ ID NO:12)
NG−P2:5’−ATTGGCGTGTTTCGCATATTTAAG−3’ (SEQ ID NO:13)
NG−THD2:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG−3’ (SEQ ID NO:14)
NG−Probe:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:15)
NG−P3:5’−TACGCCTGCTACTTTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’ (SEQ ID NO:16)
NG−THD3:5’−[6−FAM]TACGCCTGCTAC[BHQ1−dT]TTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’(SEQ ID NO:17)
【0269】
A.正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、逆方向プライマーとしての二重標識THDプライマー、またはこれらの組み合わせ
N.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマーとして二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:12)10pmole、逆方向プライマーとして二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:17)10pmoleまたはこれらの組み合わせ(SEQ ID NO:12及び17)及び正方向プライマーとしてのプライマー(SEQ ID NO:11)10pmoleまたは逆方向プライマーとしてのプライマー(SEQ ID NO:16)10pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を40回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0270】
B.二重標識THDプライマー及び二重標識内部プローブの組み合わせ
二重標識内部プローブの使用を除いて、二重標識THDプライマーの組み合わせ及びリアルタイムPCR反応は、実施例7Aと同一である(5pmole、SEQ ID NO:15)。
【0271】
C.正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー及び逆方向プライマー及び/または上流プライマーの組み合わせ
正方向プライマーとしての二重標識THDプライマー(5pmole、SEQ ID NO:14)の使用及び上流二重標識THDプライマー(10pmole、SEQ ID NO:12)または上流プライマー(10pmole、SEQ ID NO:11)の使用を除いては、実施例7Aと同様にリアルタイムPCR反応を行った。
【0272】
D.内部非標識プライマー及び二重標識THDプライマーの組み合わせ
リアルタイムPCR反応は、内部プライマーの使用を除いては、実施例7Aに利用されたものと同一である(10pmole、SEQ ID NO:13)。
【0273】
図15〜18に示されたように、リアルタイムシグナル増幅及びターゲット核酸配列増幅は、リアルタイムPCR増幅において、多様なTHDプライマー組み合わせの適用可能性を示す。
【0274】
実施例8:リアルタイムPCRにおいて、TaqManプローブ法とTHDプライマーを用いる方法の比較
シグナリングのメカニズムを調べるために、本発明者は、ターゲット核酸鋳型にN.gonorrhoeae遺伝子を利用して、TaqManリアルタイムPCR法でTHDプライマーを利用した本発明のリアルタイムPCR法を比較した。
【0275】
THDプライマーは、二重標識を含むDPO構造を有する。本実施例で利用された二重標識THDプライマー、TaqManプローブ及びプライマーの配列は、下記の通りである:
NG−P2:5’−ATTGGCGTGTTTCGCATATTTAAG−3’ (SEQ ID NO:13)
NG−Probe:5’−[6−FAM]ATTGGCGTGTTTCGCATA[BHQ1−dT]TTAAG[Phos−Q]−3’ (SEQ ID NO:15)
NG−P3:5’−TACGCCTGCTACTTTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’ (SEQ ID NO:16)
NG−THD3:5’−[6−FAM]TACGCCTGCTAC[BHQ1−dT]TTCACGCTIIIIIGTAATCAGATG−3’(SEQ ID NO:17)
【0276】
N.gonorrhoeaeゲノムDNA1ng、6mM MgCl2を含有した2×QIAGENマルチプレックスマスターミックス10μL、Taq DNAポリメラーゼ、dNTP(QIAGEN)、正方向プライマーとしてプライマー(SEQ ID NO:11)10pmoleまたは二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:12)10pmole、逆方向プライマーとしてプライマー(SEQ ID NO:16)10pmoleまたは二重標識THDプライマー(SEQ ID NO:17)、内部プローブ/プライマーとしてTaqManプローブ(SEQ ID NO:15)5pmoleまたは内部プライマー(SEQ ID NO:13)5pmoleを含有した20μLの最終容量でリアルタイムPCRを行った:前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)設置し;前記反応混合物を95℃で10分間変性させた後、94℃で30秒、60℃で90秒及び72℃で90秒過程を20回繰り返した。各サイクルの伸長工程(72℃)で発生したシグナルを検出した。
【0277】
図19に示されたように、多様なTHDプライマー組み合わせがターゲット核酸配列を増幅させるということが証明された。しかし、一般にTaqManプローブ法(No.4)で要求される二重標識プローブがない場合も、シグナル増幅は、より効率的に発生する(No.2、3、5及び6)。即ち、TaqManプローブ反応と比較し、さらに低いCt値を表すだけではなく、さらに高い強度の蛍光シグナルを示した。したがって、既存のTaqManプローブ法とは異なって、ターゲット核酸配列を増幅するようにデザインされたプライマーだけを利用し、より効率的にターゲットシグナル及びターゲット核酸配列を増幅することが可能である。
【0278】
以上、本発明の望ましい具体例を詳細に記述したが、当業者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具体例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその均等物により定義されると言える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列、及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記工程(a)は、(i)前記THDプライマー及び(ii)標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(a)は、(i)前記THDプライマー及び(ii)上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程とをさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(c)の前記検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項1から3のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項7】
前記THDプライマーは、請求項6に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標識プローブは、請求項6に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項6に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列と一対のプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記工程(a)は、追加的な標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記工程(a)は、追加的に上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項25から27のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項30】
前記THDプライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記二つのプライマーのうち、THDプライマーではない他のプライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項25から27及び29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記標識プローブは、請求項29に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記二つのプライマーに連結された前記標識は、互いに異なっている請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項26に記載の方法。
【請求項43】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項43に記載の方法。
【請求項45】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項25に記載の方法。
【請求項47】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項26に記載の方法。
【請求項48】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列、一対のプライマー及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含むPCR混合物を準備する工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーを含み、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含み、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これによって前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応により前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする工程と、
(b)前記PCR混合物を利用して前記ターゲット核酸配列を増幅させる工程であって、プライマーアニーリング、プライマー伸長及び変性を少なくとも2回行って、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、ターゲット核酸配列を増幅して、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記レポーター分子または前記クエンチャー分子が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(c)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記工程(a)は、追加的に標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記工程(a)は、追加的に上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項51から53のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項56】
前記THDプライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記二つのプライマーのうち、THDプライマーではない他のプライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項51から53及び55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記標識プローブは、請求項55に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記二つのプライマーに連結された前記標識は、互いに異なっている請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項52に記載の方法。
【請求項67】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項53に記載の方法。
【請求項68】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項67に記載の方法。
【請求項69】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項51に記載の方法。
【請求項71】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項52に記載の方法。
【請求項72】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項53に記載の方法。
【請求項73】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットであって、
(a)(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含むTHDプライマーと、
(b)5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼ(前記THDプライマーが前記ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される)と、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項76】
前記キットは、少なくとも一つの追加的なプライマー、標識プローブ、またはこれらの組み合わせを追加的に含む請求項75に記載のキット。
【請求項77】
前記少なくとも一つの追加的なプライマーは、一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項75に記載のキット。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリング側面で、5’−第1プライミング部位が3’−第2プライミング部位から分割されるようにして、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項79】
前記少なくとも一つの追加的なプライマーは、請求項78に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項76または77に記載のキット。
【請求項80】
前記標識プローブは、請求項78に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項76に記載のキット。
【請求項81】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項75に記載のキット。
【請求項82】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項81に記載のキット。
【請求項83】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項75または77に記載のキット。
【請求項84】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項75または77に記載のキット。
【請求項85】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項84に記載のキット。
【請求項86】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項84に記載のキット。
【請求項87】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【請求項88】
前記追加的なプライマー及び/または前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項76または77に記載のキット。
【請求項89】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項75に記載のキット。
【請求項90】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記追加的なプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項76に記載のキット。
【請求項91】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項76に記載のキット。
【請求項92】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記追加的なプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項76に記載のキット。
【請求項93】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【請求項94】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【請求項1】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列とTHDプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列、及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記THDプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記THDプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記シグナルを検出する工程であって、前記シグナルは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記工程(a)は、(i)前記THDプライマー及び(ii)標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(a)は、(i)前記THDプライマー及び(ii)上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の下流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルを増幅させるために、前記工程(a)−(b)または(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程と、その反復サイクルの間に変性過程とをさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(c)の前記検出は、リアルタイム方式、エンド−ポイント(end−point)方式または指定時間間隔(predetermined time interval)方式で行われる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項1から3のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項7】
前記THDプライマーは、請求項6に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標識プローブは、請求項6に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項6に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列と一対のプライマーをハイブリッド形成させる工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーから構成されて、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む工程と、
(b)鋳型依存的核酸ポリメラーゼにより前記二つのプライマーの5’−切断反応及び3’−伸長反応が発生する条件下で、前記工程(a)の結果物を5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼと接触させる工程であって、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記ポリメラーゼ活性により伸長されて、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの前記5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)工程(b)の前記結果物を変性させる工程と、
(d)前記工程(a)−(c)を少なくとも2回反復する工程であって、前記ターゲット核酸配列及び前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルの両方を増幅させる工程と、
(e)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(d)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(d)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記工程(a)は、追加的な標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記工程(a)は、追加的に上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項25から27のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項30】
前記THDプライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記二つのプライマーのうち、THDプライマーではない他のプライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項25から27及び29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記標識プローブは、請求項29に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項29に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記二つのプライマーに連結された前記標識は、互いに異なっている請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項26に記載の方法。
【請求項43】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項43に記載の方法。
【請求項45】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項25に記載の方法。
【請求項47】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項26に記載の方法。
【請求項48】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項25から27のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を伴うポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列、一対のプライマー及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼを含むPCR混合物を準備する工程であって、前記一対のプライマーは、前記ターゲット核酸配列を増幅できる正方向プライマー及び逆方向プライマーを含み、これらのうち、少なくとも一つのプライマーは、前記THDプライマーであって、前記THDプライマーは、(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対を含み、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これによって前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応により前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする工程と、
(b)前記PCR混合物を利用して前記ターゲット核酸配列を増幅させる工程であって、プライマーアニーリング、プライマー伸長及び変性を少なくとも2回行って、前記二つのプライマーは、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、ターゲット核酸配列を増幅して、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断されて、二つのプライマーのうち、前記THDプライマーから前記レポーター分子または前記クエンチャー分子が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される工程と、
(c)前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記蛍光シグナルを検出する工程であって、前記検出は、工程(b)の前記反復の各サイクルにおいて、工程(c)の前記反復の終了時点で、または前記反復の間の指定時間間隔のそれぞれで行われて、このようなシグナルは、ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記工程(a)は、追加的に標識プローブを利用して行われて、前記標識プローブは、その3’−末端が修飾されて鋳型依存的核酸ポリメラーゼによる伸長が防止され、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、工程(b)で切断されて前記標識プローブに連結された標識が放出される請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記工程(a)は、追加的に上流プライマーまたは下流プライマーを利用して行われて、前記上流プライマーは、前記THDプライマーがハイブリッド形成される位置の上流位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有して、前記下流プライマーは、前記二つのプライマー間の一位置にハイブリッド形成されて、前記THDプライマーと同一な方向を有する請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記工程(a)は、THDプライマーに対して逆方向を有する少なくとも一つの追加的なプライマーを利用して行われる請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項51から53のいずれかに記載の方法。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリングに関して、5’−第1プライミング部位を3’−第2プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第1プライミング部位及び前記3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項56】
前記THDプライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記二つのプライマーのうち、THDプライマーではない他のプライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項51から53及び55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記標識プローブは、請求項55に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、請求項55に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記二つのプライマーは、両方とも工程(b)で放出される標識を有する請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記二つのプライマーに連結された前記標識は、互いに異なっている請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項52に記載の方法。
【請求項67】
前記上流プライマーまたは前記下流プライマーは、工程(b)で放出される標識を有する請求項53に記載の方法。
【請求項68】
前記上流プライマーまたは下流プライマーに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項67に記載の方法。
【請求項69】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項51に記載の方法。
【請求項71】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項52に記載の方法。
【請求項72】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記正方向プライマー及び前記逆方向プライマーである前記二つのプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記上流プライマーまたは下流プライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項53に記載の方法。
【請求項73】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
ターゲットハイブリダイゼーション及び検出プライマー(target hybridization and detection primer、THDプライマー)の5’−切断反応及び3’−伸長反応を利用してDNAまたは核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するためのキットであって、
(a)(i)前記ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列及び(ii)一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含むTHDプライマーと、
(b)5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存的核酸ポリメラーゼ(前記THDプライマーが前記ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性により伸長されて、前記THDプライマーは、前記核酸ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により切断され、前記THDプライマーから前記標識または前記相互作用的標識システムの少なくとも一つの標識が放出されて、これにより前記ターゲット核酸配列の存在を示すシグナルが発生される)と、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項76】
前記キットは、少なくとも一つの追加的なプライマー、標識プローブ、またはこれらの組み合わせを追加的に含む請求項75に記載のキット。
【請求項77】
前記少なくとも一つの追加的なプライマーは、一つの標識または多数の標識を含む相互作用的標識システムを含む請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記THDプライマーは、下記一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有するか、または下記一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項75に記載のキット。
5’−Xp−Yq−Zr−3’ (I)
(式中、Xpは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第1プライミング部位であり、Yqは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Zrは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第2プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X、Y及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第1プライミング部位のTmは、3’−第2プライミング部位のTmより高く、前記分割部位は、前記三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸配列に対するアニーリング側面で、5’−第1プライミング部位が3’−第2プライミング部位から分割されるようにして、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、5’−第1プライミング部位及び3’−第2プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
5’−X’p−Y’q−Z’r−3’ (II)
(式中、X’pは、ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2プライミング部位であり、Y’qは、少なくとも三つ以上のユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’rは、ターゲット配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1プライミング部位であり、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、5’−第2プライミング部位のTmは、3’−第1プライミング部位のTmより低く、前記分割部位は、前記X’p、Y’q及びZ’rの三つの領域のうち、最も低いTmを有して、前記分割部位は、ターゲット核酸に対するアニーリングに関して、前記5’−第2プライミング部位を前記3’−第1プライミング部位から分割し、これにより、前記オリゴヌクレオチドの前記アニーリング特異性が、前記5’−第2プライミング部位及び前記3’−第1プライミング部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記THDプライマーの全体アニーリング特異性を向上させる。)
【請求項79】
前記少なくとも一つの追加的なプライマーは、請求項78に記載の一般式Iの二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する請求項76または77に記載のキット。
【請求項80】
前記標識プローブは、請求項78に記載の一般式IIの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する請求項76に記載のキット。
【請求項81】
前記THDプライマーは、その5’−末端部位に少なくとも一つの標識を含む請求項75に記載のキット。
【請求項82】
前記THDプライマーは、その5’−末端に少なくとも一つの標識を含む請求項81に記載のキット。
【請求項83】
前記標識は、化学的標識、酵素標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、化学発光標識または金属標識である請求項75または77に記載のキット。
【請求項84】
前記相互作用的標識システムは、蛍光レポーター分子及びクエンチャー分子の一対であり、前記クエンチャー分子は、前記THDプライマー上に前記レポーター分子の蛍光をクエンチングするように位置して、二つの標識は、ヌクレアーゼ切断が起こるTHDプライマー内の一位置により分割されており、これにより、前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、前記位置における切断反応によって前記クエンチャー分子から前記レポーター分子を分離させて、これは、前記ターゲット核酸配列の存在を示す前記シグナルが発生されるようにする請求項75または77に記載のキット。
【請求項85】
前記蛍光レポーター分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記クエンチャー分子は、前記蛍光レポーター分子から下流に位置する請求項84に記載のキット。
【請求項86】
前記クエンチャー分子は、前記THDプライマーの5’−末端部位に位置して、前記蛍光レポーター分子は、前記クエンチャー分子から下流に位置する請求項84に記載のキット。
【請求項87】
5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する前記鋳型依存的核酸ポリメラーゼは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【請求項88】
前記追加的なプライマー及び/または前記標識プローブに連結された前記標識は、前記THDプライマーに連結されたものと相異なっている請求項76または77に記載のキット。
【請求項89】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項75に記載のキット。
【請求項90】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記追加的なプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含む請求項76に記載のキット。
【請求項91】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項76に記載のキット。
【請求項92】
前記ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、前記THDプライマーは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記追加的なプライマーのそれぞれは、少なくとも2種のプライマーを含み、前記標識プローブは、少なくとも2種のプローブを含む請求項76に記載のキット。
【請求項93】
前記ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【請求項94】
前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である請求項75から77のいずれかに記載のキット。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2013−509871(P2013−509871A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537789(P2012−537789)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007064
【国際公開番号】WO2011/055875
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507292955)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007064
【国際公開番号】WO2011/055875
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507292955)
【Fターム(参考)】
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