説明

TIG溶接装置

【課題】前端に電極を有する溶接トーチと、前記電極の前方にフィラーワイヤを導くフィラーワイヤガイドとを備えるTIG溶接装置において、フィラーワイヤを用いたTIGフィラー溶接と、フィラーワイヤを用いないTIG溶接とを1台で使い分けができるようにする。
【解決手段】溶接トーチ12を支持する固定のベース15に、フィラーワイヤガイド14を保持するガイドホルダ27が作動可能に支持され、ガイドホルダ駆動手段32が、フィラーワイヤガイド14から電極11の前方にフィラーワイヤ13を供給することを可能としたワイヤ供給位置と、溶接トーチ12の後部側方にフィラーワイヤガイド14を退避させる退避位置との間でガイドホルダ27を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前端に電極を有する溶接トーチと、前記電極の前方にフィラーワイヤを導くフィラーワイヤガイドとを備えるTIG溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接トーチに、フィラーワイヤを導くフィラーワイヤガイドが固定的に取付けられたTIG溶接装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−1540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のものでは、溶接トーチの前端の電極に対してフィラーワイヤガイドが近接した位置に固定配置されるので、フィラーワイヤガイドの干渉を回避しつつ狭い箇所に溶接トーチの前端を差し込むような溶接ができなかった。このため比較的広く、かつ大きな溶接強度が要求される箇所には、フィラーワイヤガイドによってフィラーワイヤを導くようにしたTIGフィラー溶接を行い、狭い箇所の溶接はフィラーワイヤを供給しないTIG溶接を行うようにした場合、TIGフィラー溶接用の溶接装置と、フィラーワイヤを用いないTIG溶接用の溶接装置とを使い分ける必要があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、フィラーワイヤを用いたTIGフィラー溶接と、フィラーワイヤを用いないTIG溶接とを1台で使い分けができるようにしたTIG溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前端に電極を有する溶接トーチと、前記電極の前方にフィラーワイヤを導くフィラーワイヤガイドとを備えるTIG溶接装置において、前記溶接トーチを支持する固定のベースと、前記フィラーワイヤガイドを保持するとともに前記ベースに作動可能に支持されるガイドホルダと、前記フィラーワイヤガイドから前記電極の前方に前記フィラーワイヤを供給することを可能としたワイヤ供給位置ならびに前記溶接トーチの後部側方に前記フィラーワイヤガイドを退避させる退避位置間で前記ガイドホルダを駆動するガイドホルダ駆動手段とを含むことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ガイドホルダが、前記溶接トーチの長手方向に沿って移動することを可能として該溶接トーチの側方に配置される可動台に回動可能に支持され、前記フィラーワイヤガイドが前記ガイドホルダから前記溶接トーチ側に彎曲して形成され、前記ガイドホルダ駆動手段が、前記可動台を前記溶接トーチの側方で該溶接トーチの長手方向に沿って移動させる進退駆動機構と、前記溶接トーチに対して前記フィラーワイヤガイドの先端部が近接・離反するように前記ガイドホルダを回動させる回動駆動機構とを備えることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記回動駆動機構が、前記進退駆動機構の作動に連動して前記フィラーワイヤガイドの先端部を前記溶接トーチに対して近接・離反させるように前記ガイドホルダを回動駆動するように構成されることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、フィラーワイヤを導くフィラーワイヤガイドを保持するガイドホルダが、ガイドホルダ駆動手段によってワイヤ供給位置および退避位置間を作動するように駆動され、ワイヤ供給位置では、溶接トーチの前端の電極の前方にフィラーワイヤガイドからフィラーワイヤを供給することが可能であるので、比較的広く、かつ大きな溶接強度が要求される箇所でフィラーワイヤを用いたTIGフィラー溶接を行う場合にはガイドホルダをワイヤ供給位置にもたらしておけばよく、また退避位置では、フィラーワイヤガイドが溶接トーチの後部側方に退避するので、狭い箇所に電極を差し込むのに障害となるフィラーワイヤガイドが電極近傍に配置されておらず、フィラーワイヤを供給せずに狭い箇所のTIG溶接を行うようにした場合にはガイドホルダを退避位置に移動させればよく、フィラーワイヤを用いたTIGフィラー溶接と、フィラーワイヤを用いないTIG溶接とを1台の溶接装置で使い分けることが可能となる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば、ガイドホルダが、溶接トーチの長手方向に沿って移動可能な可動台に回動可能に支持され、フィラーワイヤガイドがガイドホルダから溶接トーチ側に彎曲して形成され、可動台を溶接トーチの側方で該溶接トーチの長手方向に沿って移動させる進退駆動機構と、ガイドホルダを回動させてフィラーワイヤガイドを溶接トーチに対して近接・離反させる回動駆動機構とをガイドホルダ駆動手段が備えるので、ガイドホルダの直線的な移動および回動を組み合わせることで、フィラーワイヤガイドを、ワイヤ供給位置および退避位置との間で効果的に作動せしめることができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば、回動駆動機構は進退駆動機構の作動に連動してガイドホルダを回動駆動するように構成されるので、ガイドホルダを回動駆動するためのアクチュエータが不要であり、部品点数の低減およびコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ガイドホルダがワイヤ供給位置にある状態でのTIG溶接装置の一部を切欠いて示す縦断側面図である。
【図2】図1の2矢視平面図である。
【図3】図1の3矢示部拡大図である。
【図4】図2の4矢示部拡大図である。
【図5】図3の5矢視図である。
【図6】ワイヤ供給位置および退避位置間でのガイドホルダの作動途中の状態を示すための図4に対応した平面図である。
【図7】ガイドホルダが退避位置にある状態でのTIG溶接装置の図2に対応した平面図である。
【図8】図3の8−8線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図1〜図8を参照しながら説明する。
【0014】
先ず図1および図2において、このTIG溶接装置は、前端に電極11を有する溶接トーチ12と、前記電極11の前方にフィラーワイヤ13を導くフィラーワイヤガイド14とを備え、前記電極11の前方にフィラーワイヤガイド14からフィラーワイヤ13を供給するようにしたTIGフィラー溶接と、フィラーワイヤ13を用いないTIG溶接とを切り換えて実行することが可能である。
【0015】
図3〜図6を併せて参照して、図示しないロボットの腕等に固定されるベース15は、前記溶接トーチ12の長手方向に長く延びるベース主部15aと、該ベース主部15aの前端寄りの一側部から側方に突出する突出部15bとを一体に有して平板状に形成されるものであり、該ベース15と平行に延びる前記溶接トーチ12の後部が、前記ベース15の突出部15bに固定されるトーチホルダ16に保持される。しかも前記溶接トーチ12の後端部には、該溶接トーチ12の前端から噴出されるアルゴンガスを供給するためのガス供給管17と、溶接トーチ12を冷却すべく該溶接トーチ12内を流通せしめる冷却水の入口管18および出口管19とが接続される。
【0016】
図5に明示するように、前記ベース15の突出部15bにおける一面には位置決め凹部20が設けられており、その位置決め凹部20に一端を嵌合した支持ブロック21の他端が前記トーチホルダ16に嵌合され、トーチホルダ16および支持ブロック21が、前記ベース15の突出部15bに複数たとえば一対のボルト22,22で共締めされることによって、前記トーチホルダ16が前記ベース15の突出部15bに固定される。
【0017】
前記ベース15のベース主部15aには、前記溶接トーチ12の長手方向と平行に延びるレール24が複数のボルト25…で固着されており、このレール24に沿って移動可能な可動台26、すなわち溶接トーチ12の側方で該溶接トーチ12の長手方向に移動可能な可動台26にガイドホルダ27が回動可能に配設される。このガイドホルダ27は、前記可動台26に対向する平板状の回動支持板28と、回動支持板28の一端に直角に連なるホルダ保持板29とが複数のボルト30…で締結されて成るものであり、略L字状に形成される。
【0018】
前記フィラーワイヤガイド14は、前記ガイドホルダ27のホルダ保持板29に保持されており、前記ガイドホルダ27から前記溶接トーチ12側に彎曲して形成される。またガイドホルダ27で保持されたフィラーワイヤガイド14には、図示しないフィラーワイヤ供給装置に連なるガイドチューブ31が接続される。
【0019】
前記ガイドホルダ27はガイドホルダ駆動手段32によって駆動されるものであり、このガイドホルダ駆動手段32は、前記電極11の前方に前記フィラーワイヤガイド14から前記フィラーワイヤ13を供給することを可能としたワイヤ供給位置(図1〜図5で示す位置)と、前記溶接トーチ12の後部側方に前記フィラーワイヤガイド14を退避させる退避位置(図7で示す位置)との間で、前記ガイドホルダ27を駆動する。
【0020】
而して前記ガイドホルダ駆動手段32は、前記ガイドホルダ27を前記溶接トーチ12の側方で該溶接トーチ12の長手方向に沿って移動させる進退駆動機構33と、前記溶接トーチ12に対して前記フィラーワイヤガイド14の先端部が近接・離反するように前記ガイドホルダ27を回動させる回動駆動機構34とを備える。
【0021】
前記進退駆動機構33は、前記溶接トーチ12の長手方向中間部の側方に前記ガイドホルダ27を位置させる前進位置(図1〜図4で示す位置)と、前記溶接トーチ12の後端部よりも後方に前記ガイドホルダ27を位置させる後退位置(図7で示す位置)との間で前記可動台26を進退駆動するものであり、前記レール24の長手方向に沿う軸線を有して前記ベース15上に固定されるエアシリンダ35が備えるピストンロッド36に前記可動台26の後部がユニバーサルジョイント37を介して連結されて成り、エアシリンダ35の作動による前記ピストンロッド36の伸縮に応じて前記可動台26が前記レール24上を前進位置および後退位置間で移動する。
【0022】
図8を併せて参照して、前記ベース15のベース主部15aにおける前端には、前記可動台26を前進位置としたときに該可動台26に前方から対向する前部規制板39が一対のボルト40,40で固着される。この前部規制板39には、前記レール24の長手方向に沿う軸線を有する前進位置規制用ねじ部材41がその後端を可動台26側に突出させるようにして螺合され、前部規制板39に前方から係合するロックナット42が前進位置規制用ねじ部材41に螺合される。一方、前記可動台26の前端には、前記前進位置規制用ねじ部材41の後端に当接する規制ボルト43が螺合されており、該規制ボルト43が前記前進位置規制用ねじ部材41の後端に当接することによって前記可動台26の前進位置が規制され、前記ロックナット42を緩めて前進位置規制用ねじ部材41の軸方向進退位置を調節することによって可動台26の前進位置を調節することができる。
【0023】
図1、図2および図7に注目して、前記ベース15のベース主部15aにおける後部には、前記可動台26を後退位置としたときに該可動台26に後方から対向する後部規制板44が締結される。この後部規制板44には、前記レール24の長手方向に沿う軸線を有する後退位置規制用ねじ部材45がその前端を可動台26側に突出させるようにして螺合され、後部規制板44に後方から係合するロックナット46が後退位置規制用ねじ部材45に螺合される。一方、前記可動台26の後端には、前記後退位置規制用ねじ部材45の前端に当接する規制ボルト47が螺合されており、該規制ボルト47が前記後退位置規制用ねじ部材45の前端に当接することによって前記可動台26の後退位置が規制され、前記ロックナット46を緩めて後退位置規制用ねじ部材45の軸方向進退位置を調節することによって可動台26の後退位置を調節することができる。
【0024】
前記エアシリンダ35の軸線Cの延長上で該軸線Cと直交する軸線を有する支軸48が可動台26に固着されており、この支軸48は、ガイドホルダ27における回動支持板28の後部に挿通され、支軸48および回動支持板28間にボールベアリング49が介装される。すなわちガイドホルダ27は、前記エアシリンダ35の軸線Cの延長上で該軸線Cと直交する支軸48の軸線まわりに回動することを可能として前記可動台26に支持される。しかもガイドホルダ27における回動支持板28の前記支軸48およびホルダ保持板29間には、前記支軸48の軸線を中心とする円弧状のガイド孔50が設けられており、このガイド孔50には、前記可動台26に固着されたガイドピン51が挿通され、ガイドホルダ27は、ガイドピン51でガイドされるようにして前記支軸48の軸線まわりに回動することになる。
【0025】
しかも前記フィラーワイヤガイド14が、前記ガイドホルダ27から前記溶接トーチ12側に彎曲して形成されているので、ガイドホルダ27は、前記溶接トーチ12に対して前記フィラーワイヤガイド14の先端部が近接・離反するように回動することになる。
【0026】
前記回動駆動機構34は、前記進退機構33によって前記可動台26が前進位置から後退位置に移動せしめられる際に前記ガイドホルダ27を前記フィラーワイヤガイド14の先端部が前記溶接トーチ12から離反する側に回動せしめるばね54と、前記進退機構33によって前記可動台26が後退位置から前進位置に移動せしめられる際に前記フィラーワイヤガイド14の先端部が前記溶接トーチ12に近接する側に前記ガイドホルダ27を回動せしめるボルト55およびねじ部材56とを備える。
【0027】
コイルばねである前記ばね54は、前記ガイドホルダ27のホルダ保持板29に固着された第1ばね受け部材57と、前記可動台26の後部に固着された第2ばね受け部材58との間に張設されており、第1および第2ばね受け部材57,58は、前記エアシリンダ35の軸線Cの延長線に関して前記溶接トーチ12とは反対側に配置されている。したがってガイドホルダ27は、該ガイドホルダ27で保持した前記フィラーワイヤガイド14の先端部が前記溶接トーチ12から離反せしめる方向に回動付勢されることになる。
【0028】
而して可動台26が前進位置から後退位置側に移動すると、前記ばね54のばね力によって、前記ガイドホルダ27は、図6で示すように、該ガイドホルダ27で保持した前記フィラーワイヤガイド14の先端部を前記溶接トーチ12から離反せしめる方向に回動するのであるが、前記フィラーワイヤガイド14の先端部を前記溶接トーチ12から離反させる側へのガイドホルダ27の回動端は、可動台26に植設されたストッパピン60にガイドホルダ27の回動支持板28が当接することによって規制される。
【0029】
ところで、前記エアシリンダ35の軸線Cの延長線よりも前記溶接トーチ12側で前記ガイドホルダ27におけるホルダ保持板29には、前記可動台26の前方に位置する突部29aが一体に設けられており、この突部29aに前記ボルト55が螺合される。一方、前記突部29aに前方から対向する前部規制板39には、前記レール24の長手方向に沿う軸線を有する前記ねじ部材56がその後端を前記突部29a側に突出させるようにして螺合され、前部規制板39に前方から係合するロックナット59が前記ねじ部材56に螺合される。
【0030】
而して前進位置から後退位置側に可動台26が移動すると、図6で示すように、フィラーワイヤガイド14の先端部が溶接トーチ12から離反するようにガイドホルダ27が回動し、ガイドホルダ27を回動端まで回動させた状態のままで可動台26が後退位置に移動することで、図7で示すように、前記ガイドホルダ27は、前記溶接トーチ12の後部側方にフィラーワイヤガイド14を退避させる退避位置となる。
【0031】
また後退位置から前進位置に可動台26が前進する際には、ガイドホルダ27におけるホルダ保持板29の突部29aに螺合されたボルト55の軸線を前記ねじ部材56の軸線に対して傾斜させた状態のままで可動台26が前進し、可動台26の前端の規制ボルト43が前進位置規制用ねじ部材41の後端に当接する前進位置の直前で、前記ガイドホルダ27におけるホルダ保持板29の突部29aに螺合されたボルト55が、前記エアシリンダ35の軸線Cの延長線よりも前記溶接トーチ12側で前記ねじ部材56の後端に当接する。この状態でエアシリンダ16から可動台26に前進方向の推力が作用することにより、エアシリンダ16の軸線Cの延長線上にある支軸48からボールベアリング49を介してガイドホルダ27に前記軸線Cに沿う前進方向の力が作用することになり、ガイドホルダ27は、ボルト55をねじ部材56の後端に摺接させつつ前記ばね54のばね力に抗して、フィラーワイヤガイド14の先端部を溶接トーチ12に近接させる方向に回動し、ボルト55の軸線が前記軸線Cと平行になった状態で可動台26の前端の規制ボルト43が前進位置規制用ねじ部材41の後端に当接する前進位置となり、この状態で前記ガイドホルダ27は、フィラーワイヤガイド14から電極11の前方にフィラーワイヤ13を供給することを可能としたワイヤ供給位置となる。
【0032】
すなわち前記回動駆動機構34は、進退駆動機構33の作動に連動して前記フィラーワイヤガイド14の先端部を溶接トーチ12に対して近接・離反させるようにガイドホルダ27を回動駆動するように構成されることになる。
【0033】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、フィラーワイヤ13を導くフィラーワイヤガイド14を保持するガイドホルダ27が、ガイドホルダ駆動手段32によってワイヤ供給位置および退避位置間を作動するように駆動され、ワイヤ供給位置では、溶接トーチ12の前端の電極11の前方にフィラーワイヤガイド14からフィラーワイヤ13を供給することが可能であるので、比較的広く、かつ大きな溶接強度が要求される箇所でフィラーワイヤ13を用いたTIGフィラー溶接を行う場合にはガイドホルダ27をワイヤ供給位置にもたらしておけばよい。また退避位置では、フィラーワイヤガイド14が溶接トーチ12の後部側方に退避するので、狭い箇所に電極11を差し込むのに障害となるフィラーワイヤガイド14が電極11近傍に配置されておらず、フィラーワイヤ13を供給せずに狭い箇所のTIG溶接を行うようにした場合にはガイドホルダ27を退避位置に移動させればよく、フィラーワイヤ13を用いたTIGフィラー溶接と、フィラーワイヤ13を用いないTIG溶接とを1台の溶接装置で使い分けることが可能となる。
【0034】
またガイドホルダ27が、溶接トーチ12の長手方向に沿って移動可能な可動台26に回動可能に支持されており、フィラーワイヤガイド14がガイドホルダ27から溶接トーチ12側に彎曲して形成され、可動台26を溶接トーチ12の側方で該溶接トーチ12の長手方向に沿って移動させる進退駆動機構33と、ガイドホルダ27を回動させてフィラーワイヤガイド14を溶接トーチ12に対して近接・離反させる回動駆動機構34とをガイドホルダ駆動手段32が備えるので、ガイドホルダ27の直線的な移動および回動を組み合わせることで、フィラーワイヤガイド14を、ワイヤ供給位置および退避位置との間で効果的に作動せしめることができる。
【0035】
さらに回動駆動機構34は進退駆動機構33の作動に連動してガイドホルダ27を回動駆動するように構成されるので、ガイドホルダ27を回動駆動するためのアクチュエータが不要であり、部品点数の低減およびコストの低減を図ることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0037】
たとえば上記実施の形態では、可動台26を進退させるためのアクチュエータとしてエアシリンダ35を用いたが、サーボモータ等を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
11・・・電極
12・・・溶接トーチ
13・・・フィラーワイヤ
14・・・フィラーワイヤガイド
15・・・ベース
26・・・可動台
27・・・ガイドホルダ
32・・・ガイドホルダ駆動手段
33・・・進退駆動機構
34・・・回動駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に電極(11)を有する溶接トーチ(12)と、前記電極(11)の前方にフィラーワイヤ(13)を導くフィラーワイヤガイド(14)とを備えるTIG溶接装置において、前記溶接トーチ(12)を支持する固定のベース(15)と、前記フィラーワイヤガイド(14)を保持するとともに前記ベース(15)に作動可能に支持されるガイドホルダ(27)と、前記フィラーワイヤガイド(14)から前記電極(11)の前方に前記フィラーワイヤ(13)を供給することを可能としたワイヤ供給位置ならびに前記溶接トーチ(12)の後部側方に前記フィラーワイヤガイド(14)を退避させる退避位置間で前記ガイドホルダ(27)を駆動するガイドホルダ駆動手段(32)とを含むことを特徴とするTIG溶接装置。
【請求項2】
前記ガイドホルダ(27)が、前記溶接トーチ(12)の長手方向に沿って移動することを可能として該溶接トーチ(12)の側方に配置される可動台(26)に回動可能に支持され、前記フィラーワイヤガイド(14)が前記ガイドホルダ(27)から前記溶接トーチ(12)側に彎曲して形成され、前記ガイドホルダ駆動手段(32)が、前記可動台(26)を前記溶接トーチ(12)の側方で該溶接トーチ(12)の長手方向に沿って移動させる進退駆動機構(33)と、前記溶接トーチ(12)に対して前記フィラーワイヤガイド(14)の先端部が近接・離反するように前記ガイドホルダ(27)を回動させる回動駆動機構(34)とを備えることを特徴とする請求項1記載のTIG溶接装置。
【請求項3】
前記回動駆動機構(34)が、前記進退駆動機構(33)の作動に連動して前記フィラーワイヤガイド(14)の先端部を前記溶接トーチ(12)に対して近接・離反させるように前記ガイドホルダ(27)を回動駆動するように構成されることを特徴とする請求項2記載のTIG溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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