説明

Vベルト脱着用治具

【課題】簡単かつ容易にVベルトの脱着が可能なVベルト脱着用治具を提供する。
【解決手段】手元部をハンドル部とし、先端部にプーリのリム内周面に当接可能な支点部を有する長尺状の本体部材、前記本体部材の長手方向において前記支点部よりハンドル部側に位置して本体部材の側面に設けられ、前記支点部と対向するように前記リム外周面に当接して前記支点部と共同してリムを狭着可能な抑え部材、及び、前記本体部材の長手方向においてハンドル部と抑え部材との間に基点を有し、本体部材と一定の角度を有するようにして本体部材の先端部側に延びる弾性変形可能なヘラ部材を備え、前記ヘラ部材は前記本体部材の側面から前記支点部及び抑え部材と同じ側に離間するように膨出する膨出部と、前記膨出部から本体部材側に傾斜する傾斜部とを有し、前記支点部と抑え部材とでリムを狭着した場合、先端部が前記リムの外側面に当接可能な長さを有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Vベルトをプーリから取り外す場合、プーリに取り付ける場合、及び隣の溝に移動させる場合に使用して便利なVベルト脱着用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Vベルト交換作業におけるVベルトの脱着は次のように行われている(以下、「従来技術1」という。)。
(1)Vベルトに布等を引っ掛け手前に引き、プーリを回転させVベルトを外す。
(2)Vベルトを装着する場合、まず小プーリにVベルトを掛け、大プーリ上部にもVベルトを掛ける。
(3)大プーリ上部に掛かったベルトを片手で押さえつつもう一方の手でプーリを回転させることにより装着する。
(4)Vベルトを隣の溝に移動させるには、一方のプーリにおいてVベルトを掌底で次の溝側へ斜め下に押し付け、プーリの次の溝に掛けるように回転させる。
(5)他方のプーリにおいても上記(4)と同じ要領で移動させる。
(6)溝の数だけ上記(4)(5)を繰り返す。
【0003】
また、Vベルトの脱着作業を、より安全に行うには、モータの固定を緩めて行うことになるが、その場合、電源の入り切り、およびカバーの取り外し取付の他、次の作業工程が必要となる(以下、「従来技術2」という。)。
(1) モータスライドを利用してVベルトの張りを緩める。
(2) Vベルトを外す。
(3) Vベルトを掛ける。
(4) モータスライドを利用し緊張し仮止めする。
(5) 金尺や糸を利用し芯だしを行う。
(6) 張り調整を行う。
【0004】
しかし、従来技術1においては、作業者の熟練が必要であり、また、作業時に、Vベルトに指が挟まれてしまったり、Vベルト取り外し時に生じる反動で手や肘を打ちつけるなど、作業上の危険が生じていた。また、従来技術2においては、一々モータの固定を緩めてスライドさせ、Vベルトを緩めて外したり掛け直したり、芯だし、張り調整を行わなければならないため、脱着に時間がかかってしまい、作業の効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、図7に示すようなVベルト脱着用治具が提案されている(以下「従来技術3」という。たとえば、特許文献1参照。)。
【0006】
従来技術3は、本体部30の一端に押し上げガイド31を、他端に装着ガイド32を備え、Vベルトを取り外すには、図7(b)に示すように、押し上げガイド31をプーリ33の溝部とVベルト34との間に潜り込ませ、プーリ33の鍔部よりもVベルト34が高くなる位置までガイドして持ち上げ、傾斜したガイド部35に沿ってVベルト34を移動させ、掛け渡された状態から外す。これとは逆に、プーリ33にVベルト34を掛け渡すには、図7(c)に示すように、Vベルト34を装着ガイド32で把持し、装着ガイド32をプーリ33の溝部36に嵌合するように挿し込み、装着ガイド32を滑らせつつ移動させると、プーリ33にVベルト34が掛け渡されるというものである。
【0007】
しかし、従来技術3のVベルト脱着用治具において、Vベルト34を取り外すには、手作業で、押し上げガイド31をプーリ33の溝部とVベルト34との間に潜り込ませ、図7(b)に示されるように、Vベルト34をプーリ33の鍔部よりも相当高い位置である傾斜したガイド部35の頂上部36まで延ばす必要があり、大きな力が必要となる。また、Vベルト34を掛け渡す場合も、手作業で装着ガイド32を滑らせる必要があり、これまた大変な力仕事になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−56044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、従来技術1のように作業者の熟練を要せず、また、作業時に、Vベルトに指が挟まれることもなく、さらに、従来技術2のような作業効率の悪い手法を用いることなく、さらに、従来技術3のように力を要することなく、簡単かつ容易にVベルトの脱着が可能なVベルト脱着用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明のVベルト脱着用治具は、手元部をハンドル部とし、先端部にプーリのリム内周面に当接可能な支点部を有する長尺状の本体部材、前記本体部材の長手方向において前記支点部よりハンドル部側に位置して本体部材の側面に設けられ、前記支点部と対向するように前記リム外周面に当接して前記支点部と共同してリムを狭着可能な抑え部材、及び、前記本体部材の長手方向においてハンドル部と抑え部材との間に基点を有し、本体部材と一定の角度を有するようにして本体部材の先端部側に延びる弾性変形可能なヘラ部材を備え、前記ヘラ部材は前記本体部材の側面から前記支点部及び抑え部材と同じ側に離間するように膨出する膨出部と、前記膨出部から本体部材側に傾斜する傾斜部とを有し、前記支点部と抑え部材とでリムを狭着した場合、先端部が前記リムの外側面に当接可能な長さを有することを特徴としている。
この特徴によれば、Vベルトをプーリから外す場合には、支点部と抑え部材とでVベルトの掛けられたリムを外側面から狭着し、ヘラ部材の傾斜部内面でVベルトの内側面を抱え込むようにして先端部をリムの外側面に当接し、支点部を支点としてハンドル部をヘラ部材と反対の方向に回転させるとVベルトは傾斜部内面によりプーリの外側に押し出され、外すことができる。また、Vベルトを隣の溝へ移動させる場合にも、同様の操作で行うことができる。さらに、Vベルトを掛ける場合には、Vベルトが大プーリの溝にはまっている部分を支点部と抑え部材とで挟み、ハンドル部をVベルトのはまっていない方向に回転し、プーリの半周ほど回転させるとVベルトはすべて溝にはまる。
したがって、次の効果を奏する。
(1)Vベルトの脱着に当たって、Vベルトやプーリに直接手を触れなくて済むので、手を挟まれる危険性がない。
(2)モータスライドを利用する場合のように回転防止措置などの安全対策にかかわる作業及び芯出し作業等がないので、全体としての作業工程が少なく、作業効率がよい。
(3)Vベルト脱着用治具の装着及び取り外しが容易であり、ハンドルを回転するだけで脱着ができるので、コツを必要とせず、熟練を要しない。
(4)テコの原理を利用しているため、腕力を必要とせず、また、無理な姿勢を取る必要がない。その際、Vベルトをプーリの外周面より若干大きく延ばすだけですむため、大きな力を必要としない。
(5)プーリの略180°以内の回転でVベルトの脱着が済むため、作業時間が少ない。
(6)Vベルト脱着用治具でプーリ及びVベルトを挟むため、プーリが慣性で回転するのを防止できる。また、Vベルトを隣の溝へ移動させる場合において、Vベルトの捩じれが生じにくい。
【0011】
本発明のVベルト脱着用治具は、前記長尺状の本体部材が、金属製の板状部材と、前記板状部材の先端に形成された孔にボルトを嵌合して形成された支点部とから構成され、前記抑え部材は金属製の板状部材をL字状に曲げ加工して形成されるとともに、L字状の1辺が本体部材に当接されて装着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、本体部材及び抑え部材を安価に形成することができ、また、抑え部材を本体部材に容易に装着することができる。
【0012】
本発明のVベルト脱着用治具は、前記ボルトにより形成された支点部の外周に、弾力性を有し、摩擦係数の大きな材料からなる筒状リングが嵌合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、リムに対する支点部及び抑え部材の狭着が容易であり、また、支点部の滑りを防止することができる。
【0013】
本発明のVベルト脱着用治具は、抑え部材が本体部材の長手方向に移動可能に装着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、プーリのリム厚さへの適用範囲が広く、汎用性のあるVベルト脱着用治具を提供することができる。
【0014】
本発明のVベルト脱着用治具は、ヘラ部材の基点において本体部材に回動自在に装着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、さまざまな直径のプーリに対応することができ、汎用性のあるVベルト脱着用治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1におけるVベルト脱着用治具を示す斜視図である。
【図2】実施例1におけるVベルト脱着用治具を示す正面図である。
【図3】実施例1におけるVベルト脱着用治具を示す平面図である。
【図4】実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトを外す方法を説明する図である。
【図5】実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトをプーリの隣の溝に移動させる方法を説明する図である。
【図6】実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトを掛ける方法を説明する図である。
【図7】従来技術3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るVベルト脱着用治具を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は実施例1におけるVベルト脱着用治具を示す斜視図、図2は同正面図、図3は同平面図であり、図1ないし図3を参照しながら本発明に係るVベルト脱着用治具を説明する。
【0018】
図1〜3において、Vベルト脱着用治具は、手元部をハンドル部2とし、先端部3にプーリのリム内周面に当接可能な支点部4を有する長尺状の本体部材1、該本体部材1の長手方向において支点部4よりハンドル部2側に位置して本体部材1の側面に設けられ、支点部4と対向するようにリム外周面に当接して支点部4と共同してリムを狭着可能な抑え部材5、及び、本体部材1の長手方向においてハンドル部2と抑え部材5との間に基点6を有し、本体部材1と一定の角度を有するようにして本体部材1の先端部3側に延びる弾性変形可能なヘラ部材7を備え、該ヘラ部材7は本体部材1の側面から支点部4及び抑え部材5と同じ側に離間するように膨出する膨出部8と、該膨出部8から本体部材1側に傾斜する傾斜部9とを有し、支点部4と抑え部材5とでリムを狭着した場合、先端部10がリムの外側面に当接可能な長さを有する。
【0019】
本例では、長尺状の本体部材1は、金属製の板状部材と、板状部材の先端に形成された孔11に六角穴付きボルト12を嵌合し、ナット13で締め付け固定し、六角穴付きボルト12の軸部で形成された支点部4とから構成されている。しかし、これに限定されることなく、金属製の板状部材の先端を折り曲げ加工し、支点部4を一体に形成してもよい。また、孔11に六角穴付きボルト12を嵌合することに代えて、棒状部材を金属製の板状部材に溶接して支点部4を形成してもよい。
【0020】
支点部4を形成する六角穴付きボルト12の軸部の外周には、弾力性を有し、摩擦係数の大きな材料からなる筒状リング14が嵌合されている。この筒状リング14はゴム材料から形成することができる。
【0021】
抑え部材5は金属製の板状部材をL字状に曲げ加工して形成されるとともに、基部15が本体部材1に当接され、本体部材1の長手方向に離間して装着される2つの六角穴付きボルト16及び蝶ナット17により本体部材1に固定されている。六角穴付きボルト16が装着される本体部材1側には、長手方向に長い長穴18が形成されており、抑え部材5が本体部材1の長手方向に移動可能に装着されるようになっている。
【0022】
また、抑え部材5の抑え部19の長さは支点部4を構成するボルト12の軸部14のより長く形成され、例えば、V溝を2つ有するプーリの幅より若干長く形成されるのが好ましい。
【0023】
ヘラ部材7は、図2に示すように、金属製の板状部材の折り曲げ加工により本体部材1の側面から離間するように膨出する膨出部8と、該膨出部8から本体部材1側に傾斜する傾斜部9とを有するように形成され、その基点6において六角穴付きボルト20及び蝶ナット21により本体部材1に回動可能に装着されている。そして、膨出部8の膨出量はVベルトの幅の2〜5倍程度であり、また、該膨出部8から本体部材1側に傾斜する傾斜部9は、正面から見た場合、すなわち、プーリの軸に直交する方向から見た場合、本体部材1のプーリ当接面22を若干越えて反対側まで延び、傾斜部9の傾斜角度より小さい角度で傾斜している先端部10につながっている。
【0024】
さらに、図3に示すように、ヘラ部材7は、本体部材1に対して前方方向にθだけ傾斜して用いられ、しかも、その先端部10がプーリの外側面に当接する必要があることから、先端部10が本体部材1の先端部3を超えて延びている。
【0025】
ヘラ部材7が回動可能に装着される本体部材1側には、長手方向に複数の孔23が形成されており、ヘラ部材7の基点6の位置をプーリの直径に応じて本体部材1の長手方向に調節可能となっている。
【0026】
図4は、実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトを外す方法を説明する図であり、図4を参照しながら、Vベルトをプーリから外す場合を説明する。
【0027】
まず、図4(a)に示すように、支点部4と抑え部材5とでVベルト30の掛けられたリム31の内周面32及び外周面33を外側面34側から狭着し、ヘラ部材7の傾斜部9内面でVベルト30を内側面35側から抱え込むようにして先端部10をリム31の外側面34に当接する。
【0028】
次に、図4(b)に示すように、支点部4を支点としてハンドル部2をヘラ部材7と反対の方向に回転させるとプーリ31も回転し、Vベルト30のヘラ部材7に当接している部分は傾斜部9内面によりプーリ31の外側に押し出される。この際、テコの原理を利用してハンドル部2を回転できるので小さな力で作業を行うことができる。
【0029】
続いて、図4(c)に示すように、ハンドル部2をさらに回転させると、Vベルト30の外側に押し出される部分が増加する。
【0030】
さらに、図4(d)に示すように、プーリ31がある程度回転するとVベルト30の緊張が解け、Vベルトを容易に取り外すことができる。
【0031】
図5は、実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトをプーリの隣の溝に移動させる方法を説明する図であり、図5を参照しながら、Vベルトをプーリの隣の溝に移動させる方法を説明する。
【0032】
まず、図5(a)に示すように、支点部4と抑え部材5とでVベルト30の掛けられたリム31の内周面32及び外周面33を外側面34側から狭着する。
【0033】
次に、図5(b)に示すように、ヘラ部材7の傾斜部9内面でVベルト30を内側面35側から抱え込むようにして先端部10をVベルトの掛かっていない溝36の内側面37に当接する。
【0034】
続いて、図5(c)に示すように、支点部4を支点としてハンドル部2をヘラ部材7と反対の方向に回転させるとプーリ31も回転し、Vベルト30のヘラ部材7に当接している部分は傾斜部9内面により隣接する溝36に押し出される。この際、テコの原理を利用してハンドル部2を回転できるので小さな力で作業を行うことができる
【0035】
また、ヘラ部材7はVベルトの張力により押し下げられるので、その先端部10が溝36の内側面37から外れにくくなっている。
【0036】
図5(d)に示すように、そのままプーリ31を1/4周ほど回転させると、Vベルト30は隣の溝へ移動する。
【0037】
図6は、実施例1におけるVベルト脱着用治具を用いてVベルトを掛ける方法を説明する図であり、図6を参照しながら、Vベルトを掛ける方法を説明する。
【0038】
まず、図6(a)に示すように、小口径側のプーリにVベルトを掛け、反対側の大プーリ31にVベルト30を半周程度掛けておき、Vベルト30が溝にはまっている部分のリム31の内周面32及び外周面33を外側面34側から支点部4と抑え部材5とで狭着する。
【0039】
次に、図6(b)に示すように、ハンドル2によりプーリ31をVベルトのはまっていない方向に回転させる。
【0040】
図6(c)に示すように、プーリ31が回転するにつれ、Vベルト30の張力による反力があるが、テコの原理によりハンドル2を容易に回転することができる。
【0041】
図6(d)に示すように、プーリ31が半周ほど回転するとVベルト30はすべて溝にはまる。
【0042】
Vベルトが2本掛けの場合は、上記と同様の作業を繰り返し行う。
【0043】
また、Vベルトが3本掛け以上の場合は、Vベルトが2本掛けの場合の作業に加えて、図5に示した「Vベルトをプーリの隣の溝に移動させる方法」を利用して行う。
【0044】
本実施例に係るVベルト脱着用治具は、次の効果を奏する。
(1)Vベルトの脱着に当たって、Vベルトやプーリに直接手を触れなくて済むので、手を挟まれる危険性がない。
(2)モータスライドを利用する場合のように回転防止措置などの安全対策にかかわる作業及び芯出し作業等がないので、全体としての作業工程が少なく、作業効率がよい。
(3)Vベルト脱着用治具の装着及び取り外しが容易であり、ハンドルを回転するだけで脱着ができるので、コツを必要とせず、熟練を要しない。
(4)テコの原理を利用しているため、腕力を必要とせず、また、無理な姿勢を取る必要がない。その際、Vベルトをプーリの外周面より若干大きく延ばすだけですむため、大きな力を必要としない。
(5)プーリが略180°以内回転する間にVベルトの脱着が済むため、作業時間が少ない。
(6)Vベルト脱着用治具でプーリ及びVベルトを挟むため、プーリが慣性で回転するのを防止できる。また、Vベルトを隣の溝へ移動させる場合において、Vベルトの捩じれが生じにくい。
【0045】
また、長尺状の本体部材1が、金属製の板状部材と、該板状部材の先端3に形成された孔11にボルト12を嵌合して形成された支点部4とから構成され、抑え部材5は金属製の板状部材をL字状に曲げ加工して形成されるとともに、L字状の1辺15が本体部材1に当接されて装着されているため、本体部材1及び抑え部材を安価に形成することができ、また、抑え部材5を本体部材1に容易に装着することができる。
【0046】
また、ボルト12により形成された支点部4の外周に、弾力性を有し、摩擦係数の大きな材料からなる筒状リング14が嵌合されているため、リム31に対する支点部4及び抑え部材5の狭着が容易であり、また、支点部4の滑りを防止することができる。
【0047】
また、抑え部材5が本体部材1の長手方向に移動可能に装着されているため、さまざまな厚さのプーリのリム31に対応することができ、汎用性のあるVベルト脱着用治具を提供することができる。
【0048】
また、ヘラ部材7は基点6において本体部材1に回動自在に装着されているため、さまざまな直径のプーリに対応することができ、汎用性のあるVベルト脱着用治具を提供することができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0050】
本体部材1のハンドル部2に、例えば、ゴム製のグリップを装着するようにしてもよい。
【0051】
また、抑え部材5の抑え部19のプーリの外周面に当接する面に、例えば、ゴム製のライナーを貼り付けてもよい。
【0052】
さらに、ヘラ部材7の先端部10のプーリの側面に当接する部分に、例えば、ゴム製のライナーを貼り付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 本体部材
2 ハンドル部
3 本体部材の先端部
4 支点部
5 抑え部材
6 基点
7 ヘラ部材
8 膨出部
9 傾斜部
10 ヘラ部材の先端部
11 孔
12 六角穴付きボルト
13 ナット
14 ナット
15 基部
16 六角穴付きボルト
17 蝶ナット
18 長穴
19 抑え部
20 六角穴付きボルト
21 蝶ナット
22 プーリ当接面
23 孔
30 Vベルト
31 リム
32 内周面
33 外周面
34 リムの内側面
35 Vベルトの内側面
36 溝
37 溝の内側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手元部をハンドル部とし、先端部にプーリのリム内周面に当接可能な支点部を有する長尺状の本体部材、前記本体部材の長手方向において前記支点部よりハンドル部側に位置して本体部材の側面に設けられ、前記支点部と対向するように前記リム外周面に当接して前記支点部と共同してリムを狭着可能な抑え部材、及び、前記本体部材の長手方向においてハンドル部と抑え部材との間に基点を有し、本体部材と一定の角度を有するようにして本体部材の先端部側に延びる弾性変形可能なヘラ部材を備え、前記ヘラ部材は前記本体部材の側面から前記支点部及び抑え部材と同じ側に離間するように膨出する膨出部と、前記膨出部から本体部材側に傾斜する傾斜部とを有し、前記支点部と抑え部材とでリムを狭着した場合、先端部が前記リムの外側面に当接可能な長さを有することを特徴とするVベルト脱着用治具。
【請求項2】
前記長尺状の本体部材が、金属製の板状部材と、前記板状部材の先端に形成された孔にボルトを嵌合して形成された支点部とから構成され、前記抑え部材は金属製の板状部材をL字状に曲げ加工して形成されるとともに、L字状の1辺が本体部材に当接されて装着されていることを特徴とする請求項1に記載のVベルト脱着用治具。
【請求項3】
前記ボルトにより形成された支点部の外周に、弾力性を有し、摩擦係数の大きな材料からなる筒状リングが嵌合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のVベルト脱着用治具。
【請求項4】
前記抑え部材が本体部材の長手方向に移動可能に装着されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のVベルト脱着用治具。
【請求項5】
前記ヘラ部材の基点において本体部材に回動自在に装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のVベルト脱着用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104505(P2013−104505A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249829(P2011−249829)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】