説明

TNF−Rアゴニスト療法レジメンの毒性を緩和するためのTLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンの使用

TNF−Rアゴニスト、例えばCD40アゴニストを使用する、改善された(より安全でより有効な)治療の方法を提供する。これらの方法は、TNF−Rアゴニストが(1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストを伴わずに)単独療法として使用される場合に他のやり方では一部の患者に生じる可能性がある毒性(肝毒性)を予防するか又は低下させるのに有効である量の1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストの追加を必要とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
優先権情報
本出願は、2007年6月15日出願の仮出願シリアル番号60/944,288に対する優先権の利益を主張して、2003年12月30日出願の米国シリアル番号10/748,01[これは、2002年12月30日出願の米国仮出願シリアル番号60/437,398に対する優先権を主張して、さらに2007年5月3日出願の米国シリアル番号11/743,978(これは、2006年9月5日出願の米国仮出願60/842,009、2006年6月1日出願の60/809,821、及び2006年5月3日出願の60/796,867に対する優先権を順に主張する)に対する優先権を主張して、その一部継続出願である]に対する優先権をさらに主張して、その一部継続出願である。これらの出願は、いずれもその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0001] 本発明は、TNF/TNF−Rスーパーファミリーアゴニスト、最も具体的にはCD40アゴニストの投与時に観察される毒性、具体的には肝毒性を、単独療法として使用されるときに肝毒性を引き起こすTNF/TNF−Rアゴニストの投与を含む療法又は免疫アジュバントレジメンにおいて、前記毒性、具体的には肝毒性を予防又は緩和するのに十分な量の少なくとも1つの1型インターフェロン及び/又はtoll様受容体(TLR)アゴニストをさらに投与することによって緩和する方法に概して関する。また、1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストの追加は、TNF−Rアゴニストがより高い投与量で投与されることを可能にして、それにより効力を高める。これらの療法レジメンには、例を挙げれば、癌、感染症、自己免疫疾患、アレルギー及び炎症性疾患が含まれる様々な慢性疾患を治療するための上記免疫アゴニスト及び/又はサイトカインの免疫刺激性の組合せの使用が含まれる。
【0003】
発明の背景
[0002] この10年では、癌標的抗原の同定における指数関数的な増大が見られたが、これらの標的に対して効果的に免疫化するヒト用アジュバントの開発への同様の進展は、遅れている。Toll様受容体とそのリガンドと、適応免疫を制御する受容体−リガンドの分子同定は、癌に対する保護的免疫応答を誘発するようにアジュバントを分子的に調合する最初の論理的な仮説ベースの戦略を提供してきた。自然免疫応答を発動させることにおけるTLRの重要性と並んで、CD40とそのリガンドは、適応免疫応答の発現のための中心的なアクチベータとなっている。
【0004】
[0003] おそらく、癌と戦うための我々のアプローチの最も弱い側面の1つは、癌関連抗原に対して強くて長期持続的な免疫を誘発することができるアジュバントの不足であろう。これまで、我々は、炎症を誘導するように見える薬剤の使用に依存してきた。Alumは、水酸化アルミニウム及びリン酸塩の塩であり、体液性の免疫応答を主に誘発する。このアジュバントは、1926年に初めて利用されて、FDAが初めて新薬承認の権威を1938年に引き受けたときに、実際上承認された。Alumは、唯一のFDA承認アジュバントであり、破傷風トキソイドのような、我々が一般的に使用しているいくつかのワクチンの成分である。カルメット・グラン桿菌(BCG)、アオガイヘモシアニン(KLH)、不完全フロイントアジュバント(IFA)のように、癌の臨床試験で利用されてきた多くの他のアジュバント(非サイトカイン)があるが、このいずれもそのほとんど理解されていない作用機序と、穏和なアジュバント活性を有する。免疫アジュバントの受容体(Toll様受容体)を解明する最初の研究が産声をあげた1999年になって初めて、免疫系のこれらの「非特異的」アクチベータが自然免疫のトリガーとなる仕組みの分子的理解が始まったのである。TLRは、造血系及び非造血系の細胞で発現される1型膜タンパク質である。現在、TLRファミリーには11のメンバーがある。これらの受容体は、病原微生物によって発現される病原体関連分子パターン(PAMP)を認識するその能力によって特性決定される。典型的なPAMPには、LPS、DNA(CpG)、リポタンパク質、ssRNA、及び糖脂質が含まれる。これらがTLRの真の内因性リガンドがあるかどうかは依然として論議の的であるが、TLR2とTLR4は、熱ショックタンパク質ファミリーのhsp60及びhsp70のメンバーが含まれる、いくつかの自己タンパク質を認識することができると報告されている。
【0005】
[0004] 一般に、TLRのトリガリング(triggering)は、サイトカイン産生の増強(IL12、IL18、等)、ケモカイン受容体発現(CCR2、CCR5、及びCCR7)、及び補助刺激分子発現を介して、甚大な炎症応答を誘発する。これらの受容体は、そのままで、自然免疫系において、後続する獲得免疫応答の極性に対する制御を行使する。
【0006】
[0005] CD40のリガンド(CD40L、gp39)であるCD154又はCD40Lは、TNF−α、リンホトキシン、FasL、CD30L、CD27L、4−1BBL、及びOX−40Lが含まれる腫瘍壊死因子ファミリーの32〜39kDのメンバーである。活性化CD4 T細胞は、CD154発現の主因となる優勢な細胞種である。CD8T細胞、好酸球、マスト細胞及び好塩基球、NK細胞、及びDC上でのCD154の発現についても記載されてきた。CD154の受容体であるCD40は、TNF−RI(p55)、TNF−RII(p75)、p75ニュートロフィン受容体、fas、CD30、CD27、4−IBB、及びOX−40が含まれる腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)スーパーファミリーのメンバーである。それは、50kDの膜タンパク質であり、その組織分布は、B細胞、DC(DCの)、及び基底上皮細胞に限られていると当初考えられたが、後の研究は、単球/マクロファージ、ミクログリア細胞、及び内皮細胞上でのCD40の機能的な発現を示した。
【0007】
[0006] 単離DCに関する in vitro 研究は、CD40トリガリングが、サイトカイン(IL12、IL15)、ケモカイン(IP10、MIP−1β、MIP−1α、及びIL−8)、補助刺激分子発現(CD80、CD86)、及びケモカイン受容体の発現を改変させることを示した。これらの効果は、いずれも、T細胞の増殖及び分化の増強を刺激するCD40活性化DCの能力に行き着く。我々自身のデータは、TNFαやRANKLと比較して、CD154が初期のシグナル伝達、サイトカイン産生、及びケモカイン産生に対してはるかに甚大な効果を発揮することを示す。DCのCD40トリガリングの他の1つの重大な影響は、ペプチド−MHCIIの代謝回転における変化である。Lanzavecchia はLPSを使用して、そして我々は□を使用して、CD40アゴニストでのDCの成熟化により、DCの表面上でのMHCII−ペプチド複合体の蓄積が促進されることを示した。我々のラボや他のラボからの研究は、CD40がDCの in vivo での重要な長命シグナルであるらしいことを示している。
【0008】
[0007] CD4T細胞の非存在下にCMIを誘発するCD40アゴニストの成功は、CD40アゴニストを癌ワクチン用アジュバントとして使用することへの実質的な熱狂をもたらした。Glennie と共同研究者による一連の研究は、□CD40を使用して、CD40リンパ腫の腫瘍退縮を達成することができることを示したが、抗CD40の用量は、きわめて高く(250μg/日、2〜5日間)、そして奇妙にも、免疫化に必要とされる腫瘍接種量もきわめて高かった(5×l0/マウス)。それでも、上記CD40リンパ腫の臨床的寛解は印象的であった。CD40である造血系腫瘍に関する研究は、さほど印象的でなかった。CD40リンパ腫及び白血病での成功は、その腫瘍に対するCD40アゴニストの直接効果によるものであった可能性がある。リンパ腫及び白血病では、CD40アゴニストがそのAPC活性も増強させて、同時にそれらのアポトーシスを増強させる可能性がある。しかしながら、この同じ研究グループによる後の研究は、CD40アゴニストが固形腫瘍に対して有益な治療効果を発揮し得ることを実際に証明した。固形腫瘍を用いたいくつかの研究は、CD40活性化がアポトーシス死を促進すること、そしてCD40発現が、腫瘍細胞消去に貢献する腫瘍特異的T細胞応答の産生に重要な因子であることを示した。他の研究グループは、Melief と共同研究者のグループのように、CD40アゴニスト単独又はTLRアゴニスト単独で、Ad5E1A発現(CD40−)腫瘍(腫瘍型は記載されていない)に対して in vivo で有効な治療効果を誘発し得ることを示した。腎細胞癌モデルを使用して、Murphy と共同研究者は、アゴニスト抗CD40とIL−2の組合せだけが多数の処置マウスにおいて転移性腫瘍の完全な退縮と後続の再チャレンジに対する特異免疫を誘導するが、いずれの薬剤も単独投与ではそれを誘導しないことを示した。この場合、CD40アゴニスト単独での効力は、予測不能である。この腫瘍上でのCD40発現が重要であるかどうか、腫瘍負荷が重要であるかどうか、CD40単独が充分であるかどうか、そしてCD40アゴニスト療法の効力に液体腫瘍又は固形腫瘍で顕著な差があるかどうかも明瞭でない。
【0009】
[0008] CD40は、腫瘍保護の目的のために高められるCMI応答を誘導するのに合理的な標的であるが、文献のデータは、それが広範囲の腫瘍には適用可能でないことを示唆した。本発明者が含まれる当業者は、抗CD40抗体を単独療法として使用して保護的腫瘍免疫を高めるための一般的な方法を開発しようと精力的に研究して、失敗してきた。抗体の用量、接種の時機、経路、腫瘍型、異なるmab(モノクローナル抗体)、等のありとあらゆる変数について広汎に試験してきたが、これまでの努力は、Glennie により報告されたようなBリンパ腫及び白血病のモデルを除けば、無益であることがわかった。
【0010】
[0009] Kedl と共同研究者からの最近の研究は、CD40アゴニストを使用するときの保護的CTLの産生に影響を及ぼす可能性がある重要な変数のいくつかについてかなり光明を投げかけている。SIINFYKL特異的CTLとOVA形質導入B16についてのテトラマー染色を使用して、彼らは、抗CD40抗体アゴニストがSIINFYKL特異的CTLの損失を実際に加速することを示した。しかしながら、SIINFYKLミニ遺伝子を担うワクシニアウイルスで免疫化を行ったならば、抗CD40抗体アゴニストを使用して、増強されたCTL増大が観察された。腫瘍抗原に対する長期の免疫化がCD40アゴニストによって増強されるのは、その腫瘍抗原がウイルスベクターにおいて、又は炎症の状況において送達される場合だけであると結論された。従って、数多くの腫瘍モデルのアウトカムにおける大きな不一致は、抗体CD40アゴニストと相乗作用する補助炎症性(co-inflammatory)メディエーターが偶然加わることによるのかもしれない。
【0011】
[0010] このようなin vivo 研究は、CD40アゴニストによるDCの活性化のためのコシグナル(co-signals)の必要条件に関するいくつかの最近の報告をもたらした。公表された研究は、CD40エンゲージメント(engagement)単独では、DCによるIL12p70産生を in vitro と in vivo で誘導するのに不十分であることを示している。p40とp35についてmRNAを評価することによって、本発明者は、p35 mRNA発現の増強とIL12p70の産生には、TLR(STAg,トキソプラズマ・ゴンディからの抽出物)とCD40を介した同時エンゲージメントが必須であることを示した。この研究にヒトのDCを使用する検討が続いて、そこでは、IL12p70の in vitro 産生のためのCD40シグナル伝達では、CpG DNAが必須の同時刺激であることが示された。総合すると、これらは、CD40がDC成熟化のある側面を推進するのに必要であるが十分ではないことを文書化した最初の研究であった。しかしながら、それらは、CD40とTLRアゴニズムの共同作用がCMIを激しく(fulminately)誘発するのに不可欠であることの圧倒的な証拠を提供しなかった。
【0012】
[0011] 故に、ワクチン接種プロトコールにおいて、又は微生物感染症又は癌の間に適応免疫応答の有効性を高めるには、不利な毒性の副作用を誘発しない、新規でより有効なワクチンアジュバントを開発することが重要である。本発明は、このニーズを満たして、他の利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
[0012] 本発明は、(i)少なくとも1つのTNF−Rアゴニスト、好ましくは、臨床試験において単独療法として使用されるときに一部の被検者において肝毒性を誘発する投与量で含まれるCD40アゴニスト、(ii)単独療法として投与される場合の前記TNF−Rアゴニスト投与の肝毒性を低下又は消失させるのに統計学的に有効である投与量での、少なくとも1つの1型インターフェロン及び/又は少なくとも1つのTLRアゴニストの量、及び(iii)任意選択的に、それに対する細胞性免疫応答が望ましくは誘発される抗原(例えば、微生物、ウイルス、又は腫瘍の抗原)の組合せを含んでなる免疫アジュバントの投与に伴う改善された療法に関する。さらに本発明は、そのような療法の使用と、そこで免疫アジュバントとして使用するための組成物、そして肝毒性の望まれない誘発を伴わずにT細胞免疫が望ましくは増強される状態を治療するための組成物に関する。
【0014】
[0013] TLRアゴニストとCD40アゴニスト又は/及び任意選択的に抗原を含んでなる相乗作用アジュバントの使用は、その出願がその全体において参照により本明細書に組み込まれる2003年12月30日出願の米国シリアル番号10/748,010に開示されている。この先行出願は、多様な単離TLRアゴニスト化合物と、CD40と他のTNF−Rアゴニスト、及び任意選択的に、それに対してT細胞免疫応答が望ましくは誘発される所望の抗原と一緒のそれらの使用、並びに、癌、感染、自己免疫疾患のような状態と抗原特異的T細胞免疫が所望される他の状態を治療するための免疫アジュバントとしてのそれらの使用を例示する。
【0015】
[0014] 本発明は、1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストを使用して、TNF−Rアゴニスト療法レジメンの有毒な副作用を低下又は消失させることができるという発見に関するので、その延長である。本主題の療法レジメンは、そのような治療を必要とする宿主へ以下の手段として投与することができる:
[0015] (i)いずれか一方のアゴニスト単独での免疫化に比べて増強された(指数的に優る)一次及びメモリーCD8+T細胞応答を産生すること;
[0016] (ii)抗原特異的CD8+T細胞の指数的増大を誘導すること;及び
[0017] (iii)CD4欠損又は除去宿主においても保護的免疫を産生すること、そして、
[0018] (iv)前記TNF−Rアゴニストを単独療法として使用する場合よりも実質的に少ない肝毒性を誘発する一方で、前記治療応答を産生する。
【0016】
[0019] いくつかのこれまでのTNF−Rアゴニスト療法レジメンとは対照的に、本発明のレジメンは、安全でも有効でもあり、即ち、それは、肝臓へのどの毒性も感知し得るほどには生じない。それにより、本発明は、TNF−Rアゴニストとして増強された効力をもたらし、例えば、CD40アゴニストをより高い投与量で、例えば、現行の療法レジメンより2倍〜10倍でも、肝毒性を伴わずに使用することができる。このことは、標的細胞、例えば、ウイルス被感染細胞又は腫瘍細胞に対するその効力を増強させる。
【0017】
[0020] 本発明は、特に、組合せ療法と単独療法のメラノーマへの抗原特異的免疫応答に対する細胞及び分子のレベルでの影響と毒性に対する影響を明らかにする。以下の実施例に含まれる諸研究は、癌のマウスモデルにおいてCD40とTLRアゴニストをアジュバントプラットフォームにおいて組み合わせる場合の重大な有用性を明示する。このデータは、ワクチン接種により、転移性の標的臓器へ浸潤して腫瘍増殖を制御する、きわめて高い頻度の一次及びメモリー自己反応性CD8T細胞が誘導されることを示す。組合せ療法はまた、腫瘍部位での制御性T細胞(Tregs)のCD8T細胞に対する比を低下させて、永続的なエフェクターCD8T細胞機能を可能にする。最後に、CD40単独療法によって誘導される明白な肝毒性は、組合せ療法によって廃絶される。これらの研究は、CD40及びTLRアゴニストのコンビナトリアル使用がより大きな治療効力を限定された毒性とともにもたらして、臨床試験における使用のために新しい多因子アジュバントを組み立てるための原則をもたらすことを示す。
【0018】
[0021] 以下の結果に基づいて、抗原がさらに含まれてもよいこれらの免疫アジュバント組合せを、上記に同定される細胞性免疫応答の増強が治療上望まれるあらゆる疾患又は状態、具体的には、感染症、癌のような増殖性障害、アレルギー、自己免疫障害、炎症性障害、及び増強される細胞性免疫が所望の治療アウトカムである他の慢性疾患を治療することに使用することができる。本発明の好ましい応用には、特に、HIV感染及び癌のような感染障害の治療が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】[0022] この図は、CD40とTLR7を介した同時シグナル伝達により、細胞溶解活性が増強した自己抗原特異的CD8+T細胞の増大が推進されることを示す実験を含有する。この実験では、C57BL/6マウスを、指定の組合せにおいて、100μgの腫瘍関連抗原V、100μgのCD40 FGK45、及び100μgのS−27609で静脈内に免疫化した。7日後、マウスを放血させて、細胞をTRP2(180−188)で in vitro 再刺激して、「方法」に記載されるように、IFNを産生してCD107aを転座させる能力を評価した。リンパ球を前方及び側方散乱によって同定して、引き続き、すべてのCD8イベントでゲート処理した。(A)ワクチン接種マウスからの代表的なドットプロット。右上隅の数字は、IFN及びCD44(上行)又はIFN及びCD107a(下行)について陽性であるCD8T細胞の頻度を示す。(B)CD8抗原を発現している末梢血リンパ球の百分率。P.001(片側ANOVAによる)。(C)ペプチド再刺激に応答して脱顆粒したCD8細胞の百分率の定量。すべての場合で、表示データは、少なくとも3回の独立した実験を表す。データは、平均±SEM(各群でn=8)としてプロットする。P.001(片側ANOVAによる)。
【図2】[0023] この図は、CD40アゴニスト単独療法とは対照的に、CD40アゴニスト/TLR6アゴニスト療法がT細胞機能をレスキューすることを示す実験を含有する。図2に図示する実験では、指定の組合せにおいて、Vペプチド、CD40、及びS−27609のそれぞれ100μgでマウスを免疫化した。65日後にメモリーCD8機能性を評価した。(A)ワクチン接種マウスの脾臓及び肺より単離したメモリーCD8T細胞によるIFN分泌の代表的なドットプロット。ドットプロットを生きたCD8細胞でゲート処理して、数字は、IFNとCD44の両方に陽性な細胞の百分率を示す。(B)メモリーCD8T細胞の細胞溶解活性について、in vivo 細胞傷害性アッセイを実施することによって評価した。数字は、抗原特異的溶解の百分率を反映する。(C,D)脾臓(C)と肺(D)においてIFNを発現するメモリーCD8細胞の相対数及び絶対数の定量。各細胞集団の相対百分率に各組織より単離した細胞の全数を掛けることによって、陽性細胞の絶対数を定量した。(E)パネルBに提示する in vivo 細胞傷害性アッセイの定量。P.001(片側ANOVAによる)。(F)ワクチン接種マウスの脾臓又は肺に由来するIFN−メモリーCD8T細胞上でのCD127発現。アイソタイプ対照を塗りつぶしたヒストグラムとして示す。(G)メモリーCD8T細胞によるサイトカイン産生。パネルFからの細胞について、TNFとIL−2を産生する能力を分析した。数字は、TNF又はIL−2にも陽性であるCD8IFN細胞の百分率を反映する。すべての場合において、各実験で4匹以上のマウス/群を用いる、少なくとも2回の独立した実験よりデータをプールして、平均(±SEM)としてプロットする。
【図3】[0024] この図は、抗CD40/TLR7アゴニストの治療介入が転移性メラノーマの進行を遅らせることを示す実験を含有する。ここでは、C57BL/6マウスに10個の転移性B16.F10メラノーマ細胞を静脈内でチャレンジした。4日後、指定の組合せにおいて、100μgの腫瘍関連抗原V、100μgのCD40 FGK45、及び100μgのS−27609でマウスをワクチン接種した。24日後、マウスを殺し、肺を取り出して、解剖顕微鏡を利用して転移性の表面腫瘍結節を計数した。(A)腫瘍チャレンジから24日後のマウスの肺の上で肉眼的に見える腫瘍結節の写真。肺の下の数字は、治療効力をモニターしたマウスの平均生存時間と長期生存率を反映する。各実験で各群8匹より多いマウスを用いる、3〜4回の独立した実験よりデータをプールする。(B)肺転移の計数化。2回の独立した実験よりデータをプールして、平均±SEM(各群でn=16匹のマウス)として提示する。データは、各群少なくとも6匹のマウスを用いる4回より多い別々の実験を表す。(C)エフェクター細胞除去後の肺転移の計数化。「方法」に記載のような腫瘍チャレンジに先立ってエフェクター細胞集団を除去すること以外は、マウスを上記のように処置した。データは、平均±SEM(各群でn=8匹のマウス)として表して、3回の独立した実験を表す。
【図4】[0025] この図は、浸潤性リンパ球の速度論的解析に関する実験を含有する。図4(A)に実験デザインを示して、図4(B)は、腫瘍チャレンジ後10又は21日目に転移性の標的臓器より単離したリンパ球の代表的なドットプロットを含有する。「方法」に記載のように、担腫瘍肺より細胞を単離して、腫瘍ペプチドでの in vitro 再刺激へ処した。プロットを生きたCD8細胞でゲート処理する。右上の象限の数字は、IFNと活性化マーカーCD44の両方に陽性であるCD8T細胞の頻度を反映する。データは、各実験において各群4匹のマウスを用いる3回の独立した実験を表す。(C,D)腫瘍チャレンジから10日(C)又は21日(D)後の肺浸潤の定量。データは、平均(±SEM)としてプロットして、各実験において4匹のマウス/群を用いる2回(C,n=8匹のマウス/群)又は3回(D,n=12匹のマウス/群)の独立した実験よりプールしたデータを表す。(E)腫瘍抗原+CD40/TLR7でワクチン接種したマウスの肺より腫瘍接種後10日目又は21日目に単離したCD8T細胞のエフェクター表現型。初めに、ドットプロットを生きたCD8細胞でゲート処理してから、IFNCD44集団でさらにゲート処理する。データは、各実験において4匹のマウス/群を用いる少なくとも2回の独立した実験を表す。
【図5】[0026] この図は、CD40単独療法に関連した肝毒性がTLR7アゴニズムで逆転されることを明らかにする実験を含有する。図5(A,B)は、血清トランスアミナーゼの速度論的解析を含有する。マウスをPBS、100μg CD40、100μg TLR7、又はその両方で静脈内処置した。その後の様々な時点で血清を単離して、アラニントランスアミナーゼ(A)又はアスパラギン酸トランスアミナーゼ(B)の血清レベルを記載のように測定した。データは、各時点につき各群n=3〜8匹のマウスを用いる、3回の独立した実験を表す。(C〜F)PBS(C)、100μg CD40(D)、100μg TLR7(E)、又は100μg CD40及び100μg TLR7(F)で48時間処置した肝臓の組織学的分析。(G)上記のように48時間処置したマウス由来の肝臓における組織病理学的変化の半定量的な評価。各処置群でn=6匹のマウスを用いた2回の独立した実験からのデータをプールする。P=.026(マン・ウィットニーのノンパラメトリック検定による)。
【図6】[0027] 図6(A)及び6(B)からなるこの図は、TLRアゴニスト又は1型インターフェロン(αインターフェロン)の抗CD40抗体アゴニストとの同時投与による肝毒性の廃絶を示す追加の実験を含有する。この実験では、血清肝酵素活性を測定することによって、肝細胞損傷を生化学的に評価した。具体的には、100mgの抗CD40、100mgのS−27609、又はその両方をマウスに静脈内で与えた。いくつかの場合では、上乗せ(graded)用量の組換えインターフェロン−α(通常は、100万国際単位/マウス)もマウスに与えた。24〜72時間後に血清を採取して、肝臓の化学プロフィール分析のためにチャールズ・リバー・ラボラトリーズ(マサチューセッツ州ウースター)へ送った。あるいは、国立ジューイッシュ医学研究センター(コロラド州デンバー)によって血清試料を分析した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
[0028] 本発明は、毒性、特に、TNF/TNF−Rアゴニストの投与を伴ういくつかの療法によって誘発される肝毒性(例えば、CD40アゴニスト抗体と可溶性CD40Lポリペプチドが含まれるある種のCD40アゴニストの投与に関連した肝毒性)を緩和又は予防するための新規な方法を提供する。驚くべきことに、そのような毒性は、そのような療法レジメンに、毒性を緩和又は予防するのに十分な量の1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストの投与をさらに含めるならば、緩和又は予防されることが発見された。故に、本発明は、そのような療法の有害な副作用を低下させるだけでなく、より高い投与量のTNF/TNF−Rアゴニスト(例えば、CD40アゴニスト)を、その肝機能が疾患のためにすでに損なわれている可能性がある患者において有害な肝臓の反応を誘発する危険を伴わずに投与し得るので、そのような療法の効力を潜在的に増強させる。本主題の発明は、特に、(他のやり方では、その投与されるTNF/TNF−Rアゴニストの投与量で生じる可能性がある)肝毒性を低下させるか又は予防するのに十分な量の1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストと共にTNF/TNF−Rアゴニストを使用する、癌、感染症、自己免疫及び炎症性疾患を治療する改善された(より安全でより有効な)方法を提供する。
【0021】
[0029] これまでのことに関して言えば、この10年では、癌標的抗原の同定における指数関数的な増大が見られたが、これらの標的に対して効果的に免疫化するヒト用アジュバントの開発への同様の進展は、遅れている。Toll様受容体とそのリガンドと、適応免疫を制御する受容体−リガンドの分子同定は、癌に対する保護的免疫応答を誘発するようにアジュバントを分子的に調合する最初の論理的な仮説ベースの戦略を提供してきた。自然免疫応答を発動させることにおけるTLRの重要性と並んで、CD40とそのリガンドは、適応免疫応答の発現のための中心的なアクチベータとなっている。本明細書に示すデータは、特定のTLRを活性化する十分に定義されたアゴニストをCD40へのアゴニストの使用と組み合わせて使用すれば、最も強力なウイルスベクターで見られるものに一致するか又はそれを超える、定義ペプチドへの甚大な細胞媒介性免疫応答を誘発して、さらに肝毒性を低下又は消失させることを示す。
【0022】
[0030] 上記に考察するように、CD40は、腫瘍保護の目的のために高められるCMI応答を誘導するのに合理的な標的であるが、文献のデータは、それが広範囲の腫瘍には適用可能でないことを示唆した。本発明者の研究室は、アゴニストの抗CD40抗体を単独療法として使用して保護的腫瘍免疫を高めるための一般的な方法を開発しようと多年の間精力的に研究して、失敗してきた。抗体の用量、接種の時機、経路、腫瘍型、異なるmab(モノクローナル抗体)、等のありとあらゆる変数について広汎に試験してきたが、これまでの努力は、Glennie により報告されたようなBリンパ腫及び白血病のモデルを除けば、無益であることがわかった。
【0023】
[0031] CD40関連毒性。マウスとヒトの両方での研究は、CD40アゴニスト単独の投与が毒性を誘導することを示してきた。インタクトなマウスでは、CD40アゴニストが肝毒性を誘導することが示されている。免疫不全マウスと非致死的照射マウスでは、CD40アゴニストの投与が致死を誘導する。
【0024】
[0032] 以下に示すように、CD40及びTLRアゴニスト(又はIFNa)の組合せ投与を用いた本発明者たちの研究の経過の間に、CD40アゴニストで処置したマウスへTLRアゴニスト又はIFNaのいずれか一方を in vivo で追加すると、毒性が解消されることが発見された。従って、IFNa及び/又はTLRアゴニストのCD40アゴニスト(又は、単独療法として使用される場合に同様の毒性を引き起こす他のTNF−Rアゴニスト)との同時投与は、CD40アゴニストと有毒な副作用を誘発する他のTNF/TNF−Rアゴニストの臨床使用時に観察される毒性、特に肝毒性を解消するはずである。以下の実施例とそこで考察するデータを含有する裏付けの図面によって、肝毒性が消失又は最小化されることを示す。
【0025】
[0033] 故に、概して本発明は、単独療法として投与されるTNF/TNF−Rアゴニストによって誘発される潜在的な肝毒性を低下又は消失させるのに十分である量の少なくとも1つの1型インターフェロン及び/又は少なくとも1つのTLRアゴニストのさらなる投与による、必要な又は所望される治療投与量で一部の被検者において肝毒性を誘発することが示されている投与量での少なくとも1つのTNF/TNF−Rアゴニストの投与を伴う改善された(より安全な)療法レジメンを含む。
【0026】
[0034] 本発明をより詳しく考察することに先立って、以下の諸定義を提供する。あるいは、本明細書の技術用語は、関連する技術分野の当業者により解釈されるように解釈されるべきである。
【0027】
[0035] 本明細書に使用するように、以下の用語は、以下に述べる意味を有するものとする:
[0036] 「アゴニスト」は、受容体との組合せにおいて、細胞性応答を産生することができる化合物のことを指す。アゴニストは、受容体へ直接結合するリガンドであってよい。あるいは、アゴニストは、例えば、(a)受容体へ直接結合する別の分子と複合体を形成すること、又は(b)他のやり方で、他の化合物が受容体へ直接結合するように、別の化合物の修飾をもたらすことによって間接的に受容体と結合してよい。アゴニストは、特別な受容体又は受容体のファミリーのアゴニスト(例、TLRアゴニスト又はTNF/Rアゴニスト)として言及される場合がある。
【0028】
[0037] 「抗原」は、免疫応答の標的であることが可能であるあらゆる物質のことを指す。抗原は、例えば、対象生物によって産生される細胞媒介性及び/又は体液性免疫応答の標的であり得る。あるいは、抗原は、免疫細胞と接触する時に、細胞性免疫応答(例、免疫細胞成熟化、サイトカインの産生、抗体の産生、等)の標的であってよい。
【0029】
[0038] 「同時投与」は、組合せの治療又は予防効果が、単独で投与されるいずれか一方の成分の治療又は予防効果より大きくなり得るように投与される組合せの2以上の成分に関連する。2つの成分は、同時的又は連続的に同時投与されてよい。同時的に同時投与される成分は、1以上の医薬組成物において提供することができる。2以上の成分の連続的な同時投与には、各成分が処置部位に同時に存在し得るように成分が投与される場合が含まれる。あるいは、2つの成分の連続的な同時投与には、少なくとも1つの成分が処置部位より除かれたが、その成分を投与することの少なくとも1つの細胞性効果(例、サイトカイン産生、ある種の細胞集団の活性化、等)は、1以上の追加成分がその処置部位へ投与されるまでその処置部位に存続するという場合も含めてよい。このように、同時投与される組合せには、ある状況では、化学混合物において互いに一緒には決して存在しない諸成分を含めてよい。
【0030】
[0039] 「免疫刺激性の組合せ」は、治療的及び/又は予防的な免疫刺激性の効果を提供するように同時投与し得る成分のあらゆる組合せのことを指す。免疫刺激性の組合せの成分には、限定されないが、TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、1型インターフェロン、抗原、アジュバント、等が含まれる。
【0031】
[0040] 「混合物」は、2以上の成分を含有する、あらゆる混合物、水性又は非水性の溶液、懸濁液、乳液、ゲル、クリーム、等のことを指す。成分は、例えば、一緒になって免疫刺激性の組合せを提供する、2つの免疫刺激性の成分であってよい。免疫刺激性の成分は、1以上の抗原、1以上のアジュバント、又はその両方のどの組合せでもよい。例えば、混合物には、混合物がアジュバント組合せを生成するように、2つのアジュバントが含まれてよい。あるいは、混合物には、混合物がワクチンを生成するように、アジュバント組合せと抗原が含まれてよい。
【0032】
[0041] 「シナジー」とそのバリエーションは、化合物を個別に投与する場合の相加的な活性より大きい、化合物の組合せを投与することの活性(例、免疫刺激性の活性)のことを指す。
【0033】
[0042] 「TLR」は、一般に、あらゆる生物種のあらゆるToll様受容体のことを指す。これらには、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、及びTLR11が含まれる。起源の生物種(例、ヒト、マウス、等)、特定の受容体(例、TLR6、TLR7、TLR8、等)、又はその両方をさらに参照して、特定のTLRを同定してよい。
【0034】
[0043] 「TLRアゴニスト」は、TLRのアゴニストとして作用する化合物のことを指す。これには、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、及びTLR11のアゴニスト、又はこれらの組合せが含まれる。他に示さなければ、TLRアゴニスト化合物への言及には、あらゆる異性体(例、ジアステレオマー又はエナンチオマー)、塩、溶媒和物、多形、等が含まれる、どの医薬的に許容される形態の化合物も含めることができる。特に、化合物が光学的に活性であるならば、化合物への言及には、化合物のエナンチオマーのそれぞれだけでなく、そのエナンチオマーのラセミ混合物も含まれる。また、1以上の特別なTLRのアゴニスト(例、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR7/8アゴニスト)として化合物が同定される場合がある。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、所望の抗原を発現するように工学処理され得る、ウイルス又は微生物の全体を含む。いくつかの態様では、TLRアゴニストとして機能する微生物又はウイルスを、CD40アゴニスト又は別のTNF/TNF−Rアゴニスト(例えば、4−1BBアゴニスト)、及び/又は所望の抗原を発現するように遺伝子工学処理して、それによりTNF/TNF−Rアゴニスト(例、CD40又は4−1BBアゴニスト)、TLRアゴニスト、及び任意選択の抗原を単一の微生物又はウイルス担体に提供して、それにより、増強される抗原特異的な細胞性免疫応答が望ましくは誘発される状態を有する宿主への投与を促進する。特別な化合物のTLRアゴニズムについては、どの好適なやり方でも評価してよい。例えば、例えば2002年12月11日出願の米国仮特許出願シリアル番号60/432,650には、試験化合物のTLRアゴニズムを検出するためのアッセイが記載されて、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2002年12月11日出願の米国仮特許出願シリアル番号60/432,650には、そのようなアッセイにおける使用に適した組換え細胞系が記載されている。
【0035】
[0044] 利用する特別なアッセイに拘らず、化合物を用いたアッセイを実施することが、特別なTLRによって媒介されるある生物活性の少なくとも閾値増加をもたらすならば、ある特別なTLRのアゴニストとして化合物を同定することができる。逆に、特定のTLRによって媒介される生物活性を検出するように設計されたアッセイを実施するために使用されるときに、化合物が生物活性の閾値増加を誘発することに失敗するならば、その化合物は、特定のTLRのアゴニストとして作用するものではないと同定してよい。他に示さなければ、生物活性の増加は、適正な対照において観測される活性を上回る、同じ生物活性の増加のことを指す。アッセイは、適正な対照と共に実施してもしなくてもよい。経験があれば、当業者は、特別なアッセイに関して十分な熟知(例えば、特定のアッセイ条件の下で適正な対照において観測される数値の範囲)を積むことができるので、対照を実施することは、化合物のTLRアゴニズムを特別なアッセイにおいて決定するのに必ずしも必要ではないかもしれない。
【0036】
[0045] 特別な化合物が特別なTLRのアゴニストであるかないかを所与のアッセイにおいて決定するためのTLR媒介性生物活性の正確な閾値増加は、限定されないが、アッセイのエンドポイントとして観測される生物活性、アッセイのエンドポイントを測定又は検出するために使用する方法、アッセイのシグナル対ノイズ比、アッセイの精度、多数のTLRに対する化合物のアゴニズムを決定するために同じアッセイが使用されるかどうかということが含まれる、当該技術分野で知られた諸要因に従って変動する場合がある。従って、ある化合物を特別なTLRのアゴニスト又は非アゴニストであると同定するために必要とされるTLR媒介性生物活性の閾値増加をすべての可能なアッセイについて一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な閾値を容易に決定することができる。
【0037】
[0046] 発現可能なTLR構造遺伝子でトランスフェクトしたHEK293細胞を利用するアッセイは、細胞中へトランスフェクトされたTLRのアゴニストとして化合物を同定するために該化合物が例えば約1μM〜約10μMの濃度で提供されるときに、TLR媒介性生物活性(例、NFκB活性化)において少なくとも3倍の増加の閾値を使用する場合がある。しかしながら、ある状況では、異なる閾値及び/又は異なる濃度範囲が適しているかもしれない。また、異なるアッセイには異なる閾値が適正であるかもしれない。
【0038】
[0047] ある態様において、TLRアゴニストは、TLRの天然のアゴニスト又は合成のIRM化合物であり得る。IRM化合物には、限定されないが抗ウイルス及び抗腫瘍活性が含まれる、強力な免疫調節活性を保有する化合物が含まれる。ある種のIRMは、サイトカインの産生及び分泌を調節する。例えば、ある種のIRM化合物は、I型インターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、及び/又はMCP−1のようなサイトカインの産生及び分泌を誘導する。別の例として、ある種のIRM化合物は、IL−4及びIL−5のようなある種のTH2サイトカインの産生及び分泌を阻害することができる。付言すると、ある種のIRM化合物は、IL−1とTNFを抑制すると言われている(米国特許第6,518,265号)。
【0039】
[0048] 本発明の免疫刺激性の組合せにおいてTLRアゴニストとして有用である、ある種のIRMは、タンパク質、ペプチド、等のような大きな生体分子ではなく、小さな有機分子(例えば、約1000ダルトン未満、そしてある場合は約500ダルトン未満の分子量)である。例えば、米国特許第4,689,338;4,929,624;4,988,815;5,037,986;5,175,296;5,238,944;5,266,575;5,268,376;5,346,905;5,352,784;5,367,076;5,389,640;5,395,937;5,446,153;5,482,936;5,693,811;5,741,908;5,756,747;5,939,090;6,039,969;6,083,505;6,110,929;6,194,425;6,245,776;6,331,539;6,376,669;6,451,810;6,525,064;6,545,016;6,545,017;6,558,951;及び6,573,273号;欧州特許0 394 026;米国特許公開公報番号2002/0055517;及び、国際特許公開公報番号WO01/74343;WO02/46188;WO02/46189;WO02/46190;WO02/46191;WO02/46192;WO02/46193;WO02/46749;WO02/102377;WO03/020889;WO03/043572、及びWO03/045391には、ある種の低分子IRM化合物が開示されている。
【0040】
[0049] 低分子IRMの追加例には、ある種のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号及び6,028,076号に記載されるもののような)、ある種のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号に記載されるもののような)、ある種のベンゾイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号に記載されるもののような)、及び5員窒素含有複素環式環へ縮合した4−アミノピリミジンのある種の誘導体(米国特許第6,376,501;6,028,076、及び6,329,381号;並びに、WO02/085905に記載されるアデニン誘導体のような)が含まれる。
【0041】
[0050] 他のIRMには、オリゴヌクレオチド配列のような大きな生体分子が含まれる。あるIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有して、例えば、米国特許第6,194,388;6,207,646;6,239,116;6,339,068;及び6,406,705号に記載されている。あるCpG含有オリゴヌクレオチドには、例えば、米国特許第6,426,334号及び6,476,000号に記載されるもののような合成の免疫調節構造モチーフを含めることができる。他のIRMヌクレオチド配列は、CpGを欠いていて、例えば、国際特許公開公報番号WO00/75304に記載されている。
【0042】
[0051] 本発明の免疫刺激性の組合せにおけるTLRアゴニストとしての使用に適した低分子IRM化合物には、5員の窒素含有複素環式環へ縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が含まれる。例えば、そのような化合物には、限定されないが、例えば、アミノアルキル置換イミダゾキノリンアミン、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、及びチオエーテル置換イミダゾキノリンアミンのような置換イミダゾキノリンアミンが含まれるイミダゾキノリンアミン;限定されないが、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、及びチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンが含まれるテトラヒドロイミダゾキノリンアミン;限定されないが、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、及びチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンが含まれるイミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;及びチアゾロナフチリジンアミンが含まれる。
【0043】
[0052] ある態様において、TLRアゴニストは、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、又はチアゾロナフチリジンアミンであり得る。
【0044】
[0053] ある態様において、TLRアゴニストは、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミンであり得る。代わりの態様において、TLRアゴニストは、尿素置換イミダゾキノリンエーテルであり得る。別の代わりの態様において、TLRアゴニストは、アミノアルキル置換イミダゾキノリンアミンであり得る。
【0045】
[0054] 1つの特別な態様において、TLRアゴニストは、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−l−エタノールである。代わりの特別な態様において、TLRアゴニストは、N−(2−{2−[4−アミノ−2−(2−メトキシエチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エトキシ−}エチル)−N−メチルモルホリン−4−カルボキサミドである。別の代わりの態様において、TLRアゴニストは、1−(2−アミノ−2−メチルプロピル)−2−(エトキシメチル−)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンである。別の代わりの態様において、TLRアゴニストは、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドである。なお別の代わりの態様において、TLRアゴニストは、N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドである。
【0046】
[0055] ある代わりの態様において、TLRアゴニストは、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、又はチアゾロナフチリジンアミンであり得る。
【0047】
[0056] 本明細書に使用するように、置換イミダゾキノリンアミンは、アミノアルキル置換イミダゾキノリンアミン、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、又はチオエーテル置換イミダゾキノリンアミンのことを指す。本明細書に使用するように、置換イミダゾキノリンアミンには、具体的には、そして特に、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンと4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールが含まれない。
【0048】
[0057] 「単独療法として肝毒性を誘発するTNF−Rアゴニストの治療有効量」は、免疫に対して治療利益を誘発することが報告されているが、臨床試験では、少なくとも一部の被検者において(1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストの同時投与の非存在時に)肝毒性を誘発することが観察されたことがある、TNF−Rアゴニストの投与量のことを指す。
【0049】
[0058] 一般に、「TNF/R」又は「TNF/TNF−R」は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー又は腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのいずれかのあらゆるメンバーのことを指す。TNFスーパーファミリーには、例えば、CD40リガンド、OX40リガンド、4−1BBリガンド、CD27、CD30リガンド(CD153)、TNF−α、TNF−β、RANKリガンド、LT−α、LT−β、GITRリガンド、及びLIGHTが含まれる。TNFRスーパーファミリーには、例えば、CD40、OX40、4−1BB、CD70(CD27リガンド)、CD30、TNFR2、RANK、LT−βR、HVEM、GITR、TROY、及びRELTが含まれる。「TNF/Rアゴニスト」は、TNFスーパーファミリー又はTNFRスーパーファミリーのいずれか一方のメンバーのアゴニストとして作用する化合物のことを指す。他に示さなければ、TNF/Rアゴニスト化合物への言及には、あらゆる異性体(例、ジアステレオマー又はエナンチオマー)、塩、溶媒和物、多形、等が含まれる、どの医薬的に許容される形態の化合物も含めることができる。特に、化合物が光学的に活性であるならば、化合物への言及には、化合物のエナンチオマーのそれぞれだけでなく、そのエナンチオマーのラセミ混合物も含まれる。また、化合物は、いずれかのスーパーファミリーの特別なメンバーのアゴニスト(例、CD40アゴニスト)として同定される場合がある。
【0050】
[0059] 本明細書の「TNF−Rアゴニスト」又は「TNF/TNF−Rアゴニスト」には、そのようなアゴニストを少なくとも1つのTLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンと共に投与することによって予防又は緩和される毒性(例えば、肝毒性)を誘発する、TNFスーパーファミリー又はTNF−Rスーパーファミリーのいずれかのどのメンバーのどの好適なアゴニストも含まれる。多くの場合、1つのスーパーファミリーのメンバーは、他のスーパーファミリーの相補的なメンバーのアゴニストであり得る。例えば、CD40リガンド(TNFスーパーファミリーのメンバー)は、CD40(TNFRスーパーファミリーのメンバー)のアゴニストとして作用することができて、CD40は、CD40リガンドのアゴニストとして作用することができる。このように、好適なTNF/Rアゴニストには、例えば、CD40リガンド、OX40リガンド、4−1BBリガンド、CD27、CD30リガンド(CD153)、TNF−α、TNF−β、RANKリガンド、LT−α、LT−β、GITRリガンド、LIGHT、CD40、OX40、4−1BB、CD70(CD27リガンド)、CD30、TNFR2、RANK、LT−βR、HVEM、GITR、TROY、及びRELTが含まれる。付言すると、好適なTNF/Rアゴニストには、TNF/Rに対して産生されるある種のアゴニスト抗体(例、そのいずれもマウスCD40に対して産生された、IC10及びFGK4.5)が含まれる。
【0051】
[0060] 本明細書の「TNF−Rアゴニスト単独療法」は、TLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンの同時投与が含まれない、少なくとも1つのTNF−Rアゴニスト(例、CD40アゴニスト)の投与を伴う療法レジメンのことを指す。典型的には、そのような単独療法は、一部の被検者において肝毒性を誘発する場合がある。
【0052】
[0061] 「処置部位」は、特別な処置の部位のことを指す。特別な処置に依存して、処置部位は、生物全体(例、全身処置)又は生物のある部分(例、局部処置)であり得る。
[0062] 「I型インターフェロン」は、集合的に、IFN−α、IFN−β、IFN−ω、等、又はそれらのあらゆる混合物又は組合せのことを指す。本発明において、「1型インターフェロン」という用語には、TNF−Rアゴニスト、好ましくはCD40アゴニストとほぼ同時に、又は組み合わせて投与されるときに、増強されたCD8+免疫応答を誘発するどの1型インターフェロンも含まれる。これには、αインターフェロン、βインターフェロン、及び1型インターフェロンとして分類される他の種類のインターフェロンが含まれる。特に、これには、εインターフェロン、ζインターフェロン、及びτ1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10のようなτインターフェロンが含まれ;また、これには、断片のようなその変異体、αインターフェロンのような異なる1型インターフェロン分子の構造を模倣したコンセンサス・インターフェロン、そのPEG化バージョン、組換え発現又は突然変異誘発のためにグリコシル化が改変された1型インターフェロン、等が含まれる。当業者は、市販されているものや治療薬として使用されているものが含まれる、異なる1型インターフェロンについて熟知している。好ましくは、1型インターフェロンは、ヒト1型インターフェロンを含み、そして最も好ましくは、ヒトαインターフェロンを含む。
【0053】
[0063] 「ワクチン」は、抗原が含まれる医薬組成物のことを指す。ワクチンには、抗原に加えて、例えば、1以上のアジュバント、担体、等のような成分が含まれてよい。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、所望の抗原を発現するように工学処理され得る、ウイルス又は微生物の全体を含む。いくつかの態様では、TLRアゴニストとして機能する微生物又はウイルスを、CD40アゴニスト又は4−1BBアゴニスト、及び/又は、所望の抗原を発現するように遺伝子工学処理して、それによりCD40又は4−1BBアゴニスト、TLRアゴニスト、及び任意選択の抗原を単一の微生物又はウイルス担体に提供して、それにより、増強される抗原特異的な細胞性免疫応答が望ましくは誘発される状態を有する宿主への投与を促進することができる。
【0054】
[0064] 故に、本発明は、TNF−Rアゴニストと任意選択的に抗原の投与を伴う、腫瘍及び感染症のワクチンが含まれる、改善された(より安全でより有効な)療法を提供し、それによれば、改善(肝毒性の低下又は消失)は、同じ投与量のTNF−Rアゴニスト(例、CD40アゴニスト)を単独療法として利用する場合に、他のやり方では生じる可能性がある不利な毒性を消失又は低下させるのに十分な量の少なくとも1つのTLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンとTNF−Rアゴニストの同時投与によって達成される。本発明者が本明細書においてTNF−Rアゴニストの投与量が特別な投与量で有毒であると述べるときは、この投与量が臨床試験において肝毒性(例えば、単独療法として(TLR及び/又は1型インターフェロンを伴わずに)使用されるときに、いくつかの肝酵素(トランスアミナーゼ)の増加により明示されるような)を誘発することが観察されたことを意味するものである。薬物の肝毒性を臨床試験の間に測定するための方法は、これが多くの潜在的な治療薬の副作用であり、十分に有意であれば、化合物の療法的な使用に抵触する場合があるので、よく知られている。
【0055】
[0065] これらの療法には、特に、抗原特異的な免疫応答を誘発することが望ましくは誘発される状態、例えば、前記組成物を産生する癌又は感染又はアレルギー障害のような慢性疾患のあるヒトが含まれる。
【0056】
[0066] なおさらに、本発明は、一部の被検者において(単独療法として使用するならば)肝毒性を誘発することが見出されている量の前記TNF−Rアゴニスト、前記肝毒性を予防又は緩和するのに十分な量の少なくとも1つの1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニスト、及び任意選択的に抗原(又は、好適な宿主、好ましくはヒトにおいてその発現をもたらす核酸配列(複数))を含んでなる、疾患(例えば、増強された抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発することが療法的に保証される疾患)の治療に適した治療組成物を提供する。
【0057】
[0067] 特に、本発明は、増強された抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発するためにそのような治療を必要とする宿主への本主題のアゴニスト及び/又はサイトカイン組合せの投与を含んでなる、改善された(より安全でより有効な)免疫療法の方法を提供する。好ましい態様では、これらの組成物又はポリペプチドコンジュゲート、又はこれらのアゴニスト及びサイトカインの組合せをコードする核酸配列を、癌、感染症、特に、例えばウイルス、細菌、又は寄生虫が関与する、慢性感染症;又は、自己免疫、炎症、又はアレルギー状態を発症しているか又は発症するリスクがある一部の被検者へ投与する。例えば、本発明は、HIV、肺癌、又はメラノーマに対して抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発するために使用することができる。HIVは、このウイルスに対する強力で長期の細胞性免疫応答の産生に保護的免疫がほぼ確実に必要とされる疾患のよく認知された例である。加えて、肺癌とメラノーマは、毎年数千人の死亡をもたらして、それに対する改善されて安全な療法が所望されている、いずれも悪性の癌である。
【0058】
[0068] 従って、本発明は、強力であるが安全な治療薬剤、例えば、HIVに対するワクチンと、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫が関与する他の慢性感染症、並びに癌のような増殖性疾患、自己免疫疾患、アレルギー障害、及び炎症性疾患を治療するための組成物の開発をもたらすものである。
【0059】
本発明の応用
[0069] 本発明は、少なくとも1つのTNF−Rアゴニスト、例えば、CD40アゴニスト抗体又は可溶性CD40LポリペプチドのようなCD40アゴニスト、含有する断片又はコンジュゲートの投与を伴う改善された治療の方法を提供し、それにより、単独療法として所望の治療投与量で使用される場合のそのようなアゴニストに関連した毒性(肝毒性)は、少なくとも1つのTLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンの有効量のさらなる投与によって低下又は消失される(この文脈において「有効」は、1型インターフェロン又はTLRアゴニストがTNF−Rアゴニストの肝毒性を消失又は低下させることを意味する)。TLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンとTNF/Rアゴニストは、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量で提供される(又は、これらの部分を含有するか又はコードする免疫刺激性のコンジュゲートの形態に適したように投与される)。また、言及したように、TNF−Rアゴニスト、例えばCD40アゴニストの量は、典型的には、少なくとも一部の被検者において、単独療法として投与されるならば、毒性(肝毒性)を誘発する投与量を含む。加えて、TLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロンの量は、前記毒性を予防又は緩和するのに十分な量であり、TNF−Rアゴニスト投与の前、間、又は後に投与される。
【0060】
[0070] 例えば、TLRアゴニストは、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与することができる。多くの態様において、TLRアゴニストは、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与される。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与される。しかしながら、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量を構成するTLRアゴニストの特別な量は、ある程度は、限定されないが、投与される特別なTLRアゴニスト;投与される特別な抗原とその量;投与される特別なTNF/Rアゴニストとその量;免疫系の状態(例えば、抑制、易感染性、刺激);TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果が含まれるある種の要因に依存する。従って、TLRアゴニストの有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0061】
[0071] 1型インターフェロンの量は、単独療法として投与される場合のTNF−Rアゴニストの毒性を予防又は緩和するのに十分なものであろう。本明細書に示すように、例えばCD40アゴニストの毒性は、CD40アゴニストを1型インターフェロン又はTLRアゴニストと共に投与するならば、緩和することができる。それにより、本発明は、CD40アゴニストをこれまでの記載より高い投与量で投与することができるので、より有効なCD40アゴニスト療法を提供する。例えば、CD40LポリペプチドのMTD(最大耐薬量)は、1型インターフェロン又はTLRアゴニストと同時投与されるならば、0.1mg/kg/日を少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2〜5倍、さらには10倍以上も超えてよく、それによりCD40Lポリペプチドを少なくとも約0.15mg/kg/日〜1.0mg/kg/日、又はそれ以上の範囲に及ぶMTD量で投与することが許容される。このことは、CD40関連の悪性腫瘍の治療や本明細書に開示される他の治療におけるように、より有効なCD40L療法をもたらすことになる。加えて、本発明は、CD40アゴニスト抗体療法の毒性を低下させて、これまでに示唆されたものより高いCD40アゴニスト抗体投与量の投与を容易にする。特に、上記に注記したように、Vonderheide et al., J Clin. Immunol. 25(7): 876-883 (2007) によって報告されたアゴニストCD40L抗体のMTDは0.3mg/kgであり、過剰の投与量は、一過性の肝毒性、静脈血栓塞栓症、グレード3の頭痛、及びサイトカイン放出と関連毒性、並びに、発熱及び悪寒のような有害な副作用をもたらすことが報告されてきた。CD40アゴニスト抗体の1型インターフェロン又はTLRアゴニストと一緒の同時投与は、MTD抗体量が、例えば1.5〜15倍、又は5〜10倍までも有害な効果を伴うことなく実質的に増加されることを潜在的に可能にする。それにより、CD40アゴニスト抗体のMTD量は、約0.45mg/kg〜約3.0mg/kg又はさらにより高く増加させることができる。このように、本発明には、他のやり方ではその特別なCD40アゴニスト投与量で潜在的に生じる可能性がある、肝毒性のような有毒効果を抑えるのに十分な量の1型インターフェロン又はTLRアゴニストとCD40アゴニストの同時投与が含まれる。
【0062】
[0072] 1型インターフェロンに関して言えば、その量は、約1×10活性単位(U)〜約1×10U、より典型的には、約10U〜約10Uで変動してよい。
[0073] アゴニスト抗体又はCD40Lポリペプチドの量は、約0.00001グラム〜約5グラム、より典型的には、約0.001グラム〜約1グラムで変動してよい。上記に注記したように、好ましいMTDは、0.3mg/kgを超えて、約0.45mg/kg〜約3mg/kgの範囲であってよい。治療法が抗原の投与を伴うならば、約0.0001グラム〜約50グラム、より典型的には約0.1グラム〜約10グラムの範囲に及ぶ量でこれを投与してよい。注記されるように、これらの部分(moieties)は、同じ製剤又は異なる製剤において投与してよい。別々に投与されるならば、これらの部分は、典型的にはそれぞれ数時間の間に、より典型的には実質的に接近した時間で、どの順序でも投与してよい。
【0063】
[0074] TNF/Rアゴニスト、例えば、CD40アゴニストは、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与してよい。ある態様において、TNF/Rアゴニストは、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与される。いくつかの態様において、TNF/Rアゴニストは、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与される。しかしながら、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量を構成するTNF/Rアゴニストの特別な量は、ある程度は、限定されないが、投与される特別なTNF/Rアゴニスト;投与される特別なTLRアゴニストとその量;投与される特別な抗原とその量;免疫系の状態;TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果が含まれるある種の要因に依存する。従って、TNF/Rアゴニストの有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0064】
[0075] いくつかの態様において、免疫刺激性の組合せには、抗原をさらに含めてよい。免疫刺激性の組合せ中に存在するとき、抗原は、その組合せの他の成分と組み合わせて、抗原に対する免疫応答を産生するのに有効である量で投与してよい。例えば、抗原は、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与することができる。多くの態様において、抗原は、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与してよい。いくつかの態様において、抗原は、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与してよい。しかしながら、免疫応答を産生するのに有効な量を構成する抗原の特別な量は、ある程度は、例えば、投与される特別な抗原;投与される特別なTLRアゴニストとその量;投与される特別なTNF/Rアゴニストとその量;免疫系の状態;TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果といった、ある種の要因に依存する。従って、抗原の有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0065】
[0076] 存在するとき、抗原は、免疫刺激性の組合せのどの成分とも同時的又は連続的に投与されてよい。このように、抗原は、単独で投与しても、1以上のアジュバント(例えば、TLRアゴニスト、1型インターフェロン、及び/又はTNF/Rアゴニストが含まれる)との混合物において投与してもよい。いくつかの態様では、抗原を、1つのアジュバントに関しては(例えば、混合物において)同時的に、しかし1以上の追加のアジュバントに関しては連続的に投与してよい。
【0066】
[0077] 抗原と免疫刺激性の組合せの他の成分の連続的な同時投与には、抗原と免疫刺激性の組合せの他の成分の少なくとも1つを、たとえその抗原と他の成分が同時的に投与されなくても、それぞれが処置部位に同時に存在するように投与される場合を含めることができる。抗原と免疫刺激性の組合せの他の成分の連続的な同時投与には、抗原又は免疫刺激性の組合せの少なくとも1つの他の成分が処置部位より除かれたが、除かれた抗原又は他の成分の少なくとも1つの細胞性効果(例、サイトカイン産生、ある種の細胞集団の活性化、等)は、少なくともその組合せの1以上の追加成分がその処置部位へ投与されるまでその処置部位に存続するという場合も含めてよい。このように、本発明の免疫刺激性の組合せには、ある状況では、混合物においてその組合せの別の成分と一緒には決して存在しない1以上の成分が含まれることが可能であり得る。
【0067】
[0078] 抗原は、例えば、CD8+T細胞応答、NKT細胞応答、γ/δ−T細胞応答、又はTH1抗体応答の1以上を含めてよい、TH1免疫応答を産生することが可能などの物質でもあり得る。好適な抗原には、限定されないが、ペプチド;ポリペプチド;脂質;糖脂質;多糖;炭水化物;ポリヌクレオチド;プリオン;生きているか不活性の細菌、ウイルス、又は真菌;並びに、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、腫瘍由来又は生物由来の抗原、毒素、又はトキソイドが含まれる。
【0068】
[0079] さらに、現行では実験中のある種の抗原、具体的には、強い免疫応答を産生しない、組換えタンパク質、糖タンパク質、及びペプチドのような材料を、本発明のアジュバント組合せと関連して使用することができると考慮される。例示の実験的なサブユニット抗原には、アデノウイルス、AIDS、水痘、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、家禽ペスト、A型肝炎、B型肝炎、HSV−1、HSV−2、豚コレラ、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、日本脳炎、麻疹、パラインフルエンザ、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、いぼ、及び黄熱病のようなウイルス性疾患に関連するものが含まれる。
【0069】
[0080] ある態様において、抗原は、癌抗原又は腫瘍抗原であり得る。「癌抗原」及び「腫瘍抗原」という用語は、交換可能的に使用されて、癌細胞によって差示的に発現される抗原のことを指す。故に、癌抗原を利用して、癌細胞に対する免疫応答へ差示的に標的指向することができる。このように、癌抗原は、腫瘍特異的な免疫応答を潜在的に刺激することができる。ある種の癌抗原は、正常細胞によってコードされているが、必ずしも発現されてはいない。これらの抗原のいくつかは、正常細胞において通常はサイレントである(即ち、発現されていない)もの、分化のある段階でのみ発現されるもの、そして一時的に発現されるもの(例、胚性及び胎児性の抗原)として特徴づけることができる。他の癌抗原は、例えば、癌遺伝子(例、活性化ras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例、突然変異体p53)、又は融合タンパク質のような、内部欠失又は染色体転座より生じる突然変異体の細胞遺伝子によってコードされ得る。なお他の癌抗原は、RNA及びDNA腫瘍ウイルスによって担われるようなウイルス遺伝子によってコードされ得る。
【0070】
[0081] 癌又は腫瘍とそのような腫瘍に関連した特異腫瘍抗原には(排他的ではなく)、急性リンパ芽球性白血病(etv6、aml1、シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−イディオタイプ)、神経膠腫(E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、pl20ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆嚢癌(p21ras)、乳癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、頚部癌(p53、p21ras)、結腸癌(p21ras、HER2/neu、c−erbB−2、MUCファミリー)、結直腸癌(結直腸関連抗原(CRC)−CO17−1A/GA733、APC)、絨毛癌(CEA)、上皮細胞癌(シクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、肝細胞癌(α−フェトタンパク質)、ホジキンリンパ腫(Imp−1、EBNA−1)、肺癌(CEA、MAGE−3、NY−ESO−1)、リンパ球細胞由来白血病(シクロフィリンb)、メラノーマ(p5タンパク質、gp75、癌胎児抗原、GM2及びGD2ガングリオシド、Melan−A/MART−1、cdc27、MAGE−3、p21ras、gpl00(Pmel117))、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺癌(HER2/neu、c−erbB−2)、鼻咽喉癌(Imp−1、EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異抗原(PSA)とその抗原性エピトープ、PSA−1、PSA−2、及びPSA−3、PSMA、HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、腎癌(HER2/neu、c−erbB−2)、頚部及び食道の扁平細胞癌(ヒトパピローマウイルスタンパク質のようなウイルス産物)、精巣癌(NY−ESO−1)、及びT細胞白血病(HTLV−Iエピトープ)が含まれる。
【0071】
[0082] 抗原が含まれる本発明の免疫刺激性の組合せは、ワクチンを生成してよい。そのようなワクチンは、当業者によく知られている、追加の医薬的に許容される成分、賦形剤、担体、等を含有することができる。
【0072】
[0083] 本発明の免疫性激性の組合せは、動物、例えば、哺乳動物(ヒト及び非ヒト)、家禽、等へ当業者によく知られた慣用の方法(例、経口、皮下、鼻腔内、局所)に従って投与することができる。
【0073】
[0084] 本発明はまた、本発明の免疫刺激性の組合せを被検者へ投与することが含まれる治療的及び/又は予防的方法を提供する。
[0085] 投与の具体的な順序を提供しなければ、免疫刺激性の組合せの諸成分は、抗原と同時に(混合物において一緒に又は別々に、例えば、経口又は別々の注射により)投与しても、免疫刺激性の組合せの1以上の他の成分を投与することに続いて投与してもよい。例えば、TLRアゴニスト又は1型インターフェロン及びTNF/Rアゴニストは、互いと同時的に、又は互いに関して連続的に投与してよい。また、抗原が免疫刺激性の組合せの成分として存在しているとき、それは、その組合せの他のどの成分と同時に投与しても、それに関して連続的に投与してもよい。
【0074】
[0086] 免疫刺激性の組合せの諸成分は、同時に投与しても、どの順序でも連続的に投与してもよい。成分を同時に投与するとき、それらは、単一の製剤において、又は別個の製剤において投与することができる。別個の製剤として投与されるときは、同時的又は連続的のいずれであっても、成分は、単一の部位又は別々の部位で投与してよい。また、別個の製剤として投与されるとき、各製剤は、異なる経路を使用して投与してよい。好適な投与経路には、限定されないが、経皮又は経粘膜吸収、注射(例、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、等)、経口摂取、吸入、等が含まれる。連続的に投与されるとき、諸成分の投与の間の時間は、少なくとも一部は、例えば、全身又は投与部位のいずれかで特別な成分が存続する時間の長さ;又は、成分が除去された後でも、全身又は投与部位のいずれかで成分の細胞性効果が存続する時間の長さといった、ある種の要因によって決定され得る。
【0075】
[0087] ある種の低分子IRM化合物は、抗ウイルスサイトカインの生合成を誘導することができる。故に、生きたウイルスの抗原と低分子IRM化合物が免疫刺激性の組合せのTLRアゴニスト成分として含まれるある種の態様では、ウイルス感染が確立され得るように、IRM化合物を投与する前に抗原を投与することが望ましい場合がある。
【0076】
[0088] 1つの側面において、本発明の方法には、TH1免疫応答を被検者において誘導するために、本発明の免疫刺激性の組合せが含まれるワクチンを投与することを含めることができる。上記に述べたように、ある種の低分子IRMは、単独で、ワクチンアジュバントとして有用であり得る。TLRアゴニスト(例えば、低分子IRM)とTNF/Rアゴニストが含まれる免疫刺激性の組合せは、抗原単独、TLRアゴニストと組み合わせた抗原、又はTNF/Rアゴニストと組み合わせた抗原のいずれか1つよりずっと大きい免疫応答を提供することができる。いくつかの場合において、TLRアゴニスト及びTNF/Rアゴニストが含まれる免疫刺激性の組合せは、TLRアゴニスト又はTNF/Rアゴニストのいずれか一方と比べて、免疫応答を相乗的に高めることができる。
【0077】
[0089] 本発明の方法にはまた、免疫系の細胞より、その細胞が in vivo 又は ex vivo のいずれであるかに拘らず、免疫応答を誘導することが含まれる。このように、本発明の免疫刺激性の組合せは、治療用ワクチンの成分として、予防用ワクチンの成分として、又は ex vivo 細胞培養に使用される免疫刺激性の因子として有用であり得る。免疫応答を ex vivo で誘発するために使用されるとき、ex vivo で活性化される免疫細胞は、患者へ再導入することができる。あるいは、活性化免疫細胞によって細胞培養物に分泌される因子(例、抗体、サイトカイン、補助刺激因子、等)を、研究、予防、又は治療用の使用のために採取してよい。
【0078】
[0090] 本発明の方法にはまた、ナイーブCD8+T細胞を抗原特異的なやり方で in vivo で活性化することが含まれる。抗原と免疫刺激性の組合せの同時投与に応答して産生される活性化された抗原特異的CD8+T細胞の集団は、その抗原が明白に免疫刺激性の組合せの成分であるかどうかに拘らず、2つの機能的に異なる亜集団へ分類することができる。抗原特異的CD8+T細胞の1つの集団には、エフェクターT細胞(細胞媒介性免疫応答をもたらすことに活発に参画しているCD8+T細胞)が含まれる。抗原特異的CD8+T細胞の第二の集団には、メモリーT細胞(それ自体は免疫応答をもたらすことに関与していないが、同じ抗原との後の接触時には、抗原特異的エフェクター細胞になるように容易に誘導され得るCD8+T細胞)が含まれる。以下の方法に従ったCD8+T細胞の活性化は、抗原特異的CD8+エフェクターT細胞の増大を誘導する、抗原特異的CD8+メモリーT細胞を産生する、又はその両方をする可能性がある。
【0079】
[0091] 抗原が含まれる免疫刺激性の組合せを被検者へ投与してよい。被検者における十分なインキュベーションの後で、CD8+T細胞は、免疫化へ応答して、抗原特異的CD8+エフェクターT細胞へ成熟する。TLRアゴニスト及びTNF/Rアゴニストが含まれる免疫刺激性の組合せで免疫化される被検者では、抗原だけ、抗原とTNF/Rアゴニスト、又は抗原とTLRアゴニストで免疫化される被検者に比べて、より高い百分率のCD8+エフェクターT細胞が抗原特異的になるだろう。一般に、免疫化とCD8+エフェクターT細胞の産生の間のインキュベーション時間は、約4日〜約12日である。ある態様では、CD8+エフェクターT細胞を免疫化の後で約5日以内に産生してよい。他の態様では、CD8+エフェクターT細胞を免疫化の後で約7日以内に産生してよい。
【0080】
[0092] 抗原がタンパク質であれば、タンパク質全体を被検者へ投与することは必要でないかもしれない。このように、本発明の免疫刺激性の組合せを被検者へ投与することが含まれる方法を使用して、被検者のCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)において抗原特異的な応答を誘発することができる。そのような応答は、例えば、腫瘍とウイルス被感染細胞集団が含まれる、多くの状態に対して向けられる可能性がある。本発明のいくつかの態様では、本発明のワクチンを予防的に投与して、例えば、腫瘍及び/又はウイルス感染症に対して向けられる保護的な抗原特異的細胞媒介性免疫を被検者にもたらすことができる。
【0081】
[0093] 代わりの態様では、本発明の免疫刺激性の組合せを使用して、抗原特異的CD8+メモリーT細胞を in vivo で発生させることができる。抗原特異的CD8+メモリーT細胞は、抗原への二次曝露時に、二次のTH1免疫応答を産生することが可能であり得る。CD8+エフェクターT細胞は、抗原への再曝露後2時間もしないうちに活性化CD8+メモリーT細胞より産生され得る。抗原への二次曝露は、免疫化(即ち、追加免疫化)によっても、自然曝露によってもよい。
【0082】
[0094] 本発明の免疫刺激性の組合せを使用して、細胞媒介性免疫応答によって処置可能な状態を治療的に処置することができる。そのような組合せは、少なくとも治療有効量のTLRアゴニストと治療有効量のTNF/Rアゴニストを含有し得る。多くの態様において、治療的組合せには、治療有効量の抗原をさらに含めることができる。
【0083】
[0095] 治療的組合せは、1以上の医薬的に許容される担体とのさらなる組合せにおいて提供することができる。TLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロン、TNF/Rアゴニスト、及び抗原(その組合せに存在するならば)は、異なる部位で、及び/又は異なる経路により連続的に同時投与してよいので、治療的組合せは、2以上の製剤で提供してよい。2以上の製剤において提供されるとき、各製剤には、残る製剤に含まれる単数又は複数の担体と同じであるか又は異なる担体を含めることができる。あるいは、TLRアゴニスト、及び/又は1型インターフェロンTNF/Rアゴニスト、及び抗原(その組合せに存在するならば)は、単一の担体又は担体の組合せを含むことができる、単一の製剤で提供されてよい。
【0084】
[0096] 各成分又は成分の混合物は、例えば、錠剤、糖錠剤、非経口製剤、シロップ剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール製剤、経皮パッチ剤、経粘膜パッチ剤、等のようなどの好適な慣用の剤形でも投与してよい。
【0085】
[0097] 治療的な免疫刺激性の組合せは、治療レジメン中の単一治療薬剤として投与することができる。あるいは、本発明の治療的な免疫刺激性の組合せは、本発明の別の治療的組合せと、1以上の医薬組成物と、又は抗ウイルス剤、抗生物質、追加のIRM化合物、等のような他の活性薬剤と組み合わせて投与してよい。
【0086】
[0098] TH1免疫応答を誘導してCD8+エフェクターT細胞のプールを産生するその能力のために、本発明のある種の免疫刺激性の組合せは、ウイルス性疾患と腫瘍を治療するのに特に有用であり得る。この免疫調節活性は、本発明の免疫刺激性の組合せ及びワクチンが、限定されないが、以下のような状態を治療するのに有用であることを示唆する:
[0099](a)例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例、HSV−I、HSV−II、CMV、又はVZV)、ポックスウイルス(例、痘瘡又はワクシニアのようなオルトポックスウイルス、又は伝染性軟疣)、ピコルナウイルス(例、リノウイルス又はエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例、SARS)、パポーバウイルス(例、性器いぼ、尋常性疣贅、又は足底いぼを引き起こすようなパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例、C型肝炎ウイルス又はデングウイルス)、又はレトロウイルス(例、HIVのようなレンチウイルス)による感染より生じる疾患のようなウイルス性疾患;
[00100] (b)例えば、例えば、エシェリヒア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、又はボルデテラ属の細菌による感染より生じる疾患のような細菌性疾患;
[00101] (c)クラミジア、限定されないが、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコッカス性髄膜炎が含まれる真菌性疾患、又は限定されないが、マラリア、ニューモシスティス・カリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、及びトリパノソーマ感染症が含まれる寄生虫疾患のような、他の感染症;及び
[00102] (d)例えば、上皮内新生物、頚部異形成、紫外線角化症、基底細胞癌、扁平細胞癌、腎細胞癌、カポシ肉腫、肺癌、メラノーマ、腎細胞癌、白血病(限定されないが、骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、及び毛様細胞白血病が含まれる)、及び他の癌(例、上記に同定された癌)のような新生物疾患;並びに
[00103] (e)アトピー性皮膚炎又は湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、全身紅斑性狼瘡、本態性血小板血症、多発性硬化症、オーメン症候群、円板状狼瘡、円形脱毛症、ケロイド形成や他の種類の瘢痕形成の阻害、及び慢性創傷が含まれる創傷治癒の亢進のような、TH2媒介性、アトピー性、及び自己免疫疾患。
【0087】
[00104] 本発明の免疫刺激性の組合せのいくつかの態様はまた、例えば、生きたウイルス、細菌、又は寄生虫の抗原;不活性化したウイルス、腫瘍由来、原生動物、生物由来、真菌、又は細菌の抗原、トキソイド、毒素;自己抗原;多糖;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞性ワクチン;DNAワクチン;組換えタンパク質;糖タンパク質;ペプチド;等のような、体液性及び/又は細胞媒介性免疫応答のいずれかを産生するあらゆる材料と一緒の使用のための、例えば、BCG、コレラ、ペスト、チフス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルス・インフルエンザb、結核、髄膜炎菌、及び肺炎球菌のワクチン、アデノウイルス、HIV、水痘、サイトメガロウイルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1及びHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、パピローマウイルス、黄熱病、及びアルツハイマー病と関連した使用のためのワクチンアジュバントとして有用であり得る。
【0088】
[00105] 本発明の免疫刺激性の組合せはまた、易感染性の免疫機能を有する個体において特に役立つ場合がある。例えば、細胞媒介性免疫の抑制の後で、例えば、移植患者、癌患者、及びHIV患者において生じる日和見感染症及び腫瘍を治療するためにIRM化合物を使用してよい。
【0089】
[00106] 本発明はまた、本発明の免疫刺激性の組合せの治療有効量を動物へ投与することを含んでなる、ウイルス感染症を動物において治療する方法と、新生物疾患を動物において治療する方法を提供する。ウイルス感染症を治療又は阻害するための治療有効量は、未処置対照動物に比較して、ウイルス病巣、ウイルス負荷、ウイルス産生の速度、及び死亡率のようなウイルス感染の明示の1以上の低下を引き起こす量である。新生物状態を治療するための組合せの治療有効量は、未処置動物に比較して、例えば、腫瘍サイズの低下、腫瘍病巣数の低下を引き起こすか、又は腫瘍の増殖を遅らせる量である。
【0090】
[00107] 1つの特別な態様では、本発明の免疫刺激性の組合せを使用して、腫瘍増殖を in vivo で阻害することができる。特別な抗原を発現する腫瘍細胞を有する被検者を、TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び、任意選択的に抗原を含有する治療的組合せで免疫化してよい。いくつかの態様において、療法には、第一の免疫化と第二の追加免疫化を含めることができる。本発明の治療的組合せで免疫化した被検者より採取される腫瘍は、(a)非免疫化被検者、又は(b)抗原だけで免疫化した被検者のいずれかより採取される腫瘍より概して小さかった。
【0091】
[00108] 本発明による治療には、1回又は1回より多くの免疫化を含めてよい。治療に1回より多い免疫化が含まれるとき、その治療には、どの好適な頻度でも投与されるどの好適な回数の免疫化も含めることができる。治療レジメンにおける免疫化の回数と頻度は、少なくとも一部は、限定されないが、治療される状態とその段階、被検者の免疫系の状態、投与される特別なTLRアゴニスト又は1型インターフェロンとその量、投与される特別なTNF/Rアゴニストとその量、及び投与される特別な抗原(存在するならば)とその量が含まれる、1以上の要因に依存する。
【0092】
[00109] 言及したように、いくつかの態様では、本発明の治療的組合せが抗原成分を必要としない場合がある。ある種の状態(例、B細胞リンパ腫又は慢性の細菌又はウイルス感染症)では、抗原が含まれない免疫刺激性の組合せを使用して、有効な治療を得ることができる。そのような状態がこのやり方で治療可能であり得るのは、例えば、その状態が、その状態を治療することが可能な細胞媒介性免疫応答を産生するのに十分な量又は種類の状態特異的な抗原を提供し得るからである。
【0093】
[00110] TLRアゴニスト及び/又は1型インターフェロン及びTNF/Rアゴニストは、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量で、そしてTNF−Rアゴニストが単独療法としては肝毒性を誘発する可能性がある投与量で提供される(又は、免疫刺激性の組合せの形態に適するように投与される)。
【0094】
[00111] 例えば、TLRアゴニストは、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与することができる。多くの態様において、TLRアゴニストは、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与される。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与される。しかしながら、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量を構成するTLRアゴニストの特別な量は、ある程度は、限定されないが、投与される特別なTLRアゴニスト;投与される特別な抗原とその量;投与される特別なTNF/Rアゴニストとその量;免疫系の状態(例えば、抑制、易感染性、刺激);TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果が含まれるある種の要因に依存する。従って、TLRアゴニストの有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0095】
[00112] また、例えば、TNF/Rアゴニストは、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与してよい。ある態様において、TNF/Rアゴニストは、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与される。いくつかの態様において、TNF/Rアゴニストは、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与される。しかしながら、特別な抗原に対する免疫応答を高めるのに有効な量を構成するTNF/Rアゴニストの特別な量は、ある程度は、限定されないが、投与される特別なTNF/Rアゴニスト;投与される特別なTLRアゴニストとその量;投与される特別な抗原とその量;免疫系の状態;TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果が含まれるある種の要因に依存する。従って、TNF/Rアゴニストの有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0096】
[00113] 対照的に、いくつかの態様において、免疫刺激性の組合せには、抗原をさらに含めてよい。免疫刺激性の組合せ中に存在するとき、抗原は、その組合せの他の成分と組み合わせて、抗原に対する免疫応答を産生するのに有効である量で投与してよい。例えば、抗原は、約100ng/kg〜約100mg/kgの量で投与することができる。多くの態様において、抗原は、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与してよい。いくつかの態様において、抗原は、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与してよい。
【0097】
[00114] しかしながら、免疫応答を産生するのに有効な量を構成する抗原の特別な量は、ある程度は、例えば、投与される特別な抗原;投与される特別なTLRアゴニストとその量;投与される特別なTNF/Rアゴニストとその量;免疫系の状態;TLRアゴニスト、TNF/Rアゴニスト、及び抗原の投与の方法及び順序;製剤が投与される生物種;並びに、所望される治療結果といった、ある種の要因に依存する。従って、抗原の有効量を構成する量について一般的に示すことは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、そのような要因を正当に考慮して、適正な量を容易に決定することができる。
【0098】
[00115] 存在するとき、抗原は、免疫刺激性の組合せのどの成分とも同時的又は連続的に投与されてよい。このように、抗原は、単独で投与しても、1以上のアジュバント(例えば、TLRアゴニスト、及び/又は1型インターフェロン、TNF/Rアゴニスト,又はこれらの組合せが含まれる)との混合物において投与してもよい。いくつかの態様では、抗原を、1つのアジュバントに関しては(例えば、混合物において)同時的に、しかし1以上の追加のアジュバントに関しては連続的に投与してよい。
【0099】
[00116] 抗原と免疫刺激性の組合せの他の成分の連続的な同時投与には、抗原と免疫刺激性の組合せの少なくとも1つの他の成分を、たとえその抗原と他の成分が同時的に投与されなくても、それぞれが処置部位に同時に存在するように投与される場合を含めることができる。抗原と免疫刺激性の組合せの他の成分の連続的な同時投与には、抗原又は免疫刺激性の組合せの少なくとも1つの他の成分が処置部位より除かれたが、除かれた抗原又は他の成分の少なくとも1つの細胞性効果(例、サイトカイン産生、ある種の細胞集団の活性化、等)は、少なくともその組合せの1以上の追加成分が処置部位へ投与されるまではその処置部位に存続するという場合も含めてよい。このように、本発明の免疫刺激性の組合せには、ある状況では、混合物においてその組合せの別の成分と一緒には決して存在しない1以上の成分を含め得ることが可能であり得る。
【0100】
[00117] 本発明はまた、本発明の免疫刺激性の組合せを被検者へ投与することが含まれる、治療的及び/又は予防的方法を提供する。
[00118] いくつかの態様では、当該の方法及び組成物を使用して、感染作用体からの抗原を含めることによって、感染症を有するリスク状態にあるか又は感染症を有する個体を治療することができる。感染症は、異種生物又は宿主内で再生産される作用体の宿主中での存在に起因する疾患又は状態のことを指す。感染症を有するリスク状態にある被検者は、感染症を発症する素因がある被検者である。そのような個体には、例えば、感染性の生物又は作用体への曝露が知られているか又は疑われる被検者を含めることができる。感染症を有するリスク状態にある被検者には、感染性の作用体又は生物への免疫応答を開始する能力の減弱に関連した状態を有する被検者(例えば、先天性又は獲得性の免疫不全症を有する被検者、放射線又は化学療法を受けている被検者、熱傷のある被検者、外傷性の損傷がある被検者、手術又は他の侵襲的な医科又は歯科手技を受けている被検者、又は同様に免疫低下した個体)も含めることができる。
【0101】
[00119] 本発明のワクチン組成物で治療又は予防し得る感染症には、細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫の感染症が含まれる。他のさほど一般的ではない種類の感染症には、リケッチア、マイコプラズマ、及びスクラピー、ウシ海綿状脳症(BSE)、及びプリオン病(例えば、クールー病及びクロイツフェルト−ヤコブ病)を引き起こす作用体も含まれる。ヒトに感染する細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫の例は、よく知られている。感染症は、急性、亜急性、慢性、又は潜在性であってよく、そしてそれは、局在性又は全身性であってよい。さらに、感染は、主に細胞内であり得るか、又は感染性生物体の宿主中の生活環の少なくとも1つの相の間は細胞外であり得る。
【0102】
[00120] 本主題のワクチン及び方法をそれに対して使用し得る細菌感染症には、グラム陰性菌とグラム陽性菌がともに含まれる。グラム陽性菌の例には、限定されないが、パスツレラ種、ブドウ球菌種、及び連鎖球菌種が含まれる。グラム陰性菌の例には、限定されないが、大腸菌、シュードモナス種、及びサルモネラ種が含まれる。感染菌の具体例には、限定されないが、ヘリコバクター・ピロリ、ボレリア・バーグドフェリ、レジオネラ・ニューモフィラ、マイコバクテリウム種(例えば、結核菌、トリ型結核菌、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ、マイコバクテリウム・カンサシイ、マイコバクテリウム・ゴルドネ)、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、リステリア・モノサイトゲネス、化膿性連鎖球菌(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(ビリダンス群)、糞便連鎖球菌、ストレプトコッカス・ボービス、連鎖球菌(アネロビウス種)、肺炎連鎖球菌、病原性カンピロバクター種、エンテロコッカス種、インフルエンザ菌、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム種、エリジペロトリックス・リュージオパチエ、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、破傷風菌、エンテロバクター・エロゲネス、肺炎桿菌、パスツレラ・ムルトシダ、バクテロイデス種、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ストレプトバチルス・モリニホルミス、トレポネーマ・パリダム、トレポネーマ・ペルテヌエ、レプトスピラ、リケッチア、及びアクチノミセス・イスラエリイが含まれる。
【0103】
[00121] ヒトにおいて感染症を引き起こすウイルスの例には、限定されないが、レトロウイルス科(例えば、HIV−I(HTLV−IIIとも呼ばれる)、HIV−II、LAC又はIDLV−III/LAV又はHIV−IIIのようなヒト免疫不全ウイルスとHIV−LPのような他の分離株)、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、リノウイルス、エコーウイルス)、カルシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株)、トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス)、フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス)、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス)、フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス)、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス)、ブンヤウイルス科(例えば、ハンタウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス、及びナイロウイルス)、アレナウイルス科(出血熱ウイルス)、レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス)、ビマウイルス科、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス)、パルボウイルス科(パルボウイルス)、パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス科(アデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)I及びII、帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス)、及びイリドウイルス科(例えば、アフリカブタ発熱性ウイルス)、及び未分類ウイルス(例えば、海綿様脳症の起因体、デルタ型肝炎の病原体、非A非B型肝炎(腸伝播されるクラス1;C型肝炎のように非経口伝播されるクラス2)の病原体;ノルウォークウイルスと関連ウイルス、及びアストロウイルスが含まれる。
【0104】
[00122] 真菌の例には、アスペルギルス種、コクシジオイデス・イミジス、クリプトコックス・ネオホルマンス、カンジダ・アルビカンスと他のカンジダ種、ブラストミセス・デルマチジス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、トラコーマ・クラミジア、ノカルジア種、及びニューモシスティス・カリニが含まれる。
【0105】
[00123] 寄生虫には、限定されないが、バベシア・ミクロティ、バベシア・ダイバージェンス、エントメーバ・ヒストリチカ(Entomoeba histolytica)、ランブル鞭毛虫、熱帯リーシュマニア、リーシュマニア種、ブラジルリーシュマニア、リーシュマニアドノバニ、熱帯熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリア、三日熱マラリア、ゴンディ・トキソプラズマ、ガンビア・トリパノソーマ、及びトリパノソーマ・ローデシェンセ(アフリカ眠り病)、クルーズ・トリパノソーマ(シャーガス病)、及びゴンディ・トキソプラズマ、扁形動物、及び回虫のような、血行性及び/又は組織寄生虫が含まれる。
【0106】
[00124] 述べたように、本発明には、癌のような増殖性疾患を治療することにおける、本主題の療法レジメン及び組成物の使用がさらに含まれる。癌は、身体の臓器及び系の正常な機能に干渉する、細胞の非制御増殖の状態である。癌を有する被検者は、その被検者の身体に存在する客観的に測定可能な癌細胞を有する被検者である。癌を発症するリスク状態にある被検者は、例えば、家族歴、遺伝素因、放射線又は他の発癌剤への被検者曝露に基づいて、癌を発症する素因のある被検者である。その元の部位より遊走して生きた臓器へ播種する癌は、最終的には、罹患した臓器の機能悪化を介して被検者の死をもたらし得る。白血病のような造血系の癌は、被検者の正常な造血コンパートメントを打ち負かすことができて、それにより造血系の破綻をもたらし(貧血、血小板減少症、及び好中球減少症の形態で)、最終的には死を引き起こす。
【0107】
[00125] 転移は、原発腫瘍から身体の他の部分への癌細胞の播種より生じる、原発腫瘍部位とは異なる、癌細胞の領域である。原発腫瘍量の診断時には、被検者について、転移の存在をモニタリングする場合がある。転移は、しばしば、特定症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、スキャン、血球及び血小板カウント、肝機能試験、胸部X線撮影、及び骨スキャンの単独又は組合せの使用により検出される。
【0108】
[00126] 本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物は、腫瘍関連抗原(TAA)又はDNAコード化の包含によって、多様な癌又は癌を発症するリスク状態の被検者を治療するために使用することができる。これは、腫瘍細胞において発現される抗原である。そのような癌の例には、乳癌、前立腺癌、結腸癌、白血病、慢性リンパ球性白血病のような血液癌、等が含まれる。本発明のワクチン接種法を使用して、腫瘍の増殖を阻害するか又は遅延させること、又は腫瘍の大きさを減少させることによって、腫瘍を治療するための免疫応答を刺激することができる。腫瘍関連抗原も、腫瘍細胞において専ら発現される抗原であり得るが、腫瘍細胞に限られるわけではない。
【0109】
[00127] 追加の癌には、限定されないが、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系(CNS)の癌、頚部癌、絨毛癌、結直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頚部癌、胃癌、上皮内新生物、腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌(小細胞、大細胞)、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫が含まれるリンパ腫;メラノーマ;神経芽腫;口腔癌(例えば、唇、舌、口、及び咽頭の癌);卵巣癌;膵臓癌;網膜芽腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;泌尿器系の癌;並びに、他の癌腫及び肉腫が含まれる。
【0110】
[00128] 本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物はまた、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、又は他の自己免疫障害のような自己免疫疾患を治療するために使用することができる。本発明のワクチン及び免疫アジュバントで潜在的に治療し得る他の自己免疫疾患には、クローン病と潰瘍性大腸炎のような他の炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、自己免疫脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、グレイブス病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば、三日月形糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、乾癬性関節炎、インスリン抵抗性、自己免疫糖尿病(1型糖尿病;インスリン依存性糖尿病)、自己免疫肝炎、自己免疫血友病、自己免疫リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫肝炎、自己免疫血友病、自己免疫リンパ増殖症候群、自己免疫ぶどう膜網膜炎、及びギラン・バレー症候群が含まれる。最近、動脈硬化症とアルツハイマー病は、自己免疫疾患として認識されてきた。このように、本発明のこの態様において、抗原は、組織破壊や正常組織の傷害に貢献する望ましくない免疫応答をそれに対して宿主が誘発する、自己抗原であろう。
【0111】
[00129] 本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物はまた、喘息とアレルギー及び炎症性疾患を治療するために使用することができる。喘息は、気道の炎症及び狭窄と吸入抗原に対する気道の増加反応性を特徴とする呼吸器系の障害である。喘息には、必ずではないが頻繁に、アトピー又はアレルギー症状が伴う。アレルギーは、ある物質(アレルゲン)に対して獲得される過敏症である。アレルギー状態には、湿疹、アレルギー性鼻炎又はコリーザ、枯草熱、気管支喘息、蕁麻疹、及び食物アレルギーと他のアトピー状態が含まれる。アレルゲンは、感受性のある被検者においてアレルギー又は喘息性の応答を誘導し得る物質である。花粉、昆虫毒、動物鱗屑、埃、カビ胞子、及び薬物を含めて、多数のアレルゲンがある。
【0112】
[00130] 天然及び植物アレルゲンの例には、以下の属に特有なタンパク質が含まれる:イヌ、ヒョウヒダニ、ネコ、ブタクサ、Lotium、スギ、アルテルナリア、ハンノキ、Alinus、カバノキ、コナラ、オリーブ、ヨモギ、オオバコ、ヒカゲミズ、ブラテラ、ミツバチ、イトスギ、ビャクシン、ツヤ、ヒノキ、ゴキブリ(Periplanet)、Agopyron、ライムギ、コムギ、カモガヤ、ウシノケグサ、イチゴツナギ、カラスムギ、シラゲガヤ、ハルガヤ、オオカニツリ、ヌカボ、アワガエリ、クサヨシ、ススメノヒエ、モロコシ、及び Bromis。
【0113】
[00131] 本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物は、特定の状態、例えば、感染症、癌、又は自己免疫状態を治療するための他の療法と組み合わせることができると理解される。例えば、癌の場合、本発明の方法は、化学療法又は放射線療法と組み合わせてよい。
【0114】
[00132] いくつかの事例では、アフィニティー精製を促進する部分をアジュバントに含めることが有益であるかもしれない。そのような部分には、アジュバント組合せの機能に干渉しない、比較的小さな分子が含まれる。あるいは、タグは、切断により除去可能であってよい。そのようなタグの例には、ポリヒスチジンタグ、血球凝集素タグ、マルターゼ結合タンパク質、レクチン、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ、アビジン、等が含まれる。他の好適なアフィニティータグには、FLAG、緑色蛍光タンパク質(GFP)、myc、等が含まれる。
【0115】
[00133] 本主題のアジュバント組合せは、生理食塩水のような生理学的に許容される担体とともに投与することができる。本組成物には、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及び重炭酸塩のような緩衝剤、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、血清アルブミンのようなタンパク質、エチレンジアミン四酢酸、塩化ナトリウム又は他の塩、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、等のような別の担体又は賦形剤も含めてよい。本発明のアジュバントは、対応する投与経路に従って、様々なやり方で製剤化することができる。例えば、摂取又は注射用に液体製剤を作製することができて、ゲル剤又は種々の製剤(procedures)を摂取、吸入、又は局所適用のために作製することができる。そのような製剤を作製するための方法はよく知られていて、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences(レミントン製薬科学)」第18版、マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルヴェニア州イーストンに見出すことができる。
【0116】
[00134] 本発明には、DNAベースのワクチンも含まれる。所望の抗原及び/又はCD40アジュバントをコード化し得るこれらのDNAは、裸のDNAとして投与しても、TLRアゴニストとして作用する組換えウイルスのような発現ベクターに含まれてもよい。さらに、本主題の核酸配列は、移植片の移植に先立って移植片の細胞へ導入してよい。このDNAは、好ましくは、ヒト被検者における発現を促進するためにヒト化されるものである。
【0117】
[00135] 本主題のアジュバント組合せには、「マーカー」又は「レポーター」がさらに含まれてよい。マーカー又はレポーター分子の例には、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ヒグロマイシンB−ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、lacZ、及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、等が含まれる。
【0118】
[00136] 本主題のアジュバントは、抗原又はTNF−Rアゴニスト及び/又は1型インターフェロン又はTLRアゴニストの発現を指令することが可能な単数又は複数のベクターを含んでなる細胞、例えば、そのベクターで形質転換された細胞によって発現されてよい。例えば、バキュロウイルスベクターを使用することができる。使用し得る他のベクターには、細菌中での使用のためのT7ベースのベクター、酵母発現ベクター、哺乳動物発現ベクター、ウイルス発現ベクター、等が含まれる。ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ベクター、ヘルペスウイルス、シミアンウイルス40、及びウシパピローマウイルスベクターが含まれる。また、細菌及び酵母の発現ベクターを利用してよい。
【0119】
[00137] 当業者は、所望の細胞又は生物に適した発現ベクター、プロモーター、選択可能マーカー、等が含まれる、特別な発現系に適した成分を容易に選択することができる。様々な発現系の選択及び使用については、例えば、Ausubel et al.「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の現行プロトコール)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1993);及び、Pouwels et al.「Cloning Vectors: A Laboratory Manual(クローニングベクター:実験マニュアル)」:1985 補遺(1987)に見出すことができる。また提供されるのは、本主題のDNA構築体を含有して発現する真核細胞である。
【0120】
[00138] 細胞移植の場合、細胞は、移植手順によって投与しても、血管壁を介したカテーテル媒介注射手技で投与してもよい。いくつかの事例において、その細胞は、血管への放出により投与してよく、そこから細胞は、引き続き、血流によって分布する、及び/又は周囲組織へ遊走する。
【0121】
[00139] TNF−RアゴニストとしてのCD40アゴニストの場合、そのようなアゴニストは、好ましくは、CD40(好ましくは、マウス又はヒトのヒトCD40)へ特異的に結合するアゴニスト抗CD40抗体又はその断片、又はCD40Lタンパク質、誘導体、三量体CD40Lのような多量体、又は4−1BBリガンドコンジュゲートを含む。本明細書に使用するように、「抗体」という用語は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びにその抗原結合断片が含まれる、その最も広い意味で使用される。これには、Fab、F(ab’)、Fd、及びFv断片が含まれる。
【0122】
[00140] これから、以下に続く実施例に基づいて、本発明をさらに記載する。
【実施例】
【0123】
[00141] 実施例
[00142] 材料と方法
[00143] マウスと腫瘍細胞系
[00144] 米国立癌研究所(メリーランド州ベセスダ)より雄性6〜8週齢C57BL/6マウスを入手して、病原体フリーの条件下で維持した。すべての実験がダートマス大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により承認された。B16.F10メラノーマ細胞は、Mary Jo Turk(ダートマス−ヒッチコックメディカルセンター、ニューハンプシャー州レバノン)の厚意による贈り物であり、完全培地(10%胎仔ウシ血清、ペニシリン 100U/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL、2mMグルタミン、及び50μM 2−メルカプトエタノールを含有するRPMI 1640)において維持した。
【0124】
[00145] 細胞系、抗体、及び試薬
[00146] CD8(53−6.7)、CD4(GK1.5)、CD44(IM7)、CD127(A7R34)、CD122(5H4)、IL−2(JES6−5H4)、IFN(XMG1.2)、FoxP3(FJK−16s)、Granzyme B(16G6)に対するマウスモノクローナル抗体(mAb)とそのアイソタイプ対照のラットIgG2aを、ブレフェルジンAとモネンシンと同様に、eBioscience(カリフォルニア州サンディエゴ)より購入した。抗CD107a(1D4B)をBD Pharmingen(カリフォルニア州サンホセ)より購入した。抗TNF(MP6−XT22)をInvitrogen(カリフォルニア州カールスバッド)より購入した。組換えヒトIL−2をPeprotech(ニュージャージー州ロッキーヒル)より購入した。抗CD40(FGK45)をBioExpress(ニューハンプシャー州レバノン)より購入した。エンドトキシン含量は、定量的な発色性のカブトガニ血球成分(limulus amebocyte lysate)キット(QCL 1000;Cambrex,ニュージャージー州イーストラザフォード)によって評価されるように、1EU/mg未満であった。TLR7アゴニストのS−27609は、3M Pharmaceuticals(ミネソタ州セントポール)からの贈り物であって、すでに記載されている(8)。抗CD4(GKl.5)、抗CD8(2.43)及び抗NK1.1(PKl36)をハイブリドーマによって産生して、標準の方法論を使用して、バイオリアクター上清を精製した。H2K制限クラスIペプチドのOva(257−264)(SIINFEKL)及びTRP2(180−188)(SVYDFFVWL)と修飾されたTRP2エピトープV(SIYDFFVWL)は、Pepceuticals(ノッチンガム、イギリス)より購入して、90%より高い純度であった。ペプチドをDMSOにおいて5mg/mLで溶かして、引き続き、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)において免疫化のために希釈した。
【0125】
[00147] 細胞調製
[00148] ワクチン接種後の様々な時点で、組織を分析用に取り出した。脾臓を単一細胞懸濁液へホモジェナイズして、末梢血を尾静脈出血又は心臓穿刺のいずれかによりヘパリン添加試験管へ採取した。赤血球をACK溶解緩衝液(BioSource,メリーランド州ロックヴィル)で溶解した。リンパ球を転移の標的臓器から単離するために、肺を取り出して、417.5μg/mL リベラーゼCI(ロシュ、インディアナ州インディアナポリス)と200μg/mL DNアーゼI(ロシュ)を含有するRPMIを注入し、切り刻み、37℃で30分間インキュベートした後で、セルストレイナー(cell strainers)に通過させた。細胞を洗浄し、80% Percollに再懸濁し、40% Percollを重ねて、400gで25分間遠心分離させた。80%/40%の界面に留まっている細胞を採取し、洗浄して、Guava(Guava Technologies,カリフォルニア州ヘイワード)によって計数した。
【0126】
[00149] 腫瘍チャレンジとワクチン接種
[00150] マウスに10個の16.F10メラノーマ腫瘍細胞を静脈内注射して、肺転移を定着させた。4日後、ナイーブ又は担腫瘍マウスに100μg Vペプチド、100μg 抗CD40、及び100μgのTLR7アゴニスト、S−27609を指定のような様々な組合せで静脈内にワクチン接種した。ほぼ20日後に肺を採取し、解剖顕微鏡を利用して転移巣を計数した。あるいは、マウスについて、次の90日にわたり生存をモニタリングした。
【0127】
[00151] 細胞サブセットの in vivo 除去
[00152] 250μgの抗CD4(GK1.5)、抗CD8(2.43)、及び抗NK1.1(PK136)の腹腔内投与によって、リンパ球サブセットの除去を達成した。実験開始前の4日間とその後は週1回、抗体を送達した。除去をフローサイトメトリーによって確認して、関連する細胞種の95%より大きい低下をもたらした。
【0128】
[00153] フローサイトメトリー
[00154] 単一細胞懸濁液をFITC、PE、PerCP、PC5、又はAPCで標識した抗体とともにインキュベートした。抗体は、「細胞系、抗体、及び試薬」に収載したように、eBioscience、BD Pharmingen、及びInvitrogenに由来した。CellQuestソフトウェア(BD Bioscience)を利用する改良型Becton Dickinson FACSCANで4色分析を実施した。
【0129】
[00155] 細胞内サイトカイン染色と脱顆粒アッセイ
[00156] 肺、脾臓、又は末梢血(末梢血リンパ球[PBL])からの細胞を完全培地において1μg/mLのOva(257−264)又はTRP2(180−188)ペプチド+10U/mlのIL−2と3μg/mLブレフェルジンAとともに37℃で5〜18時間インキュベートした。細胞をPerCp又はPC5のいずれかで標識した抗CD8とFITC標識抗CD44抗体で染色した後で固定し浸透性にした後で、PE又はAPCのいずれかで標識した抗IFN(XMG1.2)、PE標識抗TNF(MP6−XT22)、PE標識抗IL−2(JES6−5H4)、FITC標識抗CD127(A7R34)、又はPE標識抗グランザイムB(16G6)で染色した。無関係のペプチド対照で観測されるバックグラウンドを差し引くことによって、IFN細胞の百分率を計算した。脱顆粒アッセイでは、最初の5〜18時間のインキュベーション期の間にモネンシンと2.5μg/mLのFITC標識抗CD107a(1D4B)を含めること以外は、上記のように細胞を処理した。
【0130】
[00157] in vivo 細胞傷害性アッセイ
[00158] in vivo 細胞溶解活性を先に記載のように実施した(8)。簡潔に言えば、ナイーブ同系脾細胞を0.5μM又は5μMのいずれかのカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;Molecular Probes,オレゴン州ユージーン)で、37℃で10分間、差示的に標識し、洗浄してから、20μg/mLの無関係なOva(257−264)(SIINFEKL)又は抗原特異的なTRP2(180−188)(SVYDFFVWL)ペプチドでそれぞれ1時間パルスした。引き続き、標識した細胞とパルスした細胞を1:1の比で混合して、ほぼ10個の細胞を静脈内に注射した。1日後、マウスを殺して、脾細胞をフローサイトメトリーによって分析した。各マウスについてSIINFEKL標識標的の数のTRP2標識標的の数に対する比を初めに定量することによって特異的な溶解を計算して、引き続き、抗原特異的溶解の百分率を以下のように計算した:特異的溶解(%)=(1−[ナイーブマウスにおけるCFSElo/CFSEhiの比÷免疫化マウスにおけるCFSElo/CFSEhiの比])×100。
【0131】
[00159] 血清トランスアミナーゼと組織学的分析
[00160] 肝細胞損傷について、血清肝臓酵素活性を測定することによって生化学的に評価した。具体的には、マウスに100μg 抗CD40、100μg S−27609、又はその両方、又は対照としてのPBSを静脈内で与えた。24〜72時間後に血清を採取して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルを、国立ジューイッシュ医学研究センター(コロラド州デンバー)での標準臨床アッセイによって定量した。組織学的分析のためには、上記のように処置したマウスからの肝臓を緩衝化ホルマリンで固定し、パラフィンに埋め込み、切片化して、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)で染色した後でコード化して、盲検形式において0〜4の尺度でスコア化した。数字スコアを以下のように割り当てた:肝臓:0は、正常な肝臓を示し、病巣も肝細胞傷害も認められない;1,門及び実質に稀に浸潤があるが、壊死はない;2,門及び実質に中等度の浸潤があるが、壊死はない;3,門及び実質に頻繁及び/又は大型の浸潤があり、凝固壊死の孤立した島が散見される;及び4,架橋性の凝固壊死を伴う広範囲の炎症。Olympus DP11デジタルカメラに付いた20x/0.05ノンオイル対物レンズと10x接眼レンズを使用するOlympus BX41顕微鏡(ペンシルヴェニア州センターバレー)よりH&E画像を獲得して、Windows用XnViewf、バージョン1.82.2(ランス、フランス)で編集した。
【0132】
[00161] 統計解析
[00162] データを平均±SEMとして表して、他に示さなければ、片側ANOVAとTukey解析によって群間の差を解析した。腫瘍生存実験の場合、ログランク(log-rank)比較を使用して、統計学的関連性を決定した。肝炎の程度は、恣意的尺度でスコア化して、得られるノンパラメトリックデータについて、マン・ウィットニー検定を使用して解析した。0.05未満の確率(P)値を統計学的に有意とみなした。
【0133】
[00163] 実施例1
[00164] CD40/TLR7アゴニストと腫瘍特異的ペプチドを使用すると、高頻度の腫瘍特異的なエフェクターCD8T細胞が誘発される。
【0134】
[00165] 本発明者たちは、以前に、CD40及びTLRアゴニストの同時投与が異種抗原に対する抗原特異的CD8T細胞の増大を相乗的に増強することを実証した(8)。本明細書において、我々は、同様に高い頻度のCD8T細胞を自己抗原に対して誘導し得ることをさらに示す。最近、V(SIYDFFVWL)と呼ばれる、H2K制限メラノーマ拒絶自己抗原TRP2(180−188)の修飾ペプチド変異体が、高親和性のTRP2特異的なCD8T細胞を誘発することが示された(17)。我々は、V+アゴニストCD40抗体(CD40)及びTLR7アゴニスト(TLR7)で免疫化すれば、次に起こるCD8応答を強化して、エフェクター細胞機能の増加を生じさせるだろうと推論した。図1Bに見られるように、CD40は、抗原、TLR7アゴニスト、又はその両方の追加に拘らず、免疫化マウスの末梢血中のCD8T細胞の相対数を増加させた(V単独と比較して、V/CD40、V/CD40/TLR7、及びCD40/TLR7で、P.001)。CD40は、ポリクローナルCD8応答を高める一方で、それは、TRP2特異的CD8T細胞の実質的な集団を産生することができなかった(図1A,C)。TRP2特異的T細胞の相乗的な増大をもたらしたのは、腫瘍抗原、CD40、及びTLR7アゴニストの組合せだけである。細胞溶解ポテンシャルを測定するために、我々は、これらの細胞が脱顆粒する能力を評価しが、これは、CD107a(リソソーム関連膜タンパク質−1)の細胞表面上での保持によって測定することができる(18)。CD107aの細胞表面での発現は、細胞溶解活性と直接的に相関している(19,20)。CD107aを発現したのは、CD40群又はTLR7アゴニスト単独群のいずれかのCD8細胞のそれぞれ約4%と約2%にすぎない。しかしながら、CD40とTLR7アゴニストの両方で初回免疫されたCD8細胞では30%より多くがこの測定によれば細胞溶解活性を発現した(V単独と比較して、P.001)。組合せ処置はまた、in vivo 細胞傷害性アッセイにおいて、ペプチドパルス標的の溶解の増加をもたらした(データ示さず)。総合すると、これらのデータは、CD40とTLR7アゴニストの組合せが、細胞溶解機能のある自己反応性CD8T細胞の高い頻度と高い全数を誘導することを実証する。
【0135】
[00166] 実施例2
[00167] CD40とTLR7を介した同時シグナル伝達は、細胞溶解活性が増強した自己抗原特異的CD8T細胞の増大を推進する。
【0136】
[00168] C57BL/6マウスを、表記のような組合せにおいて、100μgの腫瘍関連抗原V、100μg CD40 FGK45、及び100μg S−27609で静脈内に免疫化した。7日後、マウスを放血させて、細胞をTRP2(180−188)で in vitro 再刺激して、「方法」に記載されるように、IFNを産生してCD107aを転座させる能力を評価した。リンパ球を前方及び側方散乱によって同定して、引き続き、すべてのCD8イベントでゲート処理した。(A)ワクチン接種マウスからの代表的なドットプロット。右上隅の数字は、IFN及びCD44(上行)又はIFN及びCD107a(下行)について陽性であるCD8T細胞の頻度を示す。(B)CD8抗原を発現している末梢血リンパ球の百分率。P.001(片側ANOVAによる)。(C)ペプチド再刺激に応答して脱顆粒したCD8細胞の百分率の定量。すべての場合で、表示データは、少なくとも3回の独立した実験を表す。データは、平均±SEM(各群でn=8)としてプロットする。P.001(片側ANOVAによる)。
【0137】
[00169] 実施例3
[00170] CD40/TLR7ワクチン接種は、強力なCD8T細胞メモリーを誘発する。
【0138】
[00171] 我々は、CD40とTLRアゴニストの同時投与が、長期メモリーを生じさせるアゴニストCD40ベースの単独療法の有害な効果を廃絶させるだろうと仮定した。腫瘍抗原と共にCD40とTLR7アゴニストを同時送達することがCD8T細胞メモリーの産生を誘発するかどうかを決定するために、我々は、マウスにワクチン接種して、60+数日後にエフェクター機能を分析した。VとCD40でのワクチン接種により、細胞溶解ポテンシャルが限定された、肺中の最小の持続的なCD8エフェクター集団が初回免疫された(図2A,B,D)。TLR7単独療法は、持続的な抗原特異的CD8T細胞の有意なプールを誘導することができなかった。対照的に、腫瘍抗原、CD40、及びTLR7アゴニストでのワクチン接種は、脾臓と肺の両方に存在するエフェクター細胞を初回免疫した(図2A,C,D)。より重要には、CD40又はTLR7での単独療法と異なり、このレジメンでワクチン接種されたマウスは、in vivo 細胞傷害性アッセイへ処すときに、ペプチドパルス標的を効率的に溶解した(図2B,E;P.001,V又はV/CD40のいずれかとの比較)。加えて、IFN染色の平均蛍光強度は、CD40処置単独より見られるもの以上に増加し(脾臓:185±30対310±22,P=.0041;肺:152±6対253±25,P=.0028)、CD40/TLR7によって初回免疫されたCD8T細胞がエフェクターサイトカインを産生するのにより効率的であることを示した。最後に、自己免疫白斑を誘導し得たのはCD40/TLR7+腫瘍抗原だけであり、これはワクチン接種マウスのほぼ36%に見られた応答である(データ示さず)。TRP2特異的メモリーT細胞集団の同一性を確かめるために、我々は、CD8T細胞について、エフェクター細胞のメモリー細胞への分化時に選択的に再発現されることが示されたマーカーである、CD127(IL−7R)の発現を検査した(21)。確かに、脾臓及び肺より単離したTRP2特異的CD8T細胞は、CD127を発現した(図2F)。この細胞は、CD127を実際に発現しただけでなく、それらは完全に機能的なままであり、TNFとIL−2をともに産生することができた。肺と脾臓に見出されたIFN細胞のうち20%より多くがIL−2を分泌する一方で、70%より多くがTNFを分泌した(図2G)。さらに、これらの細胞の画分がIL−2を分泌してCD127を発現する能力を獲得したので、このことは、このワクチン接種レジメンにより、エフェクターとセントラルメモリーの両方の表現型のメモリー細胞が産生されることを示す(22)。
【0139】
[00172] 実施例4
[00173] CD40単独療法とは対照的に、CD40/TLR7療法は、CD8メモリーT細胞機能をレスキューする。
【0140】
[00174] 指定のような組合せにおいて、Vペプチド、CD40、及びS−27609のそれぞれ100μgでマウスを免疫化した。65日後にメモリーCD8機能性を評価した。(A)ワクチン接種マウスの脾臓及び肺より単離したメモリーCD8T細胞によるIFN分泌の代表的なドットプロット。ドットプロットを生きたCD8細胞でゲート処理して、数字は、IFNとCD44の両方に陽性な細胞の百分率を示す。(B)メモリーCD8T細胞の細胞溶解活性について、in vivo 細胞傷害性アッセイを実施することによって評価した。数字は、抗原特異的溶解の百分率を反映する。(C,D)脾臓(C)と肺(D)においてIFNを発現するメモリーCD8細胞の相対数及び絶対数の定量。各細胞集団の相対百分率に各組織より単離した細胞の全数を掛けることによって、陽性細胞の絶対数を定量した。(E)パネルBに提示する in vivo 細胞傷害性アッセイの定量。P.001(片側ANOVAによる)。(F)ワクチン接種マウスの脾臓又は肺に由来するIFN−メモリーCD8T細胞上でのCD127発現。アイソタイプ対照を塗りつぶしたヒストグラムとして示す。(G)メモリーCD8T細胞によるサイトカイン産生。パネルFからの細胞について、TNFとIL−2を産生する能力を分析した。数字は、TNF又はIL−2にも陽性であるCD8IFN細胞の百分率を反映する。すべての場合において、各実験で4匹以上のマウス/群を用いる、少なくとも2回の独立した実験よりデータをプールして、平均(±SEM)としてプロットする。
【0141】
[00175] 実施例5
[00176] 転移性メラノーマの制御におけるCD40/TLR7免疫療法の(いずれか一方の単独療法と比較した)より優れた治療効力
[00177] 転移性メラノーマの進行を改変する異なるワクチン接種戦略の能力を比較した。マウスに10個の転移性Bl6.F10メラノーマ細胞を静脈内に接種して、4日後に処置を開始した。ワクチン接種から24日後、マウスを殺して、表面肺転移を計数した。腫瘍抗原又は腫瘍抗原+TLR7アゴニストでの処置は、腫瘍進行を抑えるのに無効であった(図3A,B)。腫瘍抗原+CD40での免疫化は、腫瘍結節の数を低下させた(P.001,V単独に対する)。しかしながら、このワクチンへのTLR7アゴニストの追加は、CD40単独に対して転移数の3倍低下をもたらした(図3B;P.01,V/CD40に対する)。さらに、CD40/TLR7によりもたらされる保護は、H2Kペプチド、Vの除去のように、抗原に依存して、処置の効果を廃絶する(図3A,B)。この保護は、TLR3アゴニストとTLR9アゴニストでも同等の効力が観測されるので、TLR7アゴニストに特有ではない(データ示さず)。さらに、ワクチン接種の経路を変えても、処置のアウトカムを有意には改変しなかった(図S1,「Blood」ウェブサイトで入手可能;オンライン記事のトップにある「Supplement Material」リンクを参照のこと)。CD40/TLR7ワクチン接種が肺転移の数を低下させたので、我々は、組合せ免疫療法が転移性疾患に対して長期の保護をもたらすかどうかを問うた。腫瘍抗原、腫瘍抗原+TLR7アゴニスト、又は腫瘍抗原を伴わないCD40/TLR7アゴニストでワクチン接種したすべてのマウスが肺不全で死亡した(図3A)。平均生存期間は、それぞれ29、30、及び30日であった。CD40単独療法は、腫瘍抗原単独に対して生存期間を有意に増加させて(P.001)、35日のメジアン生存期間であり、マウスの3%に90日より多い生存をもたらした。しかしながら、腫瘍抗原+CD40/TLR7の組合せは、CD40単独に対して大いに生存を改善した(P.001)。メジアン生存期間は35日から47日へ増加して、マウスの20%が90日以上生存した(図S2のカプラン−マイヤプロットも参照のこと)。このワクチン接種レジメンの下でどの細胞サブセットが転移性メラノーマの拒絶に媒介するのかを決定するために、腫瘍チャレンジに先立って、マウスからCD8、CD4、及びNKLl細胞を除去した。CD8細胞の除去は、ワクチン接種の保護効果を廃絶した(図3C;P=.001,除去を伴わないワクチン接種と比較して)。CD4細胞とNK1.1細胞はともに、その除去が有意ではないがややより速い腫瘍進行をもたらしたので、腫瘍保護に部分的な役割を担っている(図3C)。これらのデータは、組合せ免疫療法を伴うワクチン接種が、抗原の存在下に、CD40又はTLRのいずれかをベースとする単独療法で見られるものより大きな抗腫瘍応答に媒介することが可能なCD8T細胞依存性の免疫応答をもたらすことを示す。
【0142】
[00178] 実施例6
[00179] CD40/TLR7の治療介入は、転移性メラノーマの進行を遅らせる。
[00180] C57BL/6マウスに10個の転移性B16.F10メラノーマ細胞を静脈内でチャレンジした。4日後、指定のような組合せにおいて、100μgの腫瘍関連抗原V、100μgのCD40 FGK45、及び100μgのS−27609でマウスにワクチン接種した。24日後、マウスを殺し、肺を取り出して、解剖顕微鏡を利用して転移性の表面腫瘍結節を計数した。(A)腫瘍チャレンジから24日後のマウスの肺の上で肉眼的に見える腫瘍結節の写真。肺の下の数字は、治療効力をモニターしたマウスの平均生存時間と長期生存率を反映する。各実験で各群8匹より多いマウスを用いる、3〜4回の独立した実験よりデータをプールする。(B)肺転移の計数化。2回の独立した実験よりデータをプールして、平均±SEM(各群でn=16匹のマウス)として提示する。データは、各群少なくとも6匹のマウスを用いる4回より多い別々の実験を表す。(C)エフェクター細胞除去後の肺転移の計数化。「方法」に記載のような腫瘍チャレンジに先立ってエフェクター細胞集団を除去すること以外は、マウスを上記のように処置した。データは、平均±SEM(各群でn=8匹のマウス)として表して、3回の独立した実験を表す。
【0143】
[00181] 実施例7
[00182] CD40/TLR7免疫療法に続く、細胞溶解ポテンシャルのある肺浸潤の増強
[00183] CD40/TLR7免疫療法がより優れた抗腫瘍免疫に媒介した理由への洞察を得るために、我々は、腫瘍チャレンジ後10及び21日目に肺浸潤の速度論的解析を実施した(図4A)。担腫瘍肺より単離したリンパ球を、ex vivo ペプチド再刺激の後で、細胞内サイトカイン染色へ処した。腫瘍抗原+CD40又はCD40/TLR7のいずれかでのワクチン接種だけが腫瘍特異的CD8T細胞を初回免疫して、転移性の標的臓器へ遊走させた(図4B)。V/CD40/TLR7ワクチン接種したマウスのフローサイトメトリー分析は、CD40単独療法に対して、腫瘍特異的CD8T細胞の相対百分率の10日目での5倍増加と21日目での3倍増加を明らかにした。絶対的な尺度において、CD40は、TLR刺激に拘らず、ポリクローナルT細胞のワクチン接種マウスの肺への遊走を推進するが、この応答は、時間とともに衰える(図4C,D)。対照的に、抗原特異的な細胞は、上昇したままであり、CD40/TLR7は、両方の時点でより大きな絶対応答を誘導した(両方の時点でV/CD40/TLR7とV/CD40の間で、P.001)。さらに、CD40/TLR7ワクチン接種より産生された細胞は、脱顆粒とグランザイムB発現によって測定されるように、細胞溶解ポテンシャルを示した(図4E)。
【0144】
[00184] 実施例8
[00185] 肺浸潤性リンパ球の速度論的解析
[00186] 本実施例は、図4の実験に関する。図4(A)に示すのは実験デザインであり、図4(B)は、腫瘍チャレンジ後10又は21日目に転移性の標的臓器より単離したリンパ球の代表的なドットプロットを含有する。「方法」に記載のように、担腫瘍肺より細胞を単離して、腫瘍ペプチドでの in vitro 再刺激へ処した。プロットを生きたCD8細胞でゲート処理する。右上の象限の数字は、IFNと活性化マーカーCD44の両方に陽性であるCD8T細胞の頻度を反映する。データは、各実験において各群4匹のマウスを用いる3回の独立した実験を表す。(C,D)腫瘍チャレンジから10日(C)又は21日(D)後の肺浸潤の定量。データは、平均(±SEM)としてプロットして、各実験において4匹のマウス/群を用いる2回(C,n=8匹のマウス/群)又は3回(D,n=12匹のマウス/群)の独立した実験よりプールしたデータを表す。(E)腫瘍抗原+CD40/TLR7でワクチン接種したマウスの肺より腫瘍接種後10日目又は21日目に単離したCD8T細胞のエフェクター表現型。初めに、ドットプロットを生きたCD8細胞でゲート処理してから、IFNCD44集団でさらにゲート処理する。データは、各実験において4匹のマウス/群を用いる少なくとも2回の独立した実験を表す。
【0145】
[00187] 実施例9
[00188] ワクチン効力は、制御性T細胞の効果に打ち勝たねばならず、CD8/FoxP3細胞の比を使用して、プライミングの強度を評価した(23)。10日目に、組合せ療法は、抗原特異的CD8T細胞のFoxP3細胞に対する絶対数において10倍増加をもたらしたが、一方CD40単独療法は、3倍増加をもたらした(図4C)。我々は、FoxP3の変換の最適な低下を示したことがある“src=”/math/rarr.gif”border=0。FoxP3T細胞は、CD40とTLRアゴニストの両方とともにDCの成熟化を必要とする。これらのデータは、組合せ免疫療法が増加した抗腫瘍免疫に媒介する1つのやり方が、CD8T細胞数とエフェクター機能を増幅させる一方で、免疫抑制の効果を減少させることによるという仮説を支持する。
【0146】
[00189] 実施例10
[00190] CD40誘導性の肝細胞損傷は、TLR7アゴニストの同時投与によって低下される。
【0147】
[00191] CD40単独療法の使用の重大な用量制限性の安全性への懸念の1つは、肝毒性である。CD40アゴニストを使用したいくつかのヒト(24)及び動物(24)\l“B25”\l“B26”(27)試験では、肝臓傷害の指標である循環性の肝細胞酵素:ALT及びASTの上昇レベルが報告されている。肝細胞傷害の重症度を「単独療法」対「組合せ療法」で検証するために、我々は、マウスのALT及びASTの血漿レベルをワクチン接種後に測定した(図5A,B)。いずれのトランスアミナーゼも、CD40で処置したマウスにおいて有意に上昇して、処置後48時間でピークに達した。TLR7は、酵素レベルに対して影響を及ぼさなかった。CD40単独療法と対照的に、CD40/TLR7処置は、CD40単独で見られる毒性を完全に改善した。肝臓の肉眼評価は、CD40で処置したマウスでのみ観察される知見である、実質的な壊死の領域を明らかにした(データ示さず)。組織学的分析により、肝細胞傷害の重症度を確かめた(図5C〜F)。PBSで処置したマウスでは、正常な肝臓構造が見られた(図5C)。CD40で処置したマウスより単離した肝臓が広汎な架橋性の凝固壊死を明示する(図5D)一方で、TLR7処置は、観察可能な凝固壊死を伴わない軽度の炎症をもたらした(図5E)。CD40/TLR7を受けたマウスからの肝臓は、いくつかの炎症病巣を有したが、凝固壊死は、ほとんど〜全くなかった(図5F)。続いて、組織学的傷害の程度を半定量的な尺度でスコア化した(図5G)。このデータは、CD40単独療法に関連した肝毒性をTLR7が有意に低下させることを明らかにした(P=.026)。何故TLR7がCD40誘導性の毒性を弱めるのかは明らかでないが、MyD88 KOとTLR7 KOマウスの両方がCD40又はCD40/TLR7のいずれか一方で処置されるときに、同様のALT及びAST酵素レベルを有したので、我々は、この毒性の復帰がTLR7依存性であることを示した(データ示さず)。最後に、CD40/TLR7組合せ療法が毒性を復帰させるその分子及び細胞機序は不明のままであり、さらなる検討を必要とするが、それでも、その療法は、より良い治療アウトカムを提供するだけでなく、有害な副作用を最少化するのである。
【0148】
[00192] 実施例11
[00193] CD40単独療法に関連した肝毒性は、TLR7アゴニズムで逆転される。
[00194] 本実施例は、図5の実験に関する。図5(A,B)は、血清トランスアミナーゼの速度論的解析を含有する。マウスをPBS、100μg CD40、100μg TLR7、又はその両方で静脈内処置した。その後の様々な時点で血清を単離して、アラニントランスアミナーゼ(A)又はアスパラギン酸トランスアミナーゼ(B)の血清レベルを記載のように測定した。データは、各時点につき各群n=3〜8匹のマウスを用いる、3回の独立した実験を表す。(C〜F)PBS(C)、100μg CD40(D)、100μg TLR7(E)、又は100μg CD40及び100μg TLR7(F)で48時間処置した肝臓の組織学的分析。(G)上記のように48時間処置したマウス由来の肝臓における組織病理学的変化の半定量的な評価。各処置群でn=6匹のマウスを用いた2回の独立した実験からのデータをプールする。P=.026(マン・ウィットニー、ノンパラメトリック検定による)。
【0149】
[00195] 実施例12
[00196] TLRアゴニスト又はIFNaのCD40アゴニストとの同時投与による肝毒性の廃絶
[00197] 本実施例は、図6及び7の実験に関する。ここでは、肝臓酵素活性を測定することによって、肝細胞損傷を生化学的に評価した。具体的には、100mgの抗CD40、100mg S−27609、又はその両方をマウスに静脈内で与えた。いくつかの場合では、上乗せ(graded)用量の組換えインターフェロン−α(通常は、100万国際単位/マウス)もマウスに与えた。24〜72時間後に血清を採取して、肝臓の化学プロフィール分析のためにチャールズ・リバー・ラボラトリーズ(マサチューセッツ州ウースター)へ送った。あるいは、国立ジューイッシュ医学研究センター(コロラド州デンバー)によって血清試料を分析した。
【0150】
[00198] 結論
[00199] この10年では、癌標的抗原の同定における指数関数的な増大が見られたが、これらの標的に対して効果的に免疫化するヒト用アジュバントの開発への同様の進展は、遅れている。Toll様受容体とそのリガンドと、適応免疫を制御する受容体−リガンドの分子同定は、癌に対する保護的免疫応答を誘発するようにアジュバントを分子的に調合する最初の論理的な仮説ベースの戦略を提供してきた。自然免疫応答を発動させることにおけるTLRの重要性と並んで、CD40とそのリガンドは、適応免疫応答の発現のための中心的なアクチベータとなっている。我々のデータは、特異的なTLRを活性化する、十分に定義されたアゴニストの使用をCD40のアゴニストの使用と組み合わせると、最も強力なウイルスベクターで見られるものに合致するか又はそれを超える、一定のペプチドに対する甚大な細胞媒介性免疫応答が誘発されることを示す。これらの観察事実に基づいて、我々は、このCD40/TLRプラットフォームを使用して、それがメラノーマの処置に治療的に有効であり得ることを示した。我々は、これら2つのアゴニストが標的としての樹状細胞(DC)に影響を及ぼして、DCに甚大なCMI応答を推進する能力を独自に付与する機能特徴を誘導すると仮定している。我々は、これらのDCがCMIを誘導するのにかくも有効である理由を完全には理解していないが、我々は、TLR及び□CD40がトリガーとなるDCの分子サインが、各剤単独が in vivo でトリガーとなるDCとは異なることを示している。
【0151】
[00200] おそらく、癌と戦うための我々のアプローチの最も弱い側面の1つは、癌関連抗原に対して強くて長期持続的な免疫を誘発することができるアジュバントの不足であろう。これまで、我々は、炎症を誘導するように見える薬剤の使用に依存してきた。Alumは、水酸化アルミニウム及びリン酸塩の塩であり、体液性の免疫応答を主に誘発する。このアジュバントは、1926年に初めて利用されて、FDAが初めて新薬承認の権威を1938年に引き受けたときに、実際上承認された。Alumは、唯一のFDA承認アジュバントであり、破傷風トキソイドのような、一般的に使用されている多数のワクチンの成分である。カルメット・グラン桿菌(BCG)、アオガイヘモシアニン(KLH)、不完全フロイントアジュバント(IFA)のように、癌の臨床試験で利用されてきた多くの他のアジュバント(非サイトカイン)があるが、このいずれもその作用機序はほとんど理解されていなくて、穏和なアジュバント活性を有する。免疫アジュバントの受容体(Toll様受容体)を解明する最初の研究が産声をあげた1999年になって初めて、免疫系のこれらの「非特異的」アクチベータが自然免疫のトリガーとなる仕組みの分子的理解が始まったのである。
【0152】
[00201] TLRは、造血系及び非造血系の細胞で発現される1型膜タンパク質である。現在、TLRファミリーには11のメンバーがある。これらの受容体は、病原微生物によって発現される病原体関連分子パターン(PAMP)を認識するその能力によって特性決定される。典型的なPAMPには、LPS、DNA(CpG)、リポタンパク質、ssRNA、及び糖脂質が含まれる。TLRの真の内因性リガンドがあるかどうかは依然として論議の的であるが、TLR2とTLR4は、熱ショックタンパク質ファミリーのhsp60及びhsp70のメンバーが含まれる、いくつかの自己タンパク質を認識することができると報告されている。
【0153】
[00202] 一般に、TLRのトリガリングは、サイトカイン産生の増強(IL12、IL18、等)、ケモカイン受容体発現(CCR2、CCR5、及びCCR7)、及び補助刺激分子発現を介して、甚大な炎症応答を誘発する。これらの受容体は、そのままで、自然免疫系において、後続する獲得免疫応答の極性に対する制御を行使する。
【0154】
[00203] CD40のリガンド(CD40L、gp39)であるCD154は、TNF−α、リンホトキシン、FasL、CD30L、CD27L、4−1BBL、及びOX−40Lが含まれる腫瘍壊死因子ファミリーの32〜39kDのメンバーである。活性化CD4 T細胞は、CD154発現の主因となる優勢な細胞種である。CD8T細胞、好酸球、マスト細胞及び好塩基球、NK細胞、及びDC上でのCD154の発現についても記載されてきた。CD154の受容体であるCD40は、TNF−RI(p55)、TNF−RII(p75)、p75ニュートロフィン受容体、fas、CD30、CD27、4−IBB、及びOX−40が含まれる腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)スーパーファミリーのメンバーである。それは、50kDの膜タンパク質であり、その組織分布は、B細胞、DC(DCの)、及び基底上皮細胞に限られていると当初考えられたが、後の研究は、単球/マクロファージ、ミクログリア細胞、及び内皮細胞上でのCD40の機能的な発現を示した。
【0155】
[00204] 単離DCに関する in vitro 研究は、CD40トリガリングが、サイトカイン(IL12、IL15)、ケモカイン(IP10、MIP−1β、MIP−1α、及びIL−8)、補助刺激分子発現(CD80、CD86)、及びケモカイン受容体の発現を改変させることを示した。これらの効果は、いずれも、T細胞の増殖及び分化の増強を刺激するCD40活性化DCの能力に行き着く。我々自身のデータは、TNFαやRANKLと比較して、CD154が初期のシグナル伝達、サイトカイン産生、及びケモカイン産生に対してはるかに甚大な効果を発揮することを示す。DCのCD40トリガリングの他の1つの重大な影響は、ペプチド−MHCIIの代謝回転における変化である。Lanzavecchia はLPSを使用して、そして我々はsCD154を使用して、CD40アゴニストでのDCの成熟化により、DCの表面上でのMHCII−ペプチド複合体の蓄積が促進されることを示した。我々のラボや他のラボからの研究は、CD40がDCの in vivo での重要な長命シグナルであるらしいことを示している。我々は、CD4T細胞応答の長期化クローン増大には、DCの長命が必須であると仮定してきた。CD40シグナル伝達のDC長命に対する影響は、TLRとCD40アゴニストを組み合わせて使用するときに観察されるシナジーのきわめて重要な特徴であると我々は考えて、以下に考察する。要約すると、CD40アゴニストが in vitro と in vivo でDCに甚大な生物学的変化を誘導することに疑いはない。しかしながら、我々は、これらの変化は持続的でなく、有効なCMI応答の真のトリガーとなるようにDCを「認可する」には無効で不十分であると仮定している。
【0156】
[00205] CD4T細胞の非存在下にCMIを誘発するCD40アゴニストの成功は、CD40アゴニストを癌ワクチン用アジュバントとして使用することへの実質的な熱狂をもたらした。Glennie と共同研究者による一連の研究は、□CD40を使用して、CD40リンパ腫の腫瘍退縮を達成することができることを示したが、CD40アゴニストの用量は、きわめて高く(250μg/日、2〜5日間)、そして奇妙にも、免疫化に必要とされる腫瘍接種量もきわめて高かった(5×l0/マウス)。それでも、上記CD40リンパ腫の臨床的寛解は印象的であった。CD40である造血系腫瘍に関する研究は、さほど印象的でなかった。CD40リンパ腫及び白血病での成功は、その腫瘍に対するCD40アゴニストの直接効果によるものであった可能性がある。リンパ腫及び白血病では、□CD40がそのAPC活性も増強させて、同時にそれらのアポトーシスを増強させる可能性がある。しかしながら、この同じ研究グループによる後の研究は、CD40アゴニストが固形腫瘍に対して有益な治療効果を発揮し得ることを実際に証明した。固形腫瘍を用いたいくつかの研究は、CD40活性化がアポトーシス死を促進すること、そしてCD40発現が、腫瘍細胞除去に貢献する腫瘍特異的T細胞応答の産生に重要な因子であることを示してきた。他の研究グループは、Melief と共同研究者と同様に、CD40アゴニスト単独又はTLRアゴニスト単独で、Ad5E1A発現(CD40−)腫瘍(腫瘍型は記載されていない)に対して in vivo で有効な治療効果を誘発し得ることを示した。腎細胞癌モデルを使用して、Murphy と共同研究者は、アゴニスト□CD40とIL−2の組合せだけが多数の処置マウスにおいて転移性腫瘍の完全な退縮と後続の再チャレンジに対する特異免疫を誘導するが、いずれの薬剤も単独投与ではそれを誘導しないことを示している。この場合、CD40アゴニスト単独での効力は、予測不能である。この腫瘍に対してCD40発現が重要であるかどうか、腫瘍負荷が重要であるかどうか、CD40単独が充分であるかどうか、そして□CD40療法の効力に液体腫瘍又は固形腫瘍で顕著な差があるかどうかも明瞭でない。我々は、TLRアゴニストとともに使用されるときにCDアゴニストは高レベルの腫瘍特異的な免疫を誘導して、異なる腫瘍モデルにおいて□CD40単独療法で見られる特異反応(idiosyncrasies)を回避すると主張するものである。
【0157】
[00206] CD40は、腫瘍保護の目的のために高められるCMI応答を誘導するのに合理的な標的であるが、文献のデータは、それが広範囲の腫瘍には適用可能でないことを示唆した。本発明者の研究室は、□CD40を単独療法として使用して保護的腫瘍免疫を高めるための一般的な方法を開発しようと何年もの間精力的に研究して、失敗してきた。抗体の用量、接種の時機、経路、腫瘍型、異なるmab(モノクローナル抗体)、等のありとあらゆる変数について広汎に試験してきたが、これまでの努力は、Glennie により報告されたようなBリンパ腫及び白血病のモデルを除けば、無益であることがわかった。Kedl と共同研究者からの最近の研究は、CD40アゴニストを使用するときの保護的CTLの産生に影響を及ぼす可能性がある重要な変数のいくつかについてかなり光明を投げかけている。SIINFYKL特異的CTLとOVA形質導入B16についてのテトラマー染色を使用して、彼らは、□CD40アゴニストがSIINFYKL特異的CTLの消失を実際に加速することを示した。しかしながら、SIINFYKLミニ遺伝子を担うワクシニアウイルスで免疫化を行ったならば、□CD40アゴニストを使用して、増強されたCTL増大が観察された。腫瘍抗原に対する長期の免疫化がCD40アゴニストによって高められるのは、その腫瘍抗原がウイルスベクターにおいて、又は炎症の状況において送達される場合だけであると結論された。従って、数多くの腫瘍モデルのアウトカムにおける大きな不一致は、□CD40アゴニストと相乗作用する補助炎症性(co-inflammatory)メディエーターが偶然加わることによるのかもしれない。
【0158】
[00207] このようなin vivo 研究は、CD40アゴニストによるDCの活性化のためのコシグナル(co-signals)の必要条件に関するいくつかの最近の報告をもたらした。公表された研究は、「予備データ」セクションに提示されるものと同様に、CD40エンゲージメント(engagement)単独では、DCによるIL12p70産生を in vitro と in vivo で誘導するのに不十分であることを示している。p40とp35についてmRNAを評価することによって、著者らは、p35 mRNA発現の増強とIL12p70の産生には、TLR(STAg,トキソプラズマ・ゴンディからの抽出物)とCD40を介した同時エンゲージメントが必須であることを示している。この研究にヒトのDCを使用する検討が続いて、そこでは、IL12p70の in vitro 産生のためのCD40シグナル伝達では、CpG DNAが必須の同時刺激であることが示された(51)。総合すると、これらは、CD40がDC成熟化のある側面を推進するのに必要であるが十分ではないことを文書化した最初の研究であった。しかしながら、それらは、CD40とTLRアゴニズムの共同作用がCMIを激しく(fulminately)誘発するのに不可欠であることの圧倒的な証拠を提供しなかった。
【0159】
[00208] CD40とTLRアゴニズムの間のシナジーに関する疑問へは、OVA特異的テトラマー細胞の in vivo での増大に対する、TLR又はCD40のいずれかのエンゲージメント、又はTLR/CD40エンゲージメントの影響を定量することによって直接迫った。我々は、□CD40、TLR7アゴニスト(S27609)、及びOVA(タンパク質又はペプチド)の投与がOVA特異的なCD8T細胞の産生を誘導することができることを示した(予備データセクションの例を参照のこと)。6日目までに、抗原特異的T細胞は、CD8T細胞集団全体の25%以上を表すことができる。試験したすべてのTLRアゴニストは、抗CD40と相乗作用して、強力な抗原特異的CTL活性を誘導する。これらの知見は、自然免疫と獲得免疫の組み合わされたトリガリングが強力なエフェクターT細胞を誘導する能力を最大化して、この技術を癌免疫療法におけるワクチンプラットフォームとして使用することを可能にするという仮説を裏付けた。
【0160】
[00209]マウスとヒトの両方の研究は、CD40アゴニスト単独の投与が毒性を誘導することを示してきた。インタクトなマウスでは、CD40アゴニストが肝毒性を誘発することが示されている。免疫不全マウスと非致死的照射マウスでは、CD40アゴニストの投与が致死を誘導する。□CD40及びTLRアゴニスト(又はIFNa)の組合せ投与に関する我々の研究の経過の間に、我々は、□CD40で処置したマウスへTLRアゴニスト又はIFNaのいずれか一方を in vivo で追加すると、毒性が解消されることを発見した。従って、IFNa又はTLRアゴニストのCD40アゴニストとの同時投与は、CD40アゴニストの臨床使用時に観察される毒性を解消するはずである。
【0161】
[00210] 加えて、自然免疫及び適応免疫の分子トリガーの同定は、ワクチンのアジュバントプラットフォームを革新するだろう。しかしながら、他の免疫経路の非存在下での1つの免疫経路の孤立された活性化は、長期の保護的免疫の発生にとって、有毒、無効であり得るか、ある場合は、有害であるかもしれない。より有効な分子工学処理ワクチンには、多数の免疫学的経路のトリガーとなる薬剤の組合せが含まれる可能性がある(28,29)。我々の研究は、CD40とTLRアゴニストが組合せにおいて、いずれかの単一アジュバントと比較して、(1)高頻度の自己反応性エフェクターCD8T細胞、(2)強力な腫瘍特異的CD8メモリー、(3)転移性の標的臓器へ効率的に浸潤して、エフェクター機能を発揮するCD8T細胞、(4)より優れた治療効力、(5)腫瘍部位でのCD8T細胞のFoxP3T細胞に対する上昇比、及び(6)肝毒性の低下を誘発することを示す。
【0162】
[00211] 腫瘍特異的CD8T細胞の頻度上昇は、多くのヒト臨床試験での一次エンドポイントであり(13)、保護的な抗腫瘍免疫の出現に必要な要素であると考えられている。CD40/TLRアゴニストと抗原の組合せ投与によって誘発される抗原特異的CD8T細胞の頻度は、抗原パルスDCのような、ほとんどの他のアジュバント又は細胞ベースのワクチンプラットフォームで観測されるものより1桁高いものである(30)。\l“B31”−(32)この著しい応答の細胞及び分子上の基礎は不完全に理解されているが、我々は、CD8T細胞の増大には、CD70のDC上での発現が決定的であることを公表している(9)。CD70のCD8DC上での上昇発現が誘導されるのは、CD40とTLRアゴニストの両方が同時投与されるときだけである。ワクチン接種後に見られる優れたメモリー応答は、CD70/CD27を介したシグナル伝達が後に増加することで説明されよう(33)。他のデータは、CD8DCが可溶性抗原を交差提示する能力を獲得するのは、CD40及びTLRを介して in vivo でトリガーされるときであり、このことも、抗原特異的CD8T細胞の極端に高い頻度に貢献する可能性があることを示唆する。全体的には、我々の現在の仮説は、CD40/TLR7が抗原プロセシングと交差提示の効率を高めて、それによりCD8T細胞のプライミング及びメモリーの増強を促進するというものである。本明細書に提示するデータは、ペプチド抗原を使用して、それ自体は、交差提示経路を回避した。しかしながら、CD40/TLRアゴニズムには、ペプチドワクチン接種後に代わりの腫瘍抗原へのエピトープスプレッド(spreading)を促進する可能性があると思索することは興味深い。
【0163】
[00212] 単一アジュバントとしての抗CD40は、体液性(34)と細胞媒介性(16)の両方の免疫応答を終結させると示されてきた。CD40単独療法は、短期免疫のわずかな増強をもたらすかもしれないが、諸研究は、それがCD8T細胞メモリーの発生を短縮することを示してきた(14)。興味深いことに、体液性免疫でも、CD40アゴニストの使用は、長期メモリーと長命な形質細胞の産生を止める(17)。Murphy と共同研究者による最近の研究(Berner et al(14))において、CD40単独療法は、腫瘍特異的CD4T細胞のIFN依存性アポトーシスと、腫瘍チャレンジに対する保護的メモリー応答を開始することの不能をもたらした。いくつかのCD40モノクローナル抗体が臨床に入っているが(2,4,35)、\l“B36”\l“B37”(38)今回の試験と他の豊富なマウス試験、例えば(39,40)で使用された抗マウスCD40に類似した強いアゴニストであると報告されたものは、そのうち1つだけである(2)。その第1相試験では、それぞれIV病期メラノーマである4名の患者がその試験の終わりの再病期評価時に部分寛解を有すると見出された。ワクチンプラットフォームとしてのアゴニストCD40単独療法(2)に関して何らかの結論的な陳述を下すことは時期尚早であろうが、マウスの前臨床試験は、自然免疫のアクチベータと組み合わせるときに、それがワクチンとしてより有効になることを確実に示唆する。他の免疫アクチベータの追加で、臨床効果は改善しないとしても、CD40単独療法の毒性は、改善される可能性がある。アゴニストCD40単独療法が好適であり得る1つの適応症は、マウスにおいて高用量の単独療法がきわめて有効であることが示された(40,41)、B細胞リンパ腫である。
【0164】
[00213] 動物モデルの試験は、単一アジュバントとして、TLRアゴニストが強力な炎症応答を誘発して、広範囲の特異的な免疫応答を増強し得ることを明らかにしている(42)。TLRアゴニストを用いた臨床試験の結果は、混乱している(43)。FDA承認された局所適用TLR7アゴニストであるイミキモド(imiquimod)は、基底細胞癌にきわめて有効であることが証明された。さらに、TLR4アゴニストを使用する2種の改善された成人B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチンが承認されている。しかしながら、2007年6月に、ファイザー社は、多種多様な化学療法剤と組み合わせた第2及び3相試験における臨床効果の不足により、TLR9アゴニストについての小細胞肺癌の臨床プログラムを中止した(44)。我々のデータは、少なくとも癌の適応症においては、適応免疫のアクチベータがTLRアゴニストの治療的ポテンシャルを大いに高めることを強く示唆している。
【0165】
[00214] TNFRアゴニストとTLRアゴニストを用いたシングルアーム試験が概ね安全であり、炎症応答を誘導することが示されてきたことは、励みになる。TLRアゴニスト、TNFRアゴニスト、及び他の免疫アクチベータの混合物を使用する、マウスにおける最新の前臨床試験に基づけば、これらの混合物は、臨床試験における効力を大きく改善して、同時に毒性を低下させることが期待される。一次エフェクターT細胞の頻度上昇、強力な長期の免疫学的メモリー、及び制御性T細胞機能の低下は、成功裡の治療的介入で達成することが求められる可能性がある注目すべきエンドポイントのいくつかである。今回の試験と他の試験の知見(45)は、ヒトの癌ワクチン試験において最大の効果を達成する多因子ワクチンの創製への合理的な戦略を提供する。
【0166】
[00215] 参考文献のリスト
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[00260] 本発明の様々な態様の活性に実質的には影響を及ぼさない修飾も、本明細書に提供される本発明の定義内で提供されると理解される。
【0167】
[00261] 本明細書に引用される雑誌、特許、及び他の出版物への様々な言及は、現在の到達水準を含み、完全に説明されるかのように、参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのTNF−Rアゴニストの、単独療法として投与されるときに一部の被検者において肝毒性を誘発する投与量での投与を伴う改善された療法レジメンであって、ここで改善は、肝酵素レベルに基づいて定量されるような前記肝毒性を消失させるか又は少なくとも50%低下させるのに十分な量の少なくとも1つの1型インターフェロン及び/又はTLRアゴニストをさらに投与することを含む、前記レジメン。
【請求項2】
TNF−RアゴニストがCD40アゴニストである、請求項1のレジメン。
【請求項3】
CD40アゴニストが、CD40アゴニスト活性を有する、アゴニスト抗体又は断片又は単量体又は多量体のCD40Lポリペプチド又は変異体又は断片又はコンジュゲートである、請求項2のレジメン。
【請求項4】
TLRアゴニストが、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、及びTLR12より選択されるTLRのアゴニストである、請求項1のレジメン。
【請求項5】
TLRアゴニストが、酵母又は細菌のスフェロプラスト、細胞質、膜、又は亜細胞粒子である、請求項1のレジメン。
【請求項6】
TNF−Rアゴニストが、単独療法として肝毒性を誘発する量の少なくとも2倍の投与量で投与されるCD40アゴニストである、請求項1のレジメン。
【請求項7】
TNF−Rアゴニストが、単独療法として肝毒性を誘発する量の少なくとも5倍の投与量で投与されるCD40アゴニストである、請求項1のレジメン。
【請求項8】
TNF−Rアゴニストが、単独療法として肝毒性を誘発する量の少なくとも10倍の投与量で投与されるCD40アゴニストである、請求項1のレジメン。
【請求項9】
それに対する免疫応答が誘発される抗原を投与することさらにを含む、請求項1のレジメン。
【請求項10】
前記抗原が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫の抗原である、請求項9のレジメン。
【請求項11】
前記抗原がヒト抗原である、請求項9のレジメン。
【請求項12】
前記ヒト抗原が、癌抗原、自己抗原、又はその発現がヒトの慢性疾患に相関するか又は関与する他のヒト抗原である、請求項11のレジメン。
【請求項13】
前記ウイルス抗原が、HIV、ヘルペス、パピローマウイルス、エボラ、ピコルナ、エンテロウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、トリインフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、VSV、デングウイルス、肝炎ウイルス、リノウイルス、黄熱病ウイルス、ブンヤウイルス、ポリオーマウイルス、コロナウイルス、風疹ウイルス、エコーウイルス、ポックスウイルス、帯状疱疹、アフリカブタ発熱性ウイルス、インフルエンザウイルス、及びパラインフルエンザウイルスからなる群より選択されるウイルスに特異的である、請求項10のレジメン。
【請求項14】
前記細菌抗原が、サルモネラ、エシェリキア、シュードモナス、バチルス、ビブリオ、カンピロバクター、ヘリコバクター、エルウィニア、ボレリア、ペロバクター、クロストリジウム、セラチア、キサントモナス、エルシニア、バーコルデリア、リステリア、シゲラ、パスツレラ、エンテロバクター、コリネバクテリウム、及びストレプトコッカスからなる群より選択される細菌に由来する、請求項10のレジメン。
【請求項15】
前記寄生虫抗原が、バベシア、エントアメーバ、リーシュマニア、プラスモジウム、トリパノソーマ、トキソプラズマ、ジアルジア、扁形動物、及び回虫より選択される寄生虫に由来する、請求項10のレジメン。
【請求項16】
前記真菌抗原が、アスペルギルス、コクシジオイデス、クリプトコッカス、カンジダ、ノカルジア、ニューモシスティス、及びクラミジアからなる群より選択される真菌に由来する、請求項10のレジメン。
【請求項17】
抗原が、前立腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、肺癌(小細胞又は大細胞)、骨癌、胃癌、肝臓癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、皮膚癌、リンパ腫、白血病、結腸癌、甲状腺癌、子宮頚部癌、頭頚部癌、肉腫、グリア細胞腫、及び胆嚢癌からなる群より選択されるヒト癌により発現される癌抗原である、請求項9のレジメン。
【請求項18】
抗原が、その発現が自己免疫疾患に相関する自己抗原である、請求項9のレジメン。
【請求項19】
抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発する、請求項1のレジメン。
【請求項20】
前記投与することが、以下:
(i)CD40アゴニスト又はTLRアゴニスト又は1型インターフェロンだけをコードするDNAの投与に比べて増強された一次及びメモリーCD8+T細胞応答;
(ii)抗原特異的CD8+T細胞の指数的増大を誘導する;及び
(iii)CD4欠損宿主において、正常(非CD4欠損)宿主に匹敵する保護的免疫応答を産生すること;
の少なくとも1つをもたらす、請求項19のレジメン。
【請求項21】
癌、アレルギー、炎症性疾患、感染症、及び自己免疫疾患より選択される疾患を治療するために使用する、請求項1のレジメン。
【請求項22】
感染症が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫によって引き起こされて、TLRアゴニストは、その疾患を引き起こすウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫、又はその断片又は部分、又はその抗原を発現するように工学処理されたウイルス又は微生物を含む、請求項21のレジメン。
【請求項23】
ウイルスがHIVである、請求項22のレジメン。
【請求項24】
メラノーマを治療するために使用する、請求項1のレジメン。
【請求項25】
肺癌を治療するために使用する、請求項1のレジメン。
【請求項26】
リンパ腫又は白血病を治療するために使用する、請求項1のレジメン。
【請求項27】
リンパ腫又は白血病がB細胞リンパ腫又はCLLである、請求項27のレジメン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−530005(P2010−530005A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512421(P2010−512421)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/067088
【国際公開番号】WO2008/157473
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(509294254)イミュアールエックス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】