説明

UsiRNA複合体

本発明は、RNA複合体のパッセンジャー鎖(またはセンス鎖)において、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する2本鎖RNA複合体を提供する。本発明のRNA複合体は、治療用途、診断用途、または研究用途に有用であり得る。RNA複合体は、アンチセンス鎖および連続のまたは不連続のパッセンジャー鎖(「センス鎖」)を含む遺伝子発現を調節することができる、短干渉RNA複合体(siRNA)を含む。さらに、本発明の1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、3’末端に、5’末端に、3’末端および5’末端の両方に位置してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNA複合体のパッセンジャー鎖において、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する2本鎖RNA複合体に関する。本発明のRNA複合体は、治療用途、診断用途、または研究用途に有用であり得る。この複合体は、アンチセンス鎖および連続のまたは不連続のパッセンジャー鎖(「センス鎖」)を含む遺伝子発現を下方制御することができる、短干渉RNA複合体(siRNA二重鎖)を含む。これらの鎖のうちの少なくとも1つは、本発明の1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有し、それは3’末端に、5’末端に、3’末端および5’末端の両方に、ならびに/または内部に位置してもよい。
【0002】
配列表
本出願は、2009年11月27日に作成され、08−19PCT.txtと名付けられた、98,574バイトのサイズのASCIIファイルとして、EFS−Webを介して本明細書と共に提出される配列表を含み、該配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
RNA干渉(RNAi)は、標的遺伝子の発現をサイレンシングする手段を提供する。それは、基礎研究に、遺伝的および生化学的経路、ならびに個々の遺伝子および遺伝子産物の機能を研究する方法を提供する。結果として、RNAiは、製薬業界における標的検証のための重要なツールとなっており、その異常発現が疾病状態または病態に関連付けられる遺伝子に対するRNA干渉を媒介することができるRNA複合体に基づく薬物を開発することを目標として、多大な投資が為されている。
【0004】
しかしながら、RNA複合体がRNAi治療薬として機能する能力は、配列特異性または「オフターゲット」効果、効能、ヌクレアーゼ安定性、および非特異的サイトカイン誘導等の問題によって制限されている。
【0005】
本発明は、RNA複合体のRNAi活性を改善する一方で、同時にRNAiにおけるRNA複合体に関連する不利な問題を最小化または排除するための、化合物、組成物、方法、および使用を提供する。とりわけ、本出願は、改善された効力およびヌクレアーゼ安定性を有し、「オフターゲット」効果および/またはサイトカイン誘導を低減もしくは排除したRNA複合体を作製し、かつ使用するための、新規化合物および組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、RNA誘導遺伝子調節または遺伝子分析、特にRNA干渉に関連して使用される、RNA鎖に組み込まれた1つ以上のヒドロキシメチル置換モノマーを含むRNA複合体を提供する。故に、本発明の目的は、典型的に使用されるRNA複合体と比較して、低減されたオフターゲット効果を有するRNA複合体を提供することである。別の目的は、RNA複合体に低減されたインターフェロン応答を提供することである。さらに別の目的は、RNA複合体に、細胞培養物中または体内での酵素分解への安定性に関する改善された特性を提供することである。さらに別の目的は、非修飾RNA複合体と比較して、細胞培養物中または体内で亢進された遺伝子調節機能、例えば、遺伝子サイレンシング効果を示すRNA複合体を提供することである。またさらなる目的は、特定の器官または組織を標的とし、かつ細胞膜を透過することができるRNA複合体を提供することである。本発明はまた、ヒドロキシメチル置換モノマーの、オリゴヌクレオチドへの組み込みに好適なモノマー、およびそれらの合成方法も提供する。
【0007】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでセンス鎖の5’末端における最後の3つの位置のうちのいずれか1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0008】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0009】
さらに別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の5、6、7、および8位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、アンチセンス鎖の位置は、アンチセンス鎖の5’末端における1位から始まるように数えられる。
【0011】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0012】
さらに別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0013】
別の態様では、核酸は、19〜20個の塩基対の2本鎖領域を有する。
【0014】
別の態様では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、各々21〜22ヌクレオモノマー長である。
【0015】
別の態様では、核酸は、平滑末端または3’末端オーバーハングを有する。
【0016】
別の態様では、アンチセンス鎖は、配列番号12、34、56、78、100、124、または147のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。関連する態様では、アンチセンス鎖は、配列番号12、34、56、78、100、124、または147のうちの任意の15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0017】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の3’末端の最後の位置およびセンス鎖の3’末端の最後の位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0018】
別の態様では、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0019】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでセンス鎖の21、22、および23位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、センス鎖の位置は、センス鎖の5’末端における1位から始まるように数えられる。
【0020】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の18、19、20、21、および22位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、センス鎖の位置は、アンチセンス鎖の3’末端における1位から始まるように数えられる。
【0021】
別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0022】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0023】
別の態様では、アンチセンス鎖は、配列番号169、185、201、217、または233のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0024】
関連する態様では、アンチセンス鎖は、配列番号169、185、201、217、または233のうちの任意の15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0025】
別の態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオモノマーである。
【0026】
別の態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーD、F、G、H、I、またはJ:
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

から選択され、ここでRは、水素、アルキル基、コレステロール誘導体、フルオロフォア、ポリアミン、脂肪酸、アミノ酸、糖類、およびポリペプチドからなる群から選択され、塩基は、あらゆるプリン、ピリミジン、またはその誘導体もしくは類似体である。
【0029】
別の態様では、核酸は、2’−O−アルキル−RNAモノマー、2’−アミノ−DNAモノマー、2’−フルオロ−DNAモノマー、LNAモノマー、PNAモノマー、HNAモノマー、ANAモノマー、FANAモノマー、CeNAモノマー、ENAモノマー、DNAモノマー、およびINAモノマーからなる群から選択されるヌクレオチド類似体をさらに含む。
【0030】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される通りに核酸を調製することおよび細胞を核酸で治療することを含む、細胞内の遺伝子の発現を低減する方法を提供する。
【0031】
一態様では、本発明は、ヒトにおける疾患を治療する方法を提供し、該疾患は、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌から選択され、本明細書に記載される核酸を調製することおよび核酸をヒトに投与することを含む。
【0032】
一態様では、本発明は、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌を含む疾患を治療するための薬剤の調製における、本明細書の記載に従った核酸の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】RNA複合体に組み込まれるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの異なる構造の例が示される。モノマーAは、比較のために示され、そのリボース骨格を有する天然RNAモノマーである。本発明のRNA複合体に含まれるモノマーB〜Eの特徴は、それらがヒドロキシメチル基である置換基(「遊離ヒドロキシメチル基」)を含有することである。遊離ヒドロキシメチル基は、例えば、環状リボース骨格のC4’原子または非環状リボースベース構造のC1’原子において結合される。本発明のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、各々がリン原子に結合される他の酸素原子を含有し、故にヌクレオチド間結合の形成に活性がある(図1を参照)。これらの他の酸素原子のうちの1つ以上は、ヒドロキシ基の一部であり得、それは本発明のRNA複合体のRNA鎖のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーのうちの1つ以上が、3’または5’末端に位置する場合に当てはまる。本発明のRNA複合体のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーのうちの1つがRNA鎖の3’末端および/または5’末端に位置する場合、あらゆる終端に位置する天然RNAモノマーについて当てはまり得るように、このモノマーのヒドロキシル基は、リン酸化され得る。本発明のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーに、ウラシル、チミン、シトシン、5−メチルシトシン、アデニン、グアニン、またはあらゆる他の既知の天然もしくは合成核酸塩基または核酸塩基類似体(図1で「塩基」として指定される)等の核酸塩基が結合される。
【図2】ヒドロキシメチル置換モノマーの誘導体化、官能化、および共役させられた変異体が示される。ヒドロキシメチル置換2’、3’−セコ−モノマーDの誘導体化、官能化、および共役させられた変異体(図1を参照)が例として示される。モノマーFは、エーテル結合を介して結合される基Rを含有する。モノマーGは、チオエーテル結合を介して結合される基Rを含有する。モノマーHは、アミド結合を介して結合される基Rを含有する。モノマーIは、アミノ結合を介して結合される基Rを含有する。モノマーJは、ピペラジノユニットを介して結合される基Rを含有する。かかるモノマーのうちの1つ、または複数を、本発明のRNA複合体へ組み込むことによって、RNA複合体の特性を調節することができる。例えば、生体内安定性の増加、RNA標的能力または特異的送達特性の増加を導入することができ、検出目的で蛍光性基を結合させることができる。
【図3】オリゴヌクレオチドまたはRNA複合体のモノマーであり得る、ヒドロキシメチル置換モノマー(モノマーCおよびモノマーD)のうちの2つの構造。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一態様で説明される特定の特徴は、本発明の他の態様にも適用する。例えば、RNA複合体に関して説明される特徴は、オリゴヌクレオチド、および適切な場合にはRNA二重鎖にも適用し得る。
【0035】
siRNA二重鎖または1本鎖RNAの形態でのRNA複合体は、細胞内の標的核酸の種々の修飾を媒介することができる。このプロセスにおいて、複合体のアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖が、アンチセンス鎖と相補的な配列のストレッチを有する標的核酸とハイブリッド形成することができるため、ガイドとして作用する。
【0036】
標的核酸を標的とする前に、アンチセンス鎖はしばしば、標的核酸に対して作用し得るRNAガイドタンパク質複合体(RGPC)に組み込まれる。RNAガイドタンパク質複合体の一例は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)である。他のかかるRGPCが存在することが考えられ、また本発明のRNA複合体は、これらの他のRGPCと共に使用される場合、またはいかなるRGPCとも相互作用しない場合でさえ、有利となるであろうことが考えられる。
【0037】
本発明の1つの目的は、生物学的媒体内(血清、体内、細胞培養内)での核酸分解に向けて、RNA複合体を安定化することである。
【0038】
本発明の別の目的は、2本鎖RNA複合体の遺伝子サイレンシング効果を改善することである。この改善は、全て天然非修飾RNA複合体と比較して、例えば、効力の増加、オフターゲット効果の低減、免疫刺激の低減、貯蔵安定性の増加、血清等の生物学的媒体における安定性の増加、活性期間の増加、および薬物動態学的特性の増加に関連し得る。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、1本鎖RNAオリゴヌクレオチドの遺伝子サイレンシング効果を改善することである。この改善は、全て天然非修飾RNA複合体と比較して、例えば、効力の増加、オフターゲット効果の低減、免疫刺激の低減、貯蔵安定性の増加、血清等の生物学的媒体における安定性の増加、活性期間の増加、および薬物動態学的特性の増加に関連し得る。
【0040】
本発明の別の目的は、RNA複合体の生物学的媒体内での十分な安定性を確保することである。故に目的は、非修飾RNA複合体と比較して、細胞培養物中または体内で亢進された遺伝子調節機能、例えば、遺伝子サイレンシング効果を示すRNA複合体を提供することである。
【0041】
本発明のRNA複合体のRNA鎖は、天然RNAヌクレオチド、遺伝子サイレンシング活性と適合することが知られるRNA修飾[Nawrot and Sipa,Curr.Topics Med.Chem.2006,6,913−925]、およびヒドロキシメチル置換モノマー(図1)を含んでもよい。ホスホジエステル結合が個々のモノマーを結合させてもよいが、ホスホロチオエート結合等の修飾結合、および当業者に既知の他の結合[Nawrot and Sipa,Curr.Topics Med.Chem.2006,6,913−925]が、代わりに使用されてもよい。
【0042】
本明細書に開示されるRNA複合体は、アンチセンス鎖(アンチセンス鎖は、本明細書でガイド鎖とも称される)およびパッセンジャー鎖(パッセンジャー鎖は、本明細書でセンス鎖とも称される)からなるsiRNA二重鎖を共に構成する2本の鎖を含んでもよく、1本鎖RNA分子(例えば、アンチセンスRNA)、官能性RNA(fRNA)、または小分子RNA(stRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、短干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)およびその前駆体RNA、RNAa分子、マイクロRNA擬態分子等の非コードRNA(ncRNA)もまた、例えば、マイクロRNAを標的とするのに有用な1本鎖アンチセンス分子と同様に、本明細書で本発明のRNA複合体として考えられる。
【0043】
本発明の実施形態では、RNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む(図1を参照)。本明細書に従った1つのかかる例としては、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、より好ましくはD〜Jからなる群から選択される非環状モノマーが挙げられる。故に、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーに関して第一の態様で説明される実施形態は、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーに関連する他の実施形態についても当てはまるであろう。
【0044】
本発明の好ましい一実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA複合体は、1本鎖RNA構造である。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA複合体は、1本鎖アンチセンス分子として作用することによって遺伝子発現を阻害することができる1本鎖RNA構造である。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA複合体は、マイクロRNAを官能的に擬態する1本鎖RNA構造である。
【0047】
本発明の好ましい一実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA複合体は、siRNA構造である。
【0048】
したがって、一実施形態では、siRNA構造のアンチセンス鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0049】
別の実施形態では、siRNA構造のパッセンジャー鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0050】
さらに別の実施形態では、siRNA構造の切れ目の入ったパッセンジャー鎖の第1および第2のRNA分子は、各々1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含有する。
【0051】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでセンス鎖の5’末端における最後の3つの位置のうちのいずれか1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0052】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0053】
さらに別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0054】
別の態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の5、6、7、および8位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、アンチセンス鎖の位置は、アンチセンス鎖の5’末端における1位から始まるように数えられる。
【0055】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0056】
さらに別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0057】
別の態様では、核酸は、19または20個の塩基対の2本鎖領域を有する。
【0058】
別の態様では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、各々21または22ヌクレオモノマー長である。
【0059】
別の態様では、核酸は、平滑末端または3’末端オーバーハングを有する。
【0060】
別の態様では、アンチセンス鎖は、配列番号12、34、56、78、100、124、または147のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0061】
関連する態様では、アンチセンス鎖は、配列番号12、34、56、78、100、124、または147のうちの任意の15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0062】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の3’末端の最後の位置およびセンス鎖の3’末端の最後の位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0063】
別の態様では、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる。
【0064】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでセンス鎖の21、22、および23位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、センス鎖の位置は、センス鎖の5’末端における1位から始まるように数えられる。
【0065】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸を提供し、ここでアンチセンス鎖の18、19、20、21、および22位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、センス鎖の位置は、アンチセンス鎖の3’末端における1位から始まるように数えられる。
【0066】
別の態様では、核酸は、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0067】
別の態様では、核酸は、センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む。
【0068】
別の態様では、アンチセンス鎖は、配列番号169、185、201、217、または233のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0069】
関連する態様では、アンチセンス鎖は、配列番号169、185、201、217、または233のうちの任意の15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する。
【0070】
別の態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオモノマーである。
【0071】
別の態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーD、F、G、H、I、またはJ:
【0072】
【化3】

から選択され、ここでRは、水素、アルキル基、コレステロール誘導体、フルオロフォア、ポリアミン、脂肪酸、アミノ酸、糖類、およびポリペプチドからなる群から選択され、塩基は、あらゆるプリン、ピリミジン、またはその誘導体もしくは類似体である。
【0073】
別の態様では、核酸は、2’−O−アルキル−RNAモノマー、2’−アミノ−DNAモノマー、2’−フルオロ−DNAモノマー、LNAモノマー、PNAモノマー、HNAモノマー、ANAモノマー、FANAモノマー、CeNAモノマー、ENAモノマー、DNAモノマー、およびINAモノマーからなる群から選択されるヌクレオチド類似体をさらに含む。
【0074】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される通り核酸を調製することおよび細胞を核酸で治療することを含む、細胞内の遺伝子の発現を低減する方法を提供する。
【0075】
一態様では、本発明は、ヒトにおける疾患を治療する方法を提供し、該疾患は、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌から選択され、本明細書に記載される核酸を調製することおよび核酸をヒトに投与することを含む。
【0076】
一態様では、本発明は、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌を含む疾患を治療するための薬剤の調製における、本明細書の記載に従った核酸の使用を提供する。
【0077】
一態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含むdsRNAである、遺伝子の発現を下方制御する2本鎖RNA(dsRNA)を提供し、ここで1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端から数えてセンス鎖の1または2位のうちの1つ以上の位置にある。
【0078】
例示目的にすぎないが、センス鎖の位置は、次のように説明されてもよく、ここでXは、ヌクレオモノマー(ヌクレオシドまたはヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー)を表し、数字は、鎖におけるそのヌクレオモノマーの位置を表す。RISC長RNA複合体については、nは、5〜14(または5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14)であってもよく、ダイサー長RNA複合体については、nは、15〜30(または15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30)であってもよい。センス鎖におけるヌクレオモノマーの位置を決定するための同様の手順が、アンチセンス鎖に適用されてもよい。
5’ X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X 3’
この例では、ヌクレオモノマーX1は、1位を占め、X2は、2位を占める。
【0079】
関連する態様では、アンチセンス鎖の3’末端の最後の2個のヌクレオモノマーおよびセンス鎖の3’末端の最後の2個のヌクレオモノマーは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーである。
【0080】
例示目的にすぎないが、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの位置は、次の通り表されてもよく、ここでXは、ヌクレオモノマー(ヌクレオシドまたはヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー)を表し、nは、位置を表す。RISC長RNA複合体については、nは、13〜22(または13、14、15、16、17、18、19、20、21、もしくは22)であってもよく、ダイサー長RNA複合体については、nは、23〜38(または23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、36、37、もしくは38)であってもよい。
5’ X−X(n+1)−X(n+2) 3’
この例では、最後のヌクレオモノマーは、X(n+2)位によって表され、最後から2番目のヌクレオモノマーは、X(n+1)位によって表され、鎖(センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれにせよ)の3’末端の最後の2個のヌクレオモノマーは、X(n+1)およびX(n+2)によって表される。
【0081】
関連する態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、または8位のうちの1つ以上の位置にある。
【0082】
関連する態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて7位にある。
【0083】
関連する態様では、2本鎖領域は、19〜20個の塩基対を有する。
【0084】
関連する態様では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、各々21個または22個のヌクレオモノマーを有する。
【0085】
関連する態様では、dsRNAは、3’末端オーバーハングを有する。
【0086】
関連する態様では、dsRNAは、平滑末端を有する。
【0087】
別の態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含むdsRNAである、遺伝子の発現を下方制御する2本鎖RNA(dsRNA)を提供し、ここでアンチセンス鎖の3’末端の最後の2個のヌクレオモノマーおよびセンス鎖の3’末端の最後のヌクレオモノマーは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーである。
【0088】
別の態様では、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖、25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含むdsRNAである、遺伝子の発現を下方制御する2本鎖RNA(dsRNA)を提供し、ここで1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ダイサー酵素によってdsRNAのプロセスを阻害するセンス鎖の1つ以上の位置にある。
【0089】
関連する態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端から数えてセンス鎖の21、22、または23位のうちの1つ以上の位置にある。
【0090】
関連する態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の3’末端から数えてアンチセンス鎖の18、19、20、21、または22位のうちの1つ以上の位置にある。
【0091】
本発明の一態様では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数は、10個である。本発明の他の実施形態では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数は、それぞれ9、8、7、6、5、4、3、2、または1個である。
【0092】
別の態様では、アンチセンス鎖の全てのヌクレオチドは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーである。
【0093】
本発明の一態様では、アンチセンス鎖における全てのヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、1、2、3、4、5、6、7、および/または8位に存在し、ここで位置は、アンチセンス鎖の5’末端から数えられる。さらにより好ましくは、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて2、3、4、5、6、および/または7位に存在するか、またはマイクロRNAのいわゆる種領域に相当する位置に存在する。別の態様では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて4、5、6、7および/または8位に存在する。別の態様では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて6、7および/または8位に存在する。別の態様では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNAと比較して、RNAのマイクロRNA活性を低減するアンチセンス鎖内の位置に存在する。故に、前述の領域におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの存在は、アンチセンス鎖がマイクロRNAとして作用することを妨げることができ、それはアンチセンス鎖がsiRNAとして機能するように意図される場合に、オフターゲット効果を低減する。
【0094】
好ましい実施形態では、少なくとも1個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位のうちのいずれか1つの位置に存在し、ここでの位置はアンチセンス鎖の5’末端から数えられる。ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーが、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位のうちのいずれか1つの位置に存在することがさらにより好ましく、ここでの位置はアンチセンス鎖の5’末端から数えられる。別の実施形態では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位の全ての位置に存在する。一実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位のみに存在し、アンチセンス鎖の残りの位置には存在しない。
【0095】
さらにより好ましくは、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から数えて9、10、および/または11位に存在し、好ましくは、オリゴヌクレオチドの残りの位置には存在しない。別の態様では、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNAと比較して、RNAのマイクロRNA活性を亢進するアンチセンス鎖内の位置に存在する。前述の領域におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの存在により、アンチセンス鎖がマイクロRNAとして作用するように誘導され得る、すなわちsiRNA効果が最小限となり、マイクロRNA効果がはるかに高くなることを確実にする。
【0096】
同様に、本発明の別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数は、10個である。本発明の他の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数は、それぞれ9、8、7、6、5、4、3、2、または1個である。
【0097】
別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖の全てのヌクレオチドは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーである。
【0098】
ある態様では、dsRNAのセンス(パッセンジャー鎖)は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。ある態様では、dsRNAのセンス(パッセンジャー鎖)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。ある態様では、dsRNAのセンス(パッセンジャー鎖)全体は、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0099】
ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、1、2、3、4、5、6、7、および/または8位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、1、2、3、および/または4位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、1、2および/または3位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、5、6、7、および/または8位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、7および/または8位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNAと比較して、RNAのセンス鎖のRNAi活性を低減するRNAのセンス鎖内の位置に存在する。
【0100】
ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、および/または11位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。
【0101】
ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および/または32位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の5’末端から数えられる。ある態様では、センス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10位に存在し、ここでの位置は、センス鎖の3’末端から数えられる。
【0102】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖およびパッセンジャー鎖の両方は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含有する。
【0103】
一態様では、本発明は、標的核酸の核酸修飾を媒介することができるRNA複合体を提供する。かかるRNA複合体は、例えば、siRNA、マイクロRNA、またはマイクロRNA前駆体(プレマイクロRNA)であり得る。
【0104】
本発明のsiRNA複合体のRNA複合体は、アンチセンス鎖およびアンチセンス鎖とハイブリッド形成されるパッセンジャー鎖を含むコア2本鎖領域を含む。
【0105】
本構成で言及される標的核酸は、複合体のアンチセンス鎖に対して有意な相補性を有する核酸である。好ましくは、相補性は、複数のヌクレオチドのストレッチにわたって完全である。
【0106】
故に、一実施形態では、相補性は、25ヌクレオチドのストレッチにわたって完全である。
【0107】
他の実施形態では、相補性は、それぞれ24ヌクレオチド、23ヌクレオチド、22ヌクレオチド、21ヌクレオチド、20ヌクレオチド、19ヌクレオチド、18ヌクレオチド、17ヌクレオチド、16ヌクレオチド、15ヌクレオチド、14ヌクレオチド、13ヌクレオチド、12ヌクレオチド、11ヌクレオチド、10ヌクレオチド、9ヌクレオチド、8ヌクレオチド、7ヌクレオチド、または6ヌクレオチドのストレッチにわたって完全である。
【0108】
一実施形態では、相補性のストレッチは、1個のミスマッチを含む。他の実施形態では、相補性のストレッチは、それぞれ2個のミスマッチ、3個のミスマッチ、または4個のミスマッチを含む。1個のミスマッチとは、例えば、GがAの反対である場合等、塩基対を形成することができないような相補性のストレッチにおける領域のことである。より多くのミスマッチが存在する場合、それらは互いに隣接してもよく、相補性のストレッチの異なる領域において間隔をあけてもよい。
【0109】
好ましい実施形態では、本発明のsiRNA複合体のRNA複合体は、コア2本鎖領域を含み、それは実質的に2本鎖領域である。RNA複合体における1本鎖領域は、主に複合体のオーバーハングに関連する。
【0110】
故に、一実施形態では、本発明のsiRNA複合体の2本鎖領域は、1個のミスマッチを含む。他の実施形態では、2本鎖領域は、それぞれ2個のミスマッチ、3個のミスマッチ、および4個のミスマッチを含む。
【0111】
本明細書で使用される「標的核酸」という用語は、標的切断または立体封鎖等、アンチセンス鎖によって誘導される調節を受けるようなあらゆるRNA/DNAを包含する。標的RNA/DNAは、例えばゲノムDNA、ゲノムウイルスRNA、mRNA、プレ−mRNA、または非コードRNAであり得る。
【0112】
本明細書で使用される「結合」という用語は、2つの化学成分の間の直接的な共有結合(例えば、RNAおよびヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー)、または2つの化学成分の間の、例えばリンカーを介する間接的な共有結合のいずれかを包含する。
【0113】
本明細書で使用される「オーバーハング」(例えば、3’末端オーバーハングまたは3’オーバーハング)という用語は、全てのヌクレオチド、非ヌクレオチド(例えば、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー)、またはヌクレオチドおよび非ヌクレオチドの組み合わせを含有し得るRNA複合体の不対領域を意味する。
【0114】
本明細書で使用される「ヌクレオモノマー」という用語は、(2)第2の部分に共有結合される(1)塩基を含む部分を意味する。ヌクレオモノマーは、結合されて核酸内の標的塩基配列または相補的塩基配列に配列特異的方法で結合するオリゴマーを形成し得る。
【0115】
本明細書で使用される「ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー」、「ヒドロキシメチルヌクレオモノマー」、「ヒドロキシメチルモノマー」、「非環状ヌクレオモノマー」、「非環状モノマー」、「非環状ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー」という用語は、全体にわたって交換可能に使用され得る。
【0116】
本明細書で使用される「RISC長」または「RISC長RNA複合体」という用語は、25個未満の塩基対を有する核酸分子を意味する。
【0117】
本明細書で使用される「ダイサー長」または「ダイサー長RNA複合体」という用語は、25個以上の塩基対、概して、25〜40個の塩基対を有する核酸分子を意味する。
【0118】
本発明の好ましい標的核酸は、mRNAである。したがって、一実施形態では、RNA複合体によって媒介される核酸修飾は、RNA干渉(RNAi)である。好ましい実施形態では、RNAiは、mRNAの分解を媒介する。別の好ましい実施形態では、RNAiは、mRNAの翻訳阻害を媒介する。別の実施形態では、RNAiは、mRNAの翻訳阻害および分解の両方を媒介する。
【0119】
他の好ましい実施形態では、標的核酸は、非コードRNA、例えば、tRNA、miRNA、snRNA、snoRNA、OSU(非常に小さいRNA)、またはrRNAである。
【0120】
さらに別の実施形態では、標的核酸は、ゲノムDNAである。かかる実施形態では、好ましい核酸修飾は、DNAメチル化およびDNA欠失を含む。
【0121】
本発明のRNA複合体のサイズは、本発明の1つ以上の目的を依然として果たしながら、変化させられ得る。これは、例えば、特定の対象物のオフターゲット効果が低減させられる場合に適用する。
【0122】
故に、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域は、10塩基対、11塩基対、12塩基対、13塩基対、14塩基対、15塩基対、16塩基対、17塩基対、18塩基対、19塩基対、20塩基対、21塩基対、22塩基対、23塩基対、24塩基対および25塩基対、26塩基対、27塩基対、28塩基対、29塩基対、30塩基対、35塩基対、40塩基対、42塩基対、45塩基対、50塩基対、55塩基対、60塩基対、または62塩基対の群から選択される幾つかの塩基対を含んでもよい。
【0123】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域は、15〜40個の塩基対を含む。
【0124】
別の好ましい実施形態では、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域は、18〜22個の塩基対または25〜30個の塩基対を含む。
【0125】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域は、40塩基対よりも長くさえあるが、幾つかの細胞中では、より長鎖の2本鎖RNA複合体の導入が、インターフェロン依存性非特異的応答を誘導し得ることが知られる。かかる一実施形態では、複合体が、RGPCに関与する前に、より短鎖の2本鎖RNA複合体にプロセスされることが企図される。ダイサー等のRNase III様酵素が、プロセシングを遂行し得る。ダイサーはまた、40塩基対よりも短い2本鎖RNAをプロセスし、かかるRNA複合体(ダイサー基質と称される)は、プロセシングなしにRISCに入るsiRNAと比較して、種々の利点を有する。したがって、一実施形態では、本発明のRNA複合体は、ダイサー基質である。
【0126】
別の実施形態では、RNA複合体は、1本鎖であり、2本鎖領域を有さない。
【0127】
さらに別の実施形態では、RNA複合体は、1本鎖であるが、1つ以上の2本鎖領域を含有するように折り畳まれる。かかる実施形態は、例えば、マイクロRNAおよびそれらの機能を擬態するのに有用である。
【0128】
さらに別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域は、10塩基対よりも短く、故に1〜9塩基対を含む。
【0129】
本発明の一実施形態では、RNA複合体のコア2本鎖領域は、2本を超えるRNA鎖によって構成される。
【0130】
本発明の一実施形態では、RNA複合体のコア2本鎖領域は、3本のRNA鎖によって構成される。
【0131】
本発明の別の実施形態では、RNA複合体のコア2本鎖領域は、4本以上のRNA鎖によって構成される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のsiRNA複合体は、オーバーハングを含む。本文脈で使用されるとき、オーバーハングは、2本鎖領域に続く、短い1本鎖領域に言及する。
【0133】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖は、3’−オーバーハングを含む。
【0134】
別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖は、3’−オーバーハングを含む。
【0135】
さらに別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖は、5’−オーバーハングを含む。
【0136】
さらに別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖は、5’−オーバーハングを含む。
【0137】
好ましい実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖およびパッセンジャー鎖は、3’−オーバーハングを含む。
【0138】
本発明のsiRNA複合体のオーバーハングは、複合体の基本的機能を阻害することなく、種々の長さであることができる。故に、一実施形態では、オーバーハングは、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、および8ヌクレオチド、ならびに/または1ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、2ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、3ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、4ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、5ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、6ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、7ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、および8ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー長、ならびにそれらの組み合わせを含むオーバーハングの群から選択される。
【0139】
本発明のRNA複合体の最も好ましいオーバーハングは、それぞれ1、2、および3ヌクレオチド長またはヌクレオモノマー長を含むオーバーハングである。
【0140】
一実施形態では、本発明のRNA複合体のアンチセンス鎖のオーバーハングは、パッセンジャー鎖のオーバーハングと同一の長さを有する。
【0141】
別の実施形態では、本発明のRNA複合体のアンチセンス鎖のオーバーハングは、パッセンジャー鎖のオーバーハングと同一の長さを有さない。
【0142】
本発明のRNA複合体のさらに別の実施形態では、RNA複合体は、少なくとも1つの平滑末端を含む。「平滑末端」は、2本鎖核酸の末端に言及し、それはいかなる突出するヌクレオチド、すなわち、同位置における2本鎖核酸末端の両鎖も有さない。
【0143】
別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、両末端で平滑末端である。
【0144】
ある態様では、RNA複合体は、平滑末端に共有結合される1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する、少なくとも1つの平滑末端を有する。ある態様では、dsRNAは、各々が各平滑末端に共有結合される1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する、2つの平滑末端を有する。ある態様では、平滑末端は、平滑末端に共有結合される1、2、3、4、5、6、7、8個、またはそれを超えるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する。ある態様では、平滑末端は、平滑末端に共有結合される2個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する。ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ホスホロチオエート結合を用いて、RNA複合体の平滑末端に結合される。
【0145】
ある態様では、共有結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0146】
明確にすることを目的として、RNA複合体の平滑末端と、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの結合との間の関係を理解するために、次の構造が使用されてもよい(Xは、あらゆるヌクレオシドであり、Hは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーであり、nは、13〜38であり、mは、各発現について独立して0〜8である)。センス鎖のXは、アンチセンス鎖のXと塩基対を形成し、故に平滑末端を有する二重鎖領域を形成する。
【0147】
下のRNA複合体では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー(H)は、センス鎖の3’末端、またはアンチセンス鎖の3’末端、またはセンス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端の両方、またはセンス鎖の5’末端、またはアンチセンス鎖の5’末端、またはセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方、またはセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端、またはセンス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端、またはセンス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に結合(例えば、ホスホジエステル結合または本明細書に開示されるもしくは当業者に既知のあらゆる他の結合)されてもよい。より詳細な実施形態を下で提供する。
5’ (H)−X−(X)−X−(H) 3’ センス鎖
3’ (H)−X−(X)−X−(H) 5’ アンチセンス鎖
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。
【0148】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。
【0149】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端に共有結合される。
【0150】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合される。
【0151】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端に共有結合される。
【0152】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端および3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端および3’末端に共有結合される。
【0153】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。
【0154】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。
【0155】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端に共有結合される。
【0156】
ある態様では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。ある態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合される。
【0157】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0158】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端は、1個以上の非環状ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0159】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端は、1個以上の非環状ヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0160】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで1個以上の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0161】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで1個以上の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0162】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで1個以上の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0163】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで1個以上の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0164】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで少なくとも2個の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0165】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで少なくとも2個の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0166】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで少なくとも2個の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで1、2、および/または3個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0167】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで少なくとも1個の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて1、2、および/または3位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0168】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで2個の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで1、2、3、および/または4個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0169】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで2つ以上の非環状ヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここで少なくとも1個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0170】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのセンス鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAのセンス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、および/または8位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0171】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのセンス鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAのセンス鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖において非環状ヌクレオモノマーを含まない同一のdsRNA(すなわち、ヌクレオチド間で見出されるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有さないdsRNAのアンチセンス鎖)と比較して、dsRNAのマイクロRNA活性を低減するアンチセンス鎖内の位置にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0172】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、第1の不連続のパッセンジャー鎖および第2の不連続のパッセンジャー鎖を含む不連続の鎖(不連続のパッセンジャー鎖)であり、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の不連続のパッセンジャー鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の不連続のパッセンジャー鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0173】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、第1の不連続のパッセンジャー鎖および第2の不連続のパッセンジャー鎖を含む不連続の鎖(不連続のパッセンジャー鎖)であり、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の不連続のパッセンジャー鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の不連続のパッセンジャー鎖の5’末端に共有結合され、ここでアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0174】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、第1の不連続のパッセンジャー鎖および第2の不連続のパッセンジャー鎖を含む不連続の鎖(不連続のパッセンジャー鎖)であり、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の不連続のパッセンジャー鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の不連続のパッセンジャー鎖の5’末端に共有結合される。
【0175】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、不連続のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで不連続のセンス鎖(不連続のパッセンジャー鎖)は、第1の鎖および第2の鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の鎖の5’末端に共有結合される。
【0176】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、不連続のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで不連続のセンス鎖(不連続のパッセンジャー鎖)は、第1の鎖および第2の鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の鎖の5’末端に共有結合される。
【0177】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、不連続のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで不連続のセンス鎖(不連続のパッセンジャー鎖)は、第1の鎖および第2の鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第1の鎖の5’末端に共有結合される。
【0178】
ある態様では、本発明の平滑末端dsRNAは、不連続のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここで不連続のセンス鎖(不連続のパッセンジャー鎖)は、第1の鎖および第2の鎖を含み、ここで非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の鎖の3’末端に共有結合され、非環状ヌクレオモノマーは、dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共有結合され、ここでヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAの第2の鎖の5’末端に共有結合される。
【0179】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、約25〜約30個のヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、約25〜約30個のヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および/または26位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0180】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、約25個〜約30個のヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、約25個〜約30個のヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて6、7、8、9、10、11、および/または12位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0181】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、約25個のヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、約27個のヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて21および/または22位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0182】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、約25個のヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、約27個のヌクレオモノマーを含み、ここでアンチセンス鎖は、センス鎖の5’末端から数えて6および/または7位にヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0183】
本明細書に開示される態様のうちのいずれにおいても、RNA複合体は、2’−O−メチルヌクレオモノマーを含む。関連する態様では、RNA複合体は、0〜12個の2’−O−メチルヌクレオモノマー(または0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12個の2’−O−メチルヌクレオモノマー)を含む。関連する態様では、RNA複合体のパッセンジャー鎖は、0〜12個の2’−O−メチルヌクレオモノマー(または0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12個の2’−O−メチルヌクレオモノマー)を含む。関連する態様では、RNA複合体のガイド鎖は、0〜6個の2’−O−メチルヌクレオモノマー(または0、1、2、3、4、5、もしくは6個の2’−O−メチルヌクレオモノマー)を含む。ある態様では、ヒドロキシメチル置換モノマーは、2’−O−メチルヌクレオモノマーである。
【0184】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでRNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、トール様受容体3(TLR3)に対する親和性が低い。
【0185】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでdsRNAのトール様受容体3(TLR3)に対する親和性は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して低減される。
【0186】
ある態様では、本発明のRNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでRNA複合体は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、トール様受容体3(TLR3)を活性化させる能力が低い。
【0187】
ある態様では、本発明は、dsRNAによってトール様受容体3(TLR3)の活性を低減させる方法を提供し、該方法は、TLR3を活性化するdsRNAを特定すること、dsRNAを1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーで修飾すること、ならびにdsRNAの、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーでの修飾が、1個以上の非環状ヌクレオモノマーを含まない同一のdsRNAと比較してTLR3の活性を減少させるかどうかを決定するために、TLR3活性検定および/または遺伝子発現検定を行うことを含む。
【0188】
ある態様では、本発明は、dsRNAによってMDA−5遺伝子の活性を低減させる方法を提供し、該方法は、MDA−5を活性化するdsRNAを特定すること、dsRNAを1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーで修飾すること、ならびにdsRNAの、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーでの修飾が、1個以上の非環状ヌクレオモノマーを含まない同一のdsRNAと比較してMDA−5の活性を減少させるかどうかを決定するために、MDA−5活性検定および/または遺伝子発現検定を行うことを含む。
【0189】
ある態様では、本発明は、dsRNAによってRIG−I遺伝子の活性を低減させる方法を提供し、該方法は、RIG−Iを活性化するdsRNAを特定すること、dsRNAを1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーで修飾すること、ならびにdsRNAの、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーでの修飾が、1個以上の非環状ヌクレオモノマーを含まない同一のdsRNAと比較してRIG−Iの活性を減少させるかどうかを決定するために、RIG−I活性検定および/または遺伝子発現検定を行うことを含む。
【0190】
ある態様では、本発明は、細胞を、それによって1つ以上のTLR経路が阻害または低減される非環状ヌクレオモノマーと接触させることによって、例えばTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、およびTLR11を含む細胞内の1つ以上のトール様受容体(TLR)経路を阻害または低減する方法を提供する。ある態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、共に結合されるか(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個、またはそれを超える)、または核酸に組み込まれる(例えば、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド)。ある態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、均一母集団(すなわち、プリンまたはピリミジンを含む)であるか、または不均一母集団(すなわち、プリンおよびピリミジンの両方)である。ある態様では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、TLRアンタゴニストである。ある態様では、非環状ヌクレオモノマーはTLRに結合する。ある態様では、細胞内の1つ以上のTLR経路を阻害または低減するヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーC、D、E、F、G、H、I、またはJであり得る。ある態様では、細胞内の1つ以上のTLR経路を阻害または低減するヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーD、F、G、H、I、またはJであり得る。ある態様では、細胞内の1つ以上のTLR経路を阻害または低減するヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーDであり得る。
【0191】
好ましい本発明のRNA複合体は、全体的構造において、より長鎖の2本鎖RNA複合体のダイサープロセシングの産物に類似する。別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、上述の通りダイサー基質である。
【0192】
本発明の他の好ましいRNA複合体は、コア2本鎖領域が、18〜22個の塩基対を含み、アンチセンス鎖およびパッセンジャー鎖が、各々1〜3個のヌクレオチド3’−オーバーハングを含むような複合体である。
【0193】
本発明のRNA複合体のアンチセンス鎖は、複合体の機能を阻害することなく、種々の長さを有することができる。故に、好ましい実施形態では、アンチセンス鎖は、それぞれ8mer、9mer、10mer、11mer、12mer、13mer、14mer、15mer、16mer、17mer、18mer、19mer、20mer、21mer、22mer、23mer、24mer、25mer、26mer、27mer、28mer、29mer、30mer、31mer、32mer、33mer、34mer、35mer、36mer、37mer、38mer、39mer、40mer、41mer、42mer、43mer、44mer、45mer、46mer、47mer、48mer、49mer、50mer、51mer、52mer、53mer、54mer、55mer、56mer、57mer、58mer、59mer、60mer、61mer、または62merである。例えば、19merとは、ヌクレオチドもしくはヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、またはそれらの組み合わせであってもよい19個のモノマーのアンチセンス鎖であることを理解されたい。
【0194】
別の好ましい実施形態では、RNA複合体のアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の次の群から選択される:15mer、16mer、17mer、18mer、19mer、20mer、21mer、22mer、および23mer。
【0195】
本発明の一実施形態では、siRNA複合体のパッセンジャー鎖は、不連続である。本発明のsiRNA複合体の一実施形態では、パッセンジャー鎖は、複数の別個のRNA分子を含む。RNA分子の数は、1、2、3、4、5、または6個であってもよい。
【0196】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖の個々のRNA分子の長さは、4モノマーを超える。他の実施形態では、パッセンジャー鎖の個々のRNA分子の長さは、それぞれ5モノマー、6モノマー、7モノマー、8モノマー、9モノマー、10モノマー、11モノマー、および12モノマーである。
【0197】
他の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖の個々のRNA分子の長さは、それぞれ5モノマー、6モノマー、7モノマー、8モノマー、9モノマー、10モノマー、11モノマー、および12モノマー未満である。
【0198】
本発明の一実施形態では、本発明のsiRNA複合体の不連続のパッセンジャー鎖は、第1および第2のRNA分子を含み、それは共に不連続のパッセンジャー鎖を形成し、ここで第1のRNA分子は、アンチセンス鎖の下流部分とハイブリッド形成され、第2のRNA分子は、アンチセンス鎖の上流部分とハイブリッド形成される。
【0199】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖は、不連続である。アンチセンス鎖の好ましい不連続性は、パッセンジャー鎖の好ましい不連続性と同一である。
【0200】
本発明のsiRNA複合体の鎖のうちの1つの不連続性は、切れ目であり得る。切れ目とは、ホスホジエステル結合の欠損によって引き起こされ、しかしながら、2本鎖核酸がヌクレオチドを欠損することのない、2本鎖核酸の鎖における不連続性であると理解されたい。故に、切れ目の反対の塩基は、切れ目の入った鎖上の塩基と依然としてハイブリッド形成される。
【0201】
本発明のsiRNA複合体の鎖のうちの1つの、別の不連続性は、別の切れ目であり、それは、ホスホジエステル結合以外に、糖‐リン酸骨格における1つの結合欠損または1つを超える結合欠損によって引き起こされ、しかしながら、2本鎖核酸がヌクレオチドを欠損することのない、2本鎖核酸の1本の鎖における不連続性であると理解される。故に、切れ目の反対の塩基は、切れ目の入った鎖上の塩基と依然としてハイブリッド形成されてもよい。
【0202】
ギャップは、本発明のRNA複合体のRNA鎖が、少なくとも1個のヌクレオチドもしくはヌクレオシドまたは核酸塩基が2本鎖核酸において欠損しているような不連続性を有すると説明され得る場合の候補として使用される。
【0203】
好ましくは、RNA複合体の5’末端は、リン酸化されるか、リン酸化のために利用可能である。リン酸化のために利用可能とは、5’−ヒドロキシ基が、例えば、直接的共役によってまたは5’−ヒドロキシ基付近の他の基との他の共役(それは5’−ヒドロキシ基がリン酸化されるのを妨げる)によって、ブロックされていないことを意味する。
【0204】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、RNA複合体のRNA分子は、5’末端リン酸塩および3’−ヒドロキシ基を含む。
【0205】
別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体の第2のRNA分子は、5’末端リン酸塩および3’−ヒドロキシ基を含む。
【0206】
さらに別の実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端リン酸塩および3’−ヒドロキシ基を含む。
【0207】
本発明の幾つかの実施形態では、RNA複合体が、ヒドロキシメチル置換ヌクレオチド以外のヌクレオチド類似体を含むことが好ましい。ヒドロキシメチル置換ヌクレオチド以外の、かかるヌクレオチド類似体は、下で「代替的修飾ヌクレオチド」と称される。
【0208】
代替的修飾ヌクレオチドの使用は、複数の理由により好まれ得る。それらは、例えば、本発明のsiRNA複合体のコア2本鎖領域の融点を上昇させるために使用され得る。
【0209】
代替的修飾ヌクレオチドの使用は、アンチセンス鎖と標的核酸との間で形成される2本鎖構造の融点を上昇させるために、好まれ得る。
【0210】
したがって、一実施形態では、アンチセンス鎖は、代替的修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖は、代替的修飾ヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖の第1および第2のRNA分子は、各々代替的修飾ヌクレオチドを含有する。本発明の一実施形態では、RNA複合体における代替的修飾ヌクレオチドの数は、10個である。本発明の他の実施形態では、RNA複合体におけるヌクレオチド類似体の数は、それぞれ9、8、7、6、5、4、3、2、または1個である。本発明の一実施形態では、アンチセンス鎖における代替的修飾ヌクレオチドの数は、10個である。本発明の他の実施形態では、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド類似体の数は、それぞれ9、8、7、6、5、4、3、2、または1個である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の全てのヌクレオチドは、代替的修飾ヌクレオチド、または代替的修飾ヌクレオチドおよびヒドロキシメチル置換ヌクレオチドの組み合わせである。
【0211】
同様に、本発明の別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖におけるヌクレオチド類似体の数は、10個である。本発明の他の実施形態では、パッセンジャー鎖におけるヌクレオチド類似体の数は、それぞれ9、8、7、6、5、4、3、2、または1個である。
【0212】
別の実施形態では、本発明のsiRNA複合体のパッセンジャー鎖の全てのヌクレオチドは、ヌクレオチド類似体、または代替的修飾ヌクレオチドおよびヒドロキシメチル置換ヌクレオチドの組み合わせである。
【0213】
一実施形態では、本発明のsiRNA複合体のアンチセンス鎖およびセンス鎖の両方は、代替的修飾ヌクレオチドを含有する。
【0214】
一実施形態では、RNA複合体の代替的修飾ヌクレオチドは同一、すなわちそれらは、例えば、全てLNAまたは全て2’−O−Me−RNAである。別の実施形態では、同一のRNA複合体において、種々の異なる代替的修飾ヌクレオチドが使用される。
【0215】
一実施形態では、RNA複合体は、ホスホロチオエート結合を含む。
【0216】
別の実施形態では、RNA複合体は、天然ホスホジエステルおよびホスホロチオエート結合の混合物を含む。
【0217】
本発明の好ましいヌクレオチド類似体は、2’−O−アルキル−RNAモノマー、2’−アミノ−DNAモノマー、2’−フルオロ−DNAモノマー、LNAモノマー、HNAモノマー、ANAモノマー、FANAモノマー、DNAモノマー、PNAモノマー、およびINAモノマーの群から選択されるヌクレオチド類似体であるが、他のモノマーもまた使用され得る[Nawrot and Sipa,Curr.Topics Med.Chem.2006,6,913−925]。
【0218】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、共役基によって官能化される。共役基は、本発明のRNA複合体の特性を変化、拡張、または改善させる、当業者に既知の基である。かかる基は、細胞内分布、器官内分布、組織内分布、二重鎖融点、標的親和性、生体内安定性、ハイブリダイゼーションのシグナル伝達等を調節するのに有用であり得る。
【0219】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、ヒドロキシメチル置換基の共役基とメチレン基との間のエーテル結合によって官能化される。図2(モノマーF)を参照されたい。
【0220】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、本発明のRNA複合体に組み込まれる前に、当業者に既知の方法を用いて、チオエーテル官能性に変換される。図2(モノマーG)を参照されたい。
【0221】
別の実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、本発明のRNA複合体に組み込まれる前に、当業者に既知の方法を用いて、メルカプトメチル官能性に変換される。図2(モノマーG、R=H)を参照されたい。このメルカプト官能性は、当業者に既知の方法を用いて、例えば、RNA合成の間、そのアセチル誘導体として適切に保護される。
【0222】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、本発明のRNA複合体に組み込まれる前に、当業者に既知の方法を用いて、アミン官能性に変換される。図2(モノマーI、R=H)を参照されたい。このアミン官能性は、当業者に既知の方法を用いて、例えば、RNA合成の間、そのトリフルオロアセチル誘導体またはFmoc誘導体として適切に保護される。
【0223】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、アミド結合共役基の結合のためのハンドルとして作用する。これは、例えば上述の通り、ヒドロキシメチル置換基のヒドロキシルユニットを、アミンユニットへ変換させること、および例えば、このアミノ基を、当業者に既知の方法を用いて、アミド結合形成による共役基によってさらに誘導化することを含む。これは、当業者に既知の方法を用いて、RNA合成前、またはRNA合成後に行われてもよい(図2、モノマーH)。
【0224】
一実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのヒドロキシメチル置換基は、アミノ結合共役基の結合のためのハンドルとして作用する。これは、例えば上述の通り、ヒドロキシメチル置換基のヒドロキシルユニットを、アミンユニットへ変換させること、および例えば、このアミノ基を、当業者に既知の方法を用いて、アミン結合形成による共役基によってさらに誘導化することを含む。これは、当業者に既知の方法を用いて、RNA合成前、またはRNA合成後に行われてもよい(図2、モノマーI)。
【0225】
さらなる一実施形態では、共役に使用されるアミン基は、アミノ基、ピペラジノ基、またはジアミノアルキル基である。かかるモノマーは、アミン誘導体化モノマーと呼ばれる。これらの基の各々は、さらに誘導体化または共役させられ得る(図2、モノマーJ)。
【0226】
一実施形態では、本発明のRNA複合体は、天然RNA複合体と比較して、低減されたオフターゲット効果を有する。
【0227】
好ましい一実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖において、本発明の少なくとも1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。
【0228】
別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖のいわゆる種領域、すなわちアンチセンス鎖の5’末端から第1〜12位のうちの少なくとも1つに組み込まれるか、またはその周囲にある、本発明の少なくとも1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第2〜10位のうちの少なくとも1つに組み込まれる、本発明の少なくとも1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第3〜8位のうちの1つに組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第7または第8位の1つに組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第7位に組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第9〜16位に組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第9〜11位に組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。さらに別の好ましい実施形態では、RNA複合体は、アンチセンス鎖の5’末端から第9〜10位に組み込まれる、本発明の1個のヒドロキシメチル置換モノマーを有する。別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、天然RNA複合体と比較して、低減された免疫応答を生成する。
【0229】
さらに別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、天然RNA複合体と比較して、持続的な効果を有する。
【0230】
さらに別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、天然RNA複合体と比較して、増加された効果を有する。したがって、好ましい実施形態では、RNA複合体は、例えば、標的mRNAのより効率的な分解によって、またはmRNAのより効率的な翻訳阻害によって、天然RNA複合体よりも、RNAiをより効果的に媒介する。
【0231】
さらに別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、ヒトもしくは動物の特定の器官または組織に効率的に送達される。
【0232】
またさらに別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、細胞膜を効率的に透過することができる。またさらに別の実施形態では、本発明のRNA複合体は、天然RNA複合体よりも、細胞膜をより効率的に透過することができる。一実施形態では、本発明のRNA複合体は、RNA複合体のヒトの体内における保持を増加させる血漿タンパク質に結合することができる。
【0233】
一実施形態では、RNA複合体は、標的核酸の発現を下方制御する平滑末端2本鎖RNA(dsRNA)であってもよく、該dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖、19〜24塩基対の2本鎖領域、ならびにdsRNAの少なくとも1つの平滑末端に結合される1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。関連する実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、独立して19個以上のヌクレオモノマーを有する。別の関連する実施形態では、センス鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。さらに別の実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端から1、2、3、4、および/または5位にある。関連する実施形態では、アンチセンス鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。関連する実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から4、5、6、7、8、9および/または10位にある。
【0234】
別の実施形態では、RNA複合体は、標的核酸の発現を下方制御する平滑末端2本鎖RNA(dsRNA)であってもよく、該dsRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖、25〜30塩基対の2本鎖領域、ならびにヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む1つの3’末端オーバーハングを含む。関連する実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は、独立して25〜35個のヌクレオモノマーを有する。さらに別の実施形態では、センス鎖は、25個のヌクレオモノマーを有し、アンチセンス鎖は、27個のヌクレオモノマーを有する。さらに別の実施形態では、センス鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。別の実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、ダイサー酵素によるdsRNAの切断を低減するか、または妨げる。関連する実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、dsRNAのダイサー切断部位の側面に位置する。別の実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、センス鎖の5’末端から19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および/または32位にある。関連する実施形態では、アンチセンス鎖は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。関連する実施形態では、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端から5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、および/または17位にある。関連する実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオモノマーである。
【0235】
本明細書で使用されるとき、「二機能性RNA複合体」または「二機能性dsRNA」という用語は、センス鎖およびアンチセンス鎖を有するRNA複合体を意味し、ここでセンス鎖およびアンチセンス鎖は、各々同一の標的RNAの異なる領域(すなわち、第1の領域および第2の領域)と相補的であるか、または各々少なくとも2つの異なる標的RNAの領域と相補的である。
【0236】
一実施形態では、RNA複合体は、ガイド鎖およびパッセンジャー鎖の各々の5’末端から5、6、7、および/または8位において、2つの平滑末端およびヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを有する二機能性RNA複合体であってもよい。
【0237】
一実施形態では、二機能性RNA複合体は、2つの平滑末端、センス鎖、およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から5、6、7、および/または8位においてヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から5、6、7、および/または8位においてヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、標的RNAの第1の領域と相補的であり、アンチセンス領域は、標的RNAの第2の領域と相補的であり、ここで第1の領域および第2の領域は、標的RNAの非重複領域である。関連する実施形態では、標的RNAの第1および第2の領域は、部分的に重複する。
【0238】
一実施形態では、二機能性RNA複合体は、2つの平滑末端、センス鎖、およびアンチセンス鎖を含み、ここでセンス鎖は、センス鎖の5’末端から5、6、7、および/または8位においてヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から5、6、7、および/または8位においてヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含み、ここでセンス鎖は、第1の標的RNAの第1の領域と相補的であり、アンチセンス領域は、第2の標的RNA第2の領域と相補的であり、ここで第1の標的RNAおよび第2の標的RNAは、異なる標的RNAであるか、あるいは95%未満の相同性、または90%の相同性、または85%の相同性、または80%の相同性、または75%の相同性、または70%の相同性、または65%の相同性、または60%の相同性、または55%の相同性、または50%の相同性を有する。関連する実施形態では、第1および第2の標的RNAは、同一の細胞内経路にある。
【0239】
RNA複合体を調製する方法
本発明の別の態様は、コア2本鎖領域を含むRNA複合体が形成され、該RNA複合体が対応する細胞内RNAのRNA干渉を媒介することができるような条件下で、アンチセンス鎖を、パッセンジャー鎖を用いて培養することを含む、本発明の2本鎖RNA複合体を調製する方法である。
【0240】
本発明の別の態様では、標的mRNAの発現を制御する1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA複合体を調製する方法であり、各々15〜40個のヌクレオモノマーを有する少なくとも2つの核酸鎖を合成するステップ、および合成された核酸鎖を、2本鎖領域を有する平滑末端RNA複合体を形成するのに好適な条件下で組み合わせるステップを含み、ここで各鎖の3’末端は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0241】
本発明の別の態様では、標的mRNAの発現を制御する1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー含むRNA複合体を調製する方法であり、各々18〜30個のヌクレオモノマーを有する少なくとも2つの核酸鎖を合成するステップ、および合成された核酸鎖を、2本鎖領域を有する平滑末端RNA複合体を形成するのに好適な条件下で組み合わせるステップを含み、ここで各鎖の3’末端は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0242】
この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明(第10の態様)のRNA二重鎖によって置換される。
【0243】
本発明のさらに別の態様は、細胞内または有機体内の標的核酸の核酸修飾を媒介する方法であり、標的核酸の修飾が生じ得るような条件下で、細胞または有機体を本発明のRNA複合体と接触させるステップを含み、それによって標的核酸の修飾を媒介する。
【0244】
好ましい実施形態では、標的核酸の核酸修飾を媒介する方法は、体外で行われる。好ましい実施形態では、標的核酸の核酸修飾を媒介する方法は、体内で、すなわち動物において、ヒトにおいて、または非ヒト動物において行われる。好ましい実施形態では、標的核酸の核酸修飾を媒介する方法は、細胞培養物中で行われる。さらに別の実施形態では、方法は、単離された細胞上で行われる。
【0245】
好ましい実施形態では、方法の核酸修飾は、RNA干渉、標的mRNAの好ましい分解、または標的mRNAの翻訳阻害もしくは制御性非コードRNA(例えば、マイクロRNA)の阻害である。
【0246】
別の実施形態では、核酸修飾は、DNAメチル化である。
【0247】
この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明のオリゴヌクレオチド(第9の態様)または本発明のRNA二重鎖(第10の態様)のいずれかによって置換される。
【0248】
本発明の第4の態様は、遺伝子機能を試験する方法を含む。本発明の別の態様は、細胞内または有機体内の遺伝子の機能を試験する方法であり、該方法は、遺伝子に相当する本発明のRNA複合体を、細胞内または有機体内へ導入し、それによって試験細胞または試験有機体を生成するステップ、標的核酸の修飾が生じ得る条件下で試験細胞または試験有機体を維持するステップ、およびステップbで生成された試験細胞または試験有機体の表現型を観察するステップ、および任意に、観察される表現型を、適切な対照細胞または対照有機体の表現型と比較し、それによって遺伝子の機能についての情報を提供するステップを含む。本発明のRNA複合体は、添付の実施例に概説される通り、例えば、トランスフェクションを用いて、細胞内に導入され得る。有機体または細胞の表現型は、例えば、タンパク質レベルを査定するためにプロテオミクスを用いて、またはRNAレベルを査定するためにマイクロアレイを用いて、観察されてもよい。また、より明確な表現型、例えば、1個の具体的な遺伝子の発現が使用されてもよい。遺伝子の機能について得られた情報は、遺伝子産物が、具体的な疾患に関連した治療介入に好適な標的であるかどうかを決定するために使用されてもよい。故に、ある種の遺伝子産物が、例えば、癌の特異的サブタイプに侵されることが知られる、ある種の生化学的経路内で作用することが示される場合、遺伝子産物は、前述の癌の特異的サブタイプの治療のための治療介入に好適な標的であり得る。
【0249】
細胞内または有機体内の遺伝子の機能を試験する方法の好ましい実施形態では、該方法の核酸修飾は、RNA干渉、標的mRNAの好ましい分解、または標的RNAの翻訳阻害である。
【0250】
別の実施形態では、核酸修飾は、DNAメチル化である。
【0251】
細胞内または有機体内の遺伝子の機能を試験する方法の好ましい実施形態では、該方法は、細胞培養内で、体外または体内で行われる。
【0252】
さらに別の実施形態では、該方法は、単離された細胞上で行われる。
【0253】
この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明(第9の態様)のオリゴヌクレオチドまたは本発明(第10の態様)のRNA二重鎖のいずれかによって置換される。
【0254】
本発明の第5の態様では、薬剤を評価する方法が提供される。本発明の別の態様は、薬剤が遺伝子産物に対して作用するかどうかを査定する方法であり、該遺伝子に相当する本発明のRNA複合体を、細胞内または有機体内へ導入し、それによって試験細胞または試験有機体を生成するステップ、標的核酸の修飾が生じるような条件下で、試験細胞または試験有機体を維持するステップ、薬剤を試験細胞内または試験有機体内へ導入するステップ、試験細胞または有機体の表現型を観察するステップ、および任意に、観察される表現型を、適切な対照細胞または対照有機体の表現型と比較し、それによって薬剤が遺伝子産物に対して作用するかどうかについての情報を提供するステップを含む。
【0255】
薬剤が遺伝子または遺伝子産物に対して作用するかどうかを査定する方法の好ましい実施形態では、該方法の核酸修飾は、RNA干渉、標的RNAの好ましい分解、または標的RNAの翻訳阻害である。別の実施形態では、核酸修飾の修飾は、DNAメチル化である。
【0256】
薬剤が遺伝子産物に対して作用するかどうかを査定する方法の好ましい実施形態では、該方法は、細胞培養内で、体外または体内で行われる。さらに別の実施形態では、方法は、単離された細胞上で行われる。この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明(第9の態様)のオリゴヌクレオチドまたは本発明(第10の態様)のRNA二重鎖のいずれかによって置換される。
【0257】
本発明の第6の態様では、薬学組成物が提供される。本発明のさらに別の態様は、RNA複合体および薬学的に許容される希釈剤、担体、またはアジュバントである。本発明のRNA複合体が、特異的遺伝子および遺伝子産物を標的とするように設計され得ることは当業者に明らかであろう。RNA複合体は、DNA配列またはRNA配列を標的とし、タンパク質を標的としないことを理解されたい。しかしながら、タンパク質等の遺伝子産物のレベルは、それがmRNAである場合、または非コードRNAが修飾される場合に、例えば、RNA分解または翻訳阻害によって、間接的に影響を受け得る。またタンパク質をコードする遺伝子の発現は、例えば、DNAメチル化のために、影響を受け得る。
【0258】
この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明(第9の態様)のオリゴヌクレオチドまたは本発明(第10の態様)のRNA二重鎖のいずれかによって置換される。
【0259】
本発明の第7の態様では、薬剤の使用が提供される。故に、別の態様は、薬剤として使用するための、本発明のRNA複合体である。RNA複合体の特異性は、アンチセンス鎖の配列内に排他的に存在するため、いったん治療標的が検証されると、当業者は、標的のレベルおよび活性に影響を及ぼすRNA複合体を設計することができる。連続のパッセンジャー鎖を含む天然RNA複合体については、パッセンジャー鎖が誘導体配列として作用することに起因して、オフターゲット効果の問題が依然として存在する。
【0260】
この態様の代替的実施形態では、RNA複合体は、本発明(第9の態様)のオリゴヌクレオチドまたは本発明(第10の態様)のRNA二重鎖のいずれかによって置換される。
【0261】
本発明の第8の態様では、モノマーが提供される。本発明の態様は、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーの組み込みに好適なモノマー、およびそれらの容易に利用可能な出発物質からの調製方法である。本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのチミン−1−イル誘導体は、DNA鎖に組み込まれており、自動DNA/RNA合成のためのそれらのホスホラミダイト形成ブロックの調製手順が報告されている[K.D.Nielsen et al.,Bioorg.Med.Chem.1995,3,1493、H.Thrane et al.,Tetrahedron1995,51,10389、P.Nielsen et al.,Bioorg.Med.Chem.1995,3,19]。
【0262】
ほとんどの場合、本発明のRNA複合体は、当業者に既知であるような自動オリゴヌクレオチド合成によって調製されるであろう。本発明のヒドロキシメチル置換モノマーの、本発明のRNA複合体への組み込みは、a)自動RNA合成器上のRNA合成、b)RNA処理、c)RNA精製、およびd)RNA単離のための標準方法に従う[F.Eckstein,Oligonucleotides and Analogues,IRL Press,Oxford University Press,1991]。ヒドロキシメチル置換RNAオリゴヌクレオチド(=RNA鎖)およびRNA複合体は、RNA合成のための標準技術を用いて、ホスホラミダイト誘導体を用いて合成され得る。
【0263】
好ましい実施形態では、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーのホスホラミダイト誘導体の調製方法は、リボヌクレオシド、例えば塩基アデニン、グアニン、シトシン、および5−メチルシトシンのために、例えば、ベンゾイル基、イソブチリル基、アセチル基、フェノキシアセチル基、tert−ブチルフェノキシアセチル基、または当業者に既知の他の標準塩基保護基等の塩基保護基を含有するリボヌクレオシドのO5’−DMT保護誘導体から始まる。
【0264】
好ましい実施形態では、本発明は、2’,3’−切断炭素−炭素結合(リボヌクレオシド命名)を有するモノマーDおよびEの組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法を含む。
【0265】
他の好ましい実施形態では、本発明は、2’,3’−切断炭素−炭素結合を有し、加えてヒドロキシ基以外で、例えばその2’−炭素原子(リボヌクレオシド命名)における官能性または基を担持するF〜J等のモノマーの組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法を含む。
【0266】
本発明の好ましい実施形態では、モノマーDのホスホラミダイト誘導体の調製方法は、主要なステップの中でも、2’,3’−グリコール切断、得られた中間体の還元、選択的O2’−保護、およびO3’−ホスフィチル化を含む。
【0267】
好ましい実施形態では、2’,3’−グリコール切断は、例えば、試薬として過ヨウ素酸ナトリウムでの酸化切断を用いて行われる。
【0268】
別の好ましい実施形態では、過ヨウ素酸ナトリウム切断後の中間体の還元は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムによって影響を受ける対応するジオールに還元される。
【0269】
モノマーDの本発明のRNA複合体への組み込みのために、2’−ヒドロキシ基(リボヌクレオシド命名)を保護する必要がある。本発明の好ましい実施形態では、これは、ベンゾイル化によって行われる。保護の選択性を最適化するために、1当量を若干上回るのみのベンゾイル化試薬(塩化ベンゾイルまたは例えば、無水ベンゾイル)、すなわちO3’−ベンゾイル化に相対的なO2’−ベンゾイル化の量を使用することが有益であり得る。好ましい一実施形態では、ベンゾイル化は、室温未満で行われる。別の有用な実施形態では、ベンゾイル化は、0℃未満、またはさらに−50℃未満でも行われる。
【0270】
別の好ましい実施形態では、O2’−保護は、アセチル化によって、または有機合成の分野に精通する者に既知のアシル化試薬を用いてアシル化を行うことによって行われる。
【0271】
別の好ましい実施形態では、O2’−保護は、シリル化試薬および有機合成の分野に精通する者に既知の方法を用いるシリル化によって行われる。好ましいシリル化保護基は、tert−ブチルジメチルシリルまたはトリイソプロピルオキシメチルである。
【0272】
好ましい実施形態では、後に続くホスフィチル化反応は、いわゆる「PCl」試薬[PCl(OCHCHCN)(N(iPr))]またはいわゆる「ビス−アミダイト」試薬[P(OCHCHCN)(N(iPr)]のいずれかを用いて行われる。
【0273】
モノマーDのホスホラミダイト誘導体の調製方法の好ましい実施形態では、出発物質は、リボヌクレオシド、例えば塩基アデニン、グアニン、シトシン、および5−メチルシトシンのために、例えば、ベンゾイル基、イソブチリル基、アセチル基、フェノキシアセチル基、tert−ブチルフェノキシアセチル基、または当業者に既知の他の標準塩基保護基等の塩基保護基を含有するリボヌクレオシドのO5’−DMT保護誘導体である。
【0274】
本発明の好ましい実施形態では、モノマーEのホスホラミダイト誘導体の調製の方法は、主要なステップの中でも、2’,3’−グリコール切断、得られた中間体の還元、選択的O3’−保護、およびO2’−ホスフィチル化を含む。O3’−保護は、例えば、シリル化もしくはアシル化によって、または最初にO2’−ベンゾイル化、次いでO3’−シリル化、および次いでO2’−脱ベンゾイル化等の組み合わせによって行われ得る。当業者に明白であろうが、他の保護基もまた適用され得る。
【0275】
別の好ましい実施形態では、2’,3’−切断炭素−炭素結合を有し、加えてヒドロキシ基以外で、例えばその2’−炭素原子(リボヌクレオシド命名)における官能性または基を担持するF〜J等のモノマーの組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法は、主要なステップの中でも、リボヌクレオシド(例えばO5’−DMT保護リボヌクレオシド)2’,3’−グリコール切断から出発し、得られた中間体の還元、選択的O3’−保護、2’−ヒドロキシ基の変換、O3’−脱保護、およびO3’−ホスフィチル化を含む。O3’−保護は、例えば、シリル化もしくはアシル化によって、または最初にO2’−ベンゾイル化、次いでO3’−シリル化、および次いでO2’−脱ベンゾイル化等の両方の組み合わせによって行われ得る。当業者に明白であろうが、他の保護基もまた適用され得る。2’−ヒドロキシ基の、アミノ基、アシル化アミノ基、アルキル化アミノ基、ジアルキル化アミノ基ルバモイル化アミノ基、ピペラジノ基、アシル化ピペラジノ基、アルキル化ピペラジノ基カルバモイル化ピペラジノ基、メルカプト基、アシル化メルカプト基、アルキル化メルカプト基、ジスルフィド基、アシル化ヒドロキシ基、アルキル化ヒドロキシ基、カルバモイル化ヒドロキシ基等の別の基、またはこれらの基の置換誘導体および/または保護誘導体への変換は、有機合成の分野に精通する者に既知の方法および手順を用いて行われ得る。かかる方法および手順は、2’−ヒドロキシ基の活性誘導体上の置換反応、またはアシル化反応もしくはカルバモイル化反応を含む。かかる方法および手順はまた、O2’−アルキル化反応、およびアミノ基またはメルカプト基等の他のC2’結合基の組み込み後のアルキル化反応を含む。さらに別の可能性としては、アルデヒド官能性を得るための(それは例えば、求核での反応によってさらに修飾され得る)、またはカルボキシ官能性を得るための(それは例えば、カルボキシ官能性の活性エステル等の活性誘導体への変換後、求核での反応によってさらに修飾され得る)、2’−ヒドロキシ基の酸化がある。
【0276】
本発明の別の実施形態では、F〜J等のモノマー(O2’原子がホスフィチル化されるように、「逆性」を除き(例えば、モノマーDおよびEは「逆性」と考えられ得る)、C3’原子がヒドロキシ基以外の官能性に結合されるように、別の基に変換されるのは3’−ヒドロキシ基である)の組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法は、主要なステップの中でも、リボヌクレオシド(例えばO5’−DMT保護リボヌクレオシド)2’,3’−グリコール切断から出発し、得られた中間体の還元、選択的O2’−保護、3’−ヒドロキシ基の変換、O2’−脱保護、およびO2’−ホスフィチル化を含む。O2’−保護は、例えば、シリル化もしくはアシル化、またはその両方の組み合わせによって行われ得る。当業者に明白であろうが、他の保護基もまた適用され得る。3’−ヒドロキシ基の、アミノ基、アシル化アミノ基、アルキル化アミノ基、ジアルキル化アミノ基ルバモイル化アミノ基、ピペラジノ基、アシル化ピペラジノ基、アルキル化ピペラジノ基カルバモイル化ピペラジノ基、メルカプト基、アシル化メルカプト基、アルキル化メルカプト基、ジスルフィド基、アシル化ヒドロキシ基、アルキル化ヒドロキシ基、カルバモイル化ヒドロキシ基等の別の基、またはこれらの基の置換誘導体および/または保護誘導体への変換は、有機合成の分野に精通する者に既知の方法および手順を用いて行われ得る。かかる方法および手順は、3’−ヒドロキシ基の活性誘導体上の置換反応、またはアシル化反応もしくはカルバモイル化反応を含む。かかる方法および手順はまた、O3’−アルキル化反応、およびアミノ基またはメルカプト基等の他のC3’結合基の組み込み後のアルキル化反応を含む。さらに別の可能性としては、アルデヒド官能性を得るための(それは例えば、求核での反応によってさらに修飾され得る)、またはカルボキシ官能性を得るための(それは例えば、カルボキシ官能性の活性エステル等の活性誘導体への変換後、求核での反応によってさらに修飾され得る)3’−ヒドロキシ基の酸化がある。
【0277】
一実施形態では、2’−C−ピペラジノ誘導体は、2’−ヒドロキシ基を脱離基(例えば、メシル酸塩誘導体)に変換し、続いて非常に過剰のピペラジンで反応させることによって調製される。これは例えば、構造アミダイトJのホスホラミダイトの合成へのステップとして行われ得る(下の図を参照)。
【0278】
さらに別の実施形態では、本発明は、天然核酸塩基とは異なるC1’原子(リボヌクレオシド命名)において基または官能性を担持する、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーの組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法を含む。かかる基または官能性は、保護基を含有してもよく、例えば、天然核酸塩基以外で、ピレン、ペリレン、フルオロフォア、水素、アルキル、反応基、および複素環を含む。
【0279】
さらに別の実施形態では、本発明は、ホスホラミダイト誘導体の代わりに、H−ホスホン酸誘導体として構成される、本発明のヒドロキシメチル置換モノマーの組み込みに好適なモノマー形成ブロックを調製する方法を含む。
【0280】
ホスホラミダイト(=アミダイト)形成ブロック(DMT=4,4’−ジメトキシトリチル、塩基=天然核酸塩基、CEtO=シアノエトキシ)に関して、本発明の幾つかの好ましい実施形態の構造例を下に示す。
【0281】
【化4】

【0282】
【化5】

本発明の第9の態様では、非環状オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが提供される。本発明の第9の態様は、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むオリゴヌクレオチドである。説明および実施例の節から明らかであろうが、かかるオリゴヌクレオチドは、種々の用途および利点を有する。
【0283】
好ましい実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオモノマーである。ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む本発明のオリゴヌクレオチドは、驚くべきことに、RNAi機構の基質細胞内酵素であることが見出されており、場合によっては、これらのオリゴヌクレオチドは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まない同一のオリゴヌクレオチドよりも好ましい基質でさえある。
【0284】
好ましくは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーE、F、G、H、I、またはJからなる群から選択される(図1を参照)。当業者に明白であろうが、G、F、H、I、およびJは全て、モノマーDの合成前駆体から作製され得る。図2に示される通り、非環状モノマーは、コレステロール誘導体、アルキル、フルオロフォア、ポリアミン、アミノ酸、糖類、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリペプチド等の共役基を担持する誘導体に転換され得る。かかる共役基は、オリゴヌクレオチドが、細胞内、器官内、または有機体内の標的mRNAの活性を調節するために使用される場合に、例えば、より好ましい生体内安定性および/または生体内分布のために有用であり得る。
【0285】
オリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは10〜40ヌクレオモノマーである。18〜30ヌクレオモノマーの長さがさらにより好ましい。
【0286】
好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、5個未満のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー以外の5個のヌクレオモノマー当たり、1個以下のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー以外の8個のヌクレオモノマー当たり、1個以下の非環状モノマーがさらにより好ましい。ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数が多くなりすぎる場合、本発明のオリゴヌクレオチドの相補的核酸に対する結合親和性が損なわれる。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1〜5個のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含む。
【0287】
好ましい実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、オリゴヌクレオチドの1、2、3、4、5、6、7、および/または8位に存在し、より好ましくは2、3、4、5、6、および/または7位に存在する。位置は、オリゴヌクレオチドの5’末端から数えられる。これらの位置は、マイクロRNAのいわゆる種領域に相当するため、これらの領域におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、オリゴヌクレオチドがマイクロRNAとして作用することを低減するか、または妨げるであろう。これは、例えば、オリゴヌクレオチドがsiRNAのガイド鎖として機能することが意図される場合に関連性がある。
【0288】
好ましい実施形態では、アンチセンス鎖における全てのヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、11、12、13、14、15、および/または16位に存在し、ここで位置は、アンチセンス鎖の5’末端から数えられる。さらにより好ましくは、アンチセンス鎖におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、9、10、および/または11位に存在する。故に、前述の領域におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの存在は、アンチセンス鎖がマイクロRNAとして作用するように誘導し、すなわちsiRNA効果が最小限となり、マイクロRNA効果がはるかに高くなるようにする。
【0289】
好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、8個を超える連続DNAモノマーのDNA配列を含まない。6個以下の連続DNAモノマーがさらにより好ましく、および最も好ましくは4個以下の連続DNAモノマーである。連続DNAモノマーは典型的に、オリゴヌクレオチドが相補的RNAに結合される場合に、RNアーゼHを活性化させることを可能にし、それはRNAの分解をもたらす。本発明の幾つかの実施形態では、これは望ましくない。故に、さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、DNAモノマーを全く含有しない。
【0290】
他の実施形態では、RNアーゼH活性は望ましく、オリゴヌクレオチドが4個を超える連続DNAモノマーを含むことが好ましく、より好ましくは6個を超えるDNAモノマー、および最も好ましくは8個を超えるDNAモノマーを含むことが好ましい。
【0291】
さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、50%超のRNAモノマーを含む。高度のRNAモノマーは、例えば、RISC等の細胞内酵素のために基質または誘導体(または補因子)として機能することによって、RNA相互作用タンパク質との相互作用を促進する。
【0292】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドのモノマーの80%超がRNAモノマーであることが好ましい。さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドのモノマーの90%超がRNAモノマーであることが好ましい。
【0293】
オリゴヌクレオチドはまた、ヌクレオモノマー類似体を含んでもよい。かかる一実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーおよびRNAモノマーは、全てのヌクレオモノマーの80%超を構成する。別の実施形態では、非環状モノマーおよびRNAモノマーは、全てのヌクレオモノマーの90%超を構成する。
【0294】
オリゴヌクレオチドが、ヌクレオモノマー類似体を含む場合、それらは、2’−O−アルキル−RNAモノマー、2’−アミノ−DNAモノマー、2’−フルオロ−DNAモノマー、LNAモノマー、PNAモノマー、HNAモノマー、ANAモノマー、FANAモノマー、CeNAモノマー、ENAモノマー、DNAモノマー、およびINAモノマーからなる群から選択されることが好ましい。ヌクレオチド類似体は典型的に、結合親和性を調節し、生体内安定性を増加させ、また概して、オリゴヌクレオチドにさらなる薬物様特性を与えるために使用される。
【0295】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2個のLNAヌクレオチド類似体を含む。ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは典型的に、相補的核酸と塩基対になる本発明のオリゴヌクレオチドの融点(すなわち結合親和性)を低下させ、LNAヌクレオモノマーは、この融点の低下に対抗するために使用されてもよい。すなわち一実施形態では、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの数は、LNAヌクレオモノマーの数と同一である。
【0296】
好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、非環状モノマーおよびRNAモノマーのみを含む。
【0297】
別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー、RNAモノマー、およびLNAヌクレオチド類似体のみを含む。
【0298】
好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、チオリン酸結合、ボラノリン酸結合、エチルホスホン酸結合、ホスホロアミド酸結合、およびホスホトリエステル結合からなる群から選択される1つ以上の結合を含む。ホスホロチオエート結合および/またはボラノリン酸結合が最も好ましい。これらの結合は、オリゴヌクレオチドの生体内安定性を改善し、またオリゴヌクレオチドの生体内分布に対するプラス効果を有することも示されている。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、前述のヌクレオチド間結合の50%超、さらにより好ましくは75%超を含む。一実施形態では、全てのヌクレオチド間結合が前述のタイプのヌクレオチド間結合である。
【0299】
好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、相補的オリゴヌクレオチドと塩基対にならず、すなわち本発明のオリゴヌクレオチドは、1本鎖である。
【0300】
さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと相補的な標的mRNAのRISC依存性翻訳抑制または分解を媒介することができる。当業者であれば、RISCがRNA誘導サイレンシング複合体(RNA Induced Silencing Complex)のことであると認識し、この実施形態において、オリゴヌクレオチドが、RISCのための誘導体配列として作用し、それによってRISCをRNAオリゴヌクレオチド(典型的には、本発明のオリゴヌクレオチドと部分的なまたは完全な相補性を持つmRNAである)に誘導することを理解するであろう。オリゴヌクレオチドがRISCを部分的相補性のmRNA標的に誘導する場合、オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA擬態として見なされ得る。オリゴヌクレオチドがRISCを完全相補性のmRNA標的に誘導する場合、それは1本鎖または2本鎖iRNAとして見なされ得る。
【0301】
RISC依存性は、RISC構成要素をコードするmRNAに対抗するsiRNAを用いて、RISCの構成要素をノックアウトすることによって、細胞株において査定され得、ノックアウト細胞株におけるオリゴヌクレオチドの活性を評価する。かかる実験は、当業者に周知である。
【0302】
本発明の第10の態様では、本発明のオリゴヌクレオチドを含むRNA二重鎖が提供される。本発明の第10の態様は、本発明に従った第1のオリゴヌクレオチド、および第2のオリゴヌクレオチドを含むRNA二重鎖である。好ましい実施形態では、RNA二重鎖の第2のオリゴヌクレオチドもまた、本発明のオリゴヌクレオチドである。第1の態様で、本発明のRNA複合体に関連して説明される実施形態はまた、第10の態様のRNA二重鎖に適用可能である。
【0303】
好ましくは、本発明のRNA二重鎖は、15〜40個である幾つかの塩基対を含み、好ましい実施形態では、幾つかの塩基対は、18個の塩基対、19個の塩基対、20個の塩基対、21個の塩基対、22個の塩基対、および23個の塩基対の群から選択される。
【0304】
さらに別の実施形態では、RNA二重鎖は、25〜30である幾つかの塩基対を含み、より好ましくは26〜28個、および最も好ましくは27個の塩基対を含む。かかるRNA二重鎖は、ダイサー基質RNAと称されてもよい。
【0305】
好ましい実施形態では、本発明のRNA二重鎖は、オーバーハングを含む。別の実施形態では、RNA二重鎖は、2つのオーバーハングを含む。さらに別の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、3’−オーバーハングを含む。さらに別の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、3’−オーバーハングを含む。好ましくは、オーバーハングの長さは、1〜8ヌクレオチドであり、さらにより好ましくは、オーバーハングの長さは、1ヌクレオチド長、2ヌクレオチド長、および3ヌクレオチド長を含むオーバーハングからなる群から選択される
別の実施形態では、RNA二重鎖は、少なくとも1つの平滑末端を含む。別の実施形態では、RNA二重鎖は、両末端において平滑末端である。
【0306】
好ましい実施形態では、RNA二重鎖は、18〜22塩基対の2本鎖領域を含み、ここで第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドは、各々1〜3ヌクレオチドの3’−オーバーハングを含む。かかるRNA二重鎖は、標準siRNA(短干渉RNA)として認識されるであろう。
【0307】
一実施形態では、RNA二重鎖1本の鎖は、第1の態様で詳述される通り、不連続である。
【0308】
一実施形態では、RNA二重鎖は、RNA二重鎖の第1および第2のオリゴヌクレオチドと相補的な標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができ、すなわちRNA二重鎖は、例えば、siRNA、マイクロRNA、またはプレマイクロRNAとして機能する。
【0309】
一実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーの代わりにRNAモノマーを含む同一のRNA二重鎖と比較して、低減されたオフターゲット効果を誘導しながら、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。
【0310】
別の実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーが特異的に、siRNA二重鎖の誘導体(アンチセンス)鎖の5〜10位に位置する場合(位置は、オリゴヌクレオチドの5’末端から数えられる)、低減されたオフターゲット効果を誘導しながら、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。
【0311】
別の実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーが特異的に、siRNA二重鎖の誘導体(アンチセンス)鎖の6〜8位に位置する場合、低減されたオフターゲット効果を誘導しながら、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。別の実施形態では、ガイド鎖において1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含むRNA二重鎖は、マイクロRNAタイプの効果をガイドするガイド鎖の低減された能力を有する。
【0312】
一実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーの代わりにRNAモノマーを含む同一のRNA二重鎖と比較して、増加された効力を有する、RNA標的化、例えば、遺伝子サイレンシングまたはRNA干渉を媒介することができる。
【0313】
一実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーの代わりにRNAモノマーを含む同一のRNA二重鎖と比較して、持続的な効力を有する、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。
【0314】
一実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーの代わりにRNAモノマーを含む同一のRNA二重鎖と比較して、RNA二重鎖が改善された生体内安定性を有する、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。
【0315】
さらに別の実施形態では、RNA二重鎖は、非環状モノマーの代わりにRNAモノマーを含む同一のRNA二重鎖と比較して、RNA二重鎖が低減された免疫刺激を有する、標的mRNAの翻訳抑制または分解を媒介することができる。
【0316】
本発明のRNA複合体は、種々の遺伝子に対して標的化され得る。標的として好適なヒト遺伝子の例としては、とりわけTNF、FLT1、VEGFファミリー、ERBBファミリー、PDGFRファミリー、BCR−ABL、およびMAPKファミリーが挙げられる。標的として好適なヒト遺伝子、およびそれらに対する核酸配列の例としては、PCT/US第08/55333号、PCT/US第08/55339号、PCT/US第08/55340号、PCT/US第08/55341号、PCT/US第08/55350号、PCT/US第08/55353号、PCT/US第08/55356号、PCT/US第08/55357号、PCT/US第08/55360号、PCT/US第08/55362号、PCT/US第08/55365号、PCT/US第08/55366号、PCT/US第08/55369号、PCT/US第08/55370号、PCT/US第08/55371号、PCT/US第08/55372号、PCT/US第08/55373号、PCT/US第08/55374号、PCT/US第08/55375号、PCT/US第08/55376号、PCT/US第08/55377号、PCT/US第08/55378号、PCT/US第08/55380号、PCT/US第08/55381号、PCT/US第08/55382号、PCT/US第08/55383号、PCT/US第08/55385号、PCT/US第08/55386号、PCT/US第08/55505号、PCT/US第08/55511号、PCT/US第08/55515号、PCT/US第08/55516号、PCT/US第08/55519号、PCT/US第08/55524号、PCT/US第08/55526号、PCT/US第08/55527号、PCT/US第08/55532号、PCT/US第08/55533号、PCT/US第08/55542号、PCT/US第08/55548号、PCT/US第08/55550号、PCT/US第08/55551号、PCT/US第08/55554号、PCT/US第08/55556号、PCT/US第08/55560号、PCT/US第08/55563号、PCT/US第08/55597号、PCT/US第08/55599号、PCT/US第08/55601号、PCT/US第08/55603号、PCT/US第08/55604号、PCT/US第08/55606号、PCT/US第08/55608号、PCT/US第08/55611号、PCT/US第08/55612号、PCT/US第08/55615号、PCT/US第08/55618号、PCT/US第08/55622号、PCT/US第08/55625号、PCT/US第08/55627号、PCT/US第08/55631号、PCT/US第08/55635号、PCT/US第08/55644号、PCT/US第08/55649号、PCT/US第08/55651号、PCT/US第08/55662号、PCT/US第08/55672号、PCT/US第08/55676号、PCT/US第08/55678号、PCT/US第08/55695号、PCT/US第08/55697号、PCT/US第08/55698号、PCT/US第08/55701号、PCT/US第08/55704号、PCT/US第08/55708号、PCT/US第08/55709号、およびPCT/US第08/55711号に開示される例が挙げられ、全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0317】
実施例
実施例1
本発明のRNA複合体の合成
本発明のヒドロキシメチル置換モノマーRNA複合体の、自動DNA/RNA合成のためのホスホラミダイト形成ブロックの調製手順が報告されている[thymine derivatives;K.D.Nielsen et al.,Bioorg.Med.Chem.1995,3,1493、H.Thrane et al.,Tetrahedron1995,51,10389、P.Nielsen et al.,Bioorg.Med.Chem.1995,3,19]。
【0318】
これらのヒドロキシメチル置換モノマーの、本発明のRNA複合体への組み込みは、a)自動RNA合成器上のRNA合成、b)RNA反応処理、c)RNA精製、およびd)RNA単離のための標準方法に従う[F.Eckstein,Oligonucleotides and Analogues,IRL Press,Oxford University Press,1991]。これは、ヒドロキシメチル置換RNAオリゴヌクレオチド(=RNA鎖)およびRNA複合体が、RNA合成のための標準技術を用いて、既知のホスホラミダイト誘導体を用いて合成され得ることを示す。
【0319】
LNAは、1つ以上の2’−O,4’−C−メチレン−結合リボヌクレオチド(LNAヌクレオチド)を含有するオリゴヌクレオチドである[M.Petersen and J.Wengel,Trends Biotechnol.2003,21,74−81]。LNA修飾siRNAは、1つ以上のLNAモノマーを含有するsiRNA構造である。市販のLNAホスホラミダイトの使用によって、LNAヌクレオチドを本発明のRNA複合体に組み込むために、既知の方法が使用されている[Pfundheller,Sorensen,Lomholt,Johansen,Koch and Wengel,J.”Locked Nucleic Acid Synthesis”,Methods Mol.Biol.2004,vol.288(Oligonucleotide Synthesis),127−145.,P.Herdewijn,Ed.,Humana Press Inc.]。
【0320】
ヒドロキシメチル置換siRNA(「ヒドロキシメチル置換低分子干渉RNA」)は、1個以上のヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含有するsiRNA構造である(ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの構造については、図1を参照されたい)。例示されるモノマーを下に示す。
【0321】
【化6】

次の実施例は、ヒドロキシメチル置換RNA複合体の設計を例示し、本明細書に明確に開示されていない他のRNA構造の設計に限定していない。故に、例えば、平滑末端siRNA二重鎖、本明細書で例示されるsiRNA二重鎖より短鎖のまたは長鎖のsiRNA二重鎖、1本鎖アンチセンスRNA分子(RNA複合体)、ならびにアンチセンス鎖および不連続のパッセンジャー鎖を含むRNA複合体(「パッセンジャー鎖」もまた「センス鎖」と呼ばれ得る)がある。
【0322】
アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシルのホスホラミダイト誘導体例の調製手順は、実施例11、特許出願PCT/US第2008/064417号に開示され、該出願内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0323】
実施例2
RNA複合体におけるヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターン
ヒドロキシメチルヌクレオモノマー(例えば、モノマーD)の、RNA複合体における特定の位置への組み込みは、遺伝子サイレンシング活性、サイトカイン誘導、鎖活性、「オフターゲット」効果、RNA複合体の熱安定性、およびダイサー基質RNA複合体の場合、RNA複合体のダイサープロセシングに影響を及ぼす。
【0324】
RISC RNA複合体およびダイサーRNA複合体におけるヒドロキシメチルヌクレオモノマーの例示的置換パターンを下に提供する。RNA複合体(2本鎖RNA)の各鎖のヌクレオモノマーの数(すなわち、配列非依存性)は、X’またはH’の連鎖によって表わされる。各「X」は、独立しておよび各発現について、あらゆるヌクレオシド(例えば、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、またはそれらのあらゆる類似体もしくは誘導体)であり得る一方で、各「H」は、独立しておよび各発現について、非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマー(例えば、あらゆる核酸塩基を有するモノマーD)であり得る。各ケースにおいて、各鎖の間の塩基対に起因して、センス鎖およびアンチセンス鎖は、アニールされ2本鎖領域を形成する。これらの図表の目的は、RNA複合体の、配列非依存性のヒドロキシメチルヌクレオモノマーでの置換パターンを示すことである。
【0325】
RISC RNA複合体のヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターン
下の各RNA複合体について、センス鎖およびアンチセンス鎖は、各々21ヌクレオモノマー長であり(センス鎖が22ヌクレオモノマー長である、モチーフ番号P−1およびP−1/G7を除く)、ヌクレオシドまたは非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマーのいずれかを含む(例えば、モノマーD)。各複合体は、「モチーフ番号」で識別され、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーまたは「H」の位置が提供される。各鎖における各「H」の位置は、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーが位置する鎖の5’末端から数えることによって決定される。本明細書に開示されるあらゆるRNA複合体について、−1位(マイナス1)または1位は、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーが、その鎖の最も3’側のヌクレオモノマー(またはその鎖の3’末端における最後のヌクレオモノマー)であることを示す。下のRISC長RNA複合体について、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかの21および22位は、ヌクレオモノマーが、鎖の鎖5’末端から数えて最後の2つの位置を占めることを示す。
【0326】
【化7】

【0327】
【化8】

【0328】
【化9】

ダイサーRNA複合体のヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターン
下の各RNA複合体について、センスは、25ヌクレオモノマー長であり、アンチセンス鎖は、27ヌクレオモノマー長であり(25/27mer)、ヌクレオシドまたは非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマーのいずれかを含む(例えば、モノマーD)。各複合体は、「モチーフ番号」で識別され、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーまたは「H」の位置が提供される。各鎖における各「H」の位置は、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーが位置する鎖の5’末端から数えることによって決定される。
【0329】
モチーフ10を有するRNA複合体は、1つの平滑末端および25塩基対の二重鎖領域を有し、このうち2個の非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端に(またはアンチセンス鎖の5’末端から数えてアンチセンス鎖の26および27位において;ヒドロキシメチルヌクレオモノマーは、鎖5’末端から数えて鎖の最後の2つの位置を占める)結合され、1個の非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマーは、センス鎖の3’末端に(またはセンス鎖の5’末端から数えてセンス鎖の25位において;ヒドロキシメチルヌクレオモノマーは、鎖5’末端から数えてその鎖の最後の位置を占める)結合される。
【0330】
【化10】

【0331】
【化11】

実施例3
RISC長RNA複合体における
ヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換の位置特異的効果
上の実施例に表わされる置換パターン(モチーフ)を、異なる配列特異的RISC長RNA複合体に適用した。これらのRNA複合体を下の表1〜7に提供する。下の表の配列におけるヒドロキシメチル置換モノマーは、「unaH」として識別され、ここでHは、核酸塩基に対する一文字のコードである(例えば、「unaC」は、シトシンがヒドロキシメチル置換モノマーを含むことを示す)。
【0332】
【表1】

【0333】
【表2】

【0334】
【表3】

【0335】
【表4】

【0336】
【表5】

【0337】
【表6】

【0338】
【表7】

RISC長RNA複合体の遺伝子サイレンシング活性
ヒドロキシメチルモノマーを含有するRISC長RNA複合体(例えば、モノマーD)の遺伝子サイレンシング活性(または「ノックダウン活性」)を試験した。
【0339】
手短に述べると、HeLa細胞中のトランスフェクションについて、マルチウェルプレートを、10%ウシ胎児血清を有するDMEM中の約5,000個のHeLa細胞/ウェルで播種し、37oC/5%COで一晩培養した。トランスフェクションの直前に、HeLa細胞媒体を無血清DMEMに交換した。標的遺伝子の約1,000個の塩基対の挿入、およびRNA複合体(MAPK14RNA複合体を2.5nMで検定したことを除いて、上で特定された全てのRNA複合体について、25nM、2.5nM、および0.25n)を含有する、無血清DMEMに希釈されたpsiCHEC(商標)−2ベクターを、製造業者の指示に従って、希釈Lipofectamine2000(商標)(LF2K)トランスフェクション試薬と混合し、次いで室温で20分間培養した。例示的トランスフェクション混合物調製は、93μLのOpti−MEM、3μLのRNA複合体、標的を含有する4μLのpsiCHEC(商標)−2プラスミド、および100・μLの希釈LF2K(すなわち、98.6μLのOpti−MEMと共に1.4・μLのLF2K)を含む。LF2K/psiCHEC(商標)−2−[標的遺伝子挿入]をRNA複合体溶液とともに、HeLa細胞に添加し、次いで37℃、5%COで4.5時間培養した。共トランスフェクションのトランスフェクション後(約22時間)、細胞をトリプシン処理し、1mL当たり10細胞の濃度で10%FBSを含有する抗生物質のないDMEMに懸濁した。
【0340】
HeLa細胞をRNA複合体でトランスフェクトし、psiCHEC(商標)−2ベクターを、ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼレポーター活性について、最初にDual−Glo(商標)Luciferase Reagent(Promega、Madison、WI)を10分間振とうしながら添加し、次いで発光シグナルをVICTOR(商標)1420Multilabel Counter(PERKINELMER)上で定量化することによって検定した。ホタル発光を測定した後、ホタル反応を停止処理すると同時にウミシイタケルシフェラーゼ反応を開始するために、Stop&Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA、Madison、WI)を10分間振とうしながら添加し、次いでそれをVICTOR(商標)1420Multilabel Counter(PerkinElmer)上で定量化した。各RISC長RNA複合体についての遺伝子サイレンシング活性を下の表に示す。全ての試料を、同一実験で実験されたそれぞれのdsRNA QNeg(QIAGEN)陰性対照試料に正規化した。つまり、Qneg値を100%活性(すなわち、ノックダウンなし)として設定し、95%信頼区間(CI)を設けた。
【0341】
手短に述べると、HepG2細胞(ApoB3410RNA複合体)中のトランスフェクションについて、マルチウェルプレートに、10%ウシ胎児血清を有するDMEM中の約15,000個の細胞/ウェルで播種した。トランスフェクション混合物は、OptiMEM中のRNAiMAX(0.05nM、0.5nM、または5nM RNA濃度)と組み合わされたRNA複合体(ApoB3410RNA複合体)を含んだ。トランスフェクション混合物を、プレートされたHepG2細胞(総容量75μL)で24時間培養した。RNAをトランスフェクトされた細胞から採取し、qRT−PCRを行ない、ApoBおよび陰性対照GAPDH RNAについて、発現のレベルを決定した。下の表は、Qneg陰性対照siRNAと比較した、トランスフェクトされたHepG2細胞中のApoBメッセージのノックダウンの割合を要約する。
【0342】
下の表8〜14について、割合が低いほど、標的RNAのノックダウンが大きいことを示す(100%はノックダウンなしを示す)。下の表14について(ApoB3410RNA複合体)、割合が高いほど、ノックダウンが大きいことを示す(0%はノックダウンなしを示す)。
【0343】
【表8】

【0344】
【表9】

【0345】
【表10】

【0346】
【表11】

【0347】
【表12】

【0348】
【表13】

【0349】
【表14】

上の表8〜14に示されるRISC長RNA複合体についての遺伝子サイレンシング活性は、異なる配列および遺伝子標的を有する多数のsiRNAに適用された、モチーフ22、31、32、およびG7のヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターンが、同一の配列を有するがヒドロキシメチルヌクレオモノマーモノマーを含まないRNA複合体と比較して、概してそのRNA複合体の遺伝子サイレンシング活性を維持および/または改善したことを示す。さらに、ICAM−1遺伝子に向けられたRNA複合体におけるモチーフP−1、P1、P2、およびP3のヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターンは、同一の配列を有するがヒドロキシメチルヌクレオモノマーモノマーを含まないRNA複合体と比較して、概してそのRNA複合体の遺伝子サイレンシング活性を維持および/または改善した。
【0350】
RISC長RNA複合体の鎖特異的活性
ヒドロキシメチルモノマー(例えば、モノマーD)を含有するRISC長RNA複合体の鎖特異的サイレシング活性(または「ノックダウン活性」)を試験した。
【0351】
SOS1、およびICAM−1特異的RISC長RNA複合体を、それらの対応する「逆方向」psiCHEC(商標)−2ベクタープラスミドに対して試験した(すなわち、プラスミド発現RNA、これは、アンチセンス鎖の代わりにセンス鎖と相補的であり、故にRNA複合体の各鎖の役割は逆になる)。「逆方向」プラスミドの場合において、「センス」鎖は、RISCベースの遺伝子サイレンシング活性のためのガイド鎖として作用し、「アンチセンス」鎖パッセンジャー鎖として作用する。明確さを目的として、「順方向」psiCHEC(商標)−2ベクタープラスミドについては、アンチセンス鎖は、RISCベースの遺伝子サイレンシング活性のためのガイド鎖として作用し、センス鎖は、パッセンジャー鎖として作用する。「順方向」および「逆方向」ベクタープラスミドの両方に対するRNA複合体のサイレシング活性を比較することによって、RNA複合体のアンチセンス鎖およびセンス鎖のサイレシング活性が決定され得る。
【0352】
この例のために、「順方向」プラスミドに対するICAM−1RNA複合体のガイド鎖(RNA複合体のアンチセンス鎖)のサイレシング活性を表13に示し、「逆方向」プラスミドに対するICAM−1RNA複合体のパッセンジャー鎖(RNAのセンス鎖複合体)のサイレシング活性と比較した(表15を参照)。SOS1特異的RISC長RNA複合体について、「順方向」プラスミドに対するガイド鎖のサイレシング活性を表11に示し、表16に示すように、パッセンジャー鎖(「逆方向プラスミド」)のサイレシング活性と比較した。
【0353】
【表15】

表13(「逆方向」プラスミドに対するICAM−1RNA複合体)および表15(「順方向」プラスミドに対するICAM−1RNA複合体)の結果を比較することによって、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーの、鎖特異的RNAi活性に及ぼす位置特異的効果を観察する。例えば、対逆方向プラスミド実験(表15、対57%遺伝子サイレンシング活性でそれぞれ79%、86%、99%、および91%)におけるICAM1:1383−非修飾(25nM RNAで)での、RISC長ICAM1:1383RNA複合体のモチーフ(P−1)、(P1)、(P2)、および(P3)の相対的サイレシング活性を、順方向プラスミド実験(表13、対87%遺伝子サイレンシング活性でそれぞれ53%、55%、60%、および81%)における同一のモチーフと比較する。また、順方向プラスミド実験(表13、それぞれ105%対87%)における対ICAM1:1383−非修飾(25nM RNAで)での、RISC長ICAM1:1383RNA複合体のモチーフ(G2)の相対的サイレシング活性を、逆方向プラスミド実験(表15、対57%遺伝子サイレンシング活性でそれぞれ61%)における同一のモチーフと比較する。各例において、ガイド鎖として機能するRNA複合体の鎖は、その鎖の5’末端から1、2、2、および3位におけるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの組み込み後、標的に対して低減されたRNAi活性を有するか、RNAi活性を有さない。
【0354】
【表16】

表11(「順方向」プラスミドに対するSOS1:364RNA複合体)および表16(「逆方向」プラスミドに対するSOS1:364RNA複合体)の結果を比較することによって、ヒドロキシメチルヌクレオモノマーの、鎖特異的RNAi活性に及ぼす位置特異的効果を観察する。例えば、逆方向プラスミド実験(表16、対5.5%遺伝子サイレンシング活性でそれぞれ45.8%および10.5%)における対SOS1:364−非修飾(2.5nM RNAで)での、RISC長SOS1:364RNA複合体のモチーフ(24)および(27)の相対的サイレシング活性を、順方向プラスミド実験(表11、対59.1%遺伝子サイレンシング活性でそれぞれ27%および86.5%)における同一のモチーフ(対非修飾で24および27)と比較する。各例において、ガイド鎖として機能するRNA複合体の鎖は、その鎖の5’末端から2位における、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの組み込み後、標的に対して低減されたRNAi活性を有するか、RNAi活性を有さない。
【0355】
したがって、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを、
ヒドロキシメチルヌクレオモノマー(例えば、センス鎖またはパッセンジャー鎖)を含有する鎖の5’末端から数えて、鎖の−1、1、2、および/または3位(特に2位)またはその周辺に配置することは、RNA複合体におけるその鎖のサイレシング活性を低減または除去する(すなわち、パッセンジャー鎖または非標的鎖の望ましくないRNAi活性に起因して生じ得る、あらゆる潜在的な「オフターゲット」効果を低減または除去する)。
【0356】
さらに、結果として、RNA複合体の1本鎖の−1、1、2、および/または3位のうちの1つ以上の位置に1つ以上のヒドロキシメチルヌクレオモノマーを導入することがその鎖のRNAi活性を低減または除去する一方で、もう1本の鎖はRNAi活性に対して依然として高い活性を有することが示される。
【0357】
RISC長RNA複合体の「オフターゲット」効果
RNAiは、標的遺伝子の発現を妨害するために使用される有力な技術であるが、この方法の望ましくない結果は、それが非標的遺伝子の発現にも影響を及ぼし得ることである(いわゆる「オフターゲット」効果)。
【0358】
ヒドロキシメチルヌクレオモノマーを含むRNA複合体および含まないRNA複合体の「オフターゲット」効果の程度を試験した。この研究において、ApoB:3410RNA複合体を、パッセンジャー鎖の「オフターゲット」活性を決定するために使用した。非修飾ApoB:3410RISC長RNA複合体を、モチーフ(P−1/G7)を有する同一の配列と比較した。
【0359】
手短に述べると、本発明の前述のプロトコルおよび方法に従って、HepG2細胞を培養した。製造業者のプロトコルに従って、GENECHIP Human Genome U133Plus2.0マイクロアレイ(AFFYMETRIX)を用いて、マイクロアレイ分析を行った。2倍以上の変化(上昇または低下)が遺伝子発現レベルで観察された場合、「オフターゲット」遺伝子効果をカウントした。
【0360】
結果として、「オフターゲット」効果の10倍を超える低減が示された。非修飾ApoB:3410RISC長RNA複合体について、389個の遺伝子が2倍以上の発現変化レベルを有した一方で、モチーフ(P−1/G7)を有するApoB:3410RISC長RNA複合体については、35個の遺伝子のみが2倍以上の発現変化レベルを有した。両方の場合においても、ApoB標的メッセージは、約95%低減された。
【0361】
RISC長RNA複合体の体内での遺伝子サイレンシング
ヒドロキシメチルヌクレオモノマーを含むRNA複合体および含まないRNA複合体の遺伝子サイレンシング活性を体内で試験した。この研究においては、ApoBが標的であった。RNA複合体を、それぞれ50:28:20:2のモル%比で、DILA2アミノ酸化合物(または(E)−アミノ((4−(ヘキサデシルアミノ)−3−(オクタデカ−9−エンアミド)−4−オキソブチル)アミノ)メタンイミニウム)、CHEMS(ヘミコハク酸コレステロール)、およびDMPE−PEG2K(2kDa PEGを用いた1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)を含有する製剤として、それぞれ、0.5mg/kg(1日当たり30nmol/kg)、1mg/kg(または1日当たり60nmol/kg)、および2mg/kg(または1日当たり120nmol/kg)で、Balb/Cマウスに静脈内投与した。1群当たり5匹のマウスを使用し、200μL/用量の容量で各グループに投薬した。
【0362】
この研究において、前述のRNA複合体ApoB:10169およびApoB:10169(31)、および下のRNA複合体を投与した。下の配列内のヌクレオチドの前に来る「m」は、そのヌクレオシドに対する2’−O−メチル修飾の存在を示す。
【0363】
DX4227(ApoB):
5’−GGAAUCmUmUAmUAmUmUmUGAUCmCAsA−3’
21merセンス鎖(配列番号157)
5’−mUmUGGAUmCAAAmUAmUAAGAmUUCmCsmCsU−3’
21merアンチセンス鎖(配列番号158)

DX3838(G1498;陰性対照RNA複合体):
5’−mGmGAUCUUAUUUCUUCGGAGACAAdTdG
25merセンス鎖(配列番号159)
5’−mCmAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU
27merアンチセンス鎖(配列番号160)
マウスの各群について、ApoB mRNAの低下の割合および血清コレステロールレベルにおける対応する低下の割合(下の表16におけるRNA複合体識別子の各行は、5匹のマウスの群についてのApoB mRNAレベルおよび血清コレステロールレベルの低下の平均割合を表す)を下の表に示す。ApoB mRNAにおける低下の割合は、PBSのみの対照との比較による。
【0364】
【表17】

表16のデータは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーが位置する(または19個の塩基対二重鎖領域ならびにセンス鎖およびアンチセンス鎖の各3’末端に結合された2個の非ヌクレオチドヒドロキシメチルヌクレオモノマーを有する平滑末端構造)鎖の5’末端から数えてセンス鎖およびアンチセンス鎖の各々の20および21位においてヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー(モノマーD)を含むRISC長RNA複合体が、PBSのみと比較して、体内でのApoB mRNAレベルを95%低下させることを示す。代わりにTTを含む3’末端オーバーハングを含む同一のRNA複合体は、ApoB mRNAレベルを80%低下させた。さらに、マウスにおいて、体重の有意な変化は示されず、また特記すべき毒性は観察されなかったことから、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー(モノマーD)を含むRNA複合体が、安全かつ効果的な治療薬として使用され得ることが示される。要約すると、結果として、RNA複合体における非環状ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの組み込みが、RNA複合体の体内での遺伝子サイレンシング活性を亢進させることが示される。
【0365】
実施例4
ダイサー長RNA複合体における、
ヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換の位置特異的効果
上の実施例2に表される置換パターン(モチーフ)を、異なる配列特異的ダイサー長RNA複合体に適用した。これらのRNA複合体を下の表18〜22に提供する。下の表の配列におけるヒドロキシメチル置換モノマーは、「unaH」として識別され、ここでHは、核酸塩基に対する一文字のコードである(例えば、「unaC」は、シトシンがヒドロキシメチル置換モノマーを含むことを示す)。
【0366】
【表18】

【0367】
【表19】

【0368】
【表20】

【0369】
【表21】

【0370】
【表22】

ダイサー長RNA複合体の遺伝子サイレンシング活性
ヒドロキシメチルモノマーを含有するダイサー長RNA複合体(例えば、モノマーD)の遺伝子サイレンシング活性(または「ノックダウン活性」)を試験した。
【0371】
本発明で前述される通り、HeLa細胞中でトランスフェクションを行い、本発明で前述される通り、デュアルルシフェラーゼレポーター活性を、ダイサー長RNA複合体の各々についての遺伝子サイレンシング活性を決定するために使用した。ダイサー長RNA複合体についての遺伝子サイレンシング活性を下の表22〜25に示す。全ての試料を、同一実験で実験されたそれぞれのdsRNA Qneg(QIAGEN)陰性対照試料に正規化した。つまり、Qneg値を100%活性(すなわち、ノックダウンなし)として設定し、95%信頼区間(CI)を設けた。
【0372】
【表23】

【0373】
【表24】

【0374】
【表25】

【0375】
【表26】

【0376】
【表27】

上の表22〜25に示される、RISC長RNA複合体についての遺伝子サイレンシング活性は、異なる配列および遺伝子標的を有する多数のsiRNAに適用された、モチーフ3、7、9、および10のヒドロキシメチルヌクレオモノマー置換パターンが、同一の配列を有するがヒドロキシメチルヌクレオモノマーモノマーを含まないRNA複合体と比較して、概してそのRNA複合体の遺伝子サイレンシング活性を維持および/または改善したことを示す。
【0377】
ダイサー長RNA複合体のサイトカイン誘導
ヒドロキシメチルモノマー(例えば、モノマーD)を含有するダイサー長RNA複合体のサイトカイン誘導を試験した。
【0378】
手短に述べると、ヒト抹消血液単核細胞(PBMC)を、Ficoll勾配によって、保存されたヒト血液から単離した。細胞を、10%FBS、1X NEAA、および1X Glutamaxを含むIMDM媒体中で培養した。PBMCを、100μLの増殖培地中で、1ウェル当たり320,000個の細胞でプレートした。PBMCを、100nMの上の表のRNA複合体のうちの1つおよび0.25μLのRNAiMAXのOptiMEM中混合物(最終トランスフェクション媒体は約120μLであった)で4時間トランスフェクトした。各トランスフェクションを3回行なった。4時間のトランスフェクション後、増殖培地を各ウェルに、250μLの最終容量になるまで添加した。トランスフェクトされた細胞を24時間培養し、その後、上清を収集した。細胞および細胞破片を遠心分離によって除去し、浄化された上清を−20℃で凍結し、その後、サイトカイン誘導について検定した。収集された上清中のヒトIFN−αのレベルをELISAによって測定した(PBL BiomedicalヒトIFNアルファキット、カタログ番号4100−2、製造業者のプロトコルに従った)。一般的な免疫応答を示すために、ヒトIFN−αのレベルを使用した。ダイサー長RNA複合体でトランスフェクトされたヒトPBMC中のヒトIFN−αレベルを下の表28および29に示す。
【0379】
【表28】

【0380】
【表29】

5個の異なる遺伝子を標的とする5個の異なるダイサー長RNA複合体に適用されたモチーフ2、3、4、8、および10は、ヒドロキシメチル置換モノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、サイトカイン誘導を低減および/または除去した。
【0381】
ELISA検定の結果として、任意のダイサー長RNA複合体の両ダイサー切断部位(例えば、修飾モチーフ2)の側面に位置するヒドロキシメチル置換モノマーは、ヒトPBMC中のヒトIFN−α産生を誘導しないことが示される(RNA複合体の非修飾形態と比較して)。ダイサー長RNA複合体のセンス鎖の(センス鎖の5’末端から数えて)21および22位、センス鎖の2および6位における、ヒドロキシメチル置換モノマーの導入は、ヒドロキシメチル置換モノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、ヒトIFN−α発現を排除または低減する。ダイサー長RNA複合体のアンチセンス鎖の6および7またはアンチセンス鎖の8位における、ヒドロキシメチル置換モノマーの導入は、ヒドロキシメチル置換モノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、ヒトIFN−α発現を排除または低減する。ダイサー長RNA複合体のセンス鎖の25位およびアンチセンス鎖の26および27位における、ヒドロキシメチル置換モノマーの導入は、ヒドロキシメチル置換モノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、ヒトIFN−α発現を排除または低減する。また、ダイサー長RNA複合体のセンス鎖の21および22位およびアンチセンス鎖の6および7位における、ヒドロキシメチル置換モノマーの導入は、ヒドロキシメチル置換モノマーを含まない同一のRNA複合体と比較して、ヒトIFN−α発現を排除または低減する。
【0382】
サイトカイン応答およびヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの、RNA複合体を「マスク」する能力、またはサイトカイン誘導を排除もしくは低減する能力をさらに調査するために、TLR3(トール様受容体3)、MDA5(IFIH1)、およびRIG−I(レチノイン酸誘導性遺伝子1)活性を試験した。
【0383】
TLR3は、自然免疫系のパターン認識受容体のトール様受容体ファミリーの一員である。それは、2本鎖RNAを、例えばRNAウイルスから認識する。TLR3は、dsRNAを認識し、NF−κBを活性化して、タイプIインターフェロン(サイトカイン)の産生を増加させ、次いでその後、他の細胞にシグナル伝達してそれらの抗ウイルス防御を増加させる。
【0384】
MDA−5およびRIG−Iもまた、2本鎖RNAを認識し、ウイルス感染、例えばRNAウイルスに対する「センサー」として機能する。
【0385】
手短に述べると、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、2%血清および増殖サプリメント(EGM−2BULLETKIT、Cambrex Bio Science)を含むEGM−2増殖培地中の48ウェルプレートに、1ウェル当たり45,000個の細胞でプレートした。細胞を約24時間培養した後、HUVECを、50nMのRNA複合体(FluA1:2242 25/27、G3789D−siRNAまたはFluA1:2242 25/27−10)のうちの1つおよびRNAiMAX(陽性対照Poly I:CまたはRNAiMAXのみ(RNAなし))の混合物で4時間トランスフェクトした。各トランスフェクションを3回行った。4時間のトランスフェクション後、200μLのEGM−2増殖培地を各ウェルに添加した。トランスフェクトされた細胞を24時間培養し、その後、溶解物および上清を収集した。製造業者のプロトコル(AFFYMETRIX)に従って、TLR3、MDA−5、およびRIG−IのレベルをQUANTIGENE検定によって測定した。TLR3、MDA−5、およびRIG−I発現のレベルを下の表30に示す。全てのレベルは、PPIA発現レベルに正規化されている。
【0386】
【表30】

上の表30に示される発現レベルは、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーを含まないダイサー長RNA複合体(FluA1:2242 25/27、G3789非修飾)が、TLR3、MDA−5、およびRIG−I発現レベルを、RNAiMAXのみでのそれらのレベルを上回って誘導し、陽性対照Poly I:Cに匹敵することを示す。対照的に、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマー(モチーフ10)を有する同一のダイサー長RNA複合体は、TLR3、MDA−5、またはRIG−I発現レベルを誘導しない。故に、ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーの戦略的配置は、ダイサー長RNA複合体を、2本鎖RNAに対する免疫応答の活性をサポートする細胞受容体から「マスク」することができる。
【0387】
ダイサー酵素によるダイサー長RNA複合体のプロセシング
ダイサー酵素による、ヒドロキシメチル置換モノマーを含むダイサー長RNA複合体のプロセシングを試験した。
【0388】
非修飾、または修飾モチーフ2、3、もしくは4(修飾モチーフの説明については、実施例2を参照されたい)を含有する、ダイサー長RNA複合体G3789、G8282、G1498、SOS1、およびApoBを、ダイサー酵素を用いて体外で培養し、HPLCによって生成し、ダイサー酵素によるプロセシングの量を決定するために、LC−MSによって分析した。
【0389】
手短に述べると、非修飾および修飾RNA複合体を、センス鎖およびアンチセンス鎖の適切な比率を緩衝剤中で混合することによって40μMで調製し、95℃に1分間加熱し、次いで再び室温に徐々に冷却させた。RNA複合体を、37℃で24時間ダイサー酵素に供した。24時間の培養期間後、試料を、600mLの水を用いて浮遊透析膜で1時間脱塩した。次いで試料をHPLCバイアルに充填し、LC−MS上に注入した。HPLCパラメータは次の通りであった:0.2mL/分の流速、XTerra(登録商標)カラムMS C18 2.5μm、2.1×50mm、カラム温度65℃、移動相A:100mM HFIP、7mM TEA、pH8.1、移動相B:100%メタノール、プレカラム容量を含まず40分にわたって2〜14%の勾配、注入量は15μLであった。LC−MSパラメータは次の通りであった:負イオンモード、キャピラリー3.0kV、コーン40V、脱溶媒和温度300℃、脱溶媒和流速(N)600L/時間、源温度90℃、1.5秒にわたって300〜1950m/zの取り込み。質量スペクトルデータを、Micromass(登録商標)(Waters(登録商標))によって作成されたMaxEnt(登録商標)(最大エントロピー)ソフトウェアを用いてデコンボリューション処理した。
【0390】
5個の異なる遺伝子を標的とする、5個の異なるダイサー長RNA複合体に適用されるモチーフ2、3、および4は、ダイサー酵素によるプロセシングを妨げる。
【0391】
データは、ヒドロキシメチル置換モノマーが、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方内、または1本の鎖(センス鎖またはアンチセンス鎖)内にあるかどうかに関わらず、ダイサー酵素が、ダイサー切断部位の側面に位置するヒドロキシメチル置換モノマーを有するダイサー長RNA複合体をプロセスしなかったことを示す。非修飾RNA複合体は、ダイサー酵素によって切断された。試験された、ヒドロキシメチル置換モノマーを有する全ての修飾ダイサー長RNA複合体は、遺伝子サイレンシング活性を保持し(上を参照)、RNA複合体がダイサー酵素によってプロセスされない場合でも、これらのRNA複合体が依然としてRNAi活性に対して活性であり、標的遺伝子発現を低減させることを示した。
【0392】
故に、センス鎖の5’末端から数えて、センス鎖の21および22位においてヒドロキシメチル置換モノマーを有するダイサー長RNA複合体(モチーフ3)は、ダイサー酵素によってプロセスされない。さらに、アンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の6および7位においてヒドロキシメチル置換モノマーを含むRNA複合体(モチーフ4)は、ダイサー酵素ダイサー酵素によってプロセスされない。センス鎖の5’末端から数えて、センス鎖の21および22位においてヒドロキシメチル置換モノマーを含み、かつアンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の6および7位においてヒドロキシメチル置換モノマーを含むRNA複合体は、ダイサー酵素によってプロセスされない(モチーフ2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸であって、前記センス鎖の5’末端における最後の3つの位置のうちのいずれか1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる、核酸。
【請求項2】
前記センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに15〜24個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸であって、前記アンチセンス鎖の5、6、7、および8位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、前記アンチセンス鎖の前記位置は、前記アンチセンス鎖の5’末端において1位から始まるように数えられる、核酸。
【請求項5】
前記センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
前記アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項4に記載の核酸。
【請求項7】
前記2本鎖領域は、19または20個の塩基対を有する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項8】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖は、各々21または22ヌクレオモノマー長である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項9】
前記核酸は、平滑末端または3’末端オーバーハングを有する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項10】
前記アンチセンス鎖は、配列番号12、34、56、78、100、124、または147のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項11】
センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸であって、前記アンチセンス鎖の3’末端の最後の位置および前記センス鎖の3’末端の最後の位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる、核酸。
【請求項12】
前記アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められる、請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸であって、前記センス鎖の21、22、および23位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、前記センス鎖の前記位置は、前記センス鎖の5’末端において1位から始まるように数えられる、核酸。
【請求項14】
センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに25〜40個の塩基対を有する2本鎖領域を含む核酸であって、前記アンチセンス鎖の18、19、20、21、および22位のうちの1つ以上は、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められ、前記センス鎖の前記位置は、前記アンチセンス鎖の3’末端において1位から始まるように数えられる、核酸。
【請求項15】
前記アンチセンス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項13または14に記載の核酸。
【請求項16】
前記センス鎖の3’末端の最後の2つの位置のうちの1つまたは両方が、同一のまたは異なるヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーによって占められることをさらに含む、請求項13または14に記載の核酸。
【請求項17】
前記アンチセンス鎖は、配列番号169、185、201、217、または233のうちの任意の15個の隣接するヌクレオモノマーに相当する、少なくとも15個の隣接するヌクレオモノマーの領域を有する、請求項11、13、または14に記載の核酸。
【請求項18】
前記ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオモノマーである、請求項1〜6および11〜14のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項19】
前記ヒドロキシメチル置換ヌクレオモノマーは、モノマーD、F、G、H、I、またはJ:
【化12】

から選択され、Rは、水素、アルキル基、コレステロール誘導体、フルオロフォア、ポリアミン、脂肪酸、アミノ酸、糖類、およびポリペプチドからなる群から選択され、
塩基は、任意のプリン、ピリミジン、またはその誘導体もしくは類似体である、請求項1〜6および10〜13のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項20】
2’−O−アルキル−RNAモノマー、2’−アミノ−DNAモノマー、2’−フルオロ−DNAモノマー、LNAモノマー、PNAモノマー、HNAモノマー、ANAモノマー、FANAモノマー、CeNAモノマー、ENAモノマー、DNAモノマー、およびINAモノマーからなる群から選択されるヌクレオチド類似体をさらに含む、請求項1〜6および10〜13のうちのいずれか1項に記載の核酸。
【請求項21】
細胞内の遺伝子の発現を低減するための方法であって、請求項1〜6および10〜13のうちのいずれか1項に記載の核酸を調製することと、前記細胞を前記核酸で処理することと、を含む、方法。
【請求項22】
ヒトにおける疾患を治療するための方法であって、前記疾患は、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌から選択され、請求項1〜6および10〜13のうちのいずれか1項に記載の核酸を調製することと、前記核酸を前記ヒトに投与することと、を含む、方法。
【請求項23】
リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患、高コレステロール血症を含む代謝性疾患、肝疾患、脳炎、骨折、心臓病、肝炎およびインフルエンザを含むウイルス性疾患、ならびに癌を含む疾患を治療するための薬剤の調製における、請求項1〜6および10〜13のうちのいずれか1項に記載の核酸の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510297(P2012−510297A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539704(P2011−539704)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/066610
【国際公開番号】WO2010/065756
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507328184)マリーナ バイオテック,インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】